説明

強誘電体の評価方法及び強誘電体の評価装置

【課題】表面を皮膜で被覆された強誘電体の分極方向及び分極の大きさを、非破壊で評価する。
【解決手段】強誘電体の表面の2次元格子から回折される散乱X線の強度プロフィルを測定し、強度プロフィルの非対称性を、分極方向及び分極の大きさが知られている標準試料の非対称性(基準非対称)(分極域の面積比s=1、0)と比較することで、強誘電体の分極方向及び分極の大きさを評価する。散乱X線は、分極の方向及び大きさに応じた一定の非対称を有す。従って、試料の非対称性と一致する基準非対称性を有する標準試料の分極の大きさ及び方向を、試料のそれと評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強誘電体の分極方向及び分極の大きさをX線回折法を用いて評価する強誘電体の評価方法及び強誘電体の評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
強誘電体、例えばPb(Zr1-X Ti)O3 (PZT)を誘電体層に用いた強誘電体キャパシタを記憶素子とする強誘電体メモリ(FeRAM)が、消費電力の少なくかつ高速の不揮発性メモリとして携帯端膜等の半導体装置に広く採用されている。
【0003】
かかるFeRAMの電気的特性は、強誘電体キャパシタを構成する強誘電体の分極方位及び分極の大きさに密接に関連している。このため、FeRAMを備えた半導体装置の製造又は評価の工程において、強誘電体膜の分極方位と分極の大きさとを正確に評価する方法が必要とされている。
【0004】
従来、強誘電体の評価法には、誘電体表面を化学的機械的研摩(CMP)を用いて研摩し、その表面の凹凸を顕微鏡で観測することで分極の極性及び分域の大きさを調べ、これに基づき強誘電体の分極方向と分極の大きさを評価する方法がしばしば用いられる。(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
なお、本明細書において「分極の大きさ」とは、被観測領域内にある分域中の分極の平均値をいう。従って、全ての分極域の分極方向が同一方向を向くとき、その強誘電体の自発分極の大きさが「分極の大きさ」となり、互いに逆方向を向く分極域の面積の比(以下、「分極比」という。)をそれぞれs及び(1−s)とするとき、自発分極の大きさ×(s−(1−s))、即ち、自発分極の大きさ×(2s−1)が「分極の大きさ」となる。
【0006】
また、走査型電子プローブ顕微鏡(SPM)を用いて、強誘電体膜の分極方位と分極の大きさとを評価する方法も知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかし、いずれの方法も強誘電体の表面を表出しなければならず、表面に電極又は絶縁膜等の皮膜を設けた状態で評価することはできない。また、皮膜を除去したのでは、強誘電体の分極状態が変化してしまうおそれがあり、正確な評価が担保されない。
【0008】
また、CMPにより強誘電体表面の結晶性や分極状態が変化する場合があり、かかる場合に正確な評価をすることができない。さらに、SPMでは特殊な電極構造等の加工が必要で、かかる加工ができる特定の素子の評価に限られ、一般的な強誘電体の評価は困難である。
【0009】
このような加工をすることなく非破壊で強誘電体の評価を行なう方法に、X線回折を利用した以下に説明する強誘電体の評価方法が知られている。
【0010】
先ず、強誘電体の3次元結晶格子が作る結晶格子面のプラッグ反射の位置変動を観測する方法が開示されている。この方法では、ブラッグ反射されたX線、即ち回折X線のピーク位置を観測する。強誘電体の結晶格子は分極により特定方向、例えば分極方向に歪むので、分極に伴い回折X線のピーク位置が移動する。その結果、ピークが分裂するので、その分裂の大きさから分極の大きさを推定することができる。(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
この方法では、非破壊での評価が可能であり、また、表面に電極又は絶縁膜が被着している強誘電体でもそのまま評価することができる。
【0012】
しかし、分極による強誘電体の格子歪みは中心対称を有するため、分極の大きさが同一ならば、分極方向が逆転していてもピークの分裂は同一になる。このため、この方法により分極方向を検知することはできない。
【0013】
X線回折における異常吸収を用いて、強誘電体の分極方向を検知する方法が未公開の特許出願、特願2006−157146に開示されている。
【0014】
この方法は、強誘電体の一つの構成元素の吸収端波長を跨ぐ2つの波長を有するX線を用い、その2波長による回折X線の強度を比較する。分極方向の正逆により、2つの波長における回折X線強度(ピーク強度又は積分強度)の差が異なるので、分極方向を正確に検知することができる。
【0015】
上述したブラッグ反射に起因する回折X線のピークを観測する方法に対して、回折X線と交差し、試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線(X線CTR散乱:Crystal Truncation Rod)を用いて界面近傍の応力を測定する方法が開示されている。(例えば、特許文献4参照。)。
【0016】
この方法では、散乱X線の強度プロファィルが、界面近傍のSI原子の移動により非対称となることを利用して、シリコン酸化膜とシリコンとの界面に位置するSi原子の上下の位置ずれを測定し、界面近傍の応力を評価している。
【特許文献1】特開2006−072222号公報
【特許文献2】特開2002−323543号公報
【特許文献3】特開2002−181739号公報
【特許文献4】特開2004−354197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、強誘電体試料をCMPで研摩した後、表面凹凸を観察して分極方向及び分極の大きさを測定する従来の強誘電体の評価方法では、表面研摩による強誘電体の分極構造の破壊が避けられず、正確な評価を担保することができない。
【0018】
また、走査型電子プローブ顕微鏡を用いた強誘電体の評価方法では、評価のために特殊な電極を設ける必要があり、一般的な強誘電体膜をそのまま評価することができない。さらに、CMP及び走査型電子プローブ顕微鏡を用いる方法は、表面に他の薄膜が被覆された強誘電体をそのままの状態で評価することができない。このため、強誘電体を用いた半導体装置の製造工程において、強誘電体の評価をすることができる工程が制限される。
【0019】
従来の回折X線のピーク位置から分極の大きさを評価する方法は、表面を薄膜で被覆された強誘電体を非破壊で評価することができる。しかし、この方法では、分極方向を検出することができない。
【0020】
他方、従来の吸収端波長を挟む2つの波長のX線による回折X線強度の違いから、分極方向を同定する方法では、分極の大きさを評価することができない。分極の方向と大きさとの両者を評価するには、上述した回折X線のピーク位置による評価を併用しなければならない。しかし、この方法は、特定物質の吸収端波長を挟む2波長のX線源を用意し、2回のピーク強度の測定を実施しなければならないので、装置が高価になり、また煩雑かつ手間がかかる。
【0021】
本発明は、結晶表面からのX線回折に起因する散乱X線の強度の非対称性を検出することで、表面が皮膜で被覆された強誘電体についても非破壊で分極方位及び分極の大きさを評価することができる強誘電体の評価方法及び強誘電体の評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するための本発明の第1の構成の評価方法は、試料の結晶格子面から回折される回折X線の近傍に、回折X線と交差し、試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線の強度を測定する工程と、散乱X線の強度の非対称性を算出し、その非対称性に基づき、試料の分極方位および分極の大きさを評価する工程とを有する。
【0023】
本構成によれば、X線回折を用いて分極方向及び分極の大きさを評価するので、表面に皮膜を有する強誘電体に対しても非破壊で評価することがてきる。
【0024】
結晶表面に入射したX線は、結晶内部に侵入し、結晶の有する3次元格子によりブラッグ反射され、回折X線として結晶外部に反射される。この回折X線は、結晶格子面及び入射X線がブラッグ条件を満たすときのみ発生し、スポット状のピークを有する鋭いビームとして放射される。
【0025】
一方、回折X線の近傍に、回折X線と交差し、試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線(以下「X線CTR散乱」ともいう。)が生ずることが知られている。この散乱X線は、3次元結晶の表面での打ち切りの効果、或いは、結晶表面のごく近傍の原子から構成される2次元結晶格子に起因すると考えられており、結晶表面の原子配列を極めて鋭敏に反映している。
【0026】
本願発明の発明者は、X線CTR散乱の強度の対称性が、強誘電体の分極方向及び分極の大きさに依存して変化することを見いだした。即ち、X線CTR散乱の強度プロフィルが分極が零の状態で回折X線のピークに対して対称であったとしても、正方向又は逆方向に分極すると、X線CTR散乱の強度プロフィルは、分極の正逆に対応して低角度側と高角度側とで強度差を生じ、非対称になる。そして、その強度差は、分極の大きさに依存している。本発明はかかる事実に基づき発明された。
【0027】
なお、X線CTR散乱の強度プロフィルの対称性は、ブラック条件を満たす回折X線のピーク位置を中心として、そのピーク位置より試料表面の上方(高角度側)に位置するX線CTR散乱の強度プロフィルと、ピーク位置より試料表面の下方(低角度側)に位置するX線CTR散乱の強度プロフィルとを比較することで求められる。
【0028】
本発明の第1の構成では、散乱X線(X線CTR散乱)の強度の非対称性を測定し、その大きさから分極方向及び分極の大きさを評価する。上述のように、強度の非対称性は分極の大きさに依存して変化するので、この非対称性から分極の大きさを評価することができる。なお、上述したように強度の非対称性は、分極の正逆方向に対応して逆の変化をするので、非対称性から分極の方向を検知することができる。
【0029】
より具体的には、散乱X線の強度の非対称性は、分極方向を正方向から逆方向まで変化する間、一方向に変化する。例えば、正の分極のときに高角度側の強度が低角度側より高い場合、負の分極方向に徐々に変化させると、高角度側と低角度側の強度差が徐々に小さくなり、ついには低角度側の強度が強くなる。従って、高角度側と低角度側の強度差から、分極の方向と分極の大きさとを評価することができる。
【0030】
さらに、本第1の構成では、試料の分極方向及び分極の大きさを評価するため、試料で測定された散乱X線の非対称性を、既知の分極方向及び分極の大きさを有する標準試料での散乱X線の非対称性(基準非対称性)と比較し、非対称性が一致する標準試料の分極方向及び分極の大きさをその試料の分極方向及び分極の大きさとして評価する。
【0031】
この標準試料の散乱X線の非対称性を予め測定した結果を記憶装置に保存しておき、比較時に読み出して用いることができる。このとき、分極の方向及び大きさが異なる複数の標準試料を準備し、予めそれらの散乱X線の強度の非対称性を測定して、その結果を記憶装置に基準非対称性として記憶しておくことが、比較を容易にすることから望ましい。この方法では、標準試料の非対称性は実測値から算出されているから、非線型性が分極方向又は分極の大きさに対して非線形に変化する強誘電体についても正確な評価がなされる。
【0032】
また、互いに分極の大きさが異なる2つの標準試料について測定された基準非対称性を、記憶装置に保存してもよい。この場合、非対称性が分極の大きさに比例して変化すると仮定して、これらの基準非対称性から任意の分極の大きさに対応する非対称性を計算することができる。これにより、予め測定する標準試料の数を少なくすることができる。
【0033】
この2つの標準試料として、試料の強誘電体と同じ材料を誘電体膜として作製された強誘電体キャパシタを用いることもできる。この方法では、キャパシタの上下電極に正及び逆方向の電圧を順次印加した状態で、キャパシタの強誘電体膜の散乱X線の非対称性を測定する。正及び逆方向の電圧が印加したとき、強誘電体膜の分極の大きさは最大又は最小になる。従って、完全に分極した強誘電体試料を特別に作製する必要がない。
【0034】
上述した分極に起因する散乱X線の強度の非対称は、ブラッグ反射により回折X線を生ずる誘電体の結晶格子面の法線が、分極方向と一致するとき最大となり、分極方向と垂直では消失する。従って、本発明の評価方法において、結晶格子面が前記分極方向と交差するように、即ち、結晶格子面の法線と分極方向とが垂直にならないようにプラッグ反射を生ずる結晶格子面を選択する。
【0035】
散乱X線の強度の非対称性として、回折X線のピーク位置から上下に等距離(高低に等角度)離れた位置(一対の点)での散乱X線の強度を測定し、その一対の点での強度差を用いることができる。これは、2点(2つの位置)での強度を測定れば足りるから、評価が迅速になされる。
【0036】
また、一対の点の強度差に代えて、一対の点の強度差を一対の点の強度の和で徐した値を非対称性として用いてもよい。この規格化された非対称性を用いることで、入射X線の強度の変動及び試料間のノイズ(バックグラウンド)の相違に起因する誤差を少なくすることができる。
【0037】
さらに、回折X線のピーク位置からの距離がそれぞれ異なる複数位置(点)にある上記一対の点における強度差を測定し、ピーク位置からの距離と強度差との関係を求めて、この関係を非対称性として用いることもできる。この方法では、非対称性が複数の測定に基づき決定されるので、より精密に非対称性を求めることができる。
【0038】
本発明の第2の構成の強誘電体の評価装置は、強誘電体キャパシタの評価を、第1の構成にかかる強誘電体の評価方法を用いて実行するに適した評価装置に関する。
【0039】
第2の構成の評価装置は、散乱X線(X線CTR散乱)の強度プロフィルを検出する検出器と、検出器の出力に基づき散乱X線の強度の非対称性を算出する非対称性算出手段と、記憶部と、評価手段とを備える。記憶部は、分極の方向及び大きさが知られた標準試料の非対称性を基準非対称性として保存する。そして、評価手段は、基準非対称性を試料の非対称性に当てはめ、試料の分極方向及び分極の大きさを評価する。
【0040】
この第2の構成における非対称算出手段及び評価手段は、それぞれ上述した第1実施形態での非対称性の算出方法及び分極方向・分極の大きさの評価方法を実行する。かかる評価装置は、例えば、通常のX線回折装置に、それを制御して上記機能を発揮させるようにプログラムされた電子計算機システムを付加することで実現することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、X線回折法を用いることで、強誘電体の分極方向及び分極の大きさを非破壊でかつ表面に皮膜を有する強誘電体についても評価することができる。このため、強誘電体を用いた電子機器の信頼性を高めることができる。
【0042】
また、強誘電体キャパシタを有する半導体装置の広範な製造工程において強誘電体の評価ができるため、信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
まず、本発明で用いられるX線回折法の光学的配置について説明する。
【0044】
図1は、試料表面と散乱X線の関係を説明する図であり、強誘電体からなる試料から反射された散乱X線を表している。なお、図1(a)はX線と試料の配置関係を、図1(b)は散乱X線のz軸方向の強度プロファイルを表している。
【0045】
図1(a)を参照して、表面がZ軸に垂直に置かれた強誘電体試料1の表面に、入射X線4がXZ面内を進み試料1表面に入射角θ1 で入射される。なお、試料1表面はXY面内に一致している。入射X線4は、逆格子ベクトルhに対応する結晶格子面でブラッグ反射され、X’Z面を試料面と出射角θ2で出射する回折X線3として放射される。ここで、X’軸は、X軸をZ軸回りに回転角φだけ回転させた軸である。また、入射X線4、X’軸及び逆格子ベクトルhは同一平面にある。なお、図では、一般化するために、逆格子ベクトルhはZ軸、即ち試料1表面の法線から傾いて描かれている。さらに、試料1の分極ベクトルPは、逆格子ベクトルhに平行又は斜交し、互いに垂直ではないものとしている。
【0046】
散乱X線2(X線CTR散乱)は、回折X線3とX’軸を含む平面内を回折X線をほぼ中心として扇形に広がる。従って、散乱X線がX’軸に垂直かつZ軸に平行な平面と交わる図形は、その平面と回折X線が交わるピーク3pの上下方向(Z軸の上方及び下方)、即ち試料1表面の法線方向に伸びる線2U、2Lとなる。
【0047】
かかる散乱X線は、図1(b)を参照して、回折X線3のピーク3p位置に対して、ほぼ対称な強度プロフィルを有し、試料1の分極ベクトルPの方向及び大きさによりその強度プロフィルの対称性が変化する。
【0048】
図2は強誘電体の結晶構造斜視図であり、PZTの結晶構造とZr原子位置を表している。図2(a)及び図(b)は互いに分極方向が逆転したときのZr原子位置を表している。なお、図2に示すZr原子位置を、Ti原子も占有し同様に移動する。
【0049】
図2を参照して、PZTは正方晶系の結晶構造を有し、正方晶の格子点をPb原子が、その面心位置をO原子が占有している。そして、中心から少しC軸方向にずれた位置をZr又はTi原子が占有する。
【0050】
図2(a)を参照して、分極ベクトルPが+C軸方向(紙面の上方向)を向くとき、Zr又はTi原子は+C軸方向にずれた位置を占有する。逆に、図2(b)を参照して、分極ベクトルPが−C軸方向(紙面の下方向)を向くとき、Zr又はTi原子は−C軸方向にずれた位置を占有する。
【0051】
この分極ベクトルPの違いにより生ずるZr又はTi原子の占有位置の相違が、試料1表面近傍の2次元格子の構造を変化させ、2次元格子による散乱で生ずる散乱X線の強度プロフィルの対称性を変化させると本発明の発明者は考察している。
【0052】
以下本発明の実施形態について説明する。本発明の第1実施形態は、一対の点での強度差を測定して非対称性を算出する強誘電体の評価方法に関する。
【0053】
図3は本発明の第1実施形態試料断面図であり、評価に供された強誘電体キャパシタの層構造を表している。
【0054】
図3を参照して、試料の強誘電体キャパシタは、FeRAM(強誘電体メモリ)を備えた半導体装置の一部をなし、図示されていない半導体回路が表面に形成されているシリコン基板21上に、SiO2 膜22及びAl2 2 膜23を介して形成されている。このキャパシタは、Al2O3膜23上に形成されたPt下部電極24、強誘電体膜25、及び上部電極26の積層構造を有する。強誘電体膜25は、試料1表面に垂直にC軸が配向した((001)配向)厚さ150nmのPb(Zr0.5 Ti0.5 )O2 (PZT)膜からなる。なお、PZTの分極ベクトルPは(001)方位(C軸方位)に平行である。上部電極26は、厚さ100nmのIrO2 膜からなる。
【0055】
図4は本発明の第1実施形態強誘電体の評価装置構成図である。
【0056】
図4を参照して、評価装置は、X線光学系を構成するX線回折装置31と、X線回折装置31を制御プログラム33に従って制御して測定データを取得し、その測定データから強誘電体試料1を評価する制御装置32とから構成される。
【0057】
図5は本発明の第1実施形態光学系配置図であり、本第1実施形態で用いられたX線光学系の配置を概念的に表している。
【0058】
図5を参照して、強誘電体キャパシタからなる試料1は、その表面をXY面に平行に配置される。上述したように試料1の強誘電体は(001)配向をしているので、分極方向(分極ベクトルPの方向)は試料1表面の法線、即ちZ軸方向に平行である。
【0059】
入射X線4は、XZ面内を通り、試料1表面と入射角θをなす角度で入射される。そして、入射角θがブラッグ角を満たすとき、出射角θで回折X線3として反射される対称反射条件に配置される。従って、散乱X線2は、入射X線4の入射点からXZ面内に扇状に広がり、ZY面内では回折X線3のピーク3pを通りZ軸に平行な線2U、2Lとして観測される。
【0060】
なお図5中、ビーク3pの上側(Z軸の正方向)へ回折する散乱X線2を線2U、下側(Z軸の負方向)へ回折する散乱X線2を線2Lと表示している。また、説明を簡略にするため、本明細書では、線2Uへ向かう散乱X線2とピーク3pへ向かう回折X線3とのなす角αを分離角αと定義する。即ち、分離角αは、散乱X線2がピーク3pに一致するときα=0であり、線2U上の点に向かうときα>0、線2L上の点に向かうときα<0となる。
【0061】
図6は本発明の第1実施形態X線回折装置概念図であり、X線回折装置の構成の概要を表している。
【0062】
図6を参照して、X線回折装置31は通常の回折装置の機構と同様である。X線源10で発生したCuKα線は、(++)配置のモノクロメータ11及び第1スリットを通して単色な平行ビームからなる入射X線4とされ、試料1表面に入射する。試料1は、表面をZ軸に垂直に配置される。入射角θが試料1の結晶格子面、即ちPZTの(002)面とブラッグ条件を満たすとき、回折X線3が入射角θと等角度の出射角θで出射される。即ち、通常のX線回折法で用いられるθ−2θ法の配置と同じ配置である。3次元格子のブラッグ条件から外れる散乱X線2の強度プロフィルも、入射角と出射角とが等しいθ−2θ法により測定した。なお、PZTのC軸の格子定数は4.05オングストロームであり、波長1.54051オングストロームのCuKα線でのブラッグ角はほぼ22.35degである。
【0063】
次に、本第1実施形態の評価工程をフローチャートを参照して説明する。
【0064】
図7は本発明の第1実施形態制御装置の動作フローチャートである。図7を参照して、ステップS1〜S4は試料の評価工程を、ステップS11〜S14は基準非対称性を記憶部36へ保存する工程を示している。なお、ステップS1とステップS11、ステップS2とステップS12、及び、ステップS3とステップS13は、被測定試料が評価対象の試料1であるか標準試料であるかが相違するのみで他は同一工程なので、以下、両者を同時に説明し、必要に応じて試料1又は標準試料の別を記載する。
【0065】
ステップS1及びステップS11では、X線回折装置31及び試料(又は標準試料)を初期状態にセットする。まず、図6を参照して、試料1(又は標準試料)をY軸周りに(XZ面内で)回転して、入射角θがPZTの(002)面のブラッグ条件を満たすように配置して回折X線3を発生させる。そして、X線検知器14を2θまで回転させ、回折X線3のピーク3P位置を検出し、ピーク強度を測定する。
【0066】
次いで、ステップS2及びステップS12では、試料1(又は標準試料)から出射する散乱X線2の強度プロフィルを測定する。散乱X線2の強度プロフィルの測定は、試料1をY軸周りに交互に分離角±αずつ回転させ、ピーク3P位置の上下対称な分離角±α上に位置する一対の点における強度を測定する。このとき、θ−2θ法が適用されるように、検出器14を2θ±α回転した位置に移動する。さらに、複数の異なる分離角±αにおける強度を同様にして測定することで散乱Xの強度プロフィルが測定される。
【0067】
図8は本発明の第1実施形態散乱X線強度プロフィルであり、分極の大きさが異なる標準試料における強度プロフィルを表している。なお、図中分極比sは標準試料の分極域の面積比を表し、既述したように分極の大きさ=自発分極の大きさ×(2s−1)である。
【0068】
図8を参照して、s=1のとき、即ち分極ペクトルPが完全にZ軸の正方向を向いている標準試料と、s=0の時、即ち分極ペクトルPが完全にZ軸の正方向を向いている標準試料とを比較すると、散乱X線2の強度プロフィルは、負の分離角αではs=1の試料が大きく、正の分離角αではs=0の試料が大きい。なお、分極比s=1及び0の標準試料として、高電圧が印加されて十分に飽和した強誘電体キャパシタを用いた。
【0069】
図8には、散乱X線2の強度がs=0.75、s=0.50、s=0.25の場合について、計算により求めた強度プロフィルをも併せて表示した。これらの強度プロフィルは、散乱X線2の強度を分極比sの1次関数と近似し、実測値であるs=1及びs=0の強度を用いて1次関数を決定し、その関数を任意の分離角αに適用することで算出した。
【0070】
上記説明では図8の標準試料の強度プロフィルについて説明したが、同様にして、試料1の強度プロフィルもその分極比sに応じたプロフィルが測定される。
【0071】
次いで、ステップS3及びステップS13では、強度プロフィルから非対称性を算出する。再び図8を参照して、分離角αでの散乱X線強度I(α)及び分離角−αでの散乱X線強度I(−α)の差I(α)−I(−α)を和I(α)+I(−α)で規格化した値を非対称性とする。即ち
非対称性=(I(α)−I(−α))/(I(α)+I(−α)) (式1)
と表される。
【0072】
通常、散乱X線2の強度は、ブラッグ反射である回折X線3のピーク3P強度の1/100〜1/1000程度と非常に弱いので、非対称性を強度差I(α)−I(−α)のみとしたのでは、ノイズとなるバックグランドの変動により容易に変わる、精密に非対称性を決定することが難しい。規格化することで、バックグラウンドの影響を抑制して、非対称性を精密に算出することが容易になる。
【0073】
本第1実施形態では、上述した非対称性を分離角αの関数又はグラフとしたものを、新たな非対称性として用いた。
【0074】
なお、試料1の強度プロフィルからも同様にして式1で表される非対称性、あるいは新たな非対称性が算出される。
【0075】
図9は本発明の第1実施形態基準非対称性の説明図であり、図8から算出された基準非対称性を表している。図9を参照して、式1により算出される非対称性(基準非対称性)は、分離角α=0の0から、分離角αの増加とともに、s=1では単調に増加し、s=0では単調に減少している。その間の分極比sでは、分極比sが大きいほど、増加率が大きくなる。
【0076】
次いで、ステップ14では、図9に示す分極比s=1及びs=0のグラフを基準非対称として記憶部へ分極比sとともに記憶する。なお、記憶する基準非対称性と分極比sは、s=1及び0に対応するものに限られず、少なくとも既知の2つの分極比sについての基準非対称性であれば足りる。この場合、既述したように、基準非対称性は分極比sの1次関数と仮定することで、任意の分極比sにおける基準対称性を算出することができる。
【0077】
ステップS4では、評価手段35が、ステップS3で算出された試料1の散乱X線2の非対称性と、ステップ14で記憶された基準非対称性とを評価手段35を用いて比較し、その結果に基づき試料1の分極比sを算出する。
【0078】
図10は本発明の第1実施形態の非対称性の比較方法説明図であり、試料1の非対称性と基準対称性とを比較した結果を表している。なお、図中のイ、ロ及びハはそれぞれ3個の異なる試料1(イ)、試料1(ロ)及び試料1(ハ)について測定された強度プロフィルに基づき算出された非対称性を表している。
【0079】
評価手段35は、基準非対称性から分極比αでの非対称性を算出する手段と、2つの非対称性を対照する対照手段とを有する。そして,図10を参照して、まず、対照手段は、ステップS3により算出された試料1の非対称性を分離角αのグラフとして取得する。次いで、分極比αでの非対称性を算出する手段は、記憶部6から読み出した分極比s=1及びs=0に対応する2つの基準非対称性に基づき、任意の分極比sに対応する非対称性を算出する。対照手段は、この算出された分極比αに対応する非対称性と試料1のグラフとを比較する。ここで、非対称性が分極比sの1次関数であるとして任意の分極比sに対応する非対称性を算出した。また、グラフの比較は、各分離角αにおける非対称性の差分の2乗の総和が最小になる分極比sを例えばカットアンドトライにより求める。他に、非対称性を近似関数で近似し、最小2乗法により求めることもできる。
【0080】
その結果、試料1(イ)の非対称性は、基準非対称性から算出された分極比α=0.77の場合の非対称性に良く一致した。同様に、試料1(ロ)及び(ハ)の非対称性は、分極比α=0.54及びα=0.07の場合に良く一致する。これらから、試料1(イ)〜(ハ)の分極の大きさはそれぞれ、自発分極の大きさに(2α−1)、即ち0.54、0.08及び−0.86を乗じた値として算出された。なお、分極の方向は、分極方向の割合(分極域の面積の割合)を表す分極比αから直接知ることができる。このように、分極方向を含めて、分極の大きさをX線回折法を用いて評価することができる。
【0081】
上述した第1実施形態における非対称性として、一対の分離角±αにおける非対称性のみを用いることもできる。この場合、2点のみの強度測定で足り、また、計算量及び記憶量も少ないから、簡単な装置で迅速な評価ができる。さらに、非対称性を、一対の分離角αで測定された強度の差をそのまま用いることもできる。さらに、一定の範囲の分離角αにわたる積分強度を用いてもよい。
【0082】
なお、基準非対称性として、試料と同一材料からなる標準試料の測定値から算出することが望ましい。このとき、同一のミラー指数の結晶格子面から反射する回折X線近傍の散乱X線を用いることが望ましい。このようにすることで、強誘電体の種類及び観測する結晶格子面により、分極に対する非対称性の振る舞いが相違することに起因する誤差を回避することができる。
【0083】
上述した本明細書には以下の付記記載の発明が開示されている。
(付記1)強誘電体試料の表面にX線を入射する工程と、
前記試料の結晶格子面から回折される回折X線の近傍に、前記回折X線と交差し、前記試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線の強度を測定する工程と、
前記回折X線を対称中心とする前記散乱X線の強度の非対称性を算出する工程と、
前記非対称性に基づき、前記試料の分極方位および分極の大きさを評価する評価工程とを有することを特徴とする強誘電体の評価方法。
(付記2)前記結晶格子面は、前記分極方向と交差するように選択されることを特徴とする付記1記載の強誘電体の評価方法。
(付記3)前記回折X線から対称位置にある一対の点における前記散乱X線の強度差を、前記回折X線から異なる距離にある複数の前記一対の点について測定し、
前記散乱X線の強度差と前記回折X線からの距離との関係に基づき前記非対称性を算出することを特徴とする付記1又は2記載の強誘電体の評価方法。
(付記4)前記回折X線から対称位置にある一対の点における前記散乱X線の強度差を前記非対称性とすることを特徴とする付記1又は2記載の強誘電体の評価方法。
(付記5)前記一対の点における前記散乱X線の強度差に代えて、前記一対の点における前記散乱X線の強度差を前記一対の点における前記散乱X線の強度の和で規格化した規格化された非対称性を用いることを特徴とする付記3又は4記載の強誘電体の評価方法。
(付記6)分極方向及び分極の大きさが知られた前記強誘電体について測定された前記散乱X線の非対称性を、基準非対称性として保持する工程を有し、
前記評価工程は、前記試料について測定された前記非対称性を前記基準非対称性と比較して、前記試料の分極方位および分極の大きさを評価することを特徴とする付記1〜5の何れかに記載の強誘電体の評価方法。
(付記7)前記基準非対称性との比較は、前記基準非対称性が前記強誘電体の分極の大きさに比例して変化するとして算出された前記変化後の前記基準非対称性が、前記試料について測定された前記非対称性と一致するときの分極の大きさを算出し、算出された前記分極の大きさを前記試料の分極の大きさとして評価することを特徴とする付記6記載の強誘電体の評価方法。
(付記8)付記6記載の強誘電体の評価方法を用いて、前記強誘電体からなる誘電体膜の上下にそれぞれ上部電極及び下部電極が設けられた強誘電体キャパシタを備えた半導体装置を評価する半導体装置の評価方法において、
前記誘電体膜の前記非対称性を測定する工程と、
次いで、前記上部電極及び下部電極間に第1の電圧を印加して、前記誘電体膜を第1の方位に分極した第1の状態とし、前記第1の状態における第1の前記非対称性を測定する工程と、
次いで、前記上部電極及び下部電極間に前記第1の電圧と逆電圧の第2の電圧を印加して、前記誘電体膜を前記第1の状態と逆方向に分極した第2の状態とし、前記第2の状態における第2の前記非対称性を測定する工程と、
前記第1及び第2の非対称性を前記基準非対称性として前記誘電体膜の分極方位及び分極の大きさを評価することを特徴とする半導体装置の評価方法。
(付記9)強誘電体試料の表面にX線を入射するX線源と、
前記試料の結晶格子面から回折される回折X線の近傍に、前記回折X線と交差し、前記試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線の強度を測定する検出器と、
前記回折X線を対称中心とする前記散乱X線の強度の非対称性を算出する非対称性算出手段と、
極極性及び分極の大きさが予め知られた前記強誘電体について予め測定された前記非対称性を基準非対称性として保持する記憶部と、
前記試料について測定された前記非対称性を、前記記憶部から読み出された前記基準非対称性と比較して、前記試料の分極方位および分極の大きさを評価する評価手段とを有することを特徴とする強誘電体の評価装置。
(付記10)前記非対称性算出手段は、前記対称位置にある一対の点において測定された前記散乱X線の強度差を非対称性として算出することを特徴とする付記9記載の強誘電体の評価装置。
(付記11)前記非対称性算出手段は、前記対称位置にある一対の点において測定された前記散乱X線の強度差を、前記一対の点において測定された前記散乱X線の強度の和で規格化した規格化された非対称性を前記非対称性として用いることを特徴とする付記10記載の強誘電体の評価装置。
(付記12)前記非対称性算出手段は、前記回折X線からの距離が異なる複数の前記一対の点について測定された前記散乱X線強度から、前記規格化された非対称性と前記距離との関係を算出することを特徴とする付記10記載の強誘電体の評価装置。
(付記13)前記評価手段は、前記基準非対称性を前記強誘電体の分極の大きさに比例して変化させる手段と、前記変化後の前記基準非対称性が前記試料について測定された前記非対称性と一致する分極の大きさを算出する照合手段とを有することを特徴とする付記9〜13の何れかに記載の強誘電体の評価装置。
(付記14)前記記憶部は、分極の大きさが異なる複数の前記強誘電体についての前記基準非対称性を前記分極の大きさと関連付けて記憶し、
前記評価手段は、前記記憶部から読み出された前記基準非対称性が前記試料について測定された前記非対称性と一致するときの前記関連付けられた分極の大きさを、前記試料の分極の大きさとして評価することを特徴とする付記9〜13の何れかに記載の強誘電体の評価装置。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】試料表面と散乱X線の関係を説明する図
【図2】強誘電体の結晶構造斜視図
【図3】本発明の第1実施形態試料断面図
【図4】本発明の第1実施形態強誘電体の評価装置構成図
【図5】本発明の第1実施形態光学系配置図
【図6】本発明の第1実施形態X線回折装置概念図
【図7】本発明の第1実施形態制御装置の動作フローチャート
【図8】本発明の第1実施形態散乱X線強度プロフィル
【図9】本発明の第1実施形態基準非対称性の説明図
【図10】本発明の第1実施形態の非対称性の比較方法説明図
【符号の説明】
【0085】
1 試料
2 散乱X線
2L 底角側散乱X線
2U 高角側散乱X線
3 回折X線
3p ピーク
4 入射X線
10 X線源
11 モノクロメータ
12 第1スリット
13 第2スリット
14 検出器
21 基板
22 SiO2
23 Al2 2
24 下部電極
25 強誘電体膜
26 上部電極
31 X線回折装置
32 制御装置
33 制御プログラム
34 非対称正算出手段
35 評価手段
36 記憶部
h 逆格子ベクトル
P 分極ベクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電体試料の表面にX線を入射する工程と、
前記試料の結晶格子面から回折される回折X線の近傍に、前記回折X線と交差し、前記試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線の強度を測定する工程と、
前記回折X線を対称中心とする前記散乱X線の強度の非対称性を算出する工程と、
前記非対称性に基づき、前記試料の分極方位および分極の大きさを評価する評価工程とを有することを特徴とする強誘電体の評価方法。
【請求項2】
前記回折X線から対称位置にある一対の点における前記散乱X線の強度差を、前記回折X線から異なる距離にある複数の前記一対の点について測定し、
前記散乱X線の強度差と前記回折X線からの距離との関係に基づき前記非対称性を算出することを特徴とする請求項1記載の強誘電体の評価方法。
【請求項3】
前記回折X線から対称位置にある一対の点における前記散乱X線の強度差を前記非対称性とすることを特徴とする請求項1記載の強誘電体の評価方法。
【請求項4】
強誘電体試料の表面にX線を入射するX線源と、
前記試料の結晶格子面から回折される回折X線の近傍に、前記回折X線と交差し、前記試料表面の垂直方向に線状に伸びる散乱X線の強度を測定する検出器と、
前記回折X線を対称中心とする前記散乱X線の強度の非対称性を算出する非対称性算出手段と、
極極性及び分極の大きさが予め知られた前記強誘電体について予め測定された前記非対称性を基準非対称性として保持する記憶部と、
前記試料について測定された前記非対称性を、前記記憶部から読み出された前記基準非対称性と比較して、前記試料の分極方位および分極の大きさを評価する評価手段とを有することを特徴とする強誘電体の評価装置。
【請求項5】
前記非対称性算出手段は、前記対称位置にある一対の点において測定された前記散乱X線の強度差を非対称性として算出することを特徴とする請求項4記載の強誘電体の評価装置。
【請求項6】
前記非対称性算出手段は、前記対称位置にある一対の点において測定された前記散乱X線の強度差を、前記一対の点において測定された前記散乱X線の強度の和で規格化した規格化された非対称性を前記非対称性として用いることを特徴とする請求項5記載の強誘電体の評価装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−215985(P2008−215985A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52553(P2007−52553)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】