説明

強誘電体メモリ・デバイスの作製方法

【課題】タグ、ラベル又はパッケージの印刷プロセス、あるいは、パッケージング・プロセス自体に容易に採用できる再書き込み可能な不揮発性メモリ・デバイスを作製する簡易で安価な方法を提供する。
【解決手段】a)第1の印刷手段を用いて絶縁性基板上に第1の印刷インクで第1の電極層を印刷し、それによって第1の組の電極を形成するためと、b)第2の印刷手段を用いて第1の電極層上に第2の印刷インクでメモリ材料のパターニングされた、あるいは、パターニングされていない層を印刷し、c)第3の印刷手段を用いてメモリ層上に第3の印刷インクで第2の電極層を印刷し、それによって第2の組の電極を形成するための連続した工程を含み、それら単独又は組合せのいずれかで実行される作製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電体メモリ・デバイスの作製における方法に関するものであって、メモリ・デバイスは、強誘電体ポリマー薄膜のパターニングされた、あるいは、パターニングされていない層中に範囲を定められた強誘電体メモリ・セルのアレイと、それの反対側の強誘電体層に接触するように設けられた第1および第2の電極組とを含み、第1の組の1つの電極と第2の組の1つの電極との交差する場所でそれらの間のメモリ材料中に強誘電体メモリ・セルが定義され、それによってメモリ・セルに接触する電極に適切な電圧を供給することによってメモリ・セルの分極状態をセットでき、セットされた分極状態をスイッチおよび検出することができるようになっており、ここでメモリ・デバイスは、絶縁性基板上に設けられる。
【背景技術】
【0002】
過去数年間にわたって、情報を例えばパッケージ中に偽造防止タグとして、あるいは、識別タグとして記憶させることのできる安価で柔軟性のあるタグおよびラベルに対する需要が年々増加してきた。そのようなメモリ・デバイスの生産は、パッケージ印刷プロセス又はパッケージング・プロセスに安価かつ容易に組み入れられるものであって、複雑でなく安価な材料を用い、最小限のプロセス工程からなるものであるべきである。パッケージに使用するために重要なことは、メモリ・デバイスが比較的頑丈で、機械的衝撃、温度変化およびその他、環境からの影響に左右されにくいことである。数多くの応用のうちで、メモリ・デバイスに記憶される情報を電気的に書き込み、読み出し、消去しそして再書き込みできることが重要である。
【0003】
再書き込み可能で、長時間にわたって双安定的であることが証明された1つのタイプのメモリ・セルは、強誘電体メモリ材料をベースとするものである。強誘電体をベースとするメモリ・デバイスに関しては、大量の文献が存在するが、それらのほとんどがセラミック強誘電体膜および/又は半導体基板に関するものであり、それらは、高温処理工程を必要とし、また典型的には、ここで興味のある範囲の応用に対して余りに高くつくし、実用的でない。そのため、米国特許出願第2004/0,209,420A1号は、電極が金属製の強誘電体メモリ・セルを作製する方法について述べている。この方法は、高温および真空中での金属の蒸発に基づいている。更に、基板は、シリコン・ウエハに限られる。米国特許出願第2004/0,209,420A1号、国際公開出願第WO98/58383号および第WO02/43071号に開示された強誘電体メモリ・セルに関する生産プロセスは、すべて金属又はシリコン構造を取り付けるために蒸着およびエッチング法に依存しており、300℃から400℃の範囲の高温を必要とするため、ポリマーをベースとする、あるいは、紙をベースとする基板を溶融させたり、深刻な劣化をもたらしたりするため、それをパッケージングに適用することを不適当なものとしている。
【0004】
近年、メモリ物質としての有機材料、特に強誘電体ポリマーをベースとするメモリ構造およびデバイスが提案され、実証されてきた。本件に関連して特に重要なことは、柔軟な基板の上に構築できるものであり、また簡便で、大量生産プロセスにうまく適合するものである。典型的に、これは、純粋にパッシブなタグ又はデバイスに関することであって、アクティブな電子コンポネントは、メモリ構造それ自体の中で必要とされない。各メモリ・セルは、キャパシタ様の構造をしており、メモリ物質、例えば強誘電体ポリマーが一対の電極間に位置しており、メモリ・セルへのアクセスは、電極を電子式ドライバ又は検出回路にリンクする導体を介して行われる。後者は、例えば、メモリ・アレイの周辺又は別のモジュール上に位置する。応用に依存して、各タグ又はデバイスに含まれるメモリ・セルは、1個の個別的メモリ・セルからマトリクス・アレイに配置された数百万個のセルにまで及ぶ。ここで参照するいくつかの基本セル構造およびアレイ配置が図1−3に示されている。
【0005】
低コストのタグを大量に生産しなければならない応用において、決定的に重要なことは、製造の問題である。有機物をベースとするメモリ・デバイスに関する既存の文献のなかで、相互接続配線およびセル電極等の電気的構造を形成するための印刷技術について注目したものは、少ない。
【0006】
米国特許出願第2003/0,230,746A1号は、第1の側と第2の側とを有する第1の半導体ポリマー膜を含むメモリ・デバイスを開示している。ここで、前記第1の半導体ポリマー膜は、有機物ドーパント、前記第1の半導体ポリマー層の前記第1の側に接続され、互いに本質的に平行な第1の複数の電気導体および前記第1の複数の電気導体に対して本質的に直交し、前記第1の半導体ポリマー層の前記第2の側に接続され、互いに本質的に平行な第2の複数の電気導体を含み、電荷は、前記有機物ドーパント上に局在する。第1の複数の電気導体、すなわち、第1の伝導性パターンをインクジェット印刷できることが主張されているが、その他の印刷技術については、述べていない。更に、そこに述べられているメモリ・デバイスは、ドーパントを含む半導体ポリマー層を使用しており、ドーパントに局在する電荷を介して情報を書き込んでおり、メモリ・デバイスは、揮発性となっていて、もし電力を供給しなければ情報は、失われてしまう。
【0007】
国際公開特許出願第WO02/29706A1号は、電子式バー・コードを開示しており、それは、ポリマー印刷プロセスによって定義される電気的に読出し可能なコードを記憶するバー・コード回路と、バー・コード回路に接続されて、バー・コード・リーダがバー・コード回路に記憶されているコードにアクセスすることを許容するインタフェースとを含む。これは、印刷されたメモリであるが、印刷された電子回路は、強誘電体材料をベースとしていないし、再書き込み可能でもない。
【0008】
印刷法によって作製される有機エレクトロニクスは、多くの研究者および企業によって文献中で報告されている。大半のものが有機材料の半導体的性質を利用してデバイス機能を実現したデバイスについて述べている。すべてポリマーでできた電界効果トランジスタの印刷については、ガーニア等によって発表されている。[雑誌Scienceの第265巻、ページ1684−1686(1994年)に発表されたGarnier,F.,R.Hajlaoui,等著の論文「印刷技術によって実現されるすべてポリマーでできた電界効果トランジスタ(All−polymer field−effect transistor realized by printing techniques)]この論文で、彼らは、有機の伝導体および半導体材料の印刷によってどのように電界効果トランジスタが作製されるかについて述べている。更に、彼らは、そのようなデバイスがポリアニリン、ポリピロールおよびポリチオフェンなど異なる伝導体ポリマーを使用して作製できることを主張している。著者等は、「印刷技術を利用してポリマー材料から電界効果トランジスタが作製された。高い電流出力を示すデバイス特性は、曲げや捻りなど機械的な取扱に左右されない。この温和な技術で実現されるすべて有機物でできた柔軟なデバイスが、大面積、低コストの樹脂製エレクトロニクスへの道を開く」と書いている。この論文の中で、印刷に使用された技術は、従来の大量生産向けの印刷方法からかけ離れたものに見えるが、それでも材料は、マイクロエレクトロニクスの製造に一般的でない方法によって堆積されている。
【0009】
より確立された印刷方法の利用については、例えば、ヘブナー等によって報告されている。[雑誌Applied Physics Lettersの第72巻、第5号、ページ519−521(1998年)に発表されたHebner等による論文「有機発光デバイス用のドープされたポリマーのインクジェット印刷(Ink−jet printing of doped polymers for origanic light emitting devics)」]著者等は、「インクジェット印刷を利用して、パターニングされた発光性のドープされたポリマー膜を直接的に堆積した。クマリン6(C6)、クマリン47(C47)およびナイル・レッドの色素を添加したポリビニールカーバゾル(PVK)膜の発光は、スピン・コーティングによって堆積した同じ成分の膜のそれと類似していた。低いターン・オン電圧を有する発光ダイオードも、インクジェット印刷によって堆積したC6ドープのPVK中に作製できた」と主張している。40−70nmの厚さを持ち、150−200μmの範囲のサイズの特徴構造(features)を形成するために色素有機ポリマーが印刷された。報告された研究の中で、アクティブな発光層のみが印刷されて、金属電極は、物理的気相堆積によって堆積された。
【0010】
印刷法で作製されるその他のデバイスについては、「紙の上に印刷したすべて有機の電気化学的スマート・ピクセルをベースとするアクティブ・マトリクス・ディスプレイ(Active Matrix Displays Based on All−Organic Electrochemical Smart Pixels Printed on Paper)」と題する論文でアンデルッソン等によって報告されている。[雑誌Adv.Materialsの第14巻、第20号のページ1460−1464(2002年)に発表されたP.Andersson等著の「紙の上に印刷したすべて有機の電気化学的スマート・ピクセルをベースとするアクティブ・マトリクス・ディスプレイ(Active Matrix Displays Based on All−Organic Electrochemical Smart Pixels Printed on Paper)」]そこで著者等は、ディスプレイ要素のほかに、トランジスタおよび抵抗の両方を形成するために、伝導性ポリマー構造を印刷している。印刷された層は、加法印刷又は減法パターニングのいずれかによって形成したPEDOT:PSSである。
【0011】
PEDOT:PSSの印刷は、湿度センサ用のトランスデューサを作製するためにも利用された。それについては、ニルッソン等によって報告された。[雑誌Sensors and Actuatorsの第B86巻、ページ193−197(2002年)に発表されたNilsson等著の論文「新規な電気化学的トランスデューサの概念である紙の上に印刷した電気化学的センサをベースとするすべて有機のセンサ−トランジスタ(An all−organic sensor−transistor based on a novel electrochemical transducer concept printed electrochemical sensors on paper)」]
【0012】
電子デバイスの作製に印刷技術を利用する別の方法については、フアング等によって報告されている。[雑誌Langmuirの第13巻、ページ6480−6484(1997年)に発表されたZ.Huang等著の論文「印刷されたアルキルシロキサンの単分子層をテンプレートとするヒドロキシル終端面への伝導性ポリマーの選択的堆積(Selective deposition of conducting polymers on hydroxyl−terminated surfaces with printed monolayers of alkylsiloxanes as templates)」]導電性ポリマーのマイクロ構造を堆積させるためのテンプレートとして使用するために、自己組織化単分子層が印刷された。すなわち、導電性ポリマー自体は、印刷されていない。
【0013】
米国特許第6,686,211号(アサカワによるもので、セイコー・エプソン社に譲渡)は、1T−1Cタイプの強誘電体メモリ・デバイスを開示している。有機強誘電体薄膜と、強誘電体キャパシタの最上部電極との堆積にインクジェット印刷が利用されている。
【0014】
更に、米国特許出願第2004/0014247A1号(ナトリ等によるもので、セイコー・エプソン社に譲渡)は、パッシブ・マトリクス・アドレッシング可能強誘電体メモリ・アレイに関するもので、無機セラミックである強誘電体材料をインクジェット印刷で堆積させて、そのあとにパターニングすることができる。
【0015】
最後に、米国特許出願第2002/0142491A1号(シモダ等によるもので、セイコー・エプソン社に譲渡)は、FeRAMタイプの半導体メモリの作製の改良に関連しており、強誘電体メモリ材料と、強誘電体キャパシタの最上部電極とをインクジェット印刷によって印刷できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
強誘電体メモリの印刷に関連する従来技術は、インクジェット印刷による強誘電体材料に堆積に限られているように見うけられ、それによって強誘電体キャパシタの誘電体をその場で直ちに分離加工することが可能になる。いくつかのケースでは、強誘電体材料のインクジェット印刷をフォトリソグラフィおよびエッチング・プロセスによるパターニングと組み合わせることによって、強誘電体材料自体を印刷することのすべての特徴を等価的に無駄にしているものもある。いずれのケースでも、従来技術において開示されたような強誘電体メモリの作製において必要とされるそれぞれ堆積およびパターニングのための異なる方法は、製造コストを更に引き上げ、複雑化し、その上に大量生産ラインへの組込みを困難にしている。
【0017】
従って、タグ、ラベル又はパッケージの印刷プロセス、あるいは、パッケージング・プロセス自体に容易に採用できる再書き込み可能な不揮発性メモリ・デバイスを作製する簡易で安価な方法に対する需要が存在する。更に、情報を記憶するそのような簡便で安価な手段は、それ自身が環境に優しい形で廃棄が可能なものでなければならない。
【0018】
本発明の第一の目的は、それに限るわけではないがタグ、ラベルおよびパッケージング材料を強固な又は柔軟な形で含む一定の範囲の基板上に、伝導性材料および/又は有機メモリ材料、特に強誘電体ポリマーのパターニングされた薄膜を堆積させることによって、メモリ・デバイスを大量生産する低コストの方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、そのような堆積に適した材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的およびその他の特徴および利点は、発明に従う方法によって実現され、それは、a)第1の印刷インクを第1の印刷手段に供給し、第1の印刷手段を基板に適用して、その上に第1の電極層を印刷し、それによって第1の組の電極を形成すること、b)第2の印刷インクを第2の印刷手段に供給し、第2の印刷手段を第1の電極層に適用して、その上にメモリ材料のパターニングされた、あるいは、パターニングされていない層を印刷することおよびc)第3の印刷インクを第3の印刷手段に供給し、第3の印刷手段をメモリ層に適用して、その上に第2の電極手段を印刷するための連続した工程を含んでおり、それによって工程a)、b)およびc)のうちの1又は複数の工程における印刷が、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、電子写真印刷、ソフト・リソグラフィ、レーザ印刷又はワックス・ジェット印刷によって、それら単独又は組合せのいずれかで実行されることを特徴とする。
【0021】
これ以外の特徴および利点については、添付の従属項から明らかになろう。
【0022】
メモリ・デバイスのすべてのパターン又は層のために、1つの印刷プロセスを使用してもよいし、あるいは、2つ以上の異なるプロセスの組合せを用いてもよい。
【0023】
高速での印刷を可能にするために、すべての印刷されたパターン又は層の乾燥時間は、できる限り短くなければならない。従って、本発明の別の態様は、伝導性電極パターンおよび強誘電体ポリマー層又はパターンのために非常に短い時間で乾燥可能な印刷インクを使用することによって、高速でのメモリ・デバイス印刷を可能にすることである。更に、発展可能な工業的スケールでの印刷プロセスを提供するために、印刷される材料が満すべきいくつかの物理的および化学的要求が存在する。
【0024】
メモリ・デバイスは、パッケージング・プロセスの前又はあとでパッケージング材料の上に直接印刷される。あるいは、メモリ・デバイスは、ラベルやタグに印刷されて、それらがパッケージに貼付される。
【0025】
発明については、添付図面を参照しながら、例示的実施の形態および実施例の議論に関連してより詳細に以下説明する。
【0026】
本発明の詳細な議論を理解する上で関係あるいくつかの定義を次に示す。
【0027】
用語「サポート」は、本発明の開示において使用される場合、サポート上にコーティングされるが、それ自身で自立しない「層」とそれとを区別するように、「自立した材料」の意味で使用される。それは、またサポートの上に印刷された層やパターンへの接着を助けるために供給される層又は任意の必要な処理も含む。
【0028】
用語「パターン」は、本発明の開示において使用される場合、ライン、矩形、円又は任意の不定形な形状で構わない不連続な層を意味する。
【0029】
用語「層」は、本発明の開示において使用される場合、例えば、サポートと呼ばれる実体の全領域を覆うコーティングを意味する。
【0030】
用語「従来の印刷プロセス」は、本発明の開示において使用される場合、インクジェット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷およびサーマルおよびレーザ励起プロセスを含むがこれらに限らない。
【0031】
用語「伝導性ポリマー」は、本発明の開示において使用される場合、(ポリ)共役π電子系(例えば、二重結合、芳香又は複素芳香環又は三重結合)を有し、それの伝導特性が相対湿度などの雰囲気因子で左右されない有機ポリマーを意味する。
【0032】
用語「透明な」は、本発明の開示において使用される場合、入射光の少なくとも70%を拡散なしで透過させる性質を有することを意味する。
【0033】
用語「柔軟な」は、本発明の開示において使用される場合、例えばドラムのような曲がった物体の曲率に追随して、損傷を蒙ることなく変形できることを意味する。
【0034】
PEDOTは、本発明の開示において使用される場合、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を表す。
【0035】
PSSは、本発明の開示において使用される場合、ポリ(スチレン・スルホン酸)又はポリ(スチレン・スルホン酸塩)を表す。
【0036】
本発明の理解の手助けとするために、本発明の助けを受けた製造にうまく順応することから、特に関連の深い特定の代表的なメモリ・セル構造と構成について簡単な説明を与える。
【0037】
問題のメモリ・セルは、電気的に分極可能なメモリ物質の塊に接し、典型的に強誘電体ポリマーの形で、また典型的に、平行平板型のキャパシタ様構造をした一対の電極を含む。図1a参照。この簡単な構造は、各セルに付随して1又は複数のトランジスタやその他の半導体素子を必要とする伝統的なメモリ技術におけるメモリ・セルと非常に対照的であって、低コスト製造に対する影響は、劇的である。これ以降、上で引用した単純な構造に基づくメモリ・デバイスを「パッシブ・メモリ・デバイス」と呼ぶ。
【0038】
共通基板上に複数のメモリ・セルが隣り合わせて配置され、各セルは、図1aに示された一般的構造をしており、各セルに対する電気的アクセスは、2つの電極の各々にワイヤ接続することで行われる。応用に依存して、複数のメモリ・セルについての寸法、形状、空間分布および電気的な接続配置が変化する。いくつかの例について図1b−dに示した。図1bは、個別的セルのアレイを示しているが、それの各々は、2つの電極に対して1本のワイヤ接続を有する。更にワイヤに対する電気接続は、多様な形を取ることができ、例えば、共通基板上のコンタクト・パッドで終端することができる。図1cは、同様な配置を示しているが、配線の複雑さを減らすようにすべての底部電極が電気的に接続されている。図1dは、1つの変形型であって、複数のセルが各セル中の共通底部電極を形成する伝導性表面上に配置されており、各セルは、それ自身の、個々に電気接続された最上部電極を有する。この配置は、図1bのものより電極を接続することが少なくて済む点で、図1cに示されたものに似ている。
【0039】
この状況で基板は、柔軟であるのが普通であるが、常にそうであるとは限らない。それらは、電気的に絶縁性であって、例えば、1枚の紙、樹脂製フォイル、ガラス、ボード、カートン又はそれらの材料の任意のものを合成した材料の形をしている。あるいは、それらは、電気的に伝導性であって、例えば、電気的な短絡を回避するために、絶縁性コーティングを備えた金属フォイルの形をしている。与えられた基板上にアレイ配置されたメモリ・セルは、基板上の機械的に接触するパッドを介して外部回路から電気的にアクセスされる。あるいは、基板それ自体の中又は上にアクティブな電気回路を組み込むこともできる。もし基板が柔軟であれば、回路は、シリコン(アモルファス又は多結晶)又は有機材料(ポリマー又はオリゴマー)をベースとする薄膜半導体材料中に位置するのが一般的である。
【0040】
非常に多数のメモリ・セルが含まれるケースでは、図2a−bに示したようなメモリ・セルのマトリクス・アドレッシング可能アレイが、書込み、読出しおよび消去操作のために個々のセルに電気的にアクセスできる簡便でコンパクトな手段を提供する。このメモリ・デバイス構成は、アドレッシング操作においてメモリ・セルのオン・オフを切り替えるためのスイッチング・トランジスタが存在しないことから、パッシブ・マトリクス・デバイスと呼ばれる。基本的にこの種のメモリ・デバイスは、基板1上に位置して、強誘電体メモリ材料3、すなわち強誘電体ポリマーの広域層によって覆われた平行なストリップ状電極2の第1のパターンで形成され、それを覆って、同様な平行ストリップ状電極を含むが第1の電極パターンに対して直交する向きの別の電極パターン4が設けられて、それによって直交する電極マトリクスが構成されている。強誘電体メモリ材料は、また不連続な層として、すなわちパターンとしても取り付けられる。第1の電極パターンは、例えば、マトリクス・アドレッシング可能メモリ・デバイスのワード・ラインと見做すことができ、他方、第2の電極パターンは、それのビット・ラインと見做すことができる。ワード・ラインとビット・ラインの交差点において、メモリ材料の層中のマトリクスにメモリ・セル5が定義される。このように、メモリ・デバイスには、マトリクス中の電極の交差点の数に対応する複数個のメモリ・セルが含まれる。
【0041】
上で述べた基本構造の興味深い側面は、メモリ・アレイを互いに重ねる機会を提供することである。図3参照。これは、非常に高い体積当たりのデータ記憶密度が実現されること、および小さい容積の中、小さい床面積に大きいデータ記憶容量総量が実現できることを意味する。
【0042】
電極は、伝導性又は半導体材料であり、それは、一般に広範囲な物理的および化学的手段によって固相又は液相から取り付けることができる。伝導性および半導体材料は、懸濁させるか溶解させることによって、例えば、伝導性金属(例えば、銀ペースト)、伝導性金属合金、伝導性金属酸化物、カーボン・ブラック、半導体金属酸化物および真性伝導性有機ポリマー(例えば、ポリアニリン、PEDOT)をベースとするインクを形成できる。
【0043】
メモリ・セル中のメモリ材料は、典型的には、有機強誘電体材料、例えば、ポリビニリデン・フロライド(PVDF)のようなフッ素を含むポリマー又はポリ(ビニリデン・フロライド−トリフロロエチレン)(PVDF−TrFE)のようなコポリマーである。その他の例として、ポリビニリデン・シアン化物(PVCN)のような強く分極可能な末端基を備えたポリマーがある。材料の最適化は、コポリマー、ターポリマーおよび混合物(例えば、ポリメチルメタクリレートPMMAとの)を用いて行うことができる。
【0044】
本発明に従えば、両電極層、すなわち、それのパターニングされた電極構造は、強誘電体メモリ層と一緒に、本発明に従って従来の印刷プロセスで実現される。それらには、インクジェット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷およびサーマルおよびレーザ励起のプロセスが含まれるが、それらに限らない。メモリ・デバイス中のすべてのパターン又は層のためにいずれか1つの印刷プロセスを用いるか、あるいは、2つ以上の異なる印刷プロセスの組合せを使用することができる。
【0045】
印刷パターンの最小寸法は、選ばれた印刷プロセスによって制限されるが、それには、印刷された特徴構造の最小寸法と印刷された特徴構造間の最小寸法の両方と、パターンの整合をとった印刷(レジスタ印刷)時の印刷されたパターンの上での後続パターン又は層の位置決めとが含まれる。実際的な最小寸法は、また、情報を書き込み、読み出すための電子制御ユニットによっても決まる。情報の書込みおよび読出しは、メモリ・デバイスを、メモリ・セルの状態を駆動および検出するための適切な電子制御ユニットに接触させることで行われる。電子制御ユニット上でのメモリ・セルの位置決めを容易にするために、コンタクト・パッドは、十分に大きく、また電子制御ユニット上でのミス・アライメントを最小にするために十分な距離を離しておく必要がある。
【0046】
本発明に従うメモリ・デバイスの作製において、電極、相互接続用配線、パッド等に用いるために印刷される電気的に伝導性の材料は、印刷可能性を実現するための標準的な物理的および化学的要求と整合する必要がある。これは、各々のケースで選ばれた印刷プロセスに依存すべきであるが、一般にコスト、毒性等に関する事項のほか、レオロジー的特性、溶解度および濡れ特性を含む。乾燥性、特に、使用された溶剤の揮発性は、製造プロセス中で実現可能な速度に大いに影響するはずである。揮発性は、例えば、超低コストのタグやラベルの生産のような大量生産プロセスにおいて最も重要である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1a】単一メモリ・セルの一般的構造を示す図。
【図1b】アレイ状セルの実施例を示す図。
【図1c】アレイ状セルの実施例を示す図。
【図1d】アレイ状セルの実施例を示す図。
【図2a】パッシブ・マトリクス・アドレス指定セルのアレイを示す図。
【図2b】パッシブ・マトリクス・アドレス指定セルのアレイを示す図。
【図3】パッシブ・マトリクス・アドレス指定セルのスタック・アレイを示す図。
【実施例】
【0048】
ここで、本発明に従う好適な実施の形態のより詳細ないくつかの例を以下に示す。
(例1)
第1の実施の形態で、強誘電体メモリ・デバイス作製のための方法は、以下の作製工程を含む。
【0049】
メモリ・デバイスの層を搭載するように基板が用意される。200nmの直径を有するシリコン・ウエハが絶縁性ポリマー層によって覆われる。この実施の形態で、絶縁性のベース層は、有機溶剤液からのポリビニリデン・フロライド−トリフロロエチレン(PVDF−TrFE)のスピン・コーティングによって形成される。層厚は、対流式オーブンのなかで、120℃、20分間熱アニールされる。そのように形成された基板の上に、第1の電極層が堆積される。
【0050】
PEDOT−PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンサルフォネート)を水に懸濁させたものを含む伝導性ポリマー液がインクジェット印刷によって基板表面に堆積される。インクジェット印刷は、XaarjetABによって製造されたプリントヘッドで行われる。印刷解像度は、200dpiで、印刷速度は、0.1m/sである。最小特徴構造寸法170μmを有する底部電極パターンが形成される。印刷のあとで、底部電極層は、ホット・プレート上で100℃で2分間アニールされる。
【0051】
第1の電極層の上に、強誘電体ポリマー層が印刷される。ポリマーは、ポリビニリデン−トリフロロエチレン(PVDF−TrFE)のコポリマーである。それは、エチル乳酸塩に溶剤100ml当たり1.07gの濃度で溶解される。すべてのポリマーが溶解するまで溶液を攪拌する。次に溶液を0.45μmのポア・サイズのフィルタを通してろ過する。結果のポリマー溶液は、インクジェット印刷に適した10mPasの粘度を有する。ポリマー溶液は、第1の電極を搭載する基板上に印刷される。印刷のために、XaarjetABのインクジェット印刷ヘッドが使用される。印刷速度は、0.1m/sで、印刷解像度は、200dpiである。1つの層を印刷したあとで、溶剤を蒸発させるために、100℃で15秒間乾燥される。次に、第1の強誘電体ポリマーと同じ強誘電体ポリマーの第2の層が印刷され、同じ乾燥プロセスに再度晒される。この方法によって合計厚さ110nmが堆積された。
【0052】
そのように形成された強誘電体膜の上に、第2の電極層が堆積される。この層は、強誘電体デバイスの最上部電極層となる。
【0053】
水にPEDOT−PSSを懸濁させたものを含む伝導性ポリマー液が、インクジェット印刷によって基板表面上に堆積される。インクジェット印刷は、XaarjetABによって製造されたプリントヘッドで行われる。印刷解像度は、200dpiで、印刷速度は、0.1m/sである。最小特徴構造寸法170μmを有する底部電極パターンが形成される。印刷のあとで、底部電極層は、ホット・プレート上で100℃で2分間アニールされる。
【0054】
結果の強誘電体デバイスは、対流式オーブン中で120℃の温度で、20分間アニールされる。
【0055】
(例2)
第2の実施の形態では、最初の2つの層(底部電極および強誘電体メモリ層)が、例1に述べた方法に従って作製される。最上部電極層は、この実施の形態では、異なるインクジェット印刷方法によって堆積され、異なる伝導性ポリマー材料を含む。最上部電極を印刷するために、オフィス用インクジェット・プリンタ、HP deskjet980cxiが使用される。ここで、プリンタのオリジナル印刷インクは、伝導性ポリマー液で置き換えられている。この実施の形態で、伝導性ポリマー液は、Panipol−Wという名称でPanipol Oyから販売されている市販のポリアニリン製剤である。それは、ポリアニリンと、化合物材料に高い電気伝導度を与える対イオンとを含むが、それにも拘わらず溶液処理が可能である。最上部電極パターンが次のようなインク処方で印刷される。
−Panipol W(〜10%溶液)10g
−PSSH(5%溶液)5g
−界面活性剤 Zonyl(R) FS−300(30%溶液)0.4g
−脱イオン水15g
【0056】
印刷のあと、膜に対して乾燥プロセスが適用され、それは、対流式オーブン中で100℃で30分間行われる。印刷されたパターンは、直径0.5mmの最上部電極ドットを含む。
【0057】
(例3)
発明の第3の実施の形態では、フレキソ印刷によって強誘電体膜が堆積される。底部および最上部電極層は、上の例1で説明した方法によって作製された。底部電極プロセスのあとで、基板は、強誘電体ポリマーのメモリ材料を堆積する用意ができている。VDF:TrFEモノマーについてのモル比75:25のコポリマーであるポリビニリデン・フロライド−トリフロロエチレン(PVDF−TrFE)を含む強誘電体メモリ材料を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させる。
【0058】
溶解したコポリマーの濃度は、溶剤100ml当たり10gである。溶液は、すべてのポリマーが溶けるまで攪拌される。強誘電体材料を印刷するためにフレキソ・プルーフ・ツールが使用される。このツールは、RK Print Coat Instruments社から供給されるRK ESIPROOFハンドヘルド型ツールである。アニロックス・ローラを使用して、セルのサイズが9μmのウエット厚さに対応するように基板上にポリマー層が印刷される。アニロックス・ローラの上にポリマー液が供給されて、ドクター・ブレーディングのあとでそれを基板表面上に転がすときに、ラバー・ローラに転写される。粘りけのあるインクがアニロックス・ローラのドクター・ブレードの上に置かれて、それをA4の樹脂製透明シート上で転がすことによってロールを湿らせて、その直後に底部電極を搭載する基板の上で転がす。これによって、ラバー・ローラは、薄いポリマー膜を基板に転写する。出来上ったポリマー膜は、対流式オーブンのなかで、135℃で5分間アニールされる。最上部電極は、上で例1で述べた方法に従う。そのように形成されたデバイスは、印刷された強誘電体メモリ・デバイスを構成する。
【0059】
(例4)
第4の実施の形態で、強誘電体層は、スプレイ・コーティングによって堆積される。この実施の形態で最初の工程である底部電極の作製は、実施の形態1に述べた方法に従って行われる。そのプロセスのあとで、基板は、強誘電体ポリマーのメモリ材料を堆積する用意ができている。VDF:TrFEモノマーに関するモル比70:30を有するコポリマーであるポリビニリデン・フロライド−トリフロロエチレン(PVDF−TrFE)を含む強誘電体メモリ材料は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解される。溶解されるコポリマーの濃度は、溶剤100mlに対して1gである。溶液は、すべての固体ポリマーが溶けるまで攪拌される。次に、溶液は、0.45μmのポア・サイズを有するフィルタを通してろ過される。ポリマー液は、窒素動力のエア・ブラシのスプレイ・コーティング・ツール(「Clas Ohlsonのモデル30−6070」)を用いて底部電極の表面にスプレイされる。窒素圧力は、3バールにセットされる。コーティング・サイクルを反復することによって、薄い湿った層が得られ、それが次にホット・プレートの上で50℃で30秒間乾燥させられる。平均の乾燥した膜厚は、約650Åであり、最小−最大の範囲は、550−790Åである。溶剤から膜を完全に乾燥させて透明さを増やすために、出来上った構造は、対流式オーブン中で120℃の温度で20分間アニールされる。
【0060】
最上部電極は、上で実施の形態1で述べた方法に従う。そのように形成されたデバイスは、印刷された強誘電体メモリ・デバイスを構成する。
【0061】
(例5)
第5の実施の形態で、強誘電体層は、コーティング法によって堆積される。この実施の形態で最初の工程である底部電極の作製は、実施の形態1で述べた方法に従って行われる。そのプロセスのあとで、基板は、強誘電体ポリマーのメモリ材料を堆積する用意ができている。VDF:TrFEモノマーについてモル比70:30を有するコポリマーのポリビニリデン・フロライド−トリフロロエチレン(PVDF−TrFE)を含む強誘電体メモリ材料は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解される。溶解されるコポリマーの濃度は、溶剤100ml当たり5gである。溶液は、すべてのポリマーが溶けるまで攪拌される。次に溶液は、0.45μm又はそれ以下のポア・サイズを有するフィルタを通してろ過される。コーティング法によって基板表面上に薄いポリマー膜が形成される。コーティング法は、バーを利用し、その回りに薄いワイヤを巻いて、表面に広がる溶液の湿った状態の厚さを制御する。そのようなコーティング用のバーは、K Bar(R)の商標名でR.K.Print Coating社から市販されている。ポリマー液が基板表面に供給され、次にコーティング・バーを表面に沿ってスライドさせることによって液を前方に押して、バーのうしろに良く制御された均一な湿った状態の膜が残される。湿った状態の膜の厚さは、コーティング・バー上のワイヤの直径によって制御される。この実施の形態では、6cm/mの湿った状態の厚さのコーティング・バーが用いられる。コーティング・バーは、基板表面に沿って、およそ0.5m/sの速度で動かされる。結果のポリマー膜は、大気中で乾燥させられ、その後、対流式オーブンの中で、120℃の温度で20分間アニールされる。最上部電極は、上で実施の形態1で述べた方法に従う。そのように形成されたデバイスは、印刷された強誘電体メモリ・デバイスを構成する。
【0062】
当業者であれば容易に理解するように、本発明は、電極構造用のエッチングによるフォトマイクロ・リソグラフィとパターニングとの組合せに基づき、一方、有機強誘電体材料の薄膜は、通常、スピン・コーティングによって堆積される従来の方法から抜本的に異なるやり方で、特にパッシブ・マトリクス・アドレッシング可能強誘電体メモリ・デバイスを作製するための方法を提供する。この従来のプロセスにおいて、特に既に堆積されている有機強誘電体メモリ層の上に最上部電極を堆積およびパターニングすることは、特に最上部電極を設けるために用いられるプロセスによるメモリ層に対する有害な影響のせいでかなり難しいことが分かっている。本発明は、全体として印刷プロセスを用いてこの種の強誘電体メモリ・デバイスを実現することに基づいているため、プロセスと構造材との間の不適合が回避される。本発明に従って実行される印刷は、非常に柔軟な方法であり、広範囲の適切な材料を利用する機会を提供することが判明した。更に、印刷は、例えば電極層のような選ばれた層をパターニングできるように、大域的な層を堆積させるためにも等しく好適である。有利なことに、印刷は、大きいスケールでも小さいスケールでも適用可能であり、また連続的操作又は単一操作のいずれでも大面積のパターニングを提供できる。これは、類似の、大規模な大域的な層の応用と容易に組み合わせることができる。他方で、本発明は、小スケールの特徴構造を同時印刷することを許容し、従って、1回の同じ操作のなかで、小スケールの複数の強誘電体メモリ又は単一のメモリ回路のいずれかを大量生産するように適用可能である。このことから、あらゆる側面において、本発明に従う方法は、より従来的な今日の方法と比べて、より低コストで、はるかに簡略化された強誘電体メモリの作製を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電体パッシブ・メモリ・デバイスの作製における方法であって、メモリ・デバイスは、強誘電体ポリマーの薄膜のパターニングされた、あるいは、パターニングされていない層中に定義された強誘電体メモリ・セルのアレイと、強誘電体層の両面にそれぞれ接触するように設けられた第1および第2の電極組とを含み、第1の組の1つの電極と第2の組の1つの電極との交差する場所でそれらの間の強誘電体ポリマー中に強誘電体メモリ・セルが定義され、それによってメモリ・セルに接触する電極に適切な電圧を供給することによってメモリ・セルの分極状態をセットでき、セットされた分極状態をスイッチおよび検出することができるようになっており、メモリ・デバイスは、絶縁性基板上に設けられており、
本方法は、
a)第1の印刷手段を用いて絶縁性基板上に第1の印刷インクで第1の電極層を印刷し、それによって第1の組の電極を形成するためと、
b)第2の印刷手段を用いて第1の電極層上に第2の印刷インクでメモリ材料のパターニングされた、あるいは、パターニングされていない層を印刷し、
c)第3の印刷手段を用いてメモリ層上に第3の印刷インクで第2の電極層を印刷し、それによって第2の組の電極を形成するための連続した工程を含み、およびそれによって、工程a)、b)およびc)のうちの1又は複数の工程での印刷が、インクジェット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、電子写真印刷、ソフト・リソグラフィ、ワックス・ジェット印刷又は任意のサーマル又はレーザ励起の印刷プロセスによって、これら単独で又は組合せによって実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、工程a)からc)のうちの2つ以上で同じ印刷手段を使用することを特徴とする前記方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、工程a)からc)の各々において異なる印刷手段を使用することを特徴とする前記方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、第1と第3の印刷インクで同一の印刷インクを供給することを特徴とする前記方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、選ばれた印刷方法に従って印刷インクを選択することを特徴とする前記方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、印刷インクを印刷すべき表面又は印刷手段に、印刷手段を前記表面に供給する間に、あるいは、その前又は後で、供給することを特徴とし、その供給順序が選ばれた印刷方法に依存することを特徴とする前記方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、第1および第3の印刷インクが伝導性材料を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、伝導性材料として無機の伝導性材料を選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法であって、伝導性材料として伝導性の有機材料を選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、伝導性有機材料として伝導性ポリマーを選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
伝導性ポリマーとして、ポリピロール(PPy)、ポリピロール誘導体、ポリアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェンおよびポリチオフェン誘導体のうちの1つを個別に、あるいは、組み合わせて選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、ポリチオフェン誘導体としてポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、第2の印刷インクが有機の強誘電体材料を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、有機強誘電体材料としてオリゴマー、コポリマー、又はターポリマー、あるいは、それらの混合物又は合成物のうちの1つを選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、
有機強誘電体材料としてポリビニリデン・フロライドおよびトリフロロエチレン(P(VDF−TrFE))を選ぶことを特徴とする前記方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、
工程b)およびc)を少なくとも1回繰り返すことによって、第2の電極層が後続のメモリ層の第1の電極層を形成し、新しいメモリ層と新しい電極層を続けることによってスタック構造のメモリ・デバイスが実現されることを特徴とする前記方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法であって、
第1の印刷インクで第1の電極層を印刷するために、前記第1の印刷手段を絶縁性基板の完全に絶縁された部分に用いることを特徴とする前記方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−178566(P2012−178566A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54625(P2012−54625)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【分割の表示】特願2008−516771(P2008−516771)の分割
【原出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(508077274)シン フイルム エレクトロニクス エイエスエイ (10)
【Fターム(参考)】