強誘電体酸化物人工格子とその製造方法、及び超高密度情報保存媒体
【課題】情報保存容量の超高密度化及び長期的な情報保存が可能な強誘電体保存媒体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】相異なる分極特性を有する酸化物の単位原子層を積層して、積層(垂直)方向への特定イオンの規則的な配列を通して人工格子の単位構造(スーパーセル)の結晶構造及び対称性を調節することによって異方性(anisotropic)の大きなスーパーセルを形成する。スーパーセル自体が単一分極を有する一つのブロックとして垂直方向に上下2方向にのみ電気分極が発現されるようにし、かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる酸化物人工格子を製造する。酸化物人工格子が180°ドメイン構造のみを有するようにすることで、異方性の大きな単一の分域(ドメイン)をナノスケールに形成することができ、情報保存容量の超高密度化及び長期的な情報保存が可能となる。
【解決手段】相異なる分極特性を有する酸化物の単位原子層を積層して、積層(垂直)方向への特定イオンの規則的な配列を通して人工格子の単位構造(スーパーセル)の結晶構造及び対称性を調節することによって異方性(anisotropic)の大きなスーパーセルを形成する。スーパーセル自体が単一分極を有する一つのブロックとして垂直方向に上下2方向にのみ電気分極が発現されるようにし、かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる酸化物人工格子を製造する。酸化物人工格子が180°ドメイン構造のみを有するようにすることで、異方性の大きな単一の分域(ドメイン)をナノスケールに形成することができ、情報保存容量の超高密度化及び長期的な情報保存が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高密度情報保存装置用の強誘電体保存媒体及びその製造方法に関し、より詳しくは、相異なる分極特性を有する酸化物の単位原子層を積層し、積層(垂直)方向への特定イオンの規則的な配列を通して人工格子の単位構造(スーパーセル)の結晶構造及び対称性を調節することによって異方性の大きなスーパーセルを形成し、スーパーセル自体が単一分極を有する一つのブロックとして垂直方向に上下2方向にのみ電気分極が発現されるようにし、かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる酸化物人工格子を製造して酸化物人工格子が180°ドメイン構造のみを有するようにすることで、ナノスケールのドメインを形成させ探針型情報保存装置の情報保存密度を高めることができる強誘電体保存媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、知識情報資源が非常に重要視される知識基盤社会への転換と個人情報量の増加に伴い、情報保存装置に対する必要性が増大している。情報装置が要求される大容量情報保存装置、情報家電機器、個人携帯情報機器、デジタル映像機器などの分野の急速な発展と、それに対する需要の増加に伴い、超小型超高集積の非揮発性情報保存媒体の必要性がより一層増している。既存のハードディスクは、小型化が難しく、また熱エネルギーによるデータの不安定現象である超常磁性限界(superparamagnetic limit)により高集積が容易でなく、フラッシュメモリーは、現在のハードディスクの情報保存容量ほどの高集積は難しく、CDとDVDで代弁される光保存装置は、高集積度に伴う光の波長限界の克服が不可能なため、これらに対する代案として、最近多様な走査型探針(Scanning probe)情報保存装置とこれによる保存媒体が研究されている。走査型探針情報保存装置とは、原子間の力を利用した原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)と走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)のような走査型探針顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)を用いる装置を言う。
【0003】
走査型探針情報保存装置の情報を記録する媒体としては、熱記録方式のポリマー、磁気記録方式の強磁性体、相変化による電気伝導度(electric conductivity)変化方式の有機薄膜又は相変化物質、そして表面電荷の変化による静電気力方式の強誘電体媒体が研究されている。このような保存媒体に情報を記録/再生する方法には、走査探針を通して外部電気場を印加し、強誘電体又は強磁性体の電気/磁気分極の反転によりドメインを形成させる電磁気力を用いる方式と、保存媒体に探針を通して熱を加え、ポリマー表面ウェル状に変形させたり相転移をさせたりして電気伝導度を変化させる方式とがある。熱記録/再生方法は、低速動作、繰り返し書き込みの制限、及び消耗電力の高さなどの短所がある。また、電気伝導度変化方式は、保存媒体の酸化、及び媒体と探針の摩耗などの問題点がある。
【0004】
従って、かかる問題点及び短所を克服するための代表的なものとして、強誘電体保存媒体の利用が活発に研究されている。強誘電体保存媒体を用いた情報保存装置の書き込み原理は、下部電極が形成されている強誘電体媒体上に上部電極の代わりに導電性(conductivity)のある探針を接触させて電気的にキャパシター構造をなし、探針に外部電圧を印加することによって、強誘電体薄膜の電気分極が電気場方向に応じて変わる。従って、強誘電体薄膜の特定表面に探針を位置させ、そこに電圧を印加して強誘電体の電気分極を特定の方向に配列することによって、ドメイン(domain)を形成して情報を書き込むようになる。また、探針と下部電極との間に一定の周波数の交流電圧を印加すると、強誘電体の電気分極間の電気的な力により強誘電体薄膜は交流電圧によってその振幅が変化し、かかる振幅の変化が薄膜と探針との間に形成された微小な力を変化させ、この変化のサイズはドメインの方向によって変わる。従って、これを分析して情報を読み取ることができる。強誘電体薄膜を保存媒体として使用すると、情報の読み取り/書き込みが速くて消費電力は小さく、繰り返し書き込みが可能であるという利点がある。しかし、依然として、解決すべき多くの問題点が残っている。
【0005】
現在、多くの研究が進められている強誘電体物質は、ペロブスカイト系酸化物でABO3結晶構造を有しており、代表的物質としては、BaTiO3、(Pb,Zr)TiO3(PZT)、LiTaO3などがある。ABO3結晶構造のぺロブスカイト系酸化物は、電気分極が発現する前は等方性を有する立方晶(cubic)結晶構造であり、電気分極はイオンの微細変位によって上下・左右・前後の6つの方向に発現される。これによって、必然的に形成された電気分極間の方向が90°となる状態、即ち、90°ドメイン構造を有するようになる。かかる90°ドメイン構造は、90°ドメイン間に機械的ひずみを発生させ電気分極を不安定にするため、90°ドメイン構造を含む強誘電体保存媒体は、情報保存の単位となるビット或いはドメインのサイズのナノ化に難点があった。また、90°ドメイン構造を有すると、ひずみによりドメインの電気分極の長期安定性が低下し残留分極が次第に減少するため、長期的な情報保存能力が消失され、保存された情報を読み取る際に誤動作を引き起こし、強誘電体情報保存媒体の産業化に最も大きな障害物となるとされてきた。さらに、薄膜形態の保存媒体がナノスケール化されると、電気分極が消失される不安定性もある。
【0006】
最近、PZT薄膜をエピタキシャル成長(epitaxial growth)させて分極方向を一定に配向させ、最小20nmサイズのbitを生成して数十Gbit/cm2情報を保存することができると報告されている(Applied Physics Letters,P. Paruch et al.,Vol 79,530(2001))。しかし、PZT薄膜のエピタキシャル成長時に基板と薄膜との間の格子ひずみ(lattice strains)によって容易に90°ドメインを含むポリドメインが形成されてビット形成に困難が伴い、原子スケールの低い表面平坦度を有する薄膜を製造するための工程が要求され、依然として情報保存維持時間に問題点がある。
【0007】
かかる問題点を克服しようと、最近、日本のYasuo CHO等は、LiTaO3単結晶を用い、機械的研磨(Mechanical polishing)を通してナノスケール厚の薄板状に製造し、SNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscope)を用いて最小8nmサイズのビット(bit)を形成し、10Tbit/inch2程の情報保存能力を発表している(Applied Physics Letters,Yasuo Cho et al.,Vol 87,232907(2005))。しかし、単結晶媒体を非常に薄い板状に加工しなければならない難しい工程が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、酸化物人工格子の成長を通して上述した強誘電体薄膜の問題点を克服するために、原子単位厚さの酸化物人工格子の積層工程を進行して新しい概念の異方性を有する単位格子(スーパーセル)を形成することによって、電気分極の発生可能な方向を積層方向に上下2方向にのみ配向させ、かかる特性を有するスーパーセルブロックを繰り返し積層して生成した強誘電体薄膜を製造し、強誘電体薄膜が単一180゜ドメインのみを有する構造を形成することで、情報保存の単位となるドメインのサイズをナノスケール化し、情報保存の維持特性を大幅に向上させることができるだけでなく、優れた表面平坦度を通して情報の読み取り/書き込み速度を向上させることのできる、超高密度化のための強誘電体情報保存媒体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するための本発明は、既存の強誘電体PZT薄膜を、人為的にPbZrO3とPbTiO3などのような互いに異なる電気分極特性を有した誘電体物質を周期的に積層成長させた人工格子で代替し、既存のPZT薄膜と類似したサイズの電気分極量を有しながらエピタキシャル成長して優れた表面平坦度と単一180゜ドメイン構造のみを有する酸化物人工格子を形成したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、単結晶基板上に酸化物電極を蒸着し、上記電極上に強誘電体酸化物人工格子から構成された保存媒体を提供する。上記人工格子は単位格子厚さで蒸着がなされるが、相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の酸化物(強)誘電体物質を、一つの単位格子から数単位格子までの厚さ範囲内で電気分極を有するように特定配列で積層して異方性構造を有するようにし、自然界に存在しない新しい単位格子(スーパーセル)を定義/製造することによって、スーパーセルの電気分極が薄膜の垂直・上下の2方向にのみ存在するようにする。かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる非常に薄い薄膜を少なくとも1回以上繰り返し積層して、180゜ドメイン構造のみからなる一つの人工格子を形成する。
【0011】
この時、上記(強)誘電体物質は、原子単位層を周期的に積層した時、強誘電性を見せる誘電体物質であれば全て可能である。たとえ自発電気分極を有しない誘電体物質であっても、スーパーセルを構成して電気分極を有する強誘電体を作ることが可能なものが人工格子である。具体的に、上記(強)誘電体物質は、ぺロブスカイト構造を有するBaTiO3、SrTiO3、PbZrO3、PbTiO3、KNbO3、KTaO3、SrZrO3、及びCaTiO3の中から選択された何れか一つであることが望ましく、上記(強)誘電体物質の中でぺロブスカイト構造を有するPbZrO3とPbTiO3が更に望ましい。上記(強)誘電体物質からなるスーパーセル内の積層は、一つのぺロブスカイト単位格子層厚さから5個の単位格子層厚さまでの範囲内で設定されることが望ましいが、本発明で成し遂げようとする新しい概念のスーパーセル(人工格子の単位格子)は、スーパーセル内における各ペロブスカイト物質の積層厚さが数単位格子内で薄い場合は、人工的な新しい概念を有するスーパーセルとして適合し、スーパーセル内での積層厚さが厚くなれば、例えばPbTiO3とPbZrO3が各10個の単位格子層にまで厚くなれば、これから繰り返し成長して形成される物質は、酸化物人工格子でないPbTiO3/PbZrO3の多層酸化物薄膜と見做され、これは各々4nmの厚さを有する独立的なPbTiO3層とPbZrO3層の多層からなる薄膜といえる。酸化物人工格子はこのような相異なる独立酸化物層からなる多層酸化物ではなく、単位格子層の2次元成長技術を基にスーパーセル内に人為的に各イオンを配列させ、これを繰り返して得られた物質である。このように新しく定義されたスーパーセルを通して新しい機能を創出する本発明では、ナノスケールのドメインを有する強誘電体保存媒体を提供し、既存よりも高い物理的向上をなし得るというところに、既存の多層酸化物とは差別性がある。上記誘電体薄膜の製造工程は、パルスレーザー蒸着法、分子ビームエピタキシー法、化学気相蒸着法及び物理気相蒸着法の中から選択された何れか一つの方法で行うことができる。
【0012】
具体的に、上記パルスレーザー蒸着法を用いた誘電体薄膜の製造工程は次の通りである。1分当り10℃昇温させて蒸着時の蒸着温度を400℃〜600℃範囲内に設定する。酸素分圧は1mTorr〜300mTorr範囲内で設定された値に維持して、工程雰囲気を組成する。10rpm〜12rpm範囲内に設定された回転速度で基板を回転させる。レーザーソースとしてKrFガスを使用して、248nmの波長の長さを有し30nsのパルスを有するレーザーに対して、6mm×1mmのサイズを有するようにフォーカシングする。上記レーザーのパワー強度を2J/cm2に設定して、純度99.9%のPbZrO3とPbTiO3ターゲットを基板に入射させる。PbZrO3層は、7(pulse/1単位格子)〜9(pulse/1単位格子)範囲内に設定する。PbTiO3層は、6(pulse/1単位格子)〜8(pulse/1単位格子)範囲内に設定する。レーザーを1秒当り1パルスでターゲットに入射させて蒸着工程を進行する。PbZrO3とPbTiO3により人工格子が所定幅で形成されると、チェンバー内の酸素分圧を400Torrに維持しながらチェンバー内で1分当り8℃〜12℃の範囲内で決まった速度で温度を常温まで下降させる。
【発明の効果】
【0013】
以上で説明した通り、本発明による超高密度情報保存装置用の強誘電体保存媒体とその製造方法には、次のような効果がある。
【0014】
本発明は、強誘電体保存媒体として酸化物人工格子を導入するため、電気分極特性において積層方向に単一180°ドメインのみを有する保存媒体を作ることができ、90°ドメインによる機械的ひずみが発生せず結晶粒との相互作用がなくて、ドメインサイズをナノスケール化してナノスケールのビットの書き込み(情報保存)に優れ、情報保存装置の超高密度化をなすことができ、単一180°ドメイン構造によってドメインの長期安定性(retention)を確保し、長時間にわたる読み取りの信頼性を高め、長時間にわたる情報保存能力を有する超高密度情報保存装置のための強誘電体保存媒体として使用できる。また、平坦な表面を形成することによって、情報の読み取り/書き込み過程を高速で進行させることができ、探針の摩耗を防止して、長期間の繰り返し記録が可能であり、電気分極特性において長時間の耐久性を備え、高速で作動する超高密度情報保存装置のための強誘電体保存媒体として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施例について説明する。
図1は、本発明の強誘電体薄膜として、多層酸化物人工格子を形成するために使用したPLD(Pulsed laser deposition)装備を示した概略図である。図1を参照すると、PLD装備は、エキシマーレーザー10、減衰器20、フォーカシングレンズ30、下部電極が形成されたターゲット基板40、及びヒーター50から構成されている。レーザーソース(source)としては、KrFガスを用いて248nmの波長の長さを有し30nsのパルスを発生させる、ラムダフィジックス(Lambda Physics)社のCOMPEX205エキシマーレーザーを使用した。ターゲット60としては、純度99.9%のPbZrO3とPbTiO3ターゲットを使用した。上記減衰器20には、レーザーエネルギーを調節するためにシリカガラス(silica glass)を用いた。真空チェンバーに入射されたレーザーに対してターゲット基板40で6mm×1mmのサイズを有するようにフォーカシングレンズ30を調節し、レーザーのパワー強度(power density)は2J/cm2に設定した。
【0016】
ここで、パルスレーザー蒸着(Pulsed laser deposition;以下、PLDという)方法について簡単に見てみることにする。このPLD方法は、レーザーから出るパルスを光学レンズで集束(focusing)することにより、相当に大きい単位面積当りのエネルギーが得られることを活用した一種の熱プラズマ(thermal plasma)蒸着法である。真空チェンバー(vacuum chamber)内に入射され集束されたレーザーパルスが化学組成の合うターゲットに加えられると、ターゲットをなす物質がレーザー光を吸収して瞬間的な熱的蒸発(thermal evaporation)がなされ、これから発生するプラズマを用いて薄膜を蒸着するものである。発生するレーザーのパルスは一般的に数十ナノ秒(ns)以内の非常に短い時間のパルスを有する。1パルス間ターゲットが加熱され冷却する熱循環を経るが、この熱循環の間ターゲットをなす各元素が蒸発することによって、薄膜の蒸着が可能ということである。パルスレーザー蒸着法は、真空蒸着時に使われるガスが反応性か不活性かに関係なく膜蒸着が可能であり、短い時間内に多くの原子の生成が可能である長所がある。また、ターゲットが様々な組成を有していてもターゲットの組成と同じ薄膜の蒸着が可能で、融点の高い物質である場合にも物質自体がレーザーを強く吸収すると蒸着が可能であり、蒸着時にイオンを加えたり物質を加熱するヒーターや、プラズマ生成時の放電のための装置などがないので、高圧下でも薄膜の蒸着が可能という利点がある。反面、蒸着時にターゲットで多少大きい粒子が発生して薄膜の表面が多少粗くなることがあり、蒸着時の均一度が劣り均一な蒸着面積が多少少ないという短所がある。薄膜の蒸着時に影響を及ぼす因子としては、基板の温度、レーザーのパワー、レーザーの波長、レーザーのパルス周期、ガス分圧、及び基板とターゲットとの距離などがある。本実施例では、パルスレーザー蒸着法を用いて誘電体物質の蒸着がなされるが、分子ビームにエピタキシー法、化学気相蒸着法、物理気相蒸着法から選択された何れか一つの方法を用いることが可能である。
図2a〜図2cは、図1のPLD装備を用いて本発明の人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。図2aに示すように、MgO基板100をアセトン、メタノール、TCEでそれぞれ5分間超音波洗浄した後、窒素で乾燥させる。次に、乾燥された上記基板100を銀ペースト(silver paste)でヒーター40に付着させ乾燥させた後、パルスレーザー蒸着装備(PLD-248nm KrF excimer laser)を用いてMgO(100)単結晶基板100上に下部電極La(Sr,Co)O3(LSCO)層110を形成する。以後、図2b及び図2cに示すように、入射されたレーザーを回転するターゲットに加えて薄膜の蒸着がなされるが、二つのターゲットを同時に装着してそれぞれ任意の厚さを有するPTO(PbTiO3)層120とPZO(PbZrO3)層130を蒸着する。この時、回転するターゲット60の速度は11rpmである。また、蒸着時の蒸着温度は500℃にし、1分当りに10℃昇温させ、酸素分圧は100mTorrを維持する。PZO層とPTO層の蒸着速度は各々8pulse/1単位格子と7pulse/1単位格子であり、レーザーは1秒当り1パルスでターゲットに入射される。
【0017】
本発明で、PZO/PTO人工格子の周期は、PZO1/PTO1単位格子(PZO1/PTO1、1単位格子厚さ≒0.4nm)、PZO2/PTO2、PZO5/PTO5、PZO10/PTO10、PZO25/PTO25、PZO50/PTO50、PZO100/PTO100まで変化を与えた。ここでPZO1/PTO1単位格子とは、およそ0.4nmの厚さで、PZOとPTOを繰り返し蒸着したものを言う。ここで周期とは、PZOとPTOの単位格子を加えた値であり、自然界には存在しない新しい人工格子の格子定数を意味する。この場合、80nmの厚さに蒸着すると、PZOとPTOを各々100回ずつそれぞれ蒸着するようになり、こうして200個の層が形成されるようになる。従って、PZO10/PTO10の場合は、PZO層とPTO層からなる単位格子層を10回蒸着した結果物である。以後、PZOとPTOの人工格子の蒸着後、蒸着チェンバー内で1分当り15℃の速度で温度を常温まで下げ、この時のチェンバー内の酸素分圧は400Torrに維持した。ここで、人工格子の蒸着厚さ及び全体厚さは実施例に限定されるものではない。また、上記誘電体物質はぺロブスカイト構造を有するABO3酸化物に限定するものではない。上記結晶構造の他に互いに異なる構造を有する(強)誘電体を使用することができ、互いに異なる電気分極特性を有した誘電体物質を繰り返し積層して完成された一つの人工格子を形成し、人工格子が180°ドメイン構造を有して強誘電性を発現するようにすると、情報保存媒体としての使用が可能である。
【0018】
上述した過程により形成され、本実験で使用されたPbZrO3/PbTiO3人工格子は、図3に示すようにLBL(layer by layer)構造であり、Ti原子とZr原子が規則的に配列されている構造である。一般的なPb(Zr,Ti)O3(PZT)固溶体では、格子の中心にTi原子とZr原子が不規則的にランダムに配列されている構造であり、単位構造(unit cell)は等方性構造を有する立方晶(cubic)構造から微細に変形され電気分極が発現するようになる。このような場合、電気分極は上下・前後・左右の6方向に発現されることができ、90°ドメイン構造が発生する。一方、本発明で達成しようとするものは、図3に示すように、酸化物の単位原子層或いは単位格子層の厚さ単位で薄膜を形成することができる技術であって、Pb−O、Ti−O、Pb−O、Zr−O、再びPb−O層と、規則的な配列を有する単位構造を形成する。これをスーパーセルと呼び、Ti−O層とZr−O層が規則的に交互に形成されている。従って、Ti原子とZr原子が不規則的にランダムに配列されていた従来のPZTの単位構造(unit cell)が等方性を有するのとは違って、本発明で形成されたスーパーセルは必然的に異方性を有し、電気分極が上下2方向にのみ発生する。酸化物人工格子の単位構造であるスーパーセルがこのような特徴を有するようになり、単位構造であるスーパーセルの繰り返しにより形成された酸化物人工格子は、強誘電体の分極現象及びドメイン発現、サイズ、安全性に影響を及ぼす90°分域(ドメイン)が除去され、ただ180°ドメインのみからなるドメイン構造を有するようになる。180°ドメインは、90°ドメインとは異なって物質内部に応力を発生させないため、本発明により上記強誘電体保存媒体のドメインのナノスケール化及びドメインの長期安定性(retention)を成し遂げることができる。更に、電気分極を反転させることのできる電圧は、保存媒体上部で加えられ、異方性のスーパーセルの電気分極方向は基板に垂直な方向であるため、分極反転は垂直方向にのみなされ、このような分極反転が情報保存単位である"0"と"1"とになり、情報保存信号として使用される分極量の増大と、情報保存の超高密度化を成し遂げることとなる。
【0019】
本発明では、分極特性が互いに異なる(強)誘電体物質として、ペロブスカイト構造を有するPbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3などを、スーパーセルの構成に使用することができる。上記物質のうちの一部、例えばCaTiO3等は、自発的に電気分極を有しない遺伝物質であるが、スーパーセルの製造時に使用することができる。例えば、スーパーセル内にPbTiO3とCaTiO3を使用して人工格子を製造する際、PbTiO3とCaTiO3は分極特性が同じでないため、原子CaとPbを規則的に配列させると、スーパーセルは電気分極を有するようになる。即ち、それぞれのPbTiO3単一物質は電気分極を有し、CaTiO3単一物質は電気分極を有しないが、新しく作られるスーパーセルからなるPbTiO3/CaTiO3人工格子は、それぞれの単一物質とは異なる新しい物質となり、電気分極を有するようになる。
【0020】
本発明の実施例でのように、PbTiO3とPbZrO3を使用する人工格子の場合も、PbZrO3は反強誘電体であり、電気分極が物質内部で互いに反対方向へ配列されており、全体的に電気分極は同じではないが、人工格子内のスーパーセル格子内にTiとZrを規則的に配列させることによって電気分極を発生させ、更にこのような電気分極は異方性を有してドメインのナノスケール化及び長期安定性を獲得できる。本発明では、強誘電体保存媒体としての応用のためのまた一つの重要な要素である表面平坦度を向上させるために、各物質の単位格子層のみを基板上に均一な厚さに成長させる2次元成長技術を使用して人工格子を製造し、このような2次元成長を基に各酸化物の単位格子層を一層ずつ積層する時、原子等の位置を特定格子位置に配列させたスーパーセルを製造し、スーパーセルの繰り返しによって酸化物人工格子を製造する。
【0021】
製造された人工格子の結晶構造を確認するためにCu−Ka波長(λ=1.5405Å)のX線回折装置(XRD;x-ray diffractometry)を使用した。また、電気的な特性は、RT66A強誘電分極特性測定装備、及びLCR測定機(HP4194A Impedance Analyser)を使用して観察した。そして、人工格子の表面平坦度及びドメイン構造とナノスケールのビット形成のために、走査型探針顕微鏡(scanning probe microscope)方法を通して観察した。特に表面平坦度は、接触方式の原子間力顕微鏡(contact mode-atomic force microscopy)方法を用いて表面をスキャンして観察し、上記方法により探針に外部パルス又は直流電圧を印加して人工格子の電気分極の方向を特定方向に配列させデータを記録した。データを読み取る時は、探針が接触した状態で一定の交流電圧を印加し、薄膜に記録されたドメイン間の電気的な力により、薄膜で交流電圧に応じて振幅が変わるのを分析して電気分極方向を調べる、圧電応答方式の走査型探針顕微鏡(Piezoresponse force microscopy)方法を使用した。
【0022】
図4は、LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の蒸着厚さの変化によるXRDパターン結果を示したグラフである。図4は、同じ工程条件で蒸着するとともに、PZO/PTO人工格子の蒸着厚さを各々、PZO1/PTO1、PZO2/PTO2、PZO5/PTO5、PZO10/PTO10、PZO25/PTO25、PZO50/PTO50、PZO100/PTO100まで変化を与えて蒸着した結果である。ここで、グラフの横方向は、試料に入射されたX線と、PZO/PTO人工格子薄膜の結晶にぶつかって散乱(scattering)して出てきたX線とがなす角度(2θ)であり、グラフの縦方向は、散乱して出てきたX線の強度である。
【0023】
図4のグラフからわかるように、43°と48°付近で現れるピーク(peak)は、それぞれ基板であるMgOの方位性(200)と、下部電極LSCOの方位性(200)を示している。また、それぞれのPZO/PTO人工格子の薄膜は、MgO基板と同じ方向に積層成長していることがわかる。21.9°と44.5°付近に現れる二つのピークは、PZO層とPTO層のそれぞれの面間距離を平均的に示す主ピークであり、主ピークの両側に人工格子の特性を示す衛星ピーク等がある。蒸着厚さが人工格子の臨界厚さを超える周期を有するPZO25/PTO25以上の試片では、PZO層とPTO層の界面で整合を維持できず主ピークは消え、PZO50/PTO50とPZO100/PTO100の試片では、PZOとPTOのそれぞれの方向性を有する回折ピークを示す。PZO/PTO人工格子薄膜の回折パターンは、MgO単結晶基板上にc−軸方向にエピタキシャル成長した様子を見せ、人工格子の特徴を示す衛星ピークが観察される。従って、PZO/PTO人工格子が周期別に新しい概念のスーパーセル(supercell)を有する構造に形成されたことを示している。
【0024】
図5は、LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の積層周期の変化に対するP−E特性を示したグラフである。図5を参照すると、MgO基板上に蒸着されたLSCO−PZO/PTO人工格子−LSCOの試料にスパッタリングによって上部Pt電極を100nmの厚さに蒸着してから、イオン水に1%程の窒酸を添加した溶液で10秒間湿式エッチングした後、Polarization-Electric field(P−E)特性を、RT66A強誘電性測定器を使用して測定した。P−E曲線は、−5V〜+5Vの範囲で測定して得られた。図示するように、人工格子の臨界厚さ以下でP−E特性が履歴曲線の形態で表れるが、これは電気分極の反転による履歴特性であって、人工格子が強誘電性を示しており、外部電圧によって分極反転があり、0Vで上下の分極方向に沿って自発分極を有するため分極方向によって情報を保存することができ、外部電源が無くても情報が損失されない非揮発性の情報保存が可能であることを示している。図示するように、周期別に異なる特性が表れた。即ち、周期が減少しながら電気分極量が増加する傾向を示し、積層周期が非常に短いPZO1/PTO1とPZO2/PTO2で最も高い電気分極量を示している。このような結果は、積層周期が非常に短い人工格子は、一般的な多層薄膜構造とは異なり、各層への特定イオンの規則的な配列を通して新しく定義されたスーパーセルの形成による異方性構造を有し、電気分極が薄膜表面に上下の垂直方向に発現され、スーパーセルブロックの繰り返し積層からなる酸化物人工格子は、薄膜積層方向に180°ドメイン構造下で電気分極の反転を見せることを示すものである。このような高い分極値は、情報保存装置の強誘電体保存媒体として非常に良い特性である。
【0025】
図6は、PZO2/PTO2人工格子の表面を接触モード(contact mode)の原子間力顕微鏡(AFM)で観察したイメージである。図示するように、1.5μm×1.5μmの領域で、AFM探針のスキャン速度を2Hzにして測定した表面平坦度は0.4nm程で非常に優れており、人工格子の形成を通して平坦な表面を形成することによって、走査探針のスキャン速度を増加させ読み取り/書き込み速度を向上させることができ、探針の摩耗を防止できて、強誘電体薄膜の表面にナノスケールのドメインを形成するのに非常に有利である。
【0026】
図7乃至8は、強誘電体PbZr0.5Ti0.5O3(PZT)単一層及び上記PZO2/PTO2人工格子の平坦な表面に、AFM探針に外部電圧+10Vを印加しながら2μm×2μmの領域にかけてスキャンして電気分極の方向を一方向に配列した後、特定位置に外部パルス電圧を−4V乃至−10V範囲まで変化させながら印加すると同時に、印加時間を異にして、既に一方向に配列されている人工格子に対して電気分極を反対方向に反転させてビットを形成した後、PFM方式でドメインを観察したイメージである。図7に示すように、PZT単一膜の場合は、ドメインの発生と電気分極の反転が、薄膜の有する結晶粒の形態に依存するためドメインサイズの最小化に難しさがあり、結晶粒界の相互作用により分極反転速度が低くなって保存された情報を読み取る速度も低下し、ドメインの一部だけ反転されて読み取りの誤謬が発生し得る。反面、図8に示す本発明による人工格子は、ドメインの形態及び分極反転が結晶粒の形と関係なく原形になり、ドメインのサイズを容易にナノスケール化でき、均一な分極を有するドメインによって、分極反転時に速度の低下及び部分的な分極反転が起こらない、という長所がある。これは、単位面積の分極量を維持して情報の読み取り/書き込みの誤謬がない情報保存能力の高密度化、及び高速の読み取り/書き込みを可能にする。このような事実は、図8で示すように、人工格子は均一な分極を有するドメインサイズを、パルス電圧と時間によって12nmから130nmの範囲で調節することができ、ナノスケール化できることを示している。
【0027】
図9は、PZO2/PTO2人工格子に対して外部パルス−4Vを1ms間印加して、最小12nmサイズのドメインを形成させたイメージと、A−B線でドメインのサイズを測定したプロファイル(profile)である。このようなナノスケールのドメインの形成を通して数Tbit/inch2の情報を保存させることができる。
【0028】
上述した通り、本発明の一実施例では、PLD蒸着法によって、MgO単結晶基板上に下部電極としてLSCO酸化物電極が形成された後、PZO/PTO酸化物人工格子が蒸着される。このように成長した人工格子のエピタキシャル成長及び結晶性と人工格子構造の形成可否を、XRD分析を通して確認し、P−E特性曲線を通して人工格子の強誘電性を確認し、AFMを通して非常に平坦な表面を有していたということを確認した。そして、最小12nmサイズ程のドメインを形成することによって、数Tbit/inch2程の超高密度情報保存装置用の強誘電体媒体として酸化物人工格子が非常に適合することを確認した。
【0029】
上述した内容は本発明による一つの実施例を説明したものであり、本発明は上述した実施例に限定されず、以下の請求範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱しない限り、当該発明の属する分野にて通常の知識を有する者が変更実施可能な範囲までが、本発明の範囲に該当すると言えよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による強誘電体保存媒体である酸化物人工格子を形成するために使用したPLD装備を示した概略図である。
【図2a】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図2b】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図2c】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図3】本発明によるPbZrO3/PbTiO3人工格子の構造とその電気分極方向による情報保存の0と1を示した図である。
【図4】LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の蒸着周期変化によるXRDパターン結果を示したグラフである。
【図5】PZO/PTO人工格子の蒸着周期の変化に対する電気分極量(polarization)と電気場(electric field)の特性を示したグラフである。
【図6】2単位構造/2単位構造の積層周期を有するPZO/PTO人工格子の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したイメージである。
【図7】強誘電体PbZr0.5Ti0.5O3からなる単一膜の表面に走査型探針顕微鏡を用いてドメインを形成させて、情報を書き込んで読み取ったイメージである。
【図8】2単位構造/2単位構造の積層周期を有するPZO/PTO人工格子に走査型探針顕微鏡を用いてナノスケールのドメインを形成させて、情報を書き込んで読み取ったイメージである。
【図9】本発明において最小12nmサイズのドメインを形成させたイメージと、A−B線でドメインのサイズを測定したプロファイル(profile)である。
【符号の説明】
【0031】
10:エキシマー・レーザー発生器 20:減衰器
30:フォーカシングレンズ 40:基板
50:ヒーター 60:ターゲット
100:単結晶基板 110:酸化物電極
120:PTO層 130:PZO層
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高密度情報保存装置用の強誘電体保存媒体及びその製造方法に関し、より詳しくは、相異なる分極特性を有する酸化物の単位原子層を積層し、積層(垂直)方向への特定イオンの規則的な配列を通して人工格子の単位構造(スーパーセル)の結晶構造及び対称性を調節することによって異方性の大きなスーパーセルを形成し、スーパーセル自体が単一分極を有する一つのブロックとして垂直方向に上下2方向にのみ電気分極が発現されるようにし、かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる酸化物人工格子を製造して酸化物人工格子が180°ドメイン構造のみを有するようにすることで、ナノスケールのドメインを形成させ探針型情報保存装置の情報保存密度を高めることができる強誘電体保存媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、知識情報資源が非常に重要視される知識基盤社会への転換と個人情報量の増加に伴い、情報保存装置に対する必要性が増大している。情報装置が要求される大容量情報保存装置、情報家電機器、個人携帯情報機器、デジタル映像機器などの分野の急速な発展と、それに対する需要の増加に伴い、超小型超高集積の非揮発性情報保存媒体の必要性がより一層増している。既存のハードディスクは、小型化が難しく、また熱エネルギーによるデータの不安定現象である超常磁性限界(superparamagnetic limit)により高集積が容易でなく、フラッシュメモリーは、現在のハードディスクの情報保存容量ほどの高集積は難しく、CDとDVDで代弁される光保存装置は、高集積度に伴う光の波長限界の克服が不可能なため、これらに対する代案として、最近多様な走査型探針(Scanning probe)情報保存装置とこれによる保存媒体が研究されている。走査型探針情報保存装置とは、原子間の力を利用した原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)と走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)のような走査型探針顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)を用いる装置を言う。
【0003】
走査型探針情報保存装置の情報を記録する媒体としては、熱記録方式のポリマー、磁気記録方式の強磁性体、相変化による電気伝導度(electric conductivity)変化方式の有機薄膜又は相変化物質、そして表面電荷の変化による静電気力方式の強誘電体媒体が研究されている。このような保存媒体に情報を記録/再生する方法には、走査探針を通して外部電気場を印加し、強誘電体又は強磁性体の電気/磁気分極の反転によりドメインを形成させる電磁気力を用いる方式と、保存媒体に探針を通して熱を加え、ポリマー表面ウェル状に変形させたり相転移をさせたりして電気伝導度を変化させる方式とがある。熱記録/再生方法は、低速動作、繰り返し書き込みの制限、及び消耗電力の高さなどの短所がある。また、電気伝導度変化方式は、保存媒体の酸化、及び媒体と探針の摩耗などの問題点がある。
【0004】
従って、かかる問題点及び短所を克服するための代表的なものとして、強誘電体保存媒体の利用が活発に研究されている。強誘電体保存媒体を用いた情報保存装置の書き込み原理は、下部電極が形成されている強誘電体媒体上に上部電極の代わりに導電性(conductivity)のある探針を接触させて電気的にキャパシター構造をなし、探針に外部電圧を印加することによって、強誘電体薄膜の電気分極が電気場方向に応じて変わる。従って、強誘電体薄膜の特定表面に探針を位置させ、そこに電圧を印加して強誘電体の電気分極を特定の方向に配列することによって、ドメイン(domain)を形成して情報を書き込むようになる。また、探針と下部電極との間に一定の周波数の交流電圧を印加すると、強誘電体の電気分極間の電気的な力により強誘電体薄膜は交流電圧によってその振幅が変化し、かかる振幅の変化が薄膜と探針との間に形成された微小な力を変化させ、この変化のサイズはドメインの方向によって変わる。従って、これを分析して情報を読み取ることができる。強誘電体薄膜を保存媒体として使用すると、情報の読み取り/書き込みが速くて消費電力は小さく、繰り返し書き込みが可能であるという利点がある。しかし、依然として、解決すべき多くの問題点が残っている。
【0005】
現在、多くの研究が進められている強誘電体物質は、ペロブスカイト系酸化物でABO3結晶構造を有しており、代表的物質としては、BaTiO3、(Pb,Zr)TiO3(PZT)、LiTaO3などがある。ABO3結晶構造のぺロブスカイト系酸化物は、電気分極が発現する前は等方性を有する立方晶(cubic)結晶構造であり、電気分極はイオンの微細変位によって上下・左右・前後の6つの方向に発現される。これによって、必然的に形成された電気分極間の方向が90°となる状態、即ち、90°ドメイン構造を有するようになる。かかる90°ドメイン構造は、90°ドメイン間に機械的ひずみを発生させ電気分極を不安定にするため、90°ドメイン構造を含む強誘電体保存媒体は、情報保存の単位となるビット或いはドメインのサイズのナノ化に難点があった。また、90°ドメイン構造を有すると、ひずみによりドメインの電気分極の長期安定性が低下し残留分極が次第に減少するため、長期的な情報保存能力が消失され、保存された情報を読み取る際に誤動作を引き起こし、強誘電体情報保存媒体の産業化に最も大きな障害物となるとされてきた。さらに、薄膜形態の保存媒体がナノスケール化されると、電気分極が消失される不安定性もある。
【0006】
最近、PZT薄膜をエピタキシャル成長(epitaxial growth)させて分極方向を一定に配向させ、最小20nmサイズのbitを生成して数十Gbit/cm2情報を保存することができると報告されている(Applied Physics Letters,P. Paruch et al.,Vol 79,530(2001))。しかし、PZT薄膜のエピタキシャル成長時に基板と薄膜との間の格子ひずみ(lattice strains)によって容易に90°ドメインを含むポリドメインが形成されてビット形成に困難が伴い、原子スケールの低い表面平坦度を有する薄膜を製造するための工程が要求され、依然として情報保存維持時間に問題点がある。
【0007】
かかる問題点を克服しようと、最近、日本のYasuo CHO等は、LiTaO3単結晶を用い、機械的研磨(Mechanical polishing)を通してナノスケール厚の薄板状に製造し、SNDM(Scanning Nonlinear Dielectric Microscope)を用いて最小8nmサイズのビット(bit)を形成し、10Tbit/inch2程の情報保存能力を発表している(Applied Physics Letters,Yasuo Cho et al.,Vol 87,232907(2005))。しかし、単結晶媒体を非常に薄い板状に加工しなければならない難しい工程が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、酸化物人工格子の成長を通して上述した強誘電体薄膜の問題点を克服するために、原子単位厚さの酸化物人工格子の積層工程を進行して新しい概念の異方性を有する単位格子(スーパーセル)を形成することによって、電気分極の発生可能な方向を積層方向に上下2方向にのみ配向させ、かかる特性を有するスーパーセルブロックを繰り返し積層して生成した強誘電体薄膜を製造し、強誘電体薄膜が単一180゜ドメインのみを有する構造を形成することで、情報保存の単位となるドメインのサイズをナノスケール化し、情報保存の維持特性を大幅に向上させることができるだけでなく、優れた表面平坦度を通して情報の読み取り/書き込み速度を向上させることのできる、超高密度化のための強誘電体情報保存媒体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するための本発明は、既存の強誘電体PZT薄膜を、人為的にPbZrO3とPbTiO3などのような互いに異なる電気分極特性を有した誘電体物質を周期的に積層成長させた人工格子で代替し、既存のPZT薄膜と類似したサイズの電気分極量を有しながらエピタキシャル成長して優れた表面平坦度と単一180゜ドメイン構造のみを有する酸化物人工格子を形成したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、単結晶基板上に酸化物電極を蒸着し、上記電極上に強誘電体酸化物人工格子から構成された保存媒体を提供する。上記人工格子は単位格子厚さで蒸着がなされるが、相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の酸化物(強)誘電体物質を、一つの単位格子から数単位格子までの厚さ範囲内で電気分極を有するように特定配列で積層して異方性構造を有するようにし、自然界に存在しない新しい単位格子(スーパーセル)を定義/製造することによって、スーパーセルの電気分極が薄膜の垂直・上下の2方向にのみ存在するようにする。かかる特徴を有するスーパーセルブロックからなる非常に薄い薄膜を少なくとも1回以上繰り返し積層して、180゜ドメイン構造のみからなる一つの人工格子を形成する。
【0011】
この時、上記(強)誘電体物質は、原子単位層を周期的に積層した時、強誘電性を見せる誘電体物質であれば全て可能である。たとえ自発電気分極を有しない誘電体物質であっても、スーパーセルを構成して電気分極を有する強誘電体を作ることが可能なものが人工格子である。具体的に、上記(強)誘電体物質は、ぺロブスカイト構造を有するBaTiO3、SrTiO3、PbZrO3、PbTiO3、KNbO3、KTaO3、SrZrO3、及びCaTiO3の中から選択された何れか一つであることが望ましく、上記(強)誘電体物質の中でぺロブスカイト構造を有するPbZrO3とPbTiO3が更に望ましい。上記(強)誘電体物質からなるスーパーセル内の積層は、一つのぺロブスカイト単位格子層厚さから5個の単位格子層厚さまでの範囲内で設定されることが望ましいが、本発明で成し遂げようとする新しい概念のスーパーセル(人工格子の単位格子)は、スーパーセル内における各ペロブスカイト物質の積層厚さが数単位格子内で薄い場合は、人工的な新しい概念を有するスーパーセルとして適合し、スーパーセル内での積層厚さが厚くなれば、例えばPbTiO3とPbZrO3が各10個の単位格子層にまで厚くなれば、これから繰り返し成長して形成される物質は、酸化物人工格子でないPbTiO3/PbZrO3の多層酸化物薄膜と見做され、これは各々4nmの厚さを有する独立的なPbTiO3層とPbZrO3層の多層からなる薄膜といえる。酸化物人工格子はこのような相異なる独立酸化物層からなる多層酸化物ではなく、単位格子層の2次元成長技術を基にスーパーセル内に人為的に各イオンを配列させ、これを繰り返して得られた物質である。このように新しく定義されたスーパーセルを通して新しい機能を創出する本発明では、ナノスケールのドメインを有する強誘電体保存媒体を提供し、既存よりも高い物理的向上をなし得るというところに、既存の多層酸化物とは差別性がある。上記誘電体薄膜の製造工程は、パルスレーザー蒸着法、分子ビームエピタキシー法、化学気相蒸着法及び物理気相蒸着法の中から選択された何れか一つの方法で行うことができる。
【0012】
具体的に、上記パルスレーザー蒸着法を用いた誘電体薄膜の製造工程は次の通りである。1分当り10℃昇温させて蒸着時の蒸着温度を400℃〜600℃範囲内に設定する。酸素分圧は1mTorr〜300mTorr範囲内で設定された値に維持して、工程雰囲気を組成する。10rpm〜12rpm範囲内に設定された回転速度で基板を回転させる。レーザーソースとしてKrFガスを使用して、248nmの波長の長さを有し30nsのパルスを有するレーザーに対して、6mm×1mmのサイズを有するようにフォーカシングする。上記レーザーのパワー強度を2J/cm2に設定して、純度99.9%のPbZrO3とPbTiO3ターゲットを基板に入射させる。PbZrO3層は、7(pulse/1単位格子)〜9(pulse/1単位格子)範囲内に設定する。PbTiO3層は、6(pulse/1単位格子)〜8(pulse/1単位格子)範囲内に設定する。レーザーを1秒当り1パルスでターゲットに入射させて蒸着工程を進行する。PbZrO3とPbTiO3により人工格子が所定幅で形成されると、チェンバー内の酸素分圧を400Torrに維持しながらチェンバー内で1分当り8℃〜12℃の範囲内で決まった速度で温度を常温まで下降させる。
【発明の効果】
【0013】
以上で説明した通り、本発明による超高密度情報保存装置用の強誘電体保存媒体とその製造方法には、次のような効果がある。
【0014】
本発明は、強誘電体保存媒体として酸化物人工格子を導入するため、電気分極特性において積層方向に単一180°ドメインのみを有する保存媒体を作ることができ、90°ドメインによる機械的ひずみが発生せず結晶粒との相互作用がなくて、ドメインサイズをナノスケール化してナノスケールのビットの書き込み(情報保存)に優れ、情報保存装置の超高密度化をなすことができ、単一180°ドメイン構造によってドメインの長期安定性(retention)を確保し、長時間にわたる読み取りの信頼性を高め、長時間にわたる情報保存能力を有する超高密度情報保存装置のための強誘電体保存媒体として使用できる。また、平坦な表面を形成することによって、情報の読み取り/書き込み過程を高速で進行させることができ、探針の摩耗を防止して、長期間の繰り返し記録が可能であり、電気分極特性において長時間の耐久性を備え、高速で作動する超高密度情報保存装置のための強誘電体保存媒体として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施例について説明する。
図1は、本発明の強誘電体薄膜として、多層酸化物人工格子を形成するために使用したPLD(Pulsed laser deposition)装備を示した概略図である。図1を参照すると、PLD装備は、エキシマーレーザー10、減衰器20、フォーカシングレンズ30、下部電極が形成されたターゲット基板40、及びヒーター50から構成されている。レーザーソース(source)としては、KrFガスを用いて248nmの波長の長さを有し30nsのパルスを発生させる、ラムダフィジックス(Lambda Physics)社のCOMPEX205エキシマーレーザーを使用した。ターゲット60としては、純度99.9%のPbZrO3とPbTiO3ターゲットを使用した。上記減衰器20には、レーザーエネルギーを調節するためにシリカガラス(silica glass)を用いた。真空チェンバーに入射されたレーザーに対してターゲット基板40で6mm×1mmのサイズを有するようにフォーカシングレンズ30を調節し、レーザーのパワー強度(power density)は2J/cm2に設定した。
【0016】
ここで、パルスレーザー蒸着(Pulsed laser deposition;以下、PLDという)方法について簡単に見てみることにする。このPLD方法は、レーザーから出るパルスを光学レンズで集束(focusing)することにより、相当に大きい単位面積当りのエネルギーが得られることを活用した一種の熱プラズマ(thermal plasma)蒸着法である。真空チェンバー(vacuum chamber)内に入射され集束されたレーザーパルスが化学組成の合うターゲットに加えられると、ターゲットをなす物質がレーザー光を吸収して瞬間的な熱的蒸発(thermal evaporation)がなされ、これから発生するプラズマを用いて薄膜を蒸着するものである。発生するレーザーのパルスは一般的に数十ナノ秒(ns)以内の非常に短い時間のパルスを有する。1パルス間ターゲットが加熱され冷却する熱循環を経るが、この熱循環の間ターゲットをなす各元素が蒸発することによって、薄膜の蒸着が可能ということである。パルスレーザー蒸着法は、真空蒸着時に使われるガスが反応性か不活性かに関係なく膜蒸着が可能であり、短い時間内に多くの原子の生成が可能である長所がある。また、ターゲットが様々な組成を有していてもターゲットの組成と同じ薄膜の蒸着が可能で、融点の高い物質である場合にも物質自体がレーザーを強く吸収すると蒸着が可能であり、蒸着時にイオンを加えたり物質を加熱するヒーターや、プラズマ生成時の放電のための装置などがないので、高圧下でも薄膜の蒸着が可能という利点がある。反面、蒸着時にターゲットで多少大きい粒子が発生して薄膜の表面が多少粗くなることがあり、蒸着時の均一度が劣り均一な蒸着面積が多少少ないという短所がある。薄膜の蒸着時に影響を及ぼす因子としては、基板の温度、レーザーのパワー、レーザーの波長、レーザーのパルス周期、ガス分圧、及び基板とターゲットとの距離などがある。本実施例では、パルスレーザー蒸着法を用いて誘電体物質の蒸着がなされるが、分子ビームにエピタキシー法、化学気相蒸着法、物理気相蒸着法から選択された何れか一つの方法を用いることが可能である。
図2a〜図2cは、図1のPLD装備を用いて本発明の人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。図2aに示すように、MgO基板100をアセトン、メタノール、TCEでそれぞれ5分間超音波洗浄した後、窒素で乾燥させる。次に、乾燥された上記基板100を銀ペースト(silver paste)でヒーター40に付着させ乾燥させた後、パルスレーザー蒸着装備(PLD-248nm KrF excimer laser)を用いてMgO(100)単結晶基板100上に下部電極La(Sr,Co)O3(LSCO)層110を形成する。以後、図2b及び図2cに示すように、入射されたレーザーを回転するターゲットに加えて薄膜の蒸着がなされるが、二つのターゲットを同時に装着してそれぞれ任意の厚さを有するPTO(PbTiO3)層120とPZO(PbZrO3)層130を蒸着する。この時、回転するターゲット60の速度は11rpmである。また、蒸着時の蒸着温度は500℃にし、1分当りに10℃昇温させ、酸素分圧は100mTorrを維持する。PZO層とPTO層の蒸着速度は各々8pulse/1単位格子と7pulse/1単位格子であり、レーザーは1秒当り1パルスでターゲットに入射される。
【0017】
本発明で、PZO/PTO人工格子の周期は、PZO1/PTO1単位格子(PZO1/PTO1、1単位格子厚さ≒0.4nm)、PZO2/PTO2、PZO5/PTO5、PZO10/PTO10、PZO25/PTO25、PZO50/PTO50、PZO100/PTO100まで変化を与えた。ここでPZO1/PTO1単位格子とは、およそ0.4nmの厚さで、PZOとPTOを繰り返し蒸着したものを言う。ここで周期とは、PZOとPTOの単位格子を加えた値であり、自然界には存在しない新しい人工格子の格子定数を意味する。この場合、80nmの厚さに蒸着すると、PZOとPTOを各々100回ずつそれぞれ蒸着するようになり、こうして200個の層が形成されるようになる。従って、PZO10/PTO10の場合は、PZO層とPTO層からなる単位格子層を10回蒸着した結果物である。以後、PZOとPTOの人工格子の蒸着後、蒸着チェンバー内で1分当り15℃の速度で温度を常温まで下げ、この時のチェンバー内の酸素分圧は400Torrに維持した。ここで、人工格子の蒸着厚さ及び全体厚さは実施例に限定されるものではない。また、上記誘電体物質はぺロブスカイト構造を有するABO3酸化物に限定するものではない。上記結晶構造の他に互いに異なる構造を有する(強)誘電体を使用することができ、互いに異なる電気分極特性を有した誘電体物質を繰り返し積層して完成された一つの人工格子を形成し、人工格子が180°ドメイン構造を有して強誘電性を発現するようにすると、情報保存媒体としての使用が可能である。
【0018】
上述した過程により形成され、本実験で使用されたPbZrO3/PbTiO3人工格子は、図3に示すようにLBL(layer by layer)構造であり、Ti原子とZr原子が規則的に配列されている構造である。一般的なPb(Zr,Ti)O3(PZT)固溶体では、格子の中心にTi原子とZr原子が不規則的にランダムに配列されている構造であり、単位構造(unit cell)は等方性構造を有する立方晶(cubic)構造から微細に変形され電気分極が発現するようになる。このような場合、電気分極は上下・前後・左右の6方向に発現されることができ、90°ドメイン構造が発生する。一方、本発明で達成しようとするものは、図3に示すように、酸化物の単位原子層或いは単位格子層の厚さ単位で薄膜を形成することができる技術であって、Pb−O、Ti−O、Pb−O、Zr−O、再びPb−O層と、規則的な配列を有する単位構造を形成する。これをスーパーセルと呼び、Ti−O層とZr−O層が規則的に交互に形成されている。従って、Ti原子とZr原子が不規則的にランダムに配列されていた従来のPZTの単位構造(unit cell)が等方性を有するのとは違って、本発明で形成されたスーパーセルは必然的に異方性を有し、電気分極が上下2方向にのみ発生する。酸化物人工格子の単位構造であるスーパーセルがこのような特徴を有するようになり、単位構造であるスーパーセルの繰り返しにより形成された酸化物人工格子は、強誘電体の分極現象及びドメイン発現、サイズ、安全性に影響を及ぼす90°分域(ドメイン)が除去され、ただ180°ドメインのみからなるドメイン構造を有するようになる。180°ドメインは、90°ドメインとは異なって物質内部に応力を発生させないため、本発明により上記強誘電体保存媒体のドメインのナノスケール化及びドメインの長期安定性(retention)を成し遂げることができる。更に、電気分極を反転させることのできる電圧は、保存媒体上部で加えられ、異方性のスーパーセルの電気分極方向は基板に垂直な方向であるため、分極反転は垂直方向にのみなされ、このような分極反転が情報保存単位である"0"と"1"とになり、情報保存信号として使用される分極量の増大と、情報保存の超高密度化を成し遂げることとなる。
【0019】
本発明では、分極特性が互いに異なる(強)誘電体物質として、ペロブスカイト構造を有するPbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3などを、スーパーセルの構成に使用することができる。上記物質のうちの一部、例えばCaTiO3等は、自発的に電気分極を有しない遺伝物質であるが、スーパーセルの製造時に使用することができる。例えば、スーパーセル内にPbTiO3とCaTiO3を使用して人工格子を製造する際、PbTiO3とCaTiO3は分極特性が同じでないため、原子CaとPbを規則的に配列させると、スーパーセルは電気分極を有するようになる。即ち、それぞれのPbTiO3単一物質は電気分極を有し、CaTiO3単一物質は電気分極を有しないが、新しく作られるスーパーセルからなるPbTiO3/CaTiO3人工格子は、それぞれの単一物質とは異なる新しい物質となり、電気分極を有するようになる。
【0020】
本発明の実施例でのように、PbTiO3とPbZrO3を使用する人工格子の場合も、PbZrO3は反強誘電体であり、電気分極が物質内部で互いに反対方向へ配列されており、全体的に電気分極は同じではないが、人工格子内のスーパーセル格子内にTiとZrを規則的に配列させることによって電気分極を発生させ、更にこのような電気分極は異方性を有してドメインのナノスケール化及び長期安定性を獲得できる。本発明では、強誘電体保存媒体としての応用のためのまた一つの重要な要素である表面平坦度を向上させるために、各物質の単位格子層のみを基板上に均一な厚さに成長させる2次元成長技術を使用して人工格子を製造し、このような2次元成長を基に各酸化物の単位格子層を一層ずつ積層する時、原子等の位置を特定格子位置に配列させたスーパーセルを製造し、スーパーセルの繰り返しによって酸化物人工格子を製造する。
【0021】
製造された人工格子の結晶構造を確認するためにCu−Ka波長(λ=1.5405Å)のX線回折装置(XRD;x-ray diffractometry)を使用した。また、電気的な特性は、RT66A強誘電分極特性測定装備、及びLCR測定機(HP4194A Impedance Analyser)を使用して観察した。そして、人工格子の表面平坦度及びドメイン構造とナノスケールのビット形成のために、走査型探針顕微鏡(scanning probe microscope)方法を通して観察した。特に表面平坦度は、接触方式の原子間力顕微鏡(contact mode-atomic force microscopy)方法を用いて表面をスキャンして観察し、上記方法により探針に外部パルス又は直流電圧を印加して人工格子の電気分極の方向を特定方向に配列させデータを記録した。データを読み取る時は、探針が接触した状態で一定の交流電圧を印加し、薄膜に記録されたドメイン間の電気的な力により、薄膜で交流電圧に応じて振幅が変わるのを分析して電気分極方向を調べる、圧電応答方式の走査型探針顕微鏡(Piezoresponse force microscopy)方法を使用した。
【0022】
図4は、LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の蒸着厚さの変化によるXRDパターン結果を示したグラフである。図4は、同じ工程条件で蒸着するとともに、PZO/PTO人工格子の蒸着厚さを各々、PZO1/PTO1、PZO2/PTO2、PZO5/PTO5、PZO10/PTO10、PZO25/PTO25、PZO50/PTO50、PZO100/PTO100まで変化を与えて蒸着した結果である。ここで、グラフの横方向は、試料に入射されたX線と、PZO/PTO人工格子薄膜の結晶にぶつかって散乱(scattering)して出てきたX線とがなす角度(2θ)であり、グラフの縦方向は、散乱して出てきたX線の強度である。
【0023】
図4のグラフからわかるように、43°と48°付近で現れるピーク(peak)は、それぞれ基板であるMgOの方位性(200)と、下部電極LSCOの方位性(200)を示している。また、それぞれのPZO/PTO人工格子の薄膜は、MgO基板と同じ方向に積層成長していることがわかる。21.9°と44.5°付近に現れる二つのピークは、PZO層とPTO層のそれぞれの面間距離を平均的に示す主ピークであり、主ピークの両側に人工格子の特性を示す衛星ピーク等がある。蒸着厚さが人工格子の臨界厚さを超える周期を有するPZO25/PTO25以上の試片では、PZO層とPTO層の界面で整合を維持できず主ピークは消え、PZO50/PTO50とPZO100/PTO100の試片では、PZOとPTOのそれぞれの方向性を有する回折ピークを示す。PZO/PTO人工格子薄膜の回折パターンは、MgO単結晶基板上にc−軸方向にエピタキシャル成長した様子を見せ、人工格子の特徴を示す衛星ピークが観察される。従って、PZO/PTO人工格子が周期別に新しい概念のスーパーセル(supercell)を有する構造に形成されたことを示している。
【0024】
図5は、LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の積層周期の変化に対するP−E特性を示したグラフである。図5を参照すると、MgO基板上に蒸着されたLSCO−PZO/PTO人工格子−LSCOの試料にスパッタリングによって上部Pt電極を100nmの厚さに蒸着してから、イオン水に1%程の窒酸を添加した溶液で10秒間湿式エッチングした後、Polarization-Electric field(P−E)特性を、RT66A強誘電性測定器を使用して測定した。P−E曲線は、−5V〜+5Vの範囲で測定して得られた。図示するように、人工格子の臨界厚さ以下でP−E特性が履歴曲線の形態で表れるが、これは電気分極の反転による履歴特性であって、人工格子が強誘電性を示しており、外部電圧によって分極反転があり、0Vで上下の分極方向に沿って自発分極を有するため分極方向によって情報を保存することができ、外部電源が無くても情報が損失されない非揮発性の情報保存が可能であることを示している。図示するように、周期別に異なる特性が表れた。即ち、周期が減少しながら電気分極量が増加する傾向を示し、積層周期が非常に短いPZO1/PTO1とPZO2/PTO2で最も高い電気分極量を示している。このような結果は、積層周期が非常に短い人工格子は、一般的な多層薄膜構造とは異なり、各層への特定イオンの規則的な配列を通して新しく定義されたスーパーセルの形成による異方性構造を有し、電気分極が薄膜表面に上下の垂直方向に発現され、スーパーセルブロックの繰り返し積層からなる酸化物人工格子は、薄膜積層方向に180°ドメイン構造下で電気分極の反転を見せることを示すものである。このような高い分極値は、情報保存装置の強誘電体保存媒体として非常に良い特性である。
【0025】
図6は、PZO2/PTO2人工格子の表面を接触モード(contact mode)の原子間力顕微鏡(AFM)で観察したイメージである。図示するように、1.5μm×1.5μmの領域で、AFM探針のスキャン速度を2Hzにして測定した表面平坦度は0.4nm程で非常に優れており、人工格子の形成を通して平坦な表面を形成することによって、走査探針のスキャン速度を増加させ読み取り/書き込み速度を向上させることができ、探針の摩耗を防止できて、強誘電体薄膜の表面にナノスケールのドメインを形成するのに非常に有利である。
【0026】
図7乃至8は、強誘電体PbZr0.5Ti0.5O3(PZT)単一層及び上記PZO2/PTO2人工格子の平坦な表面に、AFM探針に外部電圧+10Vを印加しながら2μm×2μmの領域にかけてスキャンして電気分極の方向を一方向に配列した後、特定位置に外部パルス電圧を−4V乃至−10V範囲まで変化させながら印加すると同時に、印加時間を異にして、既に一方向に配列されている人工格子に対して電気分極を反対方向に反転させてビットを形成した後、PFM方式でドメインを観察したイメージである。図7に示すように、PZT単一膜の場合は、ドメインの発生と電気分極の反転が、薄膜の有する結晶粒の形態に依存するためドメインサイズの最小化に難しさがあり、結晶粒界の相互作用により分極反転速度が低くなって保存された情報を読み取る速度も低下し、ドメインの一部だけ反転されて読み取りの誤謬が発生し得る。反面、図8に示す本発明による人工格子は、ドメインの形態及び分極反転が結晶粒の形と関係なく原形になり、ドメインのサイズを容易にナノスケール化でき、均一な分極を有するドメインによって、分極反転時に速度の低下及び部分的な分極反転が起こらない、という長所がある。これは、単位面積の分極量を維持して情報の読み取り/書き込みの誤謬がない情報保存能力の高密度化、及び高速の読み取り/書き込みを可能にする。このような事実は、図8で示すように、人工格子は均一な分極を有するドメインサイズを、パルス電圧と時間によって12nmから130nmの範囲で調節することができ、ナノスケール化できることを示している。
【0027】
図9は、PZO2/PTO2人工格子に対して外部パルス−4Vを1ms間印加して、最小12nmサイズのドメインを形成させたイメージと、A−B線でドメインのサイズを測定したプロファイル(profile)である。このようなナノスケールのドメインの形成を通して数Tbit/inch2の情報を保存させることができる。
【0028】
上述した通り、本発明の一実施例では、PLD蒸着法によって、MgO単結晶基板上に下部電極としてLSCO酸化物電極が形成された後、PZO/PTO酸化物人工格子が蒸着される。このように成長した人工格子のエピタキシャル成長及び結晶性と人工格子構造の形成可否を、XRD分析を通して確認し、P−E特性曲線を通して人工格子の強誘電性を確認し、AFMを通して非常に平坦な表面を有していたということを確認した。そして、最小12nmサイズ程のドメインを形成することによって、数Tbit/inch2程の超高密度情報保存装置用の強誘電体媒体として酸化物人工格子が非常に適合することを確認した。
【0029】
上述した内容は本発明による一つの実施例を説明したものであり、本発明は上述した実施例に限定されず、以下の請求範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱しない限り、当該発明の属する分野にて通常の知識を有する者が変更実施可能な範囲までが、本発明の範囲に該当すると言えよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による強誘電体保存媒体である酸化物人工格子を形成するために使用したPLD装備を示した概略図である。
【図2a】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図2b】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図2c】本発明の酸化物人工格子を形成するための製造工程を段階別に示した断面図である。
【図3】本発明によるPbZrO3/PbTiO3人工格子の構造とその電気分極方向による情報保存の0と1を示した図である。
【図4】LSCO/MgO基板上に蒸着されたPZO/PTO人工格子の蒸着周期変化によるXRDパターン結果を示したグラフである。
【図5】PZO/PTO人工格子の蒸着周期の変化に対する電気分極量(polarization)と電気場(electric field)の特性を示したグラフである。
【図6】2単位構造/2単位構造の積層周期を有するPZO/PTO人工格子の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したイメージである。
【図7】強誘電体PbZr0.5Ti0.5O3からなる単一膜の表面に走査型探針顕微鏡を用いてドメインを形成させて、情報を書き込んで読み取ったイメージである。
【図8】2単位構造/2単位構造の積層周期を有するPZO/PTO人工格子に走査型探針顕微鏡を用いてナノスケールのドメインを形成させて、情報を書き込んで読み取ったイメージである。
【図9】本発明において最小12nmサイズのドメインを形成させたイメージと、A−B線でドメインのサイズを測定したプロファイル(profile)である。
【符号の説明】
【0031】
10:エキシマー・レーザー発生器 20:減衰器
30:フォーカシングレンズ 40:基板
50:ヒーター 60:ターゲット
100:単結晶基板 110:酸化物電極
120:PTO層 130:PZO層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の誘電体物質を単位格子単位で積層して、構成物質とは異なる異方性を有する単位構造を形成し、上記単位構造を繰り返し積層して形成されて、ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げるように構成された強誘電体酸化物人工格子。
【請求項2】
上記単位構造は基板に垂直で、基板の上下2方向にのみ電気分極を有し、これによる電気分極特性を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項3】
上記電気分極特性を有する単位構造からなり、基板に垂直な180°ドメイン構造のみを有することを特徴とする請求項2に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項4】
上記単位構造内の格子は、2個以上の誘電体物質構成原子が規則的に配列された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項5】
上記単位構造内の各誘電体物質の単位格子のサイズは、1単位格子乃至5単位格子の範囲を有し、上記単位構造のサイズは、積層垂直方向に10単位格子以内の範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項6】
上記誘電体物質は、PbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3の中から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項7】
単結晶基板;
上記基板上に形成された電極;
上記電極上に形成される請求項1乃至6のうち何れか一項による強誘電体酸化物人工格子;を含み、
ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げる超高密度情報保存媒体。
【請求項8】
相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の誘電体物質を単位格子単位で積層して、構成物質とは異なる異方性を有する単位構造を形成し、上記単位構造を繰り返し積層して、ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げるように構成された強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項9】
上記単位構造は基板に垂直で、基板の上下2方向にのみ電気分極を有し、これによる電気分極特性を有するように形成されることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項10】
上記電気分極特性を有する単位構造からなり、基板に垂直な180°ドメイン構造のみを有することを特徴とする請求項9に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項11】
上記単位構造内の格子には、2個以上の誘電体物質構成原子が規則的に配列されるようにすることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項12】
上記単位構造内の各誘電体物質の単位格子のサイズは、1単位格子乃至5単位格子の範囲を有し、上記単位構造のサイズは、積層垂直方向に10単位格子以内の範囲を有することを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項13】
上記誘電体物質は、PbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3の中から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項1】
相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の誘電体物質を単位格子単位で積層して、構成物質とは異なる異方性を有する単位構造を形成し、上記単位構造を繰り返し積層して形成されて、ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げるように構成された強誘電体酸化物人工格子。
【請求項2】
上記単位構造は基板に垂直で、基板の上下2方向にのみ電気分極を有し、これによる電気分極特性を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項3】
上記電気分極特性を有する単位構造からなり、基板に垂直な180°ドメイン構造のみを有することを特徴とする請求項2に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項4】
上記単位構造内の格子は、2個以上の誘電体物質構成原子が規則的に配列された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項5】
上記単位構造内の各誘電体物質の単位格子のサイズは、1単位格子乃至5単位格子の範囲を有し、上記単位構造のサイズは、積層垂直方向に10単位格子以内の範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項6】
上記誘電体物質は、PbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3の中から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体酸化物人工格子。
【請求項7】
単結晶基板;
上記基板上に形成された電極;
上記電極上に形成される請求項1乃至6のうち何れか一項による強誘電体酸化物人工格子;を含み、
ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げる超高密度情報保存媒体。
【請求項8】
相異なる分極特性を有する少なくとも2個以上の誘電体物質を単位格子単位で積層して、構成物質とは異なる異方性を有する単位構造を形成し、上記単位構造を繰り返し積層して、ドメインのナノスケール化及び長期安定性を成し遂げるように構成された強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項9】
上記単位構造は基板に垂直で、基板の上下2方向にのみ電気分極を有し、これによる電気分極特性を有するように形成されることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項10】
上記電気分極特性を有する単位構造からなり、基板に垂直な180°ドメイン構造のみを有することを特徴とする請求項9に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項11】
上記単位構造内の格子には、2個以上の誘電体物質構成原子が規則的に配列されるようにすることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項12】
上記単位構造内の各誘電体物質の単位格子のサイズは、1単位格子乃至5単位格子の範囲を有し、上記単位構造のサイズは、積層垂直方向に10単位格子以内の範囲を有することを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【請求項13】
上記誘電体物質は、PbTiO3、PbZrO3、BaTiO3、BaZrO3、SrTiO3、SrZrO3、KNbO3、KTaO3、CaTiO3、CaZrO3、BaSnO3、BaFeO3の中から選択された何れか一つであることを特徴とする請求項8に記載の強誘電体酸化物人工格子の製造方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−182368(P2007−182368A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318699(P2006−318699)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(506394418)スンキュンクワン ユニヴァーシティー ファウンデーション フォー コーポレイト コラボレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(506394418)スンキュンクワン ユニヴァーシティー ファウンデーション フォー コーポレイト コラボレイション (10)
【Fターム(参考)】
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