弾性波フィルタ装置
【課題】通過帯域内に阻止帯域を有する帯域阻止型の弾性波フィルタ装置であって、通過帯域における挿入損失が小さい弾性表面波フィルタ装置を提供する。
【解決手段】弾性波フィルタ装置1は、第1のインダクタL1と第2のインダクタL2との間において、互いに並列に電気的に接続されている第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2と、第1のインダクタL1と第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第1の並列腕弾性波共振子P1が設けられている第1の並列腕13aと、第2のインダクタL2と第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第2の並列腕弾性波共振子P2が設けられている第2の並列腕13bとを備えている。
【解決手段】弾性波フィルタ装置1は、第1のインダクタL1と第2のインダクタL2との間において、互いに並列に電気的に接続されている第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2と、第1のインダクタL1と第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第1の並列腕弾性波共振子P1が設けられている第1の並列腕13aと、第2のインダクタL2と第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第2の並列腕弾性波共振子P2が設けられている第2の並列腕13bとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ装置に関する。特に、本発明は、通過帯域内に阻止帯域を有する帯域阻止型の弾性波フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波デジタル放送が普及してきている。地上波デジタル放送では、1つのチャンネルは13のセグメントに分割されており、1つのチャンネル中央に配置された1つのセグメントが携帯電話機等のモバイル端末用として用いられている。この1つのセグメントを用いた放送が所謂ワンセグ放送である。ワンセグ放送の周波数帯域は、470MHz〜770MHzである。一方、携帯電話機の送信帯域としては、方式や通信会社によっても異なるが、例えば、824MHz〜830MHzや898MHz〜924MHzなどの帯域が用いられている。
【0003】
このように、通話の送信帯域がワンセグ放送の周波数帯域と近接している携帯電話機において、通話とワンセグ放送の受信と録画とを同時に行った場合、送信電波の影響により、ワンセグ放送の受信映像が乱れる虞がある。この受信映像の乱れを抑制する方法としては、ワンセグ放送の周波数帯域を含む通過帯域を有し、通過帯域内に携帯電話機の送信帯域と一致する阻止帯域を有する帯域阻止型のフィルタを用いる方法が考えられる。
【0004】
このような帯域阻止型フィルタの具体例としては、例えば、下記の特許文献1に開示されている帯域阻止型の弾性表面波フィルタが挙げられる。図13に特許文献1に記載されている帯域阻止型の弾性表面波フィルタの等価回路図を示す。
【0005】
図13に示すように、弾性表面波フィルタ100では、入力端101と出力端102とを電気的に接続している直列腕103において、複数のインダクタ104,105が直列に接続されている。直列腕103とグラウンド電位とは、複数の並列腕107a〜107dによって電気的に接続されている。各並列腕107a〜107dには、並列腕弾性表面波共振子108a〜108dが設けられている。
【0006】
弾性表面波フィルタ100では、並列腕弾性表面波共振子108a〜108cの共振点により824MHz〜830MHzの低域側の阻止帯域が形成されており、並列腕弾性表面波共振子108dの共振点により898〜924MHzの高域側の阻止帯域が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008/072439 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、弾性表面波フィルタ100では、通過帯域の低域側阻止帯域よりも低域側に位置する部分における挿入損失が大きいという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通過帯域内に阻止帯域を有する帯域阻止型の弾性波フィルタ装置であって、通過帯域における挿入損失が小さい弾性表面波フィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る弾性波フィルタ装置は、入力端と、出力端と、直列腕と、第1及び第2のインダクタと、第1及び第2の直列腕弾性波共振子と、第1の並列腕と、第2の並列腕とを備えている。直列腕は、入力端と出力端とを電気的に接続している。第1及び第2のインダクタは、直列腕において直列に接続されている。第1及び第2の直列腕弾性波共振子は、第1のインダクタと第2のインダクタとの間において、互いに並列に電気的に接続されている。第1の並列腕は、第1のインダクタと第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第1の並列腕には、第1の並列腕弾性波共振子が設けられている。第2の並列腕は、第2のインダクタと第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第2の並列腕には、第2の並列腕弾性波共振子が設けられている。
【0011】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のある特定の局面では、第1の直列腕弾性波共振子と第2の直列腕弾性波共振子とでは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なる。この構成によれば、阻止帯域と通過帯域との間の過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性を高めることができる。
【0012】
本発明に係る弾性波フィルタ装置の他の特定の局面では、第2のインダクタと出力端との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕を備えていない。この構成によれば、阻止帯域における減衰量をより大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る弾性波フィルタ装置の別の特定の局面では、第1のインダクタは、第2のインダクタよりも入力端側に設けられている。弾性波フィルタ装置は、第3及び第4の直列腕弾性波共振子と、第3の並列腕と、第4の並列腕とをさらに備えている。第3及び第4の直列腕弾性波共振子は、第1のインダクタと入力端との間において、並列に電気的に接続されている。第3の並列腕は、入力端と第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第3の並列腕には、第3の並列腕弾性波共振子が設けられている。第4の並列腕は、第1のインダクタと第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第4の並列腕には、第4の並列腕弾性波共振子が設けられている。この構成によれば、更に、阻止帯域における減衰特性を改善でき、通過帯域も広帯域化できる。
【0014】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子と第1及び第2の並列腕弾性波共振子とのそれぞれは、圧電基板と、圧電基板の上に形成されているIDT電極とを備えている。圧電基板は、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板により構成されている。この構成によれば、通過帯域内にリップルが発生することを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらにまた他の特定の局面では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子のIDT電極のうちの少なくとも一つのIDT電極のデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にある。この構成によれば、通過帯域内において、阻止帯域より低域側に発生するレイリー波に起因するリップルを低減することができる。
【0016】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらにまた別の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置である。
【0017】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のまたさらに他の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタ装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子が並列に電気的に接続されている。このため、第1及び第2の直列腕弾性波共振子の電気抵抗を小さくすることができる。従って、通過帯域における挿入損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の略図的側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における弾性表面波チップの略図的透視図である。
【図4】本発明の一実施形態における弾性表面波チップの一部分を拡大した模式的平面図である。
【図5】実施例1に係る弾性表面波フィルタ装置と、比較例に係る弾性表面波フィルタ装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図5において、実線が、実施例1に係る弾性表面波フィルタ装置の挿入損失特性を表し、破線が、比較例に係る弾性表面波フィルタ装置の挿入損失特性を表している。
【図6】比較例に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。
【図7】比較例における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した模式的平面図である。
【図8】実施例2に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図8において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例2における挿入損失特性を表している。
【図9】実施例3に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図9において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例3における挿入損失特性を表している。
【図10】実施例4に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図10において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例4における挿入損失特性を表している。
【図11】変形例1における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【図12】変形例2における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【図13】特許文献1に記載の帯域阻止型の弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置1を例に挙げて説明する。但し、弾性表面波フィルタ装置1は単なる例示である。本発明に係る弾性波フィルタ装置は、弾性表面波フィルタ装置1に何ら限定されない。
【0021】
本実施形態の弾性表面波フィルタ装置1は、470MHz〜770MHzの周波数帯域を含む広い通過帯域と、通過帯域内に824MHz〜830MHzの低域側阻止帯域と、898MHz〜924MHzの高域側阻止帯域とを有するダブルトラップ型の弾性表面波フィルタ装置である。
【0022】
図1は、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。まず、この図1を参照しながら、弾性表面波フィルタ装置1の回路構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、弾性表面波フィルタ装置1は、入力端10と出力端11とを備えている。入力端10と出力端11とは、直列腕12によって電気的に接続されている。直列腕12には、複数のインダクタL1〜L3が直列に接続されている。本実施形態では、第3のインダクタL3が入力端10に直接接続されている。第2のインダクタL2が出力端11に直接接続されている。第1のインダクタL1は、第2のインダクタL2と第3のインダクタL3との間に接続されている。
【0024】
直列腕12において、第1のインダクタL1と第2のインダクタL2との間には、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2が電気的に接続されている。第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2は、互いに並列に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1の直列腕弾性表面波共振子S1と第2の直列腕弾性表面波共振子S2とは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なるように設計されている。
【0025】
一方、直列腕12において、第1のインダクタL1と第3のインダクタL3との間には、第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4が電気的に接続されている。第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4は、互いに並列に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第3の直列腕弾性表面波共振子S3と第4の直列腕弾性表面波共振子S4とは、共振周波数及び反共振周波数が互いに等しくなるように設計されている。
【0026】
第1のインダクタL1と第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2との間の接続点12aと、グラウンド電位とは、第1の並列腕13aにより電気的に接続されている。第1の並列腕13aには、第1の並列腕弾性表面波共振子P1が設けられている。
【0027】
第2のインダクタL2と第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2との間の接続点12bと、グラウンド電位とは、第2の並列腕13bにより電気的に接続されている。第2の並列腕13bには、第2の並列腕弾性表面波共振子P2が設けられている。
【0028】
第3のインダクタL3と第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4との間の接続点12cと、グラウンド電位とは、第3の並列腕13cにより電気的に接続されている。第3の並列腕13cには、第3の並列腕弾性表面波共振子P3が設けられている。
【0029】
第1のインダクタL1と第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4との間の接続点12dと、グラウンド電位とは、第4の並列腕13dにより電気的に接続されている。第4の並列腕13dには、第4の並列腕弾性表面波共振子P4が設けられている。
【0030】
本実施形態では、上述のように、出力端11には第2のインダクタL2が直接接続されており、第2のインダクタL2と出力端11との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕は設けられていない。
【0031】
図2は、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の略図的側面図である。図3は、本実施形態における弾性表面波チップの略図的透視図である。図4は、本実施形態における弾性表面波チップの一部分を拡大した模式的平面図である。なお、図3においては、共振子を、内部にXを附した矩形で略図的に記載している。
【0032】
次に、図2〜図4を主として参照しながら、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置1の物理的構成について説明する。
【0033】
図2に示すように、弾性表面波フィルタ装置1は、配線基板20を備えている。配線基板20の上には、バンプ21を介して弾性表面波チップ22がフリップチップ実装されている。弾性表面波チップ22は、配線基板20の上に形成されている樹脂層25によって封止されている。
【0034】
配線基板20は、例えば、高温焼成セラミック多層基板(HTCC:High Temperature Co−fired Ceramic)などにより構成することができる。本実施形態では、この配線基板20内に形成されている配線20aなどによって、図1に示すインダクタL1〜L3が形成されている。なお、インダクタL1〜L3は、例えばチップインダクタなどにより構成されていてもよい。
【0035】
図3に示すように、弾性表面波チップ22は、圧電基板23と、圧電基板23の上に形成されている電極24とを備えている。本実施形態では、この圧電基板23と電極24とによって、第1〜第4の直列腕弾性表面波共振子S1〜S4、第1〜第4の並列腕弾性表面波共振子P1〜P4や配線などが構成されている。具体的には、図4に示すように、電極24には、互いに間挿し合う一対のくし歯状電極により構成されているIDT電極24aが含まれる。第1〜第4の直列腕弾性表面波共振子S1〜S4、第1〜第4の並列腕弾性表面波共振子P1〜P4のそれぞれは、このIDT電極24aと圧電基板23とによって構成されている。
【0036】
圧電基板23は、特に限定されないが、例えば、水晶、LiTaO3基板や、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板などのLiNbO3基板により構成することができる。
【0037】
電極24は、例えば、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた金属、もしくは、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた一種以上の金属を含む合金により形成することができる。また、電極24は、例えば上記金属や合金からなる複数の導電層の積層体により構成されていてもよい。
【0038】
また、第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2を構成しているIDT電極24aのうちの少なくとも一つのデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にあることが好ましい。
【0039】
図5の実線で示すグラフは、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置1と同様の構成を有する実施例1の挿入損失特性を表すグラフである。なお、実施例1における詳細な設計パラメータは、下記の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1では、各共振子S1〜S3,P1〜P3の静電容量と、インダクタL1〜L3とによって構成されているLC回路によって470MHz〜770MHzの周波数帯域を含む広い通過帯域が形成されている。また、第2及び第3の直列腕弾性表面波共振子S2,S3の反共振周波数と、第1及び第4の並列腕弾性表面波共振子P1,P4の共振とが、高域側の阻止帯域(898MHz〜924MHz)またはその近傍に位置している。このため、通過帯域内に第2及び第3の直列腕弾性表面波共振子S2,S3の反共振点と、第1及び第4の並列腕弾性表面波共振子P1,P4の共振点とによって、高域側の阻止帯域(898MHz〜924MHz)が形成されている。さらに、第1の直列腕弾性表面波共振子S1の反共振周波数と、第2及び第3の並列腕弾性表面波共振子P2,P3の共振周波数とが低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)またはその近傍に位置している。このため、通過帯域内に第1の直列腕弾性表面波共振子S1の反共振点と第2及び第3の並列腕弾性表面波共振子P2,P3の共振点によって、低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)が形成されている。
【0042】
実施例1においては、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2とで、共振周波数及び反共振周波数が異なっている。一方、第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4とでは、共振周波数及び反共振周波数が実質的に等しい。
【0043】
この実施例1の弾性表面波フィルタ装置の比較例として、図6に示す弾性表面波フィルタ装置200を用意した。比較例に係る弾性表面波フィルタ装置200は、入力端201と出力端202とを電気的に接続している直列腕203において、直列腕弾性表面波共振子S201,S202と、インダクタL201〜L203が交互に直列に接続されている。直列腕203とグラウンド電位とは、並列腕204a〜204fによって電気的に接続されている。各並列腕204a〜204fには、並列腕弾性表面波共振子P201〜P206が設けられている。この比較例においても、上記実施形態と同様に、配線基板の上に実装された弾性表面波チップ210(図7を参照)が設けられている。図7に示すように、上記共振子S201,S202,P201〜P206は、この弾性表面波チップ210に形成されている。詳細には、共振子S201,S202,P201〜P206は、弾性表面波チップ210を構成している圧電基板211及び電極212により構成されている。なお、比較例における詳細な設計パラメータは、下記の表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
この比較例では、並列腕弾性表面波共振子P201,P203〜P205の共振点によって高域側阻止帯域(898MHz〜924MHz)が形成されている。また、直列腕弾性表面波共振子S201,S202の反共振点と並列腕弾性表面波共振子P202,P206の共振点とによって低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)が形成されている。
【0046】
比較例に係る弾性表面波フィルタ装置200の挿入損失特性を図5に破線で示す。
【0047】
図5に示すように、実施例1の方が、比較例よりも、高域側阻止帯域及び低域側阻止帯域の両方において減衰量が大きい。この理由は、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、比較例においては、並列腕弾性表面波共振子P202の共振周波数と一致する電気信号が出力端202に直接接続されている並列腕弾性表面波共振子P206を経由して出力端202に直接漏洩することにより低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)の減衰量が小さくなっているものと考えられる。それに対して、実施例1では、出力端11に直接接続されている並列腕弾性表面波共振子が存在しないため、低域側阻止帯域の周波数帯の電気信号が出力端11に漏洩することが効果的に抑制され、その結果、実施例1では、比較例よりも、低域側阻止帯域における減衰量が大きくなったものと考えられる。
【0048】
一方、高域側阻止帯域に関しては実施例1では上記理由により低域側阻止帯域の減衰量を大きくできることで共振子3つで低域側阻止帯域を形成している。従って、高域側阻止帯域は5つの共振子を使用しており、4つの共振子で高域側阻止帯域を形成する比較例よりも共振子を多く使用している。その結果、実施例1では、比較例よりも、高域側阻止帯域における減衰量が大きくなったものと考えられる。
【0049】
また、図3及び図7の比較により、同様の機能を有する直列腕弾性表面波共振子S3,S4と、直列腕弾性表面波共振子S201とは、ほぼ同じ大きさにできることが分かる。また、同様の機能を有する直列腕弾性表面波共振子S1,S2と、直列腕弾性表面波共振子S202とも、ほぼ同じ大きさにできることが分かる。すなわち、通過帯域を広帯域化するためには、直列腕に比較的大きな容量を形成することが必要であるが、実施例1では、比較例で一つの直列腕弾性表面波共振子により構成されているところが、互いに電気的に並列に接続されている二つの直列腕弾性表面波共振子により構成されている。このため、共振子一つ当たりの面積を約半分にできる。そして、直列腕弾性表面波共振子の数が増えた分だけ、並列腕弾性表面波共振子の数を減らしても阻止帯域を形成する共振子の総数は変わらないため、同等またはそれ以上の減衰特性を実現し得る。従って、実施例1では、図3及び図7の比較からも明らかなように、弾性表面波フィルタ装置1を、より小型化し得る。
【0050】
また、実施例1のように、二つの直列腕弾性表面波共振子を電気的に並列に接続することによって、一つの直列腕弾性表面波共振子を設ける場合よりも、各直列腕弾性表面波共振子における交差幅を小さくすることができる。このため、各直列腕弾性表面波共振子における抵抗損を小さくすることができる。その結果、図5に示すように、通過帯域のうち、470MHz〜770MHzの周波数帯域における挿入損失を低減することができる。具体的には、実施例1の方が、比較例よりも前記周波数帯域における挿入損失が0.25dB小さい。
【0051】
また、実施例1の方が、比較例よりも、低域側阻止帯域と、低域側阻止帯域よりも低域側に位置している通過帯域との間の過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性が高められている。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例1では、第1の直列腕弾性表面波共振子S1と、第2の直列腕弾性表面波共振子S2とで共振周波数及び反共振周波数が異ならされている。このため、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2の一方の共振周波数において他方が容量として作用する。このため、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2のそれぞれの共振周波数と反共振周波数との間の周波数間隔が狭くなる。よって、反共振周波数を、通過帯域と阻止帯域との間の過渡帯域に位置させることにより、過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性が高められたものと考えられる。
【0052】
なお、少なくとも一つの直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくすることにより、通過帯域の広帯域化が可能である。すなわち、本実施形態では、直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを調整することにより通過帯域の帯域幅の調整が可能である。
【0053】
以下、この効果を、具体例に基づいて詳細に説明する。
【0054】
図8は、下記の表3に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4のデューティー比を0.395から0.495まで大きくした実施例2に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図8において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例2における挿入損失特性を表している。図8に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4のデューティー比が大きな実施例2の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0055】
図9は、下記の表4に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の交差幅を59.1μmから70.0μmまで大きくした実施例3に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図9において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例3における挿入損失特性を表している。図9に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の交差幅が大きな実施例3の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0056】
図10は、下記の表5に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の対数を68対から80対まで大きくした実施例4に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図10において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例4における挿入損失特性を表している。図10に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の対数が大きな実施例4の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0057】
なお、このように、少なくとも一つの直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくすることにより、通過帯域の広帯域化できるのは、デューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくした直列腕弾性表面波共振子の静電容量が大きくなるためであると考えられる。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
また、実施例2では、直列腕弾性表面波共振子の反共振周波数の位置を微調整できるため、実施例1よりも高域側阻止帯域の減衰量が大きくなっている。さらに、実施例3,4では、実施例1よりも直列腕弾性表面波共振子S4の面積が大きくなるのに対して、実施例2では、実施例1よりも直列腕弾性表面波共振子S4の面積が大きくなっていない。このため、実施例2では、装置の大型化を抑制しつつ高域側阻止帯域の減衰量をより改善することができる。
【0062】
但し、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板を圧電基板23として用いた場合は、デューティー比を大きくしすぎると通過帯域にリップルが発生しやすくなるため、デューティー比は0.3〜0.5の範囲であることが好ましい。
【0063】
(第1及び第2の変形例)
図11は、変形例1における弾性表面波チップの一部分を拡大した略図的断面図である。図12は、変形例2における弾性表面波チップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【0064】
上記実施形態では、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置1について説明したが、本発明において弾性波フィルタ装置は、例えば、弾性境界波を利用した弾性境界波装置であってもよい。その場合は、例えば、図11に示すように、弾性波チップ22は、圧電基板23の上に形成されており、酸化ケイ素や窒化ケイ素などの誘電体からなる誘電体層26を有する。また、図12に示すように、例えば酸化ケイ素などにより形成されている誘電体層26の上に、窒化ケイ素などにより形成されており、誘電体層26よりも音速が速い誘電体層27が形成されていてもよい。すなわち、弾性波チップ22は、所謂2媒質型の弾性境界波チップであってもよいし、所謂3媒質型の弾性境界波チップであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…弾性表面波フィルタ装置
10…入力端
11…出力端
12…直列腕
12a〜12d…接続点
13a…第1の並列腕
13b…第2の並列腕
13c…第3の並列腕
13d…第4の並列腕
20…配線基板
20a…配線
21…バンプ
22…弾性表面波チップ
23…圧電基板
24…電極
24a…IDT電極
25…樹脂層
26…誘電体層
27…誘電体層
L1〜L3…インダクタ
S1〜S4…直列腕弾性表面波共振子
P1〜P4…並列腕弾性表面波共振子
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ装置に関する。特に、本発明は、通過帯域内に阻止帯域を有する帯域阻止型の弾性波フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波デジタル放送が普及してきている。地上波デジタル放送では、1つのチャンネルは13のセグメントに分割されており、1つのチャンネル中央に配置された1つのセグメントが携帯電話機等のモバイル端末用として用いられている。この1つのセグメントを用いた放送が所謂ワンセグ放送である。ワンセグ放送の周波数帯域は、470MHz〜770MHzである。一方、携帯電話機の送信帯域としては、方式や通信会社によっても異なるが、例えば、824MHz〜830MHzや898MHz〜924MHzなどの帯域が用いられている。
【0003】
このように、通話の送信帯域がワンセグ放送の周波数帯域と近接している携帯電話機において、通話とワンセグ放送の受信と録画とを同時に行った場合、送信電波の影響により、ワンセグ放送の受信映像が乱れる虞がある。この受信映像の乱れを抑制する方法としては、ワンセグ放送の周波数帯域を含む通過帯域を有し、通過帯域内に携帯電話機の送信帯域と一致する阻止帯域を有する帯域阻止型のフィルタを用いる方法が考えられる。
【0004】
このような帯域阻止型フィルタの具体例としては、例えば、下記の特許文献1に開示されている帯域阻止型の弾性表面波フィルタが挙げられる。図13に特許文献1に記載されている帯域阻止型の弾性表面波フィルタの等価回路図を示す。
【0005】
図13に示すように、弾性表面波フィルタ100では、入力端101と出力端102とを電気的に接続している直列腕103において、複数のインダクタ104,105が直列に接続されている。直列腕103とグラウンド電位とは、複数の並列腕107a〜107dによって電気的に接続されている。各並列腕107a〜107dには、並列腕弾性表面波共振子108a〜108dが設けられている。
【0006】
弾性表面波フィルタ100では、並列腕弾性表面波共振子108a〜108cの共振点により824MHz〜830MHzの低域側の阻止帯域が形成されており、並列腕弾性表面波共振子108dの共振点により898〜924MHzの高域側の阻止帯域が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008/072439 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、弾性表面波フィルタ100では、通過帯域の低域側阻止帯域よりも低域側に位置する部分における挿入損失が大きいという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通過帯域内に阻止帯域を有する帯域阻止型の弾性波フィルタ装置であって、通過帯域における挿入損失が小さい弾性表面波フィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る弾性波フィルタ装置は、入力端と、出力端と、直列腕と、第1及び第2のインダクタと、第1及び第2の直列腕弾性波共振子と、第1の並列腕と、第2の並列腕とを備えている。直列腕は、入力端と出力端とを電気的に接続している。第1及び第2のインダクタは、直列腕において直列に接続されている。第1及び第2の直列腕弾性波共振子は、第1のインダクタと第2のインダクタとの間において、互いに並列に電気的に接続されている。第1の並列腕は、第1のインダクタと第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第1の並列腕には、第1の並列腕弾性波共振子が設けられている。第2の並列腕は、第2のインダクタと第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第2の並列腕には、第2の並列腕弾性波共振子が設けられている。
【0011】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のある特定の局面では、第1の直列腕弾性波共振子と第2の直列腕弾性波共振子とでは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なる。この構成によれば、阻止帯域と通過帯域との間の過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性を高めることができる。
【0012】
本発明に係る弾性波フィルタ装置の他の特定の局面では、第2のインダクタと出力端との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕を備えていない。この構成によれば、阻止帯域における減衰量をより大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る弾性波フィルタ装置の別の特定の局面では、第1のインダクタは、第2のインダクタよりも入力端側に設けられている。弾性波フィルタ装置は、第3及び第4の直列腕弾性波共振子と、第3の並列腕と、第4の並列腕とをさらに備えている。第3及び第4の直列腕弾性波共振子は、第1のインダクタと入力端との間において、並列に電気的に接続されている。第3の並列腕は、入力端と第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第3の並列腕には、第3の並列腕弾性波共振子が設けられている。第4の並列腕は、第1のインダクタと第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続している。第4の並列腕には、第4の並列腕弾性波共振子が設けられている。この構成によれば、更に、阻止帯域における減衰特性を改善でき、通過帯域も広帯域化できる。
【0014】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子と第1及び第2の並列腕弾性波共振子とのそれぞれは、圧電基板と、圧電基板の上に形成されているIDT電極とを備えている。圧電基板は、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板により構成されている。この構成によれば、通過帯域内にリップルが発生することを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらにまた他の特定の局面では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子のIDT電極のうちの少なくとも一つのIDT電極のデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にある。この構成によれば、通過帯域内において、阻止帯域より低域側に発生するレイリー波に起因するリップルを低減することができる。
【0016】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のさらにまた別の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置である。
【0017】
本発明に係る弾性波フィルタ装置のまたさらに他の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタ装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、第1及び第2の直列腕弾性波共振子が並列に電気的に接続されている。このため、第1及び第2の直列腕弾性波共振子の電気抵抗を小さくすることができる。従って、通過帯域における挿入損失を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の略図的側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における弾性表面波チップの略図的透視図である。
【図4】本発明の一実施形態における弾性表面波チップの一部分を拡大した模式的平面図である。
【図5】実施例1に係る弾性表面波フィルタ装置と、比較例に係る弾性表面波フィルタ装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図5において、実線が、実施例1に係る弾性表面波フィルタ装置の挿入損失特性を表し、破線が、比較例に係る弾性表面波フィルタ装置の挿入損失特性を表している。
【図6】比較例に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。
【図7】比較例における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した模式的平面図である。
【図8】実施例2に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図8において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例2における挿入損失特性を表している。
【図9】実施例3に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図9において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例3における挿入損失特性を表している。
【図10】実施例4に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図10において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例4における挿入損失特性を表している。
【図11】変形例1における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【図12】変形例2における弾性表面波フィルタチップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【図13】特許文献1に記載の帯域阻止型の弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置1を例に挙げて説明する。但し、弾性表面波フィルタ装置1は単なる例示である。本発明に係る弾性波フィルタ装置は、弾性表面波フィルタ装置1に何ら限定されない。
【0021】
本実施形態の弾性表面波フィルタ装置1は、470MHz〜770MHzの周波数帯域を含む広い通過帯域と、通過帯域内に824MHz〜830MHzの低域側阻止帯域と、898MHz〜924MHzの高域側阻止帯域とを有するダブルトラップ型の弾性表面波フィルタ装置である。
【0022】
図1は、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の等価回路図である。まず、この図1を参照しながら、弾性表面波フィルタ装置1の回路構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、弾性表面波フィルタ装置1は、入力端10と出力端11とを備えている。入力端10と出力端11とは、直列腕12によって電気的に接続されている。直列腕12には、複数のインダクタL1〜L3が直列に接続されている。本実施形態では、第3のインダクタL3が入力端10に直接接続されている。第2のインダクタL2が出力端11に直接接続されている。第1のインダクタL1は、第2のインダクタL2と第3のインダクタL3との間に接続されている。
【0024】
直列腕12において、第1のインダクタL1と第2のインダクタL2との間には、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2が電気的に接続されている。第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2は、互いに並列に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第1の直列腕弾性表面波共振子S1と第2の直列腕弾性表面波共振子S2とは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なるように設計されている。
【0025】
一方、直列腕12において、第1のインダクタL1と第3のインダクタL3との間には、第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4が電気的に接続されている。第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4は、互いに並列に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、第3の直列腕弾性表面波共振子S3と第4の直列腕弾性表面波共振子S4とは、共振周波数及び反共振周波数が互いに等しくなるように設計されている。
【0026】
第1のインダクタL1と第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2との間の接続点12aと、グラウンド電位とは、第1の並列腕13aにより電気的に接続されている。第1の並列腕13aには、第1の並列腕弾性表面波共振子P1が設けられている。
【0027】
第2のインダクタL2と第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2との間の接続点12bと、グラウンド電位とは、第2の並列腕13bにより電気的に接続されている。第2の並列腕13bには、第2の並列腕弾性表面波共振子P2が設けられている。
【0028】
第3のインダクタL3と第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4との間の接続点12cと、グラウンド電位とは、第3の並列腕13cにより電気的に接続されている。第3の並列腕13cには、第3の並列腕弾性表面波共振子P3が設けられている。
【0029】
第1のインダクタL1と第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4との間の接続点12dと、グラウンド電位とは、第4の並列腕13dにより電気的に接続されている。第4の並列腕13dには、第4の並列腕弾性表面波共振子P4が設けられている。
【0030】
本実施形態では、上述のように、出力端11には第2のインダクタL2が直接接続されており、第2のインダクタL2と出力端11との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕は設けられていない。
【0031】
図2は、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置の略図的側面図である。図3は、本実施形態における弾性表面波チップの略図的透視図である。図4は、本実施形態における弾性表面波チップの一部分を拡大した模式的平面図である。なお、図3においては、共振子を、内部にXを附した矩形で略図的に記載している。
【0032】
次に、図2〜図4を主として参照しながら、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置1の物理的構成について説明する。
【0033】
図2に示すように、弾性表面波フィルタ装置1は、配線基板20を備えている。配線基板20の上には、バンプ21を介して弾性表面波チップ22がフリップチップ実装されている。弾性表面波チップ22は、配線基板20の上に形成されている樹脂層25によって封止されている。
【0034】
配線基板20は、例えば、高温焼成セラミック多層基板(HTCC:High Temperature Co−fired Ceramic)などにより構成することができる。本実施形態では、この配線基板20内に形成されている配線20aなどによって、図1に示すインダクタL1〜L3が形成されている。なお、インダクタL1〜L3は、例えばチップインダクタなどにより構成されていてもよい。
【0035】
図3に示すように、弾性表面波チップ22は、圧電基板23と、圧電基板23の上に形成されている電極24とを備えている。本実施形態では、この圧電基板23と電極24とによって、第1〜第4の直列腕弾性表面波共振子S1〜S4、第1〜第4の並列腕弾性表面波共振子P1〜P4や配線などが構成されている。具体的には、図4に示すように、電極24には、互いに間挿し合う一対のくし歯状電極により構成されているIDT電極24aが含まれる。第1〜第4の直列腕弾性表面波共振子S1〜S4、第1〜第4の並列腕弾性表面波共振子P1〜P4のそれぞれは、このIDT電極24aと圧電基板23とによって構成されている。
【0036】
圧電基板23は、特に限定されないが、例えば、水晶、LiTaO3基板や、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板などのLiNbO3基板により構成することができる。
【0037】
電極24は、例えば、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた金属、もしくは、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた一種以上の金属を含む合金により形成することができる。また、電極24は、例えば上記金属や合金からなる複数の導電層の積層体により構成されていてもよい。
【0038】
また、第1及び第2の直列腕弾性波共振子S1,S2を構成しているIDT電極24aのうちの少なくとも一つのデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にあることが好ましい。
【0039】
図5の実線で示すグラフは、本実施形態に係る弾性表面波フィルタ装置1と同様の構成を有する実施例1の挿入損失特性を表すグラフである。なお、実施例1における詳細な設計パラメータは、下記の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例1では、各共振子S1〜S3,P1〜P3の静電容量と、インダクタL1〜L3とによって構成されているLC回路によって470MHz〜770MHzの周波数帯域を含む広い通過帯域が形成されている。また、第2及び第3の直列腕弾性表面波共振子S2,S3の反共振周波数と、第1及び第4の並列腕弾性表面波共振子P1,P4の共振とが、高域側の阻止帯域(898MHz〜924MHz)またはその近傍に位置している。このため、通過帯域内に第2及び第3の直列腕弾性表面波共振子S2,S3の反共振点と、第1及び第4の並列腕弾性表面波共振子P1,P4の共振点とによって、高域側の阻止帯域(898MHz〜924MHz)が形成されている。さらに、第1の直列腕弾性表面波共振子S1の反共振周波数と、第2及び第3の並列腕弾性表面波共振子P2,P3の共振周波数とが低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)またはその近傍に位置している。このため、通過帯域内に第1の直列腕弾性表面波共振子S1の反共振点と第2及び第3の並列腕弾性表面波共振子P2,P3の共振点によって、低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)が形成されている。
【0042】
実施例1においては、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2とで、共振周波数及び反共振周波数が異なっている。一方、第3及び第4の直列腕弾性表面波共振子S3,S4とでは、共振周波数及び反共振周波数が実質的に等しい。
【0043】
この実施例1の弾性表面波フィルタ装置の比較例として、図6に示す弾性表面波フィルタ装置200を用意した。比較例に係る弾性表面波フィルタ装置200は、入力端201と出力端202とを電気的に接続している直列腕203において、直列腕弾性表面波共振子S201,S202と、インダクタL201〜L203が交互に直列に接続されている。直列腕203とグラウンド電位とは、並列腕204a〜204fによって電気的に接続されている。各並列腕204a〜204fには、並列腕弾性表面波共振子P201〜P206が設けられている。この比較例においても、上記実施形態と同様に、配線基板の上に実装された弾性表面波チップ210(図7を参照)が設けられている。図7に示すように、上記共振子S201,S202,P201〜P206は、この弾性表面波チップ210に形成されている。詳細には、共振子S201,S202,P201〜P206は、弾性表面波チップ210を構成している圧電基板211及び電極212により構成されている。なお、比較例における詳細な設計パラメータは、下記の表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
この比較例では、並列腕弾性表面波共振子P201,P203〜P205の共振点によって高域側阻止帯域(898MHz〜924MHz)が形成されている。また、直列腕弾性表面波共振子S201,S202の反共振点と並列腕弾性表面波共振子P202,P206の共振点とによって低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)が形成されている。
【0046】
比較例に係る弾性表面波フィルタ装置200の挿入損失特性を図5に破線で示す。
【0047】
図5に示すように、実施例1の方が、比較例よりも、高域側阻止帯域及び低域側阻止帯域の両方において減衰量が大きい。この理由は、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、比較例においては、並列腕弾性表面波共振子P202の共振周波数と一致する電気信号が出力端202に直接接続されている並列腕弾性表面波共振子P206を経由して出力端202に直接漏洩することにより低域側阻止帯域(824MHz〜830MHz)の減衰量が小さくなっているものと考えられる。それに対して、実施例1では、出力端11に直接接続されている並列腕弾性表面波共振子が存在しないため、低域側阻止帯域の周波数帯の電気信号が出力端11に漏洩することが効果的に抑制され、その結果、実施例1では、比較例よりも、低域側阻止帯域における減衰量が大きくなったものと考えられる。
【0048】
一方、高域側阻止帯域に関しては実施例1では上記理由により低域側阻止帯域の減衰量を大きくできることで共振子3つで低域側阻止帯域を形成している。従って、高域側阻止帯域は5つの共振子を使用しており、4つの共振子で高域側阻止帯域を形成する比較例よりも共振子を多く使用している。その結果、実施例1では、比較例よりも、高域側阻止帯域における減衰量が大きくなったものと考えられる。
【0049】
また、図3及び図7の比較により、同様の機能を有する直列腕弾性表面波共振子S3,S4と、直列腕弾性表面波共振子S201とは、ほぼ同じ大きさにできることが分かる。また、同様の機能を有する直列腕弾性表面波共振子S1,S2と、直列腕弾性表面波共振子S202とも、ほぼ同じ大きさにできることが分かる。すなわち、通過帯域を広帯域化するためには、直列腕に比較的大きな容量を形成することが必要であるが、実施例1では、比較例で一つの直列腕弾性表面波共振子により構成されているところが、互いに電気的に並列に接続されている二つの直列腕弾性表面波共振子により構成されている。このため、共振子一つ当たりの面積を約半分にできる。そして、直列腕弾性表面波共振子の数が増えた分だけ、並列腕弾性表面波共振子の数を減らしても阻止帯域を形成する共振子の総数は変わらないため、同等またはそれ以上の減衰特性を実現し得る。従って、実施例1では、図3及び図7の比較からも明らかなように、弾性表面波フィルタ装置1を、より小型化し得る。
【0050】
また、実施例1のように、二つの直列腕弾性表面波共振子を電気的に並列に接続することによって、一つの直列腕弾性表面波共振子を設ける場合よりも、各直列腕弾性表面波共振子における交差幅を小さくすることができる。このため、各直列腕弾性表面波共振子における抵抗損を小さくすることができる。その結果、図5に示すように、通過帯域のうち、470MHz〜770MHzの周波数帯域における挿入損失を低減することができる。具体的には、実施例1の方が、比較例よりも前記周波数帯域における挿入損失が0.25dB小さい。
【0051】
また、実施例1の方が、比較例よりも、低域側阻止帯域と、低域側阻止帯域よりも低域側に位置している通過帯域との間の過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性が高められている。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例1では、第1の直列腕弾性表面波共振子S1と、第2の直列腕弾性表面波共振子S2とで共振周波数及び反共振周波数が異ならされている。このため、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2の一方の共振周波数において他方が容量として作用する。このため、第1及び第2の直列腕弾性表面波共振子S1,S2のそれぞれの共振周波数と反共振周波数との間の周波数間隔が狭くなる。よって、反共振周波数を、通過帯域と阻止帯域との間の過渡帯域に位置させることにより、過渡帯域におけるフィルタ特性の急峻性が高められたものと考えられる。
【0052】
なお、少なくとも一つの直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくすることにより、通過帯域の広帯域化が可能である。すなわち、本実施形態では、直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを調整することにより通過帯域の帯域幅の調整が可能である。
【0053】
以下、この効果を、具体例に基づいて詳細に説明する。
【0054】
図8は、下記の表3に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4のデューティー比を0.395から0.495まで大きくした実施例2に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図8において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例2における挿入損失特性を表している。図8に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4のデューティー比が大きな実施例2の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0055】
図9は、下記の表4に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の交差幅を59.1μmから70.0μmまで大きくした実施例3に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図9において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例3における挿入損失特性を表している。図9に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の交差幅が大きな実施例3の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0056】
図10は、下記の表5に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の対数を68対から80対まで大きくした実施例4に係る弾性表面波装置と、実施例1に係る弾性表面波装置との挿入損失特性を表すグラフである。なお、図10において、実線が、実施例1における挿入損失特性を表し、破線が実施例4における挿入損失特性を表している。図10に示すように、直列腕弾性表面波共振子S4の対数が大きな実施例4の方が、実施例1よりも通過帯域が低域側に広くなっている。
【0057】
なお、このように、少なくとも一つの直列腕弾性表面波共振子のデューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくすることにより、通過帯域の広帯域化できるのは、デューティー比、交差幅及び対数の内の少なくとも一つを大きくした直列腕弾性表面波共振子の静電容量が大きくなるためであると考えられる。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
また、実施例2では、直列腕弾性表面波共振子の反共振周波数の位置を微調整できるため、実施例1よりも高域側阻止帯域の減衰量が大きくなっている。さらに、実施例3,4では、実施例1よりも直列腕弾性表面波共振子S4の面積が大きくなるのに対して、実施例2では、実施例1よりも直列腕弾性表面波共振子S4の面積が大きくなっていない。このため、実施例2では、装置の大型化を抑制しつつ高域側阻止帯域の減衰量をより改善することができる。
【0062】
但し、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板を圧電基板23として用いた場合は、デューティー比を大きくしすぎると通過帯域にリップルが発生しやすくなるため、デューティー比は0.3〜0.5の範囲であることが好ましい。
【0063】
(第1及び第2の変形例)
図11は、変形例1における弾性表面波チップの一部分を拡大した略図的断面図である。図12は、変形例2における弾性表面波チップの一部分を拡大した略図的断面図である。
【0064】
上記実施形態では、弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置1について説明したが、本発明において弾性波フィルタ装置は、例えば、弾性境界波を利用した弾性境界波装置であってもよい。その場合は、例えば、図11に示すように、弾性波チップ22は、圧電基板23の上に形成されており、酸化ケイ素や窒化ケイ素などの誘電体からなる誘電体層26を有する。また、図12に示すように、例えば酸化ケイ素などにより形成されている誘電体層26の上に、窒化ケイ素などにより形成されており、誘電体層26よりも音速が速い誘電体層27が形成されていてもよい。すなわち、弾性波チップ22は、所謂2媒質型の弾性境界波チップであってもよいし、所謂3媒質型の弾性境界波チップであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…弾性表面波フィルタ装置
10…入力端
11…出力端
12…直列腕
12a〜12d…接続点
13a…第1の並列腕
13b…第2の並列腕
13c…第3の並列腕
13d…第4の並列腕
20…配線基板
20a…配線
21…バンプ
22…弾性表面波チップ
23…圧電基板
24…電極
24a…IDT電極
25…樹脂層
26…誘電体層
27…誘電体層
L1〜L3…インダクタ
S1〜S4…直列腕弾性表面波共振子
P1〜P4…並列腕弾性表面波共振子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端と、
出力端と、
前記入力端と前記出力端とを電気的に接続している直列腕と、
前記直列腕において直列に接続されている第1及び第2のインダクタと、
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとの間において、互いに並列に電気的に接続されている第1及び第2の直列腕弾性波共振子と、
前記第1のインダクタと前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第1の並列腕弾性波共振子が設けられている第1の並列腕と、
前記第2のインダクタと前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第2の並列腕弾性波共振子が設けられている第2の並列腕と、
を備える、弾性波フィルタ装置。
【請求項2】
前記第1の直列腕弾性波共振子と前記第2の直列腕弾性波共振子とでは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なる、請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項3】
前記第2のインダクタと前記出力端との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕を備えていない、請求項1または2に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項4】
前記第1のインダクタは、前記第2のインダクタよりも前記入力端側に設けられており、
前記第1のインダクタと前記入力端との間において、並列に電気的に接続されている第3及び第4の直列腕弾性波共振子と、
前記入力端と前記第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第3の並列腕弾性波共振子が設けられている第3の並列腕と、
前記第1のインダクタと前記第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第4の並列腕弾性波共振子が設けられている第4の並列腕と、
をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子と前記第1及び第2の並列腕弾性波共振子とのそれぞれは、圧電基板と、圧電基板の上に形成されているIDT電極とを備えており、
前記圧電基板は、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板により構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子のIDT電極のうちの少なくとも一つのIDT電極のデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にある、請求項5に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項7】
弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項8】
弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタ装置である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項1】
入力端と、
出力端と、
前記入力端と前記出力端とを電気的に接続している直列腕と、
前記直列腕において直列に接続されている第1及び第2のインダクタと、
前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとの間において、互いに並列に電気的に接続されている第1及び第2の直列腕弾性波共振子と、
前記第1のインダクタと前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第1の並列腕弾性波共振子が設けられている第1の並列腕と、
前記第2のインダクタと前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第2の並列腕弾性波共振子が設けられている第2の並列腕と、
を備える、弾性波フィルタ装置。
【請求項2】
前記第1の直列腕弾性波共振子と前記第2の直列腕弾性波共振子とでは、共振周波数及び反共振周波数が互いに異なる、請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項3】
前記第2のインダクタと前記出力端との間の部分と、グラウンド電位とを電気的に接続している並列腕を備えていない、請求項1または2に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項4】
前記第1のインダクタは、前記第2のインダクタよりも前記入力端側に設けられており、
前記第1のインダクタと前記入力端との間において、並列に電気的に接続されている第3及び第4の直列腕弾性波共振子と、
前記入力端と前記第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第3の並列腕弾性波共振子が設けられている第3の並列腕と、
前記第1のインダクタと前記第3及び第4の直列腕弾性波共振子との間の接続点とグラウンド電位とを電気的に接続しており、第4の並列腕弾性波共振子が設けられている第4の並列腕と、
をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子と前記第1及び第2の並列腕弾性波共振子とのそれぞれは、圧電基板と、圧電基板の上に形成されているIDT電極とを備えており、
前記圧電基板は、55°回転YカットX伝搬LiNbO3基板により構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の直列腕弾性波共振子のIDT電極のうちの少なくとも一つのIDT電極のデューティー比が0.3〜0.5の範囲内にある、請求項5に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項7】
弾性表面波を利用した弾性表面波フィルタ装置である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【請求項8】
弾性境界波を利用した弾性境界波フィルタ装置である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性波フィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−34067(P2012−34067A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169961(P2010−169961)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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