説明

弾球遊技機

【課題】遊技球の貸出単価に応じて貸出操作一回当たりの遊技球の払い出し個数の設定が変化しても遊技者が戸惑うことのない弾球遊技機を提供する。
【解決手段】外部の球貸し機1に接続される貸出ボタン26と、遊技球の払い出しを行う払出手段48と、貸出ボタン26の一回の操作に対して球貸し機1から所定回数出力される貸出要求(BRQ(H)→(L)等)に基づいて、その貸出要求毎に所定個数の遊技球を払い出させるように払出手段48を制御する払出制御基板53aとを備えた弾球遊技機で、貸出ボタン26の一回の操作に対して払い出す遊技球の個数である単位貸出数の情報を記憶する単位貸出数記憶領域57と、この単位貸出数記憶領域57に記憶されている情報に基づいて単位貸出数を表示する単位貸出数表示手段28とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、パチンコ機等の弾球遊技機では、カード式の球貸し機に挿入されたプリペイドカード(遊技用記録媒体)に記録されている残額情報を利用して遊技球を貸し出す、いわゆるCR機が主流となっている。
【0003】
この種の弾球遊技機には、遊技者が遊技球の貸出を受ける際に操作する貸出ボタン(貸出操作手段)、遊技者が球貸し機からプリペイドカードを取り出す際に操作する返却ボタン、プリペイドカードの残り度数を表示する度数表示部(度数表示手段)等が設けられているが、これらは併設された球貸し機に接続されており、弾球遊技機による貸球の払出処理は、貸出ボタンが操作されることによって球貸し機から出力される信号に基づいて行われるようになっている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、最近では遊技ホール内の一部又は全ての遊技機について遊技球の貸出単価を従来よりも安く設定する営業形態(いわゆる1円パチンコ等)が広く採用されている。もちろん、遊技球の貸出単価が異なっても、遊技機や球貸し機は基本的に同じであり、プリペイドカードの単位度数当たりの貸球払出個数、即ち貸出ボタンを一回操作したときに払い出される遊技球の個数の設定が異なるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−180961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、遊技球の貸出単価が通常よりも安く設定されている場合、貸出ボタンを一回操作したときに払い出される遊技球の個数は通常よりも多くなる。例えば、遊技球の貸出単価が1円/個のいわゆる1円パチンコでは、貸出ボタンの一回の操作に対して払い出される遊技球の個数は、一般的な4円/個の場合の実に4倍となる。従って、特に1円パチンコ等に慣れない遊技者は、貸出ボタンを操作すると想定外の大量の遊技球の払い出しが始まって戸惑う場合が多い。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技球の貸出単価に応じて貸出操作一回当たりの遊技球の払い出し個数の設定が変化しても遊技者が戸惑うことのない弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外部の球貸し機1に接続される貸出操作手段26と、遊技球の払い出しを行う払出手段48と、前記貸出操作手段26の一回の操作に対して前記球貸し機1から所定回数出力される貸出要求に基づいて、その貸出要求毎に所定個数の遊技球を払い出させるように前記払出手段48を制御する払出制御手段53aとを備えた弾球遊技機において、前記貸出操作手段26の一回の操作に対して払い出す遊技球の個数である単位貸出数の情報を記憶する単位貸出数記憶領域57と、前記単位貸出数記憶領域57に記憶されている情報に基づいて前記単位貸出数を表示する単位貸出数表示手段28とを備えたものである。
【0009】
また、前記貸出操作手段26の一回の操作に対する一連の貸球払出処理が初めて行われた場合に、その貸球払出処理における前記球貸し機1からの前記貸出要求の回数に基づいて前記単位貸出数記憶領域57に前記単位貸出数の情報を記憶させる単位貸出数設定処理を行うように構成してもよい。
【0010】
また、電源遮断後もバックアップ電源55からの給電によって電源遮断直前の遊技情報が保持され、電源投入時に所定のRAMクリア操作が行われた場合でも、前記単位貸出数の情報はクリアしないように構成してもよい。
【0011】
また、主制御基板42aに対するRAMクリア操作を行う第1RAMクリアスイッチと、前記払出制御手段を構成する払出制御基板53aに対するRAMクリア操作を行う第2RAMクリアスイッチとを別個に備え、電源投入時に前記第2RAMクリアスイッチが操作された場合に前記単位貸出数の情報をクリアし、そのRAMクリア操作後の一回目の前記貸球払出処理が行われた場合にも前記単位貸出数設定処理を行うように構成してもよい。
【0012】
前記球貸し機1に接続され且つ前記球貸し機1の制御により遊技用記録媒体上の残り度数を表示可能な度数表示手段27を備え、前記単位貸出数表示手段28と前記度数表示手段27とを一の表示手段61上で切り替え可能に構成してもよい。このとき、外部操作可能な表示内容切替操作手段62を備え、この表示内容切替操作手段62の操作に基づいて前記単位貸出数表示手段28と前記度数表示手段27とを切り替え可能に構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、いわゆる1円パチンコ等、遊技球の貸出単価が通常よりも安く設定されている場合でも、遊技者は貸出操作手段26を一回操作したときにどの程度の遊技球が払い出されるかを明確に知ることができるため、想定外の大量の遊技球の払い出しが始まって戸惑うことはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機及び球貸し機の全体正面図である。
【図2】同パチンコ機の全体背面図である。
【図3】同パチンコ機及び球貸し機の制御系のブロック図である。
【図4】同パチンコ機の貸球払い出し制御処理のフローチャートである。
【図5】同パチンコ機と球貸し機との間で送受信される信号、貸出ボタン及び返却ボタンの有効/無効、及び貸出要求カウンタの変動状態の一例を示す図である。
【図6】同パチンコ機の貸出操作パネル部の拡大図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機及び球貸し機の制御系のブロック図である。
【図8】同パチンコ機の貸出操作パネル部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図6は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、1はカード式の球貸し機、2はパチンコ機で、これらは例えば球貸し機1がパチンコ機2の左側に隣接するように、図示しない遊技島に設置されている。
【0016】
球貸し機1には、その前面側に、貸球用のプリペイドカード(遊技用記録媒体)を挿入するためのカード挿入口3、プリペイドカード挿入中に点灯するカード挿入中ランプ4、プリペイドカードの利用が可能である場合に点灯するカード利用可ランプ5等が設けられている。
【0017】
パチンコ機2は、矩形状の外枠11と、この外枠11の左右一側、例えば左側のヒンジ12を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠13とを備えている。内枠13には、その上部側に遊技盤14等が、下部側に発射手段15等が夫々配置されており、その内枠13の前側には、遊技盤14の前側を覆うガラス扉16と、そのガラス扉16の下側で発射手段15等の前側を覆う下部開閉扉17とがヒンジ12と同じ側のヒンジ18により開閉及び着脱自在に枢着されている。
【0018】
ガラス扉16には、遊技盤14の前面側に設けられた遊技領域19に対応するガラス窓20が設けられ、また下部開閉扉17には、発射手段15に供給するための遊技球を貯留する貯留皿21が設けられると共に、例えばその貯留皿21の前側に、演出内容に応じて遊技者が操作可能な演出ボタン22、貯留皿21内の遊技球を抜き取るための球抜きボタン23、貸出操作パネル部24等が配置され、また貯留皿21の右側に、発射手段15を作動させるための発射ハンドル25が配置されている。
【0019】
貸出操作パネル部24には、図6に示すように、遊技球の貸出を受けるための貸出ボタン(貸出操作手段)26、球貸し機1のカード挿入口3に挿入されたプリペイドカードの残り度数を表示する度数表示手段27、貸出ボタン26の一回の操作で払い出される遊技球の個数(以下、単位貸出数)を表示する単位貸出数表示手段28、カード挿入口3内のプリペイドカードを取り出すための返却ボタン29等が設けられている。
【0020】
遊技盤14には、その前面側に発射手段15から発射された遊技球を案内するガイドレール31が環状に装着され、その内側が遊技領域19となっている。この遊技領域19内には、その略中央に、液晶表示手段32の表示枠を構成するセンターケース33が配置されると共に、その周辺には、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段34、遊技球が入球困難な開状態と入球容易な開状態とに切り替え可能な開閉式の入賞手段よりなる特別図柄始動手段35、遊技球が入球不可能な閉状態と入球容易な開状態とに切り替え可能な開閉式の入賞手段よりなる大入賞手段36、非開閉式の普通入賞手段37等が配置されている。
【0021】
センターケース33には、例えば遊技球を遊ばせるためのステージ38の他、普通図柄始動手段34が遊技球を検出することに基づいて普通図柄を変動表示する普通図柄表示手段39、特別図柄始動手段35に遊技球が入賞することに基づいて特別図柄を変動表示する特別図柄表示手段40等が設けられている。普通図柄表示手段39による変動後の停止図柄が当たり態様となった場合には特別図柄始動手段35が所定時間、所定回数だけ開放し、また特別図柄表示手段40による変動後の停止図柄が大当たり態様となった場合には、大入賞手段36が所定の開放パターンに従って開放する大当たり状態が発生するようになっている。
【0022】
なお、液晶表示手段32には、特別図柄表示手段40による図柄変動中や大当たり状態中等にそれらを演出するアニメーション画像が表示される等、遊技状態に応じた各種演出画像が表示されるようになっている。
【0023】
また、遊技盤14の裏面側には、図2に示すようにセンターケース33等の遊技部品を後側から覆う裏カバー41が装着され、この裏カバー41の背面側に、主制御基板42aが格納された主基板ケース42、演出制御基板43aが格納された演出基板ケース43、液晶制御基板44aが格納された液晶基板ケース44等が着脱自在に装着されている。
【0024】
内枠13の裏側には、遊技盤14の裏側を開閉自在に覆う開閉カバー45が着脱自在に装着されると共に、その上側に遊技球タンク46とタンクレール47とが、左右一側に払出手段48と払出通路49とが夫々装着されており、遊技球が大入賞手段36等の入賞口に入賞したとき、又は球貸し機1から貸出要求があったときに、遊技球タンク46内の遊技球をタンクレール47を経て払出手段48により払い出し、その遊技球を払出通路49を経て貯留皿21に案内するようになっている。
【0025】
また、内枠13の裏側下部には、基板装着台51が着脱自在に装着されており、この基板装着台51の背面側に、電源基板52aが格納された電源基板ケース52、払出制御基板53aが格納された払出基板ケース53が夫々着脱自在に装着されている。
【0026】
図3はパチンコ機2上、及びパチンコ機2と球貸し機1との間の制御系の概略ブロック図である。パチンコ機2上の主制御基板42aは、遊技進行を中心的に制御するもので、遊技盤14上の普通図柄表示手段39、特別図柄表示手段40、普通図柄始動手段34、特別図柄始動手段35、大入賞手段36、普通入賞手段37等が例えば図示しない中継基板等を経由して接続されると共に、その下位に、主制御基板42aからのコマンドに基づいて音声出力、LED発光等の演出制御を行う演出制御基板43a、この演出制御基板43aからのコマンドに基づいて液晶表示手段32を制御する液晶制御基板44a、主制御基板42aからのコマンドに基づいて払出手段48を制御する払出制御基板(払出制御手段)53a、この払出制御基板53aからの発射制御信号等に基づいて発射手段15を制御する発射制御基板54等が接続されている。なお、発射制御基板54は例えば発射手段15の後側に配置されている。
【0027】
主制御基板42a等の各基板には、主電源に接続された電源基板52aから直流電圧が供給されている(図3ではその供給経路は省略)。また、例えば主制御基板42a及び払出制御基板53aには、主電源遮断後もRAM上の記憶内容を保持するためのバックアップ電源55が接続されている。このバックアップ電源55は、例えば電源基板52a上に設けられている。また、例えば電源基板52aにはRAMクリアスイッチ56が設けられており、電源投入時にこのRAMクリアスイッチ56が操作される(RAMクリア操作)ことに基づいて、主制御基板42aと払出制御基板53aとに対して、RAM上の記憶内容をクリアさせるためのRAMクリア信号が送信されるようになっている。
【0028】
また、払出制御基板53aには、単位貸出数表示手段28が接続されると共に、RAM上には単位貸出数を記憶するための単位貸出数記憶領域57が設けられており、この単位貸出数記憶領域57に記憶された単位貸出数の値が、単位貸出数表示手段28上に表示されるようになっている。なお、遊技球の貸出単価等は遊技ホールによって異なるため、パチンコ機2の出荷時には、単位貸出数記憶領域57には単位貸出数は設定されていないものとする。
【0029】
球貸し機1は、パチンコ機2側の払出制御基板53a、貸出ボタン26、度数表示手段27、返却ボタン29等と接続されている。貸出ボタン26,返却ボタン29の操作信号は球貸し機1に入力され、また度数表示手段27に度数を表示させるための度数表示信号は球貸し機1から度数表示手段27に対して出力されるようになっている。
【0030】
また、球貸し機1と払出制御基板53aとの間では、球貸し動作に関する各種信号、例えばPRDY,BRDY,BRQ,EXSの4種類の信号を送受信するようになっている。遊技機READY信号PRDYは、払出制御基板53aから球貸し機1に出力される信号で、これがLレベルである場合には払出制御基板53a側の払出動作が可能であることを示している。球貸し機READY信号BRDYは、球貸し機1から払出制御基板53aに出力される信号で、これがLレベルである場合には球貸し機1が球貸し動作モード中であることを示している。
【0031】
また、貸出要求完了確認信号BRQも、球貸し機1から払出制御基板53aに出力される信号で、基本単位分の遊技球の払い出しを要求する場合にHレベルからLレベルに切り替えられ、その後、この払い出し要求が払出制御基板53a側で了解されたことが後述する貸出完了信号EXSによって確認できた場合にLレベルからHレベルに戻されるようになっている。貸出完了信号EXSは、払出制御基板53aから球貸し機1に出力される信号で、貸出要求完了確認信号BRQによって球貸し機1から基本単位分の遊技球の払い出し要求があった場合にHレベルからLレベルに切り替えられ、その後に基本単位分の遊技球の払い出しが完了した場合にLレベルからHレベルに戻されるようになっている。
【0032】
続いて、払出制御基板(払出制御手段)53aによる貸球払い出し制御処理(図4)を、図5を参照しつつ球貸し機1側の動作との関係において説明する。パチンコ機2に電源が投入され、遊技球の払い出しが可能な状態になると、払出制御基板53aは、図5の (a)に示すように球貸し機1への遊技機READY信号PRDYをHレベルからLレベルに切り替える(S1)と共に、球貸し機1からの球貸し機READY信号BRDYの監視を開始する(S2)。
【0033】
球貸し機1側では、遊技機READY信号PRDYがLレベルとなったことを確認した後、遊技者により貸出ボタン26が押下されると、球貸し機READY信号BRDYをHレベルからLレベルに切り替えて球貸し動作モードを開始させると共に(図5の(b))、所定時間経過後に貸出要求完了確認信号BRQをHレベルからLレベルに切り替える (図5の(c))。また、この球貸し動作モード中は、貸出ボタン26、返却ボタン29の操作は無効となる。
【0034】
払出制御基板53aは、球貸し機READY信号BRDY、貸出要求完了確認信号BRQが順次Lレベルに切り替わったことを確認すると(S2:Yes→S3:Yes)、例えば貸出要求カウンタを0クリアし(S4)、図5の(d)に示すように貸出完了信号EXSをHレベルからLレベルに切り替える(S5)と共に、貸出要求完了確認信号BRQの監視を開始する(S6)。
【0035】
但し、貸球払い出し処理よりも賞球払い出し処理が優先されるため、例えば貸出要求完了確認信号BRQがLレベルに切り替わった段階で賞球の払い出し処理中である場合には、払出制御基板53aは、その賞球の払い出し処理が終了してから貸出完了信号EXSをLレベルに切り替える。
【0036】
そして、払出制御基板53aは、図5の(e)に示すように球貸し機1からの貸出要求完了確認信号BRQがLレベルからHレベルに切り替わったことを確認すると(S6:Yes)、払出手段48を作動させ、基本単位分、例えば25個の遊技球の払い出し処理を実行する(S7)。
【0037】
基本単位分の遊技球の払出処理が完了すると、払出制御基板53aは、図5の(f)に示すように貸出完了信号EXSをLレベルからHレベルに戻す(S8)と共に、貸出要求カウンタに1を加算する(S9)。
【0038】
この段階で、払い出された遊技球の総数が単位貸出数に達していない場合には、図5の(c′)に示すように球貸し機1は貸出要求完了確認信号BRQをHレベルからLレベルに切り替えるので(S10:Yes)、払出制御基板53aは上記S5〜S9の処理により基本単位分の遊技球の払い出しを繰り返す。
【0039】
例えば、1度数を100円とし、貸出ボタン26の一回の操作で5度数分(500円分)の貸球を払い出すものとすると、遊技球の貸出単価が4円/個に設定されている場合には、単位貸出数は125個となるため、貸出要求完了確認信号BRQによる球貸し機1から払出制御基板53aに対する貸出要求は5回行われる。また、遊技球の貸出単価が1円/個に設定されている場合には、単位貸出数は500個となるため、球貸し機1から払出制御基板53aに対する貸出要求は20回行われる。
【0040】
このように、遊技球の貸出単価の変更は球貸し機1側の設定変更により行われ、パチンコ機2側は、常に球貸し機1からの貸出要求に応じて払い出しを行うだけであるため、少なくとも初めての単位貸出数分の払い出しが完了するまでは、パチンコ機2側で単位貸出数を把握することはできない。
【0041】
そして、単位貸出数分の遊技球の払い出しが完了すると、図5の(g)に示すように球貸し機1は球貸し機READY信号BRDYをLレベルからHレベルに切り替えて球貸し動作モードを終了させる。これによって貸出ボタン26、返却ボタン29の操作は再び有効となる。またこの時点で、貸出要求カウンタには球貸し動作モード中に球貸し機1から受けた貸出要求の回数、即ち基本単位分の遊技球の払い出し処理回数がカウントされているため、この貸出要求カウンタの値に基本単位分の払い出し個数(ここでは25個)を掛ければ単位貸出数を求めることができる。
【0042】
従って、払出制御基板53aは、球貸し機READY信号BRDYがHレベルに切り替わったことを確認すると(S11:Yes)、例えば単位貸出数の値が記憶されていないことを条件に(S12:No)、貸出要求カウンタの値に基本単位分の払い出し個数(ここでは25個)を掛けて得られた値を単位貸出数として単位貸出数記憶領域57に記憶する(S13)(単位貸出数設定処理)。そして、その後は電源が遮断されるまで上記S2以降の処理が繰り返し実行される。
【0043】
例えば新規のパチンコ機2が遊技ホールに設置され、電源が投入された直後は、単位貸出数記憶領域57に単位貸出数は記憶されていないため、単位貸出数表示手段28には単位貸出数の表示はされないが、その後に遊技者によって貸出ボタン26が操作され、初めての貸球の払い出しが行われると、上述のように払出制御基板53aの単位貸出数記憶領域57に単位貸出数の値が記憶されるため、それ以降は単位貸出数表示手段28に単位貸出数が例えば常時表示される(図6)。これにより、いわゆる1円パチンコ等、遊技球の貸出単価が通常よりも安く設定されている場合でも、遊技者は貸出ボタン26を一回操作したときにどの程度の遊技球が払い出されるかを明確に知ることができるため、想定外の大量の遊技球の払い出しが始まって戸惑うことはない。
【0044】
払出制御基板53aの単位貸出数記憶領域57に記憶された単位貸出数の値は、停電や遊技ホールの閉店によって主電源が遮断された後もバックアップ電源55によって保持されるため、単位貸出数表示手段28による単位貸出数の表示は、主電源の供給再開後も引き続き行われる。但し、例えば電源投入時にRAMクリアスイッチ56が操作されてRAM上の記憶内容がクリアされると、単位貸出数記憶領域57に記憶された単位貸出数の値も失われるため、次の貸球の払い出しが行われて単位貸出数記憶領域57に再度単位貸出数の値が記憶されるまで、単位貸出数表示手段28に単位貸出数は表示されない。
【0045】
図7及び図8は本発明の第2の実施形態を例示し、度数表示手段27と単位貸出数表示手段28とを共通の貸出表示手段61上で切り替え可能に構成した例を示している。
【0046】
図7及び図8に示すように、本実施形態のパチンコ機2では、例えば貸出操作パネル部24上に貸出表示手段61と表示内容切替ボタン(表示内容切替操作手段)62とが設けられている。貸出表示手段61は、度数表示手段27と単位貸出数表示手段28とを構成するもので、表示切替手段63を介して球貸し機1及び払出制御基板53aからの表示信号が択一的に入力されるようになっている。
【0047】
また、表示内容切替ボタン62は、例えば度数表示手段27に対応する度数表示選択ボタン62aと単位貸出数表示手段28に対応する単位貸出数表示選択ボタン62bとで構成されており、度数表示選択ボタン62aが押下された場合には球貸し機1側からの表示信号が貸出表示手段61側に入力されてこの貸出表示手段61は度数表示手段27として機能し、単位貸出数表示選択ボタン62bが押下された場合には払出制御基板53a側からの表示信号が貸出表示手段61側に入力されてこの貸出表示手段61は単位貸出数表示手段28として機能するようになっている。
【0048】
なお、度数表示選択ボタン62a及び単位貸出数表示選択ボタン62bには例えば夫々LED等の発光体が設けられており、押下された側の選択ボタン62a,62bの発光体が発光することにより、貸出表示手段61が度数表示手段27と単位貸出数表示手段28とのどちらとして機能しているかを報知するようになっている。
【0049】
以上のように、度数表示手段27と単位貸出数表示手段28とを一の表示手段61上で切り替え可能に構成してもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、単位貸出数表示手段28による単位貸出数の表示タイミングは任意であり、例えば第1の実施形態のように専用の単位貸出数表示手段28を設ける場合には、単位貸出数を常時表示する他、貸出ボタン26が押下されたとき、即ち例えば球貸し機READY信号BRDYがHレベルからLレベルに切り替わったとき、専用の単位貸出数表示ボタンが押下されたとき、貸出ボタン26が押下される前の所定時点、例えば遊技者が貸出ボタン26に触れたとき又は半押ししたとき等が考えられる。
【0051】
また、第2の実施形態のように度数表示手段27と単位貸出数表示手段28とを一の表示手段61上で切り替え可能に構成する場合には、例えば貸出ボタン26の操作後所定期間は単位貸出数表示手段28として機能させ、その後は度数表示手段27として機能させる等、度数表示手段27と単位貸出数表示手段28との切り替えを表示切替手段63によって自動で行うようにしてもよい。
【0052】
単位貸出数表示手段28の配置位置も任意であり、例えば液晶表示手段32上に単位貸出数を表示するようにしてもよい。
【0053】
実施形態では、RAMクリアスイッチ56の操作(RAMクリア操作)時には単位貸出数記憶領域57に記憶された単位貸出数の値もクリアされるように構成したが、RAMクリアスイッチ56が操作されても単位貸出数の値はクリアされないようにしてもよい。また、単位貸出数記憶領域57に単位貸出数の値が記憶されている場合でも、貸球払出処理が行われる毎に単位貸出数の記憶を更新するようにしてもよい。
【0054】
また、主制御基板42aに対するRAMクリア操作を行う第1RAMクリアスイッチと、払出制御基板53aに対するRAMクリア操作を行う第2RAMクリアスイッチとを別個に設ける場合には、電源投入時に第2RAMクリアスイッチが操作された場合に単位貸出数記憶領域57に記憶された単位貸出数の情報をクリアするように構成してもよい。
【0055】
単位貸出数記憶領域57に記憶する単位貸出数の情報は、単位貸出数そのものである必要はなく、例えば貸出要求カウンタによってカウントされた値、即ち一回の貸球払出処理において球貸し機1から払出制御基板53aに出力される払出要求の回数等を記憶してもよい。
【0056】
更に、実施形態では本発明をパチンコ機に適用した例を示したが、アレンジボール機等の他の弾球遊技機においても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 球貸し機
26 貸出ボタン(貸出操作手段)
27 度数表示手段
28 単位貸出数表示手段
42a 主制御基板
48 払出手段
53a 払出制御基板(払出制御手段)
55 バックアップ電源
57 単位貸出数記憶領域
61 貸出表示手段(表示手段)
62 表示内容切替ボタン(表示内容切替操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の球貸し機に接続される貸出操作手段と、遊技球の払い出しを行う払出手段と、前記貸出操作手段の一回の操作に対して前記球貸し機から所定回数出力される貸出要求に基づいて、その貸出要求毎に所定個数の遊技球を払い出させるように前記払出手段を制御する払出制御手段とを備えた弾球遊技機において、前記貸出操作手段の一回の操作に対して払い出す遊技球の個数である単位貸出数の情報を記憶する単位貸出数記憶領域と、前記単位貸出数記憶領域に記憶されている情報に基づいて前記単位貸出数を表示する単位貸出数表示手段とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記貸出操作手段の一回の操作に対する一連の貸球払出処理が初めて行われた場合に、その貸球払出処理における前記球貸し機からの前記貸出要求の回数に基づいて前記単位貸出数記憶領域に前記単位貸出数の情報を記憶させる単位貸出数設定処理を行うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
電源遮断後もバックアップ電源からの給電によって電源遮断直前の遊技情報が保持され、電源投入時に所定のRAMクリア操作が行われた場合でも、前記単位貸出数の情報はクリアしないように構成したことを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
主制御基板に対するRAMクリア操作を行う第1RAMクリアスイッチと、前記払出制御手段を構成する払出制御基板に対するRAMクリア操作を行う第2RAMクリアスイッチとを別個に備え、電源投入時に前記第2RAMクリアスイッチが操作された場合に前記単位貸出数の情報をクリアし、そのRAMクリア操作後の一回目の前記貸球払出処理が行われた場合にも前記単位貸出数設定処理を行うように構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記球貸し機に接続され且つ前記球貸し機の制御により遊技用記録媒体上の残り度数を表示可能な度数表示手段を備え、前記単位貸出数表示手段と前記度数表示手段とを一の表示手段上で切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。
【請求項6】
外部操作可能な表示内容切替操作手段を備え、この表示内容切替操作手段の操作に基づいて前記単位貸出数表示手段と前記度数表示手段とを切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項5に記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−40340(P2012−40340A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−275747(P2010−275747)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】