説明

形状測定機

【課題】本発明の目的は、表面粗さ測定が適正に行える形状測定機を提供することにある。
【解決手段】ワーク22の評価対象面の断面形状情報を含む測定データを出力する粗さセンサー14と、該ワーク22上の該粗さセンサー14位置を該評価対象面に沿って相対移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチでインデックス移動量情報として出力する相対移動機構12と、該粗さセンサー14からの測定データを、該相対移動機構12が移動分解能Δθ移動するのに要する時間よりも短い一定時間間隔tでサンプリングするタイマーサンプリング手段16と、該相対移動機構12からのインデックス移動量情報に基づき該タイマーサンプリング手段16からの一定時間間隔tの測定データを間隔定ピッチの測定データとし、該間隔定ピッチの測定データに基づきワーク22の表面粗さを評価するデータ処理機構18と、を備えたことを特徴とする形状測定機10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形状測定機、特に表面粗さ測定機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばワークの形状を精密測定するため、回動機構を備えた真円度測定機等の形状測定機が用いられている。また、形状測定機として、直動機構を備えた表面粗さ測定機、輪郭形状測定機、三次元測定機等も用いられている。
例えば、円柱、円筒等の円筒形状ワークの真円度測定を行うため、真円度測定機が用いられている。
従来の真円度測定機は、回転テーブル等の回動機構と、回動機構に設けられた回転角度測定装置と、を備える。
回転角度測定装置は、真円度測定を行うのに必要な円筒形状ワークの位置情報を得るためのものである。従来の回転角度測定装置としては、例えば一般的な回転角度測定装置を用いることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
そして、真円度測定機では、回転テーブルに載置された円筒形状ワークの表面位置を検出器で検出しながら回転テーブルを回転させることにより、円筒形状ワークの断面曲線データを取得し、断面曲線データから真円度測定のためのパラメータを算出している。
【0003】
【特許文献1】特開平6−42942号公報
【特許文献2】特開2000−136944号公報
【特許文献3】特開2004−245634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、円筒形状ワークの精密測定には、前記真円度測定以外に、表面粗さ測定等もある。
従来、円筒形状ワークの真円度測定を行うには回動機構を備えた真円度測定機が用いられ、円筒形状ワークの表面粗さ測定を行うためには直動機構を備えた表面粗さ測定機が用いられていた。
【0005】
しかしながら、真円度測定と表面粗さ測定とで別々の形状測定機を用意していたのでは、スペース、コスト等の問題もある。
このため、本発明者らによれば、円筒形状ワークの真円度測定と表面粗さ測定とを一台の形状測定機で行いたいとの要望がある。特に円筒形状ワークについては、真円度測定機を使って表面粗さ測定を行いたいとの強い要望がある。
【0006】
しかしながら、単に真円度測定機をそのまま表面粗さ測定に用いても、満足のゆく表面粗さ測定が行えないことがあり、実用レベルまでに至っていない。また従来は、その原因も未だ不明である。
このため従来は、回動機構を使って回転測定可能な円筒形状ワークについても、表面粗さ測定の際は、直動機構を備えた表面粗さ測定機で測定データの取得を行っていた。
【0007】
以上のように、この種の分野では、より精密な表面粗さ測定を行うことのできる技術の開発が強く望まれていたが、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は表面粗さ測定を適正に行うことのできる形状測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の点に着目してなされたものである。
すなわち、より適正な表面粗さ測定を行うため、従来は高さ方向の検出精度に着目していたが、本発明者らによって、測定軸方向の分解能を高くすることが非常に重要であること、つまり、微小凹凸を測定する粗さ測定では、凹凸間隔も微小であり、この微小間隔をデータとして十分にサンプリングしなければならないことがわかった。
ここで、測定軸方向の分解能を高くするため、通常は、粗さセンサーのX軸方向(測定軸方向)への移動量を検出するX軸検出器として、より高分解能のものを用いることが考えられる。
しかしながら、このようなX軸検出器は非常に高価なので、多くの場合において採用するのが困難であり、低い分解能のX軸検出器であっても、精密な粗さ測定を行いたいとの要望が多い。
【0009】
このような要望に応えるため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ワーク上の粗さセンサー位置の相対移動量を分解能Δθピッチで出力する相対移動機構、及び粗さセンサー出力のタイマーサンプリングを行うタイマーサンプリング手段を用い、粗さ評価として十分小さく、かつ間隔定ピッチの測定データを得ることにより、分解能の低いX軸検出器を備えた形状測定機であっても、より精密な粗さ測定が行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる形状測定機は、テーブルと、粗さセンサーと、相対移動機構と、タイマーサンプリング手段と、データ処理機構と、を備え、 前記データ処理機構が、前記相対移動機構の移動分解能Δθピッチよりも小さく、かつ粗さ評価のための十分小さな、前記間隔定ピッチの測定データを得ることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記テーブルは、表面粗さの評価対象面を持つワークが載置される。
また、前記粗さセンサーは、前記テーブルに載置されたワークの評価対象面の断面形状を検出し、その断面形状情報を含む測定データを出力する。
前記相対移動機構は、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置が相対移動するように前記テーブルと前記粗さセンサーとを相対移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチでインデックス移動量情報として出力する。
前記タイマーサンプリング手段は、前記粗さセンサーからの測定データを、前記相対移動機構が移動分解能Δθ移動するのに要する時間よりも短い一定時間間隔tでタイマーサンプリングする。
前記データ処理機構は、前記相対移動機構からのインデックス移動量情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔tの測定データを、間隔定ピッチの測定データとする。前記データ処理機構は、該間隔定ピッチの測定データに基づき、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価する。
【0012】
ここにいう移動分解能Δθピッチとは、相対移動機構が回動機構の場合は、角度分解能Δθピッチをいい、相対移動機構が直動機構の場合は直線移動に関する分解能Δθピッチをいう。
また、ここにいうインデックス移動量情報とは、相対移動機構が回動機構の場合は回転角度情報をいい、相対移動機構が直動機構の場合は直線移動量情報をいう。
ここにいう間隔定ピッチの測定データとは、相対移動機構が回動機構の場合は、測定データ点が一定角度間隔(角度定ピッチ)の測定データ点列をいい、相対移動機構が直動機構の場合は、測定データ点が一定長さ間隔(長さ定ピッチ)の測定データ点列をいう。
【0013】
<回動機構>
前述のような、分解能の低いX軸検出器を備えた形状測定機を用いて精密な粗さ測定を行うこととして、真円度測定機を使った円筒形状ワークの表面粗さ測定を行うことが考えられる。
本発明者らが、真円度測定機を使った円筒形状ワークの表面粗さ測定について鋭意検討した結果、一台の形状測定機で真円度測定と表面粗さ測定との両立が困難な原因が、以下の真円度測定と表面粗さ測定とでのセンサー特性の違い、真円度測定と表面粗さ測定とでの測定データに対する要求性能の違いにあることがわかった。
【0014】
第一に、センサー特性の違いであるが、検出器で円筒形状ワークの評価対象面をトレースして得られる測定断面曲線データのうち、真円度は周期の長い成分、表面粗さは周期の短い成分である。周期が長い成分を検出する真円度検出器で表面粗さ測定を行っても、周期が短い成分を高感度に検出することが困難なことがある。このため満足のゆく表面粗さ測定を行うことのできる測定データが得られない。
このようなセンサー特性の違いの問題に関しては、真円度測定機に検出器ホルダを介して粗さセンサーを装着することで解決することができる。
【0015】
第二に、測定データに対する要求性能の違いであるが、表面粗さ測定では、真円度測定に比較し、より正確な角度位置情報の取得が重要である。
ここで、真円度測定機では、より正確な角度位置情報の取得のため、またコスト的にも有利であることから、回転テーブルとしてインデックス回転テーブルを用いることが考えられる。
このため、真円度測定機を使った円筒形状ワークの表面粗さ測定においても、より正確な角度位置情報を得るため、回転テーブルとしてインデックス回転テーブルを用いることが考えられる。
【0016】
しかしながら、回転テーブルとしてインデックス回転テーブルを用いただけでは、やはり満足のゆく表面粗さ測定が行えず、従来は、その原因も不明であった。
このため、一台の形状測定機で真円度測定と表面粗さ測定との両立に応えるため、従来は、回転テーブルとしてインデックス回転テーブルを持つ真円度測定機に粗さセンサーを設けるにとどまり、表面粗さ測定に適切なものは開発されていなかった。
【0017】
この点について本発明者らが、さらに検討を進めたところ、以下の点に至った。
すなわち、単に回転テーブルとしてインデックス回転テーブルを用いても、表面粗さ評価に要求される非常に小さな測定ピッチを得ることができない。
このため、インデックス回転テーブルを持つ真円度測定機において、角度サンプリングに代えて、タイマーサンプリングを行うことが考えられる。
しかしながら、単にタイマーサンプリングを用いても、回転テーブルの回転速度が十分安定していないときは、表面粗さ評価に要求される角度定ピッチのデータを得ることができないことがある。
このため、回転テーブルの回転速度が十分安定した状態で測定を行うことも考えられるが、回転テーブルの回転速度が十分安定するまでに時間がかかり、また時間をかけても回転テーブルの回転速度が十分安定しないこともある。特に部分円測定では、回転テーブルの回転速度が十分安定しない状態で測定を行う必要があることもある。
【0018】
本発明者らによる検討の結果、真円度測定機の回動機構を使って表面粗さ測定を適正に行うための鍵が、表面粗さ評価の際に要求される非常に小さなサンプリングピッチかつ長さに関して定ピッチの測定データを得ること、さらに回動機構の回転ムラの影響を最小限に抑えたデータ処理を実現することが非常に重要である点に至った。
【0019】
本発明者らは、前記真円度測定と表面粗さ測定との両立の鍵となる事項の発見に基づき、以下の課題解決手段を採用することにより、真円度測定機を使っても、表面粗さ測定を適正に行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明においては、前記移動分解能Δθピッチが、角度分解能Δθピッチであり、
前記インデックス移動量情報は、インデックス角度情報であり、
前記間隔定ピッチの測定データは、角度定ピッチの測定データであり、
また、前記相対移動機構として、前記テーブルと前記粗さセンサーとを相対的に回転させ、その回転角度を前記角度分解能Δθピッチで前記インデックス角度情報として出力する回動機構を用い、
前記データ処理機構は、前記回動機構からのインデックス角度情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔tの測定データを、角度定ピッチの測定データとする。前記データ処理機構は、該角度定ピッチの測定データに基づき、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価することが好適である。
【0021】
また、本発明においては、真円度測定機の真円度検出器に代えて、前記粗さセンサーを用い、
前記テーブル及び前記回動機構として、真円度測定機のインデックス回転テーブルを用い、
前記真円度測定機のインデックス回転テーブルは、基台に対し前記ワークを回転自在に載置し、該基台に対する回転角度を角度分解能Δθピッチで前記インデックス角度情報として出力することが好適である。
【0022】
本発明の回動機構としては、例えばワークに対し粗さセンサーを回転させるもの、粗さセンサーに対しワークを回転させるインデックス回転テーブル等を含めていう。
また、本発明のワークとしては、回動機構を使って回転測定が可能なものが一例として挙げられる。より具体的には、例えば突起あるいは円が完全に全周成立している完全円、ないし突起あるいは円が完全に全周成立していない部分円等の、断面形状が曲線の評価対象面を持つものが一例として挙げられる。
【0023】
<直動機構>
また、本発明においては、前記移動分解能Δθピッチが、直線移動に関する移動分解能Δθピッチであり、
前記インデックス移動量情報は、直線移動に関するインデックス移動量情報であり、
前記間隔定ピッチの測定データは、直線移動に関する長さ定ピッチの測定データであり、
また、前記相対移動機構として、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対移動するように、前記テーブルと前記粗さセンサーとを相対的に直線移動させ、その相対移動量を前記移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力する直動機構を用い、
前記データ処理機構は、前記直動機構からのインデックス移動量情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔の測定データを、長さ定ピッチの測定データとする。前記データ処理機構は、該長さ定ピッチの測定データに基づき、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価することが好適である。
【0024】
<表面粗さ測定機>
本発明においては、前記直動機構として、表面粗さ測定機の直動機構を用い、
前記表面粗さ測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することが好適である。
【0025】
<輪郭形状測定機>
本発明においては、輪郭形状測定機の輪郭検出器に代えて前記粗さセンサーを用い、
前記直動機構として前記輪郭形状測定機の直動機構を用い、
前記輪郭形状測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することも好適である。
【0026】
<三次元測定機>
本発明においては、三次元測定機の検出器に代えて前記粗さセンサーを用い、
前記直動機構として前記三次元測定機の直動機構を用い、
前記三次元測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することが好適である。
【0027】
<データ処理機構>
また、本発明においては、前記データ処理機構が、推定手段と、定ピッチ化手段と、評価手段と、を備えることが好適である。
ここで、前記推定手段は、同じ値のインデックス移動量情報を持つ測定データの数、及び該インデックス移動量情報を持つ測定データの中での順番に基づき、該インデックス移動量情報を持つ各測定データの測定位置を推定する。
また、前記定ピッチ化手段は、前記推定手段で推定された各測定データの測定位置に基づき、前記タイマーサンプリング手段で得られた測定データから、間隔定ピッチ(長さ定ピッチあるいは角度定ピッチ)の測定データを得る。
前記評価手段は、前記定ピッチ化手段で得られた間隔定ピッチの測定データから、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価する。
【0028】
また、本発明においては、前記推定手段が、時間推定部と、速度推定部と、位置推定部と、を備えることが好適である。
ここで、前記時間推定部は、前記インデックス移動量情報θ(m=0,1,2…)の区間s内に存在する測定データの数n(=1,2…)、及び前記サンプリング時間間隔tに基づき、移動幅Δθを持つ該区間sを移動するのに要した所要時間t(=n×t)を推定する。
また、前記速度推定部は、前記時間推定部で推定された区間sの所要時間t及び該区間sの持つ移動幅Δθに基づいて、該区間sでの移動速度ω(=Δθ/t)を推定する。
前記位置推定部は、前記速度推定部で推定された区間sでの移動速度ω、該区間s内に存在する測定データの中での順番がi(=1,2…)番目であること、及び前記サンプリング時間間隔tに基づき、該区間sにおいて順番が該i番目の測定データの測定位置pmi(=θ+ω×it)を推定する。
【0029】
<検出器ホルダ>
また、本発明においては、前記粗さセンサーへの交換の容易性に優れた、検出器ホルダを備えることが好適である。
ここで、検出器ホルダは、前記粗さセンサーを形状測定機の本体に着脱自在とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる形状測定機によれば、インデックス移動量情報を出力する相対移動機構、及びタイマーサンプリング手段を用いて、粗さ評価として十分小さく、かつ間隔定ピッチの測定データを得るデータ処理機構を備えることとしたので、より適正な表面粗さ測定を行うことができる。
【0031】
<回動機構>
本発明においては、前記相対移動機構としての回動機構、及びタイマーサンプリング手段を用いて、粗さ評価として十分小さく、かつ角度定ピッチの測定データを得るデータ処理機構を備えることにより、より適正な表面粗さ測定を行うことができる。
また、本発明においては、真円度測定機の真円度検出器に代えて前記粗さセンサーを用い、また、前記相対移動機構として真円度測定機の回動機構を用いることにより、真円度測定機を用いて、表面粗さ測定を、より適正に行うことができる。
【0032】
<直動機構>
本発明にかかる形状測定機によれば、前記相対移動機構としての直動機構、及びタイマーサンプリング手段を用いて、粗さ評価として十分小さく、かつ長さ定ピッチの測定データを得るデータ処理機構を備えることにより、より適正な表面粗さ測定を行うことができる。
また、本発明においては、前記直動機構として、表面粗さ測定機の直動機構を用いることにより、表面粗さ測定機による表面粗さ測定を、より適正に行うことができる。
本発明においては、輪郭形状測定機の輪郭検出器に代えて前記粗さセンサーを用い、また、前記直動機構として輪郭形状測定機の直動機構を用いることにより、輪郭形状測定機を用いて、適正な表面粗さ測定を行うことができる。
本発明においては、三次元測定機の検出器に代えて前記粗さセンサーを用い、また、前記直動機構として三次元測定機の直動機構を用いることにより、三次元測定機を用いて、適正な表面粗さ測定を行うことができる。
【0033】
<データ処理機構>
本発明においては、前記データ処理機構が、前記推定手段、前記定ピッチ化手段及び前記評価手段を備えることにより、前記表面粗さ測定を、より適正に行うことができる。
本発明においては、前記推定手段が、前記時間推定部、前記速度推定部及び前記位置推定部を備えることにより、前記表面粗さ測定を、より適正に行うことができる。
【0034】
<検出器ホルダ>
また、本発明においては、前記粗さセンサーを測定機本体に着脱自在とする検出器ホルダを備えることにより、前記粗さセンサーとの交換が容易に行えるので、適正な表面粗さ測定を、より容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
第一実施形態
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる形状測定機の概略構成が示されている。なお、同図(A)は本実施形態にかかる形状測定機の全体図、同図(B)は同様の形状測定機のブロック図である。
本実施形態では、形状測定機として回動機構を備えた真円度測定機を用い、真円度測定機の真円度検出器に代えて粗さセンサーを用いた場合を想定している。
【0036】
同図に示す真円度測定機(形状測定機)10は、インデックス回転テーブル(テーブル,回動機構,相対移動機構)12と、粗さセンサー14と、タイマーサンプリング手段16と、コンピュータ17のデータ処理機構18と、を備える。
ここで、前記インデックス回転テーブル12は、例えばテーブル及び回動機構としての機能を持つ。前記テーブルは、表面粗さの評価対象面を持つ円筒形状ワーク(断面形状が部分円ないし完全円の評価対象面を持つワーク)が載置される。前記回動機構は、ワーク上の粗さセンサー位置がワークの評価対象面に沿って走査されるように、テーブルと粗さセンサーとを相対的に回転(移動)させ、その回転角度(相対移動量)を角度分解能Δθピッチ(移動分解能Δθピッチ)で、インデックス角度情報(インデックス移動量情報)として出力する。
【0037】
本実施形態においては、前記インデックス回転テーブル12が、基台20に対し円筒形状ワーク22を回転自在に載置する。前記インデックス回転テーブル12は、基台20に対する回転角度を角度分解能Δθピッチでインデックス角度情報として出力する。
また、前記粗さセンサー14は、前記インデックス回転テーブル12に載置された円筒形状ワーク22の評価対象面の断面形状を検出し、その断面形状情報を含む測定データを出力する。
【0038】
前記タイマーサンプリング手段16は、前記粗さセンサー14からの測定データを、インデックス回転テーブル12よりも高速の一定時間間隔tでタイマーサンプリングする。
つまり、前記タイマーサンプリング手段16は、粗さセンサー14からの測定データを、インデックス回転テーブル12が角度幅(移動幅,移動分解能)Δθ回転(移動)するのに要する時間よりも短い一定時間間隔tでタイマーサンプリングする。
前記データ処理機構18は、前記インデックス回転テーブル12からのインデックス角度情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段16からの一定時間間隔tの測定データを、角度定ピッチ(間隔定ピッチ)の測定データとする。前記データ処理機構18は、角度定ピッチの測定データに基づき、円筒形状ワーク22の評価対象面の表面粗さを評価する。
【0039】
なお、本実施形態においては、検出器ホルダ24を備えている。
前記検出器ホルダ24は、真円度測定機10の真円度検出器に代えて、粗さセンサー14を真円度測定機本体に着脱自在としている。
【0040】
また、本実施形態においては、前記データ処理機構18が、同図(B)に示されるような推定手段26と、定ピッチ化手段28と、評価手段30と、を備える。
【0041】
ここで、前記推定手段26は、同じ値のインデックス角度情報(インデックス移動量情報)を持つ測定データの数、及び該インデックス角度情報を持つ測定データの中での順番に基づき、該インデックス角度情報を持つ各測定データの測定角度位置(測定位置)を推定する。
【0042】
このために前記推定手段26は、時間推定部32と、速度推定部34と、位置推定部36と、を備える。
ここで、前記時間推定部32は、インデックス回転テーブル12からのインデックス角度情報θ(m=0,1,2…)の区間s内に存在する測定データの数n(=1,2…)、及びサンプリング時間間隔tに基づき、角度幅(移動幅)Δθを持つ区間sをインデックス回転テーブル12が回転(移動)するのに要した所要時間t(=n×t)を推定する。
また、前記速度推定部34は、前記時間推定部32で推定された区間sの所要時間t及び該区間sの角度幅Δθに基づいて、区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度(移動速度)ω(=Δθ/t)を推定する。
前記位置推定部36は、前記速度推定部34で推定された区間sでの回転角速度ω、区間s内に存在する測定データの中での順番がi(=1,2…)番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、該区間sにおいて順番が該i番目の測定データの測定角度位置(測定位置)pmi(=θ+ω×it)を推定する。
【0043】
前記定ピッチ化手段28は、前記推定手段28で推定された各測定データの測定角度位置に基づき、タイマーサンプリング手段16で得られた測定データから、角度定ピッチの測定データを得る。
本実施形態においては、角度定ピッチの測定データが得られるように、タイマーサンプリング手段16からの一定時間間隔tの測定データに対して、補間計算を行っている。
【0044】
前記評価手段30は、前記定ピッチ化手段28で得られた角度定ピッチの測定データから、円筒形状ワーク22の評価対象面の表面粗さを評価する。
【0045】
本実施形態にかかる真円度測定機10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
本発明において特徴的なことは、従来、真円度測定の際は真円度測定機、表面粗さ測定の際は表面粗さ測定機というように、従来2つの形状測定機を使用しなければならなかった円筒形状ワークの真円度測定と表面粗さ測定とを、1台の形状測定機で十分に行えるようにしたことである。
本実施形態においては、真円度測定機10のインデックス回転テーブル12を使って、円筒形状ワーク22の表面粗さ測定を適正に行っている。
【0046】
すなわち、本実施形態においては、表面粗さ測定と真円度測定とに要求されるセンサー特性の違いを解消するため、粗さセンサー14を真円度測定機10に、検出器ホルダ24を用いて装着している。
そして、粗さセンサー14が円筒形状ワーク22にセットされ、インデックス回転テーブル12が回転すると、粗さセンサー14のプローブは、円筒形状ワーク22の凹凸に沿って変位する。この変位を粗さセンサー14で電気信号に変換し、タイマーサンプリング手段16でAD変換して数値化した測定データを得る。タイマーサンプリング手段16によるタイマーサンプリングで得られた測定データは、インデックス回転テーブル12からのインデックス角度情報と共にデータ処理機構18に送られる。
【0047】
データ処理機構18では、真円度測定機10を使った円筒形状ワーク22の表面粗さ測定を適正に行うためのデータ処理を行っている。
【0048】
ここで、現行の真円度測定機に採用されているインデックス回転テーブルの角度分解能では、表面粗さ評価の際に要求される非常に小さな測定ピッチを実現することができないため、角度サンプリングではなく、タイマーサンプリングにより対処している。
また表面粗さ測定では、ディジタルフィルタ処理のため、定ピッチデータ取得が必須であることから、回転テーブルの回転速度が十分安定した状態で測定を行っている。
【0049】
しかしながら、特に部分円測定では、回転速度の安定待ちができないこと、全周測定で回転速度が安定後に測定を開始してもインデックス回転テーブルでは回転ムラが比較的大きいことから、タイマーサンプリングによって得られるデータは長さに関して定ピッチではなく、また回転ムラの影響を受けているため、このままでは円筒形状ワークの表面性状を正しく反映していない。
【0050】
そこで、本実施形態では、真円度測定機10を使って、円筒形状ワーク22の表面粗さ測定を適正に行うため、表面粗さ評価の際に要求される非常に小さなサンプリングピッチかつ長さに関して定ピッチの測定データとするデータ処理、さらにインデックス回転テーブル12の回転ムラの影響を最小限に抑えるデータ処理を行っている。
【0051】
まず本実施形態では、推定手段26による推定工程を行う。
すなわち、推定工程では、同じ値のインデックス角度情報を持つ測定データの数、及び該インデックス角度情報を持つ測定データの中での順番に基づき、該インデックス角度情報を持つ各測定データの測定角度位置を推定している。
【0052】
前記推定後、本実施形態では、定ピッチ化手段28による定ピッチ化工程を行う。
すなわち、前記定ピッチ化工程では、前記推定工程で推定された各測定データの測定角度位置に基づき、タイマーサンプリング手段16で得られた測定データから、角度定ピッチの測定データを得ている。
【0053】
前記定ピッチ化後、本実施形態では、評価手段30による評価工程を行う。
すなわち、前記評価工程では、前記定ピッチ化工程で得られた角度定ピッチの測定データから、円筒形状ワーク22の評価対象面の表面粗さを評価している。
【0054】
このように本実施形態では、タイマーサンプリングとインデックスサンプリングとを同時に行い、インデックスサンプリングに基づいてタイマーサンプリング手段で得られた測定データを角度定ピッチのデータに近似している。このため本実施形態では、回転テーブルが加減速状態で測定される部分円の表面粗さ測定であっても、これを適正に行うことができる。
【0055】
次に前記各データ処理について、より具体的に説明する。
本実施形態において、データ処理には、以下の測定データを用いている。
すなわち、真円度測定機10では、回転テーブルとしてインデックス回転テーブル12を用いているが、測定データを取得するタイミングは、より小さいサンプリングピッチを得るため、角度サンプリングでなく、タイマーサンプリングを用いている。
インデックス回転テーブル12でのタイマーサンプリングによる測定データには、インデックス回転テーブル12から得られる回転角度情報がインデックス角度情報として付加されている。例えば分解能Δθのインデックス回転テーブル12を使って、サンプリング時間間隔tでタイマーサンプリングされた測定データ点列は、Δθピッチの回転角度情報、つまりインデックス角度情報を持つ。
【0056】
図2には、インデックス回転テーブル12でのタイマーサンプリングで取得された測定データの一例が示されている。
図3には、インデックス回転テーブル12でのタイマーサンプリングで取得された測定データの説明図が示されている。同図(A)は円筒状ワーク22形状に対応させて、タイマーサンプリングで取得された測定データをプロットした図、同図(B)は同様の測定データを表にした図である。
【0057】
データ処理機構18は、このような測定データの取込み終了後、以下の推定工程を行う。
本実施形態においては、推定工程として、以下の時間推定工程、速度推定工程、角度推定工程を行う。
【0058】
時間推定
時間推定部32は、以下の時間推定工程を行う。
<区間sの所要時間t
区間sの所要時間tの推定工程は、以下の通りである。
(1)インデックス角度情報θ(m=0,1,2…)を持つ測定データを抽出する。
(2)抽出された測定データの数nを求める。
(3)求められた測定データ数n(=1,2…)、サンプリング時間間隔t、該インデックス角度情報θの区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、インデックス回転テーブル12が角度幅Δθを持つ区間sを回転するのに要した所要時間t(=n×t)を推定する。
【0059】
次に、各区間の所要時間について、図3を参照しつつ、より具体的に説明する。
<区間sの所要時間>
区間sの所要時間tの推定工程は、以下の通りである。
(1)インデックス角度情報θを持つ測定データ(データ番号0,1,2,3)を抽出する。
(2)抽出された測定データ(データ番号0,1,2,3)の数n(=4)を求める。
(3)求められた測定データ数n(=4)、サンプリング時間間隔t、及びインデックス角度情報θの区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、インデックス回転テーブル12が角度幅Δθを持つ区間sを回転するのに要した所要時間t(=4×t)を推定する。
【0060】
<区間sの所要時間>
区間sの所要時間tの推定工程は、以下の通りである。
(1)インデックス角度情報θを持つ測定データ(番号4,5)を抽出する。
(2)抽出された測定データ(番号4,5)の数n(=2)を求める。
(3)求められた測定データ数n(=2)、サンプリング時間間隔t、インデックス角度情報θの区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、インデックス回転テーブル12が角度幅Δθを持つ区間sを回転するのに要した所要時間t(=2×t)を推定する。
【0061】
<区間sの所要要時間>
区間sの所要時間tの推定工程は、以下の通りである。
(1)インデックス角度情報θを持つ測定データ(番号6,・・・)を抽出する。
(2)抽出された測定データ(番号6,・・・)の数nを求める。
(3)求められた測定データ数n、サンプリング時間間隔t、インデックス角度情報θの区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、インデックス回転テーブル12が角度幅Δθを持つ区間sを回転するのに要した所要時間t(=n×t))を推定する。
【0062】
このように本実施形態においては、インデックス回転テーブル12でのタイマーサンプリングによる測定データには、インデックス回転テーブル12から得られるインデックス角度情報が付加されている。本実施形態においては、インデックス回転テーブル12が角度幅Δθ進むのに要した時間tを、同じ値のインデックス角度情報を持つ測定データの数n×サンプリング時間間隔tとして見積もることができる。
なお、本実施形態においては、コンピュータ17からのトリガー信号により、インデックス回転テーブル12によるインデックス角度情報のインデックスサンプリングの開始と、タイマーサンプリング手段16による粗さセンサー14の出力のタイマーサンプリングの開始とを同時に行っている。
【0063】
速度推定
前記所要時間の推定終了後、速度推定部34は、以下の速度推定工程を行う。
<区間sの回転角速度>
区間sの回転角速度ωの推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記時間推定工程で推定された区間sの所要時間t、及び区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、該区間sにおけるインデックス回転テーブル12の回転角速度ω(=Δθ/t)を推定する。
【0064】
次に、各区間の回転角速度について、図3を参照しつつ、より具体的に説明する。
<区間sの回転角速度>
区間sの回転角速度ωの推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記時間推定工程で推定された区間sの所要時間t、及び区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、区間sにおけるインデックス回転テーブル12の回転角速度ω(=Δθ/t)を推定する。
【0065】
<区間sの回転角速度>
区間sの回転角速度ωの推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記時間推定工程で推定された区間sの所要時間t、及び区間sの持つ角度幅Δθに基づいて、区間sにおけるインデックス回転テーブル12の回転角速度ω(=Δθ/t)を推定する。
【0066】
<区間sの回転角速度>
区間sの回転角速度ωの推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記時間推定工程で推定された区間sの所要時間t、及び区間sの角度幅Δθに基づいて、区間sにおけるインデックス回転テーブル12の回転角速度ω(=Δθ/t)を推定する。
【0067】
このように本実施形態においては、角度幅Δθの微小区間におけるインデックス回転テーブル12の回転角速度ωを、測定データ点列から、ω=Δθ/tとして推定することができる。
【0068】
位置推定
前記回転角速度の推定終了後、位置推定部36は、以下の位置推定を行う。
<推定角度位置pmi
区間s内に存在する測定データの中での順番がi番目の測定データの測定角度位置pmi(=θ+ω×it)の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、インデックス角度情報θの区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、区間s内に存在する測定データの中での順番がi番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、インデックス角度情報θの区間sにおいて順番がi番目の測定データの測定角度位置pmi(=θ+ω×it)を推定することができる。
【0069】
次に、各データの測定角度位置の推定について、図3を参照しつつ、より具体的に説明する。
<データ(番号0)の角度位置>
インデックス角度情報θの区間sでの順番が0番目の測定データ(図中、番号0)の測定角度位置p00の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、速度推定部34で推定された区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、区間sでの順番が0番目であること、サンプリング時間間隔tに基づき、該区間sでの順番が0番目の測定データ(図中、番号0)の測定角度位置p00(=ω×0t)を推定することができる。例えばこの測定角度位置p00の値は0である。この値を基準に以下の測定角度位置を推定することができる。
【0070】
<データ(番号1)の角度位置>
前記区間sでの順番が1番目の測定データ(図中、番号1)の測定角度位置p01の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、該測定データ(図中、番号1)は区間sでの順番が1番目であること、サンプリング時間間隔tに基づき、該区間sでの順番が1番目の測定データ(図中、番号1)の測定角度位置p01(=ω×1t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0071】
<データ(番号2)の角度位置>
前記区間sでの順番が2番目の測定データ(図中、番号2)の測定角度位置p02の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、測定データ(図中、番号2)は区間sでの順番が2番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、該区間sでの順番が2番目の測定データ(図中、番号2)の測定角度位置p02(=ω×2t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0072】
<データ(番号3)の角度位置>
前記区間sでの順番が3番目の測定データ(図中、番号3)の測定角度位置p03の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、測定データ(図中、番号3)は区間sでの順番が3番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、区間sでの順番が3番目の測定データ(図中、番号3)の測定角度位置p03(=ω×3t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0073】
<データ(番号4)の角度位置>
インデックス角度情報θの区間sでの順番が1番目の測定データ(図中、番号4)の測定角度位置p11の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、測定データ(図中、番号4)は区間sでの順番が1番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、区間sでの順番が1番目の測定データ(図中、番号4)の測定角度位置p11(=θ+ω×1t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0074】
<データ(番号5)の角度位置>
前記区間sでの順番が2番目の測定データ(図中、番号5)の測定角度位置p12の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、測定データ(図中、番号5)は区間sでの順番が2番目であること、サンプリング時間間隔tに基づき、区間sでの順番が2番目の測定データ(図中、番号5)の測定角度位置p12(=θ+ω×2t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0075】
<データ(番号6)の角度位置>
インデックス角度情報θの区間sでの順番が1番目の測定データ(図中、番号6)の測定角度位置p21の推定工程は、以下の通りである。
すなわち、前記区間sでのインデックス回転テーブル12の回転角速度ω、測定データ(図中、番号6)は区間sでの順番が1番目であること、及びサンプリング時間間隔tに基づき、区間sでの順番が1番目の測定データの測定角度位置p21(=θ+ω×t)を、前記測定角度位置p00を基準に推定することができる。
【0076】
このように本実施形態においては、各区間の角度幅Δθが十分小さいとすれば、角度幅Δθを持つ各区間でのインデックス回転テーブル12の回転は等速であると考えることができる。このためインデックス角度情報から、該インデックス角度情報の区間内に存在する測定データの測定角度位置を推定することができる。
なお、本実施形態においては、各区間におけるインデックス回転テーブル12の角速度から、インデックス回転テーブル12の角加速度を推定することができるので、測定角度位置の推定の際に、インデックス回転テーブル12の角加速度を使うこともできる。
【0077】
定ピッチ化
図4には、タイマーサンプリング手段16からの測定データの測定値を、前記推定工程で推定された各測定データの測定角度位置に対してプロットした図が示されている。
ここで、前記推定工程で推定された測定角度位置のままでは、角度定ピッチの測定データ点列になっていない。
【0078】
そこで、本実施形態においては、前記推定工程の終了後、定ピッチ化工程により、各サンプル点(タイマーサンプリング手段からの測定データ点)での測定角度位置に基づき、時間定ピッチのデータ点列を、角度定ピッチのデータ点列にしている。
本実施形態においては、時間定ピッチの測定データ点列を角度定ピッチの測定データ点列にするため、線形補間、多項式近似による補間等の補間手法を使って、測定角度位置の測定データ間の補完を行い、補間データ値を得ている。
図5には本実施形態の定ピッチ化工程で得られた定ピッチ補間データ値を、測定角度位置に対してプロットした図が示されている。
【0079】
評価
本実施形態の評価手段では、図5に示されるような角度定ピッチのデータ点列から、表面粗さ評価のためのパラメータを算出する。
すなわち、本実施形態では、評価工程により、角度定ピッチのデータを用いて表面粗さパラメータを求めている。本実施形態においては、定ピッチ化手段82からのデータのうち、周期の長い成分をフィルタで除去し、周期の短い表面粗さ成分を取り出し、表面粗さパラメータを算出している。
【0080】
このように本実施形態においては、検出器ホルダ24で真円度測定機10に粗さセンサー14を装着し、インデックス回転テーブル12によるインデックスサンプリングとタイマーサンプリング手段16によるタイマーサプリングとを同時に行い、得られたデータに対し本実施形態において特徴的なデータ処理を行う。
この結果、本実施形態においては、真円度測定機10のインデックス回転テーブル12を使って、表面粗さ測定データの取得を行うことができる。
また本実施形態においては、インデックス回転テーブル12の回転安定待ちの必要がなく、部分円表面粗さ測定を行うこともできる。
また本実施形態においては、インデックス回転テーブル12の回転ムラの影響を最小限に抑えたデータ処理を行うことができる。
また本実施形態においては、長さ(角度)に関して定ピッチのデータを取得することができる。
【0081】
以上のように本実施形態においては、表面粗さ評価の際に要求される非常に小さなサンプリングピッチかつ長さに関して定ピッチのデータ処理を実現し、さらに回転ムラの影響を最小限に抑えたデータ処理を実現することができる。
したがって、本実施形態においては、前記非常に小さなサンプリングピッチかつ角度定ピッチの測定データを使って、表面粗さ測定を行うことができるので、表面粗さ測定を適正に行うことができる。
これにより、本実施形態においては、従来極めて困難であった、真円度測定機の回転テーブルの回転測定により、円筒形状ワークの表面粗さ測定を、適正に行うことができる。
【0082】
<真円度測定>
また本実施形態においては、円筒形状ワークの真円度と表面粗さとを一台の真円度測定機10で検証することができる。
すなわち、本実施形態においては、粗さセンサー14を真円度測定機10に検出器ホルダ24で装着し、表面粗さ測定プログラムを実行することで、表面粗さ測定を行うこととしたが、粗さセンサーで測定されたデータに対して、真円度評価を行うこともできる。
さらに、本実施形態においては、真円度測定を適正に行うこともできる。すなわち、本実施形態において、真円度測定の際は、検出器ホルダ24に真円度検出器を装着し、真円度測定プログラムを使用する。本実施形態において、例えばデータ処理機構では、真円度測定プログラムに従って、真円度検出器からの測定断面曲線データのうち、周期の短い表面粗さ成分をフィルタで除去し、周期の長い成分を取り出し、真円度評価のためのパラメータを算出する。
【0083】
<回動機構>
前記構成では、粗さセンサー14に対しインデックス回転テーブル12を回転させた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、インデックス回転テーブル12に対し粗さセンサー14を回転させる回動機構にも適用することができる。
【0084】
第二実施形態
前記構成では、形状測定機として、回動機構を備えた真円度測定機を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲であれば、直動機構を備えた形状測定機、例えば表面粗さ測定機、輪郭形状測定機、三次元測定機等にも、本発明を適用することが好ましい。
以下に、直動機構を備えた形状測定機として、下記の表面粗さ測定機、輪郭形状測定機、三次元測定機を用いた例について説明する。
【0085】
<表面粗さ測定機>
表面粗さ測定機においても、より精密な粗さ測定を行うためには、本発明の、インデックス移動量情報の検出と、タイマーサンプリングと、長さ定ピッチの測定データを得るデータ処理との組み合わせを適用することが好ましい。表面粗さ測定機としては、例えば特開平5−71952号公報に記載のものを用いることができる。
【0086】
図6には、本発明の他の実施形態にかかる表面粗さ測定機の概略構成が示されている。同図(A)は表面粗さ測定機の概略構成の斜視図、同図(B)は該表面粗さ測定機の要部のブロック図である。前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す表面粗さ測定機(形状測定機)110は、粗さセンサー114を備えている。
また、本発明の相対移動機構としては、表面粗さ測定機110の送り装置(直動機構)112を含む。前記送り装置112は、モータ140と、ロータリーエンコーダ(X軸検出器)142と、を含む。
前記モータ140は、粗さセンサー114をX軸方向(測定軸方向)へ直線移動させるためのものとする。
前記ロータリーエンコーダ(X軸検出器)142は、粗さセンサー114をX軸方向へ移動させた際の移動量を検出するためのものとする。ロータリーエンコーダ142は、粗さセンサー114のX軸方向への移動量を、移動分解能Δθピッチで、インデックス移動量情報として出力する。
そして、データ処理機構118は、送り装置112からのインデックス移動量情報に基づき、タイマーサンプリング手段116からの一定時間間隔の測定データから、長さ定ピッチの測定データを得ている。データ処理機構118は、長さ定ピッチ(間隔定ピッチ)の測定データに基づき、ワーク122の評価対象面の表面粗さを評価する。
なお、同図においては、Y軸テーブル111上にワーク122が載置されている。
【0087】
<データ処理機構>
また、同図においては、データ処理機構118が、推定手段126と、定ピッチ化手段128と、評価手段130と、を備える。
ここで、推定手段126は、同じ値のインデックス移動量情報を持つ測定データの数、及び該インデックス移動量情報を持つ測定データの中での順番に基づき、該インデックス移動量情報を持つ各測定データの測定位置を推定する。
また定ピッチ化手段128は、推定手段126で推定された各測定データの測定位置に基づき、タイマーサンプリング手段で得られた一定時間間隔の測定データから、長さ定ピッチの測定データを得ている。
評価手段130は、定ピッチ化手段128で得られた長さ定ピッチの測定データに基づいて、ワーク122の評価対象面の表面粗さを評価する。
【0088】
<推定手段>
また、同図においては、推定手段126が、時間推定部132と、速度推定部134と、位置推定部136と、を備える。
ここで、時間推定部132は、インデックス移動量情報θ(m=0,1,2…)の区間s内に存在する測定データの数n(=1,2…)、及びサンプリング時間間隔tに基づき、移動幅Δθを持つ該区間sを直線移動するのに要した所要時間t(=n×t)を推定する。
速度推定部134は、時間推定部132で推定された区間sの所要時間t及び該区間sの持つ移動幅Δθに基づいて、該区間sでの直線移動速度ω(=Δθ/t)を推定する。
位置推定部136は、速度推定部134で推定された区間sでの直線移動速度ω、該区間s内に存在する測定データの中での順番がi(=1,2…)番目であること、及び前記サンプリング時間間隔tに基づき、該区間sにおいて順番が該i番目の測定データの測定位置pmi(=θ+ω×it)を推定する。
【0089】
このように粗さセンサー114を備えている表面粗さ測定機110においても、相対移動機構としての送り装置112、タイマーサンプリング手段116、及びデータ処理機構118を組み合せることにより、より精密な粗さ測定を行うことができる。
【0090】
すなわち、表面粗さ測定機110では、例えば粗さセンサー114をX軸方向へ移動させた際の移動量はロータリーエンコーダ142等のX軸検出器で検出される。
ここで、粗さ測定を可能とするためには、X軸検出器として高分解能のものを用い、X軸方向の分解能を高くすることにより、より精密な粗さ測定が可能になる。
X軸方向の分解能を高くする必要がある理由は、微小凹凸を測定する粗さ測定では、X軸方向の凹凸間隔も微小であり、この微小間隔をデータとして十分にサンプリング可能とする必要があるためである。この場合、粗さセンサー114の出力とロータリーエンコーダ142の出力とを対とするデータ列がサンプリングされ、このデータ列から各種の粗さパラメータが計算される。
【0091】
しかしながら、X軸検出器として高分解能のものを用いたのでは、非常に高価なため、低い分解能のX軸検出器であっても、精密な粗さ測定を行いたいとの要望が多い。
【0092】
このような要望に応えるため、同図においては、送り装置112と、タイマーサンプリング手段116と、データ処理機構118との組み合せを採用している。これにより、X軸検出器の分解能が低くても良く、精密な表面粗さ測定機を、低価格で製造することができる。
【0093】
なお、前記構成では、X軸検出器として、ロータリーエンコーダ142を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、リニアエンコーダを用いても、ロータリーエンコーダ142を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、同図においては、Y軸テーブル111等のY軸駆動機構144を備えているが、前記X軸方向の粗さ測定を行う場合には必須でなく、前記X軸と直交するY軸方向の粗さ測定を行う場合は、送り装置112等のX軸駆動機構を停止状態とし、Y軸駆動機構144によりY軸方向へ粗さセンサーを相対移動させても、本発明の表面粗さ測定を実施することができる。
さらに、X軸駆動機構とY軸駆動機構とを同時2軸制御して任意方向の表面粗さ測定を実施しても良い。
【0095】
<輪郭形状測定機>
輪郭形状測定機の輪郭検出器は、粗さセンサーに比較し測定範囲が広いが、分解能は低い。また、X軸検出器の分解能も低いものが用いられている。このため、一般的な輪郭形状測定機は、0.1μm以下程度の分解能が必要な粗さ測定には適していない。
このような輪郭形状測定機においても、輪郭検出器に代えて粗さセンサーを用い、かつ本発明の表面粗さ測定を実施することにより、輪郭形状測定機を用いて、精密な表面粗さ測定を行うことができる。
以下に、精密な表面粗さ測定を行うことができる輪郭形状測定機について、具体的に説明する。
【0096】
図7には、本発明の他の実施形態にかかる輪郭形状測定機の概略構成が示されている。同図(A)は輪郭形状測定機の概略構成の斜視図、同図(B)は該輪郭形状測定機の要部のブロック図である。前記図6と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す輪郭形状測定機(形状測定機)210は、前記図6に示した表面粗さ測定機110とほほ類似の基本構成をもち、輪郭形状測定機210の輪郭検出器に代えて、粗さセンサー214を用いている。
同図においては、輪郭形状測定機210の輪郭検出器に代えて、粗さセンサー214を、輪郭形状測定機210の本体に着脱自在とする検出器ホルダ224を備える。
また、直動機構としては、輪郭形状測定機210の送り装置212を用いている。
【0097】
そして、同図においては、本発明の表面粗さ測定を実施することにより、低い分解能のリニアエンコーダ142等のX軸検出器を備えた輪郭形状測定機210を用いても、精密な表面粗さ測定を行うことができる。
【0098】
<三次元測定機>
また、三次元測定機におけるX軸スケール、Y軸スケール、Z軸スケールの分解能は、輪郭形状測定機と同程度の1μm程度である。このため、一般的な三次元測定機は、0.1μm以下程度の分解能が必要な粗さ測定には適していない。
このような三次元測定機においても、Z軸スピンドル先端部の検出器を粗さセンサーに交換し、本発明の表面粗さ測定を実施することにより、三次元測定機を用いても、精密な表面粗さ測定を行うことができる。三次元測定機としては、例えば特開2003−50124号公報等に記載のものを用いることができる。
以下に、精密な表面粗さ測定を行うことができる三次元測定機について、より具体的に説明する。
【0099】
図8には、本発明の他の実施形態にかかる三次元測定機の概略構成が示されている。同図(A)は三次元測定機の概略構成の斜視図、同図(B)は該三次元測定機の要部のブロック図である。前記図6と対応する部分には符号200を加えて示し説明を省略する。
同図に示す三次元測定機(形状測定機)310は、三次元測定機310の検出器に代えて、粗さセンサー314を用いている。
同図においては、粗さセンサー314を、三次元測定機310の本体に着脱自在とするための検出器ホルダ324として、Z軸スピンドルを用いている。
また、前記直動機構312としては、三次元測定機310の案内(以下、案内312という)と、コラム349等を含む。案内312は、粗さセンサー314をY軸方向へ送り移動するための駆動機構350等を含む。これによりワーク322上の粗さセンサー314位置をY軸方向に相対移動している。また、三次元測定機310の案内312は、案内312の移動量を求めるY軸スケール354を含む。
同図では、三次元測定機310のY軸スケール354を、粗さセンサー314のY軸方向への移動量を求めるY軸検出器として用いている。Y軸スケール354は、粗さセンサー314のY軸方向への移動量を、移動分解能Δθピッチで、インデックス移動量情報として出力している。
【0100】
そして、同図においては、本発明の表面粗さ測定を実施することにより、低い分解能のY軸スケール354を備えた三次元測定機310を用いても、より精密な表面粗さ測定を行うことができる。
この三次元測定機310においては、Y軸方向への移動によってY軸方向の表面粗さ測定を行う例を示したが、これに限らず、X軸方向あるいはZ軸方向への移動をX軸検出器あるいはZ軸検出器によって検出し、X軸方向あるいはZ軸方向の表面粗さ測定を実施することもできる。
さらに、X軸、Y軸、Z軸を同時2軸あるいは同時3軸で移動させて任意方向の表面粗さ(平面の表面粗さあるいは曲面の表面粗さ)の測定を実施することもできる。
なお、同図においては、テーブル311上にワーク322が載置されている。
【0101】
このように本実施形態にかかる直動機構を備えた形状測定機によれば、回動機構を用いたものと同様、インデックス移動量情報を得るための相対移動機構、及びタイマーサンプリング手段を用いて、粗さ評価として十分小さく、かつ長さ定ピッチの測定データを得ることとしたので、X軸検出器(測定軸検出器)の分解能が粗さ評価に必要なX軸分解能(測定軸分解能)よりも低くても、より精密な表面粗さ測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施形態にかかる形状測定機(真円度測定機)の概略構成の説明図である。
【図2】本実施形態にかかる形状測定機で得られた測定データ値をインデックス回転テーブルからのインデックス角度情報に対してプロットした図である。
【図3】本実施形態にかかる形状測定機のインデック回転ステーブルでのタイマーサンプリングによる測定データの説明図である。
【図4】本実施形態にかかる形状測定機で得られた測定データ値を推定測定角度位置に対してプロットした図である。
【図5】本実施形態で得られた定ピッチ補間データ値を推定測定角度位置に対してプロットした図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる形状測定機(表面粗さ測定機)の概略構成の説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる形状測定機(輪郭形状測定機)の概略構成の説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる形状測定機(三次元測定機)の概略構成の説明図である。
【符号の説明】
【0103】
10 真円度測定機(形状測定機)
110 表面粗さ測定機(形状測定機)
210 輪郭形状測定機(形状測定機)
310 三次元測定機(形状測定機)
111 表面粗さ測定機のテーブル
211 輪郭形状測定機のテーブル
311 三次元測定機のテーブル
12 インデックス回転テーブル(回動機構,相対移動機構)
112 表面粗さ測定機の直動機構(相対移動機構)
212 輪郭形状測定機の直動機構(相対移動機構)
312 三次元測定機の直動機構(相対移動機構)
14,114,214,314 粗さセンサー
16,116,216,316 タイマーサンプリング手段
18,118,218,318 データ処理機構
24,124,224,324 検出器ホルダ
26,126,226,326 推定手段
28,128,228,328 定ピッチ化手段
30,130,230,330 評価手段
32,132,232,332 時間推定部
34,134,234,334 速度推定部
36,136,236,336 位置推定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面粗さの評価対象面を持つワークが載置されるテーブルと、
前記テーブルに載置されたワークの評価対象面の断面形状を検出し、その断面形状情報を含む測定データを出力する粗さセンサーと、
前記ワーク上の前記粗さセンサー位置が前記評価対象面に沿って相対移動するように、該テーブルと該粗さセンサーとを相対移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチでインデックス移動量情報として出力する相対移動機構と、
前記粗さセンサーからの測定データを、前記相対移動機構が移動分解能Δθ移動するのに要する時間よりも短い一定時間間隔tでサンプリングするタイマーサンプリング手段と、
前記相対移動機構からのインデックス移動量情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔tの測定データを、間隔定ピッチの測定データとし、該間隔定ピッチの測定データに基づき、ワークの評価対象面の表面粗さを評価するデータ処理機構と、
を備え、前記データ処理機構が、前記相対移動機構の移動分解能Δθピッチよりも小さく、かつ粗さ評価のための十分小さな、前記間隔定ピッチの測定データを得ることを特徴とする形状測定機。
【請求項2】
請求項1記載の形状測定機において、
前記移動分解能Δθピッチは、角度分解能Δθピッチであり、
前記インデックス移動量情報は、インデックス角度情報であり、
前記間隔定ピッチの測定データは、角度定ピッチの測定データであり、
また、前記相対移動機構として、前記テーブルと前記粗さセンサーとを相対的に回転運動させ、その回転角度を前記角度分解能Δθピッチで前記インデックス角度情報として出力する回動機構を用い、
前記データ処理機構は、前記回動機構からのインデックス角度情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔tの測定データを、前記角度定ピッチの測定データとし、該角度定ピッチの測定データに基づき、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価することを特徴とする形状測定機。
【請求項3】
請求項2記載の形状測定機において、
真円度測定機の真円度検出器に代えて、前記粗さセンサーを用い、
前記テーブル及び前記回動機構として、真円度測定機のインデックス回転テーブルを用い、
前記真円度測定機のインデックス回転テーブルは、基台に対し前記ワークを回転自在に載置し、該基台に対する回転角度を前記角度分解能Δθピッチで前記インデックス角度情報を出力することを特徴とする形状測定機。
【請求項4】
請求項1記載の形状測定機において、
前記移動分解能Δθピッチは、直線移動に関する移動分解能Δθピッチであり、
前記インデックス移動量情報は、直線移動に関するインデックス移動量情報であり、
前記間隔定ピッチの測定データは、直線移動に関する長さ定ピッチの測定データであり、
また、前記相対移動機構として、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置が評価対象面に沿って相対移動するように、前記テーブルと前記粗さセンサーとを相対的に直線移動させ、その相対移動量を、前記移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力する直動機構を用い、
前記データ処理機構は、前記直動機構からのインデックス移動量情報に基づき、前記タイマーサンプリング手段からの一定時間間隔tの測定データを、長さ定ピッチの測定データとし、該長さ定ピッチの測定データに基づき、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価することを特徴とする形状測定機。
【請求項5】
請求項4記載の形状測定機において、
前記直動機構として、表面粗さ測定機の直動機構を用い、
前記表面粗さ測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することを特徴とする形状測定機。
【請求項6】
請求項4記載の形状測定機において、
輪郭形状測定機の輪郭検出器に代えて、前記粗さセンサーを用い、
前記直動機構として、前記輪郭形状測定機の直動機構を用い、
前記輪郭形状測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することを特徴とする形状測定機。
【請求項7】
請求項4記載の形状測定機において、
三次元測定機の検出器に代えて、前記粗さセンサーを用い、
前記直動機構として、前記三次元測定機の直動機構を用い、
前記三次元測定機の直動機構が、前記ワーク上の前記粗さセンサー位置を評価対象面に沿って相対的に直線移動させ、その相対移動量を移動分解能Δθピッチで前記インデックス移動量情報として出力することを特徴とする形状測定機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の形状測定機において、
前記データ処理機構は、同じ値のインデックス移動量情報を持つ測定データの数、及び該インデックス移動量情報を持つ測定データの中での順番に基づき、該インデックス移動量情報を持つ各測定データの測定位置を推定する推定手段と、
前記推定手段で推定された各測定データの測定位置に基づき、前記タイマーサンプリング手段で得られた一定時間間隔tの測定データから、間隔定ピッチの測定データを得る定ピッチ化手段と、
前記定ピッチ化手段で得られた間隔定ピッチの測定データから、前記ワークの評価対象面の表面粗さを評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする形状測定機。
【請求項9】
請求項8記載の形状測定機において、
前記推定手段は、前記インデックス移動量情報θ(m=0,1,2…)の区間s内に存在する測定データの数n(=1,2…)、及び前記サンプリング時間間隔tに基づき、移動幅Δθを持つ該区間sを移動するのに要した所要時間t(=n×t)を推定する時間推定部と、
前記時間推定部で推定された区間sの所要時間t及び該区間sの持つ移動幅Δθに基づいて、該区間sでの移動速度ω(=Δθ/t)を推定する速度推定部と、
前記速度推定部で推定された区間sでの移動速度ω、該区間s内に存在する測定データの中での順番がi(=1,2…)番目であること、及び前記サンプリング時間間隔tに基づき、該区間sにおいて順番が該i番目の測定データの測定位置pmi(=θ+ω×it)を推定する位置推定部と、
を備えたことを特徴とする形状測定機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の形状測定機において、
前記粗さセンサーを形状測定機本体に着脱自在とする検出器ホルダを備えたことを特徴とする形状測定機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−155696(P2007−155696A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167230(P2006−167230)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】