説明

復帰安全確認方法及びガス遮断弁装置

【課題】復帰安全確認動作時間を従来より短くして弁開までの時間を短縮することができる復帰安全確認方法及びガス遮断弁装置を提供すること。
【解決手段】復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果を記憶する記憶手段12と、復帰安全確認動作時に、記憶手段12に記憶されている漏洩検査の結果が漏洩ありかなしかを判定する第1の判定手段11aと、第1の判定手段11aによる判定結果が漏洩ありの場合に、第1の検査時間を有する第1の漏洩検査を実行する第1の漏洩検査手段11bと、第1の判定手段11aによる判定が漏洩なしの場合に、第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査を実行する第2の漏洩検査手段11cと、記憶手段12に記憶されている漏洩検査の結果を第1の漏洩検査の結果で更新すると共に、第1または第2の漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に遮断弁14を弁開状態に復帰させる制御手段11dとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給異常等に起因するガス供給の遮断後にガス供給を復帰する際の安全を確認する復帰安全確認方法及び該方法を実施するガス遮断弁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス供給異常等に起因するガス供給の遮断後にガス供給を復帰する際の安全を確認する復帰安全確認する場合、従来のガス遮断弁装置では、復帰する際にガス漏洩の有無を検査するためにダイヤフラム式圧力スイッチ等の圧力スイッチによって圧力を監視しているものがある(たとえば、特許文献1参照。)。結果としては圧力低下の有無のみの判断をし、漏洩検査を行っている。
【特許文献1】特開昭52−116941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のガス遮断弁装置では、ガスの漏洩量までは把握できない。これを改善するために、圧力スイッチではなく圧力センサを用いてガスの漏洩量の判断ができるようにすることが考えられる。
【0004】
しかし、この場合は、ガスの漏洩量を把握できるメリットを持つ反面、その判断を行うには非常に長い時間を要するというデメリットも併せ持つ。結果的に、遮断弁を弁開使用とした時、漏洩検査を圧力監視にて実施するため、ガスを使用できるまでに長時間待機しなくてはならず、非常に使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑み、圧力監視に基づいて復帰安全確認を行う場合に復帰安全確認動作時間を従来より短くして弁開までの時間を短縮することができる復帰安全確認方法及び該方法を実施するガス遮断弁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、ガス流路に設けられた遮断弁の遮断を復帰させる際に、圧力センサによる前記遮断弁の下流側のガス圧力の圧力測定によって漏洩検査を実行し、該漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に遮断弁を弁開状態に復帰させる復帰安全確認動作を行う復帰安全確認方法であって、復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果を記憶し、復帰操作時に、前記記憶されている漏洩検査の結果が漏洩ありかなしかを判定し、前記判定が漏洩ありの場合は、第1の検査時間を有する第1の漏洩検査を行い、前記判定が漏洩なしの場合は、前記第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査を行い、記憶されている前記漏洩検査の結果を前記第1の漏洩検査の結果で更新すると共に、前記第1または第2の漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に前記遮断弁を弁開状態に復帰させることを特徴とする。
【0007】
前記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、ガス流路に設けられた遮断弁14の遮断を復帰させる際に、圧力センサによる前記遮断弁の下流側のガス圧力の圧力測定によって漏洩検査を実行し、該漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に遮断弁を弁開状態に復帰させる復帰安全確認動作を行うガス遮断弁装置であって、前記復帰安全確認動作の最前に行われた前記漏洩検査の結果を記憶する記憶手段12と、前記復帰安全確認動作時に、前記記憶手段12に記憶されている漏洩検査の結果が漏洩ありかなしかを判定する第1の判定手段11aと、前記第1の判定手段11aによる判定結果が漏洩ありの場合に、第1の検査時間を有する第1の漏洩検査を実行する第1の漏洩検査手段11bと、前記第1の判定手段11aによる判定が漏洩なしの場合に、前記第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査を実行する第2の漏洩検査手段11cと、前記記憶手段12に記憶されている前記漏洩検査の結果を前記第1の漏洩検査の結果で更新すると共に、前記第1または第2の漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に前記遮断弁14を弁開状態に復帰させる制御手段11dと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項2記載のガス遮断弁装置において、前記第1の漏洩検査手段は、前記圧力センサにより所定の測定間隔で測定した1回目の初期圧力と2回目以降の測定圧力との差分(P1−P2)と、予め設定された第1の圧力差分しきい値PRを比較して、前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下か否かを判定する第2の判定手段と、前記第2の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下と判定された場合に、前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が予め設定された第1の比較回数しきい値Nに達したか否かを判定する第3の判定手段とを含み、前記第2の漏洩検査手段は、前記圧力センサにより所定の測定間隔で測定した1回目の初期圧力と2回目以降の測定圧力との差分(P1−P2)と、予め設定された第2の圧力差分しきい値PFを比較して、前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下か否かを判定する第4の判定手段と、前記第4の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下と判定された場合に、前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第1の比較回数しきい値Nより少なく予め設定された第2の比較回数しきい値N′に達したか否かを判定する第5の判定手段とを含み、前記制御手段は、前記第3の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が予め設定された第1の比較回数しきい値Nに達したと判定された場合に前記第1の漏洩検査の結果が漏洩なしとして前記遮断弁を弁開状態に復帰させ、前記第5の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PFとの比較回数が予め設定された第2の比較回数しきい値N′に達したと判定された場合に前記第2の漏洩検査の結果が漏洩なしとして前記遮断弁を弁開状態に復帰させることを特徴とする。
【0009】
前記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項3記載のガス遮断弁装置において、前記第1の漏洩検査手段は、さらに、前記第2の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下と判定されなかった場合に、前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が前記第1の比較回数しきい値Nより少なく予め設定された第3の比較回数しきい値A以下か否かを判定する第6の判定手段を含み、前記第2の漏洩検査手段は、さらに、前記第4の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下と判定されなかった場合に、前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第2の比較回数しきい値N′より少なく予め設定された第4の比較回数しきい値A′以下か否かを判定する第7の判定手段を含み、前記制御手段は、前記第6の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が前記第3の比較回数しきい値A以下と判定された場合または前記第7の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第4の比較回数しきい値A′以下と判定された場合にガス漏れ大とし、判定されなかった場合に前記ガス漏れ大より小さいガス漏れであると確認することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜3に記載の発明によれば、復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果が漏洩なしの場合は、復帰安全確認時間が従来より短くなり、遮断弁の弁開までの時間が短縮され、弁開後のガス使用に際し不便さを感じさせず、利便性が向上する。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、ガス漏れが検出された場合に漏洩量を把握することができ、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明の復帰安全確認方法を実施するガス遮断弁装置を含む遮断弁システムを示すブロック図である。
【0013】
図2において、遮断弁システムは、遮断弁コントローラ1及びガス遮断弁装置10から構成されている。遮断弁コントローラ1は、制御部2、操作部3、表示部4、記憶部5及び通信部6を有する。ガス遮断弁装置10は、制御部11、記憶部12、駆動部13、遮断弁14、圧力センサ15及び通信部16を有する。
【0014】
制御部11は、請求項における第1の判定手段(11a)、第1の漏洩検査手段(11b)、第2の漏洩検査手段(11c))、制御手段(11d)、第2の判定手段、第3の判定手段、第4の判定手段、第5の判定手段、第6の判定手段および第7の判定手段として働く。遮断弁14は、図示しないガス機器に接続されているガス流路に挿入されて下流側へのガスの流れを遮断するためのものであり、モータ駆動により弁の開閉が行われるタイプのものである。圧力センサ15は、遮断弁14の下流側のガス圧を検出するためのものである。
【0015】
上述の構成において、遮断弁コントローラ1の制御部2は、遮断弁装置10の遮断弁14を弁閉制御するための遮断要求信号を電文形式で通信部6を介して遮断弁装置10へ送信し、遮断弁装置10は、この遮断要求信号を通信部16で受信し、制御部11は、その受信に応じて駆動部13を制御して遮断弁14を弁閉してガス流路を遮断するように駆動する。
【0016】
また、遮断弁コントローラ1の制御部2は、遮断状態にある遮断弁14を弁開状態に復帰させるための復帰安全確認要求信号を電文形式で通信部6を介してガス遮断弁装置10へ送信し、遮断弁装置10は、この復帰安全確認要求信号を通信部16で受信し、制御部11は、その受信に応じて復帰安全確認動作を行って、駆動部13を制御して遮断弁14を弁開状態に復帰させる。
【0017】
遮断弁装置10の制御部11は、予め定められたプログラムにしたがって図3〜図9のフローチャートに示す処理を行う。
【0018】
遮断弁装置は、遮断弁コントローラ1からの遮断要求(圧力検査なし)信号を受信すると、図3に示す遮断(圧力検査なし)処理を開始し、まず、駆動部13を制御して遮断弁14のモータを弁開状態から弁閉状態になるように駆動し(ステップS1)、次いで、遮断弁14を弁閉駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼し(ステップS2)、次いで処理を終了する。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、弁閉駆動した旨の結果を表示部4に表示する。
【0019】
また、遮断弁装置は、遮断弁コントローラ1からの遮断要求(圧力検査あり)信号を受信すると、図4に示す遮断(圧力検査あり)処理を開始し、まず、駆動部13を制御して遮断弁14のモータを弁開状態から弁閉状態になるように駆動し(ステップS11)、次いで、遮断弁14を弁閉駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS12)。次に、図6及び図7のフローチャートで示す漏洩検査サブルーチンを実行する(ステップS13)。
【0020】
漏洩検査では、まず、アラーム情報が閉駆動完了を示しているか否かを判定し(ステップS29a)、完了していることを示していなければ、次いで、今回の漏洩検査結果を「漏洩検査NG」として記憶部12に記憶し(ステップS29b)、次いで、弁閉できず漏洩検査異常終了として処理を終了する。
【0021】
閉駆動が完了していることを示していれば、次いで、ガス圧が平衡するまでの待機時間Tth1秒(たとえば、5秒)経過したか否かを判定し(ステップS29c)、経過していれば、次いで、圧力センサ15により初期圧力P1を計測するための1回目の圧力計測を行う(ステップS29d)。次に、計測した初期圧力P1を記憶部12に保存する(ステップS29e)。
【0022】
次に、保存した初期圧力が予め決められた第1基準圧力値Pth1(たとえば、800Pa)以上か否かを判定し(ステップS29f)、大きくなければ、次いで、圧力低下及びガス漏れ大で漏洩検査異常終了を意味するアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS29g)。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、カウントダウン中止、ガス圧低下、ガス器具栓開放、ガス管の気密不良、ガス漏れを表示部4に表示する。次に、今回の検査結果を「漏洩検査不可」として記憶部12に保存し(ステップS29h)、次いで、漏れありの漏洩検査異常終了として処理を終了する。
【0023】
初期圧力P1が基準圧力値Pth1以上であれば、次いで、前回圧力計測からt秒(計測間隔;たとえば5秒)経過したか否かを判定し(ステップS29i)、経過していれば、次いで、2回目以降の圧力計測を行う(ステップS29j)。次に、2回目以降の測定した圧力値P2と初期圧力値P1の差分(P1−P2)は予め設定された第1の圧力差分しきい値PR(たとえば、80Pa)以下か否かを判定する(ステップS29k)。差分(P1−P2)が第1の圧力差分しきい値PR以下ならば、次いで、差分(P1−P2)と第1の圧力差分しきい値PRを予め設定された第1の比較回数しきい値としての漏洩検査時比較回数しきい値N回比較したか否かを判定し(ステップS29l)、比較していなければ、次いで、ステップS29iに戻り、比較していれば、次いで、漏れなしとして漏洩検査を正常終了する。
【0024】
一方、ステップS29kで差分(P1−P2)が第1の圧力差分しきい値PR以下でなければ、次いで、差分(P1−P2)と第1の圧力差分しきい値PRの比較回数が予め設定されたA回(A<N)以下か否かを判定する(ステップS29m)。比較回数がA回以下であれば、次いで、アラーム情報フラグ:「ガス漏れ大」を記憶部12に保存する(ステップS29n)。
【0025】
比較回数がA回以下でなければ、次いで、比較回数が予め設定されたB回(A<B<N)以下か否かを判定する(ステップS29q)。比較回数がB回以下であれば、次いで、アラーム情報フラグ:「ガス漏れ中」を記憶部12に保存し(ステップS29r)、B回以下でなければ、次いで、アラーム情報フラグ:「ガス漏れ小」を記憶部12に保存する(ステップS29s)。
【0026】
次に、ステップS29n、S29rまたはS29sで保存されたアラーム情報「ガス漏れ大」、「ガス漏れ中」または「ガス漏れ小」を漏洩検査異常終了として遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS29o)。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、カウントダウン中止、ガス圧低下、ガス器具栓開放、ガス管の気密不良、ガス漏れを表示部4に表示する。次に、今回の検査結果を「漏洩検査NG」として記憶部12に保存し(ステップS29p)、次いで、漏れありの漏洩検査異常終了として処理を終了する。
【0027】
再び図4のメインルーチンに戻って、ステップS13の漏洩検査で漏れなしで正常終了した場合、次いで、漏洩検査の結果を示すアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS14)。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、漏洩検査の終了を表示部4に表示する。次に、今回の漏洩検査の結果を「漏洩検査OK」として記憶部12に記憶し(ステップS15)、次いで、処理を終了する。
【0028】
次に、復帰安全確認処理について説明する。遮断弁コントローラ1からの復帰安全確認要求信号を受信すると、図5に示す復帰安全確認動作を開始し、まず、制御部11は、記憶部12に保存されている前回漏洩検査の結果がOKだったか否かを判定する(ステップS21)。
【0029】
前回漏洩検査の結果がOKでなかった場合、すなわち、NG(検査初期圧力が第1基準圧力値Pth1以上で、圧力比較が行われ、漏洩ありの結果となったことを示す)または不可(検査初期圧力が第1基準圧力値Pth1より小さく、圧力比較が行われなかったことを示しており、この場合も漏洩ありとみなしている)であった場合は、次いで、漏洩検査を行って安全確認を行う旨の安全確認応答を遮断弁コントローラ1へ送信する(ステップS22)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に漏洩検査中と表示すると共に、カウントダウンを開始する。カウントダウン時間は、配管径と配管長により自動算出される。次に、遮断弁14のモータを弁閉状態から弁開状態になるように駆動し(ステップS23)、次いで、遮断弁14を弁開駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS24)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に開駆動結果の表示を行うと共に、駆動結果を受けてカウントダウンの修正を行う。
【0030】
次に、アラーム情報が弁開完了を示しているか否かを判定する(ステップS25)。アラーム情報が弁開完了を示していなければ、次いで、今回の漏洩検査結果を「漏洩検査NG」として記憶部12に記憶し(ステップS26)、次いで、弁開できず漏洩検査異常終了として処理を終了する。
【0031】
アラーム情報が弁開完了を示していれば、次いで、遮断弁14のモータを弁開状態から弁閉状態になるように駆動し(ステップS27)、次いで、遮断弁14を弁閉駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS28)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に閉駆動結果の表示を行うと共に、駆動結果を受けてカウントダウンの修正を行う。
【0032】
次に、図6及び図7のフローチャートで示す第1の検査時間を有する第1の漏洩検査としての漏洩検査サブルーチンを実行する(ステップS29)。ステップS29の漏洩検査で漏れなしで正常終了した場合、次いで、遮断弁14のモータを弁閉状態から弁開状態になるように駆動し(ステップS30)、次いで、遮断弁14を弁開駆動した旨の結果と漏洩検査終了と安全確認終了とのアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS31)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に開駆動結果の表示を行うと共に、カウントダウンの終了を行う。次に、アラーム情報が開駆動完了を示しているか否かを判定し(ステップS32)、示していれば、次いで、今回の漏洩検査の結果を「漏洩検査OK」として記憶部12に記憶し(ステップS33)、次いで、安全確認動作(漏洩検査)処理を終了し、示していなけれ、次いで、今回の漏洩検査の結果を「漏洩検査NG」として記憶部12に記憶し(ステップS34)、次いで、弁開できず漏洩検査異常終了として処理を終了する。
【0033】
一方、ステップS21で前回漏洩検査の結果がOKであった場合、次いで、図8及び図9のフローチャートで示す第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査としての復帰漏洩確認サブルーチンを実行する(ステップS35)。
【0034】
復帰漏洩確認では、まず、遮断弁14の弁閉状態において圧力センサ15により圧力P0を計測するための圧力計測を行う(ステップS35a)。次に、計測した圧力P0が予め決められた第2基準圧力値Pth2以上か否かを判定する(ステップS35b)。この第2基準圧力値は、一般ガス供給約款で定められている最低圧力1.0[kPa]以上の値、たとえば1.2[kPa]に設定される。圧力P0が第2基準圧力値Pth2以上であれば、次いで計測した圧力P0を初期圧力P1とし(ステップS35c)、次いでこの初期圧力P1を記憶部12に保存する(ステップS35d)。
【0035】
次に、遮断弁14の開閉なしの復帰漏洩確認である旨の安全確認応答を遮断弁コントローラ1へ送信する(ステップS35e)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に遮断弁14の開閉なしの復帰漏洩確認中と表示すると共に、カウントダウンを開始する。
【0036】
次に、前回圧力計測からt秒(計測間隔;たとえば5秒)経過したか否かを判定し(ステップS35f)、経過していれば、次いで、2回目以降の圧力計測を行う(ステップS35g)。次に、2回目以降の測定した圧力値P2と初期圧力値P1の差分(P1−P2)は予め設定された第2の圧力差分しきい値PF(たとえば、80Pa)以下か否かを判定する(ステップS35h)。差分(P1−P2)が第2の圧力差分しきい値PF以下ならば、次いで、差分(P1−P2)と第2の圧力差分しきい値PFを予め漏洩検査時比較回数しきい値Nより少なく設定された第2の比較回数しきい値としての復帰漏洩確認時比較回数しきい値N′(たとえば、N′=B)回比較したか否かを判定し(ステップS35i)、比較していなければ、次いで、ステップS35fに戻り、比較していれば、次いで、漏れなしとして復帰漏洩確認を正常終了する。
【0037】
一方、ステップS35hで差分(P1−P2)が差第2の圧力分しきい値PF以下でなければ、次いで、差分(P1−P2)と第1の圧力差分しきい値PRの比較回数が予め設定されたA′(A′<N′であり、たとえばA′=A)回以下か否かを判定する(ステップS35j)。比較回数がA′回以下であれば、次いで、アラーム情報フラグ:「ガス漏れ大」を記憶部12に保存する(ステップS35k)。
【0038】
比較回数がA′回以下でなければ、次いで、アラーム情報フラグ:「ガス漏れ中」を記憶部12に保存する(ステップS35l)。
【0039】
次に、ステップS35kまたはS35lで保存されたアラーム情報「ガス漏れ大」または「ガス漏れ中」を復帰漏洩確認異常終了として遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS35m)。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、カウントダウン中止、ガス圧低下、ガス器具栓開放、ガス管の気密不良、ガス漏れを表示部4に表示する。次に、漏れありの復帰漏洩確認異常終了として処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS35bで圧力P0が第2基準圧力値Pth2以上でなければ、次いで、遮断弁14の開閉ありの復帰漏洩確認である旨の安全確認応答を遮断弁コントローラ1へ送信する(ステップS35n)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に断弁14の開閉ありの復帰漏洩確認中と表示すると共に、カウントダウンを開始する。
【0041】
次に、遮断弁14のモータを弁閉状態から弁開状態になるように駆動し(ステップS35o)、次いで、遮断弁14を弁開駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS35p)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に開駆動結果の表示を行うと共に、駆動結果を受けてカウントダウンの修正を行う。
【0042】
次に、遮断弁14のモータを弁開状態から弁閉状態になるように駆動し(ステップS35q)、次いで、遮断弁14を弁閉駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS35r)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に閉駆動結果の表示を行うと共に、駆動結果を受けてカウントダウンの修正を行う。
【0043】
次に、ガス圧が平衡するまでの待機時間Tth2秒(たとえば、5秒)経過したか否かを判定し(ステップS35s)、経過していれば、次いで、圧力センサ15により初期圧力P1を計測するための1回目の圧力計測を行う(ステップS35t)。次に、計測した初期圧力P1を記憶部12に保存する(ステップS35u)。
【0044】
次に、保存した初期圧力P1が第2基準圧力値Pth2以上か否かを判定する(ステップS35v)。初期圧力P1が第2基準圧力値Pth2以上であれば、次いで、ステップS35fに進む。初期圧力P1が第2基準圧力値Pth2以上でなければ、次いで、圧力低下及びガス漏れ大で復帰漏洩確認異常終了を意味するアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS35w)。アラーム情報を受信した遮断弁コントローラ1は、圧力低下及びガス漏れ大を表示部4に表示する。次に、漏れありの復帰漏洩確認異常終了として処理を終了する。
【0045】
再び図5のメインルーチンに戻って、ステップS35の復帰漏洩確認で漏れなしで正常終了した場合、次いで、遮断弁14のモータを弁閉状態から弁開状態になるように駆動し(ステップS36)、次いで、遮断弁14を弁開駆動した旨の結果のアラーム情報を遮断弁コントローラ1へ発呼する(ステップS37)。遮断弁コントローラ1は、それに応じて、表示部4に開駆動結果の表示を行うと共に、駆動結果を受けてカウントダウンの終了を行う。次いで、復帰安全確認動作(復帰漏洩確認)処理を終了する。
【0046】
以上の動作から明らかなように、図5〜図9のフローチャートにおいて、ステップS21は請求項における第1の判定手段に相当し、ステップS29は請求項における第1の漏洩検査手段に相当し、ステップS35は請求項における第2の漏洩検査手段に相当し、ステップS29kは請求項における第2の判定手段に相当し、ステップS29lは請求項における第3の判定手段に相当し、ステップS35hは請求項における第4の判定手段に相当し、ステップS35iは請求項における第5の判定手段に相当し、ステップS29kは請求項における第2の判定手段に相当し、ステップS29mは請求項における第6の判定手段に相当し、ステップS35jは請求項における第7の判定手段に相当する。
【0047】
このように、本発明によれば、復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果が漏洩なしの場合、第2の漏洩検査として行われる復帰漏洩確認処理における復帰漏洩確認時比較回数N′が、復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果が漏洩ありの場合に第1の漏洩検査として行われる漏洩検査処理における漏洩検査時比較回数Nより少なく設定されており、第2の漏洩検査としての復帰漏洩確認処理における漏洩有無の結果が第1の漏洩検査としての漏洩検査処理における漏洩有無の結果より時間的に早く確認されるので、事前に記憶した漏洩検査の結果が漏洩なしの場合は、復帰安全確認時間が従来より短くなり、遮断弁の弁開までの時間が短縮され、弁開後のガス使用に際し不便さを感じさせず、利便性が向上する。また、ガス漏れが検出された場合に漏洩量を把握することができ、利便性が向上する。
【実施例】
【0048】
ガス配管の口径と、想定容量[L]と、漏れ区分別漏れ判定回数(大=A、中=B、小=N)の関係を示す比較表を下記に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
たとえば、口径40Aの標準は、配管容量(100L)の場合、5秒毎に圧力を検知し、比較回数2(=A)回以内に80Pa以上の圧力低下が発生した場合、ガス漏れ「大」判定となる。3回以上4(=B)回以内で80Pa以上の圧力低下が発生した場合、ガス漏れ「中」判定となる。5回以上26(=N)回以内で80Pa以上の圧力低下が発生した場合、ガス漏れ「小」判定となる。26回以内で80Pa以上の圧力低下が発生しなかった場合「漏れなし」判定となる。
【0051】
また、復帰安全確認動作に要する時間について、従来方法による場合の漏洩検査時間と、上記表1のように漏れ区分別漏れ判定回数(大=A、中=B、小=N)を設定した場合の本発明方法による場合の復帰漏洩確認時間についての比較表を下記に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
上記の比較表において、従来方法による漏洩検査時間に対して本発明による復帰漏洩確認時間は大幅に短くなっていることが分かる。
【0054】
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のガス遮断弁装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明の復帰安全確認方法を実施するガス遮断弁装置を含む遮断弁システムを示すブロック図である。
【図3】本発明のガス遮断弁装置の遮断(圧力検査なし)処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明のガス遮断弁装置の遮断(圧力検査あり)処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明のガス遮断弁装置の復帰安全確認動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明のガス遮断弁装置の漏洩検査処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明のガス遮断弁装置の漏洩検査処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明のガス遮断弁装置の復帰漏洩確認処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明のガス遮断弁装置の復帰漏洩確認処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10 ガス遮断弁装置
11 制御部
11a 第1の判定手段
11b 第1の漏洩検査手段
11c 第2の漏洩検査手段
11d 制御手段
12 記憶部(記憶手段)
14 遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に設けられた遮断弁の遮断を復帰させる際に、圧力センサによる前記遮断弁の下流側のガス圧力の圧力測定によって漏洩検査を実行し、該漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に遮断弁を弁開状態に復帰させる復帰安全確認動作を行う復帰安全確認方法であって、
復帰安全確認動作の最前に行われた漏洩検査の結果を記憶し、
復帰操作時に、前記記憶されている漏洩検査の結果が漏洩ありかなしかを判定し、
前記判定が漏洩ありの場合は、第1の検査時間を有する第1の漏洩検査を行い、
前記判定が漏洩なしの場合は、前記第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査を行い、
記憶されている前記漏洩検査の結果を前記第1の漏洩検査の結果で更新すると共に、前記第1または第2の漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に前記遮断弁を弁開状態に復帰させることを特徴とする復帰安全確認方法。
【請求項2】
ガス流路に設けられた遮断弁の遮断を復帰させる際に、圧力センサによる前記遮断弁の下流側のガス圧力の圧力測定によって漏洩検査を実行し、該漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に遮断弁を弁開状態に復帰させる復帰安全確認動作を行うガス遮断弁装置であって、
前記復帰安全確認動作の最前に行われた前記漏洩検査の結果を記憶する記憶手段と、
前記復帰安全確認動作時に、前記記憶手段に記憶されている漏洩検査の結果が漏洩ありかなしかを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による判定結果が漏洩ありの場合に、第1の検査時間を有する第1の漏洩検査を実行する第1の漏洩検査手段と、
前記第1の判定手段による判定が漏洩なしの場合に、前記第1の検査時間より短い第2の検査時間を有する第2の漏洩検査を実行する第2の漏洩検査手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記漏洩検査の結果を前記第1の漏洩検査の結果で更新すると共に、前記第1または第2の漏洩検査の結果が漏洩なしの場合に前記遮断弁を弁開状態に復帰させる制御手段と、
を備えていることを特徴とするガス遮断弁装置。
【請求項3】
請求項2記載のガス遮断弁装置において、
前記第1の漏洩検査手段は、
前記圧力センサにより所定の測定間隔で測定した1回目の初期圧力と2回目以降の測定圧力との差分(P1−P2)と、予め設定された第1の圧力差分しきい値PRを比較して、前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下か否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下と判定された場合に、前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が予め設定された第1の比較回数しきい値Nに達したか否かを判定する第3の判定手段とを含み、
前記第2の漏洩検査手段は、
前記圧力センサにより所定の測定間隔で測定した1回目の初期圧力と2回目以降の測定圧力との差分(P1−P2)と、予め設定された第2の圧力差分しきい値PFを比較して、前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下か否かを判定する第4の判定手段と、
前記第4の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下と判定された場合に、前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第1の比較回数しきい値Nより少なく予め設定された第2の比較回数しきい値N′に達したか否かを判定する第5の判定手段とを含み、
前記制御手段は、前記第3の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が予め設定された第1の比較回数しきい値Nに達したと判定された場合に前記第1の漏洩検査の結果が漏洩なしとして前記遮断弁を弁開状態に復帰させ、前記第5の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PFとの比較回数が予め設定された第2の比較回数しきい値N′に達したと判定された場合に前記第2の漏洩検査の結果が漏洩なしとして前記遮断弁を弁開状態に復帰させることを特徴とするガス遮断弁装置。
【請求項4】
請求項3記載のガス遮断弁装置において、
前記第1の漏洩検査手段は、さらに、
前記第2の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第1の圧力差分しきい値PR以下と判定されなかった場合に、前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が前記第1の比較回数しきい値Nより少なく予め設定された第3の比較回数しきい値A以下か否かを判定する第6の判定手段を含み、
前記第2の漏洩検査手段は、さらに、
前記第4の判定手段で前記差分(P1−P2)が前記第2の圧力差分しきい値PF以下と判定されなかった場合に、前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第2の比較回数しきい値N′より少なく予め設定された第4の比較回数しきい値A′以下か否かを判定する第7の判定手段を含み、
前記制御手段は、前記第6の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第1の圧力差分しきい値PRとの比較回数が前記第3の比較回数しきい値A以下と判定された場合または前記第7の判定手段で前記差分(P1−P2)と前記第2の圧力差分しきい値PFとの比較回数が前記第4の比較回数しきい値A′以下と判定された場合にガス漏れ大とし、判定されなかった場合に前記ガス漏れ大より小さいガス漏れであると確認することを特徴とするガス遮断弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−288078(P2009−288078A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140996(P2008−140996)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】