説明

循環式内圧機関及び発電システム

【課題】燃料資源に起因する問題を起こさずに、従来の内燃機関によるのと同等程度以上のエネルギを効率よく取り出すこと
【解決手段】高圧状態で供給される炭酸ガス35aが大気圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動する炭酸ガスエンジン1と、該炭酸ガスエンジン1の排気口側の炭酸ガスの圧力を大気圧にする圧力調整弁70aと、上記炭酸ガスエンジン1に供給される高圧状態の炭酸ガスを加熱する加熱部56と、上記炭酸ガスエンジンから排出される炭酸ガス35bを回収しかつ冷却する冷却部57と、該冷却部57より圧送される冷却された炭酸ガスを高圧にて液化する炭酸ガス液化部69a,69bと、液化炭酸ガスを貯溜する循環タンク73とからなり、上記各部をパイプ33により連結して炭酸ガスが循環する循環回路34を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、炭酸ガスの物理的性状を最大限に活用した、燃料の燃焼を伴わずにエネルギを取り出す循環式内圧機関及びこれを使用した発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は機関の内部で燃料を燃焼させてその熱エネルギを利用する。使用する燃料のちがいによりガソリン機関、ガス機関、石油機関等種々のものがあり、世界中で広く普及し使用されている。
【0003】
しかしながら、石油資源の枯渇が懸念されており、また燃焼の結果排出される排気ガスによる公害問題を惹起している。
【0004】
外燃機関も燃料を燃焼させるという点で、上記した問題、即ち、資源の枯渇や排気ガスによる公害問題を惹起する。
【0005】
これらを解消すべく、クリーンエネルギとして水素の利用が注目されているが、取扱いが至難のため、開発に行き詰まっているのが現状である。
【0006】
このようにエネルギー源の確保が重要である反面、炭酸ガスの増大による弊害とくに地球温暖化問題が指摘されている。日本の炭酸ガス排出量は全世界の5%を占めると言われ、毎年約38100万トンもの膨大な量の炭酸ガスが大気中に排出されている。このうち約3割が発電等のエネルギ転換部門が占めている。このような憂慮すべき状態にあるにもかかわらず、世界経済の活発化・発展途上国の発展等により、京都議定書の如き政治的制約を尻目に炭酸ガスの排出は一層増大すると言われ、その有効利用はおろか増大防止を阻止できないでいる。とくに現代生活を支える電力エネルギは炭酸ガスを大量に発生させる石油等の化石燃料を燃焼する火力発電が中心であるため、上記憂慮は深刻である。
【0007】
本願発明はこのような背景の下に、提唱される全く新しい画期的なエネルギシステムである。
【0008】
本願発明に関し、先行技術文献の調査をしたが、有効な特許文献を発見することができなかった。強いて挙げるとすれば出願人の特許出願に係る次の特許文献である。
【特許文献1】特願2006−213942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は燃料の燃焼を伴わずにエネルギを取り出すことにより上記欠点を解消する全く新しい画期的な循環式内圧機関及び発電システムを提案する。
【0010】
つまり本願発明の目的は、燃料資源に起因する問題を起こさずにエネルギ源を確保することであり、従来の内燃機関によるのと同等程度以上のエネルギを効率よく取り出すことができる循環式内圧機関及び発電システムを供する。
【0011】
また他の目的は、エネルギ発生機関乃至発電機関による炭酸ガスの増加を防止することであり、ひいては温暖化現象の防止に寄与することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的達成のため、本願発明による循環式内圧機関は、高圧状態で供給される炭酸ガスが大気圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動する炭酸ガスエンジンと、上記炭酸ガスエンジンの排気口側の炭酸ガスの圧力を大気圧にする炭酸ガス常圧化手段と、上記炭酸ガスエンジンに供給される高圧状態の炭酸ガスを加熱する加熱部と、上記炭酸ガスエンジンから排出される炭酸ガスを回収しかつ冷却する冷却部と、上記冷却部より圧送される冷却された炭酸ガスを高圧にて液化する炭酸ガス液化部と、液化炭酸ガスを貯溜する循環タンクとからなり、上記各部をパイプにより連結して炭酸ガスが循環する循環回路を構成することを特徴とする。
また、請求項1記載の循環式内圧機関において、上記循環回路が上記炭酸ガスエンジンに高圧状態の炭酸ガスを供給する供給系経路と、上記炭酸ガスエンジンから排出される常圧の炭酸ガスを回収する回収系経路とからなることを特徴とする。
また、請求項2記載の循環式内圧機関において、上記加熱部が上記供給系経路に設けられることを特徴とする。
また、請求項2記載の循環式内圧機関において、上記加熱部が上記炭酸ガスエンジンに設けられることを特徴とする。
また、請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガス液化部が複数からなり、各炭酸ガス液化部が上記冷却部に接続されることを特徴とする。
また、請求項5記載の循環式内圧機関において、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に直列接続されることを特徴とする。
また、請求項5記載の循環式内圧機関において、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に並列接続されることを特徴とする。
また、請求項1記載の循環式内圧機関において、上記循環回路の供給系経路と回収系経路との接点に三方切替弁を設け、該三方切替弁を介して初期タンクを連結し、供給系のパイプ及び回収系のパイプに送給されてくる液化炭酸ガスの液化純度を検知するセンサを設け、該センサは上記液化純度が設定範囲内に満たないときは初期切替信号を発し、設定範囲内であるときは循環切替信号を発することを特徴とする。
また、請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガスエンジンがロータリー型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする。
また、請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガスエンジンがレシプロ型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする。
また、本願発明による発電システムは、高圧状態で供給される炭酸ガスが大気圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動する炭酸ガスエンジンと、上記炭酸ガスエンジンの排気口側の炭酸ガスの圧力を大気圧にする炭酸ガス常圧化手段と、上記炭酸ガスエンジンに供給される高圧状態の炭酸ガスを加熱する加熱部と、上記炭酸ガスエンジンから排出される炭酸ガスを回収しかつ冷却する冷却部と、上記冷却部より圧送される冷却された炭酸ガスを高圧にて液化する炭酸ガス液化装置と、液化炭酸ガスを貯溜する循環タンクとからなり、上記各部をパイプにより連結して炭酸ガスが循環する循環回路を構成し、上記炭酸ガスエンジンにより発電することを特徴とする。
また、請求項11記載の発電システムにおいて、上記循環回路が上記炭酸ガスエンジンに高圧状態の炭酸ガスを供給する供給系経路と、上記炭酸ガスエンジンから排出される常圧の炭酸ガスを回収する回収系経路とからなることを特徴とする。
また、請求項12記載の発電システムにおいて、上記加熱部が上記供給系経路に設けられることを特徴とする。
また、請求項12記載の発電システムにおいて、上記加熱部が上記炭酸ガスエンジンに設けられることを特徴とする。
また、請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガス液化部が複数からなり、各炭酸ガス液化部が上記冷却部に接続されることを特徴とする。
また、請求項15記載の発電システムにおいて、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に直列接続されることを特徴とする。
また、請求項15記載の発電システムにおいて、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に並列接続されることを特徴とする。
また、請求項11記載の発電システムにおいて、上記循環回路の供給系経路と回収系経路との接点に三方切替弁を設け、該三方切替弁を介して初期タンクを連結し、供給系のパイプ及び回収系のパイプに送給されてくる液化炭酸ガスの液化純度を検知するセンサを設け、該センサは上記液化純度が設定範囲内に満たないときは初期切替信号を発し、設定範囲内であるときは循環切替信号を発することを特徴とする。
また、請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガスエンジンがロータリー型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする。
また、請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガスエンジンがレシプロ型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は炭酸ガスの有する3つの優れた物理的性状、即ち、ガスの不活性、常温液化性及び高度の体積膨張性を利用し、高圧状態で内室に供給された炭酸ガスが常圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動させ、これにより発生するエネルギを取り出す。よって、燃料の燃焼を伴わずにエネルギを取り出すから、燃料資源に起因する問題、即ち、資源の枯渇や排気ガスによる公害問題を惹起することがない。よって完全なクリーンエネルギである。
【0014】
上記エネルギの取出しにおいて、循環回路を構成することにより排出された炭酸ガスを回収して再利用するから、エネルギ効率を非常に増大することができる。
【0015】
また、炭酸ガスを用いるものの炭酸ガスを生じることがないので、現在以上の炭酸ガスの増加を防止することができ、温暖化現象の防止に寄与することができる。
【0016】
エネルギ源は資源枯渇のおそれがない炭酸ガスであり、しかも取り出されるエネルギは後述するようにガソリンエンジンと同等程度以上であるから、エネルギの実行性の点でも問題はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による循環式内圧機関をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。また「大気圧」と「常圧」とは同義として使用する。
【0018】
1は炭酸ガスエンジンであり、気化後の高圧状態で供給される炭酸ガス35aの体積膨張による力により作動子を駆動せしめる。炭酸ガスエンジン1は具体的には、図3、図5及び図6に例示するロータリー型炭酸ガスエンジン又は図8に例示するレシプロ型炭酸ガスエンジンである。前者の場合作動子はロータ105であり、後者の場合作動子はピストン7である。
【0019】
炭酸ガスエンジン1の詳細は後述する。上記炭酸ガスエンジン1に圧料となる炭酸ガス35aを供給する供給経路34Aと、炭酸ガス35bを回収する回収経路34Bを閉回路に接続し、循環回路34を構成する。
【0020】
上記供給経路34Aは、具体的には、バージン液化炭酸ガスを貯溜する圧力容器からなる初期タンク31と、該初期タンク31に切替弁51、三方切替弁54及び流量制御弁55を介してパイプ33a、33b、33cにより連結される加熱部56と、該加熱部56に連結された炭酸ガスエンジン1の給気口13、107、117に接続されるパイプ33dとからなる。
【0021】
上記回収経路34Bは、具体的には、炭酸ガスエンジン1の排気口11、109、119から噴出状態で排出される大気圧の炭酸ガス35bを回収する冷却部57と、大気圧の排出炭酸ガス35bよりエンジンオイル成分を分離するフィルタからなる分離部68と、圧縮機からなり該分離部68による上記分離処理を経た上記排出炭酸ガス35bが圧送される1次炭酸ガス液化部69aと、該1次炭酸ガス液化部69aにて加圧・圧縮され一部が液化した炭酸ガス等35a’が送給され、送給されてくる上記炭酸ガス等35a’を例えば−30℃の排気の気化熱にて冷却する上記冷却部57と、圧縮機からなり上記冷却部57から送給されてくる上記炭酸ガス等35a’をさらに加圧・圧縮して液化する2次炭酸ガス液化部69bと、上記2次炭酸ガス液化部69bから送給されてくる液化炭酸ガス35aを貯溜する圧力容器からなる循環タンク73と、上記冷却部57及び上記循環タンク73に夫々圧力調整弁70a、70bを介して連結され炭酸ガスを貯溜する調整タンク72とからなる。上記炭酸ガスエンジン1と上記冷却部57とはパイプ33eにより、上記冷却部57と上記分離部68とはパイプ33gにより、上記分離部68と上記1次炭酸ガス液化部69aとはパイプ33hにより、上記1次炭酸ガス液化部69aと上記冷却部57とはパイプ33iにより、上記冷却部57と上記2次炭酸ガス液化部69bとはパイプ33kにより、上記2次炭酸ガス液化部69bと上記循環タンク73とはパイプ33mにより、さらに上記循環タンク73と上記三方切替弁54とはパイプ33nにより、各連結されている。また上記調整タンク72と上記冷却部57とはパイプ33tにより、上記調整タンク72と上記パイプ33mとはパイプ33uにより、各連結されている。なお、上記パイプを総称するときは「パイプ33」と表わす。
【0022】
上記供給経路34Aと上記回収経路34Bとの接点には上記した三方切替弁54を設けてあり、上記炭酸ガスエンジン1及び上記三方切替弁54を介して両経路34A、34Bが閉回路に接続され、循環回路34を構成する。また、供給経路34Aのパイプ33aと回収経路34Bのパイプ33nには液化炭酸ガス35aの液化純度を検知するセンサ53が接続されている。該センサ53はパイプ33a及びパイプ33n内を送給されてくる液化炭酸ガス35aの液化純度を常に検知し、上記純度が設定範囲内に満たないときは初期切替信号を発し、設定範囲内であるときは循環切替信号を発する。また上記分離部68には逆止弁75が設けられ、分離されたエンジンオイルが該逆止弁75を介して炭酸ガスエンジン1に戻される。
【0023】
上記調整タンク72は炭酸ガスエンジン1の排気口11、109、111側の内室の圧力を常圧にする圧力調整弁70aを設けるとともに、炭酸ガスエンジン1の給気口13、107、117側の圧力を高圧にする圧力調整弁70bを設ける。圧力調整弁70aは図示しないコンピュータによる自動制御により調整タンク72内の炭酸ガスの圧力を設定された圧力(例えば1気圧)に調整する。また圧力調整弁70bは炭酸ガスの圧力を設定された圧力(例えば60気圧)に調整する。
【0024】
上記冷却部57内には、上記圧力調整弁70aにより圧力調整された調整タンク72内の炭酸ガスが設定された圧力(例えば1気圧)にて流入され上記冷却部57内が常圧となっているため、該冷却部57に連通する炭酸ガスエンジン1の内室内に排出された炭酸ガスは常圧になる際爆発的に膨張する。この膨張した炭酸ガスは、排気される際噴出状態で排出される。よってこの噴出力により、上記排出炭酸ガス35bは上記冷却部57内に回収され、該冷却部57を介して1次炭酸ガス液化部69aまで圧送される。
【0025】
上記冷却部57は、ケーシング57aと該ケーシング57a内に幾重にも重なるように内蔵される復路のパイプ33jとからなる。該パイプ33jは前記パイプ33iと前記パイプ33kと連結される。往路のパイプ33eより流れてくる排出炭酸ガス35bは大気圧下に曝されると気化熱により例えば−30℃と低温になるため、ケーシング57aには−30℃の排出炭酸ガス35bが充満している。ここに1次炭酸ガス液化部69aにて液化しきれなかった炭酸ガス等35a’がその温度を上昇させた状態で復路のパイプ33j中に流れてくる。よって炭酸ガス等35a’の温度上昇を上記−30℃の排出炭酸ガスの気化熱により冷却するのである。この一次冷却ステップを経ることにより、次の2次炭酸ガス液化部69bによる炭酸ガス35bの液化のためのエネルギを小とすることが可能となる。ちなみに、例えば水素ガスの場合、常温液化性を有しないから、この程度の冷却では液化しない。しかしながら、本願発明においては炭酸ガスの有する常温液化性を活用するため、この冷却と次の加圧・圧縮により、回収された炭酸ガス35bの液化を容易にするのである。
【0026】
この点をもう少し詳しく説明する。炭酸ガス液化部を構成する1次炭酸ガス液化部69a及び2次炭酸ガス液化部69bの構造はいずれも同様の圧縮機からなり、その羽根構造(図示省略)により流入する炭酸ガスの引張り込み(吸引)と流出する炭酸ガスの排出(圧送)をする。よって前機69aによる吸引と後機69bによる圧送とがセットとなって作用するので、両者の相乗作用により炭酸ガスの圧縮液化の処理能力を炭酸ガスの量に応じて容易に増大させることができる。これが炭酸ガス液化部を複数とする実質的な理由である。
【0027】
初期タンク31及び循環タンク73内に貯蔵されている炭酸ガス35aは大部分液体状態であるが、一部がタンク内において気体状態となっている場合がある。この場合は液体の炭酸ガス35aはタンクの下部に、また気体の炭酸ガス35aはタンクの上部に存在する。
【0028】
図2に本願発明による循環式内圧機関及び発電システムの動作のステップを示す。初期始動は、まず切替弁51を「開」とし、初期タンク31よりバージン液化炭酸ガス35aをパイプ33aに流す(S1)。パイプ33aを流れてくるバージン液化炭酸ガス35aの液化純度はセンサ53により検知され(S2)、初期切替信号が発せられる(S3)。これにより三方切替弁54が作動し、パイプ33a・パイプ33b間を「開」としパイプ33b・パイプ33n間を「閉」とする「第1開」の状態にする(S4)。次いでエンジンスロットル用の流量制御弁55が「開」とされ(S5)、液化炭酸ガス35aは加熱部56により熱せられ圧力を一層大にした状態でパイプ33d内より(S6)、炭酸ガスエンジン1内に供給される(S7)。
【0029】
炭酸ガスエンジン1が炭酸ガス35aの体積膨張による力により駆動されると、その動力により例えば自動車が駆動される(A)。このとき同時に上記動力がベルト58aにより1次炭酸ガス液化部69aに伝動され、該1次炭酸ガス液化部69aの作動に寄与する。また上記動力はベルト58bにより2次炭酸ガス液化部69bに伝動され、該2次炭酸ガス液化部69bの作動に寄与する。
【0030】
炭酸ガスエンジン1から排出された炭酸ガス35bは、調整タンク72由来の圧力調整用炭酸ガスG(図1示す)が排気口から内室内に流入するため大気圧になるので爆発的に膨張し排出される。この排出時の噴出力により、炭酸ガス35bは冷却部57内を通って(S8〜S10)、1次炭酸ガス液化部69aに圧送される(S12)。冷却部57から出た炭酸ガス35bはオイルを分離されてから(S11)、1次炭酸ガス液化部69aに圧送される(S12)。該1次炭酸ガス液化部69aにて圧縮液化された炭酸ガス等35a’は再び冷却部57に送給され、ここでケーシング57a内の排出炭酸ガス35bの低温と接触しその気化熱により冷却される(S13)。冷却された炭酸ガス等35a’は2次炭酸ガス液化部69bに送られ、ここで加圧され液化炭酸ガス35aとされる(S14)。この液化炭酸ガス35aは高純度でありパイプ33mより循環タンク73に送られ、該循環タンク73に貯溜される(S15)。なお、予期しない空気漏れに対応するため、2次炭酸ガス液化部69bと循環タンク73との間に炭酸ガス単離タンクを設けることができる。この場合は該炭酸ガス単離タンクに逆止弁を設け、比重差により比重の大なる液化炭酸ガスをタンクの下部へ、比重の小なる大気をタンクの上部に分け、逆止弁を「開」とすることにより大気を放出する。
【0031】
始動後においては、センサ53はパイプ33nとパイプ33aを流れる炭酸ガス35aの濃度を検知している(S2)。この炭酸ガス35aの濃度が設定範囲内であるときは、循環切替信号を発する(S3)。この循環切替信号により三方切替弁54が作動し、パイプ33n・パイプ33b間を「開」としパイプ33a・パイプ33bを間を「閉」とする「第2開」の状態にする(S4)。以降は上記した一連のステップが繰返され、エンジンが連続的に作動する。
【0032】
炭酸ガスはパイプ33を通って開弁された給気口13、107、117より密室内に高圧状態35aで供給され、常圧状態で排出・回収される。炭酸ガス35につき、高圧状態の炭酸ガスを「35a」で表わし、常圧状態のものを「35b」で表わす。
【0033】
次に本願発明に用いられる炭酸ガスエンジン1について説明する。図3は炭酸ガスエンジン1をロータリ型炭酸ガスエンジンとする場合である。炭酸ガスエンジン1を構成するハウジング101はアルミニウム合金製の密閉された円筒と、該ハウジング101の内室103に回転可能に設けられるアルミニウム合金製のロータ115とからなる。上記ハウジング101は密閉に形成された円筒が横設され、内部に断面円形に形成される内室103を有する。上記ハウジング101の上部周壁に上記内室103に通ずる給気口117を設け、対向する側の周壁に排気口119を開口する。本実施例の場合、該排気口119は上記給気口117を通る直径線fよりやや2次作動室122側に位置するように設ける。図示例では直径線fに対し角度αが約15°程度としてある。
【0034】
上記ロータ115は図4に示すような略楕円形状の板体からなり、上記ハウジング101の内室103の中央部に回転可能に設けたロータ軸116に複数個位相をずらせて通常2個固設される。上記ロータ115の輪郭には、図4に示すように、圧力保持のための圧力シール115aを設ける。該圧力シール115aはオイルシールも兼ねる。上記ハウジング101の上部周壁には給気口117を被覆するバルブ室124を設け、該バルブ室124に上下動自在の給気弁125を設ける。該給気弁125の弁軸127には上記バルブ室124を閉塞する方向に付勢されるスプリング129を巻着する。131は上記ロータ115に連動するカムであり、該カム131により上記給気弁125を開閉する。130はスプリングカバーである。
【0035】
上記内室103には気化後の高圧状態の炭酸ガス35aが供給され、該炭酸ガス35aが大気圧になるときの体積膨張による力により上記ロータ115がロータ軸116を中心にして矢示する一方向に回転する。上記内室103は上記ロータ115の回転に伴ない、1次作動室121、2次作動室122に区画・形成される。上記各作動室121、122は上記ロータ115の作動面a,bとの関係で、吸入膨張行程、膨張排出行程又は大気圧保持行程のいずれかを担う。
【0036】
吸入膨張行程は炭酸ガス35aが1次作動室121内に供給され、上記ロータ115のいずれかの作動面a又はbを押圧する行程で、このとき給気口117は「開」、排気口119は「閉」となっている(図3A)。膨張排出行程はロータ115の回転に与り大気圧状態となった炭酸ガス35bが排気口119より外部に排出される行程で、このとき給気口117は「閉」、排気口119は「開」となっている(図3B)。大気圧保持行程は、給気口117が「閉」、排気口119が「開」であり、内室103内が作動室121、122ともに大気圧となった炭酸ガス35bを大気圧状態に保持する行程であり、これによりロータ115の回転に円滑性を付与する(図3C)。
【0037】
図5及び図6のロータリ型炭酸ガスエンジンはロータが図7で示すような三面ロータの場合である。図5はハウジングが正円形の場合、図6は楕円形の場合である。図5において、炭酸ガスエンジン1を構成するハウジング101はアルミニウム合金製の密閉された円筒と、該ハウジング101の内室103に回転可能に設けられるアルミニウム合金製のロータ105とからなる。上記ハウジング101は密閉に形成された円筒が横設され、内部に断面円形に形成される内室103を有する。また上記ハウジング101は周壁に給気口107を設け、対向する側の周壁に排気口109を開口する。該排気口109は上記給気口107より下方に位置するように設けるのが望ましい。なお、ここで「対向」とは給気口107と排気口109のこのような位置関係のある設置も含むものとする。
【0038】
上記ロータ105は丸みを帯びた正三角形状の板体からなり、上記ハウジング101の内室103の中央部に回転可能に設けたロータ軸106に複数個位相をずらせて通常2個固設される。上記ロータ105の輪郭には、図7に示すように、圧力保持のための圧力シール105aを設ける。該圧力シール105aはオイルシールも兼ねる。
【0039】
上記内室103には気化後の高圧状態の炭酸ガス35aが供給され、該炭酸ガス35aが大気圧になるときの体積膨張による力により上記ロータ105がロータ軸106を中心にして矢示する一方向に回転する。上記内室103は上記ロータ105の回転に伴ない、1次作動室111、2次作動室112及び3次作動室113に区画・形成される。上記各作動室111、112、113は上記ロータ105の作動面a,b,cとの関係で、吸入膨張行程、膨張排出行程又は大気圧保持行程のいずれかを担う。
【0040】
吸入膨張行程は炭酸ガス35aが1次作動室111内に供給され、このときの炭酸ガス35aは「亜膨張」の状態となり、上記ロータ105のいずれかの作動面を押圧する(図5A)。膨張排出行程はロータ105の回転に与り大気圧状態となった炭酸ガス35bが排気口109より外部に排出される。このときの炭酸ガス35aは「連鎖膨張」の状態となる(図5B)。大気圧保持行程は、給気口107及び排気口109が上記ロータ105の他の作動面によりブロックされるため、大気圧となった炭酸ガス35bを保持する行程であり、これによりロータ105の回転に円滑性を付与する。このときの内室103は大気圧(1気圧)となる(図5C)。
【0041】
ロータリ型炭酸ガスエンジンの場合、ハウジングの形状は必ずしも断面正円形にする必要がなく、楕円形であってもよい。後者の場合例えば図6に示すように構成することができる。この場合、ハウジング102の内室123が同一径の2個の円が対称に交差して描かれる軌跡に沿って形成されている。ロータ126は丸みを帯びた正三角形状の板体からなり、上記内室123内を中心を移動させながら回転する。上記ロータ126の中央部には、円形のロータ孔126aが設けられ、ここにロータ軸126bが挿通される。該ロータ軸126bは外周にギヤ(図示省略)を設け、ロータ孔126aの内周に設けるギヤ(図示省略)と噛合する。123aは1次作動室、123bは2次作動室、123cは3次作動室である。エネルギは上記ロータ軸126bより適宜手段を介して取り出す。なお、上記ロータ126の輪郭にも、図7と同様、オイルシール兼用の圧力シール(図示省略)を設けてある。
【0042】
図8は炭酸ガスエンジン1たるレシプロ型炭酸ガスエンジンを示す。炭酸ガスエンジン1を構成するシリンダ2はアルミニウム合金製のシリンダヘッド3とアルミニウム合金製のシリンダ本体5とからなり、シリンダヘッド3がシリンダ本体5に分解可能に固着される。該シリンダ本体5内にはアルミニウム合金製ピストン7が往復動可能に摺接される。上記シリンダ本体5の上部には上記シリンダヘッド3と上記ピストン7とによって密閉構造とされる内室9が形成される。上記シリンダ本体5の側壁にはピストン7の下死点D時に開口する排気口11が設けられる。上記シリンダヘッド3には給気口13が開口され、該給気口13に上下動自在の給気弁15を設ける。該給気弁15の弁軸17には上記給気口13を閉塞する方向に付勢されるスプリング19を巻着する。21は上記ピストン7に連動するカムであり、該カム21により上記給気弁15の開閉をする。23はコネクティングロッドであり、上記ピストン7とクランクシャフト25とを連結する。該クランクシャフト25の一端にはフライホイール27が取り付けられている。26は該クランクシャフト25のバランスウェイトを示す。20はスプリングカバーである。29aは圧力リングであり、上記内室9を密閉するため上記ピストン7の上部に取り付けられる。29bはオイルリングである。
【0043】
次に図9に基づき本願発明の作動原理を説明する。図9はロータ115が内室103内で回転するときの位置と炭酸ガスの膨張の様子を模式化した図である。図9のA1(図3(A))及び図9のA2は吸入膨張行程を示し、このときの炭酸ガスは「亜膨張」の状態となる。図9のB1及び図9のB2(図3(B))は膨張排出行程を示し、このときの炭酸ガスは「連鎖膨張」の状態となる。図9のCは大気圧保持行程を示し、図3(C)の直前の状態であり、このときの内室103は大気圧(1気圧)となる。図9のDはロータ115が1回転し他の面(b面)が作動面となった状態を示す。
【0044】
炭酸ガス35aは初期タンク31又は循環タンク73よりパイプ33a〜33cを経、加熱部56により加熱されて高圧状態のまま炭酸ガスエンジン1に供給されるのであるが、この炭酸ガス35aが炭酸ガスエンジン1の内室103に流入されるときの様子を図9に基づいて説明してみる。
【0045】
まず始動を図示しないセルスターターにより行ない、ロータ115を強制回転させる。ロータ115が図9のA1の位置即ち給気口117の直前の位置にくると給気弁125が「開」となり、高圧状態の炭酸ガス35aが1次作動室121に流入してくる。この炭酸ガス35aは1次作動室121に流入するとすぐに膨張を開始するが、ロータ115が図9のA2に示すように給気口117を通過する位置にくると給気弁125が「閉」となるため膨張が一旦終了する。これは炭酸ガス35aの膨張が1次作動室121の容積の限度内で行われるためである。これを仮りに「亜膨張」と呼ぶ。亜膨張時にロータ115が受ける圧力エネルギーは、ガソリンエンジンにおける場合と同様、a面全体で圧力を受けることになる。つまり図9のA1及び図9のA2の吸入膨張行程において、炭酸ガス35aは亜膨張エネルギーのストレスを溜め保持した状態で次の膨張排出行程に移行することになる。なお、この吸入膨張行程における他面(b面)側の圧力は大気圧である。
【0046】
図9のB1及び図9のB2の膨張排出行程において、ロータ115の回転により排気口119が「開」となった瞬間、即ち排気口119がピンホール状態となると調整タンク72由来の圧力調整用炭酸ガスG(図2示す)が排気口から内室内に流入するため大気圧になるので炭酸ガス35aは爆発的に膨張する。このとき炭酸ガス35aの動きを中心にみると、膨張した炭酸ガス35aはロータ115の表面に沿って動き「開」となった排気口119に向かって急激に移動する。即ち、膨張排出行程における膨張圧力は吸入膨張行程における場合とは異なり、ロータ115のa面全体に均等にかかるのではなく、ロータ115の排気口119側の半面にだけ集中してかかる。よって排気口119は益々大きく開口し、これにより炭酸ガス35aが益々排気口119に向かって急激に移動するため、炭酸ガス35aの膨張による力(これを「膨張力」と呼ぶ)は一層ロータ115の排気口119側の半面にだけ集中する。この状態は「連鎖膨張」の状態と呼ぶことができ、こうなると炭酸ガス35aは十分に膨張しきり、このためロータ115の排気口119側の半面には十分な回転モーメントを得ることができ、これによりロータ115は回転する。この膨張排出行程における各面の圧力は、図9のB1では他面(b面)側の圧力が大気圧であり、図9のB2(図3(B))ではa、b両面側とも大気圧である。
なお、この膨張排出行程において炭酸ガス35bは排気口119より噴出状態で排出されるので、この排出時の噴出力によりパイプ内を圧送される。
【0047】
次いで図9のB2に示す膨張排出行程の終了時から図9のC及び図3(C)に示す大気圧保持行程において、ロータ115のa、b両面とも大気圧となるため、ロータ115は慣性力により回転し図9のD(図3(D))に示す位置となる。これにより、他面(b面)が作動面となり、今度はロータ115のb面において上記した一連の行程が繰り返されることになる。
【0048】
かくして始動が終了すると、その後は上記した一連の行程が連続的に繰り返されることにより炭酸ガスエンジンが本格作動することになるのである。
【0049】
図5及び図6に示す三面ロータの場合の作動原理も上記と同様であり、炭酸ガス35aの膨張は吸入膨張行程、膨張排出行程及び大気圧保持行程をとり、各行程において上記と同様に作用する。図3に示す二面ロータの場合と異なるのは給気弁125がないことであるが、この給気弁125の機能即ち給気口117の開閉はロータ105、126の回転位置によって行なうのである。
【0050】
図5に基づき炭酸ガスエンジン1の動きを詳しくみてみる。
図5(A)に示すように、ロータ105の作動面aが吸入膨張行程をする位置にあるとき、気化後の高圧状態(例えば60気圧)の炭酸ガス35a(気体)が給気口107より1次作動室111内に供給される。上記炭酸ガス35aは1次作動室111内に供給されると、1気圧の大気圧下に曝されるから、一気にその体積を膨張させる。この膨張は「亜膨張」である。
【0051】
吸入膨張行程では慣性力によりロータ105が押圧されて図5(B)に示す位置に回転する。これにより作動面aは2次作動室112に位置し、排気口109が「開」となるため膨張排出行程となる。ロータ105の回転により排気口109が「開」となった瞬間、即ち排気口109がピンホール状態となると炭酸ガス35aは大気圧になるため爆発的に膨張する。このとき炭酸ガス35aの動きを中心にみると、膨張した炭酸ガス35aはロータ115の表面に沿って動き「開」となった排気口109に向かって急激に移動する。よって二面ロータの場合で述べたように、炭酸ガス35aは2次作動室112の内部が大気圧となるので、爆発的に膨張する「連鎖膨張」となり、この排気口109より噴出する。
【0052】
さらにロータ105が図5(C)に示す位置に回転すると、給気口107と排気口109とがともに「閉」となるので大気圧保持行程となり、上記混合気体を大気圧状態で保持する。
【0053】
ロータ105はさらに回転し図5(A)に示す位置となる。かくして炭酸ガス35aの体積膨張力と慣性力によりハウジング内をロータが連続的に回転するから、これによるエネルギを適宜手段により取り出す。
【0054】
図8に示すレシプロ型炭酸ガスエンジンの場合の作動原理も上記と同様であり、炭酸ガス35aの膨張は吸入膨張行程、膨張排出行程及び大気圧保持行程をとり、各行程において上記と同様に作用する。ピストン7の下降により吸入膨張行程となり、内室9内は「亜膨張」となる。続いて排気口11の「開」の開始から図8(C)に示す「全開」を経て排気口11の「開」の終了まで膨張排出行程が続き、高圧状態の炭酸ガス35aが大気圧に曝され爆発的に膨張する「連鎖膨張」となる。続いてピストンの上昇による排気口11の「閉」となるまで大気圧保持行程となる。この連鎖膨張の膨張力によりピストン7が作動する。
【0055】
図8に基づき炭酸ガスエンジン1の動きを詳しくみてみる。まず、図示しないスタータモータにより、カム21を回転させる。するとカム21に連動してピストン7が図8(A)に示すように下降するとともに、カム21により給気弁15が押圧される。すると図8(B)に示すように、スプリング19の付勢力に抗して給気弁15が「開」となる。このときピストン7は上死点Uに位置している。次いでカム21がさらに回転すると、回転後すぐに給気弁15の押圧が解除されるから、給気弁15はスプリング19の付勢力により「閉」となる。図8(C)はピストン7が下死点Dまで下降した状態を示す。
【0056】
この上死点Uから下死点Dに移行する過程を詳しくみる。給気弁15が「閉」となると、密室内では高圧状態(例えば60気圧)で供給された炭酸ガス35a(気体)は、内室9という限られた空間内において1気圧の大気圧下に曝されるからその体積を膨張させる。この膨張は「亜膨張」である。この体積膨張による力はピストン7に伝動され、ピストン7を下降させるとともに、この力はクランクシャフト25の一端に固着されているフライホイール27にも伝動する。ピストン7が下死点Dに達すると、フライホイール27に伝動している上記力に起因する慣性力によりピストン7は上昇過程に移行する。
【0057】
図8(C)に示すように下死点D時において内室9の排気口11は「開」となるので、ピストン7の押下げに与った炭酸ガス35aは、内部が大気圧となるので爆発的に膨張する「連鎖膨張」となり、排気口11より噴出する。この連鎖膨張の膨張力によりピストン7が作動する。次いで上昇過程に移行したピストン7の上死点U時においてはすべての炭酸ガス35bが排気される。
【0058】
かくして、炭酸ガス35aの体積膨張力と上記慣性力とにより、ピストン7は上記した下降過程及び上昇過程を連続的に繰り返す。よって、炭酸ガスエンジンのピストン7は連続的に往復動するから、これによるエネルギを適宜手段により取り出す。
【0059】
ここで従来のガソリンエンジンと原理の対比をしてみる。
従来のガソリンエンジンは〈1〉吸入行程、〈2〉圧縮行程、〈3〉燃焼行程及び排気行程の4行程が必要であるが、本願発明による炭酸ガスエンジンは上記〈3〉燃焼行程が不要であり、〈2〉圧縮行程についてはあってもなくてもよいのである。本願発明による炭酸ガスエンジンの行程は、〈a〉吸入膨張行程、〈b〉膨張排出行程及び〈c〉大気圧保持行程である。またエンジン特性についてみれば、従来のガソリンエンジン(内燃機関)の燃焼膨張は一過性エネルギーであるのに対し、本願発明による炭酸ガスエンジン(内圧機関)は連続膨張エネルギーである。このようなエネルギー特性の違いにより、従来のガソリンエンジンでは各行程が明瞭に区別できるのであるが、本願発明による炭酸ガスエンジンの各行程は連続している。
よって従来のガソリンエンジンと本願発明による炭酸ガスエンジンとは原理が全然異なり、ガソリンエンジンに適用される理論をそのまま本願発明による炭酸ガスエンジンに適用することはできないのである。
【0060】
上記の点をもう少し具体的に見てみる。ガソリンエンジンは爆発燃焼時の瞬間エネルギを利用するため、ロータ面にかかる均等圧力をロータの結合部分を中心軸より偏心させて楕円に回転方向性を与えている。空気と燃料の圧縮行程は必ず必要であり、ロータを偏心させ内室の容積変化を起こさせるためにシリンダを楕円構成とするのである。
これに対し、本願発明による炭酸ガスエンジンにおいては圧縮行程は必ずしも必要でなく、図示実施態様に示すようになくてもよいのである。これは、本願発明においてはガソリンエンジンのように燃焼のための空気と燃料との圧縮行程が不要であるので、大気圧保持行程より吸入膨張行程に移行するとすぐに「亜膨張」となり、ロータの先端が排気口を切った瞬間高圧状態の炭酸ガスが爆発的に膨張する「連鎖膨張」を起こすからである。この結果、排気口119側のロータの半面に膨張圧力が集中し、これによりロータが回転するのである。このように、従来のガソリンエンジンと本願発明による炭酸ガスエンジンとは原理が全然相違するのである。
【0061】
このように原理が相違する結果、炭酸ガスエンジンの態様も次のように相違することになる。まず、三面ロータについては、従来のガソリンエンジンはシリンダが楕円構成でなければならず、正円構成のシリンダとすることができない。また二面ロータについても、従来のガソリンエンジンはシリンダが楕円構成でなければならず、正円構成のシリンダとすることができない。その理由は前述したように、ガソリンエンジンは爆発燃焼時の瞬間エネルギを利用するため、ロータ面にかかる均等圧力を偏心させて回転方向性を与える必要があるからであり、また吸入、圧縮時の作動室の容積変化が必要だからである。
これに対し、本願発明においては、圧縮行程が不要であるから、三面ロータ、二面ロータともにシリンダは楕円構成であっても正円構成であってもよく、いずれでもロータは回転するのである。
【0062】
本願発明による発電システムは上記した循環式内圧機関により発電機を作動し発電するシステムである。この場合、炭酸ガスエンジン1は出力の大なる大規模のものが用いられる。また炭酸ガス液化部も大量の炭酸ガスを容易迅速に処理できるよう3段以上の多段にするのが望ましい。
【0063】
ここで炭酸ガス35について詳しく説明する。炭酸ガス(二酸化炭素 CO2)は次のような物理的性状を有する。
空気との比重 1.529
毒性 無
臭 無臭
性状 不燃性
分子量 44.01
三重点(0.53MPa) −56.6℃
沸点(昇華) −78.5℃
臨界温度 31.1℃
臨界圧 7.38MPa
熱力学的性質 図10の通り
【0064】
また炭酸ガスは物の燃焼や動物の呼吸、有機物の腐敗、発酵等に伴って発生し、空気中に普通に存在する。一方で植物は炭酸ガスを吸収し炭素同化作用を営む。
【0065】
本願発明はこのような物理的性状を有する炭酸ガスの不活性、常温液化性及び高度の体積膨張性に着目し、これを最大限に活用する。
【0066】
ここで炭酸ガス35aの膨張率、即ち炭酸ガス35aにより取り出されるエネルギの大きさについてみる。密室たる内室9、1次作動室111、121内に供給される炭酸ガス35aが常温(25℃)の場合、該炭酸ガス35aの圧力は図10より6.432MPa(64.32気圧)であるから、大気圧(1気圧)の内室9、1次作動室111、121内にあるピストン7、ロータ105、115には64.32倍の圧力がかかる。よって理論上約64倍の運動エネルギを取り出すことが可能となる。
【0067】
このエネルギと従来の内燃機関の代表としてガソリンエンジンから取り出されるエネルギとを比較する。
【0068】
(オープン条件化でのガソリン燃焼)
ガソリンの分子表記は難しいため、ガソリンの平均分子量に比較的近い炭化水素であるオクタン(C818)をガソリンの組成と見なして計算する。オクタンの物理的性状は次の通りである。
化学式 C818
比重 d=0.7
分子量 M=114.0
燃焼熱 10200kcal/kg=10200×114/1000×4.186≒4868kJ/mol
【0069】
オクタンの燃焼反応式は(1)式の通りである。
【数1】

(1)式よりオクタン1molが燃焼すると空気中の酸素を取り込みながら17molのガスが発生する。
【0070】
(ガス比容V0の計算)
生成ガスを理想気体として仮定しているので、標準状態で1molの占める容積は22.4lとなる。従って、ガス比容V0は(1)式から
【数2】

となる。
【0071】
(燃焼温度T1の計算)
爆発温度T1を求めるには、生成ガスのモル数、発熱量、生成ガスの定容比熱が必要となる。ここでは、定容比熱のみ不明であるが、TNTのような火薬類と同じとしてみる。
【0072】
爆発温度T1は(2)式によって求めることができる。
【数3】

なお、生成ガスの平均定容比熱が約40J/℃として知られていることについては、日本火薬工業会、「一般火薬学新改訂第2版」、P18(2005)参照。
【0073】
(2)式より爆発温度T1
【数4】

従って
【数5】

【0074】
つまり、1kgのオクタンは、爆発すると7430(K)(約7100℃)で、90900(l)を占める。反応前の容積は1000/0.7=1430(ml)であるから、反応前の温度を0℃とした場合の膨張率は
【数6】

となる。
【0075】
しかしながら上記値は、火薬と同じ爆発状態を想定しているため現実以上に爆発温度が高くなっている。現実的には、爆発温度が1500K程度であり、また燃焼に空気が十分ないと反応が進まない。よって、現実には酸素が不足するためTNT火薬のようには反応が起きないのである。
【0076】
(空気を考慮したガス比容)
そこで空気を考慮したオクタンの燃焼反応式を考える。(1)式で必要な酸素は12.5molであり、空気の組成を酸素21%、窒素79%とすると、それに伴う窒素は
12.5mol×(79/21)=47.0mol
となる。したがって、燃焼反応式は
【数7】

となる。
【0077】
オクタン1molが燃焼すると空気中の酸素を取り込みながら合計17molのガスが発生し、燃焼に与らない窒素47.0molが存在する。
【0078】
生成ガスを理想気体と仮定しているので、標準状態で1molの占める容積は22.4lとなる。したがって、ガス比容V0は(3)式から、
【数8】

となる。
【0079】
(空気を考慮した燃焼温度T1の計算)
燃焼温度T1を求めるには、生成ガスのモル数、発熱量、生成ガスの定容比熱が必要となる。ここでは、定容比熱のみ不明であるが、TNTのような火薬類と同じとしてみる。燃焼温度T1は次式によって求めることができる。
【数9】

【0080】
(4)式より爆発温度T1
【数10】

従って、
【数11】

【0081】
つまり1kgのオクタンは空気の初期体積を考慮すると、瞬間的に燃焼したとして、2175(K)(約1900℃)で100185(l)を占める。反応前の容積は
(12.5+47)×22.4+1/0.7=1334(l)であるから、反応前の温度を0℃とした場合の膨張率は100185/1334≒75倍となる。ただし上記値は実際上は燃焼中に熱が周囲に逸散するので、燃焼温度はさらに低くなる筈である。
【0082】
(ガソリンエンジン内の燃焼)
燃費10km/l、排気量2000cc、平均速度40km/h、平均回転数2000rpm/minの自動車のガソリンエンジンを考える。上記ガソリンエンジンは1時間あたりでは4(l)のガソリンを消費する。また、上記ガソリンエンジンは2000rpm/minであるので、2000×2×60(ストローク/h)となる。また、上記エンジンのボアストロークが直径86mm、ストローク86mmよりシリンダ室内の容積は
S=(8.6)×(4.3)2×π=500(cm3
となる。
【0083】
これは1ストロークあたりでは
4000(ml)/(2000×2×60)=1/60(ml)
のガソリンを消費し、そのときの燃焼ガスは500(cm3)になる。
【0084】
次に、圧縮比からこのエンジンの行程を解析してみる。
圧縮比は一般的な乗用車エンジンでは「9」前後である。燃焼室容積をVb(ml)とすると、圧縮比=(Vb+500)/Vbであるので、9Vb=Vb+500となり、これを解くと
Vb=62.5(ml)となる。
【0085】
以上を詳細を省いて簡単にまとめると、
62.5(ml)の燃焼室と500(ml)のシリンダ室に1/60(ml)(=16.7×10-3(ml)=1.025×10-4(mol)のガソリンが空気約560(ml)(酸素5.25×10-3(mol)と窒素19.75×10-3(mol))と一緒に吸い込まれ(1気圧)、9倍に圧縮されたガソリンと空気(9気圧)に点火される。(3)式から消費される酸素は
1.025×10-4×12.5=1.281×10-3
である。したがって、残りの酸素と窒素は、それぞれ
(5.25−1.28)×10-3=1.97×10-3(mol)、19.75×10-3(mol)
となる。
【0086】
また、発生するガスと熱量は、
2O:1.025×10-4×9=9.225×10-4(mol)
CO2:1.025×10-4×8=8.200×10-4(mol)
Q=1.025×10-4×4868=0.499kJ
である。
【0087】
燃焼温度T1を求めるには、前記のように生成ガスのモル数、発熱量、生成ガスの定容比熱が必要となる。ここでは、定容比熱のみ不明であるが、TNTのような火薬類と同じとしてみる。燃焼温度T1は前記のように次式によって求めることができる。
【数12】

【0088】
(4’)より燃焼温度T1
【数13】

【0089】
つまり、2000ccのエンジンでは瞬間的に燃焼したとして、805(K)(約532℃)で23.5×10-3(mol)(=9.225×10-4+8.200×10-4+19.7×10-4+197.5×10-4)のガスが、62.5(ml)を占める。
【0090】
このときの、圧力P1を計算してみると、理想気体として状態方程式から
【数14】

である。
【0091】
最後に、この高温高圧のガスがシリンダを押し下げる膨張行程で9倍に膨張すると、
10=一定であるから、9倍に膨張したときの圧力P2
2=P1/9=24.8/9=2.7(atm)
となる。
【0092】
このように従来のガソリンエンジンより取り出すエネルギの大きさは、この場合約25倍程度である。
【0093】
よって本願発明による炭酸ガスエンジンから取り出されるエネルギは従来の内燃機関から取り出されるエネルギと比較し、同程度以上である。とくに、上記実施例(25℃のとき64倍の例)及び上記比較例(25倍の例)に限って言えば、従来に比し2.5倍のエネルギを得ることができる。
【0094】
このように本願発明によるエネルギの発生は燃料の燃焼を伴わないから、燃料資源に起因する資源の枯渇や排気ガスによる公害問題を惹起することがなく安全であり、完全なクリーンエネルギを得ることができる。また、炭酸ガスを生じることがないので、炭酸ガスの増加を防止することができ、温暖化現象の防止に寄与することができる。しかも取り出されるエネルギは上記のようにガソリンエンジンと同等程度以上であるから、エネルギの実行性も担保される。
【0095】
本願発明による循環式内圧機関によれば、密室(内室9、103、123)の圧縮比に影響されず、供給される炭酸ガス35aの圧力は一定(例えば常温(25℃)の場合約64倍)である。またタンク乃至ボンベに収納される炭酸ガス35aは最後の1molまで有効に使用可能である。よって、エネルギの取出効率が大変よい。
【0096】
上記エネルギの取出しにおいて、循環回路を構成することにより排出された炭酸ガスを回収して再利用するから、エネルギ効率を非常に増大することができる。
【0097】
また、炭酸ガス35aの常温液化性及び高度の体積膨張性により、密室(内室9、103、123)の設計が容易となる。さらに炭酸ガス35aの不活性により、例えば水素ガスや酸素ガスより遙かに扱い易く、制御性が大である。よって高度の実用性を有する。
【0098】
炭酸ガス35の体積膨張率と温度とは相関関係にあり、内室9、103、123、1次作動室111、121内に供給されている高圧状態の炭酸ガス35aは上記加熱部56による加熱により一層体積が膨張するから、炭酸ガスエンジンの仕事率は一層向上する。
【0099】
この点につき、図10及びボイル・シャルルの法則により内室9、103、123、1次作動室111、121内に供給される炭酸ガス35aの圧力を具体的に算出してみる。
【0100】
ボイル・シャルルの法則は一定量の気体ではPV/Tは常に一定の値となるという法則で、
【数15】

の式により表わす。炭酸ガス35aは初期タンク31からパイプ33を経由して大気圧(25℃)・気体状態にて上記内室9、103、123に供給されるから、内室9、103、123の内圧は内室9、103、123が50℃に加熱される場合次の如く算出される。ただし、内室9、103、123の容量を20ccとする。
【数16】

【0101】
また内室9、103、123、1次作動室111、121が100℃に加熱される場合、内室9、103、123、1次作動室111、121の内圧は次の算出値となる。
【数17】

【0102】
よって内室9、103、123、1次作動室111、121が加熱部56により加熱されると炭酸ガスエンジン1の仕事率は一層向上する。
【0103】
本願発明は上記した実施の形態に限定されない。例えば、加熱部(56)の設置部位は、高圧状態の炭酸ガス35aが炭酸ガスエンジン1に供給される前に加熱される部位であれば、必ずしも供給系経路34Aのパイプ接続の中に設けられなくてもよい。例えば、炭酸ガスエンジン1自体に加熱部(137)を設けてもよい。図11はそのような場合を例示したものである。
【0104】
図11において、ハウジング101はアルミニウム合金製のハウジングカバー139にて一体に被覆され、シリンダ本体の側壁の外側に中空体からなる加熱部137を設ける。上記ハウジングカバー139の側壁には熱風供給口141及び熱風排出口143が開口され、夫々、加熱部137を加熱するための熱風40aを供給する熱風供給パイプ145、加熱部137の加熱を終了した熱風40bを排出するための熱風排出パイプ147が連結される。上記熱風供給パイプ145、上記熱風排出パイプ147は別に設ける圧縮機149に循環可能に連結される。なお、図11において、(A)はa面での吸入膨張行程、(B)は同膨張排出行程、(C)は同大気圧保持行程、(D)はb面での吸入膨張行程を示し、(A)の吸入膨張行程において高圧状態の炭酸ガスは「亜膨張」となり、(B)の膨張排出行程において高圧状態の炭酸ガスは「連鎖膨張」となることは前記した実施態様と同様である。
【0105】
また、図1の回路において炭酸ガスエンジン1を図11に示すような加熱部137を有するエンジン1に置換することも可能である。かかる場合、エンジンシリンダを構成する金属製の各部やエンジンオイルへの低温による悪影響を排除する利益がある。
【0106】
炭酸ガス液化部の多段化は、前機による吸引と後機による圧送とのセットとし、両者の相乗作用により炭酸ガスの圧縮液化の処理能力を炭酸ガスの量に応じて容易に増大させる趣旨であるから、所望の出力に応じて、例えば図12(A)、(B)に示すように炭酸ガス液化部69a、69b、69cを3個以上の多段にすることができる。もちろん所望の大出力を得られるのであれば、単一機であることを妨げない。
【0107】
また複数個の炭酸ガス液化部の相互の接続は、例えば図12(A)に示すように直列接続はもとより、例えば図12(B)に示すように並列接続にすることもできる。
【0108】
また1次炭酸ガス液化部69a及び2次炭酸ガス液化部69bの駆動力は、その1として、上記実施態様で述べた大気圧に曝され連鎖膨張し排出される炭酸ガスの噴出力及びベルト58a、58bにより伝動される炭酸ガスエンジン1からの駆動力、その2として前者(炭酸ガスの噴出力)のみの駆動力、その3として後者(ベルト58a、58bにより伝動される炭酸ガスエンジン1からの駆動力)のみのの駆動力の3パターンがある。つまり、ベルト58a、58bにより伝動される炭酸ガスエンジン1からの駆動力は場合によりあってもなくてもよい。
【0109】
循環タンク73を1次と2次に分けると、炭酸ガスエンジン1制御のための炭酸ガス35aの流量調整が円滑になることが期待され望ましい。
【0110】
初期始動を循環タンク73の残溜分より取り出し、初期タンク31を設けないこととしてもよい。
【0111】
炭酸ガスを液化するための炭酸ガス液化部による加圧は、温度等の外部環境によって適宜に選択され、例えば40気圧位でも可能である。
【0112】
供給系のパイプの中を流れる炭酸ガスは、気体と粉体としてのドライアイスの混合又は液体の状態での送給もあり得る。どの相をとるかは現場の気圧、温度等の条件による。
【0113】
循環式内圧機関及び発電システムを構成する炭酸ガスエンジン1の種類は任意である。また炭酸ガスエンジン1を構成する素材も鉄その他適宜に選択することができる。
【0114】
レシプロ型炭酸ガスエンジンの場合、内室9に設ける給気弁15は、図示例とは反対に、内室9を外側から給気弁15の弁蓋により閉塞または開放するようにしてもよい。また給気弁15の設置はシリンダ本体5の側壁であってもよい。さらにカム機構は他の公知のものも適用可能であり、例えばスプリングを要しないカム機構も考えられる。
【0115】
取り出したエネルギの適用は任意であり、発電機の駆動乃至発電はもちろん、例えば自動車、電車、航空機、船舶等の駆動、モータの駆動等をすることができる。
【0116】
本願発明において「高圧」とは、炭酸ガスエンジンを作動せしめるに十分な圧力の程度を指称し、例えば40気圧とか60気圧である。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本願発明は例えば、発電、自動車、電車、航空機、船舶等の駆動、モータの駆動、発電機の駆動に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本願発明による循環式内圧機関及び発電システムの回路構成図を示す。
【図2】本願発明による循環式内圧機関及び発電システムの動作ステップを示すフローチャートである。
【図3】本願発明に使用する内圧機関の実施例を示す。
【図4】ロータの実施例を示す概略斜視図である。
【図5】本願発明に使用する内圧機関の他の実施例を示す。
【図6】本願発明に使用する内圧機関のさらに他の実施例を示す。
【図7】ロータの他の実施例を示す概略斜視図である。
【図8】本願発明に使用する内圧機関のさらに他の実施例を示す。
【図9】本願発明による炭酸ガスエンジンの作動原理を示す説明図である。
【図10】炭酸ガスの熱力学的性質を示す表である。
【図11】本願発明に使用する内圧機関のさらに他の実施例を示す。
【図12】(A)は本願発明に使用する炭酸ガス液化部の接続例、(B)は他の接続例を示す。
【符号の説明】
【0119】
1 炭酸ガスエンジン
2 シリンダ
3 シリンダヘッド
5 シリンダ本体
7 ピストン
9 内室
11 排気口
13 給気口
15 給気弁
17 弁軸
19 スプリング
20 スプリングカバー
21 カム
23 コネクティングロッド
25 クランクシャフト
26 バランスウェイト
27 フライホイール
29a 圧力リング
29b オイルリング
31 初期タンク
33 パイプ
34 循環回路
34A 供給経路
34B 回収経路
35 炭酸ガス
35a 炭酸ガス
35b 炭酸ガス
51 切替弁
53 センサ
54 三方切替弁
55 流量制御弁
56 加熱部
57 冷却部
58a ベルト
58b ベルト
63 逆止弁
65 大気乾燥部
68 分離部
69a 1次炭酸ガス液化部
69b 2次炭酸ガス液化部
71 炭酸ガス単離部
73 循環タンク
75 逆止弁
77 逆止弁
101 ハウジング
102 ハウジング
103 内室
105 ロータ
105a オイルシール兼用圧力シール
106 ロータ軸
107 給気口
109 排気口
111 1次作動室
112 2次作動室
113 3次作動室
115 ロータ
115a オイルシール兼用圧力シール
116 ロータ軸
117 給気口
119 排気口
121 1次作動室
122 2次作動室
123 内室
123a 1次作動室
123b 2次作動室
123c 3次作動室
124 バルブ室
125 給気弁
126 ロータ
126a ロータ孔
126b ロータ軸
127 弁軸
129 スプリング
130 スプリングカバー
131 カム
137 加熱部
139 ハウジングカバー
141 熱風供給口
143 熱風排出口
145 熱風供給パイプ
147 熱風排出パイプ
149 圧縮機
a 作動面
b 作動面
c 作動面
G 常圧炭酸ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧状態で供給される炭酸ガスが大気圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動する炭酸ガスエンジンと、上記炭酸ガスエンジンの排気口側の炭酸ガスの圧力を大気圧にする炭酸ガス常圧化手段と、上記炭酸ガスエンジンに供給される高圧状態の炭酸ガスを加熱する加熱部と、上記炭酸ガスエンジンから排出される炭酸ガスを回収しかつ冷却する冷却部と、上記冷却部より圧送される冷却された炭酸ガスを高圧にて液化する炭酸ガス液化部と、液化炭酸ガスを貯溜する循環タンクとからなり、上記各部をパイプにより連結して炭酸ガスが循環する循環回路を構成することを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項2】
請求項1記載の循環式内圧機関において、上記循環回路が上記炭酸ガスエンジンに高圧状態の炭酸ガスを供給する供給系経路と、上記炭酸ガスエンジンから排出される常圧の炭酸ガスを回収する回収系経路とからなることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項3】
請求項2記載の循環式内圧機関において、上記加熱部が上記供給系経路に設けられることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項4】
請求項2記載の循環式内圧機関において、上記加熱部が上記炭酸ガスエンジンに設けられることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項5】
請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガス液化部が複数からなり、各炭酸ガス液化部が上記冷却部に接続されることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項6】
請求項5記載の循環式内圧機関において、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に直列接続されることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項7】
請求項5記載の循環式内圧機関において、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に並列接続されることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項8】
請求項1記載の循環式内圧機関において、上記循環回路の供給系経路と回収系経路との接点に三方切替弁を設け、該三方切替弁を介して初期タンクを連結し、供給系のパイプ及び回収系のパイプに送給されてくる液化炭酸ガスの液化純度を検知するセンサを設け、該センサは上記液化純度が設定範囲内に満たないときは初期切替信号を発し、設定範囲内であるときは循環切替信号を発することを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項9】
請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガスエンジンがロータリー型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項10】
請求項1記載の循環式内圧機関において、上記炭酸ガスエンジンがレシプロ型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする循環式内圧機関。
【請求項11】
高圧状態で供給される炭酸ガスが大気圧になるときの体積膨張による力により作動子を駆動する炭酸ガスエンジンと、上記炭酸ガスエンジンの排気口側の炭酸ガスの圧力を大気圧にする炭酸ガス常圧化手段と、上記炭酸ガスエンジンに供給される高圧状態の炭酸ガスを加熱する加熱部と、上記炭酸ガスエンジンから排出される炭酸ガスを回収しかつ冷却する冷却部と、上記冷却部より圧送される冷却された炭酸ガスを高圧にて液化する炭酸ガス液化装置と、液化炭酸ガスを貯溜する循環タンクとからなり、上記各部をパイプにより連結して炭酸ガスが循環する循環回路を構成し、上記炭酸ガスエンジンにより発電することを特徴とする発電システム。
【請求項12】
請求項11記載の発電システムにおいて、上記循環回路が上記炭酸ガスエンジンに高圧状態の炭酸ガスを供給する供給系経路と、上記炭酸ガスエンジンから排出される常圧の炭酸ガスを回収する回収系経路とからなることを特徴とする発電システム。
【請求項13】
請求項12記載の発電システムにおいて、上記加熱部が上記供給系経路に設けられることを特徴とする発電システム。
【請求項14】
請求項12記載の発電システムにおいて、上記加熱部が上記炭酸ガスエンジンに設けられることを特徴とする発電システム。
【請求項15】
請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガス液化部が複数からなり、各炭酸ガス液化部が上記冷却部に接続されることを特徴とする発電システム。
【請求項16】
請求項15記載の発電システムにおいて、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に直列接続されることを特徴とする発電システム。
【請求項17】
請求項15記載の発電システムにおいて、上記各炭酸ガス液化部は上記冷却部に並列接続されることを特徴とする発電システム。
【請求項18】
請求項11記載の発電システムにおいて、上記循環回路の供給系経路と回収系経路との接点に三方切替弁を設け、該三方切替弁を介して初期タンクを連結し、供給系のパイプ及び回収系のパイプに送給されてくる液化炭酸ガスの液化純度を検知するセンサを設け、該センサは上記液化純度が設定範囲内に満たないときは初期切替信号を発し、設定範囲内であるときは循環切替信号を発することを特徴とする発電システム。
【請求項19】
請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガスエンジンがロータリー型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする発電システム。
【請求項20】
請求項11記載の発電システムにおいて、上記炭酸ガスエンジンがレシプロ型炭酸ガスエンジンであることを特徴とする発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−215271(P2008−215271A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56258(P2007−56258)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【特許番号】特許第4042823号(P4042823)
【特許公報発行日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(300045248)有限会社新科学開発研究所 (18)
【Fターム(参考)】