説明

微小表面構造の形成方法および微小電気機械部材の製造方法、微小表面構造、ならびに当該構造を有する微小電気機械部材

本発明は、基板上に微小表面構造を形成するための方法、特に微小電気機械部材の製造方法と、そのような微小表面構造と、そのような微小表面構造を有する微小電気機械部材の製造方法と、そのような微小電気機械部材とに関する。本発明は、特にマイクロシステム技術(MST、微小電気機械システムMEMS)の部材にとって、ならびに、好ましくはゲッタ材料を用いた、微小部材の密閉ハウジングのための構造および接合技術にとって重要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に微小表面構造を形成するための方法、特に微小電気機械部材の製造方法、そのような微小表面構造、そのような微小表面構造を有する微小電気機械部材を製造するための方法、ならびにそのような微小電気機械部材に関する。本発明は特に、マイクロシステム技術(MST、微小電気機械システムMEMS)の部材にとって、ならびに、好ましくはゲッタ材料を用いた、微小部材の密閉ハウジングのための構造および接合技術にとって重要である。
【背景技術】
【0002】
微小部材の、例えばマイクロセンサまたはマイクロアクチュエータなどの微小電気機械部材の求められる耐用年数における確実な機能のために、当該機能の部材における雰囲気は適切に調整され、維持される。当該部材の機能が、管理された真空条件または特定の圧力の維持に基づく場合、多数の微小部材において、侵入するガスは有害である。同じく、当該部材において、耐用年数全体に渡って、特定の組成の雰囲気を形成することが必要になり得る。特に、酸素、水素、水蒸気は、密閉ハウジングにおいては望ましくない。しかしながら、引き起こされた圧力の上昇の他に、ガスもその他の劣化機構を活性化する。
【0003】
一般的に、微小部材において支配的な雰囲気を、機能材料、特にゲッタ材料の供給によって調整し、維持することが知られている。雰囲気の生成、調整、および維持に使用されるゲッタ材料の量は、その吸収能力に依存する。これはまた、有効表面およびガス分子との反応面として露出した表面に著しく左右される。基本的に、基板の表面構造化によって、多孔質もしくは微細構造化された機能材料もしくはゲッタフィルムによって、またはゲッタ薄膜の円柱状粒状構造によって、有効表面を得ることが知られている。ゲッタが一体的である場合には、内圧の上昇が遅れる。全ての活性空気ガスが吸収され、空気の侵入した希ガス部分のみが圧力の上昇をもたらすからである。活性空気ガスの受容による飽和効果を有さない理想的なゲッタは、長期的には内圧の上昇を、約9.3mbar(雰囲気における全ての希ガス分圧の合計)までに限定する。したがって、当該内圧は、ゲッタを有さないハウジングの場合よりも、係数100だけ低い。
【0004】
ここで、ゲッタを用いる他に、微小部材の十分長い耐用年数を得るための可能性は、例えばハウジング内部体積の倍加である。比較的深くエッチングされた空洞によって、ハウジング内における圧力の上昇または雰囲気の変化は、例えば半分にまで遅くなる。しかしながら、このジオメトリ上のアプローチは、機械的な部材の安定性および部材の大きさゆえに、しばしば適用不可能であるか、または極めて制限された上で適用可能である。
【0005】
密閉ハウジングにおける機能材料の必要な容量は、当該機能材料が、部材の耐用年数全体に渡って、その時々の機能を十分に維持することによって決定され得る。ゲッタの場合には、そのゲッタ容量は、危機的な空気漏出速度が検査された場合に、保証された部材の耐用年数内にゲッタ飽和が生じないことによって決定され得る。一般的には、目下まだ調査可能な空気漏出速度は、せいぜい10−14mbar・l/sの領域である。従来の薄膜ゲッタは、必要なゲッタ容量を得るためには、非常に広範囲に渡ってハウジング内に組み込まれなければならない。部材のジオメトリが小さくなってゆくという傾向は、機能材料またはゲッタ材料の十分に長い機能の妨げになる。なぜなら、例えば、材料を配置するために平坦な面が十分に利用できないので、耐用年数が延長された部材において、危機的な状況を招き得るからである。
【0006】
微小技術的部材に機能材料またはゲッタを供給するのは、様々な方法で行われる。ウエハ面での微小化された真空ハウジングの始めにおいて、対応する材料の多孔質なプレフォームが、特別にそのために設けられたハウジング空洞内に供給された。このとき、しばしば用いられる側面配置は、不利なことに部材を拡大するので、ハウジング内で利用できる機能材料またはゲッタ材料の量も限られる。ハウジング構造の別の選択肢として、焼結させたゲッタ層を有する金属担体フィルムが例えばハウジング蓋部などに溶接されるか、または、厚層としてハウジング蓋部に押圧され、当該蓋部と焼結された。垂直配置は省スペースではあるが、場合によって生じる粒子が精密な部材構造上に直接落下するという欠点を有する。両方の場合において、ゲッタの活性化は一般的に、炉内における焼戻しによる密閉ハウジングの閉鎖後に行われる(非特許文献1)。ウエハ面で部材キャップを導入した後、ゲッタはNEGプレフォームとして、共振器横の、そのために用意された空洞内に挿入された。当該空洞は、導管によって当該共振器と接続されている。構造的に分離可能な薄膜ゲッタの、キャップウエハのくぼみにおける直接の発展は、数ナノリットル範囲の空洞容積を有するウエハ面での真空ハウジングを可能にした(非特許文献2)。
【0007】
ゲッタ材料またはその他の機能材料を、微小部材を製造するための真空ウエハ接合プロセスに組み込むことは、材料自身に大きな要求を課すことになる。当該材料は貯蔵およびウエハの取り扱いに際して受動的に挙動しなければならない。層ストレスによってウエハが曲折してはならないし、分離温度は高すぎてもいけない(<300℃)。当該材料の構造は、金属の選択および空洞の深さに関して、キャップウエハプロセス(受動的キャップの製造)を限定してはならない。当該材料は、優れた接着力を示し、粒子を排出してはならず、その特徴的な特性は、ウエハの洗浄によってネガティブに変化してはならず、ウエハ接合中に希ガスを排出してはならず、その活性化温度は接合温度を超過してはならず、活性化プロセスは時間的に長く続きすぎてはならない。さらに、ゲッタはウエハ接合中のガス放出によってすでに飽和しない方が良く、場合によっては、結合したガスは、部材の通常の動作温度においては再び放出されるべきではない。
【0008】
ゲッタに関連して、その使用時に生じる問題について以下に記載する。吸収されるべきガスとしての酸素および窒素は、ゲッタによって化学的に結合されて、その表面において、対応する酸化物もしくは窒化物に変換される。形成された酸化物および窒化物は、変換されたゲッタ材料よりも大きな体積を有するので、ゲッタの化学反応とは、機械的応力の変化も連結する。当該機械的応力は、状況に応じては危機的な大きさを超過し得るものであり、ゲッタ構造における剥離または類似の材料の欠陥を引き起こし得る。酸化物もしくは窒化物の形成は、ゲッタの反応性が制限されることにもつながるが、これらの層は、ゲッタがガスとさらに反応することを妨げる。危機的な層厚が超過した場合、ゲッタのさらなる反応は中断し、それによってゲッタはさしあたりその最大容量に達した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R. Kullberg et al., Getter for microelectronic packages, Advanced Packaging, 12/2004, p.30-33.
【非特許文献2】High vacuum wafer bonding technology, AuSi eutectic wafer bonding with integrated getter thin film for long term stable high vacuum, W. Reinert, MST News, Spezialausgabe ueber Wafer Bond Technologie, Februar 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記先行技術に鑑みて、本発明の課題は、微小部材または機能グループにおいて、その製造のために、ゲッタなどの使用される機能材料の特有の能力をより利用することにある。機能材料の機械的整合性および安定性は、特に比較的長く使用された後、ならびにゲッタの場合には、受容されたガスとの反応および飽和の後も変わらず保証されるべきである。機能材料にとって必要な体積が拡大されない場合にも、当該機能性材料は機械的に安定に配置され、微小部材の機能は全く損なわれないか、損なわれたとしてもわずかな程度であるべきである。さらに、前記微小部材または機能グループの製造は、極力容易であり、困難にするべきではない。最後に、上述した先行技術の欠点を除去すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
方法の側から見ると、本課題の解決は、基板に微小表面構造を形成する方法、特に微小電気機械部材の製造方法にある。当該方法においては、基板上または基板内に、少なくとも1つの隆起および/またはくぼみを有する第1の微細構造、特に多数の隆起および/またはくぼみを有する第1の微細構造が形成される。当該隆起および/またはくぼみは、機能材料が塗布されるべき表面を有しており、当該表面は、基板面に対して垂直または斜めに延在しており、機能材料が塗布されるべき第1の微細構造の表面は、少なくとも領域的に波状またはこぶ状の隆起および/またはくぼみを有しており、当該隆起および/またはくぼみは、核形成点として用いられ、そこに当該機能材料が好ましくは分離および堆積する。当該機能材料は、塗布されるべき表面から隆起した立体を有する第2の微細構造の形において、好ましくは薄片および/または棒の形において塗布される。
【0012】
以下、1つまたは複数の第1の微細構造の隆起および/またはくぼみは、理解を容易にするために、1つの第1の隆起および/またはくぼみ、もしくは複数の第1の隆起および/またはくぼみと称する。第1の微細構造の当該第1の隆起および/またはくぼみは、機能材料が塗布されるべき表面を有しており、当該表面は、基板面に対して略垂直または斜めに延在している。機能材料が塗布されるべき第1の微細構造の表面は、やはり少なくとも領域的に波状またはこぶ状の隆起および/またはくぼみを有している。当該隆起および/またはくぼみは、以下、第2のこぶ状または波状隆起および/またはくぼみと称する。それによって、それらを、第1の微細構造の第1の隆起および/またはくぼみから区別する。塗布されるべき表面の第2の隆起および/またはくぼみは、核形成点として用いられ、そこで当該機能材料が好ましくは分離する。
【0013】
さらに本課題は、方法の側から見れば、ゲッタを機能材料として基板上に配置するための方法、特に請求項1から7のいずれか一項に記載の方法によって解決される。ゲッタ材料は、表面において基板に塗布される。当該表面は、少なくとも領域的に波状またはこぶ状の隆起および/またはくぼみを有している。波状またはこぶ状の隆起および/またはくぼみは、特に核形成点として用いられ、そこで当該機能材料が好ましくは分離する。
【0014】
装置の側から見ると、本課題の解決は、微小表面構造、特に請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって形成された微小表面構造にある。基板上または基板内には、少なくとも1つの隆起および/またはくぼみ、特に多数の隆起および/またはくぼみ、および基板面に対して略垂直または斜めの表面を有する第1の微細構造が設けられている。隆起および/またはくぼみの表面には、機能材料が配置されており、当該機能材料は、隆起および/またはくぼみの表面から隆起した立体を有する第2の微細構造の形において、特に薄片または棒の形において形成されている。第1の隆起および/またはくぼみの、基板面に対して略垂直または斜めの表面は、特に少なくとも領域的に、波状またはこぶ状の第2の隆起および/またはくぼみを有している。当該隆起および/またはくぼみは、第2の微細構造の形において配置された機能材料のための核形成点として用いられた。さらに、本課題の解決は、請求項10から13のいずれか一項に記載の微小表面構造、および下部要素、中間要素、上部要素としての基板を有する微小電気機械部材にある。
【0015】
本発明に係る機能材料としては、微小部材において、またはその製造において、特定の機能を果たす材料全般が理解される。この関連で例を挙げると、その他の基板を引き付ける、または結合させる作用を有する、最も広い意味でのゲッタ材料である。さらなる機能材料は、光学的に透明なハウジング要素または粒子収集装置としての接着性フィルムのための光吸収層または反射防止層であり得る。機能材料も、例えばアルゴンまたは水素などと高い気体飽和を有する機能材料であり得る。当該機能材料は、例えば多数の空洞を有する部材の枠内で用いられ得るが、それは当該空洞が様々な内圧を有しているときである。ゲッタとしては、1つまたは複数の物質を、化学的もしくは物理的に、またはその他の方法で引き付け、結合し、もしくは受容する材料が検討される。例えば、窒素は活性化されたゲッタの活性箇所において物理吸着される。このとき、ガスを持続的に結合する化学結合が生じる。湿性ゲッタは、一定の多孔性を備えた誘電性材料を有しており、好ましくは金属でコーティングされている。水分子は、その極性に基づいて、湿性ゲッタの多孔性構造内に組み込まれる。本発明に係るゲッタは、金属Ti、Cr、Zr、Al、V、Co、Hf、Ba、Fe、Laを特に純金属として、またはこれらの金属の任意の合金、例えばTiAl、ZrAl、TiSi、TiZr、またはZrCoを有している。特に有利なのは、多孔性のSiOの使用である。2つまたはそれより多い純金属または合金または様々な金属層の特定の連続を用いることも可能である。当該機能材料もしくはゲッタ材料は、例えばプラチナおよび/またはニッケルなど、特に触媒として作用する構成要素を備えている。本発明に係る機能材料またはゲッタ材料のコーティングとは、各材料の一層または複層の、面全体または部分的な、上下に重なるかまたは横に並ぶ配置として理解される。
【0016】
本発明に係る微小表面は、微小電気機械部材を製造するための方法によって形成された表面である。当該表面は、一般的に10nm〜50μmの範囲の大きさと、5nm〜600nmの高さ、好ましくは30nm(Skallops)の高さとを有する表面構造を具備する。さらなる好ましい大きさについては、以下に開示する。
【0017】
本発明の技術的アプローチは、基板の第1の微細構造に基づいている。当該構造上には、第2の微細構造の形で機能材料が塗布されている。第1の微細構造は、基板上または基板内に形成される。好ましくはこれは、エッチング法によって、特に例えばCF4およびSF6などの反応性ガスを交替で用いた乾式エッチング法によって行われる。特に良く適しているのは、異方性乾式エッチングまたは高率エッチングである。第1の微細構造は、さらにレーザ彫刻を用いて形成される。第1の微細構造を形成する際、基板内または基板上には、基板面に対して略垂直または斜めの壁、表面、または表面領域を有する、本明細書で第1の隆起および/またはくぼみとも称される構造が形成される。当該構造とは、機能材料がコーティングされるべき表面である。当該構造のジオメトリは、任意の、例えば直線状の溝、曲がりくねった溝、らせん、任意に多くの角または丸い穴を有した好ましくはマトリックス状に配置された作製した円柱または直方体またはハニカム構造などである。当該構造の幅は、通常1μmよりも大きい。深さまたは高さはそれ自体任意であるが、好ましくは50μmまで、より好ましくは10μm〜20μm、さらに好ましくは5nm〜600nmであり、かつ、特に有利なのは深さ30nmである。隣の構造との間隔は、3μm〜40μm、特に好ましくは4μmである。機能材料がコーティングされるべき表面は、基板面に対して好ましくは45°〜135°の間、より好ましくは87°〜95°の間である。特に適しているのは、基板面に対して略直角の表面である。
【0018】
当該機能材料は、本発明によると、第1の微細構造のコーティングされるべき表面から隆起した立体を有する第2の微細構造の形において、好ましくは薄片および/または棒の形において、対応する壁、表面、または表面領域に塗布される。有利には当該立体は互いに離間しており、隣り合う立体の間にスペースを有する基本的に任意の構成の個別の立体である。本発明に従って設けられた第1および第2の微細構造によって、機能材料の構造または表面は2倍拡大される。第1の微細構造は、基板表面の拡大を結果としてもたらす。当該表面には、平坦な基板表面の場合よりも、より多くの機能材料が配置され、ならびに、別の選択肢として、または追加的により大きな表面を有する機能材料が配置され得る。この効果に、表面の拡大に作用する機能材料の第2の微細構造が加わる。互いに離間する立体によって、所望の機能のために利用できる有効表面が拡大される。これによって総じて、機能材料の特有の機能容量がより良く利用され得る。有効表面の拡大の他に、立体間に設けられた間隔は、例えばゲッタなどの機能材料が機能ゆえに体積を増加させる場合に、(ゲッタ)材料のための膨張空間として用いられるという、さらなる意味を有している。当該材料は、ガスの受容によって、化学反応に基づいて体積を増加させる。立体の自由な膨張の可能性によって、部分飽和したゲッタ面の剥離が回避され、それによって再び、製造された微小部材の信頼性の向上および耐用年数の延長がもたらされる。
【0019】
特に有利には、第2の微細構造は、薄片および/または棒の形で立体を有する。これらの形は、以下に詳細に説明するように、本発明に係る方法によって簡単に作製される。薄片はさらに、微小部材の寸法においては、優れた強度、基板への堅固な結合、および安定性を有しているが、棒が薄片に対してより安定性が少ない場合、有効表面はより大きくなる。しかしながら、当該立体を、その他のジオメトリ形状または変化形において形成しても良い。例えば、当該薄片は直線状であってもよいし、または、屈曲していても良い。平坦な面上に円柱状に成長したゲッタフィルムにおいては、粒子の機械的分離の副次的効果として、ゲッタ層により少ない機械的ストレスが生じ、当該ストレスは低いレベルで安定する。
【0020】
機能材料の塗布は、基本的に任意の方法で、例えば蒸着またはスパッタによって行うことができる。しかしながら、特に好ましいのは、蒸着による機能材料の、例えば遊星歯車装置を有する設備における分離である。このとき、熱蒸発、電子ビーム蒸発、レーザ光線蒸発、またはアーク蒸発などの任意の蒸発方法が用いられる。これら一般に知られている方法では、蒸着させられるべき機能材料がターゲットとして蒸発する。蒸発した材料(原子、「原子クラスタ」、または分子)は、真空チャンバまたは低圧チャンバを通ってより低温の基板に達する。機能材料の蒸気は基板上で凝縮し、当該基板上に層を形成する。有利には、蒸着によって、ガスが機能材料の層に堆積することを回避できる。機能材料内に堆積したガスの後続のガス放出は概ね回避され得るので、それによって、形成された層は特に部材空洞内における高真空の形成もしくは維持に適している。
【0021】
機能材料コーティングは、純物質として、特に純金属またはるつぼからの合金として蒸着する。2つまたはそれより多い純材料または純金属またはそれぞれ異なるるつぼからの合金を同時に蒸発させること(共堆積)、または遮蔽板の開閉によって様々な層の特定の連続を調整することも可能である。
【0022】
機能材料の塗布方法としては、スパッタも適している。このとき、機能材料はイオン衝撃によって噴霧され、気体相に移行する。機能材料から抽出された原子は基板に到達し、凝縮し、層を形成する。当該方法は、作業ガス雰囲気内で実施される。スパッタされた材料に対する作業ガスの原子量の比に応じて、基板上に析出した層にスパッタガスが堆積する。高温において、堆積したガスは再び放出される。これは特に、比較的軽い作業ガスであるアルゴン、および、400℃の範囲におけるハウジング閉鎖の間の、共晶AuSiウエハ接合に際して必要な接合温度にとっては不利である。したがって、有利には、本発明の特別な実施形態によると、スパッタに際して作業ガスとして、クリプトンまたはキセノンなどの重希ガスが用いられる。これらは作業ガスとして著しくは機能材料内に堆積されないか、もしくは、500℃を超える非常な高温においてようやく当該材料から再び放出される。
【0023】
本発明のさらなる提案によると、第1の微細構造の機能材料がコーティングされるべき表面は、少なくとも領域的に波状またはこぶ状または類似の隆起および/またはくぼみを有している。これらは、特に第2の波状またはこぶ状または類似の隆起および/またはくぼみと称され、核形成点として用いられ、そこに当該機能材料が好ましくは分離および堆積する。有利には、第1の微細構造が、前記異方性乾式エッチングによって形成されることによって、第2の隆起および/またはくぼみが形成される。このとき、再生可能な表面トポグラフィ(波状レリーフ)が、第1の微細構造のエッチングされた構造の、前記垂直または斜めの壁、表面、または表面領域に形成される。このとき、波の山および波の谷は、好ましくは略基板表面に平行に延在している。波状レリーフは、エッチングパラメータを変更することによって、波の間隔および波の深さ(波の谷)に関して変化する。この変化形は、構造化プロセスの間も、好ましくはプログラム化されて実施される。隣接する波の腹の間の間隔は、ガス交換頻度に応じて、好ましくは60nm〜400nmである。波の振幅の形成は、ガスの濃度に関連している。SF6が反応性ガスである場合には、濃度が低いとき、波の振幅は10ナノメータよりも少ない。しかしながら一般的に、波の振幅の高さは、50nmより少ないように制限されている。なぜなら、そうでない場合には異方性が失われるからである。
【0024】
機能材料が、基板面に対して60°〜80°の衝突角で、前記表面トポグラフィに衝突すると特に有利である。前記第2の隆起/くぼみは、陰影効果をもたらすので、それによって、当該機能材料の成長ゾーンは、略盛り上がった基板領域にのみ形成される。前記衝突角の範囲は、特に有利には、例えば遊星歯車装置を有する設備を使用する際にもたらされる。当該基板は、蒸発装置源に対して約+−30°の角度変化で露出している。異方性乾式エッチングによって形成された第1の微細構造が、基板面に平行に延在する波の山を有している場合、当該機能材料は、成長ゾーンにおいて、好ましくは基板面に対して角度βで斜めに配置された立体、特に周囲を取り巻く薄片構造を形成する。当該薄片構造は、厚さ20nm〜180nm、長さ20nm〜数1000nmである。角度βは、特に、基板が蒸発装置源または機能材料の入射方向に対して向いている角度に依存し、好ましくは20°〜50°の範囲にある。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によると、第1の微細構造の(第1の)隆起および/またはくぼみは、好ましくは基板の空洞またはくぼみの底面内または底面上に形成される。これによって、本発明に係る微小表面は、ハウジングされた微小部材に関して略制限なく利用され得る。これによって有利には、ハウジング内に閉じ込められた内部容積は拡大され得る。それによって、空洞のないハウジングに対して、あり得る圧力上昇は緩慢になり得る。第1微細構造の第1の隆起および/またはくぼみを基板の空洞またはくぼみ内に形成する代わりに、平板な基板またはウエハ上に形成しても良い。当該空洞は、微小部材をハウジングする際、枠様の基板またはウエハを下部基板および上部基板の間に配置することによって形成される。
【0026】
第1の微細構造の構成によると、そのコーティングされるべき表面は、機能材料による構造化またはゲッタのコーティング、特にゲッタの金属化の直後にコーティングされる。別の選択肢としては、本発明のその他の実施形態によると、当該表面には、機能材料もしくはゲッタコーティングの塗布前に、後続のめっき金属塗布のために、誘電性層(例えばSiO、SiN、AlN、Al)または電極金属化(例えばCrAu、TiAu、TiTiNAu、TiCu、TiPtAu)が設けられ、それによって例えば周囲を取り巻く封印枠が形成される。
【0027】
次の実施形態によると、機能材料の塗布後、引き続いて金被覆層が蒸着する。これが、機能材料の塗布に必要な真空を中断せずに可能であると有利である。金の層は、後続の封印枠のめっき塗布(例えば金、金スズ)のための潜在層として用いられるとともに、機能材料層を、望ましくない空気またはその他の媒体との反応から保護する。金被覆層は、後に選択的に腐食するか、または熱によって機能材料層またはゲッタ層と合金を形成するが、当該機能材料層またはゲッタ層は熱によって活性化される。被覆層は、自明のことながら、その他のその時々に意図された目的に適した材料から成っており、特にプラチナ被覆層として実現している。有利には、プラチナ被覆層が、比較的大きな分子の分解に、低い温度で、特に動作温度範囲内で80℃〜150℃で触媒作用を及ぼし、水やメタンなどに関するゲッタ効率が改善される。
【0028】
被覆層に加えて、または被覆層の代わりに、プラチナおよび/またはニッケルを、層のスタックである中間層として、および/または少数合金要素として、特に既製合金の塗布の際、特に蒸着の際、用いることができる。プラチナおよび/またはニッケルは、特に機能材料またはゲッタ材料内に存在し、当該材料内で触媒的に作用することができる。
【0029】
当該方法の特別な実施形態は、基板の第1の微細構造に対向する側に、さらなるこのようなまたは類似の微細構造が形成されることを特徴とする。この両方の第1の微細構造の内、1つだけ、または両方とも、本発明に係る機能材料をコーティングすることができる。両方の微細構造は、同じかまたは異なって形成される。さらに、1つまたは両方の微細構造に塗布された機能材料の一部は、好ましくはエッチングによって除去される。このようにして、基板の両側に、第1の微細構造のみを有する対向し合う領域が、適切な構成において形成される場合、当該領域は、赤外線照射のための反射防止構造の形成に用いられる。片側面または両面には、微細構造の代わりに、光学的に被覆する薄層を設けても良い。赤外線窓における反射防止構造は、整理され、決定されて形成されても、純粋に任意(いわゆるブラックシリコン)に形成されても良い。これによって、特に有利なことに、微小電気機械部材の形成が可能になる。当該部材は、本発明に係る微小表面と、赤外線窓を有するゲッタ材料または機能材料との組み合わせを有する。当該赤外線窓は、特に少なくとも薄層から成る、好ましくはそれぞれ4つの交互に重なる層Ge‐ZnSから成る反射防止コーティングを有しており、当該反射防止コーティングは、基板の部材内部および/または部材外部を向いた側に配置される。さらに、設けられた反射防止コーティングの内少なくとも1つは、基板面に対して略垂直または斜めの表面を有する、少なくとも1つの隆起および/またはくぼみ、特に多数の隆起および/またはくぼみを備えた第1の微細構造を有している。隣接する隆起もしくはくぼみは、互いに好ましくは3μm〜40μm、さらに好ましくは4μmの間隔を有し、および/または当該隆起もしくはくぼみは、好ましくは50μmよりも少ない、さらに好ましくは10μm〜20μmの高さもしくは深さを有している。基板と反射防止コーティングとの間には、最適には金属層が絞りとして設けられる。
【0030】
さらなる実施形態によると、塗布された機能材料は構造化される。当該機能材料と特にガスを吸収するゲッタとは、各部材内に個々に取り込まれなければならない。これによって、例えばリソグラフィのリフトオフ構造化によるゲッタ構造化の必要性が生じる。当該構造化においては、まずニス層が塗布され、露出され、現像される。その後、機能材料層またはゲッタ層は、例えばスパッタまたはCVD(化学気相成長)によって塗布され、ニス層の溶解によって構造化される。当該構造化方法によって、機能材料表面またはゲッタ表面がリソグラフィニスの残滓によって汚染されることが回避されるはずである。層の構造化は、すでに例えば金属製シャドウマスクによる分離の間にも、基板上方で行われる。しかしながら、特に好ましいのは、機能材料上にニス層、特に光ニス層が塗布され、機能材料の露出された領域が、後に、特に湿式化学的ならびに乾式的に反応ガスによって構造化されるときである。
【0031】
総じて、マイクロセンサに関連した本発明に係る微小表面構造の配置には、以下の配置が考えられる。
1.上部要素内に、好ましくはその他の機能要素無しに、その下にある微小部材の上側または側方に配置する。このとき、上部ウエハ内の空洞は、乾式エッチング、湿式化学的エッチング、厚い封印枠、または第3のウィンドウウエハによって、間隔保持要素として形成される。
2.上部要素内で、赤外線照射のための反射防止コーティング(任意の配置を有するブラックシリコン、一定のモスアイ構造、薄膜)を有する、決められた領域(赤外線窓)の横または周りに配置する。このとき、赤外線窓は、基板表面よりも低い位置にある。プロセス技術上の理由から、外側面と内側面とで反射防止層を異なる組み合わせにしても有意義である。例えば、外側に薄膜被覆を、内側にモスアイまたはブラックシリコンを設けても良いし、または、その逆でも良い。逆の場合は利点が少なくなる。追加的に、片側または両側にGe‐ZnSから成る反射防止多層を形成しても良い。
3.微小部材(当該部材の横または当該部材を囲んで)のような同じ基板上に配置する。支持構造は、微小部材の要素自身のように、多結晶ケイ素、シリコンゲルマニウム、または非結晶質ケイ素など、同じ材料の層から構成されていることが好ましい。このとき、当該基板上に、微小部材のための統合電子評価回路または制御回路が存在するかどうかは些細なことである。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の特に好ましい実施形態の、以下の図を用いた例示的な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】微小表面構造の一部を示す基板面の概略的断面図である。
【図2】図1の微小表面構造を有する微小電気機械部材の概略的断面図である。
【図3】図1の微小表面構造を有する微小電気機械部材のさらなる実施形態の概略的断面図である。
【図4】図1の微小表面構造ならびに赤外線照射のための光学ウィンドウを有する微小電気機械部材の第3の実施形態の概略的断面図である。
【図5】図1の微小表面構造ならびにさらなる実施形態における赤外線照射のための光学ウィンドウを有する微小電気機械部材の第4の実施形態の概略的断面図である。
【図6】本発明に係る方法の実施形態を、フローチャートを用いて示した図である。
【図7】様々な製造ステップにおける上部基板を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0034】
図1では、本発明に係る微小表面構造1の一部が拡大され、概略的に示されている。微小表面構造1は、基板202に接して、または基板202上に形成されている。図1を著しく拡大すると、微小表面構造1の立体200だけが示される。当該立体は、基板面204に対して垂直に隆起している。当該基板面は、図1に矢印で示された方向ならびに図面レベルに対して垂直に延在している。図1からは明らかではないが、立体200は横断面において、基板面204に対して平行に、略円形の横断面を有している。立体200の、基板面204に対して垂直に延在する表面205には、波状構造210が設けられており、当該構造は波の谷206ならびに波の山207から成っている。
【0035】
基板表面に塗布される機能材料は、図示された例においては、例えばチタンを含有するゲッタ材料220、230である。ゲッタ材料220、230は、例えば蒸着によって、基板表面に塗布される。ゲッタ原子または金属原子、すなわちゲッタ材料の衝突角αは、図1から明らかである。ゲッタ材料220、230の蒸着の間、当該材料がコーティングされるべき微小部材209は、基板面204に対して垂直な回転軸の周りを回転する。基板面204の直交に対して斜めに形成された衝突角αならびに微小部材209全体の回転によって、基板面204に平行な表面のゲッタ材料の分離が生じる。図示された例では、ゲッタまたはチタン薄層230は立体200上に、ならびにゲッタまたはチタン薄層230は基板202の表面上自体に分離する。立体200の、基板204に垂直に向けられた表面205には、ゲッタ材料またはチタン材料が、衝突角αおよび表面205の間の前記回転、ならびに薄片220の形における微小部材209の回転ゆえに堆積する。この原因となるのは、立体200の表面205の波状構造210である。ゲッタ材料またはチタン材料220、230の入射方向(衝突角α)において、波の山207は、それぞれ入射方向において後続の波の谷206を、衝突するゲッタ原子またはチタン原子から遮蔽する。当該原子は、波の山207の領域においてのみ、ここでは特に波の山207の入射方向211の側に吸着する。成長するゲッタ吸着またはチタン吸着は、入射方向αにおいて後続の領域または波の谷206を継続して遮蔽する。微小部材209の回転ゆえに、衝突する材料は、立体200を取り囲む周方向において一様に分離し、それによって前記ゲッタ薄片またはチタン薄片220が形成される。当該薄片は、斜めの入射角αゆえに、角度βだけ基板面204に対して傾斜している。2つの波の山207の間の間隔ゆえに、薄片220は互いに離間して形成されており、隣の薄片220との間には、間隔240が形成されている。
【0036】
立体200は、本発明に係る第1の微細構造2を形成し、薄片220は本発明に係る第2の微細構造3を形成する。
【0037】
特に図2、図3、図4から明らかなように、微小部材209においては、図1に沿って形成された複数の立体200が、並んで基板202上に配置されている。隣の立体200との間には、やはり空間201が形成されている。図2に示された実施形態においては、立体200は基板202に接して形成されており、当該基板は図示された微小部材209のための蓋部208を形成している。蓋部208を形成する基板202内には、例えば適切なエッチング方法によってくぼみが設けられ、当該くぼみは下部基板280とともに空洞250を形成する。空洞250の底面251には、上述の立体200が配置されており、上述の方法によって、機能材料またはゲッタ220、230がコーティングされる。
【0038】
蓋部208は、封印枠270を間に挟み、下部基板280上に配置されているので、空洞250は周囲に対して密閉されている。下部基板280の蓋部208を向いた側には、1つ以上の微小構造290が配置されている。当該構造は、例えば慣性および回転率センサの振動要素であっても良い。微小構造290によって捕捉される測定値は、従来の方法において測定信号に変換される。当該測定信号は、例示的に示された電気的接続部290を通じて測定される。
【0039】
図3には、本発明に係る微小表面を有する微小電気機械部材209のさらなる実施形態が示されている。部材209は、対応する空洞250を有する蓋部208を備えている。当該蓋部は封印枠270を介して、その下に配置された下部基板280と連結されている。当該下部基板は、その蓋部208に対向する表面に、誘電体295がコーティングされている。誘電体295には、やはり電気的ストリップ導体293が、例えば、後続の部分的に腐食した電極金属化の形において塗布された。電気的ストリップ導体293もしくは誘電体295の上方には、さらなる誘電体294が配置されている。当該誘電体は、その下部基板280に対向する側で、封印枠270に連結されている。蓋部208、封印枠270、誘電体294、295、ならびに電気的ストリップ導体293と下部基板280との間の結合はやはり密閉されている。下部基板280と蓋部208との間には空洞250が形成されており、当該空洞内では、微小構造292、例えば対応する運動把握要素を有する回転発振器が、下部基板280に配置されている。さらに、空洞250においては、本発明に係る微小表面構造1の形でゲッタが配置されている。当該微小表面構造は、すでに図1および図2に関連して述べたように、立体200の形での第1の微細構造2、ならびに第2の微細構造3の形での、第1の微細構造2に塗布されたゲッタ材料220、230から成る。微小表面構造201は、下部基板280もしくは当該基板上に塗布された誘電性層295に配置されており、当該誘電性層は、この場合、微小部材として基板202を形成する。
【実施例2】
【0040】
本発明のさらなる第2の実施形態は、図4および図5に、微小赤外線検出器の形で示されている。図4に示された検出器は、下部基板280を有しており、その上面には、一体的な回路296が組み込まれている。さらに、下部基板280は、封印枠270を支持しており、当該封印枠は蓋部208と結合されている。下部基板280、封印枠270、および蓋部208は空洞250を形成し、当該空洞において下部基板280には、光学または赤外線照射による検出または相互作用のために、微小構造297が配置されている。当該空洞250は、蓋部208を形成する基板202内にくぼみがエッチングされることによって形成される。蓋部208のくぼみの底面251内には、立体200ならびに間隔201から成る、図1から図3に関して上述した第1の微細構造2が挿入されている。当該微細構造は、薄層230としての第2の微細構造3の形において、ならびに薄片220の形において、ゲッタがコーティングされている。その側方には、光学ウィンドウ300に対して蓋部208が形成されている。蓋部208の、下部基板280を向いた側には、微小構造化された反射防止層301が設けられており、当該反射防止層は、間隔302だけ互いに離間した立体303から成っている。微小構造化された反射防止層301は、第1の微細構造2と同じように製造される。
【0041】
蓋部208の、微小構造化された反射防止層301に対向する側には、蓋部208の外側くぼみ320における光学ウィンドウの反射防止のために薄層330が配置されている。
【0042】
図5に示された微小部材209は、図4に示された微小部材とは、くぼみ320中の薄層330の代わりに、外側に微小構造化された反射防止層310が設けられているという点で異なっている。当該反射防止層は、空洞内に配置された微小構造化された反射防止層301に略一致している。
【0043】
本発明に係る方法の進行を、図6のフローチャートを用いて例示的に示す。対応する製造段階における基板202を図7に示す。当該方法のステップ100では、基板202(図7c)にくぼみが形成され、当該くぼみは微小部材ののちの空洞250を形成する。当該くぼみは、一般的なエッチング方法を用いて、基板内に設けられる。
【0044】
当該方法のステップ110では、構造フィールドが形成される。ここでは、構造フィールドは、立体200および間隔201を有する第1の微細構造2であり、微小構造化された反射防止層301、310でもあると理解される。好ましくは、当該構造フィールドは、例えばCF4、SF6などの反応性ガスを用いた異方性乾式エッチング方法によって形成される(図7c、7d)。
【0045】
続いて、当該方法のステップ120では、ゲッタの金属化が分離する。当該金属化は、特に第1の微細構造(200、201)に、薄層230ならびに薄片220の形で分離する(図7g)。
【0046】
当該方法のステップ130では、金属枠が分離し、当該金属枠はのちの封印枠270を形成する。金属枠の分離は、好ましくは、例えば金または金/スズめっきの塗布によって行われる(図7h)。
【0047】
続く当該方法のステップ140では、ゲッタの構造化が行われる。このとき、塗布されたゲッタ材料の横の境界が、例えばリフトオフ構造化によって決定される(図7g、図7h)。同様に、維持すべきゲッタ構造を覆うためのフォトレジストを有する標準リソグラフィと、露出したゲッタ材料の後続の構造化とが行われる。当該構造化は、ゲッタ材料に応じて、湿式化学的または乾式的に、すなわち反応ガス(チタンおよびジルコンの場合は、例えばHF、HF含有エッチング)によって行われる。
【0048】
最後に、当該方法のステップ150では、部材の封鎖が、下部基板280、封印枠270、および蓋部208間の接着によって行われる。部材の封印は、制御された雰囲気(真空)下で行われる。
【符号の説明】
【0049】
α 衝突角
β ゲッタまたはチタン薄片の配置角度
1 微小表面構造
2 第1の微細構造
3 第2の微細構造
100‐150 プロセスフロー
200 立体
201 空間
202 基板
203 ゲッタ構造を有する領域
204 基板面
205 立体200の表面
206 波の谷
207 波の山
208 蓋部
209 微小部材
210 波構造
220 ゲッタまたはチタン薄片
230 ゲッタまたはチタン薄層
240 間隔
250 空洞
251 底面
270 封印枠
280 下部基板
290 微小構造
291 電気的接続部
292 微小構造
293 電気的ストリップ導体
294 誘電体
295 誘電体
296 一体的な回路
297 光学または赤外線照射による検出または相互作用のための微小構造
300 空洞内の光学ウィンドウ
301 微小構造化された反射防止層
302 反射防止層の間隔と深さ
303 立体
310 外側の光学ウィンドウ
320 外側の光学ウィンドウのくぼみ
330 光学ウィンドウの反射防止のための薄層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小表面構造を基板上に形成するための方法、特に微小電気機械部材の製造方法であって、基板上または基板内に、少なくとも第1の隆起および/またはくぼみ、特に多数の第1の隆起および/またはくぼみを有する第1の微細構造が形成されている方法において、
前記第1の微細構造の前記第1の隆起および/またはくぼみは、機能材料がコーティングされるべき表面を有しており、
前記表面は、基板面に対して略垂直または斜めに延在しており、
前記第1の微細構造の前記機能材料がコーティングされるべき表面は、少なくとも領域的に第2の波状またはこぶ状隆起および/またはくぼみを有しており、
前記コーティングされるべき表面の、前記第2のこぶ状または波状隆起および/またはくぼみは、核形成点として用いられ、前記核形成点には前記機能材料が好ましくは分離し、
前記機能材料は、前記コーティングされるべき表面から隆起した立体を有する第2の微細構造の形で、好ましくは薄片および/または棒の形で塗布されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の微細構造の前記第1の隆起および/またはくぼみは、前記基板の空洞またはくぼみの中または底面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機能材料を塗布する前に、誘電性層または電極金属化が前記基板上に塗布されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記機能材料は、ゲッタ材料、好ましくは空気ガスのためのゲッタ材料であるか、または湿性ゲッタとしての多孔質誘電性材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記機能材料の塗布後、被覆層、特に金被覆層が塗布され、特に蒸着することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記機能材料上にニス層、特に光ニス層が塗布され、前記機能材料の露出した領域が、後に、特に湿式化学的ならびに乾式的に反応ガスによって構造化されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
赤外線照射のための反射防止構造を形成するための、塗布された前記機能材料の一部が好ましくはエッチングによって除去されるか、または、赤外線照射のための反射防止コーティングまたは反射防止構造を形成するための、塗布された前記機能材料は、構造化プロセスによって、前記空洞内部の部分領域に限定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
機能材料としてのゲッタを基板上に配置するための、特に請求項1から7のいずれか一項に記載の方法において、前記ゲッタ材料は表面において前記基板上に塗布され、前記表面は少なくとも領域的に波状またはこぶ状の隆起および/またはくぼみを有しており、前記隆起および/またはくぼみは核形成点として用いられ、前記核形成点には前記機能材料が好ましくは分離することを特徴とする方法。
【請求項9】
微小電気機械部材の製造方法において、請求項1から7のいずれか一項に記載の微小表面が形成される、および/または請求項8に記載のゲッタが配置されることを特徴とする方法。
【請求項10】
特に請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって製造された微小表面構造において、
基板上または基板内には、少なくとも1つの第1の隆起および/またはくぼみ、特に多数の第1の隆起および/またはくぼみ、および基板面に対して略垂直または斜めの表面を有する第1の微細構造が設けられており、
第1の隆起および/またはくぼみの、前記基板面に対して略垂直または斜めの表面は、少なくとも領域的に、波状またはこぶ状の第2の隆起および/またはくぼみを有しており、
前記第1の隆起および/またはくぼみの、前記基板面に対して略垂直または斜めの表面には、機能材料が配置されており、
前記機能材料は、前記第1の隆起および/またはくぼみの表面から隆起した立体を有する第2の微細構造の形において、特に薄片または棒の形において形成されている
ことを特徴とする微小表面構造。
【請求項11】
隣接する第1の隆起もしくはくぼみは、互いに3μm〜40μm、好ましくは4μmの間隔を有し、および/または前記第1の隆起もしくはくぼみは、50μmよりも少ない、好ましくは10μm〜20μmの高さもしくは深さを有していることを特徴とする請求項10に記載の微小表面構造。
【請求項12】
前記機能材料と前記基板との間には、誘電性層、好ましくはSiO、SiN、AlN、またはAlから成る誘電性層が配置されていることを特徴とする請求項10または11に記載の微小表面構造。
【請求項13】
前記機能材料には、金被覆層が配置されていることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の微小表面構造。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の微小表面構造、および下部要素、中間要素、上部要素としての基板を有する微小電気機械部材。
【請求項15】
請求項14に記載の微小電気機械部材において、
赤外線照射のための反射防止構造を備えたウィンドウ領域が設けられていること、
前記反射防止構造は、好ましくは基板面に対して略垂直な表面を有する、多数の、特にマトリックス状に配置された隆起および/またはくぼみを有しており、前記基板内に形成された空洞内に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の微小電気機械部材。
【請求項16】
請求項14または15に記載の微小電気機械部材において、
反射防止コーティングが少なくとも1つの薄層から、好ましくはそれぞれ4つの交互のSi‐ZnS層から成ること、
前記反射防止コーティングは、前記基板の部材内側および/または部材外側を向いた側に配置されていることを特徴とする請求項14または15に記載の微小電気機械部材。
【請求項17】
請求項16に記載の微小電気機械部材において、
少なくとも1つの反射防止コーティングが、少なくとも1つの隆起および/またはくぼみ、特に多数の隆起および/またはくぼみ、および基板面に対して略垂直または斜めの表面を有する第1の微細構造を有しており、隣接する隆起もしくはくぼみは、互いに好ましくは3μm〜40μm、より好ましくは4μmの中心間間隔を有し、および/または前記隆起もしくはくぼみは、好ましくは50μmよりも少ない、より好ましくは10μm〜20μmの高さもしくは深さを有していることを特徴とする請求項16に記載の微小電気機械部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a)】
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【図7b)】
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【図7c)】
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【図7d)】
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【図7e)】
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【図7f)】
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【図7g)】
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【図7h)】
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【公表番号】特表2012−509201(P2012−509201A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543766(P2011−543766)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065293
【国際公開番号】WO2010/057878
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(500242786)フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ. (47)
【Fターム(参考)】