微粒子および微粒子の製造方法
【課題】新規な微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程S10と、前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程S20と、無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程S30と、前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程S40とを含む微粒子の製造方法である。
【解決手段】疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程S10と、前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程S20と、無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程S30と、前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程S40とを含む微粒子の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子および微粒子の製造方法に関するものであり、特に疎水性の生分解性ポリマーを含む微粒子および微粒子の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
以前より医薬分野等において、マイクロカプセルと呼ばれる直径が通常5〜500μmの薬剤を保持する粒子が開発され使われてきた。さらに近年ではナノカプセルと呼ばれる、マイクロカプセルよりも小さな微粒子も開発されている。(例えば、特許文献1、非特許文献1,2)
また、マイクロカプセルやナノカプセルであって、多孔質の微粒子も開発されている。(例えば、特許文献2−4、非特許文献3−5)
【特許文献1】特開平5−58882号公報
【特許文献2】特開平9−227690号公報
【特許文献3】特開平10−265581号公報
【特許文献4】特開2007−326833号公報
【非特許文献1】International Journal of Pharmaceutics, 187,143-152,1999
【非特許文献2】Journal of the Ceramics Society of Japan, 115(11),745-747,2007
【非特許文献3】International Journal of Pharmaceutics, 309,101-108,2006
【非特許文献4】Biomaterials 27, 152-159,2006
【非特許文献5】Journal of Controlled Release, 112,167-174,2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献や非特許文献に記載された技術では、粒径や孔径をコントロールすることは困難であった。特に、孔の大きさや深さを自在に調整できる技術は上記文献には開示されていない。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新規な微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の微粒子の製造方法は、疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程と、前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程と、無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程と、前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
上記の製造方法により、新規な多穴性の微粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[定義]
生分解性ポリマーとは、水や土の中にいる微生物によって、高分子化合物の分子構造が分解され、無機物に変えられるポリマーのことである。生分解性ポリマーの例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、ポリヒドロキシブチレートなどがある。
【0008】
アパタイトとは、M10(ZO4)6X2の組成を持つ結晶化合物である。MとしてはCaやMgなどのアルカリ土類金属やNaなどのアルカリ金属、ZとしてはPやSiなど、XとしてはOHやFやClなどが該当する。
【0009】
界面活性剤水溶液とは、界面活性剤を水に溶解させた溶液のことである。
【0010】
濃度を表す単位であるw/v%とは、分散媒を容量によって分散質を質量で表示した濃度の単位であり、例えば2w/v%のショ糖水溶液とは2gのショ糖を100mlの水に溶かした水溶液のことである。
【0011】
濃度を表す単位であるMは、mol/Lのことである。
【0012】
[微粒子構造について]
特許文献1−4、非特許文献1−5に開示されている高分子微粒子は、薬剤を保持するカプセルとして、あるいは多孔質微粒子として薬剤の徐放機能を備えさせている微粒子であった。すなわちカプセルの場合は中空粒子で内部に入れた薬剤が洩れないよう無孔の外殻を有している。また、多孔質微粒子の場合は中空粒子として内部に薬剤を入れて外殻には多くの孔が開いていたり、中空ではなく多くの孔に薬剤を入れたりしていた。この孔は微粒子を貫通しているものであり、以下に説明する実施形態の微粒子の穴とは別のものである。
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る微粒子の製造方法の工程を示す図である。まずポリマー溶液作製工程S10において、疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する。疎水性生分解性ポリマーは定義の欄に挙げたものを例示でき、疎水性有機溶媒は炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、含塩素系溶剤などを例示できる。ポリマー溶液の濃度は後の工程のことを考慮に入れて、20w/v%以下が好ましく、10w/v%以下がより好ましい。また微粒子の収率の面から0.5w/v%以上が好ましく、1w/v%以上がより好ましい。
【0015】
次の工程は、上記のポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程S20である。アパタイトの粉末は上記ポリマー溶液に対し、0.1w/v%以上20w/v%以下の量であることが好ましく、0.5w/v%以上12w/v%以下の量であることがより好ましい。
【0016】
アパタイトの粉末は、5nm以上500nm以下の平均粒径である一次粒子が凝集して形成された1μm以上200μm以下の平均粒径を有するものであることが好ましい。また、アパタイトとしてリン酸カルシウムを用いることが好ましく、微粒子を生体に投与する場合などはヒドロキシアパタイト(以下、HApと表記する)を用いることがより好ましい。
【0017】
原料溶液を作製したら、乳化液作製工程S30において、攪拌されている界面活性剤水溶液に原料溶液を加えていき、攪拌を続けて乳化液を作製する。界面活性剤水溶液には無機塩を添加しておく。原料溶液は界面活性剤水溶液に滴下していくことが好ましい。ここでの界面活性剤水溶液の濃度、無機塩の添加量、界面活性剤や無機塩の種類、攪拌速度、攪拌時間、滴下速度などを変えることによって出来上がる微粒子の大きさや微粒子の表面状態が変わってくる。
【0018】
界面活性剤は、親水性部分が非イオン性のものが好ましい。微粒子を生体に投与する場合には、毒性が確認されていない、あるいは毒性が低い界面活性剤が好ましい。界面活性剤水溶液の濃度は0.1w/v%以上10w/v%以下が好ましい。
【0019】
無機塩としては、金属元素と無機酸との反応物を挙げることができる。無機塩の界面活性剤水溶液への添加量は、濃度として0.01M以上5M以下が好ましい。
【0020】
攪拌条件は攪拌装置によって異なるが、常温において攪拌速度が10rpm以上5000rpm以下、攪拌時間が1分以上3時間以下を例として挙げることができる。但し、原料溶液の添加条件(添加方法や添加速度など)によっても攪拌条件は左右される。
【0021】
乳化液作製工程S30が終了したら、微粒子分離工程S40において作製した微粒子を液から分離して乾燥させる。微粒子の分離は、乳化液を遠心分離させることにより行い、その後微粒子を洗浄し減圧乾燥させる。このようにして微粒子を得ることができる。沸点が低い疎水性有機溶媒であれば、減圧乾燥によりその有機溶媒は除去される。
【0022】
このようにして得られた微粒子は疎水性の生分解性ポリマーを主成分とし、表層部分(外殻部)には多数の穴を有しており、中心部分は中空にはなっていないものである。また、この微粒子は界面活性剤を含んでいるが、生分解性ポリマーは疎水性であるので界面活性剤は主として外殻部分、特に表層に近い部分に存していると考えられる。外殻部よりも中心側の内側部には一部中空部もあるが、内側部のほとんどは生分解性ポリマーが占めている。本実施形態のような、いわゆるSolid-in-oil-in-water(S/O/W)エマルションを利用した微粒子の作製では、非特許文献2に記載されているように、中心に固相(本実施形態ではアパタイト)があってその表面を油相(本実施形態ではポリマー溶液)が覆う微粒子が形成されて、油相から溶媒を除去すると穴や孔がない微粒子となるのが通常であるが、本実施形態では表層部分に多数の穴が存し、外殻部分・中心部分にアパタイトが必ずしも存していない微粒子が形成される。このように多数の穴が形成されるのは、後ほど説明するが乳化液作製工程S30において、界面活性剤溶液に無機塩を加えているためである。
【0023】
表層部分の穴の大きさを調整することにより、この穴に種々の物質を入れて必要な場所まで移送するデリバリーシステムに利用できる。穴に入れる物質を薬剤にするとドラッグデリバリーシステム(DDS)となり、この微粒子が生分解性ポリマーを主成分とするため生体への負荷が小さい。また、穴の径や深さを音の波長や光の波長とほぼ同等とすることにより、吸音材や音機能材料、光機能材料として利用することができる。
【0024】
<実施例1>
疎水性の生分解性ポリマーとしてPLGAを、疎水性有機溶媒としてジクロロメタンを用い、6w/v%のポリマー溶液を作製した(S10)。それからアパタイトとしてHApを選択し、HApの粉末をこのポリマー溶液に加えて攪拌し、HApが6.5w/v%の濃度である原料溶液(懸濁液)を作製した(S20)。ここではHApとして、一次粒子の平均粒径が50nm、二次粒子の平均粒径が20μmの粉末を用いた。
【0025】
次に0.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記原料溶液を滴下して加え、攪拌速度750rpm、攪拌時間120分の条件で攪拌を行い、乳化液を作製した(S30)。なお、本実施例を含め、以下の実施例・比較例はビーカーサイズで各工程を行い、攪拌はマグネット攪拌子とマグネチックスターラーを用いて行った。攪拌速度はマグネチックスターラーでの設定値を意味している。
【0026】
攪拌終了後、乳化液を遠心分離させて生成物の微粒子と溶液とを分離させ、微粒子は水で洗浄して減圧乾燥させた(S40)。
【0027】
このようにして得られた微粒子の拡大像を図2に示す。図2(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図2(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は42μmであり、表面には多数の穴が開いている。表層部分の穴が存している部分が外殻部であり、それよりも内側の部分が内側部である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。なお、平均粒子径は、SEM画像から複数の粒子を選んで画像処理によって各粒子の径を測定し、その径を平均するという方法によって求めた。平均粒子径を求めるのには、「ImageJ1.38」というソフトウェアを用いた。
【0028】
(実施形態2)
実施形態2は、乳化液作製工程が2つのサブ工程を含んでいるという点が実施形態1と異なっておりその他の点は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なる点を以下に説明する。
【0029】
実施形態2の乳化液作製工程は、図3に示すように第1乳化液作製工程S32と第2乳化液作製工程S34の2つのサブ工程からなっている。第1乳化液作製工程S32では、無機塩が添加されて攪拌されている第1界面活性剤水溶液に原料溶液を加えていき、攪拌を続けて第1乳化液を作製する。第2乳化液作製工程S34では、無機塩が添加されて攪拌されている第2界面活性剤水溶液に第1乳化液を加えていき、攪拌を続けて第2乳化液を作製する。
【0030】
第2界面活性剤水溶液は第1界面活性剤水溶液よりも低濃度である。第1界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度は、0.7w/v%以上10w/v%以下が好ましく、第2界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度は0.01w/v%以上2w/v%以下が好ましい。
【0031】
第1界面活性剤水溶液と第2界面活性剤水溶液とは、同じ界面活性剤を用いてもよいし異なる界面活性剤を用いてもよい。添加する無機塩の種類や量も、第1界面活性剤水溶液と第2界面活性剤水溶液とにおいて同じにしてもよいし、異なるものとしてもよい。
【0032】
本実施形態では、乳化液作製工程を第1乳化液作製工程S32と第2乳化液作製工程S34との2つのサブ工程からなるものとしており、これらサブ工程の工程条件を調整することによって微粒子の粒径や穴の大きさ、穴の深さなどを制御しやすくなっている。
【0033】
<実施例2>
疎水性の生分解性ポリマーとしてPLGAを、疎水性有機溶媒としてジクロロメタンを用い、6w/v%のポリマー溶液を作製した(S10)。それからアパタイトとしてHAp選択し、HApの粉末をこのポリマー溶液に少しずつ加えて攪拌し、HApが6.5w/v%の濃度である原料溶液(懸濁液)を作製した(S20)。HApとして、一次粒子の平均粒径が50nm、二次粒子の平均粒径が20μmの粉末を用いた。
【0034】
次に2.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記原料溶液を滴下して加え、攪拌速度195rpm、攪拌時間20分の条件で攪拌を行い、第1乳化液を作製した(S32)。
【0035】
次に、0.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記第1乳化液を滴下して加え、攪拌速度195rpm、攪拌時間120分の条件で攪拌を行い、第2乳化液を作製した(S34)。
【0036】
攪拌終了後、第2乳化液を遠心分離させて生成物の微粒子と溶液とを分離させ、微粒子は水で洗浄して減圧乾燥させた(S40)。
【0037】
このようにして得られた微粒子の拡大像を図4、5に示す。図4(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図4(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図5(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図5(b)は図5(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0038】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は27μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は500nmである。図4(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、中実な状態でPLGAからなっている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。この凸起により、穴の内部に入れた物質が途中で脱落しにくくなっている。
【0039】
<実施例3>
実施例3は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0040】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を270rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分として、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0041】
得られた微粒子の拡大像を図6、7に示す。図6(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図6(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図7(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図7(b)は図7(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0042】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は15.4μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は840nmである。図6(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態であるが一部に小規模な中空部分が存している。図7(a)では、微粒子の内部が一部崩れている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。
【0043】
<実施例4>
実施例4は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0044】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を300rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0045】
得られた微粒子の拡大像を図8、9に示す。図8(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図8(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図9(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図9(b)は図9(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0046】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は15.8μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は310nmである。図8(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態ではあるが一部に小規模な中空部(直径1μmぐらい)が存している。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0047】
<実施例5>
実施例5は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0048】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を375rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0049】
得られた微粒子の拡大像を図10、11に示す。図10(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図10(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図11(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図11(b)は図11(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0050】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は11.3μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は4.8μmである。図10(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態である。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0051】
<実施例6>
実施例6は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0052】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度は実施例2と同じく195rpmとしたが、攪拌時間を60分として長時間の攪拌とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0053】
得られた微粒子の拡大像を図12、13に示す。図12(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図12(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図13(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図13(b)は図13(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0054】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は16.8μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は2.2μmである。図12(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態である。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0055】
図14は第1乳化液作製工程S32における攪拌速度が微粒子の大きさ及び外殻部の厚みに与える影響を示した図である。白抜き三角及び破線で表したグラフが左側に示された微粒子径のグラフであり、黒塗り三角及び実線で表したグラフが右側に示された外殻部の厚みのグラフである。なお、第1乳化液作製工程S32の攪拌時間は20分とし、第2乳化液作製工程S34の攪拌条件は、攪拌速度195rpm、攪拌時間120分とした。
【0056】
図14から、攪拌速度を上げると粒径が小さくなって外殻部の厚みが大きくなるため、攪拌速度上昇に伴って外殻部の比率が上昇することがわかる。特に、270rpmを超えると急激に外殻部の厚みが大きくなり、微粒子全体に占める外殻部の比率が大きくなる。このように第1乳化液作製工程S32における攪拌速度を変えることで、微粒子の粒径と外殻部の厚みを制御することができる。この攪拌速度以外にも各工程の種々の条件を変更することにより、微粒子の形状やサイズ、穴のサイズ深さ等を制御することができる。それにより、DDSや光機能材料、音機能材料として最適な微粒子形状、粒径、穴形状、穴サイズなどを作り上げることが可能になる。
【0057】
<比較例1>
比較例1は、第1乳化液作製工程S32及び第2乳化液作製工程S34のPVA水溶液にNaClを添加しなかったことが実施例4と異なっており、それ以外は実施例4と同じである。
【0058】
得られた微粒子の拡大像を図15(a)に示す。微粒子は主としてPLGAからなるが、その表面は平滑であって穴は存在しない。すなわち、乳化液を作製する工程で界面活性剤水溶液に無機塩を加えないと微粒子の表面に穴ができない。
【0059】
<比較例2>
比較例2は、原料用液作製工程を省略した点、すなわちHApを加えないポリマー溶液を用いて第1乳化液作製工程S32以降の工程を行ったことが実施例4と異なっており、それ以外は実施例4と同じである。
【0060】
得られた微粒子の拡大像を図15(b)に示す。微粒子は主としてPLGAからなるが、その表面は平滑であって穴は存在しない。すなわち、HApをポリマー溶液に加えないと微粒子の表面に穴ができない。
【0061】
(その他の実施形態)
上記の実施形態・実施例は本発明の例示であり、本願発明はこれらの例に限定されない。例えば、原材料の濃度は上記濃度に限定されず、例えば上記記載の好ましい濃度の範囲で変更しても構わないし、穴の開いた微粒子ができるのであればその範囲外の濃度であっても構わない。
【0062】
界面活性剤はPVA以外に、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤、PVA以外のノニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【0063】
無機塩はNaCl以外のNa塩、K塩、Li塩などでよいし、アルカリ土類金属の塩でもよい。又他の種類の金属元素のハロゲン化物や硫酸塩、硝酸塩などでも構わない。アパタイトはHAp以外のアパタイトを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明に係る微粒子の製造方法は、多数の穴を有する外殻部を備え、ドラッグデリバリーシステムや光機能材料、音機能材料等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ある実施形態に係る工程フロー図である。
【図2】実施例1に係る微粒子の拡大図である。
【図3】ある実施形態に係る工程フロー図である。
【図4】実施例2に係る微粒子の拡大図である。
【図5】実施例2に係る微粒子の拡大図である。
【図6】実施例3に係る微粒子の拡大図である。
【図7】実施例3に係る微粒子の拡大図である。
【図8】実施例4に係る微粒子の拡大図である。
【図9】実施例4に係る微粒子の拡大図である。
【図10】実施例5に係る微粒子の拡大図である。
【図11】実施例5に係る微粒子の拡大図である。
【図12】実施例6に係る微粒子の拡大図である。
【図13】実施例6に係る微粒子の拡大図である。
【図14】第1乳化液作製工程における攪拌速度と粒子径・外殻部厚みの関係図である。
【図15】比較例に係る微粒子の拡大図である。
【符号の説明】
【0066】
S10 ポリマー溶液作製工程
S20 原料用液作製工程
S30 乳化液作製工程
S32 第1乳化液作製工程
S34 第2乳化液作製工程
S40 微粒子分離工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子および微粒子の製造方法に関するものであり、特に疎水性の生分解性ポリマーを含む微粒子および微粒子の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
以前より医薬分野等において、マイクロカプセルと呼ばれる直径が通常5〜500μmの薬剤を保持する粒子が開発され使われてきた。さらに近年ではナノカプセルと呼ばれる、マイクロカプセルよりも小さな微粒子も開発されている。(例えば、特許文献1、非特許文献1,2)
また、マイクロカプセルやナノカプセルであって、多孔質の微粒子も開発されている。(例えば、特許文献2−4、非特許文献3−5)
【特許文献1】特開平5−58882号公報
【特許文献2】特開平9−227690号公報
【特許文献3】特開平10−265581号公報
【特許文献4】特開2007−326833号公報
【非特許文献1】International Journal of Pharmaceutics, 187,143-152,1999
【非特許文献2】Journal of the Ceramics Society of Japan, 115(11),745-747,2007
【非特許文献3】International Journal of Pharmaceutics, 309,101-108,2006
【非特許文献4】Biomaterials 27, 152-159,2006
【非特許文献5】Journal of Controlled Release, 112,167-174,2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献や非特許文献に記載された技術では、粒径や孔径をコントロールすることは困難であった。特に、孔の大きさや深さを自在に調整できる技術は上記文献には開示されていない。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新規な微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の微粒子の製造方法は、疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程と、前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程と、無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程と、前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
上記の製造方法により、新規な多穴性の微粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[定義]
生分解性ポリマーとは、水や土の中にいる微生物によって、高分子化合物の分子構造が分解され、無機物に変えられるポリマーのことである。生分解性ポリマーの例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン、酢酸セルロース、ポリヒドロキシブチレートなどがある。
【0008】
アパタイトとは、M10(ZO4)6X2の組成を持つ結晶化合物である。MとしてはCaやMgなどのアルカリ土類金属やNaなどのアルカリ金属、ZとしてはPやSiなど、XとしてはOHやFやClなどが該当する。
【0009】
界面活性剤水溶液とは、界面活性剤を水に溶解させた溶液のことである。
【0010】
濃度を表す単位であるw/v%とは、分散媒を容量によって分散質を質量で表示した濃度の単位であり、例えば2w/v%のショ糖水溶液とは2gのショ糖を100mlの水に溶かした水溶液のことである。
【0011】
濃度を表す単位であるMは、mol/Lのことである。
【0012】
[微粒子構造について]
特許文献1−4、非特許文献1−5に開示されている高分子微粒子は、薬剤を保持するカプセルとして、あるいは多孔質微粒子として薬剤の徐放機能を備えさせている微粒子であった。すなわちカプセルの場合は中空粒子で内部に入れた薬剤が洩れないよう無孔の外殻を有している。また、多孔質微粒子の場合は中空粒子として内部に薬剤を入れて外殻には多くの孔が開いていたり、中空ではなく多くの孔に薬剤を入れたりしていた。この孔は微粒子を貫通しているものであり、以下に説明する実施形態の微粒子の穴とは別のものである。
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る微粒子の製造方法の工程を示す図である。まずポリマー溶液作製工程S10において、疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する。疎水性生分解性ポリマーは定義の欄に挙げたものを例示でき、疎水性有機溶媒は炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、含塩素系溶剤などを例示できる。ポリマー溶液の濃度は後の工程のことを考慮に入れて、20w/v%以下が好ましく、10w/v%以下がより好ましい。また微粒子の収率の面から0.5w/v%以上が好ましく、1w/v%以上がより好ましい。
【0015】
次の工程は、上記のポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程S20である。アパタイトの粉末は上記ポリマー溶液に対し、0.1w/v%以上20w/v%以下の量であることが好ましく、0.5w/v%以上12w/v%以下の量であることがより好ましい。
【0016】
アパタイトの粉末は、5nm以上500nm以下の平均粒径である一次粒子が凝集して形成された1μm以上200μm以下の平均粒径を有するものであることが好ましい。また、アパタイトとしてリン酸カルシウムを用いることが好ましく、微粒子を生体に投与する場合などはヒドロキシアパタイト(以下、HApと表記する)を用いることがより好ましい。
【0017】
原料溶液を作製したら、乳化液作製工程S30において、攪拌されている界面活性剤水溶液に原料溶液を加えていき、攪拌を続けて乳化液を作製する。界面活性剤水溶液には無機塩を添加しておく。原料溶液は界面活性剤水溶液に滴下していくことが好ましい。ここでの界面活性剤水溶液の濃度、無機塩の添加量、界面活性剤や無機塩の種類、攪拌速度、攪拌時間、滴下速度などを変えることによって出来上がる微粒子の大きさや微粒子の表面状態が変わってくる。
【0018】
界面活性剤は、親水性部分が非イオン性のものが好ましい。微粒子を生体に投与する場合には、毒性が確認されていない、あるいは毒性が低い界面活性剤が好ましい。界面活性剤水溶液の濃度は0.1w/v%以上10w/v%以下が好ましい。
【0019】
無機塩としては、金属元素と無機酸との反応物を挙げることができる。無機塩の界面活性剤水溶液への添加量は、濃度として0.01M以上5M以下が好ましい。
【0020】
攪拌条件は攪拌装置によって異なるが、常温において攪拌速度が10rpm以上5000rpm以下、攪拌時間が1分以上3時間以下を例として挙げることができる。但し、原料溶液の添加条件(添加方法や添加速度など)によっても攪拌条件は左右される。
【0021】
乳化液作製工程S30が終了したら、微粒子分離工程S40において作製した微粒子を液から分離して乾燥させる。微粒子の分離は、乳化液を遠心分離させることにより行い、その後微粒子を洗浄し減圧乾燥させる。このようにして微粒子を得ることができる。沸点が低い疎水性有機溶媒であれば、減圧乾燥によりその有機溶媒は除去される。
【0022】
このようにして得られた微粒子は疎水性の生分解性ポリマーを主成分とし、表層部分(外殻部)には多数の穴を有しており、中心部分は中空にはなっていないものである。また、この微粒子は界面活性剤を含んでいるが、生分解性ポリマーは疎水性であるので界面活性剤は主として外殻部分、特に表層に近い部分に存していると考えられる。外殻部よりも中心側の内側部には一部中空部もあるが、内側部のほとんどは生分解性ポリマーが占めている。本実施形態のような、いわゆるSolid-in-oil-in-water(S/O/W)エマルションを利用した微粒子の作製では、非特許文献2に記載されているように、中心に固相(本実施形態ではアパタイト)があってその表面を油相(本実施形態ではポリマー溶液)が覆う微粒子が形成されて、油相から溶媒を除去すると穴や孔がない微粒子となるのが通常であるが、本実施形態では表層部分に多数の穴が存し、外殻部分・中心部分にアパタイトが必ずしも存していない微粒子が形成される。このように多数の穴が形成されるのは、後ほど説明するが乳化液作製工程S30において、界面活性剤溶液に無機塩を加えているためである。
【0023】
表層部分の穴の大きさを調整することにより、この穴に種々の物質を入れて必要な場所まで移送するデリバリーシステムに利用できる。穴に入れる物質を薬剤にするとドラッグデリバリーシステム(DDS)となり、この微粒子が生分解性ポリマーを主成分とするため生体への負荷が小さい。また、穴の径や深さを音の波長や光の波長とほぼ同等とすることにより、吸音材や音機能材料、光機能材料として利用することができる。
【0024】
<実施例1>
疎水性の生分解性ポリマーとしてPLGAを、疎水性有機溶媒としてジクロロメタンを用い、6w/v%のポリマー溶液を作製した(S10)。それからアパタイトとしてHApを選択し、HApの粉末をこのポリマー溶液に加えて攪拌し、HApが6.5w/v%の濃度である原料溶液(懸濁液)を作製した(S20)。ここではHApとして、一次粒子の平均粒径が50nm、二次粒子の平均粒径が20μmの粉末を用いた。
【0025】
次に0.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記原料溶液を滴下して加え、攪拌速度750rpm、攪拌時間120分の条件で攪拌を行い、乳化液を作製した(S30)。なお、本実施例を含め、以下の実施例・比較例はビーカーサイズで各工程を行い、攪拌はマグネット攪拌子とマグネチックスターラーを用いて行った。攪拌速度はマグネチックスターラーでの設定値を意味している。
【0026】
攪拌終了後、乳化液を遠心分離させて生成物の微粒子と溶液とを分離させ、微粒子は水で洗浄して減圧乾燥させた(S40)。
【0027】
このようにして得られた微粒子の拡大像を図2に示す。図2(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図2(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は42μmであり、表面には多数の穴が開いている。表層部分の穴が存している部分が外殻部であり、それよりも内側の部分が内側部である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。なお、平均粒子径は、SEM画像から複数の粒子を選んで画像処理によって各粒子の径を測定し、その径を平均するという方法によって求めた。平均粒子径を求めるのには、「ImageJ1.38」というソフトウェアを用いた。
【0028】
(実施形態2)
実施形態2は、乳化液作製工程が2つのサブ工程を含んでいるという点が実施形態1と異なっておりその他の点は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なる点を以下に説明する。
【0029】
実施形態2の乳化液作製工程は、図3に示すように第1乳化液作製工程S32と第2乳化液作製工程S34の2つのサブ工程からなっている。第1乳化液作製工程S32では、無機塩が添加されて攪拌されている第1界面活性剤水溶液に原料溶液を加えていき、攪拌を続けて第1乳化液を作製する。第2乳化液作製工程S34では、無機塩が添加されて攪拌されている第2界面活性剤水溶液に第1乳化液を加えていき、攪拌を続けて第2乳化液を作製する。
【0030】
第2界面活性剤水溶液は第1界面活性剤水溶液よりも低濃度である。第1界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度は、0.7w/v%以上10w/v%以下が好ましく、第2界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度は0.01w/v%以上2w/v%以下が好ましい。
【0031】
第1界面活性剤水溶液と第2界面活性剤水溶液とは、同じ界面活性剤を用いてもよいし異なる界面活性剤を用いてもよい。添加する無機塩の種類や量も、第1界面活性剤水溶液と第2界面活性剤水溶液とにおいて同じにしてもよいし、異なるものとしてもよい。
【0032】
本実施形態では、乳化液作製工程を第1乳化液作製工程S32と第2乳化液作製工程S34との2つのサブ工程からなるものとしており、これらサブ工程の工程条件を調整することによって微粒子の粒径や穴の大きさ、穴の深さなどを制御しやすくなっている。
【0033】
<実施例2>
疎水性の生分解性ポリマーとしてPLGAを、疎水性有機溶媒としてジクロロメタンを用い、6w/v%のポリマー溶液を作製した(S10)。それからアパタイトとしてHAp選択し、HApの粉末をこのポリマー溶液に少しずつ加えて攪拌し、HApが6.5w/v%の濃度である原料溶液(懸濁液)を作製した(S20)。HApとして、一次粒子の平均粒径が50nm、二次粒子の平均粒径が20μmの粉末を用いた。
【0034】
次に2.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記原料溶液を滴下して加え、攪拌速度195rpm、攪拌時間20分の条件で攪拌を行い、第1乳化液を作製した(S32)。
【0035】
次に、0.5w/v%のPVA水溶液にNaClを0.5Mの濃度になるように加えた水溶液に、上記第1乳化液を滴下して加え、攪拌速度195rpm、攪拌時間120分の条件で攪拌を行い、第2乳化液を作製した(S34)。
【0036】
攪拌終了後、第2乳化液を遠心分離させて生成物の微粒子と溶液とを分離させ、微粒子は水で洗浄して減圧乾燥させた(S40)。
【0037】
このようにして得られた微粒子の拡大像を図4、5に示す。図4(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図4(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図5(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図5(b)は図5(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0038】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は27μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は500nmである。図4(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、中実な状態でPLGAからなっている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。この凸起により、穴の内部に入れた物質が途中で脱落しにくくなっている。
【0039】
<実施例3>
実施例3は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0040】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を270rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分として、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0041】
得られた微粒子の拡大像を図6、7に示す。図6(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図6(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図7(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図7(b)は図7(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0042】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は15.4μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は840nmである。図6(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態であるが一部に小規模な中空部分が存している。図7(a)では、微粒子の内部が一部崩れている。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が複数突き出している。
【0043】
<実施例4>
実施例4は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0044】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を300rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0045】
得られた微粒子の拡大像を図8、9に示す。図8(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図8(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図9(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図9(b)は図9(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0046】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は15.8μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は310nmである。図8(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態ではあるが一部に小規模な中空部(直径1μmぐらい)が存している。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0047】
<実施例5>
実施例5は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0048】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度を375rpmとした。攪拌時間は実施例2と同じ20分とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0049】
得られた微粒子の拡大像を図10、11に示す。図10(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図10(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図11(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図11(b)は図11(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0050】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は11.3μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は4.8μmである。図10(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態である。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0051】
<実施例6>
実施例6は、第1乳化液作製工程S32の攪拌条件が実施例2と異なっており、それ以外は実施例2と同じである。
【0052】
本実施例では、第1乳化液作製工程S32において攪拌速度は実施例2と同じく195rpmとしたが、攪拌時間を60分として長時間の攪拌とし、第1乳化液を作製した。それ以降は実施例2と同様にして微粒子を作製した。
【0053】
得られた微粒子の拡大像を図12、13に示す。図12(a)は粒子全体が示されたSEM写真であり、図12(b)は表面を拡大して穴の状態を示したSEM写真である。また図13(a)は微粒子を切断した断面の拡大SEM写真であり、図13(b)は図13(a)の微粒子表層部分を更に拡大したSEM写真である。
【0054】
微粒子は主としてPLGAからなるとともにPVAを含んでおり、その平均粒子径は16.8μmであり、表面には多数の穴が開いている。微粒子の表層部分は多数の穴が存する外殻部であり、その厚み(表面からの深さ)は2.2μmである。図12(b)に示されている表面の穴の状態はスポンジに似た状態である。穴自身の開口形状・微粒子内部へ延びている形状は不定形であり、開口径も数十から数百nmの範囲内にあって穴同士は微粒子内部(外殻部内)で繋がっている。また微粒子の、外殻部よりも中心側に存する内側部は、ほぼ中実な状態である。穴を構成している内壁からはこぶ状の凸起が突き出している。
【0055】
図14は第1乳化液作製工程S32における攪拌速度が微粒子の大きさ及び外殻部の厚みに与える影響を示した図である。白抜き三角及び破線で表したグラフが左側に示された微粒子径のグラフであり、黒塗り三角及び実線で表したグラフが右側に示された外殻部の厚みのグラフである。なお、第1乳化液作製工程S32の攪拌時間は20分とし、第2乳化液作製工程S34の攪拌条件は、攪拌速度195rpm、攪拌時間120分とした。
【0056】
図14から、攪拌速度を上げると粒径が小さくなって外殻部の厚みが大きくなるため、攪拌速度上昇に伴って外殻部の比率が上昇することがわかる。特に、270rpmを超えると急激に外殻部の厚みが大きくなり、微粒子全体に占める外殻部の比率が大きくなる。このように第1乳化液作製工程S32における攪拌速度を変えることで、微粒子の粒径と外殻部の厚みを制御することができる。この攪拌速度以外にも各工程の種々の条件を変更することにより、微粒子の形状やサイズ、穴のサイズ深さ等を制御することができる。それにより、DDSや光機能材料、音機能材料として最適な微粒子形状、粒径、穴形状、穴サイズなどを作り上げることが可能になる。
【0057】
<比較例1>
比較例1は、第1乳化液作製工程S32及び第2乳化液作製工程S34のPVA水溶液にNaClを添加しなかったことが実施例4と異なっており、それ以外は実施例4と同じである。
【0058】
得られた微粒子の拡大像を図15(a)に示す。微粒子は主としてPLGAからなるが、その表面は平滑であって穴は存在しない。すなわち、乳化液を作製する工程で界面活性剤水溶液に無機塩を加えないと微粒子の表面に穴ができない。
【0059】
<比較例2>
比較例2は、原料用液作製工程を省略した点、すなわちHApを加えないポリマー溶液を用いて第1乳化液作製工程S32以降の工程を行ったことが実施例4と異なっており、それ以外は実施例4と同じである。
【0060】
得られた微粒子の拡大像を図15(b)に示す。微粒子は主としてPLGAからなるが、その表面は平滑であって穴は存在しない。すなわち、HApをポリマー溶液に加えないと微粒子の表面に穴ができない。
【0061】
(その他の実施形態)
上記の実施形態・実施例は本発明の例示であり、本願発明はこれらの例に限定されない。例えば、原材料の濃度は上記濃度に限定されず、例えば上記記載の好ましい濃度の範囲で変更しても構わないし、穴の開いた微粒子ができるのであればその範囲外の濃度であっても構わない。
【0062】
界面活性剤はPVA以外に、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤、PVA以外のノニオン性界面活性剤を用いてもよい。
【0063】
無機塩はNaCl以外のNa塩、K塩、Li塩などでよいし、アルカリ土類金属の塩でもよい。又他の種類の金属元素のハロゲン化物や硫酸塩、硝酸塩などでも構わない。アパタイトはHAp以外のアパタイトを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明に係る微粒子の製造方法は、多数の穴を有する外殻部を備え、ドラッグデリバリーシステムや光機能材料、音機能材料等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ある実施形態に係る工程フロー図である。
【図2】実施例1に係る微粒子の拡大図である。
【図3】ある実施形態に係る工程フロー図である。
【図4】実施例2に係る微粒子の拡大図である。
【図5】実施例2に係る微粒子の拡大図である。
【図6】実施例3に係る微粒子の拡大図である。
【図7】実施例3に係る微粒子の拡大図である。
【図8】実施例4に係る微粒子の拡大図である。
【図9】実施例4に係る微粒子の拡大図である。
【図10】実施例5に係る微粒子の拡大図である。
【図11】実施例5に係る微粒子の拡大図である。
【図12】実施例6に係る微粒子の拡大図である。
【図13】実施例6に係る微粒子の拡大図である。
【図14】第1乳化液作製工程における攪拌速度と粒子径・外殻部厚みの関係図である。
【図15】比較例に係る微粒子の拡大図である。
【符号の説明】
【0066】
S10 ポリマー溶液作製工程
S20 原料用液作製工程
S30 乳化液作製工程
S32 第1乳化液作製工程
S34 第2乳化液作製工程
S40 微粒子分離工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程と、
前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程と、
無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程と、
前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程と
を含む、微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アパタイトの粉末は、5nm以上500nm以下の平均粒径である一次粒子が凝集して形成された1μm以上200μm以下の平均粒径を有する、請求項1に記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記原料溶液作製工程において、前記アパタイトとしてリン酸カルシウムを用いる、請求項1又は2に記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記乳化液作製工程には、無機塩が添加された第1濃度の界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、第1乳化液を作製する第1乳化液作製工程と、
無機塩が添加された、前記第1濃度よりも低い濃度である第2濃度の界面活性剤水溶液に前記第1乳化液を加えて攪拌し、第2乳化液を作製する第2乳化液作製工程との2つの工程が含まれる、請求項1から3のいずれか一つに記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤はポリビニルアルコールである、請求項1から4のいずれか一つに記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項6】
疎水性の生分解性ポリマーを含み、平均粒径が1μm以上100μm以下である微粒子であって、
外殻部と、該外殻部よりも中心側に存する内側部とからなる2層構造を有しており、
前記外殻部は、前記内側部との境界から表面に向けて延びる隔壁を備え、
前記隔壁に囲まれてなる多数の穴が表面に開口している、微粒子。
【請求項7】
前記隔壁には凸起が形成されている、請求項6に記載されている、微粒子。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一つに記載されている微粒子の製造方法により製造される微粒子であって、
外殻部と、該外殻部よりも中心側に存する内側部とからなる2層構造を有しており、
前記外殻部は、該外殻部には多数の穴が形成されている、微粒子。
【請求項1】
疎水性の生分解性ポリマーを疎水性有機溶媒に溶解させてポリマー溶液を作製する工程と、
前記ポリマー溶液にアパタイトの粉末を加えて原料溶液を作製する原料溶液作製工程と、
無機塩が添加された界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、乳化液を作製する乳化液作製工程と、
前記乳化液中に分散している前記生分解性ポリマーを含む微粒子を分離して取り出す工程と
を含む、微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アパタイトの粉末は、5nm以上500nm以下の平均粒径である一次粒子が凝集して形成された1μm以上200μm以下の平均粒径を有する、請求項1に記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記原料溶液作製工程において、前記アパタイトとしてリン酸カルシウムを用いる、請求項1又は2に記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記乳化液作製工程には、無機塩が添加された第1濃度の界面活性剤水溶液に前記原料溶液を加えて攪拌し、第1乳化液を作製する第1乳化液作製工程と、
無機塩が添加された、前記第1濃度よりも低い濃度である第2濃度の界面活性剤水溶液に前記第1乳化液を加えて攪拌し、第2乳化液を作製する第2乳化液作製工程との2つの工程が含まれる、請求項1から3のいずれか一つに記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤はポリビニルアルコールである、請求項1から4のいずれか一つに記載されている、微粒子の製造方法。
【請求項6】
疎水性の生分解性ポリマーを含み、平均粒径が1μm以上100μm以下である微粒子であって、
外殻部と、該外殻部よりも中心側に存する内側部とからなる2層構造を有しており、
前記外殻部は、前記内側部との境界から表面に向けて延びる隔壁を備え、
前記隔壁に囲まれてなる多数の穴が表面に開口している、微粒子。
【請求項7】
前記隔壁には凸起が形成されている、請求項6に記載されている、微粒子。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一つに記載されている微粒子の製造方法により製造される微粒子であって、
外殻部と、該外殻部よりも中心側に存する内側部とからなる2層構造を有しており、
前記外殻部は、該外殻部には多数の穴が形成されている、微粒子。
【図1】
【図3】
【図14】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図3】
【図14】
【図2】
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【図11】
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【図13】
【図15】
【公開番号】特開2010−126588(P2010−126588A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301194(P2008−301194)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
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