説明

微粒子粉体及びその製造方法

【課題】 有機性分散媒における分散性に優れる微粒子形態の、金属酸化物乃至は水酸化物の組成物を提供する。
【解決手段】 脂肪酸及び/又はその塩の存在下、金属塩とアルカリとを反応させ、金属酸化物乃至は水酸化物と、脂肪酸との複合体を形成せしめ、しかる後に該複合体以外の生成物を洗浄し、ついで乾燥させる工程を経て、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体を製造する。前記微粒子金属酸化物・脂肪酸複合体における微粒子金属酸化物は、酸化亜鉛でが好ましく、前記脂肪酸は炭素数6〜30のものが好ましい。この様な製造過程を経て、鱗片状の形状を有する、有機性分散媒に容易に分散する金属酸化物/水酸化物複合体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料原料として好適な、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体からなる微粒子粉体、その製造方法、それを含有してなる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料等無機物粒子の殆どは、水系で製造され、本来親水的であり、部分的には親油性の部分を有する。しかしながら、水系反応で造る無機物粒子は、出来た瞬間から粒子成長が始まり、超微粒子として取り出すことが出来ないばかりか、水中では、極性の関係で、粒子同士の凝集が起こり易く再分散性も困難な分散物となる。この様な分散性の困難さは、分散媒を有機溶剤や油剤に代えても同様に困難であるか、それ以上であるとも言える。これは、この様な有機性の分散媒では水以上に粉体間の結合を壊すことが困難なためである。又その後のハンドリングを容易にするために一度乾燥して粉末状にすると、粒子表面が活性化して、粒子同士が非常に強い凝集力で結びつき、更には水や有機性分散媒への分散性は一段と難しいものとなる。一方、顔料等無機物粒子分散して用いる用途は、塗料、絵具、化粧品、食料品、インク等無限に等しくあり、近年、これらの用途に用いられる無機物粒子は、使用機器や使用法の高度化および精密化に伴い、一層微細で分散性の良いものが求められるようになり、これに伴って、顔料の微粒子化が盛んに検討されるようになった。しかしながら、上述の例では、無機物粒子を微粒子化して分散媒へ分散させる為には非常に強力な粉砕力が必要であり、また分散化およびその後の再凝集を抑えるために多量の表面活性剤が必要である。(例えば、特許文献1を参照)取り分け、有機性の分散媒を選択した場合においては、分散媒自身の粘度が高い蓋然性が高く、分散に要する機械力、界面活性剤量は更に大きなものが必要となる。これであると粒子の細かさにはおのずと限界が生じ、活性剤の種類と量によっては用途に制限が加えられているのが現状であった。即ち、分散性、取り分け、有機性分散媒における分散性に優れる微粒子の金属酸化物乃至は水酸化物が求められていたと言える。
【0003】
有機性の分散媒に対する分散性を高めるためには、通常、表面の親油化処理により、親水性部分をつぶす方法がとられるが、前記親油化処理としては、例えば、金属石鹸被覆処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け処理、リン脂質被覆処理、ポリエチレン被覆処理、アシルアミノ酸塩被覆処理などが存するが、これらは何れも、凝集を促進する加熱工程を必須としたり、バインダーとなる成分で被覆処理するため、粒径が著しく増大することはあっても、小さくなることはない。言い換えれば、有機性の分散媒への分散性を高めれば高めるほど、粒径は増大することになり、分散体の微粒子化からは遠くなってしまうと言える。
【0004】
脂肪酸と金属酸化物乃至は水酸化物との複合体としては、単なる金属石鹸、或いは、該金属石鹸で処理された金属酸化物乃至は水酸化物が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)が、勿論、これらは微粒子といえるサイズではないし、脂肪酸の許容される構成も炭素数6〜30というものとは一致しない。尚、本発明にいう、微粒子とは平均粒径で0.1μm以下の粒子を意味する。
【0005】
微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体は全く知られていないし、脂肪酸及び/又はその塩の存在下、金属塩とアルカリとを反応させ、金属酸化物乃至は水酸化物と、脂肪酸との複合体を形成せしめ、しかる後に該複合体以外の生成物を洗浄し、ついで乾燥させる工程を有する、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法も全く知られていない。
【0006】
一方、形状という視点で見ても、微粒子の金属酸化物乃至は水酸化物は、これまで知られているものでは、球形乃至は不定形のものが殆どで、形状の違いにより、光学的効果が異なることから、形状に特徴のある金属酸化物乃至は水酸化物の開発が望まれていた。(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)その中において、鱗片重層状のものはまだ知られていない。
【0007】
【特許文献1】特開2001−207060号公報
【特許文献2】特開平08−231374号公報
【特許文献3】特開平08−231373号公報
【特許文献4】特開2000−219607号公報
【特許文献5】特開2005−289932号公報
【特許文献6】特開平07−157312号公報
【特許文献7】特開2002−146238号公報
【特許文献8】特開2005−272466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、有機性分散媒における分散性に優れる微粒子形態の、金属酸化物乃至は水酸化物の組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、有機性分散媒における分散性に優れる微粒子形態の、金属酸化物乃至は水酸化物の組成物を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、脂肪酸及び/又はその塩の存在下、金属塩とアルカリとを反応させ、金属酸化物乃至は水酸化物と、脂肪酸との複合体を形成せしめ、しかる後に該複合体以外の生成物を洗浄し、ついで乾燥させる工程を経て得られる、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体がこの様な特性を備えていることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
【0010】
(1)脂肪酸及び/又はその塩の存在下、金属塩とアルカリとを反応させ、金属酸化物乃至は水酸化物と、脂肪酸との複合体を形成せしめ、しかる後に該複合体以外の生成物を洗浄し、ついで乾燥させる工程を有することを特徴とする、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
(2)前記微粒子金属酸化物・脂肪酸複合体における微粒子金属酸化物が、酸化亜鉛であることを特徴とする、(1)に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
(3)前記脂肪酸が炭素数6〜30のものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
(4)微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体における金属が亜鉛であることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の製造方法。
(5)形状が鱗片積層状の形態であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の製造方法。
(6)微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
(7)前記脂肪酸が炭素数6〜30のものであることを特徴とする、(6)に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
(8)前記金属が亜鉛であることを特徴とする、(6)又は(7)に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
(9)形状が鱗片積層状であることを特徴とする、(6)〜(8)何れか1項に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
(10)(6)〜(9)何れか1項に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体を含有してなる皮膚外用剤。
(11)化粧料であることを特徴とする、(10)に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機性分散媒における分散性に優れる微粒子形態の、金属酸化物乃至は水酸化物の組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の微粒子の金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体は、金属の水溶性塩、例えば、塩化物などのハロゲン化物や、硝酸塩などを水性担体中、脂肪酸及び/又はその塩の存在下、水溶性の塩基で中和し、金属塩の陰イオン残基と水酸イオンとをイオン交換することにより製造される。前記金属酸化物乃至は水酸化物を構成する金属としては、例えば、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀等が例示でき、これらの内では、両性金属に属するものが好ましく、亜鉛、アルミニウムなどが好適に例示できる。特に、光学的効果から、亜鉛が特に好ましい。これらの金属塩は唯一種を用いることも出来るし、二種以上を用いて複合金属酸化物乃至は水酸化物の形態にすることも出来る。又、脂肪酸及び/又はその塩としては、炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜12脂肪酸乃至はその塩であれば特段の限定はされず、不飽和結合を有していても良いし、分岐構造乃至は環状構造を有していても良い。又、その塩としては、化粧料での使用実績が存するものであれば特段の限定はされず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。特に好ましいものはアルカリ金属塩であり、中でもナトリウム塩である。具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、シクロヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸などが脂肪酸としては好適に例示でき、それらの塩としては、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、シクロヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウムなどが好適に例示できる。特に好ましいものは、カプリル酸乃至はその塩であり、中でもカプリル酸ナトリウムが好ましい。前記金属塩と、脂肪酸乃至はその塩との質量は、金属塩を金属酸化物乃至は水酸化物に換算して、該金属酸化物乃至は水酸化物が60質量%以上になるように、より好ましくは、好ましくは60%〜99%であり、更に好ましくは85%〜99%である様に設定しておくことが好ましい。前記水性担体としては、水を含むことが必須であり、更に、水と可溶な有機溶剤とを混和して用いることが好ましい。一般的に、水系で金属塩を加水分解して水酸化物や酸化物を造る工程で、少量又は多量の有機溶媒を混和させると、金属塩の加水分解物は酸化物になることが知られている。本発明の製造方法において用いられる水可溶性有機溶媒は金属塩の加水分解物を直接酸化物へ導くために用いられ、水と混和する有機溶媒ならばほとんどのものが使用可能である。この様な有機溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパノールの様なアルコール類、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオールの様なジオール類、アセトンの様なケトン類、テトラヒドロフランの様なフラン類、分子量200以下のエチレングリコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノールのようなエチレングリコールモノエーテル類が上げられる。この様な水可溶性有機溶媒の混合割合は、概ね水:水可溶性有機溶媒が重量比で1:9〜9:1の範囲である。反応終了後は含水アルコールなどで洗浄し過剰の塩を除去することが好ましい。又、金属酸化物乃至は水酸化物を生成させるための塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましく例示でき、かかる塩基の添加量は、金属塩と等量かやや過剰気味が好ましい。斯くして、水性担体中で、脂肪酸乃至はその塩と、水可溶性金属塩と、塩基とを反応させて得られた金属酸化物乃至は水酸化物と脂肪酸乃至はその塩の複合体は、遠心分離などを行うことにより沈殿する。かかる沈殿は1回乃至は数回、前記の有機溶剤を含む水性担体で洗浄することにより、不要な反応生成物を取り除くことが出来る。この様な処置を行った後に、沈殿を乾燥させることにより、本発明の微粒子の金属酸化物と脂肪酸乃至はその塩との複合体を得ることが出来る。乾燥は30〜100℃の加温下で1〜24時間程度送風乾燥することにより為される。斯くして、鱗片重層状の形態で微粒子の複合体が得られる。かかる複合体は、脂肪酸と複合しているため、表面の親油性が高く、このものだけでも油性担体に均一に分散する作用に優れる。又、鱗片重層状であることから、外見における、付き具合が薄い感じがする割には優れたカバー力を有する。紫外線防護効果にも優れるので、白味を感じさせない紫外線防護化粧料の原料として好適である。かかる複合体は酸化雰囲気で500〜1000℃で焼成することにより、脂肪酸を焼滅させることができ、鱗片重層状の金属酸化物とすることが出来る。尚、本発明の金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体は前記の成分以外、本発明の効果、即ち、親油性の表面を有し且つ微粒子であることを損なわない限りにおいて、シリカ、脂肪酸石鹸、塩化ナトリウムなどの無機塩などの任意成分を含有することもできる。これらの含有量は複合体全量の10質量%以下に抑えることが好ましい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤は、前記本発明の金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体を含有することを特徴とする。本発明の化粧料における、前記金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の好ましい含有量は、総量で、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。かかる量は、皮膚外用剤の剤形、種類により異なるが、前記の範囲において、仕上がりが、不自然な白さを感じさせず、厚ぼったさがなく、仕上がりが自然であって、優れた紫外線防護効果も奏する。本発明の皮膚外用剤としては、通常知られている粉体含有皮膚外用剤であれば、特段の限定無く適用でき、例えば、サンケアミルク、サンケアパウダー、サンブロックなどの紫外線防護化粧料、アンダーメークアップ、ファンデーション、コントロールカラー、プレストパウダー等のメークアップ化粧料、特に、サマーメークアップ化粧料などが好適に例示できる。剤形としては油性成分を含有するものが好ましく、特に中間仕掛品としてペーストを使用するものには、該ペースト中に含有せしめて配合することが好ましい。これはペーストにおける分散安定性に優れるためである。更に、ファンデーションなどに含有させた場合、塗布後の色の経時変化が少なく、化粧持ちに優れる副次的効果も存する。
【0014】
本発明の皮膚外用剤においては、前記本発明の複合体以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分を常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。
【0015】
以下に、実施例を示して本発明について更に詳細に説明を加える。本発明がこれら実施例にのみ限定を受けない事は言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
<製造例1>
イソプロパノール(300g)、エタノール(100g),水(144g)と3N塩酸水(3.6g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(31g)およびカプリル酸(14.4g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(100g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、50%含水イソプロパノールを用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、複合体1を乾燥物(31.3g)で得た。このものは56%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの形状は、平均粒径0.4μmの鱗片重層状の形状であった。このものの顕微鏡写真を図1に示す。
【0017】
<製造例2>
イソプロパノール(300g)、エタノール(100g),水(144g)と3N塩酸水(3.6g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(31g)およびオレイン酸(28.2g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(100g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、50%含水イソプロパノールを用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、複合体2を乾燥物(41.7g)で得た。このものは42%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの形状は、平均粒径0.5μmの鱗片重層状の形状であった。
【0018】
<製造例3>
イソプロパノール(300g)、エタノール(100g),水(144g)と3N塩酸水(3.6g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(31g)およびヘキサン酸(11.6g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(100g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、50%含水イソプロパノールを用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、複合体3を乾燥物(25.4g)で得た。このものは65%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの形状は、平均粒径0.3μmの鱗片重層状の形状であった。
【0019】
<製造例4>
イソプロパノール(300g)、エタノール(100g),水(144g)と3N塩酸水(3.6g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(31g)およびミリスチン酸(22.8g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(100g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、50%含水イソプロパノールを用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、複合体4を乾燥物(39.2g)で得た。このものは45%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの形状は、平均粒径0.5μmの鱗片重層状の形状であった。
【0020】
<製造例5>
イソプロパノール(300g)、エタノール(100g),水(144g)と3N塩酸水(3.6g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(31g)およびイソステアリン酸(28.4g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(100g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、50%含水イソプロパノールを用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、複合体5を乾燥物(40.7g)で得た。このものは44%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの形状は、平均粒径0.5μmの鱗片重層状の形状であった。
【実施例2】
【0021】
下記に示す表1に従って、複合体1から5を用いて、本発明の皮膚外用剤である、紫外線防護化粧料1から5を作成した。即ち、イの成分をボールミルで処理し、ペーストを作成し、これをロの成分と合わせて90℃に加熱し、溶解させ、これを金型に流し込み、冷却固化させて、本発明の皮膚外用剤である、サンケアブロック1から5(紫外線防護用の化粧料)を得た。サンケアブロック1の固化時の方向の上部と下部から50mgのサンプルを取り出し、このもののSPF値を分光光度計により、化粧品工業会法に従って計測した。サンブロック1の複合体1の83%を通常の酸化亜鉛(平均粒径0.5)と17%をカプリル酸に置換した比較例1を同様に作成し、同様に測定した。結果を表2に示す。この結果より、本発明の皮膚外用剤であるサンケアブロック1は上下のばらつきが非常に小さいことがわかる。これは分散性に優れるため、固化中に酸化亜鉛が沈降しないためと思われる。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は粉体含有化粧料に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の製造例1の複合体1の電子顕微鏡写真を示す図である。(図面代用写真)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸及び/又はその塩の存在下、金属塩とアルカリとを反応させ、金属酸化物乃至は水酸化物と、脂肪酸との複合体を形成せしめ、しかる後に該複合体以外の生成物を洗浄し、ついで乾燥させる工程を有することを特徴とする、微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
【請求項2】
前記微粒子金属酸化物・脂肪酸複合体における微粒子金属酸化物が、酸化亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
【請求項3】
前記脂肪酸が炭素数6〜30のものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体の製造方法。
【請求項4】
微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体における金属が亜鉛であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
形状が鱗片積層状の形態であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
【請求項7】
前記脂肪酸が炭素数6〜30のものであることを特徴とする、請求項6に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
【請求項8】
前記金属が亜鉛であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
【請求項9】
形状が鱗片積層状であることを特徴とする、請求項6〜8何れか1項に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体。
【請求項10】
請求項6〜9何れか1項に記載の微粒子金属酸化物乃至は水酸化物・脂肪酸複合体を含有してなる皮膚外用剤。
【請求項11】
化粧料であることを特徴とする、請求項10に記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−74911(P2008−74911A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253616(P2006−253616)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】