説明

微細エマルション組成物、およびその製造方法

【課題】肌荒れ改善効果を有し、安全性、使用感触、特にべたつき感がなく、なめらかさが良好で、且つ基剤安定性に優れた微細エマルション組成物の提供。
【解決手段】(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)水と、を含有し、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜20質量%配合し、平均粒子径が10〜300nmであることを特徴とする微細エマルション組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全性に優れた微細エマルション組成物およびその製造方法に関する。詳しくは、医薬品、化粧品および食品等の分野において利用できる微細エマルション組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、化粧品、食品などの分野において、エマルション製剤が頻繁に用いられている。エマルション製剤で用いられる二相系のエマルションとしては、油相中に水相が粒状に分散している油中水型エマルション、及び水相中に油相が粒状に分散している水中油型エマルションが挙げられる。中でも、一般のエマルションより分散粒子が非常に微細化された微細エマルションは、外観上透明あるいは半透明を呈すること、粒子の微細さによって浸透性に優れること、熱力学的に安定であること等の利点を有することから、上記分野において重要な技術とされている。
【0003】
微細エマルション組成物に使用される界面活性剤としては、安全性の観点から、非イオン性界面活性剤が使用されることが多い。一方で、医薬品、化粧品及び食品等の分野に利用される微細エマルション製剤は、その品質が様々な環境下で長期に亘って維持されることが必要であり、そのため、広い温度範囲においてクリーミングや凝集等の状態変化が起こりにくいマイクロエマルションが要求される。そこで、非イオン性界面活性剤を用いて温度安定性の高いマイクロエマルションを得ることを目的として、例えば、親水性の非イオン性界面活性剤と、一定範囲の炭素数及び有機概念図上の無機性値を有する油の1種又は2種以上と、水とを特定の重量比で含有してなるマイクロエマルション組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、非イオン性界面活性剤の中には、配合量によって皮膚刺激性や眼粘膜刺激性が認められたり、感作性が認められたりするといった安全性上問題のあるものが存在する。この点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルに着目し、非イオン性界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを特定量含有する微細エマルション組成物が開示されている(特許文献2〜4参照)。しかしながら、従来の微細エマルション組成物においては、温度やpH等の条件によっては経時で透明度が変化する等の問題があり、安定で、透明度の高い微細エマルションは未だ提供されていなかった。
【0005】
一方、従来の界面活性剤では種類の選定、または相当量の配合により基剤安定性は向上するものの、肌荒れの原因の一つとなり、また使用感触の向上を充分満足させるものではなかった。また近年皮膚外用剤についてより一層高い安全性が期待されており、この観点から界面活性剤の存在が問題とされることもあった。
このように界面活性剤は基剤の安定性向上の観点から数多くの皮膚外用剤には欠かせない成分であるもの、主に肌荒れの原因、使用感触の悪さから製剤の商品価値を大きく損なうこともあるという解決すべき課題があった。
【0006】
そこで通常皮膚外用剤には、肌荒れ対して改善・防止効果を示す有効成分として水分保持機能を皮膚に補充するという観点から、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等のポリオール化合物や、ヒアルロン酸等のムコ多糖等の保湿剤、NMF(Natural Moisturizing Factor)としてのアミノ酸、トラネキサム酸等の薬剤、及び各種の抽出エキスが、皮膚外用剤に配合されてきた。またワセリン軟膏等の閉塞剤により角層バリアー機能を補う方法や、ビタミン、ホルモンなどにより皮膚細胞を活性化する方法が用いられてきた(例えば特許文献5〜9)。
【0007】
しかしながらグリセリンをはじめとする保湿剤は、保湿効果・肌荒れ改善効果を上げるためには配合量を増やさなければならず、その結果基剤の安定性が悪化したり、使用性が悪くなったり、また皮膚に適用した場合、皮脂によりはじかれ、肌へのなじみが悪くなる等の解決すべき課題があった。多糖はアルコールの多い処方系で沈澱を生じ、DL−スレオニン等のアミノ酸では、着色、変臭などの欠点を有していた。トラネキサム酸等の薬剤は経時に係わる安定性に問題があり、またワセリン等の閉塞剤を用いた場合は油っぽく、べたつき感等の不快な感触を与える欠点があり、さらに、抽出物やビタミン、ホルモンなどを用いた場合は、副作用等に係わる安全性や経時に係わる安定性において解決すべき課題があった。
【特許文献1】特公平6−61454公報
【特許文献2】特開平9−110635号公報
【特許文献3】特開2007−70329号公報
【特許文献4】特開2007−77077号公報
【特許文献5】特開平6−32728号公報
【特許文献6】特開2006−160758号公報
【特許文献7】特許第3667291号公報
【特許文献8】特開平9−100225号公報
【特許文献9】特開平7−277943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記従来技術に鑑みなされたもので、その解決すべき課題は、安全性、使用感触、特にべたつき感がなく、なめらかさが良好で、且つ基剤安定性に優れた微細エマルション組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明者等が検討を行った結果、特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合することにより、肌荒れ改善効果を有し、安全性、使用感触、特にべたつき感がなく、なめらかさが良好で、且つ基剤安定性に優れた微細エマルション組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第一の主題は、(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体0.1〜20質量%と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)水を含有し、平均粒子径が10〜300nmであることを特徴とする微細エマルション組成物である。
(化1)

(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜6のオキシアルキレン基でそれぞれブロック状に付加されている。a×k、b×kおよびc×kはそれぞれオキシエチレン基、炭素数3〜6のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、0≦a×k≦100、1≦b×k≦100、0≦c×k≦100、ただし(a+c)×k>1である。式(I)中の全オキシエチレン基と炭素数3〜6のオキシアルキレン基の合計に対する、式(I)中の全オキシエチレン基の割合は、10〜80質量%である。Rは同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【0011】
前記微細エマルション組成物について、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAO基がオキシブチレン基であることが好適である。
【0012】
また、前記微細エマルション組成物について、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のaが0であり、AOとEOの付加順序が、式中のYに対して、(AO)−(EO)であることが好適である。
【0013】
また、本発明の第二の主題は、(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)水と、を含み、前記(d)水の濃度が、前記(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体1重量部に対し4重量部以下であるエマルション相を調製するエマルション相調製工程と、(c)ポリオールと、(d)水と、を含む水相を調整する水相調整工程と、前記エマルション相と前記水相とを混合し微細エマルション組成物を調製する微細エマルション組成物調製工程と、を備えることを特徴とする微細エマルション組成物の製造方法である。
(化1)

(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜6のオキシアルキレン基でそれぞれブロック状に付加されている。a×k、b×kおよびc×kはそれぞれオキシエチレン基、炭素数3〜6のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、0≦a×k≦100、1≦b×k≦100、0≦c×k≦100、ただし(a+c)×k>1である。式(I)中の全オキシエチレン基と炭素数3〜6のオキシアルキレン基の合計に対する、式(I)中の全オキシエチレン基の割合は、10〜80質量%である。Rは同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合する微細エマルション組成物は、マントンガウリンやマイクロフルイダイザーのような特別な装置を用いることなく、容易に製造可能であり、安全性、使用感触、特にべたつき感がなく、なめらかさが良好で、且つ基剤安定性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体
本発明の微細エマルション組成物は、下記式(I)で示される特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を含有する。
(化1)

【0016】
上記式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基であり、kは前記多価アルコールの水酸基数であり3〜6である。3〜6個の水酸基を有する化合物としては、k=3であるグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキシレングリコール、k=4であるエリスリトール、ペンタエリスリトール、k=5であるキシリトール、k=6であるソルビトール、イノシトールが挙げられる。本発明にかかる頭髪洗浄組成物に配合されるブロック型アルキレンオキシド誘導体は、前記の3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの1種または2種以上の混合物の水酸基を除いた残基を基本骨格とする。
【0017】
本発明において、Yが3〜4個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基であることがより好ましく、すなわち、3≦k≦4を満たすことが好適である。kが2以下であると、微細エマルション組成物に配合した場合に使用後の肌のなめらかさが劣る傾向にあり、kが7以上であるとべたつき感を生じる傾向にある。
【0018】
EOは、炭素数2のオキシエチレン基である。AOは炭素数3〜6のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt−ブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、さらに好ましくはオキシブチレン基である。
【0019】
b×kはAOの平均付加モル数であり、1≦b×k≦100、好ましくは3≦b×k≦70である。a×k及びc×kはEOの平均付加モル数であり、0≦a×k≦100、0≦c×k≦100であり、好ましくは3≦a×k≦70、3≦c×k≦70である。また、前記式(I)中の全オキシエチレン基の平均付加モル数の好ましい範囲は、1<(a+c)×k≦200であり、さらに好ましくは6≦(a+c)×k≦140である。AOは本発明にかかるブロック型アルキレンオキシド誘導体において疎水性部位となり、b×kが0であると、微細エマルション組成物に配合した場合に安定性に劣る傾向にあり、100を越えると使用後のなめらか感に劣る傾向がある。また、a×kもしくはc×kが0であると、微細エマルション組成物に配合した場合に安定性に劣る傾向にあり、100を越えるとべたつき感を生じる傾向にある。
【0020】
前記式(I)中のAOとEOの合計に対する前記式(I)中の全EOの割合は10〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜70質量%である。10質量%より小さいと使用後になめらか感に劣る傾向にあり、80質量%より大きいとべたつき感が生じる傾向にある。
また、AOとEOの付加形態はブロック状であり、付加順序は式中のYに対して、(AO)−(EO)の順、(EO)−(AO)の順、(EO)−(AO)−(EO)の順のいずれであってもよい。本発明においては、式中のYに対して(AO)−(EO)の順であることが特に好ましい。式中のYに対して(AO)−(EO)の順となる場合、式中のaは0であることに相当する。
【0021】
Rは炭素数1〜4の炭化水素基で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。本発明においてはメチル基、エチル基であることが好ましい。炭素数が5より大きいと、使用後の乾燥時になめらか感に劣る傾向にある。また、本発明にかかる微細エマルション組成物に配合されるブロック型アルキレンオキシド誘導体において、Rは1分子中、同一であっても又は異なっていてもよく、1分子中において同一のRを有するブッロク型アルキレンオキシド誘導体1種、または異なるRを有する2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
本発明にかかる微細エマルション組成物に配合されるアルキレンオキシド誘導体としては、具体的にはPOB(30)POE(30)グリセリルトリメチルエーテル、POB(30)POE(35)グリセリルトリメチルエーテル、POB(17)POE(28)グリセリルトリメチルエーテル、POB(27)POE(45)グリセリルトリメチルエーテル、POB(14)POE(34)グリセリルトリメチルエーテル、POB(22)POE(55)グリセリルトリメチルエーテル、POB(19)POE(55)グリセリルトリメチルエーテル、POB(40)POE(80)グリセリルトリメチルエーテル、POB(80)POE(40)グリセリルトリメチルエーテル、POB(30)POE(30)グリセリルトリエチルエーテル、POB(30)POE(35)グリセリルトリエチルエーテル、POB(14)POE(34)グリセリルトリエチルエーテル、POB(30)POE(30)グリセリルトリプロピルエーテル、POE(30)POP(30)グリセリルトリメチルエーテル、POE(35)POP(40)グリセリルトリメチルエーテル、POE(41)POP(48)グリセリルトリメチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。
【0023】
本発明にかかる微細エマルション組成物に配合されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している多価アルコールに対して、エチレンオキシドおよび炭素数3〜6のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0024】
本発明の微細エマルション組成物におけるブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量は、0.1〜20質量%が好適であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。配合量が0.1質量%未満では、配合による効果の発現が十分でない場合があり、また20質量%を超えると、べたつき感を生じる場合がある。
【0025】
(b)油性成分
本発明の微細エマルション組成物に含まれる油性成分は、通常化粧品、医薬部外品等に使用される炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ類などが挙げられ、一種または二種以上の油性成分を用いることができる。
【0026】
炭化水素油としては、例えばイソヘキサデカン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0027】
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0028】
高級アルコールとしては、例えば直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)−2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0029】
合成エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート−2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0030】
シリコーン油としては、例えば鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0031】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油ートモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油ートリグリセリン等が挙げられる。
【0032】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0033】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0034】
(c)ポリオール
本発明の微細エマルション組成物に含まれるポリオールは、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上である。
【0035】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる
【0036】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、ジグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール、トリグリセリン等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールートリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリンートリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルトリエチレングリコールモノメチルエーテルトリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、マルトトリオ−ス、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコ−ス、フルクト−ス、デンプン分解糖、マルト−ス、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテルトリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0037】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロ−ス、D−エリトルロ−ス、Dートレオ−ス、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノ−ス、D−キシロ−ス、L−リキソ−ス、D−アラビノ−ス、D−リボ−ス、D−リブロ−ス、D−キシルロ−ス、L−キシルロ−ス等);六炭糖(例えば、D−グルコ−ス、D−タロ−ス、D−ブシコ−ス、D−ガラクト−ス、D−フルクト−ス、L−ガラクト−ス、L−マンノ−ス、D−タガト−ス等);七炭糖(例えば、アルドヘプト−ス、ヘプロ−ス等);八炭糖(例えば、オクツロ−ス等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボ−ス、6−デオキシ−L−ガラクト−ス、6−デオキシ−L−マンノ−ス等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0038】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノ−ス、ウンベリフェロ−ス、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0039】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸−トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン等が挙げられる。
【0040】
その他ポリオールとしては、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE−10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP−10)などが挙げられる。
【0041】
(d)水
本発明の微細エマルション組成物に含まれる水は特に限定されず、具体的に示すとすれば精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0042】
また、本発明に用いられる(d)水の配合量は、特に限定されるものではないが、エマルション相を調製する際に、用いられる(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体の種類や配合量に応じてエマルション相が形成される領域内となるように、配合量を適宜調整する必要があり、(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体1重量部に対し4重量部以下であることが好ましい。さらに好ましくは(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体1重量部に対し3.5重量部以下であることが好ましい。
【0043】
本発明にかかる微細エマルション組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、一般に通常化粧品や医薬部外品の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、増粘剤等を配合することができ、さらに所望に応じて、無機顔料、体質顔料等の粉末類、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、色素、香料などを適宜配合することができる。
【0044】
本発明にかかる微細エマルション組成物には、各種界面活性剤を配合してもよい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0045】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。また、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等のアミドアミン化合物が挙げられる。
【0046】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0047】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0048】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド−トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0049】
本発明にかかる微細エマルション組成物には、各種増粘剤を配合してもよい。
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラーギ−ナン、カラーヤガムートラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0050】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラーヤガム、カラーギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0051】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0052】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0053】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パ−ミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダ−、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコ−テッドマイカ、酸化チタンコ−テッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコ−テッドタルク、着色酸化チタンコ−テッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダ−、カッパ−パウダ−等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレ−キ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0054】
保湿剤としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラ−ゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、DL−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラ−ゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0055】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)−2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート−2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば−2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン−2−2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−2−2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン−2−エチルヘキシル−4‘−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート−2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー−2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール−2−2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール−2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール−2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0056】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン等が挙げられる。
【0058】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンートリエタノールアミン、モルホリンートリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0059】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0060】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0061】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0062】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
さらに、酸化防止助剤として、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0063】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バ−チ、セ−ジ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニクートガラシ、チンピートキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン−トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0064】
微細エマルション組成物の製造工程
次に、本発明に係る微細エマルション組成物の製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0065】
本発明に係る微細エマルション組成物の製造方法の実施形態は、上記(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)水とを含むエマルション相を調製するエマルション相調製工程と、(c)ポリオールと、(d)水とを含む水相を調製する水相調製工程と、前記エマルション相と前記水相とを混合し微細エマルション組成物を調製する微細エマルション組成物調製工程とを備える。
ここで、エマルション相調整工程時の(c)ポリオール、及び水相調整工程時の(c)ポリオールは、上記(c)ポリオールと同様のものを使用でき、それぞれが同じポリオールであっても異なるポリオールであってもよい。また、エマルション相調整工程時の(c)ポリオール、及び水相調整工程時の(c)ポリオールは、1種であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0066】
エマルション相調製工程では、所定量の、(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体、(b)油性成分、(c)ポリオールおよび(d)水と、必要に応じて他の添加物とを撹拌混合することによりエマルション相が調製される。撹拌混合は、エマルション相が均一透明一相状態であることが確認されればよく、例えば、室温90℃以下で、1〜30分程度行うことが好ましい。
【0067】
エマルション相調製工程に含有される他の添加物としては、防腐剤、保湿剤、増粘剤などが挙げられる。
【0068】
水相調製工程では、所定量の、(c)ポリオール及び(d)水と、必要に応じて他の添加物とを撹拌混合することにより水相が調製される。撹拌混合は、水相が均一に溶解すればよく、例えば、1〜30分程度、室温で行うことが好ましい。
高融点の成分を水相に添加する際には加熱して均一に溶解させる必要があるが、それらが溶解した後は水相を室温程度に戻すのが望ましい。
【0069】
微細エマルション組成物調製工程では、均一透明一相状態であるエマルション相を、攪拌混合しながら水相に添加することにより微細エマルション組成物が調製される。このとき、透明性の高い微細エマルション組成物が得られることが望ましい。
【0070】
本実施形態において、上記(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量は、最終的に得られる微細エマルション組成物の全質量を基準として0.1〜20質量%となるように配合することが好ましい。また、上記(b)油性成分の配合量は、最終的に得られる微細エマルション組成物の全質量を基準として0.1〜20質量%となるように配合することが好ましい。また、(c)ポリオールの配合量は、最終的に得られる微細エマルション組成物の全質量を基準としてエマルション相調整工程時及び水相調整工程時の合計含有量が1.0〜40質量%となるように配合することが好ましい。
【実施例】
【0071】
次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお特に断りのない限り、配合量は全て質量%で示す。
【0072】
まず、各実施例及び比較例で用いた評価法について説明する。
評価(1):こく感
使用中のこく感を、専門パネル10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…パネル8名以上が、使用中にこく感があると認めた。
○…パネル6名以上8名未満が、使用中にこく感があると認めた。
△…パネル3名以上6名未満が、使用中にこく感があると認めた。
×…パネル3名未満が、使用中にこく感があると認めた。
【0073】
評価(2):べたつき感のなさ
使用中及び使用後の肌へのべたつきのなさを、専門パネル10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…パネル8名以上が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
○…パネル6名以上8名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
△…パネル3名以上6名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
×…パネル3名未満が、使用中及び使用後べたつき感がないと認めた。
【0074】
評価(3):なめらかさ
使用後の肌のなめらかさを、専門パネル10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…パネル8名以上が、使用後なめらかであると認めた。
○…パネル6名以上8名未満が、使用後なめらかであると認めた。
△…パネル3名以上6名未満が、使用後なめらかであると認めた。
×…パネル3名未満が、使用後なめらかであると認めた。
【0075】
評価(4):保湿効果感
使用120分後の保湿効果感の有無を、専門パネラー10名により各々の試験例の実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、保湿効果感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、保湿効果感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、保湿効果感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、保湿効果感があると認めた。
【0076】
評価(5):肌荒れ改善効果試験
顔(部位:頬)に肌荒れをおこしている10名のパネルにより、各々の試験例の肌荒れ改善効果試験を実施した。試験法は左右の頬に、異なる試験サンプルを1週間塗布し、その期間終了後の翌日に判定した。評価基準は以下の通りである。
◎…パネル8名以上が、肌荒れが改善されていると認めた。
○…パネル6名以上8名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
△…パネル3名以上6名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
×…パネル3名未満が、肌荒れが改善されていると認めた。
【0077】
評価(6):皮膚刺激試験
10名のパネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行ない、その後以下の基準により平均値を算出した。評価基準は以下の通りである。
0…全く異常が認められない。
1…わずかに赤みが認められる。
2…赤みが認められる。
3…赤みと丘疹が認められる。
皮膚刺激試験の評価基準は以下の通りである。
◎…パネル10名の平均値:0以上0.15未満
○…パネル10名の平均値:0.15以上0.2未満
△…パネル10名の平均値:0.2以上0.3未満
×…パネル10名の平均値:0.3以上
【0078】
評価(7):基剤安定性
各試験例の微細エマルション組成物について、製造直後透明ガラス瓶に充填し50℃で4週間放置後、以下の基準に基づいて、目視観察により基剤安定性の評価を行なった。
<評価基準>
○:透明あるいは半透明
×:白濁または分離
【0079】
平均粒子径
得られた微細エマルション組成物の平均粒子径の測定は光散乱法により行った。装置はZetasizer Nano(シスメックス株式会社製)を用いた。
【0080】
次に、本発明にかかる微細エマルション組成物に配合した各種アルキレンオキシド誘導体の合成例を示す。
<合成例1>
ポリオキシブチレン(30モル)ポリオキシエチレン(30モル)トリメチルグリセリルエーテル(ブロック型アルキレンオキシド誘導体)の合成
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム18gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド2160gを滴下させ、2時間攪拌した。続いて、滴下装置によりエチレンオキシド1320gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム400gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル300gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7に調整し、含有する水分を除去するため減圧−0.088MPa(ゲージ圧)100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ブロック型アルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が49、アルキレンオキシド誘導体1の水酸基価が0.4、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.008であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0081】
<合成例2>
ポリオキシエチレン(57モル)トリメチルグリセリルエーテル(アルキレンオキシド誘導体)の合成
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム18gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド2508gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム400gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル300gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7に調整し、含有する水分を除去するため減圧−0.088MPa(ゲージ圧)100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、アルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が66、アルキレンオキシド誘導体1の水酸基価が、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.60.009であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0082】
<合成例3>
ポリオキシブチレン(30モル)ポリオキシエチレン(30モル)グリセリルエーテル(ブロック型アルキレンオキシド誘導体)の合成
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム18gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド2160gを滴下させ、2時間攪拌した。続いて、滴下装置によりエチレンオキシド1320gを滴下させ、2時間攪拌した。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7に調整し、含有する水分を除去するため減圧−0.088MPa(ゲージ圧)100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ブロック型アルキレンオキシド誘導体を得た。
【0083】
<合成例4>
ポリオキシブチレン(30モル)ポリオキシエチレン(30モル)トリブチルグリセリルエーテル(ブロック型アルキレンオキシド誘導体)の合成
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム18gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド2160gを滴下させ、2時間攪拌した。続いて、滴下装置によりエチレンオキシド1320gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム800gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化ブチル1200gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7に調整し、含有する水分を除去するため減圧−0.088MPa(ゲージ圧)100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ブロック型アルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が50、アルキレンオキシド誘導体1の水酸基価が1.5、末端ブチル基数に対する水素原子数の割合は0.03であり、ほぼ完全に水素原子がブチル基に変換されている。
【0084】
<合成例5>
ポリオキシブチレン(30モル)ポリオキシエチレン(30モル)グリセリルエーテル(ランダム型アルキレンオキシド誘導体)の合成
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム18gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりブチレンオキシド2160gとエチレンオキシド1320gの混合物を滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム400gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル300gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7に調整し、含有する水分を除去するため減圧−0.088MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、ランダム型アルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が47、得られたランダム型アルキレンオキシド誘導体5の化合物の水酸基価が0.5、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.011であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0085】
<試験例>
本発明者らは、以上の各製造例に準じて各種アルキレンオキシド誘導体を調製し、下記試験例に示す微細エマルション組成物を調製し、その特性について前記評価方法により評価を行った。実施例及び比較例の試験結果を表1〜表5に示す。
なお、下記表中のブロック型アルキレンオキシド誘導体は、以下の構造式(II)を有するものとする。例えば、a+c+e=30、b+d+f=30の場合は、(BO)30(EO)30と表記する。
(化2)

【0086】
【表1】

【0087】
上記表1の結果より、(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体を含有していない試験例1−2,1−3においては、肌荒れ改善効果はみられず、べたつき感のなさにも劣るものであった。試験例1−3においては、基剤安定性も劣る傾向にあった。一方、(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合した試験例1−1は、評価(1)〜(7)のいずれの評価にも優れているものであった。
【0088】
【表2】

【0089】
上記表2より、オキシブチレン部のみであるアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例2−6は、使用中のこく感、べたつき感のなさ、みずみずしさのよさ、肌荒れ改善効果に劣り、また、基剤安定性も十分ではなく安定な粒径を有するエマルションを得ることができなかった。さらにアルキレンオキシド誘導体の末端が水素であるものを配合した試験例2−7では、使用感触、肌荒れ改善効果、皮膚刺激性、及び基剤安定性の点で好ましくなく、安定な粒径を有するエマルションを得ることができなかった。アルキレンオキシド誘導体の末端が炭素数6の炭化水素基であるものを配合した試験例2−8では、粒径の小さな微細エマルションとなったが、保湿効果感、肌荒れ改善効果の点において十分ではなかった。また、ランダム型のアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例2−9においても、界面活性剤として機能せず、基剤安定性が悪くなり、安定な粒径を有するエマルションを得ることができなかった。一方、本発明の構造式(I)で示される(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合した試験例2−1〜2−5においては、(1)〜(7)のいずれの評価においても優れたものとなり、平均粒子径がいずれも300nm以下の微細エマルション組成物となった。
【0090】
<特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量>
特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体の好適な配合量を調べるために、下表3に記載した配合組成よりなる微細エマルション組成物を製造し、上記の評価(1)〜(6)について評価試験を行った。
【0091】
【表3】

【0092】
上記表3より、特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1〜20質量%の範囲において、肌荒れ改善効果を有し、安全が良好で、且つ使用感触に優れることが確認された。保湿効果感・肌荒れ改善効果は、特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量に依存して上昇した。ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.01質量%である試験例3−1では保湿効果感・肌荒れ改善効果が十分ではなかった。また、使用中のこく感、べたつき感のなさの点では、アルキレンオキシド誘導体の配合量は0.1〜10質量%であることが特に好ましいことが明らかとなった。
【0093】
<ポリオールの配合量>
ポリオールの好適な配合量を調べるために、下表4に記載した配合組成よりなる微細エマルション組成物を製造し、上記の評価(1)〜(7)について評価試験を行った。
【0094】
【表4】

【0095】
上記表4より、ポリオールが配合されていない試験例4−1では保湿効果感に劣るだけでなく、基剤安定性も十分なものとはならなかった。また、(c)ポリオール及び(c)ポリオールの配合量が合計量で40質量%以上である試験例4−5は、べたつきのなさ、なめらかさといった使用感触に劣り、基剤安定性についても十分な結果は得られなかった。一方、適量のポリオール(9〜15質量%)を配合した試験例4−2〜4−4においては、(1)〜(7)のいずれの評価においても優れたものであった。
【0096】
【表5】

【0097】
*1 製造工程
A:エマルション相パーツを50℃で10分間攪拌混合したのち、均一透明一相状態であることを確認する。一方、水相パーツを室温にて10分間撹拌混合し、均一溶解状態であることを確認したのち、攪拌混合を続けながらエマルション相パーツをゆっくり添加し、透明〜半透明外観の微細エマルション組成物を得た。
B:エマルション相パーツおよび水相パーツを混合し、ホモミキサーにて5分間せん断力を与えて乳化し、エマルション組成物を得た。
【0098】
上記試験例5−1のエマルション相の組成における、(d)水及び(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体の添加量比と、温度とによる相の変化を図1に示す。図1に示すように、前記(d)水の濃度が、前記(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体1重量部に対し4重量部以下である領域においては、熱力学的に安定な均一透明一相状態が生成することが分かった。
【0099】
上記表5より、工程Bにて製造した試験例5−2では平均粒子径の大きい白濁外観のエマルション組成物が得られ、使用中のこく感やなめらかさといった使用感触に劣るだけではなく、基剤安定性にも劣るものであった。一方、工程Aにて製造した試験例5−1では平均粒子径も75nmと小さく、透明〜半透明外観の微細エマルション組成物が得られ、評価(1)〜(7)のいずれの評価にも優れているものであった。
【0100】
以上の結果より、本発明にかかる微細エマルション組成物の製造においては、(a)特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体と、(b)油性成分と、(c)ポリオールと、(d)水とを含むエマルション相を調製するエマルション相調製工程と、(c)ポリオールと、(d)水とを含む水相を調製する水相調製工程と、前記エマルション相と前記水相とを混合し微細エマルション組成物を調製する微細エマルション組成物調製工程とを備えることが好適であることが明らかとなった。
【0101】
以下に本発明の微細エマルション組成物の処方例を挙げるが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。得られた微細エマルション組成物は、肌荒れ改善効果を有し、安全性、使用感触が良好で、且つ高い基剤安定性を有するものであった。
【0102】
処方例1 化粧水
(配合成分) (質量)
エマルション相
(1)エタノール 10.0
(2)ジプロピレングリコール 1.0
(3)ポリエチレングリコール1000 1.0
(4)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
(5)ホホバ油 0.01
(6)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(7)POB(27)POE(45)トリメチルグリセリルエーテル 0.75
(8)N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
(9)クエン酸 0.05
(10)クエン酸ナトリウム 0.2
水相
(11)水酸化カリウム 0.4
(12)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(13)塩酸アルギニン 0.1
(14)L−アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
(15)オウゴンエキス 0.1
(16)ユキノシタエキス 0.1
(17)オドリコソウエキス 0.1
(18)トラネキサム酸 1.0
(19)エデト酸三ナトリウム 0.05
(20)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.01
(21)防腐剤 適量
(22)香料 適量
(23)精製水 残余
(製法)
エマルション相パーツを攪拌混合し、均一透明一相状態であることを確認する。一方、水相パーツを撹拌混合し、均一溶解状態であることを確認したのち、攪拌混合を続けながらエマルション相パーツをゆっくり添加し、目的の化粧水を得た。
【0103】
処方例2 ヘアミスト
(配合成分) (質量)
エマルション相
(1)イソヘキサデカン 0.1
(2)ツバキ油 0.2
(3)エタノール 5.0
(4)グリセリン 2.0
(6)ジプロピレングリコール 1.0
(7)1,3−ブチレングリコール 1.0
(8)塩化アルキルトリメチルアンモニウム(77%) 0.5
(7)POB(17)POE(28)トリメチルグリセリルエーテル 0.75
水相
(21)防腐剤 適量
(22)香料 適量
(23)精製水 残余
(製法)
エマルション相パーツを攪拌混合し、均一透明一相状態であることを確認する。一方、水相パーツを撹拌混合し、均一溶解状態であることを確認したのち、攪拌混合を続けながらエマルション相パーツをゆっくり添加し、目的のヘアミストを得た。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に用いるエマルション相の生成を示した相平衡図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、
(b)油性成分と、
(c)ポリオールと、
(d)水と、
を含有し、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜20質量%配合し、平均粒子径が10〜300nmであることを特徴とする微細エマルション組成物。
(化1)

(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜6のオキシアルキレン基でそれぞれブロック状に付加されている。a×k、b×kおよびc×kはそれぞれオキシエチレン基、炭素数3〜6のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、0≦a×k≦100、1≦b×k≦100、0≦c×k≦100、ただし(a+c)×k>1である。式(I)中の全オキシエチレン基と炭素数3〜6のオキシアルキレン基の合計に対する、式(I)中の全オキシエチレン基の割合は、10〜80質量%である。Rは同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の微細エマルション組成物において、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAOがオキシブチレン基であることを特徴とする微細エマルション組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の微細エマルション組成物において、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のaが0であり、AOとEOの付加順序が、式中のYに対して、(AO)−(EO)であることを特徴とする微細エマルション組成物。
【請求項4】
(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、
(b)油性成分と、
(c)ポリオールと、
(d)水と、
を含み、
前記(d)水の濃度が、前記(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体1重量部に対し4重量部以下であるエマルション相を調製するエマルション相調製工程と、
(c)ポリオールと、
(d)水と、
を含む水相を調整する水相調整工程と、
前記エマルション相と前記水相とを混合し微細エマルション組成物を調製する微細エマルション組成物調製工程と、
を備えることを特徴とする微細エマルション組成物の製造方法。
(化1)

(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜6のオキシアルキレン基でそれぞれブロック状に付加されている。a×k、b×kおよびc×kはそれぞれオキシエチレン基、炭素数3〜6のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、0≦a×k≦100、1≦b×k≦100、0≦c×k≦100、ただし(a+c)×k>1である。式(I)中の全オキシエチレン基と炭素数3〜6のオキシアルキレン基の合計に対する、式(I)中の全オキシエチレン基の割合は、10〜80質量%である。Rは同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)

【図1】
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【公開番号】特開2010−24159(P2010−24159A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185272(P2008−185272)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】