説明

急性肺損傷を治療するためのERβ選択的リガンドの使用

本発明は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールまたは3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリルなどのERβ選択的リガンドを使用して、急性肺損傷、例えば、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児で生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を治療する方法を提供する。本発明はさらに、急性肺損傷の危険性がある人における急性肺損傷の予防のためのERβ選択的リガンドまたはその組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に全体を参考として組み込んだ2007年1月31日出願の米国特許仮出願第60/887,400号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、部分的に、急性肺損傷、例えば、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を治療するためのERβ選択的リガンドまたはその組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、経口的に、または静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。他のいくつかの実施形態では、使用したERβ選択的リガンドは、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールまたは3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。本発明はさらに、急性肺損傷の予防のためのERβ選択的リガンドまたはその組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、急性肺損傷、例えば、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を治療するためのERβ選択的リガンドの使用に関する。
【0004】
哺乳類組織におけるエストロゲンの多面的効果は十分に裏付けられており、現在、エストロゲンが多くの臓器系に影響を及ぼすことが認識されている(MendelsohnおよびKaras、New England Journal of Medicine 340:1801〜1811(1999)、Eppersonら、Psychosomatic Medicine 61:676〜697(1999)、Crandall、Journal of Womens Health & Gender Based Medicine 8:1155〜1166(1999)、MonkおよびBrodaty、Dementia & Geriatric Cognitive Disorders 11:1〜10(2000)、HurnおよびMacrae、Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism 20:631〜652(2000)、Calvin、Maturitas 34:195〜210(2000)、Finkingら、Zeitschrift fur Kardiologie 89:442〜453(2000)、Brincat、Maturitas 35:107〜117(2000)、Al−Azzawi、Postgraduate Medical Journal 77:292〜304(2001))。エストロゲンは、いくつかの経路で組織に影響を与えることができ、最もよく特徴付けられている作用機構は、遺伝子転写の変化を導くエストロゲン受容体との相互作用である。エストロゲン受容体(ER)はリガンド活性化転写因子であり、核内ホルモン受容体スーパーファミリーに属する。このファミリーのその他のメンバーには、プロゲステロン、アンドロゲン、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体が含まれる。リガンドに結合して、これらの受容体は二量化し、DNA上の特異的な配列(応答エレメントとして知られている)に直接結合することにより、またはその他の転写因子(例えばAP1)と相互作用し、続いて特異的なDNA配列に直接結合することにより、遺伝子転写を活性化することができる(MoggsおよびOrphanides、EMBO Reports 2:775〜781(2001)、Hallら、Journal of Biological Chemistry 276:36869〜36872(2001)、McDonnell、Principles Of Molecular Regulation.351〜361頁(2000))。一群の「共調節」タンパク質はまた、リガンド結合受容体と相互作用することができ、さらに、その転写活性を調節することができる(McKennaら、Endocrine Reviews 20:321〜344(1999))。また、エストロゲン受容体は、リガンド依存的様式および非依存的様式の両方でNFκB媒介転写を抑制することができることが示された(Quaedackersら、Endocrinology 142:1156〜1166(2001)、Bhatら、Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology 67:233〜240(1998)、Pelzerら、Biochemical & Biophysical Research Communications 286:1153〜7(2001))。
【0005】
エストロゲン受容体はまた、リン酸化により活性化することができる。このリン酸化は、EGFのような成長因子により媒介され、リガンドの不在下で遺伝子転写の変化を引き起こす(MoggsおよびOrphanides、EMBO Reports 2:775〜781(2001)、Hallら、Journal of Biological Chemistry 276:36869〜36872(2001))。
【0006】
エストロゲンが細胞に影響を与えることができる特徴付けが不十分な手段は、いわゆる膜受容体を介している。このような受容体の存在は論争中であるが、エストロゲンが極めて迅速に細胞から非ゲノム応答を惹起することができることが実証されている。これらの影響の伝達に関与する分子実体は完全には単離されていないが、それが少なくともエストロゲン受容体の核形態に関連することを示唆する証拠がある(Levin、Journal of Applied Physiology 91:1860〜1867(2001)、Levin、Trends in Endocrinology & Metabolism 10:374〜377(1999))。
【0007】
2種類のエストロゲン受容体が今日までに発見されている。第1のエストロゲン受容体は、約15年前にクローン化され、現在ERαと称されている(Greenら、Nature 320:134〜9(1986))。エストロゲン受容体の第2の形態は、比較的最近見出されており、ERβと称されている(Kuiperら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93:5925〜5930(1996))。ERβに関する初期の研究は、種々のリガンドに対するその親和性を定義することに焦点が当てられ、実際に、ERαといくらかの差異が見られた。ERβの組織分布は、齧歯類においてよく位置付けられており、これはERαとは一致しない。マウスおよびラット子宮などの組織は優先的にERαを発現するのに対して、マウスおよびラット肺は、優先的にERβを発現する(Couseら、Endocrinology 138:4613〜4621(1997)、Kuiperら、Endocrinology 138:863〜870(1997))。同じ臓器内でさえも、ERαおよびERβの分布は、区分することができる。例えば、マウスの卵巣において、ERβは顆粒細胞において高度に発現し、ERαは卵胞膜細胞および間質細胞に限定される(SarおよびWelsch、Endocrinology 140:963〜971(1999)、Fitzpatrickら、Endocrinology 140:2581〜2591(1999))。しかしながら、受容体が共発現する例が存在し、in vitro研究により、ERαおよびERβはヘテロ二量体を形成できることが証明されている(Cowleyら、Journal of Biological Chemistry 272:19858〜19862(1997))。
【0008】
多くの化合物が17β−エストラジオールの活性を模倣するか、または遮断することが記載されている。最も強力な内在性エストロゲンである17β−エストラジオールとほぼ同様の生物学的活性を有する化合物は、「エストロゲン受容体アゴニスト」と称される。17β−エストラジオールと組み合わせて与える場合、その効果を遮断するものを「エストロゲン受容体アンタゴニスト」と称する。実際には、エストロゲン受容体アゴニストとエストロゲン受容体アンタゴニスト活性の間には連続性が存在し、実際に、いくつかの化合物はいくつかの組織ではエストロゲン受容体アゴニストとして作用し、その他の組織ではエストロゲン受容体アンタゴニストとして作用する。混合活性を有するこれらの化合物は、選択的エストロゲン受容体調節因子(SERMS)と呼ばれており、治療的に有用な薬剤(例えば、EVISTA)である(McDonnell、Journal of the Society for Gynecologic Investigation 7:S10〜S15(2000)、Goldsteinら、Human Reproduction Update 6:212〜224(2000))。同じ化合物が、細胞特異的効果を有することができる正確な理由は解明されていないが、受容体の立体構造の違いおよび/または共調節タンパク質の環境の違いが指摘されている。
【0009】
エストロゲン受容体は、リガンドに結合したとき異なる立体構造をとることがしばらくの間知られていた。しかし、これらの変化の影響および繊細さは、最近解明されたばかりである。ERαおよびERβの三次元構造は、種々のリガンドとの共結晶により解明され、受容体と共調節タンパク質の相互作用に必要なタンパク質配列の立体障害となるエストロゲン受容体アンタゴニストの存在下でのヘリックス12の再配置が明確に示されている(Pikeら、Embo 18:4608〜4618(1999)、Shiauら、Cell 95:927〜937(1998))。さらに、ファージディスプレイの技術が、異なるリガンドの存在下でエストロゲン受容体と相互作用するペプチドを同定するのに用いられてきた(Paigeら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 96:3999〜4004(1999))。例えば、完全エストロゲン受容体アゴニストである17β−エストラジオールおよびジエチルスチルベステロールに結合したERα間を区別するペプチドが同定された。異なるペプチドが、ERαおよびERβに結合したクロミフェン間を区別することが示された。これらのデータは、各リガンドが、別個の生物学的活性を有すると思われる独自の予測不可能な立体構造で受容体に配置する可能性があることを示している。
【0010】
エストロゲンは、いくつかの前臨床モデルにおいて抗炎症特性を有することが示された(Vegeto Eら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2003;100(16):9614〜9619;Harnish DCら、American Journal of Physiology Gastrointestinal & Liver Physiology 2004;286(1):G118〜G125)。エストロゲンは、炎症カスケードの中心の転写因子であり(Tzagarakis−Foster Cら、Journal of Biological Chemistry 2002;277(47):44772〜44777、Evans MJら、Circulation Research 2001、89(9)、823〜830)、粘膜炎において役割を果たす可能性があるNFκB活性を阻害することができる。
【0011】
ERβの組織分布に関する初期の研究では、ERβは良好な薬剤標的であり、臨床的利用について最初は非常に楽観視されていた(Nilsson Sら、Trends in Endocrinology & Metabolism 1998;9(10):387〜395)。ERαおよびERβのエストロゲン生理学に対する相対的な関与については、ERαおよびERβ選択的アゴニストのin vivoプロファイリングによって近年理解が深まってきた(Harris HAら、Endocrinology 2002;143(11):4172〜4177;Harris HAら、Endocrinology 2003;144(10):4241〜9)。これらの研究は、ERαが子宮、骨格および血管運動不安定性に対するエストロゲンの効果を媒介することを明確に示している。しかしながら、ERβ選択的アゴニストは、炎症のいくつかの前臨床モデルにおいて活性を有し、結腸上皮に対して著しい陽性の効果を有する。さらに、ERβは経口粘膜において優位の受容体型であることが最近示された(Valimaa Hら、J Endocrinol.2004;180(1):55〜62)。肺がERβを優位に発現するだけでなく、ERβはヒト肺において男女とも同レベルで発現する(Fasco MJら、「gender−dependent expression of alpha and beta estrogen receptors inhuman nontumor and tumor lung tissue」Mol Cell Endocrinol.2002、188:125〜40。
【0012】
前述のように、エストロゲンは一連の生物学的プロセスに影響を及ぼす。性差について述べる場合(例えば、疾患の発症率、攻撃に対する応答性など)、場合によっては説明が男性と女性の間のエストロゲンレベルの違いに関与することがあり得る。ERβなどのエストロゲン受容体の特定のサブタイプが男性および女性の両方において同一組織または臓器で類似のレベルで発現する場合、場合によってはこのようなエストロゲン受容体の特定のサブタイプを調節すると、男性および女性の両方で同様の効果を有するであろう。
【0013】
ERβ選択的リガンドは、ERαと比較してERβに優先的に結合する化合物として当業者には知られている。2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール(ERB−041)を含むある例示的なERβ選択的リガンドの調製は、いずれも本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許第6794403号およびWO03/050095に記載されている。さらに、ERβ選択的リガンド(例えば、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリル)は、いずれも本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許第6794403号、米国特許第6914074号および2004年12月17日出願の米国特許出願第60/637144号に記載された化合物を含む。さらに、ERβ選択的リガンドを含有するいくつかの医薬組成物は、本明細書に全体を参考として組み込んだ2006年2月14日出願の米国特許出願第60/773028号に記載されている。
【0014】
エストロゲン受容体ベータ(ERβ)は、男性および女性の両方の肺において類似のレベルで発現する。ER−βはそのリガンドに結合すると、炎症誘発状態にある宿主を防御し得るいくつかの細胞質性の転写効果を媒介する(Cristofaro,P.A.ら、「WAY−202196、a selective estrogen receptor−beta agonist,protects against death in experimental septic shock」Crit Care Med 2006 Vol.34、No.2188〜93頁;Hsieh,Y.−C.「upregulation of mitochondrial respiratory complex IV by estrogen receptor−β is critical for inhibiting mitochondrial apoptotic signaling and restoring cardiac functions following trauma−hemorrhage」Journal of Molecular and Cellular Cardiology、41(2006)、511〜521)。炎症誘発状態のいくつかの例には、急性肺損傷、例えば、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷が含まれる。
【0015】
肺炎球菌(S. pneumoniae)による気道感染後の全身感染および肺炎球菌性敗血症は、依然として合衆国における罹患率および死亡率の主要な原因である。Streptococcus pneumoniaeは、数十年もの効果的な抗菌剤治療および肺炎球菌ワクチン接種にもかかわらず、依然として合衆国における重篤な市中感染性肺炎の最も一般的な原因である。死亡率は、15〜25パーセントの範囲のままである(The National Heart,Lung and Blood Institute Acute Respiratory Distress Syndrome Clinical Trials Network.N Engl J Med 2006;354:2564〜2575)。はっきりした持続性の局所的および全身的炎症反応が、血栓形成促進現象、血栓溶解活性の減少、組織損傷および臓器機能喪失を併発した細菌性肺炎に存在する。肺炎球菌性敗血症の処置を補うためにアジュバント計画が何年も追究されてきた。
【0016】
敗血症の病変形成には、サイトカインなどの炎症誘発性媒介物の放出、好中球、単球および毛細血管内皮細胞の活性化、神経内分泌反射の関与、ならびに補体、血液凝固および繊維素溶解系の活性化をもたらす細胞活性化の複雑なプロセスが関与する(「The Last 100 Years of Sepsis」Vincent,J−Lら、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 173巻、256〜263頁、2006)。
【0017】
敗血症に関連した急性肺損傷(ALI)における肺および血管の損傷は、主に活性化した白血球(Murakami K、Okajima K、Uchiba Mら、「Activated protein C attenuates endotoxininduced pulmonary vascular injury by inhibiting activated leukocytes in rats」;Blood;1996;87:642〜647)ならびに気道および肺微小血管系におけるフィブリン形成(Gunther A、Mosavi P、Heinemann Sら;「Alveolar fibrin formation caused by enhanced procoagulant and depressed fibrinolytic capacities in severe pneumonia:Comparison with the acute respiratory distress syndrome」;Am J Respir Crit Care Med 2000、161、454〜462)によって媒介される(Maybauer,M.O.ら「recombinant human activated protein C improves pulmonary function in ovine acute lung injury resulting from smoke inhalation and sepsis」Crit.Care Med.、2006、34巻、No.9、2432〜38頁)。
【0018】
重度の煙の吸入は通常、急性呼吸促迫症候群(ARDS)を引き起こし、これは重複感染を合併することが多く、さらに急性肺傷害の重症度を悪化させる。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)肺炎は、煙の吸入後にしばしば認められ、肺炎はこれらの患者における敗血症のよくある原因である(Maybauer,M.O.ら、「recombinant human activated protein C improves pulmonary function in ovine acute lung injury resulting from smoke inhalation and sepsis」;Crit.Care Med.、2006、34巻、9号、2432〜38頁)。
【0019】
未熟児は、分娩時から呼吸に関して不利な立場にある。サーファクタント産生障害を伴った肺未熟が広範な無気肺および換気血流不均等を引き起こす。呼吸作用におけるこの増加に対応する能力は、未熟な中枢神経および柔軟性の高い胸壁によって損なわれる可能性がある。酸素補給および補助換気のレベルの上昇が適切な酸素負荷の維持に必要である。これは、増大する炎症変化に対する血小板、好中球および肺胞マクロファージ活性化による宿主の応答のきっかけとなる。炎症誘発性サイトカイン(TNF、1L−1、1L6)、エイコサノイド、ケモカイン(1L8、マクロファージ炎症性タンパク質)が、酸素フリーラジカル、エラスターゼおよびフィブロネクチンに加えて放出される。細胞内抗酸化系の未熟およびエラスターゼ−α1−プロテイナーゼ阻害剤系の不均衡は、さらに肺損傷を引き起こす。その後、フィードバックループによる炎症カスケードの抑制および抗炎症媒介物のレベル変化を伴った修復プロセスが続く(Kennedy,J.D.「lung function outcome in children of premature birth」J.Paediatr.Child Health(1999)35、516〜521)。早産の主な長期呼吸器合併症は、元々Northwayらによって記載された気管支肺異形成症(BPD)である(Northway WH Jrら、「pulmonary disease following respirator therapy of hyaline−membrane disease.Bronchopulmonary dysplasia」N.Engl.J.Med.1967;276:357〜68)。慢性肺疾患(CLD)という用語は、Tooleyによって導入され、今日では修正年齢36週で酸素補給の必要性を意味するようになった(Tooley,W.H.、「epidemiology of bronchopulmonary dysplasia」J.Pediatr.1979、95:851〜8;およびShennan A.T.ら、「abnormal pulmonary outcomes in premature infants:Prediction from oxygen requirement in the neonatal period」Pediatrics、1988、82:527〜32)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
急性肺損傷などの医学的症状を治療するための新規および改善された方法が常に求められているので、本発明はこのような目的およびその他の重要な目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の治療を必要とする対象における急性肺損傷の治療方法であって、対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。
【0022】
いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷または敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷またはサーファクタントの欠乏した未熟児において生じる人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の治療を必要とする対象における急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の治療方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血、肺硝子膜形成および肺病変から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺浮腫および肺炎症から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における急性肺損傷または急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含み、前記対象が急性肺損傷の危険性が疑われる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の予防方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象における急性肺損傷または急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法は、急性肺損傷の危険性が疑われる対象を同定することを含む。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象の同定は対象を診断することを含む。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、敗血症の危険性が疑われる対象、重度の敗血症の危険性が疑われる対象、敗血症ショックの危険性が疑われる対象、サーファクタントの欠乏した未熟児、有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象、熱傷の危険性が疑われる対象、大量輸血の危険性が疑われる対象、急性膵炎の危険性が疑われる対象および薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血、肺硝子膜形成、肺浸潤、肺浮腫、肺炎症、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫、肺胞崩壊および呼吸数増加から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物は経口投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物は静脈内投与される。
【0026】
前記実施形態のそれぞれのいくつかでは、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。前記方法のいくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の治療を必要とする対象における急性肺損傷の治療方法であって、対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。「急性肺損傷」とは、左心房高血圧に起因しない両側性の肺浸潤を伴う急性低酸素呼吸不全からなる重篤な疾患症候群のことである(例えば、Rubenfeld GDら、「incidence and outcomes of acute lung injury」N.Engl.J.Med.2005、353:1685〜93参照)。「急性肺損傷」はまた、通常手術または生命の危険の伴う外傷などの全身的な侵襲の後に起こる、公知の肺疾患(例えば、肺気腫、気管支炎または慢性閉塞性肺疾患)が存在しない生命に関わる進行性肺動脈弁閉鎖不全または低酸素呼吸不全症候群のことである。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は肺疾患以外の疾患または障害によって引き起こされる。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は重篤なCNS(中枢神経系)外傷に続発する神経因性肺損傷などの肺以外の原因によって引き起こされる/誘発される肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は肺以外の疾患によって誘発される急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は外傷、敗血症、および急性膵炎、薬物の過剰投与などのその他の障害による間接的な肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は有害な煙霧の吸入、熱傷または大量輸血によって誘発される急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷とは、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。
【0028】
いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷または敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷は、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷またはサーファクタントの欠乏した未熟児において生じる人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の少なくとも1種の治療を必要とする対象における急性肺損傷の少なくとも1種の治療方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血、肺硝子膜形成および肺病変から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺浮腫および肺炎症から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫および肺胞崩壊から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、頻発性間質浮腫および肺胞崩壊から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における急性肺損傷または急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含み、前記対象が急性肺損傷の危険性が疑われる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の予防方法を提供する。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、敗血症の危険性が疑われる対象、重度の敗血症の危険性が疑われる対象、敗血症ショックの危険性が疑われる対象、サーファクタントの欠乏した未熟児、有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象、熱傷の危険性が疑われる対象、大量輸血の危険性が疑われる対象、急性膵炎の危険性が疑われる対象および薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、敗血症の危険性が疑われる対象、重度の敗血症の危険性が疑われる対象、敗血症ショックの危険性が疑われる対象およびサーファクタントの欠乏した未熟児から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、既に敗血症、重度の敗血症または敗血症ショックと診断された対象から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、酸素補給、補助換気または酸素補給および補助換気を受けている未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、サーファクタントの欠乏した未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、酸素補給、補助換気または酸素補給および補助換気を受けている、サーファクタントの欠乏した未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、有害な煙霧の吸入、熱傷、大量輸血、急性膵炎または薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、火災の煙などの有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象から選択される。いくつかの実施形態では、本発明は、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血、肺硝子膜形成、肺浸潤、肺浮腫、肺炎症、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫、肺胞崩壊および呼吸数増加から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物は経口投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物は静脈内注射によって投与される。
【0032】
前記実施形態のそれぞれのいくつかでは、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。前記実施形態それぞれのいくつかでは、ERβ選択的リガンドは、ERβアゴニスト(すなわち、ERβ選択的アゴニスト)である。前記方法のいくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0033】
前記方法のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドのERβに対する結合親和性は、ERαに対するその結合親和性の少なくとも約20倍である。他の実施形態では、ERβ選択的リガンドのERβに対する結合親和性は、ERαに対するその結合親和性の少なくとも約50倍である。
【0034】
前記方法のいくつかの他の実施形態では、ERβ選択的リガンドは、子宮刺激活性を測定する標準的な薬理学的試験方法、例えば、本明細書で記載したような子宮刺激試験方法において、17β−エストラジオールの最大有効用量で認められるものの約25%未満の湿潤子宮重量の増加を引き起こす。
【0035】
前記方法の他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、乳腺刺激活性を測定する標準的な薬理学的試験方法、例えば、本明細書で記載したような乳腺終末芽(Mammary End Bud)試験方法において、17β−エストラジオールの最大有効用量で認められるものの約25%未満であるデフェンシンβ1mRNAの増加を引き起こす。
【0036】
前記方法の他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、子宮刺激活性を測定する標準的な薬理学的試験方法において、17β−エストラジオールの最大有効用量で認められるものの約10%未満である湿潤子宮重量の増加を引き起こす。他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、乳腺刺激活性を測定する標準的な薬理学的試験方法において、17β−エストラジオールの最大有効用量で認められるものの約10%未満であるデフェンシンβ1mRNAの増加を引き起こす。いくつかの実施形態では、デフェンシンβ1mRNAは配列番号1、配列番号2または配列番号3の1個又は複数を使用して検出する。
【0037】
前記方法の他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、子宮刺激活性の欠如した対照と比較して湿潤子宮重量は有意に増加しておらず(p>0.05)、乳腺刺激活性の欠如した対照と比較してデフェンシンβ1mRNAも有意に増加していない(p>0.05)。
【0038】
前記方法のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式Iを有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【化1】

[式中、Rは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、炭素原子3個〜8個のシクロアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシ、炭素原子1個〜6個のチオアルキル、炭素原子1個〜6個のスルホキソアルキル、炭素原子1個〜6個のスルホノアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、それぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環、−NO、−NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、−CFCN、炭素原子2個〜7個のアルキニルまたは炭素原子2個〜7個のアルケニルであり、アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR2aはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニルまたは炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、または炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、R3aおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリールであり、
XはO、SまたはNRであり、
は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、−COR、−COまたは−SOである。]
【0039】
前記方法のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【化2】

[式中、Rは炭素原子2個〜7個のアルケニルであり、アルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR2aはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、または炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、R3aはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリールであり、
XはO、SまたはNRであり、
は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、−COR、−COまたは−SOである。]
【0040】
ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であるいくつかの他の実施形態では、XはOである。
【0041】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、Rは炭素原子2個〜3個のアルケニルであり、場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されている。いくつかの他の実施形態では、Rは炭素原子2個のアルケニル(すなわち、ビニル)であり、場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されている。さらに他の実施形態では、Rは場合によって−CNまたはハロゲンで置換されたビニルである。さらに他の実施形態では、Rはビニルである。
【0042】
ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であるいくつかの実施形態では、XはOであり、Rは炭素原子2個〜3個のアルケニルであり、場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されている。いくつかの他の実施形態では、Rは炭素原子2個のアルケニル(すなわち、ビニル)であり、場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されている。さらに他の実施形態では、Rは場合によって−CNまたはハロゲンで置換されているビニルである。さらに他の実施形態では、Rはビニルである。
【0043】
ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であるいくつかの実施形態では、RおよびR2aはそれぞれ独立して水素、炭素原子1個〜6個のアルキルまたはハロゲンである。いくつかの他の実施形態では、RおよびR2aはそれぞれ水素である。さらに他の実施形態では、XはOであり、RおよびR2aはそれぞれ独立して水素、炭素原子1個〜6個のアルキルまたはハロゲンである。さらに他の実施形態では、XはOであり、RおよびR2aはそれぞれ水素である。
【0044】
ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であるいくつかの実施形態では、RおよびR3aはそれぞれ独立して水素またはハロゲンである。いくつかの他の実施形態では、RおよびR3aはそれぞれ水素である。他の実施形態では、XはOであり、RおよびR3aはそれぞれ独立して水素またはハロゲンである。さらに他の実施形態では、XはOであり、RおよびR3aはそれぞれ水素である。前述の方法のいくつかの好ましい実施形態では、ERβ選択的リガンドは下式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩(化合物2またはその薬学的に許容される塩)である。
【化3】

【0045】
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール(ERB−041、化合物2)を含む式IおよびIIの化合物の調製は、それぞれ本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許出願公開第2003/0199562号(2002年12月4日に出願された米国特許出願第10/309,699号)米国特許第6,794,403号および2002年12月2日出願のPCT/US2002/038513に記載されている。
【0046】
前記の方法のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式IIIを有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【化4】

[式中、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18、R19およびR20のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18、R19およびR20のフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
11、R12、R13、R14、R17、R18、R19またはR20の少なくとも1個はヒドロキシルである。]
【0047】
このようないくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式IVを有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【化5】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはR19のフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない。]
【0048】
このようないくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【化6】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニルおよび炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニルまたはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない。]
【0049】
ERβ選択的リガンドが式Vを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R11およびR12はそれぞれ独立して水素およびハロゲンから選択される。いくつかの他の実施形態では、R11およびR12はそれぞれ水素である。
【0050】
ERβ選択的リガンドが式Vを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R15およびR19はそれぞれ独立して水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、−CN、−CHO、トリフルオロメチルであり、R15またはR19のアルキルまたはアルケニル部分はそれぞれ場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよい。さらにいくつかの実施形態では、R15は、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、−CN、−CHOまたはトリフルオロメチルであり、アルキルまたはアルケニル部分はそれぞれ場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよい。さらに他の実施形態では、R15は−CNである。
【0051】
ERβ選択的リガンドが式Vを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R19は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、−CN、−CHOまたはトリフルオロメチルであり、アルキルまたはアルケニル部分はそれぞれ場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよい。他のいくつかの実施形態では、R19は水素、−CNまたはハロゲンである。さらに他の実施形態では、R15は−CNであり、R19は水素またはハロゲンである。
【0052】
ERβ選択的リガンドが式Vを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R16、R17およびR18はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキルまたはハロゲンである。他のいくつかの実施形態では、R16、R17およびR18はそれぞれ独立して水素またはハロゲンである。
【0053】
ERβ選択的リガンドが式Vを有するいくつかの実施形態では、それぞれが独立してO、NまたはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5または6員環はフラン、チオフェンまたはピリジンであり、R15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CNまたは炭素原子2個〜7個のアルキニルである。このようないくつかの実施形態では、R16、R17およびR18は水素である。前記の方法の他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、下式を有する化合物3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリル(化合物1)またはその薬学的に許容される塩である。
【化7】

【0054】
式III、IVおよびVの化合物の調製は、それぞれ本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許出願公開第2003/0181519号、米国特許第6,914,074号および2002年12月2日出願のPCT US02/39883に記載されている。
【0055】
前記方法のいくつか他の実施形態では、ERβ選択的リガンドは式VIIを有するか、またはその薬学的に許容される塩またはそのN−オキシドである。
【化8】

[式中、AおよびA’はそれぞれ独立してOHまたはOPであり、
Pはアルキル、アルケニル、ベンジル、アシル、アロイル、アルコキシカルボニル、スルホニルまたはホスホリルであり、
およびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであり、
はH、ハロゲン、またはC〜Cアルキルであり、
はH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシルまたはヘテロアリールであり、
およびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシル、フェニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1個がハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシル、フェニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってハロゲン、OH、−CN、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、
、RまたはRのアルキニル部分は場合によってハロゲン、−CN、−CHO、アシル、トリフルオロアルキル、トリアルキルシリルまたは場合によって置換されたフェニルによって置換されていてよく、
またはRのフェニル部分は場合によって、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、−NO、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ−(C〜C)アルキルアミノ、チオールまたはC〜Cアルキルチオで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
ただし、R、RおよびRのそれぞれがH、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであるならば、RおよびRの少なくとも1個はハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであり、
ただし、RおよびRの少なくとも1個はH以外である。]
【0056】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’の少なくとも1個はOHである。他のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHである。
【0057】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R、RおよびRはそれぞれ独立して、Hまたはハロゲンである。他のいくつかの実施形態では、RおよびRの少なくとも1個はハロゲンである。
【0058】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CN、−CHOまたはアシルである。さらにいくつかの実施形態では、Rはハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは−CNである。さらに他の実施形態では、Rはハロゲン、C〜Cアルキニルまたは−CNである。
【0059】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RはH、ハロゲンまたはCNである。さらにいくつかの実施形態では、RはHである。
【0060】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CN、−CHO、アシルまたは場合によって置換されたフェニルである。さらにいくつかの実施形態では、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CNまたは場合によって置換されたフェニルである。さらに他の実施形態では、Rはハロゲン、C〜Cアルキニルまたは−CNである。
【0061】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン、C〜Cアルキニルまたは−CNである。
【0062】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、R、RおよびRはそれぞれ独立してHまたはハロゲンである。
【0063】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、RはH、ハロゲンまたはCNである。
【0064】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CN、−CHOまたはアシルであり、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CN、−CHO、アシルまたは場合によって置換されたフェニルであり、RはH、ハロゲンまたはCNである。
【0065】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、Rはハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは−CNであり、RはH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−CN、または場合によって置換されたフェニルである。さらにいくつかの実施形態では、RはH、ハロゲンまたはCNである。
【0066】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、RおよびRの少なくとも1個はハロゲンである。
【0067】
ERβ選択的リガンドが式VIIを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、AおよびA’はそれぞれOHであり、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン、C〜Cアルキニルまたは−CNである。さらにいくつかの実施形態では、RはHである。
【0068】
前記の方法のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは式Xを有するか、またはその薬学的に許容される塩またはそのプロドラッグである。
【化9】

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜6個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、ただし、RまたはRの少なくとも1個はヒドロキシルであり、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、−CHO、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R、R、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によって、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、RまたはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよい。]
【0069】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、Rは水素、ヒドロキシルまたはハロゲンである。さらにいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシルである。
【0070】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、Rは水素、ヒドロキシルまたはハロゲンである。
【0071】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、Rは水素、ヒドロキシルまたはハロゲンである。
【0072】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、R、RおよびRのそれぞれは独立して水素、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される。さらにいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシルである。
【0073】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニルまたは−CN、フリルまたはチエニルである。
【0074】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、Rは水素以外である。他のいくつかの実施形態では、Rは炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CNまたは炭素原子2個〜7個のアルケニルである。さらに他の実施形態では、Rは−CNまたは炭素原子2個〜7個のアルケニルである。さらに他の実施形態では、Rは−CNである。
【0075】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはハロゲンである。
【0076】
ERβ選択的リガンドが式Xを有する前記の方法のいくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはハロゲンであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、ハロゲン、炭素原子2個〜7個のアルケニル、−CN、フリルまたはチエニルである。他のいくつかの実施形態では、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される。さらに他の実施形態では、Rは水素以外である。さらに他の実施形態では、Rはヒドロキシルであり、Rは−CNまたは炭素原子2個〜7個のアルケニルである。
【0077】
前記方法の他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは下式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【化10】

【0078】
式VIIを有するERβ選択的リガンドの調製は、米国特許出願第10/846,216号、2005年1月13日公開の米国特許出願公開第2005/0009784号およびWO04/103973に記載されている。式Xを有するERβ選択的リガンドの調製は、2003年9月18日公開の米国特許出願公開第2003/0176491号(2002年12月11日出願の米国特許出願第10/317163号)、米国特許第6,723,747号および2002年12月12日出願のPCT US02/39802号に開示されている。前記特許および出願はそれぞれ本明細書に全体を参考として組み込む。
【0079】
本発明はまた、治療有効量のERβ選択的リガンドおよび本明細書で記載した急性肺損傷のための伝統的な媒介物を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、局所的に適用される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。
【0080】
治療方法
急性肺損傷の治療または予防方法
本発明は、急性肺損傷の治療を必要とする対象における急性肺損傷の治療方法であって、対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。この方法は、対象に1種または複数、好ましくは1種のERβ選択的リガンドを供給することを含む。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、経口的に投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、静脈注射によって投与される。他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0081】
本明細書で使用したように、「治療」、「治療すること」、「治療する」などの用語は、所望する薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。効果とは、疾患および/または疾患に起因する有害作用の部分的な、または完全な安定化または治癒に関して治療効果があることであり得る。本明細書で使用した「治療」または「治療すること」は、対象、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患を阻害すること、例えば、疾患、症状または障害の病変または総体的症状を経験しているか、または表している個体における疾患(その1種または複数の徴候を含む)、症状または障害を阻害すること(すなわち、病変および/または総体的症状のさらなる進行を停止するか、または疾患の徴候を軽減すること、すなわち疾患または徴候の後退を引き起こすこと)、および(b)疾患を改善すること、例えば、疾患、症状または障害の病変または総体的症状を経験しているか、または表している個体における疾患(その1種または複数の徴候を含む)、症状または障害を改善すること(すなわち、病変および/または総体的症状を逆行させること)を含む。
【0082】
本明細書で使用したように、「予防すること」、「予防」、「予防する」などの用語は、疾患またはその徴候を完全に、または部分的に予防することに関して予防的であり得る所望する薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。本明細書で使用したように「疾患を予防すること」または「疾患の予防」とは、疾患、症状または障害に罹りやすい傾向があり得るが、まだ疾患の病変または総体的症状を経験していない、または表していない個体における疾患(その1種または複数の徴候を含む)、症状または障害を予防することを包含する。いくつかの実施形態では、「疾患を予防すること」はさらに、疾患、症状または障害に罹りやすい傾向があり得るが、まだ疾患の病変または総体的症状を経験していない、または表していない個体を確認するステップを含む。いくつかの実施形態では、疾患、症状または障害に罹りやすい傾向があり得るが、まだ疾患の病変または総体的症状を経験していない、または表していない個体の確認は、個体を診断することを含む。
【0083】
「個体」、「対象」、「宿主」および「患者」という用語は同義に使用され、診断、治療または療法を所望する任意の対象、特にヒトを意味する。その他の対象には、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0084】
本明細書で使用したように、「急性肺損傷」とは、左心房高血圧に起因しない両側性の肺浸潤を伴う急性低酸素呼吸不全からなる重篤な疾患症候群のことである。「急性肺損傷」はまた、通常手術または生命の危険の伴う外傷などの全身的な侵襲の後に起こる、公知の肺疾患(例えば、肺気腫、気管支炎または慢性閉塞性肺疾患)が存在しない生命に関わる進行性肺動脈弁閉鎖不全または低酸素呼吸不全症候群のことである。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は肺疾患以外の疾患または障害によって誘発される。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は重篤なCNS外傷に続発する神経因性肺損傷などの肺以外の原因によって引き起こされた/誘発される肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は肺以外の疾患によって誘発される急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は外傷、敗血症、および急性膵炎、薬物の過剰投与などのその他の障害による間接的な肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は有害な煙霧の吸入、熱傷または大量輸血によって誘発される急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷とは、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって誘発される/引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって誘発される/引き起こされる急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷は未熟児における人工呼吸による酸素毒性または気圧性外傷によって誘発される急性肺損傷である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、急性肺損傷はサーファクタントの欠乏した未熟児において生じる人工呼吸による酸素毒性または気圧性外傷によって誘発される急性肺損傷である。
【0085】
本明細書で使用したように、「菌血症」という用語は、血中における生きた細菌の循環の存在を意味する。発熱、悪寒、頻脈および頻呼吸が菌血症の一般的な急性症状である。菌血症の症例は主に既に入院している患者に見られ、その多くは血流が侵襲されやすくなる基礎疾患を有しているか、または処置を受けている。
【0086】
本明細書で使用したように、「気圧性外傷」という用語は、圧力変化後の損傷を意味し、肺への損傷を含む。
【0087】
本明細書で使用したように、「投与すること」または「供給すること」という用語は、ERβ選択的リガンドの直接投与か、または体内でERβ選択的リガンドの有効量を形成するERβ選択的リガンドのプロドラッグ、誘導体または類似体の投与のいずれかを意味する。この用語には、全身的な(例えば、静脈内注射などの注射によって、錠剤、丸剤、カプセル、または薬剤の全身投与に有用な、例えば、本明細書で以下に説明したようなその他の剤形によって経口的に)、および局所的な(例えば、局所的経口投与のための洗口剤の溶液を含むクリーム、溶液など)投与経路が含まれる。
【0088】
本明細書で使用したように、「それを必要とする」などの用語は、疾患、例えば、急性肺損傷、好ましくは敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷の治療を必要とすることが決定された対象のことである。このような決定は、医学的診断の結果であってよい。さらに、本発明の方法を「必要とする」対象には、既に急性肺損傷、敗血症、重度の敗血症または敗血症ショックと診断されたことが知られているか、または疑いがある対象が含まれる。
【0089】
ERβ選択的リガンドは、ERαと比較してERβに優先的に結合する化合物として当業者には知られている。2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール(ERB−041)などの式IおよびIIの調製を含むある例示的なERβ選択的リガンドの調製は、いずれも本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許第6,794,403号およびWO03/050095に記載されている。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドには、いずれも本明細書に全体を参考として組み込んだ米国特許第6,794,403号、WO03/050095、2002年12月11日に出願され、2003年9月25日にUS20030181519として公開された米国特許出願第10/316,640号;2004年12月17日に出願された米国特許出願第60/637,144号およびPCT出願US2005/045375に記載された化合物が含まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、下式を有する2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールである。
【化11】

【0091】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、下式を有する3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリルである。
【化12】

【0092】
いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、下式を有する2,8−ジヒドロキシ−6H−ジベンゾ[c,h]クロメン−12−カルボニトリルである。
【化13】

【0093】
本明細書で使用したように、「ERβ選択的リガンド」という用語は、ERαと比較してERβに優先的に結合する(すなわち、ERβおよびERαに対する結合親和性を測定する標準的な薬理学的試験方法において、(IC50によって測定した)ERβに対するリガンドの結合親和性がERαに対する結合親和性よりも大きい)化合物を意味する。いくつかの好ましい実施形態では、ERβおよびERαに対する結合親和性を測定する標準的な薬理学的試験方法において、ERβに対するリガンドの結合親和性は(IC50によって測定されるが、17β−エストラジオールのIC50はERαとERβとの間で差が3倍を上回らない)ERαに対する結合親和性より少なくとも約10倍大きい。ERβ選択的リガンドは、ERβに対する結合親和性がERαに対する結合親和性よりも少なくとも約20倍大きいことが好ましい。ERβ選択的リガンドは、ERβに対する結合親和性がERαに対する結合親和性よりも少なくとも約50倍大きいことがより好ましい。ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性および非乳腺刺激性であることがさらに好ましい。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用したERβ選択的リガンドは、ERβ選択的アゴニストである。さらに、ERβ選択的リガンドのERβ受容体に対する結合親和性は、約100nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、10nM未満、約5nM未満または約2nM未満である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載したERβ選択的リガンドのERβ受容体に対する結合親和性は、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、10nM未満、約5nM未満または約2nM未満である。
【0094】
本発明に従って使用したように、「非子宮刺激性」という用語は、標準的な薬理学的試験方法において、同じ方法で陽性対照の最大有効用量について観察された子宮重量増加の約50%未満の子宮湿重量の増加を生じることを意味する。いくつかの好ましい実施形態では、子宮刺激活性を測定する標準的な薬理学的試験方法は、Harris HAら、Endocrinology 2002;143(11):4172〜4177において公表された薬理学的試験方法であり、これは以後「子宮刺激試験方法」と称する。いくつかの実施形態では、陽性対照は、17β−エストラジオール、17α−エチニル−17β−エストラジオールまたはジエチルスチルベストロール(DES)である。子宮湿重量の増加は、陽性対照について観察されたものの約25%未満であることが好ましく、子宮湿重量の増加は、陽性対照について観察されたものの約10%未満であることがより好ましい。非子宮刺激性ERβ選択的リガンドは、子宮刺激活性を有さない対照(例えば媒体)と比較して、最小有意差試験を用いた分散分析によって決定した場合、子宮湿重量を有意には増加させない(p>0.05)ことが最も好ましい。陽性対照の最大有効用量は、限定はしないが、特定のアッセイ方法、陽性対照の本質(identity)、媒体の量および本質などを含むいくつかの要因に応じて変化するだろう。いくつかの実施形態では、陽性対照は、17β−エストラジオールであり、最大有効用量は、0.1μg/kgと100μg/kgとの間、好ましくは1.0μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは3μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは10μg/kgと20μg/kgとの間である。いくつかの実施形態では、陽性対照は、17α−エチニル−17β−エストラジオールであり、最大有効用量は、0.1μg/kgと100μg/kgとの間、好ましくは1.0μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは3μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは10μg/kgと20μg/kgとの間である。いくつかの実施形態では、陽性対照は、DESであり、最大有効用量は、0.1μg/kgと100μg/kgとの間、好ましくは1.0μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは3μg/kgと30μg/kgとの間、より好ましくは10μg/kgと20μg/kgとの間である。
【0095】
本明細書で使用したように、「非乳腺刺激性」という用語は、乳腺発達を刺激しない化合物を意味する。いくつかの実施形態では、「非乳腺刺激性」とは、標準的な薬理学的試験方法において、同じ方法で17β−エストラジオール(プロゲステロンと組み合わせて与えられた)の最大有効用量について観察されたデフェンシンβ1 mRNA増加の約50%未満のデフェンシンβ1 mRNAの増加を生じることを意味する。いくつかの実施形態では、乳腺刺激活性を測定する標準的薬理学的試験方法は、乳腺終末芽(Mammary End Bud)試験方法である。いくつかの実施形態では、デフェンシンβ1 mRNAの増加は、陽性対照について観察されたものの約25%未満であることが好ましく、デフェンシンβ1 mRNAの増加は、陽性対照について観察されたものの約10%未満であることがより好ましい。非乳腺刺激性ERβ選択的リガンドは、乳腺刺激活性を有さない対照(例えば媒体)と比較して、デフェンシンβ1mRNAを有意には増加させない(p>0.05)ことが最も好ましい。いくつかの実施形態では、「非乳腺刺激性」化合物は、限定はしないが、RT−PCR、ノーザンブロット、インサイツ(in situ)ハイブリダイゼーション、免疫組織化学(IHC)、およびウエスタンブロットを含むデフェンシンβ1レベルを測定するためのアッセイを用いて同定することができる。いくつかの実施形態では、「非乳腺刺激性」である化合物は、組織学を用いて、例えば乳腺発達の物理的マーカーの不在を確認することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、指標には、限定はしないが乳管伸長および小葉腺胞終末芽(lobulo-alveolar endbud)の出現が含まれる。
【0096】
本発明はまた、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の予防方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の方法はさらに、急性肺損傷の危険性が疑われる対象を同定することを含む。さらにいくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象の同定は対象を診断することを含む。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、敗血症、重度の敗血症、敗血症ショックの危険性が疑われる対象およびサーファクタントの欠乏した未熟児から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、既に敗血症、重度の敗血症または敗血症ショックと診断された対象から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、酸素補給、補助換気または酸素補給および補助換気を受けている未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象はサーファクタントの欠乏した未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、酸素補給、補助換気または酸素補給および補助換気を受けているサーファクタントの欠乏した未熟児である。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、有害な煙霧の吸入、熱傷、大量輸血、急性膵炎または薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される。いくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、火災の煙などの有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象から選択される。
【0097】
急性肺損傷の徴候の治療または予防方法
本発明はさらに、急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の治療方法を提供する。この方法は、対象にERβ選択的リガンドおよびその医薬組成物の有効量を供給することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血および肺硝子膜形成から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺浸潤から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、呼吸数の増加から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺浮腫および肺炎症から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫および肺胞崩壊から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、頻発性間質浮腫および肺胞崩壊から選択される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは経口的に投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、静脈注射などの注射によって投与される。他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。
【0098】
本発明はまた、急性肺損傷の危険性が疑われる対象における急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法を提供する。この方法は、対象にERβ選択的リガンドおよびその医薬組成物の有効量を供給することを含む。他のいくつかの実施形態では、方法は急性肺損傷の危険性が疑われる対象を同定することを含む。いくつかの他の実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象の同定は対象を診断することを含む。他のいくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象の同定は、診断を含む。他のいくつかの実施形態では、急性肺損傷の危険性が疑われる対象は、敗血症の危険性が疑われる対象、重度の敗血症の危険性が疑われる対象、敗血症ショックの危険性が疑われる対象、サーファクタントの欠乏した未熟児、有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象、熱傷の危険性が疑われる対象、大量輸血の危険性が疑われる対象、急性膵炎の危険性が疑われる対象および薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される。他のいくつかの実施形態では、少なくとも1種の徴候は、肺出血、肺硝子膜形成、肺浸潤、肺浮腫、肺炎症、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫、肺胞崩壊および呼吸数の増加から選択される。
【0099】
本明細書で使用したように、「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖である飽和炭化水素基のことを意味するものである。アルキル基の例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えばn−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えばn−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが含まれる。アルキル基は、1個から約20個、1個から約10個、1個から約8個、1個から約6個、1個から約4個、または1個から約3個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、アルキル基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。本明細書で使用したように、「低級アルキル」という用語は、6個までの炭素原子を有するアルキル基を意味するものとする。
【0100】
本明細書で使用したように、「アルケニル」とは、1個または複数の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基のことをいう。アルケニル基は、2個から約20個、2個から約10個、2個から約8個、2個から約6個、2個から約4個、または2個から約3個の炭素原子を含有することができる。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルなどが含まれる。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0101】
本明細書で使用したように、「アルキニル」とは、1個または複数の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基のことをいう。アルキニル基は、2個から約20個、2個から約10個、2個から約8個、2個から約6個、2個から約4個、または2個から約3個の炭素原子を含有することができる。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが含まれる。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0102】
本明細書で使用したように、「シクロアルキル」とは、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環式基のことをいう。シクロアルキル基は、単環(例えばシクロヘキシル)または多環(例えば2、3、または4縮合環、架橋、またはスピロ一価飽和炭化水素部分)であってもよく、炭素原子はこの環系の内側または外側に位置する。シクロアルキル基は、3個から約20個、3個から約14個、3個から約10個、3個から7個、3個から約6個、3個から約5個、3個から4個、または4個から約7個の炭素原子を有することができる。シクロアルキル基はさらに、0個、1個、2個または3個の二重結合および/または0個、1個または2個の三重結合を有することができる。シクロアルキル部分の任意の適切な環位置は、規定された化学構造に共有結合していてもよい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチル、スピロ[4,5]デアニル、同族体、異性体などが含まれる。また、シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に縮合した(すなわち共通の結合を有する)1個または複数の芳香環を有する部分、例えばシクロペンタン(インダニル)、シクロヘキサン(テトラヒドロナフチル)のベンゾ誘導体などが含まれる。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0103】
本明細書で使用したように、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とはOHのことをいう。
【0104】
本明細書で使用したように、「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0105】
本明細書で使用したように、「シアノ」とはCNのことをいう。
【0106】
本明細書で使用したように、「アルコキシ」とは、−O−アルキル基のことをいう。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシなどが含まれる。アルコキシ基は、1個から約20個、1個から約10個、1個から約8個、1個から約6個、1個から約4個、または1個から約3個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0107】
本明細書で使用したように、「ペルフルオロアルコキシ」という用語は、式−O−ペルフルオロアルキルの基を示している。
【0108】
本明細書で使用したように、「ハロアルキル」とは、1個または複数のハロゲン置換基を有するアルキル基のことをいう。ハロアルキル基の例には、CF、C、CHF、CCl、CHCl、CClなどが含まれる。水素原子のすべてがハロゲン原子で置換されているアルキル基は、「ペルハロアルキル」と呼ぶことができる。ペルハロアルキル基の例には、CFおよびCが含まれる。
【0109】
本明細書で使用したように、「ハロアルコキシ」とは、−O−ハロアルキル基のことをいう。
【0110】
本明細書で使用したように、「アリール」とは、単環式または多環式芳香族炭化水素、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルアントラセニル、フェナントレニルなどを含む芳香族炭素環式基のことをいう。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個から約20個の炭素原子または6個から約10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0111】
本明細書で使用したように、「複素環式環」は、5個から10個の環原子を有し、それぞれ独立してO、N、およびSから選択された1個〜3個のヘテロ環原子を含有する単環式芳香族または非芳香族環系のことをいうものとする。いくつかの実施形態では、1個または複数の環窒素原子は、本明細書に記載したような置換基を有することができる。いくつかの実施形態では、1個または複数の環炭素原子は、本明細書に記載したような置換基を有することができる。いくつかの実施形態では、複素環式環基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。複素環式5〜6員環の例には、フラン、チオフェン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジチオール、オキサチオール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾレム オキサジアゾール、フラザン、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジンおよびオキサジアジンが含まれる。いくつかの実施形態では、複素環式環の例には、フラン、チオフェンおよびチアゾールが含まれる。
【0112】
本明細書で使用したように、「アリールアルキル」または「アラルキル」とは、式−アルキル−アリールの基のことをいう。好ましくは、アリールアルキル基のアルキル部分は、低級アルキル基、すなわちC1〜6アルキル基、より好ましくはC1〜3アルキル基である。アリールアルキル基のアリール部分は、6個から約20個の炭素原子または6個から約10個の炭素原子を有することができる。アラルキル基の例には、ベンジルおよびナフチルメチル基が含まれる。いくつかの実施形態では、アリールアルキル基は、以下に記載したように、4個までの置換基で置換されていてよい。
【0113】
(アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、複素環式環、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルのための)適切な置換基の例には、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NO、フェニル、場合によって置換されたフェニル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニル、ベンゾイ、−CHO、カルボキシ、アシル、トリアルキルシリルおよび場合によって置換されたフェニルが含まれる。場合によって置換されたフェニルの例には、それぞれ独立して炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルおよびベンゾイルから選択された1、2、3、4または5個の置換基によって場合によって置換されたフェニルが含まれる。いくつかの実施形態では、アルキルまたはアルケニルのための置換基の例には、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOおよびフェニルが含まれる。いくつかの実施形態では、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルまたは複素環式環のための置換基の例には、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルおよびベンゾイルが含まれる。いくつかの実施形態では、アルケニルまたはアルキニルのための置換基の例には、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、アシル、トリフルオロアルキル、トリアルキルシリルおよび場合によって置換されたフェニルが含まれる。
【0114】
本明細書の様々な箇所において、本発明の化合物の置換基は群または範囲で開示されている。本発明は、このような群および範囲の構成要素のありとあらゆる個々の小結合を含むことを具体的に企図する。例えば、「C1〜6アルキル」または「炭素原子1個〜6個のアルキル」という用語は、個々にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなどを開示することを具体的に企図する。
【0115】
投与および医薬組成物
ERβ選択的リガンドアゴニストは、急性肺損傷を治療するために、単独で投与されてもよく、または組換えヒト活性化プロテインC(Maybauer,M.O.ら、「recombinant human activated protein C improves pulmonary function in ovine acute lung injury resulting from smoke inhalation and sepsis」Crit.Care Med.、2006、34巻、9号、2432〜38頁)などのその他の薬剤と混合して送達されてもよい。いくつかの実施形態では、一般的な投与媒体(例えば、丸剤、錠剤、植込錠、注射用溶液など)はERβ選択的リガンドおよび追加的治療薬(類)の両方を含有するであろう。こうして、本発明はまた、本発明のERβ選択的リガンドを1種または複数の薬学的に許容されるその担体および場合によってその他の治療成分とともに含む、医療用途のための医薬組成物を提供する。
【0116】
本発明によれば、治療はまた、併用療法を含むことができる。本明細書で使用したように、「併用療法」とは、治療を必要とする患者が、本発明のERβ選択的リガンドと併用してこの病気のための別の薬品または治療法を処置されるか、または与えられることを意味する。この併用療法は、患者がまず一方で治療され、次いで他方で治療される逐次的療法であってよく、または2種以上の治療法が同時に与えられる。好ましくは、ERβ選択的リガンドと併用して与えられた治療法は、ERβ選択的リガンドの治療活性を妨害しない。
【0117】
特定の疾患状態または障害の治療または阻害のために投与されたとき、有効投薬量は、使用した特定の化合物、投与様式、症状、およびその重症度、治療する症状の重症度、ならびに治療する個体に関連する様々な身体的要因に応じて変化し得ると理解される。本発明の化合物の効果的な投与は、約5μg/kgから約100mg/kgの1日経口用量で与えることができると計画される。計画された1日投薬量は、投与経路、および投与された化合物の性質によって変化すると予測される。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ERβ選択的リガンドの段階的に増大する用量を対象へ投与することを含む。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは経口的に投与される。いくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、静脈注射などの注射によって投与される。他のいくつかの実施形態では、ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性、非乳腺刺激性、または非子宮刺激性および非乳腺刺激性である。
【0118】
このような用量は、経口的、植込錠(implants)、非経口的(静脈内、腹膜内、および皮下注射を含む)、関節内、直腸内、鼻腔内、眼内、膣内または経皮的を含む、本明細書の活性化合物を受容者の血流中への方向付け(directing)において有用な任意の方法で投与することができる。
【0119】
本発明の活性化合物を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル、舌下錠形態、トローチ、糖衣錠および経口用液体、縣濁液または溶液を含む任意の従来から用いられている経口用形態を含むことができる。カプセルは、活性化合物(類)と不活性充填剤および/または希釈剤、例えば薬学的に許容されるデンプン(例えばトウモロコシ、馬鈴薯またはタピオカデンプン)、糖、人工甘味料、粉末セルロース、例えば結晶および微結晶セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガムなどとの混合物を含有してよい。有用な錠剤製剤は、従来の圧縮、湿潤顆粒化、または乾燥顆粒化方法によって製造することができ、限定はしないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸塩複合体、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプンおよび粉末糖を含む、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、縣濁剤または安定化剤を使用することができる。好ましい表面修飾剤には、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤が含まれる。表面修飾剤の代表例には、限定はしないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムおよびトリエタノールアミンが含まれる。本明細書における経口製剤は、活性化合物(複数可)の吸収を変えるための標準的遅延製剤または徐放性製剤を利用することができる。この経口製剤はまた、必要に応じて適切な可溶化剤または乳化剤を含有する、水または果汁に溶かした活性成分を投与することからなっていてよい。
【0120】
場合によって、化合物をエアゾールの形態で気道に直接投与することが望ましいことがある。
【0121】
本発明の化合物はまた、非経口的に(例えば関節空間内へ直接)または腹腔内に投与することができる。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としてのこれらの活性化合物の溶液または縣濁液は、ヒドロキシ−プロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中において調製することができる。分散液はまた、油中の、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中で調製することができる。通常の保存および使用条件下において、これらの調製物は微生物の成長を防ぐための保存剤を含有する。
【0122】
注射用途に適した剤形には、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。いずれの場合においても、この形態は滅菌されていなければならず、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度まで流動性でなければならない。これは、製造および保存条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および真菌の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、適切なそれらの混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒体であってよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ERβ選択的リガンドの静脈内投与(例えば、静脈内注射)によって実施される。静脈内投与に適したERβ選択的リガンドを含有する組成物は、例えば、本明細書に全体を参考として組み込んだ2006年2月14日出願の米国特許出願第60/773,028号に記載されているERβ選択的リガンドを含有する水性医薬組成物から選択することができる。いくつかの実施形態では、特に経口投与が困難であるか、または対象にとって実用的ではないとき、静脈注射を介してERβ選択的リガンドを投与することが有利である。
【0124】
この開示のために、経皮投与は、体の表面ならびに上皮および粘膜組織を含む体の通路の内層を横断する投与すべてを包含するものと理解される。このような投与は、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩を用いて、ローション、クリーム、泡、パッチ、縣濁液、溶液、および座薬(直腸および膣)で実施することができる。
【0125】
経皮投与は、活性化合物、および活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して非毒性であり、全身吸収のために皮膚を介して血流中にこの作用物質を送達させる担体を含有する経皮パッチの使用によって達成することができる。担体は、クリームおよび軟膏、ペースト、ジェル、および閉塞器具などの任意の数の形態をとることができる。クリームおよび軟膏は、粘性液体または水中油もしくは油中水型の半固形エマルジョンであることができる。活性成分を含有する石油または親水性石油中に分散された吸収性粉末からなるペーストも適切であり得る。活性成分を血流中に放出するために、様々な閉塞器具、例えば、担体を伴って、もしくは伴わずに活性成分を含有する半透膜で覆われた貯蔵体、または活性成分を含有するマトリクスを使用することができる。その他の閉塞器具が文献において知られている。
【0126】
座薬製剤は、座薬の融点を変えるためのワックスおよびグリセリンを添加して、または添加しないで、カカオ脂を含む伝統的な材料から製造することができる。水溶性座薬基剤、例えば様々な分子量のポリエチレングリコールも用いることができる。
【0127】
本発明の固体分散剤と共に使用するために適した追加的な数多くの様々な賦形剤、投薬形態、分散剤などは当業界において公知であり、例えば、本明細書に全体を参考として組み込んだRemington’s Pharmaceutical Sciences、17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985年に記載されている。
【0128】
キット
いくつかの実施形態では、本明細書で記載した疾患または障害の治療に有用な1種または複数のERβ選択的リガンドを含むキットが提供される。他のいくつかの実施形態では、キットは本明細書で記載した疾患または障害の治療に有用な1種または複数のERβ選択的リガンドおよび本明細書で記載した疾患または障害の治療のためのこのようなERβ選択的リガンドの投与方法の指示を含む指示書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、容器およびこの容器上に、または容器に付随させたラベルまたは添付文書を含む。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル、注射器などが含まれる。容器は、多様な材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成されていてよい。この容器は、選択した疾患または障害の治療に効果的である組成物を保持または含有し、滅菌された取り出し口を備えることができる(例えばこの容器は、静脈内溶液バッグ、または皮下注射針によって穿孔し得る栓を有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1種の活性剤は、ERβ選択的リガンドである。ラベルまたは添付文書は、急性肺損傷、例えば、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を有するか、または罹患する傾向がある患者を治療するために組成物が使用されることを示す。この製造品はさらに、薬学的に許容される希釈緩衝剤、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を有する第2の容器を含むことができる。さらに、その他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針および注射器を含む商業的な、および使用者の立場から所望されるその他の材料を含むことができる。場合によっては、キットは、限定はしないが、本明細書で記載した疾患または障害の治療のための伝統的な医薬品を含むその他の構成成分を含有することができる。ERβ選択的リガンドは、当業者に公知のいくつかの方法を用いて試験することができる。このような方法には、例えば、ERβおよびERαへの相対的結合親和性を測定すること、および周知のアッセイにおいて1種または複数の活性を評価することが含まれる。
【0129】
本発明は、具体的な実施例によってさらに詳細に記載される。以下の実施例は、例示を目的として提供され、本発明をどのような方法によっても限定するものではない。当業者であれば、本質的に同じ結果を生じるために変更または改変することができる多様な非決定的パラメータを容易に認識するであろう。
【実施例1】
【0130】
ERβおよびERαに対する結合親和性の評価
化合物は、ERβおよびERαの両方を使用して、17β−エストラジオールと競合する能力について評価することができる。この試験方法は、ERβまたはERαについての相対的結合親和性を決定するための方法を提供する。使用した方法は、Harris HAら、Steroids 2002;67(5):379〜384に記載されている。
【実施例2】
【0131】
子宮刺激活性の評価
試験化合物の子宮刺激活性は、Harris HAら、Endocrinology 2002;143(11):4172〜4177において公表されたような標準的な薬理学的試験方法に従って測定することができる。簡潔にするために、Harrisらにおいて公表されたような標準的な薬理学的試験方法は、「子宮刺激試験方法」と称する。
【実施例3】
【0132】
乳腺終末芽試験方法における評価
エストロゲンは、完全な乳管伸長および乳腺の枝分かれのため、ならびにその後のプロゲステロン影響下における小葉−腺胞終末芽の発達のために必要とされる。この試験方法において、ERβ選択的化合物の乳腺刺激活性は、以下のように評価することができる。7週齢のC57/bl6マウス(Taconic Farms、Germantown、NY)の卵巣を切除し、約9日間休養させる。動物を12時間の明/暗サイクル下に収容し、カゼインベースのPurina Laboratory Rodent Diet 5K96(Purina、Richmond、IN)および水を自由に摂取させる。次いで、マウスに7日間、媒体、17β−エストラジオール(1μg/kg、DMSO50%/1×ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水50%の媒体に溶かして皮下的に)、またはERβ選択的リガンド(様々な用量、Tween−80 2%/メチルセルロース0.5%の媒体に溶かして経口的に)を投与する。最後の4日間、マウスにはまた、プロゲステロン(30mg/kg、DMSO50%/1×ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水50%の媒体に溶かして皮下的に)を皮下投与する。7日目に、マウスを安楽死させ、鼠径部第4または第9乳腺および下部の脂肪体を切除する。脂肪体は、終末芽増殖のマーカーとしてのデフェンシン1β mRNA発現を分析する。総RNAは、各乳腺から個別に調製する。各試料は、ポリトロンホモジナイザーPT3100(Brinkmann、Westbury、NY)を用いて15〜25秒間、QIAゾール溶解試薬(Qiagen、Valencia、CA)2mL中でホモジナイズする。このホモジェネート1mLをクロロホルム0.2mLで抽出し、4℃で15分間遠心分離した後、水相約0.5mLを収集する。次に、水相のRNAを、Qiagen RNeasyキットを用いて、製造業者の方法に従って精製する。RNA試料中のゲノムDNAの痕跡は、RNA精製の間にカラム上におけるRNアーゼを含まないDNアーゼ処理によって除去される。RNA濃度は、アッセイのために0.05mg/mlに調節する。メッセンジャーRNA発現は、ABI PRISM7700配列検出システムで、リアルタイム定量−PCRを用いて、製造業者の方法(Applied Biosystems Inc;Foster City CA)に従って分析する。
【0133】
デフェンシンβ1配列は当業者には公知であり、例えばGen Bank受託番号BC024380(マウス)およびNM 005218(ヒト)を含む。デフェンシンβ1 mRNA検出のために使用したプライマーおよび標識プローブの配列は、以下の通りである。フォワードプライマー、5’−AATGCCTTCAACATGGAGGATT−3(配列番号1);リバースプライマー、5’−TTACAGGTTCCCTGTAGTTTGGTATTAG−3’(配列番号2);プローブ、5’FAM−TGTCTCCGCTCCAGCTGCCCA−TAMRA−3’(配列番号3)。試料間のmRNA発現レベルを比較するために、デフェンシンβ1 mRNA発現は、18S mRNA検出のためのApplied Biosystems TaqManリボソームRNA対照試薬キット(VICプローブ)のプライマーおよび標識プローブを用いて、18S RNA発現に対して正規化する。予測される結果は、デフェンシンβ1 mRNAは、17β−エストラジオールとプロゲステロンとの組合せによって強力に上方制御されるが、いずれかの化合物を単独で与えても上方制御されないことである。その後、試験化合物は、この方式において17β−エストラジオールと置換する能力について評価する。
【実施例4】
【0134】
ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン(HPBCD)15%/0.06N NaOH pH9.1に溶かした10mg/mLの化合物1を含有する水性製剤100mLの調製
1.3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリル(化合物1)1.0gを風袋消去した容器に計量した。
2.HPBCD15.00gを計量し、容器に移した。
3.注射用滅菌水82.35gを容器に添加した。
4.1N NaOH6.25g(6mL)を容器に添加した。
5.固形物を溶解するため、容器の内容物を連続撹拌することによって混合した。化合物1を完全に溶解するために最大30分が必要となり得る。
6.溶解が完了したとき、pHは約9.0〜9.3であることが確認された。
7.次に、溶液をMillipore Millex−GV 0.22uPVDFフィルターで濾過した。
8.その後、最終pHは9.1であることが再確認された。
【0135】
製剤の組成物を以下の表1に示す。
【表1】


最終溶液の密度は、1.046g/mLであった。
【実施例5】
【0136】
[実施例5]
多微生物性敗血症のマウス盲腸穿孔(CLP)モデルにおけるエストロゲン受容体−β選択的アゴニスト(化合物1)の評価
マウスの盲腸穿孔は、敗血症の許容されているモデルであり、既に公表された方法に従って実施した(Opalら、「evaluation of the safety of recombinant P−selectin glycoprotein ligand−immunoglobulin G fusion protein in experimental models of localized and systemic infection」Shock 2001;15:285〜90)。CLP誘発時に投与を開始すると、化合物1はこのモデルに延命効果をもたらす(Cristofaroら、Critical Care Medicine 2006;34:2188〜2193)。急性肺損傷は、この腹膜炎誘発性敗血症の実証された要素であり、このモデルは、敗血症における急性肺損傷に対するその他の医薬品の効果を研究するために使用されている(Tsujimotoら、Shock 2005;23:39〜44;およびSingletonら、Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol(January 18、2007))。
【0137】
マウスは、CLPおよび媒体または化合物1による処置の48時間後に安楽死させ、いずれの処理もCLP時に開始した。
【0138】
化合物1は、雌雄BALB/cマウスにおいてCLPしてから0、24および48時間後に一連の用量で経口的に投与した。生存率、炎症マーカー、肺の病変および微生物学的パラメータを評価した。
【0139】
複数の肺標本は、媒体で処理した動物および化合物1で処理した動物各8体の剖検から採取し、処理群の割り当てを知らされていない独立した病理学者が評価した。化合物1による処理によって、媒体による処理と比較して肺病変(例えば、肺浮腫および肺炎症)が減少した(化合物1:1.0±0.76対媒体:3.08±0.74、p<0.001)。標準採点方法を使用した。0:正常、1:軽度の浮腫、炎症、2:中等度の炎症、3:著しいが部分的な、4:著しく散在する炎症および損傷。
【0140】
[実施例5a]
mCLPモデルにおける肺組織遺伝子発現
マウスCLPにおける化合物1の活性をさらに明確にするために、マウスのサテライト群をCLP誘発手術時に媒体または化合物1で静脈内処理した。別の群のマウス(擬似手術群)を麻酔して開腹し、盲腸は処置したが結紮はせず、その後腹部を閉腹した。mCLPは進行性敗血症状態を生じるので、動物は極めて不健康になり、mCLP後48〜72時間の間に死亡し始める。したがって、これらの動物は48時間後に安楽死させ、遺伝子発現分析のために肺組織試料を収集した。
【0141】
メッセンジャーRNAは、標準技術によって調製し、試料は45037個の非対照プローブセットを含有するMouse430_2Affymetrix商用アレイ上で処理した。任意の集団の少なくとも1個の試料についてAffymetrix検出アルゴリズムによって「Present」と評価されたプローブセットはまた、同じ集団について正規化されたAffimetrixシグナル平均値が50を上回った(ロバストプローブセット)。
【0142】
A.CLP誘発性敗血症発症と相関するプローブセット
擬似手術動物と比較したときCLP誘発性敗血症モデルの結果として有意に変化したプローブセットをt検定によって取り出した。IV集団は、有意なレベル(p<0.05)で発現量の異なる一連の3747個のプローブセットを生じた。CLP誘発性敗血症の発症と相関するプローブセットのセットを同定するために、同じ発現比(fold change direction)で両分析セットに共通な有意なプローブセットのみが残るように2個の群を交差させた。Ingenuity Pathways分析(IPA)を使用して得られた369個のプローブセットのリストでは、369個のプローブセットのうち211個が生成経路として好適であった。この分析は、3種類の経路がデータ中で有意に過剰出現することを示した。これらの経路は、表2で確認される。
【表2】


表2:肺組織において有意に調節されたプローブセット369個のうち211個に基づいて、Ingenuity Pathways Analysis(IPA)によって敗血症のCLPモデルにおいて有意に過剰出現した3種類の経路。
【0143】
さらに、IPAは、いくつかの機能がデータ中で過剰出現していることを示した。これらには、とりわけ細胞死、細胞周期、神経疾患、炎症性疾患、免疫応答、血液学的疾患および癌が含まれる。
【表3】


表3:肺組織のCLP誘発性敗血症モデルに共通したプローブセット
【0144】
B.CLP誘発性敗血症モデルにおいて化合物1処理の活性と相関する遺伝子
CLP誘発性敗血症モデルにおいて化合物1処理に有意に応答するプローブセットは、擬似手術動物と比較したときCLP誘発性敗血症モデルにおいてまず有意に応答し、CLP未処理動物と比較したときも化合物1処理に有意に応答し、したがって、化合物1処理プロファイルは擬似手術プロファイルに似ているプローブセットである。遺伝子発現が減少した遺伝子転写物および遺伝子発現が増加した遺伝子転写物を検出するために、示差的(differential)遺伝子発現のヒートマップを使用した。
【0145】
Ingenuity Pathways分析(IPA)を使用すると、522個のプローブセットのうち277個は生成経路に好適であった。この分析は、7種類の経路がデータ中で有意に過剰に存在していることを示している。これらの経路は、表4で確認される。
【表4】



表4:肺組織において有意に調節されたプローブセット522個のうち277個に基づいて、Ingenuity Pathways Analysis(IPA)によってCLP誘発性敗血症モデルの化合物1処理において有意に過剰出現した7種類の経路。
【0146】
要約すると、化合物1は、CLPを行ったマウスの肺において複数の炎症誘発性経路を有意に減少させた。これらの遺伝子転写物の減少は急性肺損傷と関連しており、化合物1処理動物で見られた組織学的病変の減少および生存率の増加と一致している。
【実施例6】
【0147】
[実施例6]
マントヒヒの静脈内大腸菌曝露モデルにおけるエストロゲン受容体−β選択的アゴニスト(化合物1)の評価
マントヒヒの敗血症の静脈内大腸菌注入モデルは、敗血症研究において長年使用されてきており(Taylor FB Crit Care Med 2001、29、S78〜89)、その病態生理学的特性の1つとして急性肺損傷がある(Sabharwal AKら、Am J Resp Crit Care 1995;151:758〜67)。
【0148】
化合物1は、大腸菌曝露の5分前および2、24、48、72および96時間後に10mg/kgの用量で、0、24および48時間後に様々な用量で、マントヒヒに静脈内投与した。生存率、炎症マーカー、肺組織病変および微生物学的パラメータを評価した。
【0149】
マントヒヒの研究において、瀕死時または7日間の実験の終了時に動物を安楽死させて肺を調べた。動物は、媒体および化合物1大腸菌曝露に割り当てた。肺標本は処理群の割り当てを知らされていない独立した病理学者が評価した。化合物1は、基準値からの呼吸数の変化割合によって測定したマントヒヒモデルにおける肺損傷の臨床徴候を軽減させ、組織病理学的試験によって、化合物1処理動物では肺内出血が減少しており、肺硝子膜形成がないことによって明らかなように肺損傷が減少していることが明らかになった。
【0150】
[実施例6a]
マントヒヒのIV生大腸菌曝露モデルにおける血漿プロテオームおよび末梢血単核球の遺伝子転写分析
疾患の進行に対する化合物1の効果を評価するために、敗血症のマントヒヒモデルを使用して血漿プロテオームおよび末梢血単核球(PBMC)の遺伝子転写を調べた。研究には、それぞれマントヒヒ3匹の3種類の処理群、疑似処置、媒体および化合物1を含めた。血液試料は各マントヒヒから複数の時点(0、0.5、1、2、3、4、6、24、48および168時間)で採取した。NuGen増幅RNAは、0、1、6および24時間後の血液試料から単離した末梢血単核球(PBMC)から調製した。次に、52,865個の転写物を調べるAffymetrixアカゲザル遺伝子チップを使用してRNAレベルを測定した。これらの転写物の1個または複数の発現レベルが研究中に3種類の処理群で異なるかどうかについて注目した。
【0151】
A.統計学的方法
遺伝子チップデータは、検出p値およびシグナル(発現)値を計算するためにAffymetrix MAS5ソフトウェアを使用して処理した。検出p値を用いて、AffimetrixのAbsent(差がない)、Marginal(境界)またはPresent(差がある)判定を行った(p値≧0.065、Absent、0.05≦p値<0.065、Marginal、p値<0.05、Present)。シグナル値は、標準MAS5手順によって正規化した。
【0152】
転写物の最初のnominal上フィルタリングは、どの試料もPresentコールを有さない転写物を排除するために実施した。このフィルターによって、さらに分析を行う転写物の数が43,181個に減少した。
【0153】
基準発現値の動物間の差を調節するために、基準発現からの変化を分析した。log2変換シグナル値を使用して、基準発現値からの変化を計算した。それぞれの転写物について、動物の1、6および24時間の基準値からの変化を得るために、サンプリング時間0時間(基準)での動物のlog2シグナル値を同動物のその後のサンプリング時点それぞれのlog2シグナル値から差し引いた。
【0154】
処理群のサンプリング時点間の基準発現値からの(log2変換した)変化を比較するために、反復測度分散分析(ANOVA)を使用した。ANOVAモデルには、処理群およびサンプリング時間の条件ならびに処理群と時間との間の相互作用の条件が含まれる。このモデルにはまた、同一動物の異なるサンプリング時間における測定値の間のあらゆる動物内相互関係を説明する化合物対称共分散パラメータが含まれる。それぞれの転写物について別々にANOVAを行った。処理群間のペアワイズ比較は、すべての時点の平均濃度について、ならびに各時点について別々に計算した。これらのペアワイズ比較は、両側t検定に基づいており、t検定の誤差項はANOVAの誤差項全体に基づくものであった。
【0155】
実施した統計学的試験の実質的な数により、複数の比較のためF検定およびt検定の生p値を調節するために、false discovery rate(FDR)を使用した。FDRは、各比較セット(例えば、特定のサンプリング時間における各ペアワイズ比較)について別々に転写物のFDRを計算することによって、family−wise errorレベルを制御するために算出された。
【0156】
B.結果
ANOVAによって、大量の転写物について、PBMC発現レベルにおける処理群間の統計学的に意義のある差が証明された。統計学的な意義は、ANOVAおよび/またはペアワイズ比較試験から得られた生p値を使用して、または大量の統計学的試験を実施した事実を調製するFDRを使用することによって判断することができる。生p値を使用する場合、大量の試験を実施した事実を補整するために、比較的厳密な規準、例えば、p<0.001を使用しなければならない。
【0157】
ANOVAにおける「処置対時間」の相互作用のF検定についてp値またはFDRが小さい転写物のみに最初にサブセットすることによって、さらに統計学的「保護」をもたらすことができた。生p値規準<0.001を使用すると、このような転写物は1130個存在し、FDR規準<0.05によって転写物は1538個になる。
【0158】
急性肺損傷に関連した3種類遺伝子転写物が末梢血由来のPBMCで検出された。それらには、初期増殖応答3(EGR−3)、核内受容体サブファミリー4、グループA、メンバー3(NR4A3)、低酸素誘導因子2アルファ(HIF2−ALPHA)が含まれた。最初の2つは、血管内皮増殖因子(VEGF)によって調節され、HIF−アルファはVEGFを調節する。3種類ともすべて大腸菌注入後1時間から6時間で上昇したが、媒体処理動物と比較した場合、化合物1処理によって24時間では3種類ともすべて減少していた。VEGFおよびHIF経路は急性肺損傷において活性化されており、保護的代償応答と考えられる。組織学的病変の減少および呼吸数の正常化によって明らかなように、化合物1によって肺損傷が減少するならば、有害な状態が軽減することによってこの保護経路の必要性を減少させ、したがって遺伝子発現レベルが低下するものと推測される。
【0159】
前述のように収集した血漿試料を分析したところ、急性肺損傷に関連した2つのケモカイン、MIP−1アルファおよびMCP−1は、大腸菌曝露によって最初に増加したが、化合物1で処理することによって有意に減少した。
【実施例7】
【0160】
マウス肺炎モデルにおける化合物1および化合物2の評価
最初に3mg/kgでIV投与された化合物1および化合物2[2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールまたはERB−041]の効果は、7日間生存率、微生物排除ならびにマウス肺炎モデルにおける肺組織および遠位器官での侵襲性肺炎球菌性肺炎の急性および慢性炎症誘発効果の軽減について評価した(Mohler Jら、Intensive Care Med 2003;29:808〜816]。化合物1および化合物2は、重度の感染の病態生理を調節する能力および重度の細菌性肺炎による局所的および全身的炎症による死亡率を測定するために試験した。化合物は、肺炎球菌(S. pneumoniae)をLD90の用量で接種してから24時間後および48時間後にIV送達した。モキシフロキサシンを6、24および48時間後に投与した。動物は菌血症になり、一次接種後48時間から72時間の間に致死性の肺炎および全身感染症に進展した。媒体で処理した動物はすべて80時間(3日および8時間)で死亡したが、化合物1で処理した動物は7日目でも20%が生存しており、化合物2で処理した動物は60%が生存した。
【0161】
本明細書で記載した材料、方法および実施例は例示するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。特許出願、特許、Gen Bank受託記録および本明細書で言及したその他の参考文献を含む出版物はすべて、全体を参考として組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性肺損傷の治療を必要とする対象における急性肺損傷の治療方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記急性肺損傷が、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷、敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記急性肺損傷が、敗血症時の腹膜炎によって誘発される急性肺損傷または敗血症時の静脈内菌血症によって誘発される急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記急性肺損傷が、煙の吸入によって引き起こされる急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記急性肺損傷が、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記急性肺損傷が、酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷または人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記急性肺損傷が、サーファクタントの欠乏した未熟児において生じる酸素毒性によって引き起こされる急性肺損傷またはサーファクタントの欠乏した未熟児において生じる人工呼吸による気圧性外傷によって引き起こされる急性肺損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の治療を必要とする対象における急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の治療方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の徴候が、肺出血、肺硝子膜形成、肺浸潤、肺浮腫、肺炎症、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫、肺胞崩壊および呼吸数増加から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の徴候が肺浮腫および肺炎症から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
対象における急性肺損傷または急性肺損傷の少なくとも1種の徴候の予防方法であって、前記対象にERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物の治療有効量を投与することを含み、前記対象が急性肺損傷の危険性が疑われる方法。
【請求項12】
急性肺損傷の危険性が疑われる前記対象が、敗血症の危険性が疑われる対象、重度の敗血症の危険性が疑われる対象、敗血症ショックの危険性が疑われる対象、サーファクタントの欠乏した未熟児、有害な煙霧の吸入の危険性が疑われる対象、熱傷の危険性が疑われる対象、大量輸血の危険性が疑われる対象、急性膵炎の危険性が疑われる対象および薬物の過剰投与の危険性が疑われる対象から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の徴候が、肺出血、肺硝子膜形成、肺浸潤、肺浮腫、肺炎症、血管周囲の体液流動の増加、血管横断的体液流動の増加、頻発性間質浮腫、肺胞崩壊および呼吸数増加から選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物が経口投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ERβ選択的リガンドまたはその医薬組成物が静脈内投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ERβ選択的リガンドが非子宮刺激性および非乳腺刺激性である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ERβ選択的リガンドのERβに対する結合親和性がERαに対する結合親和性よりも少なくとも約20倍大きい、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象がヒトである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ERβ選択的リガンドが式Iを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化14】

[式中、Rは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、炭素原子3個〜8個のシクロアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシ、炭素原子1個〜6個のチオアルキル、炭素原子1個〜6個のスルホキソアルキル、炭素原子1個〜6個のスルホノアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、それぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環、−NO、−NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、−CFCN、炭素原子2個〜7個のアルキニルまたは炭素原子2個〜7個のアルケニルであり、前記アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR2aはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニルまたは炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、または炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、R3aおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリールであり、
XはO、SまたはNRであり、
は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、−COR、−COまたは−SOである。]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化15】

[式中、Rは炭素原子2個〜7個のアルケニルであり、前記アルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR2aはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、R3aはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリールであり、
XはO、SまたはNRであり、
は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、−COR、−COまたは−SOである。]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式IIIを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化16】

[式中、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、フェニルまたはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18、R19またはR20のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18、R19またはR20のフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
11、R12、R13、R14、R17、R18、R19またはR20の少なくとも1個はヒドロキシルであるか、またはその薬学的に許容される塩である。]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式IVを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化17】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニルおよび炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはR19のフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化18】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、および炭素原子2個〜7個のアルケニルおよび炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない。]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式VIIを有するか、またはその薬学的に許容される塩またはそのN−オキシドであり、
【化19】

[式中、AおよびA’はそれぞれ独立してOHまたはOPであり、
Pはアルキル、アルケニル、ベンジル、アシル、アロイル、アルコキシカルボニル、スルホニルまたはホスホリルであり、
およびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであり、
はH、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり、
はH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシルまたはヘテロアリールであり、
およびRはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシル、フェニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1個がハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、アシル、フェニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってハロゲン、OH、−CN、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、
、RまたはRのアルキニル部分は場合によってハロゲン、−CN、−CHO、アシル、トリフルオロアルキル、トリアルキルシリルまたは場合によって置換されたフェニルで置換されていてよく、
またはRのフェニル部分は場合によってハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH、C〜Cアルコキシ、−CN、−CHO、−NO、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、ジ−(C〜C)アルキルアミノ、チオールまたはC〜Cアルキルチオで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
ただし、R、RおよびRのそれぞれがH、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであるならば、RおよびRの少なくとも1個はハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルコキシであり、
ただし、RおよびRの少なくとも1個はH以外である。]
あるいは、前記ERβ選択的リガンドが式Xを有するか、またはその薬学的に許容される塩またはそのプロドラッグである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【化20】

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜6個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、ただしRまたはRの少なくとも1個はヒドロキシルであり、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、−CHO、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R、R、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、RまたはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよい。]
【請求項20】
前記ERβ選択的リガンドが式IIを有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【化21】

[式中、Rは炭素原子2個〜7個のアルケニルであり、前記アルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR2aはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキル、または炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
およびR3aはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜4個のアルコキシ、炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルキルまたは炭素原子1個〜6個のトリフルオロアルコキシであり、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されており、
、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリールであり、
XはO、SまたはNRであり、
は水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子6個〜10個のアリール、−COR、−COまたは−SOである。]
【請求項21】
XはOであり、Rは炭素原子2個〜3個のアルケニルであり、場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ERβ選択的リガンドが下式を有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項20に記載の方法。
【化22】

【請求項23】
前記ERβ選択的リガンドが式IVを有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【化23】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニルおよび炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはR19のフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない。]
【請求項24】
前記ERβ選択的リガンドが式Vを有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【化24】

[式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニルおよび炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、
15、R16、R17、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、炭素原子7個〜12個のフェニルアルキル、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R15、R16、R17、R18またはR19のアルキルまたはアルケニル部分は場合によって、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NOまたはフェニルで置換されていてよく、R15、R16、R17、R18またはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよく、
15またはR19の少なくとも1個は水素ではない。]
【請求項25】
それぞれが独立してO、NまたはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する前記複素環式5員または6員環が、フラン、チオフェンまたはピリジンであり、R15、R16、R17、R18およびR19がそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、−CNまたは炭素原子2個〜7個のアルキニルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
16、R17およびR18が水素である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ERβ選択的リガンドが下式を有する化合物であるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24に記載の方法。
【化25】

【請求項28】
前記ERβ選択的リガンドが式Xを有するか、またはその薬学的に許容される塩またはそのプロドラッグである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【化26】

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜6個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、炭素原子1個〜6個のアルコキシまたはハロゲンから選択され、R、またはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によって、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、ただしRまたはRの少なくとも1個はヒドロキシルであり、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1個〜6個のアルキル、ハロゲン、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、炭素原子2個〜7個のアルケニル、炭素原子2個〜7個のアルキニル、−CHO、フェニル、またはそれぞれが独立してO、NもしくはSから選択された1個から4個のヘテロ原子を有する複素環式5員もしくは6員環であり、R、R、RまたはRのアルキルまたはアルケニル部分は場合によってヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NOまたはフェニルで置換されていてよく、RまたはRのフェニル部分は場合によって炭素原子1個〜6個のアルキル、炭素原子2個〜7個のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素原子1個〜6個のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、炭素原子1個〜6個のアルキルアミノ、アルキル基当たり炭素原子1個〜6個のジアルキルアミノ、チオ、炭素原子1個〜6個のアルキルチオ、炭素原子1個〜6個のアルキルスルフィニル、炭素原子1個〜6個のアルキルスルホニル、炭素原子2個〜7個のアルコキシカルボニル、炭素原子2個〜7個のアルキルカルボニルまたはベンゾイルで一置換、二置換もしくは三置換されていてよい。]
【請求項29】
前記ERβ選択的リガンドが下式を有する化合物であるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項28に記載の方法。
【化27】


【公表番号】特表2010−516819(P2010−516819A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548411(P2009−548411)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/052415
【国際公開番号】WO2008/094976
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】