説明

情報処理システム、及び通信装置

【課題】通信状態の変化、及び途絶状態における通信装置の移動履歴を監視端末に通知することが可能な情報処理システム、及び通信装置を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理システムは、通信装置と、通信装置に対して通信を行う情報処理装置とを含む。通信装置は、無線通信部、及びGPS通信部を備えている。また、通信装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部を備えている。また、位置情報を情報処理装置へ送信する位置通知部を備えている。また、無線通信部の電界強度が所定値を下回ってから再び上回るまでの期間において、位置情報を所定時間毎に取得し、取得した位置情報を取得時刻と関連付けることにより履歴情報を生成する履歴情報生成部を備えている。また、生成した履歴情報を情報処理装置へ送信する履歴通知部を備えている。情報処理装置は、受信した位置情報又は履歴情報を所定の通信装置へ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信や音声通話等を実施するための情報処理システム、及び通信装置に関するものであり、特に通信装置が備える位置検出機能を防犯に利用することを目的とした情報処理システム、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等に代表される移動体用の通信装置の性能向上、多機能化は著しく、携帯型のコンピュータに近い性能のものが実用化されている。例えば携帯電話の中には、電話機能に加えて、GPS(Global Positioning System)による位置検出機能を備えたものが存在する。
【0003】
位置検出機能を備えた携帯電話は、自装置の現在位置の検出のために、例えばGPS受信機、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロスコープ等を備えている。そして、これらの装置により検出された現在位置を示す位置情報を、携帯電話の画面上に表示したり、無線通信網を介して所定のサーバへ送信したりする。
【0004】
GPSを利用することにより、例えば出発地から目的地までの経路を検索して経路案内を行う、経路案内機能を実現することができる。また、位置情報を情報処理サーバへ周期的に送信することにより、携帯電話の位置を監視端末等から監視し、防犯に利用することができる。
【0005】
上記のような位置検出機能を防犯に利用した技術として特許文献1には、遠隔操作によって擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行させることができる通信装置が開示されている。この通信装置によれば、ブザーの鳴動中或いはブザー鳴動停止後に、悪意ある第三者により通信装置の電源が操作され、防犯機能が停止されてしまうのを回避できる
また特許文献2には、ユーザの緊急状態を把握することのできる緊急情報通知システムが開示されている。この緊急情報通知システムは、移動端末が定期的に現在位置を取得し、位置情報データとして位置情報サービスサーバへ送信する。位置情報サービスサーバは、移動端末から送信される位置情報データを受信して履歴データとして蓄積する。
【0006】
緊急情報サービスサーバは、移動端末から緊急信号を受信すると、緊急信号を送信した移動端末の履歴データの一部又は全部を位置情報サービスサーバから取得する。そして緊急時対応機関サーバに対して、履歴データを含む緊急情報データを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−61153号公報
【特許文献2】特開2002−8164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1には、通信装置の現在位置を監視して防犯に利用する技術については開示されていない。また特許文献2のように、複数のサーバを用いて通信装置の位置を検知する方法では、各サーバ間での連携が必要となり、情報処理及び情報管理の方法が複雑になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信装置との通信が途絶し、その後に通信が回復した場合において、通信状態の変化、及び途絶状態における通信装置の移動履歴を監視端末に通知することが可能な情報処理システム、及び通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、無線通信網に接続されて無線通信を行う通信装置と、前記無線通信網を介して前記通信装置と通信を行う情報処理装置とを含む情報処理システムにおいて、前記通信装置が、前記無線通信網により基地局との通信を行う無線通信部と、GPS(Global Positioning System)衛星との通信を行うGPS通信部と、前記GPS衛星より受信する情報に基づき前記通信装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、前記位置情報を、前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する位置通知部と、前記無線通信部が基地局より受信する電波の電界強度が予め定められた値を下回った場合に、前記電界強度が予め定められた値を再び上回るまでの期間において、前記位置情報を予め定められた時間毎に取得し、取得した前記位置情報を取得時刻と関連付けた情報である履歴情報を生成する履歴情報生成部と、前記電界強度が予め定められた値を上回った場合に、前記履歴情報を前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する履歴通知部とを備え、前記情報処理装置が、前記通信装置より受信した前記位置情報又は前記履歴情報を、予め定められた通信装置へ配信することを特徴としている。
【0011】
この構成によると、本発明の情報処理システムは、無線通信網に接続されて無線通信を行う通信装置と、無線通信網を介して通信装置と通信を行う情報処理装置とを含む。通信装置は、無線通信網により基地局との通信を行う無線通信部と、GPS衛星との通信を行うGPS通信部とを備えている。また、通信装置は、GPS衛星より受信する情報に基づき通信装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部を備えている。また通信装置は、生成した位置情報を情報処理装置へ送信するよう無線通信部を制御する、位置通知部を備えている。また通信装置は、無線通信部の電界強度が所定値を下回ってから再び上回るまでの期間において、位置情報を所定時間毎に取得し、取得した位置情報を取得時刻と関連付けることにより履歴情報を生成する履歴情報生成部を備えている。また通信装置は、電界強度が所定値を下回った状態から上回った状態に変化した場合に、生成した履歴情報を情報処理装置へ送信する履歴通知部を備えている。情報処理装置は、通信装置よりこの位置情報又は履歴情報を受信すると、これらの情報を所定の通信装置、例えば監視用端末等へ配信する。これにより、通信装置が通信不能であった期間における移動経路を、その他の通信装置により確認することが可能である。
【0012】
また上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、前記情報処理装置が、前記通信装置より受信した前記位置情報又は前記履歴情報に基づいて、前記位置情報又は前記履歴情報を予め定められた通信装置で表示するための表示用データを生成し、前記表示用データを該通信装置へ配信する。
【0013】
この構成によると、情報処理装置は、通信装置より受信した位置情報又は履歴情報に基づいて、位置情報又は履歴情報を所定の通信装置で表示するための表示用データを生成する。そして生成した表示用データを、所定の通信装置へ配信する。
【0014】
また上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、前記通信装置が、画像の表示を行う表示部と、前記表示用データを前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記表示用データを用いた画像表示を行うよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える。
【0015】
この構成によると、通信装置は、画像の表示を行う表示部を備える。また通信装置は、表示用データを無線通信部により情報処理装置から受信し、表示用データを用いた画像表示を行う表示制御部を備えている。
【0016】
また上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、前記通信装置が、画像の表示を行う表示部と、前記位置情報又は前記履歴情報を前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記位置情報又は前記履歴情報を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える。
【0017】
この構成によると、通信装置は、画像の表示を行う表示部を備えている。また通信装置は、位置情報又は履歴情報を無線通信部により情報処理装置から受信し、位置情報又は履歴情報を示す画像を生成して表示する表示制御部を備えている。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、前記情報処理装置が、監視対象とする前記通信装置の登録を受け付け、該通信装置との通信状態を示す通信状態情報を生成し、該通信装置の監視用端末として予め前記情報処理装置に登録されている前記通信装置に対して前記通信状態情報を配信し、前記通信状態情報を受信した前記通信装置の備える前記表示制御部が、前記通信状態情報の示す通信状態が変化したことを検知した場合に、変化後の通信状態を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する。
【0019】
この構成によると、情報処理装置は、監視対象とする通信装置の登録を受け付け、この通信装置との通信状態を示す通信状態情報を生成する。そして、監視用端末として予め情報処理装置に登録されている通信装置に対して、通信状態情報を配信する。これを受けた通信装置の備える表示制御部は、通信状態情報の示す通信状態が変化したか否かを判定する。そして状態変化を検知した場合に、変化後の通信状態を示す画像を生成して表示する。これにより、監視対象の通信装置の通信状態、つまり圏内/圏外が変化した場合に、監視用端末のユーザに通知を行うことができる。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の情報処理システムは、前記通信装置の備える前記表示制御部が、前記位置情報を示す画像と前記履歴情報を示す画像とを、互いに異なる表示方法を用いて表示するよう前記表示部を制御する。
【0021】
この構成によると、通信装置の備える表示制御部は、位置情報を示す画像と履歴情報を示す画像とを、互いに異なる表示方法を用いて表示する。これより監視用端末のユーザは、監視対象の通信装置における過去の圏内/圏外状態を後から確認することができる。
【0022】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、無線通信網により基地局との通信を行う無線通信部と、GPS衛星との通信を行うGPS通信部と、前記GPS衛星より受信する情報に基づき位置情報を生成する位置情報生成部と、前記位置情報を、予め定められた情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する位置通知部と、前記無線通信部が基地局より受信する電波の電界強度が予め定められた値を下回った場合に、前記電界強度が予め定められた値を再び上回るまでの期間において、前記位置情報を予め定められた時間毎に取得し、取得した前記位置情報を取得時刻と関連付けた情報である履歴情報を生成する履歴情報生成部と、前記電界強度が予め定められた値を上回った場合に、前記履歴情報を前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する履歴通知部とを備えることを特徴とする。
【0023】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、画像の表示を行う表示部と、前記位置情報又は前記履歴情報を表示するための表示用データを前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記表示用データを用いた画像表示を行うよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える。
【0024】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、画像の表示を行う表示部と、前記位置情報又は前記履歴情報を前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記位置情報又は前記履歴情報を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える。
【0025】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記表示制御部が、監視対象として予め前記情報処理装置に登録されている通信装置との通信状態を示す通信状態情報を前記情報処理装置より受信し、且つ前記通信状態情報が示す通信状態が変化したことを検知した場合に、変化後の通信状態を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する。
【0026】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記表示制御部が、前記位置情報を示す画像と前記履歴情報を示す画像とを、互いに異なる表示方法を用いて表示するよう前記表示部を制御する。
【0027】
以上の構成によると、上述の情報処理システムに含まれる通信装置と同様の作用を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、監視対象の通信装置の状態が変化した場合、つまり圏内/圏外が切り替わった場合に、処理装置から監視端末に対して通知を行う。このため監視端末のユーザは、通信装置が圏外となったことをより迅速に把握することができる。
【0029】
また本発明によれば、監視対象の通信装置が圏外から圏内に復帰した場合において、圏外中に通信装置が移動した移動経路を、処理装置から監視端末に対して通知する。このため監視端末のユーザは、通信装置が圏外中に移動した経路を、後から確認することができる。
【0030】
また本発明によれば、圏外中に通信装置が移動した移動経路を、通常の移動経路とは異なる表示方法で監視端末に表示する。このため監視端末のユーザは、通信装置が圏外中に移動した経路と圏内中に移動した経路とを、容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信装置が含まれる情報処理システムを示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る通信装置の機能部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る通信シーケンスを示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る位置情報送信処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る位置情報表示処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る位置情報表示画面を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の一実施形態に係る通信装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.情報処理システムの構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話100(=通信装置)が含まれる情報処理システムの構成を示すブロック図である。本情報処理システムは少なくとも、携帯電話100、無線通信回線200(=無線通信網)、携帯電話基地局300(=基地局)、GPS衛星400、衛星通信回線500、広域通信網600、情報処理サーバ700(=情報処理装置)、及び携帯電話800(=通信装置)を含むように構成されている。
【0033】
携帯電話100は、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等の無線通信方式により通信を行う無線通信部を備えている。これにより、無線通信回線200を介して、携帯電話基地局300との通信を行う。
【0034】
また携帯電話100は、例えばスペクトラム拡散方式等の無線通信方式により通信を行うGPS通信部を備えている。これにより、衛星通信回線500を介して、GPS衛星400との通信を行う。GPS衛星400からは、位置情報を算出するための各種情報、例えばGPS衛星400の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等を取得する。
【0035】
携帯電話基地局300は、広域通信網600を介して、情報処理サーバ700に接続されている。これにより、携帯電話100から受信した位置情報を情報処理サーバ700に送信する。また、携帯電話基地局300は、複数の携帯電話100の間での音声通話やデータ通信等の通信制御を行う役割も持つ。
【0036】
情報処理サーバ700は、携帯電話100から送られてくる位置情報を用いて、携帯電話100の現在位置を携帯電話800へ通知するための位置表示用データを生成する。位置表示用データには例えば、緯度経度情報や、携帯電話100の現在位置を模式的に表すための画像データや地図データ等が含まれる。生成された位置表示用データは、広域通信網600及び無線通信回線200を介して、携帯電話800へ送信される。
【0037】
携帯電話800は、本実施形態において、携帯電話100の位置監視を行うための監視用の携帯電話である。携帯電話800は例えば、携帯電話100をある児童が所有している状況において、この児童の保護者が携帯電話800を所有することにより、児童の現在位置を監視する。
【0038】
このように本実施形態の携帯電話800は、用途が携帯電話100と異なるだけであり、その機能は携帯電話100と同様である。なお、サーバ700が携帯電話800を特定するための識別情報、例えばMACアドレスや端末ID等は、予め情報処理サーバに登録されているものとする。
〈2.内部構成について〉
図2は、本発明の一実施形態に係る携帯電話100の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の携帯電話100は少なくとも、制御部101、ROM102、メモリ103、スピーカ部104、音声入力部105、表示部106、操作部107、無線通信部108、GPS通信部109、通信制御部110、及びデータ処理部111を含むように構成されている。
【0039】
制御部101は、携帯電話100を構成する各部の動作を制御することにより、通話処理やデータ通信処理等を行う。制御部101は、例えば複数のマイクロプロセッサから構成されている。
【0040】
また制御部101は、制御部101が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、位置情報生成部11a〜表示制御部11e(図3)を備えている。なお、各機能部の詳細については後述する。
【0041】
ROM102は、制御部101が実行するプログラムや、工場出荷時の各種設定情報等、ユーザによる書き替えが行われることのない情報を記録する読み取り専用の記録媒体である。ROM102には例えば、位置情報取得用のアプリケーションプログラム等が記録されている。
【0042】
メモリ103は、制御部101が各種処理を実施する際の処理データを一時的に記録する読み書き可能な記録媒体である。例えば操作部107が検出したユーザ操作の内容や、ユーザ操作に基づいて設定される各種設定項目の有効/無効情報等を記録する。
【0043】
スピーカ部104は、制御部101から与えられる音声データのD/A(Digital-to-Analogue)変換を行い、変換により得られた音声信号に基づいて音声の出力を行う。音声入力部105は、マイク(不図示)より入力された音声から音声信号を生成し、さらにA/D(Analogue-to-Digital)変換を行うことにより音声データに変換し、制御部101に与える。
【0044】
表示部106は、液晶ディスプレイなどの表示装置と、ドライバ部とを含む。ドライバ部は、画像データのデコードを行い、表示装置の各画素電極に対して駆動電圧を印加する。これを受けた表示装置は、印加された駆動電圧に基づいて画像を表示する。これにより、携帯電話100が保持する各種情報の表示を行うことが可能である。
【0045】
操作部107は、ユーザが携帯電話100に対して、発呼指示や電子メール作成指示等の各種指示を入力するためのものである。操作部107により入力された指示は制御部101により受け付けられ、指示の内容に基づいて各種制御処理が行われる。
【0046】
無線通信部108は、無線通信回線200を介して携帯電話基地局300と無線通信を行うための通信部であり、アンテナ、増幅回路、及び復調回路等を含むように構成されている。
【0047】
GPS通信部109は、GPS衛星400から発せられる特定の電波を受信するための受信機であるGPSアンテナと、GPSアンテナにより受信した信号をデコードするデコーダを含む。デコーダにより得られた情報は、制御部101に与えられる。なおGPS通信部109は、位置情報算出のための補助装置として、加速度センサ(不図示)等を備える形態でもよい。
【0048】
通信制御部110は、無線通信部108を用いて情報処理サーバ700等と相互通信を行うための通信制御を行う。通信制御部110は、例えば通信プロトコルとしてTCP/IP等を用いて、データの送受信に関連する各種制御、例えば誤り訂正や再送制御等を行う。
【0049】
データ処理部111は、通信制御部110を介して無線通信部108から送られてくる信号に対して所定の変換処理を行い、携帯電話100の各部が処理可能な共通形式のデータを生成する。これにより例えば、WAV形式の音声データや、JPEG形式の画像データ等が生成される。
【0050】
またデータ処理部111は、携帯電話100の各部から送られてくる送信用データに対して所定の変換処理を行い、無線通信部108が処理可能な信号を生成する。これより、無線通信部108を用いた電子メールの送受信処理や、ブラウザアプリケーションによるウェブサイトのブラウジング処理、又は音声通話処理等が可能となる。
〈3.機能部の構成について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る位置情報送信処理及び位置情報表示処理を行うための各機能部の関係を、図3のブロック図を用いながら説明する。
【0051】
図3に示すように、本実施形態の位置情報送信処理及び位置情報表示処理は、位置情報生成部101a、位置通知部101b、履歴情報生成部101c、履歴通知部101d、及び表示制御部101eにより実施される。
【0052】
位置情報生成部101aは、GPS通信部109から送信される各種情報を用いて位置情報を算出する位置情報算出処理を行う。具体的には例えば、GPS衛星400より送られてくるGPS衛星400の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等から、携帯電話100の現在位置を示す経度緯度等を位置情報として算出する。
【0053】
位置通知部101bは、位置情報生成部101aにより算出される位置情報を周期的に情報処理サーバ700へ送信する送信処理を行う。
【0054】
履歴情報生成部101cは、無線通信部108が受信する電波の電界強度が低下し、携帯電話基地局300との通信を実施できない状態(以下、「圏外状態」という)を検知する。そして圏外状態に移行した場合に、圏外状態において携帯電話100が移動した位置を示す履歴情報の生成を開始する。
【0055】
履歴情報は例えば、圏外状態において所定時間毎に現在位置の取得を行うことにより生成される。履歴情報生成部101cは、取得した位置とその取得時刻とを関連付け、時系列順に並べることにより、履歴情報を生成する。なお履歴情報の生成は、無線通信部108が受信する電波の電界強度が上昇し、携帯電話基地局300と通信可能な状態(以下、「圏内状態」という)へ復帰するまで継続的に行う。
【0056】
履歴通知部101dは、圏外状態から圏内状態に復帰した場合において、履歴情報生成部101cにより生成された履歴情報を、携帯電話基地局300を介して情報処理サーバ700へ送信する。なお送信に対する正常応答を検知すると、履歴通知部101dはメモリ103に記録されている履歴情報を消去することが望ましい。
【0057】
表示制御部101eは、通信制御部110を用いて情報処理サーバ700より、監視対象の携帯電話の位置を表示部106へ表示するための位置表示用データを受信する。また表示制御部101eは、監視対象の携帯電話の移動履歴を表示部106へ表示するための履歴表示用データを受信する。
【0058】
そして受信した位置表示用データ及び履歴表示用データを用いて、図7に示す位置表示画面90を表示部106に表示する。なおこの際、位置情報と履歴情報とを目視で認識しやすくするため、例えば位置情報と履歴情報とで表示色を変えた画像や、どちらか一方を強調表示した画像を生成して表示する。
【0059】
図7は、表示制御部101eが表示部106に表示する位置表示画面90の一例を示す画面図である。位置表示画面90には、複数の区画に分割された道路と、監視対象の携帯電話の現在位置を示す星形のアイコン71と、携帯電話の移動履歴を示す矢印81〜矢印85が表示されている。
【0060】
矢印81〜矢印85のうち、実線矢印である矢印81、矢印82、及び矢印85の区間は、監視対象の携帯電話から送信された位置情報に基づいて生成されたものである。また破線矢印である矢印83及び矢印84は、監視対象の携帯電話から送信された履歴情報に基づいて生成されたものである。従って矢印83及び矢印84の区間において、監視対象の携帯電話が圏外状態であったことが確認できる。
〈4.処理シーケンスについて〉
ここで、本発明の一実施形態に係る携帯電話100、情報処理サーバ700、及び携帯電話800が実施する情報送受信処理について、図4のシーケンス図を用いながら説明する。図4に示す処理シーケンスは、上記の各装置の電源が駆動している状態において、任意のタイミングで開始することが可能である。
【0061】
本処理の開始後、携帯電話100は無線通信部108及び通信制御部110を用いて、位置情報をサーバ700へ送信する。位置情報を受けたサーバ700は、正常に受信がなされたことを示す応答信号を、携帯電話100へ返す。
【0062】
さらにサーバ700は、受信した位置情報より位置表示用データを生成し、携帯電話800へ送信する。これを受けた携帯電話800は、携帯電話100の位置を示す画像を位置表示画面90に表示する。
【0063】
携帯電話100が圏内状態である場合、上記の処理シーケンス、つまり図4の破線部分の処理を繰り返し行う。携帯電話100が圏外状態となった場合、サーバ700は携帯電話800に対して、圏外通知(=通信状態情報)を送信する。これ受けた携帯電話800は、例えば「監視対象の携帯電話が圏外になりました」等の文字列画像を表示部に表示する。
【0064】
圏外状態となった携帯電話100は、履歴情報の取得を開始する。なお履歴情報の取得は、携帯電話100が圏内状態に復帰するまでの間、継続して行われる。つまり、図4の履歴取得期間の間、継続して行われる。
【0065】
携帯電話100が圏内状態に復帰すると、これを検知したサーバ700が、携帯電話800に対して圏内通知(=通信状態情報)を送信する。これ受けた携帯電話800は、表示していた「監視対象の携帯電話が圏外になりました」等の文字列画像を表示停止する。
【0066】
また、圏内状態に復帰した携帯電話100は、履歴取得期間において取得した履歴情報を、サーバ700へ送信する。履歴情報を受けたサーバ700は、正常に受信がなされたことを示す応答信号を、携帯電話100へ返す。さらにサーバ700は、受信した履歴情報より履歴表示用データを生成し、携帯電話800へ送信する。
【0067】
これを受けた携帯電話800は、携帯電話100が圏外中において移動した位置を示す画像を位置表示画面90に表示する。この結果、例えば図7に示す破線の矢印83及び矢印84が表示される。
【0068】
以上の処理が完了すると、再び本シーケンスの最初に戻り、携帯電話100からサーバ700に対する位置情報の送信を繰り返して行う。
〈5.履歴情報送信処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る携帯電話100が実施する履歴情報送信処理について、図5のフロー図を用いながら説明する。図5に示す処理は、携帯電話100の電源が駆動している状態において、任意のタイミングで開始することが可能である。
【0069】
本処理の開始後、位置情報生成部101aはステップS110において、携帯電話100が圏外状態となったか否かの判定を、無線通信部108の通信状態に基づいて行う。圏外状態になっていない場合、位置情報生成部101aはステップS120において、位置情報の生成を行う。そして位置通知部101bが、情報処理サーバ700へ位置情報を送信する。送信が完了すると、再びステップS110へ移行する。
【0070】
圏外状態となった場合、履歴情報生成部101cはステップS130において、履歴情報の生成を開始する。そしてステップS140において圏内状態に復帰したか否かを判定する。
【0071】
圏内状態に復帰していない場合、再びステップS130へ移行し、履歴情報の生成を継続して行う。圏内状態に復帰した場合、履歴通知部101dはステップS150において、生成された履歴情報を情報処理サーバ700へ送信する。送信が完了すると、メモリ103等に一時的に記録されている履歴情報の消去を行った後、再びステップS110へ移行する。
【0072】
以上に説明した一連の処理は、携帯電話100の電源が停止される等により処理の継続が不可能となるまで、繰り返し行う。
〈6.履歴情報表示処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る携帯電話800が実施する履歴情報表示処理について、図6のフロー図を用いながら説明する。図6に示す処理は、携帯電話800の電源が駆動しており、且つ携帯電話800が備える位置監視用アプリケーションが起動される等により、表示制御部101eが動作状態に移行した場合に開始される。
【0073】
本処理の開始後、表示制御部101eはステップS210において、情報処理サーバ700より位置表示用データを受信したか否かを判定する。位置表示用データを受信した場合、表示制御部101eはステップS220において、位置情報を示す画像を生成し、表示部106に表示する。受信していない場合、ステップS230へ移行する。
【0074】
表示制御部101eはステップS230において、情報処理サーバ700より携帯電話100が圏外となったことを示す圏外通知を受信したか否かを判定する。圏外通知を受信した場合、表示制御部101eはステップS240において、携帯電話100が圏外となったことを示す画像を生成し、表示部106に表示する。受信していない場合、ステップS250へ移行する。
【0075】
表示制御部101eはステップS250において、情報処理サーバ700より携帯電話100が圏内に復帰したことを示す圏内通知を受信したか否かを判定する。圏内通知を受信した場合、表示制御部101eはステップS260において、携帯電話100が圏内となったことを示す画像を生成し、表示部106に表示する。受信していない場合、ステップS270へ移行する。
【0076】
表示制御部101eはステップS270において、情報処理サーバ700より携帯電話100が圏外であった間の移動履歴を示す履歴表示用データを受信したか否かを判定する。履歴表示用データを受信した場合、表示制御部101eはステップS280において、携帯電話100の圏外中の移動履歴を示す画像を生成し、位置情報を示す画像とあわせて、表示部106に表示する。受信していない場合、ステップS210へ移行する。
【0077】
以上に説明した一連の処理は、表示制御部101eの動作が停止されたり、携帯電話100の電源が停止される等により処理の継続が不可能となるまで、繰り返し行う。
【0078】
以上に説明した本実施形態によれば、携帯電話100が圏外となり、その後に圏内に復帰した場合において、圏外中に携帯電話100が移動した移動経路を、携帯電話800で確認することができる。
【0079】
また本実施形態によれば、携帯電話100の圏内/圏外が切り替わった場合に、サーバ700から携帯電話800に通知を行い、所定のメッセージを表示する。このため、携帯電話800のユーザは、携帯電話100が圏内であるか否かをより迅速に把握することができる。
【0080】
また本実施形態によれば、携帯電話100が圏外中に移動した経路を、通常の経路とは異なる表示方法で強調表示する。このため、圏外状態となっていた経路の確認を、後から容易に視認することができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0081】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0082】
(A)本実施形態では、制御部101が携帯電話100の位置を検出する手段としてGPS通信部109を例に挙げているが、これ以外の手段により携帯電話100の位置を検出する形態でもよい。例えば、通信可能な複数の携帯電話基地局300から送られてくる所定の無線信号を用いて、携帯電話100の位置を検出する形態でもよい。
【0083】
(B)上記実施形態では、制御部101が備える各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、これら機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0084】
(C)上記実施形態では、本発明の位置情報の送受信処理を実施する通信装置として携帯電話100及び携帯電話800を例示しているが、これ以外の通信装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ハンドヘルドPC等の通信装置において実施する形態でもよい。また、監視用の端末として、電話機能等を備えない監視専用端末を用いる形態でもよい。
【0085】
(D)上記実施形態では、位置表示画面90において、携帯電話100が圏外状態であった区間を破線矢印で示しているが、これ以外の方法を用いて、圏外状態であった区間を強調表示する形態でもよい。例えば、圏外状態であった区間の表示色を、通常の表示色と異なる表示色とする形態でもよい。或いは、圏外状態であった区間を点滅表示する形態でもよい。
【0086】
(E)上記実施形態では、サーバ装置700が位置情報に基づいて位置表示用データの生成を行っているが、サーバ装置700が携帯電話800へ位置情報を送信し、これを受けた携帯電話800が位置表示用データの生成を行う形態でもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 携帯電話(通信装置)
101 制御部
101a 位置情報生成部
101b 位置通知部
101c 履歴情報生成部
101d 履歴通知部
101e 表示制御部
102 ROM
103 メモリ
106 表示部
108 無線通信部
109 GPS通信部
200 無線通信回線
300 携帯電話基地局
400 GPS衛星
500 衛星通信回線
600 広域通信網
700 情報処理サーバ(情報処理装置)
800 携帯電話(通信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信網に接続されて無線通信を行う通信装置と、
前記無線通信網を介して前記通信装置と通信を行う情報処理装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記通信装置が、前記無線通信網により基地局との通信を行う無線通信部と、
GPS(Global Positioning System)衛星との通信を行うGPS通信部と、
前記GPS衛星より受信する情報に基づき前記通信装置の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報を、前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する位置通知部と、
前記無線通信部が基地局より受信する電波の電界強度が予め定められた値を下回った場合に、前記電界強度が予め定められた値を再び上回るまでの期間において、前記位置情報を予め定められた時間毎に取得し、取得した前記位置情報を取得時刻と関連付けた情報である履歴情報を生成する履歴情報生成部と、
前記電界強度が予め定められた値を上回った場合に、前記履歴情報を前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する履歴通知部とを備え、
前記情報処理装置が、前記通信装置より受信した前記位置情報又は前記履歴情報を、予め定められた通信装置へ配信することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置が、前記通信装置より受信した前記位置情報又は前記履歴情報に基づいて、前記位置情報又は前記履歴情報を予め定められた通信装置で表示するための表示用データを生成し、前記表示用データを該通信装置へ配信する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記通信装置が、画像の表示を行う表示部と、
前記表示用データを前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記表示用データを用いた画像表示を行うよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記通信装置が、画像の表示を行う表示部と、
前記位置情報又は前記履歴情報を前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記位置情報又は前記履歴情報を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記情報処理装置が、監視対象とする前記通信装置の登録を受け付け、該通信装置との通信状態を示す通信状態情報を生成し、該通信装置の監視用端末として予め前記情報処理装置に登録されている前記通信装置に対して前記通信状態情報を配信し、
前記通信状態情報を受信した前記通信装置の備える前記表示制御部が、前記通信状態情報の示す通信状態が変化したことを検知した場合に、変化後の通信状態を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する、請求項3又は請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記通信装置の備える前記表示制御部が、前記位置情報を示す画像と前記履歴情報を示す画像とを、互いに異なる表示方法を用いて表示するよう前記表示部を制御する、請求項3又は請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
無線通信網により基地局との通信を行う無線通信部と、
GPS衛星との通信を行うGPS通信部と、
前記GPS衛星より受信する情報に基づき位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報を、予め定められた情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する位置通知部と、
前記無線通信部が基地局より受信する電波の電界強度が予め定められた値を下回った場合に、前記電界強度が予め定められた値を再び上回るまでの期間において、前記位置情報を予め定められた時間毎に取得し、取得した前記位置情報を取得時刻と関連付けた情報である履歴情報を生成する履歴情報生成部と、
前記電界強度が予め定められた値を上回った場合に、前記履歴情報を前記情報処理装置へ送信するよう前記無線通信部を制御する履歴通知部とを備えることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
画像の表示を行う表示部と、
前記位置情報又は前記履歴情報を表示するための表示用データを前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記表示用データを用いた画像表示を行うよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
画像の表示を行う表示部と、
前記位置情報又は前記履歴情報を前記無線通信部により前記情報処理装置から受信し、前記位置情報又は前記履歴情報を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記表示制御部が、監視対象として予め前記情報処理装置に登録されている通信装置との通信状態を示す通信状態情報を前記情報処理装置より受信し、且つ前記通信状態情報が示す通信状態が変化したことを検知した場合に、変化後の通信状態を示す画像を生成し、該画像を表示するよう前記表示部を制御する、請求項8又は請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記表示制御部が、前記位置情報を示す画像と前記履歴情報を示す画像とを、互いに異なる表示方法を用いて表示するよう前記表示部を制御する、請求項8又は請求項9に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−55053(P2011−55053A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199508(P2009−199508)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】