説明

情報処理システム及び車載情報処理装置

【課題】可搬型のナビゲーション装置(位置特定装置)にて精度のよい車輌の位置特定を行うことが可能な情報処理システム及び車載情報処理装置を提供する。
【解決手段】車載情報処理装置10と可搬型のPND20とをUSBケーブル4にて接続し、車載情報処理装置10が車内ネットワーク3を介して得られる情報から位置特定に要する情報を収集してPND20へ送信する。PND20は、自身が有するGPS受信部及びジャイロセンサから得られる情報と、車載情報処理装置10から受信した情報とに基づいて車輌1の位置特定を行う。またPND20は、車載情報処理装置10及びサーバ装置40の情報送受信を中継する。車載情報処理装置10は、所定の状態情報を収集し、PND20を介してサーバ装置40へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌に搭載された情報処理装置と可搬型の位置特定装置との間で情報の送受信を行う情報処理システム及び車載情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)、ジャイロセンサ、車速センサ及び舵角
センサ等から得られる種々の情報に基づいて車輌の位置特定を行い、目的地への経路案内を行うカーナビゲーション装置(位置特定装置)が広く普及している。またカーナビゲーション装置を利用した種々の応用技術の研究・開発がなされている。例えば特許文献1においては、車輌に搭載された端末装置(カーナビゲーション装置)が現在位置を測位し、側位した現在位置を含むプローブ情報を情報提供サーバへ送信し、情報提供サーバが受信したプローブ情報に基づいて車輌が所定時間以上停止する地点を駐車可能施設であると判別し、判別結果を車両の端末装置へ送信することによって、各端末装置にて駐車場案内を行うことができる駐車可能施設判別システムが提案されている。
【0003】
従来のカーナビゲーション装置は、車輌の運転席近傍などに設置される固定型のものが主流であった。しかし近年では、車輌から取り外すことができ、軽量且つ小型でユーザが持ち運ぶことが可能なカーナビゲーション装置、いわゆるPND(Personal Navigation Device)が普及し始めている。このPNDは、低価格であること、複数の車輌で共有することができること、車輌以外の徒歩又は自転車等での移動の際にも利用可能であること等の利点がある。
【0004】
また近年では携帯電話器が高機能化しており、GPS受信器又はジャイロセンサ等を内蔵した携帯電話器ではナビゲーション機能が実現可能である。ナビゲーション機能を有する携帯電話器を車輌内で利用することにより、上記の可搬型のカーナビゲーション装置の代替とすることができ、これによりカーナビゲーション装置をより低価格で利用することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−169527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PND及びナビゲーション機能付きの携帯電話器等の可搬型のナビゲーション装置では、車輌の位置特定のために得られる情報が限られているため、位置特定の精度が低いという問題がある。可搬型のナビゲーション装置は、GPS受信器が受信するGPS信号に基づく位置特定を行うものが多いが、ビルの谷間又はトンネル内等のようにGPS信号を受信できない場所では位置特定を行うことができないという問題がある。またジャイロセンサを共用して位置特定を行う可搬型のナビゲーション装置もあるが、GPS信号を受信できない場所ではジャイロセンサのみで位置特定を行うため精度が低いという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、可搬型のナビゲーション装置(位置特定装置)にて精度のよい車輌の位置特定を行うことが可能な情報処理システム及び車載情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理システムは、移動体の位置を特定する位置特定手段を有する可搬型の位置特定装置と、車輌に搭載され、該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段、前記位置特定装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段、及び、前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段を有し、該情報収集手段が収集した所定の情報を、前記第2通信手段により前記位置特定装置へ送信する車載情報処理装置とを備え、前記車載情報処理装置の情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を収集し、前記位置特定装置の位置特定手段は、前記車載情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記車輌の位置を特定するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記車輌外に設置されたサーバ装置を更に備え、前記情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を含む前記車輌の状態情報を収集するようにしてあり、前記車載情報処理装置は、前記情報収集手段が収集した情報を、前記位置特定装置用の情報又は前記サーバ装置用の情報に選別する情報選別手段を有し、前記位置特定装置は、前記サーバ装置との間で情報の授受を行う情報授受手段を有し、前記情報選別手段が前記サーバ装置用に選別した情報を前記車載情報処理装置から前記サーバ装置へ中継するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記車載情報処理装置が、情報を暗号化する暗号化手段を有し、前記サーバ装置用の情報を暗号化して送信するようにしてあり、前記サーバ装置は、暗号化された情報を復号する復号手段を有し、前記位置特定装置を介して与えられた情報を復号するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記車載情報処理装置が、前記位置特定装置用の情報を暗号化して送信するようにしてあり、前記位置特定装置は、暗号化された情報を復号する復号手段を有し、前記車載情報処理装置から受信した前記位置特定装置用の情報を復号するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記車載情報処理装置の暗号化手段が、前記位置特定装置用の情報と前記サーバ装置用の情報とについてそれぞれ異なる暗号化を行うようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記サーバ装置が、前記位置特定装置を介して、前記情報収集手段が収集する情報を指定する情報収集指示を前記車載情報処理装置へ与える情報収集指示手段を有し、前記情報収集手段は、前記サーバ装置から与えられた情報収集指示にて指定された情報を、前記サーバ装置用の情報として収集するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記位置特定装置及び前記車載情報処理装置は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して接続するようにしてあり、前記位置特定装置は、USBの通信プロトコルの主装置として通信を行う通信手段を有し、前記車載情報処理装置の第2通信手段は、USBの通信プロトコルの従装置として通信を行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る情報処理システムは、前記位置特定装置が、一又は複数の操作部を有し、該操作部にて前記車載情報処理装置の処理に係る操作を受け付けることができるようにしてあり、前記車載情報処理装置の処理に係る操作を前記操作部にて受け付けた場合に、受け付けた操作内容を前記車載情報処理装置へ送信するようにしてあり、前記車載情報処理装置は、前記第2通信手段にて前記位置特定装置からの操作内容を受信した場合に、受信した操作内容に応じた処理を行うようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る情報処理システムは、公衆の無線通信網を介して通信を行う可搬型の無線通信装置と、車輌に搭載され、該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段、前記無線通信装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段、前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段、及び、情報を暗号化する暗号化手段を有し、該情報収集手段が収集した所定の情報を前記暗号化手段により暗号化して、前記第2通信手段により前記無線通信装置へ送信する車載情報処理装置と、前記車輌外に設置され、公衆の無線通信網を介して通信を行う通信手段、及び、該通信手段が受信した暗号化された情報を復号する復号手段を有するサーバ装置とを備え、前記無線通信装置は、前記車載情報処理装置及び前記サーバ装置の情報の送受信を中継するようにしてあり、前記サーバ装置は、前記無線通信装置を介して、前記情報収集手段が収集する情報を指定する情報収集指示を前記車載情報処理装置へ与える情報収集指示手段を有し、前記情報収集手段は、前記サーバ装置から与えられた情報収集指示にて指定された情報を、前記サーバ装置用の情報として収集するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る車載情報処理装置は、車輌に搭載され、該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段と、可搬型の位置特定装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段と、前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段とを備え、前記情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を収集し、前記情報収集手段が収集した所定の情報を、前記第2通信手段により前記位置特定装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る車載情報処理装置は、前記情報収集手段が収集した情報を、前記位置特定装置用の情報又は前記車輌外に設置されたサーバ装置用の情報に選別する情報選別手段と、情報を暗号化する暗号化手段とを更に備え、前記情報選別手段が選別した前記サーバ装置用の情報を、前記暗号化手段により暗号化して送信するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る車載情報処理装置は、前記暗号化手段が、前記位置特定装置用の情報と前記サーバ装置用の情報とについて、それぞれ異なる暗号化を行うようにしてあることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る車載情報処理装置は、前記位置特定装置にUSBケーブルを介して接続するようにしてあり、前記第2通信手段は、USBの通信プロトコルの従装置として通信を行うようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、車輌に搭載された車載情報処理装置と可搬型のナビゲーション装置(位置特定装置)とが通信(有線又は無線のいずれであってもよい)を行って情報を送受信する。車載情報処理装置は、CAN(Controller Area Network)などの車内ネットワークに接続され、この車内ネットワークを介して車輌内の他装置からの情報を受信することが可能な構成とする。車載情報処理装置は、車輌内の他装置から受信した情報から、例えば車速、舵角、ブレーキの操作状況及びシフトレバーのポジション等のような車輌の位置特定に要する情報を収集して可搬型のナビゲーション装置へ送信する。これにより可搬型のナビゲーション装置は、自らが備えるGPS受信器にて受信したGPS信号及びジャイロセンサが検知する角度(角速度)等の情報のみでなく、車載情報処理装置から受信した車速及び舵角等の情報に基づいて、車輌の位置特定を精度よく行うことが可能となる。
【0022】
またPNDには携帯電話網又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を利用した通信機能を有しているものがある。またナビゲーション機能を有する携帯電話器は、携帯電話網を利用した通信を行うことができる。このように公衆の無線通信網を利用した通信を行うことができる可搬型のナビゲーション装置では、遠隔地に設置されたサーバ装置へ種々の情報を送信し、サーバ装置にて処理された情報を受信することによって、より高度なサービスを提供することができる。
そこで本発明においては、可搬型のナビゲーション装置には、サーバ装置との間で情報を授受する手段(上記のような公衆の無線通信網を利用した通信手段であってもよく、その他の手段として例えばメモリカードなどの記録媒体を介して情報を授受するものであってもよい)を設け、車載情報処理装置とサーバ装置との間の情報の授受を可搬型のナビゲーション装置が中継する。
車載情報処理装置は、車速及び舵角等の位置特定に要する情報を含み、例えばエンジン回転数、燃料噴射量、走行距離、外気温及びライトの点灯状態等のような車輌に搭載された各種のセンサ及びスイッチ等から得られる情報を、車輌の状態情報として収集する。また車載情報処理装置は、収集した情報を、可搬型のナビゲーション装置にて用いる情報と、サーバ装置にて用いる情報とに選別し、例えば選別結果をヘッダなどに付加して、可搬型ナビゲーション装置へ送信する。可搬型ナビゲーション装置は、車載情報処理装置から受信した情報のうち、自らが用いるための情報を取得すると共に、サーバ装置用の情報をサーバ装置へ与える。
これによりサーバ装置は、可搬型のナビゲーション装置のみでは得ることができない車輌の状態情報を取得することができ、取得した情報に基づいてより高度なサービスを提供することが可能となる。
【0023】
また、本発明においては、車載情報処理装置からサーバ装置へ与える情報を暗号化することによって安全性の向上を図る。このため車載情報処理装置には情報を暗号化する手段を設け、サーバ装置には暗号化された情報を復号する手段を設ける。この場合に、情報を中継する可搬型のナビゲーション装置には暗号化及び復号を行う手段を設ける必要はなく、可搬型のナビゲーション装置は、車載情報処理装置から受信した暗号化された情報をそのままサーバ装置へ与えればよい。またこの場合に、車載情報処理装置は、可搬型のナビゲーション装置用の情報を暗号化せずに送信すればよい。
【0024】
ただし、車載情報処理装置と可搬型のナビゲーション装置との通信を無線などで行う場合、この通信についても暗号化して行うことが好ましい。そこで本発明においては、車載情報処理装置が可搬型のナビゲーション装置用の情報についても暗号化して送信する。可搬型のナビゲーション装置は、暗号化された情報を復号する手段を設け、自らが用いるための情報を車載情報処理装置から受信した場合、この情報を復号して利用する。
【0025】
また、本発明においては、車載情報処理装置が、可搬型のナビゲーション装置用の情報とサーバ装置用の情報とを共に暗号化して送信する場合に、可搬型ナビゲーション装置用の情報とサーバ装置用の情報とにそれぞれ異なる暗号化(暗号化のアルゴリズムが異なる構成としてもよく、暗号化の際に用いる鍵情報が異なる構成としてもよく、その他の方法で異なる暗号化を実現してもよい)を行う。可搬型のナビゲーション装置及びサーバ装置は、それぞれ自らが用いるための情報のみを復号する。これにより、例えばサーバ装置用の情報が可搬型ナビゲーション装置にて復号されて改変されるなどの虞がなく、安全性を向上することができる。
【0026】
また、本発明においては、サーバ装置から可搬型のナビゲーション装置を介して車載情報処理装置へ、車載情報処理装置が収集する情報を指定する指示を与える。車載情報処理装置は、サーバ装置からの指示に応じて指定された情報を収集し、収集した情報を送信する。これにより、サーバ装置は、遠隔地から車載情報処理装置の動作を制御し、自らが必要とする情報を車載情報処理装置に収集させることができるため、サーバ装置に必要十分な情報のみを車載情報処理装置及びサーバ装置の間で授受することができる。
【0027】
また、本発明においては、車載情報処理装置と可搬型のナビゲーション装置とをUSBケーブルにて接続し、USBのプロトコルに応じた通信を行う構成とする。USBの通信プロトコルでは通信を行う装置に主従関係があり、主となる装置をUSBホストといい、従となる装置をUSBデバイスという。USBホストの装置は、USBデバイスとの通信を管理するなどの処理を行うため、USBデバイスの装置と比較して多機能であり、ハードウェア及びソフトウェアのサイズが大きい。
一方、近年のPND又は携帯電話器(特に、スマートフォン)等は多機能化されており、USBホストとしての機能を既に有しているか、又は、USBホストとしての機能が搭載される傾向にある。
そこで本発明においては、可搬型のナビゲーション装置をUSBホスト(主装置)とし、車載情報処理装置をUSBデバイス(従装置)として、USBケーブルを介した通信を行う構成とする。これにより車載情報処理装置のハードウェア及びソフトウェアのサイズを低減し、車載情報処理装置のコストを低減することができる。
【0028】
また、本発明においては、可搬型ナビゲーション装置の操作部にて車載情報処理装置の処理に係る操作を受け付け、受け付けた操作内容を可搬型ナビゲーション装置から車載情報処理装置へ送信し、受信した操作内容に応じた車載情報処理装置が処理を行う。この構成によって、車載情報処理装置には操作部を設ける必要がないため、車載情報処理装置のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による場合は、車載情報処理装置が車速及び舵角等の所定の情報を収集して可搬型のナビゲーション装置へ送信し、可搬型のナビゲーション装置が受信した情報に基づいて車輌の位置特定を行う構成とすることにより、可搬型のナビゲーション装置にて精度のよい車輌の位置特定を行うことができる。
【0030】
また本発明による場合は、可搬型のナビゲーション装置が車載情報処理装置とサーバ装置との情報の授受を中継し、車載情報処理装置からサーバ装置へ車輌の状態情報を与える構成とすることにより、可搬型のナビゲーション装置のみでは得ることができない車輌の状態情報をサーバ装置が取得することができ、取得した情報に基づいてより高度なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】PNDの構成を示すブロック図である。
【図4】サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】車載情報処理装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】車載情報処理装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】PNDが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】PNDが行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】サーバ装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】変形例に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2に係るPNDの構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態3に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3に係るPNDの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。図において破線で示す1は車輌であり、車輌1には複数のECU(Electronic Control Unit)2及び車載情報処理装置
10が搭載されている。車輌1に搭載された複数のECU2及び車載情報処理装置10は、CAN(Controller Area Network)による車内ネットワーク3を介して接続されており、相互に情報の送受信を行うことができる。
【0033】
また本実施の形態に係る情報処理システムは、上記の車載情報処理装置10と、PND20及びサーバ装置40とを含んで構成されている。PND20は、ユーザが車輌1の内外を自由に持ち運ぶことができる可搬型のナビゲーション装置である。PND20は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10に接続され、USBケーブル4を介したシリアル通信により車載情報処理装置10との間で情報の送受信を行うことができる。またPND20は、携帯電話網又は公衆無線LAN等の公衆の無線通信網5を介した無線通信を行う機能を有しており、車輌1外に設置されたサーバ装置40を含む種々の装置との間で無線通信網5を介したデータの送受信を行うことができる。
【0034】
サーバ装置40は、車輌1の販売店又はサービスセンター等の車輌1外に設置され、公衆の無線通信網5を介したデータの送受信を行うことができる。サーバ装置40は公衆の無線通信網5を介してPND20とのデータ送受信を行うことができ、PND20はUSBケーブル4を介して車載情報処理装置10とのデータ送受信を行うことができるため、PND20がデータ送受信を中継することによって、車載情報処理装置10及びサーバ装置40がデータ送受信を行うことができる。
【0035】
図2は、車載情報処理装置10の構成を示すブロック図である。車載情報処理装置10は、車輌1に搭載されたECU又はGW(GateWay)等の装置であり、制御部11、暗号
処理部12、記憶部13、CAN通信部14及びUSB通信部15等を備えて構成されている。制御部11は、詳しくはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置で構成されるものであり、記憶部13に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することにより種々の制御処理及び演算処理等を行う。特に本実施の形態においては、制御部11は、車内ネットワーク3を介して他のECU2などから得られる情報を収集及び選別してPND20又はサーバ装置40へ送信する情報処理を行う(詳細は後述する)。
【0036】
暗号処理部12は、制御部11から与えられた情報の暗号化及び復号を行うものである。暗号処理に用いられる鍵情報は、予め記憶部13に記憶されている。制御部11は、USBケーブル4を介してPND20へ送信する情報を、必要に応じて鍵情報と共に暗号処理部12へ与えることによって暗号化する。また制御部11は、USBケーブル4を介してPND20から受信した情報が暗号化されたものである場合、この受信情報を鍵情報と共に暗号処理部12へ与えることによって復号する。なお暗号処理部12は、ハードウェアとして実現されるものであってもよく、制御部11が実行するプログラムによってソフトウェアとして実現されるものであってもよい。
【0037】
記憶部13は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成されており、制御部11が実
行するプログラム及び各種のデータが予め記憶されている。また本実施の形態において、記憶部13は、制御部11が収集する情報を指示するための情報収集指示13aが記憶されている。この情報収集指示13aは、予め記憶部13に記憶されるか、又は、サーバ装置40からPND20を介して与えられる(詳細は後述する)。また記憶部13は、車載情報処理装置10が車内ネットワーク3を介して他のECU2から受信した情報及びUSBケーブル4を介してPND20から受信した情報を記憶するバッファとしても用いられる(ただし、バッファとして用いるメモリはSRAM(Static Random Access Memory)
又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子であってよい)。
【0038】
CAN通信部14は、車内ネットワーク3を介してCANプロトコルに従った情報の送受信を行うためのものである。車輌1内においては、車内ネットワーク3を介して複数のECU2が車輌1の状態情報の送受信を行うことによって情報を共有し、複数のECU2が協調動作して種々の処理を行っている。CAN通信部14は、車内ネットワーク3を送受信されるこれらの状態情報を受信して制御部11へ与える。またCAN通信部14は、制御部11から与えられた情報を他のECU2へ車内ネットワーク3を介して送信することができる。なおCAN通信部14が受信する車輌1の状態情報には、例えば車輌1の車速、舵角、エンジン回転数、燃料噴射量、走行距離、オドメータ値、外気温、フットブレーキの状態(フットブレーキがユーザにより操作されているか否か)、シフトレバーの状態(「P(パーキング)」、「D(ドライブ)」及び「N(ニュートラル)」等)、並びに、ヘッドライトの状態(点灯又は消灯)等の情報が含まれる(なお、上記の状態情報は一例であって、これらに限るものではない)。
【0039】
車輌1の運転席近傍にはUSBコネクタが設けられており、USB通信部15は、このUSBコネクタに接続されたUSBケーブル4を介したシリアル通信を行う。本実施の形態においては、車載情報処理装置10にはUSBケーブル4を介してPND20が接続され、USB通信部15は、制御部11から与えられた情報をPND20へ送信すると共に、PND20から受信した情報を制御部11へ与える。
【0040】
図3は、PND20の構成を示すブロック図である。PND20は、ユーザが持ち運びできる程度の小型且つ軽量なナビゲーション装置である。PND20は、制御部21、GPS受信部22、ジャイロセンサ23、操作部24、USB通信部25、記憶部26、音声出力部27、表示部28及び無線通信部29等を備えて構成されている。制御部21は、CPU又はMPU等の演算処理装置で構成され、記憶部26に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、位置特定及び経路案内等の種々の処理を行う。また本実施の形態において、制御部21は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10から受信した情報を、公衆の無線通信網5を介してサーバ装置40へ送信する中継処理を行う。
【0041】
GPS受信部22は、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、受信した情報を制御部21へ与える。制御部21は、GPS受信部22にて受信したGPS信号に基づいて、PND20(が接続された車輌1)の位置(緯度及び経度等)を特定する処理を行う。
【0042】
またジャイロセンサ23は、例えば圧電体を用いたセンサであり、圧電体に加わる各速度に応じた電圧を制御部21へ出力する。即ちジャイロセンサ23は、PND20(が搭載された車輌1)の方向転換時に圧電体に加わる各速度を検出し、各速度に応じた電圧を出力するものであり、制御部21は、ジャイロセンサ23の出力値に基づいて車輌1の相対的な走行方位を得ることができ、ジャイロセンサ23の出力を車輌1の位置特定のための補助的な情報として用いることができる。
【0043】
操作部24は、PND20の筐体に設けられたプッシュスイッチ若しくはダイヤルスイッチ等、又は、表示部28の表示面に対する接触を検知するタッチパネル等であり、ユーザの操作を受け付けて制御部21へ通知する。
【0044】
USB通信部25は、PND20の筐体に設けられたUSBコネクタを含み、このUSBコネクタに接続されたUSBケーブル4を介したシリアル通信を行う。本実施の形態においては、PND20はUSBケーブル4を介して車載情報処理装置10へ接続され、USB通信部25は、車載情報処理装置10から受信した情報を制御部21へ与えると共に、制御部21から与えられた情報を車載情報処理装置10へ送信する。
【0045】
記憶部26は、フラッシュメモリ又はハードディスク等の大容量の記憶装置にて構成されるものである。記憶部26には、制御部21が実行するプログラムと、位置特定及び経路案内等の処理に必要な種々のデータ(例えば地図情報又は音声データ等)が予め記憶されている。また音声出力部27は、いわゆるスピーカであり、制御部21から出力される音声信号に基づいた音声出力を行う。これによりPND20は、ユーザへの経路案内又は警告等を音声メッセージにより行うことができる。表示部28は、液晶パネル又はPDP(Plasma Display Panel)等であり、制御部21から出力される画像信号に基づいた画像の表示を行う。これによりPND20は、経路案内のための地図画像又は操作補助のためのメニュー画像等を表示部28に表示することができる。
【0046】
無線通信部29は、変調回路及びアンテナ等を含み、携帯電話網又は公衆無線LAN等のような公衆の無線通信網5を介した通信(無線通信網5に含まれる中継装置との間の通信)を行う。無線通信部29は、予め定められた通信相手との情報送受信を行うものであり、本実施の形態においては、サーバ装置40との情報送受信を行う。
【0047】
図4は、サーバ装置40の構成を示すブロック図である。サーバ装置40は、汎用のコンピュータで構成することができる。サーバ装置40は、制御部41、操作部42、公衆回線通信部43、暗号処理部44、記憶部45、表示部46及びLAN通信部47等を備えて構成されている。制御部41は、CPU又はMPU等の演算処理装置で構成され、記憶部45に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種の演算処理を行う。本実施の形態において、制御部41は、PND20から送信される車輌1の状態情報に基づく演算処理を行って、PND20及び車輌1へ種々のサービスを提供する。操作部42は、例えばキーボード及びマウス等の入力装置であり、ユーザの入力操作を受け付けて制御部41へ通知する。
【0048】
公衆回線通信部43は、公衆の無線通信網5に含まれる基地局などの装置に電気又は光等のケーブルを介して接続され、基地局などの装置との通信を行うことによって、公衆の無線通信網5を介した通信を行うことができる。公衆回線通信部43は、公衆の無線通信網5を介して複数の通信装置との通信が可能であり、制御部41の制御に応じた通信相手との情報送受信を行う。本実施の形態において、公衆回線通信部43はPND20との間で情報の送受信を行うことによって、間接的に車輌1の車載情報処理装置10との間で情報の送受信を行う。
【0049】
暗号処理部44は、制御部41から与えられた情報の暗号化及び復号を行うものである。暗号処理に用いられる鍵情報は、予め記憶部45に記憶されている。制御部41は、公衆回線通信部43からPND20へ送信する情報を暗号処理部12へ与えることによって暗号化すると共に、公衆回線通信部43にて受信した情報を暗号処理部12へ与えて復号する。なお暗号処理部44は、ハードウェアとして実現されるものであってもよく、制御部41が実行するプログラムによってソフトウェアとして実現されるものであってもよい。
【0050】
記憶部45は、SRAM又はDRAM等の揮発性のメモリ素子による一時的な情報の記憶部と、ハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性で大容量の記憶部とを有している。記憶部45には、制御部41が実行するプログラム及び各種のデータが予め記憶されていると共に、制御部41の演算過程にて生じる一時的なデータ又は公衆回線通信部43及びLAN通信部47の通信に係るデータ等が一時的に記憶される。表示部46は、液晶ディスプレイなどの表示装置であり、制御部41から与えられる画像信号に基づいた画像表示を行う。LAN通信部47は、有線又は無線の通信によって他のサーバ装置などとの通信を行うためのものであり、制御部41から与えられた情報を他の装置へ送信すると共に、他の装置から与えられた情報を制御部41へ与える。
【0051】
本実施の形態に係る情報処理システムでは、車載情報処理装置10は、車輌1内の複数のECU2が接続される車内ネットワーク5にて送受信される各種の情報から、所定の状態情報を収集してPND20又はサーバ装置40へ送信する処理を行っている。車載情報処理装置10は、PND20用の情報として、車輌1の車速及び舵角等のような、車輌1の位置特定に要する情報を収集する。また車載情報処理装置10は、記憶部13に記憶された情報収集指示13aにて指定された車輌1の状態情報の収集を行う。例えば情報収集指示13aにてエンジン回転数及び燃料噴射量の収集が指定されている場合、車載情報処理装置10は、指定されたエンジン回転数及び燃料噴射量の収集を行う。
【0052】
車載情報処理装置10は、USBケーブル4を介してPND20が接続され、車輌1のイグニッションスイッチ(図示は省略する)がオン状態の場合に、上記のような車輌1の状態情報の収集を行い、周期的にPND20へ収集した情報を送信する。このときに車載情報処理装置10は、例えば前回の情報送信から今回の情報送信までの間にエンジン回転数に関する情報を複数回受信していた場合、複数のエンジン回転数の平均値などを算出し、算出結果をPND20へ送信してもよい。
【0053】
また車載情報処理装置10は、収集した車輌の状態情報をPND20用とサーバ装置40用とに選別し、例えばヘッダなどにあて先情報を付すなどの処理を行うことによって、これらの情報を区別して送信する。更に車載情報処理装置10は、サーバ装置40用の情報を暗号処理部12によって暗号化した後、USB通信部15からUSBケーブル4を介してPND20へ送信する(PND20用の情報は暗号化しない)。
【0054】
PND20は、車載情報処理装置10に接続されていない場合、GPS受信部22が受信したGPS信号と、ジャイロセンサ23の出力信号とに基づいて、PND20の位置特定の処理を行う。これに対して、車載情報処理装置10にUSBケーブル4を介して接続された場合、PND20は、GPS受信部22が受信したGPS信号及びジャイロセンサ23の出力信号と共に、車載情報処理装置10から与えられる車速及び舵角等の情報(位置特定に要する情報)を用いて、PND20が接続された車輌1の位置特定の処理を行う。これによりPND20は、特定した位置の表示、特定した位置から目的地までの経路探索、必要に応じて経路案内の音声出力等の処理を行うことができる。
【0055】
PND20は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10からの情報を受信した場合、受信した情報がPND20用の情報であるか、又は、サーバ装置40用の情報であるかを判定する。受信した情報がPND20用の情報である場合、PND20は、受信情報に基づいて上記のように車輌1の位置特定処理を行う。受信した情報がサーバ装置40用の情報である場合、PND20は、この情報を無線通信部29へ与えることによって、公衆の無線通信網5を介してサーバ装置40へ送信する。
【0056】
ここで、本実施の形態に係るPND20は暗号処理部を備えておらず、サーバ装置40用として受信した情報は車載情報処理装置10にて暗号化されているため、PND20は、サーバ装置40用として受信した情報を復号して使用することはできず、また情報を改ざんするなど処理を行うこともできない。このため車載情報処理装置10は、例えば車速の情報をPND20及びサーバ装置40の両方へ送信する場合であっても、PND20用の車速情報と、暗号化したサーバ装置40用の車速情報とを、PND20へ送信する必要がある。
【0057】
PND20からの情報を受信した(PND20を介して車載情報処理装置10からの情報を受信した)サーバ装置40は、暗号化された受信情報を暗号処理部44にて復号し、車輌1に係る状態情報を取得する。このようにして取得された車輌1の状態情報は、サーバ装置40の記憶部45に記憶される。例えばサーバ装置40が、車輌1の製造会社又は販売会社等に設置されるものである場合、サーバ装置40にて車輌1の状態情報を蓄積しておくことにより、車輌1の故障などを早期に発見し、車輌1への警告を与えるなどのサービスを実現できる。このときサーバ装置40は、車載情報処理装置10へ送信する情報を暗号処理部44にて暗号化し、公衆回線通信部43にて公衆の無線通信網5を介してPND20へ暗号化した情報を送信する。PND20は、サーバ装置40から暗号化された情報を受信した場合、USBケーブル4を介してこの情報を車載情報処理装置10へ送信する。
【0058】
またサーバ装置40は、車載情報処理装置10がサーバ装置40用として収集する情報を、車載情報処理装置10に対して指定することができる。車載情報処理装置10が収集して送信する車輌1の状態情報の内容を変更する場合、サーバ装置40は、収集する情報の種別を指定した情報収集指示を暗号処理部44にて暗号化した後で公衆回線通信部43へ与えることにより、PND20へ送信する。サーバ装置40から情報収集指示を受信したPND20は、受信した情報をUSB通信部25へ与えることにより車載情報処理装置10へ送信する。これにより、サーバ装置40から送信された情報収集指示はPND20を介して車載情報処理装置10へ送信される。PND20からの情報収集指示を受信した車載情報処理装置10は、暗号化された情報収集指示を復号して記憶部13に記憶する。その後、車載情報処理装置10が収集する情報は、新たに記憶部13に記憶した情報収集指示13aに基づいて行われるため、サーバ装置40による収集情報の変更が実現される。
【0059】
図5及び図6は、車載情報処理装置10が行う処理の手順を示すフローチャートである。車載情報処理装置10は、車輌1に設けられたエンジン始動のためのイグニッションスイッチがオン状態の場合に動作する。車載情報処理装置10の制御部11は、車輌1のイグニッションスイッチがオン状態であるか否かを調べる(ステップS1)。イグニッションスイッチがオン状態の場合(S1:YES)、制御部11は、USB通信部15のUSBコネクタにUSBケーブル4を介してPND20が接続されたか否かを判定する(ステップS2)。イグニッションスイッチがオフ状態の場合(S1:NO)、又は、PND20が接続されていない場合(S2:NO)、制御部11は、イグニッションスイッチがオン状態となり、且つ、PND20が接続されるまで待機する。
【0060】
USBケーブル4を介してPND20が接続された場合(S2:YES)、制御部11は、PND20との間で認証処理を行う(ステップS3)。認証処理において制御部11は、PND20との間で識別情報及びパスワード等の情報交換を行うことによって、接続されたPND20が予め登録された正規のPND20であるか否かを判断する。制御部11は、接続されたPND20の認証に成功したか否かを判定し(ステップS4)、認証に失敗した場合には(S4:NO)、ステップS1へ処理を戻し、正規のPND20が接続されるまで待機する。接続されたPND20の認証に成功した場合(S4:YES)、制御部11は、記憶部13に記憶された情報収集指示13aを読み出して(ステップS5)、収集する情報を決定する。
【0061】
次いで、車載情報処理装置10の制御部11は、PND20とのUSBケーブル4を介した通信によって、PND20から情報収集指示を受信したか否かを判定する(ステップS6)。PND20から情報収集指示を受信した場合(S6:YES)、制御部11は、受信した情報収集指示を暗号処理部12にて復号し(ステップS7)、復号した情報収集指示を記憶部13に記憶し(ステップS8)、記憶した情報収集指示13aを読み出して(ステップS9)、収集する情報を新たな情報収集指示13aに基づいて決定し、ステップS11へ処理を進める。またPND20から情報収集指示を受信していない場合(S6:NO)、制御部11は、ステップS11へ処理を進める。
【0062】
次いで、制御部11は、ステップS5又はS9にて読み出した情報収集指示13aに基づいて、所定の車輌1の状態情報を収集する(ステップS11)。状態情報の収集は、CAN通信部14にて受信可能な多数の状態情報のうち、PND20による位置特定に必要な情報と、記憶部13に記憶された情報収集指示13aにて指定された情報とを、受信情報に付された識別番号などに基づいて抽出し、記憶部13に一時的に蓄積することで行われる。このときに制御部11は、同一種別の情報を複数回に亘って受信した場合には、複数の情報を平均化するなどしてもよい。
【0063】
車載情報処理装置10の制御部11は、収集した車輌1の状態情報を周期的にPND20へ送信している。制御部11は、収集した情報をPND20へ送信するタイミングであるか否かを判定する(ステップS12)。送信タイミングであると判定した場合(S12:YES)、制御部11は、収集した状態情報を、PND20用の情報と、サーバ装置40用の情報とに選別する(ステップS13)。その後、制御部11は、PND20用の情報を、USB通信部15からUSBケーブル4を介してPND20へ送信すると共に(ステップS14)、サーバ装置40用の情報を暗号処理部12にて暗号化し(ステップS15)、暗号化したサーバ装置40用の情報を、USB通信部15からUSBケーブル4を介してPND20へ送信して(ステップS16)、ステップS17へ処理を進める。また送信タイミングでないと判定した場合(S12:NO)、制御部11は、情報の送信を行
うことなく、ステップS17へ処理を進める。
【0064】
次いで、制御部11は、車輌1のイグニッションスイッチがオン状態であるか否かを調べ(ステップS17)、イグニッションスイッチがオン状態の場合(S17:YES)、PND20が接続されているか否かを更に調べる(ステップS18)。PND20が接続されている場合(S18:YES)、制御部11は、ステップS6へ処理を戻して、車輌1の状態情報の収集を継続して行う。イグニッションスイッチがオフ状態の場合(S17:NO)、又は、PND20が接続されていない場合(S18:NO)、制御部11は、車輌1の状態情報の収集及び送信の処理を終了する。
【0065】
図7及び図8は、PND20が行う処理の手順を示すフローチャートである。ただし、図7及び図8においては、PND20が行う情報の送受信の処理及び位置特定の処理についての手順を示し、例えば特定した現在位置から目的地までの経路の探索及び案内等のその他の処理については図示を省略する。PND20の制御部21は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10に接続されたか否かを判定し(ステップS31)、車載情報処理装置10に接続されたと判定した場合(S31:YES)、車載情報処理装置10との間で認証処理を行って(ステップS32)、車載情報処理装置10との認証に成功したか否かを判定する(ステップS33)。車載情報処理装置10に接続されていないと判定した場合(S31:NO)、又は、認証に失敗した場合(S33:NO)、制御部21は、PND20単独での位置特定処理(即ち、GPS受信部22及びジャイロセンサ23から得られる情報のみに基づく位置特定処理)を行って(ステップS34)、ステップS31へ処理を戻す。
【0066】
認証に成功した場合(S33:YES)、制御部21は、公衆の無線通信網5を介した通信によってサーバ装置40からの情報収集指示を無線通信部29が受信したか否かを判定する(ステップS35)。サーバ装置40からの情報収集指示を受信した場合(S35:YES)、制御部21は、受信した情報収集指示をUSB通信部25へ与えることによって車載情報処理装置10へ送信し(ステップS36)、ステップS41へ処理を進める。またサーバ装置40からの情報収集指示を受信していない場合(S35:NO)、制御部21は、ステップS41へ処理を進める。
【0067】
次いで、PND20の制御部21は、USBケーブル4を介した通信によって車載情報処理装置10からの情報をUSB通信部25が受信したか否かを判定する(ステップS41)。車載情報処理装置10からの情報を受信した場合(S41:YES)、制御部21は、受信した情報のヘッダなどを調べることによって、受信情報がPND20用の情報であるか否かを更に判定する(ステップS42)。受信情報がPND20用の情報であると判定した場合(S42:YES)、制御部21は、GPS受信部22及びジャイロセンサ23から得られる情報と、車載情報処理装置10から受信した情報とに基づいて位置特定処理を行い(ステップS43)、ステップS45へ処理を進める。受信情報がPND20用の情報でなく、サーバ装置40用の情報であると判定した場合(S42:NO)、制御部21は、受信情報を無線通信部29へ与えることによってサーバ装置40へ送信し(ステップS44)、ステップS45へ処理を進める。また車載情報処理装置10からの情報を受信していない場合には(S41:NO)、制御部21は、ステップS45へ処理を進める。
【0068】
次いで、制御部21は、PND20の操作部24に対するユーザの操作(例えば電源スイッチのオフ操作)などの有無を判定することによって、車輌1の位置特定及び車載情報処理装置10からサーバ装置40への情報中継等の処理を終了する指示が与えられたか否かを判定する(ステップS45)。終了指示が与えられていない場合(S45:NO)、制御部21は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10に接続されているか否かを更に判定する(ステップS46)。制御部21は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10に接続されていると判定した場合(S46:YES)、ステップS35へ処理を戻し、また、車載情報処理装置10に接続されていないと判定した場合(S46:NO)、ステップS31へ処理を戻して、上述の処理を繰り返し行う。また終了指示が与えられた場合(S45:YES)、制御部21は、処理を終了する。
【0069】
図9は、サーバ装置40が行う処理の手順を示すフローチャートである。ただし、図9においては、サーバ装置40が行う情報送受信に係る処理の手順を示し、受信した情報に基づくサービス処理などその他の処理については図示を省略する。サーバ装置40の制御部41は、公衆の無線通信網5を介した通信によってPND20からの情報を公衆回線通信部43が受信したか否かを判定する(ステップS61)。PND20からの情報を受信した場合(S61:YES)、制御部41は、受信した情報を暗号処理部44にて復号し(ステップS62)、復号した情報を記憶部45に蓄積して(ステップS63)、ステップS64へ処理を進める。またPND20からの情報を受信していない場合(S61:NO)、制御部41は、ステップS64へ処理を進める。
【0070】
次いで、サーバ装置40の制御部41は、種々のサービス処理の結果から、車輌1に関して蓄積する状態情報の種別を変更する必要が生じたか否かを判定する(ステップS64)。蓄積する情報の種別を変更する必要が生じた場合(S64:YES)、制御部41は、必要な情報を指定した情報収集指示を作成し(ステップS65)、作成した情報収集指示を暗号処理部44へ与えることによって暗号化し(ステップS66)、暗号化した情報収集指示を公衆回線通信部43へ与えることによってPND20へ送信し(ステップS67)、処理を終了する。また、蓄積する情報の種別を変更する必要がないと判定した場合(S64:NO)、制御部41は、処理を終了する。なお、サーバ装置40の制御部41は、図9のフローチャートに示した処理を繰り返し行っている。
【0071】
以上の構成の実施の形態1に係る情報処理システムは、車輌1に搭載された車載情報処理装置10と可搬型のPND20とをUSBケーブル4にて接続し、車載情報処理装置10が車内ネットワーク3を介して得られる情報から位置特定に要する情報(例えば車速及び舵角等)を収集してPND20へ送信する構成とすることにより、PND20はGPS受信部22及びジャイロセンサ23から得られる情報のみでなく、車載情報処理装置10が収集した情報に基づいて車輌1の位置特定を行うことができるため、精度のよい位置特定を行うことができ、精度のよい経路案内などをユーザに提供することができる。
【0072】
また、無線通信部29を有するPND20が、車載情報処理装置10及びサーバ装置40の情報送受信を中継する構成とすることにより、無線通信部を有していない車載情報処理装置10が公衆の無線通信網5を介してサーバ装置40との情報交換を行うことが可能となる。また、車載情報処理装置10が車内ネットワーク3を介して得られる情報から所定の状態情報を収集し、PND20を介してサーバ装置40へ送信する構成とすることにより、サーバ装置40は車輌1の状態情報を取得して蓄積することができ、蓄積した情報に基づいてより高度なサービスをPND20又は車両1に対して提供することが可能となる。
【0073】
また、車載情報処理装置10は、入手した情報をPND20用の情報とサーバ装置40用の情報とに選別し、サーバ装置40用の情報を暗号処理部12にて暗号化して送信する構成とすることにより、公衆の無線通信網5を介して送受信される情報を暗号化することができ、通信に係る安全性を向上することができる。
【0074】
また、車載情報処理装置10は記憶部13に記憶した情報収集指示13aにて指定された情報をサーバ装置40用の情報として収集する構成とすると共に、サーバ装置40が情報収集指示を作成してPND20を介して車載情報処理装置10へ送信し、受信した情報収集指示を車載情報処理装置10が記憶部13に記憶する構成とすることによって、サーバ装置40は遠隔地から車載情報処理装置10の動作を制御し、必要とする情報を車載情報処理装置10に収集させて送信させることができるため、サーバ装置40に必要十分な情報のみを車載情報処理装置10及びサーバ装置40の間で送受信することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、車載情報処理装置10及びPND20をUSBケーブル4を介して接続し、USBケーブル4を介した情報の送受信を行う構成としたが、これに限るものではなく、車載情報処理装置10及びPND20がその他の方式の有線通信を行う構成であってもよく、無線通信を行う構成であってもよい。また、PND20及びサーバ装置40が公衆の無線通信網5を介した情報の送受信を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えばPND20がメモリカードなどの記録媒体にサーバ装置40用の情報を記録し、この記録媒体を介してサーバ装置40との情報の授受を行う構成としてもよい。また、PND20を介して車載情報処理装置10が1つのサーバ装置40へ情報を送信する構成としたが、これに限るものではなく、車載情報処理装置10が複数のサーバ装置40へ収集した情報を送信する構成であってもよい。
【0076】
また、車載情報処理装置10は、収集した情報を周期的にPND20へ送信する構成としたが、これに限るものではなく、例えばCAN通信部14にて情報を受信する都度、受信した情報をPND20へ送信する構成としてもよく、また例えばPND20又はサーバ装置40から情報送信の要求が与えられた場合に情報を送信する構成としてもよい。また、車載情報処理装置10は、PND20用の情報とサーバ装置40用の情報とを同じタイミングで送信する構成としたが、これに限るものではなく、PND20用の情報とサーバ装置40用の情報とをそれぞれ異なるタイミングで送信する構成であってよい。
【0077】
また、PND20がジャイロセンサ23を備える構成としたが、これに限るものではなく、ジャイロセンサ23を備えない構成であってもよい。また、車載情報処理装置10に接続する機器としてPND20を用いる構成としたが、これに限るものではなく、PND20に代えて例えばGPS機能及び通信機能を備えた携帯電話器、携帯型ゲーム器、携帯型音楽プレーヤー又はノートパソコン等の機器を用いる構成であってもよい。
【0078】
また、サーバ装置40が公衆の無線通信網5の基地局などの装置に有線接続される構成としたが、これに限るものではなく、サーバ装置40がPND20と同様に無線通信部を備える構成であってもよい。また、サーバ装置40が操作部42及び表示部46等のインタフェース装置を備える構成としたが、これらを備えない構成であってもよい。また本実施の形態において例示したPND20用の情報及びサーバ装置40用の情報は、一例であってこれに限るものではない。
【0079】
(変形例)
図10は、変形例に係る車載情報処理装置110の構成を示すブロック図である。変形例に係る車載情報処理装置110は、制御部11、暗号処理部12、記憶部13、CAN通信部14及びLIN(Local Interconnect Network)通信部151を有する情報収集部150と、LIN通信部161、制御部162及びUSB通信部15を有するインタフェース部160とを備えた構成である。
【0080】
情報収集部150及びインタフェース部160間の情報の授受は、LIN通信部151、161によるLINプロトコルの通信にて行われる。インタフェース部160の制御部162は、LIN通信部161にて受信した情報をUSB通信部15へ与えてPND20へ送信し、PND20からUSB通信部15にて受信した情報をLIN通信部161へ与えて情報収集部150へ与える。これにより、変形例に係る車載情報処理装置110は、図2に示した車載情報処理装置10と同じ機能を有し、同じ処理を行うことができる。
【0081】
またインタフェース部160は、情報収集部150にUSB通信のインタフェースを付加するためのものであり、情報収集部150に対して取り外し及び交換が可能に構成されている。USB機能を有するインタフェース部160を取り外し、例えば無線通信の機能を有するインタフェース部(図示は省略する)に交換することによって、車載情報処理装置110は、無線通信によってPNDとの通信を行うことが可能となる。
【0082】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1に係る情報処理システムでは、車載情報処理装置10及びサーバ装置40が暗号処理部12、44を備え、PND20は暗号処理部を備えない構成である。これに対して実施の形態2に係る情報処理システムでは、PND220にも暗号処理部を備え、車載情報処理装置10及びPND20の間の通信を暗号化して行う構成である。
【0083】
図11は、実施の形態2に係るPND220の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係るPND220は、実施の形態1に係るPND20に、暗号処理部230を追加した構成である。暗号処理部230は、制御部21から与えられた情報の暗号化及び復号を行うものである。暗号処理に用いられる鍵情報は、予め記憶部26に記憶されている。制御部21は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置10から受信した情報を暗号処理部230へ与えることによって復号する。また制御部21は、車載情報処理装置10又はサーバ装置40へ情報を送信する場合には、この情報を暗号処理部230にて暗号化して送信してもよい。なお暗号処理部230は、ハードウェアとして実現されるものであってもよく、制御部21が実行するプログラムによってソフトウェアとして実現されるものであってもよい。
【0084】
また実施の形態2に係る情報処理システムにおいては、車載情報処理装置10は、収集した車輌1の状態情報を、PND220用の情報とサーバ装置40用の情報とに選別し、いずれの情報も暗号処理部12にて暗号化した後でPND220へ送信する。このとき車載情報処理装置10は、PND220用の情報とサーバ装置40用の情報とを、異なる方法(異なる鍵を用いて暗号化する又は異なるアルゴリズムを用いて暗号化する等の方法)によって暗号化する。PND220の暗号処理部230は、車載情報処理装置10の暗号処理部12にてPND220用の方法で暗号化された情報を復号でき、サーバ装置40の暗号処理部44は、車載情報処理装置10の暗号処理部12にてサーバ装置40用の方法で暗号化された情報を復号することができる。ただしPND220の暗号処理部230は、車載情報処理装置10の暗号処理部12にてサーバ装置40用の方法で暗号化された情報を復号することはできない。
【0085】
以上の構成の実施の形態2に係る情報処理システムは、PND220に暗号処理部230を設け、車載情報処理装置10及びPND220の間の情報送受信を暗号化して行う構成とすることにより、車載情報処理装置10及びPND220間の通信の安全性を向上することができる。特に、車載情報処理装置10及びPND220間の通信を無線により行う構成とした場合には、暗号化の処理を行うことが好ましい。
【0086】
また、車載情報処理装置10は、PND220用のデータとサーバ装置40用のデータとをそれぞれ異なる方法で暗号化する構成とすることにより、サーバ装置40用のデータをPND220にて復号することができないため、車載情報処理装置10からサーバ装置40へPND220を中継して送信される情報が、PND220によって改変されるなどの虞がなく、安全性をより高めることができる。
【0087】
なお、本実施の形態においては、車載情報処理装置10がPND220用のデータを全て暗号化する構成としたが、これに限るものではない。例えばPND220用のデータとして車速の情報は暗号化して送信するが、舵角の情報は暗号化せずに送信するなど、暗号化せずに送信するPND用のデータが含まれる構成であってもよい。これにより、例えば車載情報処理装置10に暗号処理部230を有しないPND20が接続された場合であっても、車載情報処理装置10からPND20へ位置特定のための最低限の情報を与えることができ、暗号処理部230(又は暗号化されたデータを復号するための鍵情報)を有するPND220が接続された場合には、位置特定のためのより多くの情報をPND220へ与えることができる。
【0088】
また、実施の形態2に係る情報処理システムのその他の構成は、実施の形態1に係る情報処理システムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0089】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る車載情報処理装置310の構成を示すブロック図である。また図13は、実施の形態3に係るPND320の構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る車載情報処理装置310及びPND320は、USBケーブル4を介して接続され、USBのプロトコルに従った通信を行う。
【0090】
実施の形態3に係るPND320のUSB通信部325は、USBのプロトコルにおいてホストとして通信処理を行う。また実施の形態3に係る車載情報処理装置310のUSB通信部315は、USBのプロトコルにおいてデバイス(ターゲット、ファンクション、ペリフェラル)として通信処理を行う。
【0091】
USBのプロトコルにおいては、バス(USBケーブル4)に対してUSBホストがデータを送信することによって、通信が開始される。USBデバイスは、USBホストからのデータを受信した場合に、受信したデータに対する応答をUSBホストへ返信することによって、データの送信を行う。即ち、USBホストからの要求に対してUSBデバイスが応答するという手順で通信が行われ、USBのプロトコルではバスにおける通信の衝突が発生せず、アービトレーションなどの処理は必要ない。このため、通信のスケジューリングなどの処理はUSBホストが行う必要があるが、USBデバイスは応答を返すのみでよいため、USBホストと比較してUSBデバイスはハードウェア及びソフトウェアの規模が小さい。
【0092】
実施の形態3に係る車載情報処理装置310のUSB通信部315は、USBデバイスとして通信を行うものであるため、USBホストとして通信を行う場合と比較してハードウェア及びソフトウェアの規模を小さくすることができ、車載情報処理装置310の低コスト化を実現できる。
【0093】
また実施の形態3に係る車載情報処理装置310は、ユーザの操作を受け付けるためのスイッチ又はタッチパネル等の操作部を有していない。PND320は、USBケーブル4を介して車載情報処理装置310に接続された場合、車載情報処理装置310の情報収集処理に係る操作を操作部24にて受け付け、受け付けた操作内容を車載情報処理装置310へUSBケーブル4を介して送信する。車載情報処理装置310は、PND320から受信した操作内容に応じて情報収集処理を行う。
【0094】
例えば、車載情報処理装置310は、PND320の位置特定処理のための情報として車速又は舵角等の情報を収集してPND320へ送信しているが、これらの情報収集の開始/停止に係る操作をPND320の操作部24が受け付けて車載情報処理装置310へ送信する。車載情報処理装置310は、PND320から情報収集の開始操作を受信した場合に情報の収集及びPND320への送信を開始し、PND320から情報収集の停止操作を受信した場合に情報の収集及びPND320への送信を停止する。PND320は、車載情報処理装置310が情報集の処理を停止した場合、自らが有するGPS受信部22及びジャイロセンサ23から得られる情報のみに基づく位置特定処理を行う。
【0095】
また例えば、PND320は、車載情報処理装置310がPND320用として収集する情報の種別を選択する操作を操作部24にて受け付け、受け付けた情報の種別を車載情報処理装置310へ送信する。車載情報処理装置310は、PND320から収集する情報の種別を受信した場合、受信した種別の情報をPND320用として収集し、PND320へ送信する。
【0096】
なお、PND320が操作部24にて受け付ける車載情報処理装置310の処理に係る操作は、上記のものに限らない。このように、PND320が車載情報処理装置310に代えてユーザの操作を受け付ける構成とすることにより、車載情報処理装置310には操作部を設ける必要がないため、車載情報処理装置310の低コスト化を実現できる。
【0097】
なお、実施の形態3に係る情報処理システムのその他の構成は、実施の形態1に係る情報処理システムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0098】
1 車輌
2 ECU(他装置)
3 車内ネットワーク
4 USBケーブル
5 無線通信網
10 車載情報処理装置
11 制御部(情報収集手段、情報選別手段)
12 暗号処理部(暗号化手段)
13 記憶部
14 CAN通信部(第1通信手段)
15 USB通信部(第2通信手段)
20 PND(位置特定装置、無線通信装置)
21 制御部(位置特定手段)
22 GPS受信部(位置特定手段)
23 ジャイロセンサ(位置特定手段)
25 USB通信部
26 記憶部
29 無線通信部(情報授受手段)
40 サーバ装置
41 制御部(情報収集指示手段)
43 公衆回線通信部
44 暗号処理部(復号手段)
45 記憶部
110 車載情報処理装置
150 情報収集部
151 LIN通信部
160 インタフェース部
161 LIN通信部
162 制御部
220 PND(位置特定装置、無線通信装置)
230 暗号処理部(復号手段)
310 車載情報処理装置
315 USB通信部(第2通信手段)
320 PND(位置特定装置、無線通信装置)
325 USB通信部(通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を特定する位置特定手段を有する可搬型の位置特定装置と、
車輌に搭載され、該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段、前記位置特定装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段、及び、前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段を有し、該情報収集手段が収集した所定の情報を、前記第2通信手段により前記位置特定装置へ送信する車載情報処理装置と
を備え、
前記車載情報処理装置の情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を収集し、
前記位置特定装置の位置特定手段は、前記車載情報処理装置から受信した情報に基づいて、前記車輌の位置を特定するようにしてあること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記車輌外に設置されたサーバ装置を更に備え、
前記情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を含む前記車輌の状態情報を収集するようにしてあり、
前記車載情報処理装置は、前記情報収集手段が収集した情報を、前記位置特定装置用の情報又は前記サーバ装置用の情報に選別する情報選別手段を有し、
前記位置特定装置は、前記サーバ装置との間で情報の授受を行う情報授受手段を有し、前記情報選別手段が前記サーバ装置用に選別した情報を前記車載情報処理装置から前記サーバ装置へ中継するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記車載情報処理装置は、情報を暗号化する暗号化手段を有し、前記サーバ装置用の情報を暗号化して送信するようにしてあり、
前記サーバ装置は、暗号化された情報を復号する復号手段を有し、前記位置特定装置を介して与えられた情報を復号するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記車載情報処理装置は、前記位置特定装置用の情報を暗号化して送信するようにしてあり、
前記位置特定装置は、暗号化された情報を復号する復号手段を有し、前記車載情報処理装置から受信した前記位置特定装置用の情報を復号するようにしてあること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記車載情報処理装置の暗号化手段は、前記位置特定装置用の情報と前記サーバ装置用の情報とについてそれぞれ異なる暗号化を行うようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記位置特定装置を介して、前記情報収集手段が収集する情報を指定する情報収集指示を前記車載情報処理装置へ与える情報収集指示手段を有し、
前記情報収集手段は、前記サーバ装置から与えられた情報収集指示にて指定された情報を、前記サーバ装置用の情報として収集するようにしてあること
を特徴とする請求項2乃至請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記位置特定装置及び前記車載情報処理装置は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して接続するようにしてあり、
前記位置特定装置は、USBの通信プロトコルの主装置として通信を行う通信手段を有し、
前記車載情報処理装置の第2通信手段は、USBの通信プロトコルの従装置として通信を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記位置特定装置は、
一又は複数の操作部を有し、
該操作部にて前記車載情報処理装置の処理に係る操作を受け付けることができるようにしてあり、
前記車載情報処理装置の処理に係る操作を前記操作部にて受け付けた場合に、受け付けた操作内容を前記車載情報処理装置へ送信するようにしてあり、
前記車載情報処理装置は、前記第2通信手段にて前記位置特定装置からの操作内容を受信した場合に、受信した操作内容に応じた処理を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【請求項9】
公衆の無線通信網を介して通信を行う可搬型の無線通信装置と、
車輌に搭載され、該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段、前記無線通信装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段、前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段、及び、情報を暗号化する暗号化手段を有し、該情報収集手段が収集した所定の情報を前記暗号化手段により暗号化して、前記第2通信手段により前記無線通信装置へ送信する車載情報処理装置と、
前記車輌外に設置され、公衆の無線通信網を介して通信を行う通信手段、及び、該通信手段が受信した暗号化された情報を復号する復号手段を有するサーバ装置と
を備え、
前記無線通信装置は、前記車載情報処理装置及び前記サーバ装置の情報の送受信を中継するようにしてあり、
前記サーバ装置は、前記無線通信装置を介して、前記情報収集手段が収集する情報を指定する情報収集指示を前記車載情報処理装置へ与える情報収集指示手段を有し、
前記情報収集手段は、前記サーバ装置から与えられた情報収集指示にて指定された情報を、前記サーバ装置用の情報として収集するようにしてあること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
車輌に搭載され、
該車輌に搭載された一又は複数の他装置との間で情報の送受信を行う第1通信手段と、
可搬型の位置特定装置との間で情報の送受信を行う第2通信手段と、
前記第1通信手段が他装置から受信した情報から、所定の情報を収集する情報収集手段と
を備え、
前記情報収集手段は、前記車輌の位置特定に要する情報を収集し、
前記情報収集手段が収集した所定の情報を、前記第2通信手段により前記位置特定装置へ送信するようにしてあること
を特徴とする車載情報処理装置。
【請求項11】
前記情報収集手段が収集した情報を、前記位置特定装置用の情報又は前記車輌外に設置されたサーバ装置用の情報に選別する情報選別手段と、
情報を暗号化する暗号化手段と
を更に備え、
前記情報選別手段が選別した前記サーバ装置用の情報を、前記暗号化手段により暗号化して送信するようにしてあること
を特徴とする請求項10に記載の車載情報処理装置。
【請求項12】
前記暗号化手段は、前記位置特定装置用の情報と前記サーバ装置用の情報とについて、それぞれ異なる暗号化を行うようにしてあること
を特徴とする請求項11に記載の車載情報処理装置。
【請求項13】
前記位置特定装置にUSBケーブルを介して接続するようにしてあり、
前記第2通信手段は、USBの通信プロトコルの従装置として通信を行うようにしてあること
を特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1つに記載の車載情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−136210(P2012−136210A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83754(P2011−83754)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】