説明

情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラム

【課題】医用デジタル画像等を表示可能な情報処理装置において、各種表示制御機能の選択や設定を迅速にかつ高い操作性で実現することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、表示装置を具備する情報処理装置において、設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録手段と、表示制御機能に対応づけて表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割手段と、表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効手段と、前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示手段と、指定区域に対応付けられた表示制御機能が有効となった後ポインタが指定区域内にある状態において、ポインティングデバイスを操作することによって表示制御機能を実行させる表示制御機能実行手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムに係り、特に、各種画像をディスプレイ上に表示させる情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置、超音波診断装置、MRI診断装置等の各種医療診断装置で撮像された画像の多くはデジタル化されてきている。これらの医用デジタル画像を、例えば、LAN等のネットワークを介して汎用のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に出力し、パーソナルコンピュータ等が具備する表示装置に表示することで、迅速で効率のより診断が可能となってきている。
【0003】
医用デジタル画像には、一般に、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格が適用されることが多い。DICOM規格は、静止画や動画の画像データに関する規定に加えて、各種の付帯情報に関する規定も含まれている。付帯情報としては、例えば、特許文献1等に開示されているように、撮影された患者の氏名、年齢、性別等の患者に関する患者情報、撮影日、撮影部位、撮影条件、撮影装置等の撮影情報、画像の画素数、ビット数、画素サイズ等の画像情報等が含まれている。
【0004】
各種医療診断装置から出力された医用デジタル画像は、一旦情報処理装置が具備するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置に保存され、保存された医用デジタル画像を情報処理装置の表示装置に再生・表示することで医師の診断等に供される。また、各種医療診断装置から出力される医用デジタル画像をリアルタイムで表示装置に表示させ、実時間で診断を行う場合もある。
【特許文献1】特開2005−103055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近時、医用デジタル画像の高解像度化、カラー化、3次元化、動画化等の技術は著しく進捗してきている。これに伴って、高解像度で撮像された医用デジタル画像の一部を拡大し、患部を詳細に診断したり、3次元画像を任意の方向から観察したり、或いは動画の再生速度を低速度に設定し細かな患部の動きを観察したりするといった多様な表示制御機能の実現が可能となり、医用デジタル画像による高度で信頼性の高い診断ができるようになってきた。
【0006】
他方、医用デジタル画像の表示制御機能が高度化し多様化するにつれて、所望する表示制御機能を選択し設定するための操作の種類も増え、また操作内容も複雑となってきている。
【0007】
従来から用いられている表示制御機能の選択、設定方法として、コマンドバーやサブウィンドウを用いる方法がある。例えば、表示画像を拡大或いは縮小しようとする場合、まずコマンドバーの中にある「拡大・縮小」ボタンをマウス等でクリックして、拡大・縮小用の矢印やスライドバーが表示されるサブウィンドウを表示させ、その後、矢印やスライドバーをクリックし、或いはドラッグすることで表示画像の拡大や縮小を行っている。
【0008】
また、表示中の動画の再生速度を変更しようとする場合には、例えば、コマンドバーの中にある「再生速度」ボタンをクリックしてスライドバーを表示させ、このスライドバーをドラッグして再生速度を変更する方法がとられている。
【0009】
このように、表示制御機能を選択し設定するためには、2段階、3段階の操作が必要であり、医師等が医用デジタル画像を見て診断等を行う際に、画像への集中を妨げる阻害要因となっている。
【0010】
また、医用デジタル画像を医師等が詳細に観察しようとする場合、コマンドバーやサブウィンドウが表示されている通常の表示モードから、全画面モードに切換えて観察する場合も多い。全画面モードでは、ディスプレイの全範囲に医用デジタル画像のみが表示されるため、コマンドバーやサブウィンドウによって画像の一部が遮られることがなく、患者画像の全体観察に適している。しかしながら、全画面モードにはコマンドバーやサブウィンドウが表示されてないため、拡大、縮小等の表示制御機能を有効化して表示方法を変更しようとする場合には、一旦通常モードに戻してコマンドバー等を表示画面の中に表示させ、その後に表示制御機能の設定・変更のための操作を行わなければならず、さらに操作負担が増えることになる。
【0011】
また、特定の医師等が日常使用する表示制御機能の種類は一般に限られており、総ての表示制御機能を満遍なく使用することはむしろ稀である。逆に、装置が保有する総ての表示制御機能を自由に選択可能な形態にすると、操作上の邪魔になるだけでなく、不用意な誤操作の原因ともなりうる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、医用デジタル画像等を表示可能な情報処理装置において、各種表示制御機能の選択や設定を迅速にかつ高い操作性で実現することができる情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載したように、表示装置を具備する情報処理装置において、設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録手段と、登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割手段と、所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効手段と、前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示手段と、前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置の画像表示制御方法は、請求項6に記載したように、表示装置を具備する情報処理装置の画像表示制御方法において、設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録ステップと、登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割ステップと、所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効ステップと、前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示ステップと、前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置の画像表示制御プログラムは、請求項7に記載したように、表示装置を具備する情報処理装置の画像表示制御プログラムにおいて、設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録ステップと、登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割ステップと、所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効ステップと、前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示ステップと、前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムによれば、医用デジタル画像等を表示可能な情報処理装置において、各種表示制御機能の選択や設定を迅速にかつ高い操作性で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
(1)構成
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1のシステム構成例、及び情報処理装置1に接続される外部装置の一例を示す図である。
【0019】
情報処理装置1には、LAN(Local Area Network)等の電気通信回線200を介して、例えば各種の医用診断装置100が接続される。医用診断装置100としては、例えば、X線診断装置101、超音波診断装置102、CT(Computed Tomography)診断装置103、MRI(Magnetic Resonance Imaging)診断装置104等がある。
【0020】
これらの医用診断装置100では、患者の身体等を多様な形態で撮影し、各種の医用デジタル画像が生成される。生成された医用デジタル画像は、付帯情報と共に電気通信回線200を介して情報処理装置1に送信される。
【0021】
医用デジタル画像は、前述したように一般にDICOM規格と呼ばれる国際規格に基づいて生成されており、医用診断装置100の種類やメーカが異なる場合でもデータの互換性が確保できるようになっている。DICOM規格では、静止画や動画の画像データに関する規定に加えて、各種の付帯情報に関する規定も含まれており、例えば、撮影された患者の氏名、年齢、性別等の患者に関する患者情報、撮影日、撮影部位、撮影条件、撮影装置等の撮影情報、画像の画素数、ビット数、画素サイズ等の画像情報等が画像データと共に情報処理装置1に送られてくる。
【0022】
情報処理装置1は、図1に示したように、例えば、CPU10、表示装置11、ポインティングデバイス12、通信I/F13、RAM14、ROM15、HDD(Hard Disk Drive)装置16等を備えて構成されている。
【0023】
情報処理装置1のハードウェア構成は、本実施形態では特に限定するものではなく、例えば、パーソナルコンピュータ等でもよい。
【0024】
医用診断装置100から送信されてくる医用デジタル画像は、付帯情報と共に通信I/F13を介して情報処理装置1に入力され、HDD16等の記憶装置に保存される。HDD16等に保存された医用デジタル画像は、後述する各種の表示制御機能に基づいて表示装置11の表示画面に表示される。
【0025】
また、医用診断装置100から送信される医用デジタル画像は、HDD16等の記憶装置への保存と並行して、或いは保存することなく、ほぼ実時間で表示装置11へ表示させる形態としてもよい。
【0026】
表示装置11は、例えば、CRT、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル等の表示デバイスを備えて構成されるものであり、医用デジタル画像や各種文字情報やグラフィック情報をその表示画面に表示させる。
【0027】
ポインティングデバイス12は、例えばマウスやタッチパッド等のデバイスであり、表示装置11の表示画面の中に表示されるポインタを移動させたり、クリック、ダブルクリック、ドラッグ等の操作を行うことにより情報処理装置1に対して各種の制御指示を行ったりするデバイスである。
【0028】
CPU10は、ROM15やHDD16に記憶されているOSや各種のアプリケーションソフトウェア(プログラム)をRAM14にロードし、実行する。また、RAM14は、CPU10のワークエリアとしても機能する。
【0029】
本実施形態に係る情報処理装置1では、医用デジタル画像等の画像データを表示装置11に表示するときに、画像の拡大・縮小、回転、移動、明度調整、コントラスト調整、動画の再生速度調整、画像切換等の各種表示制御機能を実現するが、これらの機能は、例えは、HDD16に記憶される表示制御プログラムをCPU10に実行させることによって実現される。
【0030】
図2は、情報処理装置1が具備するこれらの表示制御機能を複数の機能実現手段として記述した機能ブロック図である。
【0031】
情報処理装置1は、設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録手段21と、登録された複数の表示制御機能に対応づけて、表示装置11の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割手段22とを初期登録手段20として有している。
【0032】
また、情報処理装置1は、表示領域に表示されるポインタをマウス等のポインティングデバイス12を用いて前記の指定区域に移動させたときに、その指定区域に対応付けられた表示制御機能を有効とする表示制御機能有効手段30、表示制御機能有効手段30によって表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示手段40、指定区域に対応付けられた表示制御機能が有効となった後ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって、表示制御機能を実行させる表示制御機能実行手段50等の機能実現手段を備えている。
【0033】
(2)動作
上記のように構成された情報処理装置1の動作、特に、医用デジタル画像等の画像データの表示制御に関する動作について、以下に説明する。
【0034】
図3は、初期登録手段20で行なわれる機能を実現するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップST1で、情報処理装置1の表示装置11に、表示制御機能の登録画面(図示せず)を表示させる。ここで、表示制御機能とは、画像データに対する右回転や左回転等の「回転」、上下左右方向への「移動」、画像データの表示サイズの「拡大・縮小」、画像データの「明度」や「コントラスト」の調整、複数の画像を表示可能なときに各画像を切り換えて表示させる画像切換制御、画像データが動画の場合における動画の再生速度の調整等、表示画像に対する各種の操作や調整を行うための制御機能のことである。
【0036】
本実施形態では、図3のステップST1乃至ステップST3の手順により、情報処理装置1が具備するこれらの各種表示制御機能の中から、ユーザが所望する機能の数や種類を予めユーザに選択させ、情報処理装置1に登録している。これらの手順は、図1の表示制御機能登録手段21によって実現されるものである。
【0037】
例えば、ステップST1では、情報処理装置1が具備する総ての表示制御機能を、各機能毎にチェックボックスと共に表示装置11に表示させ、ユーザに対して登録を促す。
【0038】
ステップST2にて、ユーザは所望する表示制御機能のチェックボックスをクリックすることにより、表示制御機能の数や種類を選択する。
【0039】
選択された表示制御機能は、例えは所定の「登録」ボタン(図示せず)をクリックすることにより、情報処理装置1に登録される(ステップST3)。
【0040】
医師等のユーザが、医用デジタル画像等に対して行う操作や調整の数や種類は、通常ある範囲に限定されていることが多い。これに対して、近時の情報処理装置1では、非常に多種類の表示制御が可能となっており、総ての表示制御機能を常に実現させようとすると、かえって操作が煩雑になり、また不用意な誤操作の誘因ともなる。
【0041】
本実施形態では、予め必要な表示制御機能を選択、登録することができるため、操作が簡素化され、また、誤操作を防止することができる。
【0042】
次に、ステップST4にて、選択、登録された表示制御機能の数に応じて、表示画面を複数の区域(指定区域)に分割する。さらに、分割した指定区域の夫々に、表示制御機能を割付ける。
【0043】
選択、登録された表示制御機能の数は特に限定するものではないが、例えば、2〜12の表示制御機能の数が選択、登録された場合、表示装置11の表示画面はその数に応じて分割される。
【0044】
図4(a)は、選択、登録された表示制御機能の数が2の場合、図4(b)は、選択、登録された表示制御機能の数が4の場合、また、図4(c)は、選択、登録された表示制御機能の数が12の場合のときの各指定区域の分割状況を例示する図である。
【0045】
分割された指定区域には、それぞれ1つの表示制御機能が割り付けられる。例えば、図4(b)の4分割の場合、区域(A)に「移動」機能を割り付け、区域(B)に「回転」機能を割り付け、区域(C)に「明度」調整機能を割り付け、区域(D)に「拡大・縮小」機能を割り付ける。
【0046】
区域と機能の割り付け関係は、初期登録時にユーザに設定させる形態としてもよいし、初期登録時には自動的に情報処理装置1で割り付け、その後ユーザによって変更できるようにしてもよい。
【0047】
初期登録を行った後、医用診断装置100等から送られる医用デジタル画像等の画像データを実際に表示装置11に表示させ、表示画像に対して選択、登録した表示制御機能を適用していく。
【0048】
図5は、表示制御機能の適用処理の一例を示すフローチャートである。また、図6は、表示装置11の表示例を用いて動作を説明する図である。
【0049】
以下の説明では、表示制御機能が有効となる画面表示モードを便宜上、「表示制御モード」と呼び、表示制御機能が有効となる前の通常の画面表示モードを「通常モード」と呼ぶものとする。
【0050】
図6(a)は、「通常モード」の表示装置11の表示例を示すものであり、表示画面には、例えば人体の血管等のX線診断画像や超音波診断画像が動画として表示されている。
【0051】
また、表示画面は、表示装置11の有効画面を最大限に利用するため、コマンドバーやサブウィンドウが表示されない「全画面」表示モードに設定されている。この他、表示画面には、マウス等のポインティングデバイス12の動きに連動して移動するポインタが表示されており、図6(a)の例示では、ポインタの形状は、「通常モード」であることを示す「矢印」形状となっている。
【0052】
図5のステップST11では、「通常モード」から「表示制御機能モード」への移行を行う。移行のための操作は、例えば、マウスの左ボタンを連続クリック(ダブルクリック)することによって行う。この他、例えば、表示画面の隅の一部に小さな移行用のアイコンを表示させ、このアイコンをクリックして「通常モード」から「表示制御機能モード」へ移行させるようにしても良い。
【0053】
マウスのダブルクリックにより、情報処理装置1は、「通常モード」から「表示制御機能モード」へ移行する(ステップST12)。
【0054】
「表示制御機能モード」へ移行すると、図6(b)に例示したように、初期登録時に選択・登録し、かつ分割された指定区域に割り付けられた表示制御機能が、ポインタの位置に応じて有効(アクティブ)となり、ポインタの形状が変化する。
【0055】
また、各指定区域をユーザに視認しやすくするため、指定区域の境界線を例えば破線で表示する。この指定区域の境界線は、画像の観察上邪魔になる場合もあるため、ユーザの設定によって表示の有無を切換えられるようにしてもよい。例えば、マウスを右クリックして境界線の表示の有無を選択するメニューを小さく表示させ、ユーザが切換えられるようにすればよい。
【0056】
この場合、図5のステップST13では、境界線の表示の設定の有無を判断し、表示「有」に設定されている場合に限って、ステップST14にて境界線を表示させるようにすればよい。
【0057】
ダブルクリック等によって「表示制御機能モード」に切換えられると、表示制御機能有効手段30(図1参照)は、切換えられた時点でのポインタの位置が、どの指定区域にあるかを判断し、指定区域に予め対応付けられている表示制御機能を選択し、その表示制御機能を有効とする。
【0058】
図6(b)の例では、「表示制御機能モード」に切換えられた時のポインタの位置は、区域(A)にある。そこで、表示性機能選択手段30は、区域(A)に割り付けられている表示制御機能が何れの機能であるのかを判定し、割り付けられている表示制御機能を有効にする。図6は初期登録として4つの表示制御機能を選択、登録している場合の例であり、図4(b)の説明に例示したように、区域(A)には、「移動」機能が割り付けられている。従って、表示制御機能として「移動」機能が有効となる。
【0059】
さらに、情報処理装置1は、有効機能表示手段40(図2参照)を具備しており、有効機能表示手段40は、有効にされた特定の表示制御機能をユーザに対して認知させるための表示を行う。具体的には、例えば、ポインタの形状を「通常モード」を示す「矢印」形状から、有効にされた表示制御機能を示唆する形状に変更する。図6(b)の例では、ポインタの形状を「四方矢印」形状とすることで、「移動」機能が有効となったことをユーザに知らせている。
【0060】
この状態で、マウスを、区域(A)内において、任意の方向にドラッグ操作(左ボタンを押し続けた状態で移動させる操作)すれば、ドラッグした方向に表示画像を移動させることが可能となる。
【0061】
他方、表示制御機能を他の表示制御機能に切換える場合には、マウスを単に他の区域に移動させるだけでよい。例えば、図4(b)の例で説明したように、区域(D)には、「拡大・縮小」機能が割り付けられている。そこで、マウスを区域(A)から区域(D)へ移動させる(ドラッグではなく)と、「移動」機能に替わって「拡大・縮小」機能が有効となる(図5のステップST15)。
【0062】
また、ポインタの形状は、図6(c)に示したように、「四方矢印」形状から「拡大・縮小」機能を示唆する形状、例えば「拡大鏡」の形状に変更される(ステップST16)。このことにより、ユーザは、「拡大・縮小」機能が有効となったことを直ちに認識することができる。
【0063】
拡大・縮小機能を実際に実行する機能は、表示制御機能実現手段50(図2参照)によって行われる。「拡大鏡」形状のポインタを下側にドラッグすると図6(d)に示したように表示画像が縮小される。逆に、「拡大鏡」形状のポインタを上側にドラッグする表示画像が拡大されることになる(ステップST17)。
【0064】
ユーザがさらに他の表示制御機能の選択を所望する場合には(ステップST18のYes)、ステップST15へ戻り、所望の表示制御機能に対応する区域にポインタを移動させ、ステップST17までの処理を繰り返せばよい。
【0065】
他の表示制御機能の選択を所望しない場合には(ステップST18のNo)、そのままの状態で表示画像を観察してもよいし、マウスをダブルクリックして「表示制御機能モード」から「通常モード」に戻しても良い(ステップST19)。「通常モード」に戻した場合は、「表示制御機能モード」で最後に設定した状態の表示画像が維持されることになる。
【0066】
なお、マウスのダブルクリックに替えて、前述した移行用のアイコンをクリックして「表示制御機能モード」から「通常モード」に戻す形態としてもよい。いずれの形態でも、マウスのダブルクリック操作や移行用アイコンのクリック操作を繰り返すことにより、「表示制御機能モード」と「通常モード」とを相互に簡便に切換えることが可能である。
【0067】
なお、図3や図5の示した処理方法の各ステップをプログラム化し、このプログラムをCPU10(コンピュータ)に実行させることにより上述した機能を実現できる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置、その画像表示制御方法、及びその画像表示制御プログラムによれば、「移動」、「拡大・縮小」、「回転」等の各種表示制御機能に対応付けられた表示画面の分割区域にポインタを移動させるだけの簡単な操作で、これらの表示制御機能が選択できる。また選択した機能は、その分割区域内を単にドラッグするだけで実現できる。
【0069】
このため、表示制御機能の選択や実行に係る医師等のユーザの操作負担が大幅に低減され、迅速な操作が可能となる。また、表示制御機能は、予め所望の数や種類を選択し登録可能に構成されているため、不要な機能の存在による操作の煩雑さや、誤操作の虞が低減される。
【0070】
なお、上述の説明では、主に医用診断装置100から供給される医用デジタル画像を例にとって説明してきたが、本実施形態の説明からも理解できるように、一般のデジタル画像を取り扱う情報処理装置にも適用可能である。
【0071】
また、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の実施形態の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る情報処理装置の一実施形態におけるハードウェア構成例を主に示す図。
【図2】本発明に係る情報処理装置の一実施形態における機能実現手段の構成例を示すブロック図。
【図3】表示制御機能の初期登録時の処理例を示すフローチャート。
【図4】表示制御機能に対応付けられる表示画面の分割例を示す図。
【図5】本発明に係る情報処理装置の一実施形態における表示制御機能の実現処理の一例を示すフローチャート。
【図6】表示制御機能の実現処理を表示装置の表示例を用いて説明する図。
【符号の説明】
【0073】
1 情報処理装置
10 CPU
11 表示装置
12 ポインティングデバイス
21 表示制御機能登録手段
22 領域分割手段
30 表示制御機能有効手段
40 有効機能表示手段
50 表示制御機能実現手段
100 医用診断装置
200 電気通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を具備する情報処理装置において、
設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録手段と、
登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割手段と、
所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効手段と、
前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示手段と、
前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記有効機能表示手段は、
前記ポインタの形状を、前記表示制御機能が有効となる前の形状から前記表示制御機能を示唆する他の形状に変更することによって、前記表示制御機能が有効となったことを表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ポインティングデバイスは、マウスであり、
前記表示制御機能実行手段は、前記マウスのドラッグ操作によって前記表示制御機能を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ポインティングデバイスは、マウスであり、
前記マウスのダブルクリック操作により、前記表示制御機能が有効でない通常の状態と、前記表示制御機能が有効となる状態とを互いに切換えることができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記領域分割手段は、前記表示領域を分割する前記指定区域の境界を表示する手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示装置を具備する情報処理装置の画像表示制御方法において、
設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録ステップと、
登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割ステップと、
所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効ステップと、
前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示ステップと、
前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行ステップと、
を備えたことを特徴とする情報処理装置の画像表示制御方法。
【請求項7】
表示装置を具備する情報処理装置の画像表示制御プログラムにおいて、
設定可能な任意の複数の表示制御機能を予め登録する表示制御機能登録ステップと、
登録された前記複数の表示制御機能に対応付けて、前記表示装置の表示領域を複数の指定区域に分割する領域分割ステップと、
所定のポインティングデバイスを用いて前記表示領域に表示されるポインタを前記指定区域に移動させたときに、前記指定区域に対応付けられた前記表示制御機能を有効とする表示制御機能有効ステップと、
前記表示制御機能が有効となったことを表示する有効機能表示ステップと、
前記表示制御機能が有効となった後前記ポインタが前記指定区域内にある状態において、前記ポインティングデバイスの操作によって前記表示制御機能を実行させる表示制御機能実行ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理装置の画像表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−90101(P2008−90101A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272538(P2006−272538)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(390005164)株式会社フォトロン (18)
【Fターム(参考)】