説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】ネットワーク送出するデータに位置情報を付与するか否かについて、ユーザの手動操作を必要とせずに、装置側で自動的に判断して実行する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知手段と、動作が検知された場合に、データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定手段と、判定の結果、位置情報が区域内である場合は位置情報を秘匿し、位置情報が区域内ではない場合は位置情報を秘匿しないようにする制御を、データのネットワーク送出前に行う秘匿制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに送出されるデータを制御する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話やデジタルカメラ等の情報処理装置では、例えばGPS(Global Positioning System)を利用することで、自装置の存在位置を示す位置情報を取得できるものが普及しつつある。また、そのような情報処理装置の中には、取得した位置情報を所定のデータ(例えば、自装置で生成したデータや他装置から取得したデータなど)に付与できるものもある。例えばデジタルカメラの場合では、撮影が行われた時に位置情報を取得し、その位置情報を、撮影により得られた画像データに付与する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述したデジタルカメラの場合でさらに説明すると、撮影が行われた場所が自宅や職場であるならば、画像データには自宅や職場の位置情報が付与される。しかし、付与された位置情報は画像データ上に明示的に表示されるわけではないので、ユーザは位置情報が付与されていることを意識しづらい。よって、ユーザは、他人に知られたくない自宅や職場の位置情報が付与された画像データを、インターネット等のネットワークに送出してしまうことがある。例えば、位置情報が付与された画像データを、メールに添付して送信したり、あるいは、ウェブサイトで公開(例えばSNS(Social Networking Service)やブログ等での公開)したりすることで、自宅や職場の位置が他人に知られてしまうという事態が起こりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−202110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した事態を防ぐための手段として、ネットワーク送出するデータに位置情報を付与するか否かをユーザが事前に手動で選択する機能がある。この機能は、情報処理装置自体の全体設定として、又は、情報処理装置が有するアプリケーションソフトウェア(以下アプリという)毎の個別設定として備えられる。ユーザは、所望のデータをネットワーク上に送出する前にこの機能を利用し、送出したいデータに付与された位置情報が公開されても構わない場合にはON(オン)を選択し、送出したいデータに付与された位置情報が公開されては困る場合にはOFF(オフ)を選択する。この選択に従って、情報処理装置又はアプリケーションは、ユーザが所望するデータを、位置情報を付与した状態又は付与しない状態のいずれかにてネットワークに送出するように制御する。
【0006】
しかしながら、上記機能では、ON/OFFの選択操作が手動であることから、ユーザにとってその操作が煩わしいという問題があり、また、ユーザがその操作を忘れてしまうことで位置情報がネットワーク上に送出されてしまう危険性もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク送出するデータに位置情報を付与するか否かについて、ユーザの手動操作を必要とせずに、装置側で自動的に判断して実行する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知手段と、動作が検知された場合に、データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定手段と、判定の結果、位置情報が区域内である場合は位置情報を秘匿し、位置情報が区域内ではない場合は位置情報を秘匿しないようにする制御を、データのネットワーク送出前に行う秘匿制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の情報処理方法は、自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知ステップと、動作が検知された場合に、データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定ステップと、判定の結果、位置情報が区域内である場合は位置情報を秘匿し、位置情報が区域内ではない場合は位置情報を秘匿しないようにする制御を、データのネットワーク送出前に行う秘匿制御ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知処理と、動作が検知された場合に、データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定処理と、判定の結果、位置情報が区域内である場合は位置情報を秘匿し、位置情報が区域内ではない場合は位置情報を秘匿しないようにする制御を、データのネットワーク送出前に行う秘匿制御処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ネットワーク送出するデータに位置情報を付与するか否かについて、ユーザの手動操作を必要とせずに、装置側で自動的に判断して実行できる。その結果、ユーザにとって手動操作を行う煩わしさが解消され、かつ、その手動操作のし忘れによる位置情報のネットワーク流出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の秘匿制御手段の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態の第1の例に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の第2の例に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
〔第1の実施形態〕
まず、図1を参照して、本実施形態の情報処理装置の構成について説明する。図1の例では、本実施形態の情報処理装置を携帯端末として示している。この携帯端末としては、デジタルカメラ、携帯電話、スマートホン、ネットブック、タブレット、ゲーム機、デジタルオーディオプレイヤ等が適用できる。なお、本実施形態の情報処理装置は、携帯端末に限られることなく、据え置き型の装置としての、デスクトップ型パソコン、テレビ、ハードディスクレコーダ、ゲーム機、複合機などにも適用できる。
【0015】
図1に示す本実施形態の携帯端末は、データ記憶手段11、秘匿位置情報記憶手段12、送出動作検知手段13、位置情報判定手段14、秘匿制御手段15、データ送出手段16を備える。
【0016】
データ記憶手段11は、ネットワーク(例えばインターネット)に送出されるデータを記憶する。このデータの例としては、画像データ、音声データ、文書データ等が挙げられる。また、データのネットワーク送出の例としては、メールに添付しての送信や、ウェブサイトを提供するサーバへのアップロード等が挙げられる。データ記憶手段11は、例えば、読み書き可能な不揮発性メモリで実現される。なお、図1の例では、データ記憶手段11が携帯端末に内蔵される構成としたが、携帯端末の外部に存在するデータ記憶手段を用いるようにしてもよい。その場合、携帯端末は、外部のデータ記憶手段から、所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にてデータを取得することになる。
【0017】
本実施形態において、上述したデータは、所定の装置(自装置又は他装置)の存在位置(現在存在している位置又は過去に存在していた位置)を示す位置情報が付与されているとする。例えば、図1に示す携帯端末がカメラ機能とGPS機能を備えたものである場合、上述したデータとしては、カメラ機能での撮影により得られた画像データ(写真データ)に、その撮影時にGPS機能により取得された携帯端末の現在位置(現在存在している位置)を示す位置情報が付与されたものが挙げられる。もちろん、上述したデータは、図1に示す携帯端末自身で生成・取得したものである必要はなく、また、そのデータに付与される位置情報も図1に示す携帯端末自身の位置情報でなくてもよい。その例としては、他端末で撮影され、その他端末の撮影時の位置情報が付与された画像データを、図1の携帯端末に取り込んでデータ記憶手段11に保存する場合が挙げられる。
【0018】
また、上述したデータに付与される位置情報は、そのデータの生成・取得時における端末の位置を示すものである必要はない。例えば、データが生成・取得された後の任意のタイミングにて付与された位置情報であってもよい。
【0019】
なお、上述したデータ(データ記憶手段11に記憶されるデータ)に付与された位置情報を、以下、付与位置情報という。この付与位置情報は、緯度・経度にて位置を示すもの、住所で位置を示すもののいずれであってもよい。
【0020】
秘匿位置情報記憶手段12は、予め登録される、秘匿対象の位置情報(以下秘匿位置情報という)を記憶する。秘匿位置情報は、緯度・経度又は住所のいずれかにて地図上における所定の区域(領域、範囲)を示す情報であり、この秘匿位置情報で示される区域内が秘匿対象となる。すなわち例えば、緯度・経度や住所で示される地図上の一点の位置を中心とした半径何Kmといった円状の区域を示すものであってもよいし、又は、緯度・経度や住所で示される地図上の複数点の位置をつなぎ合わせた矩形や多角形で示される区域を示すものであってもよい。秘匿位置情報記憶手段12は、例えば、読み書き可能な不揮発性メモリで実現される。なお、図1の例では、秘匿位置情報記憶手段12が携帯端末に内蔵される構成としたが、携帯端末の外部に存在する秘匿位置情報記憶手段を用いるようにしてもよい。その場合、携帯端末は、外部の秘匿位置情報記憶手段から、所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にて秘匿位置情報を取得することになる。
【0021】
上述した秘匿位置情報の秘匿位置情報記憶手段12への登録については、2つの方法がある。1つは、ユーザ(例えば図1に示す携帯端末の使用者)が、秘匿したい位置情報(例えば自宅や職場の位置情報)を手動操作で登録する方法である。もう1つは、携帯端末自身が、秘匿対象の位置情報を自動的に抽出して登録する方法である。後者の方法については、後述する第2の実施形態にて説明する。本実施形態では、前者の方法について説明する。
【0022】
ユーザの手動操作にて秘匿位置情報を登録する例としては、以下の方法が挙げられる。例えば、携帯端末にて、ユーザが所望の位置情報を直接入力できるインターフェース画面を表示するようにし、その画面にて入力された位置情報を秘匿位置情報として登録するようにしてもよい。また例えば、携帯端末にて、ユーザが所望する位置情報を地図上で指定できるインターフェース画面を表示するようにし、その画面にて指定された位置情報を秘匿位置情報として登録するようにしてもよい。
【0023】
送出動作検知手段13は、データ記憶手段11に記憶されている所定のデータ(例えばユーザにより指定されたデータ)がネットワークに送出される動作を検知する。例えば、ユーザにより、データ記憶手段11に記憶されている所定のデータが指定され、そのデータのネットワークへの送出が指示されたタイミングで、送出動作検知手段13は、データのネットワーク送出の動作を検知する。すなわち、送出動作検知手段13は、実際にデータが送出される前に、データを送出しようとする動作を検知することになる。この送出動作検知手段13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコントローラにて実現される。
【0024】
位置情報判定手段14は、送出動作検知手段13により所定のデータのネットワーク送出の動作が検知された場合に、そのデータに付与されている付与位置情報に示される位置が、秘匿位置情報記憶手段12に予め登録されている秘匿位置情報に示される区域内であるか否かを判定する。位置情報判定手段14は、例えば、CPU、ROM、RAM等で構成されるコントローラにて実現される。
【0025】
秘匿制御手段15は、位置情報判定手段14の判定の結果、付与位置情報の位置が秘匿位置情報の区域内である場合は付与位置情報を秘匿し、付与位置情報の位置が秘匿位置情報の区域内ではない場合は付与位置情報を秘匿しないようにする制御を、データのネットワーク送出前に行う。秘匿制御手段15は、例えば、CPU、ROM、RAM等で構成されるコントローラにて実現される。なお、秘匿の方法については、図2を用いて後述する。
【0026】
データ送出手段16は、送出を指示されたデータを、秘匿制御手段15の制御により付与位置情報が秘匿された状態又は付与位置情報が秘匿されない状態のいずれかにて、指定されたネットワーク上の宛先へ送出する。データ送出手段16は、通信制御回路、ネットワークアダプタ等によって実現される。なお、図1の例では、データ送出手段16が携帯端末に内蔵される構成としたが、携帯端末の外部に存在するデータ送出手段を用いるようにしてもよい。その場合、携帯端末は、秘匿制御手段15によって上述のように制御されたデータを所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にて外部のデータ送出手段に送出することになる。そして、外部のデータ送出手段にて実際にネットワーク上にデータが送出されることになる。
【0027】
次に、図2を用いて、図1に示す秘匿制御手段15の秘匿の方法について説明する。図2に示すように、秘匿制御手段15は、削除手段21、置換手段22、暗号化手段23を有する。
【0028】
削除手段21は、データに付与された付与位置情報を、当該データから削除する。これにより、ネットワーク送出されるデータは位置情報自体が無い状態となり、元々データに付与されていた付与位置情報が秘匿されることになる。よって、このデータのネットワーク送出後に例えば第3者が当該データの付与位置情報を見ようとしても、何の位置情報も表示されない。
【0029】
置換手段22は、データに付与された付与位置情報を、予め登録された別の位置情報(ダミーの位置情報)に置換する。別の位置情報とは、付与位置情報が示す位置の近傍位置を示す位置情報であり、世間一般に公開されている位置情報(以下公開位置情報という)として公開位置情報記憶手段24に登録されている。公開位置情報の例としては、世間一般に公開されている、駅、役所、店舗、公園等の施設・場所(公共か民間かを問わない)の位置を示す情報が挙げられる。この公開位置情報は、緯度・経度にて位置を示すもの、住所で位置を示すもののいずれであってもよい。このような公開位置情報は、例えばリスト状となって公開位置情報記憶手段14に予め登録されている。置換手段22は、公開位置情報記憶手段14のリストを参照し、データに付与された付与位置情報が示す位置に近い公開位置情報を抽出し、その付与位置情報を、抽出した公開位置情報に置き換える。これにより、ネットワーク送出されるデータは位置情報が別のものに置き換えられた状態となり、元々データに付与されていた付与位置情報が秘匿されることになる。よって、このデータのネットワーク送出後に例えば第3者が当該データの付与位置情報を見ようとしても、本物の付与位置情報は表示されずに、置き換えられた公開位置情報のみが表示される。
【0030】
なお、上述した公開位置情報記憶手段24は、例えば、読み書き可能な不揮発性メモリで実現される。また、公開位置情報記憶手段24は、図1に示す携帯端末に内蔵されてもよいし、図1に示す携帯端末の外部に存在してもよい。その場合、携帯端末は、外部の公開位置情報記憶手段から、所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にて公開位置情報を取得することになる。
【0031】
暗号化手段23は、データに付与された付与位置情報を暗号化する。暗号化は、従来公知の暗号化技術を採用することができる。これにより、ネットワーク送出されるデータは位置情報が暗号化された状態となり、元々データに付与されていた付与位置情報が秘匿されることになる。よって、このデータのネットワーク送出後に例えば第3者が当該データの付与位置情報を見ようとしても、暗号化された表示となる。この場合において、暗号化を解く解除キーが入力されれば、付与位置情報は判読可能に表示されることになる。よって、ユーザが解除キーを所望の者に伝達することで、ネットワーク上における付与位置情報の公開を限定的とする(一部公開とする)ことができる。
【0032】
なお、図2の例では、削除手段21、置換手段22、暗号化手段23の3つを備える構成としたが、これらのうち少なくとも1つの手段を備えればよい。また、どの手段を用いて秘匿を行うかについては、ユーザが、秘匿位置情報に応じて、使用する手段を個別に設定できるようにしてもよい。この設定は、例えば、携帯端末において、予め登録された秘匿位置情報を地図上に示して表示し、ユーザが地図上に示される秘匿位置情報毎に所望の手段(削除手段21、置換手段22、暗号化手段23のいずれか)を指定できるインターフェース画面にて実現されてもよい。
【0033】
次に、図3を参照して、以上のように構成された本実施形態の携帯端末の動作例について説明する。なお、以下の説明では、ユーザが図1の携帯端末を用いて自宅で写真撮影を行い、図1の携帯端末において、その撮影時の携帯端末の位置情報(自宅の位置を示す位置情報)が取得され、撮影で得られた画像データに付与されてデータ記憶手段11に保存された場合を例とする。
【0034】
ユーザは、図1の携帯端末にて提供されるインターフェース画面において、手動操作により所望の秘匿位置情報の入力(指定)を行う。これにより、入力された秘匿位置情報が秘匿位置情報記憶手段12に記憶される(S1)。ここでは例として、ユーザの自宅の位置を含む所定範囲の区域が、秘匿位置情報として登録されたとする。もちろんここでの登録は、ユーザの自宅の位置がピンポイントで指定されてもよい。なお、S1における秘匿位置情報の登録は、ユーザの手動操作による方法ではなく、携帯端末が自動的に行う方法(第2の実施形態にて後述する)であってもよい。またここでは、ユーザが、上記登録した秘匿位置情報に対応した秘匿制御手段を選択することも可能である。上述したように、ユーザは、図2に示す削除手段21、置換手段22、暗号化手段23のいずれかを選択できる。
【0035】
次に、ユーザは、携帯端末において、データ記憶手段11に保存されている複数の画像データを携帯端末に表示させ、その中から、ユーザ自身のブログに掲載するための画像データを選択し、その画像データを、ブログを提供するウェブサーバへアップロードするように指示する。ここでは例として、ユーザに選択された画像データが、先に自宅で撮影されて、自宅の位置を示す位置情報が付与されたものとする。上記アップロードの指示がなされると、送出動作検知手段13は、画像データのネットワーク(インターネット)送出の動作を検知する(S2/YES)。
【0036】
次に、位置情報判定手段14は、インターネットに送出される画像データに付与されている付与位置情報に示される位置が、秘匿位置情報記憶手段12に記憶されている秘匿位置情報に示される区域に含まれるか否かを判定する(S3)。ここでは、画像データに付与された付与位置情報はユーザの自宅の位置を示す情報であり、ユーザの自宅の位置を含む所定範囲の区域が秘匿位置情報として予めユーザにより登録されているので、位置情報判定手段14は、付与位置情報の位置が秘匿位置情報の区域に含まれると判定する(S3/YES)。
【0037】
次に、秘匿制御手段15は、画像データに付与されている付与位置情報の秘匿を行う(S4)。この秘匿は、上述したように、図2に示す削除手段21、置換手段22、暗号化手段23のいずれかにより行われる。また、ユーザの手動操作により所望の秘匿位置情報の入力(指定)を行った際に秘匿制御手段(例えば、削除手段21、置換手段22、暗号化手段23のいずれか)が選択されている場合は、選択された秘匿制御手段で処理が行われる。
【0038】
次に、データ送出手段16は、付与位置情報が秘匿された画像データを、インターネット上の上記ウェブサーバへアップロードする(S5)。
【0039】
なお、上記S3の判定の結果、付与位置情報の位置が秘匿位置情報の区域に含まれない場合は(S3/NO)、秘匿制御手段15は、画像データの付与位置情報の秘匿を行わない。よって、その画像データは付与位置情報が秘匿されない状態にて、データ送出手段16によりインターネット上の上記ウェブサーバへアップロードされる(S5)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワーク送出するデータに位置情報を付与するか否かについて、ユーザの手動操作を必要とせずに、装置側で自動的に判断して実行できる。その結果、位置情報を秘匿するか否かを指示するための手動操作を行う煩わしさが解消され、かつ、その手動操作のし忘れによる位置情報のネットワーク流出を防ぐことができる。
【0041】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、秘匿位置情報の登録を、ユーザの手動操作によらず、携帯端末自身が動的に行う例について説明する。この例は、図4、図5に示すように2通りの方法がある。
【0042】
まず、図4を参照して、第1の例について説明する。図4に示すように、本例の携帯端末は、図1の構成に対して、データ検索手段17と、位置情報抽出手段18とが加わった構成である。なお、図1と同じ符号を付した手段については、ここでの説明は省略する。
【0043】
データ検索手段17は、ネットワークへ送出可能なデータに付与された当該データの生成日時を参照し、予め定められた日時に生成されたデータを検索する。例えば、データ記憶手段11に記憶されるデータには、付与位置情報だけでなく、そのデータが生成された日時が情報(タイムスタンプ)として付与されているとする。また例えば、予め定められた日時(デフォルト値。ユーザの指示により変更可)として、平日(月曜日〜金曜日)の20時〜6時が設定されているとする。このような場合において、データ検索手段17は、データ記憶手段11に記憶されている各データの生成日時を参照し、予め定められた平日(月曜日〜金曜日)の20時〜6時に生成されたデータを検索する。
【0044】
位置情報抽出手段18(第1の位置情報抽出手段)は、データ検索手段17により検索されたデータに付与されている付与位置情報を抽出し、その付与位置情報を秘匿位置情報として、秘匿位置情報記憶手段12に登録する。なお、ここで登録される秘匿位置情報は、検索された全てのデータから抽出された付与位置情報であってもよいし、あるいは、検索されたデータの中で所定の条件を満たすデータから抽出された付与位置情報だけであってもよい。
【0045】
なお、図4において、データ検索手段17及び位置情報抽出手段18は、例えば、CPU、ROM、RAM等で構成されるコントローラによって実現される。また、図4の例では、データ検索手段17及び位置情報抽出手段18を携帯端末に内蔵する構成としたが、携帯端末の外部に存在してもよい。その場合、携帯端末は、外部の位置情報抽出手段から、所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にて秘匿位置情報を取得し、秘匿位置情報記憶手段12に格納することになる。
【0046】
次に、図5を参照して、第2の例について説明する。図5に示すように、本例の携帯端末は、図1の構成に対して、位置情報蓄積手段19と、位置情報抽出手段20とが加わった構成である。なお、図1と同じ符号を付した手段については、ここでの説明は省略する。
【0047】
位置情報蓄積手段19は、図5に示す携帯端末の位置情報を所定間隔(例えば30分おき)で取得し、当該取得した日時(日時情報)と位置情報とを紐付けて蓄積する。
【0048】
位置情報抽出手段20(第2の位置情報抽出手段)は、位置情報蓄積手段19に蓄積された日時情報を参照し、予め定められた平日(月曜日〜金曜日)の20時〜6時に取得された日時情報に紐付けられた位置情報を抽出し、その位置情報を秘匿位置情報として、秘匿位置情報記憶手段12に登録する。なお、ここで登録される秘匿位置情報は、抽出された位置情報の全部であってもよいし、あるいは、所定の条件を満たして抽出された位置情報だけであってもよい。
【0049】
なお、図5において、位置情報蓄積手段19は、例えば不揮発性メモリによって実現され、位置情報抽出手段18は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成されるコントローラによって実現される。また、図5の例では、位置情報蓄積手段19及び位置情報抽出手段20を携帯端末に内蔵する構成としたが、携帯端末の外部に存在してもよい。その場合、携帯端末は、外部の位置情報抽出手段から、所定の通信方法(直付け、有線又は無線)にて秘匿位置情報を取得し、秘匿位置情報記憶手段12に格納することになる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、秘匿位置情報の登録について、ユーザの手動操作を必要とせずに、装置側で自動的に判断して実行できる。その結果、秘匿位置情報を登録するための手動操作を行う煩わしさが解消され、かつ、その手動操作のし忘れによる位置情報のネットワーク流出を防ぐことができる。
【0051】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記説明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0053】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0054】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0055】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0056】
なお、上記プログラムとしては、図1に示す送出動作検知手段13、位置情報判定手段14、秘匿制御手段15による各処理をコンピュータに実行させる、ミドルウェアとして実現することが好ましい。ミドルウェアとすれば、アプリ側にて個別に、送出動作検知手段13、位置情報判定手段14、秘匿制御手段15による各処理を行うように対応する必要がない。よって、アプリの開発者側にとっては、上記各処理の対応に係る開発コストを削減でき、また、ユーザにとっては、アプリが上記各処理に対応しているかどうかを気にせずに導入することができる。
【0057】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0058】
11 データ記憶手段
12 秘匿位置情報記憶手段
13 送出動作検知手段
14 位置情報判定手段
15 秘匿制御手段
16 データ送出手段
17 データ検索手段
18 位置情報抽出手段
19 位置情報蓄積手段
20 位置情報抽出手段
21 削除手段
22 置換手段
23 暗号化手段
24 公開位置情報記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知手段と、
前記動作が検知された場合に、前記データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定手段と、
前記判定の結果、前記位置情報が前記区域内である場合は当該位置情報を秘匿し、前記位置情報が前記区域内ではない場合は当該位置情報を秘匿しないようにする制御を、前記データのネットワーク送出前に行う秘匿制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記秘匿制御手段は、
前記データに付与された位置情報を秘匿する手段として、
前記データに付与された位置情報を当該データから削除する削除手段、
前記データに付与された位置情報を、予め登録された当該位置情報近傍の位置情報に置換する置換手段、
前記データに付与された位置情報を暗号化する暗号化手段、
のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記位置情報判定手段の判定に用いられる予め登録しておく位置情報を自動的に登録する手段として、
ネットワークへ送出可能なデータに付与された当該データの生成日時を参照し、予め定められた日時に生成されたデータを検索するデータ検索手段と、
前記検索されたデータに付与された位置情報を抽出し、当該抽出した位置情報を前記位置情報判定手段の判定に用いられる位置情報として登録する第1の位置情報抽出手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記位置情報判定手段の判定に用いられる予め登録しておく位置情報を自動的に登録する手段として、
前記情報処理装置の位置情報を所定間隔で取得し、当該取得した日時と紐付けて蓄積する位置情報蓄積手段と、
前記蓄積された位置情報の中から予め定められた日時に取得された位置情報を抽出し、当該抽出した位置情報を前記位置情報判定手段の判定に用いられる位置情報として登録する第2の位置情報抽出手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項5】
自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知ステップと、
前記動作が検知された場合に、前記データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定ステップと、
前記判定の結果、前記位置情報が前記区域内である場合は当該位置情報を秘匿し、前記位置情報が前記区域内ではない場合は当該位置情報を秘匿しないようにする制御を、前記データのネットワーク送出前に行う秘匿制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
自装置又は所定の装置の位置を示す位置情報が付与されたデータがネットワークへ送出される動作を検知する送出動作検知処理と、
前記動作が検知された場合に、前記データに付与された位置情報が、予め登録された区域内であるか否かを判定する位置情報判定処理と、
前記判定の結果、前記位置情報が前記区域内である場合は当該位置情報を秘匿し、前記位置情報が前記区域内ではない場合は当該位置情報を秘匿しないようにする制御を、前記データのネットワーク送出前に行う秘匿制御処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記プログラムはミドルウェアとして実現されることを特徴とする請求項6記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−155529(P2012−155529A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14000(P2011−14000)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】