説明

情報処理装置、通信システムおよびプログラム

【課題】通信路の切断理由に応じた利用対価を決定する。
【解決手段】中継機2が移動することにより端末1が通信エリア外に移動したことを検知すると、中継機2は、PADTパケットを加入者管理装置30へ送信し通信路を切断する。加入者管理装置30は、PADSパケットを発行してからPADTパケット受信するまでの時間内に中継機2とISPサーバ40とで送受信した通信量をそれぞれ取得し、端末1の識別子および中継機2の識別子と共に、記憶装置に記録する。加入者管理装置30は、切断指示の理由ごとにそれぞれ異なった重み係数を定めており、決済装置31から通信量の情報を求められると、取得した通信量に上記の重み係数を乗じて決済装置31に通信量として供給する。決済装置31は、重み係数を乗じた通信量に基づいて端末1の識別子ごとに中継機2の利用対価を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信機器である中継機によって無線接続サービスを貸与する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、米国電気電子技術者協会(IEEE)が策定した無線LAN(Local Area Network)規格の1つであるIEEE802.11やIEEE802.16eに準拠した通信システムが広く普及している。特に、このような通信システムに用いられる移動体通信機器のうち、いわゆるモバイルモデムやモバイルルータ、ポケットルータなどと呼ばれる移動可能な中継機(以下、モバイルルータという)の発展は目覚しい。これらモバイルルータは、広域通信網(WAN;Wide Area Network)と短距離通信網(LAN)とを無線通信でつなぐ装置である。これらにより、ユーザは外出先であっても、無線通信網に接続できる地域であれば、インターネット等の広域通信網に接続可能な無線LAN環境を得ることができる。
【0003】
ところで、一般にルータ装置の所有者は1日中ルータ装置を利用していることが少ない。したがって、例えば、利用していない時間帯などに他人にルータ装置によるインターネットへの接続機能を貸与できると、貸与に応じた対価を得ることができ、好都合である。
【0004】
このような要請に応える技術として、例えば、特許文献1には、加入者線を利用したIP網において、通信の一部を有償で別のユーザに解放して二次利用を可能とする加入者線によるデータ通信の二次利用方法及びシステム装置が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、家庭内通信設備であるルータ手段による通信路を他人に貸与して使用時間や通信量等の利用状況を記録し、これに基づいて貸与対価を決済することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3819822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、WAN側は有線接続であり、ルータ装置は家庭内に固定されたものに限られる。一方、モバイルルータは、それ自体が移動するものである。したがって、モバイルルータを使用する場合には、端末に接続を貸与している間にモバイルルータが移動して、通信が途絶える可能性があるところ、特許文献1に記載の技術はこの事態を想定していない。そして、この原因で接続が切断された場合を含め、特許文献1に記載の技術において、通信路の切断理由に関わらず通信路の利用対価は共通である。
【0007】
本発明の目的は、通信路の切断理由に応じた利用対価を決定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と無線通信する情報処理装置であって、前記複数の中継機の各位置を検知する検知手段と、前記複数の中継機のいずれかの前記確立手段により確立された通信路を介して前記端末が行った通信の履歴を取得する履歴取得手段と、前記履歴取得手段により取得された通信の履歴を、前記通信路を介して当該通信を行った端末の識別子ごとに当該通信路を確立した中継機に対応付けて記憶し、且つ、前記検知手段により検知された当該中継機の位置に基づいて、前記端末の指示に応じて前記通信路が切断された場合の第1通信と、前記中継機が移動したことにより前記通信路が切断された場合の第2通信とでそれぞれ前記通信の履歴を区別して記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された前記通信の履歴に応じた前記中継機の利用対価を、当該通信を行った端末ごとに決定し、且つ、前記第1通信と前記第2通信のそれぞれの履歴に応じて利用対価を決定する決定手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記履歴取得手段は、前記端末が行った通信の履歴を、当該通信の品質とともに取得し、前記記憶手段は、前記履歴取得手段により取得された履歴と通信の品質とを対応付けて記憶し、前記決定手段は、前記利用対価を前記通信の品質に応じて決定するとよい。
【0010】
また、好ましくは、或る端末が或る通信路を用いて通信を行っているときに、前記検知手段により検知された各位置に基づいて、前記複数の中継機のうち、前記或る端末が利用可能な中継機を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された中継機の数を前記或る端末に、前記或る通信路を介して報知する報知手段とを具備するとよい。
【0011】
また、本発明に係る通信システムは、移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と、前記複数の中継機と無線通信する上述の情報処理装置と、複数の前記通信網の各通信負荷に応じて、前記中継機に接続すべき通信網を指示する指示手段とを具備し、前記中継機の前記確立手段は、前記指示手段からの指示を受けると、指示された通信網に接続して前記通信路を確立することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記複数の中継機の少なくとも1つは、時刻に応じて前記条件を変更する変更手段を具備するとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記中継機の位置に応じて前記条件を変更する変更手段を具備するとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記通信路で遣り取りされる通信量に応じて前記条件を変更する変更手段を具備するとよい。
【0015】
また、好ましくは、前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記通信路を用いて行われる通信の通信方式に応じて前記条件を変更する変更手段を具備するとよい。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と無線通信する情報処理装置を備えたコンピュータに、前記複数の中継機の各位置を検知する検知手段と、前記複数の中継機のいずれかの前記確立手段により確立された通信路を介して前記端末が行った通信の履歴を取得する履歴取得手段と、前記履歴取得手段により取得された通信の履歴を、前記通信路を介して当該通信を行った端末の識別子ごとに当該通信路を確立した中継機に対応付けて記憶し、且つ、前記検知手段により検知された当該中継機の位置に基づいて、前記端末の指示に応じて前記通信路が切断された場合の第1通信と、前記通信路を確立した中継機が移動したことにより前記通信路が切断された場合の第2通信とでそれぞれ前記通信の履歴を区別して記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された前記通信の履歴に応じた前記中継機の利用対価を、当該通信を行った端末ごとに決定し、且つ、前記第1通信と前記第2通信のそれぞれの履歴に応じて利用対価を決定する決定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、通信路の切断理由に応じた利用対価を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】通信システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】端末の構成を示すブロック図である。
【図3】通信路確立の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図4】通信構成の再設定処理の動作を説明するシーケンス図である。
【図5】決済処理の動作を説明するシーケンス図である。
【図6】変形例における通信構成の再設定処理の動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
1.構成
図1は、通信システム9の全体構成を示す概念図である。通信システム9は、端末1、中継機2、無線通信網3、共通コア通信網4、およびコグニティブネットワークマネージャ(Cognitive Network Manager;以下、CNMという)5を有する。また、通信システム9には、さらに、資金移動業者の専用ネットワーク、全銀協(全国銀行協会)ネットワークやCAFIS(Credit And Finance Information System)網などの各種の金融ネットワークや金融機関を含む決済システム6を含む。決済システム6は、後述する決済装置31からの依頼に応じて、通知された金額を、通知された銀行口座から引き落とす、又は、通知されたクレジットカード番号に基づいて引き落とすなどの決済処理を行う。
【0020】
端末1は、IEEE802.11に準拠した無線通信により中継機2と接続する移動可能な通信端末である。
図2は、端末1の構成を示すブロック図である。端末1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、および通信部15を有し、これらはバスを介して互いに接続されている。この端末1はIEEE802.11に準拠した無線通信により中継機2が提供する無線LANサービスの提供を受ける移動可能な通信端末である。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、記憶部12やROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、端末1の各部について、バスを介して制御し、通信機能等を実現する。また、RAMは、CPUのワークエリアとして機能する。
【0022】
記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ等の大容量記憶手段であって、上述した制御プログラムを含む複数のアプリケーションプログラム(以下、アプリという)を記憶している。アプリは様々な用途に応じて作られており、例えば、電子メールの遣り取りを行うメールアプリやWEBサイト、HTMLデータの閲覧を行うブラウザアプリなどがある。
【0023】
操作部13は、例えばタッチパネルやボタンなどの操作子131を有し、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部11へ出力する。
【0024】
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、制御部11の制御により画像を表示する。
【0025】
通信部15は、制御部11の制御に応じて中継機2と無線通信を行う。
【0026】
図1に戻る。中継機2は、一般にモバイルルータと呼ばれる装置であり、無線通信網3(WAN側)と送受信する信号を端末1(LAN側)に分配(ルーティング)する装置である。中継機2は、加入者管理装置30に対するユーザ認証接続機能を持つと共に、マルチNAT(Network Address Translator)機能を有し、WAN側である共通コア通信網4におけるグローバルIPアドレスと、LAN側におけるローカルアドレス空間との対応付けをして、WAN側のISP(Internet Service Provider)サーバ40とLAN側の端末1との間に通信路を確立する。例えば、複数の端末1が中継機2と接続して、無線通信網3を介して共通コア通信網4に接続している場合に、中継機2は、認証サーバ41から付与された1つのグローバルIPアドレスを複数のアドレスに変換し、それぞれを各端末1のローカルIPアドレスに対応付けるマッピングを行う。
【0027】
中継機2は、端末1と同様にCPU、ROM、RAMを備えた制御部、不揮発性メモリ等の大容量記憶手段である記憶部、および無線通信を行う通信部を備えており、制御部は、記憶部やROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、中継機2の各部について制御し、例えば無線通信機能などを実現する。記憶部には、制御プログラムのほか、複数事業主の各専用通信網にそれぞれ応じた通信を通信部に行わせるためのアプリなど、中継機2で用いるアプリが記憶される。また、記憶部には、端末1と無線通信網3とを繋ぐ経路を記したルーティングテーブルが記憶される。
【0028】
中継機2は、予め定められたアプリを実行することにより、端末1の通信状態に関する情報をCNM5に報告し、CNM5が有する共通コア通信網4の通信状態の情報を取得しうるコグニティブ端末マネージャ(Cognitive Terminal Manager;以下、CTMという)として機能する。
【0029】
中継機2は、IEEE802.11に準拠した無線通信(第1の無線通信)により端末1と相互に接続する。すなわち、中継機2は、移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段を有する中継機の一例である。また、中継機2は、端末1の識別子を取得して認証を行う。この識別子は、例えばMACアドレス(Media Access Control address)などである。
【0030】
中継機2は、上記の認証を具体的には以下のとおり行う。中継機2は、自己に備えられた記憶装置に予め許可された端末1の識別子を記述した利用許可表を記憶している。中継機2は、この利用許可表にその端末1の識別子が記述されていることを、端末1に自身を利用させる利用条件として課す。つまり、中継機2は、端末1の識別子を取得すると、記憶装置に記憶された利用許可表と照合し、取得した識別子が許可されたものか否か、すなわち上記の利用条件を満たすものか否かを判断する。そして、取得した識別子が許可されたものであると判断した場合には、中継機2は、端末1に対して認証を与える。
【0031】
また、中継機2は、例えば、IMT−2000(International Mobile Telecommunication-2000)に準拠した第3世代移動通信(3G;第2の無線通信)により無線通信網3に接続して、認証された端末1と無線通信網3との間に通信路を確立する。すなわち、中継機2は、取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段を有する中継機の一例である。中継機2は、複数の無線通信網3のうち、少なくとも1つの無線通信網3と接続可能に構成されており、端末1と遣り取りする信号を接続先である無線通信網3に適合した信号に変換する変換装置を有している。
【0032】
無線通信網3は、予め定められた通信方式および周波数により構築された通信網であり、事業主の専用通信網である。無線通信網3は、例えば、上述の第3世代移動通信システムにより構築された通信網(無線通信網3a)や、IEEE802.16eに準拠した規格であるモバイルWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)により構築された通信網(無線通信網3b)などである。これら複数種類の無線通信網3のうち、周波数や通信方式、事業主、料金(対価)体系などの相違によりそれぞれを区別するときには、無線通信網3a、3b…と表記する。
【0033】
無線通信網3には、複数の基地局32が属している。各基地局32には、その基地局32を介して中継機2が通信可能なエリアであるセルがそれぞれ割り当てられている。基地局32は、1つまたは複数のグループごとに位置情報を示す信号を発信しており、この信号は中継機2により受信される。中継機2は、受信した信号に基づいて自己の識別子とともに位置登録の要求を基地局32へ送信する。この識別子は、例えばMACアドレスなどである。
【0034】
加入者管理装置30と決済装置31とは、いずれも無線通信網3を保有する事業主の設備である。
加入者管理装置30は、無線通信網3と接続し、無線通信網3から共通コア通信網4を利用する中継機2ごとに予め割り当てられたユーザID(Identification)とパスワードとの組を受信する。そして、加入者管理装置30は、受信したこの組を暗号化し、共通コア通信網4に接続されたISPサーバ40を介して認証サーバ41に問合せてユーザ認証を行う。
【0035】
また、加入者管理装置30は、中継機2から送信される位置登録の要求を、基地局32を経由して取得し、要求した中継機2の識別子を、予め定められている基地局32の位置情報に対応付けて、加入者管理装置30に備えられた記憶装置の位置登録データベースに登録する。すなわち、加入者管理装置30は、複数の中継機の各位置を検知する検知手段の一例である。
【0036】
また、加入者管理装置30は、各中継機2によって無線通信網3と各端末1との間に通信路が確立されてから、その通信路が切断されるまでの通信量、すなわち、各中継機により確立された通信路を介して前記端末が行った通信量を取得する。そして、加入者管理装置30は、その通信路を確立した中継機2の識別子およびその通信路を利用する端末1の識別子とともに収集して記憶装置に記憶する。すなわち、加入者管理装置30は、複数の中継機のいずれかの確立手段により確立された通信路を介して端末が行った通信の履歴を取得する履歴取得手段の一例である。そして、加入者管理装置30の記憶装置は、履歴取得手段により取得された通信の履歴を、通信路を介してその通信を行った端末の識別子ごとに当該通信路を確立した中継機に対応付けて記憶する記憶手段の一例である。
【0037】
決済装置31は、加入者管理装置30と接続されており、加入者管理装置30で収集される端末1および中継機2ごとの通信量(通信開始から通信終了までの時間やパケット数など)を、加入者管理装置30に要求するとともに、要求に応じて加入者管理装置30から供給されたこの通信量に基づいて端末1の識別子ごとに中継機2の利用対価を決定する。すなわち、決済装置31は、記憶手段により記憶された通信の履歴に応じた中継機の利用対価を、当該通信を行った端末ごとに決定する決定手段の一例である。
【0038】
例えば、決済装置31は、決済装置31の記憶装置に記憶された対価表を参照して、通信量に対応付けられた対価を決定するようにしてもよい。また、決済装置31は、通信量の単位当たりに対応付けて予め設定された単価を通信量に乗じることにより対価を決定してもよい。決済装置31は、決済システム6に接続されており、予め定められた決済のタイミングになると決済システム6に対して決定した利用対価を通知し、決済処理を依頼する。
【0039】
共通コア通信網4は、複数の無線通信網3のそれぞれに接続して共通のプラットホームを提供するネットワークであり、ここではインターネットである。共通コア通信網4は、上記のISPサーバ40を有する。ISPサーバ40は、契約を締結した中継機2のユーザに対して共通コア通信網4におけるサービスを提供するサーバ装置(情報処理装置)である。
【0040】
認証サーバ41は、ISPサーバ40に接続されており、ISPサーバ40からの求めに応じて、ユーザIDおよびパスワードの組が正当なものであるか否かについて認証する。ユーザIDが認証されると、ISPサーバ40は、認証されたユーザIDが割り当てられた中継機2に対し、共通コア通信網4におけるサービスを提供する。なお、暗号化されたユーザIDおよびパスワードは、ISPサーバ40により復号される。
【0041】
CNM5は、共通コア通信網4に設けられ、端末1および共通コア通信網4の通信状態を管理する装置(情報処理装置)である。CNM5は、共通コア通信網4を介して複数の無線通信網3の加入者管理装置30から、中継機2により無線通信網3と端末1との間に確立した通信路に関する情報を受け取る。具体的には、CNM5は、加入者管理装置30から、この通信路を確立した中継機2の識別子と、位置登録データベースにおいて、この中継機2の識別子が対応づけられている基地局32の位置情報と、この端末1の識別子との組を上記の情報として受け取る。そして、CNM5は、CNM5に備えられた記憶装置に記憶される通信状況データベースに、受け取った情報の組を登録する。この組の数は、通信路の数と同じである。
【0042】
また、CNM5は、予め中継機2の識別子ごとにその中継機2が接続可能な無線通信網3の種類についての情報を記憶装置に記憶している。したがって、CNM5は、これらの情報に基づいて複数の無線通信網3の通信負荷を把握し、把握した通信負荷に応じて、中継機2に接続すべき無線通信網3を指示する。つまり、CNM5は、複数の通信網の各通信負荷に応じて、中継機に接続すべき通信網を指示する指示手段の一例である。
【0043】
CNM5は、共通コア通信網4に接続する複数の無線通信網3に接続する複数の中継機2からの通信状態の情報を得ることができる。このため、CNM5は、共通コア通信網4内に有する全ての中継機2の位置や、現在接続している無線通信網3などに関する各中継機2の情報を把握することができ、また、中継機2がアクセスした基地局32と、中継機2との関係を集計することで、各基地局32の通信状態の情報も把握することができる。なお、例えば、各無線通信網3から共通コア通信網4への通信路を繋ぐゲートウェイルータや、そのゲートウェイルータとしての機能を備えた加入者管理装置30などにネットワークの負荷についての統計を行うネットワーク統計モニタなどの機能を付与してもよい。この場合、CNM5は、このネットワーク統計モニタからトラフィック量の情報を取得し、通信状態の情報として利用すればよい。
【0044】
2.動作
2−1.通信路確立の動作
通信システム9における通信路確立の動作を説明する。
図3は、通信路確立の動作を説明するためのシーケンス図である。
例えば、ユーザXは、端末1の所有者である。ユーザXは端末1を携帯し、公園や駅など人通りの多いエリアを散策しながら、端末1の操作部13を操作してISPサーバ40に対するネットワークサービス要求を実行する。これにより、端末1は、中継機2の送信する情報を受信したか否かによって接続可能な中継機2を検索する(ステップS101)。なお、ネットワークサービスとは、例えば、電子メールの取得、HTMLデータの閲覧などである。
【0045】
ここで、中継機2は使用するチャネル、周波数、サービスセット識別子(Service Set Identifier;SSIDという)などの無線リンク確立に必要な情報を周期的に送信している(ステップS102)。したがって、端末1が中継機2の通信エリア内に入り、接続可能な中継機2を特定すると、端末1は、自己の識別子TIDとローカルIPアドレスとを中継機2に送信する(ステップS103)。
【0046】
中継機2は、記憶装置に記憶された表を参照し、端末1から送られた識別子TIDが利用条件を満たしているか否かを判断する(ステップS104)。識別子TIDが利用条件を満たしていないと判断した場合には(ステップS104;NO)、端末1に対して利用不可の旨を通知する(ステップS105)。
【0047】
一方、識別子TIDが利用条件を満たしていると判断した場合には(ステップS104;YES)、中継機2は、端末1の識別子TIDとローカルIPアドレスとを登録し(ステップS106)、端末1に対して利用可の旨を通知する(ステップS107)。その結果、端末1と中継機2との無線リンクが確立する。なお、識別子TIDは、MACアドレスなど、端末1を一意に識別する識別子である。
【0048】
次に、端末1は、ユーザXからユーザXのISPサーバ40に対するユーザIDとパスワードの組の入力を受け付ける。具体的には、ユーザXは、端末1の表示部14を見て操作部13に備えられた操作子131を操作して、自身のISPサーバ40に対するユーザIDとパスワードとを入力する。そして、端末1は、確立した無線リンクを介して中継機2に対し、ネットワークサービスを実行するISPサーバ40を識別する識別情報(グローバルIPアドレス又はドメインネーム)、ユーザXから受け付けた上記のユーザIDとパスワードの組、および受信先として用いるTCP/IPポート番号を指定する(ステップS108)。
【0049】
この結果、端末1は、中継機2に対し、WAN側に向けたTCP/IP通信あるいはUDP通信を要求するパケットを発行する。このとき、中継機2には端末1のローカルIPアドレスが登録されているため、端末1のWAN側に対する通信要求パケットを検知し、ISPサーバ40との通信セッションを確立する実施手順に入る(ステップS109)。
【0050】
セッション確立形式は、PPPoE(Point−to−Point Protocol over Ethernet(登録商標))に準じる。中継機2は、PADI(PPPoE Active Discovery Initiation)パケットを、無線通信網3を経由して、加入者管理装置30へ送信する(ステップS109a)。
【0051】
加入者管理装置30は、PADIパケットヘの返信としてPADO(PPPoE Active Discovery Offer)パケットを中継機2に送信し(ステップS109b)、中継機2はPADOパケットヘの返信としてPADR(PPPoE Active Discovery Request)パケットを加入者管理装置30へ送信し(ステップS109c)、加入者管理装置30は、再度この返信として、PPPoEセッションを区別するセッションIDを含めたPADS(PPPoE Active Discovery Session−confirmation)パケットを送信し(ステップS109d)、中継機2は、セッションIDを入手する。
【0052】
以下、入手したセッションIDに従い、中継機2は、自己の識別子RID(SSIDでもよい)、端末1の識別子TID、ISPサーバ40の識別情報、およびユーザXのISPサーバ40に対するユーザIDとパスワードの組を、CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)/PAP(Password Authentication Protocol)実施手順で加入者管理装置30へ送信する(ステップS110)。加入者管理装置30は、受け取ったユーザIDとパスワードを暗号化し(ステップS111)、受け取った識別情報によってISPサーバ40を特定して共通コア通信網4を通し、ISPサーバ40に対して暗号化したユーザIDとパスワードとを送信する(ステップS112)。ISPサーバ40は、暗号化されたユーザIDとパスワードとを復号し(ステップS113)、認証サーバ41に送る(ステップS114)。
【0053】
認証サーバ41は、送られたユーザIDとパスワードが正当であるか否かを判断する(ステップS115)。ユーザIDとパスワードが正当ではないと判断した場合には(ステップS115;NO)、認証サーバ41は接続を禁止する旨を、ISPサーバ40、加入者管理装置30、および無線通信網3を介して中継機2に送信する(ステップS116)。
【0054】
一方、ユーザIDとパスワードが正当であると判断した場合には(ステップS115;YES)、認証サーバ41は接続を許可し、中継機2に付与するWAN側端末としてのグローバルIPアドレスを特定して、特定したグローバルIPアドレスを、ISPサーバ40を介して加入者管理装置30に送信する(ステップS117)。
【0055】
加入者管理装置30は、端末1の識別子TIDおよび中継機2の識別子RIDの組に対応付けて、グローバルIPアドレスが送信された時刻を記憶する(ステップS118)。これにより、無線通信網3を利用した端末1および中継機2ごとの通信量に関する情報の蓄積が開始される。そして加入者管理装置30は、中継機2に対し、上記のグローバルIPアドレスを付与する(ステップS119)。グローバルIPアドレスを受領した中継機2は、中継機2で持つマルチNAT機能によって、このグローバルIPアドレスを端末1のローカルIPアドレスに対応付けることにより、端末1と無線通信網3との間の通信路を確立する(ステップS120)。これにより、端末1が発行したネットワークサービス要求は、ISPサーバ40及びそのサービス固有のTCP/IPポート番号に対して送受信され、端末1はネットワークサービスを享受する。
【0056】
2−2.通信路切断の動作
次に、通信システム9における通信路切断の動作を説明する。
セッション(通信路)の切断には4つの方法がある。
第1および第2の方法は、いずれも、端末1と中継機2との間の切断によるものである。
【0057】
第1の方法は、端末1の要求によりサービス享受が正常に終了するときの方法である。端末1が享受するサービスが正常に完了し、端末1と中継機2とのネットワーク接続が切られると、中継機2は利用中のセッションIDを含めたPADT(PPPoE Active Discovery Terminate)パケットを加入者管理装置30へ送信し、加入者管理装置30及びISPサーバ40に対してPPPoEセッションを切断することで、通信路の切断を実行する。また、中継機2はPADTパケットに伴って、この切断指示が、端末1から切断の要求があったことを理由(以下、第1理由)とするものである旨の通知を加入者管理装置30へ送信する。
【0058】
第2の方法は、中継機2が移動して中継機2の通信エリア内から端末1が離れたことにより、端末1によるサービス享受が異常終了するときの方法である。
中継機2と端末1との距離が通信不可能なまでに増大するケースには、2種類のケースがある。すなわち、中継機2は移動せずに、端末1が移動する第1のケースと、中継機2が移動する第2のケースとである。このいずれのケースにおいても、端末1が中継機2の通信エリア外に移動したことを検知すると、中継機2は、端末1からの通信停止の要求を待つことなく、上記のPADTパケットを加入者管理装置30へ送信し、PPPoEセッションを切断することで、通信路の切断を実行する。これにより、端末1が享受するサービスは異常終了する。
【0059】
ところで上述したように加入者管理装置30は、位置登録データベースに中継機2の識別子を基地局32の位置情報に対応付けて登録している。したがって、加入者管理装置30は、端末1に対するサービス享受が異常終了すると、位置登録データベースを参照して中継機2が移動しているか否かを判断する。そして、加入者管理装置30は、中継機2が移動していないと判断した場合に、第1のケースとしてこの異常終了を取り扱う。第1のケースは、端末1を所持するユーザによる通信終了の意思表示である場合があるので、加入者管理装置30は、この通信切断を第1の方法による切断として処理する。
【0060】
一方、端末1に対するサービス享受が異常終了したときに、中継機2が移動していると判断した場合には、加入者管理装置30は、この通信切断を第2の方法による切断として処理する。この場合、中継機2は上記したPADTパケットに伴って、この切断指示が、中継機2の移動によって端末1が中継機2の通信エリア内から離れたことを理由(以下、第2理由)とするものである旨の通知を加入者管理装置30へ送信する。
【0061】
この第2の方法は、中継機2が無線通信網3と無線通信により接続するいわゆるモバイルルータであるために必要となる。端末1が中継機2の通信エリア外に移動したことを検知する手段は、例えば、通信がTCP/IP通信である場合には、パケットシーケンスチェックを行うための受信確認をしているため、中継機2によって検知可能である。また、通信がUDP通信である場合には、加入者管理装置30により中継機2に指示したときに限り、中継機2が端末1とのセッションにおいて受信確認を行うため、中継機2により検知可能となっている。
【0062】
加入者管理装置30は、例えば、中継機2がハンドオーバー可能に構成されている場合であって、接続先の基地局32が切り替わったときに、これを検知して中継機2に上述の指示を行ってもよい。また、中継機2にGPS(Global Positioning System)を利用した測位システムが組み込まれている場合には、中継機2の測位システムによって特定される中継機2の位置を示す情報を、通信路を介して取得して、閾値を超える距離の移動を中継機2が行ったときに、上述の指示を行ってもよい。また、端末1にも同様の測位システムが設けられている場合には、通信路を介して端末1の位置を示す情報および中継機2の位置を示す情報をそれぞれ取得して、両者間の距離を算出し、算出した距離が閾値を超えたときに、指示を行ってもよい。
【0063】
また、第3および第4の方法は、いずれも、加入者管理装置30と中継機2との間の切断によるものである。
前提として、サービスの途中で、加入者管理装置30または中継機2は、セッションの活性状態を確認するように構成されている。この確認方法は、例えばLCP(Link Control Protocol)のエコー・リクエスト・パケットを加入者管理装置30ないし中継機2から送信して、受信した中継機2ないし加入者管理装置30がエコー・リプライ・パケットを返信すればセッションが活性状態である、等のように判定する。
【0064】
第3の方法は、加入者管理装置30が、加入者管理装置30と中継機2との間の通信不活性状態を検知することにより端末1によるサービス享受が異常終了するときの方法である。具体的には、加入者管理装置30が、中継機2からの、セッションの活性状態を確認するパケットを一定時間、例えば5分間受信できなかった場合、加入者管理装置30は、中継機2へ利用中のセッションIDを含めたPADTパケットを送信して中継機2及びISPサーバ40に対してPPPoEセッションの切断を実行する。また、中継機2はPADTパケットに伴って、この切断指示が、加入者管理装置30により加入者管理装置30と中継機2との間の通信不活性状態が検知されたことを理由(以下、第3の理由という)とするものである旨の通知を加入者管理装置30へ送信する。
【0065】
第4の方法は、中継機2が、加入者管理装置30と中継機2との間の通信不活性状態を検知することにより端末1によるサービス享受が異常終了するときの方法である。中継機2が、加入者管理装置30からのセッションの活性状態を確認するパケットを一定時間、例えば3分間受信できなかった場合、中継機2は利用中のセッションIDを含めたPADTパケットを加入者管理装置30へ送信し、加入者管理装置30及びISPサーバ40に対してPPPoEセッションの切断を実行する。また、中継機2はPADTパケットに伴って、この切断指示が、中継機2により加入者管理装置30と中継機2との間の通信不活性状態が検知されたことを理由(以下、第4の理由という)とするものである旨の通知を加入者管理装置30へ送信する。
【0066】
ここで、加入者管理装置30がセッションIDを含めたPADSパケットを発行してから、加入者管理装置30がセッション終了を意味するPADTパケット受信乃至発信するまでが、ユーザXが、中継機2によるデータ通信を実行した時間とされる。また、この時間内に中継機2とISPサーバ40とで送受信したパケット数(通信量)も加入者管理装置30で把握できる。
【0067】
加入者管理装置30は、この時間情報とパケット数(通信量)をそれぞれ取得し、ユーザXの所有する端末1の識別子TID、中継機2の識別子RID、ISPサーバ40を識別する識別情報、ユーザXのISPサーバ40に対するユーザIDと共に、記憶装置に記録する。このとき、加入者管理装置30は、中継機2からPADTパケットに伴って送信された通知に基づいて、切断指示の理由(第1〜第4の理由)ごとに、上記の情報を区別して記憶する。つまり、加入者管理装置30の記憶装置は、検知手段により検知された中継機の位置に基づいて、端末の指示に応じて通信路が切断された場合の第1通信と、その通信路を確立した中継機が移動したことにより当該通信路が切断された場合の第2通信とでそれぞれ通信の履歴を区別して記憶する記憶手段の一例である。
【0068】
加入者管理装置30は、切断指示の理由ごとにそれぞれ異なった重み係数を定めている。そして、決済装置31から通信量の情報を求められると、加入者管理装置30は、取得した通信量に上記の重み係数を乗じて、決済装置31に通信量として供給する。決済装置31は、重み係数を乗じた通信量に基づいて端末1の識別子ごとに中継機2の利用対価を決定するので、端末の指示に応じて通信路が切断された場合の利用対価と、通信路を確立した中継機が移動したことにより当該通信路が切断された場合の利用対価とは異なったものとなる。つまり、第1通信と第2通信のそれぞれの履歴に応じて利用対価を決定する決定手段の一例である。
【0069】
2−3.通信構成の再設定処理の動作
図4は、通信システム9における通信構成の再設定処理の動作を説明するシーケンス図である。通信構成の再設定処理とは、中継機2が無線通信網3と端末1との間に確立した通信路が高負荷になったときに、この無線通信網3よりも負荷の低い他の無線通信網3を用いた通信路を確立する処理である。この処理は、中継機2の通信設定を変更するため、中継機2のリコンフィグレーションともいう。
【0070】
図4に示すように、まず、CNM5は各無線通信網3について通信負荷を検知する。そして、或る無線通信網3について通信速度の低下を検知すると(ステップS201)、その無線通信網3に接続している中継機2のうち、複数の無線通信網3に接続可能な中継機2に対して、通信速度が低下した旨の通知を行う(ステップS202)。この通知を受けた中継機2は、現在確立している通信路により端末1が利用している無線通信網3と異なる無線通信網3のうち、中継機2が接続可能な無線通信網3を特定し(ステップS203)、特定したこの無線通信網3についての利用状況に関する問合せの情報をCNM5に送信する(ステップS204)。
【0071】
CNM5は、問合せの情報に含まれる無線通信網3(他の無線通信網3)の利用状況に関する情報を、既に端末1が利用している無線通信網3の利用状況と比較して、低負荷であるか否かを判断する(ステップS205)。他の無線通信網3の方が低負荷であると判断しなかった場合(ステップS205;NO)、CNM5は、報告せずに処理を終了する(ステップS206)。一方、他の無線通信網3の方が低負荷であると判断した場合(ステップS205;YES)、CNM5は、この「他の無線通信網3」を接続すべき無線通信網3として指示する報告を中継機2に対して行う(ステップS207)。この報告を受信した中継機2は、中継機2は現在確立している通信路に代えて、この無線通信網3と端末1との間に新たな通信路を確立する(ステップS208)。つまり、中継機2は、指示手段からの指示を受けると、指示された通信網に接続して通信路を確立する確立手段を有する中継機の一例である。なお、ステップS206によりCNM5から報告がなされなかった場合、中継機2は、現在の通信路を使用し続ける。
【0072】
例えば、中継機2が、無線通信網3bと接続している途中で、他の中継機2の接続数が増加したため、通信速度が低下したと仮定する。CNM5は、通信速度が閾値未満に低下したことを検知すると、無線通信網3bと接続している中継機2のうち、無線通信網3b以外の無線通信網3と接続可能な中継機2に、速度低下を通知する。通知を受けた各中継機2は、無線通信網3b以外であってその中継機2が接続可能な無線通信網3の利用状況に関する問合せの情報を、CNM5に送信する。例えば、中継機2が、無線通信網3bのほかに無線通信網3cに接続可能な場合、中継機2は、無線通信網3cの利用状況に関する問合せの情報を、CNM5に送信する。
【0073】
CNM5は、全ての無線通信網3の通信状態を把握している。上述した情報問合せを受信したCNM5は、無線通信網3cの通信状態に関する情報を無線通信網3bの通信状態に関する情報と比較して、低負荷である場合には、中継機2に無線通信網3cを接続すべき無線通信網3として指示する報告をする。
【0074】
CNM5から報告を受信した中継機2は、現在接続中の無線通信網3bのアプリに替えて、無線通信網3cのアプリを設定し、無線通信網3cと端末1との間に通信路を確立する。これにより、通信システム9は、中継機2のリコンフィギュレーションを行うことができる。
【0075】
2−4.決済処理の動作
図5は、決済処理の動作を説明するシーケンス図である。決済装置31は、毎月定められた日時(例えば、25日午前0時)に、決済処理を開始する。決済装置31は、タイマが示す日時を予め定められた日時と比較して(ステップS301)、その日時が到来したと判断しない間(ステップS301;NO)は、ステップS301の判断処理を続ける。
【0076】
一方、決済装置31は、上記の日時が到来したと判断すると(ステップS301;YES)、加入者管理装置30に対して、無線通信網3を利用した端末1および中継機2ごとの通信量に関する情報を要求する(ステップS302)。加入者管理装置30は、この要求に対して、通信量の情報を供給する(ステップS303)。決済装置31は、加入者管理装置30から供給された通信量の情報に基づいて、端末1の識別子ごとに中継機2の利用対価を決定する(ステップS304)。そして、決済装置31は、決済システム6に対して決定した利用対価を通知し、決済処理を依頼する(ステップS305)。
【0077】
2−5.中継機候補の報知の動作
上述したように、加入者管理装置30は、位置登録を要求した中継機2の識別子を、予め定められている基地局32の位置情報に対応付けて、加入者管理装置30に備えられた記憶装置の位置登録データベースに登録している。中継機2によって、端末1と無線通信網3との間に通信路が確立した後、その通信路が切断されるまでの間に、加入者管理装置30は、位置登録データベースを参照して、通信路を確立した中継機2(以下、中継機2aという)が接続している基地局32の通信エリア内に存在する中継機2を、端末1が利用可能な中継機2として特定する。つまり、加入者管理装置30は、或る端末が或る通信路を用いて通信を行っているときに、検知手段により検知された各位置に基づいて、複数の中継機のうち、その或る端末が利用可能な中継機を特定する特定手段の一例である。
【0078】
そして、加入者管理装置30は、特定した中継機2を数えて、その数を、通信路を介して端末1に送信する。すなわち、加入者管理装置30は、特定手段により特定された中継機の数を或る端末に、或る通信路を介して報知する報知手段の一例である。端末1の制御部11は、表示部14に送信された数に応じた記号や図形等を表示する。これにより、端末1のユーザXは、中継機2aが移動して通信路が切断された場合に、この中継機2aの代わりとなりうる他の中継機2の数を知ることができる。例えば、端末1がハンドオーバー可能な構成である場合には、表示された記号等により示される数が多いほど、安定した通信ができる可能性が高いといえる。つまり、報知された上記の数は、例えば、大きいファイルのダウンロードをする等の通信に安定が求められる処理を行うべきか否かの判断材料とすることができる。
【0079】
また、端末1がハンドオーバー可能な構成でない場合であっても、現在利用している中継機2が移動したときに、代わりとなる中継機2が多くあることがわかっていれば、中継機2を探しまわる手間が省けるため、端末1のユーザXは安心して通信を行うことができる。
【0080】
3.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0081】
(1)上述の実施形態において、端末1は、通信回線を介して他の端末と通信を行う通信端末であったが、携帯電話機、PDA、携帯音楽再生機、携帯動画再生機、ゲーム機、電子書籍の閲覧装置、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0082】
(2)中継機2は、予め記憶された表にその端末1の識別子が記述されていることを、端末1に自身を利用させる利用条件として課していたが、他の条件を利用条件としてもよい。例えば、中継機2は、端末1の識別子の一部が一致したり、その識別子を数値として捉えたときに或る範囲内に属していたりする場合に、利用条件を満たすと判断してもよい。
【0083】
(3)また、端末1に課す利用条件は、中継機2の所有者が複数段階の利用条件から1つを選ぶことで決定されてもよい。例えば、中継機2は、レベルA,B,Cの3つの利用条件を定めている。レベルAは、3つの利用条件のうち最も条件が緩いものであり、端末1の識別子が予め定められた型式に一致しているだけで、端末1に中継機2を利用させることを許可する利用条件である。例えば、予め定められた形式がMACアドレスの型式である場合には、端末1の識別子がMACアドレスの型式に一致しているか否かを判断する。これは具体的には、識別子の桁数や文字種などによって判断される。
【0084】
一方、レベルCは、3つの利用条件のうち最も条件が厳しいものであり、中継機2に対して予め登録された識別子を有する端末1のみに、中継機2を利用させることを許可する利用条件である。これは、上述した利用許可表と同じ構成である。
【0085】
レベルBは、レベルAとレベルCの中間にあり、端末1の識別子の一部が一致する端末1のみに、中継機2を利用させることを許可する利用条件である。例えば、端末1の識別子が48ビットの符号である場合、このうち、上位40ビットが一致している識別子を同じグループに属する端末1の識別子であるとして、中継機2の利用を許可する。
【0086】
中継機2の所有者は、中継機2に備えられた操作子を操作して、レベルA,B,Cのうちいずれかを利用条件として選択する。これにより、同じ中継機2であっても、利用シーンに応じて中継機2の利用を許可する対象範囲を拡大したり縮小したりすることができる。
【0087】
例えば、中継機2の所有者の嗜好するスポーツチームの試合会場では、所有者の周囲には同じスポーツチームを嗜好する人々が多くいる。この所有者としては、これらの人々に自分の所有する中継機2を対価なしでもかまわないから使って欲しいと思うことがある。この場合には、上記の所有者は中継機2の利用条件をレベルAに設定し、周囲にいる人々に無条件で中継機2を貸与することができる。
【0088】
一方、中継機2の所有者が会社の同僚と花見をする場合、隣席の花見客には中継機2を利用させたくはないが、会社の同僚には中継機2を利用させたいと思うことがある。この場合には、上記の所有者は中継機2の利用条件をレベルCに設定し、予め識別子が登録された端末1にのみ中継機2を貸与することができる。
【0089】
なお、複数段階の利用条件は3つに限られず、2つでも4つ以上であってもよい。また、複数段階の利用条件は予め中継機2に記憶されていてもよいが、中継機2の所有者の入力の度に設定されてもよい。要するに、通信システム9は、中継機2の利用条件を設定する設定手段を具備していればよい。
【0090】
また、複数段階の利用条件は、中継機2の所有者による入力以外の方法で設定されてもよい。例えば、中継機2に予め備えられたタイマと、記憶装置に記憶されたスケジュールとを参照して、タイマが示す現在時刻がスケジュールに予め定められた時刻に到達したら、そのスケジュールにおいてその時刻に対応付けられた段階の利用条件に切り替わるように、中継機2の制御部を構成してもよい。つまり、この中継機2の制御部は、時刻に応じて利用条件を変更する変更手段の一例である。
【0091】
上述の構成であれば、例えば、中継機2の所有者が中継機2を日中よりも夜間に頻繁に利用する場合には、夜間には所有者自身が利用するので、利用条件を厳しくし、日中には利潤が出るように利用条件を緩くするように、スケジュールを記述しておくことで、中継機2は、それぞれの時間帯に適した利用がなされることとなる。
【0092】
また、利用条件の切り替えは時間帯に応じて行うものに限られない。GPS等の測位システムを中継機2が有している場合には、中継機2の制御部は、自己の位置に応じて利用条件を切り替えてもよい。つまり、この中継機2の制御部は、中継機の位置に応じて利用条件を変更する変更手段の一例である。
【0093】
また、中継機2の制御部は、通信量を複数段階に区切り、取得した通信量がどの区間に属しているかに応じて利用条件を切り替えてもよい。つまり、この中継機2の制御部は、通信路で遣り取りされる通信量に応じて利用条件を変更する変更手段の一例である。
【0094】
また、中継機2の制御部は、通信に用いられるプロトコルに応じて利用条件を切り替えてもよい。例えば、TCP/IP通信の場合には、UDP通信の場合に比べて、利用条件を厳しくするといった具合である。つまり、この中継機2の制御部は、通信路を用いて行われる通信の通信方式に応じて利用条件を変更する変更手段の一例である。
【0095】
また、中継機2が利用される場所は、試合会場や花見会場に限られない。例えば、登山者が山で中継機2を利用してもよいし、バスの乗客が、移動するバス車両内で中継機2を利用してもよい。
【0096】
(4)上述の実施形態において、通信構成の再設定処理で現在、端末1が利用している無線通信網3より、他の無線通信網3の方が低負荷であるか否かは、CNM5が判断していたが、中継機2が判断してもよい。
すなわち、通信構成の再設定処理は、例えば、以下のように行ってもよい。
【0097】
図6は、この変形例における通信構成の再設定処理の動作を説明するシーケンス図である。ステップS401〜S404は、図4に図示したステップS201〜S204と同じであるため、説明を省略する。
【0098】
CNM5は、問合せの情報に含まれる無線通信網3の利用状況に関する情報を中継機2に報告する(ステップS405)。問合せた新たな無線通信網3の利用状況に関する情報を受信した中継機2は、この無線通信網3の通信状態が、現在、端末1が利用している無線通信網3の通信状態よりも低負荷であるか否かを判断する(ステップS406)。そして、新たな無線通信網3の方がより低負荷であると判断した場合(ステップS406;YES)、中継機2は現在確立している通信路に代えて、この無線通信網3と端末1との間に新たな通信路を確立する(ステップS407)。なお、そして、新たな無線通信網3が既に端末1が利用している無線通信網3よりも低負荷ではないと判断した場合(ステップS406;NO)、中継機2は、現在の通信路を使用し続ける。
【0099】
例えば、中継機2が、無線通信網3bと接続している途中で、他の中継機2の接続数が増加したため、通信速度が低下したと仮定する。CNM5は、通信速度が閾値未満に低下したことを検知すると、無線通信網3bと接続している中継機2のうち、無線通信網3b以外の無線通信網3と接続可能な中継機2に、速度低下を通知する。通知を受けた各中継機2は、無線通信網3b以外であってその中継機2が接続可能な無線通信網3の利用状況に関する問合せの情報を、CNM5に送信する。例えば、中継機2が、無線通信網3bのほかに無線通信網3cに接続可能な場合、中継機2は、無線通信網3cの利用状況に関する問合せの情報を、CNM5に送信する。
【0100】
CNM5は、全ての無線通信網3の通信状態を把握している。上述した情報問合せを受信したCNM5は、無線通信網3cの通信状態に関する情報を中継機2に報告する。
【0101】
CNM5から回答を受信した中継機2は、無線通信網3cの通信状態が無線通信網3bの通信状態よりも混雑しておらず、より速い通信速度で無線通信が行えると判断した場合、現在接続中の無線通信網3bのアプリに替えて、無線通信網3cのアプリを設定し、無線通信網3cと端末1との間に通信路を確立する。これにより、通信システム9は、中継機2のリコンフィギュレーションを行うことができる。
【0102】
(5)上述した実施形態では、通信路切断の理由に応じて通信量に重みをかけて対価決定していたが、通信の品質に応じて、通信量に重みをかけて対価を決定するようにしても良い。
【0103】
この場合、加入者管理装置30は、全ての無線通信網3について通信負荷を検知しているCNM5に問合せて、各通信負荷に応じた通信の品質を示す情報を、無線通信網3ごと若しくは無線通信網3において確立している通信路ごとに要求する。CNM5は、この要求に応じて、各無線通信網3における若しくは各通信路における通信の品質に関する情報を加入者管理装置30に送信する。加入者管理装置30は、各通信負荷に応じた通信の品質を示す情報を取得する。すなわち、加入者管理装置30は、端末が行った通信の履歴を、当該通信の品質とともに取得する履歴取得手段の一例である。なお、通信の品質を示す情報とは、単位時間当たりのデータ伝送量やエラー発生量などである。
【0104】
通信の品質に関する情報を受信した加入者管理装置30は、上記した手順で取得した通信量に対応付けて、その品質に関する情報を記憶装置に記憶する。つまり、加入者管理装置30の記憶装置は、履歴取得手段により取得された履歴と通信の品質とを対応付けて記憶する記憶手段の一例である。
【0105】
一方、決済装置31は、端末1および中継機2ごとの通信量を加入者管理装置30に要求するとともに、その通信の品質を示す情報を要求する。そして、決済装置31は、加入者管理装置30から、これらの情報を取得すると、例えば、通信の品質が高いものほど重みがかかるように調整された重み係数を、上記の通信量に乗じて、さらにこれに単価を乗じることにより対価を決定する。つまり、決済装置31は、利用対価を通信の品質に応じて決定する決定手段の一例である。
【0106】
なお、決済装置31は、通信の品質に関わらず、通信量に単価を乗じた第1の対価を算出してユーザに請求し、その後、上述した通信の品質に応じて定まる第2の対価をユーザに返還するようにしてもよい。これにより、通信システム9は、契約時に保障されていた通信品質を下回った場合に、ユーザに対して通信の品質低下分に応じたキャッシュバックをすることができる。
【0107】
(6)上述した実施形態では、ISPサーバ40とCNM5とは異なる情報処理装置であったが、いずれか一方が他方を兼ねてもよい。また、ISPサーバ40は、認証サーバ41を兼ねてもよい。また、加入者管理装置30は、決済装置31を兼ねてもよい。
【0108】
(7)上述した実施形態において、決済装置31は、端末1および中継機2ごとの通信量に応じた対価を決定し、これを決済システム6に通知して決済処理を依頼していたが、通信量に応じた景品等を決定してもよい。この場合、決済システム6はなくてもよく、例えば、決済装置31により決定された景品等を、中継機2の所有者に贈答するようにしてもよい。すなわち、中継機2の利用に対する対価は、銀行口座において引き落とされる金額により決済されるだけではなく、景品等によって中継機2の所有者に与えられてもよい。なお、景品等には、様々な品物(有体物)のほか、サービス等の引換券やプリペイドカード、割引券等が含まれる。
【0109】
(8)上述した実施形態において、端末1は、その所有者であるユーザXからユーザX自身のISPサーバ40に対するユーザIDとパスワードの組の入力を受け付け、その組を、無線リンクを介して中継機2に指定(すなわち送信)しており、この組の送信を受けた中継機2は、これを加入者管理装置30へ送信していたが、中継機2は、端末1の識別子TIDを登録し、端末1からWAN側に対する通信要求パケットを受けたときに、加入者管理装置30へこの識別子TIDを送ることで端末1の認証動作を完了してもよい。これにより、ユーザXは、端末1にユーザIDとパスワードの組の入力をしなくても、中継機2を介したWAN側の通信を享受できるので、通信確立までに必要な手順が簡略化される。また、この場合、端末1には、操作部13や表示部14はなくてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…端末、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、131…操作子、14…表示部、15…通信部、2…中継機、3…無線通信網、30…加入者管理装置、31…決済装置、32…基地局、3a…無線通信網、3b…無線通信網、3c…無線通信網、4…共通コア通信網、40…ISPサーバ、41…認証サーバ、5…コグニティブネットワークマネージャ(CNM)、6…決済システム、9…通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と無線通信する情報処理装置であって、
前記複数の中継機の各位置を検知する検知手段と、
前記複数の中継機のいずれかの前記確立手段により確立された通信路を介して前記端末が行った通信の履歴を取得する履歴取得手段と、
前記履歴取得手段により取得された通信の履歴を、前記通信路を介して当該通信を行った端末の識別子ごとに当該通信路を確立した中継機に対応付けて記憶し、且つ、前記検知手段により検知された当該中継機の位置に基づいて、前記端末の指示に応じて前記通信路が切断された場合の第1通信と、前記中継機が移動したことにより前記通信路が切断された場合の第2通信とでそれぞれ前記通信の履歴を区別して記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記通信の履歴に応じた前記中継機の利用対価を、当該通信を行った端末ごとに決定し、且つ、前記第1通信と前記第2通信のそれぞれの履歴に応じて利用対価を決定する決定手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記履歴取得手段は、前記端末が行った通信の履歴を、当該通信の品質とともに取得し、
前記記憶手段は、前記履歴取得手段により取得された履歴と通信の品質とを対応付けて記憶し、
前記決定手段は、前記利用対価を前記通信の品質に応じて決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
或る端末が或る通信路を用いて通信を行っているときに、前記検知手段により検知された各位置に基づいて、前記複数の中継機のうち、前記或る端末が利用可能な中継機を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された中継機の数を前記或る端末に、前記或る通信路を介して報知する報知手段と
を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と、
前記複数の中継機と無線通信する請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置と、
複数の前記通信網の各通信負荷に応じて、前記中継機に接続すべき通信網を指示する指示手段と
を具備し、
前記中継機の前記確立手段は、前記指示手段からの指示を受けると、指示された通信網に接続して前記通信路を確立する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記複数の中継機の少なくとも1つは、時刻に応じて前記条件を変更する変更手段
を具備することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記中継機の位置に応じて前記条件を変更する変更手段
を具備することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項7】
前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記通信路で遣り取りされる通信量に応じて前記条件を変更する変更手段
を具備することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項8】
前記複数の中継機の少なくとも1つは、前記通信路を用いて行われる通信の通信方式に応じて前記条件を変更する変更手段
を具備することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項9】
移動可能な端末と第1の無線通信により接続して、当該端末の識別子を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された識別子が予め定められた条件を満たしている場合に、前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信により通信網と接続して、前記識別子が示す端末と当該通信網との間に通信路を確立する確立手段とを各々有する複数の中継機と無線通信する情報処理装置を備えたコンピュータに、
前記複数の中継機の各位置を検知する検知手段と、
前記複数の中継機のいずれかの前記確立手段により確立された通信路を介して前記端末が行った通信の履歴を取得する履歴取得手段と、
前記履歴取得手段により取得された通信の履歴を、前記通信路を介して当該通信を行った端末の識別子ごとに当該通信路を確立した中継機に対応付けて記憶し、且つ、前記検知手段により検知された当該中継機の位置に基づいて、前記端末の指示に応じて前記通信路が切断された場合の第1通信と、前記通信路を確立した中継機が移動したことにより前記通信路が切断された場合の第2通信とでそれぞれ前記通信の履歴を区別して記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された前記通信の履歴に応じた前記中継機の利用対価を、当該通信を行った端末ごとに決定し、且つ、前記第1通信と前記第2通信のそれぞれの履歴に応じて利用対価を決定する決定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60373(P2012−60373A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201022(P2010−201022)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(304027534)株式会社アイ・エス・ビー (2)
【Fターム(参考)】