説明

情報処理装置およびプログラム

【課題】層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができる情報処理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】階層的に配置される設定項目を利用者に提示し、提示された設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定された設定項目に付随する付随項目が存在する場合(ステップS2のYes)、付随項目を利用者に順次提示し(ステップS3)、提示された付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定操作された付随項目を設定する(ステップS5,6)。これにより、階層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複合機等の情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、スキャナ装置やそれらのOA機器が提供する機能を1台に統合したデジタル複合機(以下、MFP(Multi-Function Peripherals)という)等の装置は、デジタル技術の導入などによって取り扱う機能が飛躍的に多様となりテンキーや機能キーだけでは操作ができなくなったために、ディスプレイ上にタッチパネルを設け、画面には操作手順を示す文字や入力場所を示す絵等が表示され、利用者が絵に対応して予め設定された入力エリアに触れることによって入力を行うタッチパネル入力方法が広く普及している。
【0003】
ところで、身体障害を持った者の社会進出を促進する意味からも、身体障害を持った者が健常者と同じように働けるオフィス環境を整備することが望ましく、特に、米国では、リハビリテーション法508条が2001年6月21日から施行され、米国連邦政府はIT機器調達において障害者が利用できる機器を購入する義務があり、州政府、関連施設、民間企業にも追従の動きが出てきている。
【0004】
上述したようなMFPでは、その操作が益々複雑化する傾向にあり、ディスプレイパネルやタッチパネル等にインストラクションを表示しなければ正しく使いこなすのが困難となってきている。特に視覚障害を有する者にとっては、この傾向は決定的なバリアを生む結果となる。
【0005】
例えば、視覚障害者がMFPを操作する場合、ハードキーによる操作であれば、キーの配置を覚えることで、触覚に頼る操作もある程度可能であるが、触覚によって知覚できない液晶タッチパネル上の仮想ボタンを操作することはまったく不可能である。この操作では、操作手順とタッチエリアの位置を予め覚えておかなければならないが、操作手順やタッチエリアの位置が変わってしまった場合、利用者が覚えていた操作手順、タッチエリアの位置が無効になってしまう。このため、視覚障害を有する者にとってMFPを事実上使用不可能にしている。
【0006】
そこで、特許文献1には、利用者が機器を操作する際、当該利用者の操作指示とその結果を音と音声によって通知するようにして、視覚を使用せずに機器を操作できるようにした機器操作装置を備えた画像形成装置が開示されている。このような画像形成装置によれば、視覚を使用せずに機器の各種操作を容易に且つ確実に行うことができる。
【0007】
ところが、特許文献1に開示されているような階層メニューによって設定項目を選択する設定方式では、ひとつの設定項目(以下主項目と呼ぶ)を設定した場合に、それに伴って必ず設定しなければいけない項目(以下付随項目と呼ぶ)があった場合に、利用者がそれに気づかずに設定が十分にされないという問題点がある。例えば、ページ印字を選んだ場合には、ページを印字する位置や色、形式などを選択する必要があるが、それに気づかずに全て規定値のままになってしまうなどである。
【0008】
一方、特許文献2に開示されている発明においては、付随項目を主項目の子項目として位置づけることで、主項目を選択する時点で付随項目の表示を可能にしている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−323081号公報
【特許文献2】特許第3498871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に開示の発明によれば、付随項目の表示を利用者が確認しているという保証はない。また、このような視覚的表示では主項目の提示と同時にすべての付随項目を提示することもできるが、音声によって提示する場合にはこのような方法は提示時間が長くなって著しく煩雑にならざるを得ない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、階層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができる情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明の情報処理装置は、階層的に配置される設定項目を利用者に提示する設定項目提示手段と、この設定項目提示手段により提示された前記設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける設定項目設定受付手段と、この設定項目設定受付手段により設定された前記設定項目に付随する付随項目が存在する場合、前記付随項目を利用者に順次提示する付随項目提示手段と、この付随項目提示手段により提示された前記付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける付随項目設定受付手段と、この付随項目設定受付手段により設定操作された前記付随項目を設定する付随項目設定手段と、を備える。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記付随項目提示手段は、あらかじめ用意された複数の設定値を前記付随項目として順次提示し、前記付随項目設定受付手段は、前記各設定値に対応させたキーによる操作を受け付ける。
【0014】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2記載の情報処理装置において、前記キーは、上下左右の方向への移動によって前記各設定値に対応する方向指示キーである。
【0015】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3記載の情報処理装置において、前記付随項目提示手段は、前記方向指示キーの操作毎に対応する前記付随項目の設定値名を音声で提示する。
【0016】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記付随項目提示手段は、数値を変更可能な状態で前記付随項目として提示し、前記付随項目設定受付手段は、前記数値を変更させる数字を表現するキーによる操作を受け付ける。
【0017】
また、請求項6にかかる発明は、請求項4記載の情報処理装置において、前記付随項目提示手段は、前記数字を表現するキーの操作毎に対応する数字を音声で提示する。
【0018】
また、請求項7にかかる発明のプログラムは、階層的に配置される設定項目を利用者に提示する設定項目提示機能と、この設定項目提示機能により提示された前記設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける設定項目設定受付機能と、この設定項目設定受付機能により設定された前記設定項目に付随する付随項目が存在する場合、前記付随項目を利用者に順次提示する付随項目提示機能と、この付随項目提示機能により提示された前記付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける付随項目設定受付機能と、この付随項目設定受付機能により設定操作された前記付随項目を設定する付随項目設定機能と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1にかかる発明によれば、階層的に配置される設定項目を利用者に提示し、提示された設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定された設定項目に付随する付随項目が存在する場合、付随項目を利用者に順次提示し、提示された付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定操作された付随項目を設定する。これにより、階層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項2にかかる発明によれば、あらかじめ用意された複数の設定値を付随項目として順次提示し、各設定値に対応させたキーによる操作を受け付けることにより、付随項目の設定を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項3にかかる発明によれば、キーは、上下左右の方向への移動によって各設定値に対応する方向指示キーであることにより、階層メニュー上で設定項目を設定する方法と同じ方法で付随項目を設定できるため、学習が容易であるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項4にかかる発明によれば、方向指示キーの操作毎に対応する付随項目の設定値名を音声で提示することにより、視覚障害を持つ利用者や一時的に視覚を拘束されている利用者などに対して、付随項目の選択を確実に行わせることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項5にかかる発明によれば、数値を変更可能な状態で付随項目として提示し、数値を変更させる数字を表現するキーによる操作を受け付けることにより、付随項目に対して数値による詳細な設定を行うことができるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項6にかかる発明によれば、数字を表現するキーの操作毎に対応する数字を音声で提示することにより、視覚障害を持つ利用者や一時的に視覚を拘束されている利用者などに対して、付随項目の数値による詳細な設定を行わせることができるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項7にかかる発明によれば、階層的に配置される設定項目を利用者に提示し、提示された設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定された設定項目に付随する付随項目が存在する場合、付随項目を利用者に順次提示し、提示された付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定操作された付随項目を設定する。これにより、階層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は情報処理装置としてMFP(デジタル複合機:Multi-Function Peripherals)を適用した例である。本実施の形態は情報処理装置としてMFP(デジタル複合機:Multi-Function Peripherals)を適用した例である。なお、本発明の情報処理装置は、MFPに限ったものではなく、多様化した機能を有する装置であれば、同様の効果が期待できる。
【0028】
図1は、本発明の実施の一形態にかかるMFP100の構成を示すブロック図である。図1において、MFP100は、ホスト(図示せず)とMFP100を接続するためのホスト接続装置101、FAX回線に接続するためのFAX回線用接続装置102、LAN(Local Area Network)等のネットワークへ接続するためのネットワーク接続装置103、MFP100の各種設定操作を行うための操作部104、原稿台から画像をスキャンし画像データを作成するスキャナ装置105、作像装置や給排紙装置を備えたプリンタエンジン106、MFP全体の制御、プリンタ言語処理、ファクシミリ制御、スキャナ制御、利用者認識処理、音声出力制御、画像データ編集処理およびMFP操作に対する制御等を行う制御コントローラ107、ファクシミリ受信した画像データ、交信記録や各機能で使用した画像データを保存する記憶装置108、利用者の操作結果に応じて音および音声を出力するスピーカ、ヘッドフォン等の音出力装置109、利用者が発する操作指示の音声を入力する音声入力装置110とからなる。
【0029】
図2は、操作部104を示す正面図である。操作部104の略中央には、LCD(Liquid Crystal Display)上にタッチパネルを積層させた液晶表示部201が設けられている。この液晶表示部201には、MFP100に組み込まれている機能(FAX、コピー、プリンタ等)に対する設定項目の表示が行われ、利用者はこの表示された設定項目に値を設定することによってMFP100の操作を行う。機能の切り替えは、液晶表示部201の左側に設けられている機能キー206によって行われる。また、液晶表示部201の右側には、各機能で共通に使用する各種テンキー202、クリア/ストップキー203、スタートキー204、利用者が設定情報を確認したいときに用いる「設定確認」キー205等の各種キーが配置されている。
【0030】
図3は、制御コントローラ107の構成を示すブロック図である。制御コントローラ107は、パーソナルコンピュータを主体に構成されており、情報処理を行うCPU(Central Processing Unit)1と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)2と、情報を処理中に一時的に格納するRAM(Random Access Memory)3と、アプリケーションプログラムや処理結果等を保存する記憶部であるHDD(Hard Disk Drive)4と、情報を外部に保管又は配布し若しくは情報(アプリケーションプログラム等)を外部から入手するための記憶媒体であるリムーバブルメディア6のドライブ5とから構成され、これらの間のデータ通信をバスコントローラ7が調停して動作している。
【0031】
なお、リムーバブルメディア6としては、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等のような磁気的な記憶媒体、MOのような光磁気的な記憶媒体、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等のような光学的な記憶媒体、半導体メモリ等、各種の記憶媒体が適用できる。
【0032】
一般的には、利用者がMFP100の電源を投入すると、CPU1はROM2内のBIOSに含まれるローダーというプログラムを起動させ、HDD4からオペレーティングシステム(OS)をRAM3に読み込む。OSは起動すると、利用者の操作に応じてアプリケーションプログラムの起動、情報の読み込み、保存等をサポートする。代表的なOSとしては、Windows(Microsoft Corporationの登録商標)、UNIX(X/Open, Inc.の登録商標)等が知られている。これらのOS上で走るプログラムをアプリケーションプログラムと呼んでいる。なお、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0033】
また、一般的には、HDD4にインストールされるアプリケーションプログラムは、リムーバブルメディア6に記録され、このリムーバブルメディア6に記録されたアプリケーションプログラムがHDD4にインストールされる。このため、リムーバブルメディア6も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワーク接続装置103を介して外部から取り込まれ、HDD4にインストールされても良い。
【0034】
このような制御コントローラ107は、OS上で動作するアプリケーションプログラムが起動すると、CPU1がこのアプリケーションプログラムに従うことにより、MFP全体の制御、プリンタ言語処理、ファクシミリ制御、スキャナ制御、利用者認識処理、音声出力制御、画像データ編集処理およびMFP操作に対する制御等を行う。
【0035】
ここで、CPU1がこのアプリケーションプログラムに従って各部を制御することにより実行されるMFP100の基本的な処理動作について簡単に説明する。
【0036】
プリンタ機能を利用する場合には、制御コントローラ107は、ホスト接続装置101を介してホストから送信された印刷データ、または、ネットワーク接続装置103を介して接続されたコンピュータから送信された印刷データを制御コントローラ107の受信バッファに一時蓄えた後、プリンタ言語処理に従い画像データに展開し、プリンタエンジン106に送ることにより印刷を実行する。また、コピー機能を利用する場合には、制御コントローラ107は、スキャナ装置105から読み取られた画像データをプリンタエンジン106に送って印刷を実行する。
【0037】
また、制御コントローラ107は、操作部104の液晶表示部201に絵情報をさせ、この絵情報に従って利用者がコピーの指示を与えた場合、スキャナ装置105で読み取られた画像データを一旦記憶装置108へ格納しておく。そして、制御コントローラ107は、自身が有している画像データ編集処理により、画像データの編集、複数画像の重ね合わせ等を実行したあと、その画像データをプリンタエンジン106によって印刷したり、FAX回線用接続装置102によってFAX送信したりすることができる。
【0038】
また、制御コントローラ107は、スキャナ装置105で読み取られた画像データ、FAX回線用接続装置102を介して得たファクシミリ画像データやネットワーク接続装置103を介して得た画像データをホスト接続装置101やネットワーク接続装置103を介して外部のコンピュータへ送信し、そのコンピュータのアプリケーションで受信した画像データを再加工するようにも使うことができる。さらに、制御コントローラ107は、ネットワーク接続装置103を介してインターネットに接続した画像データサーバから画像データを取り寄せて、プリンタエンジン106によって印刷することもできる。
【0039】
次に、CPU1がアプリケーションプログラムに従って各部を制御することにより実行される本実施の形態のMFP100の特徴的な処理動作について説明する。
【0040】
本実施の形態のMFP100の利用者は、次の2種類に分類される。
(1)MFP100を視覚を使わずに操作したい人
これに分類される人は、視覚障害者、弱視者、老眼・近眼の人(以下、視覚障害者等と呼ぶ)のように操作部104の液晶表示部201の画面やタッチパネルを見て操作できない人である。または、健常者であっても、音声や音での操作を選択した人もこの分類に含まれる。この分類に属する人がMFP100を操作するときは、音声および音によって操作のガイダンスが行われることになる。MFP100のこの処理形態を「非視覚モード」と呼ぶことにする。
(2)MFP100を視覚を使って操作したい人
これに分類される人は、上記の(1)に含まれない人であって、晴眼者の健常者である。この分類に属する人がMFP100を操作するときは、操作部104の液晶表示部201のタッチパネルや各種キーによって操作が行われるが、MFP100のこの処理形態を「視覚モード」と呼ぶことにする。
【0041】
そこで、本実施の形態のMFP100は、特徴的な機能として、音声および音によって操作のガイダンスを行う「非視覚モード」と通常の「視覚モード」との何れかを選択的に実行することができるようになっている。
【0042】
ここで、図4はCPU1がアプリケーションプログラムに従うことにより実現される制御コントローラ107における特徴的な機能を示す機能ブロック図である。図4に示すように、制御コントローラ107は、操作制御部301、操作入力部302、機能制御部303、視覚表示部304、視覚制御部305、メニュー制御部306、メニューデータベース(DB)307、音声出力部308、機能実行部309、音声入力部310、音声認識部311を備えている。
【0043】
機能制御部303は、「視覚モード」または「非視覚モード」のいずれを使用するかを決定し、利用者にコピー機能やファクシミリ機能等のいずれの機能を使うかを指示させ、それに対する操作のための初期設定と全体の制御を行う。より詳細には、機能制御部303は、通常は「視覚モード」であり、利用者により操作部104の上のモード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)が押下されたことを検知し、かつ、利用者がヘッドフォンとマイクを備えたヘッドセットを挿入したことを検知した場合、「非視覚モード」の制御を行う。
【0044】
操作入力部302は、操作部104上の各種キーからのキー入力信号を受け付けて、そのキー入力信号に応じたキー操作内容を操作制御部301に対して出力する。
【0045】
操作制御部301は、操作入力部302から受け取った各種の入力操作やその処理結果を操作部104に表示する等の操作に対する制御を行う。例えば、「非視覚モード」の時には、テンキー202は階層メニューの階層構造を移動させる方向移動キーとして機能させ、「視覚モード」の時には、数字を入力するテンキーとして機能させる。「非視覚モード」の場合、その入力されたテンキー202の種別に従った機能をメニュー制御部360へ引き渡す。
【0046】
視覚表示部304は、操作部104の液晶表示部201のLCDに対し、「視覚モード」では、各種の機能や各種の設定項目を選択するための画面表示を行う。「非視覚モード」では、操作部104の液晶表示部201のLCDに対し、利用者が階層メニューから選択し確定した設定項目を画面へ表示する。なお、「非視覚モード」の場合、「非視覚モード」から一時的に「視覚モード」へ切り替えて、設定項目を選択することができる。
【0047】
視覚制御部305は、「視覚モード」では、操作部104の液晶表示部201に設置されたタッチパネルからの入力信号を受け付けて、その入力信号に応じた操作内容を操作制御部301に対して出力する。
【0048】
メニュー制御部306は、後述する階層メニューを保持するメニューデータベース(DB)307を管理している。操作入力部302から渡された入力キーの種別がメニュー上の移動を伴う場合には、入力機能番号がメニューDB307に存在するかどうかを検索し、存在すれば現在の機能番号を入力機能番号に置き換え、この置き換えられた機能番号に対応した設定項目が示す位置に移動し、その処理が行われる。また、移動を伴わないときには、そのキーに対する処理を行う。
【0049】
音声出力部308は、「非視覚モード」において、メニュー制御部306や操作制御部301の指示で、テンキー202による各種の操作および機能実行の成否を表す動作音、音声ガイダンス、BGM等を音出力装置109に対して出力する。
【0050】
音声入力部310は、操作入力部302から起動され、音声入力装置110からの利用者が発声した操作項目名、機能番号、操作項目に含まれる単語を入力し、音声認識部311を介して入力された音声を音声認識し、その結果に応じてそれぞれ機能番号へ変換し、操作入力部302へ戻す。音声認識した結果、数字が入力された場合には、認識結果を機能番号とする。また、操作項目名が入力された場合には、メニューDB307を検索して操作項目名を機能番号へ変換する。また、操作項目名に含まれる単語が入力された場合には、その単語を含む操作項目をメニューDB307の中から検索し、その結果が1つの操作項目であれば、その検索された操作項目に対応する機能番号へ変換する。検索結果が複数の時には、検索結果を読み上げてその中から利用者が選択する。
【0051】
音声認識部311は、音声入力部310によって呼び出され、現在利用者が操作している機能(コピー機能やファクシミリ機能)に対する音声認識用辞書(例えば、コピー用の辞書)を用いて、利用者が発声した音声(階層メニューの操作項目名、機能番号、操作指令等)を音声認識した結果を音声入力部310へ戻す。
【0052】
機能実行部309は、操作制御部301から渡される各種の設定項目に対する設定値を機能(例えば、コピー機能やファクシミリ機能等)に応じて定められたMFP100の制御コントローラ107内のHDD4に形成されたテーブルへ記憶させる。また、機能実行部309は、操作制御部301からの指示でMFP100の制御コントローラ107内のHDD4に形成されたテーブルに記憶された設定値によって、機能を実行させる。
【0053】
以下、制御コントローラ107による処理動作について説明する。なお、ここでは、MFP100の操作概要を「原稿を複写するときの操作」を用いて説明するが、MFP100の利用者は、上述したいずれの利用者であっても、MFP100の電源やテンキー202がどの辺にあるかは分かっており、また、MFP100の基本的な機能や操作方法を一通り勉強済みであることを前提とする。
【0054】
まず、MFP100の電源を入れた状態では、「視覚モード」で動作するように設定されているので、健常者の利用者では、そのまま操作部104の液晶表示部201の画面表示とタッチパネルとによって各種の指示を与え、MFP100を操作することができる。「非視覚モード」に「モード」の切り替えを行う場合には、モード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)を一定時間(3秒)以上押し続けることによって切り替える。なお、一旦、「非視覚モード」が設定されると液晶表示部201のタッチパネルからの指示はロックされることになるが、「モード」の切り替え指示を行うことによって、随時切り替えることができる。
【0055】
一方、「非視覚モード」でMFP100を動作させたい人は、モード切り替えキー(例えば、テンキー202の「*キー」)を押下し、ヘッドフォンとマイクを備えたヘッドセットをMFP100へ接続して、「視覚モード」から「非視覚モード」へ切り替えることによって、「非視覚モードに入りました」と音声で通知される。また、ヘッドセットとMFP100との接続は、無線通信やBluetoothを使って交信するようにしてもよい。
【0056】
その後、利用者が操作部104の機能キー206「Copy」(図2参照)を操作し、制御コントローラ107が機能キー206「Copy」(図2参照)が押されたことを認識すると、ヘッドフォンから「コピーの操作ができるようになりました」と音声で利用者へ知らせる。また、MFP100においては、FAXやコピー等の機能ごとに、あらかじめ操作可能なすべての操作項目を機能別に分類し、その分類をさらに細分化していくというように多階層を持った単一のメニューを作成しておく。例えば、「Copy」機能は、図5−1及び図5−2(この機能分類は一部分を示したに過ぎない)に示すような階層に分類される。
【0057】
ここで、メニューDB307に記憶される階層メニューの構造について説明する。MFP100で扱うFAX機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、NetFile機能等の機能ごとに、操作可能なすべての操作項目を機能別に分類し、その分類をさらに細分化していくというように多階層の木構造を持った単一のメニューを作成し、メニューDB307へ記憶しておく。
【0058】
ここで、図5はコピー機能における階層メニューを例示的に示す模式図である。図5に示すように、例えば、「カラー」、「用紙」、「変倍」のように、より詳細な設定項目がある場合には、「カラー」や「用紙」、「変倍」を1つの階層名とし、それらの階層の下にさらに「自動選択」、「等倍」、「%指定」等選択すべき階層名を配置し、最終的な設定項目になるまで細分化する。
【0059】
また、階層メニュー上の主項目(設定項目)のうちいくつかには、付随項目が関連付けられている。このような付随項目には、いくつかの選択肢の中から設定値を選ぶ「選択型」と、直接数値として設定値を指定する「数値型」がある。図5に示す例では、「カラー」の下の「単色」に対して選択型付随項目の「色」と「濃度」が、「変倍」の下の「%変倍」に対して数値型付随項目の「変倍率」が、それぞれ関連付けられている。
【0060】
また、図5に示すように、各階層の階層名および設定項目にはそれぞれ数字が対応しており、この数字を指定することによって、各階層をたどらなくても直接その設定項目を選択することができる。以下、この数字のことを「機能番号」という。
【0061】
利用者は、操作部104に設置された方向移動キーあるいはこの方向移動キーの代用可能なキー(以下、まとめて方向移動キーという)を用いて、この階層メニューの階層をたどって所望の操作項目に移動し、これを選択または値を設定するという操作を繰り返して所望の設定を完了した後に、スタートキー204を押下することによって、機能キー206「Copy」が押されている場合には原稿の複写が作成される。
【0062】
上述したような階層メニューの操作方法について説明する。上述した階層メニュー上に配置された階層名や設定項目を移動・選択操作するには、方向移動キーあるいはそれに代用可能なキーを用いるが、本実施の形態においてはテンキー202を代用して用いることにする。図6は、キーごとに割り当てられた機能を示している。
【0063】
即ち、階層の上下方向への移動をテンキー202中の垂直方向に配置されたキーの押下によって行い、同階層の隣接項目をテンキー202中の水平方向に配置されたキーにより行う。図6では、「上方移動(「2」)」キーを押下することによって階層を上にたどり、「下方移動(「8」)」キーを押下することによって階層を下にたどる。また、「左方移動(「4」)」キーを押下することによって同階層を左にたどり、「右方移動(「6」)」キーを押下することによって同階層を右にたどる。尚、上記した方向移動キーを逆に割り当てるようにしてもかまわない。
【0064】
利用者が階層メニューの下層へ移動するように指示したときに、下層の設定項目が複数ある場合、下に列挙したうちのいずれか予め定めた方法によって、次の設定項目へ移動する。
・下層の最初の項目に移動する。どれが既定値というわけでもない場合、例えば、原稿の種類を選択するときに使用する。
・下層の既に選択されている項目に移動する。例えば、その下層の設定項目に、既に設定がなされた項目があれば、その項目以降の設定の続きかまたはその項目の内容を修正するために、その既に設定がなされた項目へ移動する。
・下層の既定値を持つ項目に移動する。例えば、濃度設定の場合には、「薄い、普通、濃い」の選択項目があるが、一般に、既定値として「普通」を設定しているので、その既定値「普通」の設定項目へ移動する。
【0065】
また、利用者が水平方向の移動キーを操作して、同階層を移動する時には、その階層の端へ達した場合には、その階層の反対の端へ移動し、循環的な移動を行う。常に一定方向へ移動することによって、利用者の選択したい項目を見つけることができる。この場合、利用者は、この階層の項目数がどの程度の数なのかを把握することができず、メニュー上で迷子になってしまう可能性が高い。または、この循環移動を行わず、端にきたときそれ以上は移動しないようにしてもよい。この場合には、所望の項目を行き過ぎてしまった場合、反対方向に移動キーを押さなくてはならないが、その階層にある項目がどの程度の数であるかを把握することはできる。
【0066】
さらに、図6では、利用者が設定の途中でどの階層にいるか分からなくなった場合や、最初から選択し直したい場合には、例えば、「トップへ戻る(「1」)」キーを押下することによって、どの階層からでもトップの階層へ戻れる。この場合、それまでに選択または設定された設定項目は、MFP100に記憶しておき、移動キーや確認キーによって、それまでに設定・選択された項目へ移動することができる。
【0067】
また、図6において、「直接ジャンプ(「0」)」キーを押下することによって、利用者が設定したい階層や項目へ直接移動することができる。例えば、「直接ジャンプ」キーを押下し、さらにテンキー202から「機能番号」を入力することで、その「機能番号」に対応した階層名または項目へ移動することができる。例えば、「直接ジャンプ」キーの押下に続いて、「22」をテンキー202によって数値入力すると、MFP100は、「用紙」→「A4縦」の順で項目が選択されたものと判断する(図5参照)。
【0068】
また、上記のような「直接ジャンプ」キーによって直接設定したい項目の「機能番号」を入力するのではなく、「音声認識(「3」)」キーを押下して、利用者が「機能番号」、「階層名」や「設定項目名」を発声し、それをMFP100が認識し、その認識された項目へ直接移動することもできる。
【0069】
また、図6において、「部分クリア(「7」)」キーを押すことによって、階層メニュー上で現在いる階層から下層にある設定項目のうち、既定値を変更した設定項目の値を既定値へ戻すことができる。設定値へ戻す際、設定項目ごとに問い合わせて、戻してよいものだけを既定値へ戻すようにしてもよいし、または、既定値を変更した設定項目すべてについて戻してよいかを問い合わせるようにしてもよい。
【0070】
また、図6において、「現在位置の説明(「9」)」キーを押下することにより、現在、階層メニュー上のどの階層名または設定項目にいるのかを音声によりフィードバックする。フィードバック情報としては、例えば、階層名または設定項目名、機能番号および設定された値(部数)等がある。例えば、用紙をA4縦に設定確定した後、「現在位置の説明」キーを押下すると、「用紙はA4縦に設定されています」と音声でフィードバックされる。
【0071】
また、図2に示した「設定確認」キー205を押下することにより、利用者が既定値から変更した設定項目へ順次移動することができ、また、その設定値を変更することもできる。
【0072】
さらに、図6において、上述した各キーによって階層メニューを操作し、所望の設定項目の設定(選択または数値入力の終了)が終了したとき、その設定項目を確定するために「確定(「#」)」キーを押下する。これにより、MFP100は、確定された設定項目の内容を操作部104の液晶表示部201の画面へ表示する。
【0073】
また、図6において、「モード切り替え(「*」)」キーを押下すると、現在のモードを切り替える。現在のモードが「非視覚モード」であれば、「視覚モード」へ切り替える。但し、ヘッドセットが接続されたままであれば、音声や音等はそのヘッドセットのヘッドフォンへ出力される。従って、完全に「視覚モード」へ戻すためには、ヘッドセットも接続を切り離す必要がある。現在のモードが「視覚モード」であれば、上述のヘッドセットをMFP100へ接続することにより「非視覚モード」へ切り替えることができる。
【0074】
上述したようにテンキー202を用いて階層メニュー上に配置された階層名や設定項目を移動・選択操作を行う際に、音声によってもヘッドフォンから出力することにより、利用者へ動作結果の確認を行うことにより、その入力および操作結果が確実になされたかを利用者が認識することができ、不安を低減することができる。このときの音声は、状況に応じて音声の属性(音の高さ、声種、音質、調子、音色、話速、音場感)を変化させてフィードバックすることにより、利用者が置かれた状況を直感的に把握させることができる。
【0075】
まず、移動操作によって階層メニューをたどって、階層名や設定項目へ達したときに、その階層名や設定項目を所定の内容の音声フィードバックを行う。例えば、「フルカラー」等の設定項目へ移動したときには、その項目名を読み上げる。これにより、利用者がどの設定項目に移動したかを認識できる。
【0076】
この項目名を読み上げる際、既に選択されている項目をまだ選択されていない項目よりも高い声で読み上げる。これによって利用者に対して活性度の高いイメージを与え、その項目が現在選択されていることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。
【0077】
例えば、図5の階層メニューにおいて、「変倍」の下階層の「等倍」や「%指定」はそれらのうちのどれかひとつが選択されるべきものであるが、現在どれが選択されているかを利用者が知ることができれば「等倍」が選ばれているのにさらに「等倍」を選択するという無駄が省ける。また、例えば「原稿サイズ混載」等のような選択によってON/OFFを切り替える項目では、現在選択されているか(即ちONであるか)、選択されていないか(即ちOFFであるか)を知らなければ自分の所望の状態にセットすることができない。
【0078】
また、項目名を読み上げる際、無効な項目は有効な項目よりも低い音声によって読み上げる。これによって利用者に対して活性度の低いイメージを与え、その項目が現在無効であることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。ある項目を選択したことにより他の項目に影響を与え、その結果として他の項目を選択できないという状況になることがある。
【0079】
例えば、「用紙」に「自動選択」等が選ばれている時、「手差し用紙の紙種類」を選択することは有効ではない。このとき、選択できないのにその項目へ移動や選択ができるようにしておくと、利用者に選択できるという誤解を与えて混乱を招きかねない。しかし、その項目を一時的に階層メニューから削除したり、移動させないようにすると、階層メニューの構造が動的に変化することになり、聴覚的にのみメニュー構造を把握している利用者には何故メニュー構造が変ったかが分かりにくく混乱を招くことになる。
【0080】
以上のような読み上げの際、音声の音高の上下は通常の高さと識別可能な変化量が必要であって、かつ発声内容を明瞭に聞き取れる範囲に抑える必要がある。例えば、通常の自然発話における音域と音声合成で明瞭性を確保できる音域を考慮し、半オクターブ程度の変化量を与えるようにする。
【0081】
また、項目名を読み上げる際、下の階層の項目をもつ項目名には残響を付加して出力する。これによって利用者に対して余韻のあるイメージを与え、その項目の後にさらに細分類された項目群があることを、言語表現によるよりも素早く直感的に伝えることができる。例えば、階層メニュー上の項目には、「等倍」のようにそれ以下の階層を持たないものと、「%指定」のようにさらに下の階層の細分類項目を持つものがある。この違いを実際に下の階層へ移動せずにわかることは、利用者による階層メニューの移動作業を見通しよくすることになる。
【0082】
この残響付加は、例えば、合成音声の出力を遅延器および減衰器に通した後、その合成音声に加算することで実現できる。この場合、制御パラメータは遅延器の遅延時間と減衰器の減衰量となるが、通常の音声との識別性を向上すること、および音声の明瞭性を確保することを考慮し実験的に決定する。
【0083】
また、「部分クリア(「7」)」キーが押されたときには、階層メニュー上の現在位置から下層にある設定項目に対してなされた設定変更を読み上げて既定値へ戻してよいかを音声で問い合わせる。このとき、いちいち設定された設定値を既定値へ戻すかどうかを問い合わせるのではなく、すべての下層にある設定項目について既定値へ戻してよいかを問い合わせ、OKであれば一度に既定値へ戻すようにしてもよい。
【0084】
現在、階層メニュー上のどの設定項目にいるのかを、「現在位置の説明(「9」)」キーを押下することにより、その設定項目に対する設定項目名や設定値等の情報提供を所定の内容の音声によりフィードバックする。例えば、「用紙」を「A4縦」に設定確定した後、「現在位置の説明」キーを押下すると、「用紙はA4縦に設定されています」と音声フィードバックされる。
【0085】
設定項目の選択が終了し、「確定(「#」)」キーにて確定操作が行われたときに、その確定された内容を所定の内容の音声によりフィードバックを行う。例えば、「%指定」で「変倍率」を「200%」選択・確定したときは、「変倍は拡大200%に設定されました」という内容の音声によるフィードバックがある。
【0086】
また、設定確認キーが押下されたとき、現在の階層メニュー上の設定項目(中間階層を含めて)より下にあり、利用者が既定値から設定を変更した設定項目をまとめて音声で読み上げる。このとき、一度にすべての設定項目を音声フィードバックするのではなく、1つの設定項目につき音声フィードバックし、その設定項目に誤りがあれば修正し、移動キーを操作させて次の変更されている設定項目に移動し、最後は確定キーを押下して最終確定とするようにしてもよい。また、今までに既定値から変更した設定項目をすべて知りたいときには、一旦「トップへ戻る(「1」)」キーで階層メニューのトップへ移動してから、この設定確認キーを押すことにより一括して確認することができる。
【0087】
各設定項目に設定が完了し、スタートキーを押下することによって、MFPの動作が終了したときに、その成否を知らせる所定の内容の音声フィードバックを行う。例えば、「122%の変倍でコピーが終了しました」、「紙詰まりでコピーができませんでした」等の結果を音声にてフィードバックする。
【0088】
また、操作中や動作中にMFP100の状態を上述した設定項目の操作時の音声とは異なる話者の音声によって、動作音の後に続けて、例えば、「用紙がなくなりました」、「トナーが残り少なくなりました」、「紙詰まりが発生しました」、「フロントカバーが開いています」等と利用者へ通知する。
【0089】
上述した音声フィードバックによる音声の属性(音の高さ、声種、音質、調子、音色、話速、音場感)を変化させるつまみを用意することによって、利用者に聞き取りやすい音声出力とすることができる。また、音声フィードバックの終了を待たずに、次のキー操作がなされた場合には話速を自動的に早くすることによって、利用者のイライラ感を減らすことができる。
【0090】
すなわち、本実施の形態のMFP100における「非視覚モード」とは、設定項目を階層メニュー上に位置づけて、上下左右に方向を表すテンキー202の押下によって項目を移動し項目を選択することによって設定を行うモードであり、このとき、項目を移動するたびに移動先の項目名を音声で利用者にフィードバックすることにより、視覚障害者等にもすべての設定項目へのアクセスを保障する設定方式である。
【0091】
ここで、図7を用いて、原稿の画像が薄いためにコピー結果が濃くなるように操作するときの例を説明する。操作開始のときは、現在の階層名「部数」が利用者に音声にて知らされるので、「右方移動(「6」)」キーにより階層名「原稿」へ進む。このとき音声で「原稿」の位置にいることが知らされる。次に、この「原稿」の細分類である「濃度」を選択するために、「下方移動(「8」)」キーを用いて、階層メニューを1つ下の階層へ降りる。このとき音声で「種類」の位置にいることが知らされる。
【0092】
さらに、「原稿」の細分類の1つである階層名「濃度」へ進むために、「右方移動(「6」)」キーを押す。このとき音声で「濃度」の位置にいることが知らされる。同様に、この「濃度」の細分類である「濃く」を選択するために、「下方移動(「8」)」キーを用いて、階層メニューを1つ下の階層へ降りる。このとき音声で「自動」の位置にいることが知らされる。さらに、「濃度」の細分類の1つである階層名「濃く」へ進むために「右方移動(「6」)」キー押す。このとき音声で「濃度」の位置にいることが知らされる。これにより、利用者の要求する「原稿を濃くコピーする」設定が達成できた。
【0093】
ここで、前述した付随項目の設定処理について説明する。付随項目の設定処理は、付随項目を持つ主項目が選択された場合に開始される。この処理の流れを図8−1、図8−2、図8−3のフローチャートに示す。
【0094】
図8−1に示すように、まず、選択された主項目に関連付けられている先頭の付随項目を検索し(ステップS1)、付随項目がないと判断した場合には(ステップS2のNo)、そのまま処理を終了する。
【0095】
一方、付随項目があると判断した場合には(ステップS2のYes)、設定を行う付随項目を音声や画面表示で利用者に順次提示し(ステップS3:付随項目提示手段)、付随項目の型を判断する(ステップS4)。
【0096】
付随項目が選択型の場合には、ステップS5の選択型付随項目設定処理に進み、付随項目が数値型の場合には、ステップS6の数値型付随項目設定処理に進む。
【0097】
まず、選択型付随項目設定処理(ステップS5)について図8−2に示すフローチャートを参照して説明する。図8−2に示すように、選択型付随項目設定処理は、まず、先頭の選択肢を候補として(ステップS11)、候補を音声や画面表示でユーザーに提示する(ステップS12)。
【0098】
次に、キー入力に待機し(ステップS13〜S16)、前や次の選択肢へ移動するキーが押下され(ステップS14のYes,ステップS15のYes)、前や次の選択肢があれば(ステップS18のYes,ステップS20のYes)、ひとつ前や次の選択肢を候補とし(ステップS19,ステップS21)、ステップS12の候補の提示へ戻る。
【0099】
この際、選択肢を移動するキーは専用のキーを設けても良いが、階層メニュー上で項目を移動するための方向指示キー(テンキー202)と兼ねることで、機器の製造コストを低下させることができるとともに、階層メニュー上で設定項目を設定する方法と同じ方法で付随項目を設定できるために学習が容易であり、と利用者の学習コストを低下させることができる。
【0100】
確定キーが押下された場合には(ステップS13のYes:付随項目設定受付手段)、候補を確定してこれを設定値とし(ステップS17)、選択型付随項目設定処理を終了する。
【0101】
また、現在対象としている付随項目に対する選択肢に対応した形で、画面上に表示したソフトキーや並列に配置したハードキー(図中では直接キーと表現)を用い、これに対する押下を検出した場合には(ステップS16のYes)、直接対応する選択肢を設定値に確定し(ステップS22:付随項目設定手段)、選択型付随項目設定処理を終了する。
【0102】
このように、あらかじめ用意された複数の設定値を付随項目として順次提示し、各設定値に対応させたキーによる操作を受け付けることにより、付随項目の設定を簡単に行うことができる。また、方向指示キーの操作毎に対応する付随項目の設定値名を音声で提示することにより、視覚障害を持つ利用者や一時的に視覚を拘束されている利用者などに対して、付随項目の選択を確実に行わせることができる。
【0103】
次に、数値型付随項目設定処理(ステップS6)について図8−3に示すフローチャートを参照して説明する。図8−3に示すように、数値型付随項目設定処理は、まず、設定値をゼロとした後(ステップS31:付随項目提示手段)、数字を表現するキーであるテンキー202の入力に待機する(ステップS32,ステップS33)。
【0104】
テンキー202の数字キーの押下が検出された場合には(ステップS32のYes)、押下されたキーに対応する数nを音声や画面表示で利用者に提示し(ステップS34)、設定値を10倍してnを加え(ステップS35)、キー入力待ちに戻る。すなわち、ステップS32〜S35において、付随項目設定受付手段が実行される。
【0105】
そして、テンキー202の#キーの押下が検出された場合に(ステップS33のYes:付随項目設定手段)、数値型付随項目設定処理を終了する。
【0106】
このように、数値を変更可能な状態で付随項目として提示し、数値を変更させる数字を表現するキーであるテンキー202による操作を受け付けることにより、付随項目に対して数値による詳細な設定を行うことができる。また、数字を表現するキーであるテンキー202の操作毎に対応する数字を音声で提示することにより、視覚障害を持つ利用者や一時的に視覚を拘束されている利用者などに対して、付随項目の数値による詳細な設定を行わせることができる。
【0107】
以上のようにして、選択型付随項目設定処理(ステップS5)または数値型付随項目設定処理(ステップS6)が終了した場合には、それぞれの処理において設定された設定値を音声や画面表示で利用者に提示し(ステップS7)、次の付随項目の検索処理を行う(ステップS8)。
【0108】
ステップS2〜S8の処理は、付随項目がなくなるまで(ステップS2のNo)、繰り返えされる。
【0109】
このように本実施の形態によれば、階層的に配置される設定項目を利用者に提示し、提示された設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定された設定項目に付随する付随項目が存在する場合、付随項目を利用者に順次提示し、提示された付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付け、設定操作された付随項目を設定する。これにより、階層的に配置される設定項目に付随する付随項目の選択を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるMFPの構成を示すブロック図である。
【図2】操作部を示す正面図である。
【図3】制御コントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】制御コントローラにおける特徴的な機能を示す機能ブロック図である。
【図5】コピー機能における階層メニューを例示的に示す模式図である。
【図6】テンキーの機能配置例を示す説明図である。
【図7】階層メニューの展開例を示す説明図である。
【図8−1】付随項目の設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8−2】選択型付随項目設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8−3】数値型付随項目設定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0111】
100 情報処理装置
202 方向指示キー、数字を表現するキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層的に配置される設定項目を利用者に提示する設定項目提示手段と、
この設定項目提示手段により提示された前記設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける設定項目設定受付手段と、
この設定項目設定受付手段により設定された前記設定項目に付随する付随項目が存在する場合、前記付随項目を利用者に順次提示する付随項目提示手段と、
この付随項目提示手段により提示された前記付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける付随項目設定受付手段と、
この付随項目設定受付手段により設定操作された前記付随項目を設定する付随項目設定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記付随項目提示手段は、あらかじめ用意された複数の設定値を前記付随項目として順次提示し、
前記付随項目設定受付手段は、前記各設定値に対応させたキーによる操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記キーは、上下左右の方向への移動によって前記各設定値に対応する方向指示キーである、
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記付随項目提示手段は、前記方向指示キーの操作毎に対応する前記付随項目の設定値名を音声で提示する、
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記付随項目提示手段は、数値を変更可能な状態で前記付随項目として提示し、
前記付随項目設定受付手段は、前記数値を変更させる数字を表現するキーによる操作を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記付随項目提示手段は、前記数字を表現するキーの操作毎に対応する数字を音声で提示する、
ことを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項7】
階層的に配置される設定項目を利用者に提示する設定項目提示機能と、
この設定項目提示機能により提示された前記設定項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける設定項目設定受付機能と、
この設定項目設定受付機能により設定された前記設定項目に付随する付随項目が存在する場合、前記付随項目を利用者に順次提示する付随項目提示機能と、
この付随項目提示機能により提示された前記付随項目に対する利用者からの設定操作を受け付ける付随項目設定受付機能と、
この付随項目設定受付機能により設定操作された前記付随項目を設定する付随項目設定機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公開番号】特開2007−13905(P2007−13905A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215754(P2005−215754)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】