説明

情報提供装置および情報提供方法

【課題】所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を充足していない場合でも、ユーザにとって必要な機能を提供できる情報提供装置を提供する。
【解決手段】所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を定めた機能実行ルールを複数保持するとともに、車両の現在の走行状況から、車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、判断の結果、車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合に、現在の走行状況に基づいて、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、判断の結果、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提示することを特徴とする情報提供装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置および情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行状況に応じた機能を実行する情報提供装置が知られている。このような情報提供装置において、車両の走行状態に応じた機能を提供できない場合に、ユーザの嗜好に応じた機能を、ユーザに提供する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−101219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、車両の走行状態に応じた機能を提供できない場合に、ユーザの嗜好に応じた機能を提供するものであるため、ユーザにとって必要な機能を提供できない場合があった。
【0005】
本発明は、所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を車両が充足していない場合に、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提供することで、ユーザにとって必要な機能を提供できる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を定めた機能実行ルールを複数保持するとともに、車両の現在の走行状況から、車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、判断の結果、車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合に、現在の走行状況に基づいて、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、判断の結果、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提示することで、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合でも、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提供することで、ユーザに、車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を充足させ、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能を実行させることにより、ユーザにとって必要な機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る情報提供装置の構成を示す構成図である。
【図2】機能実行ルールの一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る情報提供処理を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る情報提供処理を説明するための図である。
【図6】機能実行ルールの他の例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る情報提供処理を説明するための図である。
【図8】機能実行ルールの他の例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
【図10】機能実行ルールの他の例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、車両に搭載され、車両のユーザ(運転手)に対して情報を提供する情報提供装置100を例示して説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、本実施形態に係る情報提供装置100の構成を示す構成図である。図1に示すように、情報提供装置100は、入力装置110、車両コントローラ120、自車位置検出装置130、データベース140、車載制御装置150、ディスプレイ160、およびスピーカ170を有する。これらの装置は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0011】
入力装置110は、例えば、ユーザの音声による入力が可能なマイクや、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネルまたはジョイスティックなどの装置である。ユーザが、入力装置110を介して、例えば、目的地の設定、走行経路の設定、または、所定の機能を実行するための操作などを行った場合に、このようなユーザによる操作の履歴情報が、車載制御装置150に送信される。
【0012】
車両コントローラ120は、車両に搭載された各種装置と接続しており、自車両の車速情報やイグニッションなどの車両情報を、これら各種装置から取得する。車両コントローラ120により取得された車両情報は、車載制御装置150に送信される。
【0013】
自車位置検出装置130は、GPS(Global Positioning System)ユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどから構成されており、複数の衛星通信から送信される電波を検出して、自車両の位置情報を、周期的に取得するとともに、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。自車位置検出装置130により検出された自車両の位置情報は、車載制御装置150に送信される。
【0014】
データベース140は、所定の機能を実行するために必要となる機能実行条件を定めた機能実行ルールを複数保持している。ここで、図2は、データベース140に保持されている機能実行ルールの一例を示す図である。図2においては、R101〜R104で示す4つの機能実行ルールを例示している。図2に示すように、機能実行ルールは、各機能実行ルールに定められた機能を実行するために、自車両が充足する必要がある条件を、機能実行条件として定めている。詳細は後述するが、図2に示す例では、機能実行条件として、ユーザ入力機能、車速、目的地の履歴情報、目的地の設定、および経路上の候補地情報に基づく機能実行条件が、各機能実行ルールごとに定められている。なお、図2において、「−」で示す機能実行条件は、機能実行ルールに定められた機能を実行するために、その機能実行条件を考慮する必要がないことを示している。
【0015】
例えば、図2に示す例において、R103で示す機能実行ルールは、目的地の履歴情報に基づいて目的地の設定を行うための「目的地設定(履歴)」機能を実行するために、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件と、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件とを充足する必要があることを定めている。ここで、ユーザ入力機能に基づく機能実行条件とは、入力装置110を介してユーザが実行を指示した機能、すなわち、ユーザにより入力された機能が、所定の機能であるか否かを示す条件であり、R103で示す機能実行ルールでは、ユーザにより入力された機能が、目的地の履歴情報に基づいて目的地の設定を行うための「目的地設定(履歴)」であることを条件としている。そのため、R103で示す機能実行ルールにおいては、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」である場合に、ユーザ入力機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件を充足することとなる。また、目的地の履歴情報に基づく機能実行条件とは、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているか否かを示す条件であり、R103で示す機能実行ルールでは、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されていることを条件としている。そのため、R103で示す機能実行ルールにおいて、例えば、ユーザにより、目的地の履歴情報から目的地が選択された場合に、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されていると判断され、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足することとなる。このように、R103で示す機能実行ルールは、ユーザが、目的地の履歴情報に基づいて、目的地を設定しようとしており、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されている場合に、目的地の履歴情報に基づいて、目的地の設定を行うための「目的地設定(履歴)」機能を実行できることを定めている。
【0016】
また、図2に示す例において、R102で示す機能実行ルールは、ユーザが所望する施設を50音検索で検索するための「目的地設定(50音)」機能を実行するために、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件と、自車両の車速が「0km/h」であるという条件とを充足する必要があることを定めている。ここで、車速に基づく機能実行条件とは、自車両の車速に関する条件であり、例えば、R102で示す機能実行ルールにおいて、車速に基づく機能実行条件は、自車両の車速が「0km/h」であることを条件としている。このように、R102で示す機能実行ルールは、ユーザが、目的地の履歴情報に基づいて目的地を設定しようとしたが、例えば、目的地の履歴情報に目的地が登録されていないため、目的地が設定できない場合でも、自車両の車速が「0km/h」であれば、目的地を履歴情報から検索する「目的地設定(履歴)」機能にかえて、目的地を50音検索で検索する「目的地設定(50音)」機能が実行可能となることを定めている。なお、図2に示す他の機能実行ルールについては、後述する。
【0017】
なお、データベース140は、機能実行ルールの他に、例えば、地図情報や地図上の施設に関する情報を記憶している。
【0018】
車載制御装置150は、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0019】
車載制御装置150は、自車両の走行情報に基づいて、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断するための処理を行う。
【0020】
具体的には、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールを判断するために、自車両の走行情報を取得する。自車両の走行情報としては、ユーザにより行われた操作の履歴情報、自車両の車速情報、イグニッション、および自車両の位置情報などが挙げられる。なお、これら走行情報のうち、ユーザにより行われた操作の履歴情報は、ユーザが、目的地の設定、自車両の予定走行経路の設定、あるいは、所定の機能を実行するために、入力装置110を操作した履歴情報であり、入力装置110から取得される。また、これら走行情報のうち、自車両の車速情報、およびイグニッションは、車両コントローラ120から取得される。さらに、これら走行情報のうち、自車両の位置情報は、自車位置検出装置130から取得される。
【0021】
そして、車載制御装置150は、取得した走行情報に基づいて、自車両が、データベース140に保持されている機能実行ルールに定められた各機能実行条件を充足するか否かを判断し、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断するための機能実行ルール判断処理を行う。
【0022】
例えば、図2に示す例において、車載制御装置150は、R101〜R104で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件について、自車両が、これらの機能実行条件をそれぞれ充足するか否かを判断する。具体的には、車載制御装置150は、R103で示す機能実行ルールについて、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件、およびユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足するか否かを判断する。また、同様に、車載制御装置150は、R102で示す機能実行ルールについて、自車両の車速が「0km/h」であるとの条件を充足するか否かを判断する。同様に、車載制御装置150は、図2に示す他の機能実行ルールに定められた機能実行条件についても、自車両が、これらの機能実行条件を充足するか否かの判断を行う。そして、図2に示す例において、例えば、自車両が、R103で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件、すなわち、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件、および、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足する場合に、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールとして、R103で示す機能実行ルールが存在すると判断することができる。
【0023】
そして、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、この機能実行ルールに定められた機能を実行するための機能実行処理を行う。この機能実行処理により、情報提供装置100は、自車両の走行状態に応じた機能を、ユーザに提供することができる。
【0024】
一方、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合、車載制御装置150は、機能実行ルールに定められた機能を実行することができない。この場合、車載制御装置150は、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断するためのルール成立可能性判断処理を行う。
【0025】
具体的には、車載制御装置150は、自車両の走行情報に基づいて、自車両が、機能実行ルールに定められた機能実行条件を充足する可能性があるか否かを判断し、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する。
【0026】
例えば、図2に示す例において、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件を充足する場合、車載制御装置150は、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であることを条件とするR102およびR103で示す機能実行ルールについて、自車両が充足する可能性がある機能実行条件があるか否かを判断する。
【0027】
例えば、R102で示す機能実行ルールについて、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足すれば、R102で示す機能実行ルールに定められた機能を実行することができる場合、車両制御装置150は、自車両の走行情報から、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足する可能性があるか否かを判断する。そして、自車両が、例えば、車速「30km/h」という比較的低速で走行している場合には、車両制御装置150は、ユーザが自車両の走行を停止し、自車両の車速を「0km/h」にすることは、ユーザが行う動作の負荷が小さく、ユーザに受け入れられやすいため、自車両の車速を「0km/h」にすることは可能であると判断し、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足する可能性があると判断することができる。これにより、R102で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件が充足されるため、車載制御装置150は、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールとして、R102で示す機能実行ルールが存在すると判断することができる。
【0028】
また、例えば、R103で示す機能実行ルールについて、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足すれば、R103で示す機能実行ルールに定められた機能を実行することができる場合、車両制御装置150は、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足する可能性があるか否かを判断する。本実施形態において、車載制御装置150は、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足する可能性はないと判断し、R103で示す機能実行ルールは、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールではないと判断することができる。
【0029】
そして、車載制御装置150は、自車両の走行情報に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件と、この機能実行ルールに定められた機能とをユーザに提示するための提示情報を生成し、生成した提示情報を、ディスプレイ160、およびスピーカ170を介して、ユーザに提示する提示処理を行う。これにより、車載制御装置150は、ユーザに、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を充足させ、機能実行ルールに定められた機能を実行させることができ、その結果、ユーザが必要な機能を、ユーザに提供することができる。
【0030】
また、本実施形態において、情報提供装置100は、車載制御装置150により生成された提示情報を、ユーザに提示するためのディスプレイ160、およびスピーカ170を備える。
【0031】
ディスプレイ160は、車載制御装置150から送信された提示情報を、ディスプレイ160に備える画面上に表示することで、提示情報を、ユーザに提示する。ディスプレイ160の設置位置は、特に限定されず、例えば、ディスプレイ160を、ユーザの直接視を伴わなくても視認可能なユーザの周辺視領域に設け、提示情報を、ユーザの周辺視領域に表示するように構成してもよい。このように、提示情報をユーザの周辺視領域に表示することで、ユーザの運転に与える影響を軽減することが可能となる。
【0032】
また、スピーカ170は、車載制御装置150から送信された提示情報を、音で出力することにより、提示情報を、ユーザに提示する。スピーカ170による提示情報の出力方法は、特に限定されず、例えば、提示情報を、言語情報を伴う音声で出力する構成としてもよいし、あるいは、言語情報を伴わない音で出力する構成としてもよい。提示情報を音声で出力することにより、ユーザにディスプレイ160の画面を注視させることなく、ユーザに提示情報を提示することができる。また、スピーカ170は、提示情報に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件と、この機能実行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、言語情報を伴わない音で示唆することにより、提示情報の内容を把握するためのユーザの負荷を軽減することができる。
【0033】
続いて、図3を参照して、本実施形態の情報提供処理について説明する。図3は、本実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。本実施形態の情報提供処理は、例えば、図1に示す入力装置110、車両コントローラ120、または自車位置検出装置130からの入力があったタイミングや、前回処理から一定時間が経過したタイミングで実行される。
【0034】
また、以下においては、図4に示す場面例を例示して説明する。図4に示す場面例は、自車両の走行中に、ユーザが、目的地の履歴情報を用いて、目的地の設定を行おうとしたが、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に存在しなかったため、ユーザが、目的地を設定できなかった場面を示す場面例である。なお、図4は、本実施形態にかかる情報提供処理を説明するための図である。
【0035】
まず、ステップS101では、車載制御装置150により、自車両の走行情報の取得が行われる。例えば、図4に示す例において、車載制御装置150は、図4に示すように、自車両の走行情報として、自車両の現在の車速である「30km/h」の車速情報を、車両コントロール120から取得する。また、図4に示す例において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報を、入力装置110から取得し、取得したユーザによる操作の履歴情報に基づいて、ユーザが、目的地の履歴情報に基づいて目的地を設定するための操作を行ったこと、および、ユーザにより目的地が選択されなかったことを検出する。さらに、図4に示す例において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報に基づいて、自車両の目的地が設定されていないこと(目的地の設定=無し)、また、自車両の予定走行経路の探索が行われておらず、予定走行経路上の候補地の検索も行われていないこと(経路上の候補地=無し)を検出する。加えて、図4に示す例において、車載制御装置150は、ユーザが目的地の履歴情報に基づいて目的地を設定するための操作を行ったこと、ユーザにより目的地が選択されなかったことから、ユーザが所望する施設は、目的地の履歴情報に登録されていないこと(目的地の履歴情報=無し)を検出する。
【0036】
ステップS102では、車載制御装置150により、ステップS101で取得された走行情報のうち、ユーザによる操作の履歴情報に基づいて、ユーザ入力機能の推定が行われる。例えば、図4に示す例において、車載制御装置150は、ユーザが目的地の履歴情報に基づいて目的地を設定するための操作を行ったこと、この操作により目的地が選択されなかったことを検出しており、これから、ユーザにより入力された機能(ユーザ入力機能)は、ユーザが目的地の履歴情報に基づいて目的地を設定するための「目的地設定(履歴)」機能であると推定する。
【0037】
そして、ステップS103では、車載制御装置150により、ステップS101で検出された走行情報、およびステップS102で推定されたユーザ入力機能に基づいて、自車両が、データベース140に保持されている機能実行ルールに定められた機能実行条件を、それぞれ充足するか否かの判断が行われる。
【0038】
図4に示す例においては、車載制御装置150は、図2のR101〜R104で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件について、自車両がこれらの機能実行条件を充足するか否かを判断する。例えば、図4に示す例において、車載制御装置150は、R102で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件、すなわち、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件、および、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足するかを判断する。ここで、図4に示す例では、ステップS102において、ユーザにより入力された機能は「目的地設定(履歴)」機能であると推定されているため、車載制御装置150は、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件を充足すると判断する。また、図4に示す例では、ステップS101において、自車両の現在の車速が「30km/h」として検出されているため、車載制御装置150は、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足しないと判断する。
【0039】
さらに、車載制御装置150は、R103で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件についても、自車両がこれらの機能実行条件を充足するか否かを判断する。例えば、車載制御装置150は、R103で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件、すなわち、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足するか否かを判断する。ここで、図4に示す例では、ステップS101において、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されていないことが検出されているため、車載制御装置150は、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足しないと判断する。同様に、車載制御装置150は、図2に示す他の機能実行ルールに定められた他の機能実行条件についても、自車両がこれらの機能実行条件を充足するか否かを判断する。
【0040】
ステップS104では、車載制御装置150により、ステップS103で判断された機能実行条件の判断結果と、前回処理において判断された機能実行条件の判断結果との比較が行われ、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件があるか否かの判断が行われる。例えば、前回処理において、自車両が所定の機能実行条件を充足しないと判断され、今回処理において、自車両が、この所定の機能実行条件を充足すると判断された場合に、車両制御装置150は、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件があると判断する。今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件がある場合は、ステップS105に進み、一方、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とに変化がない場合には、この情報提供処理を終了する。
【0041】
ステップS105では、車載制御装置150により、ステップS103の判断結果に基づいて、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断が行われる。自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断された場合はステップS106に進み、一方、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合はステップS108に進む。
【0042】
例えば、図4に示す例において、車載制御装置150は、図2においてR102で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件は充足すると判断しているが、自車両の車速が「0km/h」であるという条件は充足しないと判断している。そのため、車載制御装置150は、R102で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足していないため、R102で示す機能実行ルールは、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールではないものと判断する。同様に、車載制御装置150は、図2に示す他の機能実行ルールについても、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールであるか否かを判断する。そして、図4に示す例では、これら判断の結果、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断され、ステップS108に進むこととなる。
【0043】
次に、ステップS106では、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断されているため、車載制御装置150により、これら1または2以上の機能実行ルールのうち、機能を実行するための1の機能実行ルールの選択が行われる。また、本実施形態において、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、2以上存在する場合には、車載制御装置150は、例えば、車載制御装置150のRAMに予め記憶されている優先順位に基づいて、いずれの機能実行ルールに定められた機能を実行するかを判断し、この判断結果に基づいて、機能を実行するための機能実行ルールを選択することができる。
【0044】
そして、ステップS107では、車載制御装置150により、ステップS106で選択された機能実行ルールに定められた機能が実行される。そして、ステップS107において、機能実行ルールに定められた機能が実行された後は、この情報提供処理を終了する。なお、機能実行ルールに定められた機能を実行する際に、ディスプレイ160、およびスピーカ170を介して、機能実行ルールに定められた機能を、ユーザに提示することで、ユーザに、どのような機能が実行されるのかを、適切に把握させることができる。
【0045】
一方、ステップS106において、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合は、ステップS108に進む。ステップS108では、車載制御装置150により、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かの判断が行われる。すなわち、車載制御装置150は、ステップS101で検出された自車両の走行情報に基づいて、データベース140に保持されている機能実行ルールに定められた、自車両が充足しない機能実行条件の中に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かを判断する。特に、本実施形態においては、ユーザ入力機能に基づく機能実行条件を充足する機能実行ルールについて、自車両が、この機能実行ルールに定められた機能実行条件を充足する可能性があるか否かの判断が行われる。なお、本実施形態において、車載制御装置150は、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を、ユーザがこれら条件を充足させるために必要な時間的コスト、費用コスト、およびユーザが行う動作の負荷などに基づいて判断する。
【0046】
例えば、図4に示す例において、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件を充足すると判断されているため、車載制御装置150は、図2に示すように、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件を定めたR102およびR103で示す機能実行ルールについて、自車両が、R102およびR103で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件を充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、図4に示す例では、R102で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、自車両の車速が「0km/h」であるという条件が充足していないと判断されている。そのため、車載制御装置150は、R102に示す機能実行ルールについて、自車両が、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を将来的に充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、図4に示す例においては、自車両の現在の車速について、「30km/h」との車速情報が検出されているため、車載制御装置150は、自車両の現在の車速が「30km/h」と比較的低速であれば、ユーザが自車両の走行を停止し、自車両の車速を「0km/h」にすることは、ユーザが行う動作の負荷が小さく、ユーザに受け入れやすいため、自車両が、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足する可能性があると判断する。
【0047】
また、図4に示す例においては、R103で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、ユーザが所望する施設が目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足していないと判断されている。そのため、車載制御装置150は、R103に示す機能実行ルールについて、自車両が、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を将来的に充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、図4に示す例において、車載制御装置150は、ユーザに、ユーザが所望する施設を目的地の履歴情報に登録させることはできないため、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足する可能性はないと判断する。
【0048】
そして、ステップS109では、車載制御装置150により、ステップS108の判断結果に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断が行われる。自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断された場合は、ステップS110に進み、一方、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合は、この情報提供処理を終了する。
【0049】
例えば、図4に示す例において、車載制御装置150は、図2において、R102で示す機能実行ルールについて、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」機能であるという条件を充足しており、また、ステップS108において、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足する可能性があると判断している。そのため、車載制御装置150は、R102で示す機能実行ルールについて、自車両が全ての機能実行条件を充足する可能性があり、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールとして、R102で示す機能実行ルールが存在すると判断することができる。一方、車載制御装置150は、R103で示す機能実行ルールについて、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(履歴)」であるという条件は充足しているが、ユーザが所望する施設が、目的地の履歴情報に登録されているという条件を充足する可能性はないと判断している。そのため、車載制御装置150は、R103で示す機能実行ルールについて、自車両が全ての機能実行条件を充足する可能性はなく、R102で示す機能実行ルールは、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールではないと判断する。
【0050】
ステップS110では、ステップS109において、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断されているため、車載制御装置150により、これら1または2以上の機能実行ルールのうち、ユーザに提示するための1の機能実行ルールが、選択ルールとして選択される。なお、車載制御装置150により選択ルールを選択する方法は、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、以下に説明する方法で、選択ルールを選択することができる。すなわち、車載制御装置150は、過去のユーザの行動履歴や、ユーザが行う動作の負荷を予測し、この予測結果に基づいて、自車両が充足しやすい機能実行条件を推定することで、自車両が将来的に充足しやすい機能実行条件を定めた機能実行ルールを、選択ルールとして選択することができる。このように、ユーザの行動履歴やユーザが行う動作の負荷に基づいて、自車両が充足しやすい機能実行条件を推定することで、ユーザが受け入れやすく、自車両が将来的に充足しやすい機能実行条件を、適切に推定することができる。また、車載制御装置150は、ユーザにとって最も有益となる機能を定めた機能実行ルールを判断し、この判断結果に基づいて、選択ルールを選択してもよい。
【0051】
例えば、図4に示す例では、ステップS109において、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、R102で示す機能実行ルールの1つだけ存在していると判断されている。そのため、車載制御装置150は、ユーザに提示するための選択ルールとして、R102で示す機能実行ルールを選択する。
【0052】
そして、ステップS111では、車載制御装置150により、ステップS110で選択された選択ルールにおける、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件と、この機能実行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提示するための提示情報の生成が行われる。そして、生成された提示情報は、車載制御装置150により、ディスプレイ160、およびスピーカ170に送信される。
【0053】
例えば、図4に示す例では、ステップS110において、R102で示す機能実行ルールが、選択ルールとして選択されている。そのため、車載制御装置150は、R102で示す機能実行ルールにおいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件、すなわち、自車両の車速が「0km/h」であるという条件と、R102で示す機能実行ルールに定められた「目的地設定(50音)」という機能とを、ユーザに提示するために、「その先に退避場所がありますので、そこで止まれば”50音で探す”が使えますよ。」との提示情報を生成する。そして、生成された提示情報が、ディスプレイ160およびスピーカ170に送信される。
【0054】
ステップS112では、ステップS111で生成された提示情報が、ディスプレイ160およびスピーカ170により受信され、受信された提示情報が、これらの出力装置により出力される。
【0055】
例えば、図4に示す例においては、スピーカ170により、「その先に退避場所がありますので、そこで止まれば”50音で探す”が使えますよ。」などの提示情報が、音声で出力されるとともに、ディスプレイ160が備える画面上に、「その先に退避場所がありますので、そこで止まれば”50音で探す”が使えますよ。」との提示情報が表示される。これにより、自車両が、自車両の車速が「0km/h」であるという条件を充足することで、R102で示す機能実行ルールに定められた「目的地設定(50音)」機能が実行可能となることを、間接的に、ユーザに提示することができる。なお、図4に示す例においては、「その先に退避場所がありますので、そこで止まれば”50音で探す”が使えますよ。」との提示情報に加えて、提示情報に示す退避場所を、ディスプレイ160の画面上に表示してもよい。
【0056】
このように、第1実施形態に係る情報提供処理が行われる。
【0057】
続いて、図5を参照して、本実施形態の他の動作例について説明する。図5は、本実施形態に係る情報提供処理を説明するための図である。以下に説明する動作例は、図5に示すように、ユーザが、自車両の予定走行経路上の飲食店を検索するために、自車両の予定走行経路上に存在する施設を経由地に設定するための「目的地設定(経路上)」機能を実行したが、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)が見つからなかった場面を例示して説明する。なお、本動作例においては、ユーザにより、目的地の設定、および目的地までの予定走行経路の設定が既に行なわれているものとして説明する。
【0058】
まず、本動作例において、車載制御装置150は、図5に示すように、自車両の走行情報として、自車両の車速である「30km/h」の車速情報を、車両コントロール120から取得する。また、本動作例において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報を、入力装置110から取得し、取得したユーザによる操作の履歴情報に基づいて、ユーザにより、自車両の目的地が設定されていること(目的地の設定=有り)を検出する。さらに、本動作例において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報に基づいて、自車両の予定走行経路上において、ユーザが所望する施設の検索が行われたが、ユーザが所望する施設を見つけられなかったこと(経路上の候補地情報=無し)を検出する(ステップS101)。
【0059】
また、本動作例において、車載制御装置150は、自車両の予定走行経路上において、ユーザが所望する施設の検索が行われたが、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)を見つけられなかったことから、ユーザにより入力された機能は、自車両の予定走行経路上に存在する施設を経由地に設定するための「目的地設定(経路上)」機能であると推定する(ステップS102)。
【0060】
そして、本動作例において、車載制御装置150は、図2において、R101〜R104で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件を、自車両が充足するか否かを判断する(ステップS103)。ここで、図2に示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、目的地の設定に基づく機能実行条件とは、目的地が設定されているか否かを示す条件であり、例えば、R101で示す機能実行ルールでは、目的地が設定されていることを条件としている。また、経路上の候補地情報に基づく機能実行条件とは、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(経由地)が存在するか否かを示す条件であり、例えば、R101で示す機能実行ルールでは、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設の候補地が存在することを条件としている。
【0061】
本動作例において、ユーザにより入力された機能は、自車両の予定走行経路上で、ユーザが所望する施設を経由地に設定するための「目的地設定(経路上)」機能であると推定されているため、車載制御装置150は、R101で示す機能実行ルールに定められた、ユーザにより入力された機能が「目的地設定(経路上)」であるという条件を充足すると判断する。また、本動作例において、自車両の目的地が設定されているため、車載制御装置150は、R101で示す機能実行ルールに定められた、目的地が設定されているという条件を充足すると判断する。さらに、本動作例において、自車両の予定走行経路上において、ユーザが所望する施設を見つけられなかったことを検出しているため、車載制御装置150は、R101で示す機能実行ルールに定められた、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件を充足しないと判断する。同様に、車載制御装置150は、図2に示す他の機能実行ルールに定められた他の機能実行条件についても、自車両が、これら機能実行条件を充足するか否かを判断する。
【0062】
そして、本動作例において、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する(ステップS105)。本動作例において、車載制御装置150は、自車両が、R101で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、目的地が設定されているという条件を充足するが、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件を充足しないと判断している。そのため、車載制御装置150は、自車両が、R101で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足しないと判断する。また、本動作例において、車載制御装置150は、図2に示す他の機能実行ルールについても、これら機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足しないと判断し、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールは存在しないと判断する(ステップS105=NO)。
【0063】
そのため、車載制御装置150は、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かを判断する(ステップS108)。ここで、本動作例において、R101で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足するためには、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件を充足する必要がある。そこで、車載制御装置150は、自車両の予定走行経路上とは異なる他の経路上において、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地を検索する。そして、例えば、図5に示すように、他の経路上において、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地(図5中に星印で示す。)が多数存在する場合に、車載制御装置150は、ユーザが、予定走行経路を変更することで、変更後の予定走行経路上にユーザが所望する施設が存在することとなると判断し、自車両の予定走行経路上に、ユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件を充足する可能性があると判断することができる。そのため、車載制御装置150は、R101で示す機能実行ルールは、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールであると判断し、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在すると判断する(ステップS109=YES)。
【0064】
このように、本動作例では、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、R101で示す機能実行ルールの1つだけ存在するため、車載制御装置150は、R101で示す機能実行ルールを、選択ルールとして選択する(ステップS110)。そして、車載制御装置150は、このR101で示す選択ルールにおいて、自車両が充足する可能性がある、自車両の予定走行経路上にユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件と、R101で示す選択ルールに定められた、自車両の予定走行経路上に存在する施設を経由地に設定するための「目的地設定(経路上)」機能とが、ユーザに提示される(ステップS112)。具体的には、図5に示すように、ディスプレイ160やスピーカ170を介して、「ひとつ手前で曲がれば”経路上で探す”が使えますよ。」との提示情報がユーザに提示される。これにより、自車両の予定走行経路を変更することで、自車両の予定走行経路上にユーザが所望する施設(飲食店)の候補地が存在するという条件を充足することができ、これにより、「目的地設定(経路上)」機能が実行可能となることとを、間接的に、ユーザに示唆することができる。
【0065】
なお、本動作例において、「ひとつ手前で曲がれば”経路上で探す”が使えますよ。」との提示情報をユーザに提示するとともに、ディスプレイ160の画面上に、ユーザが所望する施設(飲食店)が存在する新たな予定走行経路を表示してもよい。また、本動作例において、ユーザに新たな予定走行経路を提示するとともに、予定走行経路を変更した場合に、どのような施設(飲食店)が利用できるかという情報を提示することで、予定走行経路を変更するか否かを、ユーザに適切に判断させるようにしてもよい。
【0066】
さらに、本動作例において、機能実行ルールは、図2に示す機能実行ルールに限定されず、例えば、図6に示すように、日時(例えば、時間帯、曜日、季節を含む)に基づく機能実行条件をさらに考慮した機能実行ルールを用いてもよい。例えば、図6に示すように、R101−1で示す機能実行ルールは、図2に示す機能実行条件に加えて、時間帯が「11:30〜13:30」の時間帯であるという条件を充足する場合に、自車両の予定走行経路上の飲食店を勧めるための「目的地設定(経路上飲食店)」機能が実行可能であることを定めている。これにより、R101−1で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足する場合に、例えば、昼食の時間帯には、ユーザに、予定走行経路上の飲食店を勧めることができる。また、図6に示すように、R101−2で示す機能実行ルールは、図2に示す機能実行条件に加えて、曜日が「土曜日、または日曜日」であるという条件、および時間帯が「11:30〜13:30以外の時間帯」であるという条件を充足する場合に、予定走行経路上のお勧めの施設を提案するための「目的地設定(経路上お勧め)」機能が実行可能であることを定めている。これにより、R101−2で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足する場合は、例えば、土曜日、または日曜日には、例えば、少し遠回りとなる場所でも、ユーザが立ち寄ったことのないお勧めの施設を、ユーザに優先的に提案することができる。さらに、図6に示すように、R101−3で示す機能実行ルールは、図2に示す機能実行条件に加えて、曜日が「月曜日から金曜日」であるという条件、および時間帯が「11:30〜13:30以外の時間帯」であるという条件を充足する場合に、予定走行経路上の一般的な施設を提案するための「目的地設定(経路上一般)」機能が実行可能であることを定めている。これにより、R101−3で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足する場合は、例えば、自車両の現在の予定走行経路から遠回りにはならない経路上の一般的な施設を、ユーザに提示することができる。また、上述した機能実行条件に加えて、季節、または日付に基づく機能実行条件を、さらに加えてもよい。
【0067】
次に、本実施形態の他の動作例について説明する。以下に説明する動作例は、自車両が市街地を走行している際に、ユーザが、現在走行している市街地の市街地図を表示しようとして、地図の表示方法を設定するための設定画面を表示させたが、この設定画面は、市街地図を表示させるためのアイコン(選択肢)がなく、そのため、ユーザが、市街地図を表示することができなかった場面を例示して説明する。なお、以下に説明する動作例において、市街地図を表示させるためには、ユーザが、例えば、図7に示す地図縮尺変更スイッチ111を操作して、ディスプレイ160の画面上に表示される地図の地図スケールを「詳細」にする必要があるものとする。なお、この地図縮尺変更スイッチ111は、中央のダイヤルが左右に回転可能となっており、ダイヤルを右側に回転させることで地図スケールを「詳細」に変更することができ、ダイヤルを左に回転させることで地図スケールを「広域」に変更することができるものである。図7は、第1実施形態に係る情報提供処理を説明するための図である。
【0068】
まず、本動作例において、車載制御装置150は、自車両の走行情報として、自車両が走行している位置情報を、自車位置検出装置130から取得する。また、車載制御装置150は、自車両の位置情報と、データベース140に記憶された地図情報とに基づいて、自車両が走行している道路の種別が「一般道路」であること(走行中の道路種別=一般道路)、自車両が市街地を走行しており、自車両が走行している市街地について市街地図情報があること(市街地図地域=YES)を検出する。また、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報を、入力装置110から取得し、取得したユーザによる操作の履歴情報に基づいて、地図スケールが「広域」に設定されていること(地図スケール=広域)、市街地図が表示されていないこと(市街地図の表示=なし)、高速道路情報が表示されていないこと(高速道路情報の表示=なし)を検出する(ステップS101)。
【0069】
また、本動作例において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報に基づいて、ユーザが、地図の表示方法を設定するための設定画面を表示させたこと、および、市街地図が表示さていないことを検出し(ステップS101)、このことから、ユーザにより入力された機能が、市街地の地図の表示を見やすくするために、市街地図を表示させるための「市街地図表示」であると推定する(ステップS102)。
【0070】
そして、本動作例において、車載制御装置150は、図8において、R201,R202で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件を、自車両が充足するか否かを判断する(ステップS103)。ここで、図8に示す機能実行ルールは、ユーザ入力機能、地図スケール、市街地図の表示、市街地図地域、高速道路情報の表示、および走行中の道路種別に基づく機能実行条件が、各機能実行ルールごとに定められている。図8に示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、地図スケールに基づく機能実行条件とは、現在の地図スケールの設定に関する条件であり、例えば、R201で示す機能実行ルールでは、地図スケールが「詳細」に設定されていることを条件としている。また、市街地図の表示に基づく機能実行条件とは、ディスプレイ160の画面上に市街地図が表示されているか否かを示す条件であり、例えば、R201で示す機能実行ルールでは、市街地図が表示されていないことを条件としている。さらに、市街地図地域に基づく機能実行条件とは、自車両が走行している地域が、市街地図に対応する地域であるか否か示す条件であり、例えば、R201で示す機能実行ルールでは、自車両が走行している地域が、市街地図に対応する地域であることを条件としている。また、高速道路情報の表示に基づく機能実行条件とは、ディスプレイ160の画面上に高速道路情報を表示しているか否かを示す条件であり、例えば、R202で示す機能実行ルールでは、高速道路情報を表示していることを条件としている。さらに、走行中の道路種別に基づく機能実行条件とは、自車両が現在走行している道路の種別に関する条件であり、例えば、R201で示す機能実行ルールでは、自車両が現在走行している道路の種別が「一般道路」であることを条件としている。
【0071】
例えば、本動作例において、ユーザにより入力された機能が、市街地図を表示するための「市街地図表示」であると推定されているため、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールに定められた、ユーザにより入力された機能が「市街地図表示」であるという条件を充足すると判断する。また、本動作例において、地図スケールが「広域」であることが検出されているため、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールに定められた、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足しないと判断する。さらに、本動作例において、市街地図を表示されていないことが検出されているため、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールに定められた、市街地図が表示されていないという条件を充足すると判断する。また、本動作例において、自車両が走行している市街地について市街地図情報があることが検出されているため、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールに定められた、自車両が走行している地域が、市街地図に対応する地域であるという条件を充足すると判断する。さらに、本動作例において、高速道路情報が表示されていないことが検出されているため、車載制御装置150は、R202で示す機能実行ルールに 定められた、高速道路情報を表示していないという条件を充足すると判断する。加えて、本動作例において、車載制御装置150は、自車両が走行している道路の種別が「一般道路」であることが検出されているため、R201で示す機能実行ルールに定められた、自車両が現在走行している道路の種別が「一般道路」であるという条件を充足し、R202で示す機能実行ルールに定められた、自車両が現在走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件を充足しないと判断する。
【0072】
次に、本動作例において、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する(ステップS105)。本動作例において、自車両は、ユーザにより入力された機能が「市街地図表示」であるという条件を充足するため、車載制御装置150は、図8に示すように、R201およびR202で示す機能実行ルールについて、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する。本動作例においては、R201で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、市街地図が表示されていないという条件、自車両が走行している地域が市街地図に対応する地域であるという条件、および自車両が走行している道路の種別が「一般道路」であるという条件を充足するが、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足しないと判断されている。そのため、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足しないと判断する。また、本動作例において、R202で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件のうち、市街地図が表示されていないという条件、および高速道路情報が表示されていないという条件を充足するが、自車両が走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件を充足しないと判断されている。そのため、車載制御装置150は、R202で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足していないと判断する。その結果、車載制御装置150は、R201およびR202で示す機能実行ルールは、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールではなく、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールは存在しないと判断する(ステップS105=NO)。
【0073】
そのため、車載制御装置150は、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かを判断する(ステップS108)。ここで、本動作例において、R201で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足するためには、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足する必要がある。そのため、車載制御装置150は、自車両が、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、本動作例においては、ユーザが、図7に示す地図縮尺変更スイッチ111を操作し、地図スケールを「詳細」に変更することで、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足することができる。車載制御装置150は、ユーザが、地図縮尺変更スイッチ111を操作し、地図スケールを「詳細」に変更することは、ユーザが行う動作の負荷が小さく、ユーザに受け入れられやすいと判断し、自車両が、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足する可能性があると判断する。その結果、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールは、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールであると判断する。
【0074】
また、本動作例において、R202で示す機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足するためには、自車両が現在走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件を充足する必要がある。そのため、車載制御装置150は、自車両が走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件を充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、本動作例おいて、自車両の位置の近くに高速道路のインターが存在する場合、車載制御装置150は、自車両が、高速道路のインターから入り口から高速道路に入ることで、自車両が走行する道路の種別を「高速道路」とすることができ、自車両が走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件を充足する可能性があると判断する。そのため、車載制御装置150は、R202で示す機能実行ルールは、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールであると判断する。
【0075】
このように、本動作例においては、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールとして、R201およびR202で示す2つの機能実行ルールが存在すると判断される(ステップS109=YES)。そのため、車載制御装置150は、これら2つの機能実行ルールのうち、ユーザに提示するための機能実行ルールを、選択ルールとして選択する(ステップS110)。
【0076】
本動作例では、車載制御装置150は、ユーザが高速道路を走行することよりも、ユーザが、図7に示す地図縮尺変更スイッチ111を操作して、地図スケールを「詳細」にすることのほうが、ユーザに行わせる動作の負荷が少ないと判断し、自車両が走行している道路の種別が「高速道路」であるという条件よりも、地図スケールが「詳細」であるという条件のほうが充足しやすいと推定する。そして、この推定結果に基づき、車載制御装置150は、地図スケールが「詳細」であるという条件を定めたR201で示す機能実行ルールを、選択ルールとして選択する(ステップS110)。
【0077】
そして、車載制御装置150は、R201で示す機能実行ルールにおいて、自車両が充足する可能性がある、地図スケールが「詳細」であるという条件と、R201で示す選択ルールに定められた、地図表示を市街地図に切り替えるための「市街地図表示」機能が、ユーザに提示される(ステップS112)。具体的には、ディスプレイ160やスピーカ170を介して、「地図スケールを詳細に変更すれば、市街地図を表示できます。」との提示情報を、ユーザに提示することができる。また、本動作例において、車載制御装置150は、例えば、「地図スケールを詳細に変更すれば市街地図を表示できます。詳細に変更しますか?」のように、ユーザに許諾を得るような提示情報を生成し、ユーザに提示してもよい。これにより、地図スケールが「詳細」であるという条件を充足することで、「市街地図表示」が実行可能となることとを、間接的に、ユーザに示唆することができる。
【0078】
さらに、本動作例においては、上述した提示情報の提示方法にかえ、または、上述した提示情報の提示方法とともに、図7に示すように、ユーザに、地図スケールを「詳細」に変更させるために、地図縮尺変更スイッチ111を点灯する構成としてもよい。本動作例では、図7に示すように、地図縮尺変更スイッチ111のダイヤルの右側矢印を点灯することで、ユーザに、地図縮尺変更スイッチ111のダイヤルを右に回転させることができ、これにより、地図スケールを「詳細」に変更させることができる。このように、機能実行条件を充足するために必要な入力を行わせるために、入力が必要な入力装置110を点灯することで、ユーザに、機能実行条件を充足するための操作を適切に把握させることができ、これにより、ユーザが必要な機能を適切に実行させることができる。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る情報提供装置100は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合に、自車両の走行情報に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かを判断し、この判断結果に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する。そして、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件と、この機能実行ルールに定められた機能とを、ユーザに提示する。これにより、情報提供装置100は、ユーザに、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を充足させることができ、この機能実行条件を充足することにより実行可能となる機能を実行させることができるため、その結果、ユーザにとって必要な機能を、ユーザに提供することができる。
【0080】
また、本実施形態では、機能実行ルールに定められた機能実行条件を、自車両の車速情報、ユーザによる操作の履歴情報、自車両の位置情報などの自車両の走行情報に基づく条件とすることで、自車両の走行状態に応じた機能を、ユーザに適切に提供することができる。さらに、本実施形態において、機能実行ルールに定められた機能実行条件を、ユーザにより入力された機能(ユーザ入力機能)に基づく条件とすることで、ユーザの意図や感情を考慮した機能を、ユーザに適切に提供することができる。
【0081】
さらに、本実施形態において、データベース140に保持される機能実行ルールは、機能実行条件を充足する場合に、一般的に実行される頻度の高い機能を定めたものである。このように、機能実行ルールを、所定の機能実行条件を充足する場合に、一般的に実行される頻度の高い機能を定めたものとすることで、ユーザに、自車両の走行状態に合った機能を適切に提供することができるとともに、どのような走行状態で他のユーザが所定の機能を利用しているかを、ユーザに把握させることができる。また、本実施形態において、機能実行ルールを、所定の機能実行条件を充足する場合に、ユーザにより実行される頻度の高い機能を定めたものとすることもできる。このように、機能実行ルールを、所定の機能実行条件を充足する場合に、ユーザにより実行される頻度の高い機能を定めたものとすることで、ユーザに適した機能を提供することができるとともに、ユーザが普段よく利用する機能が、どのような機能実行条件で利用できるのかを、ユーザに把握させることができる。
【0082】
≪第2実施形態≫
続いて、第2実施形態に係る情報提供装置100について説明する。第2実施形態に係る情報提供装置100は、図1に示す第1実施形態に係る情報提供装置100と同様の構成を有するものであり、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態と同様である。以下において、図9を参照して、第2実施形態に係る情報提供装置100の動作について説明する。なお、図9は、第2実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
【0083】
また、第2実施形態においては、図10に示すように、R301で示す機能実行ルールと、R302で示す機能実行ルールとが、データベース140に保持されているものとして説明する。なお、図10は、機能実行ルールの他の一例を示す図である。R301で示す機能実行ルールは、目的地の設定をユーザに提案するための「目的地設定提案」機能を実行するために、イグニッションがオンであるという条件を充足する必要があることを定めている。ここで、図10に示すイグニッションに基づく機能実行条件とは、イグニッションがオンであるか否かを示す条件であり、R301で示す機能実行ルールでは、イグニッションがオンであることを条件としている。また、R302で示す機能実行ルールは、ハンズフリー通話を可能とするために、携帯電話機と情報提供装置100とを自動的に接続するための「ハンズフリー通信自動接続」機能を実行するために、イグニッションがオンであるという条件、および、情報提供装置100とbluetooth(登録商標)通信で接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足する必要があることを示している。ここで、図10に示す携帯電話機検出に基づく機能実行条件とは、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているか否かを示す条件であり、R302で示す機能実行ルールでは、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されていることを条件としている。
【0084】
また、第2実施形態では、以下の場面を例示して、第2実施形態に係る情報提供処理を説明する。すなわち、第2実施形態では、ユーザは、普段から、携帯電話機と情報提供装置100とをBluetooth通信で接続することで、ハンズフリー通話を利用しているところ、ユーザが、携帯電話機と情報提供装置100とをBluetooth通信で接続するために必要な携帯電話機の接続可能モードをオンにすることを忘れて、携帯電話機の接続可能モードがオフとなっているため、ハンズフリー通話を利用できない場面を例示して説明する。なお、この場面例において、ユーザが、ハンズフリー通話を利用できるようにするためには、携帯電話機の接続可能モードをオンにし、携帯電話機と情報提供装置100とをBluetooth通信で接続する必要があるものとする。
【0085】
まず、ステップS201では、第1実施形態のステップS101と同様に、自車両の走行情報が取得される。ここで、本場面例においては、ユーザにより、イグニッションがオンにされており、自車両の走行情報として、イグニッションがオンであることが、車両コントローラ120から取得される。また、本場面例においては、携帯電話機の接続可能モードがオフとなっているため、車載制御装置150により、情報提供装置100とBluetooth通信で接続可能な携帯電話機は存在しないと判断され、情報提供装置100とBluetooth通信で接続可能な携帯電話機がないことが検出される。
【0086】
また、ステップS202では、第1実施形態のステップS103と同様に、自車両が所定の機能実行条件を充足しているか否かの判断が行われる。例えば、本場面例において、車載制御装置150は、図10において、R301,R302で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件を、自車両が充足するか否かを判断する。例えば、車載制御装置150は、R301,R302で示す機能実行ルールに定められた、イグニッションがオンであるという条件、および、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足するか否かを判断する。ここで、本場面例においては、ステップS201において、イグニッションがオンであることが検出されているため、車載制御装置150は、イグニッションがオンであるという条件を充足すると判断する。また、図4に示す例では、ステップS201において、情報提供装置100と接続可能な携帯電話機がないことが検出されているため、車載制御装置150は、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足しないと判断する。
【0087】
そして、ステップS203では、第1実施形態のステップS104と同様に、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件があるか否か判断され、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件がある場合(ステップS203=YES)に、ステップS204に進む。
【0088】
ステップS204では、第1実施形態のステップS105と同様に、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断が行われる。自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在する場合はステップS205に進み、一方、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合はステップS206に進む。
【0089】
本場面例において、車載制御装置150は、R301で示す機能実行ルールについて、イグニッションがオンであるという条件を充足すると判断している。そのため、車載制御装置150は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールとして、R301で示す機能実行ルールが存在すると判断される。一方、車載制御装置150は、R302で示す機能実行ルールについて、イグニッションがオンであるという条件を充足するが、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足しないと判断している。そのため、車載制御装置150は、R302で示す機能実行ルールは、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールではないと判断する。この結果、本場面例において、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、R301で示す機能実行ルールの1つだけ存在すると判断され、ステップS205に進む。
【0090】
ステップS205では、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断されているため、車載制御装置150により、これら1または2以上の機能実行ルールのうち、機能実行ルールに定められた機能を実行するための1の機能実行ルールの選択が行われる。本場面例においては、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、R301で示す機能実行ルールの1つだけ存在すると判断されているため、R301で示す機能実行ルールが、機能実行ルールに定められた機能を実行するための機能実行ルールとして選択される。
【0091】
ここで、第2実施形態に係る情報提供処理においては、第1実施形態に係る情報提供処理と異なり、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが1または2以上存在し、機能実行ルールに定められた機能を実行するための1の機能実行ルールが選択されている場合でも、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断を行うために、ステップS206に進む。
【0092】
ステップ206〜S208では、第1実施形態のステップS108〜S110と同様に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かの判断が行われ(ステップS206)、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか判断される(ステップS207)。そして、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在する場合(ステップS207=YES)に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールのうち、1の機能実行ルールが、選択ルールとして選択される(ステップS208)。なお、第2実施形態では、ステップS207において、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合(ステップS207=NO)に、ステップS209に進む。
【0093】
例えば、本動作例においては、R302で示す機能実行ルールに定められた機能実行条件、すなわち、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足しないと判断されている。そのため、車載制御装置150は、自車両が、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足する可能性があるか否かを判断する。ここで、本動作例では、ユーザが、ユーザの携帯電話機を操作し、携帯電話機の接続可能モードをオンにすれば、ユーザの携帯電話機を、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な状態にすることができ、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機を検出することができる可能性がある。そのため、車載制御装置150は、自車両が、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足する可能性があると判断し(ステップS206)、これにより、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、R302で示す機能実行ルールの1つだけ存在すると判断し(ステップS207=YES)、R302で示す機能実行ルールを選択ルールとして選択する(ステップS208)。
【0094】
ステップS209では、第1実施形態と異なり、車載制御装置150により、ステップS205で選択された機能実行ルールを実行するか、ステップS208で選択された選択ルールに基づく提示情報をユーザに提示するかの判断が行われる。具体的には、車載制御装置150は、ステップS205で機能実行ルールが選択されており、かつ、ステップS208で選択ルールが選択されている場合に、ステップS205で選択された機能実行ルールに定められた機能を実行することと、ステップS208で選択された選択ルールに基づく提示情報をユーザに提示し、選択ルールに定められた機能を実行させることのいずれが、ユーザにとって有益となるかを判断し、ユーザにとって有益となる行動を選択する。
【0095】
例えば、本場面例においては、ステップS205において、R301で示す機能実行ルールが選択されており、一方、ステップS208において、R302で示す機能実行ルールが選択されている。そのため、車載制御装置150は、R301で示す機能実行ルールに定められた機能を実行することと、R302で示す機能実行ルールに基づく提示情報を提示し、R302で示す機能実行ルールに定められた機能を実行させることとのいずれが、ユーザにとって有益となるかを判断する。ここで、本場面例において、ユーザは普段からハンズフリー通話をよく利用しているため、車載制御装置150は、ユーザが比較的容易に行える目的地の設定を提案することよりも、ユーザがよく利用するハンズフリー通話を可能とするために、携帯電話機と車載制御装置150とのBluetooth通信を確立するほうが、ユーザとって有益であると判断し、R302で示す機能実行ルールに基づく提示情報を提示することを選択する。
【0096】
また、ステップS209において、車載制御装置150は、ステップS205で機能実行ルールが選択されており、かつ、ステップS208で選択ルールが選択されていない場合に、ステップS205で選択された機能実行ルールに定められた機能を実行することを選択する。また反対に、車載制御装置150は、ステップS205で機能実行ルールが選択されておらず、かつ、ステップS208で選択ルールが選択されている場合には、ステップS208で選択された選択ルールに基づく提示情報を提示することを選択する。さらに、車載制御装置150は、ステップS205で機能実行ルールが選択されておらず、かつ、ステップS208で選択ルールが選択されていない場合には、何れも選択しない。
【0097】
そして、ステップS210では、車載制御装置150により、ステップS209の判断結果に基づいて、機能実行ルールに定められた機能を実行するか否かの判断が行われる。車載制御装置150は、ステップS209の判断の結果、機能実行ルールに定められた機能を実行することを選択した場合には、機能実行ルールに定められた機能を実行すると判断し、ステップS211に進み、ステップS205で選択された機能実行ルールに定められた機能を実行する。一方、車載制御装置150は、ステップS209の判断の結果、機能実行ルールに基づく機能を実行することを選択しなかった場合には、機能実行ルールに定められた機能を実行しないと判断し、ステップS212に進む。
【0098】
本場面例において、車載制御装置150は、ステップS209において、ステップS208で選択された選択ルールに基づく提示情報を提示することを選択しており、ステップS205で選択された機能実行ルールに定められた機能を実行することを選択していない。そのため、ステップS210において、車載制御装置150は、機能実行ルールに定められた機能を実行しないと判断し、ステップS212に進む。
【0099】
ステップS212では、車載制御装置150により、ステップS209の判断結果に基づいて、選択ルールに基づく提示情報を提示するか否かの判断が行われる。車載制御装置150は、ステップS209の判断の結果、選択ルールに基づく提示情報を提示することを選択した場合には、選択ルールに基づく提示情報をユーザに提示すると判断し、ステップS213に進み、自車両が充足する可能性がある機能実行条件と、選択ルールに定められた機能とをユーザに提示するための提示情報を生成し、続くステップS214において、生成された提示情報がユーザに提示される。一方、車載制御装置150は、ステップS209の判断の結果、選択ルールに基づく提示情報を提示することを選択していない場合には、選択ルールに基づく提示情報を提示しないと判断し、この情報提供処理を終了する。
【0100】
本場面例において、車載制御装置150は、ステップS209において、選択ルールに基づく提示情報を提示することを選択しているため、自車両が充足する可能性がある、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件と、選択ルールに定められた、ハンズフリー通話を可能とするために、携帯電話機と情報提供装置100とを自動的に接続するための「ハンズフリー通信自動接続」機能とを、ユーザに提示するための提示情報を生成する。例えば、車載制御装置150は、「携帯電話機の接続可能モードをオンにすれば、ハンズフリー通話を行えます。」などの提示情報を生成し、ユーザに提示することができる。これにより、情報提供装置100とBluetooth通信により接続可能な携帯電話機が検出されているという条件を充足すれば、携帯電話機と情報提供装置100とを自動的に接続するための「ハンズフリー通信自動接続」機能が実行可能となることを、ユーザに提示することができる。
【0101】
以上のように、第2実施形態に係る情報提供装置100は、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合でも、自車両の走行情報に基づいて、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか判断する。そして、第2実施形態では、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールに定められた機能を実行することと、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールに基づく提示情報を提示し、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定められた機能を実行させることのいずれが、ユーザにとって有益となるかを判断し、ユーザにとって有益となる機能を実行する。これにより、第2実施形態においては、第1実施形態の効果に加えて、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合であっても、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールに定められた機能が、ユーザにとってより有益な場合には、ユーザに、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールに定められた機能を、優先的に実行させることができるため、ユーザにとって必要な機能を、ユーザにより適切に提供することができる。
【0102】
≪第3実施形態≫
続いて、第3実施形態に係る情報提供装置100について説明する。第3実施形態に係る情報提供装置100は、図1に示す第1実施形態に係る情報提供装置100と同様の構成を有するものであり、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態と同様である。以下において、図11を参照して、第3実施形態に係る情報提供装置100の動作について説明する。なお、図11は、第3実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
【0103】
また、以下において、自車両が、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足する場合に、「80km/h」から「100km/h」の一定速度での走行を支援する「定速走行支援」機能を定めた機能実行ルール(不図示)が、データベース140に保持されている場面において、自車両が、「100km/h」前後の速度で走行しているが、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行していない場面を例示して説明する。
【0104】
まず、ステップS301では、第1実施形態のステップS101と同様に、自車両の走行情報が取得される。ここで、本場面例においては、自車両の走行情報として、自車両の車速情報が、車両コントローラ120から取得される。また、本場面例において、車載制御装置150は、自車両の車速情報に基づいて、自車両が、「100km/h」前後の速度で走行しているが、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行していないことを検出する。
【0105】
そして、ステップS302では、第1実施形態のステップS103と同様に、自車両が所定の機能実行条件を充足しているか否かの判断が行われる。例えば、本場面例において、車載制御装置150は、データベース140に保持されている機能実行ルールに定められた機能実行条件、すなわち、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足するか否かを判断する。ここで、本動作例においては、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行していないことが検出されているため、車載制御装置150は、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足しないと判断する。
【0106】
そして、ステップS303では、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件があるか判断される。今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件がある場合(ステップS303=YES)は、第1実施形態と同様に、自車両が充足する機能実行条件を定める機能実行ルールが存在するか否かを判断するために、ステップS304に進む。一方、第3実施形態において、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが異なる機能実行条件がない場合(ステップS303=NO)は、第1実施形態と異なり、この情報提供処理を終了することなく、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定める機能実行ルールが存在するか否かを判断するために、ステップS307に進む。
【0107】
本場面例においては、自車両が、「100km/h」前後の速度で走行しているが、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足していない状態が続いている。そのため、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足していない状態のままであり、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが同じとなるため(ステップS303=NO)、ステップS307に進む。
【0108】
ステップS304〜ステップS306では、第1実施形態のステップS105〜S107と同様に、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断が行われ(ステップS304)、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断された場合(ステップS304=YES)に、これら1または2以上の機能実行ルールのうち、機能を実行するための1の機能実行ルールの選択が行われ(ステップS305)、選択された機能実行ルールに定められた機能が実行される(ステップS306)。
【0109】
一方、ステップS303において、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果とが同じであると判断された場合(ステップS303=NO)、または、ステップS304において、自車両が充足する機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合(ステップS304=NO)に、ステップS307に進む。ステップS307では、第1実施形態のステップS108と同様に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件があるか否かの判断が行われる。
【0110】
ここで、本場面例においては、自車両が、「100km/h」前後の速度で走行しているが、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足していない。しかしながら、ユーザが、「100km/h」前後の速度で走行しているため、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行することは、ユーザに大きな負荷をかけるものではなく、車載制御装置150は、自車両が、「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行するという条件を充足する可能性があると判断する。
【0111】
また、ステップS308〜S311では、第1実施形態のステップS109〜S112と同様に、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かの判断が行われ(ステップS308)、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件を定めた機能実行ルールが、1または2以上存在すると判断された場合(ステップS308=YES)に、これら1または2以上の機能実行ルールのうち、ユーザに提示するための機能実行ルールが、選択ルールとして選択される(ステップS309)。そして、選択ルールにおける、自車両が将来的に充足する可能性がある機能実行条件と、この機能実行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提示するための提示情報の生成が行われ(ステップS310)、生成された提示情報が、ユーザに提示される(ステップS311)。
【0112】
本動作例では、ステップS307で、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足する可能性があると判断されている。そのため、車載制御装置150は、「80km/h」から「100km/h」の一定速度における走行を支援する「定速走行支援」機能を定めた機能実行ルールについて、この機能実行ルールに定められた全ての機能実行条件を充足すると判断し、この機能実行ルールを、選択ルールとして選択する(ステップS309)。これにより、車載制御装置150は、選択した機能実行ルールに定められた、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件と、「80km/h」から「100km/h」の一定速度における走行を支援する「定速走行支援」機能とをユーザに提示するための提示情報を生成し(ステップS310)、生成した提示情報をユーザに提示する(ステップS311)。本動作例では、例えば、車載制御装置150は、「80km/hから100km/hの速度で、10秒以上走行すれば、80km/hから100km/hの速度の一定速度における走行を支援するための定速走行支援システムが使えます。」との提示情報を、ユーザに提示するこができ、これにより、自車両が「80km/h」から「100km/h」の速度で、10秒以上走行しているという条件を充足すれば、「80km/h」から「100km/h」の一定速度における走行を支援する「定速走行支援」機能が実行可能となることを、ユーザに提示することができる。
【0113】
以上のように、第3実施形態に係る提示情報装置100は、今回処理の機能実行条件の判断結果と、前回処理の機能実行条件の判断結果に変化がない場合でも、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定める機能実行ルールが存在するか否かを判断する。これにより、第3実施形態では、車速や時刻などが機能実行条件に定めた閾値を満たさず、機能実行条件の判断結果が前回処理と変わらない場合であっても、例えば、車速や時刻などが機能実行条件に定めた閾値に近い値となった場合には、この機能実行条件を、自車両が充足する可能性がある機能実行条件として判断することができる。このように、第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、機能実行条件の判断結果に変化がない場合でも、自車両が充足する可能性がある機能実行条件を定める機能実行ルールが存在するか否かを判断することができるため、自車両が充足する可能性がある機能実行条件の存在をより適切に把握することができ、その結果、ユーザが必要とする機能をより適切に提供することができる。
【0114】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0115】
すなわち、本発明は、上述した実施形態に限られず、また、上述した第1〜3実施形態を組合せて実施してもよい。
【0116】
また、上述した実施形態に係る情報提供装置100は、上述した構成に限定されず、例えば、自車両のフロントウィンドウ上部に設置され、自車両の前方を撮像するカメラを有する構成としてもよい。この場合、自車両の走行情報として、カメラにより撮像された前方道路の状況を取得することができ、その結果、自車両が走行する道路状況に基づく機能実行条件を定めた機能実行ルールに定められた機能を実行させることができる。
【0117】
さらに、上述した実施形態に係る情報提供装置100において、提示情報を提示するための出力装置は、ディスプレイ160およびスピーカ170に限定されず、例えば、提示情報をユーザに提示するための動作体を有する構成としてもよい。このような動作体としては、例えば、人間や動物を模したロボット型装置を用いることができ、この動作体を、提示情報に基づいて動作させることにより、提示情報をユーザに提示するができる。このように、動作体を用いることで、提示情報を、ユーザに受け入れられやすい形で、提示することができる。
【0118】
また、上述した第1実施形態において、車載制御装置150は、ユーザによる操作の履歴情報に基づいて、ユーザ入力機能を推定しているが、ユーザ入力機能を推定する方法は、これに限定されず、例えば、自車両の走行状態、または、自車両の位置情報に基づいて、ユーザ入力機能を推定してもよいし、あるいは、ユーザによる操作の履歴情報、自車両の走行状態、および自車両の位置情報に基づいて、ユーザ入力機能を推定してもよい。
【0119】
さらに、上述した第2実施形態では、図10に示すように、機能実行ルールに、イグニッションがオンであるという条件が定められていたが、イグニッションがオンであるという条件に代えて、エンジンがオンであるという条件を用いてもよい。
【0120】
なお、上述した実施形態の車載制御装置150は、本発明の検出手段、第1判断手段、第2判断手段、および選択手段に、データベース140は、本発明の保持手段に、ディスプレイ160およびスピーカ170は、本発明の提示手段に、入力装置110および地図縮尺変更スイッチ111は、本発明の入力手段にそれぞれ相当する。
【符号の説明】
【0121】
100…情報提供装置
110…入力装置
111…地図縮尺変更スイッチ
120…車両コントローラ
130…自車位置検出装置
140…データベース
150…車載制御装置
160…ディスプレイ
170…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を定めた機能実行ルールを複数保持する保持手段と、
車両の現在の走行状況を検出する検出手段と、
前記現在の走行状況から、前記車両が、前記機能実行ルールに定められた車両走行条件を充足しているか否かを判断することで、前記車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断する第1判断手段と、
前記車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断された場合に、前記現在の走行状況に基づいて、前記車両が、前記機能実行ルールに定められた車両走行条件を将来的に充足する可能性があるか否かを判断することで、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが1または2以上存在するか否かを判断する第2判断手段と、
前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが1または2以上存在すると判断された場合に、該機能実行ルールのうち、1つの機能実行ルールを、選択ルールとして選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記選択ルールにおける、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、ユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置であって、
前記車両走行条件は、車両の走行状態、ユーザによる車載機器の操作履歴のうち少なくとも1つに基づく条件であることを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供装置であって、
前記車両走行条件は、車両の走行状態、ユーザによる車載機器の操作履歴、車両の位置情報、および日時のうち少なくとも1つに基づく条件であることを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記第2判断手段は、ユーザによる車載機器の操作履歴に基づいて、ユーザが実行したい機能を推定し、
前記第2判断手段は、前記機能実行ルールに定められた車両走行条件を将来的に充足する可能性があるか否かに加えて、前記ユーザが実行したい機能に対応する機能を定めるものであるか否かに基づいて、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが1または2以上存在するか否かを判断することを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記選択手段は、一般的に実行頻度の高い機能を実行するための機能実行ルールを、前記選択ルールとして選択することを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記選択手段は、ユーザによる実行頻度の高い機能を実行するための機能実行ルールを、前記選択ルールとして選択することを特徴とする情報提供装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記選択手段は、前記車両が充足しやすい車両走行条件を推定し、該推定結果に基づいて、前記選択ルールを選択することを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報提供装置であって、
前記選択手段は、ユーザの行動履歴に基づいて、前記車両が充足しやすい車両走行条件を推定することを特徴とする情報提供装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の情報提供装置であって、
前記選択手段は、前記機能実行ルールに定められた車両走行条件を充足させるために、ユーザが行う動作の負荷を予測し、予測したユーザの負荷に基づいて、前記車両が充足しやすい車両走行条件を推定することを特徴とする情報提供装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記第2判断手段は、前記第1判断手段により、前記車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しないと判断されたか否かに関わらず、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断することを特徴とする情報提供装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記提示手段は、情報をユーザに提示するためのディスプレイを有し、前記ディスプレイの画面上に、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを表示することで、ユーザに提示を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報提供装置であって、
前記ディスプレイは、ユーザの直接視を伴わなくても視認可能なユーザの周辺視領域に設けられていることを特徴とする情報提供装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記提示手段は、情報を提示するためのスピーカを有し、前記スピーカにより、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、音で出力することで、ユーザに提示を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項14】
請求項13に記載の情報提供装置であって、
前記スピーカは、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、言語情報を伴わない音で出力することを特徴とする情報提供装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記提示手段は、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、ユーザに提示することで、ユーザに、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を充足させ、前記選択ルールに定められた機能を実行可能とさせることを特徴とする情報提供装置。
【請求項16】
請求項15に記載の情報提供装置であって、
前記提示手段は、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を充足することにより、前記選択ルールに定められた機能が実行可能となることを、間接的に示唆することを特徴とする情報提供装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の情報提供装置であって、
前記提示手段は、所定の動作を行う動作体を有し、前記動作体を動作させることにより、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、ユーザに提示することを特徴とする情報提供装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の情報提供装置であって、
ユーザに所定の入力を行わせるための入力手段をさらに有し、
前記提示手段は、前記入力手段の一部または全部を点灯させることで、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、前記選択ルールに定められた機能とを、ユーザに提示することを特徴とする情報提供装置。
【請求項19】
所定の機能を実行するために必要となる車両走行条件を定めた機能実行ルールを複数保持するとともに、車両の現在の走行状況から、前記車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、前記判断の結果、前記車両が充足する車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在しない場合に、前記現在の走行状況に基づいて、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在するか否かを判断し、前記判断の結果、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件を定めた機能実行ルールが存在する場合に、前記車両が将来的に充足する可能性がある車両走行条件と、該車両走行条件を充足することにより実行可能となる機能とを、ユーザに提示することを特徴とする情報提供方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−21933(P2012−21933A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161601(P2010−161601)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】