説明

情報表示システム

【課題】電子ペーパーを使用することで低消費電力の表示装置を構成するとともに、複数の表示装置を一括して視認できるようにし、かつ各々の表示装置の表示情報を把握し易くすることができる情報表示システムを提供すること。
【解決手段】管理装置4は、複数の表示装置3を識別可能に付与された表示装置IDと、パネル体2の配置面2aにおける表示装置3の配置位置と、を対応させて記憶するデータベースと、パネル体2の配置面2aにおける所定位置に関連した表示情報が更新される場合において、その所定位置に相当する配置位置に対応する表示装置IDが付与された表示装置3をデータベースに基づいて特定する表示装置特定手段11と、を有し、管理装置4が表示装置特定手段11により特定された表示装置3の表示画面14を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的に書き換え可能な電子ペーパーで構成される表示画面を有する表示装置を備える情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等で用いられる棚札システム(情報表示システム)では、管理サーバに記録された商品情報(表示情報)を、商品が載置されている商品棚に取り付けられた棚札(表示装置)に無線通信にて送信し、棚札に設けられた電子ペーパーで構成される表示画面に商品情報に含まれる商品名や値段、商品の消費期限などを表示させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−111137号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の棚札システムの棚札(表示装置)に用いられている電子ペーパーは、表示情報を書き換えるときだけ電力を消費するようになっており、電子ペーパーに電力が供給されていない状態でも、その表示状態が維持されるため、低消費電力の表示装置を製作できる。そこで近年、この電子ペーパーの特性を利用して、宅配便などの複数の集配所を管理する本部集配所や、各農業生産地から農作物が配送される市場などにおいて、時間の経過により変化する各地の収集情報等を、電子ペーパーの表示画面を有する複数の表示装置に表示させ、該複数の表示装置を同時に見られるようにすることで、各々の情報収集場所の収集情報等を一括して把握できるようにしたいという要望がある。しかしながら、複数の表示装置を同時に見られるようにすると、どの表示装置が何に関連した収集情報(表示情報)を表示しているのかを把握し難くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電子ペーパーを使用することで低消費電力の表示装置を構成するとともに、複数の表示装置を一括して視認できるようにし、かつ各々の表示装置の表示情報を把握し易くすることができる情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の情報表示システムは、
電子的に書き換え可能な電子ペーパーで構成される表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置と無線通信手段を介して接続されて前記表示装置の表示画面に表示される表示情報を更新する管理装置と、
複数の前記表示装置を着脱自在に配置できる配置面を有するパネル体と、
を備える情報表示システムであって、
前記管理装置は、
前記複数の表示装置を識別可能に付与された表示装置IDと、前記パネル体の配置面における前記表示装置の配置位置と、を対応させて記憶するデータベースと、
前記パネル体の配置面における所定位置に関連した表示情報が更新される場合において、該所定位置に相当する配置位置に対応する表示装置IDが付与された表示装置を前記データベースに基づいて特定する表示装置特定手段と、
を有し、
該管理装置が前記表示装置特定手段により特定された表示装置の表示画面を更新することを特徴としている。
この特徴によれば、電子ペーパーで構成された表示画面を表示装置に設けることで、表示装置の消費電力を低減できるようになり、複数の表示装置をパネル体の配置面に配置することで、使用者が、複数の表示装置の表示情報を一括して視認でき、かつ各々の表示装置は、パネル体の配置面における所定位置に関連した表示情報が表示されるため、該表示情報を把握し易くすることができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の情報表示システムは、請求項1に記載の情報表示システムであって、
前記パネル体の配置面における前記表示装置の配置位置を検知する配置位置検知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、パネル体の配置面における表示装置の配置位置を、配置位置検知手段によって自動的に収得できるようになり、使用者が表示装置の配置位置を変更しても、配置位置の変更に応じて、配置位置に関連した表示情報を表示装置に自動的に表示させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の情報表示システムは、請求項2に記載の情報表示システムであって、
配置位置検知手段は、前記パネル体の配置面に設けられた複数のRFIDタグと、前記表示装置に設けられた前記パネル体のRFIDタグを読み取る読取手段と、により構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、パネル体に設けられたRFIDタグを表示装置に設けられた読取手段で読み取ることで、RFIDタグを用いた安価な構成で配置位置検出手段を製作することができる。また、一般的に読取手段は、RFIDタグよりも製造コストが嵩むため、パネル体にRFIDタグを設け、表示装置に読取手段を設けることによって、読取手段の製造数が表示装置の製造数と同じになり、読取手段の製造数を最小限度に構成して、情報表示システムの製造コストを低減させることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の情報表示システムは、請求項2に記載の情報表示システムであって、
配置位置検知手段は、前記表示装置に設けられたRFIDタグと、前記パネル体の配置面に設けられた前記表示装置のRFIDタグを読み取る複数の読取手段と、により構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、表示装置に設けられたRFIDタグをパネル体に設けられた読取手段で読み取ることで、RFIDタグを用いた安価な構成で配置位置検出手段を製作することができる。また、一般的に読取手段は、RFIDタグよりも重量が嵩むため、パネル体に読取手段を設け、表示装置にRFIDタグを設けることによって、表示装置の軽量化を図ることができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の情報表示システムは、請求項1ないし4のいずれかに記載の情報表示システムであって、
前記表示装置を前記パネル体の配置面に対して磁力を用いて着脱自在に取り付ける磁力取付手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、表示装置は磁力によりパネル体に取り付けられるので、工具等を使用することなく表示装置をパネル体に容易に取り付けることができ、かつ何度でも表示装置をパネル体から着脱させることができる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の情報表示システムは、請求項1ないし5のいずれかに記載の情報表示システムであって、
前記表示装置に対して無線により電力を供給する電力供給手段を備え、
前記電力供給手段から供給された電力を用いて前記表示装置の表示画面を書き換えることを特徴としている。
この特徴によれば、表示装置に表示画面を書き換えるための電力を供給する内蔵バッテリを搭載したり、有線ケーブルにて電力を供給したりする必要が無くなり、表示装置を軽量化したり、表示装置の配置位置の変更を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る情報表示システムを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における集配監視システムを示す正面図であり、図2は、パネル体の内部構造を示す一部破断拡大図であり、図3は、表示装置を示す正面図であり、図4は、表示装置がパネル体に取り付けられている状態を示す横断平面図であり、図5は、図3における表示装置の表示画面の構造を示す要部拡大断面図であり、図6は、集配監視システムの構成を示すブロック図であり、図7は、記憶装置に記憶されている履歴テーブルを示す図である。以下、図1、図2、図3の紙面手前側を表示装置及びパネル体の正面側とし、図4の紙面下方側を表示装置の正面側(前方側)とし、図5の紙面上方側を表示装置の正面側(前方側)として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された情報表示システムとしての集配監視システムである。この集配監視システム1は、運送会社の全国の集配所を統括して管理する本部集配所に設けられ、各県に設けられた集配所の入庫状況や出庫状況や保管状況を一括して把握し、管理するためのシステムである。
【0015】
この集配監視システム1は、垂直に立設されて略垂直面をなす配置面2aを有する一枚の板状のパネル体2と、パネル体2の配置面2aに着脱自在に取り付けられる複数の表示装置3と、表示装置3に無線通信手段を介して接続されて表示装置3の表示画面3aに表示される表示情報を更新する本実施例における管理装置としての管理サーバ4と、により構成されている。尚、複数の表示装置3には、それぞれの表示装置3を識別可能な表示装置IDが付与されている。
【0016】
パネル体2は、表示装置3を使用者から視認できるように取り付ける配置面2aを有しており、この配置面2aには、簡略化された日本地図がプリントされている。日本地図はそれぞれの県毎に区画されている。この区画された各県は表示装置3が配置される配置位置と対応しており、県毎に表示装置3を取り付けることによって、各県の集配所での荷物の集配状況を表示情報として表示装置3の表示画面3aに表示させている。
【0017】
尚、パネル体2の配置面2aに簡略化された日本地図がプリントされていることにより、使用者は、表示装置3が配置面2aにおけるどの位置に貼り付けられているのかを認識することで、その表示装置3の表示情報が、どの県の集配所の集配状況であるかを直感的に理解することができる。つまり、配置面2aにプリントされた簡略化された日本地図が、表示装置3に関連する補助的な情報を与える補助情報付与手段となっている。
【0018】
図6に示すように、管理サーバ4には、各県の集配所と通信を行うための通信部7と、現在時刻を計時するRTC8(リアルタイムクロック)と、パネル体2の配置面2aにおける表示装置3が取り付けられた配置位置などが登録されたデータベースを有する記憶装置9と、各表示装置3に対して無線通信を行うための親機アンテナ10と、パネル体2の配置面2aにおける各県毎に関連した表示情報が更新する度に各県に相当する配置位置に取り付けられた表示装置3を特定する本実施例における表示装置特定手段としての管理制御回路11と、が設けられている。
【0019】
尚、管理サーバ4は電源ケーブル12により屋内のコンセント等の外部電源と接続されており、この外部電源から供給された電力によって、管理サーバ4が稼動するようになっている。更に尚、管理サーバ4は、通信部7に接続された通信ケーブル6を介して各県の集配所に設けられた管理端末(図示略)とオンラインで接続されている。
【0020】
各表示装置3には、管理サーバ4に対して無線通信を行うための子機アンテナ13と、表示装置3の表示画面3aを構成する電子ペーパー14と、表示装置3毎に個別の表示装置IDを記憶したICチップを内蔵したRFIDタグ15と、表示装置3内で各種制御を行うための表示制御回路16と、が設けられている。
【0021】
尚、本実施例では、管理サーバ4に設けられた親機アンテナ10と、表示装置3に設けられた子機アンテナ13と、により管理サーバ4と表示装置3との間で無線通信を行うための無線通信手段を構成している。
【0022】
また、本実施例でのRFIDタグ15は、内蔵したICチップを非接触方式(無線方式)で、後述するリーダー17にて読み取らせる公知のパッシブ型のRFIDタグを用いているが、パッシブ型のRFIDタグに限らず、RFIDタグが自ら電波を発信してリーダー17に読み取らせるようにしたアクティブ型のRFIDタグを用いてもよい。
【0023】
更に、図4に示すように、表示装置3の背面には、パネル体2の配置面2aに表示装置3を取り付けるための磁石5(磁性体)が設けられている。尚、特に図示はしないが、この磁石5は表示装置3の背面における左右に設けられ、表示装置3の上下長さ寸法と略同寸法の略長方形状に形成されている。
【0024】
図2に示すように、パネル体2の内部には、磁性体としての鉄(スチール)等の磁着可能な金属部材で構成され、正面視で格子形状をなすように形成された格子部27が設けられている。この格子部27と表示装置3に設けられた磁石5が互いに磁力によって吸引し合うことによって、表示装置3は配置面2aに着脱自在に取り付けられるようになっている。尚、表示装置3の磁石5と、パネル体2の内部の格子部27と、により本実施例における磁力取付手段が構成されている。
【0025】
また、格子部27の格子の上下及び左右の間隔は表示装置3の上下及び左右長さと略同一に形成されている。こうすることで、表示装置3を配置面2aに取り付ける際に、磁石5が必ず格子部27と磁力によって吸引し合うので、表示装置3を配置面2a上の任意の場所にとりつけることができる。
【0026】
更に、図6に示すように、パネル体2には、表示装置3に設けられたRFIDタグ15の表示装置IDを読み取る読取手段としてのリーダー17と、表示装置3に対して電力を供給するコイル28と、管理サーバ4に対して無線通信を行うためのパネル体アンテナ29と、パネル体2内で各種制御を行うためのパネル体制御回路30と、が設けられている。
【0027】
より詳しくは、図2及び図4に示すように、リーダー17及びコイル28はパネル体2の配置面2aの内部に設けられ、パネル体2の格子部27の格子間に配置されるように設けられている。そして、リーダー17とコイル28は、背面からパネル体2内を通って有線ケーブルを介してパネル体制御回路30に接続されている。
【0028】
尚、リーダー17及びコイル28は、配置面2aにおける横方向及び縦方向の座標情報を構成しており、該座標情報と配置面2aにプリントされた各県とが対応付けられて管理サーバ4の記憶装置9のデータベースに記憶されている。管理サーバ4は、RFIDタグ15を検出したリーダー17がある座標情報に基づいて、該当する表示装置3の配置位置を検知することができ、これら表示装置3に設けられたRFIDタグ15と、パネル体2の配置面2aに設けられたリーダー17と、により表示装置3の配置位置を検知する本実施例における配置位置検知手段を構成している。
【0029】
尚、本実施例では表示装置3に設けられたコイル31と、パネル体2に設けられたコイル28と、により表示装置3に対して無線により電力の供給を行う電力供給手段を構成している。また、パネル体2は電源ケーブル12により屋内のコンセント等の外部電源と接続されており、この外部電源から供給された電力によって、パネル体2が稼動するようになっている。
【0030】
コイル28,31によって表示装置3に電力を供給する具体的な方法について説明すると、パネル体2のコイル28に対して交流電流を流すことで、コイル28から発生する電磁波によって、表示装置3のコイル31に電磁誘導を発生させ、該コイル31に生じる電力を表示制御回路16や電子ペーパー14や子機アンテナ13に供給するようになっている。この供給された電力を使用することで、表示制御回路16が表示画面3aの書き換えを行うことができる。
【0031】
また、表示制御回路16には、特に図示はしないが、コイル31で生じる起電力を整流して直流電圧に変換して供給する整流回路や、整流した直流電力の電圧、及び表示制御回路16に供給される電流等を検出するための各種検出回路や、整流した電力を電子ペーパー14に供給するための制御回路が設けられている。
【0032】
更に、管理サーバ4の記憶装置9には、図7に示すように、表示装置IDと、表示装置3の配置位置と、各県の集配所における入庫、出庫、保有の状況を示す集配状況と、この集配状況が更新された更新時刻と、により構成される履歴テーブルがデータベースに記憶されている。
【0033】
尚、履歴テーブルについて詳述すると、図7に示すように、各表示装置3の表示装置ID毎に、表示装置3が取り付けられているパネル体2の配置面2aにおける配置位置と、集配状況の更新日時と、集配状況としての各県毎の集配所に入庫された荷物数と、集配所から出庫された荷物数と、現在各集配所で保管されている荷物数と、が対応付けて登録されている。
【0034】
図3に示すように、表示装置3の正面側には、表示情報を表示する電子ペーパー14により構成された略長方形状をなす表示画面3aが設けられている。この表示画面3aには、表示情報としての各県の集配所の集配状況である入庫数、出庫数、保有数と、該当する集配所の県名が表示されている。更に、表示画面3aの四隅には、表示情報が更新された更新時間帯を示すドット状のセグメント18が表示される更新時表示部3bが設けられている。
【0035】
尚、管理サーバ4は、履歴テーブルに登録された集配状況を表示情報として表示装置3に送信するようになっており、該表示情報を送信する際に、集配状況が更新された更新時刻情報も同時に送信する。表示装置3は、管理サーバ4から送信された表示情報と更新時刻情報とを受信し、受信した表示情報に基づいて表示画面3aを書き換えるとともに、受信した更新時刻情報に基づいて、四隅の更新時表示部3bのうち、いずれか1つの更新時表示部3bのセグメント18を表示させる。
【0036】
この四隅のセグメント18は、表示情報(集配状況)が更新された時間帯によって表示される箇所が変更されるようになっている。例えば、表示情報が0時から6時までの時間帯に更新されたものならば、左上のセグメント18が表示される。表示情報が6時から12時までの時間帯に更新されたものならば、右上のセグメント18が表示される。表示情報が12時から18時までの時間帯に更新されたものならば、左下のセグメント18が表示される。表示情報が18時から24時までの時間帯に更新されたものならば、右下のセグメント18が表示される。
【0037】
ここで、本実施例で表示画面3a及び更新時表示部3bを構成する電子ペーパー14について説明すると、図5に示すように、電子ペーパー14は、表示装置3内部の基部19に取り付けられている。また、電子ペーパー14は、その画面を電子的に書き換え可能な電子機器であり、液晶モニタと異なりバックライト等を用いないため、液晶モニタ等の他の表示画面を有する電子機器と比較して消費電力が少なくて済むようになっている。かつ電子ペーパー14は、画面の書き換え時のみに電力を使用し、電力が供給されない状態であっても画面の表示内容を維持できるようになっている。
【0038】
電子ペーパー14は、カバーフィルム20の上面に形成された磁気泳動記録層21と、磁気泳動記録層21を覆う透明性を有する保護層22と、から構成されている。磁気泳動記録層21には、無数の透明なマイクロカプセル23が封じ込められており、このマイクロカプセル23の中には、帯電された白と黒の粒子が内包されている。そして、所定の電圧をかけることでマイクロカプセル23内の粒子を移動させることで、表示画面の書き換えを行うようになっている。
【0039】
次に、表示装置3がパネル体2に取り付けられた状態で集配監視システム1が行う各種処理を説明する。先ず、表示装置3をパネル体2の配置面2aに取り付け、コイル28,31により表示装置3に電力の供給を開始させる。そして、管理サーバ4に各集配所からの集配状況が送信されてきていない初期状態において、管理制御回路11は、図7に示す履歴テーブルに記憶された表示装置IDに従って、各々の表示装置3がパネル体2のどの県に取り付けられているかを検知して各々の表示装置3の配置位置を特定する。
【0040】
具体的には、パネル体制御回路30がリーダー17によって表示装置3のRFIDタグ15を読み取り、該読み取ったRFIDタグ15の表示装置IDと、リーダー17が配置されている配置面2aにおける座標情報を管理制御回路11に送信する。尚、リーダー17は常にRFIDタグ15を読み取れる状態となっており、表示装置3が配置面2aに取り付けられると自動的にRFIDタグ15の表示装置IDを読み取るようになっている。
【0041】
図7に示すように、管理制御回路11は、配置面2aの座標情報に基づいて表示装置3がどの県に配置されているかを特定した表示装置配置位置と、表示装置3の表示装置IDと、を対応付けて履歴テーブルに登録する。そして、管理サーバ4は、各集配所から集配状況のデータがオンラインで送信されてくるまで待機する。
【0042】
管理制御回路11は、各県の集配所から集配状況が管理サーバ4に送信されてくると、どの県の集配所から送信されてきたものかを確認した後に、履歴テーブルと照合して、該当する県の配置位置と対応付けられた表示装置IDに関連付けて、集配状況を履歴テーブルに登録する。
【0043】
また、管理制御回路11は、集配状況を通信部7で受信すると、RTC8より時刻情報である現在時刻を取得し、取得した時刻情報を、更新処理を行った更新時刻として履歴テーブルに登録する。管理制御回路11は、履歴テーブルによって特定した表示装置3に対して集配状況を表示情報として送信するとともに、該表示情報が更新された更新時刻を送信する。尚、このときパネル体2のコイル28を作動させて履歴テーブルによって特定した表示装置3に対して電力供給を開始する。
【0044】
そして、表示装置3の表示制御回路16は、表示情報に含まれる入庫数、出庫数、保管数、及び県名を、表示画面3aに表示させる。更に、受信した更新時刻により、表示画面3aの更新時表示部3bに表示させるセグメント18を判断し、表示画面3aを更新する際には、更新時表示部3bのセグメント18の表示も更新する。
【0045】
尚、表示画面3aの更新が終了すると、パネル体2のコイル28を停止させて表示装置3に対して電力供給を終了する。表示制御回路16によって表示装置3に対する電力供給は停止されるが、表示画面3aは電子ペーパー14で構成されているため、電力供給が停止された後も更新時の表示状態を維持する。以後、各県の集配所から集配状況が管理サーバ4に送信されてくる度に、履歴テーブルの書き換えと、表示装置3の更新処理を繰返すようになっている。
【0046】
尚、パネル体2に取り付けられた各表示装置3の配置位置を変更した際には、変更した配置位置において、パネル体2のリーダー17が表示装置3のRFIDタグ15の表示装置IDを自動的に読み取るようになっている。そして、パネル体制御回路30は、該表示装置IDと、該当する表示装置3が取り付けられた座標情報と、を管理サーバ4に送信するようになっている。
【0047】
管理サーバ4は、受信した座標情報に基づいて、表示装置3が配置面2aにおいて、それまでとは違う県の配置位置に取り付けられたか否かを判断し、違う県の配置位置に取り付けられたのであれば、履歴テーブルでの表示装置IDの配置位置と、集配状況の対応付けを変更する。この対応付けの変更に基づいて表示装置3で表示される表示情報を変更する。
【0048】
尚、本実施例では、管理制御回路11は、履歴テーブルに記憶されている更新時刻から18時間経過すると、当該表示装置3の電子ペーパー14に表示された表示画面3aと更新時表示部3bの表示を消す。このようにすれば、表示情報が更新された時間帯をセグメント18により表しても、長時間表示情報が更新されないことによる表示情報の新旧の判断の過誤を防止することができる。
【0049】
以上、本実施例における集配監視システム1では、管理サーバ4は、複数の表示装置3を識別可能に付与された表示装置IDと、パネル体2の配置面2aにおける表示装置3の配置位置と、を対応させて記憶する履歴テーブルと、を有するとともに、パネル体2の配置面2aにおける所定位置に関連した表示情報が更新される場合において、その所定位置に相当する配置位置に対応する表示装置IDが付与された表示装置3を履歴テーブルに基づいて特定する管理制御回路11を有しており、管理サーバ4が管理制御回路11により特定された表示装置3の表示画面を更新することで、複数の表示装置3をパネル体2の配置面2aに配置しても、使用者が、複数の表示装置3の表示情報を一括して視認でき、かつ各々の表示装置3は、パネル体2の配置面2aにおける所定位置に関連した表示情報が表示されるため、表示情報を把握し易くすることができる。尚、電子ペーパー14で構成された表示画面3aを表示装置3に設けることで、表示装置3の消費電力を低減できるようになっている。
【0050】
また、パネル体2の配置面2aにおける表示装置3の配置位置を検知するためのRFIDタグ15とリーダー17とにより構成される配置位置検知手段を備えることで、パネル体2の配置面2aにおける表示装置3の配置位置を、配置位置検知手段によって自動的に収得できるようになり、使用者が表示装置3の配置位置を変更しても、配置位置の変更に応じて、配置位置に関連した表示情報を表示装置3に自動的に表示させることができる。
【0051】
また、配置位置検知手段は、表示装置3に設けられたRFIDタグ15と、パネル体2の配置面2aに設けられた表示装置3のRFIDタグ15を読み取る複数のリーダー17と、により構成されていることで、RFIDタグ15を用いた安価な構成で配置位置検出手段を製作することができる。また、一般的にリーダー17は、RFIDタグ15よりも重量が嵩むため、パネル体2にリーダー17を設け、表示装置3にRFIDタグ15を設けることによって、表示装置3の軽量化を図ることができる。
【0052】
また、表示装置3をパネル体2の配置面2aに対して磁力を用いて着脱自在に取り付ける磁力取付手段としての磁石5及び格子部27を設けたことで、表示装置3は磁力によりパネル体2に取り付けられるので、工具等を使用することなく表示装置3をパネル体2に容易に取り付けることができ、かつ何度でも表示装置3をパネル体2から着脱させることができ、表示装置3の配置位置の変更も容易に行える。
【0053】
また、表示装置3に対して無線により電力を供給する電力供給手段としてのコイル28,31を備え、表示装置3は、コイル31から供給された電力を用いて電子ペーパー14を書き換えることで、表示装置3に電子ペーパー14を書き換えるための電力を供給する内蔵バッテリを搭載したり、有線ケーブルにて電力を供給したりする必要が無くなり、表示装置3を軽量化したり、表示装置3の配置位置の変更を容易に行うことができる。
【実施例2】
【0054】
次に、実施例2に係る情報表示システムにつき、図8、図9、図10を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。図8は、実施例2における表示装置を示す正面図であり、図9は、表示装置がパネル体に取り付けられている状態を示す横断平面図であり、図10は、集配監視システムの構成を示すブロック図である。
【0055】
図10に示すように、実施例2における集配監視システム1’は、パネル体2と、複数の表示装置24と、管理サーバ26と、により構成されている。尚、複数の表示装置24には、それぞれの表示装置24を識別可能な表示装置IDが付与されている。
【0056】
管理サーバ26には、各県の集配所と通信を行うための通信部7と、パネル体2の配置面2aにおける表示装置24が取り付けられた配置位置などが登録されたデータベースを有する記憶装置9と、各表示装置24に対して無線通信を行うための親機アンテナ10と、パネル体2の配置面2aにおける各県毎に関連した表示情報が更新する度に各県に相当する配置位置に取り付けられた表示装置24を特定する本実施例における表示装置特定手段としての管理制御回路11と、が設けられている。
【0057】
各表示装置24には、管理サーバ26に対して無線通信を行うための子機アンテナ13と、現在時刻を計時するRTC8(リアルタイムクロック)と、表示装置24の表示画面24aを構成する電子ペーパー14と、パネル体2のRFIDタグ32を読み取り可能なリーダー33と、表示装置24内で各種制御を行うための表示制御回路16と、表示制御回路16に電力を供給するバッテリユニット25と、が設けられている。尚、表示制御回路16が表示装置IDを記憶しており、表示装置24が管理サーバ26と通信を行う際に、該表示装置IDが送信される。管理サーバ26は、表示装置IDによって該当する表示装置24を特定可能となっている。
【0058】
更に、図9に示すように、パネル体2の配置面2a内には、配置面2aにおける座標情報を記憶したパッシブ型RFIDタグ32が設けられている。表示装置24の背面に設けられたリーダー33は、パネル体2のRFIDタグ32の座標情報を読み取ることができる。
【0059】
図8に示すように、表示装置24の左下部には、バッテリユニット25からの電力の供給のON−OFFを行うスイッチ34が設けられている。このスイッチ34をONにすることで、電子ペーパー14に電力が供給されて表示情報の書き換えが行われたり、リーダー33によってRFIDタグ32を読み取ったり、子機アンテナ13を介して管理サーバ26と無線通信を行ったりすることができる。
【0060】
尚、スイッチ34がOFFの状態であっても、表示装置24のRTC8には、表示制御回路16を介して電力が供給され続けるようになっており、RTC8は現在時刻を計時し続けるようになっている。そして、表示画面24aにおける右下部には、更新時表示部24bが設けられており、表示画面24aに表示される表示情報よりも小さい更新時刻がデジタル表示されている。
【0061】
次に、表示装置24がパネル体2に取り付けられた状態で実施例2の集配監視システム1’が行う各種処理を説明する。先ず、表示装置24をパネル体2の配置面2aに取り付け、スイッチ34を入れて表示装置24を起動させる。リーダー33でRFIDタグ32を読み取ることにより表示装置24の位置を検知する。表示装置24は、読み取った座標情報と表示装置IDを管理サーバ26に送信する。
【0062】
管理サーバ26は、表示装置24から受信した表示装置IDと、座標情報から特定される表示装置配置位置と、を対応付けて記憶装置9の履歴テーブル(データベース)に登録する。そして、履歴テーブルの集配状況が更新されると、管理サーバ26は、表示装置24に対して、更新された集配状況を表示情報として送信する。
【0063】
表示装置24の表示制御回路16が、管理サーバ26から送信されてきた表示情報を受信すると、RTC8から表示情報を受信した時点の時刻情報を取得する。そして、管理サーバ26から送信された表示情報を表示画面24aに書き込むとともに、表示装置24は、表示情報を受信したときに取得した時刻情報を、更新処理を行った更新時刻として更新時表示部24bに表示する。
【0064】
尚、本実施例では、表示制御回路16が、表示装置24のスイッチ34をONにしたときから断続的にリーダー33によって、パネル体2に設けられたRFIDタグ32を読み取るようにしており、表示制御回路16は、検知を行う毎に読み取った座標情報を管理サーバ26に送信している。
【0065】
管理制御回路11は、履歴テーブルを参照し、表示装置24から送信されてきた座標情報に基づいて、該当する表示装置24の表示装置IDの表示装置配置位置が、それまで履歴テーブルに登録されていたものと異なっていることを条件に、履歴テーブルの表示装置配置位置を書き換えるとともに、表示装置IDと集配状況の対応付けも変更する。この変更に基づいて表示装置24で表示される表示情報を変更する。こうすることで、表示装置24の配置位置が変更されると自動的に表示装置24の表示画面24aに表示される表示情報を変更することができる。
【0066】
以上、実施例2における集配監視システム1’では、配置位置検知手段は、パネル体2の配置面2aに設けられた複数のRFIDタグ32と、表示装置24に設けられたパネル体2のRFIDタグ32を読み取るリーダー33と、により構成されていることで、RFIDタグ32を用いた安価な構成で配置位置検出手段を製作することができる。また、一般的にリーダー33は、RFIDタグ32よりも製造コストが嵩むため、パネル体2にRFIDタグ32を設け、表示装置3にリーダー33を設けることによって、リーダー33の製造数が表示装置3の製造数と同じになり、リーダー33の製造数を最小限度に構成して、集配監視システム1’の製造コストを低減させることができる。
【0067】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0068】
例えば、前記実施例1では、情報表示システムが運送会社の本部集配所に設けられ、各県に設けられた集配所の入庫数、出庫数、保管数などの集配状況を一括して把握して管理できる集配監視システムとして説明したが、情報表示システムはこれら本部集配所に限らず、市場等においてパネル体2を設置し、配置面2aに野菜や魚介類等の生産者の顔写真と名前をプリントし、顔写真の近傍に表示装置3を取り付けることで商品名とその値段を表示させ、競り等で商品の値段が変動する様子を表示するシステムとして使用してもよい。
【0069】
また、前記実施例1では、表示装置3の背面に磁石5が設けられており、この磁石5と、パネル体2内に設けられた金属部材で構成された格子部27との間に働く磁力を利用して、表示装置3をパネル体2の配置面2aに着脱自在に取り付けているが、表示装置3の背面とパネル体2の配置面2aとに面ファスナーを設け、該面ファスナーによって、表示装置3を配置面2aに着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【0070】
また、前記実施例1では、パネル体2を垂直に立設させ、略垂直面である配置面2aに表示装置3が取り付けられる1枚の板体として説明したが、パネル体2を机の天板上等の配置面2aが上方を向く略水平面として配置し、この配置面2a上に表示装置3を載置するようにしてもよい。
【0071】
また、前記実施例1,2では、RFIDタグとリーダーとにより配置位置検知手段を構成しているが、配置位置検知手段は、RFIDタグとリーダーに限らず、例えば、配置面にプリントされた各県毎の領域を、それぞれ異なる色で着色するとともに、表示装置の背面側に配置面の色を読み取る色彩センサを設け、配置面の着色と色彩センサとにより配置位置検知手段を構成し、各色を県の位置情報として対応付けした色対応テーブルを管理サーバの記憶装置内に設け、色彩センサが配置面から読み取った色情報を表示装置IDとともに管理サーバに送信して、管理サーバが受信した色情報を色対応テーブルと照合して表示装置の配置位置を特定し、特定された配置位置を記憶装置内の履歴テーブルに登録するようにしてもよい。
【0072】
また、前記実施例1,2では、表示装置の配置位置が変更された際に、配置位置検知手段を用いて自動的に履歴テーブルを更新するようにしているが、配置位置検知手段を用いずに使用者が直接管理サーバを操作して、履歴テーブルを更新するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1における集配監視システムを示す正面図である。
【図2】パネル体の内部構造を示す一部破断拡大図である。
【図3】表示装置を示す正面図である。
【図4】表示装置がパネル体に取り付けられている状態を示す横断平面図である。
【図5】図3における表示装置の表示画面の構造を示す要部拡大断面図である。
【図6】集配監視システムの構成を示すブロック図である。
【図7】記憶装置に記憶されている履歴テーブルを示す図である。
【図8】実施例2における表示装置を示す正面図である。
【図9】表示装置がパネル体に取り付けられている状態を示す横断平面図である。
【図10】集配監視システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
11’ 集配監視システム(情報表示システム)
2 パネル体
2a 配置面(補助情報付与手段)
3 表示装置
3a 表示画面
3b 更新時表示部
4 管理サーバ(管理装置)
5 磁石(磁力取付手段,磁性体)
8 RTC(クロック)
9 記憶装置
10 親機アンテナ(無線通信手段)
11 管理制御回路(表示装置特定手段)
13 子機アンテナ(無線通信手段)
14 電子ペーパー
15 RFIDタグ(配置位置検知手段)
16 表示制御回路
17 リーダー(読取手段,配置位置検知手段)
18 セグメント
24 表示装置
24a 表示画面
24b 更新時表示部
25 バッテリユニット
26 管理サーバ(管理装置)
27 格子部(磁力取付手段,磁性体)
28 コイル(電力供給手段)
29 パネル体アンテナ
30 パネル体制御回路
31 コイル(電力供給手段)
32 RFIDタグ(配置位置検知手段)
33 リーダー(読取手段,配置位置検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的に書き換え可能な電子ペーパーで構成される表示画面を有する表示装置と、
前記表示装置と無線通信手段を介して接続されて前記表示装置の表示画面に表示される表示情報を更新する管理装置と、
複数の前記表示装置を着脱自在に配置できる配置面を有するパネル体と、
を備える情報表示システムであって、
前記管理装置は、
前記複数の表示装置を識別可能に付与された表示装置IDと、前記パネル体の配置面における前記表示装置の配置位置と、を対応させて記憶するデータベースと、
前記パネル体の配置面における所定位置に関連した表示情報が更新される場合において、該所定位置に相当する配置位置に対応する表示装置IDが付与された表示装置を前記データベースに基づいて特定する表示装置特定手段と、
を有し、
該管理装置が前記表示装置特定手段により特定された表示装置の表示画面を更新することを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
前記パネル体の配置面における前記表示装置の配置位置を検知する配置位置検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
配置位置検知手段は、前記パネル体の配置面に設けられた複数のRFIDタグと、前記表示装置に設けられた前記パネル体のRFIDタグを読み取る読取手段と、により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の情報表示システム。
【請求項4】
配置位置検知手段は、前記表示装置に設けられたRFIDタグと、前記パネル体の配置面に設けられた前記表示装置のRFIDタグを読み取る複数の読取手段と、により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の情報表示システム。
【請求項5】
前記表示装置を前記パネル体の配置面に対して磁力を用いて着脱自在に取り付ける磁力取付手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報表示システム。
【請求項6】
前記表示装置に対して無線により電力を供給する電力供給手段を備え、
前記電力供給手段から供給された電力を用いて前記表示装置の表示画面を書き換えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−133950(P2009−133950A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308454(P2007−308454)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】