説明

情報配信システム

【課題】集合住宅の居住者に対する配信情報の配信作業の負担を軽減すること。
【解決手段】配信情報提供者によって配信情報と配信情報の配信先となる集合住宅とを配信内容に応じて紐付けされた配信情報データベースを記憶する情報配信サーバ10と、情報配信サーバ10から通信ネットワークを介して該当する配信情報を取得し、携帯端末50による解錠操作の正当性を認証すると、出入用自動ドア30の開扉制御を行うとともに、携帯端末50に配信情報の書き込み制御を行う出入管理装置20と、配信情報を表示画面上に展開表示させる配信情報用アプリを記憶し、解錠操作時に出入管理装置20による配信情報の書き込みが行われると、配信情報用アプリによって配信情報を表示画面上に展開表示する携帯端末50を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の共用エントランスに設けられる出入用自動ドアの開扉を携帯端末で行う電気錠システムに採用され、配信情報提供者から居住者に対して通知したい配信情報を出入用自動ドアの解錠操作時に携帯端末に配信する情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば商業ビルや公共施設または一般住宅等の共用エントランスには、不審者の侵入を回避するため、防犯性に富んだ電気錠システムが設けられている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
この種の電気錠システムは、居住者と非居住者とを識別し、居住者のみの通行を許可するものであり、識別ツールとして例えば携帯電話やリモコンキー等の携帯端末、非接触式のキー・タグ・カード等の施解錠キーから施解錠情報をリーダで読み取り、読み取った施解錠情報を正常認証したときのみ、例えばモータやソレノイド等の駆動手段を駆動してデッドボルトを電気的に進退させ、電気錠の解錠・施錠を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3113906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配信情報である広告の配信先として集合住宅に限定した場合、現状では配信情報提供者である広告事業者が配信対象となる集合住宅の所在地に合わせた内容のチラシを印刷し、配布者が各住戸用の郵便ポストまで出向いて投函することで広告の配信を行っている。
【0006】
しかしながら、集合住宅の各住戸に対してチラシを投函することは多くの労力を要するだけでなく、チラシの印刷代等のコストや人件費が嵩むという問題があった。また、配信内容が定期的に更新されるような配信情報の場合、その都度内容を更新した新しいチラシを印刷し直して対象となる集合住宅に配布しなければならず煩雑であった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、集合住宅の居住者に対する配信情報を安価で、且つ効率的に配信することのできる情報配信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1記載の情報配信システムは、集合住宅の共用エントランスに設置される出入用自動ドアを開扉するのに必要な解錠情報が記憶される携帯端末で前記出入用自動ドアの解錠操作したときに、前記操作した携帯端末に対し前記居住者への配信情報を配信する情報配信システムであって、
配信情報提供者によって前記配信情報と該配信情報の配信先となる前記集合住宅とを配信内容に応じて紐付けされた配信情報データベースを記憶する情報配信サーバと、
前記情報配信サーバから通信ネットワークを介して該当する前記配信情報を取得し、前記携帯端末による解錠操作の正当性を認証すると、前記出入用自動ドアの開扉制御を行うとともに、前記携帯端末に前記配信情報の書き込み制御を行う出入管理装置と、
前記配信情報を表示画面上に展開表示させる配信情報用アプリを記憶し、前記解錠操作時に前記出入管理装置による前記配信情報の書き込みが行われると、前記配信情報用アプリによって前記配信情報を表示画面上に展開表示する携帯端末と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報配信システムによれば、出入用自動ドアの開扉時に配信情報提供者側が配信したい配信情報を配信することができるため、配信情報を通知するためのチラシの作製費や郵便ポストへの投函を行うための人件費等を削減することができる。また、配信情報を電子情報として情報管理サーバで管理しているため、配信情報の内容更新を容易に行うことができる。。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る情報配信システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図2】(a)、(b) 情報管理サーバが記憶する配信情報データベースの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0012】
まず、本発明に係る情報配信システム1の構成について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本例の情報配信システムをマンション等の集合住宅に採用した例で説明するが、例えばオフィスビルのような特定の利用者に共用エントランスの解錠の権限を付与している施設であれば特に限定されない。
【0013】
図1に示すように、本例の情報配信システム1は、広告事業者や集合住宅の管理会社等の配信情報提供者から対象となる集合住宅の居住者に対して提供したい情報(以下、「配信情報」いう)を集合住宅毎に紐付けして管理する情報配信サーバ10と、集合住宅の管理室等に設置される居住者の出入管理を行う出入管理装置20と、共用エントランスに設置される出入用自動ドア30と、出入用自動ドア30の近傍に設けられる情報読書部40と、出入用自動ドア30の解錠操作時に必要な解錠情報を記憶する携帯端末50とを備えている。
【0014】
情報配信サーバ10は、広告事業者や集合住宅を管理する管理会社等の配信情報提供者が集合住宅の居住者に対して提供する配信内容を示す配信情報を、集合住宅毎に紐付けした配信情報データベースを記憶しており、通信ネットワークを介して出入管理装置20との間が接続されている。情報配信サーバ10は、出入管理装置20からの配信情報要求信号を入力すると、入力先の集合住宅に該当する配信情報を送信している。
【0015】
ここで、配信情報データベースについて説明する。図2(a)に示すように、配信情報が広告事業者からの広告である場合は、広告事業主が集合住宅の所在地や地域に応じた適切な広告内容を選択し、広告内容を閲覧するためのURLを配信情報として、配信先の集合住宅とを紐付けした状態でデータベース化されている。また、図2(b)に示すように、配信情報が管理会社からの回覧板である場合は、管理会社で作成した回覧内容を閲覧するためのURLを配信情報として、配信先の集合住宅とを紐付けした状態でデータベース化されている。
【0016】
なお、配信情報としては、少なくとも携帯端末50による閲覧が可能な形式であれば特に限定されず、URLの他に例えばPDF形式やJPEG形式の配信内容を直接データ化したものを配信情報として配信することも可能である。
【0017】
また、配信情報の配信方式として、単に配信情報と集合住宅との紐付けに限らず、配信日時の指定や配信回数等も予め設定することができる。この場合、出入管理装置20からの配信情報要求信号を入力すると、入力先の集合住宅に該当する配信情報に前記配信ルールを示す配信ルール情報を含めた状態で送信する。
【0018】
出入管理装置20は、例えばPC(personal computer )で構成される居住者の出入管理を行うネットワーク通信可能な情報処理端末で構成され、居住者による解錠操作時の処理やその際の出入管理、居住者に配信する配信情報の管理等を行っており、通信部21、制御部22、記憶部23、電源部24とを備えている。
【0019】
通信部21は、情報管理サーバとの間でネットワーク通信接続を行うための通信インターフェースで構成される。通信部21は、制御部22の制御に基づき、情報配信サーバ10に対する配信情報要求信号の送信を行っている。また、通信部21は、情報配信サーバ10からの配信情報を受信すると、この配信情報を制御部22に出力している。
【0020】
制御部22は、出入管理装置20を構成する各部の駆動制御を行っている。制御部22は、解錠操作時に携帯端末50から読み取った解錠情報と記憶部23に記憶された認証用解錠情報とを照合して解錠情報の正当性を判別し、解錠情報が正当であった場合のみ、出入用自動ドア30に開扉制御信号を出力している。なお、閉扉制御信号を出力するタイミングとしては、出入用自動ドア30に設けられる人体検知器31からの人体有無信号に基づき、監視範囲内に人体が存在しないと判別したときに出力する。
【0021】
また、制御部22は、居住者により携帯端末50で解錠操作された際に読み取った解錠情報が正当であった場合に、解錠操作に使用した携帯端末50に対して配信情報を配信するための配信情報書込指示を情報読書部40に出力している。
【0022】
さらに、制御部22は、通信部21を介して情報配信サーバからの配信情報を記憶部23に記憶させるとともに、居住者に配信する配信情報の更新を行うため、通信部21を介して情報配信サーバ10に対して配信情報要求信号を定期的(例えば1日に1回)に出力し、配信情報要求信号に応じて入力した配信情報を記憶部23に更新記憶させている。
【0023】
記憶部23は、出入管理装置20を構成している各機器の機器情報、情報読書部40で読み取った解錠情報が錠前を解錠する正当な情報であるか否かを判別するための認証用解錠情報、居住者毎の解錠日時等の出入管理情報、配信情報の送信履歴等の各種情報を記憶している。また、記憶部23は、情報配信サーバ10からの配信情報を記憶しており、制御部22によって要求された配信情報を最新の配信情報として更新記憶される。
【0024】
電源部24は、商用電源(AC100V)を外部電源として電源の供給を受け、制御部22の制御により、各部の駆動や出入用自動ドア30の駆動に必要な電源を供給している。
【0025】
出入用自動ドア30は、周知の自動開閉ドア(引分け、片引き問わず)で構成され、制御部22から入力される開扉制御信号により出入用自動ドア30を開扉し、一定時間経過後に再び制御部22からの閉扉制御信号により閉扉している。また、出入用自動ドア30の所定箇所(例えば扉上部)には、開扉してから所定時間経過後に監視範囲内における人体の存否を検知する人体検知器31が配置されており、開扉してから所定時間経過後に監視範囲内における人体の存否を検知し、その検知結果を示す人体有無信号を制御部22に出力している。
【0026】
情報読書部40は、居住者が所持する携帯端末50との間で解錠情報を含む各種情報を読み書きするためのリーダ/ライタで構成され、出入用自動ドア30の近傍に設けられる。情報読書部40は、制御部22の制御に基づき、一定周期で所定範囲内に近接する携帯端末50に対してポーリングを行っており、居住者が帰宅して携帯端末50が所定範囲内に近接した際に解錠操作時に必要な解錠情報の読み取りを行い、この読み取った解錠情報を制御部22に出力している。また、情報読書部40は、制御部22からの配信情報書込指示により携帯端末50に対して記憶部23に記憶された配信情報の書き込みを行っている。
【0027】
携帯端末50は、機器本体内に非接触型ICチップを内蔵したICチップ内蔵タイプ若しくは非接触型ICチップ内蔵カードが装着可能な例えば携帯電話やPDA等の表示部を備えた外部通信機器で構成され、機器情報や居住者情報等の識別情報が事前の登録処理により解錠操作の権限が付与されている。携帯端末50は、出入用自動ドア30を解錠する際に必要な解錠情報を記憶しており、解錠操作時にエントランス近傍に設けられた情報読書部40にかざすことで非接触通信により電気錠装置に読み取られる。
【0028】
また、携帯端末50は、情報読書部40により書き込まれる配信情報の展開表示を自動で行う配信情報用アプリケーションソフトウェア(以下、「配信情報用アプリ」という)を解錠操作権限付与時に予めインストールしており、解錠操作時に情報読書部40により配信情報が書き込まれると、この配信情報用アプリによって配信情報を表示画面上に展開表示処理(本例では、配信情報としてURLが送信されるため、このURLの接続によるWebサイトの展開表示)している。
【0029】
なお、配信情報アプリの機能として、出入用自動ドア30の開扉後に携帯端末50の表示画面上に展開表示された配信情報を確実に閲覧させるように促すため、配信情報のダウロード後に例えば携帯端末50に備え付けのバイブレーションや鳴動機能の作動を行うようにプログラムされていてもよい。
【0030】
次に、上述した情報配信システムにおける処理動作について説明する。ここでは、集合住宅の共用エントランスの出入用自動ドア30を解錠する際の処理動作について説明する。
【0031】
まず、居住者は、事前の作業として、自身が所有する携帯端末50に解錠操作権限を付与するための登録を行うとともに、解錠操作時に必要な解錠情報と解錠時に出入管理装置20から配信される配信情報を展開表示させるための配信情報用アプリをインストールする。また、出入管理装置20は、情報配信サーバ10から該当する配信情報をダウンロードする。
【0032】
居住者は、帰宅した際に、所持する携帯端末50を情報読書部40にかざして記憶する解錠情報を読み取らせる。出入管理装置20は、情報読書部40が読み取った解錠情報が正当であるか否かの判別を行い、正当であると判別すると、出入用自動ドア30に対して開扉制御信号を出力して開扉するとともに、情報読書部40を介して携帯端末50に配信情報の書き込みを行う。
【0033】
携帯端末50は、書き込まれた配信情報を配信情報用アプリで展開表示させ、居住者が操作せずに配信情報を閲覧できるようにする。
【0034】
以上説明したように、上述した情報配信システムでは、出入管理装置20が集合住宅の居住者に対して配信したい配信情報を集合住宅の所在地等に応じて紐付けした配信情報データベースを記憶した情報配信サーバ10から該当する配信情報をダウンロードする。居住者は、予め所有する携帯端末50に解錠操作権限を付与するとともに、解錠操作時に必要な解錠情報と解錠時に出入管理装置20から配信される配信情報を展開表示させるための配信情報用アプリをインストールする。居住者は、帰宅時に携帯端末50を用いて解錠操作を行い、この操作の正当性が認証されると、出入用自動ドア30を開扉するとともに、携帯端末50に配信情報を書き込む。そして、携帯端末50にインストールされた配信情報用アプリによって書き込まれた配信情報を表示画面上に展開表示している。
【0035】
これにより、出入用自動ドア30の開扉時に配信情報提供者側が配信したい配信情報を配信することができるため、配信情報を通知するためのチラシの作製費や郵便ポストへの投函を行うための人件費等を削減することができる。また、配信情報を電子情報として情報管理サーバで管理しているため、配信情報の内容更新を容易に行うことができる。
【0036】
ところで、上述した形態では、配信情報用アプリの機能として配信情報をダウンロードしたときに即座に展開表示させているが、これに限定されることはなく、居住者に対する展開表示の閲覧を促す動作(バイブレーション動作や鳴動動作)のみを行い、居住者の端末操作によって展開表示させる処理内容としてもよい。
【0037】
また、配信情報として回覧板のような居住者の閲覧履歴が必要な場合は、配信情報用アプリによる配信情報の展開表示が完了したことを閲覧履歴情報として記憶しておき、次回の解錠操作時に情報読書部40に解錠情報とともに読み取らせることもできる。これにより、配信情報提供者は居住者による配信情報の閲覧状態が確認でき。なお、このようなシステム構成の場合、出入管理装置20は閲覧した居住者に対して配信情報を書き込まないように制御することで、居住者に対する配信情報の重複配信を防止することができる。
【0038】
さらに、回覧板のような閲覧されたか否かの配信履歴が必要な配信情報を書き込んだ場合は、書き込み終了後に書き込んだ携帯端末50の識別情報を記憶部23に記憶させ、次回から書き込み済みの携帯端末50による解錠操作がなされた場合は、配信情報を書き込まないよう制御することもできる。この際、記憶した書き込み済みの携帯端末50の識別番号を定期的に配信情報提供者に通知するようにすれば、居住者に対する配信情報の通知状況を配信情報提供者が把握し易くなる。
【符号の説明】
【0039】
1…情報配信システム
10…情報配信サーバ
20…出入管理装置
21…通信部
22…制御部
23…記憶部
24…電源部
30…出入用自動ドア
40…情報読書部
50…携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の共用エントランスに設置される出入用自動ドアを開扉するのに必要な解錠情報が記憶される携帯端末で前記出入用自動ドアの解錠操作したときに、前記操作した携帯端末に対し前記居住者への配信情報を配信する情報配信システムであって、
配信情報提供者によって前記配信情報と該配信情報の配信先となる前記集合住宅とを配信内容に応じて紐付けされた配信情報データベースを記憶する情報配信サーバと、
前記情報配信サーバから通信ネットワークを介して該当する前記配信情報を取得し、前記携帯端末による解錠操作の正当性を認証すると、前記出入用自動ドアの開扉制御を行うとともに、前記携帯端末に前記配信情報の書き込み制御を行う出入管理装置と、
前記配信情報を表示画面上に展開表示させる配信情報用アプリを記憶し、前記解錠操作時に前記出入管理装置による前記配信情報の書き込みが行われると、前記配信情報用アプリによって前記配信情報を表示画面上に展開表示する携帯端末と、
を備えたことを特徴とする情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−197567(P2012−197567A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60923(P2011−60923)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】