説明

感光性レジストに覆われた物体を検査するための照射装置

本発明は、感光性レジストに覆われた物体を検査する照射装置に関し、その照射装置は、物体への放射線の経路を横切るシステムのみならず、EUV放射線源と、EUV放射線源をフィルタリングする光学系と、物体を収容するチャンバとを備える。本発明は、上記の装置を操作する方法にも関する。本発明は、複雑な光学系を用いることなく安価な実験用放射線源を用いて、複数の照射領域への、少なくとも一部同時の、異なった線量の照射ができる限り速く得られることを目的とする。従って、本発明は、シンプルでコンパクトな光学系を備える装置を提供し、照射される物体の前面に閉口可能なダイアフラム開口部を配置し、放射線の経路に少なくとも1つの制御センサーを配置し、放射線量の測定を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性レジストに覆われた物体をテスト照射する装置に関し、その装置は、EUV放射線源と、EUV放射線源からの放射線をフィルタリングする光学系と、物体を収容するチャンバと、物体へのビームパスを遮る装置とを有する。本発明は、さらに、そのような装置を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用語「リソグラフィ」は、半導体技術において、微小な電子要素および集積回路の回路パターンを、シリコン半導体スライス、すなわちウェーハ上に転写する方法を意味する。そのために、まず、そのパターンをウェーハ上に転写するために用いるビームの透過度の違いという形のパターンを備えるマスクを生成する。ウェーハの表面は、放射線に敏感なフォトレジストに覆われており、マスクを介して露光される。いわゆるリソグラフィスキャナを用いて、フォトレジスト上に半導体パターンを転写する。次の現像の間に、ポジレジストまたはネガレジストが含まれているかによるが、露光したフォトレジストまたは露光していないフォトレジストは溶解され、ウェーハの表面は、溶解された位置において露出している。
【0003】
半導体の特徴サイズが小さくなってきたために、メモリ用チップおよびCPUなどの今日の半導体要素の製造には、約92eV(EUV放射線)の量子エネルギーを有する約13nmの極めて短い波長の放射線の使用を必要とする分解能が必要とされる。従来使用されていた248nm(UV放射線)、193nm(DUV放射線)、または157nm(VUV放射線)の照射波長は、小さくなってきたパターンを生成するにはもはや十分でない。しかし、特徴サイズが小さくなること、および、波長が短くなることにより、感度およびラインの粗さの両方の面から、用いるレジスト、すなわち、いわゆるレジスト材料への要求が増える。
【0004】
レジストへの変更された要求は、適合されるテストシステムを必要とする。そのシステムを用いることにより、ウェーハへの一連の製造を行う前に、変化する照射を用いてレジストの特性を決定する。
【0005】
EUV放射線は、物体にその非常に高い割合が吸収される。従って、超高真空条件下においてEUV放射線をガイドする必要がある。EUV放射線源は熱放出プラズマである。従来使用されていたレーザーとは対照的に、プラズマは非常に広い帯域にわたって放射する。そのため、所望のEUV放射線に加えて、DUV放射線、VUV放射線、およびUV放射線も得られる。従って、スペクトルフィルタを用いて、この放射線をレジストに近づけないように保つ必要がある。
【0006】
単色のEUV放射線を放つシンクロトロン・ストレージリングのいわゆるEUVビーム管は、EUVリソグラフィ技術の研究のための非常に安定したEUV放射線源の構成要素となる。上記のEUV放射線源は、数MHzの繰返し周波数を有する非常に短い放射線パルス(<1ns)を放つ。そのため、このEUV源はよくquasi−cw源と呼ばれる。スラブに供給したレジストをテストする目的で、レジストへの放射線量の影響を決定するために、シンクロトロン・ストレージリングのEUVビーム管上の個々の領域に、異なった放射線量を経時的に照射する。その上、シンクロトロン・ストレージリング上には、複数のレジストに覆われた領域が既に同時に露出されており、ビームパスのレジスト層の上流に配置される速く回転するダイアフラムホイール(Blendenrad)はニュートラルなV字型フィルタ(Graukeil)の機能をする。そのホイールに放射線状に配置されるダイアフラム開口部は異なったサイズである。そのため、個々の領域は、各回転の間の異なった時間放射を受ける。物体の個々の領域への再現可能な放射条件は、ダイアフラムホイールを用いてのみ可能である。これは、EUV放射線源が、反復周波数が高いために実質的に定常状態を示し、非常に安定して放射するためである。
【0007】
最後に、レジストへの照射実験は、既にEUV放射線の低電力実験室用放射線源を用いて行われており、その都度、物体の個々の領域のみが照射される。EUV実験室用放射線源は、高密度で、高温(>200000℃)のプラズマを生成し、全く非常に低い繰返し速度(典型的には10〜1000Hz)を有する非常に短いパルス(典型的には100ns)のみのEUV放射線を放つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この先行技術を出発点として、本発明は、感光性レジストに覆われた物体にテスト照射をする装置を提供するという課題に基づく。その装置により、安価な放射線源を用いて、可能な限り短い時間で変化する線量を、物体上の複数の照射領域に少なくとも一部同時に照射でき、EUV放射線のビームパスに複雑な光学系、従って、高価な光学系を用いる必要がなく、EUV照射を介するビームパスにおける光学要素の劣化はテストの結果に影響を及ぼさない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
はじめに言及したタイプの装置の場合、本課題は、
−EUV放射線源はEUV放射線の実験室用放射線源であり、
−光学系は、放射線の望ましくないスペクトル成分、特にVIS放射線成分、UV放射線成分、DUV放射線成分、およびVUV放射線成分を抑える少なくとも1つのフィルタを有し、「帯域内の」EUV範囲をスペクトルフィルタリングする少なくとも1つのミラーを有し、
−ビームパスを遮る装置が、複数の閉口可能なダイアフラム開口部を備え、物体上に位置し、かつ、ダイアフラム開口部の下流に位置する照射領域への照射を、そのダイアフラム開口部は時間的に制御し得、
−少なくとも1つのモニタ検出器が、ビームパスに向かって光学系の下流に配置され、照射の間に放射線量を検出する、ということによって解決される。
【0010】
EUV放射線の実験室用放射線源は、例えば、低電力プラズマを基とした放射線源であり、例えば、100Wの電力および50Hzのパルス振動数を有するHCT(中空カソードトリガー)原理によるEUVランプである。実験室用放射線源により、確かに、長い操作時間にわたって必要とされるEUV放射線が利用できる。
【0011】
実験室用放射線源のプラズマは、所望のEUV放射線に加えてDUV放射線、VUV放射線、UV放射線およびVIS放射線をも含む非常に広い帯域にわたる放射線を放つ。これらの放射線の望ましくないスペクトル成分を抑えるために、光学系は、好ましくは、スペクトルフィルタを有する。フィルタは、例えば、薄い金属フィルム(例えば、支持格子上の150nmの厚みのジルコニウムフィルム)を備える。フィルタは、好ましくは実験室用放射線源の出口開口部に位置する。その配置により、フィルタは、実験室用放射線源からの汚染物が、照射される物体の収容チャンバを通過すること、および、そこに位置する部分を汚すことを防ぐ。
【0012】
光学系は、確かに、13.5nmの波長を有する「帯域内の」EUV放射線のみに対して照射が有効であるようにするというさらなる働きを有する。特に、多層ミラーはフィルタに適する。
【0013】
光学系の要素部分は、物体に対して実質的に所望のEUV放射線のみを照射するという効果を有する。
【0014】
特に、フィルタおよびミラーのみを有する本発明による装置のコンパクトな光学系により、EUV実験室用放射線源と全ての照射領域が均一な照射を受ける物体との間の距離は非常に短くなり得る。この短い距離は、複雑な集光装置を用いることなしに、プラズマの熱放出の大きな立体角を利用することができるということを意味する。
【0015】
本発明による閉口可能なダイアフラム開口部により、ダイアフラム開口部を介して物体に定められる照射領域に少なくとも一部同時に照射し得る。照射に割当てられた領域の目標線量に達した後に、個々のダイアフラム開口部が閉口されるまで、全ての照射領域は平行に照射される。従って、フォトレジストの照射線量の影響をテストするときには、かなりの時間節約が得られる。
【0016】
ダイアフラム開口部は、好ましくは、平面状のプレイトに配置され、例えば5mmの直径を有する。このタイプのダイアフラム開口部を20個用いることにより、フォトレジストのテスト時間は、異なった放射線量を有する照射を一回ずつ行う場合と比べて、ほぼ20分の1に減少し得る。
【0017】
事前に行った校正の後、光学系の下流に配置されるモニタ検出器により、個々の照射領域における照射線量を正確に測定し得る。例えば、複数のフォトダイオード(ショットキー型)は、モニタ検出器として用いられ得る。測定精度を良くするためには、ダイオードにより供給される信号は、好ましくは、平均化されたものである。照射の間に、連続的に照射線量を検出することにより、照射線量に対して正確に定め得る所望の値の照射領域への照射が実行され得る。
【0018】
モニタ検出器は、好ましくは、光学系と閉口可能な開口部との間に配置される。モニタ検出器は、便宜上、照射される物体のできるだけ近くに位置する。そのモニタ検出器の配置により、この装置は、光学系の劣化に対して敏感でなくなる。
【0019】
はじめに言及したように、真空条件下において物体まで、全てのビームパスをガイドする必要がある。従って、物体を収容するチャンバは、例えば10−6mbarの圧力に合わせて設計され、真空引きされる。放射線通路のための開口部を有する窓によって実験室用放射線源の放出チャンバから隔離された光学系のフィルタは、例えば金属フィルムの形であり、特に、窓に位置する。それにより、収容チャンバの汚染は防がれる。収容チャンバは、好ましくは、専用のポンプシステムを有し、照射される物体が処理されるときには、実験室用放射線源から、好ましくは、光学系を収容する領域からも、スライドバルブにより区分される。
【0020】
個々の照射領域においてできるだけ均一な照射を得るためには、全てのダイアフラム開口部が1つの平面に配置され、各ダイアフラム開口部を介して物体上に生成される照射領域は重なり合わない。照射領域は、好ましくは、ダイアフラム開口部の平面に平行に配置される。
【0021】
フォトレジストに覆われた物体は、特に、シリコンウェーハ、例えば、650μmの厚みの6インチのウェーハであり、ダイアフラム開口部に定められる20個の照射領域を有する。マウントは収容チャンバに位置し、EUV放射線がウェーハを覆うフォトレジストに照射するようにウェーハを収容する。
【0022】
本発明に好都合な微調整をしたものでは、実験室用放射線源は、持続時間が1μsよりも短く、特に100nsであり、繰返し速度が1〜10000Hzの間、特に1〜5000Hzの間である放射線パルスを放つ。実験室用放射線源の放射線は、熱放出プラズマ、特にレーザーにより生成されたプラズマ、放出により生成されたプラズマ、または、電子ビームに由来する。
【0023】
好ましくは、薄い金属フィルム、特に200nmよりも薄いが100nmよりも厚いジルコニウムフィルムがフィルタとしてビームパスに配置され、望ましくない可視光からVUV放射線の範囲の放射線を抑える。フィルムは、所望のEUV放射線の50%まで透過するが、その一方で、望ましくない放射線は、1000分の1よりも小さく抑えられる。
【0024】
「帯域内の」EUV範囲のスペクトルをフィルタリングする各ミラーは、多層ミラーとして配置される。その場合には、ミラーは平坦なミラーとして、または湾曲したミラーとして具体化され得る。多層ミラーは、EUV範囲における狭いスペクトル帯域において入射放射線の70%までを反射する。その一方で、この狭い帯域にない放射線は、ほぼ完全に多層ミラーに吸収される。
【0025】
ダイアフラム開口部は、好ましくは、フラットスライドにより閉口される。そのフラットスライドは、ダイアフラム開口部の平面に平行な平面に移動され得るように配置され、ダイアフラム開口部を連続的に開閉し得る輪郭を有する。その輪郭は階段状であり、特に、それによって、行を成して配置するダイアフラム開口部を行ごとに開閉し得る。全てのダイアフラム開口部を閉口するものとしてのフラットスライドは、1つだけ機械要素を有し、製造技術および制御技術の点で非常に好都合な解決策を構成する。
【0026】
本発明の利点および効果、ならびにその操作手順は、図面を参照しながら記載する以下の実施例により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
EUVテスト照射のための装置は、EUV放射線の領域において、すなわち、13.5nmの波長において、1回の作業で20の異なった放射線量を用いて、リソグラフィ用のフォトレジスト(レジスト)を検査する役目をする。この場合において、線量に依存する、現像後のフォトレジストの除去、および、描かれたパターンの鮮明さを決定することを意図する。
【0028】
EUVテスト照射のための装置は、EUV実験室用ランプ(1)を備える。EUV実験室用ランプ(1)は、図1によるスペクトルを有する放射線を生成する。出口開口部(3)を有する水平なビーム管(2)を介して、同様に水平なビームパス(4)はEUV実験室用ランプ(1)から離れる。
【0029】
ビーム管スライドユニット(5)は、出口開口部(3)に位置する。ビーム管スライドは、150nmの厚みのジルコニウムフィルムが挿入される通路を有し、そのジルコニウムフィルムは、スライドを用いてビームパス(4)に移動され得る。このスライドは、ビームパス(4)の軸に垂直に移動可能であり、ジルコニウムフィルムが完全にビーム管(2)の断面の外に移動され得る。それにより、出口開口部(3)はビーム管スライドによって完全に閉口される。ちなみに、ビーム管スライドは金属から成る。その上、ターボ分子ポンプ(6)は、ビーム管(2)に配置され、キセノン雰囲気が保たれた状態でEUVランプ(1)において約10−3mbarの真空を生成する。
【0030】
ビーム管スライドユニット(5)は、中空シリンダ型エルボ(7)に隣接し、中空シリンダ型エルボ(7)は、偏向ミラー(8)を収容する。偏向ミラー(8)は、水平にぶつかるビームパス(4)がウェーハチャンバ(9)に90°偏向されるように、曲がった部分の外部領域におけるエルボの内部に配置される。ウェーハチャンバは、(9)によってその全てが示される。ミラーレセプタクル(11)は偏向ミラー(8)を支え、固定する。この実施例において図示される45°のEUV放射線の入射角の作成に好都合な角度は、容易に変更され得るということが指摘される。
【0031】
エルボ(7)はウェーハチャンバ(9)に隣接する。ウェーハチャンバ(9)は、中空シリンダ型ビーム管(12)を備え、レジストに覆われたウェーハを収容する空間(13)をも備える。ビームパス(4)は、ビーム管(12)を介して、偏向ミラー(8)からダイアフラム系(15)の方向に広がる。ウェーハはそのレジスト表面とともにダイアフラム系(15)の方向に向いている。そのため、ダイアフラム系を通過するEUV放射線は、ウェーハのレジスト被覆の上に降る。ダイアフラム系(15)のダイアフラム開口部は、ステッパモータ(14)により閉口される。
【0032】
さらなるターボ分子ポンプ(17)は、収容空間(13)の側面に配置され、露光の間にエルボ(7)およびウェーハチャンバ(9)の圧力を確かに10−6mbarに維持する。
【0033】
3つのフォトダイオード(18)は、ダイアフラム系(15)におけるEUV放射線のビームパス(4)の広がる方向に位置する。フォトダイオードは図3において識別され得、EUVランプ(1)の個々の放射線パルスの放射線エネルギーを検出し得る。放射線エネルギーは、フォトダイオード(18)において生成される電荷に比例する。フォトダイオードは、ダイアフラム系のダイアフラム開口部から可能な最小距離に配置されるが、モータ駆動の開口部の閉口によって隠されないように配置される。
【0034】
最後に、EUVテスト照射のための装置は、エルボ(7)とウェーハチャンバ(9)のビーム管(12)との間に配置されるさらなるスライド(19)を有する。スライド(19)が閉口される場合には、ウェーハチャンバ(9)は、EUVランプ(1)、および、エルボ(7)の内部空間と完全に区分されている。
【0035】
図3は、ダイアフラム系の構成を示す。ダイアフラム系は、(15)によりその全てが示され、5つの行がそれぞれ4つのダイアフラム開口部(22)を有する穴の開いたマスク(21)を有する。各ダイアフラム開口部(22)を通過するEUV放射線は、ウェーハのレジスト層(16)上の境界が定められた照射領域を定める。ウェーハとダイアフラム系(15)との間の距離、および、ダイアフラム開口部(22)間の距離は、照射領域が重なり合わないように設計される。その結果、ダイアフラム系(15)は、フォトレジストに覆われたウェーハの表面上に、約5mmの直径を有する境界が定められた20個の照射領域を生成する。
【0036】
端部に階段状の輪郭(23)を有するフラットスライド(24)は、穴の開いたマスク(21)の横に位置する。輪郭(23)の反対側において、フラットスライド(24)は、図2に示されるステッパモータ(14)に接続される。フラットスライド(24)を矢印(25)の方向に動かすことにより、行ごとに次々とダイアフラム開口部(22)を機械的に閉口し得る。その結果、個々のダイアフラム開口部(22)に定められる照射領域は、個々の照射時間を得る。
【0037】
被覆されたウェーハへの照射の間に、ビームパスがジルコニウムフィルタを通過するように、ビーム管スライドユニット(5)のスライドを押す。その場合において、フィルタは2つの機能を有する。
1.20nmよりも長い波長を有する放射線を妨ぐ機能。20nmよりも長い波長では、ジルコニウムフィルタの透過率は10%よりも低い。
2.EUVランプ(1)のキセノン雰囲気を、エルボ(7)およびウェーハチャンバ(9)により形成される領域、ならびに、キセノンガスが通過する必要のない領域と区分する機能。ジルコニウムフィルタは十分安定であり、EUVランプ(1)と上記の領域との間の差圧に耐え得る。
【0038】
偏向ミラー(8)は、例えば約10nmの厚みの周期を有する40層のシリコン基板を有する多層ミラーである。そのミラーは、ウェーハチャンバ(9)のビーム管(12)に45°の角度で13.5±0.2nmの波長を反射する。
【0039】
ウェーハ上のフォトレジストへの照射の完了後、エルボ(7)とウェーハチャンバとの間のスライド(19)は閉口される。その結果、例えば照射ウェーハを取り除く目的でウェーハチャンバ(9)を開口するためにウェーハチャンバ(9)をベントする場合には、EUVランプ(1)およびエルボ(7)における真空は保たれる。スライド(19)により、ウェーハを処理する間におけるウェーハチャンバ(9)の排気時間を短くし得るのみならず、ビーム管スライドユニット(5)のジルコニウムフィルムおよびエルボの偏向フィルタ(8)により形成される敏感な光学系を効果的に保護し得る。
【0040】
穴の開いたマスク(21)のビームパス(4)に配置されるフォトダイオード(18)は、フォトダイオードにおいて放射線エネルギーに比例する電荷を生成するという点で、EUV放射線の放射線エネルギーを測定する。個々のパルスに生成される電荷は、制御器(図には示していない)により電気的に合算され、周期的に問合せされる。その問合せにより、特定の放射線量(所望の値)に達したことが明らかになると、ステッパモータ(14)に対する制御命令が開始される。ステッパモータ(14)は、行ごとに次のダイアフラム開口部(22)を閉口するために、フラットスライド(24)を矢印(25)の方向に動かす。次のダイアフラム開口部(22)が閉口される前に、ユーザーが指示した目標線量に依存して達すべき所望の値(定義:テストシステムのユーザーが試験するレジストに最適と考える線量)は、照射関数の離散的な点を形成する。個々の所望の値は次の公式:
【0041】
【数1】

に従って計算される。
【0042】
その場合には、次の事項が適用可能である。
関数値sは、次のダイアフラム開口部が閉じられる前に達すべき所望の値である。
パラメータFは、そのときに閉じられている領域を表し、1〜20の値をとる。
パラメータExpは、ユーザーが設定する指数であり、1〜5の値を有する。
パラメータTarは、ユーザーが設定する目標線量である。
パラメータVarは、1〜100の範囲のパーセントによりユーザーが設定する変化範囲である。
【0043】
Tar:=1.0およびVar:=50の場合、図4に示される特性曲線は、所望の値sに対して指数Exp:=1〜5に依存するという結果が得られた。指数Expが大きくなるにつれ、目標線量Tar付近の離散的な点の密度は高くなるということが明らかになる。
【0044】
EUV放射線による照射によって、ウェーハ上の現像後に、レジストフィルムが取り除かれる。現像後の線量と除去の程度との関係は、現実のレジストの例を用いた図5による曲線に示される。残余のレジストフィルムの厚みは、特定の線量から急激に減少する。このレジストの照射に必要とされる最小線量(この実施例では、約6mJ/cm)は、x軸から読み取り得る。そのようにして、1回の操作によって、ウェーハのフォトレジストのEUV感度を決定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】EUV放射線源により生成される放射線スペクトルを示す。
【図2】感光性レジストに覆われた物体をテスト照射する本発明による装置の基本的な例図を示す。
【図3】図2による装置に配置されるフラットスライドを有するダイアフラム系を示す。
【図4】異なった指数部を有し、50%のバリエーションを有する照射関数を示す。
【図5】テスト照射線量の関数として、レジストが供給されたフィルムの厚みを示す。
【符号の説明】
【0046】
1 EUVランプ
2 ビーム管
3 出口開口部
4 ビームパス
5 ビーム管スライドユニット
6 ターボ分子ポンプ
7 エルボ
8 偏向ミラー
9 ウェーハチャンバ
11 ミラーレセプタクル
12 ビーム管
13 収容空間
14 ステッパモータ
15 ダイアフラム系(Blendensystem)
16 レジスト層を有するウェーハ
17 ターボ分子ポンプ
18 フォトダイオード
19 スライド
21 穴の開いたマスク
22 ダイアフラム開口部
23 階段状の輪郭
24 フラットスライド
25 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性レジストに覆われた物体をテスト照射し、EUV放射線源と、該EUV放射線源からの放射線をフィルタリングする光学系と、該物体を収容するチャンバと、該物体へのビームパスを遮る装置とを備える装置であって、
該EUV放射線源がEUV放射線の実験室用放射線源(1)であり、
該光学系が、該放射線の望ましくないスペクトル成分を抑える少なくとも1つのフィルタと、「帯域内の」EUV範囲をスペクトルフィルタリングする少なくとも1つのミラー(8)とを有し、
該ビームパスを遮る該装置が、複数の閉口可能なダイアフラム開口部(22)を備え、該ダイアフラム開口部により、該物体上に位置し、かつ、該ダイアフラム開口部の下流に位置する照射領域の該照射の時間的な制御が可能になり、
該少なくとも1つのモニタ検出器(18)が、該ビームパス(4)に向かって該光学系の下流に配置され、照射の間に該放射線量を検出することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ダイアフラム開口部(22)のすべてが1つの平面(21)に配置され、各ダイアフラム開口部(22)を介して前記物体(16)の上に生成される前記照射領域が重なり合わないことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記物体(16)がフォトレジストに覆われたウェーハであり、該物体(9)を収容する前記チャンバが該ウェーハのためのマウントを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記実験室用放射線源(1)の前記放射線が熱放出プラズマから生じることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
薄い金属フィルム、特に、200nmよりも薄い厚みを有するジルコニウムフィルムが、望ましくない可視光放射線からVUV放射線を抑えるフィルタとしてビームパス(4)に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置および方法。
【請求項6】
「帯域内の」EUV範囲をスペクトルフィルタリングする少なくとも1つのミラー(8)が、多層ミラーとして構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置および方法。
【請求項7】
各モニタ検出器(18)が、前記照射される物体(16)から、前記実験室用放射線源(1)と該照射される物体との間隔の半分よりも短い距離離れて位置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
各ダイアフラム開口部(22)が個々の閉口メカニズムに割当てられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ダイアフラム開口部(22)が、少なくとも1つのフラットスライド(24)によって閉口可能であることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ダイアフラム開口部(22)の前記平面に平行な平面に前記フラットスライド(24)を移動することができ、該フラットスライド(24)が、該ダイアフラム開口部(22)の連続的な開口または閉口を可能にする輪郭(23)を有するように、該フラットスライド(24)が配置されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フラットスライド(23)が、行を成して配置される前記ダイアフラム開口部(22)の行ごとの開口または閉口を可能にする階段の形をした輪郭(23)を有することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つのまたは複数のモニタ検出器(18)が、前記ダイアフラム開口部(22)に割当てられた前記照射領域における前記照射線量が所望の値と一致することを確かめるとすぐに、各ダイアフラム開口部(22)を閉口することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置を操作する方法。
【請求項13】
各モニタ検出器(18)の前記信号は、制御器において合算され、該制御器に格納された各ダイアフラム開口部(22)に対する前記所望の値と比較され、照射領域に対する該所望の値に達したときに、該制御器が、該それぞれのダイアフラム開口部の閉口(24)に割当てられたドライブ(14)を駆動することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御器が自動的に前記所望の値を生成することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
操作者が前記制御器に前記所望の値を入力することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
操作者が入力したパラメータに基づいて、前記制御器が前記所望の値を生成することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記操作者が入力するパラメータの数が照射領域の数以下であり、前記テストされるフォトレジストの典型的な線量を特徴づける少なくとも1つのパラメータと、前記変動範囲をパーセント単位で決定する1つのパラメータと、前記線量プロファイルを決定する一つのパラメータとを入力し、該変動範囲は、該典型的な線量に関して最大値と最小値との間の該範囲を定め、該線量プロファイルは、2つの連続して閉鎖される照射領域間の該線量の該変化を定めることを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−503419(P2006−503419A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501266(P2005−501266)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003381
【国際公開番号】WO2004/036312
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【出願人】(505132297)アイックスユーブイ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】