説明

感光性着色組成物

【課題】画素の表面平滑性および輝度・色純度に優れた色域再現性の良いカラーフィルターの製造に使用できるカラーフィルター用感光性着色組成物を提供すること。
【解決手段】バインダーポリマー、多官能エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤、および着色剤を有機溶媒中に少なくとも含有してなり、上記のバインダーポリマーが、構成成分として、エポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有するモノマー(モノマーA)と、脂環式(メタ)アクリル酸エステル(モノマーB)とを少なくとも含むコポリマーを含有することを特徴とするカラーフィルター用の感光性着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラースキャナー、およびビデオカメラ用の固体撮像素子などに用いられるカラーフィルター用感光性着色組成物(以下単に「着色レジスト」という場合がある)に関し、さらに詳しくは、画素の表面平滑性および輝度・色純度(以下これらの特性を纏めて「レジスト特性」という場合がある)に優れた色域再現性の良いカラーフィルターの製造に使用できる着色レジストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットディスプレイとしてカラー液晶表示装置がパソコン、携帯電話、カーナビゲーション、マルチメディア用ディスプレイ、およびテレビなどの用途に急速に普及してきている。上記の市場拡大に伴い、上記の液晶表示装置のカラーフィルターの製造に使用される着色レジストは、より高性能化が必要になってきている。特に、高性能化において前記のレジスト特性のレベルアップが必要になってきており、優れた色純度と輝度による色域再現性がよいカラーフィルターが得られる着色レジストの高性能化が重要になってきている。とくに、マルチメディア用ディスプレイ用途やテレビ用途の液晶ディスプレイは、色域再現性を向上させるために、高透過で高濃度であることが要求されてきている。
【0003】
上記のカラー液晶表示装置に使用されるカラーフィルターの製造に用いられる着色レジストとしては、ある種の着色レジスト(特許文献1)や、(特許文献2)が開示されているように、顔料分散法による着色レジストが最も広く採用されている。上記の顔料分散法による着色レジストは、少なくとも顔料とバインダーポリマーであるアルカリ可溶性樹脂を含有する光硬化性着色組成物をカラーフィルター用のガラス基板上に塗布し、得られた塗膜を所定のマスクを介して露光し、硬化させ、アルカリ現像液により現像し、必要に応じて現像後熱硬化処理をして微細パターンの着色層(画素)を形成している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の着色レジストは、それを使用したカラーフィルターの製造工程において、得られる画素の微細パターンが、とくに現像工程で、表面平滑性が悪化したり、熱硬化処理の際に黄変して透過率が低下する傾向があり、このことは、得られるカラーフィルターの画素の色がばらついたり、輝度や色純度の低下を招き、高輝度で色域再現性の良いカラーフィルターを得るのが困難であった。
【0005】
また、特許文献2に開示の着色レジストも、その現像性および耐黄変性が十分でないために画素の表面平滑性および輝度・色純度に優れた色域再現性の良いカラーフィルタを製造するのは困難である。
【0006】
本来、上記の輝度は、着色レジストに配合されている顔料の配合割合が増えると、画素の透明性が落ちて輝度を上げにくくなったりするなど、その使用されている顔料の種類、顔料の粒径の適正化、配合、分散性およびその透過スペクトルの波長など着色剤の因子にも起因するが、上記の顔料を基板に結合させる着色レジストを構成しているバインダーポリマーもカラーフィルターの画素の輝度や色純度に大きく影響する。
【0007】
上述のように、従来のバインダーポリマーを使用した着色レジストでは十分に優れた輝度および色純度を有する色域再現性の優れたカラーフィルターを製造することができない。
【0008】
【特許文献1】特開2000−81508号公報
【特許文献2】特開2001−163951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、カラーフィルターの製造に使用される優れたレジスト特性を与える着色レジストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、バインダーポリマー、多官能エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤、および着色剤を有機溶媒中に少なくとも含有してなり、上記のバインダーポリマーが、構成成分として、エポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有するモノマー(モノマーA)と、脂環式(メタ)アクリル酸エステル(モノマーB)とを少なくとも含むコポリマーを含有することを特徴とする着色レジストを提供する。
【0011】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記の特定のコポリマーを有するバインダーポリマーを使用した着色レジストが、それを使用したカラーフィルターの製造工程において、得られる画素の微細パターンが、とくに現像工程で、表面平滑性が悪化したり、熱硬化処理の際に黄変がなく、優れた輝度と色純度を有する色域再現性に優れたカラーフィルターが得られることを見いだした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レジスト特性に優れた色域再現性の良いカラーフィルターが得られる着色レジストが提供される。とくに、青色画素を形成するのに用いられる青色レジストは、画素形成時の熱処理によって画素が黄味を帯びると透明性や色特性の劣化が著しいので青色画素の黄変を防止するのは他の色の画素にも増して重要であり、本発明の着色レジストは青色レジストにとくに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。本発明を主として特徴づけるコポリマーは、構成成分として、モノマーAと、モノマーBとを少なくとも含むコポリマーである(以下、このコポリマーを「特定コポリマー」という場合がある)。上記の特定コポリマーは、上記のモノマーAと、モノマーBを必須成分として、その他共重合可能なモノマーA、B以外のモノマーからなるコポリマーである。なお、特定コポリマーは、モノマーAとモノマーBのみからなるコポリマーも使用することができる。
【0014】
上記の特定コポリマーを構成するモノマーAは、エポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有するモノマーである。上記のモノマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
上記のモノマーAであるエポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル(「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸またはメタクリル酸の双方を意味する);(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル;(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル;(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル;α−エチル、α−n−プロピル、およびα−n−ブチルのアクリル酸グリシジル;α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル;o−、m−、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレートなど、好ましくはメタクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0016】
また、前記のモノマーAであるオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、3−メチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロキシメチルメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−メオクリロキシエチルオキセタンなど、好ましくは3−メチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシエチルオキセタンが挙げられる。
【0017】
また、前記のモノマーBである脂環式(メタ)アクリル酸エステルは、脂環式アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであり、好ましくはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0018】
また、前記のモノマーAおよびモノマーBと共重合可能で特定コポリマーを形成するその他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸など、好ましくは芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステルなど、さらに好ましくはスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】
前記の特定コポリマーは、前記のモノマーAと、モノマーBと、その他の共重合可能なモノマーとを公知の方法で共重合させたものである。上記の特定コポリマーは、ポリマーを構成する構成単位の上記モノマーの結合状態に制限はなく、例えば、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーなど、いずれの形態であってもよい。
【0020】
前記の特定コポリマー中のモノマーAの含有率は、特定コポリマーを構成する全モノマー中でモノマーAが5モル%〜35モル%、好ましくは20モル%〜35モル%である。上記のモノマーAの含有率が多過ぎると得られる着色レジストの透明性が下がって輝度が低下し、一方、少な過ぎると表面粗度の向上が得られず、輝度の向上効果も得られない。
【0021】
また、特定コポリマー中のモノマーBの含有率は、コポリマーを構成する全モノマー中でモノマーBが5モル%〜70モル%、好ましくは20モル%〜40モル%である。上記のモノマーBの含有率が多過ぎると得られる着色レジストの透明性は上昇するが、表面粗度が大きくなって輝度が低下するという問題があり、一方少な過ぎると透明性を挙げる効果が下がるので、輝度向上効果が得られない。
【0022】
前記のモノマーAとモノマーBの配合モル割合は、A/B=2/1〜1/2が好ましく、とくに好ましくはA/B=11/9〜9/11である。上記のモノマーAとB双方の配合モル割合を同量にすると、優れた表面平滑性および輝度の画素を有するカラーフィルターが得られる。
【0023】
前記の特定コポリマーは、その重量平均分子量が1,000〜50,000、好ましくは4,000〜20,000、とくに好ましくは4,000〜16,000である。上記の重量平均分子量が高すぎると、得られる着色レジストの現像性が低下する。一方、上記の重量平均分子量が低過ぎると、表面粗度を小さくする効果が低下し、輝度向上効果が減少する。なお、上記本発明における重量平均分子量は、GPC(東ソー製、HLC8120、カラムTSK−GEL、GMHXL−L)にてポリスチレン換算の分子量として求めた値である。
【0024】
前記の特定コポリマーは、その配合量が前記バインダーポリマー総量中で5質量%〜50質量%であるのが好ましい。上記の配合量が多過ぎると得られる着色レジストの現像性が劣り、一方、上記の配合量が少な過ぎると、輝度を向上する効果が得られない。
【0025】
前記のバインダーポリマーは、前記の特定コポリマーと、該特定のコポリマーに相溶性があり、アルカリ現像に対応したアルカリ可溶性ポリマーとを組み合わせて使用する。上記のアルカリ可溶性ポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂など、好ましくはアクリル樹脂、さらに好ましくはベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸からなる共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた、不飽和基を側鎖に有するアクリル系樹脂が挙げられる。
【0026】
上記のポリマーは、例えば、下記の重合性単量体をラジカル重合させることにより得られる。また、さらに、これらにエポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマー、あるいは、イソシアネート基とエチレン性不飽和基を有するモノマーを付加反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を導入してもよい。上記の重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン誘導体;ビニルアルコールのエステル類;アクリルアミド;アクリロニトリル;(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。
【0027】
また、本発明で使用する多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、前記のポリマーおよび特定コポリマーと相溶性のある光重合性化合物である二官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。上記のモノマーはそれぞれ単独でもまた2種以上の混合物としても使用できる。上記の多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの二官能(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0028】
また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのカルボン酸変性(メタ)アクリレートなどの三官能以上の(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0029】
また、本発明で使用する光重合開始剤としては、イミダゾール系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、オキシム系、チオキサントン系、トリアジン系、ベンジル系、アントラキノン系、チオール系およびイオウ化合物系光重合開始剤など、好ましくはイミダゾール系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、オキシム系およびチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
【0030】
上記の光重合開始剤の具体例としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキスフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール系;ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ−フェニル)ブタノン−1などのアセトフェノン系;エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)などのオキシム系;2−および4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
また、本発明で使用する着色剤は、カラーフィルターを形成する各画素の着色剤として、着色力、透明性、コントラスト、耐光性、耐薬品性などに優れている顔料であればいずれのものも使用することができる。また、必要に応じて染料も使用することができる。上記の着色剤は、着色剤を公知の分散剤と溶剤と、必要に応じてポリマーからなる分散媒体に分散させてなる着色分散液として使用することができる。
【0032】
上記の分散剤としては、ノニオン、カチオンおよびアニオン系界面活性剤、ポリエステル系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。上記の分散剤は単独でも、あるいはそれらを混合したものを使用することができる。上記の分散剤としては、例えば、ビックケミー社からDisperbyk、味の素ファインテクノ社からアジスパー、ルーブルリゾール社からソルスパース、エフカケミカルズ社からEFKA、楠本化成社からディスパロンなどの商品名で入手して本発明で使用することができる。
【0033】
上記の顔料としては、例えば、キナクリドン系、インジゴ系、アンタンクロン系、スレン系、アゾ・ジアゾ・多縮合アゾ系、イミダゾール系、アリルアマイド(アシルアミノ)系、ペリレン系、イソインドリン系、ペリノン系、フタロシアニン系、メチン・アゾメチン系、ジオキサジン系、アントラピリミジン系、アニリン系、ピラントロン系、プランバントロン系、インダントロン系、イソビオルパントラン系、フタロン系、キノフタロン系、ジアントラキノン系などの有機顔料が挙げられる。
【0034】
上記顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、176、177、179、180、209、215、224、254、(48:1)、(48:2)、(48:3)、(48:4);C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブルー(15:6)、(15:1)、(15:3);C.I.ピグメントイエロー83、93、138、139、150、180、185、213、219;C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントオレンジ36、43、51;C.I.ピグメントブラウン23、25;C.I.ピグメントブラック1、7などが挙げられる。
【0035】
また、本発明で使用する有機溶媒としては、前記のポリマー、コポリマー、多官能エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤および着色剤を均一に溶解、分散できる、エステル類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、芳香族類などが挙げられ、これらは、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
上記の有機溶媒の具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族類など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
本発明の着色レジストは、前記のアルカリ可溶性ポリマーと特定コポリマーからなるバインダーポリマーと、多官能エチレン性不飽和モノマーと、光重合開始剤と、着色剤と、有機溶媒および必要に応じて添加剤を配合して、混合分散することにより得られ、好ましくは濾過して調製される。上記の混合分散は、例えば、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、高圧分散機、超音波分散機など、好ましくはビーズミルを使用して行われる。使用するビーズは、直径0.1mm〜2mmのジルコニア製のものが好ましく使用される。上記の着色剤としては、好ましくは着色分散液として調製されたものを使用する。上記の着色分散液は、前記の着色剤、有機溶媒、および分散剤と、必要に応じてバインダーポリマーを配合して微細分散を行い調製される。
【0038】
なお、上記の着色レジストの調製において、着色分散液、バインダーポリマーに加えて、有機溶媒と、多官能エチレン性不飽和モノマーと、光重合開始剤と、および必要に応じて添加剤を配合するが、これらは、着色分散液を調製する際に一部または全部を混合して調製することができる。また、上記のバインダーポリマー中の特定コポリマーの配合は、前記のバインダーポリマー総量中の含有量の範囲内で行い、その配合は着色分散液調製の際、あるいは着色レジスト調製の際のいずれでもよい。
【0039】
上記の添加剤としては、本発明の目的を妨げない範囲において、得られる着色レジストのガラス基板への密着性を向上させるためにアクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤などのカップリング剤、また、2,2−チオビス(4−メチル−6−tブチルフェノール)などの酸化防止剤、アルコキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、膜の平滑性や現像性を向上させるためのフッ素系、シリコン系、炭化水素系、およびアクリル系などの界面活性剤、その他、消泡剤、凝集防止剤などが挙げられる。
【0040】
前記のように調製された着色レジストは、例えば、これを用いて、遮光層の金属系薄膜のブラックマトリックスが形成されたカラーフィルター用ガラス基板に、回転塗布、流延塗布、浸漬塗布、ロール塗布などの公知の塗布方法で塗布し、加熱乾燥して1〜3μm(乾燥厚み)を得る。次に、該塗布膜に目的の画素を形成するためのネガ型のフォトマスクを介して高圧水銀灯や超高圧水銀灯(60mJ/cm2光量)などにより紫外線を照射し露光する。露光後、光硬化した塗膜を公知のアルカリ現像液を使用してスプレー法やディップ法にて現像し、未露光部分を溶解して目的とする色に相当する画素を得る。上記の画素を得る工程を、カラーフィルターに必要とされる色の数だけ繰り返すことによって目的とするカラーフィルターが得られる。現像後、150℃〜250℃で5〜60分程度熱硬化処理を行う。
【0041】
上記の現像に使用されるアルカリ現像液は、無機あるいは有機のアルカリ化合物と必要に応じて界面活性剤を含有するアルカリ性水溶液である。上記のアルカリ性水溶液の濃度は、0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜0.07質量%である。上記の無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素アンモニウム、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、硼酸カリウムなどが挙げられる。また、有機アルカリ化合物としては、例えば、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【実施例】
【0042】
次に本発明の着色レジストV1〜V10と比較例の着色レジストW1〜W10を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」とあるのは質量基準である。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1〜10](着色レジストV1〜V10)
着色分散液(a)、ポリマー(b)、特定コポリマー(c)、多官能エチレン性不飽和モノマー(d)、光重合開始剤(e)、および有機溶媒(f)の各々の成分を表1のように配合し、ビーズミルを使用して均一に混合分散して着色レジストV1〜V10を調製した。
【0044】
上記の成分は、下記の通りである。
着色分散液(a)
a1:C.I.ピグメントブルー(15:6)が15%、アクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)が7.5%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが77.5%とからなる着色分散液。
a2:C.I.ピグメントバイオレット23が14.6%、アクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)が9.6%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが75.8%とからなる着色分散液。
【0045】
ポリマー(b)
メタクリル酸/ベンジルメタクリレートからなる共重合体に、グリシジルメタクリレートを付加したポリマー(メタクリル酸/ベンジルメタクリレートからなる共重合体の総質量に対して、グリシジルメタクリレートを10質量%付加した。量重量平均分子量10,000、酸価70mgKOH/g)。
【0046】
特定コポリマー(c)
c1:ジシクロペンテニルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる共重合体(モル組成比率(%)30/20/30/20、重量平均分子量15,700)。
c2:重量平均分子量が11,500であるc1の共重合体。
c3:重量平均分子量が4,500であるc1の共重合体。
c4:シクロヘキシルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる共重合体(モル組成比率(%)30/20/30/20、重量平均分子量4,500)。
c5:ジシクロペンテニルメタクリレート/スチレン/3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる共重合体(モル組成比率(%)30/20/30/20、重量平均分子量4,500)。
c6:ジシクロペンテニルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート/3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン/2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる共重合体(モル組成比率(%)30/20/15/15/20、重量平均分子量4,500)。
【0047】
多官能エチレン性不飽和モノマー(d):ジペンタエリスリトールペンタアクリレート。
光重合開始剤(e):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントンとの(質量比3:1)混合物。
有機溶媒(f):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
【0048】

上記表中のコポリマーcの含有量(%)(*)は、バインダーポリマー総量中での含有量を表わす。また、コポリマーcの含有量(%)以外の数値は部数を表わす。
【0049】
[比較例1〜9](着色レジストW1〜W9)
実施例1〜9において特定コポリマー(c)を配合せず、その分の配合量としてポリマー(b)を増量する以外は、実施例と同様にして着色レジストW1〜W9を調製した。
【0050】
[比較例10](着色レジストW10)
実施例10において、特定コポリマーc4を構成するシクロヘキシルメタクリレートをベンジルメタクリレートに置き換えたコポリマーを使用する以外は実施例10と同様にして着色レジストW10を調製した。
【0051】
前記の実施例および比較例で得られた各々の着色レジストを使用して、カラーフィルター用のガラス基板上にスピンコートし(乾燥厚み2μm)、80℃で、3分間ホットプレートにて予備乾燥させた後、プロキシ露光機にて目的の画素パターンを得るフォトマスクを介して、露光ギャップ150μm、超高圧水銀灯を使用して60mJ/cm2の光量で露光し、次に、0.05%の水酸化カリウム水溶液でアルカリ現像を行い、現像後230℃で30分間熱硬化処理して画素を形成した。上記の画素の輝度および表面平滑性に関して下記の測定方法により評価した。評価結果を表2に示す。
【0052】
(輝度・色純度)
上記の各々の画素のC光源での色度(Y、x、y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OPS−SP200」)を用いて測定し、上記の色度より輝度および色純度を評価した。
【0053】
(表面平滑性)
前記の各々の画素の表面粗度(nm)を、原子間力顕微鏡(タカノ社製、AS−7B走査プローブ顕微鏡)にて測定し、上記の表面粗度より画素の表面平滑性を評価した。
【0054】

【0055】

【0056】
上記の評価結果から、本発明の着色レジストは、従来の着色レジストに比べて、画素の色度と表面平滑性の表面粗度が優れていることから輝度と色純度および平滑性が優れたカラーフィルターが得られることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の着色レジストは、輝度と表面平滑性が優れた画素が得られることから、輝度および色純度を有する色域再現性に優れたカラーフィルターの製造に使用される着色レジストとして有効に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーポリマー、多官能エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤、および着色剤を有機溶媒中に少なくとも含有してなり、上記のバインダーポリマーが、構成成分として、エポキシ基とエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有するモノマー(モノマーA)と、脂環式(メタ)アクリル酸エステル(モノマーB)とを少なくとも含むコポリマーを含有することを特徴とするカラーフィルター用の感光性着色組成物。
【請求項2】
前記コポリマーの重量平均分子量が、1,000〜50,000である請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記モノマーAまたはモノマーBが、コポリマーを構成する全モノマー中でモノマーAが5モル%〜35モル%、モノマーBが5モル%〜70モル%を占める量である請求項1または2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
前記のモノマーAとモノマーBの配合モル割合が、A/B=2/1〜1/2である請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
前記のコポリマーの含有量が、前記バインダーポリマー総量中で5質量%〜50質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
前記の脂環式(メタ)アクリル酸エステルが、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。

【公開番号】特開2008−191198(P2008−191198A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22629(P2007−22629)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】