説明

感熱接着シート

【課題】従来の感熱接着シートと同様に取り扱うことができ、製造工程が簡便で、受領者が簡単に破いて廃棄することのできる情報記録体を作製し得る感熱接着シートを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂層とその両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の層からなる感熱接着シートであって、熱可塑性樹脂層とその両面の感熱接着性樹脂層とはTダイ共押出法により形成されてなり、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着に形成されており、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着に形成されていることを特徴とする感熱接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録材の情報記録面同士を剥離可能に接着することのできる感熱接着シート、およびそれを用いた情報記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会保険庁、銀行、証券会社、郵便局、電力会社等から郵送される各種支払通知書、受領書、満期通知書等のような書類の他、ダイレクトメールが激増している。このようなプライバシーに係わる秘密情報を記録した通知書やダイレクトメールは、従来、封書により郵送されていたが、これらの書類の増大に伴い、郵送コストが莫大にならざるを得ないという欠点があった。かかる欠点を解決するために、文字、絵等の伝達情報を記録した二枚の各記録材の情報記録面同士を、感熱接着シートを介して感熱疑似接着することにより、伝達情報量を封書並みに増大させるのみならず、受信人が何れか一方の記録材を剥離することにより内部に記載された情報を読み取るまでは、前記情報を秘密に保つことができるようにした葉書等の情報記録体が提案されている。
【0003】
秘密情報が記録された記録材の情報記録面同士を一体化させるための感熱接着シートとしては、例えば、特許文献1(特許第2754279号公報)には、合成樹脂フィルムからなる支持体、または含浸紙等の紙とプラスチックとの接着体からなる支持体の両面に合成樹脂塗工層を塗工した感熱接着シートであって、支持体と各合成樹脂塗工層との間は剥離可能で、各合成樹脂塗工層と情報記録面との間は剥離しないものが記載されている。特許文献2(特開平10−279889号公報)には、透明プラスチックシートの両面に、熱溶融押出し加工が可能な樹脂による内層と球状ビーズを含有する感熱接着樹脂による外層とを押出ラミネートし、一方のプラスチックシートと内層との間は剥離可能に疑似接着され、もう一方のプラスチックシートと内層との間は永久接着されることが記載されている。
【0004】
また、感熱接着シートを用いる方法とは異なって、特許文献3(特許第3424211号公報)には、一方の基材層に少なくとも2層の熱可塑性樹脂を共押出しコーティングし、その上に他方の基材を重ね合わせてクーリングロールで冷却圧着する工程中で、1つの樹脂層間の接着強度を他の層間の接着強度より小さく形成した、剥離容易な積層シートが記載されている。
また、特許文献4(特許第2645535)には、支持体の一方の面に、容易に剥離可能ではあるが自然剥離しないように、ビカット軟化温度が45℃以上の熱可塑性樹脂層を設けてなる形成物の両面に、ビカット軟化温度が40〜65℃の感熱接着剤層を形成させた4層構成の感熱積層シートであって、支持体と熱可塑性樹脂層との間で剥離するものが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特許第2754279号公報
【特許文献2】特開平10−279889号公報
【特許文献3】特許第3424211号
【特許文献4】特許第2645535号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるように、合成樹脂フィルム等からなる支持体の両面に合成樹脂塗工層を塗工する場合、支持体であるフィルム等を作製あるいは購入した後に塗工を行うため製造工程が複雑であり、特許文献2も同じく、透明プラスチックシートを別に用意した後、ラミネート加工を行わなければならない。また、フィルム等を支持体とする場合、通常は延伸により強度が付与されているため、情報を取得後に手で破いて廃棄しようとしたとき、特にフィルムが残る側の記録材は裂け性が悪く手間がかかる。さらに、特許文献1の場合、合成樹脂塗工層の形成は溶剤系塗工によるため、環境負荷が大きい。
【0007】
特許文献3に開示された方法では、情報を記録した記録材をラミネート加工装置にかけることとなり、秘密情報の管理が難しく、加工に失敗した際の処置も複雑である。
そこで、本発明は、従来の感熱接着シートと同様に取り扱うことができ、製造工程が簡便で、受領者が簡単に破いて廃棄することのできる情報記録体を作製し得る感熱接着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一つの層間を疑似接着とし、他方の層間を完全接着する3層以上から構成される感熱接着シートを、Tダイ共押出法によって全層を熱溶融押し出ししてシート状に一体成型したもの、及びその製造方法である。本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)熱可塑性樹脂層とその両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の層からなる感熱接着シートであって、熱可塑性樹脂層とその両面の感熱接着性樹脂層とはTダイ共押出法により形成されてなり、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着に形成されており、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着に形成されていることを特徴とする感熱接着シート。
(2)層間が完全接着に形成された側の感熱接着性樹脂層に、熱可塑性樹脂層と同じ樹脂、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーから選ばれる少なくとも1種を含有する(1)記載の感熱接着シート。
(3)熱可塑性樹脂層に、感熱接着性樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する(1)または(2)に記載の感熱接着シート。
(4)層間が完全接着に形成された側の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との間に、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーの少なくとも1種からなる中間層が形成され、かつ、これらの熱可塑性樹脂層、中間層および感熱接着性樹脂層の各層間は完全接着に形成されている(1)〜(3)のいずれかに記載の感熱接着シート。
(5)熱可塑性樹脂層がポリメチルペンテンからなる(1)〜(4)のいずれかに記載の感熱接着シート。
(6)感熱接着性樹脂層がビカット軟化点(ASTMD1525)が90℃以下の樹脂からなる(1)〜(5)のいずれかに記載の感熱接着シート。
(7)熱可塑性樹脂層に有色顔料を含有した(1)〜(6)のいずれかに記載の感熱接着シート。
(8)感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層の4層を備えた感熱接着シートであって、それぞれの層厚が、5〜15μm/10〜50μm/0〜10μm/5〜15μmであり、感熱接着シート全体として合計25〜90μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の感熱接着シート。
(9)少なくとも1面以上の情報記録面を有する1又は2以上の記録材の情報記録面の間に、(1)〜(7)に記載の感熱接着シートを挟み、感熱接着して一体化されていることを特徴とする情報記録体。
(10)熱可塑性樹脂層とその両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の層からなる感熱接着シートの製造方法であって、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着となるように、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着となるように、感熱接着シートを構成する全層をTダイ共押出法により1パスにより形成することを特徴とする感熱接着シートの製造方法。
(11)感熱接着シートを構成する層が、感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層4層であって、それぞれの層厚が、5〜15μm/10〜50μm/0〜10μm/5〜15μmであり、感熱接着シート全体として合計25〜90μmであって、感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層の層間が疑似接着、熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層の層間が完全接着であることを特徴とする(10)記載の感熱接着シートの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
1.薄く、軽量の感熱接着シートを提供できる。
2.紙製のハガキなどに使用した場合、樹脂分が少なく、環境負負荷が小さい。可燃物として処理できる。
3.本発明の感熱シートを使用したハガキは、軽量であるため、規定の郵便料金以内で折り回数を増やすことができるので、封書並みの大容量の情報や隠蔽すべき情報を伝達することのできる密書葉書に好適である。
4.感熱シートを構成する3層以上のシートを1パスで直接成形できる。シート状の支持体上に塗工や押出しする場合に比して、少ない工程で製造できる。かつ、あらかじめ成形されたシート上に被覆する手法によるものよりも、全層を1パスで製造するのでシートを薄くできる。
5.樹脂を溶融して押出成形してシートを成形するので、製造に溶剤を使用せず、環境汚染が小さい。
6.引き裂き強度が小さいので、読み終えた葉書などを手で引き裂いて処理することができるので、廃棄しても情報漏れの危険を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の感熱接着シートは、熱可塑性樹脂層の両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の積層構造からなり、これらの樹脂層はTダイ共押出法によって同時に熱溶融押し出しされてシート状に一体成形される。そして、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着となっており、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着しており、前者の疑似接着されている層間から剥離する。
なお、本発明でいう疑似接着とは、通常の取扱いでは剥離しないが剥離しよう思えば容易に剥離操作が行われる状態であり、剥離強度(この値が大きいほど接着強度が強い)としては、JIS Z 0237に準じて、予め剥離のきっかけを作ったシートについて90度剥離に要する力を測定したとき、通常0.5〜200g/cm、好ましくは0.5〜100g/cm程度である。また、完全接着とは、剥離しようとするとシートが破壊してしまい層間での剥離が不能であることをいう。疑似接着あるいは完全接着となるような剥離強度とする方法としては、樹脂層間の親和性、接着性を調整することによって現実可能である。樹脂の種類や組み合わせ、樹脂層に他の樹脂や接着剤等を混合しその使用割合等を工夫するなどにより調整できる。また、完全接着としたい側の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との間に、両者と接着する樹脂層を設けてもよい。
【0011】
以下、本発明について図面を参照しつつ詳述するが、本発明はこれらに制限されるものではない。図1は、本発明における3層構造の感熱接着シートの断面概念図であり、図中、符号1は熱可塑性樹脂層、2aは疑似接着に形成された面(疑似接着面)、2bは完全接着に形成された面(完全接着面)、3aおよび3bは感熱接着性樹脂層である。また、図2は、本発明における4層構造の感熱接着シートの断面概念図であり、符号4は中間層である。
本発明の感熱接着シートは、中心となる熱可塑性樹脂層1の両側に薄い感熱接着性樹脂層3a、3bを、完全接着する3b側には必要に応じて中間層4を介在させるように、Tダイを用いて1パスで共押出成型するものである。全体として、シートとして扱うことができる厚みまで薄くすることができ、各層もそれぞれが膜切れなどを生ずることなく極めて薄く多層化できるので、薄く軽量の感熱接着シートを提供できる。1パスなので成型工程も短縮でき、製造効率が向上する。
本発明の感熱接着シートは薄いことに加え、延伸されておらず、引き裂き強度は手で破くことができる程度であるので、使用済ハガキなどの廃棄が容易である。
【0012】
[感熱接着性樹脂層]
感熱接着性樹脂層3a、3bに用いられる樹脂としては、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンメチルメタクリル酸共重合体(EMMA)、グラフト変性ポリオレフィン、及びアイオノマー等の、ビカット軟化点(ASTM D1525)が90℃以下の樹脂、または、EEAやEVA等の、ビカット軟化点(ASTM D1525)が90℃以下の樹脂とポリエチレン(PE)やポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミドなどの、熱溶融押し出し加工が可能な樹脂との混合樹脂を用いる。また、感熱接着性樹脂層3a、3bには、二次加工機での走行性付与のために公知のスリップ剤や帯電防止剤、ブロッキング防止を目的としたシリカや球状ビーズ等を添加してもよい。感熱接着性樹脂層に添加するビーズについては、本出願人が提案した特開平10−279889号公報に開示したものを利用できる。
【0013】
また、熱可塑性樹脂層1との間で完全接着となるように剥離強度を調整する具体的な方法の例の1つ目として、感熱接着性樹脂層3b中に熱可塑性樹脂層1と同じ樹脂、あるいは、後述する変性ポリオレフィンまたはアイオノマーから選ばれる少なくとも1種を混合することができる。これらを含有することにより、熱可塑性樹脂層1との親和性が高まり層間の剥離強度が強くなる。
【0014】
これらの感熱接着性樹脂層3bに対する含有量は、多すぎると感熱接着性が悪化したり、少なすぎると完全接着性が得られにくいため、70重量%以下、より好ましくは5〜30重量%が適当である。
ここで、ビカット軟化点とは、ASTMD 1525−70によって測定した温度であり、プラスチック表面に1kgの荷重をかけたゲージを配置して過熱したとき、ゲージの針先がプラスチック中に1mm入り込んだ時の温度で表される。
【0015】
[熱可塑性樹脂層]
熱可塑性樹脂層1に用いられる樹脂としては、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリエステル等が使用可能であり、剥離強度、加工性の観点からポリメチルペンテンが最適である。ポリメチルペンテンは本来離型性を有し、本発明ではこの性質を利用することで感熱接着性樹脂層3aとの間で疑似接着面2aが形成される。また、熱可塑性樹脂層1と感熱接着性樹脂層3bとの間は、剥離不能に完全接着され完全接着面2bを形成する。
【0016】
本発明において完全接着となるように剥離強度を調整する方法の2つ目として、熱可塑性樹脂層1中に感熱接着性樹脂層3bと同じ樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、あるいは、後述する変性ポリオレフィンまたはアイオノマーから選ばれる少なくとも1種を混合することができる。感熱接着性樹脂層3bと同じ樹脂を含有することにより、熱可塑性樹脂層1と感熱接着性樹脂層3bとの親和性が高まり、層間がより強固に接着する。また、ポリオレフィン系樹脂は、ポリメチルペンテンより感熱接着性樹脂との親和性が高いことにより、層間の剥離強度が強くなる。この他、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂等の粘着付与性樹脂を少なくとも1種混合してもよい。
これらの樹脂の熱可塑性樹脂層1に対する含有量は、多すぎると溶融押出し時に樹脂層膜の安定性が悪化する傾向があるため、30重量%以下、より好ましくは10重量%以下が適当である。
なお、この方法は、前述した感熱接着性樹脂層に他の樹脂を混合する方法と適宜組み合わせて使用することができる。
【0017】
[中間層]
熱可塑性樹脂層1と感熱接着性樹脂層3bとの層間を完全接着となるように剥離強度を調整する方法の3つ目として、変性ポリオレフィンまたはアイオノマー、あるいは、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーと熱可塑性樹脂層1と同じ樹脂との混合物からなる中間層4を設けることができる。このとき、熱可塑性樹脂層1と中間層4との層間、および中間層4と感熱接着性樹脂層3bとの層間は、いずれも剥離強度が強く完全接着に形成されている。また、中間層は同じ種類あるいは異なる種類を1層または2層以上積層してもよい。なお、この方法は、前述した感熱接着性樹脂層に他の樹脂を混合する方法、および/または熱可塑性樹脂層に他の樹脂を混合する方法と適宜組み合わせて使用することができる。
なお、熱可塑性樹脂層1と感熱接着性樹脂層3bとの層間を完全接着となるように剥離強度を調整する具体的な方法として、以上3つの例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
<変性ポリオレフィン>
変性ポリオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のα-オレフィンの単独重合体あるいは共重合体を極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーでグラフト変性した変性物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では特に、ポリメチルペンテン樹脂との組み合わせでは、接着性が良好なことから、無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましく用いられる。
単独重合体あるいは共重合体の例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度線状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ペンテン-1共重合体、エチレン・4-メチルペンテン-1共重合体及びエチレン-ブテン-1共重合体等を挙げることできる。このような単独重合体あるいは共重合体のASTM-D-1238により測定したメルトフローレートは、通常は0.1〜30g/10分、多くの場合1〜20g/10分の範囲内にあり、ASTM-D-2117により測定した融点は、通常は50〜170℃、多くの場合80〜150℃の範囲内にある。さらに、ASTM-D-1505により測定した密度は、通常は0.88〜0.96g/cm、多くの場合0.89〜0.96g/cmの範囲内にある。
【0019】
単独重合体あるいは共重合体の変性剤として使用される極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のようなカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、無水クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の酸無水物及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の酸無水物のような無水カルボン酸類;(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、テトラヒドロフタル酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、マレイン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、イタコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、フマル酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、クロトン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、ノルボルネンジカルボン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のアルキルエステル及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のアルキルエステルのようなエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ-プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートのようなヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル類; 10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール及びグリセリンモノアルコールのような水酸基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、イタコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、ブテントリカルボン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、アリルコハク酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、p-スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン及びビニルシクロヘキセンモノオキシドのようなエチレン性不飽和結合を有するエポキシ化合物;アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル及びメタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートモノメタノールアミノハーフソルのような(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステル;N-ビニルジエチルアミン及びN-アセチルビニルアミンのようなビニルアミン類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのようなアリルアミン類;アクリルアミド及びN-メチルアクリルアミドのようなアクリルアミド類;p-アミノスチレンのようなアミノスチレン化合物;並びに6-アミノヘキシルコハク酸イミド及び2-アミノエチルコハク酸イミドのようなアミノアルキルコハク酸イミド類を挙げることができる。これらの変性剤は、単独で使用することもできるし、また変性剤の特性が損なわれない範囲内で組み合わせて使用することもできる。これらの変性剤の中では(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が好ましい。
【0020】
<アイオノマー>
アイオノマーは、イオン含有高分子で、特に金属イオンあるいは第4級アンモニウムにより部分的にあるいは完全に中和された高分子であり、特にエチレン系高分子鎖に少量の(メタ)アクリル酸をグラフトし、その(メタ)アクリル酸の一部を、Na+、K+、Zn++、Mg++などで中和したものが好ましく使用できる。中でもZnを有すると光沢性が良好で好ましい。
このようなエチレン系アイオノマー樹脂とは、エチレン/α,β-不飽和カルボン酸共重合体(I)、あるいはエチレン/α,β-不飽和カルボン酸/α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体(II)のカルボン酸基の一部、通常5〜80%を、金属イオンにより中和したものである。中和前の上記(I)又は(II)のエチレン共重合体成分のうち、エチレン単位の占める割合は通常約75〜99.5モル%、好ましくは88〜98モル%であり、α,β-不飽和カルボン酸単位の占める割合は通常約0.5〜15モル%、好ましくは1〜6モル%である。また、α,β-不飽和カルボン酸エステル単位の占める割合は通常0〜10モル%、好ましくは0〜6モル%である。さらに、上記(I)又は(II)の共重合体中におけるカルボン酸基のうち、金属イオンにより中和されるカルボン酸基の割合(中和度)は通常5〜80%、好ましくは10〜75%である。
【0021】
<混合物>
上記の変性ポリオレフィンまたはアイオノマーと、熱可塑性樹脂層1と同じ樹脂との混合物としては、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーと熱可塑性樹脂とを共押出ししたり、混合後に押出しして使用することができる。
【0022】
[製造方法]
本発明の感熱接着シートは、Tダイ共押出法により製造することができる。例えば、図2に示される感熱接着性樹脂層3a/熱可塑性樹脂層1/中間層4/感熱接着性樹脂層3bという4層構造の感熱接着シートを製造する場合には、4種4層タイプの共押出Tダイ法が、操業性、安定性および経済性等の理由から好ましい。押出用のTダイとしては、マルチマニホールドタイプ、フィードブロックタイプのいずれでも使用することができる。
加工条件は、樹脂の種類や装置等により特に限定されないが、例えば加工温度250〜330℃、加工速度100〜200m/分で溶融押出しを行うことができる。樹脂層の厚さは、樹脂の種類や用途等により特に限定されないが、通常、感熱接着性樹脂層3a/熱可塑性樹脂層1/中間層4/感熱接着性樹脂層3bの場合、5〜15μm/10〜50μm/0〜10μm/5〜15μmであり、感熱接着シート全体として合計25〜90μmの厚さが好ましい。特に、25〜43μmの厚さにすることができる。この共押出し成形されたシートは、連続シートとして巻取り保存される。
本発明では、共押出法にて製造することにより、各樹脂層を薄膜化することができ、かつ、プラスチックフィルムのように延伸による結晶化や方向性ができないため、引き裂き性が良好になる。
【0023】
また、本発明では、熱可塑性樹脂層、感熱接着性樹脂層、中間層の少なくとも1層に有色顔料を添加し着色することにより、美麗性、隠蔽性、裏抜け防止性等を付与することができる。中でも、熱可塑性樹脂層は他の層に比べて厚めに形成されるため、有色顔料による樹脂膜強度の低下を招くことがなく、また、多目に添加することができ好ましい。有色顔料としては、樹脂に添加可能な顔料であればいずれも使用できるが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、コバルトブルー、セラミックブラック、カーボンブラック等が挙げられるがこれらに制限されるものではない。裏抜け防止性が必要な場合には、セラミックブラック、カーボンブラック等、黒色顔料が使用される。有色顔料は大きすぎると膜割れが発生し溶融押出しが困難となるため、粒径は0.01〜0.1μm程度が好ましい。有色顔料の含有量は、多すぎると加工性が悪化しやすいため、各層に対して1重量%〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0024】
[使用方法]
上記の感熱接着シートは、親展葉書のような受領者が開いて情報を読み取る情報記録体に使用され、情報を読み取った後は破いて廃棄することが容易である。情報記録体は、少なくとも2以上の情報記録面を有する1または2以上の記録材の情報記録面間に、感熱接着シートを挟み、感熱接着させて一体化し作製される。感熱接着させる温度は樹脂の種類や厚さ等により特に限定されないが、通常100℃以下程度である。
図3に、図2の4層構造の感熱接着シートを使用した情報記録体の断面概念図を示す。図3では、2枚の葉書様の記録材5a、5b間に、感熱接着シートを挟んで感熱接着し一体化したものである。また、記録材の少なくとも片面に3画分を同時に印刷した記録材を三つ折り以上に折曲して、S型折り、またはZ型折りにして、相対向する面間に感熱接着シートを挟んで一体化することもできる。S型折り、Z型折りの場合には、内部に情報記録面を4面以上設けることが可能であり、より多くの情報量を有する葉書とすることができる。
葉書以外では、例えば封書に入れる情報を記載した記録体が挙げられる。すなわち、2つ折りにした記録材の相対向する情報記録面間に感熱接着シートを挿入して感熱接着すれば、痕跡が残らないように封書を開封したとしてもなお、記録体内部の記録情報の機密性が保たれることになる。また、外部から封書内の書類内容を透かして見ることもできないため、従来の封書による郵送よりもいっそうプライバシーの侵害防止効果に優れたものとすることができる。
【0025】
本発明の情報記録体に使用する記録材5a、5bとしては、通常の葉書や便箋等に使用する紙や、印刷用紙、コンピューター等各種機器の出力用紙、インクジェット記録用紙、感熱記録紙等の公知材料を適宜選択して使用することができる。
例えば、この情報記録体が用いられる葉書の作成は、一度に大量に作成し、発送されることが多い。情報記録が印刷された葉書用紙などは、連続して搬送され、折り作業と、アンリーリングされた感熱接着シートの挿入作業が連続して行われる。オーブン加熱、狭圧ロールで接合され、カット工程を経て、分離されて投函可能なハガキの形態となる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、特にことわらない限り、部および%は重量部および重量%を示す。
[実施例1]
【0027】
3層構造の感熱接着シートに関する。
感熱接着性樹脂層3aとして、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)67.4%、石油樹脂系の粘着付与剤15%、ポリエチレン15%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、シリカ0.25%、および平均粒径13μmのアクリルビーズ2.1%からなる樹脂組成物を用い、感熱接着性樹脂層3bとして、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)47.2%、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製商品名アドマー;SE800)20.2%、石油樹脂系の粘着付与剤15%、ポリエチレン15%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、シリカ0.25%、および平均粒径13μmのアクリルビーズ2.1%からなる樹脂組成物を用い、熱可塑性樹脂層1として、ポリメチルペンテン(TPX)を用い、Tダイから3層のシート状になるように300℃の温度で同時に共押出しし、クーリングロールで冷却し、ロール状に巻き取った。樹脂層の厚さは、感熱接着性樹脂層3a/熱可塑性樹脂層1/感熱接着性樹脂層3bが8μm/20μm/8μmであり、感熱接着シート全体として合計36μmであった。なお、この感熱接着シートの比重は、紙と同程度である。
[実施例2]
【0028】
感熱接着性樹脂層3aにおいて、エチレンアクリル酸エチル共重合体に代えてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
[実施例3]
【0029】
感熱接着性樹脂層3a、3bにおいて、エチレンアクリル酸エチル共重合体に代えてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
[実施例4]
【0030】
熱可塑性樹脂層1において、ポリメチルペンテンに対し低密度ポリエチレン(PE)を3重量%含有したこと以外は、実施例1と同様にした。
[実施例5]
【0031】
感熱接着性樹脂層3bにおいて、エチレンアクリル酸エチル共重合体に代えてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用い、熱可塑性樹脂層1において、ポリメチルペンテンに対しエチレンアクリル酸エチル共重合体(EVA)を3重量%含有したこと以外は、実施例1と同様にした。
[実施例6]
【0032】
4層構造の感熱接着シートに関する。
感熱接着性樹脂層3a、3bとして、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)67.4%、石油樹脂系の粘着付与剤15%、ポリエチレン15%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、シリカ0.25%、および平均粒径13μmのアクリルビーズ2.1%からなる樹脂組成物を用い、熱可塑性樹脂層1として、ポリメチルペンテン(TPX)を用い、中間層4として、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製商品名アドマー;SE800)を用い、Tダイから4層のシート状になるように300℃の温度で同時に共押出しし、クーリングロールで冷却し、ロール状に巻き取った。樹脂層の厚さは、感熱接着性樹脂層3a/熱可塑性樹脂層1/中間層4/感熱接着性樹脂層3bが8μm/20μm/7μm/8μmであり、感熱接着シート全体として合計43μmであった。
[実施例7]
【0033】
中間層4において、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂をエチレンメタアクリル酸共重合体にZn架橋したアイオノマー樹脂に代えた以外は、実施例6と同様にした。
[実施例8]
【0034】
熱可塑性樹脂層1においてポリメチルペンテンを無延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)に代えた以外は、実施例6と同様にした。
[実施例9]
【0035】
熱可塑性樹脂層1において、ポリメチルペンテンに対し低密度ポリエチレン(PE)を3重量%含有したこと以外は、実施例6と同様にした。
[実施例10]
【0036】
熱可塑性樹脂層1において、ポリメチルペンテンに対し有色顔料としてカーボンブラック(CB)を2重量%含有したこと以外は、実施例6と同様にした。
【0037】
[比較例1]
感熱接着性樹脂層3bにおいて、感熱接着性樹脂層3aと同じ樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0038】
[比較例2]
感熱接着性樹脂層3aにおいて、感熱接着性樹脂層3bと同じ樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0039】
[比較例3]
熱可塑性樹脂層1において、ポリメチルペンテンを無延伸のポリプロピレン(PP)に代えた以外は、実施例1と同様にした。
【0040】
上記で得た感熱接着シートを用いて、以下の評価を行い、結果を表1に示す。
[完全接着性]
はがきサイズにした感熱接着シートを、同じ大きさのコート紙(坪量93.7g/m、日本製紙製商品名オーロラコート)および上質紙(坪量93.7g/m)に挟み、オーブンで150℃、15秒間加熱した後、150℃、ニップ圧2.0kgf/cm、速度20m/分の条件でヒートロールに通し、感熱接着シートと紙とを一体化させたサンプルを作製した。このサンプルを手で剥離した後、感熱接着性樹脂層3bと熱可塑性樹脂層1または中間層4との間の接着性を評価した。このとき、完全接着しており剥離しようとすると破壊されたものを◎、完全に接着してはいるが無理に剥離しようとすると剥離できるものを×とした。
【0041】
[疑似接着性]
上記と同様に作製したサンプルを、JIS Z 0237に準じて、25mm×150mmの大きさに切断し、300mm/分の速度で、疑似接着面からの剥離強度について90゜剥離試験を行った。このとき、剥離できたものを○、剥離しようとすると材破し剥離強度を測定できなかったものを×とした。

[引き裂き性]
上記と同様にして作製したサンプルを、擬似接着面から剥離した上で熱可塑性樹脂層1が残っている側の紙片のMD方向についてJIS P 8116に準じて引き裂き強度の測定を行った。

計測の結果、本実施例は、1000〜1300mNであり、手による引き裂き可能な値の範囲である。特に実施例8以外は1000〜1100mNであって、より引き裂き性が高い。なお、従来のフィルムシートを支持体とした例では、あらかじめVカットなどの引き裂きのきっかけを設けないと手で破ることは困難であり、特に老人や婦人には無理があって、引き裂き性が劣る。
【0042】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明における3層構造の感熱接着シートの断面概念図を示す。
【図2】本発明における4層構造の感熱接着シートの断面概念図を示す。
【図3】図2の4層構造の感熱接着シートを使用した情報記録体の断面概念図を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 熱可塑性樹脂層
2a 疑似接着面
2b 完全接着面
3a 感熱接着性樹脂層
3b 感熱接着性樹脂層
4 中間層
5a 記録材
5b 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂層とその両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の層からなる感熱接着シートであって、熱可塑性樹脂層とその両面の感熱接着性樹脂層とはTダイ共押出法により形成されてなり、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着に形成されており、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着に形成されていることを特徴とする感熱接着シート。
【請求項2】
層間が完全接着に形成された側の感熱接着性樹脂層に、熱可塑性樹脂層と同じ樹脂、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の感熱接着シート。
【請求項3】
熱可塑性樹脂層に、感熱接着性樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の感熱接着シート。
【請求項4】
層間が完全接着に形成された側の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との間に、変性ポリオレフィンまたはアイオノマーの少なくとも1種からなる中間層が形成され、かつ、これらの熱可塑性樹脂層、中間層および感熱接着性樹脂層の各層間は完全接着に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の感熱接着シート。
【請求項5】
熱可塑性樹脂層がポリメチルペンテンからなる請求項1〜4のいずれかに記載の感熱接着シート。
【請求項6】
感熱接着性樹脂層がビカット軟化点(ASTMD1525)が90℃以下の樹脂からなる請求項1〜5のいずれかに記載の感熱接着シート。
【請求項7】
熱可塑性樹脂層に有色顔料を含有した請求項1〜6のいずれかに記載の感熱接着シート。
【請求項8】
感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層の4層を備えた感熱接着シートであって、それぞれの層厚が、5〜15μm/10〜50μm/0〜10μm/5〜15μmであり、感熱接着シート全体として合計25〜90μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱接着シート。
【請求項9】
少なくとも1面以上の情報記録面を有する1又は2以上の記録材の情報記録面の間に、請求項1〜7に記載の感熱接着シートを挟み、感熱接着して一体化されていることを特徴とする情報記録体。
【請求項10】
熱可塑性樹脂層とその両面に少なくとも感熱接着性樹脂層が設けられた3層以上の層からなる感熱接着シートの製造方法であって、一方の熱可塑性樹脂層と感熱接着性樹脂層との層間は疑似接着となるように、他方の熱可塑性樹脂層と感熱性接着樹性脂層との層間は完全接着となるように、感熱接着シートを構成する全層をTダイ共押出法により1パスにより形成することを特徴とする感熱接着シートの製造方法。
【請求項11】
感熱接着シートを構成する層が、感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層4層であって、それぞれの層厚が、5〜15μm/10〜50μm/0〜10μm/5〜15μmであり、感熱接着シート全体として合計25〜90μmであって、感熱接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層の層間が疑似接着、熱可塑性樹脂層/中間層/感熱接着性樹脂層の層間が完全接着であることを特徴とする請求項10記載の感熱接着シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−84592(P2007−84592A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271426(P2005−271426)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】