説明

感知のための固定化生物層を形成するための組成物

本発明は、1つ以上の酵素と、湿潤剤と、アクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを実質的に均質な水性混合物中で含む酵素固定化組成物に関する。本発明はまた、そのような組成物を含むセンサを形成するための方法およびそのような組成物を基材上に塗布することによりセンサアレイ上に固定化層のアレイを形成するための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2007年12月20日に出願された、共に係属中の米国特許出願第11/961,498号に対し優先権を主張し、この全内容および開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
固定化生物層を形成するための組成物を開示する。より詳細には、本発明は固定化生物層を形成するための硬化可能な物質組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生物流体中の生物学的に重要な分析物種の測定のための小型センサの開発が、特に現場または家庭でのそのような分析種の測定を可能にするますます小型化された装置が必要とされているため、ますます重要になっている。センサ作製の分野における進歩にもかかわらず、そのようなセンサの小型化および作製における大きな課題が依然として存在する。1つのそのような課題は、生物活性分子を含む商業的に実現可能なセンサの大規模製造に関連する複雑度である。主要な関心事は、既存の半導体製造法に本来伴う厳しい物理および化学過程の、感応性化合物および不安定な生物活性分子(どちらも機能する生物センサの一部を占める)との適合性である。そのようなセンサの小型化および作製を取り巻く別の主要な関心事は、高感度で、大量に、高い再現性で製造することができるセンサの作製である。したがって、センサで使用される生物活性分子の感度を考慮するセンサを形成するための過程が必要とされ、ならびにセンサが大量に製造される場合の均一性の高いセンサが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、生物流体中の生物学的に重要な分析物種の測定のためのセンサにおいて使用するための固定化生物層を形成するための組成物を提供する。組成物は、大規模製造ロット全体でより均一な性能特性を有する装置、例えば、センサを形成するための方法において使用される。組成物は、液体、例えば、検量流体、対照流体および血液と接触する際に、大幅な耐膨潤性を有する生物層を含むセンサを形成するために使用することができる。いずれの特定の理論にも縛られないが、該組成物を使用して製造した生物層は、層内にかなりのレベルの架橋が存在するので、耐膨潤を有すると考えられる。このように膨潤に耐える膜は、かなりの膨潤を示す生物層が一貫性のない信号を与え、表面から剥離さえする可能性があるので、センサの動作に対して望ましいことが見出されている。
【0005】
1つの実施形態では、本発明は、1つ以上の酵素と、湿潤剤と、アクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを実質的に均質な水性混合物中で含む酵素固定化組成物に関する。
【0006】
1つ以上の酵素は、例えば、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、カタラーゼ、炭酸脱水酵素、NAD(P)Hオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、チアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ピリドキサールオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼからなる群より選択することができる。モノマは必要に応じて、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクレートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。有機光開始剤は必要に応じて、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリドおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。架橋剤は、1,4−ビスアクリロイルピペラジン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、(+)−N,N’−ジアリル酒石酸アミドおよびそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。
【0007】
1つの態様では、組成物はさらに、pH緩衝剤、アクリル系架橋分子、ジスルフィド結合還元剤、二価イオンキレート剤、プロテアーゼ阻害剤、ウシ血清アルブミン、塩、糖および殺生物剤からなる群より選択される、1つ以上の安定化成分を含む。別の態様では、組成物はさらに、TRIS緩衝剤、ジチオトレイトール、エチレンジアミン四酢酸、スクロース、アプロチニン、ウシ血清アルブミン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、アジ化ナトリウムおよびグリセロールからなる群より選択される、1つ以上の安定化成分を含む。
【0008】
組成物は必要に応じて、ナトリウムバルビタール、HEPES、PIPES、MES、MOPS、トリシン、BIS−TRIS、ホスフェート、ホスフェート−生理食塩水、SSC、SSPE、TAPS、TAE、TBEおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるpH緩衝剤を含む。
【0009】
1つの態様では、組成物はさらに、2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンHCl、ジチオトレイトールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるジスルフィド結合還元剤を含む。
【0010】
必要に応じて、組成物はさらに、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸ナトリウム、エチレングリコール四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される二価イオンキレート剤を含む。
【0011】
別の実施形態では、組成物はさらに、アプロチニン、ニワトリ卵白シスタチン、アンチパイン、シスタルニン二塩酸塩、キモスタチン、3,4−ジクロロイソクマリン、E−64、エブセレン、Gly−Gly−Tyr−Arg合成ペプチド、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−α−トシル−L−リシンクロロメチルケトン塩酸塩、N−αパラトシル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン塩酸塩、ペプスタチンA、ペシノストレプチン、ε−アミノ−n−カプロン酸、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩、アンチトロンビンIII、ブデリン、補体C1エステラーゼ阻害剤、3,4−ジクロロイソクマリン、ジイソプロピルフルオロホスファージ、エラスタチナール、メシル酸ガベキサート、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−アセチル−glu−ser−met−asp−al、N−アセチル−ile−gly−thr−asp−al、ジイソプロピルフルオロホスフェート、Na−T−Boc−デアセチルロイペプチン、アセチル−ペプスタチン、ヒスタチン5、Cbz−Leu−Leu−Phe−al、Cbz−Leu−Leu−Leu−B(OH)、ラクタシスチン、クラスト−ラクタシスチンβ−ラクトン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ペプスタチンA、D−His−Pro−Phe−His−Leu−psi−(CH2NH)−Leu−Val−Thr、ジエチレントリアミン五酢酸、1,10−フェナントロリンモノヒドラーゼ、ホスホラミドン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、N−アセチル−エグリンC、メシル酸ガベキサート、ヒルジン、Nα−(2−ナフタレンスルホニルグリシル)−4−アミジノDL−フェニルアラニンピペリジド、D−Val−Leu−Lys−クロロメチルケトン、パラアミノベンズアミジン二塩酸塩、エコチン、トリプシン阻害剤、トリプシン−キモトリプシン阻害剤、Glu−Gly−Arg−クロロメチルケトンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるプロテアーゼ阻害剤を含む。
【0012】
組成物は、アジ化ナトリウム、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、チメロサール、ヒポクロリットおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される殺生物剤を含むことができる。
【0013】
湿潤剤は必要に応じて、グリセロール、プロピレングリコール、三酢酸グリセリル、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース、キラヤ、乳酸、塩化リチウム、1,2−プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0014】
必要に応じて、組成物はさらに、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される塩を含む。
【0015】
組成物は好ましくは安定、例えば凍結形態で安定である。
【0016】
好ましくは、組成物を実質的に平らな表面にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された固定化酵素層を前記表面上に、例えば、接着された非膨潤固定化酵素層を前記表面上に形成させることができ、表面は好ましくは電極、例えばイオン選択性電極、電流測定電極、電気伝導度測定電極またはセンサを含む。センサは、例えば、必要に応じて、光センサ、光ファイバセンサ、表面弾性波センサ、エバネセントセンサ、表面プラズモン共鳴センサおよび光導波路センサからなる群より選択される。
【0017】
組成物は好ましくは、スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、塗装および接触印刷からなる群より選択される手段により表面に適用することができ、UV放射に曝露させ、架橋を引き起こし、前記表面上で接着された固定化酵素層を形成させることができる。
【0018】
本発明は下記非制限的な図面を参照するとよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】参照電極と組み合わせてシリコンウエハ上に作製された血中尿素窒素(BUN)センサの位相横断立面図である。
【図2】異なる製造工程でのシリコンチップ(2mm×3mm)上のBUNセンサの平面図である。図2(a):裸銀−塩化銀電極353、図2(b):(a)に関し、マイクロ塗布されたアンモニウムイオン選択性膜355を有したもの、図2(c):(b)に関し、紫外線スポット硬化されたアクリルアミドウレアーゼ酵素層356を有したもの。
【図3】完成BUNセンサの電子写真である。図3(a)は従来のELVACE(親水性および疎水性ドメインから構成される酢酸ビニルエチレンコポリマ)過程により形成された固定化酵素層を示し、図3(b)は所望の均一なドーム形状を有するUVスポット硬化されたアクリルアミドウレアーゼ酵素層を示し、図3(c)はUVフラッド硬化されたアクリルアミドウレアーゼ酵素層を示す。
【図4】検量流体から血液に進む、図14(a)で説明される組成物を使用するアクリルアミドBUNセンサのセンサ出力データ(クロノポテンシオメトリグラフ)を示す。
【図5】ELVACEに基づく(Woodglue)酵素固定化膜と比較した、加熱および非加熱チップの両方に対する全血(WB)における、図4で示した型のアクリルアミドBUNセンサ(EIL)のセンサ相関データを示す。
【図6】塗布装置およびUV−スポット硬化サブシステムを示す図である。
【図7】スポット硬化サブシステムおよびUV光ボックスの詳細を示す図である。
【図8】(a)塗布および(b)スポット硬化サブシステムの詳細を示す図である。
【図9】塗布およびスポット硬化のための過程アルゴリズム工程およびタイミングを示す図である。
【図10】センサカートリッジカバーの等角上面図である。
【図11】センサカートリッジカバーの等角底面図である。
【図12】センサカートリッジのためのテープガスケットの配置の上面図である。
【図13】センサカートリッジベースの等角上面図である。
【図14】好ましい実際の混合組成物を有するマトリクスのための試薬の表を示し、図14(a)は唯一の酵素としてウレアーゼを有するウレアーゼ含有酵素固定化層に対する成分を示し、図14(b)は14(a)と同様であるが、炭酸脱水酵素の添加を有する。
【図15】(a)モノマーとしてアクリルアミド、メタクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(PEGA)、およびN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−メタクリルアミド(DMAPMA)、ダイマーとして1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン、(b)モノマーとしてアクリルアミド、ならびにダイマーとして1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン、ポリエチレングリコールジアクリレートポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−アクリルアミド(DHEBA)およびトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(TMPETA)を用いて生成された酵素固定化層から発生した信号のクロノポテンシオメトリデータを示す図である。
【図16】異なる強度および時間での、310nmのUV光への曝露の後のアクリルアミド/1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジンに基づく酵素固定化層から発生した信号のクロノポテンシオメトリデータを示す図であり、本実験で使用されるUV光への曝露の時間および強度範囲の有意の影響はないことを明らかにする。
【図17】異なる有効期間および貯蔵条件を有する、異なる濃度での湿潤剤の影響に関するデータを示す図である。
【図18】5つの異なる水性対照流体を用いたセンサ性能に対するEIL膜の印刷厚の比較的に小さな効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1つの態様では、本発明は1つ以上の酵素と、湿潤剤と、アクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを実質的に均質な水性混合物中で含む酵素固定化組成物に関する。
【0021】
酵素
本発明の組成物中に含まれる1つ以上の酵素は、広範囲に異なり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素はウレアーゼを含む。酵素ウレアーゼは、アッセイにおいて血中尿素窒素(BUN)量を定量するバイオセンサに組み入れるのに、特によく適している。BUNアッセイは、血中の、腎臓により除去されるタンパク質代謝の老廃物である尿素窒素のレベルを測定する際に有用である。したがって、BUNアッセイは腎機能を評価する。臨床的に有用なBUN値は2〜140mg/100mL(dL)である。高窒素血症として公知の状態、すなわち、BUNレベルの上昇は、腎機能障害、うっ血性心不全、脱水、ショック、胃腸管への出血、ストレス、急性心筋梗塞または過剰タンパク質摂取を示し得る。また、BUN値の減少は、肝不全、栄養障害、タンパク質同化ステロイド使用、妊娠およびセリアック病を示し得る。
【0022】
全血中の尿素は二段階過程で検出される。第1に、尿素は酵素的に、「ウレアーゼ反応」においてよく理解されていない機序を介して生成物NHとHCOに変換される。尿素検出の第2の工程は、NHイオン選択性電極(ISE)によるアンモニウムイオン活性の電位差定量である。D.Freifelder,Physical Biochemistry:Applications to Biochemistry and Molecular Biology 4章(第2版、1982)を参照されたい。BUNセンサ応答、すなわち、NH濃度の変化による電位変化は血液中の尿素の既知のレベルで較正される。センサ応答曲線のプロット(時間の関数としてのミリボルトで表したクロノポテンシオメトリグラフ)はこのように、センサ膜内のアンモニウムイオン濃度を示すために使用することができ、血液中の尿素濃度の間接的な推定量が提供される。
【0023】
ウレアーゼによる尿素の酵素的分解によりHCOの分解副産物として種HおよびCOが生成するので、BUN量はHおよびCOの変化を検出するセンサを用いて決定することができる。血液中のアンモニウムイオンのバックグラウンド濃度は比較的低いので、アンモニウムイオンの検出が好ましい。対照的に、血液はH、COおよびHCOのかなりのバックグラウンドを有する。ウレアーゼ反応中のイオンの生成はまた、試料の導電率を増加させ、これは導電率センサにより検出することができる。
【0024】
ウレアーゼの理想的な特性は、関連する生成物(アンモニウムイオン<0.00001μmol/酵素単位)および他の窒素化合物の残留レベルが低いことである。本発明の酵素固定化組成物において使用されるウレアーゼは、理想的には、汚染プロテアーゼを含まないべきであり、25℃で500U/mgタンパク質より大きな比活性を有するべきである。さらに、酵素はまた、高い純度を有するべきである。いくつかの実施形態では、ウレアーゼは約1〜約100mM、例えば、約1〜約50mMまたは約25〜約75mMの範囲、好ましくは約50mMのKを有するべきである。さらに、ウレアーゼは16,000(μmol/ml/分)を超えるVmaxを有するべきである。最後に、ウレアーゼは約5×10/分以上のKcatを有するべきである。
【0025】
好ましい実施形態では、ウレアーゼはJack Beanウレアーゼ(E.C.3.5.1.5)(Biozyme Laboratories、カルフォルニア州サンディエゴ)である。Jack Beanウレアーゼ(E.C.3.5.1.5)の別の供給源としては、(i)Sigma−Aldrich Canada Ltd.(カナダオンタリオ州オークビル)、(ii)Toyobo(日本、東京)、(iii)Worthington Biochemical Corporation(ニュージャージー州レークウッド)、(iv)Genzyme Diagnostics(マサチューセッツ州ケンブリッジ)が挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明の酵素固定化組成物は炭酸脱水酵素およびウレアーゼを含む。炭酸脱水酵素は、米国特許出願第11/216,041号に記載されているように、ウレアーゼ反応により形成したビカーボネートを二酸化炭素に変換し、これによりアンモニウムイオン生成速度を増加させ、この全内容は参照により本明細書に組み入れられる。これらの組成物で使用される炭酸脱水酵素は、理想的には、窒素化合物の低い残留レベルを有し、汚染プロテアーゼを含まず、それ以外にも高い純度を有するべきである。さらに、炭酸脱水酵素は、0℃で2500 Wilbur−Anderson単位/mgタンパク質を超える比活性を有するべきである(Wilber,K.M.およびN.G.Anderson、Journal of Biological Chemistry 176:147−154(1948))。いくつかの実施形態では、炭酸脱水酵素は1〜50mMの間のK値を有するべきであり、ここで、好ましいKは1〜5である。さらに、炭酸脱水酵素は、50(μl/ml/分)を超える、好ましくは10,000(μl/ml/分)を超えるVmaxを有するべきである。最後に、炭酸脱水酵素は75/分を超える、好ましくは5×10/分を超えるKcatを有するべきである。
【0027】
好ましい実施形態では、炭酸脱水酵素は、ウシ炭酸脱水酵素(E.C.4.2.1.1)(Sigma−Aldrich Canada Ltd.、カナダオンタリオ州オークビル:K:1.31mM、Vmax:64.4μmol/ml/分、Kcat:76.24/分)である。ウシ炭酸脱水酵素(E.C.4.2.1.1)の別の供給源は、Worthington Biochemical Corporation(ニュージャージー州レークウッド)である。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の酵素固定化組成物中で使用される酵素はウレアーゼであるが、固定化組成物と適合する任意の他の酵素を、個々に、または他の酵素(例えば、ウレアーゼおよび炭酸脱水酵素)と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、酵素は、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、カタラーゼ、NAD(P)Hオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、チアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ピリドキサールオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。使用される酵素によって感知される分析物が決まることが理解される。したがって、例えば、グルコースオキシダーゼはグルコースを検出するためのセンサで使用することができ、乳酸オキシダーゼはラクテートを検出するために使用することができ、ウレアーゼと炭酸脱水酵素の組み合わせはBUN量の同時検出のために使用することができる。
【0029】
モノマ、光開始剤および架橋剤
上記のように、本発明の酵素固定化組成物はアクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを含む。いくつかの実施形態では、アクリル系モノマはアクリルアミドを含む。別の実施形態では、モノマはメタクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、またはそれらの混合物を含む。
【0030】
有機光開始剤はモノマを重合させることができる任意の光開始剤とすることができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム塩、重クロム酸アンモニウム、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−ペンチル−ケトン(Irgacure 907)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(Irgacure 184C)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocur 1173)、50重量%のIrgacure 184Cと50重量%のベンゾフェノンの混合光開始剤(Irgacure 500)、20重量%のIrgacure 184Cと80重量%のDarocur 1173の混合開始剤(Irgacure 1000)、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure 2959)、メチルベンゾイルホルメート(Darocur MBF)、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(Irgacure 369)、30重量%のIrgacure 369と70重量%のIrgacure 651の混合開始剤(Irgacure 1300)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(Darocur TPO)、50重量%のDarocur TPOと50重量%のDarocur 1173の混合開始剤(Darocur 4625)、ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(Irgacure 819)、5重量%のIrgacure 819と95重量%のDarocur 1173の混合開始剤(Irgacure 2005)、10重量%のIrgacure 819と90重量%のDarocur 1173の混合開始剤(Irgacure 2010)、20重量%のIrgacure 819と80重量%のDarocur 1173の混合開始剤(Irgacure 2020)、ビス(エタ5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン(Irgacure 784)、ベンゾフェノンを含む混合開始剤(HSP 188)、およびそれらの誘導体からなる群より選択される。好ましい実施形態では、光開始剤は2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを含む。別の実施形態では、光開始剤は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリドを含む。さらに、これらの光開始剤は組み合わせて使用することができる。
【0031】
好ましい実施形態では、架橋剤は、モノマから形成されたポリマの架橋を促進することができる任意の化学物質である。1つの実施形態では、架橋剤は、1,4−ビスアクリロイルピペラジン(BAP)を含む。別の実施形態では、架橋剤は、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−アクリルアミド、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、(+)−N,N’−ジアリル酒石酸アミド、またはそれらの混合物を含む。
【0032】
湿潤剤、緩衝剤および他の成分
アクリル系モノマ、水溶性有機光開始剤および水溶性アクリル系架橋剤の他に、酵素固定化マトリクスは必要に応じて、例えば、pH緩衝剤、ジスルフィド結合還元剤、二価イオンキレート剤、プロテアーゼ阻害剤、アルブミン、塩、糖、殺生物剤、湿潤剤および可塑剤を含む他の安定化成分をさらに有する。好ましい実施形態では、酵素固定化マトリクスはTRIS緩衝剤、ビスアクリルアミド、ジチオトレイトール、エチレンジアミン四酢酸、スクロース、アプロチニン、ウシ血清アルブミン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、アジ化ナトリウムおよびグリセロールを含む。図14を参照されたい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は湿潤剤を含む。湿潤剤を添加する場合、好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール、三酢酸グリセリル、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース、キラヤ、乳酸、塩化リチウムおよび1,2−プロパンジオールから選択される。1つの実施形態では、組成物中の湿潤剤の濃度は2〜20%程度、例えば、約2〜15%、約2〜10%、または約2〜8%(v/v)である。いくつかの場合では、高すぎる濃度では、湿潤剤は製品有効期間を低減させ得ることが見出されている。湿潤剤、例えば、グリセロールは、マトリクスがマイクロ塗布過程中、硬化工程前に乾燥しないように添加される。マイクロ塗布された液滴の乾燥が早すぎる場合、調合物の成分は溶液から沈殿し得、これは架橋および硬化に悪影響を与え得る。基材上に塗布された液滴のサイズが小さい結果、低い湿度の製造環境中でマイクロ塗布されたものは、容易に、急速乾燥する傾向がある。したがって、周囲温度および湿度を制御することが重要である。本明細書で記載した過程に対する好ましい範囲は4〜25℃および30%相対湿度である。
【0034】
本発明の調合物は好ましくは、酵素活性を維持し、最適化するように有用な生化学緩衝成分を含む。例示的な緩衝剤としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ナトリウムバルビタール、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、トリシン、BIS−TRIS、ホスフェート、ホスフェート−生理食塩水、生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)、生理食塩水リン酸ナトリウムエチレンジアミン四酢酸(SSPE)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、トリス酢酸エチレンジアミン四酢酸(TAE)、トリスホウ酸エチレンジアミン四酢酸(TBE)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、緩衝剤はTRISである。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は必要に応じて、還元剤を含む。例示的な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンHCl、ジチオエリトリトール、グルタチオンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい実施形態では、還元剤はDTTである。組成物中に含まれている酵素が不活性多量体を形成しないように、本発明の組成物に還元剤を添加することは好都合であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は必要に応じてカチオン結合剤、好ましくは二価カチオン結合剤を含む。例示的な二価カチオン結合剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸ナトリウム、エチレングリコール四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。そのようなカチオン結合剤は、金属イオン不活性化を阻止するため、ならびにプロテアーゼの活性化を阻止するために、金属キレート剤として添加される。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物はプロテアーゼ阻害剤を含む。例示的なプロテアーゼ阻害剤としては、アプロチニン、ニワトリ卵白シスタチン、アンチパイン、シスタルニン二塩酸塩、キモスタチン、3,4−ジクロロイソクマリン、E−64、エブセレン、Gly−Gly−Tyr−Arg合成ペプチド、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−α−トシル−L−リシンクロロメチルケトン塩酸塩、N−αパラトシル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン塩酸塩、ペプスタチンA、ペシノストレプチン、ε−アミノ−n−カプロン酸、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩、アンチトロンビンIII、ブデリン、補体C1エステラーゼ阻害剤、3,4−ジクロロイソクマリン、ジイソプロピルフルオロホスファージ、エラスタチナール、メシル酸ガベキサート、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−アセチル−glu−ser−met−asp−al、N−アセチル−ile−gly−thr−asp−al、ジイソプロピルフルオロホスフェート、Na−T−Boc−デアセチルロイペプチン、アセチル−ペプスタチン、ヒスタチン5、Cbz−Leu−Leu−Phe−al、Cbz−Leu−Leu−Leu−B(OH)、ラクタシスチン、クラスト−ラクタシスチンβ−ラクトン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ペプスタチンA、D−His−Pro−Phe−His−Leu−psi−(CHNH)−Leu−Val−Thr、ジエチレントリアミン五酢酸、1,10−フェナントロリンモノヒドラーゼ、ホスホラミドン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、N−アセチル−エグリンC、メシル酸ガベキサート、ヒルジン、Nα−(2−ナフタレンスルホニルグリシル)−4−アミジノ−DL−フェニルアラニンピペリジド、D−Val−Leu−Lys−クロロメチルケトン、パラアンリノベンズアミジン二塩酸塩、エコチン、トリプシン阻害剤、トリプシン−キモトリプシン阻害剤、およびGlu−Gly−Arg−クロロメチルケトンが挙げられる。好ましい実施形態では、アプロチニンが、血液試料分析時に膜に接触し得ると共に、製品有効期間に影響するマトリクス調合物中に存在し得る全てのプロテアーゼに対するプロテアーゼ阻害剤として添加される。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は殺生物剤を含む。例示的な殺生物剤としては、アジ化ナトリウム、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、チメロサール、ヒポクロリットおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、スポット硬化前またはその後のいずれかで、調合物の微生物からの予防的保護のための殺生物剤としてアジ化ナトリウムが添加される。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は可塑剤を含む。例示的な可塑剤としては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、可塑剤はグリセロールである。いくつかの可塑剤、例えばグリセロールは可塑剤および湿潤剤の両方として作用することができ、そのため、本発明の組成物がより可撓性を有するものとなることを認識すべきである。これにより、温度変化および、環境応力亀裂(ESC)として知られる、応力下に材料を置く他の条件中に、硬化アクリル樹脂が亀裂を生じ、剥離しないようにされる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は塩を含む。例示的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびそれらの混合物が挙げられる。低濃度の塩、好ましくは塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの添加は、その後に検量流体または血液試料と接触する際の剥離速度、すなわち、膜接着の損失を低減させることが見出された。いずれの理論にも縛られないが、この改善は、内因性塩の添加による試料と膜との間の浸透圧濃度差の低減によると考えられる。イオン選択性電極(ISE)はナトリウムおよびカリウムイオンに感応するので、ISEに対するこのバックグラウンド影響を低減させるように濃度を最適化した。いくつかの実施形態では、塩濃度は約0.1mM〜約140mM、例えば、約30mM〜約140mM、約0.1mM〜約1mM、約20mM〜約50mM、または約20mM〜約40mMである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は0.9mM KClを含み、35mM NaClが使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は無水生物保護剤を含む。例示的な無水生物保護剤としてはスクロース、トレハロース、マンニトールおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、無水生物保護剤はスクロースである。スクロースは好ましくは、膜安定性を増強させ、センサがパッケージされる検査カートリッジが延長された有効期間、例えば、6〜12ヶ月またはそれ以上を示すようにするために、無水生物保護剤として添加される。ウシ血清アルブミン(BSA)もまた、カートリッジ有効期間を増加させ、良好な膜接着を確保することが観察されたので、添加することができる。
【0042】
組成物の調製
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は混合され、アリコートされ、その後、アリコートが解凍され、マイクロ塗布のために使用されるまで、凍結保存される。好ましい実施形態では、モノマ(例えば、アクリルアミド)および架橋剤(例えば、BAP)が溶液中で共に混合される。モノマ/架橋剤溶液に、光開始剤(例えば、Irgacure 2959)が添加される。いくつかの実施形態では、光開始剤を最後に添加することが望ましい。それは、光開始剤が最も反応性が高く、この予防措置により光への曝露が低減されるからである。好ましい実施形態では、試料は−60℃で凍結され、少なくとも4ヶ月間安定であることが見出された。試料凍結は−20〜−120℃の範囲とすることができ、より低い温度が好ましい。これらの低温では、調合物は数年間安定なままとすることができる。
【0043】
本発明の組成物は好ましくは酵素を固定化するために使用されるが、当業者であれば、酵素の代わりに、または酵素と共に、他の生物活性材料、例えば、抗体、抗体断片、RNA、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAを固定化するためにも使用することができることを認識する。例えば、Rehmanら、1999、“Immobilizaition of acrylamide−modified oligonucleotides by co−polymerization,” Nucleic Acids Research,27:649−655(1999)(参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
【0044】
本発明の酵素固定化組成物を調合する際、組成物の溶解度および緩衝作用の両方を考慮することが必要である。酵素は一般に、pH7近くの緩衝水溶液を必要とするが、例外、例えば、アルカリホスファターゼが存在する。例えば、ウレアーゼに対する最適pHは8.0であると報告されている(Wall & Laidler,The Molecular Kinetics of the Urea−Urease System:IV The Reaction in an Inert Buffer,Archives of Biochemistry and Biophysics 43:307−311(1953))。しかしながら、本発明の組成物において最適酵素活性を獲得するためには、pH8.0未満のpHを使用することが好都合であることが見出されている。いくつかの実施形態では、本発明の組成物のpHは約6.5〜約7.4である。組成物のpHは周知の緩衝剤を使用することによりその範囲内で維持することができる。例示的な緩衝剤としては、pH7.6の100mM TRISが挙げられるが、それに限定されない。10〜200mMの範囲のTRIS緩衝剤はまた、約pH6.5〜約8.0のpH範囲においても使用することができる。本発明において有用な他の緩衝剤としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、TRIS(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、例えば、TRIS−HSO、HEPES、TRIS−HCl緩衝剤およびバルビトンが挙げられる。
【0045】
ほとんどの光開始剤はまた、水性溶媒中で制限された溶解度を有する。さらに、アクリル樹脂架橋剤もまた、水溶液にわずかに溶解できるにすぎない。例えば、光開始剤2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンは、モノマと架橋剤を含むアクリル樹脂溶液に溶解させた場合、わずかによく溶解できることが見出されており、水性溶液に溶解させ得る。より高い濃度の光開始剤が好ましい。しかしながら、光開始剤が溶液から沈殿しないことが重要である。したがって、適当な濃度範囲を特定することが重要である。いくつかの実施形態では、光開始剤の濃度範囲は約0.5〜約10%、例えば約0.5〜約5%、または約0.5〜約4.0%である。
【0046】
ウレアーゼと、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンと、ビスアクリロイルピペラジンとアクリルアミドモノマとを含む好ましいマトリクスのマイクロ塗布された層を図2(c)および3(b)に示す。マトリクスは、膜を被覆するのに十分な制御された体積でアンモニウムイオン選択性膜上に塗布され、その後、十分なUV放射に曝露され、膜に付着された固定化ウレアーゼ層が形成される。マイクロ塗布されたマトリクスの呼び体積は好ましくは50nLであるが、広範囲の体積を使用することができる。図2で示した寸法を有するセンサでは、範囲は好ましくは10〜200nLである。
【0047】
図3は異なるプロトコルを用いて作成した典型的な印刷を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。スポット硬化を用いると(図3(b)を参照されたい)、各マイクロ塗布された液滴はマイクロ塗布事象後、UVに予め決められた時間間隔で曝露される。各印刷膜に対する時間ドメインの制御は図3(b)に対しては以下の通りとした。t:膜の塗布、t:UVの適用、t:UV中止。ここで、tとtの間は0.5秒であり、tとtとの間は0.6秒である。図3(b)で示した固定化酵素層では、UV放射波長は310nmであり、UV強度は2W/cmであった。好ましくは、塗布膜マトリクス工程であるtとtとの間は約0.05〜約2.0秒、例えば約0.1〜約1.0秒の範囲である。UV放射工程は好ましくは約0.05〜約120秒、例えば、約0.1〜約60秒の範囲である。UV放射波長は変動し得、例えば、約260〜約360nmであり、好ましくは光開始剤に特異的である。好ましくは、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン光開始剤を用いると、UV波長は310nmである。UV放射強度は約0.005〜約50W/cm、例えば、約0.01〜約10W/cmまで変動し得る。UV放射強度および時間は、過程における関連する特性であり、一方が低減すると、典型的には、他方のパラメータの増加が余儀なくされる。さらに、UV放射のより短い波長は、感応性生物材料に悪影響を及ぼし得る。したがって、約300nmを超える波長が好ましい。
【0048】
比較として、図3(c)はフラッドUVシステムを使用する硬化工程を示す。UVフラッド硬化システムでは、マトリクスの液滴全てが、フラッド硬化工程を実施する前に、基材、例えば、ウエハ上にマイクロ塗布されることが必要である。これは、初期の液滴は後の液滴よりも長い間乾燥(または固化)することを意味する。この遅延により、硬化構造における時間依存変動に至り得る。印刷された液滴のサイズが小さいことを考えると、それらは迅速に乾燥する可能性があり、成分は不溶性となり、したがってUV硬化を受けにくくなる。比較として、図3(a)は従来のELVACE過程により形成された酵素層を示す。「ELVACE」は親水性および疎水性ドメインから構成される酢酸ビニルエチレンコポリマである。ELVACE過程はUV硬化工程を含まない。ELVACE構造を使用した可変表面は、望ましくないことに、図3(c)で示される構造でありうる様に、性能変動の一因となり得ることが知られている。
【0049】
UVスポット硬化過程は、図3(b)で示されるように、最も一貫したドーム構造を提供し、驚いたことに、かつ、意外にも、優れたセンサ性能特性が得られることが見出されている。図4は、検量流体から血液に進行する、スポット硬化アクリルアミドBUNセンサの、典型的なセンサ出力データを示し、図5は血液中でのスポット硬化アクリルアミドBUNセンサの典型的なセンサ相関データを示す。これらの構造はまた、他の構造に比べ、優れた接着を有し、機械的により強固であることに注意されたい。
【0050】
図4では、クロノポテンシオメトリグラフは、検量体溶液を時間点200で測定し、その後試験試料、すなわちこの場合、低および高尿素濃度を有する2つの異なる血液試料をセンサに時間点201で添加した場合の電位差を示す。センサ出力を安定化させる短い時間後、電位差を時間点202で測定する。時間点202と201での電位間の差を、試料中の尿素濃度を決定するために使用することができる。これはNernst式に基づき、この式では、勾配および切片は実験により決定される。時間点202および201での電圧変化を、分析物濃度対数に対し片対数プロットすることができ、分析物濃度に基づく電圧の線形応答を有するグラフが得られる。
【0051】
図5では、新規UV硬化酵素固定化層(EIL)がEVANCE(フィルム形成ラテックスとも呼ばれる)で調合された先行技術酵素と比較されている。実験は2つの異なるバイオセンサチップを使用し、1つは加熱され(BCL4−5)、もう一方は加熱されない(BCL3−5)。2つの異なる血液ドナー試料、169M(男性)および658F(女性)を使用した。さらなる尿素の添加なしで試験した試料もあるし、尿素を添加することにより修正され、低添加および高添加として識別されたものもあった。5つのカートリッジを各試験条件に対し構築し、mVで表した生電位差を記録した。5試料の標準偏差(SD)を試験した各試料に対し計算した。これらのデータから、先行技術ELVACEに基づく過程に匹敵する標準偏差が示された。
【0052】
重要なことに、EIL過程を使用すると、一貫して再現されるセンサを有する効果は、精度の増加、印刷厚の再現性、改善された製造の容易さおよび改善された製品収率であることが見出された。例えば、図18は、ある印刷厚の範囲では、測定した電位差は印刷厚により有意に影響されないことを証明しており、このEIL過程の強固な性質が保証される。CV1、CV2、CV3、CV4およびCV5は、それぞれ、152.5、57.8、10.7、5.9および3.4mg/dL BUNの尿素濃度を含む標準試験流体である。尿素の他に、これらの溶液はまた、他の塩および緩衝成分を含む。図18では、57.3、71.4、97.3μmの厚さの印刷が試験され、グラフで表された。
【0053】
1つ以上の酵素と、アクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを、実質的に均質的な水性混合物中で含む酵素固定化組成物を調合する際、溶解度および緩衝作用の両方を考慮することが典型的には必要である。酵素は一般に、pH7近くの緩衝水溶液を必要とするが、例外があり、例えば、アルカリホスファターゼである。
ほとんどの光開始剤はまた、水性溶媒中で限られた溶解度を有する。さらに、アクリル樹脂架橋剤もまた、水溶液にわずかに溶解できるにすぎない。好ましい1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Ciba−Geigyにより製造、Irgacure 2959)は、アクリル樹脂溶液(モノマと架橋剤)に溶解させた場合、わずかによく溶解できることが見出されており、水性溶液に溶解させることができた。より高い濃度の光開始剤が好ましい。しかしながら、光開始剤が溶液から沈殿しないことが重要であり、適当な濃度範囲を同定することが重要である。約0.5〜約4.0%(w/w)の範囲の濃度が好ましい。この光開始剤は310nmのUV光に感応するので、一般に室内光には感応性がないことが見出され、このため、レッドルームまたはイエロールーム製造条件が必要ない製造過程にとって有用であることが見出された。
【0054】
図14(a)および(b)は、好ましい実際の混合組成物を有するスポット硬化マトリクスのための試薬の表を示す。第1の例は、唯一の酵素がウレアーゼであるスポット硬化センサ用であり(図14(a))、第2の例は、ウレアーゼと炭酸脱水酵素の組み合わせに対するものである(図14(b))。好ましいウレアーゼ混合物において、混合順は下記の通りである。
【0055】
電気泳動ゲルのために典型的に使用されるアクリル樹脂は、本出願で使用されるのが好ましいアクリル樹脂調合物に比べ、高いモノマ対架橋剤濃度にある。電気泳動型樹脂(例えば、アクリルアミドまたはビスアクリルアミド)は典型的には、それぞれ、0.2および0.007g/mlのモノマおよび架橋剤濃度にあるが、本発明に対する好ましいマトリクスは、それぞれ、0.05および0.02g/mlのモノマおよび架橋剤濃度を含むアクリル樹脂調合物を有する。この架橋剤対モノマ比が高いほど、硬化および乾燥中のマイクロ塗布させたプリントの物理変化を低減させるのに好都合であると考えられる。様々な実施形態では、組成物は約0.04:1を超える、例えば、約0.1:1を超える、または約0.3:1を超える架橋剤対モノマ重量比を含む。これらの比はまた、生物試料(例えば、血液)によるセンサ水和にとって好都合である。所望のモノマ:架橋剤比を達成し、溶液からの沈殿を阻止するために、典型的なゲル電気泳動架橋剤ビスアクリルアミドを、好ましい実施形態では、より高い水溶解度を示す1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン(BAP)と置き換えた。
【0056】
ウエハ作製およびバイオセンサ
シリコンウエハが好ましくは、バイオセンサチップが作製される固体基材として使用される。他の材料、例えば、プラスチック、アルミナおよびガラスをシリコンの代わりに使用することができるが、前者が、例えば年間何百万台もの装置の生産などの、平面構造の大量生産には便利な材料である。
【0057】
シリコン上に、材料の層を特定の位置で追加し、一組の個々のチップを作製する。これらの過程は当業者には周知である。本発明では、二酸化ケイ素の薄層が好ましくはシリコン上に熱分解により形成される。その後、チタンまたはチタン−タングステン合金を二酸化ケイ素層の上面にスパッタし、光形成させる。これを、銀および他の金属を接着させるための層として使用する。この実施例では、銀および酸化銀を、図2(a)で示したように周知の過程を用いて形成させる。図2(a)では、アナライザ装置に接続するための導体パッド350が様々なセンサおよび電気コネクタに接続される。具体的には、BUNセンサ353の下にある層は銀および塩化銀を含む。塩化物センサ352はまた、銀/塩化銀層を有する。接地電極351は試料との複数の接触点を有する光形成された塩化銀電極である。これは、チップ上の他のセンサの電気測定のための接地電位を形成する。参照電極構造は354により示されており、米国特許第4,933,048号および公開米国特許出願第20070015977号において詳細が記載されており、それらの全内容が参照により本明細書に組み入れられる。これらの層は好ましくは、いくつかの感光性マスクをそれらの過程で使用し、材料の特定の位置での配置を可能にする。
【0058】
図2(b)は、アンモニウムイオノファオ層355が、図2(b)で示したBUN銀/塩化銀堆積物の上面上に配置される過程の次の工程を示す。アンモニウムイオノフォア層およびその調製法は米国特許第5,200,051号において記載されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。この後、図14で示されている組成物のUVに基づくBUN EIL膜356と共に、図2(c)に示されている塩化物(CL)センサ352のマイクロ塗布が続く。
【0059】
図1は、位相様式で、本発明の1つの非制限的実施形態によるBUNセンサの断面層を示す。図示したBUNセンサは、図2(a)〜(c)に反映される過程において記載される参照センサを含む。シリコンウエハ320を二酸化ケイ素層315で、チタンまたはチタンタングステン合金310と共に被覆し、続いて、銀305および塩化銀304で被覆する。PVCイオノフォア組成物325を銀/塩化銀層上に印刷し、続いて、ウレアーゼ酵素を含むEIL酵素層311を印刷する。
【0060】
図1では、参照電極はまた、銀/塩化銀304層に至るまで見られる上記層を全て含むが、また、電解質層312、ガス透過性膜308も含み、必要に応じてフォトレジストキャップ309により処理される。
【0061】
自動統合マイクロ塗布およびスポット硬化システム
本発明の好ましい態様では、本発明の微細加工過程は自動システムであり、正確でプログラム可能な量の材料を、対象のセンサ内で使用される平面材料の選択領域にマイクロ塗布し、さらに、UV放射により、統合された硬化、好ましくはスポット硬化を提供することができる。この態様で重要な概念は、マイクロ塗布工程およびその後のUV曝露工程のタイミングおよび期間に関する時間ドメインを制御することである。ここで、時間ドメインの制御は典型的には数分の1秒である。これは微細加工装置にとってよく知られた大量製造過程と一致する。
【0062】
1つの実施形態では、塗布ヘッドは、マトリクスのためのリザーバを有する注射針と、シリンジから選択された表面上に塗布させる量を制御するための変位手段と、を備える。装置はまた、表面、例えば、シリコンウエハを塗布ヘッドおよび前記UV放射源の両方に対して移動させるためのステップアンドリピート機構を含み、このようにして、予め選択された位置の組で固定化酵素層のアレイを形成することが可能になる。
【0063】
好ましくは、塗布される制御された体積は、約1nL〜約10μL、例えば、約5nL〜約1μLまたは約50nL〜約0.1μLの範囲であり、塗布された体積は約10μm〜約75mmの範囲の領域を被覆する。好ましくは、この領域は約5μm〜約5mmの範囲の半径寸法を有する実質的に円形である。
【0064】
好ましい実施形態では、システムは、一連の制御された体積の光形成可能なマトリクス、例えば、本発明の上記酵素固定化組成物を表面上の予め選択された組の位置に塗布することにより、実質的に平らな表面上で固定化層の組織化されたアレイを形成する方法を提供する。この後、UV放射ビームを、実質的に予め選択された位置の各々の範囲に及ぶ領域上に適用する。重要なことには、これは、各々の制御された体積が塗布された後の予め決められた時間で開始し、前記放射を予め決められた強度で予め決められた期間の間適用して、順番に起こり、前記固定化された層の固定化アレイが形成される。好ましくは、予め決められた時間は約0.1〜約10秒の範囲であり、予め決められた期間は約0.1〜約10秒の範囲である。好ましくは、方法は約185〜約400nmの波長範囲の、約100mW/cm〜約10W/cmの範囲の強度を有するUV放射を使用する。当業者に知られているように、硬化は、選択された部位で特定の線量のUV放射を発生させることにより達成することができる。時間、強度および距離のパラメータが全てUV放射線量に影響し、特定のUV線量を発生するように調節することができることは周知である。典型的には、高い強度はより多くの熱を発生し得、過程に他の効果を有し得る。好ましい方法はまた、シリコンウエハである平面を使用し、予め選択された組の位置は前記ウエハ上のセンサアレイであり、典型的にはX−Yアレイの単位セルに基づく。印刷工程後にUV曝露という順序に関しては、本方法は好ましくは、UV放射ビームが、N番目の予め選択された位置で塗布が起きている間にN−X番目の予め選択された位置に適用される様式で動作する。典型的には、Xは1〜10の整数に等しい。ウレアーゼ膜(311および356)に対する好ましい実施形態では、パラメータUV曝露パラメータは、4.2W/cmの放射への、310nm波長、0.56秒曝露を含む。
【0065】
図6は、本発明の1つの実施形態によるマイクロ塗布システムを示す。図示されるように、マイクロ塗布システムは、真空チャック106とシリンジ102および105とを備え、シリンジの各々がこれらの要素の1つ以上の垂直、水平、側方または回転変位を変えるための別個の手段に取り付けられている。節約のために、真空チャックの位置を多方向に変化させることができる限り、シリンジの垂直変位を変えるための手段を有することで十分である。両方の要素の移動は、パソコンにより制御することができる。1つの態様では、真空チャックの位置は、xおよび/またはy方向のいずれかまたは両方で±51μmまたはそれより良好に再現可能とすることができ、チャックの平坦性は1μm以内である。
【0066】
本発明の好ましい実施形態のマトリクス調合物は、制御可能な様式で層を確立する目的で、マイクロシリンジアセンブリ102に充填することができる。マイクロシリンジアセンブリには好ましくは、150μmの内径および300μmの外径を有する25〜30ゲージの針105が取り付けられている。典型的には、マイクロシリンジ針105は、細長い部材と針先端とを含み、金属材料、例えば、ステンレス鋼から製造されている。追加の層を針上にコートし、その表面特性を変化させることができる。さらに、針本体、それ自体を製造する際に合成ポリマなどの他の材料も使用することができる。電極表面の前処理および適用した流体の体積量によって、約1〜約200μmの範囲の厚さの膜層を一貫して得ることができる。
【0067】
UV硬化マイクロ塗布サブシステム(図6)は必要に応じて、針ホルダおよび円筒部102、ならびに針105に連結するチューブに連結されたバルブ101を備える。マイクロ塗布された液滴は必要に応じて顕微鏡100を用いてモニタすることができる。マイクロ塗布された液滴は、必要に応じて用いられる光ガイドファイバ103からの放射線を用いる集束レンズアセンブリ104由来のUV光を用いて硬化される。
【0068】
非制限的な図7は、光ガイドファイバ103からの放射線を用いて集束レンズアセンブリ104中に集束される放射線を示し、この放射線はUV光ボックス150内のUV電球151により発生される。図示されるように、光放射の量および曝露時間は、光ボックス150内のシャッター/開口152を用いて制御される。後者は必要に応じてアルゴリズムを用いてコンピュータ内で実施される。
【0069】
マイクロ塗布システムの1つの非制限的な実施形態がさらに、図8(a)に示されており、この場合、空気弁101がシステムに対し、チューブ132に沿って針ホルダおよび円筒部102に入る圧力を生成させる。図示されるように、針ホルダおよび円筒部102はシリンジハウジング131により保持され、シリンジハウジングはシリンジ130を保持する。シリンジ130はマイクロ塗布される液滴の針105を通した送達を可能にする。
【0070】
UV集束レンズアセンブリ104の必要に応じて用いる実施形態をさらに、図8(b)で示し、ここでは、UV光は光ガイドファイバ103から光ガイド405を通してコンセントレータハウジング401に提供される。コンセントレータハウジング401は光ガイドファイバ103にマウンティングブラケット400を用いて取り付けられる。光はこの実施例では、レンズブラケット402内でレンズスペーサ404によって定位置に保持される2つのレンズ403により集束される。1つのレンズで十分であり得るが、追加の必要に応じて用いられるレンズが任意で使用でき、それは当業者の理解するところである。
【0071】
マイクロ塗布およびUV硬化のための、必要に応じてコンピュータを用いる制御過程は、図9で示したアルゴリズムにより実施することができ、ここでは、針はX−Yトレイから上方に、かつ離れるように移動され、その後、最初の印刷位置に配置される。針は印刷位置に近接して下方に移動され、続いて、短期間の間印圧が生成される。針はその後、印圧が液滴塗布を終えた後に上昇される。マイクロ塗布過程と並行して、X−Yトレイがそれ自体新しい印刷位置に配置されると直ぐにその後のUV硬化過程が開始され、再び移動する前に終了する。この過程が、全ての位置が印刷され、硬化されるまで、各印刷位置で繰り返される。
【0072】
再現性よく塗布することができる液滴サイズは、広範囲にわたる。約5〜約500ナノリットル(nL)の間の体積サイズでは、液滴は好ましくは約5%の精度で適用することができる。0.1%精度定格を有するソレノイドはこの目的に十分である。センサ上方の注射針の先端の高さは好ましくは、塗布される体積に依存して、約0.1〜約1mmの間である。一般に、液滴の体積が小さいほど、センサからの針の高さが低くなる。注射針とセンサの予め選択された領域との正確な位置合わせが、カメラおよびレチクルにより光学的に達成できる。そのような操作は、オペレータにより手動で、または視覚認識システムにより自動で実施することができる。後者が好ましい。
【0073】
単一の流体液滴を形成させ、針から放出させる際、それに関わる動力学を考慮することは有用である。より多くの流体が針先端から放出されるにつれ、液滴は、液滴の質量に作用する重力が、針先端との接触を維持する対抗力を超えるまで、サイズが増加する。これらの対抗力としては、針先端と流体または液体との間の接着力、液体自体の表面張力が挙げられる。別個の液滴形成が完全な低い液体流速では、液滴体積が固定されることが確立されている。しかしながら、体積は、上記流体関連パラメータのいずれかを変化させることにより、または針先端の直径を変えて、これにより流体接着のための有効表面積を変化させることにより、変えることができる。例えば、針先端に適用される疎水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティングにより、液滴と針先端との間の接着力を低減させることにより、水性マトリクス材料の自然の液滴サイズが低減される。制御された体積が表面上にマイクロ塗布されなくてはならない状況では、マイクロシリンジ先端を平面の上方に、液滴を完全に形成させず(その後、重力の影響下で表面に落ちる)、部分的に形成された液滴が実際に表面と接触し、液体と表面との間の新しい接着力が液滴を広げ始める高さで配置させることが可能である。針先端が今や、表面からZ軸方向で十分な距離だけ離して引っ込められる場合、液体の凝集力が克服され、固定された液滴サイズより小さな液体体積が表面と接触したままとなる。この技術を使用して再現性よく、固定液滴サイズの約1〜1000分の1およびそれ以上の任意の体積の液体を塗布させることができる。
【0074】
純粋液体とその気相との間の表面張力は試薬を添加することにより変化させることができる。例えば、水に添加された脂肪酸は表面張力を低減させるが、添加された塩は表面張力を増加させることができる。本発明のマイクロ塗布可能な流体組成物は好ましくは、制御された最適化表面張力を有するように調製される。必要な場合には適した添加物を使用することができる。流体の疎水性または親水性は同様に制御される。硬化された膜が最終製品として必要とされる場合、固体量および揮発溶媒量は好ましくは、注意深く調節される。さらに、これらの成分比はまた、粘度を制御するために使用される。
【0075】
アンモニウムイオンセンサのための好ましいマイクロ塗布可能な組成物はPVCポリマと、可塑剤と、イオノフォアと溶媒とを含み、その粘度は一般に膜の平面鋳造(例えば、スピンコーティング)のために使用されるものよりも高い。これらのより粘度の高い組成物は、膜層の変形無しで硬化または乾燥する。関連する問題、例えば、高粘度でマトリクスの均質性を確保し、このため、その後の材料の相分離を阻止すること(すなわち、有効期間に関する配慮)はまた、これらの組成物により軽減される。他の添加物もまた、膜の長期劣化を阻止するために使用される。
【0076】
処方した組成物に関連する最適化表面張力を有する流体の制御された体積塗布に関連する上記因子の他に、基材、または流体が塗布される表面の表面自由エネルギーの調整により、得られる層の最終寸法、とりわけ厚さに対する制御が提供される。その結果として得られる過程は非常に万能であり、多様な組成および実用性の層のアレイの堆積を可能にする。厚い膜(例えば、40〜60μmの厚さ)を確立するために、表面は好ましくは、マイクロ塗布される流体が表面と形成する接触角が大きくなるように調整される。例えば、水性酵素マトリクスがマイクロ塗布される前に、表面を最初にプラズマ処理し、制御された接触角を提供することができる。好ましいウレアーゼマトリクスでは、四フッ化炭素プラズマの工程により50°〜70°の範囲の接触角が得られる。
【0077】
本明細書で記載する、マイクロ塗布システムの改善された1つの態様は、自動スポット硬化構成要素の統合である。EXFO Omnicure UVシステムは、放射強度が過程を通して一貫して維持されることを確実にするために光開口を連続してモニタし、調整することができるために、統合に対し好ましい。これにより、設定時点で50%強度を使用することにより、寿命(〜2000作動時間)に対する典型的なUV電球強度の問題が改善される。硬化時間と電球強度との間には関係があるので、製品処理時間を低減させるためには適度に高い設定が要求される。
【0078】
UV硬化過程の別の態様は、ビームを特定のセンサ上に集束させ、他のセンサへのUV曝露を避ける要望である。ビームの集束は、制限しすぎることを避けるように適度であることが必要である。これは、処理される各センサを位置合わせさせるのに使用される視覚化システムが、正確に位置合わせされていない事象において強固な過程を確保するのに十分な柔軟性を必要とするからである。強度はUVビームの硬化部位までの距離と関係があり、したがって、より接近させることにより、強度が増加し、製品処理時間が減少する。
【0079】
本発明を主に、微細加工されたイオン選択性電極を有するシリコンウエハに関して記載してきたが、他の型のセンサを、開示した組成物が塗布され、またはコートされる表面を組み入れるように作製することができる。それには、光センサ、光ファイバセンサ、表面弾性波センサ、エバネセントセンサ、表面プラズモン共鳴センサおよび光導波路センサが挙げられる。様々なベースセンサ、例えば、電極、イオン選択性電極、電位差測定電極、電流測定電極、電気伝導度測定電極、酵素電極、バイオセンサ、光センサ、光ファイバセンサ、表面弾性波センサ、エバネセントセンサ、表面プラズモン共鳴センサおよび光導波路センサもまた含まれる。センサ作製のための実質的に平らな表面としては、シリコンウエハ、アルミナウエハ、液晶基材、ガラス基材およびプラスチック基材、ならびに可撓性プラスチック基材が挙げられる。好ましい実施形態では、膜形成組成物は十分なUV放射に曝露され、かなりの架橋が引き起こされ、こうして、表面上で接着された非膨潤固定化酵素層が形成される。
【0080】
マイクロ塗布およびUV硬化が統合された装置は、好ましくは、製造過程時間を最適化し、UV硬化を達成するために自動的にプログラムされる。マイクロ塗布およびUV硬化工程は好ましくは相前後して実施される。好ましい態様では、UV硬化工程は約0.5秒かかり、一方、マイクロ塗布工程は約0.3〜0.4秒かかる。そのため、マイクロ塗布工程は典型的には、印刷部位間で約0.1秒のインデキシング時間により律速される。マイクロ塗布およびUV硬化サブシステムは好ましくは2つの異なるが、隣接する物理的位置で同じ期間中動作するが、マイクロ塗布工程はUV硬化動作前、およびそれに先だって起こる。図9は動作のための好ましいアルゴリズムを提供する。
【0081】
統合されたUV放射源を有する塗布装置は好ましくは、実質的に、マトリクス滴が塗布された位置の範囲に及ぶ領域上に放射ビームを集束することができる位置決めおよび位置合わせ手段を有する。コンピュータ手段は、UV放射の作動と停止を行うことができ、これはマトリクスが塗布された後、予め決められた時間に、予め決められた期間(および予め決められた強度で)起こる。位置決めおよび位置合わせ手段は、ビームを前記表面の選択された領域上に集束させ、約10μm〜約75mmの範囲の領域を照射させる。
【0082】
各ウエハは好ましくは、複数のチップ(典型的には5インチウエハ上に約1000)を有するように作製され、各々が1つ以上のセンサを含み、この場合各々がBUNセンサを含む。これらのセンサは望ましくはウエハ上で均一なX−Y配列で配列される。好ましい実施形態ではウエハを処理するために、チップは好ましくは、最初に接着テープをウエハの裏面に配置し、続いて、例えば、ダイヤモンドダイシングソーを使用して、ウエハを個々のチップにカットすることにより作製される。この過程により、ウエハ上のチップの元の位置に比べ、わずかな変位、および不均一な配列が引き起こされる。これを補正するために、図6に示されるような顕微鏡100を視覚認識ソフトウエアと共に使用し、マイクロ塗布過程のためにチップを再位置合わせする。UV硬化システムの最初の位置合わせおよび位置決めでは、UV感応紙を使用して正確な位置合わせを決定する。または、可視光源をUV光源151の代わりに、光ガイド103上方に挿入し、UV硬化部位を位置合わせし、集束させることができる。さらに別のアプローチは、集束点を有するUVモニタニング装置(ラジオメーター)を使用し、強度および活性を使用してUV硬化部位を位置合わせし、集束させる。また、代替的に、ダイシング工程は、塗布およびスポット硬化後に実施することができるが、ダイシングブレード用に使用される冷却水によって、ダイシングダストが硬化膜を損傷することがないようにする配慮が必要であることに注意されたい。基材がシリコンウエハではなくプラスチックである場合、ダイシングはより単純なカッティング過程により行われ、この場合、ダストによる損傷は問題とならない。ここでは、塗布およびスポット硬化後のダイシングが好ましい。
【0083】
改善されたセンサを使用するためのカートリッジ構造
上記ダイスカットされたシリコンチップはその後好ましくは、使い捨てのプラスチックカートリッジのためのサブコンポーネントとして使用される。各カートリッジは典型的には、患者試料を分析装置で処理し、試料中の分析物、例えば、尿素の存在または量を決定することを可能にするいくつかの特長機能を含む。
【0084】
図を参照すると、本発明のチップを受理するためのカートリッジは、カバー(2つの図面)、図10、11と、ベース、図13と、ベースとカバーの間に配置され、それらを共に固定される薄膜接着ガスケット、図12とを備える。具体的には、図10で示したカバーの裏側が図12のガスケットの暴露面と噛み合い、ガスケットの裏側と図13のベースの暴露面とが噛み合う。ここで図10を参照すると、カバー1は剛性材料、好ましくはプラスチックから製造され、可撓性のあるヒンジ領域5、9、10において亀裂を生ずることなく繰り返し変形することができる。カバーは、可撓性ヒンジ9によりカバーの本体に取り付けられた蓋2を備える。操作時、試料を試料保持チャンバ34中に導入した後、蓋は試料入口ポート4の入り口上に固定することができ、変形可能なシール11により試料の漏れが阻止され、蓋はフック3により定位置に保持される。カバーはさらに、カバー本体に対して可動で、可撓性ヒンジ領域5、10によりカバーに付着されている2つのパドル6、7を備える。操作時、ポンプ手段により作動すると、パドル6は、薄膜ガスケット21により覆われている、空洞43からなる空気袋に力を働かせ、流体をカートリッジの導管内に移動させる。第2のポンプ手段による作動時、パドル7はガスケット21に力を働かせ、これは変形し得る。カートリッジは読み取り装置内への挿入のために適合され、したがって、この目的のために複数の機械的および電気的接続を有する。カートリッジの手動操作が可能であることも明らかなはずである。このように、カートリッジを読み取り装置に挿入した後、読み取り装置は圧力を、空洞42に配置された約130μLの検量流体で充填された流体含有ホイルパックに伝達し、スパイク38上でパッケージを破裂させ、流体を導管39内に放出させ、導管39は、ベース内の短い横断導管を介してセンサ導管16に接続されている。検量流体がセンサと接触すると、センサは、濡れて、流体中の較正イオンまたは分子の量と関連する信号を確立する。
【0085】
図12を参照すると、薄膜ガスケット21は様々な穴およびスリットを備え、それらの穴およびスリットは、ベースおよびカバー内の導管間の流体の移動を促進し、必要に応じ、加圧下でガスケットが変形することを可能にする。穴30および33は、切込み部35または37のいずれか内に収容された1つ以上の尿素センサおよび1つ以上の参照電極を、導管16内の流体と接触させる。
【0086】
図13を参照すると、導管34は試料入口ポート4を組立カートリッジ内の第1の導管16に接続する試料保持チャンバである。切込み部35および37は、本発明のチップを受け入れるためのハウジング内の位置である。必要に応じて、それらはまた、空気−液体境界の位置を決定するための電気伝導度検出センサを収容する。凹み42は、流体含有パッケージ、例えば、破裂可能なパウチを組立カートリッジ内で収容し、これは、読み取り装置に挿入されるとパドル7上に働く圧力のためにスパイク38により穴が開けられる。穴が開けられたパッケージからの流体は39の第2の導管に流れ込み、その後、導管16に流れ込む。空気袋は、上面がガスケット21によって封止される凹み43から構成される。空気袋がポンプ手段の1つの実施形態であり、パドル6に適用される圧力により作動され、これにより導管40内の空気が移動し、これにより試料が試料チャンバ34から導管16に移動する。
【0087】
膜アレイを形成し、硬化する改善された方法
1つの実施形態では、BUNセンサを製造する方法は2つの別個の印刷事象を必要とする。第1の工程は、NHイオン選択性電極(ISE)印刷工程を含み、その後、ウレアーゼ層印刷工程が続く。上記のように、印刷過程は好ましくは、正確に液滴をウエハの特定の位置上にマイクロ塗布させるために、X−Yテーブルの上面に微細ゲージの針を備える、空気ポンプおよびバルブを使用する。いくつかの制御可能な因子がセンサの総体的な性能に寄与する。これらとしては、(i)所望の位置上の印刷された液滴の正確な位置決め、(ii)液滴の適当な粘度および表面張力、(iii)表面の関連する疎水性、(iv)液滴の高さおよび幅(または体積)、(v)表面上での乾燥後の液滴の高さ、ならびに(vi)良好な接着が挙げられる。さらに、乾燥させた液滴の結晶の形成(分割)または亀裂はセンサの性能に悪影響を与え得る。
【0088】
先行技術酵素膜(例えば、米国特許第5,200,051号を参照されたい)は膜形成ラテックス、好ましくはELVACE(Forbo Adhesive Synthetic Polymers、イリノイ州モリス)から構成される。しかしながら、この非均質材料は乾燥して、マイクロ塗布針先端を詰まらせやすく、これは製造に対し悪影響を有し得る。ELVACEの表面張力はまた、センサ性能に影響し得る不規則形状の構造を生成し得る。図3(a)を参照されたい。さらに、EVACEは親水性および疎水性ドメインからなる酢酸ビニルエチレン(VAE)コポリマであり、時間と共に分解し得、材料をより酸性とするアセテートを生成する可能性が最も高い。この時間依存過程により、材料の使用可能な寿命が低減する。結果として、この不均質水性マトリクスを大幅により安定した組成物、好ましくは光形成させることができ、酵素、例えばウレアーゼに対して安定な固定化環境を提供する均質水性マトリクスで置き換えることが望ましい。
【0089】
本発明はまた、原材料寿命、印刷前の水性マトリクス寿命、ならびに完了センサにおける印刷および硬化マトリクスの寿命を含む、いくつかの寿命に関する問題を解決する。また、最終製品中で、血液試料に接触する際、溶解することがなく、破壊されることがない。これは信頼できるセンサ性能のために非常に望まれる良好な接着特性の証拠である。
【0090】
最も重要なことに、信頼できる製造方法のために、本発明は、約4℃〜約35℃の範囲の貯蔵温度で、サブコンポーネントの沈殿なしで、溶液のままであるマイクロ塗布可能なマトリクスを提供する。これはまた、凍結させて保存することができ、有害効果なく使用のために融解させることができる。好都合なことに、マトリクス組成物はまた、少なくとも約200μmまで延長する範囲の厚さで印刷されて、十分なUV透過を有し、マトリクス全体にわたり高度のポリマ変換をもたらす。
【0091】
本発明は、マトリクスが印刷過程中低粘度の状態で存在し、UV放射によりゲル化または固定状態に制御可能に変換されるので好都合である。UV硬化過程を使用するこの制御されたアプローチは、調合物中へのUV光開始剤の組み入れを必要とする。これはまた、硬化される部分に向けられる制御されたUV放射を発生させることができる硬化システムを必要とする。このUV硬化システム仕様は、(i)簡単な自動化、(ii)印刷システムと適合可能な短いサイクル時間での動作、(iii)硬化過程中のダイスウエハのラッキングの回避、(iv)オーブンまたは熱硬化工程の必要性の回避、および(v)絶え間ないマトリクス混合の必要性の回避を可能にする必要がある。さらに、不必要な材料廃棄を回避することが望ましい。前に言及したように、製造の観点から、大バッチの材料を製造し、予めアリコートし、凍結形態で保存する場合も有用となる。
【0092】
本発明は、強固な製造過程を可能にする。強固な製造過程の態様では、一貫した製品結果を発生させながら、過程の各工程でいくらかの範囲の精度が許容される。過程の1つの工程で、印刷厚はわずかに変動し得る。データから(図18を参照されたい)、平均電位差信号は、好都合なことに、印刷厚に依存しないことが見出された。さらに、多くのウエハにわたってのこれらの値の標準偏差は、印刷厚とかなり独立している。これにより、製品性能に影響せずに、広範囲の酵素層厚が可能になる。
【0093】
光棒、オーブン工程を伴う、または伴わないUVフラッド硬化、および光ガイドシステムを含む様々なUVシステムを使用することができる。印刷されたセンサ部位上に集束放射ビームを送達するためにこの過程のためにUVレーザもまた使用することができる。シリコンウエハまたは同様の基材、例えば、ガラスおよびプラスチック上で印刷された膜を硬化する過程では、光棒は全ての印刷位置上に配置される必要がある。これによりn×tだけ硬化工程時間が増加し得、ここでnはチップ数/印刷位置であり、tは各UV硬化工程の秒で表した時間である。1つの実施形態では、UV硬化工程は、光棒を各連続印刷位置に正確に移動させるシステムにより提供される。光棒の移動は各印刷位置での印刷事象と統合される。
【0094】
UV源がプリントヘッドと独立して移動するシステムでは、マトリクスは最初に、特定の位置で印刷針により印刷される。印刷針は、表面から、好ましくはZ方向に移動する。UV源はその後、その位置に移動し、続いて、印刷位置でUV硬化曝露が実施される。
【0095】
UV源が印刷部位から固定オフセットにより追従するシステムでは、印刷針はタイプライタースタイル印刷過程の様式で印刷する(例えば、左から右へ、その後、左側に戻り、印刷部位の次のラインにインデクスし、再び左から右へ処理される)。UV源は、印刷針位置から1つ以上、n、の印刷部位だけ離して配置される。印刷針は第1の印刷部位を印刷し、その後、n印刷部位に到達するまで別の印刷部位を印刷する。UV源は印刷針に追従する。UV源が印刷針からn部位離して、左側の第1の印刷部位に配置されるとすぐに、UV源は印刷部位を露光し、硬化させる。印刷針が次の印刷部位に移動すると、UV源は次の部位に移動し、印刷針がマトリクスを塗布する間、UV源は印刷部位を曝露する。この印刷および追従UV硬化過程は、印刷針が平面の右側に到達するまで続く。UV硬化過程を終了するために、針は右に移動し続け、UV源が関連して移動し、残りのn部位を硬化し続ける。印刷針は、残りの印刷部位に対し印刷を中止するようにプログラムすることができる。印刷針およびUV源は印刷される次の列にインデクスされ、設定が平面の左側で開始する。当業者であれば、印刷針およびUV源はそれらの位置で固定することができ、平面を保持するテーブルを移動させ、各個々の印刷部位に対し印刷針およびUV源を移動させることができることを理解すべきである。当業者であれば、他の工学的位置決め手段を使用して、塗布された各層が印刷された後に一定の時間で一定の様式で硬化されるように、時間ドメインの一貫した制御を確保する目的を達成することができることを認識するであろう。
【0096】
好ましい実施形態では、光ガイドが使用される。光ガイドは、事実上、光のための管路であり、この場合、光はウエハの小さな領域上に集束され、UV源から直線で送達されない。UV放射は光ファイバ接続により光ガイドに沿って誘導される。これは、ランプおよびフィルタがパワーボックス内に含まれ、「フラッシュライト」が硬化部位の位置で非常に小さな占有面積を使用する光棒システムの利点を有する。さらにUV放射は赤外放射よりも小さな付随熱を含み、そのため、硬化部分を冷たく維持する。
【0097】
マトリクス中に存在する特定の光開始剤が特定の放射波長を要求する場合、これはその特定の光開始剤に適した特定のUV電球を選択することにより達成される。最も標準的なUV電球は複数の波長を発生させ、そのいくらかは望ましく、必ずしも望ましくないものもある。生物物質との適用では、他の波長には別の無関係な放射を有さない特定の放射波長を有することが好ましい。UVC放射が生物学的にUVAまたはUVBよりも損害が少ないことが科学文献では周知であることに注意されたい。したがって、これらの波長を回避または制限することが生物試料では好ましい。Irgacure 2959を使用する好ましいマトリクス調合物では、好ましい放射波長は約310nmである。普通のUV電球は水銀(「H」型)およびハロゲン化金属(「D」)を使用し、これらはIrgacure 2959光開始剤を含むマトリクスに対し要求されるUVAおよびUVB放射を発生させるので、どちらも硬化するために使用することができる。しかしながら、「H」電球は関係ない放射波長がより少なく、好ましい。
【0098】
UVシステムは、非イオン化放射の特定の波長を通過させるが、望ましくない波長の透過を阻止する統合された光学フィルタを有することが有利である。好ましい実施形態では、光開始剤に対し310nm付近の放射が要求される。有害な波長の放射にセンサを曝露させるのを制限する手段として、約300〜340nmの波長のみを効果的に許可するGilway and International Light Technologies,Inc.(マサチューセッツ州ピーボディ)Narrowband Filter NS313などの狭帯域フィルタが、好ましい実施形態では有用である。ある別の光開始剤に対し特異的な、適当な放射波長に影響する、単独で、または組み合わせて使用される他のフィルタは当業者に明らかである。
【0099】
好ましい実施形態では、光ガイドシステム(図6、7および8b)は、光を特定の位置に誘導する能力を有する、スポット硬化という利点を有する。さらに、容易にフィルタにかけることができ、赤外(IR)放射をフィルタにかけるフラッド曝露に基づくシステムで見られる熱を発生させない。別のシャッターシステムも要求されない。この特徴はすでに装置に統合されているからである。このアプローチはまた、マイクロ塗布システムとの統合にとっても望ましい。電源をマイクロ塗布ハウジングの外側に配置することができ、光ガイドおよび関連するレンズを有するコンセントレータハウジングのみがマイクロ塗布ユニットの内側に挿入され、占有面積が最小に抑えるられるからである。
【0100】
UV硬化性酵素マトリクスは、(i)酵素、特に好ましい実施形態に対しては、酵素ウレアーゼ酵素との適合性、(ii)良好な印刷特性のために適当な流れおよび粘度を示す、(iii)高収率の製造過程に対応する、例えば、マトリクス有効期間を改善するための抗菌剤および酵素を安定化するための試薬を組み入れることができる信頼できる化学調合物との適合性、(iv)生物試薬に対応するための水に基づく技術である、(v)UV硬化工程後表面への信頼できる接着を達成する、(vi)センサと共に使用される場合、迅速な濡れを提供する、(vii)酵素反応に対応し、維持するための層として形成された場合に、適当な酵素基質および水透過性を示す、(viii)電気化学センサと共に使用される場合に良好な電気特性を示す、ならびに(ix)室温または冷蔵下で、約6ヶ月を超える延長された処理後寿命を示す、例えば、真正の商品要求と適合する、という特性を有することが望ましい。図14で説明した組成物はこれらの望ましい特性を有する。
【0101】
本明細書で記載したUV硬化システムを、各UV硬化性調合物と共に使用し、硬化された膜の寸法の精度および正確さならびに表面への膜の接着を含む多くの動作パラメータを特徴づけることができる。その後、センサは、あるマトリクスと硬化の組み合わせを用いてセンサ性能を決定するためにカートリッジ内で試験することができる。これは、ウエハ内およびウエハ間変動を含むことができ、この場合、各ウエハは1000ものセンサを含むことができる。
【0102】
図16では、図14(a)のマトリクスに基づく、センサ性能に対する放射効果。数多くのセンサを、それぞれ、190、380、760および1140mJの放射線量を用いた0.5s、1s、2s、および3sスポット硬化UV放射を用いる1つおよび複数のフラッドランプ過程を使用して調製した。これらのデータは、プロセスが様々な放射条件で強固であり、許容される試験結果を与えることを示す。
【0103】
図15は、別のモノマおよび架橋剤を含む組成物が試験溶液で同様なセンサ信号を発生さたことを証明している。試験したモノマには、アクリルアミド、メタクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(PEGA)、およびN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−メタクリルアミド(DMAPMA)が含まれた。さらに、試験した架橋剤には、1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン、ポリポリエチレングリコールジアクリレートポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−アクリルアミド(DHEBA)およびトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(TMPETA)が含まれた。
【0104】
図17は加速した寿命貯蔵条件(例えば、30℃または40℃)下で湿潤剤グリセロールが存在しないと、性能にある影響があった実験を示す。グリセロールを本マトリクスに添加することにより(図14の組成物を参照されたい)、良好な性能および有効期間を有する過程が達成される。
【0105】
改善された血中尿素窒素センサ製造
1つの態様では、本発明の意図は、BUN(血中尿素窒素)センサの製造を改善することである。新規BUNセンサの好ましい実施形態は、薄膜微細加工過程とマイクロ塗布技術の組み合わせを使用して製造される。これは、米国特許第4,933,048号(参照により本明細書に組み入れられる)において記載されている型の薄膜銀−塩化銀参照電極と組み合わされて動作する薄膜銀−塩化銀指示電極を備える。より好ましい参照電極は公開された米国特許出願第20070015977号において記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0106】
最初の工程では、基材シリコンウエハ上に、二酸化ケイ素の絶縁層を熱酸化により配置する。チタンとタングステンの合金(TiW)、その後、銀の金属層を続いて二酸化ケイ素ベースウエハ上に堆積させ、その後、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。電気絶縁層、例えばポリイミドポリマまたは追加の二酸化ケイ素をその後、光パターニングし隣接するセンサ回路を絶縁する。銀−塩化銀指示電極(直径約200μm)を、パターニングした銀から標準技術、例えば、電気化学、塩素ガスプラズマおよび塩化物イオンの存在下での無機酸化剤、例えばCr2−またはFeによるAgの酸化を用いて調製する。
【0107】
BUN電極の残りの層は2つの厚膜構造、すなわち(i)有機ポリマ層(例えば、ポリ(塩化ビニル)−PVC)およびアンモニウムイオンイオノフォアを含む半透過性膜、ならびに(ii)この特別なセンサ内では、必要に応じて炭酸脱水酵素を含むスポット光硬化アクリルアミドウレアーゼ層を含む最外バイオ層を含む。これらの層は米国特許第5,554,339号(参照により本明細書に組み入れられる)で記載されているマイクロ塗布技術により堆積される。しかしながら、本発明では、‘339特許で記載されているマイクロ塗布アセンブリは、上記のように、制御された時間ドメインでの自動印刷および硬化を可能にする統合された紫外線スポット硬化構成要素システムを含むように大幅に改善されている。
【0108】
厚膜アンモニウムイオン感受性構造は、ポリ(塩化ビニル)(PVC)結合剤と、可塑剤としてのトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートと、イオノフォアとしてのノナクチンとを含む。指示電極は、同じ(または、同様の)結合剤と可塑剤組成物を使用するが、異なるイオノフォアを有することにより異なるイオンに対して選択的であるようにすることができる。例えば、バリノマイシン、モネンシンおよび(メチル)モネンシン、およびトリドデシルアンモニウムクロリドが、それぞれ、カリウム、ナトリウム、または塩化物イオン選択性電極を製造するために使用されている。他のイオノフォアとしては、クラウンエーテル、トリアルキルアミン、またはリン酸エステル、などが挙げられ得るが、それらに限定されない。また、PVCの他に、他のポリマ結合剤物質を使用することができる。これらのポリマとしては、例えば、シリコンゴム、ポリテトラフルオロエチレンプラスチック、またはイオン性官能基(例えば、カルボキシレート)を含むPVCの誘導体が挙げられる。本発明で使用するのに適した他の可塑剤としては、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ニトロシメン、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、フタレート、プロピレンカーボネート、5−フェニルペンタノール、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。さらに別の結合剤およびイオノフォアの組み合わせが当業者なら思いつくことができ、それらは本発明の範囲内にある。得られた半透過性イオン選択性膜は約2μm〜約200μm、好ましくは約10〜約30μmの範囲の厚さを有し得る。好ましい実施形態では、アンモニウムイオン選択性膜溶媒系は適当な表面張力および安定性を提供するように選択される。可塑剤、PVCポリマ、およびイオノフォアの固体量(重量%)は好ましくは、それぞれ、60〜80%、15〜40%および0.5〜3%である。
【0109】
様々な方法を使用して、平らな基材上の層を規定することができる。厚膜(約5〜約200μm)が要求される場合、粘性マトリクス、例えば上記光硬化性ウレアーゼマトリクスのマイクロ塗布が一般に好ましい。平らな基材上の層を規定するための他の方法としては、スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、塗装および接触印刷が挙げられるが、それらに限定されず、代替法であり、異なる用途によりよく適合し得る。例えば、好ましいウレアーゼ光形成性マトリクスは単一パスで特定の時間(t=0)にウエハ上にスクリーン印刷することができる。スクリーンは必要に応じて、300μmの直径の開口を有し、各開口はウエハ上のアンモニウムイオン選択性膜のアレイとの位置合わせのために位置決めされている。印刷工程後、ウエハのフラッドUV曝露がt=1で実施される。上記スポット硬化法と同様に、本方法は、各マトリクスに対し、印刷からUV工程への時間ドメインの制御を与える。この実施形態では、t=1は好ましくは、t=0後に2〜20秒で自動的に設定される。ウエハを印刷ステーションから曝露ステーションに移動させるための自動装置は微細加工分野において周知である。好ましいウレアーゼマトリクスはまた、微細加工技術分野において広く使用されている様式で、スピンコートし、マスクを用いて光パターニングすることができる。
【0110】
図1の位相図を参照すると、基材ウエハ320はシリコンであり、二酸化ケイ素絶縁層315が上に配置されている。さらに、印刷される層を制限するために使用される2つの円周印刷ウェル(302、303)を有するポリイミド層301が存在する。第1の金属層310はTiWであり、ウエハに対する導体および接着層としての機能を果たす。続く層305および304は銀および塩化銀層である。図1の左側では、指示電極の残りの層は(i)有機ポリマ層(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC))とアンモニウムイオンイオノフォアとを備える半透過性メンブラン膜325と、(ii)この特定の実施形態では、上記好ましい組成物のアクリルアミド光硬化ウレアーゼ層を備える最外生物層311と、を含む。
【0111】
単位セルの参照電極部分は、図1で示されるように、オーバーレイ構造から構成することができる。この特定の実施形態では、参照電極の金属および塩化物層は、高濃度の塩を保持することができるが、好ましくは、光形成可能である任意の物質を含むことができる電解質層により被覆される。この点において、ポリビニルアルコール(PVA)調合物が好ましい材料であり、最初に光パターニングすることができ、その後に塩、例えば塩化カリウムで飽和させることができる水透過性マトリクスを形成する。バルク分析試料に対する電解質または塩の損失を軽減するように機能するが、試料分析開始する前に参照電極の迅速な濡れ(すなわち、水または他の小さなガス分子の通過)を可能にする別のガス透過性膜もまた存在することができる。パターニング過程は、米国特許第4,933,048号および公開米国特許出願第20070015977号に記載されているもののいずれかとすることができ、これらはどちらも参照により本明細書に組み入れられる。また、液界と銀/塩化銀の表面との間の距離が十分大きな参照電極構造を使用することができ、そのため、Ag/AgCl構造のすぐ近くの電解質濃度は、指示電極と参照電極との間の電位差の測定を実施するのに十分な期間、実質的に一定である。
【0112】
ここで図2を参照すると、指示電極および隣接する参照電極はそれぞれ、過不動態化信号線により、導体パッドに接続される。過不動態化(ポリイミド層)は同心円として形成された印刷ウェル302および303を含む。単位セルは長方形領域内に制限され、これが単一のシリコンウエハ上、1アレイ内で数百回繰り返される。本発明の特定の実施形態では、他の指示電極が、アンモニウムイオンの他に、他の種(例えば、Na、K、Cl)を同時測定するために単位セル内に存在することができる。
【0113】
BUNベースセンサを製造するために、前に、濃硫酸および過酸化水素の混合物で綿密に清浄にされた、二酸化ケイ素の局所層を有するシリコンウエハが、プラズマ蒸着システム内に配置され、TiW(0.1μm)および銀(0.5μm)の層が、ウエハ表面上に連続してスパッタされる。銀−チタン二層をその後処理し、ある領域に局在化させ、これは最終装置ではアンモニウムイオンセンサとして機能する。この過程は、ウエハがポジレジスト(Shipley AZ 1370SF)でスピンコートされる標準リソグラフィー技術により達成される。マスクを介したフォトレジストのUV曝露および現像(Shipley AZ 351)後、曝露された銀をエッチング液としての硝酸鉄水溶液(0.9mM)で除去する。下に存在するチタン層をその後、同じフォトリソグラフィー工程だが、硝酸(3.9M)とフッ化水素酸(0.78M)をエッチング液として使用して処理する。N−メチルピロリドン溶媒をその後使用して、残りのフォトレジストを除去し、要求された銀構造(直径約150μm)を露出させる。
【0114】
信号線を不動態化するために、感光性ポリイミド(DuPont 2703)をウエハ上にスピンコートする。ウエハをUV曝露させ、溶媒で現像するとすぐに、ポリマを350℃のオーブン内で30分間、不活性雰囲気下で焼成させ、150℃まで冷却させ、その後除去する。パターニングに使用したマスクは層の周囲を規定するが、これはまた、印刷ウェル302および303を規定する。これらをその後使用して、2つの別個のマイクロ塗布された膜の寸法を制御する。
【0115】
銀は好ましくは、その後、ウエハ全体を重クロム酸カリウム(12mM)と塩酸(60mM)の水溶液中に浸漬させることにより塩化物とされる。ウエハをその後洗浄し、部分的にダイスに切る。これらのパターニングされた塩化銀電極上に、アンモニウムイオン選択性膜を配置する。膜材料は、低分子量PVC(Sigma)および高分子量カルボキシル化PVC(Type Geon、Goodrich)(1:1 w/w)をシクロヘキサノン、プロピオフェノン、およびN−メチルピロリドン(1:1:1 v/v/v)の溶媒系に溶解し、総固体量10g/dLの溶液とすることにより製造する。混合物を70℃で30分間加熱することにより溶解を達成する。この混合物に、可塑剤トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(Fluka)を添加し、35g/dLの総固体量を提供する。得られた混合物をその後、45℃まで冷却させ、ノナクチン(Fluka)を、混合物中2%の総固体に等しい量で添加する。室温で、この最終材料の10〜100nLをウエハ上の塩化銀指示電極の各々上にマイクロ塗布させ、全ての側面を少なくとも約30μmだけ覆う。印刷ウェル302は好ましくは周囲を規定するために使用される。硬化はウエハを60℃のホットプレート上に30分間配置することにより達成される。この過程により、約15μmの厚さを有する安定した凹凸構造が得られる。
【0116】
最終工程で、上記の好ましいウレアーゼマトリクスを、装置を用いて、個々の膜上にマイクロ塗布し、UVスポット硬化させる。印刷ウェル303は好ましくは周囲を規定するために使用される。上記のように、好ましい調合物では、使用前に、成分が共に混合され、低温冷凍機内で凍結される。これにより、日々の製品の一貫した製造およびマイクロ塗布前の長期貯蔵寿命が可能になる。混合物は標準参照法を用い、分光光度計を用いて酵素活性に対しアッセイすることができるので、この調合物はまた、マイクロ塗布事象前に品質制御(QC)試験を受けることができる。これにより製造過程において製品を製造する際の経費および無駄が低減される。
【0117】
好ましい標準アッセイ法に関しては、解凍した凍結調合物のアリコート由来のウレアーゼ酵素活性を、Kaltwasser & Shlegel,“NADH−dependent coupled enzyme assay for urease and other ammonia−producing systems,”Analytical Biochemistry 16:132−138 (1966)の方法の改良法を用いて評価する。方法は、ウレアーゼに共役させたグルタミン酸デヒドロゲナーゼアッセイにおける340nmでのNADHからNADへの分光光度変化を測定する。
【0118】
改善されたBUNセンサを用いたカートリッジ分析
好ましい実施形態では、センサを含む完成チップはその後、組み立てられて試験カートリッジとされ、血液中のBUN測定を実施するために使用される。本発明のカートリッジの1つの実施形態を図10〜13に示す。
【0119】
カートリッジは好ましくは読み取り装置に挿入されるように適合され、したがって、この目的のために複数の機械的および電気的接続を有する。カートリッジの手動操作も可能であることも明らかなはずである。このように、カートリッジを読み取り装置に挿入した後、読み取り装置は、空洞42内に配置された約130μLの検量流体で充填した流体含有ホイルパック上に圧力を伝達させ、パッケージをスパイク38上で破裂させ、流体を導管39中に排出させ、導管39は、ベース内の短い横断導管を介してセンサ導管16に接続されている。検量流体がセンサを接触すると、センサは濡れ、流体中の較正イオンまたは分子の量と関連する電気信号を確立する。
【0120】
図12を参照すると、薄膜ガスケット21は様々な穴およびスリットを備え、それらの穴及びスリットは、ベースおよびカバー内の導管間での流体の移動を促進し、ガスケットが加圧下で必要に応じて変形することを可能にする。穴30および33は、切込み部35または37のいずれか内に収容されている1つ以上の尿素センサおよび1つ以上の参照電極を導管16内の流体と接触させる。図13を参照すると、導管34は試料入口ポート4を組立カートリッジ内の第1の導管16に接続する試料保持チャンバである。切込み部35および37は必要に応じて、空気−液体境界の位置を決定するための電気伝導度センサを収容する。凹み42は、流体含有パッケージ、例えば、破裂可能なパウチを組立カートリッジ内で収容し、これは、読み取り装置に挿入されるとパドル7上に働く圧力のためにスパイク38により穴が開けられる。穴が開けられたパッケージからの流体は39の第2の導管に流れ込み、その後、導管16に流れ込む。空気袋は、上面がガスケット21により封止される凹み43から構成される。空気袋がポンプ手段の1つの実施形態であり、パドル6に適用される圧力により作動され、これにより導管40内の空気が移動し、これにより試料が試料チャンバ34から導管16に移動する。
【0121】
好ましい実施形態では、BUNセンサは米国特許第5,096,669号において開示されている型のカートリッジ内にパッケージされ、これもまた検量溶液を含む。これは検量体パッケージ(cal−パック)に含まれ、血液試料分析中に破裂させられる。典型的な事象順序は、cal−パックが破裂させられ、その後、較正溶液がセンサ上を通過し、センサを濡らす。典型的には、先行技術カートリッジのcal−パックは、以下のイオン、すなわちナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、重炭酸イオンを含み、およびHEPES緩衝剤、グルコース、ラクテート、尿素、クレアチンおよびクレアチニンもまた含んだ。研究目的のための診断試験として、尿素をアンモニアと置き換えた。これにより、ウレアーゼを含む酵素固定化層とは独立して、アンモニウムイオノフォア性能の研究が可能になる。新規BUNセンサのためのcal−パックの好ましい構成は、好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、尿素、HEPES緩衝剤、グルコース、ラクテート、クレアチンおよびクレアチニンを含む。
【0122】
尿素のための電位差化学センサは、機能的に似ていない構成要素から構成されるシステムと考えることができる。血中尿素窒素(BUN)センサの1つの実施形態では、最外層は分析物溶液と接触するものであり、尿素の輸送を可能にする一方、活性酵素分子を固定するようにも機能する。これらの酵素は上記のように尿素のアンモニアへの加水分解を触媒する。中性pH値では、このように生成されたアンモニアは主にアンモニウムイオンとして存在する。酵素含有層と銀−塩化銀指示電極との間に、アンモニウムイオンに対して高い感度および選択性を有するイオノフォアを含む別の層状構造を間に入れることにより、電極界面でのアンモニウムイオン濃度を測定することができる。この型の測定では、指示電極と参照電極との間の電位差が記録される。これは、電気化学測定技術分野において周知のように、2つの電極と接続する機器(またはアナライザ)内の電位差回路により実施される。測定の分析値は、電位差の大きさはNicolsky式により分析物、この場合、尿素の濃度に関連づけられるという事実から誘導される:
【数1】


ここで、式中、Eは測定した起電力(信号)であり、Rはガス則定数であり、Tは絶対温度であり、nは分析物種a上の電荷の絶対値であり(例えば、アンモニウムイオンに対してはn=1)、Fはファラデー定数であり、Aは分析物種aの活性であり、Bは干渉化学種bの活性であり、k(a,b)は分析物種aの活性の電気化学電位差定量に対する化学種bの存在の効果と関連する干渉係数であり、EはT、A、またはBとは独立した定数である。Amman,D.,Ion−Selective Microelectrodes,Springer,Berlin(1986)p.68および本明細書で引用した参考文献を参照されたい。これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0123】
図4、5および15〜18で示したデータはこれらの原理を使用して記録および/または解析された。これらのデータは市販のBUN試験システムを用いて比較のために示したものである。新規センサの性能は確立されている技術よりも優れている。
【実施例】
【0124】
実施例1
アプロチニンの溶液を、アプロチニン0.01gを脱イオン水50mLに溶解し、0.002%の濃度の原液を生成させることにより調製する。酵素緩衝溶液を、グリセロール4.32g、脱イオン水130g、pH7.6の1M TRIS 130g、pH8.0の0.5M EDTA 2.6g、上記0.02%アプロチニン原液13g、1,4−ジチオエリトリトール0.2g、塩化ナトリウム2.7g、塩化カリウム0.097g、アジ化ナトリウム0.05g、スクロース92.8g、およびBSA29gを添加することにより調製する。混合物を完全に溶解するまでボルテックスする。アクリル樹脂成分を含む溶液をその後、アクリルアミド72.2g、脱イオン水150g、1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン29.4gおよび活性炭2.5gを含有させて、調製する。このアクリル樹脂溶液を溶解するまで混合し、0.2μmフィルタを用いて濾過し清浄な容器に入れる。この溶液に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン17.8gを添加し、混合し、アルミ箔で包んだ容器中で溶液が光に過剰曝露されないようにする。最後に、ウレアーゼ40gを、約333gの上記濾過溶液に添加し、混合する。約44gの脱イオン水を添加し、最後に、アクリル樹脂溶液(上記のように調製)184gを添加する。材料をアルミ箔で被覆したままとし、溶解するまで混合する。長期貯蔵のために、この溶液を1mlの部分にアリコートし、−60℃で凍結させる。
【0125】
実施例2
ウレアーゼ酵素固定化層の別の実施形態は、酵素炭酸脱水酵素を含んだ。混合順序は下記の通りである。アプロチニンの溶液を、アプロチニン0.01gを脱イオン水50mLに溶解し、0.002%の濃度の原液を生成させることにより調製する。酵素緩衝溶液を、グリセロール4.32g、脱イオン水130g、pH7.6の1M TRIS 130g、pH8.0の0.5M EDTA 2.6g、上記0.02%アプロチニン原液13g、1,4−ジチオエリトリトール0.2g、塩化ナトリウム2.7g、塩化カリウム0.097g、アジ化ナトリウム0.05g、スクロース92.8g、およびBSA29gを添加することにより調製し、内容物が完全に溶解されるまでボルテックスする。アクリル樹脂成分を含む溶液を次いで、アクリルアミド72.2g、脱イオン水150g、1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジン29.4gおよび活性炭2.5gを含有させて、調製する。このアクリル樹脂溶液を溶解するまで混合し、0.2μmフィルタを用いて濾過し清浄な容器に入れる。この溶液に、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン17.8gを添加し、混合し、アルミ箔を用いて溶液が光に過剰曝露されないようにする。最後に、ウレアーゼ40gおよび炭酸脱水酵素14mgを、約333gの上記濾過酵素溶液に添加し、混合する。約44gの脱イオン水を添加し、最後に、上記で調製したアクリル樹脂溶液184gを添加する。材料をアルミ箔で被覆したままとし、溶解するまで混合する。この溶液を1mlの部分にアリコートし、−60℃で凍結させる。
【0126】
任意の開示した実施に関して記載または主張した任意の特徴は、任意の他の開示した1つ以上の実施に関して記載または主張した任意の1つ以上の他の特徴と、特徴が必ずしも技術的に不適合ではない程度まで、任意の組みあわせで組み合わせることができ、そのような組み合わせは全て本発明の範囲内にある。さらに、下記添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内にある特徴のいくつかの非制限的な組み合わせを説明するが、任意の可能な組み合わせの、特許請求の範囲の任意の2つまたはそれ以上の対象の可能な組み合わせは全て、その組み合わせが必ずしも技術的に不適合でなければ、本発明の範囲にあるものとして企図されている。
【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図3C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の酵素と、湿潤剤と、アクリル系モノマと、水溶性有機光開始剤と、水溶性アクリル系架橋剤とを実質的に均質な水性混合物中で含む酵素固定化組成物。
【請求項2】
前記1つ以上の酵素がウレアーゼである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記1つ以上の酵素が、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、カタラーゼ、炭酸脱水酵素、NAD(P)Hオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、チアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ピリドキサールオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクレートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記有機光開始剤が、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリドおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋剤が、1,4−ビスアクリロイルピペラジン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−アクリルアミド、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、(+)−N,N’−ジアリル酒石酸アミドおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
pH緩衝剤、アクリル系架橋分子、ジスルフィド結合還元剤、二価イオンキレート剤、プロテアーゼ阻害剤、ウシ血清アルブミン、塩、糖および殺生物剤からなる群より選択される、1つ以上の安定化成分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ナトリウムバルビタール、HEPES、PIPES、MES、MOPS、トリシン、BIS−TRIS、ホスフェート、ホスフェート−生理食塩水、SSC、SSPE、TAPS、TAE、TBEおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるpH緩衝剤をさらに含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
TRIS緩衝剤、ジチオトレイトール、エチレンジアミン四酢酸、スクロース、アプロチニン、ウシ血清アルブミン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、アジ化ナトリウムおよびグリセロールからなる群より選択される、1つ以上の安定化成分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
2−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンHCl、ジチオトレイトールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるジスルフィド結合還元剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
エチレンジアミン四酢酸、クエン酸ナトリウム、エチレングリコール四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される二価イオンキレート剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
アプロチニン、ニワトリ卵白シスタチン、アンチパイン、シスタルニン二塩酸塩、キモスタチン、3,4−ジクロロイソクマリン、E−64、エブセレン、Gly−Gly−Tyr−Arg合成ペプチド、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−α−トシル−L−リシンクロロメチルケトン塩酸塩、N−αパラトシル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン塩酸塩、ペプスタチンA、ペシノストレプチン、ε−アミノ−n−カプロン酸、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩、アンチトロンビンIII、ブデリン、補体C1エステラーゼ阻害剤、3,4−ジクロロイソクマリン、ジイソプロピルフルオロホスファージ、エラスタチナール、メシル酸ガベキサート、ロイペプチン、α2−マクログロブリン、N−アセチル−glu−ser−met−asp−al、N−アセチル−ile−gly−thr−asp−al、ジイソプロピルフルオロホスフェート、Na−T−Boc−デアセチルロイペプチン、アセチル−ペプスタチン、ヒスタチン5、Cbz−Leu−Leu−Phe−al、Cbz−Leu−Leu−Leu−B(OH)、ラクタシスチン、クラスト−ラクタシスチンβ−ラクトン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ペプスタチンA、D−His−Pro−Phe−His−Leu−psi−(CH2NH)−Leu−Val−Thr、ジエチレントリアミン五酢酸、1,10−フェナントロリンモノヒドラーゼ、ホスホラミドン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、N−アセチル−エグリンC、メシル酸ガベキサート、ヒルジン、Nα−(2−ナフタレンスルホニルグリシル)−4−アミジノDL−フェニルアラニンピペリジド、D−Val−Leu−Lys−クロロメチルケトン、パラアミノベンズアミジン二塩酸塩、エコチン、トリプシン阻害剤、トリプシン−キモトリプシン阻害剤、Glu−Gly−Arg−クロロメチルケトンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるプロテアーゼ阻害剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
アジ化ナトリウム、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、チメロサール、ヒポクロリットおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される殺生物剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
グリセロール、プロピレングリコール、三酢酸グリセリル、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース、キラヤ、乳酸、塩化リチウム、1,2−プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される湿潤剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される塩をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
凍結形態で安定である、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
実質的に平らな表面にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された固定化酵素層を前記表面上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
実質的に平らな表面にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記表面上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
電極上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記電極上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
イオン選択性電極上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記電極上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
電流測定電極上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記電極上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
電気伝導度測定電極上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記電極上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
センサ上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された非膨潤固定化酵素層を前記センサ上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
光センサ、光ファイバセンサ、表面弾性波センサ、エバネセントセンサ、表面プラズモン共鳴センサおよび光導波路センサからなる群より選択されるセンサ上にマイクロ塗布させ、UV放射に曝露し、架橋を引き起こし、接着された固定化酵素層を前記センサ上に形成させることができる、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、塗装および接触印刷からなる群より選択される手段により表面に適用し、UV放射に曝露させ、架橋を引き起こし、前記表面上で接着された固定化酵素層を形成させることができる、請求項1記載の組成物。

【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−508221(P2011−508221A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539884(P2010−539884)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/087730
【国際公開番号】WO2009/082699
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】