説明

感知器

【課題】電池を電源として環境の物理量を検出する感知器において、電池の環境温度が変化しても電池の特性変化に関わらず、きめ細かく正確に電池切れを判断して電池をより長く使用することができる感知器を提供する。
【解決手段】電池3の電圧値に基づいて電池切れか否かを判定する制御部8と、温度Tを検出する感温部6とを備え、制御部8は、感温部6にて検出する温度Tによって電圧しきい値Vを設定して、この設定された電圧しきい値Vと、電池3の電圧値VBとの比較によって電池切れか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの環境において、煙、熱、ガスなどの環境の物理量が所定レベル以上になったことを感知する感知器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅などの環境において、環境の物理量が所定レベル以上になったことを感知する感知器は、煙、熱、ガスなどの環境における物理量を検出する検出部を備えている。
【0003】
従来、このような感知器として、電源と感知器本体との間の配線を省略して感知器の設置を簡略化するために、電池を内臓するように構成されたものが知られている。
【0004】
しかしながら、このような電池を内臓するように構成された従来の感知器では、例えば、電池寿命が末期の状態で、大音量で報知音を出力すると電池の電圧降下により、リセットがかかるなど感知器が正常に作動しなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、電池の電圧値と予め設定した電圧しきい値との比較によって電池切れか否かを判定する構成を備えた感知器が種々開発されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、電池駆動で警報出力する電池式警報器であって、少なくとも警報解除直後に電池が電圧不足状態であるか否かを検出する電圧不足状態検出手段を有する電池式警報器が開示され提案されている。
【特許文献1】特開2008−65621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された電池式警報器においては、リチウム(Li)電池などの電池が用いられるような場合、低温になると電池の内部抵抗が増加して電圧値が低下してしまい、電池がまだ使用可能な状態であるにも関わらず、早めに電池切れと判定されてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池の温度が変化しても電池の特性変化に関わらず、きめ細かく正確に電池切れを判断して電池をより長く使用することができる感知器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するために、請求項1に記載の感知器は、電池を電源として環境の物理量を検出する感知器において、上記電池の電圧値に基づいて電池切れか否かを判定する制御部と、温度を検出する感温部とを備え、上記制御部は、上記感温部にて検出する温度によって電圧しきい値を設定して、この設定された電圧しきい値と、上記電池の電圧値との比較によって電池切れか否かを判定することを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の感知器は、請求項1記載の感知器において、上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、上記電圧しきい値を増加させることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の感知器は、請求項1記載の感知器において、上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記電圧しきい値を一定にする一方、上記感温部にて検出する温度が上記所定の温度以下になった場合に、上記感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、上記電圧しきい値を直線的に漸次増加させることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載の感知器は、請求項1記載の感知器において、上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記電圧しきい値を第1の所定の値にする一方、上記感温部にて検出する温度が上記所定の温度以下になった場合に、上記電圧しきい値を第1の所定の値よりも高い第2の所定の値に上昇させることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の感知器は、請求項1に記載の感知器において、上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以下になった場合に、上記電圧しきい値を一定にする一方、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記感温部にて検出する温度が上昇するのに応じて、上記電圧しきい値を直線的に漸次低下させることを特徴としている。
【0014】
また、請求項6に記載の感知器は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の感知器において、上記制御部は、電池の電圧値が電圧しきい値を下回った後、所定の比較時間ごとに複数回、電池の電圧と電圧しきい値の比較を行い、いずれも電圧しきい値より電池の電圧値が低い場合に、電池切れと判定することを特徴としている。
【0015】
また、請求項7に記載の感知器は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の感知器において、上記制御部が電池切れを判定したときに、電池切れを報知する報知部を備え、上記制御部は、電池切れの判定から所定の遅れ時間経過後に上記報知部に電池切れを報知させることを特徴としている。
【0016】
また、請求項8に記載の感知器は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の感知器において、上記制御部が電池切れを判定したときに、電池切れを報知する報知部を備え、上記制御部は、電池切れの判定の後、電池切れ判定時に感温部が検出した温度よりもある一定量温度が上昇した際に上記報知部に電池切れを報知させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
Li電池などの電池は、低温になると内部抵抗が増加するなど、電池の特性が温度によって変化する。請求項1に記載の感知器によれば、温度に対応して電池切れ判断の電圧しきい値を設定するので、電池の温度が変化しても電池の特性変化に関わらず、きめ細かく正確に電池切れを判断して電池をより長く使用することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の感知器によれば、感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、電圧しきい値を増加させて早めに電池切れ警報を出力させるので、電子部品の動作電圧範囲を下回ることなく正常に報知が可能となる。
【0019】
また、請求項3に記載の感知器によれば、低温時に電圧しきい値を上げて早めに電池切れ警報を出力させるので、電子部品の動作電圧範囲を下回ることなく正常に報知が可能となるが、特に、電圧しきい値を直線的に増加させるというように、制御を単純化することにより、例えばディジタル処理が可能となるなど、部品点数の削減が可能となる。
【0020】
請求項4に記載の感知器によれば、感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、電圧しきい値を第1の所定の値にする一方、感温部にて検出する温度がこの所定の温度以下になった場合に、電圧しきい値を第1の所定の値よりも高い第2の所定の値に上昇させるというように、ステップ状に制御を単純化するので、部品点数の削減が可能となる。
【0021】
特に制御部の外部に感温部がある場合など、感温部にて検出する温度と、電池の温度との間に誤差があると考えられる場合は、電圧しきい値をきめ細かく変更する必要がないので、このように単純化することが部品点数の削減に有効である。
【0022】
また、Li電池などの電池は高温になると内部抵抗が減少し、報知出力時の電源電圧の低下が小さくなる。したがって、高温の場合、電子部品の動作電圧範囲を下回って正常に感知ができなくなるという現象が発生しにくい。
【0023】
請求項5に記載の感知器によれば、高温時には電圧しきい値を下げるので、同じ電池寿命であっても、電圧低下による電池切れ警報を出力するまでの時間を長くして、より長く電池を使用することが可能となる。
【0024】
また、温度によって電圧しきい値を変化させと急激な温度変化によって誤って電池切れと判断し電池切れ警報を出力する場合が発生しうるが、請求項6に記載の感知器によれば、所定の時間ごとに複数回、電池の電圧と電圧しきい値の比較を行うので、一過性の温度変化で電圧しきい値が一時的に変化しても、電池切れ警報を誤って出力することがない。
【0025】
さらに、1日のサイクルで部屋温度が低いのは深夜から早朝となるが、この部屋温度が低い深夜から早朝にかけて、低温のために電池の電圧が低下して電池切れを検出しやすくなることがある。よって、請求項7に記載の感知器によれば、深夜から早朝の間に電池切れを判定した後、所定の遅れ時間が経過してから電池切れ警報が出力されるので、ユーザーが起きている時間に警報を発生させることができる。また、請求項8に記載の感知器によれば、深夜から早朝の間に電池切れが判定された後、ある一定量温度が上昇してから電池切れ警報が出力されるので、ユーザーが起きている時間に警報を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の感知器の概略の構成を示す説明図であり、(a)は、第1の実施形態の感知器の概略断面図を、(b)は、感知器の概略の回路図を示している。また、図2は、第1の実施形態の感知器における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【0027】
図1を参照して、本発明の第1の実施形態の感知器1は、住宅などの環境において、環境の物理量としての煙の濃度が所定レベル以上になったことを検出して警報を発生させる感知器1である。
【0028】
感知器1は、電池を電源とするものであって、感知器本体2の中に、駆動源である電池3と、環境の物理量として煙の濃度を検出する検出部4と、警報を発する報知部5と、温度を検出する感温部6と、制御のためのプリント基板7とを備え、検出部4により煙の濃度が所定レベル以上になったことを検出し、報知部5から警報を出力するように構成されている。
【0029】
ここで、感知器本体2は、各構成部品を収納する容器であり、プラスチックなどにより平面視において略円筒状に形成されている。この感知器本体2は、不図示の天井等の構造物に取り付けられる。
【0030】
電池3は、本実施形態においては、Li電池が採用されている。
【0031】
検出部4は、環境異常として煙を検出するセンサであり、詳しくは図示しないが、発光素子と受光素子とを有している。そして、所定周期で発光素子を駆動して、その発光を煙感知室内に流入して来た煙粒子に当て、煙粒子からの散乱光を受光素子で受光して電気信号に変換させて、煙濃度を検出している。
【0032】
報知部5は、検出部4で検出した煙濃度が所定レベル以上になったときに音により感知を発生させるための通常の警報器仕様のスピーカーで構成されている。
【0033】
感温部6は、温度を検出するために感知器1の内部に設けられた温度測定装置であり、本実施形態においては、産業用に広く用いられている工業用の抵抗式サーミスタセンサが採用されている。この感温部6は、本実施形態においては、プリント基板7から独立して設けられ、プリント基板7に配線されている。
【0034】
プリント基板7は、警報器1の制御を行う制御部8と、音声信号を生成する音声IC9と、この音声IC9で生成された音声信号を増幅するアンプ10とを実装している。
【0035】
ここで、制御部8は、ICなどで構成される電子部品で構成され、駆動源である電池3から電力が供給される。
【0036】
そして制御部8は、検出部4からの信号に基づいて環境異常を検知するとともに、音声IC9で音声信号を生成させ、この音声IC9で生成された音声信号をアンプ10で増幅して報知部5から警報音や音声メッセージを発生させる構成になっている。この報知部5からの警報音や音声メッセージは、一旦、発せられた後は、不図示の停止ボタンが押されるまで発せられる。
【0037】
制御部8はまた、感知器1の機器異常として、駆動源7である電池3の電圧値VBを検出するように構成されており、この電池3の電圧値VBに基づいて電池切れか否かを判定する。
【0038】
ここで、本実施形態で採用されているLi電池は、低温になると内部抵抗が増加するなど、電池3の特性が温度によって変化する。
【0039】
そこで、制御部8は、図2に示すように、感温部6にて検出する温度T1によって電圧しきい値V1を設定して、この設定された電圧しきい値V1と、電池3の電圧値VBとの比較によって電池切れか否かを判定して、音声IC9に電池切れを警告する音声信号を生成させるようにしている。ここで、図2のグラフは、電圧しきい値Vが、電池3の温度特性に対応するように感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、上記電圧しきい値を増加させるような曲線になっている。
【0040】
このように、Li電池からなる電池3は、低温になると内部抵抗が増加するなど、電池3の特性が温度Tによって変化するが、第1の実施形態によれば、温度Tに対応して電池切れ判断の電圧しきい値Vを設定するので、電池3の温度Tが変化しても電池3の特性変化に関わらず、きめ細かく正確に電池切れを判断して電池3をより長く使用することができる。
【0041】
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る感知器21について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態の感知器21における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。なお以下の第2〜第7の実施形態に係る感知器21〜71においては、感知器21〜71の構成は、第1の実施形態に係る感知器1と同様に、図1(a)、(b)の構成が適用され、制御部8において、それぞれ温度Tと電圧しきい値Vの関係が異なったものになる。以下の説明では、本発明の第1の実施の形態に係る感知器1と同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0042】
第2の実施形態に係る感知器21においては、制御部8は、図3のグラフに示すように、感温部6にて検出する温度Tが、所定の温度T2以上になった場合に、電圧しきい値Vを一定にするように構成されている。また、一方、感温部6にて検出する温度Tが所定の温度T2以下になった場合には、感温部6にて検出する温度Tが低下するのに応じて、電圧しきい値Vを直線的に漸次増加させるように構成されている。
【0043】
Li電池などの電池3は低温になると内部抵抗が増加し、報知出力時の電源電圧の低下が大きくなり、低温のために電池3の電圧が低下して電子部品の動作電圧範囲を下回ると火災警報などの報知が正常に出力できないなどの不具合が発生する。
【0044】
第2の実施形態によれば、低温時には電圧しきい値Vを上げて早めに電池切れ警報を出力させるので、電子部品の動作電圧範囲を下回ることなく正常に報知が可能となる。
【0045】
特に、電圧しきい値Vを直線的に増加させるというように、制御を単純化することにより、構成部品の低コスト化、部品点数の削減が可能となる。
【0046】
なお、所定の温度T2は、一般的におおよそ常温に設定されることが多いが、設置場所の温度条件と電池の温度特性とに応じて、常温以下に設定されたり、常温以上に設定されるなど、種々の設計変更が可能である。
【0047】
また、図4は、本発明の第3の実施形態の感知器31における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【0048】
第3の実施形態に係る感知器31においては、制御部8は、図4のグラフに示すように、感温部6にて検出する温度Tが、所定の温度T3以上になった場合に、電圧しきい値Vを第1の所定の値にする一方、感温部6にて検出する温度Tが所定の温度T3以下になった場合に、電圧しきい値Vを第1の所定の値よりも高い第2の所定の値に上昇させる。
【0049】
このように、第3の実施形態によれば、感温部6にて検出する温度Tが所定の温度T3以上になった場合に、電圧しきい値Vを第1の所定の値にする一方、感温部6にて検出する温度Tがこの所定の温度T3以下になった場合に、電圧しきい値Vを第1の所定の値よりも高い第2の所定の値に上昇させるというように、ステップ状に制御を単純化するので、構成部品の低コスト化、部品点数の削減が可能となる。
【0050】
特に制御部8の外部に感温部6がある場合など、感温部6にて検出する温度Tと、電池3の温度との間に誤差があると考えられる場合は、電圧しきい値Vをきめ細かく変更する必要がないので、このように単純化することが構成部品の低コスト化、部品点数の削減に有効である。
【0051】
なお、所定の温度T3は、一般的におおよそ常温に設定されることが多いが、第3の実施形態の感知器31と同様に、設置場所の温度条件と電池の温度特性とに応じて、常温以下に設定されたり、常温以上に設定されるなど、種々の設計変更が可能である。
【0052】
また、所定の温度T3は、一点だけでなく、複数設けることにより、温度Tと電圧しきい値Vの関係を階段状にすることも可能である。この場合は、よりきめ細かい制御が可能となる。
【0053】
また、図5は、本発明の第4の実施形態の感知器41における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【0054】
第4の実施形態に係る感知器41においては、制御部8は、図4のグラフに示すように、感温部6にて検出する温度Tが、おおよそ常温に設定された所定の温度T4以下になった場合に、電圧しきい値Vを一定にする。一方、感温部6にて検出する温度Tが所定の温度T4以上になった場合に、感温部6にて検出する温度Tが上昇するのに応じて、電圧しきい値Vを直線的に漸次低下させる。
【0055】
Li電池などの電池3は高温になると内部抵抗が減少し、報知出力時の電源電圧の低下が小さくなる。したがって、高温の場合、電子部品の動作電圧範囲を下回って正常に報知が出力できなくなるという現象が発生しにくい。
【0056】
第4の実施形態によれば、高温時には電圧しきい値Vを下げるので、同じ電池寿命であっても、電圧低下による電池切れ警報を出力するまでの時間を長くして、より長く電池3を使用することが可能となる。
【0057】
次に、図6と図7とを参照して、本発明の第5の実施形態に係る感知器51について説明する。図6と図7とは、本発明の第5の実施形態の感知器51による電池3の電圧値VBと電圧しきい値Vの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフであり、図6は、電池切れと判定される場合を、図7は、電池切れと判定されない場合を、それぞれ示している。
【0058】
図6に示すように、第5の実施形態に係る感知器51においては、制御部8は、電池3の電圧値VBが電圧しきい値Vを下回った比較時刻HAの後、所定の比較時間H1ごとに複数回、すなわち本実施形態では3回、比較時刻HB、HC、HDに、電池3の電圧値VBと電圧しきい値Vの比較を行い、いずれも電圧しきい値Vより電池3の電圧値VBが低い場合に、電池切れと判定し電池切れ警報を出力するように構成されている。すなわち、図6では、比較時刻HB、HC、HDのいずれの時刻においても電池3の電圧値VBが電圧しきい値Vを下回っているので電池切れと判定される。
【0059】
一方、図7においては、時刻HB、HC、HDにおいて電池3の電圧値VBが電圧しきい値Vを上回っているので電池切れと判定されない。
【0060】
温度Tによって電圧しきい値Vを変化させる場合、急激な温度変化によって誤って電池切れと判断し電池切れ警報を出力する場合が発生しうるが、第5の実施形態によれば、所定の時間H1ごとに複数回、電池3の電圧VBと電圧しきい値Vの比較を行うので、一過性の温度変化で一時的に電圧しきい値Vが変化しても、電池切れ警報を誤って出力することがないという利点がある。
【0061】
次に、図8を参照して、本発明の第6の実施形態に係る感知器61について説明する。図8は、本発明の第6の実施形態の感知器61による電池3の電圧VBと電圧しきい値Vと温度Tとの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフである。
【0062】
第6の実施形態に係る感知器61においては、制御部8は、電池3の電圧値VBが電圧しきい値Vを下回った後、所定の比較時間H1ごとに複数回、電池3の電圧値VBと電圧しきい値Vの比較を行い、いずれも電圧しきい値Vより電池3の電圧値が低い場合に、電池切れと判定し、この電池切れの判定の時刻HEから所定の遅れ時間H2経過後、例えば数時間経過後の時刻HFに、電池切れ警報を出力するように構成されている。
【0063】
1日のサイクルで部屋温度Tが低いのは例えば冬場の深夜から早朝にかけてであるが、この部屋温度Tが低い深夜から早朝の間には、低温のために電池3の電圧が低下して電池切れを検出しやすくなる。第6の実施形態によれば、深夜から早朝の間に電池切れを判定した後、所定の遅れ時間H2が経過してから電池切れ警報を出力するので、ユーザーが起きている時間に警報を発生させることができる。
【0064】
なお、時刻HEにおける電池切れの判定に際しては、この時、温度Tが低い場合には、電池切れと判定しないようにするなど、電池切れの判定の条件に温度Tの条件を加味するようにすれば、より正確な判定が可能になる。
【0065】
また、図9は、本発明の第7の実施形態の感知器71における電池3の電圧VBと電圧しきい値Vと温度Tとの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフである。
【0066】
第7の実施形態に係る感知器71においては、制御部8は、電池3の電圧値VBが電圧しきい値Vを下回った後、所定の比較時間H1ごとに複数回、電池3の電圧値VBと電圧しきい値Vの比較を行い、いずれも電圧しきい値Vより電池3の電圧値が低い場合に、電池切れと判定し、この電池切れの判定の時刻HEの後、電池切れ判定時に感温部6が検出した温度T5よりもある一定量温度dTが上昇した時刻HGに電池切れ警報を出力する。
【0067】
1日のサイクルで部屋温度Tが低いのは、例えば冬場の深夜から早朝にかけてであるが、この部屋温度Tが低い深夜から早朝の間には、低温のために電池3の電圧が低下して電池切れを検出しやすくなる。第7の実施形態によれば、深夜から早朝の間に電池切れが判定された時刻HEの後、ある一定量温度dTが上昇してから電池切れ警報が出力されるので、ユーザーが起きている時間に警報を発生させることができる。
【0068】
なお、時刻HEにおける電池切れの判定に際しては、この時、温度Tが低い場合には、電池切れと判定しないようにするなど、電池切れの判定の条件に温度Tの条件を加味するようにすれば、より正確な判定が可能になる。
【0069】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0070】
例えば、感知器1〜71は、環境異常として煙を検出して警報を発するものに限定されない。電池駆動式のものであれば、住戸環境における煙、熱、ガス、人の侵入などを検出する感知器にも適用可能である。
【0071】
また、警報器本体2の形状、材質も必ずしも図示の形状、材質に限定されず、種々の設計変更が可能である。
【0072】
また、電池3は、Li電池に限定されず、種々の電池3が採用可能である。
【0073】
また、検出部4の構成も煙粒子からの散乱光を受光素子で受光して電気信号に変換させるものに限らず、種々の設計変更が可能である。
【0074】
さらに、報知部5も、本実施形態のように音声で警報を発生させるものに限らず、光で警報を表示するものでもよいなど、種々の設計変更が可能である。また、報知部5は、必ずしも必要ではなく、制御部8が警報信号を外部の警報装置に送信するように構成することも可能である。
【0075】
また、感温部6も、必ずしも抵抗式サーミスタセンサである必要はなく、種々のセンサが採用可能である。
【0076】
また、制御部8の制御は、第1〜第7の実施形態に係る制御単独の制御に限定されず、これらの組み合わせも当然に採用可能であるなど種々の設計変更が可能である。
【0077】
さらに、感温部6は、必ずしもプリント基板7から独立して設けられる必要はなく、例えば、制御部8内に設けられてもよいし、プリント基板7上に設けられてもよい。図10は、感温部6が制御部8内に設けられるように構成された第1の変形例を示す側面図であり、(a)は、第1の変形例の感知器1の概略断面図を、(b)は、感知器1の概略の回路図を示している。また、図11は、感温部6がプリント基板上に設けられるように構成された第2の変形例を示す概略断面図であり、(a)は、第2の変形例の感知器1の側面図を、(b)は、感知器1の概略の回路図を示している。
【0078】
図10に示すように、第1の変形例にかかる感知器81においては、感温部6は、制御部8内に設けられている。
【0079】
また、図11に示すように、第2の変形例にかかる感知器91においては、感温部6は、プリント基板7上に設けられている。
【0080】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態の感知器の概略の構成を示す説明図であり、(a)は、第1の実施形態の感知器の概略断面図を、(b)は、感知器の概略の回路図を示している。
【図2】第1の実施形態の感知器における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【図3】第2の実施形態の感知器における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【図4】第3の実施形態の感知器における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【図5】第4の実施形態の感知器における温度Tと電圧しきい値Vの関係を示すグラフである。
【図6】第5の実施形態の感知器による電池の電圧値VBと電圧しきい値Vの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフであり、電池切れと判定される場合を示している。
【図7】第5の実施形態の感知器による電池の電圧値VBと電圧しきい値Vの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフであり、電池切れと判定されない場合を示している。
【図8】第6の実施形態の感知器による電池の電圧VBと電圧しきい値Vと温度Tとの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフである。
【図9】第7の実施形態の感知器による電池の電圧VBと電圧しきい値Vと温度Tとの時間的変化(時刻Hにおける値)を示すグラフである。
【図10】感温部が制御部内に設けられるように構成された第1の変形例を示す側面図であり、(a)は、第1の変形例の感知器の概略断面図を、(b)は、感知器の概略の回路図を示している。
【図11】感温部がプリント基板上に設けられるように構成された第2の変形例を示す側面図であり、(a)は、第1の変形例の感知器の概略断面図を、(b)は、感知器の概略の回路図を示している。
【符号の説明】
【0082】
1 感知器
3 電池
6 感温部
8 制御部
H1 比較時間
H2 遅れ時間
T 温度
V 電圧しきい値
VB 電池の電圧値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として環境の物理量を検出する感知器において、
上記電池の電圧値に基づいて電池切れか否かを判定する制御部と、
温度を検出する感温部とを備え、
上記制御部は、上記感温部にて検出する温度によって電圧しきい値を設定して、この設定された電圧しきい値と、上記電池の電圧値との比較によって電池切れか否かを判定することを特徴とする感知器。
【請求項2】
請求項1に記載の感知器において、
上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、上記電圧しきい値を増加させることを特徴とする感知器。
【請求項3】
請求項1に記載の感知器において、
上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記電圧しきい値を一定にする一方、上記感温部にて検出する温度が上記所定の温度以下になった場合に、上記感温部にて検出する温度が低下するのに応じて、上記電圧しきい値を直線的に漸次増加させることを特徴とする感知器。
【請求項4】
請求項1に記載の感知器において、
上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記電圧しきい値を第1の所定の値にする一方、上記感温部にて検出する温度が上記所定の温度以下になった場合に、上記電圧しきい値を第1の所定の値よりも高い第2の所定の値に上昇させることを特徴とする感知器。
【請求項5】
請求項1に記載の感知器において、
上記制御部は、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以下になった場合に、上記電圧しきい値を一定にする一方、上記感温部にて検出する温度が所定の温度以上になった場合に、上記感温部にて検出する温度が上昇するのに応じて、上記電圧しきい値を直線的に漸次低下させることを特徴とする感知器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の感知器において、
上記制御部は、電池の電圧値が電圧しきい値を下回った後、所定の比較時間ごとに複数回、電池の電圧と電圧しきい値の比較を行い、いずれも電圧しきい値より電池の電圧値が低い場合に、電池切れと判定することを特徴とする感知器
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の感知器において、
上記制御部が電池切れを判定したときに、電池切れを報知する報知部を備え、
上記制御部は、電池切れの判定から所定の遅れ時間経過後に上記報知部に電池切れを報知させることを特徴とする感知器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の感知器において、
上記制御部が電池切れを判定したときに、電池切れを報知する報知部を備え、
上記制御部は、電池切れの判定の後、電池切れ判定時に感温部が検出した温度よりもある一定量温度が上昇した際に上記報知部に電池切れを報知させることを特徴とする感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−49390(P2010−49390A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211607(P2008−211607)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】