成型品の製造方法
【課題】
【解決手段】非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;前記シートから複数のプレプレグを切り出すステップと;前記プレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと(好ましくは、プレプレグは、繊維が縦方向及び/又は横方向のプレプレグを交互に繊維が交差するよう配置される);高温下で圧縮成型するステップと;圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具える成型品の製造方法である。この製造方法により成型された成型品が提供される。好ましくは、この成型品はJ型パイロン(11)とソールプレート(23)を具える義足である。
【解決手段】非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;前記シートから複数のプレプレグを切り出すステップと;前記プレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと(好ましくは、プレプレグは、繊維が縦方向及び/又は横方向のプレプレグを交互に繊維が交差するよう配置される);高温下で圧縮成型するステップと;圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具える成型品の製造方法である。この製造方法により成型された成型品が提供される。好ましくは、この成型品はJ型パイロン(11)とソールプレート(23)を具える義足である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型品の製造方法と、当該方法で製造された成型品に関する。特に、本発明は義足に関し、以下の実施例では義足の製造方法について詳細に説明するが、この例に限るものではない。
【背景技術】
【0002】
過去15年間、多くの人間が下肢切断手術を受けており、これらの人々は基本的な動作のみならず健常者と同じようにローインパクトからハイインパクトの動作ができる義足補綴を得て人生の価値を向上することを望んでいた。
【0003】
補綴の分野で多くの技術が発展し、現在では幅広い種類から義足を選択することができるようになった。例えば基本的な巡回歩行やワークタイプ動作といった通常歩行動作用の一般的なタイプの義足には、より行動的なライフスタイルを実現し、これにより人生の価値を向上しうる義足が求められていた。補綴業界において、軽量で丈夫な義足により、例えば労働や農作業等の激しい動作や、ジョギング、スカッシュ、登山、テニス等の様々な中〜上級アクティビティ、ランニングやスプリント競技、ジャンプ、バスケットボール、バレーボール等の非常にハイインパクトなスポーツも可能な義足の開発が続けられてきた。
【0004】
様々な人工器官が開発され、これらは人体の部分の機能と外観を模写している。ここで下肢の補綴には特有の問題がある。これらは人間の体重と行動レベルをサポートし、歩行時に加わる力に耐える十分な強度を要する必要がある。結果として、従来の義足のいくつかは非常に重く、固く、着用者の行動レベルや動作、娯楽やスポーツを制限するものだった。
【0005】
多くの足や脚部の補綴器具が提案されており、これらの多くは新しい合成材料技術を用いて使用時にエネルギーを蓄えて放出する。複合材料で製造された義足の例として、足を地面に降ろしたときのエネルギーを蓄え、これを開放して足が地面から離れるように持ち上げあるいは押して患者の歩行を補助する発明がAbrogast等による米国特許4,865,612に開示されており、前方に延在しキールに接続する一対の薄いバネ部材を具える義足がShorter等による米国特許5,116,383に開示されている。米国特許5,116,383は、上側の踝取り付け部への片持ちバネとして下側バネ部が後端部に連結されている1片の炭素繊維強化キールを具えるエネルギー保存型義足を開示している。このエネルギー保存型義足には、ボールとソケット型の弾性アンクルジョイントが取り付けられている。
【0006】
他の従来の下肢補綴器具はバネを有し、自然な足の感触と機能に近づけるための複合板バネ又は平らなバネ状部材を具える。このような例としてMerletteによる米国特許4,959,073及びPhillipsによる米国特許4,547,913、4,822,363、5,776,205がある。
【0007】
このような下肢義足の例がフレックスフット(Flex-Foot)として知られており、これは特に米国特許4,547,913に開示された合成支柱と脚部構成を具えている。この装置の構成要素によりバネのような動作が実現し、装着者に更なる行動性と快適性を与えている。従来の複数のバネを具える義足は、例えばPhilipsによる米国特許5,776,205のように、垂直荷重を受けると揺れて荷重をバネに分散させる。
【0008】
さらに、商業的に入手可能なフレックスフットシステムのダイナミック義足は、アンクルジョイントが固定されていない。ただし、このシステムは、義足本体中央部に固定された後側分割ヒール又はヒール部を有する。このシステムは従来の義足より機能的であるが、このシステムは構成要素やジョイントが多く、後側ヒールセグメントにおいて分割ヒールプレートからの連続エネルギーが、米国特許4,822,363J型パイロン及び/又は米国特許5,976,191の全体ソール部材の分割つま先部まで伝達されないため、ヒール接地部からトゥオフまで伝達するのに適していない。これは、装着者を好適に支持し義足の機能を高めるために、追加の支持部材を組み込むかパイロンを厚くする必要があるからである。
【0009】
従来の義足では分割ヒールバネ部材及び/又はフォーム/ラバー弾性部材が足とソール部材の間に設けられ、バネ部材とフォーム/ラバー弾性部材の両方で垂直荷重を吸収し、このため、ヒール接地部からつま先へのエネルギーの伝達が放散してしまう。
【0010】
米国特許4,822,363と4,547,913では、複合材料で構成され板バネ状の後側ヒールプレートに連結されたJ型パイロンが記載されている。米国特許4,959,073には、複合材料で構成されヒール部材と一体的に形成されたJ型パイロンが記載されている。米国特許5,037,444を参照すると、”シアトルフット”として知られる複合材料でなる義足が記載されている。これらの器具は歩行動作や行動レベルに大きな進歩をもたらし、グラファイトと他の材料の重量比により強度と剛性を向上させ、これにより投入され又は蓄えたエネルギーをほぼ完全に返すことができ、軽量で、疲労強度が高く、クリープが最小限に抑えられる。しかしながら、これらの器具には欠点もある。例えば、他の材料と比較してグラファイトは重量比に対する強度と剛性が高いため、材料のレイアップ製造法により局所的な硬化、がたつきや破損が生じ、装着者の歩行時の滑らかさと柔軟性が妨げられる。さらに、重量が実質的に軽い反面、引っ張り強度が高いためグラファイトと他の材料の重量比に対する強度の差による内部硬直性があり、また、疲労ストレス損傷が生じる箇所がある。
【0011】
例えば上述のPhillipsやMerlette特許にあるように、つま先部のバネとは別のバネによるバネ付勢式のヒールを用いた従来の義足は、ヒールにエネルギーを好適に蓄積するが、歩行時に足が前に進むにあたりエネルギーを義足のヒールからつま先部に伝達することができない。これらの装置は、つま先部には別のバネが必要となる。結果として、装着者が歩行時に明瞭かつ不自然なずれや、足を前に出すことのためらい、不自然な足の感覚を覚え、不十分なストライドとなる。
【0012】
Phillipsによる米国特許4,547,913や4,822,363にあるような従来の義足のいくつかは、すね部の縦軸にねじれ動作を可能としているが、すね部の形状はバネ強さや破壊強さ用に設計され、ねじれ動作用の設計ではない。
【0013】
米国特許4,547,913や4,822,363、4,959,073その他の従来装置は、高強度のエポキシ熱可塑性樹脂で強力グラファイト繊維を包んだ複合材料のみからなり、繊維が縦に一方向(UD)に配向されたメインコアと、繊維が横方向あるいは角度を付けて配向された外側層とを組み合わせ、ねじれ強度を向上させている。この横方向又は角度を付けて配向された材料は、織りスリーブ(woven sleeve)として形成される。この織りスリーブはメインコアのUD縦方向繊維に対し容易にスライドし、カバーする。この外側層は織りスリーブであり、このフィラメント繊維は最初から最後まで連続している。これ以外の場合、これらのフィラメントを織りスリーブに編み込むのは不可能である。通常、メインコアと織りスリーブは、多くの層又は膜を最終形状に形成された固い枠に配置し、その後硬化させて形成される。
【0014】
これにより、連続するフィラメントがそれぞれ、義足の上端部、すね部、足部の上端部を通り又は脚部の上端部から下側にくるぶし部を通り足部又はつま先部の先まで途切れずに延在する。さらに、ヒールプレート及び/又はソール部材は、前端部から踵の端部まで途切れずに延びるフィラメントを有し、したがって、構成中にフィラメントがすべて連続して途切れずに縦方向、横方向又は角度を付けて延在する。同様の製造方法が米国特許5,037,44、5,156,631、5,181,933、5,493,456、5,514,185、6,071,313に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような製造方法は以下の問題がある;
(a)上端部の強度を得るため上端部を厚く構成する必要があった。あるいは上端部の幅を広くする必要があった。
(b)層や薄片の数を増やすことが重要であり、このため、パイロンの厚さがユーザの体重や行動レベルに応じて増大していた。
(c)パイロンの幅を狭くすると強度を維持するのに層を追加する必要がある。
(d)足部の厚みをアンクル部に比べて減少させ、アンクル部の厚みをすね部に比べて減少させるべく、様々な可動エリアにおけるパイロンの厚みを逐次減少させるのが重要と考えられていた。
【0016】
層又は膜の数は部位ごとに変化する。上述の(a)、(b)、(c)、(d)の結果、上述した従来の義足の製造方法では、足のサイズや義足に求められる強度に応じて、設けられる層の数は必要に応じて増減される。例えば、義足が小さかったり体重が軽い場合は少ない層数となる。大きな義足又は体重が重い場合は、層が追加される。一般に、層の数を強度と剛性を保てる必要最小限とすると、義足が軽量で実用的となる。
【0017】
上述した従来の製造方法の説明から、従来の製造方法では、義足の厚さや幅を増大させるために層又は膜を追加する場合、複数の異なる型を用意したり型枠形状を変更したりする必要がある。すなわち、異なる体重や義足の体重カテゴリに応じて異なる内部形状の型を用いる必要があった。異なる寸法の義足を作成するには異なる厚さや幅が必要であり、そのため異なる外骨格又は内骨格フレームや、ボディタイプや切断手術を受けた人に必要な運動性の差に応じて厚さや幅の格差が生じていた。
【0018】
義足など従来の型製品の従来の製造方法について上述した問題は、本発明の出現により減少あるいは解消し、後述する方法によれば義足を含む製品の個人ユーザごとの要求は満たされ、この方法は単一の寸法形状の型枠で異なる重量又は異なる体重カテゴリの義足を含む型製品の製造が可能であり、これにより、このプロセスが費用を抑えつつより効果的となる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様では、成型品の製造方法であって:
(a) 非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;
(b) ステップ(a)で作成したシートから複数のプレプレグを切り出すステップと;
(c) ステップ(b)で得られたプレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと;
(d) 高温下で圧縮成型するステップと;
(e) 圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具えることを特徴とする方法が提供される。
【0020】
前記ステップ(a)は、後述するようにドラム巻き付け技術又はホットメルト技術を用いて達成することができるが、ドラム巻き付け技術を用いて、剥離紙上に繊維でなる中間コンポジットシートを作成し、前記剥離紙を取り外す際に、前記ドラム上に形成された中間シートをカットすることにより前記ステップ(a)のシートを得る。好ましくはシートの繊維がすべて同一又は類似の向き又は方向であり、これを一方向性(unidirectional:UD)と称す。
【0021】
あるいは、上述のステップ(a)のドラム巻き付け技術の代わりにホットメルト技術を用いて、溶融させた樹脂に含浸した繊維を、連続シートとして構成された剥離紙上に敷いてプレプレグを形成する。この溶融一方向性プレプレグは例えば75m、100m、150m、200mのロールに形成する。
【0022】
ドラム巻き付けとホットメルトUDプレプレグの違いは、これらプレプレグの縦方向長さにある。ドラム巻き付け式UDプレプレグの縦方向長さはドラムの外周により決定され(すなわち、外周が1.90mのドラムでは1.90mのUDプレプレグしか製造できない)、これに対しホットメルトUDは連続的な長さとすることができ、75m、100m、150mm、200mmのロールとすることができる。
【0023】
ステップ(b)では、プレプレグの繊維の一部、より好ましくは全部が、縦方向又は横方向又は交差方向(intersecting orientation)に配向されていることが好ましい。
【0024】
中間シートは、繊維が交差したプレプレグを得るべく15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択される、あるいは他の適切な角度にカットしてもよく、これにより最終的なシートの両側が垂直に対し所望の角度の斜度を有することとなる。その後、この最終シートは折り畳まれ、繊維が交差したプレプレグ又は積層シートとなりここから後述するようにプレプレグが切り出される。
【0025】
これらのプレプレグは、交互に縦方向及び/又は横方向に配列された繊維でなるプレプレグとしてもよく、上述のドラム巻き付け技術により形成され、四角形又は正方形の最終シートが作成される。この場合、最終シートから縦方向又は横方向に配向された繊維のプレプレグが切り出される。
【0026】
上述した中間シートのカットは、前記ドラムの外側面に形成されたカット線又は溝であって、所望の角度、例えば縦方向と横方向の繊維のプレプレグでは0°であり、繊維が交差するプレプレグでは60°又は45°の線又は溝により実現することができる。
【0027】
上述のドラム巻き付け技術とホットメルト技術の他の相違点として、ドラム巻き付け技術ではカット線又は溝がドラムに形成さているのに対し、ホットメルト技術ではプレプレグシートを物理的に所望の角度(例えば、15°、221/2°、30°、45°、60°)でカットすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の製造方法では、軽量で安価な、例えば切断手術を受けた人用のコンポジット材料でなる補綴器具などの成型品、より具体的には改良された義足を提供する。この成型方法は強度、動的耐久性、ガラス繊維の軽量化、上述した従来方法の強度/剛性、疲労強度の限界を解消するのに効果的である。
【0029】
本発明の方法は、非金属繊維とエポキシ樹脂を組み合わせ、各繊維を含浸し、これにより動的耐久性、小型化、薄型化を向上させつつ、繊維の自然な可撓性やレスポンスによりヒールの衝撃がトゥオフにスムースに伝達される。他の利点は弾性構造を有する基質により衝撃が分散され、ヒール接地の際の負荷が分散する。
【0030】
好適には、本発明の装置はエポキシ樹脂で強化したカーボン及び/又はガラス繊維の薄板で構成されるが、例えばアラミド繊維等の別の非金属繊維や近年開発された人工繊維を用いてもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、成型品であって、当該成型品が熱硬化性エポキシ樹脂に含浸した非金属繊維でなる複数の層を具えるコンポジット材料で形成されており、当該成型品の少なくとも一部が、少なくとも一部が交差するよう配列された繊維で形成されていることを特徴とする成型品に関する。
【0032】
好ましくは、前記成型品はJ型パイロンである。
【0033】
好ましくは、パイロンの少なくとも外側が、当該パイロンの側面の寸法又は厚みに関し、縦方向及び横方向に繊維が交差するよう層を交互に重ねて形成されている。
【0034】
この成型品は、J型パイロンとソールプレートを組み合わせてなる義足であり、前記ソールプレートは前側のつま先部と、後側のヒール部を具える。このソールプレートはJ型パイロンと同じコンポジット材料で形成される。この成型品はそれ自体がソールプレートを具える構成であってよい。
【0035】
J型パイロンは、上側すね取り付け部と、下側すね部と、アンクル領域とを具える。アンクル領域は、下側すね部のすぐ上の部分からアンクル領域の下端部までテーパが設けられている。この上側すね取り付け部の厚みと幅はほぼ一定である。下側すね部の幅又は横方向の寸法は、アンクル領域に近づくにつれ外側に広がる。このアンクル領域の下側又は自由端部に近接する位置は僅かに凹面に曲げられている。
【0036】
好ましくは、前記ソールプレートはJ型パイロンのアンクル領域に比較して実質的に幅が広く構成される。このソールプレートはヒール部とつま先部を具える。好ましくは、前記ヒール部はアンクル領域に接合する箇所が相補的又は対応するよう曲げられている。
【0037】
弾力性のあるソールパッドが、ソールプレートの下面に適切な方法、例えば接着剤又はファスナを使用して固着されている。好適には、ソールプレートはアンクル領域の下側に、ソールプレートのつま先端部から90乃至110mmの所望の位置に取り付けられるよう構成されている。このように2つのソールプレートを構成すると、23−30cmのサイズ領域の様々な足に適用することができる。好適には、この目的のため、ソールプレートとアンクル領域にはボルト等の固定手段を受ける整列した複数の穴が設けられ、ソールプレートをアンクル領域に選択した場所で固定できるようにしている。好ましくは、アンクル領域とソールプレートには2列の穴が設けられる。
【0038】
好適には、ソールプレートはアンクル領域とほぼ同じ幅に構成される。好適には、ヒール部は、つま先部の前端部とほぼ同じ半径で湾曲している。
【0039】
J型パイロンの上側すね部分には取り付けブラケットが、例えばボルトその他の固定手段といった適切に形成された開放可能な取り付け手段により固定されており、上側すね取り付け部を足の義足ソケットの末端部に固定できるようにしている。この足の義足ソケットは係合可能なT型ブラケットを有する。好適には、このブラケットは、前記ソケットに固定され又は固定可能な頂部フランジと、前記取り付け部が固定されるレッグフランジとを具える。あるいは、上側すね部を義足ソケットの末端部に直接堆積させてもよい。
【0040】
本発明の義足は、ヒール接地時のエネルギーを、歩行時にかかる重量とともにソールプレートに蓄え、エネルギーをヒール接地から足の中央(フラットフット)へ伝達しソールプレートのトゥオフ部から放出することにより、安定かつ制御された義足の持ち上げ又は反発推進力が生み出され、自然な歩行を促進する。
【0041】
上述のようにソールプレートはアンクル領域に固定されており、一体的なデザインと構成により歩行時にエネルギーがソールプレートのヒール接地から滑らかに安定して伝達してトゥオフから放出され、時間差やずれ、衝撃及び/又は破損が防止される。これは例えば、歩行時にエネルギーを逃がすために2つの部材(すなわちソールプレートとパイロン)を介してエネルギーを伝達する必要がある着脱可能なソールプレートを具える米国特許4,822,363とは正反対である。
【0042】
本発明の義足は、連続的にヒール接地からトゥオフに蓄積エネルギーを滑らかに伝達するのを容易にしており、別にアンクルジョイントを設けなくても、斜面や平坦でない地形に対応することができる。この器具は、複数のつま先部とヒール部を有してもよく、各つま先部とヒール部は足のサイズ規格のため磨かれ(buffed)てもよい。
【0043】
本発明の義足はさらに、ねじれ動作を最小限にし、安定して制御された横の中間(medial)の動作を達成する。膝で制御できるため、ソールプレートが回転し易くなり慣性が消され、これによりヒールから中央、トゥオフの衝撃の強さに拘わらず滑らかに伝達される。
【0044】
好適には、J型パイロンは上側すね取り付け部と下側すね部とを具えるシャンクを具え、これはすべての体重カテゴリで同じ厚みと幅である。これは上述した機能ファクターに影響を当てずに、必要に応じてカットして着用者用に調節することができる。
【0045】
これら及び他の利点が、図面とともに詳細な説明を読むことにより一層明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明を一層明確にし、実際的な効果を理解すべく、添付の図面を参照しながら本発明の成型品を、本発明の好適な実施例である義足の形態で説明する。
【0047】
まず図1と図2を参照すると、側面が概略J字型に形成され、上側すね取り付け部12と、下側すね部13と、アンクル領域14とでなるパイロン11を有する義足10が図示されている。図2によく示されるように、上側すね取り付け部12と、下側すね部13と、アンクル領域14とはほぼ同じ厚さである。ソールプレートも設けられている。
【0048】
図3に最もよく示されるように、J字型パイロン11の上側取り付け部12から地点15まではほぼ同じ幅である。下側すね部13は、Y−Yで示されるパイロン11の長軸から左右対称に外側に拡がっており、これにより第2の地点16まで幅が広くなり、ここからほぼ一定の幅となりアンクル領域14が形成される。
【0049】
図1−2に示されるように、義足10は、J型パイロンの上側取り付け部12をボルト20で固定可能な脚部19を具えるT型ブラケット18を具えている。このT型ブラケット18は、義足ソケット22に貼り合わされる頂部フランジを具える。あるいは、頂部フランジ21に取り付けコネクタを設け、これを義足ソケット22に連結して調整や角度配置を行えるようにして、歩行動作やソケットのフィット感を向上させてもよい。
【0050】
アンクル領域14の下側には、ソールプレート23が一体的に固定されており、これはヒール部17Aとつま先部17とが縦に一体成形されている。つま先部17は上側面が僅かに凹面をなしパイロン11とソールプレート23を結合するボルト26の前側に延在しており、これに対しヒール部17Aは上側面が僅かに凸面をなしボルト26から後側に延在している。ソールプレート23はアンクル領域14とほぼ同じ幅である。さらにソールパッド27が設けられている。
【0051】
図4、5に示すように、ソールプレート23とパイロン11の双方に、一連の対の整列した穴24が間隔を空けて設けられ、複数箇所に整列して設けたこれらの穴でソールプレート23を適切なボルトでアンクル領域14に固定できるようにしている。図5から明確なように、つま先部17の前端部は円の一部をなし、ソールプレート23のヒール側端部も同様である。上記の構成により、義足23におけるヒールプレート23に対するつま先部17の位置調整が可能であり、これにより歩行におけるつま先部17とヒール部17Aとソールプレート23の適切な微調整が可能となる。
【0052】
例えばラバーやウレタンパッド27といった弾性ソール部材が、ソールプレート23の下側につま先部17から踵部17Aまでカバーするよう取り付けられており、ソールプレート23の長さ全体に連続的に延在している。このラバー/ウレタンパッド27は義足10の柔らかさを担保しており、踵や下側すね部13の軸上にかかる踵の衝撃やトルク荷重が緩和されるようにしている。
【0053】
さらに、ラバー又はウレタンパッド27によりエネルギーが制動され着用者の快適性が向上する。実施例では、ラバー又はウレタンパッド27は適切な接着剤で固定されている。ラバー又はウレタンパッド27は義足10を靴なしで使用する場合の滑り止め面として作用する。
【0054】
メイン支持軸又はJ型パイロン11の構成とデザインにより、すね取り付け部12から下側すね部13を通りアンクル領域14に集中する荷重が分散する。ソールプレート23は前後左右の安定性や制御性を向上するよう構成されている。
【0055】
さらに、本発明にかかる義足及び製造方法は、義足の本来的な強度と耐久性を向上し、1つの寸法形状ですべての体重カテゴリに適用することができ、新たな弾性応答(resiliency rejoinder)と反発エネルギーを提供する。
【0056】
さらに、従来の義足と比較して、弾性レートの変更、ヒールの衝撃の中間部やトゥオフ部へのスムースな伝達を容易にして、良好なねじれ動作を可能としており、様々な異なる外骨格及び内骨格フレーム、ボディタイプ、切断手術患者の動作要求を実現し、腿と背筋下部の疲れや緊張を軽減する。
【0057】
結果としてJ型パイロン11は、好適には上側取り付け部12から下側すね部13やアンクル領域14まで均一な厚みを有する。図に示すソールプレート23の形状により滑らかに制御可能なトゥオフが実現する。さらに、このJ型パイロン11の形状と構造によれば、改良された製造方法により、上側すね取り付け部12からアンクル領域14まで、義足10全体の効果的な弾性及び反発エネルギーが提供され、従来の義足に必要な様々な特有の寸法的(幅及び/又は厚さ)なパイロンや、ヒールプレート/ソール部材の硬度を変化させることを不要としている。
【0058】
実施例において、アンクル領域14の下側面までのJ型パイロン11の長さは255mmから368mmの間で変更することができる。これはさらに、ソールを厚くしたり(最大20mm)、T型ブラケット18の頂部に伸長ウェッジを取り付けたり(3cm)、及び/又はソケット22の下側を伸長(最大7.5cm)したりして高くしてもよい。これらの方法により義足を長くしても、義足10の機能に影響することはない。典型例では、J型パイロンの幅は取り付け部12において45mmより大きくなっており、地点15から位置16まで(長さ80mm)外側にそれて幅67mmとなり、ここからアンクル領域14まで一定の幅である。典型例では、ソールプレート23の幅もまた67mmである。
【0059】
図5における穴24と図4における穴25の中心はソールプレート23のサイドエッジとアンクル領域からそれぞれ15mmの位置である。ソールプレート23の穴24はプレート23のフロントエッジから90mmから110mmの間に設けられ、アンクル領域14の穴25は、ソールプレート23の穴24に整列していることが望ましい。これにより、足のサイズを大きく又は小さくすることができる。上記の寸法位置は変更してもよいことが強調されるべきである。
【0060】
上側すね取り付け部12は、図3に示すように下側すね部の地点15から55mm以下とならないよう切断して、機能に影響を与えずに装着者の要求に合わせてもよい。J型パイロン11とソールプレート23はすべて、30kgから130kgまで10kgごとの重量クラス全体にわたり、ほぼ同じ厚みと幅である。これは本発明の新規な方法により実現する。
【0061】
本発明では、単一の寸法の型を用いてJ型パイロン11とソールプレート23を成形する。したがって、J型パイロンは各体重カテゴリのものが同じ厚み、幅、形、寸法である。同様に、ソールプレート23も各体重カテゴリのものが同じ厚み、幅、形、寸法となる。
【0062】
ソールプレート23のつま先部17とヒール部17Aは、つま先及び/又はヒールの強度を向上しつつもヒール衝撃長さ及び/又はトゥオフの下降動作を低減するのに適切な寸法まで削ることができる。
【0063】
図6を参照すると、カーボン又はガラス繊維30が、軸32に取り付けられ支持されたカーボンボビン31から繰り出されている。軸32はドラム36が繊維30を引っ張ると回転する。繊維30は、好適なエポキシ樹脂溶剤35が入った樹脂槽34に通される。樹脂槽34を通過した後、樹脂含浸繊維30Aは剥離紙、好ましくはシリコン被服した剥離紙を巻いて端部38と39を重ねた部分40において両面テープで接着したことによりドラム36上で連続する剥離紙37のシートが構成されたドラム36に巻き付けられる。樹脂含浸繊維30Aはその後ドラム36の回転に伴い剥離紙37上に巻き付けられる。ドラム36は、軸41に連結された適切な機械手段(図示せず)により駆動される。回転とともに、樹脂槽34と軸32は矢印A又はBで示す直線方向に移動し、樹脂含浸繊維30Aが剥離紙37上に(予め定めた繊維の範囲あたりの重量又は繊維密度となるよう)等間隔で巻かれ、連続ループ42から(図12に示す)中間プレプレグシート48Aが作成される。連続ループ42はそれぞれ、ドラム36の回転により剥離紙37に巻かれる際に前のループに重ねられる。この結果、受信含浸繊維30Aからなる完全に結合した中間プレプレグシート48A(図12)が形成され、この中間プレプレグシート48Aは剥離紙37から分離することができる。重なり合った樹脂含浸繊維30Aが、部分42Aのシート48Aとして最終的な外観が示されている。
【0064】
別の構成では、図7に示すように、樹脂槽34と軸32を固定してドラム36をABの方向に往復運動させ、図6と同じ結果を得るようにしてもよい。しかしながら、図6に示す構成の方が好ましい。
【0065】
図8,9,10に示すように、ドラム36には、細長い溝又はカット線43,44,45が設けられ、3つの角度でドラム36からコンポジットシート46を切り離せるようにしており、具体的には、これに限定するものではないが、図8に示すように軸41に対して0°又は平行なカットライン43か、図9に示すように軸41に対して60°のカットライン44か、図10に示すように軸41に対して45°のカットライン45である。(図8、9、10には示さないが)他の角度のカットラインを用いて一方向性のプレプレグの分断角度を定めてもよい。
【0066】
カットライン43,44,45又は他の角度のラインは、同じドラム36に設けられてもよいし、異なるドラム36に設けられてもよい。しかしながら、同じドラムに複数のカット線を設ける方が汎用性がありコスト面でも好ましい。
【0067】
図11−13は、カットナイフ47を用いて合成シート46をカットライン43に沿って切断し、中間プレプレグシート48Aを作成する状態を示す。中間プレプレグシート48Aは次にプレプレグ49として示す所望の形状寸法に切り出される。各中間プレプレグシート48Aは、図に示すように複数のプレプレグ49を切り出し可能な長軸又は0°のカーボン又はガラス繊維を具える。図13に示す例では、好適なデザインとしてプレプレグ49は細い部分50と太い部分51を具える。プレプレグ49を取り去るとシート48Aにギャップ52が残る。樹脂含浸フィラメント30Aは長軸又は0°で示されている。
【0068】
上述した処理の変形例として、プレプレグ49は繊維の長軸方向(すなわち0°)のみならず、プレプレグシート48Aを用いて横方向又は緯度方向(すなわち90°)としてもよい。
【0069】
図14では、合成シート46をカットライン44に沿って切っており、これにより図15に示す中間シート48Bは、折り目又は畳み目52,53,54,55とともに示されている。最初に部分58を折り目55に沿って矢印Eのように折り、次に部分59を折り目54に沿って矢印Fのように折る。続いて、部分57を折り目53に沿って矢印Dのように折り、最後に部分56を折り目52に沿って矢印Cのように折る。
【0070】
別の例では、部分59を折り目54に沿って矢印Fのように折る代わりに、部分60を折り目54に沿って矢印Gのように折るようにしてもよい。この工程を図16、17に示し、最終的に畳んだシート61(図17参照)を作成し、ここから図17に点線で示すように複数のプレプレグ62(図18参照)を切り出す。図18は、樹脂含浸繊維30Aの繊維が交差したプレプレグ62を示している。この交差繊維は部分56,57,60,59,58を線52,53,54に沿って谷折りにして得られる。
【0071】
最適な曲げ率、圧縮強さ、動的な耐久性、体重カテゴリごと(30−130kg)の縦方向及びねじれの剛性は、J型パイロン11とソールプレート23(図1)をカーボン/カーボン又はカーボン/ガラス繊維の組み合わせを変更し、繊維の面積あたりの重量や繊維の配向を変更して得ることができる。本発明の好適な実施例では、各体重カテゴリ(30−130kg)の薄板層の数はすべて同じである。
【0072】
好適なカーボン及びガラス繊維に固有の特徴及び物理的な強さは、材料構成、繊維の面積あたりの重量と繊維配向の構成に様々な可能性を与え、結果として好適な実施例における圧縮強さ、柔軟性、耐久性、動的耐久性、縦方向及びねじれの剛性を最適化することができる。カーボン繊維は、ガラス繊維に比較して引っ張り強さと引っ張り率が非常に高い。しかしながら、ガラス繊維は、強度では劣るが、柔軟性や耐疲労性が高い。構成においてカーボン繊維の含有率を高くしてガラス繊維の含有率を低くすると、好適な実施例の堅さと強さが向上し、ガラス繊維の含有率を高くすると柔軟性が高くなるが引っ張り強度が減少する。
【0073】
本発明の繊維配向は他の構成とすることができる。実施例において、J型パイロン11とソールプレート23の長軸方向又は主軸に0°に配置すると、ねじれ強さは弱いが剛性と圧縮強さが非常に高くなる。繊維の角度を例えば30°,45°,60°に変更すると、ねじれ強さが増すが、引っ張り強度や圧縮強さが減少する。カーボンとガラス繊維の本質的な物理性状は互いに大きく異なり、このため0°,30°,45°の角度でねじれ強さ、引っ張り強さ、圧縮強さが大きく異なるのは当然であり、これにより好適な実施例における各体重カテゴリの圧縮強さ、柔軟性、耐久性、動的耐久性、縦方向及びねじれの剛性は様々に設定、最適化することができる。
【0074】
J型パイロン11とソールプレート23の典型的なカーボン/カーボン又はカーボン/ガラス構成は、添付の表に示されている。
【0075】
本発明の方法によれば、繊維のすべてが完全に湿るよう樹脂に含浸され、適切にエポキシ樹脂に含浸される。実施例では、この方法によりカーボン及びガラスのプレプレグは35%−50%の樹脂成分を有する。これは商業的に入手可能なUDプレプレグより樹脂成分が多い。エポキシ樹脂は接着剤として作用し、各繊維をまとめて包み込んで束ねる。樹脂成分を多くすると成型時に十分な樹脂量が供給され、クロスリンキング工程が管理し易くなり、飛躍的に改良された樹脂/繊維基質を得ることができる。結果として、好適な実施例の強度と耐久性が向上する。
【0076】
従来の義足は、メインコアの外側層に連続的で不断の緯線編み込み又は角度付き編み込み繊維を有しねじれ強さを向上させたUD長繊維で構成されている。好適な実施例において(繊維配向が0°又は90°の)プレプレグ49と(繊維の配向が異なる)プレプレグ62を用いると、本発明の下肢補綴器具を含む成型品のまったく新しいコンセプト及び製造方法となり、これは従来技術の方法とは異なり唯一のものである。
【0077】
本発明において、プレプレグ49や62の製造方法で示したように、繊維フィラメントは連続的で不断のものである必要はない。このように連続的でないフィラメント繊維を用いることが本発明にかかる補綴器具の重要な特徴を構成することを記憶されたい。
【0078】
図19は、下肢補綴器具を含む成型品の製造に関する本発明の方法を示す好適なフローチャートである。エポキシ樹脂溶剤は樹脂、触媒、添加剤、溶媒を所定の割合で混合して作成される。このエポキシ樹脂溶剤は摂氏130°での硬化時間が30分の固形成分を60−70%有し、丈夫で、曲げやすく、熱に安定で、化学耐性があり、カーボンやガラスとの結束強度が高く、本発明への利用に適した樹脂である。
【0079】
本発明の方法により、カーボン及び/又はガラスの一方向性のプレプレグを、範囲あたりの繊維重量(1平米あたり60−300g)、樹脂量(重量の35−50%)、繊維の向きにおいて幅広い選択肢から作成することができ、これを用いて、材料成分、範囲あたりの繊維重量、繊維の配向、樹脂量を”選択・調整”する融通性を得ることができる。
【0080】
実施例では、本発明の好適な方法で使用されるカーボン及びガラス繊維は、高強度繊維である。好適なドラム巻き付け技術により樹脂含浸工程で繊維のすべてが湿らされ適切にエポキシ樹脂に含浸される。樹脂含浸工程での樹脂の粘性を細かく管理することにより、樹脂量を+2%内に管理することができる。樹脂量を制御し安定させると、圧縮強さ、耐久性、動的耐久性、屈曲率、縦方向及びねじれの強さが好適に維持される。
【0081】
中間プレプレグシート48Aと、折り畳んだ最終プレプレグシート61は、オーブンで強制的に乾燥させて、エポキシ樹脂中の溶剤や他の所望しない揮発成分を除去してもよい。強制乾燥によりプレプレグシートの粘着度がとれ、扱いやレイアップ工程に適切となる。オーブンの設定は、50−65℃で乾燥時間が3−4時間が適切である。この乾燥工程の後、各中間プレプレグシート48A及び折り畳んだ最終プレプレグシート61の重量を量り、適切にプレプレグ49又はプレプレグ62を切り出す。
【0082】
乾燥工程の後の中間プレプレグシート48Aと折り畳んだ最終プレプレグシート61の計量は、本発明のプロセスにおいて望ましい要素である。これにより樹脂量が多すぎたり少なすぎたりするプレプレグを抽出し、成型したJ型パイロン11又はソールプレート23の重量が比較的一定となるようこれらのプレプレグを適切に組み合わせる。例えば、樹脂量が多いプレプレグを別の樹脂量が少ないものと組み合わせてレイアップ工程に使用する。
【0083】
プレプレグ49やプレプレグ62の層を圧縮型枠内にそれぞれ重ねてレイアップし、圧縮型を135℃−150℃(より好ましくは140℃)に加熱しつつ、好ましくは200mm径の流体圧ピストンを用いて200kg/cm2で液圧プレスする。
【0084】
硬化後、成型品を型から取り出し、組み立て及び最終化粧工程にまわす。
【0085】
上述した本発明の成型品は、重量に拘わらず同じ寸法形状の型枠から作成することができ、この特徴は本発明の成型品の好適な実施例にかかるJ型パイロンやソールプレートにも適用することができる。
【0086】
以上記載したが、本発明の方法によれば、上記説明から明らかなように従来技術からみて飛躍的に進歩した義足が提供される。
【実施例1】
【0087】
J型パイロンの製造に関連して、プレプレグ49及び62のレイアップ又は重畳の好適な方法を以下に記載する。
【0088】
すべての体重カテゴリ(30−130kg)において、好適な方法では層の数(58)は同じであり、各体重カテゴリで様々な曲げ率となるよう繊維の重なりと向きを変化させている、すなわち:
30乃至40kg−パイロン345g±5g、60°の繊維が38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
40乃至50kg−パイロン345g±5g、60°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
50乃至60kg−パイロン345g±5g、45°と60°の繊維が38層の組み合わせと、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
60乃至70kg−パイロン345g±5g、45°と60°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
70乃至80kg−パイロン345g±5g、45°の繊維が38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
80乃至90kg−パイロン345g±5g、45°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
90乃至100kg−パイロン345g±5g、30°と45°の繊維の組み合わせが38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
100乃至110kg−パイロン345g±5g、30°と45°の繊維の組み合わせが38層と、0°の繊維が20層。
110乃至120kg−パイロン345g±5g、30°の繊維が38層と、0°と90°の繊維の組み合わせが20層。
120乃至130kg−パイロン345g±5g、30°の繊維が38層と、0°の繊維が20層。
【0089】
各パイロンのカテゴリ(30−130kg)について、カーボン/カーボンプレプレグのレイアップの重ね方は同じことが好ましい。すなわち、38層の角度付き繊維と20層の0°と90°の繊維の組み合わせをでなる58層のパイロンでは、レイアップ順序は、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を8層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを6層、0.12mmのFAW(Fibre Area Weight:面積あたりの繊維重量)100の角度付きカーボン繊維を10層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを6層、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を10層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを8層、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を10層となる。
【実施例2】
【0090】
カーボン繊維の角度(0°、30°、45°、60°、90°)とガラス繊維の角度(30°、45°、60°)の組み合わせ、繊維の長さの変更、繊維の配列(横、横断、斜め方向)、カーボン層の厚みの組み合わせ(0.12mmFAW100g/m2と0.15mmFAW150g/m2)、及び/又はガラス繊維の厚み(0.16mmFAW126g/m2)により、ソールプレートにおいて、各体重カテゴリ(30−130kg)で曲げ率、動的耐久性、圧縮強さ、縦方向及びねじれの剛性を最大限にすることができる。
【0091】
上述の各体重カテゴリ(30−130kg)では、カーボン又はカーボン/ガラスを組み合わせてなる繊維のソールプレート全体において、層の数(52)は等しいことが望ましい。レイアップ順序と、カーボン/カーボン及びカーボン/ガラス双方の繊維配向を変えることにより、各体重カテゴリにおける曲げ率を変更することができる。すなわち:
30乃至40kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
40乃至50kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
50乃至60kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス70%/30%。
60乃至70kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
70乃至80kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
80乃至90kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
90乃至100kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
100乃至110kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
110乃至120kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
120乃至130kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
【0092】
以下の体重カテゴリ(30−130kg)のソールプレートでは、カーボン/カーボン及びカーボン/ガラスのプレプレグのレイアップ順序は、プレプレグ49及び62に関し:
30乃至40kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を16層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を26層。
40乃至50kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を16層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を26層。
50乃至60kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を26層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を16層。
60乃至70kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を26層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を16層。
70乃至80kg−FAW100で0.12mmの45°と60°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを16層。
80乃至90kg−FAW100で0.12mmの45°と60°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
90乃至100kg−FAW100で0.12mmの45°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを16層。
100乃至110kg−FAW100で0.12mmの45°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
110乃至120kg−FAW100で0.12mmの30°と45°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
120乃至130kg−FAW100で0.12mmの30°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
【0093】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の実施例にかかる補綴器具を後側から見た斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の補綴器具を義足ソケットに装着した側面図である。
【図3】図3は、補手つき具の義足ソケットを取り外して取り付けブラケットを除去した正面図である。
【図4】図4は、図2のA−A線における平面図である。
【図5】図5は、ソールプレートの平面図である。
【図6−7】図6及び図7は、本発明の方法におけるステップ(a)と(b)を図示した斜視図である。
【図8−10】図8−10は、図6、7に示す本発明の方法で用いるドラムであって、カットライン又は溝の方向が異なるドラムを示す図である。
【図11−13】図11−13は、超軸方向に繊維を配置したプレプレグ材の形成手法を示す図である。
【図14−18】図14−18は、繊維を交差配向させたプレプレグ材の形成手法を示す図である。
【図19】図19は、本発明にかかる方法の一般的なフローチャートを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型品の製造方法と、当該方法で製造された成型品に関する。特に、本発明は義足に関し、以下の実施例では義足の製造方法について詳細に説明するが、この例に限るものではない。
【背景技術】
【0002】
過去15年間、多くの人間が下肢切断手術を受けており、これらの人々は基本的な動作のみならず健常者と同じようにローインパクトからハイインパクトの動作ができる義足補綴を得て人生の価値を向上することを望んでいた。
【0003】
補綴の分野で多くの技術が発展し、現在では幅広い種類から義足を選択することができるようになった。例えば基本的な巡回歩行やワークタイプ動作といった通常歩行動作用の一般的なタイプの義足には、より行動的なライフスタイルを実現し、これにより人生の価値を向上しうる義足が求められていた。補綴業界において、軽量で丈夫な義足により、例えば労働や農作業等の激しい動作や、ジョギング、スカッシュ、登山、テニス等の様々な中〜上級アクティビティ、ランニングやスプリント競技、ジャンプ、バスケットボール、バレーボール等の非常にハイインパクトなスポーツも可能な義足の開発が続けられてきた。
【0004】
様々な人工器官が開発され、これらは人体の部分の機能と外観を模写している。ここで下肢の補綴には特有の問題がある。これらは人間の体重と行動レベルをサポートし、歩行時に加わる力に耐える十分な強度を要する必要がある。結果として、従来の義足のいくつかは非常に重く、固く、着用者の行動レベルや動作、娯楽やスポーツを制限するものだった。
【0005】
多くの足や脚部の補綴器具が提案されており、これらの多くは新しい合成材料技術を用いて使用時にエネルギーを蓄えて放出する。複合材料で製造された義足の例として、足を地面に降ろしたときのエネルギーを蓄え、これを開放して足が地面から離れるように持ち上げあるいは押して患者の歩行を補助する発明がAbrogast等による米国特許4,865,612に開示されており、前方に延在しキールに接続する一対の薄いバネ部材を具える義足がShorter等による米国特許5,116,383に開示されている。米国特許5,116,383は、上側の踝取り付け部への片持ちバネとして下側バネ部が後端部に連結されている1片の炭素繊維強化キールを具えるエネルギー保存型義足を開示している。このエネルギー保存型義足には、ボールとソケット型の弾性アンクルジョイントが取り付けられている。
【0006】
他の従来の下肢補綴器具はバネを有し、自然な足の感触と機能に近づけるための複合板バネ又は平らなバネ状部材を具える。このような例としてMerletteによる米国特許4,959,073及びPhillipsによる米国特許4,547,913、4,822,363、5,776,205がある。
【0007】
このような下肢義足の例がフレックスフット(Flex-Foot)として知られており、これは特に米国特許4,547,913に開示された合成支柱と脚部構成を具えている。この装置の構成要素によりバネのような動作が実現し、装着者に更なる行動性と快適性を与えている。従来の複数のバネを具える義足は、例えばPhilipsによる米国特許5,776,205のように、垂直荷重を受けると揺れて荷重をバネに分散させる。
【0008】
さらに、商業的に入手可能なフレックスフットシステムのダイナミック義足は、アンクルジョイントが固定されていない。ただし、このシステムは、義足本体中央部に固定された後側分割ヒール又はヒール部を有する。このシステムは従来の義足より機能的であるが、このシステムは構成要素やジョイントが多く、後側ヒールセグメントにおいて分割ヒールプレートからの連続エネルギーが、米国特許4,822,363J型パイロン及び/又は米国特許5,976,191の全体ソール部材の分割つま先部まで伝達されないため、ヒール接地部からトゥオフまで伝達するのに適していない。これは、装着者を好適に支持し義足の機能を高めるために、追加の支持部材を組み込むかパイロンを厚くする必要があるからである。
【0009】
従来の義足では分割ヒールバネ部材及び/又はフォーム/ラバー弾性部材が足とソール部材の間に設けられ、バネ部材とフォーム/ラバー弾性部材の両方で垂直荷重を吸収し、このため、ヒール接地部からつま先へのエネルギーの伝達が放散してしまう。
【0010】
米国特許4,822,363と4,547,913では、複合材料で構成され板バネ状の後側ヒールプレートに連結されたJ型パイロンが記載されている。米国特許4,959,073には、複合材料で構成されヒール部材と一体的に形成されたJ型パイロンが記載されている。米国特許5,037,444を参照すると、”シアトルフット”として知られる複合材料でなる義足が記載されている。これらの器具は歩行動作や行動レベルに大きな進歩をもたらし、グラファイトと他の材料の重量比により強度と剛性を向上させ、これにより投入され又は蓄えたエネルギーをほぼ完全に返すことができ、軽量で、疲労強度が高く、クリープが最小限に抑えられる。しかしながら、これらの器具には欠点もある。例えば、他の材料と比較してグラファイトは重量比に対する強度と剛性が高いため、材料のレイアップ製造法により局所的な硬化、がたつきや破損が生じ、装着者の歩行時の滑らかさと柔軟性が妨げられる。さらに、重量が実質的に軽い反面、引っ張り強度が高いためグラファイトと他の材料の重量比に対する強度の差による内部硬直性があり、また、疲労ストレス損傷が生じる箇所がある。
【0011】
例えば上述のPhillipsやMerlette特許にあるように、つま先部のバネとは別のバネによるバネ付勢式のヒールを用いた従来の義足は、ヒールにエネルギーを好適に蓄積するが、歩行時に足が前に進むにあたりエネルギーを義足のヒールからつま先部に伝達することができない。これらの装置は、つま先部には別のバネが必要となる。結果として、装着者が歩行時に明瞭かつ不自然なずれや、足を前に出すことのためらい、不自然な足の感覚を覚え、不十分なストライドとなる。
【0012】
Phillipsによる米国特許4,547,913や4,822,363にあるような従来の義足のいくつかは、すね部の縦軸にねじれ動作を可能としているが、すね部の形状はバネ強さや破壊強さ用に設計され、ねじれ動作用の設計ではない。
【0013】
米国特許4,547,913や4,822,363、4,959,073その他の従来装置は、高強度のエポキシ熱可塑性樹脂で強力グラファイト繊維を包んだ複合材料のみからなり、繊維が縦に一方向(UD)に配向されたメインコアと、繊維が横方向あるいは角度を付けて配向された外側層とを組み合わせ、ねじれ強度を向上させている。この横方向又は角度を付けて配向された材料は、織りスリーブ(woven sleeve)として形成される。この織りスリーブはメインコアのUD縦方向繊維に対し容易にスライドし、カバーする。この外側層は織りスリーブであり、このフィラメント繊維は最初から最後まで連続している。これ以外の場合、これらのフィラメントを織りスリーブに編み込むのは不可能である。通常、メインコアと織りスリーブは、多くの層又は膜を最終形状に形成された固い枠に配置し、その後硬化させて形成される。
【0014】
これにより、連続するフィラメントがそれぞれ、義足の上端部、すね部、足部の上端部を通り又は脚部の上端部から下側にくるぶし部を通り足部又はつま先部の先まで途切れずに延在する。さらに、ヒールプレート及び/又はソール部材は、前端部から踵の端部まで途切れずに延びるフィラメントを有し、したがって、構成中にフィラメントがすべて連続して途切れずに縦方向、横方向又は角度を付けて延在する。同様の製造方法が米国特許5,037,44、5,156,631、5,181,933、5,493,456、5,514,185、6,071,313に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような製造方法は以下の問題がある;
(a)上端部の強度を得るため上端部を厚く構成する必要があった。あるいは上端部の幅を広くする必要があった。
(b)層や薄片の数を増やすことが重要であり、このため、パイロンの厚さがユーザの体重や行動レベルに応じて増大していた。
(c)パイロンの幅を狭くすると強度を維持するのに層を追加する必要がある。
(d)足部の厚みをアンクル部に比べて減少させ、アンクル部の厚みをすね部に比べて減少させるべく、様々な可動エリアにおけるパイロンの厚みを逐次減少させるのが重要と考えられていた。
【0016】
層又は膜の数は部位ごとに変化する。上述の(a)、(b)、(c)、(d)の結果、上述した従来の義足の製造方法では、足のサイズや義足に求められる強度に応じて、設けられる層の数は必要に応じて増減される。例えば、義足が小さかったり体重が軽い場合は少ない層数となる。大きな義足又は体重が重い場合は、層が追加される。一般に、層の数を強度と剛性を保てる必要最小限とすると、義足が軽量で実用的となる。
【0017】
上述した従来の製造方法の説明から、従来の製造方法では、義足の厚さや幅を増大させるために層又は膜を追加する場合、複数の異なる型を用意したり型枠形状を変更したりする必要がある。すなわち、異なる体重や義足の体重カテゴリに応じて異なる内部形状の型を用いる必要があった。異なる寸法の義足を作成するには異なる厚さや幅が必要であり、そのため異なる外骨格又は内骨格フレームや、ボディタイプや切断手術を受けた人に必要な運動性の差に応じて厚さや幅の格差が生じていた。
【0018】
義足など従来の型製品の従来の製造方法について上述した問題は、本発明の出現により減少あるいは解消し、後述する方法によれば義足を含む製品の個人ユーザごとの要求は満たされ、この方法は単一の寸法形状の型枠で異なる重量又は異なる体重カテゴリの義足を含む型製品の製造が可能であり、これにより、このプロセスが費用を抑えつつより効果的となる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様では、成型品の製造方法であって:
(a) 非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;
(b) ステップ(a)で作成したシートから複数のプレプレグを切り出すステップと;
(c) ステップ(b)で得られたプレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと;
(d) 高温下で圧縮成型するステップと;
(e) 圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具えることを特徴とする方法が提供される。
【0020】
前記ステップ(a)は、後述するようにドラム巻き付け技術又はホットメルト技術を用いて達成することができるが、ドラム巻き付け技術を用いて、剥離紙上に繊維でなる中間コンポジットシートを作成し、前記剥離紙を取り外す際に、前記ドラム上に形成された中間シートをカットすることにより前記ステップ(a)のシートを得る。好ましくはシートの繊維がすべて同一又は類似の向き又は方向であり、これを一方向性(unidirectional:UD)と称す。
【0021】
あるいは、上述のステップ(a)のドラム巻き付け技術の代わりにホットメルト技術を用いて、溶融させた樹脂に含浸した繊維を、連続シートとして構成された剥離紙上に敷いてプレプレグを形成する。この溶融一方向性プレプレグは例えば75m、100m、150m、200mのロールに形成する。
【0022】
ドラム巻き付けとホットメルトUDプレプレグの違いは、これらプレプレグの縦方向長さにある。ドラム巻き付け式UDプレプレグの縦方向長さはドラムの外周により決定され(すなわち、外周が1.90mのドラムでは1.90mのUDプレプレグしか製造できない)、これに対しホットメルトUDは連続的な長さとすることができ、75m、100m、150mm、200mmのロールとすることができる。
【0023】
ステップ(b)では、プレプレグの繊維の一部、より好ましくは全部が、縦方向又は横方向又は交差方向(intersecting orientation)に配向されていることが好ましい。
【0024】
中間シートは、繊維が交差したプレプレグを得るべく15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択される、あるいは他の適切な角度にカットしてもよく、これにより最終的なシートの両側が垂直に対し所望の角度の斜度を有することとなる。その後、この最終シートは折り畳まれ、繊維が交差したプレプレグ又は積層シートとなりここから後述するようにプレプレグが切り出される。
【0025】
これらのプレプレグは、交互に縦方向及び/又は横方向に配列された繊維でなるプレプレグとしてもよく、上述のドラム巻き付け技術により形成され、四角形又は正方形の最終シートが作成される。この場合、最終シートから縦方向又は横方向に配向された繊維のプレプレグが切り出される。
【0026】
上述した中間シートのカットは、前記ドラムの外側面に形成されたカット線又は溝であって、所望の角度、例えば縦方向と横方向の繊維のプレプレグでは0°であり、繊維が交差するプレプレグでは60°又は45°の線又は溝により実現することができる。
【0027】
上述のドラム巻き付け技術とホットメルト技術の他の相違点として、ドラム巻き付け技術ではカット線又は溝がドラムに形成さているのに対し、ホットメルト技術ではプレプレグシートを物理的に所望の角度(例えば、15°、221/2°、30°、45°、60°)でカットすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の製造方法では、軽量で安価な、例えば切断手術を受けた人用のコンポジット材料でなる補綴器具などの成型品、より具体的には改良された義足を提供する。この成型方法は強度、動的耐久性、ガラス繊維の軽量化、上述した従来方法の強度/剛性、疲労強度の限界を解消するのに効果的である。
【0029】
本発明の方法は、非金属繊維とエポキシ樹脂を組み合わせ、各繊維を含浸し、これにより動的耐久性、小型化、薄型化を向上させつつ、繊維の自然な可撓性やレスポンスによりヒールの衝撃がトゥオフにスムースに伝達される。他の利点は弾性構造を有する基質により衝撃が分散され、ヒール接地の際の負荷が分散する。
【0030】
好適には、本発明の装置はエポキシ樹脂で強化したカーボン及び/又はガラス繊維の薄板で構成されるが、例えばアラミド繊維等の別の非金属繊維や近年開発された人工繊維を用いてもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、成型品であって、当該成型品が熱硬化性エポキシ樹脂に含浸した非金属繊維でなる複数の層を具えるコンポジット材料で形成されており、当該成型品の少なくとも一部が、少なくとも一部が交差するよう配列された繊維で形成されていることを特徴とする成型品に関する。
【0032】
好ましくは、前記成型品はJ型パイロンである。
【0033】
好ましくは、パイロンの少なくとも外側が、当該パイロンの側面の寸法又は厚みに関し、縦方向及び横方向に繊維が交差するよう層を交互に重ねて形成されている。
【0034】
この成型品は、J型パイロンとソールプレートを組み合わせてなる義足であり、前記ソールプレートは前側のつま先部と、後側のヒール部を具える。このソールプレートはJ型パイロンと同じコンポジット材料で形成される。この成型品はそれ自体がソールプレートを具える構成であってよい。
【0035】
J型パイロンは、上側すね取り付け部と、下側すね部と、アンクル領域とを具える。アンクル領域は、下側すね部のすぐ上の部分からアンクル領域の下端部までテーパが設けられている。この上側すね取り付け部の厚みと幅はほぼ一定である。下側すね部の幅又は横方向の寸法は、アンクル領域に近づくにつれ外側に広がる。このアンクル領域の下側又は自由端部に近接する位置は僅かに凹面に曲げられている。
【0036】
好ましくは、前記ソールプレートはJ型パイロンのアンクル領域に比較して実質的に幅が広く構成される。このソールプレートはヒール部とつま先部を具える。好ましくは、前記ヒール部はアンクル領域に接合する箇所が相補的又は対応するよう曲げられている。
【0037】
弾力性のあるソールパッドが、ソールプレートの下面に適切な方法、例えば接着剤又はファスナを使用して固着されている。好適には、ソールプレートはアンクル領域の下側に、ソールプレートのつま先端部から90乃至110mmの所望の位置に取り付けられるよう構成されている。このように2つのソールプレートを構成すると、23−30cmのサイズ領域の様々な足に適用することができる。好適には、この目的のため、ソールプレートとアンクル領域にはボルト等の固定手段を受ける整列した複数の穴が設けられ、ソールプレートをアンクル領域に選択した場所で固定できるようにしている。好ましくは、アンクル領域とソールプレートには2列の穴が設けられる。
【0038】
好適には、ソールプレートはアンクル領域とほぼ同じ幅に構成される。好適には、ヒール部は、つま先部の前端部とほぼ同じ半径で湾曲している。
【0039】
J型パイロンの上側すね部分には取り付けブラケットが、例えばボルトその他の固定手段といった適切に形成された開放可能な取り付け手段により固定されており、上側すね取り付け部を足の義足ソケットの末端部に固定できるようにしている。この足の義足ソケットは係合可能なT型ブラケットを有する。好適には、このブラケットは、前記ソケットに固定され又は固定可能な頂部フランジと、前記取り付け部が固定されるレッグフランジとを具える。あるいは、上側すね部を義足ソケットの末端部に直接堆積させてもよい。
【0040】
本発明の義足は、ヒール接地時のエネルギーを、歩行時にかかる重量とともにソールプレートに蓄え、エネルギーをヒール接地から足の中央(フラットフット)へ伝達しソールプレートのトゥオフ部から放出することにより、安定かつ制御された義足の持ち上げ又は反発推進力が生み出され、自然な歩行を促進する。
【0041】
上述のようにソールプレートはアンクル領域に固定されており、一体的なデザインと構成により歩行時にエネルギーがソールプレートのヒール接地から滑らかに安定して伝達してトゥオフから放出され、時間差やずれ、衝撃及び/又は破損が防止される。これは例えば、歩行時にエネルギーを逃がすために2つの部材(すなわちソールプレートとパイロン)を介してエネルギーを伝達する必要がある着脱可能なソールプレートを具える米国特許4,822,363とは正反対である。
【0042】
本発明の義足は、連続的にヒール接地からトゥオフに蓄積エネルギーを滑らかに伝達するのを容易にしており、別にアンクルジョイントを設けなくても、斜面や平坦でない地形に対応することができる。この器具は、複数のつま先部とヒール部を有してもよく、各つま先部とヒール部は足のサイズ規格のため磨かれ(buffed)てもよい。
【0043】
本発明の義足はさらに、ねじれ動作を最小限にし、安定して制御された横の中間(medial)の動作を達成する。膝で制御できるため、ソールプレートが回転し易くなり慣性が消され、これによりヒールから中央、トゥオフの衝撃の強さに拘わらず滑らかに伝達される。
【0044】
好適には、J型パイロンは上側すね取り付け部と下側すね部とを具えるシャンクを具え、これはすべての体重カテゴリで同じ厚みと幅である。これは上述した機能ファクターに影響を当てずに、必要に応じてカットして着用者用に調節することができる。
【0045】
これら及び他の利点が、図面とともに詳細な説明を読むことにより一層明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明を一層明確にし、実際的な効果を理解すべく、添付の図面を参照しながら本発明の成型品を、本発明の好適な実施例である義足の形態で説明する。
【0047】
まず図1と図2を参照すると、側面が概略J字型に形成され、上側すね取り付け部12と、下側すね部13と、アンクル領域14とでなるパイロン11を有する義足10が図示されている。図2によく示されるように、上側すね取り付け部12と、下側すね部13と、アンクル領域14とはほぼ同じ厚さである。ソールプレートも設けられている。
【0048】
図3に最もよく示されるように、J字型パイロン11の上側取り付け部12から地点15まではほぼ同じ幅である。下側すね部13は、Y−Yで示されるパイロン11の長軸から左右対称に外側に拡がっており、これにより第2の地点16まで幅が広くなり、ここからほぼ一定の幅となりアンクル領域14が形成される。
【0049】
図1−2に示されるように、義足10は、J型パイロンの上側取り付け部12をボルト20で固定可能な脚部19を具えるT型ブラケット18を具えている。このT型ブラケット18は、義足ソケット22に貼り合わされる頂部フランジを具える。あるいは、頂部フランジ21に取り付けコネクタを設け、これを義足ソケット22に連結して調整や角度配置を行えるようにして、歩行動作やソケットのフィット感を向上させてもよい。
【0050】
アンクル領域14の下側には、ソールプレート23が一体的に固定されており、これはヒール部17Aとつま先部17とが縦に一体成形されている。つま先部17は上側面が僅かに凹面をなしパイロン11とソールプレート23を結合するボルト26の前側に延在しており、これに対しヒール部17Aは上側面が僅かに凸面をなしボルト26から後側に延在している。ソールプレート23はアンクル領域14とほぼ同じ幅である。さらにソールパッド27が設けられている。
【0051】
図4、5に示すように、ソールプレート23とパイロン11の双方に、一連の対の整列した穴24が間隔を空けて設けられ、複数箇所に整列して設けたこれらの穴でソールプレート23を適切なボルトでアンクル領域14に固定できるようにしている。図5から明確なように、つま先部17の前端部は円の一部をなし、ソールプレート23のヒール側端部も同様である。上記の構成により、義足23におけるヒールプレート23に対するつま先部17の位置調整が可能であり、これにより歩行におけるつま先部17とヒール部17Aとソールプレート23の適切な微調整が可能となる。
【0052】
例えばラバーやウレタンパッド27といった弾性ソール部材が、ソールプレート23の下側につま先部17から踵部17Aまでカバーするよう取り付けられており、ソールプレート23の長さ全体に連続的に延在している。このラバー/ウレタンパッド27は義足10の柔らかさを担保しており、踵や下側すね部13の軸上にかかる踵の衝撃やトルク荷重が緩和されるようにしている。
【0053】
さらに、ラバー又はウレタンパッド27によりエネルギーが制動され着用者の快適性が向上する。実施例では、ラバー又はウレタンパッド27は適切な接着剤で固定されている。ラバー又はウレタンパッド27は義足10を靴なしで使用する場合の滑り止め面として作用する。
【0054】
メイン支持軸又はJ型パイロン11の構成とデザインにより、すね取り付け部12から下側すね部13を通りアンクル領域14に集中する荷重が分散する。ソールプレート23は前後左右の安定性や制御性を向上するよう構成されている。
【0055】
さらに、本発明にかかる義足及び製造方法は、義足の本来的な強度と耐久性を向上し、1つの寸法形状ですべての体重カテゴリに適用することができ、新たな弾性応答(resiliency rejoinder)と反発エネルギーを提供する。
【0056】
さらに、従来の義足と比較して、弾性レートの変更、ヒールの衝撃の中間部やトゥオフ部へのスムースな伝達を容易にして、良好なねじれ動作を可能としており、様々な異なる外骨格及び内骨格フレーム、ボディタイプ、切断手術患者の動作要求を実現し、腿と背筋下部の疲れや緊張を軽減する。
【0057】
結果としてJ型パイロン11は、好適には上側取り付け部12から下側すね部13やアンクル領域14まで均一な厚みを有する。図に示すソールプレート23の形状により滑らかに制御可能なトゥオフが実現する。さらに、このJ型パイロン11の形状と構造によれば、改良された製造方法により、上側すね取り付け部12からアンクル領域14まで、義足10全体の効果的な弾性及び反発エネルギーが提供され、従来の義足に必要な様々な特有の寸法的(幅及び/又は厚さ)なパイロンや、ヒールプレート/ソール部材の硬度を変化させることを不要としている。
【0058】
実施例において、アンクル領域14の下側面までのJ型パイロン11の長さは255mmから368mmの間で変更することができる。これはさらに、ソールを厚くしたり(最大20mm)、T型ブラケット18の頂部に伸長ウェッジを取り付けたり(3cm)、及び/又はソケット22の下側を伸長(最大7.5cm)したりして高くしてもよい。これらの方法により義足を長くしても、義足10の機能に影響することはない。典型例では、J型パイロンの幅は取り付け部12において45mmより大きくなっており、地点15から位置16まで(長さ80mm)外側にそれて幅67mmとなり、ここからアンクル領域14まで一定の幅である。典型例では、ソールプレート23の幅もまた67mmである。
【0059】
図5における穴24と図4における穴25の中心はソールプレート23のサイドエッジとアンクル領域からそれぞれ15mmの位置である。ソールプレート23の穴24はプレート23のフロントエッジから90mmから110mmの間に設けられ、アンクル領域14の穴25は、ソールプレート23の穴24に整列していることが望ましい。これにより、足のサイズを大きく又は小さくすることができる。上記の寸法位置は変更してもよいことが強調されるべきである。
【0060】
上側すね取り付け部12は、図3に示すように下側すね部の地点15から55mm以下とならないよう切断して、機能に影響を与えずに装着者の要求に合わせてもよい。J型パイロン11とソールプレート23はすべて、30kgから130kgまで10kgごとの重量クラス全体にわたり、ほぼ同じ厚みと幅である。これは本発明の新規な方法により実現する。
【0061】
本発明では、単一の寸法の型を用いてJ型パイロン11とソールプレート23を成形する。したがって、J型パイロンは各体重カテゴリのものが同じ厚み、幅、形、寸法である。同様に、ソールプレート23も各体重カテゴリのものが同じ厚み、幅、形、寸法となる。
【0062】
ソールプレート23のつま先部17とヒール部17Aは、つま先及び/又はヒールの強度を向上しつつもヒール衝撃長さ及び/又はトゥオフの下降動作を低減するのに適切な寸法まで削ることができる。
【0063】
図6を参照すると、カーボン又はガラス繊維30が、軸32に取り付けられ支持されたカーボンボビン31から繰り出されている。軸32はドラム36が繊維30を引っ張ると回転する。繊維30は、好適なエポキシ樹脂溶剤35が入った樹脂槽34に通される。樹脂槽34を通過した後、樹脂含浸繊維30Aは剥離紙、好ましくはシリコン被服した剥離紙を巻いて端部38と39を重ねた部分40において両面テープで接着したことによりドラム36上で連続する剥離紙37のシートが構成されたドラム36に巻き付けられる。樹脂含浸繊維30Aはその後ドラム36の回転に伴い剥離紙37上に巻き付けられる。ドラム36は、軸41に連結された適切な機械手段(図示せず)により駆動される。回転とともに、樹脂槽34と軸32は矢印A又はBで示す直線方向に移動し、樹脂含浸繊維30Aが剥離紙37上に(予め定めた繊維の範囲あたりの重量又は繊維密度となるよう)等間隔で巻かれ、連続ループ42から(図12に示す)中間プレプレグシート48Aが作成される。連続ループ42はそれぞれ、ドラム36の回転により剥離紙37に巻かれる際に前のループに重ねられる。この結果、受信含浸繊維30Aからなる完全に結合した中間プレプレグシート48A(図12)が形成され、この中間プレプレグシート48Aは剥離紙37から分離することができる。重なり合った樹脂含浸繊維30Aが、部分42Aのシート48Aとして最終的な外観が示されている。
【0064】
別の構成では、図7に示すように、樹脂槽34と軸32を固定してドラム36をABの方向に往復運動させ、図6と同じ結果を得るようにしてもよい。しかしながら、図6に示す構成の方が好ましい。
【0065】
図8,9,10に示すように、ドラム36には、細長い溝又はカット線43,44,45が設けられ、3つの角度でドラム36からコンポジットシート46を切り離せるようにしており、具体的には、これに限定するものではないが、図8に示すように軸41に対して0°又は平行なカットライン43か、図9に示すように軸41に対して60°のカットライン44か、図10に示すように軸41に対して45°のカットライン45である。(図8、9、10には示さないが)他の角度のカットラインを用いて一方向性のプレプレグの分断角度を定めてもよい。
【0066】
カットライン43,44,45又は他の角度のラインは、同じドラム36に設けられてもよいし、異なるドラム36に設けられてもよい。しかしながら、同じドラムに複数のカット線を設ける方が汎用性がありコスト面でも好ましい。
【0067】
図11−13は、カットナイフ47を用いて合成シート46をカットライン43に沿って切断し、中間プレプレグシート48Aを作成する状態を示す。中間プレプレグシート48Aは次にプレプレグ49として示す所望の形状寸法に切り出される。各中間プレプレグシート48Aは、図に示すように複数のプレプレグ49を切り出し可能な長軸又は0°のカーボン又はガラス繊維を具える。図13に示す例では、好適なデザインとしてプレプレグ49は細い部分50と太い部分51を具える。プレプレグ49を取り去るとシート48Aにギャップ52が残る。樹脂含浸フィラメント30Aは長軸又は0°で示されている。
【0068】
上述した処理の変形例として、プレプレグ49は繊維の長軸方向(すなわち0°)のみならず、プレプレグシート48Aを用いて横方向又は緯度方向(すなわち90°)としてもよい。
【0069】
図14では、合成シート46をカットライン44に沿って切っており、これにより図15に示す中間シート48Bは、折り目又は畳み目52,53,54,55とともに示されている。最初に部分58を折り目55に沿って矢印Eのように折り、次に部分59を折り目54に沿って矢印Fのように折る。続いて、部分57を折り目53に沿って矢印Dのように折り、最後に部分56を折り目52に沿って矢印Cのように折る。
【0070】
別の例では、部分59を折り目54に沿って矢印Fのように折る代わりに、部分60を折り目54に沿って矢印Gのように折るようにしてもよい。この工程を図16、17に示し、最終的に畳んだシート61(図17参照)を作成し、ここから図17に点線で示すように複数のプレプレグ62(図18参照)を切り出す。図18は、樹脂含浸繊維30Aの繊維が交差したプレプレグ62を示している。この交差繊維は部分56,57,60,59,58を線52,53,54に沿って谷折りにして得られる。
【0071】
最適な曲げ率、圧縮強さ、動的な耐久性、体重カテゴリごと(30−130kg)の縦方向及びねじれの剛性は、J型パイロン11とソールプレート23(図1)をカーボン/カーボン又はカーボン/ガラス繊維の組み合わせを変更し、繊維の面積あたりの重量や繊維の配向を変更して得ることができる。本発明の好適な実施例では、各体重カテゴリ(30−130kg)の薄板層の数はすべて同じである。
【0072】
好適なカーボン及びガラス繊維に固有の特徴及び物理的な強さは、材料構成、繊維の面積あたりの重量と繊維配向の構成に様々な可能性を与え、結果として好適な実施例における圧縮強さ、柔軟性、耐久性、動的耐久性、縦方向及びねじれの剛性を最適化することができる。カーボン繊維は、ガラス繊維に比較して引っ張り強さと引っ張り率が非常に高い。しかしながら、ガラス繊維は、強度では劣るが、柔軟性や耐疲労性が高い。構成においてカーボン繊維の含有率を高くしてガラス繊維の含有率を低くすると、好適な実施例の堅さと強さが向上し、ガラス繊維の含有率を高くすると柔軟性が高くなるが引っ張り強度が減少する。
【0073】
本発明の繊維配向は他の構成とすることができる。実施例において、J型パイロン11とソールプレート23の長軸方向又は主軸に0°に配置すると、ねじれ強さは弱いが剛性と圧縮強さが非常に高くなる。繊維の角度を例えば30°,45°,60°に変更すると、ねじれ強さが増すが、引っ張り強度や圧縮強さが減少する。カーボンとガラス繊維の本質的な物理性状は互いに大きく異なり、このため0°,30°,45°の角度でねじれ強さ、引っ張り強さ、圧縮強さが大きく異なるのは当然であり、これにより好適な実施例における各体重カテゴリの圧縮強さ、柔軟性、耐久性、動的耐久性、縦方向及びねじれの剛性は様々に設定、最適化することができる。
【0074】
J型パイロン11とソールプレート23の典型的なカーボン/カーボン又はカーボン/ガラス構成は、添付の表に示されている。
【0075】
本発明の方法によれば、繊維のすべてが完全に湿るよう樹脂に含浸され、適切にエポキシ樹脂に含浸される。実施例では、この方法によりカーボン及びガラスのプレプレグは35%−50%の樹脂成分を有する。これは商業的に入手可能なUDプレプレグより樹脂成分が多い。エポキシ樹脂は接着剤として作用し、各繊維をまとめて包み込んで束ねる。樹脂成分を多くすると成型時に十分な樹脂量が供給され、クロスリンキング工程が管理し易くなり、飛躍的に改良された樹脂/繊維基質を得ることができる。結果として、好適な実施例の強度と耐久性が向上する。
【0076】
従来の義足は、メインコアの外側層に連続的で不断の緯線編み込み又は角度付き編み込み繊維を有しねじれ強さを向上させたUD長繊維で構成されている。好適な実施例において(繊維配向が0°又は90°の)プレプレグ49と(繊維の配向が異なる)プレプレグ62を用いると、本発明の下肢補綴器具を含む成型品のまったく新しいコンセプト及び製造方法となり、これは従来技術の方法とは異なり唯一のものである。
【0077】
本発明において、プレプレグ49や62の製造方法で示したように、繊維フィラメントは連続的で不断のものである必要はない。このように連続的でないフィラメント繊維を用いることが本発明にかかる補綴器具の重要な特徴を構成することを記憶されたい。
【0078】
図19は、下肢補綴器具を含む成型品の製造に関する本発明の方法を示す好適なフローチャートである。エポキシ樹脂溶剤は樹脂、触媒、添加剤、溶媒を所定の割合で混合して作成される。このエポキシ樹脂溶剤は摂氏130°での硬化時間が30分の固形成分を60−70%有し、丈夫で、曲げやすく、熱に安定で、化学耐性があり、カーボンやガラスとの結束強度が高く、本発明への利用に適した樹脂である。
【0079】
本発明の方法により、カーボン及び/又はガラスの一方向性のプレプレグを、範囲あたりの繊維重量(1平米あたり60−300g)、樹脂量(重量の35−50%)、繊維の向きにおいて幅広い選択肢から作成することができ、これを用いて、材料成分、範囲あたりの繊維重量、繊維の配向、樹脂量を”選択・調整”する融通性を得ることができる。
【0080】
実施例では、本発明の好適な方法で使用されるカーボン及びガラス繊維は、高強度繊維である。好適なドラム巻き付け技術により樹脂含浸工程で繊維のすべてが湿らされ適切にエポキシ樹脂に含浸される。樹脂含浸工程での樹脂の粘性を細かく管理することにより、樹脂量を+2%内に管理することができる。樹脂量を制御し安定させると、圧縮強さ、耐久性、動的耐久性、屈曲率、縦方向及びねじれの強さが好適に維持される。
【0081】
中間プレプレグシート48Aと、折り畳んだ最終プレプレグシート61は、オーブンで強制的に乾燥させて、エポキシ樹脂中の溶剤や他の所望しない揮発成分を除去してもよい。強制乾燥によりプレプレグシートの粘着度がとれ、扱いやレイアップ工程に適切となる。オーブンの設定は、50−65℃で乾燥時間が3−4時間が適切である。この乾燥工程の後、各中間プレプレグシート48A及び折り畳んだ最終プレプレグシート61の重量を量り、適切にプレプレグ49又はプレプレグ62を切り出す。
【0082】
乾燥工程の後の中間プレプレグシート48Aと折り畳んだ最終プレプレグシート61の計量は、本発明のプロセスにおいて望ましい要素である。これにより樹脂量が多すぎたり少なすぎたりするプレプレグを抽出し、成型したJ型パイロン11又はソールプレート23の重量が比較的一定となるようこれらのプレプレグを適切に組み合わせる。例えば、樹脂量が多いプレプレグを別の樹脂量が少ないものと組み合わせてレイアップ工程に使用する。
【0083】
プレプレグ49やプレプレグ62の層を圧縮型枠内にそれぞれ重ねてレイアップし、圧縮型を135℃−150℃(より好ましくは140℃)に加熱しつつ、好ましくは200mm径の流体圧ピストンを用いて200kg/cm2で液圧プレスする。
【0084】
硬化後、成型品を型から取り出し、組み立て及び最終化粧工程にまわす。
【0085】
上述した本発明の成型品は、重量に拘わらず同じ寸法形状の型枠から作成することができ、この特徴は本発明の成型品の好適な実施例にかかるJ型パイロンやソールプレートにも適用することができる。
【0086】
以上記載したが、本発明の方法によれば、上記説明から明らかなように従来技術からみて飛躍的に進歩した義足が提供される。
【実施例1】
【0087】
J型パイロンの製造に関連して、プレプレグ49及び62のレイアップ又は重畳の好適な方法を以下に記載する。
【0088】
すべての体重カテゴリ(30−130kg)において、好適な方法では層の数(58)は同じであり、各体重カテゴリで様々な曲げ率となるよう繊維の重なりと向きを変化させている、すなわち:
30乃至40kg−パイロン345g±5g、60°の繊維が38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
40乃至50kg−パイロン345g±5g、60°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
50乃至60kg−パイロン345g±5g、45°と60°の繊維が38層の組み合わせと、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
60乃至70kg−パイロン345g±5g、45°と60°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
70乃至80kg−パイロン345g±5g、45°の繊維が38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
80乃至90kg−パイロン345g±5g、45°の繊維が38層と、0°の繊維が20層の組み合わせ。
90乃至100kg−パイロン345g±5g、30°と45°の繊維の組み合わせが38層と、0°と90°の繊維が20層の組み合わせ。
100乃至110kg−パイロン345g±5g、30°と45°の繊維の組み合わせが38層と、0°の繊維が20層。
110乃至120kg−パイロン345g±5g、30°の繊維が38層と、0°と90°の繊維の組み合わせが20層。
120乃至130kg−パイロン345g±5g、30°の繊維が38層と、0°の繊維が20層。
【0089】
各パイロンのカテゴリ(30−130kg)について、カーボン/カーボンプレプレグのレイアップの重ね方は同じことが好ましい。すなわち、38層の角度付き繊維と20層の0°と90°の繊維の組み合わせをでなる58層のパイロンでは、レイアップ順序は、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を8層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを6層、0.12mmのFAW(Fibre Area Weight:面積あたりの繊維重量)100の角度付きカーボン繊維を10層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを6層、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を10層、0°と90°の組み合わせで0.15mmのFAW150のカーボンを8層、0.12mmのFAW100の角度付きカーボン繊維を10層となる。
【実施例2】
【0090】
カーボン繊維の角度(0°、30°、45°、60°、90°)とガラス繊維の角度(30°、45°、60°)の組み合わせ、繊維の長さの変更、繊維の配列(横、横断、斜め方向)、カーボン層の厚みの組み合わせ(0.12mmFAW100g/m2と0.15mmFAW150g/m2)、及び/又はガラス繊維の厚み(0.16mmFAW126g/m2)により、ソールプレートにおいて、各体重カテゴリ(30−130kg)で曲げ率、動的耐久性、圧縮強さ、縦方向及びねじれの剛性を最大限にすることができる。
【0091】
上述の各体重カテゴリ(30−130kg)では、カーボン又はカーボン/ガラスを組み合わせてなる繊維のソールプレート全体において、層の数(52)は等しいことが望ましい。レイアップ順序と、カーボン/カーボン及びカーボン/ガラス双方の繊維配向を変えることにより、各体重カテゴリにおける曲げ率を変更することができる。すなわち:
30乃至40kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
40乃至50kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
50乃至60kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス70%/30%。
60乃至70kg−ソールプレート190g±5g、カーボン/ガラス50%/50%。
70乃至80kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
80乃至90kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
90乃至100kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
100乃至110kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
110乃至120kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
120乃至130kg−ソールプレート190g±5g、カーボン100%。
【0092】
以下の体重カテゴリ(30−130kg)のソールプレートでは、カーボン/カーボン及びカーボン/ガラスのプレプレグのレイアップ順序は、プレプレグ49及び62に関し:
30乃至40kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を16層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を26層。
40乃至50kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を16層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を26層。
50乃至60kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を26層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を16層。
60乃至70kg−FAW100で0.12mmの60°カーボン繊維を26層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを10層、FAW126で0.16mmの60°ガラス繊維を16層。
70乃至80kg−FAW100で0.12mmの45°と60°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを16層。
80乃至90kg−FAW100で0.12mmの45°と60°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
90乃至100kg−FAW100で0.12mmの45°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°と90°を組み合わせたカーボンを16層。
100乃至110kg−FAW100で0.12mmの45°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
110乃至120kg−FAW100で0.12mmの30°と45°を組み合わせたカーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
120乃至130kg−FAW100で0.12mmの30°カーボン繊維を36層、FAW150で0.15mmの0°カーボンを16層。
【0093】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の実施例にかかる補綴器具を後側から見た斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の補綴器具を義足ソケットに装着した側面図である。
【図3】図3は、補手つき具の義足ソケットを取り外して取り付けブラケットを除去した正面図である。
【図4】図4は、図2のA−A線における平面図である。
【図5】図5は、ソールプレートの平面図である。
【図6−7】図6及び図7は、本発明の方法におけるステップ(a)と(b)を図示した斜視図である。
【図8−10】図8−10は、図6、7に示す本発明の方法で用いるドラムであって、カットライン又は溝の方向が異なるドラムを示す図である。
【図11−13】図11−13は、超軸方向に繊維を配置したプレプレグ材の形成手法を示す図である。
【図14−18】図14−18は、繊維を交差配向させたプレプレグ材の形成手法を示す図である。
【図19】図19は、本発明にかかる方法の一般的なフローチャートを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型品の製造方法であって:
(a) 非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;
(b) ステップ(a)で作成したシートから複数のプレプレグを切り出すステップと;
(c) ステップ(b)で得られたプレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと;
(d) 高温下で圧縮成型するステップと;
(e) 圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ステップ(a)は、ドラム巻き付け技術を用いて前記含浸させた繊維をドラムに巻き付け、ドラム表面の剥離紙上に繊維で前記繊維でなる中間コンポジットシートを作成し、前記剥離紙を取り外す際に、前記ドラム上に形成された中間シートをカットすることにより前記ステップ(a)のシートを得ることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、ホットメルト技術を用いて、溶融させた樹脂に含浸した繊維を、連続シートとして構成された剥離紙上に敷いてロールとして蓄積することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、ステップ(a)のシートの繊維がすべて同一又は類似の向き又は方向であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、ステップ(b)の各プレプレグの繊維がすべて縦方向に配列されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、ステップ(b)で折り重ねステップを行って各プレプレグの繊維の配向が交差するよう配置されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、ステップ(b)で中間シートは15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択される多種の異なる角度にカットされ、前記プレプレグに折り畳まれる前の最終的なシートの両側が垂直に対し等しい角度の斜度を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記角度が30°と45°から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法において、ステップ(c)のプレプレグの積層体が、縦方向及び/又は横方向に配列された繊維でなるプレプレグと交互に交差する配向の繊維のプレプレグでなることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記中間シートが縦方向及び/又は横方向に配列された繊維で形成され、四角形又は正方形のシートをなすことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項2に記載の方法において、前記中間シートは、前記ドラムの外側面に形成されたカット線又は溝であって、その角度が、繊維が交差するプレプレグでは15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択されたものであり、縦方向と横方向の繊維のプレプレグでは0°である線又は溝により実現することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、ステップ(d)は、異なる重量又は成型品の異なる体重カテゴリ用でも同じ寸法形状の型枠を用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
成型品であって、当該成型品が熱硬化性エポキシ樹脂に含浸した非金属繊維でなる複数の層を具えるコンポジット材料で形成されており、当該成型品の少なくとも一部が、不連続又はカットされた繊維であって少なくとも一部が交差するよう配列された繊維で形成されていることを特徴とする成型品。
【請求項14】
請求項13に記載の成型品であってパイロンに成形された成型品。
【請求項15】
請求項13に記載の成型品であってJ型パイロンに成形された成型品。
【請求項16】
請求項13に記載の成型品であってソールプレートに成形された成型品。
【請求項17】
請求項13に記載の成型品であって、ソールプレートに取り付けられたJ型パイロンの組み合わせでなり、全体で義足をなす成型品。
【請求項18】
請求項13に記載の成型品において、パイロンの少なくとも外側が、縦方向及び横方向に交差する繊維の層を交互に重ねて形成されていることを特徴とする成型品。
【請求項19】
請求項15に記載の成型品において、前記J型パイロンは上側すね取り付け部と、下側すね部と、アンクル領域とを具えることを特徴とする成型品。
【請求項20】
請求項19に記載の成型品において、前記上側すね取り付け部の幅がほぼ一定であることを特徴とする成型品。
【請求項21】
請求項19に記載の成型品において、前記下側すね部の幅が、前記アンクル領域に近づくにツレ外側に拡がることを特徴とする成型品。
【請求項22】
請求項19に記載の成型品において、前記アンクル領域の下側又は自由端部に近接する位置は僅かに凹面に曲げられていることを特徴とする成型品。
【請求項23】
請求項16に記載の成型品において、前記ソールプレートは前記J型パイロンのアンクル領域に比較して実質的に幅が広いことを特徴とする成型品。
【請求項24】
請求項16に記載の成型品において、前記ソールプレートはヒール部とつま先部を具えることを特徴とする成型品。
【請求項25】
請求項23に記載の成型品において、前記ソールプレートはヒール部とつま先部とを具え、前記ヒール部は前記アンクル領域に接合する箇所が相補的又は対応するよう曲げられていることを特徴とする成型品。
【請求項26】
請求項13に記載の成型品において、重量に拘わらず同じ寸法と形状であることを特徴とする成型品。
【請求項27】
樹脂に含浸した複数の非金属繊維を互いに平行に配列してなり、前記繊維の少なくとも一部が同じ長さにカットされていることを特徴とするプレプレグ。
【請求項28】
樹脂に含浸した複数の非金属繊維を切り出して形成され、前記繊維の少なくとも一部が互いに交差していることを特徴とするプレプレグ。
【請求項1】
成型品の製造方法であって:
(a) 非金属繊維をエポキシ樹脂に含浸して、当該繊維が1枚のシートをなすよう整列させるステップと;
(b) ステップ(a)で作成したシートから複数のプレプレグを切り出すステップと;
(c) ステップ(b)で得られたプレプレグを、圧縮成型の型枠内に堆積するよう積層するステップと;
(d) 高温下で圧縮成型するステップと;
(e) 圧縮枠から成型品を取り出すステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ステップ(a)は、ドラム巻き付け技術を用いて前記含浸させた繊維をドラムに巻き付け、ドラム表面の剥離紙上に繊維で前記繊維でなる中間コンポジットシートを作成し、前記剥離紙を取り外す際に、前記ドラム上に形成された中間シートをカットすることにより前記ステップ(a)のシートを得ることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、ホットメルト技術を用いて、溶融させた樹脂に含浸した繊維を、連続シートとして構成された剥離紙上に敷いてロールとして蓄積することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、ステップ(a)のシートの繊維がすべて同一又は類似の向き又は方向であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、ステップ(b)の各プレプレグの繊維がすべて縦方向に配列されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、ステップ(b)で折り重ねステップを行って各プレプレグの繊維の配向が交差するよう配置されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、ステップ(b)で中間シートは15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択される多種の異なる角度にカットされ、前記プレプレグに折り畳まれる前の最終的なシートの両側が垂直に対し等しい角度の斜度を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記角度が30°と45°から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法において、ステップ(c)のプレプレグの積層体が、縦方向及び/又は横方向に配列された繊維でなるプレプレグと交互に交差する配向の繊維のプレプレグでなることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記中間シートが縦方向及び/又は横方向に配列された繊維で形成され、四角形又は正方形のシートをなすことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項2に記載の方法において、前記中間シートは、前記ドラムの外側面に形成されたカット線又は溝であって、その角度が、繊維が交差するプレプレグでは15°、221/2°、30°、45°、60°の群から選択されたものであり、縦方向と横方向の繊維のプレプレグでは0°である線又は溝により実現することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、ステップ(d)は、異なる重量又は成型品の異なる体重カテゴリ用でも同じ寸法形状の型枠を用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
成型品であって、当該成型品が熱硬化性エポキシ樹脂に含浸した非金属繊維でなる複数の層を具えるコンポジット材料で形成されており、当該成型品の少なくとも一部が、不連続又はカットされた繊維であって少なくとも一部が交差するよう配列された繊維で形成されていることを特徴とする成型品。
【請求項14】
請求項13に記載の成型品であってパイロンに成形された成型品。
【請求項15】
請求項13に記載の成型品であってJ型パイロンに成形された成型品。
【請求項16】
請求項13に記載の成型品であってソールプレートに成形された成型品。
【請求項17】
請求項13に記載の成型品であって、ソールプレートに取り付けられたJ型パイロンの組み合わせでなり、全体で義足をなす成型品。
【請求項18】
請求項13に記載の成型品において、パイロンの少なくとも外側が、縦方向及び横方向に交差する繊維の層を交互に重ねて形成されていることを特徴とする成型品。
【請求項19】
請求項15に記載の成型品において、前記J型パイロンは上側すね取り付け部と、下側すね部と、アンクル領域とを具えることを特徴とする成型品。
【請求項20】
請求項19に記載の成型品において、前記上側すね取り付け部の幅がほぼ一定であることを特徴とする成型品。
【請求項21】
請求項19に記載の成型品において、前記下側すね部の幅が、前記アンクル領域に近づくにツレ外側に拡がることを特徴とする成型品。
【請求項22】
請求項19に記載の成型品において、前記アンクル領域の下側又は自由端部に近接する位置は僅かに凹面に曲げられていることを特徴とする成型品。
【請求項23】
請求項16に記載の成型品において、前記ソールプレートは前記J型パイロンのアンクル領域に比較して実質的に幅が広いことを特徴とする成型品。
【請求項24】
請求項16に記載の成型品において、前記ソールプレートはヒール部とつま先部を具えることを特徴とする成型品。
【請求項25】
請求項23に記載の成型品において、前記ソールプレートはヒール部とつま先部とを具え、前記ヒール部は前記アンクル領域に接合する箇所が相補的又は対応するよう曲げられていることを特徴とする成型品。
【請求項26】
請求項13に記載の成型品において、重量に拘わらず同じ寸法と形状であることを特徴とする成型品。
【請求項27】
樹脂に含浸した複数の非金属繊維を互いに平行に配列してなり、前記繊維の少なくとも一部が同じ長さにカットされていることを特徴とするプレプレグ。
【請求項28】
樹脂に含浸した複数の非金属繊維を切り出して形成され、前記繊維の少なくとも一部が互いに交差していることを特徴とするプレプレグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−504962(P2007−504962A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500835(P2005−500835)
【出願日】平成15年6月25日(2003.6.25)
【国際出願番号】PCT/AU2003/000796
【国際公開番号】WO2004/113058
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505469654)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年6月25日(2003.6.25)
【国際出願番号】PCT/AU2003/000796
【国際公開番号】WO2004/113058
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505469654)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]