成形パッキング要素を備えた制御弁
流動範囲において、非対称的な強度を有する双方向の流れを可能にする、成形パッキング要素を備えた制御弁。パッキング要素(1)は、弁ハウジング(2)内の第2の表面に接触してもよい第1の表面を有する。パッキング要素(1)は、前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)が互いに接触する第1の位置、および前記第1の表面(3)と前記第2の表面(4)が互いに離れている第2の位置を有する。2つの表面(3、4)のうち少なくとも1つは欠損部(5)を備え、その欠損部によって、前記パッキング要素(1)が、第1の位置にあるとき、前記接触する第1の表面(3)と第2の表面(4)との間に第1の流れの断面が確保され、その断面は、前記パッキング要素が第2の位置にあるときに、前記パッキング要素(1)によって確保される第2の流れの断面よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖するための第1の表面および第2の表面から構成される装置に関する。この装置は、制御弁およびこの種の制御弁での使用に適合する。具体的には、本発明は、流動範囲において可能な非対称的な強度を有する双方向の流れを生成する成形パッキング要素を備えた制御弁に関する。このパッキング要素は、弁ハウジング内に形成される第2の表面に接触することができる第1の表面を備える。当然、この非対称的な流速は、例えばピストンシステムで使用された場合に、ピストンに接続されている構成要素(例えば、閉鎖要素、拘束部材、衝撃吸収材)の動きおよび動きの速度を制御できる。
【背景技術】
【0002】
互いに接触する一対の表面によって、流体物質の流れを制御するように構成された解決手段が公知である。この解決手段は、流れる物質の中に存在するごみによって流動範囲が詰まらないようにする一方で、所定のタイミングまたは他の時間変化制御に基づいて、液体物質または気体物質の流れを制御し供給することを確実にする。特許文献1は、このような供給のための解決手段を開示している。同様の目的に対する解決手段は、特許文献1において提案されており、硬質および弾性の材料から形成された互いに接触する一対の表面がピストンパッキングに使用されている。上述の公報における発明者は、本発明の発明者と同一人物である。
【0003】
上述の第2の解決手段によれば、一対の表面は、一方が弾性材料から形成され、他方が硬質の材料から形成されている。2つの表面のうち少なくとも1つの表面は、流れを確保するための例えば、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、ざらつきまたはその組み合わせを備え、それによって特許文献1に提示された制御の課題を解決することができる。
【特許文献1】米国特許第7,175,154号明細書(ハンガリー特許出願P0104144に基づく)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この解決手段にはまだ不都合がある。弾性および硬質の一対の接合面は、主にピストンで使用されることが意図され、不必要に複雑な構造を必要とするためである。したがって、ピストンを用いずに双方向の流れを制御できる解決方法が必要とされている。これは、例えば、タイミングまたは供給の課題を解決することを意図する装置の場合に必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、互いに接触する第1の表面および第2の表面が閉鎖のために使用される。この2つの表面のうち少なくとも一方の表面は、欠損部を設けて形成される。第1の状態で表面が互いに接触している場合において、その欠損部は、表面が互いに接触しない開いた第2の状態に比べて数桁小さいが明確な物質の流れを確保する。動きが制限された成形パッキング要素によってこの種の構造体の具現化が実現された。
【0006】
この目的に向けた制御弁は、適した成形パッキング要素を有し双方向の非対称的な液体の流れを可能にする制御手段であり、制御する流動範囲の流入部および流出部に連通している。流動範囲を流れる物質は液体または気体である。
【0007】
成形パッキング要素は、その動きが制限される閉鎖空間に配置される。この閉鎖空間は、多様な幾何学的な形状を有していてよく、例えば、円筒形、円錐形であってよく、または他の形状をとることができる。成形パッキング要素は、この空間内において、第1の位置と第2の位置との間で動くことができる。パッキング要素は、この第1の位置で弁ハウジング内の表面に接触する。以下、この表面を第2の表面という。これらの第1の表面および第2の表面は、略平面または少なくとも滑らかな表面である。更に、2つの表面のうち少なくとも1つの表面には1つ以上の欠損部が形成され、第1の位置の場合であっても、極めて小さい流動範囲を確保する。これを第1の流れの断面という。
【0008】
本明細書中において欠損部は、上述のように、例えば、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、ざらつきまたはその組み合わせであってよい。欠損部は、平面および滑らかな表面に形成されるが、初めから粗面の、または粗面化された表面でも、第1の流れの断面を確保することができる。
【0009】
成形パッキング要素が、そこに作用する力(例えば、圧力差)によって第1の位置から動くと、限定空間によって特定される第2の位置に移動する。この第2の位置において、(以前は第1の流動範囲を有していた)流路は開放される。つまり、流動範囲は自由な流れを可能にする第2の流れの断面に相当する程度まで増大する。第2の流れの断面は、第1の流れの断面よりも数倍、好ましくは数桁大きい。後者は、著しく異なる期間または物質量の流れが作動サイクルにおいて予定されている場合に有利である。例えば、緩衝装置、動作調整器および調速器、ドア制御、減衰装置、トイレの貯水槽、プッシュボタン式水栓、他の液体供給器ならびに制御弁などの場合である。
【0010】
作動サイクルとは、液体供給弁の場合、液体の一用量の配分を意味する。その一方で、緩衝装置、ドア制御などの場合は、作動サイクルとは、初期位置へ初回復帰するまでの工程を意味する。
【0011】
物質が流れるための小さい管路が小さな穴である公知の解決手段では、とりわけ備えられた小さい穴における物質の流れが一定方向の場合には、管路は、不可避的に存在する固体の混入物によって必然的に詰まる。更に、穴詰まりが起これば、小さな穴の掃除は非常に複雑である。したがって、自浄式のおよび/または容易な保守管理の可能性が要求される。
【0012】
公知の解決手段とは異なり、本発明に係る小さい管路は、2つの密着した半体から形成され、これらは各作動サイクルの間において開口する。つまり、半体の一方を形成するパッキング要素は、その第1の位置および第2の位置の両方に位置づけられる。開いた第2の位置は、サイクルにおいて大きな流れを提供する。パッキング要素によって確保された第1の流れの断面に平行するように配置された付加的な一方向弁を本発明に係る制御弁が含む場合は、それは置き換えることができる。この場合、制御弁の作動サイクルの間において、流れの方向によって、ほぼ完全に閉まった状態、または流れの第3の断面のどちらかが確保される。ここで、流れの第3の断面は、第1の流れの断面よりも数桁大きい。この場合、パッキング要素は、第1の位置だけをとり、第1の流れの断面を確保する。小さい管路の境界を形成する半体は開口しないため、流れはおそらく詰まる混入物を洗浄することができない。そこで、パッキング要素と呼ぶ半体のうちの一つは、保守管理手段または装置によって、その第2の位置へ動かすことができる。これは、押されたときに第2の表面を形成する他方の半体からパッキング要素を引き離す機械バネ手段であってよく、それを解放した後は、パッキング要素はその閉じた第1の位置に戻る。
【0013】
パッキング要素が弾性材料で形成される場合、第1の流れの断面は、外側(両側)の圧力状況によって異なり得る。これは、弾性パッキング要素は、連携した接触する硬質の表面内で、弾性パッキング要素の両側間の圧力差に比例する程度まで押されるからである。したがって、弾性パッキング要素は、ある程度の制御作業に適合することができる。この目的において、欠損部は、適切なサイズおよび形状でなければならない。欠損部は、パッキング要素の弾性材料、つまり第1の表面、および/または硬い第2の表面内に形成することができる。
【0014】
なお、パッキング要素に作用する力は、パッキング要素の両側間の圧力差から影響を受けるだけでなく、他の要因からも影響を受けてよいことに注意しなければならない。流入空間および流出空間がパッキング要素によって封鎖されている場合、その中の圧力は異なり得る。パッキング要素に作用するベクトルの合力を定義するには、作用が及ぶ側の圧力に、連携するパッキング要素の表面の大きさを乗じる。
【0015】
更に、パッキング要素または機械的に組み込まれた構成要素は、外部手段(例えば、バネ)を備えてよい。この外部手段の力は、圧力および表面による力に加えられる。更に、これは外部要素(例えば、プッシュボタン、または供給弁の場合、例えばロッドなどの機械的動作要素であってよい)によって、手動または機械的に作動させることができる。
【0016】
成形パッキング要素は、例えば、弾性材料(例えば、ゴムもしくはプラスチック)またはより硬い材料(例えばセラミック材料)から形成された簡単な平面形状を有してよい。弁ハウジングに形成される第2の表面の材料は、金属、セラミック、プラスチックまたは他の材料であってよい。本発明に係る欠損部は、これらの表面のうち少なくとも一方に設けられる。この欠損部は、弁ハウジング内の第2の表面、または第2の表面に連携する成形パッキング要素の表面(つまり、第1の表面)に形成されてよい。欠損部は、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、構造化された粗面などとして形成されてよい。重要な点は、適切な制御された流れの断面が確保されなければならないことである。必然的に、欠損部は、成形パッキング要素の中にも形成されてよい。欠損部が両方の表面に存在する場合、流れの断面は、例えば流速に応じて制御されてよい。例えば、横断方向の欠損部は、より速い流れでの乱流または渦をもたらす。つまりこれは、許容可能な流量が両側間の圧力差に対して非直線的に比例することを意味する。
【0017】
更に、成形パッキング要素は、所定の範囲内での移動を確保する空間に配置されるディスク形状またはプリズム形状であってよい。この場合、第2の位置にあるパッキング要素の周囲に生成された流路は、実質的には制約されない流れを可能にする。
【0018】
更に、成形パッキング要素は球形状であってもよい。この場合、第1の接触面は、中心部の位置を確保し、球形状のパッキング要素が第2の位置へ動いたときに対称的な流れ範囲も確保する球形状のパッキング要素の第2の接触面を受けるための漏斗形状であることが好ましい。あるいは、球形状のパッキング要素は円錐形状体と置き換えてもよい。
【0019】
上述の接触面を備える制御弁は、主流路の外に配置されてもよく、または物質の流れを制御する要素から離して配置されてもよい。制御弁と流れを制御する物質との間の接続は、主流路よりも大幅に細い管路を通して確保することができる。つまり、制御弁は、主流を制御する要素の接続点に接続された並行する分岐として設置することができる。したがって、制御機能は、有効な流れの断面を確保する主機能から分離されていてよい。
【0020】
双方向の非対称的な流れを確保する本発明に係る制御弁は、より小さい交換可能な要素として主流路に配置することができる。例えば、比較的大きいピストン(膜、閉鎖要素)の穴に配置することができる。この場合、小さい制御弁は、ピストン全体(膜、閉鎖要素)の代わりに設置することができる。この解決手段は、例えば緩衝装置、工業用の弁の用途において有利である。
【0021】
なお、その場所にかかわらず、この種の制御弁は、一方が他方よりも実質的に小さい流れの断面を確保する2つの異なる位置を常にとることができる。同時に、流れの方向も異なる。この効果は、作動サイクルの間または保守管理の間に接触面が開かれたときに、小さい断面におそらく詰まる混入物が、第2の位置において、特に流れの方向が変化するときに除去されるということである。したがって、この弁は自浄できるようになる。
【0022】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0023】
図面における同じ要素は、同じ参照番号によって示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1において、パッキング要素1は、弁ハウジング2内に配置されている。このため、パッキング要素1は、弁ハウジングの中に形成された第2の表面4と制限部材6との間で動くことができる。パッキング要素1は、幾何学的に適切に配置された場合、形成された限定空間の中から外れることはできない。図1Bおよび図1Cに示すように、パッキング要素1の第1の表面3は、弁ハウジング2の第2の表面4に接触する。そして、図1A、図1Bおよび図1Cにおいて様々な形で示される欠損部5は、接触する第1の表面3と第2の表面4との間で与えられた範囲での流れを確保する。
【0025】
図2Aにおいて、欠損部5が第1の表面3に形成されている同様のパッキング要素1を示す。この場合、パッキング要素1は、弾性材料から形成されている。欠損部5は、放射状または略放射状の通過チャネルとして形成されている。パッキング要素1の両側に存在する圧力差に起因して、このチャネルは圧縮され得る。つまり、小さくなる。図2A、図2B、および図2Cにおいて、増大した圧力P1、P2およびP3は、上方より順番に加えられるため、欠損部5(この場合はチャネル)により提供される断面A21、A22およびA23は、それぞれ順に小さくなる。
【0026】
図3Aにおいて、制限部材6によって境された空間の中で所定の範囲まで動くことができるプレートとして形成されたパッキング要素1を示す。パッキング要素1が上方の位置にある場合、この移動は実質的には妨げのない流れを作る。パッキング要素1が下方の位置にある場合、パッキング要素1は、弁ハウジング2の内側のフランジに形成され、且つ欠損部8を備える環状の支持面に接触する。欠損部8は、弓なりのチャネル内に急勾配の切り込みが形成されている点で上述の欠損部5とは異なる。弾性のパッキング要素1は、圧力P2またはP3が上方より加えられると、弓なりのチャネルの断面を部分的にまたは全体的に埋めることができるが、急勾配の切り込みは埋めることができない。当然、埋めることができる成形部またはできない成形部は、互いに離して配置してよい。したがって、断面A21、A22およびA23は順に縮小する。しかしながら、最も小さい断面はゼロよりも大きい。これは、図3B、3Cおよび3Dに図示する。
【0027】
図4Aおよび図4Bは、部分的に誘導されるT形状の断面を有する制御栓の2つの位置を示す。制御栓2は、環状のパッキング要素1、好ましくは頭部に適合したOリングを含む。制御栓9の内壁において、欠損部5は、頭部および首部の両方に形成される。この欠損部5は、パッキング要素1の真下の所定の流れS4Aを確保する。装置が閉じた状態(図4A)の場合、弁ハウジング2とパッキング要素1との間の流れS4Aだけが可能となる。図4Bにおいて、制御栓9は、例えばプッシュボタン、保守用棒などによって外部から加えられた力Fによりパッキング要素1から離され、流れS4Bによって弁ハウジング2に固定されたままになる。このとき、欠損部5に詰まった混入物は、通りすぎる流動物質と一緒に離れることができる。つまり、自浄することができる。
【0028】
図5Aに示す実施形態は、図4Aに示す実施形態と似ているが、欠損部5は制御栓9の側壁に形成する代わりに、弁ハウジング2の環状の首部に形成されている。このようにして、制限された流れS5Aが確保される。パッキング要素1は、制御栓9に固定されるため動くことはできない。このようにして、力Fが外部から(プッシュボタン、保守用棒などによって)加えられると、パッキング要素1は欠損部5から離れ、蓄積した混入物の妨げのない離脱を可能にするより大きな流れS5Bを確保する(図5B)。図5Cでは、逆方向の流れから生じる圧力Pによって、制御栓9の移動が起こっている。先端が二重の矢印は、これより前のどの流れよりも流れS5Cが大きいことを示し、混入物は確実に離脱する。
【0029】
なお、図4および図5の力Fを重力に置き換えて制御栓9を動かしてもよいことに留意すべきである。この場合、この装置は斜めに配置される。その結果として、流れから開放された空間に存在する液体よりも大きい比重を有する制御栓9が下方へ動くことができる。制御栓9の効果的な比重および設置の方向を選択することによって、重力および揚力に基づいて、自己制御を実現することができる。つまり、これらの力によって、パッキング要素1の第1の位置と第2の位置との間の変化が発生する。
【0030】
上述のように、一部の場合においては、制御弁の機能は主流路から分離されていてもよい。図6A、図6Bおよび図6Cにおいて、3つの動作段階、すなわち閉じた状態、開いた状態、および半分開いた状態(再度閉じる前の状態)を示し、例示する。この装置では、ダブルピストン13が主流路14に配置されている。パッキングリングを備えたダブルピストン13の共通のピストンロッドは動くことができるため、小さいほうのピストンが主流路14を閉じるか、または開く。小さいピストンと一緒に動く大きいほうのピストンは、閉じた空間の容積を変化させる。この閉じた空間は、物質で完全に満たされる。この場合は液体である。制御された弁12を開けることによって、液体はチャンバから流出する。補充は、管路21を通って主流路14に接続する本発明に係る制御弁11によって実行される。この場合、非対称的な双方向の流れが、制御弁11によって確保される。例えば、制御された弁12によって閉じた空間が空になると、ダブルピストン13は図6Bに示された位置をとり、主流路14から流速を決定する制御弁11を通って、空間はゆっくりと補充される。小さいほうピストンが閉まると、主流路は封鎖される。この状態に近づいているダブルピストン13の動きを、図6Cに示す。
【0031】
実質的に同じ装置は、緩衝装置およびドア制御装置に使用することができる。これらの場合も、制御弁の機能は主流路から分離されていてもよい。これらに対する例は、図11Aから図11Cを参照して後述する。
【0032】
図7Aにおいて、パッキング要素15が球形状である制御弁を示す。球形状の制御弁の外面が第1の表面である。これと対をなすものとして、第2の表面であり、かつ欠損部5を含む弁ハウジング2の漏斗形状部がある。この場合、球の表面に破損部5を形成することは、球の向きが変わることがあるため、適切ではない。しかしながら、閉鎖された位置において必要な流れの断面を確保するためには、均一な粗面処理が可能である。図7Aに示すように、この状態では流れはほぼ制約されないが、一方で、図7Bには制限された流れの状態が示されている。当然、漏斗形状ではない構造においても実現可能である。
【0033】
図8Aにおいて、球形状のパッキング要素15および放射状の欠損部5を備える第2の表面16を上から見た図を示す。例えば3つの欠損部5のような複数の欠損部が互いに等距離に形成された場合、閉鎖された位置、つまり第2の位置において、流動容量は増大する。これは、図8Bに示される。
【0034】
図9において、円錐形状を有するパッキング要素17を示す。他の構成要素は、図7Aおよび図7Bを参照して説明したものと同じである。
【0035】
図10Aにおいて、図4に示す装置に似ている装置が示されているが、ここでは、制御弁の作動サイクルの間において、第1の表面および第2の表面が離れることはない。この場合、本発明の有利な点である自浄の可能性は確実にはならない。しかしながら、この装置は、修理や保守管理の間においても装置を分解せずに、第1の表面および第2の表面を離すことができるように、2つの部分から構成される。同心のパッキング要素18は、弁本体20の首部22に固定される。パッキング要素18は、円錐形の可撓性のフランジ19を有する。この可撓性のフランジ19は、下方の空間よりも上方の空間の圧力の方が高い場合に、弁ハウジング2に接して押しつけられる。逆に、下からの圧力の方が高い場合、可撓性のフランジ19は弁本体20の中心点に向かって内側に曲がるため物質が流れるようになる。第2の表面4は、弁本体20の首部に形成される。一方、パッキング要素18の内側および下方の表面が第1の表面3である。物質の下降流を発生させることができる欠損部5は、これらの表面のうち1つの上に、好ましくは弁本体20の首部22に形成される。図10Bは、同じ装置を上から見た図を示す。保守管理の間に、弁本体20を軸に沿って動かすことによって、図4と同様に、パッキング要素18を首部22の長手方向に沿って異なる位置に移動することができる。このようにして、洗浄が実行される。
【0036】
図11Aから図11Cに示す実施形態は、緩衝装置、ドア制御装置および同様の装置に使用することができる。主ピストン23は、ピストン23の前端部および後端部付近の空間の間にあるフィードバック流路25を通って流れることができる気体または液体物質で満たされたシリンダ24の中を移動する。ピストン23が2つの方向に動くときの速さは、著しく異ならなければならない。図11Aにおいて、本発明に係る制御弁11はフィードバック流路25に配置されている。図11Bにおいて、制御弁はシリンダ24の一方の後端部に配置されている。最後に、図11Cに示す実施形態では、比較的小さい制御弁11が主ピストン23の中に取り付けられている。この場合、フィードバック流路25は、閉鎖要素26により閉鎖されなければならない。フィードバック流路25は、ここでは使用されたないため、閉鎖部材26も省略してよい。
【0037】
このシステムは、構成要素(例えば、球15および水などの流体)の比重の差によって自浄可能であり、または、このシステムは、2つの側面の間の圧力差が調整された後に、適切に設置することによっても、自浄することが可能になる。
【0038】
本発明に係る制御弁は簡便でありかつ信頼性があり、複数の目的で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図1B】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図1C】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図2A】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図2B】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図2C】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3A】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3B】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3C】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3D】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図4A】2つの位置を示すT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図4B】2つの位置を示すT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5A】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5B】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5C】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図6A】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図6B】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図6C】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図7A】2つの位置を示すボール形状のパッキング要素を有する制御弁の断面図である。
【図7B】2つの位置を示すボール形状のパッキング要素を有する制御弁の断面図である。
【図8A】1つの欠損部を備える図7の装置の平面図である。
【図8B】3つの欠損部を備える図7の装置の平面図である。
【図9】パッキング要素が円錐形状である図7の制御弁の断面図である。
【図10A】更なる可能な制御弁の構造の断面図である。
【図10B】更なる可能な制御弁の構造の平面図である。
【図11A】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【図11B】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【図11C】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖するための第1の表面および第2の表面から構成される装置に関する。この装置は、制御弁およびこの種の制御弁での使用に適合する。具体的には、本発明は、流動範囲において可能な非対称的な強度を有する双方向の流れを生成する成形パッキング要素を備えた制御弁に関する。このパッキング要素は、弁ハウジング内に形成される第2の表面に接触することができる第1の表面を備える。当然、この非対称的な流速は、例えばピストンシステムで使用された場合に、ピストンに接続されている構成要素(例えば、閉鎖要素、拘束部材、衝撃吸収材)の動きおよび動きの速度を制御できる。
【背景技術】
【0002】
互いに接触する一対の表面によって、流体物質の流れを制御するように構成された解決手段が公知である。この解決手段は、流れる物質の中に存在するごみによって流動範囲が詰まらないようにする一方で、所定のタイミングまたは他の時間変化制御に基づいて、液体物質または気体物質の流れを制御し供給することを確実にする。特許文献1は、このような供給のための解決手段を開示している。同様の目的に対する解決手段は、特許文献1において提案されており、硬質および弾性の材料から形成された互いに接触する一対の表面がピストンパッキングに使用されている。上述の公報における発明者は、本発明の発明者と同一人物である。
【0003】
上述の第2の解決手段によれば、一対の表面は、一方が弾性材料から形成され、他方が硬質の材料から形成されている。2つの表面のうち少なくとも1つの表面は、流れを確保するための例えば、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、ざらつきまたはその組み合わせを備え、それによって特許文献1に提示された制御の課題を解決することができる。
【特許文献1】米国特許第7,175,154号明細書(ハンガリー特許出願P0104144に基づく)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この解決手段にはまだ不都合がある。弾性および硬質の一対の接合面は、主にピストンで使用されることが意図され、不必要に複雑な構造を必要とするためである。したがって、ピストンを用いずに双方向の流れを制御できる解決方法が必要とされている。これは、例えば、タイミングまたは供給の課題を解決することを意図する装置の場合に必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、互いに接触する第1の表面および第2の表面が閉鎖のために使用される。この2つの表面のうち少なくとも一方の表面は、欠損部を設けて形成される。第1の状態で表面が互いに接触している場合において、その欠損部は、表面が互いに接触しない開いた第2の状態に比べて数桁小さいが明確な物質の流れを確保する。動きが制限された成形パッキング要素によってこの種の構造体の具現化が実現された。
【0006】
この目的に向けた制御弁は、適した成形パッキング要素を有し双方向の非対称的な液体の流れを可能にする制御手段であり、制御する流動範囲の流入部および流出部に連通している。流動範囲を流れる物質は液体または気体である。
【0007】
成形パッキング要素は、その動きが制限される閉鎖空間に配置される。この閉鎖空間は、多様な幾何学的な形状を有していてよく、例えば、円筒形、円錐形であってよく、または他の形状をとることができる。成形パッキング要素は、この空間内において、第1の位置と第2の位置との間で動くことができる。パッキング要素は、この第1の位置で弁ハウジング内の表面に接触する。以下、この表面を第2の表面という。これらの第1の表面および第2の表面は、略平面または少なくとも滑らかな表面である。更に、2つの表面のうち少なくとも1つの表面には1つ以上の欠損部が形成され、第1の位置の場合であっても、極めて小さい流動範囲を確保する。これを第1の流れの断面という。
【0008】
本明細書中において欠損部は、上述のように、例えば、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、ざらつきまたはその組み合わせであってよい。欠損部は、平面および滑らかな表面に形成されるが、初めから粗面の、または粗面化された表面でも、第1の流れの断面を確保することができる。
【0009】
成形パッキング要素が、そこに作用する力(例えば、圧力差)によって第1の位置から動くと、限定空間によって特定される第2の位置に移動する。この第2の位置において、(以前は第1の流動範囲を有していた)流路は開放される。つまり、流動範囲は自由な流れを可能にする第2の流れの断面に相当する程度まで増大する。第2の流れの断面は、第1の流れの断面よりも数倍、好ましくは数桁大きい。後者は、著しく異なる期間または物質量の流れが作動サイクルにおいて予定されている場合に有利である。例えば、緩衝装置、動作調整器および調速器、ドア制御、減衰装置、トイレの貯水槽、プッシュボタン式水栓、他の液体供給器ならびに制御弁などの場合である。
【0010】
作動サイクルとは、液体供給弁の場合、液体の一用量の配分を意味する。その一方で、緩衝装置、ドア制御などの場合は、作動サイクルとは、初期位置へ初回復帰するまでの工程を意味する。
【0011】
物質が流れるための小さい管路が小さな穴である公知の解決手段では、とりわけ備えられた小さい穴における物質の流れが一定方向の場合には、管路は、不可避的に存在する固体の混入物によって必然的に詰まる。更に、穴詰まりが起これば、小さな穴の掃除は非常に複雑である。したがって、自浄式のおよび/または容易な保守管理の可能性が要求される。
【0012】
公知の解決手段とは異なり、本発明に係る小さい管路は、2つの密着した半体から形成され、これらは各作動サイクルの間において開口する。つまり、半体の一方を形成するパッキング要素は、その第1の位置および第2の位置の両方に位置づけられる。開いた第2の位置は、サイクルにおいて大きな流れを提供する。パッキング要素によって確保された第1の流れの断面に平行するように配置された付加的な一方向弁を本発明に係る制御弁が含む場合は、それは置き換えることができる。この場合、制御弁の作動サイクルの間において、流れの方向によって、ほぼ完全に閉まった状態、または流れの第3の断面のどちらかが確保される。ここで、流れの第3の断面は、第1の流れの断面よりも数桁大きい。この場合、パッキング要素は、第1の位置だけをとり、第1の流れの断面を確保する。小さい管路の境界を形成する半体は開口しないため、流れはおそらく詰まる混入物を洗浄することができない。そこで、パッキング要素と呼ぶ半体のうちの一つは、保守管理手段または装置によって、その第2の位置へ動かすことができる。これは、押されたときに第2の表面を形成する他方の半体からパッキング要素を引き離す機械バネ手段であってよく、それを解放した後は、パッキング要素はその閉じた第1の位置に戻る。
【0013】
パッキング要素が弾性材料で形成される場合、第1の流れの断面は、外側(両側)の圧力状況によって異なり得る。これは、弾性パッキング要素は、連携した接触する硬質の表面内で、弾性パッキング要素の両側間の圧力差に比例する程度まで押されるからである。したがって、弾性パッキング要素は、ある程度の制御作業に適合することができる。この目的において、欠損部は、適切なサイズおよび形状でなければならない。欠損部は、パッキング要素の弾性材料、つまり第1の表面、および/または硬い第2の表面内に形成することができる。
【0014】
なお、パッキング要素に作用する力は、パッキング要素の両側間の圧力差から影響を受けるだけでなく、他の要因からも影響を受けてよいことに注意しなければならない。流入空間および流出空間がパッキング要素によって封鎖されている場合、その中の圧力は異なり得る。パッキング要素に作用するベクトルの合力を定義するには、作用が及ぶ側の圧力に、連携するパッキング要素の表面の大きさを乗じる。
【0015】
更に、パッキング要素または機械的に組み込まれた構成要素は、外部手段(例えば、バネ)を備えてよい。この外部手段の力は、圧力および表面による力に加えられる。更に、これは外部要素(例えば、プッシュボタン、または供給弁の場合、例えばロッドなどの機械的動作要素であってよい)によって、手動または機械的に作動させることができる。
【0016】
成形パッキング要素は、例えば、弾性材料(例えば、ゴムもしくはプラスチック)またはより硬い材料(例えばセラミック材料)から形成された簡単な平面形状を有してよい。弁ハウジングに形成される第2の表面の材料は、金属、セラミック、プラスチックまたは他の材料であってよい。本発明に係る欠損部は、これらの表面のうち少なくとも一方に設けられる。この欠損部は、弁ハウジング内の第2の表面、または第2の表面に連携する成形パッキング要素の表面(つまり、第1の表面)に形成されてよい。欠損部は、溝、くぼみ、切り込み、チャネル、エッチング、構造化された粗面などとして形成されてよい。重要な点は、適切な制御された流れの断面が確保されなければならないことである。必然的に、欠損部は、成形パッキング要素の中にも形成されてよい。欠損部が両方の表面に存在する場合、流れの断面は、例えば流速に応じて制御されてよい。例えば、横断方向の欠損部は、より速い流れでの乱流または渦をもたらす。つまりこれは、許容可能な流量が両側間の圧力差に対して非直線的に比例することを意味する。
【0017】
更に、成形パッキング要素は、所定の範囲内での移動を確保する空間に配置されるディスク形状またはプリズム形状であってよい。この場合、第2の位置にあるパッキング要素の周囲に生成された流路は、実質的には制約されない流れを可能にする。
【0018】
更に、成形パッキング要素は球形状であってもよい。この場合、第1の接触面は、中心部の位置を確保し、球形状のパッキング要素が第2の位置へ動いたときに対称的な流れ範囲も確保する球形状のパッキング要素の第2の接触面を受けるための漏斗形状であることが好ましい。あるいは、球形状のパッキング要素は円錐形状体と置き換えてもよい。
【0019】
上述の接触面を備える制御弁は、主流路の外に配置されてもよく、または物質の流れを制御する要素から離して配置されてもよい。制御弁と流れを制御する物質との間の接続は、主流路よりも大幅に細い管路を通して確保することができる。つまり、制御弁は、主流を制御する要素の接続点に接続された並行する分岐として設置することができる。したがって、制御機能は、有効な流れの断面を確保する主機能から分離されていてよい。
【0020】
双方向の非対称的な流れを確保する本発明に係る制御弁は、より小さい交換可能な要素として主流路に配置することができる。例えば、比較的大きいピストン(膜、閉鎖要素)の穴に配置することができる。この場合、小さい制御弁は、ピストン全体(膜、閉鎖要素)の代わりに設置することができる。この解決手段は、例えば緩衝装置、工業用の弁の用途において有利である。
【0021】
なお、その場所にかかわらず、この種の制御弁は、一方が他方よりも実質的に小さい流れの断面を確保する2つの異なる位置を常にとることができる。同時に、流れの方向も異なる。この効果は、作動サイクルの間または保守管理の間に接触面が開かれたときに、小さい断面におそらく詰まる混入物が、第2の位置において、特に流れの方向が変化するときに除去されるということである。したがって、この弁は自浄できるようになる。
【0022】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0023】
図面における同じ要素は、同じ参照番号によって示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1において、パッキング要素1は、弁ハウジング2内に配置されている。このため、パッキング要素1は、弁ハウジングの中に形成された第2の表面4と制限部材6との間で動くことができる。パッキング要素1は、幾何学的に適切に配置された場合、形成された限定空間の中から外れることはできない。図1Bおよび図1Cに示すように、パッキング要素1の第1の表面3は、弁ハウジング2の第2の表面4に接触する。そして、図1A、図1Bおよび図1Cにおいて様々な形で示される欠損部5は、接触する第1の表面3と第2の表面4との間で与えられた範囲での流れを確保する。
【0025】
図2Aにおいて、欠損部5が第1の表面3に形成されている同様のパッキング要素1を示す。この場合、パッキング要素1は、弾性材料から形成されている。欠損部5は、放射状または略放射状の通過チャネルとして形成されている。パッキング要素1の両側に存在する圧力差に起因して、このチャネルは圧縮され得る。つまり、小さくなる。図2A、図2B、および図2Cにおいて、増大した圧力P1、P2およびP3は、上方より順番に加えられるため、欠損部5(この場合はチャネル)により提供される断面A21、A22およびA23は、それぞれ順に小さくなる。
【0026】
図3Aにおいて、制限部材6によって境された空間の中で所定の範囲まで動くことができるプレートとして形成されたパッキング要素1を示す。パッキング要素1が上方の位置にある場合、この移動は実質的には妨げのない流れを作る。パッキング要素1が下方の位置にある場合、パッキング要素1は、弁ハウジング2の内側のフランジに形成され、且つ欠損部8を備える環状の支持面に接触する。欠損部8は、弓なりのチャネル内に急勾配の切り込みが形成されている点で上述の欠損部5とは異なる。弾性のパッキング要素1は、圧力P2またはP3が上方より加えられると、弓なりのチャネルの断面を部分的にまたは全体的に埋めることができるが、急勾配の切り込みは埋めることができない。当然、埋めることができる成形部またはできない成形部は、互いに離して配置してよい。したがって、断面A21、A22およびA23は順に縮小する。しかしながら、最も小さい断面はゼロよりも大きい。これは、図3B、3Cおよび3Dに図示する。
【0027】
図4Aおよび図4Bは、部分的に誘導されるT形状の断面を有する制御栓の2つの位置を示す。制御栓2は、環状のパッキング要素1、好ましくは頭部に適合したOリングを含む。制御栓9の内壁において、欠損部5は、頭部および首部の両方に形成される。この欠損部5は、パッキング要素1の真下の所定の流れS4Aを確保する。装置が閉じた状態(図4A)の場合、弁ハウジング2とパッキング要素1との間の流れS4Aだけが可能となる。図4Bにおいて、制御栓9は、例えばプッシュボタン、保守用棒などによって外部から加えられた力Fによりパッキング要素1から離され、流れS4Bによって弁ハウジング2に固定されたままになる。このとき、欠損部5に詰まった混入物は、通りすぎる流動物質と一緒に離れることができる。つまり、自浄することができる。
【0028】
図5Aに示す実施形態は、図4Aに示す実施形態と似ているが、欠損部5は制御栓9の側壁に形成する代わりに、弁ハウジング2の環状の首部に形成されている。このようにして、制限された流れS5Aが確保される。パッキング要素1は、制御栓9に固定されるため動くことはできない。このようにして、力Fが外部から(プッシュボタン、保守用棒などによって)加えられると、パッキング要素1は欠損部5から離れ、蓄積した混入物の妨げのない離脱を可能にするより大きな流れS5Bを確保する(図5B)。図5Cでは、逆方向の流れから生じる圧力Pによって、制御栓9の移動が起こっている。先端が二重の矢印は、これより前のどの流れよりも流れS5Cが大きいことを示し、混入物は確実に離脱する。
【0029】
なお、図4および図5の力Fを重力に置き換えて制御栓9を動かしてもよいことに留意すべきである。この場合、この装置は斜めに配置される。その結果として、流れから開放された空間に存在する液体よりも大きい比重を有する制御栓9が下方へ動くことができる。制御栓9の効果的な比重および設置の方向を選択することによって、重力および揚力に基づいて、自己制御を実現することができる。つまり、これらの力によって、パッキング要素1の第1の位置と第2の位置との間の変化が発生する。
【0030】
上述のように、一部の場合においては、制御弁の機能は主流路から分離されていてもよい。図6A、図6Bおよび図6Cにおいて、3つの動作段階、すなわち閉じた状態、開いた状態、および半分開いた状態(再度閉じる前の状態)を示し、例示する。この装置では、ダブルピストン13が主流路14に配置されている。パッキングリングを備えたダブルピストン13の共通のピストンロッドは動くことができるため、小さいほうのピストンが主流路14を閉じるか、または開く。小さいピストンと一緒に動く大きいほうのピストンは、閉じた空間の容積を変化させる。この閉じた空間は、物質で完全に満たされる。この場合は液体である。制御された弁12を開けることによって、液体はチャンバから流出する。補充は、管路21を通って主流路14に接続する本発明に係る制御弁11によって実行される。この場合、非対称的な双方向の流れが、制御弁11によって確保される。例えば、制御された弁12によって閉じた空間が空になると、ダブルピストン13は図6Bに示された位置をとり、主流路14から流速を決定する制御弁11を通って、空間はゆっくりと補充される。小さいほうピストンが閉まると、主流路は封鎖される。この状態に近づいているダブルピストン13の動きを、図6Cに示す。
【0031】
実質的に同じ装置は、緩衝装置およびドア制御装置に使用することができる。これらの場合も、制御弁の機能は主流路から分離されていてもよい。これらに対する例は、図11Aから図11Cを参照して後述する。
【0032】
図7Aにおいて、パッキング要素15が球形状である制御弁を示す。球形状の制御弁の外面が第1の表面である。これと対をなすものとして、第2の表面であり、かつ欠損部5を含む弁ハウジング2の漏斗形状部がある。この場合、球の表面に破損部5を形成することは、球の向きが変わることがあるため、適切ではない。しかしながら、閉鎖された位置において必要な流れの断面を確保するためには、均一な粗面処理が可能である。図7Aに示すように、この状態では流れはほぼ制約されないが、一方で、図7Bには制限された流れの状態が示されている。当然、漏斗形状ではない構造においても実現可能である。
【0033】
図8Aにおいて、球形状のパッキング要素15および放射状の欠損部5を備える第2の表面16を上から見た図を示す。例えば3つの欠損部5のような複数の欠損部が互いに等距離に形成された場合、閉鎖された位置、つまり第2の位置において、流動容量は増大する。これは、図8Bに示される。
【0034】
図9において、円錐形状を有するパッキング要素17を示す。他の構成要素は、図7Aおよび図7Bを参照して説明したものと同じである。
【0035】
図10Aにおいて、図4に示す装置に似ている装置が示されているが、ここでは、制御弁の作動サイクルの間において、第1の表面および第2の表面が離れることはない。この場合、本発明の有利な点である自浄の可能性は確実にはならない。しかしながら、この装置は、修理や保守管理の間においても装置を分解せずに、第1の表面および第2の表面を離すことができるように、2つの部分から構成される。同心のパッキング要素18は、弁本体20の首部22に固定される。パッキング要素18は、円錐形の可撓性のフランジ19を有する。この可撓性のフランジ19は、下方の空間よりも上方の空間の圧力の方が高い場合に、弁ハウジング2に接して押しつけられる。逆に、下からの圧力の方が高い場合、可撓性のフランジ19は弁本体20の中心点に向かって内側に曲がるため物質が流れるようになる。第2の表面4は、弁本体20の首部に形成される。一方、パッキング要素18の内側および下方の表面が第1の表面3である。物質の下降流を発生させることができる欠損部5は、これらの表面のうち1つの上に、好ましくは弁本体20の首部22に形成される。図10Bは、同じ装置を上から見た図を示す。保守管理の間に、弁本体20を軸に沿って動かすことによって、図4と同様に、パッキング要素18を首部22の長手方向に沿って異なる位置に移動することができる。このようにして、洗浄が実行される。
【0036】
図11Aから図11Cに示す実施形態は、緩衝装置、ドア制御装置および同様の装置に使用することができる。主ピストン23は、ピストン23の前端部および後端部付近の空間の間にあるフィードバック流路25を通って流れることができる気体または液体物質で満たされたシリンダ24の中を移動する。ピストン23が2つの方向に動くときの速さは、著しく異ならなければならない。図11Aにおいて、本発明に係る制御弁11はフィードバック流路25に配置されている。図11Bにおいて、制御弁はシリンダ24の一方の後端部に配置されている。最後に、図11Cに示す実施形態では、比較的小さい制御弁11が主ピストン23の中に取り付けられている。この場合、フィードバック流路25は、閉鎖要素26により閉鎖されなければならない。フィードバック流路25は、ここでは使用されたないため、閉鎖部材26も省略してよい。
【0037】
このシステムは、構成要素(例えば、球15および水などの流体)の比重の差によって自浄可能であり、または、このシステムは、2つの側面の間の圧力差が調整された後に、適切に設置することによっても、自浄することが可能になる。
【0038】
本発明に係る制御弁は簡便でありかつ信頼性があり、複数の目的で使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図1B】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図1C】異なる欠損部を備える本発明に係る制御弁の可能な実施形態の断面図である。
【図2A】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図2B】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図2C】圧力下に置かれた場合に小さくなる弾性の欠損部を備える本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3A】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3B】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3C】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図3D】本発明に係る制御弁の更に可能な実施形態の断面図である。
【図4A】2つの位置を示すT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図4B】2つの位置を示すT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5A】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5B】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図5C】3つの位置を示す他のT型の制御栓を備えた本発明に係る制御弁の断面図である。
【図6A】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図6B】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図6C】制御弁が主流路の外に設置された、液体の供給を制御するための装置を示す図であり、3つの動作の段階を示す。
【図7A】2つの位置を示すボール形状のパッキング要素を有する制御弁の断面図である。
【図7B】2つの位置を示すボール形状のパッキング要素を有する制御弁の断面図である。
【図8A】1つの欠損部を備える図7の装置の平面図である。
【図8B】3つの欠損部を備える図7の装置の平面図である。
【図9】パッキング要素が円錐形状である図7の制御弁の断面図である。
【図10A】更なる可能な制御弁の構造の断面図である。
【図10B】更なる可能な制御弁の構造の平面図である。
【図11A】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【図11B】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【図11C】液体または気体の物質を使用して制御される減衰装置の実施形態の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動範囲において非対称的な強度を有する双方向の流れを可能にする成形パッキング要素を備えた制御弁であって、
前記パッキング要素は、前記弁のハウジング内に形成された第2の表面に接触することができる第1の表面を有し、前記パッキング要素(1)は、前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)が互いに接触する第1の位置ならびに前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)が互いに離れている第2の位置を有し、更に、前記パッキング要素(1)の前記第1の表面(3)および前記弁ハウジング(2)内の前記第2の表面(4)のうち少なくとも1つは、前記パッキング要素(1)が前記第1の位置にある場合に、接触する前記第1の表面(3)と前記第2の表面(4)との間において第1の流れの断面を確保する欠損部(5)を備え、前記第1の流れの断面は、前記パッキング要素が前記第2の位置にある場合に前記パッキング要素(1)によって確保された第2の流れの断面よりも小さい、ことを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記パッキング要素(1)は、作動サイクル毎に、前記第1の位置および前記第2の位置の両方をとることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)は、金属、プラスチックまたはセラミック材料で形成される硬質の表面であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)の一方は、金属、プラスチックまたはセラミック材料で形成される硬質の表面であり、他方はプラスチック、ゴムまたは他の弾性材料から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記成形パッキング要素(1)はディスク形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項6】
前記成形パッキング要素(1)は円錐形状またはO形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項7】
前記成形パッキング要素(1)は球形状であり、前記第2の表面(4)は漏斗形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項8】
主流路(14)の流れを制御するために、前記主流路(14)の外に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項9】
管路(21)を通って前記主流路(14)に連通することを特徴とする、請求項7に記載の制御弁。
【請求項10】
前記第1の流れの断面は、前記第2の流れの断面よりも数桁小さいことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項11】
作動サイクルにおいて、前記パッキング要素(1)は、前記第1の流れの断面を確保するその前記第1の位置だけをとり、保守補助具(10)または修理によって、前記第2の位置に移動することができることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項12】
パッキング要素(1)により確保された前記第1の流れの断面に平行に配置された一方向弁を含み、前記制御弁の作動サイクルの間、流れの方向によって、流れの断面全体または流れの第3の断面が確保され、前記流れの第3の断面は前記第1の流れの断面よりも数桁大きいことを特徴とする、請求項11に記載の制御弁。
【請求項13】
前記成形パッキング要素(1)の前記第1の位置と前期第2の位置との間の移動は、流体に対する前記制御栓(9)の比重を適切に選択することおよび設置の適切な配向によって、前記成形パッキング要素に固定された制御栓(9)による重力または揚力に基づいて確保されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項1】
流動範囲において非対称的な強度を有する双方向の流れを可能にする成形パッキング要素を備えた制御弁であって、
前記パッキング要素は、前記弁のハウジング内に形成された第2の表面に接触することができる第1の表面を有し、前記パッキング要素(1)は、前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)が互いに接触する第1の位置ならびに前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)が互いに離れている第2の位置を有し、更に、前記パッキング要素(1)の前記第1の表面(3)および前記弁ハウジング(2)内の前記第2の表面(4)のうち少なくとも1つは、前記パッキング要素(1)が前記第1の位置にある場合に、接触する前記第1の表面(3)と前記第2の表面(4)との間において第1の流れの断面を確保する欠損部(5)を備え、前記第1の流れの断面は、前記パッキング要素が前記第2の位置にある場合に前記パッキング要素(1)によって確保された第2の流れの断面よりも小さい、ことを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記パッキング要素(1)は、作動サイクル毎に、前記第1の位置および前記第2の位置の両方をとることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)は、金属、プラスチックまたはセラミック材料で形成される硬質の表面であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記第1の表面(3)および前記第2の表面(4)の一方は、金属、プラスチックまたはセラミック材料で形成される硬質の表面であり、他方はプラスチック、ゴムまたは他の弾性材料から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記成形パッキング要素(1)はディスク形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項6】
前記成形パッキング要素(1)は円錐形状またはO形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項7】
前記成形パッキング要素(1)は球形状であり、前記第2の表面(4)は漏斗形状であることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項8】
主流路(14)の流れを制御するために、前記主流路(14)の外に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項9】
管路(21)を通って前記主流路(14)に連通することを特徴とする、請求項7に記載の制御弁。
【請求項10】
前記第1の流れの断面は、前記第2の流れの断面よりも数桁小さいことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項11】
作動サイクルにおいて、前記パッキング要素(1)は、前記第1の流れの断面を確保するその前記第1の位置だけをとり、保守補助具(10)または修理によって、前記第2の位置に移動することができることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【請求項12】
パッキング要素(1)により確保された前記第1の流れの断面に平行に配置された一方向弁を含み、前記制御弁の作動サイクルの間、流れの方向によって、流れの断面全体または流れの第3の断面が確保され、前記流れの第3の断面は前記第1の流れの断面よりも数桁大きいことを特徴とする、請求項11に記載の制御弁。
【請求項13】
前記成形パッキング要素(1)の前記第1の位置と前期第2の位置との間の移動は、流体に対する前記制御栓(9)の比重を適切に選択することおよび設置の適切な配向によって、前記成形パッキング要素に固定された制御栓(9)による重力または揚力に基づいて確保されることを特徴とする、請求項1に記載の制御弁。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2009−530548(P2009−530548A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558916(P2008−558916)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/HU2007/000023
【国際公開番号】WO2007/105020
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508274378)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/HU2007/000023
【国際公開番号】WO2007/105020
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508274378)
【Fターム(参考)】
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