成形フィルタ端部キャップと製造方法
フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含むフィルターエレメントを提供する。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、少なくとも部分的に横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含む。中空部は、第2端部キャップ上に分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される。一実施の形態では、中空部は、内部にモールド封止されるグロメットを用いて取っ手構造のフランジ内に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にフィルターエレメントに関し、特にモールド成形により成形するフィルターエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として知られており、米国特許第5,547,480号、5,167,683号、および5,120,337号に例示されるように、フィルターエレメントまたはフィルターカートリッジ(集合的に「フィルターエレメント」と称する)は、例えば空気等の流体から粒子を取り除くのに用いられる。フィルターエレメントは、特定の用途や使い方に応じて種々の形状、大きさ、および構成を取る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
状況によっては、米国特許第7,090,708号、5,190,651号、および3,616,618号に例示されるように、フィルターエレメントは、ハウジングからフィルターエレメントを取り外し易くするために、取っ手または類似の構造を含んでいる。本出願人は、フィルターエレメントの改良、特にその取っ手の改良を行った。本開示はこれらの改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含むフィルターエレメントが提供される。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、少なくとも部分的に横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含む。中空部は、第2端部キャップ上に分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される。
【0005】
別の態様では、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含むフィルターエレメントが提供される。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、その内部にモールド封止されたグロメットを有するフランジを含む。グロメットは、フランジを横方向に貫通する開口を画成する(define)。
【0006】
更に別な態様では、フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法が提供される。この方法は、グロメットの外面が型本体の対面壁とシールするように係合し、グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞を形成するように、グロメットを型本体に挿入するステップを含む。その方法は、内部空洞に端部キャップ材料が入らない状態を保ったまま、型本体内およびグロメットの周囲に端部キャップ材料を注入するステップを更に含む。その方法は、また、グロメットが中空部を提供するように端部キャップ材料が固体化した後、型本体から端部キャップ材料およびグロメットを一括して抜き取るステップも含む。
【0007】
更なる態様では、フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法が提供される。この方法は、工具が型本体の一部を占めるように型本体内に工具を挿入するステップを含む。その方法は、工具が占める型本体の一部が端部キャップ材料を受け入れるのを工具により防いだ状態で、型本体内および工具の周囲に端部キャップ材料を注入するステップを更に含む。その方法は、また、端部キャップ材料が固体化した後、型本体から工具を取り除くステップも含む。その方法は、また、それまで工具が占めていた型本体の一部が握り穴を提供するように工具が取り除かれた後、型本体から端部キャップ材料を抜き取るステップも含む。
【0008】
別の態様では、フィルターハウジングおよびフィルターエレメントを含むフィルターエレメントアセンブリが提供される。フィルターエレメントは、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含む。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、その内側に一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、フランジを横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含む。第2端部キャップは、少なくとも2つの位置決め突起を更に含む。位置決め突起は、合同で、フィルターハウジング内でフィルターエレメントを定位置に保持するのに十分な幅を提供する。
【0009】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細説明により更に明らかになるであろう。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は下記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の教示に従うフィルターエレメントの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【0012】
【図2】図2は、図1のフィルターエレメントの上端部キャップの斜視図であり、上端部キャップが、その内部にモールド封止されて握り穴を形成するグロメットを含む斜視図である。
【0013】
【図3】図3は、図2の上端部キャップの平面図である。
【0014】
【図4】図4は、図3の上端部キャップを略4−4線に沿って切断した断面図である。
【0015】
【図5】図5は、図3の上端部キャップを略5−5線に沿って切断した断面図である。
【0016】
【図6】図6は、図1のフィルターエレメントの下端部キャップの斜視図である。
【0017】
【図7】図7は、図1のフィルターエレメントに見られる図2の上端部キャップを形成するのに用いるモールド型アセンブリ、およびモールド型アセンブリの型本体に工具を用いて挿入されるグロメットの分解図である。
【0018】
【図8】図8は、グロメットを型本体に部分的に挿入した状態の図7のモールド型アセンブリの斜視図である。
【0019】
【図9】図9は、図7の型本体に完全に挿入されたグロメットを略9−9線に沿って切断した断面図である。
【0020】
【図10】図10は、図9の型本体に完全に挿入されたグロメットを略10−10線に沿って切断した断面図である。
【0021】
【図11】図11は、図1のフィルターエレメントの上端部キャップの代替の実施の形態の斜視図であり、上端部キャップには図2のグロメットが含まれない。
【0022】
【図12】図12は、図11の上端部キャップを形成するために用いる型本体に挿入される円筒状工具の斜視図である。
【0023】
【図13】図13は、図11の上端部キャップ内に握り穴が形成されるよう型本体から抜き取られた円筒状工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0025】
図1を参照して、フィルターエレメント10を説明する。フィルターエレメント10は、一般に、流体において存在が好ましくない粒子、汚染物質、および他の破片を除去するのに用いられる。図1に図示する実施の形態では、フィルターエレメント10は、空気の流れから上記粒子を除去するよう構成される。そうであっても、本明細書で開示されるフィルターエレメント10は、例えば、液体から不要な粒子を除去するフィルターエレメントのような他の種類のフィルターエレメントにも好適に用いることができる。フィルターエレメント10は、例えば、その全てが本明細書に組み込まれる米国特許第7,090,708号で説明され示されるハウジング内で好適に用いられてもよい。
【0026】
図1のフィルターエレメント10は、概して、円筒リング状フィルタ媒体12と下端部キャップ14と上端部キャップ16とを備えている。下端部キャップ14はフィルタ媒体12の下端部18に取り付けられる一方で、上端部キャップ16はフィルタ媒体の上端部20に取り付けられる。図1に示す実施の形態では、フィルタ媒体12の両端はポッティング(封入成形処理)され、それによりフィルターエレメント10が形成される際に端部キャップ14、16のそれぞれに埋め込まれる。フィルターエレメント10を使用する用途に応じて、フィルタ媒体12は、ひだ付き、溝付き、または当業者には周知の何らかの他の構成を取ることができる。更に、フィルタ媒体12は合成繊維または天然繊維のどちらからでも形成できる。構造的支持を与えるために、フィルタ媒体12は、管状のプラスチック製および/または金属製支持体22(その小破断図を図1で示す)で内側および/または外側で支持してもよい。支持体22は、例えば、金網、プラスチッククロス部材、穴あき金属板等の形態としてもよい。
【0027】
図6にも示される下端部キャップ14は、略環状である。従って、下端部キャップ14は、中央開口26の周囲に延在する側壁24を含んでいる。中央開口26は、フィルターエレメントがインサイドアウト(内側から外側へ流れる)型またはアウトサイドイン(外側から内側へ流れる)型のフィルターエレメントの何れとして構成されるかに応じて、フィルターエレメント10に対して空気を流入させたり流出させたりする。
【0028】
図6に示す実施の形態では、下端部キャップ14は外面30に形成された周囲肩部28を含む。下端部キャップ14は、また、側壁24に形成された側壁24の半径方向の外側方向に延在する幾つかの半円凹部32および側壁24の軸方向に延在する幾つかの溝34も含む。凹部32および溝34は、型本体上における媒体のスタンド・オフ(位置決め支持)の結果形成される。媒体のスタンド・オフは、一般的に成形工程中にフィルタ媒体を軸方向、および半径方向の両方向に配向(向きを定めて配置)するのに用いられる。下端部キャップ14は、例えばポリウレタン、プラスチック、プラスチゾル、ゴム等の種々の好適な材料で形成されてもよい。
【0029】
図2を参照すると、上端部キャップ16が示されている。図2に示す実施の形態では、上端部キャップ16は、側壁36と床38と取っ手構造40とを含む。下端部キャップ14と同様に、上端部キャップ16は、半径方向の外側方向に延在する幾つかの半円凹部40および軸方向に延在する幾つかの溝42を含む。上端部キャップ16は、また、概して側壁36の外面48上に形成される少なくとも2つの位置決め突起46も含む。
【0030】
図2に示す実施の形態では、半径方向の外側方向に突出する一対の位置決め突起46が上端部キャップ16に含まれている。他の構成も可能であるが、図2の位置決め突起46は、傾斜した、または面取りした下部50と平坦な上部52とを含んでいる。面取りした下部50は、面取りした下部が上端部キャップ16の底54に向って進むにつれて突出量を減ずる断面形状を有する。面取りした下部50の傾斜により、フィルターエレメント10は、端部キャップ材料に損傷を与えることなく、確実にフィルターハウジング(不図示)内へ挿入できる。
【0031】
一対の位置決め突起46は、一般的に側壁36上で約180°隔てて配置されるとともに、図3に示すように一方の端51から他方の端53までの寸法で十分な幅49を有し、それにより一対の突起はフィルターエレメント10をフィルターハウジング内の中央に配置でき、ハウジング内におけるフィルターエレメント10の横方向の動きを防ぐことができる。また、一対の位置決め突起46は、フィルターエレメントがフィルターハウジングに収まり係合する際にフィルターエレメント10が動くのを防止することができる。換言すれば、図2の一対の位置決め突起46は、フィルターエレメント10をフィルターハウジング内で適切に嵌合および配向させる構造を有する。
【0032】
取っ手構造40は、底部58と両端部61とを有するフランジ56を含む。図示の実施の形態では、フランジ56の底部58は床38と一体モールド成形されている。更に、両端部61の下部は側壁36と一体モールド成形されている。図2および図3に示すように、床38と側壁36は合同で第2端部キャップ16の凹部60を形成する。取っ手構造40のフランジ56は、床38に対して略直角に向けられるとともに、床38の中央を横断することにより、図示のように凹部60を分割し、二等分してもよい。図2と図4に示すように、フランジ56の上部は側壁36の周縁62の上に突出する。必要に応じて、フランジ56の両端部61は、図2と図3に示すように位置決め突起46と位置合わせしてもよい。
【0033】
図3を参照すると、フランジ56は、フランジの中央部66においてフランジの一方の面68から他方の面70までの寸法の肉厚部64を含む。フランジ56の中央部66の肉厚部64は、中央部66の外側のフランジの一方の面74から他方の面76までの寸法のフランジ56の通常厚部72に隣接している。肉厚部64は、フランジ56を貫通する握り穴78に隣接するフランジ56に強度と耐久性を与える。図2に示す実施の形態では、肉厚部64は略正方形である一方、握り穴78は略円形である。しかし、これらの構造の各々は好適な他の形状であってもよい。
【0034】
図2に示すように、握り穴78は、フランジ56を横方向に、より具体的には直角に貫通する。握り穴78は、概して側壁36の直径方向で向き合う部分に向けて開口している。必要に応じて、握り穴78は、上端部キャップ16上に型分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される。この望ましい結果を実現する上端部キャップ16の成形工程は、以下により詳細に説明する。
【0035】
取っ手構造40のフランジ56における握り穴78は、フィルターエレメント10と対応するフィルターハウジング(不図示)との間の、早くて簡単で使い勝手のよい着脱に役立つ。図2および図4、図5に示す実施の形態では、握り穴78はユーザの指1本を受け入れる大きさにされている。そうであっても、握り穴78は、必要に応じて何本かの指を収容するように形成してもよい。1本以上の指を握り穴78に挿入することにより、ユーザは、フィルターエレメント10を点検および/または交換する際に、フィルターエレメント10をしっかり掴むことができる。図4に示すように、握り穴78の一部は側壁36の周縁62よりも上に配設されている。
【0036】
図2と図5に示す実施の形態では、フランジ56の握り穴78は、フランジ内にグロメット80を一体モールド成形することにより形成される。グロメット80は、例えばゴムやプラスチック等の好適な種々のエラストマー材料で形成される。図5に示すように、グロメット80は、グロメット80の外周84に沿って円周上を進む溝82を含む。図5に示すように、グロメット80の溝82は、端部キャップのモールド成形工程中にモールド成形材料を受け入れる。モールド成形材料が固体化または硬化した場合、グロメット80は取っ手構造40のフランジ56に結合される。従って、取っ手構造40のフランジ56における握り穴78は、グロメット80により略画成される。
【0037】
図2と図5に示すように、グロメット80がフランジ56内にモールド封止された後、グロメット露出面86は何も覆われないままとなる。図5に示す実施の形態では、グロメット露出面86は、グロメット露出面に隣接する肉厚部64の面68、70と略平面となる。従って、フランジ56全体および、総じて取っ手構造40は、滑らかな仕上がり外観を呈する。
【0038】
ここで図7乃至図10を参照して、上端部キャップ16上に型分割線が生じないように上端部キャップ16をモールド成形する工程のうちの1つを全体的に説明する。図7に示すように、工具88を用いて、単一方向引き抜き離型方式モールド型アセンブリ(single pull mold assembly)96に含まれる型本体94の取っ手形成部92にスロット90を通してグロメット80の1つを挿入する。工具88は、特にはグロメット80を正しい深さまで取っ手形成部92へ確実に挿入するよう構成される。図7と図9に示す実施の形態では、工具88の遠位端98が型本体94の底壁100に当接する場合、グロメット80は適切な深さまで挿入される。
【0039】
説明のため、グロメット80は、図8では取っ手形成部92に部分的に挿入された状態で示され、図9と図10では取っ手形成部に完全に挿入された状態で示されている。完全に取っ手形成部92に挿入されると、グロメット80の(グロメット80が型本体94から引き抜かれて開放された場合、図2のグロメット露出面86となる)外面102は、型本体94の対面壁104とシールするように係合し、グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞106を形成する。
【0040】
グロメット80の外面102と型本体94の対面壁104との間の良好なシールの形成を促進するために、型アセンブリ96の下側ユニット108(図7)を用いて対面壁104をグロメット80に押し付けてもよい。型アセンブリ96の中間部材110を用いて、例えば、型アセンブリを固定し、逃げチャネル112を設けてもよい。必要に応じて、型本体94、中間部材110、および下側ユニット108を締結具114で共に保持してもよい。
【0041】
グロメット80を型本体94の取っ手形成部92に設置した後、ポリウレタン等の端部キャップ材料が型本体に注入される。端部キャップ材料は、グロメット80の周囲に回り込んで、型本体94を完全に満たすのに十分な粘性を有する。しかし、グロメット80の外面102と型本体94の対面壁104との間のシールにより、内部空洞106は端部キャップ材料が入らない状態に保たれる。
【0042】
必要に応じて、型本体94内に流し込むか、または他の方法で収納された端部キャップ材料は硬化処理してもよい。硬化処理工程により、端部キャップ材料の固体化または硬化に要する時間を短縮できる。また、硬化処理工程により、形成中の端部キャップの強度および/または耐久性を高めることもできる。硬化処理工程では、端部キャップ材料を、例えば、熱、紫外線にさらし、また硬化を加速する他の装置を用いて処理してもよい。
【0043】
端部キャップ材料が十分に固まった後、端部キャップ材料とグロメット80が一括して型本体94から抜き取られて図2に示す上端部キャップ16を形成する。位置決め突起46、または端部キャップ16,116の他の部分は、端部キャップ材料が型本体120から引き抜かれて開放される際には、弾性的に変形することができる。グロメット80の内部空洞106は端部キャップ材料から保護されていたので、上端部キャップ16は、時に割型により生じる分割線を発生させることなく、握り穴78を都合よく提供する。
【0044】
図11に示す代替実施の形態では、グロメット80なしで形成される上端部キャップ116を構成し、用いることにより、図1に示すフィルターエレメント10を形成してもよい。図11の上端部キャップ116は、類似の参照番号が与えられている図2の端部キャップ16と同じ構造的特徴の多くを有する。具体的には、上端部キャップ116には、割型により生じる分割線が発生しない。しかし、上端部キャップ116はグロメットの1つを含んでいないので、上端部キャップ116は、以下でより詳しく説明する幾分異なるモールド成形工程を用いて形成される。
【0045】
ここで図12と図13を参照して、上端部キャップ116上に型分割線が生じないように上端部キャップ116を成形する工程を全体的に説明する。ここでは、図7と図8に示すような型本体94のスロット90を通してグロメット80を挿入する代わりに、型本体120内の位置合わせされた一連の開口を通して円筒状工具118を挿入する。円筒状工具118は型本体120の取っ手形成部122を完全に貫通するので、端部キャップ材料が型本体120内に注入されると、円筒状工具118で占められた領域は端部キャップ材料が入らない状態に保たれる。端部キャップ116の凹部60内の仕切りを十分に高くできるので、円筒状工具118はフィルタ媒体12との干渉を避けることができる。
【0046】
端部キャップ材料が十分に固まった後、円筒状工具118は型本体120から取り除かれて、端部キャップ材料は型本体120から抜き取られる。これにより、図11に示す上端部キャップ116が作られる。位置決め突起46、または端部キャップ16,116の他の部分は、端部キャップ材料が型本体120から引き抜かれて開放される際には、弾性的に変形することができる。円筒状工具118が型本体120の取っ手形成部122の一部を占めていたので、上端部キャップ116は握り穴78を具備することになる。握り穴78は割型により生ずる分割線を持たない。
【0047】
図2と図11に示す各上端部キャップ16,116を形成するのに用いる手順に拘らず、側壁36、床38、および取っ手構造40のフランジ56は一体モールド成形される。実際、割型が使用されないので、上端部キャップ16,116のこれらの部分それぞれには概して分割線が発生しない。下端部キャップ14と同様に、各上端部キャップ16,116は、例えばポリウレタン、プラスチック、プラスチゾル、ゴム等の種々の好適な材料で形成できる。
【0048】
図2、図6、図11に示す下端部キャップ14、上端部キャップ16,116の何れかに追加支持が必要な場合、それら端部キャップは強化構造124を含んでもよく、その一部を図2の破断図で示す。強化構造124は、例えばカーボンファイバーまたは金網等の材料であってもよい。美的および/または構造的目的のため、強化構造124は、端部キャップ14,16,116内に完全に埋め込み、見えないようにしてもよい。他の状況では、強化構造124は、端部キャップ14,16,116の外側に置き、見えるようにしてもよい。
【0049】
以上により、当業者は、本開示が既存のフィルターエレメントに対して著しい改良をもたらすことを認識するであろう。実際、本フィルターエレメント10は、一体成形された握り穴78を提供する端部キャップ16,116を含んでいる。握り穴78は分割線がない上、耐久性があって使い易い取っ手を提供する。
【0050】
本明細書中で引用する公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、また、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0051】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0052】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にフィルターエレメントに関し、特にモールド成形により成形するフィルターエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として知られており、米国特許第5,547,480号、5,167,683号、および5,120,337号に例示されるように、フィルターエレメントまたはフィルターカートリッジ(集合的に「フィルターエレメント」と称する)は、例えば空気等の流体から粒子を取り除くのに用いられる。フィルターエレメントは、特定の用途や使い方に応じて種々の形状、大きさ、および構成を取る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
状況によっては、米国特許第7,090,708号、5,190,651号、および3,616,618号に例示されるように、フィルターエレメントは、ハウジングからフィルターエレメントを取り外し易くするために、取っ手または類似の構造を含んでいる。本出願人は、フィルターエレメントの改良、特にその取っ手の改良を行った。本開示はこれらの改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含むフィルターエレメントが提供される。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、少なくとも部分的に横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含む。中空部は、第2端部キャップ上に分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される。
【0005】
別の態様では、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含むフィルターエレメントが提供される。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、その内部にモールド封止されたグロメットを有するフランジを含む。グロメットは、フランジを横方向に貫通する開口を画成する(define)。
【0006】
更に別な態様では、フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法が提供される。この方法は、グロメットの外面が型本体の対面壁とシールするように係合し、グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞を形成するように、グロメットを型本体に挿入するステップを含む。その方法は、内部空洞に端部キャップ材料が入らない状態を保ったまま、型本体内およびグロメットの周囲に端部キャップ材料を注入するステップを更に含む。その方法は、また、グロメットが中空部を提供するように端部キャップ材料が固体化した後、型本体から端部キャップ材料およびグロメットを一括して抜き取るステップも含む。
【0007】
更なる態様では、フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法が提供される。この方法は、工具が型本体の一部を占めるように型本体内に工具を挿入するステップを含む。その方法は、工具が占める型本体の一部が端部キャップ材料を受け入れるのを工具により防いだ状態で、型本体内および工具の周囲に端部キャップ材料を注入するステップを更に含む。その方法は、また、端部キャップ材料が固体化した後、型本体から工具を取り除くステップも含む。その方法は、また、それまで工具が占めていた型本体の一部が握り穴を提供するように工具が取り除かれた後、型本体から端部キャップ材料を抜き取るステップも含む。
【0008】
別の態様では、フィルターハウジングおよびフィルターエレメントを含むフィルターエレメントアセンブリが提供される。フィルターエレメントは、フィルタ媒体、第1端部キャップ、および第2端部キャップを含む。フィルタ媒体は、第1および第2フィルタ端部を有する。第1端部キャップは第1フィルタ端部に取り付けられ、第2端部キャップは第2フィルタ端部に取り付けられる。第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、その内側に一体モールド成形される取っ手構造を備える。取っ手構造は、フランジを横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含む。第2端部キャップは、少なくとも2つの位置決め突起を更に含む。位置決め突起は、合同で、フィルターハウジング内でフィルターエレメントを定位置に保持するのに十分な幅を提供する。
【0009】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細説明により更に明らかになるであろう。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は下記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の教示に従うフィルターエレメントの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【0012】
【図2】図2は、図1のフィルターエレメントの上端部キャップの斜視図であり、上端部キャップが、その内部にモールド封止されて握り穴を形成するグロメットを含む斜視図である。
【0013】
【図3】図3は、図2の上端部キャップの平面図である。
【0014】
【図4】図4は、図3の上端部キャップを略4−4線に沿って切断した断面図である。
【0015】
【図5】図5は、図3の上端部キャップを略5−5線に沿って切断した断面図である。
【0016】
【図6】図6は、図1のフィルターエレメントの下端部キャップの斜視図である。
【0017】
【図7】図7は、図1のフィルターエレメントに見られる図2の上端部キャップを形成するのに用いるモールド型アセンブリ、およびモールド型アセンブリの型本体に工具を用いて挿入されるグロメットの分解図である。
【0018】
【図8】図8は、グロメットを型本体に部分的に挿入した状態の図7のモールド型アセンブリの斜視図である。
【0019】
【図9】図9は、図7の型本体に完全に挿入されたグロメットを略9−9線に沿って切断した断面図である。
【0020】
【図10】図10は、図9の型本体に完全に挿入されたグロメットを略10−10線に沿って切断した断面図である。
【0021】
【図11】図11は、図1のフィルターエレメントの上端部キャップの代替の実施の形態の斜視図であり、上端部キャップには図2のグロメットが含まれない。
【0022】
【図12】図12は、図11の上端部キャップを形成するために用いる型本体に挿入される円筒状工具の斜視図である。
【0023】
【図13】図13は、図11の上端部キャップ内に握り穴が形成されるよう型本体から抜き取られた円筒状工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0025】
図1を参照して、フィルターエレメント10を説明する。フィルターエレメント10は、一般に、流体において存在が好ましくない粒子、汚染物質、および他の破片を除去するのに用いられる。図1に図示する実施の形態では、フィルターエレメント10は、空気の流れから上記粒子を除去するよう構成される。そうであっても、本明細書で開示されるフィルターエレメント10は、例えば、液体から不要な粒子を除去するフィルターエレメントのような他の種類のフィルターエレメントにも好適に用いることができる。フィルターエレメント10は、例えば、その全てが本明細書に組み込まれる米国特許第7,090,708号で説明され示されるハウジング内で好適に用いられてもよい。
【0026】
図1のフィルターエレメント10は、概して、円筒リング状フィルタ媒体12と下端部キャップ14と上端部キャップ16とを備えている。下端部キャップ14はフィルタ媒体12の下端部18に取り付けられる一方で、上端部キャップ16はフィルタ媒体の上端部20に取り付けられる。図1に示す実施の形態では、フィルタ媒体12の両端はポッティング(封入成形処理)され、それによりフィルターエレメント10が形成される際に端部キャップ14、16のそれぞれに埋め込まれる。フィルターエレメント10を使用する用途に応じて、フィルタ媒体12は、ひだ付き、溝付き、または当業者には周知の何らかの他の構成を取ることができる。更に、フィルタ媒体12は合成繊維または天然繊維のどちらからでも形成できる。構造的支持を与えるために、フィルタ媒体12は、管状のプラスチック製および/または金属製支持体22(その小破断図を図1で示す)で内側および/または外側で支持してもよい。支持体22は、例えば、金網、プラスチッククロス部材、穴あき金属板等の形態としてもよい。
【0027】
図6にも示される下端部キャップ14は、略環状である。従って、下端部キャップ14は、中央開口26の周囲に延在する側壁24を含んでいる。中央開口26は、フィルターエレメントがインサイドアウト(内側から外側へ流れる)型またはアウトサイドイン(外側から内側へ流れる)型のフィルターエレメントの何れとして構成されるかに応じて、フィルターエレメント10に対して空気を流入させたり流出させたりする。
【0028】
図6に示す実施の形態では、下端部キャップ14は外面30に形成された周囲肩部28を含む。下端部キャップ14は、また、側壁24に形成された側壁24の半径方向の外側方向に延在する幾つかの半円凹部32および側壁24の軸方向に延在する幾つかの溝34も含む。凹部32および溝34は、型本体上における媒体のスタンド・オフ(位置決め支持)の結果形成される。媒体のスタンド・オフは、一般的に成形工程中にフィルタ媒体を軸方向、および半径方向の両方向に配向(向きを定めて配置)するのに用いられる。下端部キャップ14は、例えばポリウレタン、プラスチック、プラスチゾル、ゴム等の種々の好適な材料で形成されてもよい。
【0029】
図2を参照すると、上端部キャップ16が示されている。図2に示す実施の形態では、上端部キャップ16は、側壁36と床38と取っ手構造40とを含む。下端部キャップ14と同様に、上端部キャップ16は、半径方向の外側方向に延在する幾つかの半円凹部40および軸方向に延在する幾つかの溝42を含む。上端部キャップ16は、また、概して側壁36の外面48上に形成される少なくとも2つの位置決め突起46も含む。
【0030】
図2に示す実施の形態では、半径方向の外側方向に突出する一対の位置決め突起46が上端部キャップ16に含まれている。他の構成も可能であるが、図2の位置決め突起46は、傾斜した、または面取りした下部50と平坦な上部52とを含んでいる。面取りした下部50は、面取りした下部が上端部キャップ16の底54に向って進むにつれて突出量を減ずる断面形状を有する。面取りした下部50の傾斜により、フィルターエレメント10は、端部キャップ材料に損傷を与えることなく、確実にフィルターハウジング(不図示)内へ挿入できる。
【0031】
一対の位置決め突起46は、一般的に側壁36上で約180°隔てて配置されるとともに、図3に示すように一方の端51から他方の端53までの寸法で十分な幅49を有し、それにより一対の突起はフィルターエレメント10をフィルターハウジング内の中央に配置でき、ハウジング内におけるフィルターエレメント10の横方向の動きを防ぐことができる。また、一対の位置決め突起46は、フィルターエレメントがフィルターハウジングに収まり係合する際にフィルターエレメント10が動くのを防止することができる。換言すれば、図2の一対の位置決め突起46は、フィルターエレメント10をフィルターハウジング内で適切に嵌合および配向させる構造を有する。
【0032】
取っ手構造40は、底部58と両端部61とを有するフランジ56を含む。図示の実施の形態では、フランジ56の底部58は床38と一体モールド成形されている。更に、両端部61の下部は側壁36と一体モールド成形されている。図2および図3に示すように、床38と側壁36は合同で第2端部キャップ16の凹部60を形成する。取っ手構造40のフランジ56は、床38に対して略直角に向けられるとともに、床38の中央を横断することにより、図示のように凹部60を分割し、二等分してもよい。図2と図4に示すように、フランジ56の上部は側壁36の周縁62の上に突出する。必要に応じて、フランジ56の両端部61は、図2と図3に示すように位置決め突起46と位置合わせしてもよい。
【0033】
図3を参照すると、フランジ56は、フランジの中央部66においてフランジの一方の面68から他方の面70までの寸法の肉厚部64を含む。フランジ56の中央部66の肉厚部64は、中央部66の外側のフランジの一方の面74から他方の面76までの寸法のフランジ56の通常厚部72に隣接している。肉厚部64は、フランジ56を貫通する握り穴78に隣接するフランジ56に強度と耐久性を与える。図2に示す実施の形態では、肉厚部64は略正方形である一方、握り穴78は略円形である。しかし、これらの構造の各々は好適な他の形状であってもよい。
【0034】
図2に示すように、握り穴78は、フランジ56を横方向に、より具体的には直角に貫通する。握り穴78は、概して側壁36の直径方向で向き合う部分に向けて開口している。必要に応じて、握り穴78は、上端部キャップ16上に型分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される。この望ましい結果を実現する上端部キャップ16の成形工程は、以下により詳細に説明する。
【0035】
取っ手構造40のフランジ56における握り穴78は、フィルターエレメント10と対応するフィルターハウジング(不図示)との間の、早くて簡単で使い勝手のよい着脱に役立つ。図2および図4、図5に示す実施の形態では、握り穴78はユーザの指1本を受け入れる大きさにされている。そうであっても、握り穴78は、必要に応じて何本かの指を収容するように形成してもよい。1本以上の指を握り穴78に挿入することにより、ユーザは、フィルターエレメント10を点検および/または交換する際に、フィルターエレメント10をしっかり掴むことができる。図4に示すように、握り穴78の一部は側壁36の周縁62よりも上に配設されている。
【0036】
図2と図5に示す実施の形態では、フランジ56の握り穴78は、フランジ内にグロメット80を一体モールド成形することにより形成される。グロメット80は、例えばゴムやプラスチック等の好適な種々のエラストマー材料で形成される。図5に示すように、グロメット80は、グロメット80の外周84に沿って円周上を進む溝82を含む。図5に示すように、グロメット80の溝82は、端部キャップのモールド成形工程中にモールド成形材料を受け入れる。モールド成形材料が固体化または硬化した場合、グロメット80は取っ手構造40のフランジ56に結合される。従って、取っ手構造40のフランジ56における握り穴78は、グロメット80により略画成される。
【0037】
図2と図5に示すように、グロメット80がフランジ56内にモールド封止された後、グロメット露出面86は何も覆われないままとなる。図5に示す実施の形態では、グロメット露出面86は、グロメット露出面に隣接する肉厚部64の面68、70と略平面となる。従って、フランジ56全体および、総じて取っ手構造40は、滑らかな仕上がり外観を呈する。
【0038】
ここで図7乃至図10を参照して、上端部キャップ16上に型分割線が生じないように上端部キャップ16をモールド成形する工程のうちの1つを全体的に説明する。図7に示すように、工具88を用いて、単一方向引き抜き離型方式モールド型アセンブリ(single pull mold assembly)96に含まれる型本体94の取っ手形成部92にスロット90を通してグロメット80の1つを挿入する。工具88は、特にはグロメット80を正しい深さまで取っ手形成部92へ確実に挿入するよう構成される。図7と図9に示す実施の形態では、工具88の遠位端98が型本体94の底壁100に当接する場合、グロメット80は適切な深さまで挿入される。
【0039】
説明のため、グロメット80は、図8では取っ手形成部92に部分的に挿入された状態で示され、図9と図10では取っ手形成部に完全に挿入された状態で示されている。完全に取っ手形成部92に挿入されると、グロメット80の(グロメット80が型本体94から引き抜かれて開放された場合、図2のグロメット露出面86となる)外面102は、型本体94の対面壁104とシールするように係合し、グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞106を形成する。
【0040】
グロメット80の外面102と型本体94の対面壁104との間の良好なシールの形成を促進するために、型アセンブリ96の下側ユニット108(図7)を用いて対面壁104をグロメット80に押し付けてもよい。型アセンブリ96の中間部材110を用いて、例えば、型アセンブリを固定し、逃げチャネル112を設けてもよい。必要に応じて、型本体94、中間部材110、および下側ユニット108を締結具114で共に保持してもよい。
【0041】
グロメット80を型本体94の取っ手形成部92に設置した後、ポリウレタン等の端部キャップ材料が型本体に注入される。端部キャップ材料は、グロメット80の周囲に回り込んで、型本体94を完全に満たすのに十分な粘性を有する。しかし、グロメット80の外面102と型本体94の対面壁104との間のシールにより、内部空洞106は端部キャップ材料が入らない状態に保たれる。
【0042】
必要に応じて、型本体94内に流し込むか、または他の方法で収納された端部キャップ材料は硬化処理してもよい。硬化処理工程により、端部キャップ材料の固体化または硬化に要する時間を短縮できる。また、硬化処理工程により、形成中の端部キャップの強度および/または耐久性を高めることもできる。硬化処理工程では、端部キャップ材料を、例えば、熱、紫外線にさらし、また硬化を加速する他の装置を用いて処理してもよい。
【0043】
端部キャップ材料が十分に固まった後、端部キャップ材料とグロメット80が一括して型本体94から抜き取られて図2に示す上端部キャップ16を形成する。位置決め突起46、または端部キャップ16,116の他の部分は、端部キャップ材料が型本体120から引き抜かれて開放される際には、弾性的に変形することができる。グロメット80の内部空洞106は端部キャップ材料から保護されていたので、上端部キャップ16は、時に割型により生じる分割線を発生させることなく、握り穴78を都合よく提供する。
【0044】
図11に示す代替実施の形態では、グロメット80なしで形成される上端部キャップ116を構成し、用いることにより、図1に示すフィルターエレメント10を形成してもよい。図11の上端部キャップ116は、類似の参照番号が与えられている図2の端部キャップ16と同じ構造的特徴の多くを有する。具体的には、上端部キャップ116には、割型により生じる分割線が発生しない。しかし、上端部キャップ116はグロメットの1つを含んでいないので、上端部キャップ116は、以下でより詳しく説明する幾分異なるモールド成形工程を用いて形成される。
【0045】
ここで図12と図13を参照して、上端部キャップ116上に型分割線が生じないように上端部キャップ116を成形する工程を全体的に説明する。ここでは、図7と図8に示すような型本体94のスロット90を通してグロメット80を挿入する代わりに、型本体120内の位置合わせされた一連の開口を通して円筒状工具118を挿入する。円筒状工具118は型本体120の取っ手形成部122を完全に貫通するので、端部キャップ材料が型本体120内に注入されると、円筒状工具118で占められた領域は端部キャップ材料が入らない状態に保たれる。端部キャップ116の凹部60内の仕切りを十分に高くできるので、円筒状工具118はフィルタ媒体12との干渉を避けることができる。
【0046】
端部キャップ材料が十分に固まった後、円筒状工具118は型本体120から取り除かれて、端部キャップ材料は型本体120から抜き取られる。これにより、図11に示す上端部キャップ116が作られる。位置決め突起46、または端部キャップ16,116の他の部分は、端部キャップ材料が型本体120から引き抜かれて開放される際には、弾性的に変形することができる。円筒状工具118が型本体120の取っ手形成部122の一部を占めていたので、上端部キャップ116は握り穴78を具備することになる。握り穴78は割型により生ずる分割線を持たない。
【0047】
図2と図11に示す各上端部キャップ16,116を形成するのに用いる手順に拘らず、側壁36、床38、および取っ手構造40のフランジ56は一体モールド成形される。実際、割型が使用されないので、上端部キャップ16,116のこれらの部分それぞれには概して分割線が発生しない。下端部キャップ14と同様に、各上端部キャップ16,116は、例えばポリウレタン、プラスチック、プラスチゾル、ゴム等の種々の好適な材料で形成できる。
【0048】
図2、図6、図11に示す下端部キャップ14、上端部キャップ16,116の何れかに追加支持が必要な場合、それら端部キャップは強化構造124を含んでもよく、その一部を図2の破断図で示す。強化構造124は、例えばカーボンファイバーまたは金網等の材料であってもよい。美的および/または構造的目的のため、強化構造124は、端部キャップ14,16,116内に完全に埋め込み、見えないようにしてもよい。他の状況では、強化構造124は、端部キャップ14,16,116の外側に置き、見えるようにしてもよい。
【0049】
以上により、当業者は、本開示が既存のフィルターエレメントに対して著しい改良をもたらすことを認識するであろう。実際、本フィルターエレメント10は、一体成形された握り穴78を提供する端部キャップ16,116を含んでいる。握り穴78は分割線がない上、耐久性があって使い易い取っ手を提供する。
【0050】
本明細書中で引用する公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、また、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0051】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0052】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップであって、前記第2端部キャップはモールド成形材料で形成され、一体モールド成形される取っ手構造をその内側に含み、前記取っ手構造は、少なくとも部分的に横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含み、前記中空部は前記第2端部キャップ上に型分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される、第2端部キャップとを備える;
フィルターエレメント。
【請求項2】
前記第2端部キャップは前記取っ手構造の周囲を進む側壁を含み、前記中空部は前記側壁の直径方向で向き合う部分に向けて開口され、前記中空部および前記フランジの一部は前記側壁の周縁より上方に配設される、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項3】
前記第2端部キャップは半径方向の外側方向に突出する一対の位置決め突起を含み、前記半径方向の外側方向に突出する位置決め突起は、前記第2端部キャップの側壁の直径方向で向き合う部分にある、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項4】
前記半径方向の外側方向に突出する位置決め突起は、前記取っ手構造の前記フランジと整列され、前記フィルターエレメントを案内する傾斜付き下部を含む、
請求項3のフィルターエレメント。
【請求項5】
前記第2端部キャップは、周囲側壁および前記周囲側壁から半径方向の内側方向に延在する固体床を含み、前記床は、前記床と前記側壁とで前記第2端部キャップ内に凹部を形成するよう前記側壁の下部と一体成形され、前記取っ手構造は前記床から突出している、一端が閉じたキャップである、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項6】
前記第2端部キャップの前記取っ手構造の前記フランジは底部と両端部とを含み、前記凹部内の前記底部および前記両端部の一部はそれぞれ、前記固体床および前記周囲側壁と一体モールド成形され、前記フランジは、前記取っ手構造の前記フランジが前記凹部を分割するように中心軸と交差する、
請求項5のフィルターエレメント。
【請求項7】
前記フィルタ媒体は、床の上方で前記取っ手構造を取り囲む状態で側壁内に埋め込まれる、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項8】
前記フランジの前記中空部はグロメットで囲まれ、前記グロメットは前記フランジ内にモールド封止される、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項9】
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップであって、前記第2端部キャップはモールド成形材料で形成される、一体モールド成形される取っ手構造をその内側に含み、前記取っ手構造は内部にモールド封止されたグロメットを有するフランジを含み、前記グロメットは前記フランジを横方向に貫通する開口を画成する、第2端部キャップとを備える;
フィルターエレメント。
【請求項10】
前記第2端部キャップは周囲側壁と前記周囲側壁から半径方向の内側方向に延在する床とを含み、前記開口の中心軸は前記床の上面と略平行であり、前記グロメットはグロメット露出面を含み、前記グロメット露出面は、前記グロメット露出面に隣接する前記フランジの外面と平面をなす、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項11】
前記グロメットは外周に沿って円周上に延在する溝を含み、前記溝は前記グロメットを前記取っ手構造の前記フランジと結合させ、前記グロメットはエラストマー材料で形成され、前記第2端部キャップの残りの部分はポリウレタンで形成される、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項12】
前記フランジの上部および前記フランジを貫通する前記開口の一部は、それぞれ前記第2端部キャップの側壁の周縁の上方に配設され、前記グロメットにより形成される前記開口は、1本以上の人の指を受け入れる大きさで寸法取りされる、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項13】
前記第2端部キャップは、面取りされた下部を含む少なくとも1つの位置決め突起を含み、前記面取りされた下部は、前記面取りされた下部が前記第2端部キャップの底に向って進むにつれて突出量を減ずる断面形状を有する、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項14】
フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法であって:
グロメットの外面が型本体の対面壁とシールするように係合し、前記グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞を形成するように、前記グロメットを前記型本体に挿入するステップと;
前記内部空洞に端部キャップ材料が入らない状態を保ちつつ、前記型本体内および前記グロメットの周囲に前記端部キャップ材料を注入するステップと;
前記グロメットが中空部を提供するように前記端部キャップ材料が固体化した後、前記型本体から前記端部キャップ材料および前記グロメットを一括して抜き取るステップとを含む;
方法。
【請求項15】
前記抜き取るステップは、前記端部キャップ全体にわたり分割線が生じないように単一方向の引き抜きにより実行され、前記グロメットは、前記挿入するステップの間に前記型本体の取っ手形成部内に挿入される、
請求項14の方法。
【請求項16】
前記端部キャップ材料の固体化を促進するために前記端部キャップ材料を硬化処理するステップを更に含むとともに、前記端部キャップ上に少なくとも1つの位置決めフィーチャを形成するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項17】
前記グロメットを前記型本体内に押し付けるステップを更に含むとともに、前記グロメットに形成される環状溝に前記端部キャップ材料を流し込んで前記グロメットを前記端部キャップの取っ手構造内に固定するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項18】
前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内に強化構造を埋め込むステップを更に含むとともに、前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内にフィルタ媒体をポッティングし、前記フィルタ媒体の反対側の端部に追加の端部キャップを固定するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項19】
フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法であって:
工具が型本体の一部を占めるように前記型本体内に前記工具を設けるステップと;
前記工具が占める前記型本体の一部が端部キャップ材料を受け入れるのを前記工具により防いだ状態で、前記型本体内および前記工具の周囲に前記端部キャップ材料を注入するステップと;
前記端部キャップ材料が固体化した後、前記型本体から前記工具を取り除くとともに、それまで前記工具が占めていた前記型本体の一部が中空部を提供するように前記型本体から前記端部キャップ材料を抜き取るステップとを含む;
方法。
【請求項20】
前記取り除くステップおよび前記抜き取るステップは、前記端部キャップ全体にわたり分割線が生じないように実行されるとともに、前記工具は、前記挿入するステップの間に前記型本体の取っ手形成部内に挿入される、
請求項19の方法。
【請求項21】
前記端部キャップ材料の固体化を促進するために前記端部キャップ材料を硬化処理するステップを更に含むとともに、前記端部キャップ上に少なくとも1つの位置決めフィーチャを形成するステップを更に含む、
請求項19の方法。
【請求項22】
前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内に強化構造を埋め込むステップを更に含むとともに、前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内にフィルタ媒体をポッティングし、前記フィルタ媒体の反対側の端部に追加の端部キャップを固定するステップを更に含む、
請求項19の方法。
【請求項23】
フィルターハウジングと;
フィルターエレメントであって:
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップと;を含み、前記第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、その内側に。。-1-−0一体モールド成形される取っ手構造を備え、前記取っ手構造は、横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含み、前記第2端部キャップは、少なくとも2つの位置決め突起を更に含み、前記少なくとも2つの位置決め突起は略180°隔てられ、合同で、前記フィルターハウジング内で前記フィルターエレメントを定位置に保持するのに十分な幅を提供する、フィルターエレメントとを備える;
フィルターエレメントアセンブリ。
【請求項24】
前記フランジはその内部にモールド封止されるグロメットを含み、前記グロメットが前記中空部を画成する、
請求項23のフィルターエレメントアセンブリ。
【請求項25】
前記少なくとも2つの位置決め突起のそれぞれは面取りされた下部を含み、前記面取りされた下部を用いて前記フィルターエレメントを前記フィルターハウジングに対して位置決めする、
請求項23のフィルターエレメントアセンブリ。
【請求項1】
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップであって、前記第2端部キャップはモールド成形材料で形成され、一体モールド成形される取っ手構造をその内側に含み、前記取っ手構造は、少なくとも部分的に横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含み、前記中空部は前記第2端部キャップ上に型分割線が生じないよう割型なしでモールド成形される、第2端部キャップとを備える;
フィルターエレメント。
【請求項2】
前記第2端部キャップは前記取っ手構造の周囲を進む側壁を含み、前記中空部は前記側壁の直径方向で向き合う部分に向けて開口され、前記中空部および前記フランジの一部は前記側壁の周縁より上方に配設される、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項3】
前記第2端部キャップは半径方向の外側方向に突出する一対の位置決め突起を含み、前記半径方向の外側方向に突出する位置決め突起は、前記第2端部キャップの側壁の直径方向で向き合う部分にある、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項4】
前記半径方向の外側方向に突出する位置決め突起は、前記取っ手構造の前記フランジと整列され、前記フィルターエレメントを案内する傾斜付き下部を含む、
請求項3のフィルターエレメント。
【請求項5】
前記第2端部キャップは、周囲側壁および前記周囲側壁から半径方向の内側方向に延在する固体床を含み、前記床は、前記床と前記側壁とで前記第2端部キャップ内に凹部を形成するよう前記側壁の下部と一体成形され、前記取っ手構造は前記床から突出している、一端が閉じたキャップである、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項6】
前記第2端部キャップの前記取っ手構造の前記フランジは底部と両端部とを含み、前記凹部内の前記底部および前記両端部の一部はそれぞれ、前記固体床および前記周囲側壁と一体モールド成形され、前記フランジは、前記取っ手構造の前記フランジが前記凹部を分割するように中心軸と交差する、
請求項5のフィルターエレメント。
【請求項7】
前記フィルタ媒体は、床の上方で前記取っ手構造を取り囲む状態で側壁内に埋め込まれる、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項8】
前記フランジの前記中空部はグロメットで囲まれ、前記グロメットは前記フランジ内にモールド封止される、
請求項1のフィルターエレメント。
【請求項9】
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップであって、前記第2端部キャップはモールド成形材料で形成される、一体モールド成形される取っ手構造をその内側に含み、前記取っ手構造は内部にモールド封止されたグロメットを有するフランジを含み、前記グロメットは前記フランジを横方向に貫通する開口を画成する、第2端部キャップとを備える;
フィルターエレメント。
【請求項10】
前記第2端部キャップは周囲側壁と前記周囲側壁から半径方向の内側方向に延在する床とを含み、前記開口の中心軸は前記床の上面と略平行であり、前記グロメットはグロメット露出面を含み、前記グロメット露出面は、前記グロメット露出面に隣接する前記フランジの外面と平面をなす、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項11】
前記グロメットは外周に沿って円周上に延在する溝を含み、前記溝は前記グロメットを前記取っ手構造の前記フランジと結合させ、前記グロメットはエラストマー材料で形成され、前記第2端部キャップの残りの部分はポリウレタンで形成される、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項12】
前記フランジの上部および前記フランジを貫通する前記開口の一部は、それぞれ前記第2端部キャップの側壁の周縁の上方に配設され、前記グロメットにより形成される前記開口は、1本以上の人の指を受け入れる大きさで寸法取りされる、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項13】
前記第2端部キャップは、面取りされた下部を含む少なくとも1つの位置決め突起を含み、前記面取りされた下部は、前記面取りされた下部が前記第2端部キャップの底に向って進むにつれて突出量を減ずる断面形状を有する、
請求項9のフィルターエレメント。
【請求項14】
フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法であって:
グロメットの外面が型本体の対面壁とシールするように係合し、前記グロメットの半径方向の内側方向に内部空洞を形成するように、前記グロメットを前記型本体に挿入するステップと;
前記内部空洞に端部キャップ材料が入らない状態を保ちつつ、前記型本体内および前記グロメットの周囲に前記端部キャップ材料を注入するステップと;
前記グロメットが中空部を提供するように前記端部キャップ材料が固体化した後、前記型本体から前記端部キャップ材料および前記グロメットを一括して抜き取るステップとを含む;
方法。
【請求項15】
前記抜き取るステップは、前記端部キャップ全体にわたり分割線が生じないように単一方向の引き抜きにより実行され、前記グロメットは、前記挿入するステップの間に前記型本体の取っ手形成部内に挿入される、
請求項14の方法。
【請求項16】
前記端部キャップ材料の固体化を促進するために前記端部キャップ材料を硬化処理するステップを更に含むとともに、前記端部キャップ上に少なくとも1つの位置決めフィーチャを形成するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項17】
前記グロメットを前記型本体内に押し付けるステップを更に含むとともに、前記グロメットに形成される環状溝に前記端部キャップ材料を流し込んで前記グロメットを前記端部キャップの取っ手構造内に固定するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項18】
前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内に強化構造を埋め込むステップを更に含むとともに、前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内にフィルタ媒体をポッティングし、前記フィルタ媒体の反対側の端部に追加の端部キャップを固定するステップを更に含む、
請求項14の方法。
【請求項19】
フィルターエレメントの端部キャップをモールド成形する方法であって:
工具が型本体の一部を占めるように前記型本体内に前記工具を設けるステップと;
前記工具が占める前記型本体の一部が端部キャップ材料を受け入れるのを前記工具により防いだ状態で、前記型本体内および前記工具の周囲に前記端部キャップ材料を注入するステップと;
前記端部キャップ材料が固体化した後、前記型本体から前記工具を取り除くとともに、それまで前記工具が占めていた前記型本体の一部が中空部を提供するように前記型本体から前記端部キャップ材料を抜き取るステップとを含む;
方法。
【請求項20】
前記取り除くステップおよび前記抜き取るステップは、前記端部キャップ全体にわたり分割線が生じないように実行されるとともに、前記工具は、前記挿入するステップの間に前記型本体の取っ手形成部内に挿入される、
請求項19の方法。
【請求項21】
前記端部キャップ材料の固体化を促進するために前記端部キャップ材料を硬化処理するステップを更に含むとともに、前記端部キャップ上に少なくとも1つの位置決めフィーチャを形成するステップを更に含む、
請求項19の方法。
【請求項22】
前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内に強化構造を埋め込むステップを更に含むとともに、前記端部キャップ材料が固体化する前に前記端部キャップ材料内にフィルタ媒体をポッティングし、前記フィルタ媒体の反対側の端部に追加の端部キャップを固定するステップを更に含む、
請求項19の方法。
【請求項23】
フィルターハウジングと;
フィルターエレメントであって:
第1および第2フィルタ端部を有するフィルタ媒体と;
前記第1フィルタ端部に取り付けられる第1端部キャップと;
前記第2フィルタ端部に取り付けられる第2端部キャップと;を含み、前記第2端部キャップはモールド成形材料により形成され、その内側に。。-1-−0一体モールド成形される取っ手構造を備え、前記取っ手構造は、横方向に貫通するよう形成される中空部を有するフランジを含み、前記第2端部キャップは、少なくとも2つの位置決め突起を更に含み、前記少なくとも2つの位置決め突起は略180°隔てられ、合同で、前記フィルターハウジング内で前記フィルターエレメントを定位置に保持するのに十分な幅を提供する、フィルターエレメントとを備える;
フィルターエレメントアセンブリ。
【請求項24】
前記フランジはその内部にモールド封止されるグロメットを含み、前記グロメットが前記中空部を画成する、
請求項23のフィルターエレメントアセンブリ。
【請求項25】
前記少なくとも2つの位置決め突起のそれぞれは面取りされた下部を含み、前記面取りされた下部を用いて前記フィルターエレメントを前記フィルターハウジングに対して位置決めする、
請求項23のフィルターエレメントアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−533068(P2010−533068A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516145(P2010−516145)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/069039
【国際公開番号】WO2009/009377
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(593020201)ボールドウィン・フィルターズ・インコーポレーテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Baldwin Filters Inc
【住所又は居所原語表記】4400 East Highway 30, P.O. Box 6010, Kearney, Nebraska 68848−6010, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/069039
【国際公開番号】WO2009/009377
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(593020201)ボールドウィン・フィルターズ・インコーポレーテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Baldwin Filters Inc
【住所又は居所原語表記】4400 East Highway 30, P.O. Box 6010, Kearney, Nebraska 68848−6010, United States of America
【Fターム(参考)】
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