説明

成形型

【課題】 筒状の胴部に凹凸を形成した成形品を成形することができ、型割のような複数の工程を介さずに成形品を円滑に離型させることができる成形型を提供する。
【解決手段】 熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材Aから、筒状の胴部に凹凸を有する成形品110を成形するための成形型1であって、外周面が周方向と直交方向で均一な連続面に形成され、被成形材Aが外嵌される型本体2と、型本体2に内装され、該型本体2の外周面から外側に出没する凸部成形型3とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材から、筒状の胴部に凹凸を有する成形品を成形するための成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食物を収容する容器として種々のものが提供されており、その一つとして有底筒状に成形されて飲食物が収容される容器本体と、該容器本体の周壁を覆う外装体とで二重構造をなした断熱性に優れた容器がある。
【0003】
前記容器本体は、射出成形やシート成形等によって成形され、飲食物が収容される。その一方で、外装体は、印刷等が施された熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材を型に外嵌した状態で、被成形材を加熱して周方向に収縮させることにより、前記型の外形に即した形状に成形される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−15054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の容器は、該外装体に対する印刷により装飾されるが、近年において、印刷による装飾に加え、立体的な装飾、即ち、外周に凹凸を形成して更なる装飾性を高めることが要望されつつある。
【0005】
そうすると、外装体の胴部に凹凸を形成する場合には、型の外周に凹凸を形成する必要があるが、上述の如く、外装体は、型に外嵌した被成形材を熱収縮させることで成形されるため、成形品となった状態で型の外周に形成された凹凸と成形品の内周面に形成される凹凸とが嵌合状態となってしまい、成形品を型から離型することが困難である。
【0006】
このような状態にある型と成形品とを離型するには、複数の分割型を組み合わせることで型を形成し、成形品を離型するに際して凹凸同士の嵌合が解除されるように、複数の分割型を順々に成形品から抜く(いわゆる、型割を行う)ことも考えられるが、このような方式では、生産性の観点において、大量生産が要求される外装体(成形品)には不向きである。すなわち、製造過程において複数の分割型を適宜移動させる複数の工程が必要となり、成形品を量産するのに限界がある。また、各分割型を適宜タイミングで移動させる手段が必要で構造の複雑化が強いられるといった問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、筒状の胴部に凹凸を形成した成形品を成形することができ、型割のような複数の工程を介さずに成形品を円滑に離型させることができる成形型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る成形型は、熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材から、筒状の胴部に凹凸を有する成形品を成形するための成形型であって、外周面が周方向と直交方向で均一な連続面に形成され、被成形材が外嵌される型本体と、型本体に内装され、該型本体の外周面から出没する凸部成形型とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成の成形型によれば、該型本体の外周面から凸部成形型を突出させた状態で、型本体に外嵌した被成形材を加熱することで、該被成形品が熱収縮して型本体と凸部成形型との態様に即した形状の成形品となる。この状態で、成形品の内面の凹凸と凸部成形型とが嵌合状態となるが、凸部成形型が型本体の外周面から外側に出没可能に構成されているため、該凸部成形型を型本体内に埋没(退避)させることで、成形品の凹凸と凸部成形型との嵌合が解除され、型本体から成形品を離型させ得る状態となる。従って、型割のような複数の工程を必要とせずに成形品を円滑に離型させることができる。
【0010】
本発明の一態様として、型本体に移動可能に内装されたカム体と、凸部成形型を型本体内に向けて付勢する付勢手段とを備え、型本体の外周面には、凸部成形型が収容される型収容凹部が形成され、カム体には、型収容凹部内の凸部成形型に直接的又は間接的に当接して外側に押し出す押出部と、凸部成形型の型収容凹部内への移動を許容する許容部とが移動方向に並んで形成されていることが好ましい。このようにすれば、カム体の押出部が凸部成形型に対応した位置で凸部成形型を型本体の外周面から外側に押し出し、成形品を成形できる状態となる。その一方で、カム体の許容部が凸部成形型に対応した位置で、型本体内側への移動が許容された状態になり、付勢手段の付勢によって型本体内に埋没(退避)した状態となる。即ち、カム体を移動させることで、凸部成形型に対する押出部と許容部との位置関係を変更することができ、成形品を成形する状態と、成形品を離型させる状態とに切り換えることができる。
【0011】
この場合、前記カム体は、押出部と該押出部よりも小径に設定された許容部とが軸心方向に並んだ段付棒状に形成され、型本体に対し、略同心で且つ軸心方向に移動可能に内装されていることが好ましい。このようにすれば、カム体を軸心方向に移動させるだけで、凸部成形型に対する押出部と許容部との配置を切り換えることができる。
【0012】
そして、成形品の胴部に周方向に延びる凸部を形成すべく、前記型収容凹部は、型本体の外周面の周方向に延びるように形成され、前記凸部成形型は、型収容凹部に沿って配設されると共に型本体の周方向で伸縮自在に構成され、該凸部成形型とカム体との間には、カム体の移動方向と交差する方向に移動可能な介装体が設けられてもよい。このようにすれば、介装体を介して凸部成形型を型本体の外周面から出没させることができる。即ち、介装体は、凸部成形型とカム体との間に配設されているので、カム体の押出部が介装体に対応した配置になると、介装体を介して凸部成形型が周方向に伸長しつつ型本体の外周面から外側に押される。これにより、凸部成形型に即した凸部が胴部に形成された成形品を成形することができる。
【0013】
その一方で、カム体の許容部が介装体に対応した配置になると、介装体の移動が許容され、介装体によって外側に押し出されていた凸部成形型が、自己の収縮力により型収容凹部内に退避する。これにより、成形品の凹凸と凸部成形型との嵌合が解除され、成形品を離型させることができる状態となる。
【0014】
この場合、前記型収容凹部は、環状に形成されると共に、凸部成形型は、無端環状をなすコイルバネで構成され、前記介装体がカム体周りに少なくとも二つ以上配設されてもよい。このようにすれば、介装体がカム体周りに複数配設されることで、介装体が押出部に押されたときに、凸部成形型としてのコイルバネに対して全周に亘って外側に押し出す力が均一に作用し、該コイルバネを型本体の外周面から均一な突出量で突出させることができる。また、許容部が介装体の配置に対応した状態で、各介装体の移動が一斉に許容され、無端環状に形成されたコイルバネの収縮力が全ての介装体に作用し、介装体が型本体内部に押し込まれ、コイルバネ(凸部成形型)が型本体内に退避することになる。従って、胴部に無端環状をなす凸部の形成された成形品を精度良く成形することができる上に、該成形品を容易に離型させ得る状態にすることができる。
【0015】
そして、胴部の一端から型本体の一端面中央側に折れ曲がった環状部が形成された成形品を型本体から離型させるべく、型本体の一端面に接離可能に構成された離型体を備え、前記カム体は、押出部を許容部よりも型本体の一端面側に位置させて配設され、離型体は、許容部が凸部成形型に対応した位置でカム体に押されて型本体から離間するように構成されてもよい。このようにすれば、凸部成形型と成形品の凹凸との嵌合状態を解除した後に、離型体で成形品の環状部を軸心方向外側に押して成形品全体を型本体から離型させる(浮かせる)ことができる。また、一つのカム体で凸部成形型及び離型体を作動させるので、簡易な構成でありながら、凸部成形型及び離型体を適正なタイミングで作動させることができる。
【0016】
本発明の別の態様として、胴部の一端から型本体の一端面中央側に折れ曲がった環状部が形成された成形品を型本体から離型させるべく、型本体の一端面に接離可能に構成された離型体を備え、該離型体は、凸部成形型が型本体内に埋没した状態で型本体から離間するように構成されてもよい。このようにすれば、凸部成形型と成形品の凹凸との嵌合状態を解除した後に、離型体が型本体の一端面から離間するに際し、成形品の環状部が軸心方向において外側に押され、型本体に嵌合状態にある成形品全体を離型することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る成形型によれば、筒状の胴部に凹凸を形成した成形品を成形することができ、型割のような複数の工程を介さずに成形品を円滑に離型させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る成形型ついて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
かかる成形型は、熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材から、筒状の胴部に凹凸を有する成形品を成形するためのものであり、本実施形態においては、図1に示す如く、飲食物Fを収容すべく有底筒状に形成された容器本体105と、該容器本体105の周壁106を覆う外装体110とで二重構造をなす容器100の前記外装体(成形品)110を成形するためのものである。
【0020】
成形型の説明に先立ち、該成形型で成形される外装体110を含んだ容器100について概略説明すると、前記容器本体105は、合成樹脂を射出成形やブロー成形等の成形方法により成形、或いは合成樹脂からなるシートを真空成形、或いは圧空成形等の成形方法により成形した樹脂成形品である。容器本体105を成形する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、或いはこれらを発泡させた発泡樹脂等を採用することができる。また、シートとしては、前記合成樹脂の単層シート或いはガスバリア性を有する樹脂等との積層シート等を採用することができる。
【0021】
本実施形態に係る容器本体105は、周壁106の上端部に、外方に向けて延びるフランジ部107が設けられている。該フランジ部107は、周壁106の上端に接続されて環状をなす円環状部107aと、円環状部107aの外周端縁から周壁106に対向するように延出した延出部107bとで構成されている。
【0022】
前記外装体110は、印刷が施された熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材を熱収縮させて成形したもので、前記容器本体105の周壁106を覆う筒状の胴部(以下、外装壁という。)111と、該外装壁111の一端(下端)から内側に向けて延びる環状部である環状底部112とで構成されている。
【0023】
前記外装壁111には、外方に向けて突出した凸部113が形成され、外周面が凹凸に形成されている。本実施形態において、前記凸部113は、周方向で環状をなすように形成され、外装壁111の軸心方向に間隔をおいて三つ形成されている。前記環状底部112は、外装壁111の下端から該外装壁111の内部に向けて傾斜した傾斜部112aと、該傾斜部112aの先端から外装体110の軸心に向けて略水平に延びる水平環状部112bとで構成されている。
【0024】
上記構成の外装体110を成形するための被成形材(樹脂シート)は、熱収縮性を有する単層樹脂シートであってもよいが、本実施形態においては、熱収縮性を有する発泡ポリスチレン製の樹脂シート(以下、発泡樹脂シートという。)と、PS(ポリスチレン)フィルム(以下、ラミネートフィルムという。)との積層シートが採用されている。該樹脂シートは、発泡樹脂シートの厚さが、0.05mm〜1.0mm、好ましくは、0.2mm〜0.5mmに設定され、ラミネートフィルムの厚さが、0.01mm〜0.1mm、好ましくは、0.02mm〜0.05mmに設定されている。本実施形態に係る発泡樹脂シートは、発泡倍率が2〜10倍(好ましくは2.5倍から7倍)のものが採用され、筒状にした際に周方向となる一方向に熱収縮性を有している。即ち、樹脂シートは、略同一の熱収縮性を有する発泡樹脂シート及びラミネートフィルムが熱収縮方向を一致させて積層されることで構成されている。樹脂シートの熱収縮率は、120℃で30%以上が好ましい。なお、本実施形態に係る樹脂シートは、長方形状に形成されており、外装体2を成形するに際して長手方向の両端部同士を接着することで筒状にされるため、熱収縮性は筒状にした際に周方向となる長手方向に設定されている。
【0025】
本実施形態においては、完成品としての容器の装飾性を高めるべく、外装体110の外周面(表面)となる樹脂シートのラミネートフィルム上に文字、図柄等からなる商品表示や商品情報等の印刷が施されている。即ち、成形品たる外装体110は、軸心から外周面までの距離が、軸線方向の各位置で異なるため、外装体110に対して直接印刷すると印刷用の版が外周面の密接できない部分ができて適正な印刷ができないとして、外装体110に成形する前の樹脂シートに印刷を行っている。なお、ラミネートフィルムに対する印刷は表刷り又は裏刷りの何れであってもよいが、裏刷りを行う場合には、単層状態にあるラミネートフィルムに印刷を施した後、印刷面と発泡樹脂シートとが対向するように、発泡樹脂シートとラミネートフィルムとを積層して樹脂シートを構成すればよい。また、表刷りをする場合であっても、単層状態にあるラミネートフィルムに印刷を施した後、発泡樹脂シートとラミネートフィルムとを積層して樹脂シートを構成しても勿論よい。
【0026】
該発泡樹脂シートを構成する発泡ポリスチレンとしては、汎用ポリスチレンを各種発泡剤によって発泡させたものや、ポリスチレンにブタジエン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類等を共重合させたコポリマを主成分とし、且つそのスチレン成分を50重量%以上(好ましくは70%以上)含有したものを各種発泡剤によって発泡したもの等を採用することができる。発泡樹脂シートは、前記発泡ポリスチレン製が比較的剛性を有するため好ましいが、ポリプロピレン系樹脂等でもよい。また、ラミネートフィルムは、延伸ポリスチレン(OPS)や、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の各種熱収縮性フィルムであってもよい。
【0027】
上記構成の容器100は、外装体110(外装壁111)の他端部(上端部)が容器本体105の周壁106の上端部に嵌合されることで、容器本体105の周壁106と外装体110の外装壁111との間に空間を形成されている。これにより、該容器100は、容器本体105内の温度が外装壁111に伝わりにくい断熱性に優れたものになっている。その上、上記構成の容器100は、発泡樹脂シートを含む樹脂シートで外装体110を成形しているため、容器本体105と外装体110との間の空間による断熱に加え、発泡樹脂シートで断熱性がさらに高められている。
【0028】
次に、上記構成の外装体110を成形するための成形型について説明する。本実施形態に係る成形型は、図2(イ)及び図2(ロ)に示す如く、外周面が周方向と直交方向で(一端から他端に向けて)略均一な連続面に形成され、筒状の被成形材Aが外嵌される型本体2と、型本体2に内装され、該型本体2の外周面から略径方向に出没する凸部成形型3とを備えている。また、該成形型1は、型本体2に移動可能に内装され、凸部成形型3を出没させるカム体4と、凸部成形型3を型本体2内に向けて付勢する付勢手段5とを備えている。さらに、本実施形態に係る成形型1は、型本体2に外嵌した被成形材Aを定位置に固定する固定手段6と、被成形材Aから成形された成形品110を型本体2から離型させる離型手段7とを備えている。
【0029】
本実施形態に係る型本体2は、他端から一端に向けて先細りに形成され、外観略円錐台状に形成されている。該型本体2の外周面には、凸部成形型3を収容(内装)する型収容凹部20が形成されている。本実施形態に係る成形型1は、筒状の外装壁111に周方向に延びる凸部113(環状をなす凸条)を有する上述の成形品(外装体)110を成形すべく、型本体2の外周の全周に亘って凸部成形型3を収容できるように、型収容凹部20が型本体2の外周面上で周方向に延びて環状に形成されている。
【0030】
本実施形態に係る型収容凹部20は、型本体2の軸心に対してやや傾斜して形成され、軸心方向に間隔をおいて三条形成されている。型収容凹部20は、収容(退避)状態にある凸部成形型3が型本体2の外周面から外側に突出することのないよう、該凸部成形型3を完全に収容できるように形成されている。そして、本実施形態に係る型本体2は、前記カム体4を内装する内装空間21が形成されている。該内装空間21は、型本体2の軸心と略一致させて一端から他端にかけて形成されており、型本体2の両端面に開口を形成している。そして、内装空間21内のカム体4を凸部成形型3に作用させるべく、後述する介装体8(案内部80)を型本体2の径方向に移動可能に内挿する連結穴22が型収容凹部20と内装空間21とを連通させて形成されている。
【0031】
前記凸部成形型3は、型本体2の周方向において伸縮自在に構成されている。本実施形態に係る凸部成形型3は、無端環状に形成されたコイルバネが採用されており、全周に亘って型収容凹部20内に嵌め込まれている。このように凸部成形型3をコイルバネで構成することにより、該凸部成形型3は、自己の弾性(収縮力)によって型収容凹部20内に入り込もうとする力を作用させるようになっている。即ち、型収容凹部20に嵌め込まれたコイルバネは、周方向に伸長した状態で型本体2の外周面から突出する凸部成形型3として機能する他、自身(凸部成形型3)を型本体2内に向けて付勢する付勢手段5としての機能を兼ね備えている。
【0032】
本実施形態においては、無端環状の凸部成形型3を型本体2の外周面から出没させるべく、カム体4の作用を凸部成形型3に作用させる介装体8が凸部成形型3とカム体4との間に介装されている。該介装体8は、前記連結穴22に挿通されると共に一端部がカム体4(後述する押出部40及び許容部41)に接触する案内部80と、該案内部80の他端に連結され、凸部成形型3に当接する当接部81とで構成されている。前記案内部80は、ピン状に形成されており、連結穴22に対して軸心方向に移動可能に挿入されている。該案内部80は、連結穴22よりも長く設定されており、何れかの端部が連結穴22から型収容凹部20又は内装空間21内に突出するようになっている。該案内部80は、内装空間21側に位置する一端部が、該カム体4の外周面上を該カム体4の軸心方向において相対的に摺動できるように丸みを持たせて形成されている。
【0033】
前記当接部81は、型収容凹部20内に設けられ、案内部80の他端が該型収容凹部20内で接続されている。本実施形態に係る当接部81は、型収容凹部20の形状に合わせて該型収容凹部20に沿って延びるように形成されており、該伸長方向の略中央に案内部80が連結されている。本実施形態においては、凸部成形型3が無端環状をなすコイルバネで構成されているので、介装体8は、図3(イ)及び図3(ロ)に示す如く、該凸部成形型(コイルバネ)3の全周に亘ってカム体4を作用させ得る(押し出しと移動の許容とを伝達できる)ように、カム体4周りで複数配置されている。本実施形態において、介装体8は、カム体4の軸心を中心にして放射状に四つ設けられており、各介装体8の案内部80がカム体4に対して周方向に間隔をおいて接触した状態をなす。
【0034】
各介装体8は、上述の如く、連結穴22に沿って案内部80が移動することで全体が型本体2の径方向に移動するようになっているが、凸部成形型3(付勢手段5)の付勢力が常に作用しているので、案内部80の一端部が常にカム体4と接触した状態となる。
【0035】
図2(ロ)に戻り、本実施形態に係るカム体4は、型収容凹部20内に収容状態にある凸部成形型3を外方に向けて押し出す押出部40と、凸部成形型3の移動を許容する許容部41とが移動方向に並んで形成されている。本実施形態に係るカム体4は、型本体2の内装空間21内に軸心(穴心)方向に移動可能に収容されており、介装体8に対する押出部40と許容部41との配置が切り換え得るようになっている。なお、本実施形態においては、三つの凸部成形型3を一つのカム体4で操作すべく、押出部40と許容部41とが交互に三つずつ形成されている。
【0036】
前記押出部40は、内装空間21を画定する内周面に摺接可能で、且つ許容部41よりも大径に形成されており、介装体8(凸部成形型3)に対応した位置で、接触する介装体8(案内部80)を外側にシフトさせるようになっている。一方、許容部41は、大径部よりも小径に形成されており、介装体8に対応した位置で、介装体8の軸心側への移動を許容するようになっている。即ち、本実施形態に係るカム体4は、押出部40とこれよりも小径な許容部41とが軸心方向に並んだ段付棒状に形成され、他端側を型本体2の一端側にして(押出部40を許容部41よりも型本体2の一端側にして)軸心方向に移動可能に内装空間21に挿入されている。これにより、図3(イ)に示す如く、案内部80と押出部40とが接触している状態(押出部40と介装体8とが対応した位置関係となった状態)で、各介装体8が外側に押されて凸部成形型3が型本体2の外周面から突出し、被成形材Aの収縮力に対抗し得る状態で維持する。その一方、図3(ロ)に示す如く、案内部80と許容部41と接触している状態(許容部41と介装体8とが対応した位置関係となった状態)で、付勢手段5による付勢によって介装体8が型本体2の中央に向けてシフトして凸部成形型3が型本体2(型収容凹部20)内に埋没するようになっている。即ち、許容部41が凸部成形型3と対応した配置となった状態で、凸部成形型3は、自己(付勢手段5)の付勢力で型収容凹部20内に退避するようになっている。
【0037】
図2(イ)及び図2(ロ)に戻り、本実施形態に係るカム体4は、移動方向において押出部40と許容部41との間がテーパー状に形成されており、案内部80の摺接を円滑にして、凸部成形型3の押し出し及びその解除を円滑に行えるようになっている。
【0038】
本実施形態に係るカム体4の一端には、後述するガイドレール93(図4参照)と協働して該カム体4を軸心方向に移動させる案内バー43が略同心で連結されている。該案内バー43の先端部には、前記ガイドレール93上で転動するボール44が装着されたボール装着部45が設けられると共に、該ボール装着部45に隣接して後述する復帰バネSを受けるためのバネ受鍔部46が設けられている。その一方で、カム体4の他端面には、離型手段7の後述するガイドバー71aが挿入される挿入穴47が軸心に沿って穿設されている。
【0039】
前記型本体2の他端には、平面視円環状(ドーナツ板状)のベース25が同心で取り付けられている。該ベース25は、型本体2の最大径(一端部の外径)よりも大径に設定されている。そして、該ベース25には、前記案内バー43が挿通される案内筒26が取り付けられている。該案内筒26は、ベース25の開口と略同心で一端がベース25に固定され、他端部に、復帰バネSを受けるバネ受部27が形成されている。これにより、バネ受鍔部46とバネ受部27との間に介装された復帰バネSの付勢力で、案内バー43とこれに連結されたカム体4とが型本体2の他端側にスライドし、押圧部40で介装体8(凸部成形型3)が外側に押し出された状態で維持するようになっている。
【0040】
前記固定手段6は、型本体2の径方向に移動可能に型本体2周りに配設された複数の固定爪60…と、該複数の固定爪60…を型本体2の外周に押し付けるバネ体61とで構成されている。
【0041】
本実施形態において、前記固定爪60…は、ベース25に対して径方向にスライド可能に設けられている。そして、前記バネ体61は、無端環状をなし、複数の固定爪60…を囲み込むように設けられている。これにより、バネ体61の収縮力が各固定爪60…に対して中心に向けての付勢力として作用し、固定爪60…と型本体2との間で被成形材Aを挟み込んで固定できるようになっている。
【0042】
前記離型手段7は、成形品の一端から型本体2の中央に向けて折れ曲がった環状部(外装体110における環状底部112)を、型本体2から離間する方向に押して該外装体110を離型させる離型体70と、該離型体70を型本体2の一端面に対して略同心上で接離させるためのガイド手段71とで構成されている。
【0043】
本実施形態に係る離型体70は、平面視において型本体2の一端面と略同形をなすプレート状に形成され、一方の面が型本体2の一端面に接触した状態で他の面(外面)が型本体2の外周面と連続するようになっている。また、型本体2と対向(接触)する一方の面とは反対側の他方の面には、略円錐台状の凹部72が形成されている。これにより上記構成の離型体70は、成形品110を型本体2から離型する機能の他に、成形品(外装体110の環状底部112)を成形するための型としても機能するようになっている。
【0044】
前記ガイド手段71は、棒状に形成されたガイドバー71aと、前記ガイドバー71aを軸心方向に案内可能に案内穴73が形成されたガイド体71bとで構成されている。前記ガイドバー71aは、離型体70の一方の面に略同心で連結されている。ガイド体71bは、案内穴73と型本体2の内装空間21との穴中心を一致させるようにして型本体2の一方の面に固定されている。これにより、ガイド体71bの案内穴73に挿入されたガイドバー71aに連結された離型体70をガイドバー71aの軸心(内装空間21の穴心)に沿って移動させ得るようになっている。
【0045】
本実施形態に係るガイド手段71は、ガイドバー71aの先端部に取り付けられた抜け止め用のCワッシャ(採番しない。)とガイド体71bとの間にコイルバネ(採番しない。)が介装されており、常態においてコイルバネの付勢によって離型体70が型本体2の一端面に当接するようになっている。
【0046】
そして、前記ガイドバー71aは、先端側の一部が内装空間21内のカム体4に穿設された挿入穴47内に挿入された状態となっており、カム体4が型本体2の一端側に移動して、許容部41が介装体8と対応した位置となった状態、即ち、凸部成形型3が型本体2の外周面から内部(型収容凹部20)に退避した状態で挿入穴47を画定する奥部と接触し、さらに、カム体4が同方向に移動することで押され、離型体70が型本体2の一端面から離間するようになっている。
【0047】
本実施形態に係る成形型1は、図4に示す如く、被成形材Aから成形品(外装体)110を成形乃至離型可能に構成された成形装置9に組み込まれる。成形装置9について説明すると、該成形装置9は、被成形材Aを成形型1に外嵌し、該被成形材Aを成形型1(型本体2及び凸部成形型3)の形状に即した成形品110(外装体110)に成形する成形部(図示しない。)と、成形部で成形された外装体110を成形型1から離型させる離型部90と、成形部と離型部90との間で成形型1を移送する移送手段91とを備えている。また、本実施形態に係る成形装置9は、離型部90で離型された外装体110を搬送する搬送装置Eが一体又は別体で設けられている。
【0048】
前記成形部は、被成形材Aを型本体2に対して略同心で外嵌して装着する装着装置(図示しない。)と、装着された被成形材Aを加熱する加熱装置(図示しない。)とを備えている。
【0049】
離型部90は、移送されてきた成形型1の凸部成形型3を型本体2の外周面から内部に退避させると共に離型体70を型本体2から離間させるガイドレール93と、型本体2から外装体110を離型するに際し、離型手段7による離型を補助する補助離型手段94とを備えている。
【0050】
前記ガイドレール93は、成形型1の移送方向に延びるように形成されおり、上流側(成形部)から移送されてきた成形型1の案内バー43(ボール44)を案内してカム体4を軸心方向に移動させる案内面95が成形型1の移送方向の上流側から下流側に先上がり形成されている。具体的に説明すると、案内面95は、成形型1の軸心と略直交する方向に伸長して形成されており、成形型1の移送方向に沿って真っ直ぐに延び、上流側から移送されてくる成形型1のボール44が乗り移る第一案内面95aと、該第一案内面95aに連続して形成され、移送方向下流側に向けて成形型1(型本体2)の通過領域側に傾斜した第二案内面95bと、第二案内面95bに連続して形成され、第一案内面95aと略平行をなす第三案内面95cとで構成されている。前記第二案内面95bは、成形型1の案内バー43が第三案内面95c上に到達するまでに(該第二案内面95bの途中位置で)、許容部41が介装体8と対応する位置になるまで案内バー43を介してカム体4を押し、該第二案内面95bの途中位置から下流側でさらに案内バー43及びカム体4を押して離型体70を型本体2から徐々に離間させるように形成されている。前記第三案内面95cは、第二案内面95bから乗り移った案内バー43(ボール44)が型本体2側に押された状態となり、離型体70が型本体2に対して略一定の距離をおいて離間したままとなるように形成されている。
【0051】
前記補助離型手段94は、圧縮エアーを噴出するエアーノズル96を備えており、該エアーノズル96からの圧縮エアーによって外装体110を型本体2から浮き上がらせるようにしている。具体的に説明すると、本実施形態に係るエアーノズル96は、ガイドレール93の第三案内面95cに対応する位置、即ち、成形型1の離型体70で外装体110を持ち上げる際、或いは、持ち上げた状態で、外装体110の外装壁111に対して他端側から一端側に向けて斜め方向から圧縮エアーを吹き付けることができるように設けられている。補助離型手段94(エアーノズル96)は、離型体70が型本体2から離間する前或いはそれと同時に圧縮エアーの吹き付けを開始し、離型した外装体110が搬送装置Eの後述する保持装置E2(吸引保持具E2b)に吸引保持されるまで該圧縮エアーの吹き付けを行うようになっている。
【0052】
前記移送手段91は、周回する無端環状のコンベア97を備えており、該コンベア97は、成形部と離型部90とに跨るように配設されている。本実施形態に係る成形装置9は、外装体110を連続的に量産するべく、前記成形型1が複数設けられ、各成形型1がコンベア97に対して周方向に所定間隔をおいて固定されている。本実施形態に成形装置9は、成形部での被成形材Aの装着や、離型部90での外装体110の取り出しを考慮して、各成形型1は、型本体2がコンベア97の外側に位置し、案内バー43がコンベア97の内側に突出するように設けられている。そのため、上記ガイドレール93は、コンベア97の内側に配設されている。
【0053】
前記搬送装置Eは、外装体110を所定位置にまで搬送するベルトコンベアE1と、離型部90において離型された外装体110を保持すると共に該外装体110をベルトコンベアE1上にまで移動させる保持装置E2とで構成されている。
【0054】
保持装置E2は、ベルトコンベアE1と離型部90との間の略中間位置を回転中心に設定された回転テーブルE2aと、該回転テーブルE2aに対して周方向に間隔をおいて配設され、離型部90で外装体110を吸引して保持する複数の吸引保持具E2bとを備えている。前記回転テーブルE2aは、離型部90の型本体2の一端面(離型体70)、及びベルトコンベアE1の搬送面に対向するように設けられており、吸引保持具E2bは、外装体110の環状底部112を吸引することで保持できるようになっている。そして、外装体110を吸引保持したまま回転テーブルE2aが回転し、該外装体110がベルトコンベアE1上に到達したときに吸引を停止して外装体110をベルトコンベアE1上に載置するようになっている。
【0055】
次に、成形装置9の一連の作動を通じて外装体110の成形乃至離型について説明することとする。まず、成形部において、図5(イ)に示す如く、熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材Aが、外周面から凸部成形型3が突出した型本体2に略同心となるように外嵌される。そして、被成形材Aの開口端縁部が型本体2と固定爪60…とに挟まれ、成形型1に対して位置決めされた状態で固定される。なお、本実施形態においては、環状底部112を備えた外装体110を成形するため、被成形材Aは軸心方向の長さが、離型体70よりも外側に延出する長さに(型本体2及び離型体70の軸心方向における合計長さよりも長く)設定されたものが採用される。
【0056】
そして、被成形材Aが加熱装置によって加熱されると、図5(ロ)に示す如く、被成形材Aは周方向に収縮し、型本体2及び凸部成形型3の対応した形状となり、外装体110の外装壁111(周方向に延びる凸部113の形成された外装壁111)が形成される。そして、離型体70よりも外側に延出した被成形材Aの端部は、熱収縮によって型本体2の中央に向けて倒れ込み(折れ曲がり)、略水平環状を呈することになる。
【0057】
しかる後、図5(ハ)に示す如く、離型体70の一方の面に形成された凹部72に嵌合可能な凸型Xで、被成形材Aの水平環状をなす部分が凹部72内に押し込まれ、凸型Xが成形型1から離間した後、図5(ニ)に示す如く、外装体110の環状底部112が形成される。
【0058】
そして、成形型1は、移送手段91で下流側の離型部90に向けて搬送され、図6に示す如く、案内バー43(ボール44)がガイドレール93の案内面95(第一案内面95a)に載り、案内面95に沿って軸心方向に移動する。そして、案内バー43が第二案内面95bにさしかかると、該案内バー43は第二案内面95bの傾斜に従って軸心方向に移動し、カム体4が型本体2の一端面側に押されることになる。そうすると、カム体4と介装体8(案内部80)とが型本体2の軸心方向において相対移動し、介装体8がカム体4の軸心方向の外形に沿って移動、即ち、介装体8が押出部40と許容部41との間のテーパーに沿って徐々に型本体2内に移動する。そうすると、これまで押出部40と介装体8との接触により型本体2の外周面から突出していた凸部成形型(コイルバネ)3(5)が自己の弾性(収縮力)によって型収容凹部20内に徐々に入り込み、外装体110の外装壁111の内面に形成された凹部(外周面で凸部となる裏面側の凹部)と凸部成形型3との嵌合状態が解除される。なお、図6は、成形型1がガイドレール93の案内面95に沿って移動する際の型本体2の外周面からの凸部成形型3の出没状態をガイドレール93の案内面95との関係を断続的に示した図である。
【0059】
そして、成形型1が下流側に移送されるに伴い、案内バー43が第二案内面95bの傾斜に従ってさらに型本体2の一端側に押されると、カム体4の挿入穴47の奥部とガイドバー71aとが接触し、ガイドバー71aが同方向に押されることになる。即ち、凸部成形型3が型本体2の外周面から内部に退避した状態で、離型体70が型本体2から離間することになる。そうすると、離型体70が外装体110の環状底部112を型本体2に対して離間方向に押し、外装壁111が型本体2の外周面に密接状態にある外装体110が型本体2から離型されることになる。この際、図4に示す如く、補助離型手段94(エアーノズル96)からの圧縮エアーの吹き付けが、外装体110を浮き上がらせるように作用しているので、型本体2からの離型だけでなく、離型体70から離脱を補助するように作用している。
【0060】
そして、吸引保持具E2bが型本体2から離型状態にある外装体110を吸引して保持すると、回転テーブルE2aが回転して保持した外装体110をベルトコンベアE1まで搬送し、該外装体110はベルトコンベアE1で所定位置まで搬送されることになる。そして、本実施形態に係る成形装置9は、成形型1を複数備えているので、各外装体(成形品)110に対しても上述の工程が行われ連続的に量産される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る成形型1は、凸部成形型3が型本体2の外周面から外側に出没可能に構成されているため、該凸部成形型3を外周面の外側から型本体2内に退避させることで、外装体(成形品)110の凹凸(凹部)と凸部成形型3との嵌合が解除され、外装体110と型本体2とを軸心方向で且つ離間方向に相対的に移動させるだけで、外装体110を型本体2から円滑に離型させることができる。従って、外装体110を型本体2から離型するに際し、型割のような複雑な工程や動作を介さずに外装体110を円滑に離型させることができる。
【0062】
また、型収容凹部20内の凸部成形型3を外側に押し出す押出部40と凸部成形型3の型収容凹部20内への移動を許容する許容部41とが移動方向に並んで形成さたカム体4と、凸部成形型3を型本体2内に向けて付勢する付勢手段5とを備えるようにしたので、カム体4を移動させることで、凸部成形型3に対する押出部40と許容部41との位置関係を変更することができ、外装体110を成形する状態と、外装体110を離型させる状態とに切り換えることができる。
【0063】
特に、カム体4を押出部40と許容部41とが軸心方向に並ぶ段付棒状に形成し、該カム体4を軸心方向に移動可能としたので、簡易な構成で押出部40及び許容部41が凸部成形型3の配置に対応した位置に切り替えることができる。
【0064】
そして、型本体2の外周面に周方向の延びるように型収容凹部20を形成すると共に、凸部成形型3を型収容凹部20に沿って嵌入されるコイルバネで構成したので、凸部成形型3と付勢手段5とを兼用させることができる。その上に、該凸部成形型3を機能させることができる。また、該凸部成形型3とカム体4との間に、カム体4の押出部40及び許容部41に沿ってカム体4の移動方向と交差する方向に移動する介装体8を設けるようにしたので、カム体4の作用を凸部成形型3に作用させることができる。
【0065】
そして、カム体4周りに複数の介装体8を配設するようにしたので、凸部成形型3を無端環状に構成しても、該凸部成形型3に対して全周に亘って外側に押し出す力を均一に作用させることができ、凸部成形型3を型本体2の外周面から均一な突出量で突出させることができる。また、凸部成形型3をコイルバネで構成したので、凸部成形型3自体を付勢手段5として機能させることができ、上述の如く、凸部成形型3を無端環状に形成しても、確実に型本体2(型収容凹部20)内に退避させることができる。従って、外装壁111に無端環状をなす凸部113の形成された成形品を精度良く成形することができる上に、該外装体110を容易且つ確実に離型させることができる。
【0066】
そして、型本体2の一端面に接離可能に構成された離型体70を設けるようにしたので、環状底部112の形成された成形品110を型本体2から確実に離型させることができる。
【0067】
特に、許容部41が凸部成形型3に対応した位置でカム体4が離型体70を押して型本体2から離間させるようにしたので、簡易な構成でありながら、凸部成形型3の出没と離型体70による成形品の離型を適正なタイミングで行うことができる。
【0068】
さらに、上記機能を有するカム体4を、案内バー43とガイドレール93との協働によって作動させるようにしたので、成形型1を移動させつつ適正なタイミングで凸部成形型3の出没を切り換えることができる。従って、上記成形装置9のように、複数の成形型1を順々に移送するような場合であっても、複雑な構成にすることなく、それぞれ適正なタイミングで凸部成形型3を出没させることができる。
【0069】
尚、本発明の成形型は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上記実施形態において、複数の成形型1…を成形装置9に組み込んだが、これに限定されるものではなく、例えば、成形型1単体を用いて成形品を成形するようにしても勿論よい。このようにしても、凸部成形型3を型本体2の外周面から外側に出没させることで、外装体110の成形乃至離型を容易且つ確実に行うことができる。
【0071】
上記実施形態において、成形型1によって成形される成形品たる外装体110と組み合わす容器本体105に樹脂成形品を採用したが、二重構造の容器100に採用する容器本体105は、これに限定されるものではなく、例えば、ガラス、金属、紙等の種々の材料から成形した容器本体105と外装体110とを組み合わせて容器100を構成するようにしても勿論よい。
【0072】
上記実施形態において、型本体2の外周面から凸部成形型3を出没させるべく、カム体4と付勢手段5とを設けるようにしたが、凸部成形型3を型本体2から出没させる手段はこれに限定されるものではなく、例えば、型本体2内にリンク機構を内装し、該リンク機構の作動によって凸部成形型3を型本体2の外周面から出没させるようにしてもよい。また、上記実施形態において、凸部成形型3とカム体4との間に介装体8を介在させ、カム体4の作動を凸部成形型3に間接的に作用させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、カム体4の作動を凸部成形型3に直接作用させるようにしても勿論よい。
【0073】
上記実施形態において、外装体110の外装壁111に周方向全周に延びる凸部113を形成するようにしたが、成形型1で成形される成形品はこれに限定されるものではない。即ち、外装壁111周りに螺旋状の凸部113を有する成形品成形する場合、型本体2の外周に、螺旋状に延びる型収容凹部20を形成すると共に、該型収容凹部20に沿わせて長尺なコイルバネ3(5)を収容するようにすればよい。そして、上記実施形態と同様に、カム体4等でコイルバネ3(5)を押し出せば、該コイルバネが凸部成形型3として機能し、被成形材Aから螺旋状の凸部113を外装壁111に有する外装体110を成形する成形型1となり、カム体4での押し出しを解除して自己の弾性でコイルバネ3(5)を型収容凹部20内に退避させることで、凸部成形型(コイルバネ3(5))と外装体110の凸部113との嵌合が解除され、該外装体110を離型させる状態にすることができる。
【0074】
上記実施形態において、凸部成形型3に無端環状にしたコイルバネを採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、凸部成形型3を伸縮自在なゴム製のリング体で構成するようにしてもよい。このようにしても、コイルバネと同様に周方向に伸縮可能であるので、型本体2の外周面から出没可能である。また、凸部成形型3は、断面円形状のものに限定されるものではなく、成形する成形品の凸部の形状に対応して種々の断面形状のもの(例えば、断面角形のものや、断面多角形状のもの等)を採用することができる。
【0075】
さらに、凸部成形型3を無端環状のゴム製のチューブで構成し、該チューブに対して気体を注入及び排出するようにしてもよい。このようにすれば、チューブに空気を注入した状態で、該チューブが膨らんで型本体2の外周面から突出し、チューブから空気を排出した状態で、チューブが窄んで型本体2内に退避した状態になるので、上記実施形態と同様、成形品を成形する状態と、成形品を離型する状態とに切り替えが可能である。
【0076】
上記実施形態において、凸部成形型3が型収容凹部20(型本体2)内に退避した状態で、凸部成形型3が完全に収容された状態になるようにしたが、これに限定されるものではなく、成形品110の内面の凹部と凸部成形型3との嵌合状態が解除され、成形品110を成形型1…から離型させることができれば、凸部成形型3が型収容凹部20(型本体2)内に退避した状態で型本体2の外周面から一部を突出していてもよい。
【0077】
また、外装壁111の一部に凸部を有する外装体110を成形する場合、外装壁111に形成する凸部に即した凸部成形型を収容する型収容凹部20を型本体2の外周面に形成し、該型収容凹部20内に収容された凸部成形型3を、カム体4やリンク機構等を介して出没させるようにしもよい。このようにしても、凸部成形型3を型本体2の外周面から出没させることで、外装体110を円滑に離型させることができる。
【0078】
上記実施形態において、カム体4を段付棒状に形成し、押出部40と許容部41とを軸心方向に並べて形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、カム体4を型本体2内に軸心周りで回転可能に内装すると共に、該カム体4の回転方向において、押出部40と許容部41とを並べて形成するようにしてもよい。即ち、回転半径の異なる押出部40と許容部41とを回転方向に並べて形成すれば、カム体4を回転させることで、押出部40が直接的又は間接的に凸部成形型3を押し出す位置と、許容部41が凸部成形型3の配置に対応した位置になって凸部成形型3の移動を許容して型本体2内に退避する位置とに切り換えることができる。
【0079】
また、上記実施形態において、案内部80がカム体4(押出部40及び許容部41)の外面に常に接触した状態になるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、介装体8で凸部成形型3を型本体2の外周面から押し出すときにのみ、案内部80が押出部40に接触するようにしてもよい。また、カム体4は、内装空間21の内周面に摺接することで軸心方向の移動が案内されるものに限定されるものではなく、カム体4を軸心方向に案内できるように種々変更は可能である。
【0080】
上記実施形態において、型本体2の外形を略円錐台状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、断面略四角形状をなす外形略四角錐台状に形成するようにしてもよい。即ち、型本体2は、凸部成形型3が内部に退避した状態で、成形品110を離型するに際し成形型1と型本体2とを軸心方向で相対的に離間させ得るように、外周面が周方向と直交方向で均一な連続面に形成されていればよい。
【0081】
上記実施形態において、二重構造をなす容器100の外装体110を成形する成形型1について説明したが、成形型1で成形する成形品は、上記構成の容器100に採用される外装体110に限定されるものではなく、例えば、容器100自体を成形する場合等にも適用することができる。即ち、成形型1で上記外装体110と同様の成形品を成形し、環状底部112の開口をシート材で閉塞して容器100とするようにしてもよい。また、成形型1(型本体2)に外嵌した際、離型体70よりも外側に延出するように長さ設定された被成形材Aを採用し、外装壁111の一端から延出した環状底部112を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、型本体2の軸心方向と略同等の長さの被成形材Aを採用し、筒状の外装壁(胴部)111に凸部113が形成されたものであってもよい。但し、上記実施形態の如く、成形品110を成形型1から円滑且つ確実に離型させるには、環状底部112を形成して離型体70でそれを押し上げて離型させるようにすることが好ましい。
【0082】
上記実施形態において、外装壁110に無端環状の凸部113を形成するのに凸部成形型3にコイルバネを採用し、該凸部成形型3を型収容凹部20内に退避させる付勢力を作用させる付勢手段5を兼用させるようにしたが、これに限定されるものではなく、バネ等の付勢手段を凸部成形型3とは別個独立に設け、該付勢手段の付勢力により凸部成形型3を型本体2内に退避させるようにしても勿論よい。
【0083】
上記実施形態において、外装体110を型本体2から離型させるための離型手段7(離型体70)をカム体4で型本体2の一端面から離間させるようにしたが、これに限定されるものではなく、型本体2内に離型体70を型本体2から離間させる手段を別個独立に内装するようにしても勿論よい。また、成形型1は、必ずしも離型体70を備える必要はなく、必要に応じて設けるようにすればよい。但し、上記実施形態の如く、環状底部(環状部)112を備えた成形品を成形する場合、離型体70を設けることが好ましことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態に係る成形型で成形された外装体を備えた容器を示す図であって、一部断面を含む正面図を示す。
【図2】同実施形態に係る成形型を示す図であって、(イ)は、正面図を示し、(ロ)は、正面断面図を示す。
【図3】同実施形態に係る成形型の断面図(図2の(イ)のI−I断面図)であって、(イ)は、凸部成形型が型本体の外周面から突出した状態を示し、(ロ)は、凸部成形型が型本体内(型収容凹部内)に退避した状態を示す。
【図4】同実施形態に係る成形型を装備した成形装置の部分概略図を示す。
【図5】同実施形態に係る成形型(成形装置)で外装体を成形する際の説明図であって、(イ)は、型本体に被成形材を外嵌した状態を示し、(ロ)は、被成形材を加熱して熱収縮させた状態を示し、(ハ)は、凸型で環状底部を成形する状態を示し、(ニ)は、被成形材が外装体に成形された状態を示す。
【図6】同実施形態に係る成形型(成形装置)から外装体を離型させる際の状況図を示す。
【符号の説明】
【0085】
1…成形型、2…型本体、3…コイルバネ(凸部成形型)、4…カム体、5…コイルバネ(付勢手段)、6…固定手段、7…離型手段、8…介装体、9…成形装置、20…型収容凹部、21…内装空間、22…連結穴、25…ベース、26…案内筒、27…バネ受部、40…押出部、41…許容部、43…案内バー、44…ボール、45…ボール装着部、46…バネ受鍔部、47…挿入穴、60…固定爪、61…バネ体、70…離型体、71…ガイド手段、71a…ガイドバー、71b…ガイド体、72…凹部、73…案内穴、80…案内部、81…当接部、90…離型部、91…移送手段、93…ガイドレール、94…補助離型手段、95…案内面、95a…第一案内面、95b…第二案内面、95c…第三案内面、96…エアーノズル、97…コンベア、100…容器、105…容器本体、106…周壁、107…フランジ部、107b…延出部、107a…円環状部、110…外装体(成形品)、111…外装壁(胴部)、112…環状底部(環状部)、112a…傾斜部、112b…水平環状部、113…凸部、A…被成形材、E…搬送装置、E1…ベルトコンベア、E2…保持装置、E2a…回転テーブル、E2b…吸引保持具、S…復帰バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性を有する樹脂シートを筒状にした被成形材から、筒状の胴部に凹凸を有する成形品を成形するための成形型であって、外周面が周方向と直交方向で均一な連続面に形成され、被成形材が外嵌される型本体と、型本体に内装され、該型本体の外周面から出没する凸部成形型とを備えたことを特徴とする成形型。
【請求項2】
型本体に移動可能に内装されたカム体と、凸部成形型を型本体内に向けて付勢する付勢手段とを備え、型本体の外周面には、凸部成形型が収容される型収容凹部が形成され、カム体には、型収容凹部内の凸部成形型に直接的又は間接的に当接して外側に押し出す押出部と、凸部成形型の型収容凹部内への移動を許容する許容部とが移動方向に並んで形成されている請求項1記載の成形型。
【請求項3】
前記カム体は、押出部と該押出部よりも小径に設定された許容部とが軸心方向に並んだ段付棒状に形成され、型本体に対し、略同心で且つ軸心方向に移動可能に内装されている請求項2記載の成形型。
【請求項4】
成形品の胴部に周方向に延びる凸部を形成すべく、前記型収容凹部は、型本体の外周面の周方向に延びるように形成され、前記凸部成形型は、型収容凹部に沿って配設されると共に型本体の周方向で伸縮自在に構成され、該凸部成形型とカム体との間には、カム体の移動方向と交差する方向に移動可能な介装体が設けられている請求項3記載の成形型。
【請求項5】
前記型収容凹部は、環状に形成されると共に、凸部成形型は、無端環状をなすコイルバネで構成され、前記介装体がカム体周りに少なくとも二つ以上配設されている請求項4記載の成形型。
【請求項6】
胴部の一端から型本体の一端面中央側に折れ曲がった環状部が形成された成形品を型本体から離型させるべく、型本体の一端面に接離可能に構成された離型体を備え、前記カム体は、押出部を許容部よりも型本体の一端面側に位置させて配設され、離型体は、許容部が凸部成形型に対応した位置でカム体に押されて型本体から離間するように構成されている請求項3乃至5の何れかに記載の成形型。
【請求項7】
胴部の一端から型本体の一端面中央側に折れ曲がった環状部が形成された成形品を型本体から離型させるべく、型本体の一端面に接離可能に構成された離型体を備え、該離型体は、凸部成形型が型本体内に埋没した状態で型本体から離間するように構成されている請求項1乃至5の何れかに記載の成形型。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−21995(P2007−21995A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210269(P2005−210269)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】