説明

成膜装置及び成膜方法

【課題】材料容器から放出口まで連なる輸送管温度の影響が、輻射あるいは伝導により材料容器に及ぶことにより、材料容器への材料補充や交換のための装置停止期間が長時間に及び、装置の稼動効率が低下するのを防ぐ。
【解決手段】材料容器10において気化した成膜材料を放出口20へ輸送するための輸送管14と材料容器10の間は、材料容器10を輸送管14から取り外し交換可能とする連結部13によって接続されている。輸送管14を加熱する加熱手段を複数に分割し、連結部13の近傍の輸送管14の温度を残りの部位から独立して制御するための連結部加熱手段16を設ける。材料容器交換等のために成膜を停止するときは、材料容器加熱手段11及び連結部加熱手段16を輸送管加熱手段15より先に停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子の有機化合物層等の薄膜を蒸着によって成膜するための成膜装置及び成膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フルカラーフラットパネルディスプレイに対応した表示素子として、有機EL素子(有機電界発光素子)が注目されている。有機EL素子は、蛍光性あるいは燐光性を有する有機化合物層を電気的に励起して発光させる自発光型素子で、高輝度、高視野角、面発光、薄型で多色発光が可能である、などの特徴を有している。
【0003】
近年では、この有機EL素子を搭載した有機ELディスプレイにおいて、生産性をより一層高めることを目的とし、その製造装置における様々な工夫がなされてきている。
【0004】
基板上に薄膜を成長させる成膜装置のひとつに、真空蒸着装置がある。代表的な真空蒸着装置は、真空室内に設置された成膜源を加熱して、この成膜源の蒸発口から放出される蒸発材料を、同じく真空室内に配置された基板に堆積させる構成を備えている。
【0005】
有機EL素子を構成する有機材料層あるいは電極層を形成する工程では、上述した成膜装置を用いた成膜が行われているが、例えば、有機ELディスプレイの大量生産をする場合、前述した成膜源への材料供給が、良好な生産性を確保するための課題となる。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されたように、成膜室の外に取外し可能な成膜源を配置し、成膜室内には放出口となる複数のノズルを備えたマニホールドを配置し、バルブを含む蒸気輸送管を成膜源とマニホールドとの間に接続した成膜装置が開発されている。
【0007】
この装置によると、新たな材料を供給する際には、まず、成膜源からノズルに向かう蒸気流をバルブで遮断し、さらに、成膜源での材料の蒸発あるいは昇華が停止した状態になった後に、成膜室の外で成膜源を輸送管から取り外す。このようにして、材料供給あるいは材料容器の交換を実施する。
【0008】
また、特許文献2に開示されたように、成膜源から放出口に向かう輸送路から分岐した逃がし流路を備え、バルブの切替えにより、成膜源からの蒸気流を逃がし流路に誘導することで基板への成膜を速やかに停止することができる構成も知られている。
【0009】
【特許文献1】米国特許明細書第4325986号
【特許文献2】特開2005−281808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術では、有機ELディスプレイの大量生産での生産性を追求する場合に、次のような技術的な課題が解決されていなかった。
【0011】
特許文献1に開示された従来の装置では、成膜源に備えられた材料容器への材料補充、あるいは交換のための装置停止期間が長時間に及び、そのために、装置の稼動効率が低下してしまう課題があった。
【0012】
装置停止期間が長時間に及ぶ理由は以下のとおりである。
【0013】
第1は、材料容器の冷却効率が低いためである。これは、材料容器から放出口まで連なる輸送管温度の影響が、輻射あるいは伝導により材料容器に及ぶことによる。
【0014】
当然ながら、蒸着を停止するためには、材料容器に収められた蒸着材料の温度を、蒸発可能な温度以下とする必要がある。しかし、材料容器の加熱手段の出力を停止しても、材料容器から放出口まで連なる輸送管温度の影響が、輻射あるいは伝導により材料容器に及ぶため、材料容器の加熱を停止した後も、材料容器の温度が蒸発を停止する温度に至るまでには長時間を要していた。
【0015】
一方で、材料容器の冷却時間を短縮するために材料容器と輸送管の加熱手段の出力を同時に停止すると、冷却過程で材料容器からの蒸気が輸送管内で凝縮する危険性があった。
【0016】
装置停止のための作業では、輸送管内に蒸気を凝縮させることなく材料容器からの蒸発を停止することが、運転再開後に蒸着速度を速やかに安定化するために必要となる。
【0017】
本発明は、成膜源と成膜材料の放出口とを輸送管を介して連通した成膜装置において、装置の稼動効率を向上させ、長時間連続で安定した成膜を続けられる成膜装置及び成膜方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の成膜装置は、基板を保持する基板保持機構と、成膜材料を気化させる材料容器と、気化した成膜材料を基板に向けて放出するための放出口と、前記材料容器を加熱する材料容器加熱手段と、連結部によって前記材料容器に対して取り外し可能に連結され、気化した成膜材料を前記材料容器から前記放出口に輸送するための輸送管と、前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分を除く残りの部位を加熱するための輸送管加熱手段と、前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分を加熱するための、前記輸送管加熱手段とは独立して配置された連結部加熱手段と、前記輸送管加熱手段と前記連結部加熱手段とを互いに独立して制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の成膜方法は、成膜室内に基板を配置し、成膜材料を収容する材料容器を加熱して成膜材料を気化させ、気化した成膜材料を、前記材料容器に連結部によって連結された輸送管を通って、前記基板に向けて放出口から放出することで、前記基板に成膜を行う成膜方法であって、前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分と、前記連結部近傍の一部分を除く残りの部位と、前記材料容器と、をそれぞれ独立して温度制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のとおり構成されているので、次に記載するような効果を有する。
【0021】
輸送管の加熱手段を複数に分割し、連結部近傍を加熱する手段を独立して制御することで、成膜源の蒸発停止・開始を短時間で処理して材料容器の交換作業を効率化する。これにより、装置稼動効率を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は第1の実施形態による成膜装置を示す。
【0024】
本実施形態による成膜装置は、材料容器10において気化した成膜材料(蒸気)を放出口20から基板30に向けて放出し、成膜する。基板30を保持する基板保持機構及び放出口20は成膜室40内に配置され、材料容器10は材料容器室41内に配置され、材料容器加熱手段11によって成膜材料12を加熱・気化させる。材料容器10は、連結部13によって輸送管14に対して取り外し可能に連結される。
【0025】
成膜室40内において、基板30と対向させた位置に、気化した成膜材料を放出する複数の放出口20が配置される。各放出口20は、輸送管14を介して材料容器室41に配置された材料容器10に連通している。なお、成膜室40及び材料容器室41は、いずれも真空容器である。
【0026】
材料容器10及び輸送管14は、輸送管14から材料容器10を着脱可能とするための連結部13を構成する連結部材13a、13bを備える。輸送管14と材料容器10には、それらの温度をそれぞれ独立して温度制御するための手段が配置されている。すなわち、輸送管14を加熱するための輸送管加熱手段15、材料容器10を加熱するための材料容器加熱手段11が設けられる。
【0027】
さらに、輸送管14の、材料容器10との連結部13の近傍の一部分を、前記連結部近傍を除く残りの部位から独立して加熱するための連結部加熱手段16と、連結部加熱手段16と輸送管加熱手段15とを互いに独立して制御する制御手段と、が設けられている。
【0028】
材料容器10の蒸発を停止する工程では、材料容器加熱手段11と一緒に連結部加熱手段16も降温させる。これにより、材料容器10の冷却効率を高め、蒸発を迅速に停止させることができる。
【0029】
材料容器10での蒸発を開始する場合には、材料容器加熱手段11と一緒に連結部加熱手段16を昇温させる。好ましくは、連結部近傍の温度が材料容器10及び輸送管14の残りの部位より高温になるように温度制御するのがよい。
【0030】
これにより、材料容器10の高さ方向に温度勾配ができ、材料容器10に充填された成膜材料12の蒸発面に近い側がより高温になる。つまり蒸発面を速やかに加熱することができ、かつ蒸発面から遠い成膜材料12に不要な熱を加えなくて済むことで、成膜材料12への熱負荷を緩和することもできる。
【0031】
連結部13は、減圧雰囲気の材料容器室41内で材料容器10と輸送管14との間からの材料漏れがないようにシールされる機構であれば、その構造を何ら制限するものではない。
【0032】
例えば、メカニカルクランプを用いて材料容器と輸送管を一体化する連結構造、あるいは材料容器と輸送管の間にOリングを挟み込んだ状態でネジ締めによりOリングをつぶしてシールする連結構造がある。また、ルツボ下面を押し上げて輸送管と材料容器を一体化する構造等を利用することも可能である。それ以外でも、一般的に知られるシール構造、シール材を採用することができる。
【0033】
図1の成膜装置によれば、輸送管内での成膜材料の凝縮を回避したうえで、蒸発停止・開始を短時間で処理して材料容器交換作業の効率化を実現でき、これにより、装置稼動効率を向上させることができる。また、非成膜期間において、材料容器内の成膜材料に不要の熱を与えつづけなくて済むため、成膜材料への熱ダメージを低減する効果もある。
【0034】
図2は、第2の実施形態による成膜装置を示す。
【0035】
本実施形態による成膜装置は、図1の成膜装置とは、材料容器10を成膜室40内に配置し、材料容器室41を省略した点のみが異なる。
【0036】
この構成により、輸送管14が成膜室40を構成する壁面と接触する箇所がなくなるため、輸送管14から壁面への熱逃げをなくすことができるため、複雑な温度調整をすることなく輸送管温度の均熱化を達成しやすくなる。また、配管長を短縮できるため、管抵抗を低減することができる。
【0037】
したがって、輸送管14の均熱化により管内での局所的な凝縮を防止しやすく、管抵抗の低減により材料への熱負荷を緩和して分解の危険性を抑制できる。
【0038】
図3は、図2の成膜装置において成膜を停止する工程を説明するフローチャートである。
【0039】
また、図4は、図3の各工程に対応した蒸発レート及び各部温度の時間変化をグラフにて示したものである。
【0040】
図3の工程フローで示すように、成膜を停止するためには、材料容器加熱手段11と連結部加熱手段16とで温度調整されるそれぞれの部位の温度を低下させるため、両加熱手段の出力を順次停止する(ステップS1、S2)。これにともない、材料容器内の成膜材料自身の温度が低下していき、蒸発レートが速やかに減少する。そして蒸発が停止した後(ステップS3)、材料容器を取り外し(ステップS4)、成膜材料の充填、あるいは別の材料容器との交換をすることが可能となる。
【0041】
図4は、上述した工程フローにおける蒸発レート及び各部温度の時間変化を示すグラフである。ただし、蒸発を停止することのみを目的とする温度制御においては、連結部近傍以外の輸送管温度は特に降温しなくてもよい。なお、材料容器の交換のために成膜室を大気開放することが必要な場合には、蒸発レートが停止した後に連結部近傍以外の加熱を停止して、すべての輸送管を降温することが好ましい。
【0042】
図5は、第3の実施形態による成膜装置を示す。
【0043】
本実施形態による成膜装置は、成膜室40に隣接して材料容器10を自動的に交換可能とする材料容器交換室50を備えている。この成膜装置では、材料容器10への材料補充あるいは材料容器10の交換作業のために成膜室40を大気開放する必要がない。このため、成膜を停止する工程において、輸送管14の連結部近傍以外を加熱する輸送管加熱手段15は降温しなくてもよい。
【0044】
ここで、材料容器10の自動交換について、具体的に説明をする。
【0045】
容器交換室50には材料容器ホルダ51が設置され、材料容器ホルダ51上にて成膜材料12を充填した材料容器10を待機させておく。待機中、材料容器交換室50は真空あるいは減圧状態で保持されている。好ましくは成膜室40と同じ真空度としておくのがよい。
【0046】
成膜室40内では、材料容器10の蒸発を停止させた後、材料容器10と輸送管14との連結を解除する。その後、成膜室40と材料容器交換室50との間のゲートバルブ52を開放して、使用後の材料容器10を材料容器加熱手段11から下方向に逃がし、材料容器交換室50内に自動ロボットにより搬送する。その後、材料容器交換室50で待機させておいた別の材料容器10を成膜室40内に自動ロボットにより搬送し、輸送管14に連結する。
【0047】
連結後、成膜室40と材料容器交換室50との間のゲートバルブ52を閉じた状態で、材料容器10を材料容器加熱手段11あるいは連結部加熱手段16を適宜加熱して、所定の蒸発量となるように材料容器10の温度調整を行なう。
【0048】
なお、成膜室40から材料容器交換室50に搬送された材料容器10は、ゲートバルブ52が閉じた状態のときに材料容器交換室50の外に取り出すことが可能となる。このとき同時に、成膜材料を充填した別の材料容器と入れ替えることもできる。
【0049】
また、材料容器交換室50から大気中に材料容器を取り出す場合、材料容器交換室50内で材料容器に蓋をすることで材料容器内に残る成膜材料が大気暴露されないようにすることが好ましい。
【0050】
一方、大気から材料容器を材料容器交換室50に投入する場合にも、材料容器に収められた成膜材料の大気暴露を防止する目的で、投入前に材料容器に蓋をして容器内を真空あるいは減圧状態としておくことがより好ましい。
【0051】
特に、有機EL素子を構成する有機材料は、酸素や水分等の不純物により劣化を受けやすい。また、その不純物が有機材料に含まれることで、有機材料層の劣化に影響を及ぼすことも考えられる。したがって、成膜材料を大気に曝さないことで、このような劣化を低減あるいは回避するのが好ましい。
【0052】
材料容器交換室50には図示しない材料容器加熱手段を配置し、待機中の材料容器を予備加熱して成膜材料のガス出しを行ってもよい。
【0053】
また、材料容器交換室50には、成膜室40から取り出した材料容器内の成膜材料の状態、残量を観察できる観察窓を設けておいてもよい。あるいは残量を計測できる計測手段を設けておいてもよい。計測手段としては、光センサーや重量測定機器を用いることができる。
【0054】
図5の装置では材料容器交換室内に待機した材料容器が一つであるが、これに限定することなく、同一材料を充填した複数の材料容器を待機させてもよいし、異種材料が充填された複数の材料容器を待機させておいてもよい。なお、材料容器交換室に複数の材料容器を待機した場合、任意の材料容器を成膜室に搬送できるものとする。また、異種材料を待機させる場合には、同一の成膜室の中で連続して異なる材料を成膜することが可能となる。
【0055】
図6は、図5に示す成膜装置において成膜を停止する場合の蒸発レート及び各部温度の時間変化を示したグラフである。この場合、熱容量の比較的大きい連結部以外の輸送管の温度を維持しつづけることができる。図5の成膜装置の場合、成膜室40を大気開放することなく材料容器10を自動交換できるため、成膜材料を充填する作業のために装置を停止する期間を短縮できる。また、成膜室内部の汚染を抑制できるため、基板30に成長させる蒸着膜(薄膜)への不純物混入を抑制する効果もある。
【0056】
図7は、第4の実施形態による成膜装置を示す。
【0057】
本実施形態は、図5の装置に対して、成膜室40内の材料容器10を複数とし、それぞれバルブ17を有する輸送管14の分岐部18によって共通の放出口20に接続することにより、成膜に利用する材料容器10を切替えるように構成した点のみが異なる。利用しない材料容器10を随時成膜室40内外で交換することが可能であり、長時間連続的に成膜を続けることができる。
【0058】
本実施形態による成膜装置も、図5の成膜装置と同様に、材料容器10の交換を迅速に行うことができる。したがって、繰り返し交換を続けられる材料容器10の容積は特に小さくてもよく、これにより、材料容器加熱手段11の出力に対し、成膜材料12の温度の応答性がよくなることで、蒸発速度の制御精度を向上させることもできる。また、長時間材料容器内で成膜材料を加熱する必要がなく、成膜材料への熱負荷も低減することができる。
【0059】
また、各材料容器10で気化した成膜材料12の流量(蒸発レート)を検出するための検出手段60を、各材料容器10から検出手段60までの配管抵抗が等しくなる位置に配置し、複数の材料容器10での検出手段を共通とした。このように、共通の検出手段60に対して配管抵抗を等しくすることで、各材料容器10における蒸発量と検出手段60で検出する蒸発量の相関関係を等しくでき、制御上の煩雑さを取り除くことができる。
【0060】
また、各材料容器10での蒸発量を制御するためのシステムを設けた。検出手段60で確認された流量はレート制御部61に伝送され、所定の流量との差分を求め、差分を補償するために供給電源62に制御信号を伝送し、供給電源62からの出力に応じて各材料容器10はそれぞれの材料容器加熱手段11により加熱される。
【0061】
本実施形態によれば、基板30への成膜を中断することなく、短サイクルで材料容器10の交換が可能であるため、成膜材料への熱的ダメージを緩和し、かつ蒸発量の高い制御精度を維持しながら長時間連続して成膜を行うことができる。
【0062】
なお、図7では材料容器交換室50が成膜室10の下方に配置されているが、装置の大きさ、設置する敷地等に応じて適宜変更可能である。
【0063】
図8は、第5の実施形態による成膜装置を示す。
【0064】
本実施形態では、材料容器10から基板30に向いた放出口20と連通する輸送管14から分岐する分岐管18aの終端に回収容器19を配置した。そして、分岐管18aへの蒸気流を遮断及び開放するバルブ17aと、輸送管14への蒸気流を遮断及び開放するバルブ17bと、を備える。
【0065】
この成膜装置において蒸発を停止する場合、バルブ17bにより放出口20への流れを遮断し、バルブ17aを開放して回収容器19に向けて蒸気を流し込む作業にあわせて、材料容器加熱手段11と連結部加熱手段16の加熱を停止する。回収容器19に流れ込んだ成膜材料は回収容器19内で凝縮させ、輸送管14への逆流を抑制、あるいは防止する。回収容器19内で凝縮させるには、回収容器内が成膜材料の蒸発温度以下に保たれる必要がある。このため、本実施形態では、分岐管18aから回収容器19に向けて熱を伝わり難くすべく、分岐管18aと回収容器19とを互いに接触させず、分岐管18aから回収容器19への熱伝導を抑制するように配置した。ただし、ここに示した例は、回収容器19への熱の伝わりを抑制する方法や構造を制限するものではなく、例えば断熱材を利用したり、あるいは水冷等により積極的に冷却をする等、一般に知られる手法を適用することも可能である。
【0066】
本実施形態の成膜装置によれば、瞬時に基板30への成膜を停止し、かつ材料容器10からの蒸発を迅速に停止することができる。また、回収容器19に回収した成膜材料を再利用することも可能であり、その場合には材料利用効率を高められる。さらに、非成膜期間に成膜室40の壁面、防着板等への材料飛散による汚れを低減できる。このため成膜室40のメンテナンスサイクルを長く取り、装置稼動効率を向上できる。
【0067】
回収材料を再利用する場合には、材料容器10と回収容器19は同一の形状及び材質であって、回収容器19を輸送管14と連結可能とすることが好ましい。
【0068】
なお、上記の実施形態においては、成膜室の上方に基板を、その下方に放出口を配置しているが、基板の姿勢はこれに限定されるものではなく、縦配置あるいは基板と放出口の上下関係を逆転し、基板を下方に配置してもよい。さらに、基板と放出口の相対位置は、成膜期間において一定であってもよいが、基板サイズや必要な成膜時間等の要件に応じ、基板あるいは成膜源を回転や移動をさせても構わない。
【0069】
流量制御手段であるバルブ17、17a、17bとしては、例えばニードルバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブを用いる。あるいはシャッター等の成膜材料(気体分子)の流れを調整あるいは開放、遮断できる機構の中かから、成膜装置の構造や適応範囲に応じて選択することができる。また必要に応じて、複数のバルブやシャッターを組み合わせて利用することも可能である。
【0070】
上記の実施態様によれば、輸送管温度の均熱化及び管抵抗の低減を達成することができる。具体的には、輸送管の均熱化により管内での局所的な凝縮を抑制、あるいは防止できる。また、管抵抗の低減により材料への熱負荷を緩和し、熱的ダメージによる分解等の材料変質・変性を抑制できる。
【0071】
さらに、蒸発停止・開始を短時間で処理して材料容器への材料補充あるいは交換作業の効率化を実現でき、これにより装置稼動効率の向上を達成できる。
【0072】
輸送管と連結される材料容器を真空下で連続的に自動交換することで、材料補充・材料容器交換作業のサイクルを短時間化することが可能となる。これにより、材料容器の容積の小型化を図ることができ、材料容器加熱手段の出力に対し、成膜材料温度の応答性がよくなり、蒸発速度の制御精度を向上させることができる。
【0073】
長時間連続の成膜作業においても、繰返し材料容器を交換できるため、成膜材料を長時間高温に曝し続ける必要がなく、生産時の成膜材料への熱負荷をさらに低減することもできる。
【0074】
これによって、各種材料の成膜工程を有する有機ELパネルの製造において、その生産性を向上させ、かつ成膜材料の熱的ダメージによる歩留まり低下を改善することで、製品コストを低減させることができる。また、回収した成膜材料を再利用することが可能となり、これによって生産コストを低減することができる。
【実施例1】
【0075】
本実施例は、図2に示す装置を用いて、有機ELパネルを構成する有機化合物層の一つを成膜する。
【0076】
成膜室40は、成膜材料12を気化させる材料容器10と、輸送管14と、蒸気を基板30に向けて放出させるための複数の放出口20と、材料容器10を輸送管14から取り外して交換可能とする連結部13と、を備える。材料容器10から放出口20に至る蒸気流路には、3つの加熱手段が備えられている。材料容器10内の成膜材料12を気化するための材料容器加熱手段11と、連結部13近傍の輸送管温度を調整する連結部加熱手段16と、輸送管14の連結部13近傍より下流を加熱する輸送管加熱手段15である。成膜室40は、減圧手段により、真空度が10−4〜10−6Paまで真空排気される。
【0077】
なお、図示はしないが、複数の放出口20から放出される成膜材料の成膜速度を検出するための検出手段を配置してあり、その出力信号に応じて材料容器加熱手段11、あるいは連結部加熱手段16等の出力を任意に制御する制御手段が設けられる。検出手段は水晶振動子を用いた膜厚モニターである。
【0078】
蒸着の際、基板30と複数の放出口20との離間距離は200mmとし、基板30は基板ホルダ(基板保持機構)に保持された状態で、約2mm/sで水平方向(図面では鉛直方向)に移動させながら成膜を実施した。複数の放出口20は、基板30の辺方向に沿って配置されており、放出口20の配列方向と直行する方向に基板30を搬送することで、基板30の全面に均一な膜を成長させる。
【0079】
以下、所定の成膜を終了後から、材料容器10に成膜材料の補充を行なうまでの工程について具体的に説明する。
【0080】
材料容器10は、内径40mm、深さ100mmのチタン製の小型ルツボで、内部にはアルミキノリノール錯体(Alq3)を60g収めた。
【0081】
まず、連続成膜工程について説明する。
【0082】
連続成膜中は、材料容器加熱手段11を約300℃、連結部加熱手段16を約320℃、輸送管加熱手段15を約280℃として、蒸発レート約10Å/sで連続的に基板30に成膜した。
【0083】
このとき輸送管温度分布は±10℃で、成膜中に輸送管内で成膜材料が凝縮してレートが不安定になることはなかった。
【0084】
また材料容器加熱手段11よりも連結部加熱手段16を高温にすることで、材料容器10に充填された成膜材料12の蒸発面近傍のみを所定の蒸発に必要な温度に制御し、蒸発に寄与していない期間の成膜材料は比較的低温で保温し続けられた。
【0085】
続いて、成膜を停止する工程について説明する。
【0086】
上記条件での約100時間の連続成膜後、材料容器10への成膜材料の補充作業を実施した。
【0087】
成膜中における材料容器10内の材料消費量は時間あたり約0.5g/hrで、計100時間で約50gを消費し、材料容器10には約10gの成膜材料12を残した状態で蒸発を停止させた。
【0088】
図3及び図4に示すように、材料容器10内の蒸発を停止するため、まず、材料容器加熱手段11への出力を停止し、引き続き連結部加熱手段16への出力を停止した。
【0089】
これにより蒸発レートはすぐ減少し始め、約0.5時間で完全に蒸発は停止した。次に、連結部近傍以外の輸送管14を加熱する輸送管加熱手段15の出力を停止した。その後、成膜室内の各部位の温度が十分に下がった時点で成膜室40を大気に開放し、速やかに輸送管14から材料容器10を取り外した。
【0090】
取り外した材料容器10に残った成膜材料の純度分析を実施した結果、未加熱の成膜材料と同等の純度であることを確認した。さらに、蒸発停止後の輸送管14の内面に成膜材料の付着はなく、蒸発停止過程においても輸送管14内での凝縮を防止することができた。このため取り外した材料容器10に成膜材料を補充し蒸発再開する際にも、滞りなく所定の蒸発レートに到達し、安定した成膜を再現することができた。
【0091】
このようにして、輸送管温度の均熱化及び管抵抗の低減を達成することができた。具体的には、輸送管の均熱化により管内での局所的な凝縮を防止できた。また、管抵抗の低減により材料への熱負荷を緩和し、熱的ダメージによる分解等の材料変質・変性を抑制できた。
【0092】
さらに、蒸発停止・開始を短時間で処理して材料容器への材料補充作業の効率化を実現でき、これにより装置稼動効率の向上を達成できた。
【実施例2】
【0093】
本実施例では、図7の成膜装置を用いて、有機ELパネルを構成する有機化合物層を連続的に成膜した。
【0094】
成膜室40は、2つの材料容器10と、各材料容器10に接続する分岐部18を有する輸送管14と、蒸気を基板30に向けて放出させるための複数の放出口20と、各材料容器10を交換可能とする連結部13と、を備える。また、各材料容器10に対してそれぞれ材料容器加熱手段11及び連結部加熱手段16を備え、各連結部13の近傍より下流の輸送管14は、輸送管加熱手段15によって加熱される。さらに、各分岐部18には流量を制御するためのバルブ17を備え、各材料容器10からの蒸気流の開放及び遮断を別々に調整できる。図7では、破線で蒸気流を示しており、一方のバルブ17が開放状態、他方のバルブ17が遮断状態である。成膜室40は、減圧手段により、真空度が10−4〜10−6Paまで真空排気される。
【0095】
成膜室40は、ゲートバルブ52を介して材料容器交換室50に接続されている。成膜室40と材料容器交換室50には、材料容器10を交換するため、待機していた材料容器を所定の位置まで搬送する自動ロボット(図示なし)が配置されている。また、材料容器交換室50には、材料容器ホルダ51が2つ(便宜上、図には1つのみ示す)設置され、一つは待機用の材料容器を置いておく場所として、もう一つは成膜室40から取り出した材料容器を一時的に保管する場所として使用することができる。待機用の材料容器ホルダ51には、待機中に材料容器10を予備加熱するための加熱手段を設けてある。さらに、材料容器10を2つの材料容器ホルダ51のどちらにでも任意に移し変えられる自動ロボット(図示なし)が配置されている。
【0096】
以下、材料容器10での所定の成膜を終了後から、材料容器交換室50を経由して材料容器10を別の材料容器に交換するまでの工程について具体的に説明する。
【0097】
各材料容器10は、内径40mm、深さ100mmのチタン製の小型ルツボで、内部にはアルミキノリノール錯体(Alq3)を60gそれぞれ収めた。なお図示しないが、材料容器10は自動ロボットで掴み易いように容器外形にくびれを備えているものを用いた。
【0098】
まず、連続成膜工程について説明する。
【0099】
一方の材料容器10を用いて基板30への成膜を行い、その期間においては他方の材料容器10では成膜を停止させておく。また、各材料容器10からの成膜開始及び停止は、各材料容器10に対して配置されたバルブ17を用い、それぞれの流路の開放・遮断を切り替えることで行う。
【0100】
ここで、一方の材料容器10を用いて成膜をしている状態を説明する。
【0101】
一方の材料容器加熱手段11を約300℃、連結部加熱手段16を約320℃、輸送管加熱手段15を約280℃として、蒸発レート約10Å/sで連続的に基板30に成膜を行った。この期間、他方の材料容器10から蒸発させる必要がないため、他方の材料容器加熱手段11及び連結部加熱手段16による加熱を行わなかった。
【0102】
このとき、一方の材料容器10からの蒸気が経由する輸送管14での温度分布は±10℃で、成膜中に輸送管内で成膜材料が凝縮してレートが不安定になることはなかった。
【0103】
また、材料容器加熱手段11よりも連結部加熱手段16を高温にすることで、材料容器10に充填された成膜材料12の蒸発面近傍のみを所定の蒸発に必要な温度に制御し、蒸発に寄与していない期間の成膜材料は比較的低温で保温し続けられた。
【0104】
続いて、成膜を停止する工程について説明する。
【0105】
一方の材料容器10からの成膜を停止する直前に、他方の材料容器容器手段11及び連結部加熱手段16による加熱を開始する。
【0106】
そして、一方のバルブ17を遮断して材料容器10の連続成膜を完了すると同時に、他方のバルブ17を開放する。他方の材料容器加熱手段11を300℃、連結部加熱手段16を320℃として、事前に所定の温度に加熱された他方の材料容器10からの蒸発レートを、検出手段60で検出する。各バルブ制御によって、成膜に利用する材料容器を切り替えるのに要する時間は約1分であった。したがって、基板30への成膜をほとんど絶やすことなく、材料容器10の切替えを実施できた。
【0107】
一方で、成膜を停止した材料容器10での蒸発を停止するため、まず、材料容器加熱手段11への出力を停止し、引き続き連結部加熱手段16への出力を停止した。
【0108】
成膜中における材料容器10内の材料消費量は時間あたり約0.5g/hrで、計100時間で約50gを消費し、材料容器10には約10gの成膜材料を残した状態で蒸発を停止させた。
【0109】
これにより材料容器10での蒸発レートはすぐ減少し始め、約0.5時間で完全に蒸発は停止した。
【0110】
次にゲートバルブ52を開け、自動ロボットにより蒸発を停止した材料容器10を輸送管14から取り外し、速やかに材料容器交換室50の材料容器ホルダ51に移動した。さらに、事前に材料容器交換室50にて準備していた別の材料容器10を自動ロボットにより成膜室40に搬送し、連結部13にて連結させて、ゲートバルブ52を閉じた。なお、上記交換作業期間において材料容器交換室50は成膜室40とほぼ同じ真空度になるよう管理し、ゲートバルブ52の開閉にともなう成膜室40内の圧力変動を抑制した。
【0111】
取り外した材料容器10に残った成膜材料の純度分析を実施した結果、未加熱の成膜材料と同等の純度であることを確認した。さらに、蒸発停止後の輸送管14内面に成膜材料の付着はなく、蒸発停止過程においても輸送管14内での凝縮を防止することができた。このため、取り外した材料容器10と交換した材料容器10にて蒸発再開する際にも、滞りなく所定の蒸発レートに到達し、安定した成膜を再現することができた。
【0112】
このようにして、輸送管温度の均熱化及び管抵抗の低減を達成することができた。具体的には、輸送管の均熱化により管内での局所的な凝縮を防止できた。また、管抵抗の低減により材料への熱負荷を緩和し、熱的ダメージによる分解等の材料変質・変性を抑制できた。
【0113】
さらに、蒸発停止・開始を短時間で処理して材料容器への材料補充作業の効率化を実現でき、これにより、装置稼動効率の向上を達成できた。また、長時間連続の成膜作業においても、繰返し材料容器を交換できるため、成膜材料を長時間高温に曝し続ける必要がなく、生産時の成膜材料への熱負荷をさらに低減することもできた。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】第1の実施形態による成膜装置を示す模式図である。
【図2】第2の実施形態による成膜装置を示す模式図である。
【図3】第2の実施形態による成膜工程を説明する工程図である。
【図4】第2の実施形態に係る蒸発レート及び温度変化を示すグラフである。
【図5】第3の実施形態による成膜装置を示す模式図である。
【図6】第3の実施形態に係る蒸発レート及び温度変化を示すグラフである。
【図7】第4の実施形態による成膜装置を示す模式図である。
【図8】第5の実施形態による成膜装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0115】
10 材料容器
11 材料容器加熱手段
12 成膜材料
13 連結部
14 輸送管
15 輸送管加熱手段
16 連結部加熱手段
17、17a、17b バルブ
18 分岐部
18a 分岐管
19 回収容器
20 放出口
30 基板
40 成膜室
50 材料容器交換室
51 材料容器ホルダ
52 ゲートバルブ
60 検出手段
61 レート制御部
62 供給電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持機構と、
成膜材料を気化させる材料容器と、
気化した成膜材料を基板に向けて放出するための放出口と、
前記材料容器を加熱する材料容器加熱手段と、
連結部によって前記材料容器に対して取り外し可能に連結され、気化した成膜材料を前記材料容器から前記放出口に輸送するための輸送管と、
前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分を除く残りの部位を加熱するための輸送管加熱手段と、
前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分を加熱するための、前記輸送管加熱手段とは独立して配置された連結部加熱手段と、
前記輸送管加熱手段と前記連結部加熱手段とを互いに独立して制御する制御手段と、を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記輸送管から分岐する分岐管と、
前記分岐管の終端に配置された回収容器と、
前記分岐管への気化した成膜材料の流れを遮断及び開放する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記回収容器の内部は、成膜材料の蒸発温度以下に保たれていることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記連結部加熱手段は、前記連結部近傍の輸送管温度を残りの部位の輸送管温度より高温にすることが可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項5】
複数の材料容器を備え、
前記複数の材料容器は前記輸送管を介して共通の前記放出口につながっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記複数の材料容器ごとに配置された連結部を加熱するための複数の連結部加熱手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の製造装置。
【請求項7】
前記複数の材料容器から前記放出口へ輸送される気化した成膜材料の蒸発レートを検出するための検出手段を備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の成膜装置。
【請求項8】
成膜室内に基板を配置し、成膜材料を収容する材料容器を加熱して成膜材料を気化させ、気化した成膜材料を、前記材料容器に連結部によって連結された輸送管を通って、前記基板に向けて放出口から放出することで、前記基板に成膜を行う成膜方法であって、
前記輸送管の、前記連結部近傍の一部分と、前記連結部近傍の一部分を除く残りの部位と、前記材料容器と、をそれぞれ独立して温度制御することを特徴とする成膜方法。
【請求項9】
前記輸送管の前記連結部近傍の一部分及び前記材料容器の温度が、前記輸送管の前記連結部近傍の一部分を除く残りの部位の温度よりも高くなるように制御する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の成膜方法。
【請求項10】
成膜を停止するために、
前記材料容器の加熱を停止した後に、前記輸送管の前記連結部近傍の一部分の加熱を停止する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の成膜方法。
【請求項11】
それぞれ成膜材料を充填した複数の材料容器を備え、成膜を終えた材料容器の加熱を順次停止することを特徴とする請求項10に記載の成膜方法。
【請求項12】
前記複数の材料容器のうちで、成膜を開始する材料容器においては、前記輸送管の前記連結部近傍の一部分とともに前記材料容器を昇温することを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
【請求項13】
請求項8ないし12のいずれかに記載の成膜方法によって、基板に有機EL素子の薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする有機ELパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−159448(P2010−159448A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1421(P2009−1421)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】