説明

扉自動開閉装置

【課題】スライド扉を自動で開閉する駆動モータを備える扉自動開閉装置において、手動操作によりスライド扉を開閉させる際に、使用者の負担が少なく容易にスライド扉を開閉することができる扉自動開閉装置を提供すること。
【解決手段】スライド移動されて開口部5を開閉させるスライド扉7と、スライド扉7をスライド移動させる駆動モータ23と、駆動モータ23を回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、スライド扉7と駆動モータ23との連結状態を解除する連結解除手段26をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動引き戸の駆動装置(扉自動開閉装置)は、引き戸(スライド扉)の上方に駆動モータと連結された螺旋回転軸が設けられ、螺旋回転軸の回転とともにレール上を移動する移動吊車が引き戸に取り付けられており、開閉動作のコントロールを行う制御ボックス(制御装置)が設けられている。この自動引き戸の駆動装置は、スタートスイッチを起動すると制御ボックスからの指令により駆動モータが回転し、螺旋回転軸が回転するとともに移動吊車がレール上を移動することで、引き戸が自動的に開閉されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−196292号公報(第4頁、第1,2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の自動引き戸の駆動装置にあっては、停電時でも手動で引き戸(スライド扉)を開閉させることができるようになっている。しかしながら、停電時に引き戸を手動で開閉する際には、螺旋回転軸の回転とともに、駆動モータのモータ軸ごと回転されるようになっているため、駆動モータの抵抗が引き戸の移動抵抗となって手動による開閉操作の妨げとなり、使用者の負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、スライド扉を自動で開閉する駆動モータを備える扉自動開閉装置において、手動操作によりスライド扉を開閉させる際に、使用者の負担が少なく容易にスライド扉を開閉することができる扉自動開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の扉自動開閉装置は、
スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、
前記スライド扉と前記駆動モータとの連結状態を解除する連結解除手段をさらに備えることを特徴としている。
この特徴によれば、停電時や駆動モータの故障時などの駆動モータが使用できない場合に、使用者が手動操作によりスライド扉を開閉させる際に、連結解除手段によりスライド扉と駆動モータとの連結状態が解除されることで、駆動モータの抵抗がスライド扉の移動抵抗とならずに済むようになり、使用者の負担が少なく容易にスライド扉を開閉することができる。
【0007】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記連結解除手段は、前記スライド扉の閉塞時に前記スライド扉と前記駆動モータとの連結状態を解除することを特徴としている。
この特徴によれば、スライド扉が閉塞している時には、常に、手動操作によるスライド扉の開閉を行うことができ、別途、スライド扉と駆動モータとの連結解除の操作等を行わなくても、使用者がスライド扉を手動で開閉させることができる。
【0008】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記駆動モータの回転駆動により移動される連結部材が設けられ、該連結部材には、前記スライド扉が有する係合部が係脱可能に案内される案内孔部が形成され、前記連結解除手段が前記案内孔部の一部に形成された開口となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部材の案内孔部の開口された部位から、スライド扉の係合部を案内孔部に係合させたり脱したりすることができ、手動操作によるスライド扉の開放と駆動モータの回転駆動による開放とが、いずれも同一の構成部材により実現可能となり、かつ連結解除手段を案内孔部の開口という簡素な構成により形成することができる。
【0009】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記案内孔部には、前記係合部を保持する保持部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、連結部材の移動時に、案内孔部の保持部によってスライド扉の係合部が案内孔部から脱することを防止できる。
【0010】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記案内孔部は、前記連結部材の移動方向に交差する方向に延設された長孔状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、案内孔部によって連結部材の移動方向以外の方向に、スライド扉を案内移動させることができ、かつスライド扉の係合部が案内孔部から脱し難くなる。
【0011】
本発明の扉自動開閉装置は、
前記スライド扉は、その閉塞時に隣接される前面板と略面一状態となっており、かつ該スライド扉は、前記連結部材の移動とともに前記案内孔部の案内により前記略面一状態から前方に移動されることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞時には、スライド扉と前面板とが略面一状態となって見栄えが向上され、かつスライド扉が前方に移動させる構造を案内孔部という簡素な構成で設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例における扉自動開閉装置を備えたキャビネットを示す斜視図である。
【図2】スライド扉に設けられた検出センサ群を示す拡大図である。
【図3】上部の駆動ユニットを示す横断平面図である。
【図4】上部と下部の駆動ユニットを示す縦断側面図である。
【図5】検出センサ群の検出によるスライド扉の移動に伴う金属板と扉ブラケットの状態を示す概念図である。
【図6】手動操作によるスライド扉の移動に伴う金属板と扉ブラケットの状態を示す概念図である。
【図7】金属板と扉ブラケットを示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る扉自動開閉装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
実施例に係る扉自動開閉装置につき、図1から図7を参照して説明する。図1の符号1は、本発明に係る扉自動開閉装置を備えたキャビネットである。図4の紙面左側をキャビネットの正面側(前方側)とし、図3及び図5から図7の紙面下側をキャビネットの正面側(前方側)として説明する。
【0015】
図1に示すように、キャビネット1は、床面から立設される左右の側板2,2と、後方側の後板3と(図4参照)、側板2及び後板3の上方に天板4と、を有し、前方側の一部が開口される略箱型形状に形成されている。キャビネット1の前方側は、中央より左側が開口する開口部5となっているとともに(図3参照)、中央より右側が前板6によって閉塞されている。
【0016】
キャビネット1には、前方側の開口部5を閉塞するスライド扉7が設けられており、スライド扉7が閉塞しているときには、スライド扉7と前板6は、略面一状態になっている。尚、後述するように、スライド扉7は略面一状態から前方に移動された後に、右方向に移動されることで開放され、左方向に移動され後方に移動されることで閉塞される。
【0017】
図2に示すように、スライド扉7の扉面8には、使用者の手を検出するための検出センサ群9と、検出センサ群9の検出に基づいて点灯するパイロットランプ群10が設けられている。
【0018】
この検出センサ群9は、第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの5つの検出センサを有しており、扉面8の正面視において、左から右方向に向かって第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eの順に並設されている。
【0019】
尚、本実施例の第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eは、反射型光電センサとなっており、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9eは、それぞれ前方に近接される手を検出することができる。また、検出センサ群9の上部には、第1〜第5検出センサ9a,9b,9c,9d,9eにそれぞれ対応する第1〜第5パイロットランプ10a,10b,10c,10d,10eが並設されている。
【0020】
尚、使用者は、検出センサ群9に手を近づけて左右方向に移動させることにより、スライド扉7を開閉させることができるとともに、使用者は、扉面8に設けられた把持部11を操作することにより、手動でスライド扉7を開閉させることもできるようになっている。
【0021】
また、各検出センサ9a,9b,9c,9d,9e同士の互いの離間寸法は、平均的な人間の手の横幅寸法よりも、若干幅広な寸法となっている。例えば、使用者が第1検出センサ9aに手をかざした際には、その手が同時に第2検出センサ9bを覆わないようになっている。そして、使用者が手を右方向に移動させて、その手が第1検出センサ9aから外れると、所定時間内に、手が第2検出センサ9bを覆うことができるようになっている。そのため、使用者の手の移動とともに、並設される検出センサ9a,9b,9c,9d,9eを順次連続して検出することができるようになっている。
【0022】
図4に示すように、キャビネット1の内側には、上部と下部に仕切板12,12が設けられている。また、上部の仕切板12と天板4の間の空間、及び下部の仕切板12と底板13の間の空間には、スライド扉7を移動させるための扉自動開閉装置14を構成する駆動ユニット15が設けられている。
【0023】
上下の駆動ユニット15は、その構成を上下反転させた上下対称の略同一構成となっているので、上部側の駆動ユニット15について説明し、下部側の駆動ユニット15の説明を省略する。
【0024】
図3及び図4に示すように、仕切板12の前方側には、スライド扉7を左右方向に案内するための扉ガイドレール16が取り付けられている。この扉ガイドレール16には、レールに沿って左右方向に移動される左右移動部材17が設けられている。
【0025】
左右移動部材17の外側には、その上側を覆うように板状の扉ブラケット18が設けられており、その上面には、垂直方向に延びるピン19(係合部)が設けられている。扉ブラケット18の前部には、スライド扉7が固着されている。即ち、スライド扉7と扉ブラケット18と左右移動部材17は同時に左右方向に移動されるようになっている。尚、扉ブラケット18は、左右移動部材17上で前後方向に移動可能になっている。
【0026】
図3に示すように、仕切板12の前後方向の中央部には、ワイヤ20を左右方向に案内するワイヤレール21が左右方向に延設されており、このワイヤレール21は、4つの固定部材22によって仕切板12に固定されている。ワイヤ20は、ワイヤレール21に沿って左右方向に移動可能になっているとともに、ワイヤ20は、仕切板12の後方側を介して一周するように配設されている。ワイヤ20の両端は、右後方に設けられた駆動モータ23を介して下部の駆動ユニット15に向かって延びている。
【0027】
ワイヤ20は、上部の駆動ユニット15から下部の駆動ユニット15に向かって延び、下部の駆動ユニット15のワイヤレール21に配設され、更に、下部の駆動ユニット15から上部の駆動ユニット15に戻るように配設されている。即ち、駆動モータ23が駆動された際に、ワイヤ20は、上部と下部のワイヤレール21上を同一方向に移動されるようになっている。尚、駆動モータ23は上部の駆動ユニット15にのみに設けられており、この1つの駆動モータ23により上下両駆動ユニット15,15が駆動されるようになっている。
【0028】
図4に示すように、ワイヤ20の所定箇所と連結されるワイヤ連結部材24が設けられており、このワイヤ連結部材24の前方側には、板状の金属板25(連結部材)が取り付けられている。この金属板25には、平面視で右側部から前方側に向かって斜め方向に延びるように切り欠かれて、一部が開口された略長孔状に形成された案内孔部26(連結解除手段)が形成されている。尚、案内孔部26は、金属板25の移動方向に交差する方向に延設された長孔状に形成されている。
【0029】
この案内孔部26の幅は、扉ブラケット18のピン19の直径よりも若干大きく形成され、金属板25が移動されると、ピン19が案内孔部26に側方から挿入され、ピン19が案内孔部26に沿って案内されるようになっている。尚、案内孔部26の前部側の形状は、左右に若干拡大された形状となっており、この案内孔部26の前部側がスライド扉7を左右方向に移動させる際に、ピン19(係合部)が係合されるピン係合部27(保持部)となっている(図3参照)。
【0030】
図7を参照して、ピン係合部27について詳述する。ピン係合部27は左右に丸みを帯びた形状をなしている。スライド扉7が右方向に移動される際には、ピン19は、左側のピン係合部27aに係合し、スライド扉7が左方向に移動される際には、ピン19は、右側のピン係合部27bに係合するようになっている。これにより、スライド扉7の移動中に、ピン19が案内孔部26内でがたついたり、案内孔部26からピン19が外れてしまうことを防止することができる。
【0031】
尚、扉ブラケット18のピン19は、扉ブラケット18における平面視で右後方側の位置に立設されている。スライド扉7の閉塞時に、ピン19は金属板25の右側に位置するようになっている(図3参照)。
【0032】
また、図3及び図4に示すように、天板4の内側には、金属板25を検出するリミットスイッチ28が設けられている。このリミットスイッチ28は、左右2つで1組のスイッチとなっており、制御装置(図示略)に接続されている。
【0033】
この左右に配置されたリミットスイッチ28のうち、いずれかのリミットスイッチ28が金属板25を検出するようになっている。このリミットスイッチ28の検出信号は、制御装置(図示略)に入力されるようになっている。このリミットスイッチ28の検出信号に基づいて、制御装置は、スライド扉7の全開状態及び全閉状態を認識できるようになっている。
【0034】
例えば、左側のリミットスイッチ28が金属板25を検出した場合には、スライド扉7は全閉されていると判断し、右側のリミットスイッチ28が金属板25を検出した場合には、スライド扉7は全開されていると判断するようになっている。後述するように、制御装置は、スライド扉7の開閉状態を把握し、駆動モータ23の駆動を制御するようになっている。
【0035】
尚、本実施例の全開とは、スライド扉7が右方向に移動される限界の位置まで移動され、開口部5を最も大きく開放する状態を示し、全閉とは、スライド扉7が左方向に移動される限界の位置まで移動されるとともに、前板6と略面一状態になって開口部5を閉塞する状態を示す。
【0036】
次に、図5を参照して、検出センサ群9の検出によりスライド扉7が開閉される際の駆動ユニット15及びスライド扉7の動作について説明する。
【0037】
図5(a)は、スライド扉7が閉塞されているときの状態を示している。金属板25は、扉ブラケット18のピン19よりも左側に位置しており、スライド扉7が閉塞されているときには、金属板25とピン19は係合していない。
【0038】
制御装置によって駆動モータ23が駆動されると、上下のワイヤ20が平面視で反時計回りに移動され、同時にワイヤ連結部材24とともに金属板25が右方向に移動される。
【0039】
金属板25の案内孔部26にピン19が係合し、さらにワイヤ20が移動されると案内孔部26の左側部に沿ってピン19が移動され、扉ブラケット18とスライド扉7が前方に移動される(図5(b)参照)。
【0040】
案内孔部26の端部に形成された左側のピン係合部27aにピン19が係合すると(図7参照)、金属板25の右方向の移動とともにピン19が引っ張られ、扉ブラケット18とスライド扉7と左右移動部材17とが右方向に移動される(図5(c)参照)。尚、ピン19が左側のピン係合部27aに係合したときには、スライド扉7の後面が前板6の前面よりも前方に位置するように、案内孔部26が形成されている。
【0041】
尚、扉ガイドレール16が左右方向に延設されていることで、左右移動部材17が扉ガイドレール16上を左右方向に移動されるとともに、扉ブラケット18とスライド扉7が左右方向に直線上を移動するようになり、スライド扉7が左右方向に移動される際に、スライド扉7が前後方向にがたつかないようになっている。
【0042】
そして、右のリミットスイッチ28が金属板25の右端部を検出すると、制御装置によって駆動モータが停止され、スライド扉7が停止される。
【0043】
また、図5(c)の状態からスライド扉7が閉塞される際には、スライド扉7の開放時と逆方向の時計回りにワイヤ20が移動するように駆動モータ23が駆動され、金属板25が左方向に移動されるとともに、ピン19は、左側のピン係合部27aから移動し、右側のピン係合部27bに係合する(図7参照)。そして、金属板25の移動とともにピン19が引っ張られ、扉ブラケット18とスライド扉7と左右移動部材17とが左方向に移動される。
【0044】
図5(b)のように、スライド扉7が左端まで移動されると、スライド扉7は停止されるようになる。スライド扉7が停止されても、ワイヤ20とともに金属板25が若干左方向に移動できるようになっており、扉ブラケット18のピン19が、右側のピン係合部27bから外れて案内孔部26の右側部に沿って後方側に移動される。更に金属板25が左に移動されると、ピン19が案内孔部26から外れて、スライド扉7が後方側に移動されて閉塞される(図5(a)参照)。
【0045】
そして、左側のリミットスイッチ28が金属板25の左端部を検出すると、制御装置によって駆動モータ23が停止される。
【0046】
尚、金属板25が左右方向に移動されることによって、スライド扉7は前後方向と左右方向の移動が行われるため、スライド扉7が左右に移動される距離よりも、金属板25が左右に移動される距離のほうが長くなっている(図3参照)。
【0047】
次に、図6を参照して、手動操作によりスライド扉7が開閉される際の駆動ユニット15及びスライド扉7の動作について説明する。
【0048】
図6(a)は、スライド扉7が閉塞されているときの状態を示している。金属板25は、扉ブラケット18のピン19よりも左側に位置しており、金属板25とピン19は係合していない。
【0049】
使用者がスライド扉7を開放させる場合には、扉面8に設けられた把持部11を前方側に引き、スライド扉7を略面一状態から前方側に移動させると、スライド扉7とともに扉ブラケット18が前方側に引出される。尚、扉ブラケット18は、スライド扉7の後面が前板6の前面よりも前方に位置するところまで、左右移動部材17上を前方側に移動できるようになっている(図3参照)。
【0050】
図6(b)に示すように、手動操作によりスライド扉7が前方側に移動された場合には、扉ブラケット18のピン19は、金属板25の案内孔部26に入り込むことなく、金属板25は移動されないようになっている。
【0051】
そして、使用者が把持部11を操作し、スライド扉7を右方向に移動させると、左右移動部材17が扉ガイドレール16上を右方向に移動されるとともに、扉ブラケット18とスライド扉7が右方向に移動され、スライド扉7が開放される(図6(c)参照)。尚、スライド扉7が図6(c)の位置まで移動された際に、扉ブラケット18が当接するストッパー(図示略)が設けられており、スライド扉7が全開された位置で停止されるようになっている。
【0052】
使用者がスライド扉7を閉塞させる場合には、把持部11を操作し、スライド扉7を左方向に移動させると、スライド扉7とともに扉ブラケット18が左方向に移動される。そして、スライド扉7が左端まで移動され、使用者がスライド扉7を後方に押し入れることにより、スライド扉7が略面一状態となり、スライド扉7が閉塞される。
【0053】
尚、手動操作によりスライド扉7が移動された場合には、検出センサ群9が手を検出しても、駆動モータ23が駆動されないように制御装置(図示略)によって制御されている。
【0054】
このように、使用者が手動操作によりスライド扉7を開閉させる際には、スライド扉7に取り付けられた扉ブラケット18と、金属板25とが独立して移動され、駆動モータ23の抵抗を受けないため、使用者は、強い力を加える必要がなく、スライド扉7を容易に開閉することができる。
【0055】
以上、本実施例における扉自動開閉装置では、スライド扉7と駆動モータ23との連結状態を解除する案内孔部26(連結解除手段)をさらに備えることで、停電時や駆動モータ23の故障時などの駆動モータ23が使用できない場合に、使用者が手動操作によりスライド扉7を開閉させる際に、スライド扉7と駆動モータ23との連結状態が解除されることで、駆動モータ23の抵抗がスライド扉7の移動抵抗とならずに済むようになり、使用者の負担が少なく容易にスライド扉7を開閉することができる。
【0056】
また、スライド扉7の閉塞時にスライド扉7と駆動モータ23との連結状態を解除することで、スライド扉7が閉塞している時には、常に、手動操作によるスライド扉7の開閉を行うことができ、別途、スライド扉7と駆動モータ23との連結解除の操作等を行わなくても、使用者がスライド扉7を手動で開閉させることができる。
【0057】
また、駆動モータ23の回転駆動により移動される金属板25(連結部材)が設けられ、金属板25には、スライド扉7が有する係合ピン19(係合部)が係脱可能に案内される案内孔部26が形成され、案内孔部26の一部に開口が形成されていることで、金属板25の案内孔部26の開口された部位から、スライド扉7の係合ピン19を案内孔部26に係合させたり脱したりすることができ、手動操作によるスライド扉7の開放と駆動モータ23の回転駆動による開放とが、いずれも同一の構成部材により実現可能となり、かつスライド扉7と駆動モータ23との連結状態の解除を案内孔部26の開口という簡素な構成により形成することができる。
【0058】
また、案内孔部26には、係合ピン19を保持するピン係合部27(保持部)が形成されていることで、金属板25の移動時に、案内孔部26の保持部によってスライド扉7の係合ピン19が案内孔部26から脱することを防止できる。
【0059】
また、案内孔部26は、金属板25の移動方向に交差する方向に延設された長孔状に形成されていることで、案内孔部26によって金属板25の移動方向以外の方向に、スライド扉7を案内移動させることができ、かつスライド扉7の係合ピン19が案内孔部26から脱し難くなる。
【0060】
また、スライド扉7は、その閉塞時に隣接される前板6(前面板)と略面一状態となっており、かつスライド扉7は、金属板25の移動とともに案内孔部26の案内により略面一状態から前方に移動されることで、閉塞時には、スライド扉7と前板6とが略面一状態となって見栄えが向上され、かつスライド扉7が前方に移動させる構造を案内孔部26という簡素な構成で設けることができる。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0062】
例えば、前記実施例では、左右方向に開閉させるスライド扉7としているが、開閉する方向は左右に限らず、左右の少なくとも一方の側板2の内側に駆動ユニット15を設け、上下方向に開閉させるスライド扉7としてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、正面視で右側は前板6により閉塞し、左側のみにスライド扉7を設けているが、左右両側にスライド扉7を設け、両方のスライド扉7が開閉するようにしてもよい。その場合には、左側のスライド扉7を駆動させる駆動ユニット15は上部に設け、右側のスライド扉7を駆動させる駆動ユニット15は下部に設けることで左右のスライド扉7の扉ブラケット18が互いに干渉し合わずに済むようになる。
【0064】
また、前記実施例では、スライド扉7にピン19を有する扉ブラケット18を設け、キャビネット1に案内孔部26を有する金属板25を設け、ピン19が案内孔部26に係合するようにしているが、取り付ける位置を逆にして、キャビネット1に扉ブラケット18を設け、スライド扉7に金属板25を設けてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、案内孔部26の開口からスライド扉7のピン19が脱することにより連結解除手段が構成されているが、ピン19が倒れたり降下したりすることにより、案内孔部26からスライド扉7のピン19が脱する構成にしてもよいし、金属板25を水平方向に回動可能な構成とし、案内孔部26からスライド扉7のピン19が脱する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 キャビネット
5 開口部
6 前板(前面板)
7 スライド扉
8 扉面
14 扉自動開閉装置
15 駆動ユニット
19 ピン(係合部)
23 駆動モータ
25 金属板(連結部材)
26 案内孔部(連結解除手段)
27 ピン係合部(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動されて開口部を開閉させるスライド扉と、該スライド扉をスライド移動させる駆動モータと、該駆動モータを回転駆動させるための制御手段と、を備える扉自動開閉装置であって、
前記スライド扉と前記駆動モータとの連結状態を解除する連結解除手段をさらに備えることを特徴とする扉自動開閉装置。
【請求項2】
前記連結解除手段は、前記スライド扉の閉塞時に前記スライド扉と前記駆動モータとの連結状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の扉自動開閉装置。
【請求項3】
前記駆動モータの回転駆動により移動される連結部材が設けられ、該連結部材には、前記スライド扉が有する係合部が係脱可能に案内される案内孔部が形成され、前記連結解除手段が前記案内孔部の一部に形成された開口となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の扉自動開閉装置。
【請求項4】
前記案内孔部には、前記係合部を保持する保持部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の扉自動開閉装置。
【請求項5】
前記案内孔部は、前記連結部材の移動方向に交差する方向に延設された長孔状に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の扉自動開閉装置。
【請求項6】
前記スライド扉は、その閉塞時に隣接される前面板と略面一状態となっており、かつ該スライド扉は、前記連結部材の移動とともに前記案内孔部の案内により前記略面一状態から前方に移動されることを特徴とする請求項5に記載の扉自動開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−74650(P2011−74650A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226797(P2009−226797)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】