説明

手摺り支柱の立設方法及びこの方法に使用する支柱立設穴形成用金型

【課題】支柱立設穴の形成が容易で、施工能率の向上を図ることができる手摺り支柱立設方法を提供する。
【解決手段】内筒2外周面の両側部に隙間形成用凸段部5を突設した有底筒状内筒2と、両半割体3,3の夫々対向端面3o,端面3oが各凸段部5の両側端面5o,5oに当接するように内筒2に外嵌される一対の半割体3,3よりなる外筒4とで構成される支柱立設穴形成用金型1を、堰壁用型枠13内に吊支した後、型枠13内にコンクリート20を打設し、その固化後に金型1の内筒2を外筒4から引き抜き、次いで外筒4の各半割体3上端部に夫々外側から打撃を与えて、凸段部5により形成された隙間Sを利用して両半割体3,3を夫々内側へ倒れ込ませることにより、各半割体3をコンクリート20と分離して引き上げ、支柱立設穴Hに柱取付用アンカー23を挿入して手摺り支柱を立設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺り支柱をベランダ等の堰壁上に立設する手摺り支柱の立設方法及びこの方法に使用する支柱立設穴形成用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートで形成されるベランダの堰壁上に手摺り支柱を立設する方法として、ベランダの室外端部に組立形成した堰壁用型枠の支柱立設位置に、支柱の下端部を形成する木材製の支柱立設穴形成用型枠をセットし、堰壁用型枠内にコンクリートを打設し、コンクリート固化後に、支柱立設穴形成用型枠を取り外して、形成された支柱立設穴に手摺り支柱の下端部又は支柱取付用アンカーを挿入し、モルタルや硬化性接着剤で固着して立設する方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような方法においては、堰壁コンクリートの固化後に支柱立設穴形成用型枠を取り外す際に、その型枠の外周面にコンクリートが固着しているため、取り外しが困難で、通常は型枠をハンマー等で叩き割って取り外すようにしているが、その取り外し作業に非常な手間がかかって、施工能率を悪くし、またそのようにして取り外した支柱立設穴形成用型枠は再使用できないため、非常に不経済であった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑み、支柱立設穴の形成が容易で、施工能率の向上を図ることができる手摺り支柱の立設方法及びこの方法に使用する支柱立設穴形成用金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の手摺り支柱の立設方法は、内筒2外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部5を突設した有底筒状の内筒2と、両半割体3,3の夫々対向端面3o,端面3oが前記各凸段部5の両側端面5o,5oに当接するように内筒2に外嵌される一対の半割体3,3よりなる外筒4とによって構成される支柱立設穴形成用金型1を、堰壁用型枠13内の支柱立設位置に吊支した後、前記型枠13内にコンクリート20を打設し、その固化後に前記金型1の内筒2を外筒4から引き抜き、次いで外筒4の各半割体3上端部に夫々外側から打撃を与えて、前記凸段部5により形成された隙間Sを利用して両半割体3,3を夫々内側へ倒れ込ませるようにすることにより、各半割体3をコンクリート20と分離して引き上げ、それにより形成された堰壁12の支柱立設穴Hに手摺り支柱又は支柱取付用アンカー23を挿入して手摺り支柱を立設するようにしたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の手摺り支柱の立設方法に使用する支柱立設穴形成用金型であって、内筒2外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部5を突設した有底筒状の内筒2と、両半割体3,3の対向端面3o,3oが前記各凸段部5の両端面5o,5oに当接するように内筒2に外嵌される一対の半割体3,3よりなる外筒4とからなり、内筒2の上端部には内筒2を堰壁用型枠13に取り付けるための取付部片7を設け、外筒4の各半割体3には上端部にボルト挿通用切欠溝8を設け、この切欠溝8に、内筒2の上端部外面に突設したボルト6を挿通してナット10で締め付けることにより、内筒2に外嵌した外筒4を 固定するようにしてなることを特徴とする
【0007】
請求項3は、請求項2に記載の支柱立設穴形成用金型において、内筒2は下窄まりテーパ状に形成され、外筒4の両半割体3,3は、下窄まりテーパ状内筒2に外嵌するように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項2又は3に記載の支柱立設穴形成用金型において、外筒4の各半割体3にはその外側面に多数の突起11が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、支柱立設穴形成用金型1を、堰壁用型枠13内の支柱立設位置に吊支した後、堰壁用型枠13内にコンクリート20を打設し、その固化後に金型1の内筒2を外筒4から引き抜き、次いで外筒4の各半割体3上端部に夫々外側から打撃を与えて、前記凸段部5により形成された隙間Sを利用して両半割体3,3を内側へ倒れ込ませることにより、各半割体3をコンクリート20と分離して引き上げ、それにより形成された堰壁12の支柱立設穴Hに支柱取付用アンカー23(又は手摺り支柱)を挿入して手摺り支柱を立設するようにしたから、堰壁12の支柱立設位置に支柱立設穴Hを簡単容易に形成できて、施工能率を大幅に向上でき、しかも支柱立設穴形成用金型1は何度でも繰り返し使用できるため、非常に経済的である。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、支柱立設穴形成用金型1は、内筒2外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部5を突設した有底筒状の内筒2と、両半割体3,3の対向端面3o,3oが前記各凸段部5の両端面5o,5oに当接するように内筒2に外嵌される一対の半割体3,3よりなる外筒4とからなるもので、内筒2の上端部には内筒2を堰壁用型枠13に取り付けるための取付部片7を設け、外筒4の各半割体3には上端部にボルト挿通用切欠溝8を設け、この切欠溝8に、内筒2の上端部に突設したボルト6を挿通してナット10で締め付けることにより、内筒2に外嵌した外筒4を 固定するようにしたから、使用に際しては、取付部片7を堰壁用型枠13の所要箇所に取り付けるだけで、金具1全体を吊支することができ、そして内筒2を引き抜く時には、ナット10を緩めてボルト6から取り外し、取付部片7を引っ張り上げることによって、内筒2を容易に引き抜くことができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、内筒2が下窄まりテーパ状に形成され、そして外筒4の両半割体3,3が下窄まりテーパ状内筒2に外嵌するように形成されているから、内筒2の引き抜き操作がより一層容易となる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、外筒4の各半割体3にはその外側面に多数の突起11が形成されていて、この突起11により支柱立設穴Hの内壁面に多数の凹部22を形成するから、支柱立設穴Hに支柱下端部又は支柱取付用アンカー23を挿入する時に注入されるセメントモルタル24又は硬化性接着剤が、その凹部22に入り込んで硬化することにより、支柱立設穴Hの内壁面に対するセメントモルタル24又は硬化性接着剤の食い付き効果によって、手摺り支柱を支柱立設穴Hに強固に立設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る支柱立設穴形成用金型の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a) は同上の金型の正面図、(b) は側面図である。
【図3】同上の金型を内筒と一対の半割体よりなる外筒とに分解した状態の斜視図である。
【図4】(a) は内筒の正面図、(b) は側面図、(c) は平面図、(d) は底面図である。
【図5】(a) は堰壁用型枠及びこれに吊支された支柱立設穴形成用金型を示す説明図であり、(b) は(a) のA−A線断面図である。
【図6】手摺り支柱の立設方法を示すもので、(a) は堰壁用型枠内にコンクリートを打設した状態の説明図、(b) はコンクリートに埋まった支柱立設穴形成用金型を堰壁用型枠から切り離した状態の説明図である。
【図7】コンクリートに埋まった支柱立設穴形成用金型から内筒を引き抜いている状態の説明図である。
【図8】(a) は内筒を引き抜いて残った外筒の一対の半割体を示す説明図、(b) はその半割体を支柱立設穴から引き出している状態を示す説明図である。
【図9】(a) は形成された支柱立設穴に手摺り支柱を挿入している状態の説明図であり、(b) は支柱立設穴に挿入した手摺り支柱の下端部をモルタル等で固めた状態を示す説明図である。
【図10】手摺りを設置した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図3に示す支柱立設穴形成用金型1は、有底筒状の内筒2と、両側一対の半割体3,3からなる外筒4とによって構成される。内筒2は、図3及び図4から分かるように、ステンレス板によって前後側板2a,2aと左右側板2b,2bと底板2cとによって下窄まりテーパ状の有底角筒状体に形成され、左右各側板2bにはその幅方向中央部に縦方向に延びる隙間形成用凸段部5が突設されている。また内筒2の前後各側板2aには上端部の幅方向中央部に、ボルト6が側板2aの内側から貫通されて外向きに突設されている。また、内筒2の上端部には、この内筒2を後述する堰壁用型枠に取り付けるための取付プレート(取付部片)7が左右両側板2b,2b間に亘って固着されていて、この取付プレート7には、縦長の左右2つのボルト挿通用長孔7aと、横長の金具引き抜き用長孔7bが設けてある。
【0015】
外筒4の両半割体3,3は、図1及び図3に示すように、下窄まりテーパ状内筒2に対しその前後両側から外嵌するように形成されて、内筒2への外嵌時に両半割体3,3の夫々対向端面3o,3oが内筒2の左右各側板2bに突設された凸段部5の両側端面5o,5oに当接するようになっている。各半割体3は、前板部3aと左右側板部3b,3bとで断面略コ字状に形成されている。また各半割体3には、図3に示すように上端部にボルト挿通用切欠溝8が形成されていて、この切欠溝8に、内筒2の上端部外面に突出しているボルト6を挿通してワッシャー9を介してナット10で締め付けることにより、内筒2に外嵌した外筒4を 固定するようになっている。また、各半割体3には前板部3a外側面には、多数の突起11が形成されている。
【0016】
図1及び図2は、内筒2に両側一対の半割体3,3からなる外筒4を嵌合して固定した状態を示し、図3は外筒4を形成する両側一対の半割体3,3を内筒2から取り外した状態を示す。図3に示す状態から内筒2に外筒4の両半割体3,3を取り付ける支柱立設穴形成用金型1を形成するには、両半割体3,3を内筒2の前後両側部に寄せ付けながら、各半割体3の上端部外面に突出している切欠溝8を内筒2側のボルト6に挿通し、そのボルト6にワッシャー9を介しナット10を螺合して締めつけることにより、両半割体3,3が内筒2に嵌合されると共に、両半割体3,3の対向端面3o,3oが前記凸段部5の両側端面5o,5oに当接して、図1及び図2に示すような支柱立設穴形成用金型1を形成する。
【0017】
図1及び図2に示す状態の支柱立設穴形成用金型1から内筒2と外筒4とを分離するときは、ナット10を緩めて、このナット10をワッシャー9と共にボルト6から取り外した後、内筒2を外筒4の両半割体3,3から上方へ引っ張り出すようにすればよい。
【0018】
次に、上記のような支柱立設穴形成用金型1の使用による手摺り支柱の立設方法について、図5〜図10を参照しながら説明する。
【0019】
図5の(a) は図10に示すようなベランダの堰壁12を形成するための堰壁用型枠13を示す断面図で、(b) は(a) のA−A線断面図である。この堰壁用型枠13は、周知のように合板等からなる室内側堰板13a、室外側堰板13b、底板13e、及び角材等からなる支持枠13c、13dによって形成されるもので、型枠内部には鉄筋14が配設される。尚、支持枠13dは、室内側堰板13aの下端部側を支持すると共に、ベランダの排水路15(図10参照)を形成する型枠として使用される。また、図5の(a) に示すように、室内側堰板13aの内壁面上端部及び室外側堰板13bの内壁面上下端部に断面三角形状の突条片13fが設けられるが、これらの突条片13fは、形成される堰壁12の隅角部を面取りするためのものである。また底板13eの上壁面には水切り形成用の突条片13gが設けられる。
【0020】
さて、上記のような堰壁用型枠13内に支柱立設穴形成用金型1を吊支するにあたり、図5の(a) ,(b) に示すように、堰壁用型枠13の支柱立設位置に対応する室内側堰板13a及び室外側堰板13bの支持枠13c,13c上に木製の台座16,16を載置し、両台座16,16にわたってアングル材からなる梁材17を架け渡し、この梁材17の水平片17aから台座16を通って支持枠13cにわたるように釘又は木ネジ21を打ち込み又はねじ込むことによって梁材17を堰壁用型枠13に固定する。
【0021】
こうして堰壁用型枠13上の所要位置に固定した梁材17の垂直片17bに設けてある2つのボルト挿通孔(図示せず)から、支柱立設穴形成用金型1の取付プレート(取付部片)7に設けてある2つの長孔7a,7aに夫々ボルト18を挿通してナット19を螺合し、長孔7aを利用して適宜に高さ調整した後、ナット19を締め付けることによって、図5の(a) ,(b) に示すように堰壁7内の支柱立設位置に支柱立設穴形成用金型1を吊支する。この時、金型1の内外筒2,4の上端部が所要長さ(内外筒2,4の長さの例えば5分の1程度)、堰壁用型枠13内のコンクリート打設上限ラインL(図5の(a) 参照)より上方に位置するように金型1を吊支して、外筒4を内筒2に固定しているボルト6・ナット10が後記のように打設されるコンクリート20に埋もれないようにする。
【0022】
上記のように堰壁用型枠13内に支柱立設穴形成用金型1を吊支した後、図6の(a) に示すように堰壁用型枠13内にコンクリート20を打設する。この時、コンクリート20と直接に接する金型1の面は、外筒4を形成する両半割体3,3の夫々表面部と、内筒2の底板2cの下面部及び各隙間形成用凸段部5の表面部である。コンクリート20が固化したならば、図6の(b) に示すように、金型1の取付プレート7を梁材17に固定しているボルト18・ナット19を取り外し、釘又は木ネジ21を抜いて梁材17及び台座16を撤去する。尚、堰壁用型枠13は、コンクリート20が十分に固化した時点で解体して撤去し、この型枠13の解体撤去によって、形成された堰壁12が露呈する。
【0023】
それから、図6の(b) に示すように上端部を所要長さ残して堰壁7内に埋設されている支柱立設穴形成用金型1の内筒2と外筒4とを結合しているボルト6のナット10を緩めて取り外した後、図7に示すように、金型1の内筒2を外筒4から引き抜く。この場合、外筒4を形成する各半割体3の表面全体が、金型1によって形成される支柱立設穴Hのコンクリート壁面に接着しているが、内筒2は、底板2cの下面部と各隙間形成用凸段部5の表面部が同コンクリート壁面に接着しているだけで、内筒2は、表面側の大部分が外筒4の両半割体3,3で覆われた状態にあるため、内筒2の隙間形成用凸段部5の上端部に外側から適当な打撃を加えるなどして内筒2に振動与えることにより、内筒2の底板2c下面部及び隙間形成用凸段部5の表面部が支柱立設穴Hのコンクリート壁面から剥離されるため、取付プレート(取付部片)7の金具引き抜き用長孔7bに例えばバール等の棒材を突っ込んで引き上げることによって、比較的容易に金型1を引き抜くことができる。
【0024】
上記のようにして内筒2を外筒4から引き抜くと、堰壁12内には、外筒4を形成する一対の半割体3,3のみが残され、しかして両半割体3,3の夫々相対向する端面3o,3o間には、図7に示すように、引き抜いた内筒2の隙間形成用凸段部5,5によって、隙間S,Sが形成されるから、各半割体3の上端部に対し外側から同図に示すように打撃Pを与えて、半割体3を同図仮想線図示のように内側へ倒れ込ませることにより、各半割体3を図8の(a) に示すように、形成された支柱立設穴Hのコンクリート壁面から完全に剥離させることができ、それによって図8の(b) に示すように堰壁12に支柱立設穴Hが形成される。また、支柱立設穴Hの内壁面には、各半割体3外側面の多数の凸部11によって多数の凹部22が形成される。
【0025】
こうして堰壁12の支柱立設位置に形成された支柱立設穴Hに、図9の(a) に示すように支柱取付用アンカー23を挿入すると共に、同図の(b) に示すようにセメントモルタル24を注入する。尚、セメントモルタル24の代わりに硬化性接着剤を注入してもよい。セメントモルタル24の場合は、硬化するのに1〜2日かかるから、その硬化を待って、支柱取付用アンカー23には筒状手摺り支柱25を嵌合する。図9の(b) に示すように、支柱立設穴Hの内壁面に形成された多数の凹部22にはセメントモルタル24が入り込んで硬化するため、その凹部22に入り込んだセメントモルタル24の食い付き効果により支柱取付用アンカー23はセメントモルタル24を介して堰壁12と有効に一体化し、支柱取付用アンカー23を堰壁12の支柱立設穴Hに強固に立設することができる。
【0026】
そして図10に示すように、支柱取付用アンカー23に筒状手摺り支柱25を嵌合し、この筒状手摺り支柱25をビス26によって支柱取付用アンカー23に固定し、それから笠木27、横桟28、縦桟29を取り付けることにより、手摺り30を設置することができる。
【0027】
図9及び図10に示す実施形態では、支柱立設穴形成用金型1によって堰壁12に形成した支柱立設穴Hに支柱取付用アンカー23を挿入してセメントモルタル24又は硬化性接着剤により固定し、このアンカー23に手摺り支柱25を嵌合するようにしているが、支柱立設穴Hには手摺り支柱の下端部を直接挿入して、セメントモルタル24又は硬化性接着剤により固定し、立設するようにしてもよい。
【0028】
以上説明したように、本発明の手摺り支柱の立設方法は、支柱立設穴形成用金型1を、堰壁用型枠13内の支柱立設位置に吊支した後、堰壁用型枠13内にコンクリート20を打設し、その固化後に金型1の内筒2を外筒4から引き抜き、次いで外筒4の各半割体3上端部に夫々外側から打撃を与えて、前記凸段部5により形成された隙間Sを利用して両半割体3,3を内側へ倒れ込ませるようにすることによって、各半割体3をコンクリート20と分離して引き上げ、それにより形成された堰壁12の支柱立設穴Hに支柱取付用アンカー23(又は手摺り支柱)を挿入して手摺り支柱を立設するようにしたから、堰壁12の支柱立設位置に支柱立設穴Hを簡単容易に形成できて、施工能率を大幅に向上でき、しかも支柱立設穴形成用金型1は何度でも繰り返し使用することができるため、きわめて経済的である。
【0029】
また、支柱立設穴形成用金型1は、内筒2外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部5を突設した有底筒状の内筒2と、両半割体3,3の対向端面3o,3oが前記各凸段部5の両端面5o,5oに当接するように内筒2に外嵌される一対の半割体3,3よりなる外筒4とからなるもので、内筒2の上端部には内筒2を堰壁用型枠13に取り付けるための取付部片7を設け、外筒4の各半割体3には上端部にボルト挿通用切欠溝8を設け、この切欠溝8に、内筒2の上端部に突設したボルト6を挿通してナット10で締め付けることにより、内筒2に外嵌した外筒4を 固定するようにしたから、使用にあたっては、取付部片7を堰壁用型枠13の所要箇所に取り付けるだけで、金具1全体を吊支することができ、そして内筒2を引き抜く時には、ナット10を緩めてボルト6から取り外して、取付部片7を引っ張りあげれることにより、内筒2を容易に引き抜くことができる。
【0030】
また、この金型1では、内筒2が下窄まりテーパ状に形成され、そして外筒4の両半割体3,3が下窄まりテーパ状内筒2に外嵌するように形成されているから、内筒2の引き抜き操作がより一層容易となる。
【符号の説明】
【0031】
1 支柱立設穴形成用金型
2 内筒
3 半割体
3o 半割体の端面
4 外筒
5 隙間形成用凸段部
5o 凸段部の側端面
6 ボルト
7 取付プレート(取付部片)
8 ボルト挿通用切欠溝
10 ナット
11 突起
12 堰壁
13 堰壁用型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部を突設した有底筒状の内筒と、両半割体の夫々対向端面が前記各凸段部の両側端面に当接するように内筒に外嵌される一対の半割体よりなる外筒とによって構成される支柱立設穴形成用金型を、堰壁用型枠内の支柱立設位置に吊支した後、前記型枠内にコンクリートを打設し、その固化後に前記金型の内筒を外筒から引き抜き、次いで外筒の各半割体上端部に夫々外側から打撃を与えて、前記凸段部により形成された隙間を利用して両半割体を夫々内側へ倒れ込ませるようにすることにより、各半割体をコンクリートと分離して引き上げ、それによって形成された堰壁の支柱立設穴に手摺り支柱又は支柱取付用アンカーを挿入して手摺り支柱を立設するようにした手摺り支柱の立設方法。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺り支柱の立設方法に使用する支柱立設穴形成用金型であって、内筒外周面の両側部に縦に延びる隙間形成用凸段部を突設した有底筒状の内筒と、両半割体の対向端面が前記各凸段部の両端面に当接するように内筒に外嵌される一対の半割体よりなる外筒とからなり、内筒の上端部には内筒を堰壁用型枠に取り付けるための取付部片を設け、外筒の各半割体には上端部にボルト挿通用切欠溝を設け、この切欠溝に、内筒の上端部外面に突設したボルトを挿通してナットで締め付けることにより、内筒に外嵌した外筒を固定するようにしてなる支柱立設穴形成用金型。
【請求項3】
内筒は下窄まりテーパ状に形成され、外筒の両半割体は、下窄まりテーパ状内筒に外嵌するように形成されている請求項2に記載の支柱立設穴形成用金型。
【請求項4】
外筒の各半割体にはその外側面に多数の突起が形成されている請求項2又は3に記載の支柱立設穴形成用金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−2003(P2012−2003A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139220(P2010−139220)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000131120)株式会社サンレール (23)
【Fターム(参考)】