説明

手摺

【課題】耐風圧性能が高くて外観の体裁もよく、施工手間がかからずに工期短縮も図れるガラス手摺を提供する。
【解決手段】支柱1は、その外側面の中間位置にブラケット7と、外側面の下部に下枠取付部8を有する。笠木2の下端面と、下枠3の上端面には、長手方向に連続する凹溝2a,3aが夫々設けてある。ガラスパネル部4は、ガラス板12と、左右端部に取り付ける竪枠13とを有し、竪枠13は、ガラス板12の左右側端面から内側面に回り込んで、ガラス板12の左右側端部内側のコーナー部Rを囲む略L字状をなし、ガラス板12の内側面との間に弾性を有する構造シール部を介在して取り付けてあり、ガラス板12は、その上下端部の夫々に、笠木2または下枠2の凹溝2a,3aに嵌合挿入し且つ凹溝2a、3aに対する挿入側を底部とする略U字状をなすグレージングチャンネル部14,18を取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段やベランダ、フェンス、スロープ、廊下等に取り付ける手摺に関するものであり、特に支柱間にガラスパネルを取り付ける態様の手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物外観の多様化から、バルコニーや階段手摺の柵としてガラスパネル部を採用するものがあり、このような手摺は、施工手順の一例として、支柱から持ち出すブラケットを介して枠体を取り付けた後、その枠体内にガラス板を挿入し、ガラス板と枠体との隙間をコーキングするものであった。さらに、前記のものよりも工期を短縮するために、あらかじめ組み立て済みのガラスパネル部を現場に搬送し、ブラケットを介して支柱に取り付けるものもあった。
【特許文献1】特開2006−37589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、あらかじめ組み立てられたガラスパネル部により工期短縮を図れたとしても、ガラスパネル部を支柱から支持しているブラケットがガラス板を通して屋外から見えてしまい、このことから外観の体裁が損なわれる問題点があった。また、ガラスパネル部を採用した手摺は一般に、耐風圧性能に難があり、風圧に対する脆弱さを解消できる手摺の登場が待たれていた。
本発明は以上に述べた実情に鑑み、耐風圧性能が高くて外観の体裁もよく、施工手間がかからずに工期短縮も図れるガラス手摺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、内外を隔置に起立する支柱と、笠木と、下枠と、ガラスパネル部とを備えており、支柱は、その外側面の中間位置にブラケットを有すると共に、外側面の下部に下枠取付部を有しており、笠木の下端面と、その笠木の下端面と上下に対向する下枠の上端面には、長手方向に連続する凹溝が夫々設けてあり、ガラスパネル部は、ガラス板と、ガラス板の左右端部に取り付ける竪枠とを有しており、竪枠は、ガラス板の左右側端面から内側面に回り込んで、ガラス板の左右側端部内側のコーナー部を囲む略L字状をなすと共に、ガラス板の内側面との間に弾性を有する構造シール部を介在して取り付けてあり、ガラス板は、その上下端部の夫々に、笠木または下枠の凹溝に嵌合挿入し且つ凹溝に対する挿入側を底部とする略U字状をなすグレージングチャンネル部を取り付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ガラスパネル部の上下端部に略U字状をなすグレージングチャンネル部を有していることにより、ガラスパネル部を笠木と下枠に設けた凹溝に挿入し且つ嵌合することで、ガラスパネル部と笠木及び下枠が一体的なものとなり、さらに、ガラス板の外から取付金具など、左右の竪枠からの支持手段の類が見えない構造となるので、建物外観の体裁が一層向上する。また、ガラスパネル部は、笠木と下枠に対してグレージングチャンネル部を介して簡単に嵌めこむことができるので、手摺の施工が一層容易となる。さらに、ガラス板を上下のグレージングチャンネル部と左右の竪枠により四方から支持してあることから、耐風圧性能が高く、しかも、耐風圧許容面積がガラス板を四辺支持するものとして計算できるため、ガラス板のコスト抑制を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の手摺をバルコニー用としたときの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の手摺の全体を示す縦断面した側面図であり、図2は、図1中Aを拡大して示す笠木を中心とした縦断面図であり、図3は、図1中Bを拡大して示す下枠を中心とした縦断面図であり、図4は、支柱とガラスパネルの取付状態を示す横断面図であり、図5(a)〜(e)は、各々本実施による手摺の施工手順を示す簡略化した側面図である。
【0007】
本手摺は、図1のように、バルコニーの土台Gに取り付けるものであり、支柱1と笠木2と下枠3とガラスパネル部4とからなっている。笠木2は、縦断面が横長略矩形状をなす中空押出部材であり、その下端面には、笠木2の長手方向に沿って下向き略凹状をなす凹溝2aが設けてある。支柱1は、バルコニーの土台Gから垂直に起立するものであり、図示は省略するが、土台Gの左右方向に間隔をあけて複数本起立している。また、支柱1の上端部には、先端部が外側に向けて張り出した状態で目板5が締付ネジ6aにより取り付けてある。また、支柱1の外側面には、図4のように、上下に長い断面略T字状のブラケット7が締付ネジ6bで取り付けてある。さらに、支柱1の屋外側面下部には、支柱1に沿って略垂直な取付片8aと、この取付片8a下端から屋外側に向けて水平に突出した下枠受片8bとからなる断面略L字状をなす下枠取付部8を締付ネジ6cで取り付けてある。下枠3は、補強材9を介して下枠受片8bの上面に締付ネジ6dで取り付けてあり、上面に凹溝3aを有する略凹状をなしている。
【0008】
ガラスパネル部4は、図1及び図2のように、ガラス板12と、ガラス板12の左右端部に取り付ける竪枠13と、ガラス板12の上下端部に取り付けるグレージングチャンネル部14,18とから構成するものである。具体的に本実施によるガラスパネル部4は、SSG(ストラクチュラル・シーラント・グレーシング)と称される、ガラスパネル部4を屋外側から見たときに、取付金具など、ガラス板12の各種支持手段の類がガラス板12の屋外側面に一切設けられない構造をなすものである。そして、左右の竪枠13は、ガラス板12の左右側端面に対面する見込片13aと、この見込片13aの内側端部から左右方向に延びてガラス板12の内側面と対面する見付片13bとから略L字状をなしており、これにより、ガラス板12の左右側端部内側のコーナー部Rを略L字状に囲むものである。また、竪枠13の見付片13bとガラス板12の内側面との間には、左右に並列に配置したサーマルボンド部16と構造シール部17が介在しており、まず、サーマルボンド部16は、低融点繊維を熱で溶かして繊維同士を溶着することでシート状に成形したものであり、構造シール部17は、シリコンを素材として弾性を有するものであり、耐候性や耐熱性、接着性などに優れたものである。そして、上記サーマルボンド部16と構造シール部17がガラス板12の内側面と竪枠13の見付片13bとの間に介在することで、屋外側にガラス板12を支持する手段を設けなくても十分な耐風圧性能を発揮できる構成となっている。
尚、本実施による手摺では、図4のように、竪枠13は、持出し部20を介してブラケット7に取り付けてあり、竪枠13と持出し部20とは夫々の係合部19aと被係合部19bによって係合してある。また、竪枠13の見込片13aがガラス板12の左右側端面に当接していることで、ガラス板12の内側から構造シール部17を当接するのみの一般的なSSGガラスパネルよりも耐久性の高い構造となる。
【0009】
グレージングチャンネル部14,18は、図1〜図3を参照すれば、ガラス板12の上下端部における内側面、上下端部、外側面の三方を覆う略U字状をなすものであり、ガラス板12上下端部の内外両側面を覆う両側壁14a,14a,18a,18aにおけるガラス板12上下端部の呑込み口側の端部に、笠木2もしくは下枠3の凹溝2a,3a内に係止する係止部14b,18bを有している。また、上下のグレージングチャンネル部14,18の呑込み口側端部のガラス板12と当接する箇所には、複数のヒダ14c,18cを有しており、これは、ガラス板12のグレージングチャンネル部14,18からの抜け止めの他、風圧でガラス板12が湾曲変形したり、あるいは支柱1から伝達する振動などを緩衝する役割を果たしている。
【0010】
次に、本手摺の施工手順を以下に説明する。
図5(a)にように、第1の手順として、バルコニーの土台G上面に支柱1を起立し、支柱1の外側面下部に下枠取付部8と下枠3を取り付ける。第2の手順として、図5(b)のように、ガラスパネル部4の下端側に有するグレージングチャンネル部18を下枠3の凹溝3aに挿入する。第3の手順として、図5(c)のように、ガラスパネル部4の竪枠13と係合してある持出し部20と支柱1のブラケット7及び竪枠13の上端面と支柱1の目板5先端部とを夫々締付ネジ6b,6eで固定する。第四の手順として、図5(d)のように、笠木2の凹溝2aをガラスパネル部4上端部に有するグレージングチャンネル部14に挿入し、笠木2を目板5の上に載置する。最後の手順として、図5(e)のように、笠木2と目板5を締付ネジ6aで上下に固定して本実施による手摺が完成する。
【0011】
本発明の手摺の笠木2や下枠3の形状は、支柱1に取り付けたときに、夫々の凹溝2a,3aが上下に対向する位置にくるものであれば、特に限定するものではない。また、竪枠13は、ガラス板12の左右端部内側のコーナー部Rを略L字状に囲む構成部分を有していれば、上記実施形態の持出し部20と一体の構成をなすものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施による手摺をバルコニーに取り付けたときの縦断面した側面図である。
【図2】笠木の傾斜角度を変更したときの取り付け状態を示す分解斜視図である。
【図3】図1中Aを拡大して示す笠木とガラスパネル部との取付状態の縦断面図である。
【図4】図1中Bを拡大して示す下枠とガラスパネル部との取付状態の縦断面図である。
【図5(a)(b)(c)(d)(e)】本実施による手摺の施工手順を示す簡略化した縦断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 支柱
2 笠木
3 下枠
4 ガラスパネル部
12 ガラス板
13 竪枠
14,18 グレージングチャンネル部
R コーナー部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外を隔てる位置に起立する支柱と、笠木と、下枠と、ガラスパネル部とを備えており、
支柱は、その外側面の中間位置にブラケットを有すると共に、外側面の下部に下枠取付部を有しており、笠木の下端面と、その笠木の下端面と上下に対向する下枠の上端面には、長手方向に連続する凹溝が夫々設けてあり、
ガラスパネル部は、ガラス板と、ガラス板の左右端部に取り付ける竪枠とを有しており、竪枠は、ガラス板の左右側端面から内側面に回り込んで、ガラス板の左右側端部内側のコーナー部を囲む略L字状をなすと共に、ガラス板の内側面との間に弾性を有する構造シール部を介在して取り付けてあり、
ガラス板は、その上下端部の夫々に、笠木または下枠の凹溝に嵌合挿入し且つ凹溝に対する挿入側を底部とする略U字状をなすグレージングチャンネル部を取り付けてあることを特徴とする手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)(b)(c)(d)(e)】
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【公開番号】特開2010−48023(P2010−48023A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214443(P2008−214443)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(301056041)宮吉硝子株式会社 (3)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】