説明

抑毛剤及び抑毛用皮膚化粧料

【課題】天然由来成分を含有した抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤又は抑毛用皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤又は抑毛用皮膚化粧料に、ザクロ抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上を含有せしめ、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤又はBMP−2mRNA発現抑制剤にザクロ抽出物を含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抑毛剤及び抑毛用皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、頭皮上の毛髪は豊かであることが望まれているのに対し、手、足、腋、顔等における体毛は、美観上好ましくないとする傾向が高まっている。そのため、好ましくない体毛を除去する方法が開発され、利用されている。具体的には、シェーバー、脱毛器等を用いる機械的除去方法、脱毛剤(特許文献1参照)を用いて体毛を毛根から抜去する方法や、除毛剤(特許文献2参照)を用いて、その化学的作用により体毛を除去する方法などが提案されている。
【0003】
しかしながら、これらの従来の体毛除去方法は、皮膚に対して刺激を伴うものである。また、体毛の成長や発毛を抑制するものではないため、再び伸長してきた体毛の除去処理を頻繁に行わなければならず、体毛除去処理回数を減少させることができないという問題がある。
【0004】
また、近年、生薬抽出物(特許文献3,4参照)や特定の化合物(特許文献5参照)を用いた発毛抑制剤が報告されているが、未だ充分なものではなく、さらに発毛抑制効果の高い発毛抑制剤、抑毛剤の提供が望まれている。
【0005】
毛周期は、体毛が伸長する成長期、体毛の伸長が停止して下部毛包組織が消失する退行期及び毛包が最も短くなり細胞活性が低下しているとみられる休止期からなる。成長期に体毛が伸長するのは、毛母細胞が細胞分裂するためであると考えられている。その細胞増殖は、毛乳頭細胞において産生される線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7,KGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)、肝細胞増殖因子(HGF)、骨形成因子−2(BMP−2)等の因子が相互的に又は相補的に作用することによって促進され、その結果として成長期における体毛の成長を促進することが知られている(非特許文献1参照)。
【0006】
これらの因子のうち、例えば血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、それが産生されることで毛乳頭細胞の周辺に血管を新生し、これにより血流を増大させ、体毛の成長が促進されることが知られている。したがって、FGF−7(KGF)、VEGF、IGF−1、HGF、BMP−2等の産生を抑制したり、これらの因子の作用を抑制したりすることによって、体毛の成長や発毛を抑制することができると考えられる。
【0007】
多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えば、テストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α−レダクターゼにより5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)に還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
【0008】
アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビなど)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等、さまざまな好ましくない症状を誘発する。特に、活性型5α−DHTが作用することによって、体毛の成長が促進されることが知られている。そこで、従来から、これらの各種症状を改善するために過剰のアンドロゲンの作用を抑制する方法、具体的には、テストステロンを活性型5α−DHTに還元するテストステロン5α−レダクターゼの作用を阻害することにより、活性型5α−DHTが生じるのを抑制する方法等が知られている。
【0009】
従来、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を有するものとしては、例えば、コエロスポンディアス(Choerospondias)属に属する植物からの抽出物(特許文献6参照)、マジト及び/又はカチュアからの抽出物(特許文献7参照)、五斂子からの抽出物(特許文献8参照)、紅豆杉、鳥欖、幌傘楓及び穿心蓮からなる群より選ばれた1種又は2種以上の植物からの抽出物(特許文献9参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−192056号公報
【特許文献2】特開平4−173725号公報
【特許文献3】特開平8−81336号公報
【特許文献4】特開平10−139639号公報
【特許文献5】特開平10−139640号公報
【特許文献6】特開2003−55162号公報
【特許文献7】特開2002−241297号公報
【特許文献8】特開2002−241296号公報
【特許文献9】特開2002−87976号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「アンチエイジングシリーズ1 白髪・脱毛・育毛の実際」,2005年,p.3-34,p.65-77
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、安全性及び生産性に優れ、安価でありながら高い抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用、BMP−2mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用及び抗男性ホルモン作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有する天然系の各種製剤に対する需要者の要望は極めて高い。また、これらの作用及び効果を有する抑毛用皮膚化粧料に対する需要者の要望も極めて高い。
【0013】
そこで、本発明は第一に、安全性の高い天然物の中から抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)mRNA発現抑制作用、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制作用、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制作用、肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制作用、骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用又は抗男性ホルモン作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)mRNA発現抑制剤、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制剤、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制剤、肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制剤、骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤及び抗男性ホルモン剤を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は第二に、安全性の高い天然物の中から抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)mRNA発現抑制作用、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制作用、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制作用、肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制作用、骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用及び抗男性ホルモン作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を有するものを見出し、それを配合した抑毛用皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【0015】
なお、本発明において、「抑毛」とは、体毛の成長を抑制すること、体毛の発生(発毛)を抑制することを含む概念である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤及び抗男性ホルモン剤は、ザクロからの抽出物、又はアルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)mRNA発現抑制剤、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制剤、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制剤、肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制剤、骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の抑毛用皮膚化粧料は、ザクロからの抽出物、又はアルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物を配合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、天然物であるザクロからの抽出物を有効成分として含有し、安全性に優れた抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、線維芽細胞増殖因子(FGF−7)mRNA発現抑制剤、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制剤、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制剤、肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制剤、骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤又は抑毛用皮膚化粧料を提供することができる。また、本発明によれば、アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有し、安全性に優れた抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤又は抑毛用皮膚化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔抑毛剤,毛乳頭細胞増殖抑制剤,FGF−7mRNA発現抑制剤,VEGFmRNA発現抑制剤,IGF−1mRNA発現抑制剤,HGFmRNA発現抑制剤,BMP−2mRNA発現抑制剤,テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤,抗男性ホルモン剤〕
本実施形態の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤は、ザクロからの抽出物、又は下記式(1)〜(3)で表されるトリテルペン類化合物((1):アルジュノール酸(arjunolic acid),(2):3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid),(3):2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid))を有効成分として含有する。また、本実施形態のFGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤又はBMP−2mRNA発現抑制剤、ザクロからの抽出物を有効成分として含有する。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
ここで、本実施形態において「抽出物」には、ザクロを抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0025】
上記式(1)〜(3)で表されるトリテルペン類化合物は、それらを含有する植物抽出物から単離・精製することにより製造することもできるし、合成により製造することもできる。なお、合成により製造する場合、その合成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により合成することができる。
【0026】
上記トリテルペン類化合物を含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって得ることができる。上記トリテルペン類化合物を含有する植物としては、例えば、ザクロ(学名:Punica granatum)が挙げられる。
【0027】
ザクロ(Punica granatum)は、イラン、アフガニスタン、西パキスタン等に分布しているザクロ科ザクロ属に属する落葉小低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るザクロの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、果皮部、花部、地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは果皮部である。
【0028】
ザクロからの抽出物は、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を使用して行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、ザクロの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0029】
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0030】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0031】
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
【0032】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。
【0033】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下(約95℃以下)で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去することでペースト状の濃縮物を得ることができ、この濃縮物をさらに乾燥することで乾燥物を得ることができる。
【0034】
なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでも抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
【0035】
また、ザクロからの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、抑毛用皮膚化粧料に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
【0036】
以上のようにして得られたザクロからの抽出物から上記トリテルペン類化合物を単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、ザクロからの抽出物を、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、水、アルコールの順で溶出させ、アルコールで溶出される画分として得ることができる。
【0037】
カラムクロマトグラフィーにて溶出液として用いられるアルコールは、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール又はそれらの水溶液等が挙げられる。
【0038】
さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られたアルコール画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液−液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
【0039】
以上のようにして得られるザクロからの抽出物又は上記トリテルペン類化合物(アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸、2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸)は、抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用又は抗男性ホルモン作用を有しているため、それぞれの作用を利用して抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤の有効成分として用いることができる。
【0040】
また、ザクロからの抽出物は、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用又はBMP−2mRNA発現抑制作用をさらに有しているため、それぞれの作用を利用してFGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤又はBMP−2mRNA発現抑制剤の有効成分として用いることができる。
【0041】
ここで、ザクロからの抽出物が有する抑毛作用は、例えば、ザクロからの抽出物が有する毛乳頭細胞増殖抑制作用、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用、BMP−2mRNA発現抑制作用及びテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、ザクロからの抽出物が有する抑毛作用は、上記作用に基づいて発揮される抑毛作用に限定されるものではない。
【0042】
また、ザクロからの抽出物が有する抗男性ホルモン作用は、例えば、ザクロからの抽出物が有するテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用に基づいて発揮される。ただし、ザクロからの抽出物が有する抗男性ホルモン作用は、上記作用に基づいて発揮される抗男性ホルモン作用に限定されるものではない。
【0043】
さらに、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸又は2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸が有する抑毛作用は、例えば、毛乳頭細胞増殖抑制作用及び/又はテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用に基づいて発揮される。ただし、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸又は2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸が有する抑毛作用は、上記作用に基づいて発揮される抑毛作用に限定されるものではない。
【0044】
さらにまた、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸又は2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸が有する抗男性ホルモン作用は、例えば、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用に基づいて発揮される。ただし、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸又は2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸が有する抗男性ホルモン作用は、上記作用に基づいて発揮される抗男性ホルモン作用に限定されるものではない。
【0045】
ザクロからの抽出物、又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を使用して、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。また、ザクロからの抽出物、又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物は、他の組成物(例えば、後述する抑毛用皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
【0046】
なお、本実施形態の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤は、必要に応じて、抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用、BMP−2mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用又は抗男性ホルモン作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
【0047】
本実施形態の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤の投与方法としては、一般に経皮投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防、治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。
【0048】
また、本実施形態の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
【0049】
本実施形態の抑毛剤は、ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が有する毛乳頭細胞増殖抑制作用及び/又はテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用や、ザクロからの抽出物が有するFGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用及びBMP−2mRNA発現抑制作用からなる群より選ばれる1種又は2種以上の作用を通じて、体毛の成長や体毛の発生(発毛)を抑制することができる。ただし、本実施形態の抑毛剤は、これらの用途以外にも上記作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0050】
本実施形態の毛乳頭細胞増殖抑制剤は、ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が有する毛乳頭細胞増殖抑制作用を通じて、毛乳頭細胞の増殖を抑制し、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態の毛乳頭細胞増殖抑制剤は、これらの用途以外にも毛乳頭細胞増殖抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0051】
本実施形態のFGF−7mRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物が有するFGF−7mRNA発現抑制作用を通じて、毛乳頭細胞におけるFGF−7の産生を抑制することができ、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のFGF−7mRNA発現抑制剤は、これらの用途以外にもFGF−7mRNA発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0052】
本実施形態のVEGFmRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物が有するVEGFmRNA発現抑制作用を通じて、毛乳頭細胞におけるVEGFの産生を抑制し、毛乳頭細胞の周辺での毛細血管の新生を抑制することができ、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のVEGFmRNA発現抑制剤は、これらの用途以外にもVEGFmRNA発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0053】
本実施形態のIGF−1mRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物が有するIGF−1mRNA発現抑制作用を通じて、毛乳頭細胞におけるIGF−1の産生を抑制することができ、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のIGF−1mRNA発現抑制剤は、これらの用途以外にもIGF−1mRNA発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0054】
本実施形態のHGFmRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物が有するHGFmRNA発現抑制作用を通じて、毛乳頭細胞におけるHGFの産生を抑制することができ、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のHGFmRNA発現抑制剤は、これらの用途以外にもHGFmRNA発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0055】
本実施形態のBMP−2mRNA発現抑制剤は、ザクロからの抽出物が有するBMP−2mRNA発現抑制作用を通じて、毛乳頭細胞におけるBMP−2の産生を抑制することができ、これにより体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のBMP−2mRNA発現抑制剤は、これらの用途以外にもBMP−2mRNA発現抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0056】
本実施形態のテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤は、ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が有するテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を通じて、テストステロン5α−レダクターゼの活性を阻害することができ、これにより、アンドロゲンの作用を抑制することができ、男性ホルモンが関与している各種疾患、例えば、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビ等)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等を予防、治療又は改善することができるとともに、テストステロン5α−レダクターゼの活性を阻害することで、体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態のテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤は、これらの用途以外にもテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0057】
本実施形態の抗男性ホルモン剤は、ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が有するテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を通じて、男性型脱毛症、多毛症、脂漏症、座瘡(ニキビ等)、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等を予防、治療又は改善することができるとともに、体毛の成長や発毛を抑制することができる。ただし、本実施形態の抗男性ホルモン剤は、これらの用途以外にもテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0058】
〔抑毛用皮膚化粧料〕
ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物は、抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用又は抗男性ホルモン作用を有しており、また、ザクロからの抽出物は、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用又はBMP−2mRNA発現抑制作用をさらに有しており、皮膚に適用した場合の使用感と安全性とに優れているため、抑毛用皮膚化粧料に配合するのに好適である。
【0059】
この場合、抑毛用皮膚化粧料には、ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が配合されていてもよいし、当該抽出物から製剤化した抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤若しくは抗男性ホルモン剤、又は当該トリテルペン類化合物から製剤化した抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤若しくは抗男性ホルモン剤が配合されていてもよい。
【0060】
ザクロからの抽出物、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物、抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤又は抗男性ホルモン剤を抑毛用皮膚化粧料に配合することによって、抑毛用皮膚化粧料に抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用、BMP−2mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用又は抗男性ホルモン作用を付与することができる。
【0061】
ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物を配合し得る抑毛用皮膚化粧料の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、軟膏、クリーム、化粧水、乳液、ローション、パック、ジェル等が挙げられる。
【0062】
ザクロからの抽出物又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物を抑毛用皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、抑毛用皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001〜1質量%である。
【0063】
本実施形態の抑毛用皮膚化粧料は、ザクロからの抽出物が有する抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、FGF−7mRNA発現抑制作用、VEGFmRNA発現抑制作用、IGF−1mRNA発現抑制作用、HGFmRNA発現抑制作用、BMP−2mRNA発現抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用若しくは抗男性ホルモン作用、又はアルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のトリテルペン類化合物が有する抑毛作用、毛乳頭細胞増殖抑制作用、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用若しくは抗男性ホルモン作用を妨げない限り、通常の抑毛用皮膚化粧料の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された上記成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
【0064】
なお、本実施形態の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤又は抑毛用皮膚化粧料は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物、好ましくは哺乳類動物等に対して適用することもできる。
【実施例】
【0065】
以下、製造例、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0066】
〔製造例1〕ザクロ果皮抽出物の製造
ザクロの果皮の粗粉砕物100gを抽出溶媒1000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃にて加熱抽出した後、熱時濾過した。得られた濾液を40℃で減圧下にて濃縮し、さらに減圧乾燥機で乾燥させ、ザクロ果皮抽出物を得た(試料1〜3)。抽出溶媒として水、50容量%エタノール(水とエタノールとの容量比=1:1)及び80容量%エタノール(水とエタノールとの容量比=1:4)を用いたときの各抽出率を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
〔製造例2〕トリテルペン類化合物の製造
製造例1で得られたザクロ果皮80容量%エタノール抽出物330gに水1Lを加えて懸濁させ、当該懸濁液を多孔性樹脂(DIAION−HP−20,和光純薬工業社製,1kg)に付した後に溶媒を留去させた。次いで、当該多孔性樹脂をガラス製のカラムに充填し、水8L、60容量%メタノール8L、メタノール8Lの順で溶出させた。その後、メタノール8Lで溶出させた画分に含まれるメタノールを留去して、メタノール溶出画分34gを得た。
【0069】
得られたメタノール溶出画分34gを、クロロホルム:メタノール:水=10:3:1(容量比)の混合溶媒に溶解し、シリカゲル(商品名:シリカゲル60,メルク社製)を充填したガラス製のカラム上部から注入して、シリカゲルに吸着させた。次いで、移動相としてクロロホルム:メタノール:水=10:3:1(容量比)を流し、その溶出液を集め、脱溶媒して、トリテルペン類濃縮物A(9g)を得た。
【0070】
得られたトリテルペン類濃縮物A(9g)を、アセトニトリル:水=1:1(容量比)の混合溶媒に溶解し、ODS(商品名:クロマトレックスODS DM1020T,富士シリシア化学社製)を充填したガラス製のカラム上部から注入して、ODSに吸着させた。次いで、移動相としてアセトニトリル:水=1:1(容量比)を流し、その溶出液を集め、脱溶媒して、トリテルペン類濃縮物B(1.2g)を得た。
【0071】
このようにして得られたトリテルペン類濃縮物Bを下記の条件で液体クロマトグラフィーを用いて分画し、精製物1(108mg)、精製物2(332mg)及び精製物3(140mg)を単離した。
【0072】
<液体クロマトグラフィー条件>
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業社製)を2本連結
カラム径:20mm
カラム長:1000mm(500mm×2本)
移動相:メタノール
移動相流量:5mL/min
検出:RI
【0073】
上述のようにして得られた各精製物(精製物1〜3)をESI−マススペクトル、13C−NMR分析を行なった。結果を下記に示す。
【0074】
<精製物1のESI−マススペクトル>
m/z 489(M+H)
【0075】
<精製物1の13C−NMRケミカルシフトδ(帰属炭素):>
180.1(28-C)、144.9(13-C)、122.5(12-C)、78.5(3-C)、68.9(2-C)、66.8(23-C)、48.2(5-C)、48.2(17-C)、47.7(9-C)、46.7(1-C)、46.2(19-C)、43.6(4-C)、42.3(14-C)、42.0(18-C)、39.9(8-C)、38.5(10-C)、34.3(21-C)、33.2(7-C)、33.2(29-C)、33.0(22-C)、30.9(20-C)、28.3(15-C)、26.2(27-C)、24.0(16-C)、23.8(30-C)、23.7(11-C)、18.6(6-C)、17.6(25-C)、17.4(26-C)、14.3(24-C)
【0076】
<精製物2のESI−マススペクトル>
m/z 487(M+H)
【0077】
<精製物2の13C−NMRケミカルシフトδ(帰属炭素):>
213.1(1-C)、180.1(28-C)、144.1(13-C)、123.5(12-C)、73.0(3-C)、66.3(23-C)、52.4(10-C)、47.6(5-C)、46.9(17-C)、46.2(19-C)、45.1(2-C)、43.8(4-C)、42.5(14-C)、42.3(18-C)、39.8(8-C)、39.7(9-C)、34.3(21-C)、33.3(29-C)、33.2(7-C)、33.0(22-C)、30.9(20-C)、28.4(15-C)、26.0(27-C)、25.8(11-C)、23.8(16-C)、23.8(30-C)、18.2(26-C)、18.1(6-C)、15.7(25-C)、13.7(24-C)
【0078】
<精製物3のESI−マススペクトル>
m/z 489(M+H)
【0079】
<精製物3の13C−NMRケミカルシフトδ(帰属炭素):>
178.8(28-C)、151.4(20-C)、109.9(29-C)、84.2(3-C)、69.1(2-C)、67.9(6-C)、56.7(5-C)、56.7(14-C)、51.9(9-C)、50.4(1-C)、50.0(18-C)、47.8(19-C)、43.2(17-C)、42.7(7-C)、40.8(4-C)、40.7(8-C)、38.7(10-C)、37.9(13-C)、37.6(22-C)、33.0(16-C)、31.3(21-C)、30.4(15-C)、28.9(23-C)、26.3(12-C)、21.6(11-C)、19.6(30-C)、19.4(25-C)、19.1(24-C)、17.1(26-C)、15.2(27-C)
【0080】
以上の結果から、得られた精製物1、精製物2及び精製物3が、それぞれ下記式(1)で表されるアルジュノール酸(試料4)、下記式(2)で表される3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(試料5)及び下記式(3)で表される2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(試料6)であることが確認された。
【0081】
【化4】

【0082】
【化5】

【0083】
【化6】

【0084】
〔試験例1〕毛乳頭細胞増殖抑制作用試験
上記ザクロ果皮抽出物(試料1〜3)、アルジュノール酸(試料4)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(試料5)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(試料6)について、以下のようにして毛乳頭細胞増殖抑制作用を試験した。
【0085】
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞(TOYOBO社製,CA60205)を、毛乳頭細胞増殖培地(TOYOBO社製,TPGM-250)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、10%FBS(Fetal Bovine Serum)含有DMEM(Dulbecco's modified minimal essential medium)培地を用いて1.0×10cells/mLの細胞密度になるように希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、3日間培養した。培養後、培地を抜き、試料を毛乳頭細胞増殖培地に溶解した試料溶液(試料濃度は下記表2を参照)を各ウェルに200μLずつ添加し、さらに4日間培養した。なお、非増殖対照として、毛乳頭細胞増殖培地から増殖添加剤を抜いた毛乳頭細胞基礎培地を用いた。
【0086】
毛乳頭細胞増殖抑制作用は、MTTアッセイを用いて測定した。培養終了後、培地を除き、無血清DMEMに溶解したMTT((3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyltetrazolium Bromide,同仁化学研究所社製,終濃度0.4mg/mL)を、各ウェルに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。なお、コントロールとして、試料溶液の代わりに無血清DMEMを添加した場合についても同様の測定を行った。得られた結果から、下記式に基づいて、毛乳頭細胞増殖抑制率(%)を算出した。
【0087】
毛乳頭細胞増殖抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
式中、Aは「基礎培地のみで培養した細胞での吸光度」を表し、Bは「増殖培地を用い、試料無添加時の細胞での吸光度」を表し、Cは「増殖培地を用い、試料添加時の細胞での吸光度」を表す。
上記試験の結果を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2に示すように、ザクロ果皮抽出物、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸は、優れた毛乳頭細胞増殖抑制作用を有することが確認された。また、ザクロ果皮抽出物の有する毛乳頭細胞増殖抑制作用の程度は、抽出物の濃度によって調節できることが確認された。なお、本試験例において、ザクロ果皮抽出物、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸は、ヒト頭髪毛乳頭細胞の増殖を効果的に抑制し得ることが確認されたが、頭髪以外の毛乳頭細胞の増殖も同様に抑制し得るものと推認される。
【0090】
〔試験例2〕線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、インシュリン様増殖因子−1(IGF−1)、肝細胞増殖因子(HGF)及び骨形成蛋白質(BMP−2)mRNA発現抑制作用試験
上記ザクロ果皮抽出物(試料1〜3)について、以下のようにしてFGF−7、VEGF、IGF−1、HGF及びBMP−2mRNA発現抑制作用を試験した。
【0091】
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞(TOYOBO社製,CA60205)を、毛乳頭細胞増殖培地(TOYOBO社製,TPGM-250)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有DMEM培地で希釈した後、直径60mmシャーレに5mLずつ播種し、一晩培養した。
【0092】
培養後、試料(試料濃度は下記表3を参照)を3.0mL添加した無血清DMEM培地に交換して6時間培養した後、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat.No.311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200μg/mLになるように総RNAを調整した。
【0093】
この総RNAを鋳型とし、FGF−7、VEGF、IGF−1、HGF、BMP−2及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社製)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScriptTM RT-PCR Kit(Perfect Real Time,code No. RR063A)によるリアルタイム2StepRT−PCR反応により行った。FGF−7、VEGF、IGF−1、HGF及びBMP−2のmRNAの発現量は、同一サンプルにおけるGAPDHのmRNAの発現量の値で補正を行った後、さらに「試料無添加時」の補正値を100としたときの「試料添加時」の補正値を算出した後に、下記式に基づいてmRNAの発現促進率(%)を算出した。
【0094】
mRNA発現促進率(%)=B/A×100
式中、Aは「試料無添加時のmRNA発現量(対照)」を表し、Bは「試料添加時のmRNA発現量」を表す。
結果を表3に示す。
【0095】
【表3】

【0096】
表3に示すように、ザクロ果皮抽出物は、FGF−7、VEGF、IGF−1、HGF及びBMP−2のmRNAの発現を効果的に抑制し得ることが確認された。なお、本試験例において、ザクロ果皮抽出物は、ヒト頭髪毛乳頭細胞におけるFGF−7、VEGF、IGF−1、HGF及びBMP−2のmRNAの発現を効果的に抑制し得ることが確認されたが、頭髪以外の毛乳頭細胞におけるFGF−7、VEGF、IGF−1、HGF及びBMP−2のmRNAの発現も同様に抑制し得るものと推認される。
【0097】
〔試験例3〕テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用試験
上記ザクロ果皮抽出物(試料1〜3)、アルジュノール酸(試料4)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(試料5)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(試料6)について、以下のようにしてテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を試験した。
【0098】
プロプレングリコールで調製した4.2mg/mLのテストステロン(東京化成社製)20μLと、1mg/mLのNADPHを含有する5mmol/Lのトリス塩酸緩衝液(pH7.1)825μLとを混合した。
【0099】
さらに、試料のエタノール水溶液(試料1〜3の試料濃度は下記表4を参照)80μL及びS−9(ラット肝臓ホモジネート,オリエンタル酵母工業社製)75μLを加えて混合し、37℃にて30分間インキュベートした。その後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させ、激しく振とうさせた。これを遠心分離し(1600×g,10分間)、塩化メチレン層を分取して、分取した塩化メチレン層について、下記の条件にてガスクロマトグラフィー分析をし、3α−アンドロスタンジオール、5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT)及びテストステロンの濃度(μg/mL)を定量した。コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶媒を同量(80μL)使用して同様に処理し、ガスクロマトグラフィー分析をした。
【0100】
<ガスクロマトグラフィー条件>
使用装置:Shimadzu GC-7A(島津製作所社製)
カラム:DB−1701(内径:0.53mm,長さ:30m,膜厚:1.0μm,J&W Scientific社製)
カラム温度:240℃
注入口温度:300℃
検出器:FID
試料注入量:1μL
スプリット比:1:2
キャリアガス:窒素ガス
キャリアガス流速:3mL/min
【0101】
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの濃度の定量は、下記の方法により行った。
3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンの標準品を塩化メチレンに溶解し、当該溶液についてガスクロマトグラフィー分析をし、これらの化合物の濃度(μg/mL)及びピーク面積から、ピーク面積と化合物の濃度との対応関係を予め求めておいた。そして、テストステロンとS−9との反応後の3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT及びテストステロンそれぞれのピーク面積あたりの濃度(μg/mL)を、予め求めておいた対応関係を利用して、下記式(1)に基づき、算出した。
【0102】
A=B×C/D・・・(1)
式(1)中、Aは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンの濃度(μg/mL)」を表し、Bは「3α−アンドロスタンジオール、5α−DHT又はテストステロンのピーク面積」を表し、Cは「標準品の濃度(μg/mL)」を表し、Dは「標準品のピーク面積」を表す。
【0103】
式(1)に基づいて算出された化合物濃度を使用して、下記式(2)に基づき、変換率(テストステロン5α−レダクターゼによりテストステロンが還元されて生成した3α−アンドロスタンジオール及び5α−DHTの濃度と、テストステロンの初期濃度との濃度比)を算出した。
変換率(%)=(E+F)/(E+F+G)・・・(2)
式(2)中、Eは「3α−アンドロスタンジオールの濃度(μg/mL)」を表し、Fは「5α−DHTの濃度(μg/mL)」を表し、Gは「テストステロンの濃度(μg/mL)」を表す。
【0104】
式(2)に基づいて算出された変換率を用いて、下記式(3)に基づき、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害率(%)を算出した。
阻害率(%)=(1−H/I)×100・・・(3)
式(3)中、Hは「試料添加時の変換率」を表し、Iは「コントロールの変換率」を表す。
上記試験の結果を表4に示す。
【0105】
また、試料4〜6に関し、試料溶液の試料濃度を段階的に変化させてテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害率(%)を測定し、テストステロン5α−レダクターゼの活性を50%阻害する試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。
結果を表5に示す。
【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
表4及び表5に示すように、ザクロ果皮抽出物、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸は、優れたテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用を有することが確認された。また、ザクロ果皮抽出物、アルジュノール酸、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸の有するテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害作用の程度は、抽出物又は各トリテルペン類化合物の濃度によって調節できることが確認された。
【0109】
〔配合例1〕
下記の組成の乳液を常法により製造した。
ザクロ果皮水抽出物(製造例1) 0.02g
ホホバオイル 4g
オリーブオイル 2g
スクワラン 2g
セタノール 2g
モノステアリン酸グリセリル 2g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2g
1,3−ブチレングリコール 3g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0110】
〔配合例2〕
下記の組成の化粧水を常法により製造した。
ザクロ果皮50容量%エタノール抽出物(製造例1) 0.05g
グリセリン 3g
1,3−ブチレングリコール 3g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0111】
〔配合例3〕
下記の組成のクリームを常法により製造した。
ザクロ果皮80容量%エタノール抽出物(製造例1) 0.01g
流動パラフィン 5g
サラシミツロウ 4g
セタノール 3g
スクワラン 10g
ラノリン 2g
ステアリン酸 1g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3g
1,3−ブチレングリコール 6g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0112】
〔配合例4〕
下記の組成のパックを常法により製造した。
ザクロ果皮50容量%エタノール抽出物(製造例1) 0.02g
ポリビニルアルコール 15g
ポリエチレングリコール 3g
プロピレングリコール 7g
エタノール 10g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0113】
〔配合例5〕
下記の組成のローションを常法により製造した。
アルジュノール酸(製造例2) 0.2g
グリセリン 3.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 1.0g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0114】
〔配合例6〕
下記組成の化粧水を常法により製造した。
3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−
オレアン−12−エン−28−酸(製造例2) 0.1g
グリセリン 3.0g
1,3−ブチレングリコール 3.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草エキス 0.1g
海藻エキス 0.1g
キシロビオースミクスチャー 0.5g
クジンエキス 0.1g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0115】
〔配合例7〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(製造例2) 1.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
セタノール 3.0g
スクワラン 10.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の抑毛剤、毛乳頭細胞増殖抑制剤、FGF−7mRNA発現抑制剤、VEGFmRNA発現抑制剤、IGF−1mRNA発現抑制剤、HGFmRNA発現抑制剤、BMP−2mRNA発現抑制剤、テストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤、抗男性ホルモン剤及び抑毛用皮膚化粧料は、体毛の成長又は発毛の抑制用途において大きく貢献することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抑毛剤。
【請求項2】
アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有することを特徴とする抑毛剤。
【請求項3】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする毛乳頭細胞増殖抑制剤。
【請求項4】
アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有することを特徴とする毛乳頭細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする線維芽細胞増殖因子−7(FGF−7)mRNA発現抑制剤。
【請求項6】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血管内皮細胞増殖因子(VEGF)mRNA発現抑制剤。
【請求項7】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインシュリン様成長因子−1(IGF−1)mRNA発現抑制剤。
【請求項8】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肝細胞増殖因子(HGF)mRNA発現抑制剤。
【請求項9】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成因子−2(BMP−2)mRNA発現抑制剤。
【請求項10】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤。
【請求項11】
アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有することを特徴とするテストステロン5α−レダクターゼ活性阻害剤。
【請求項12】
ザクロからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗男性ホルモン剤。
【請求項13】
アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗男性ホルモン剤。
【請求項14】
ザクロからの抽出物を配合したことを特徴とする抑毛用皮膚化粧料。
【請求項15】
アルジュノール酸(arjunolic acid)、3β,23−ジヒドロキシ−1−オキソ−オレアン−12−エン−28−酸(3β,23-dihydroxy-1-oxo-olean-12-en-28-oic acid)及び2α,6β−ジヒドロキシベツリン酸(2α,6β-dihydroxybetulinic acid)からなる群より選ばれる1種又は2種以上のトリテルペン類化合物を配合したことを特徴とする抑毛用皮膚化粧料。

【公開番号】特開2010−13442(P2010−13442A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133334(P2009−133334)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】