投影装置
【課題】3D画質の改善を図る。
【解決手段】投影装置は、色合成部、偏光変換部および投射レンズを備える。色合成部は、3原色の各色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部は、色合成部の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する。投射レンズは、偏光変換部からの出射光を投射する。偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかが用いられる。
【解決手段】投影装置は、色合成部、偏光変換部および投射レンズを備える。色合成部は、3原色の各色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部は、色合成部の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する。投射レンズは、偏光変換部からの出射光を投射する。偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかが用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、映像表示を行う投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクティブシャッター方式の3D(dimensions)機能を有するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)プロジェクタが開発されている。
【0003】
アクティブシャッター方式とは、遠近感を伴う映像表示方式の1つであり、左眼用と右眼用の映像を交互に表示し、映像の切り替えと同期して左右交互に3Dメガネの視界を相互に遮ることで、視差を生み出して、立体視を可能とするものである。
【0004】
一方、2D画を表示するプロジェクタよりも、3D画を表示する上記のようなプロジェクタの方が、品質を確保するのが困難になってきている。これは、スクリーンで反射した、ある偏光状態の光の中で、3Dメガネによって特定方向の偏光成分のみが透過し、この偏光状態が3D画質に大きく影響(色ムラ、輝度落ち)を与えてしまうためである。
【0005】
2D画表示は、3Dメガネを使用しないため、どの偏光状態も等しく観察者の瞳に光が入り、スクリーン反射後の偏光状態が画質に影響を与えない。これに対し、アクティブシャッター方式3D機能を有するLCDプロジェクタ等では、3Dメガネに届くまでの偏光状態を考慮することが重要となる。
【0006】
従来技術として、水平/垂直方向のRGBの各色の光量比を等しくして、各色の偏光状態を変換する投写型表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−304607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の3D画を表示するプロジェクタでは、プロジェクタの投射光がスクリーンで反射して3Dメガネに到達するまでに、3D画質を向上するための適切な偏光変換処理が施されてはいなかった。
【0009】
このため、3Dメガネを傾けない状態で、3D画の色ムラが見えてしまうといった問題があった。また、3Dメガネを傾けた状態で、3D画の色ムラおよび輝度落ちが見えてしまうといった問題があった。
【0010】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを消滅させ、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを消滅させて、3D画質を大幅に向上させた投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、投影装置が提供される。投影装置は、色合成部、偏光変換部および投射レンズを備える。色合成部は、3原色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部は、色合成部の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する。投射レンズは、偏光変換部からの出射光を投射する。
【発明の効果】
【0012】
3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】投影装置の構成例を示す図である。
【図2】偏光状態の変化要素を示す図である。
【図3】3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。
【図4】3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。
【図5】透過型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。
【図6】反射型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。
【図7】波長選択性1/2波長板を示す図である。
【図8】波長選択性1/2波長板の特性を説明するための図である。
【図9】一軸性有機材料および一軸性結晶を示す図である。
【図10】一軸性有機材料および一軸性結晶の特性を説明するための図である。
【図11】一軸性有機材料および一軸性結晶の位相差による偏光状態を示す図である。
【図12】投影装置の構成例を示す図である。
【図13】投影装置の構成例を示す図である。
【図14】投影装置の構成例を示す図である。
【図15】投影装置の構成例を示す図である。
【図16】投影装置の構成例を示す図である。
【図17】設置形態例を示す図である。
【図18】設置形態例を示す図である。
【図19】設置形態例を示す図である。
【図20】投影装置の投影イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。図1は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1は、色合成部10、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0015】
色合成部10は、3原色のR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部20は、色合成部10の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を全方位に対して均一な無偏光状態に変換する。投射レンズ30は、偏光変換部20からの出射光をスクリーンに投射する。
【0016】
ここで、偏光変換部20は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸(光軸)を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである。
【0017】
このような偏光変換部20を、色合成部10からの合成光の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に配置することで、色合成部10により出射された合成光の各色光内の波長の偏光を、波長毎に互いに異なる偏光に変換し、全方位に対して偏りのない均一な無偏光状態にすることができる。
【0018】
このように、投影装置1は、色合成部10、偏光変換部20および投射レンズ30を備え、偏光変換部20は、色合成部10により出射された各色光の偏光状態を全方位均一な無偏光状態に変換し、投射レンズ30は無偏光状態の光を投射する構成とした。
【0019】
この構成により、投影装置1からスクリーン7へ向かって投影される投射光は、全方位に対して均一な無偏光状態であり、スクリーン7で反射して観測者の3Dメガネ2に入射する光も全方位に対して均一な無偏光状態となる。
【0020】
これにより、3Dメガネ2を傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができるので、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0021】
次に本技術が解決すべき問題点について詳しく説明する。図2は偏光状態の変化要素を示す図である。投影装置(プロジェクタ)50の投射レンズ51からの投射光は、スクリーン7で反射して3Dメガネ2に到達する。3Dメガネ2に入る偏光状態の変化要素は、主に以下の3つによって影響を受ける。
【0022】
(1)プロジェクタ50で発生する偏光ムラ
プロジェクタ50で発生する偏光ムラは、プロジェクタ50内の色合成プリズム52から投射レンズ51までの間で発生する。特に投射レンズ51によって発生し、投射レンズ51がガラスレンズやプラスチックレンズのいずれであっても偏光ムラが発生する。
【0023】
投射レンズ51がガラスレンズの場合では、ガラスレンズの材料、形状、AR(Anti Reflection)コートなどが原因となって偏光ムラが生じる。また、プラスチックレンズの場合では、プラスチックレンズの材料、形状、ARコート、成型条件などによって偏光ムラが発生する。特にプラスチックレンズでは、多大な偏光ムラが発生する。
【0024】
(2)スクリーン7の反射偏光特性
スクリーン7が特にシルバースクリーンの場合では、入射偏光状態を維持したまま投射光が反射するので、プロジェクタ50で発生する上記の(1)の偏光ムラがそのまま3D画質に影響を与える。また、偏光特性の面内ムラのあるスクリーンでは、以下の(3)の影響を直接受ける。
【0025】
(3)観察者の3Dメガネ2の傾け角
通常の使用状態を想定した際の3Dメガネ2の偏光透過軸に対する傾け角では、観察者が首を傾けると±25°程度となる。観察者が首を傾けて、3Dメガネ2の傾け角が±25°程度になると、3Dメガネ2の偏光透過方向も変化する。その結果、3D画質も大きく変化する。
【0026】
上記の(1)〜(3)による偏光状態変化要素により、3Dメガネ2に入る偏光状態が変化し、従来では、主に以下の2つの問題点が発生していた。
(a)3Dメガネ2を傾けない状態で、3D画の色ムラが見えてしまう。
(b)3Dメガネ2を傾けた状態で、3D画の色ムラおよび輝度落ちが見えてしまう。
【0027】
図3、図4は3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。スクリーン7に対して、例えば、背景が白色の場合に、図3に示すような色ムラ(楕円で示している)が観察されることがある。また、スクリーン7に例えば、偏光特性の面内ムラがある場合は、観察者が首を傾けたときには、図4に示すような線状の色ムラが見えることがある。
【0028】
従来の問題点(a)、(b)を解決する場合は、上述の(1)の偏光状態変化要素にて解決する必要がある。なぜなら、(2)の偏光状態変化要素では、観察者(カスタマー)に対し、設置するスクリーン7を指定できないためである。さらに、(3)の偏光状態変化要素では、3Dメガネ2の標準化の流れの中で、専用3Dメガネにすることは現実的ではないためである。
【0029】
ここで、(1)の偏光状態変化要素にて解決する際、問題点(a)については、以下の方法(#1)〜(#3)で解決することが可能であった。
【0030】
(#1)すべてガラスレンズを使用した投射レンズ51を使用する(プラスチックレンズを使用しない)。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。
【0031】
(#2)色合成プリズム52がSPS方式の場合、投射レンズ51と、色合成プリズム52との間に、波長選択性1/2波長板(Color Select)を使用する。そして、RGBの順番で、S偏光/P偏光/S偏光を、P偏光/P偏光/P偏光またはS偏光/S偏光/S偏光に揃える。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。
【0032】
なお、一般的にプロジェクタで使用する色合成プリズムでは、緑色光は、S偏光のときよりもP偏光のときの方が、透過率が高いので、SSS方式よりもSPS方式の方が主流である。ただし、色合成プリズムの出射後のRGBの偏光を揃えるためにSSS方式も使用されている。
【0033】
(#3)色合成プリズム52をSSS方式にする。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。また、G(Green)の透過率が大幅に落ちるため、2D輝度が大幅に落ちてしまう。
【0034】
このように、問題点(a)に対しては、上記の(#1)〜(#3)の解決方法がある。しかし、方法(#1)〜(#3)では、問題点(b)については解決することができない。なぜなら、(#1)〜(#3)の方法では、いずれも単にRGBを同じ方向の直線偏光に揃えているだけで、プロジェクタ50の投射光を無偏光に変換できていなかったためである(この無偏光化が解決手段となることも発見されていなかった)。
【0035】
一方、問題点(a)、(b)を解決する方法として、投射レンズ51の投射側(出射段)に、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料または一軸性結晶を配置して、偏光状態を無偏光化する方法が考えられる。このような構成にすることにより、上記の問題点(a)、(b)の両方に対して、良好な結果を得ることが可能である。
【0036】
しかし、このような構成であっても、3D画の色ムラや輝度落ちを、常に完全には消滅することはできない。これは、偏光乱れが大きすぎる場合、例えば、特に、投射レンズにプラスチックレンズを使うような場合では、無偏光化量が足りないといったことに起因するからであり、この場合、微量の色ムラ/輝度落ちが発生していた。
【0037】
投射レンズ51の投射側に、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料または一軸性結晶を配置すれば、投射レンズ51からの投射光を無偏光化に近づけることはできる。しかし、投射レンズ51に偏光乱れの大きなプラスチックレンズを使用したような場合では、投射光を無偏光化に近づけることはできても、全方位に対して均一に無偏光化することが難しく、偏りのある無偏光状態になってしまう。このような理由により、上記のような構成によっても、色ムラや輝度落ちを完全に消滅することはできなかった。
【0038】
なお、一軸性有機材料および一軸性結晶の厚みを増していく、という解決方法も考えられるが、フォーカス性能が悪化するという問題が発生してしまう。
【0039】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、3Dメガネ2を傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅させ、かつ3Dメガネ2を傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅させて、3D画質を大幅に向上させた投影装置1を提供するものである。
【0040】
次に投影装置1の適用例として、透過型LCD方式プロジェクタおよび反射型LCD方式プロジェクタについて説明する。
【0041】
図5は透過型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。透過型LCD方式プロジェクタ100は、光源部、照明光学系、分離光学系、光変調素子部、合成光学系および投射光学系を有している。
【0042】
光源部は、光源101およびリフレクタ102を有する。光源101は、例えば、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどのHID(High Intensity Discharge)ランプであり、白色光を出射する。光源101は、リフレクタ102の焦点位置に配置され、光源101から出射した白色光をリフレクタ102で反射して略平行光を生成する。なお、リフレクタ102は、パラボラ形状だけでなく、楕円形状等もある。
【0043】
照明光学系は、UV(Ultra Violet)カットフィルタ111、フライアイレンズ112−1、112−2、偏光分離素子113、波長板ユニット(偏光変調素子)114およびコンデンサレンズ115を有している。
【0044】
UVカットフィルタ111は、光源101の前方に設けられ、光源101から出射される紫外線の通過を阻止する。フライアイレンズ112−1、112−2は、リフレクタ102で反射した略平行光を入射し、偏光分離素子113に出射する。フライアイレンズ112−1、112−2は、光変調素子部に入射する光の照度を均一化する。
【0045】
偏光分離素子113は、入射光束を第1の偏光成分と第2の偏光成分に分離する。例えば、偏光分離素子113は、S偏光とP偏光を含む光を入射して、第1の領域にP偏光を出射し、第2の領域にS偏光を出射する。
【0046】
波長板ユニット114は、偏光分離素子113からの出射光の偏光軸を所定方向に揃える。例えば、波長板ユニット114は、第1の領域に入射したP偏光をS偏光に変調し、偏光軸を第2の領域に入射したS偏光と揃える。
【0047】
コンデンサレンズ115は、波長板ユニット114の出射光を入射して集光する。コンデンサレンズ115を出射した白色光は、分離光学系に入射する。
【0048】
分離光学系は、コンデンサレンズ115からの入射光をRGB(赤色、緑色、青色)に分離する。分離光学系は、ダイクロイックミラー121−1、121−2、反射ミラー122−1〜122−3、リレーレンズ123−1、123−2、コンデンサレンズ124R、124G、124Bを有している。
【0049】
ダイクロイックミラー121−1、121−2は、RGBの各光をその波長帯域により選択的に透過または反射する。ダイクロイックミラー121−1は、緑色波長帯域の光Gおよび赤色波長帯域の光Rを透過し、青色波長帯域の光Bを反射する。
【0050】
ダイクロイックミラー121−2は、赤色波長帯域の光Rを透過し、緑色波長帯域の光Gを反射する。これにより、白色光は、RGBの3色に色分離される。なお、ダイクロイックミラーは、赤色分離または青色分離のどちらの分離方式においても使用される。
【0051】
反射ミラー122−1は、全反射ミラーで構成され、ダイクロイックミラー121−1で分離された青色波長帯域の光Bを反射して光変調素子125Bに導く。反射ミラー122−2、122−3は、全反射ミラーで構成され、ダイクロイックミラー121−2で分離された赤色波長帯域の光Rを反射して光変調素子125Rに導く。
【0052】
リレーレンズ123−1、123−2は、赤色波長帯域の光Rについての光路長の補正をおこなう。コンデンサレンズ124R、124G、124Bは、緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bをそれぞれ収束する。
【0053】
分離光学系から出射される緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bは、それぞれ光変調素子125R、125G、125Bに入射する。
【0054】
光変調素子125R、125G、125Bの前方(光源側)には、入射側偏光板128R、128G、128Bがあり、分離光学系から出射される緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bの偏光成分を揃える。
【0055】
光変調素子125R、125G、125Bは、赤色波長帯域の光R、緑色波長帯域の光G、および青色波長帯域の光Bをそれぞれ空間変調する。出射側偏光板129R、129G、129Bは、空間変調された光のうち、所定の偏光成分を透過する。
【0056】
合成光学系は、色合成プリズム126を有する。色合成プリズム126は、緑色波長帯域の光Gを透過し、赤色波長帯域の光Rおよび青色波長帯域の光Bを投射光学系方向に反射するように構成されている。
【0057】
色合成プリズム126は、例えば、複数のガラスプリズム(4つの略同形状の直角二等辺プリズム)を接合することによって構成されており、各ガラスプリズムの接合面には、所定の光学特性を有する2つの干渉フィルタが形成されている。
【0058】
第1干渉フィルタは、青色波長帯域の光Bを反射し、赤色波長帯域の光Rおよび緑色波長帯域の光Gを透過する。第2干渉フィルタは、赤色波長帯域の光Rを反射し、緑色波長帯域の光Gおよび青色波長帯域の光Bを透過する。
【0059】
したがって、光変調素子125R、125G、125Bによって変調されたRGBの各光は、色合成プリズム126で合成されて、投射光学系に入射する。
【0060】
投射光学系である投影レンズ127は、色合成プリズム126からの出射光を所定の倍率に拡大してスクリーン7に映像を投影する。
【0061】
図6は反射型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。反射型LCD方式プロジェクタ200において、光源201は、リフレクタ202の焦点位置に配置され、光源201から出射した白色光をリフレクタ202で反射して略平行光を生成する。
【0062】
UV/IR(Ultra Violet/Infrared Rays)カットフィルタ211は、略平行光を受光して紫外線および赤外線の通過を阻止する。なお、リフレクタ202は、パラボラ形状だけでなく、楕円形状等もある。
【0063】
フライアイレンズ212−1、212−2は、光の照度を均一化し、PSコンバータ(偏光変換素子)213は、P偏光/S偏光のランダム偏光の偏光方向を揃える。メインコンデンサレンズ221は、PSコンバータ213で偏光方向が揃って均一化された白色照明光を集光する。
【0064】
ダイクロイックミラー222は、赤色の波長領域の光LRと、緑色および青色の波長領域の光LGBとを分離する。なお、ダイクロイックミラーは、赤色分離または青色分離のどちらの分離方式においても使用される。反射ミラー223は、ダイクロイックミラー222で分離された赤光LRを反射する。
【0065】
反射ミラー224は、ダイクロイックミラー222で分離された緑および青光LGBを反射する。ダイクロイックミラー225は、反射ミラー224で反射された光LGBのうち緑色の波長領域のみ反射し、青色の波長領域が透過する。
【0066】
偏光板226Rは、反射ミラー223で反射されたP偏光である赤光LRを透過して反射型液晶パネル230Rに入射させ、反射型液晶パネル230Rで空間変調され、S偏光に変換された赤光を反射して色合成プリズム240に入射させる。なお、色合成プリズム240のRGBの入射面それぞれに偏光板が配置されてもよい。
【0067】
また、SSS方式時には、緑色光は色合成プリズム240にそのまま入射する。SPS方式時には、色合成プリズム240の入射側に1/2波長板が配置され、緑色光はP偏光で色合成プリズム240に入射する。
【0068】
偏光板226Gは、ダイクロイックミラー225で反射されたP偏光である緑光LGを透過して反射型液晶パネル230Gに入射させ、反射型液晶パネル230Gで空間変調され、S偏光に変換された緑光を反射して色合成プリズム240に入射させる。
【0069】
偏光板226Bは、ダイクロイックミラー225を透過したP偏光である青光LBを透過して反射型液晶パネル230Bに入射させ、反射型液晶パネル230Bで空間変調され、S偏光に変換された青光を反射して色合成プリズム240に入射させる。
【0070】
なお、各偏光板226R、226G、226Bの入射側には、光学レンズ227〜229が配置される(光学レンズ228と偏光板226Gとの間にも偏光板が配置される場合がある)。
【0071】
ここで、光源201より出力された白色光は、フライアイレンズ212−1、212−2により照度が均一化され、PSコンバータ213により所定の偏光に揃えられる。そして、その出力光が、メインコンデンサレンズ221により反射型液晶パネル230R、230G、230Bを照射するように配向された後、色分離ミラーとしてのダイクロイックミラー222、225等により3つの波長帯域の光に分離される。
【0072】
分離された各色光は、反射型偏光板に入射し、ある一方向の偏光方向の光のみが、偏光板226R、226G、226Bによって選択されて、反射型液晶パネル230R、230G、230Bに入射する。各反射型液晶パネル230R、230G、230Bには、RGBの光が入射することになる。
【0073】
反射型液晶パネル230R、230G、230Bには入射光に対応した色の映像信号が印加され、映像信号に従い、入射光の偏光方向を回転させて変調出力する。液晶パネルから出射した被変調光は、再び偏光板226R、226G、226Bに入射する。
【0074】
偏光板226R、226G、226Bに入射した偏光から90度回転した偏光成分のみ選択され、色合成プリズム240に入射する。3枚の反射型液晶パネルにて変調された各色光は、色合成プリズム240において、同じ方向に合成されて出射される。色合成プリズム240からの出射合成光は、投影レンズ250により、スクリーン7に投影出力される。
【0075】
次に投影装置1における偏光変換部20について説明する。偏光変換部20には、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料、一軸性結晶のいずれかが用いられる。以下、各特性について説明する。
【0076】
図7は波長選択性1/2波長板を示す図である。波長選択性1/2波長板21aは、第1の光軸と、第1の光軸に直交する第2の光軸とを有し、所定の波長の光を横振動から縦振動へ、縦振動から横振動へ変換し、所定波長の位相をπシフトする特性を有している。
【0077】
図8は波長選択性1/2波長板の特性を説明するための図である。波長選択性1/2波長板21aに、直線偏光化された入射光線が、その振動方向が第1の光軸方向に対して平行に(0゜またはπの角度で)入射したとき、位相がπシフトして、第2の光軸と平行な光線が出射する。
【0078】
逆に、波長選択性1/2波長板21aに、直線偏光化された入射光線が、その振動方向が第2の光軸方向に対して平行に(0゜またはπの角度で)入射したとき、位相がπシフトして、第1の光軸と平行な光線が出射する。
【0079】
ここで、投影装置1で波長選択性1/2波長板21aを使用する場合、入射光線を第1、第2の光軸に対して平行な光線を波長選択性1/2波長板21aに入射するのではなく、第1、第2の光軸に対して平行ではない直線偏光、円偏光、楕円偏光等を入射することが好ましい。
【0080】
すなわち、色合成部10から出射される合成光内の各色光を、波長選択性1/2波長板21aの第1、第2の光軸に対して平行ではない偏光で受光するほど、波長選択性1/2波長板21aの出射光は“波長ごとに異なる偏光”に近くなり、無偏光状態となる。
【0081】
このように、第1、第2の光軸に対して、光振動方向が平行ではない偏光が、波長選択性1/2波長板21aを透過することで、色合成部10からの出射光は、波長選択性1/2波長板21aによって、波長毎に互いに異なる偏光に変換されて無偏光状態となる。
【0082】
上記のように、波長選択性1/2波長板21aでは、入射する偏光が、第1、第2の光軸の方向の直線偏光からずれていればいるほど(例えば、円偏光、楕円偏光、第1、第2の光軸の方向から回転した直線偏光など)、出射光は“波長ごとに異なる偏光”に近くなる。なお、“波長毎に異なる偏光”の特性を有していれば、波長選択性1/2波長板以外の光学部材を用いても構わない。
【0083】
波長選択性1/2波長板21aへの入射光の偏光方向は、第1、第2の光軸の方位の直線偏光からずれてさえいればよいので、軸の設置範囲が広いという利点がある。また、波長選択性1/2波長板21aの入射段において、偏光方向(回転方向)を事前に揃える等を行う必要がない。
【0084】
図9は一軸性有機材料および一軸性結晶を示す図である。一軸性有機材料21bは、光学軸を1つ持つ有機材料であって、例えば、高位相差板が該当する。一軸性有機材料21bの入射光に与える位相差は10000nm以上である。
【0085】
また、一軸性結晶21cは、光学軸を1つ持つ結晶である。例えば、水晶(石英)、サファイア、方解石、フッ化マグネシウム、カルサイト等が該当する。一軸性結晶21cの入射光に与える位相差は10000nm程度である(水晶の場合は1mm程度)。一方、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは共に、遅相軸が45°である。
【0086】
図10は一軸性有機材料および一軸性結晶の特性を説明するための図である。一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは、図10に示す遅相軸と同じ方向の光の振動を持つ入射光に対しては屈折率が大きく働き、遅相軸と同じ方向にない光の振動を持つ入射光に対しては、屈折率は小さく働くという特性を有している。
【0087】
したがって、入射偏光が、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動(回転)する偏光の場合は、出射偏光は無偏光となる。また、入射偏光が、遅相軸に対して0°、90°ずれた方向に振動する偏光の場合は、出射偏光は入射偏光の位相と同じで変化しない。
【0088】
一方、入射偏光が、遅相軸に対して上記以外の方向に振動する偏光の場合は、出射偏光は偏りの大きな偏光が出射して、無偏光状態とはかけ離れた状態となる。
【0089】
ここで、投影装置1で一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合、入射光線は、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動する偏光の直線偏光、円偏光、楕円偏光等を入射することが好ましい。
【0090】
このように、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動する偏光が、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを透過することで、色合成部10から出射された合成光内の各色光は、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cによって、波長毎に互いに異なる偏光に変換されて無偏光状態となる。
【0091】
なお、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは、色合成部10の出射直後の偏光が揃っている状態で最も効果を発揮する。その中でも、一軸性結晶21c(特に水晶)は、以下のような特徴を持っているため、偏光変換部20として一軸性結晶21cを使用することは効果が高いものである。
【0092】
(A1)波長選択性1/2波長板21aや一軸性有機材料21bと比較して安価。
(A2)光学ガラスなので、物理的強度が高く、信頼性が高い。
(A3)シート/フィルム等の有機材料ではないので、LCD−投射レンズ間に設置しても、フォーカス性能が落ちない。
【0093】
次に一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cの位相差による偏光状態について説明する。図11は一軸性有機材料および一軸性結晶の位相差による偏光状態を示す図である。縦軸は偏光状態を示し、横軸は波長nmを示している。図中の曲線k1は位相差が500nm、曲線k2は位相差が1000nm、曲線k3は位相差が2000nm、曲線k4(ギザギザ線)は位相差が10000nmである。
【0094】
入射する直線偏光に対して、45°方向に遅相軸があり、位相差量が大きい(例えば、10000nm)の場合を考える(図中のギザギザ線に該当)。遅相軸を光が通過する場合、ある波長(例えば550nm)の偏光状態が直線偏光とすると、隣接波長(例えば501nm)の偏光状態は、直線偏光に近い楕円偏光となる。
【0095】
このように使用波長(430〜700nm程度)のそれぞれで偏光状態が異なった光が足し合わされると、波長毎に互いに異なる偏光が生成されるので、無偏光状態を作り出すことができる。
【0096】
したがって、偏光変換部20に、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを用いた場合、45°方向の遅相軸と高位相差量という条件が揃う場合は、波長変化あたりの偏光変化量が増え、より均一な無偏光状態を生成することが可能である。
【0097】
また、偏光がS方向、P方向の直線偏光/楕円偏光/円偏光であれば、区別なく“波長毎に異なる偏光”を作り出してくれるところが特に有用である。さらに、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cの入射段において、偏光方向(回転方向)を事前に揃える等を行う必要がない。
【0098】
次に投影装置1における偏光変換処理の各バージョン(光学部材の配置パターン)について図12〜図16を用いて説明する。図12は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−1は、色合成部10−1、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0099】
色合成部10−1は、色合成プリズム11および1/2波長板12を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0100】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g1sをP偏光に変換して、緑色P偏光g1pを生成する。なお、1/2波長板の一般的な基本機能は、光が通過したとき、2つの直線偏光(平行成分、垂直成分)間に1/2波長(位相差δ=180°+N×360°)の光路差を与えるものであり、主に偏光面を所要の角度へ回転させる目的で使用される(N=1、2、3、・・・)。
【0101】
色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r1sと、緑色P偏光g1pと、青色光のS偏光である青色S偏光b1sとを合成して合成光を生成する。
【0102】
偏光変換部20は、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r1s、緑色P偏光g1pおよび青色S偏光b1sのそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0103】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0104】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0105】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0106】
上記のような投影装置1−1の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0107】
図13は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−2は、色合成部10−2、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0108】
色合成部10−2は、色合成プリズム11、1/2波長板12および1/4波長板13を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0109】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g2sをP偏光に変換して、緑色P偏光g2pを生成する。色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r2sと、緑色P偏光g2pと、青色光のS偏光である青色S偏光b2sとを合成して合成光を生成する。
【0110】
1/4波長板13は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して45°の方向に光軸が向くように配置される。そして、赤色S偏光r2sを左回り円偏光である赤色左回り円偏光r21に変換し、緑色P偏光g2pを右回り円偏光である緑色右回り円偏光g21に変換し、青色S偏光b2sを左回り円偏光である青色左回り円偏光b21に変換する。
【0111】
なお、1/4波長板の一般的な基本機能は、光が透過したとき、2つの直線偏光(平行成分、垂直成分)間に1/4波長の光路差(位相差δ=90°+N×360°)を与えるもので、主に直線偏光を円偏光に変換、逆に円偏光を直線偏光に変換する目的に使用されることが多い(N=1、2、3、・・・)。
【0112】
ここで、色合成プリズム11からの出射光の投射レンズ30への入射時には、投射レンズ30で反射した反射光が、再び色合成プリズム11に逆戻りしてしまう場合がある。このようなことが起きると迷光が発生して、スクリーン上ではゴースト現象などが生じてしまう。
【0113】
このため、上記では、色合成プリズム11の出射段と、偏光変換部20の入射段との間に上記のような1/4波長板13を配置して、1/4波長板を迷光防止用として使用している。
【0114】
一方、偏光変換部20は、1/4波長板13から出射された、赤色左回り円偏光r21、緑色右回り円偏光g21および青色左回り円偏光b21のそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0115】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0116】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0117】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0118】
上記のような投影装置1−2の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0119】
図14は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−3は、色合成部10−3、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0120】
SSS方式の色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r3sと、緑色光のS偏光である緑色S偏光g3sと、青色光のS偏光である青色S偏光b3sとを合成して合成光を生成する。
【0121】
偏光変換部20は、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r3s、緑色S偏光g3sおよび青色S偏光b3sのそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0122】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0123】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0124】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0125】
上記のような投影装置1−3の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0126】
図15は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−4は、色合成部10−4、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0127】
色合成部10−4は、色合成プリズム11および1/4波長板13を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0128】
SSS方式の色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r4sと、緑色光のS偏光である緑色S偏光g4sと、青色光のS偏光である青色S偏光b4sとを合成して合成光を生成する。
【0129】
1/4波長板13は、上述の迷光防止のために、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して45°の方向に光軸が向くように配置される。そして、1/4波長板13は、赤色S偏光r4sを左回り円偏光である赤色左回り円偏光r41に変換し、緑色S偏光g4sを左回り円偏光である緑色左回り円偏光g41に変換し、青色S偏光b4sを左回り円偏光である青色左回り円偏光b41に変換する。
【0130】
偏光変換部20は、1/4波長板13から出射された、赤色左回り円偏光r41、緑色左回り円偏光g41および青色左回り円偏光b41のそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0131】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0132】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0133】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0134】
上記のような投影装置1−4の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0135】
図16は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−5は、色合成部10−5、一軸性結晶21cおよび投射レンズ30を備える。
【0136】
色合成部10−5は、色合成プリズム11および1/2波長板12を含む。また、図16の例では、偏光変換部としては、図9〜図11で上述した一軸性結晶21c(水晶)を適用している。
【0137】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g5sをP偏光に変換して、緑色P偏光g5pを生成する。色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r5sと、緑色P偏光g5pと、青色光のS偏光である青色S偏光b5sとを合成して合成光を生成する。
【0138】
一軸性結晶21cは、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r5s、緑色P偏光g5pおよび青色S偏光b5sのそれぞれの偏光状態を全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0139】
投射レンズ30は、一軸性結晶21cから出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0140】
なお、一軸性結晶21cは、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0141】
上記のような投影装置1−5の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0142】
投影装置1−1〜1−5では、投射レンズ30にプラスチックレンズを使用可能である(偏光ムラが多大なプラスチックレンズでも対応可能)。また、投影装置1−5のような光学形態では、色合成プリズム11をSPS方式で使用するため、2D輝度が最大となる。なお、図16で示した投影装置1−5は、最良の光学形態となる。
【0143】
次に投影装置1における偏光変換部20の設置形態について説明する。図17は設置形態例を示す図である。投影装置1a−1は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0144】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射側と、色合成プリズム11の出射側との間には偏光変換部20が設置されている。この場合、偏光変換部20は、色合成プリズム11の出射面に接着して、色合成プリズム11と一体化している。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0145】
図18は設置形態例を示す図である。投影装置1a−2は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0146】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射側と、色合成プリズム11の出射側との間には、偏光変換部20を設置するための取り付け機構部であるメカ枠部品4aが設けられている。
【0147】
偏光変換部20は、メカ枠部品4aに対して挿抜可能であって、メカ枠部品4aに挿入されることで、色合成プリズム11の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に、固定的に設置される。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0148】
図19は設置形態例を示す図である。投影装置1a−3は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0149】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射面には、偏光変換部20を設置するための取り付け機構部であるメカ枠部品4bが設けられている。
【0150】
投射レンズ30は、例えば、上下左右にレンズをシフトするレンズシフト機構を有しており、メカ枠部品4bも、投射レンズ30のレンズシフトに追従する。このようなメカ枠部品4bに対して、偏光変換部20は挿抜可能であって、メカ枠部品4bに偏光変換部20が挿入されることで、投射レンズ30のレンズシフトに対して常に追従しながら、投射レンズ30の入射面側に近接設置されることになる。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0151】
ここで、投影装置1で使用する光源について説明する。投影装置1では、広範囲波長の連続発光スペクトルの光源や、またはRGB投射光に広範囲波長の連続スペクトルを持つ光源などを使用する。
【0152】
したがって、一般的なLCDプロジェクタでは、UHP(Ultra High Performance)ランプやXe(キセノン)ランプ等の連続波長光源を使用しているため、事実上ほぼすべのLCDプロジェクタに対して、投影装置1の機能を適用することができる。
【0153】
次に従来技術と本技術とを比較して差異について説明する。図20は投影装置の投影イメージを示す図である。従来の投影装置300から発せられた投射光においては、スクリーン7への入射光およびスクリーン7からの反射光は無偏光化されていなかった。これに対し、本技術の投影装置1から発せられる投射光は、スクリーン7への入射光およびスクリーン7からの反射光共に全方位均一に無偏光状態化されている。
【0154】
以上説明したように、投影装置1によれば、色合成プリズム11の合成光の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に偏光変換部20を配置した。このように、偏光変換部20を、投射レンズ30の投射側に配置するよりも色合成プリズム11の近くに(出射側に)配置することで、RGBすべての投射光を全方位に対して均一に無偏光化することが可能になる。
【0155】
これにより、3Dメガネを傾けない状態で、3Dメガネ越しの3D画の色ムラを完全に消滅することが可能になる。さらに、3Dメガネを例えば、±25°程度傾けた状態(カスタマーの使用範囲を想定)で、3Dメガネ越しの3D画の色ムラ/輝度落ちを完全に消滅することが可能になる。
【0156】
さらに、投影装置1は、あらゆるアクティブシャッター方式3DのLCDプロジェクタ、光学部材または使用環境に対応できるため親和性が高く、サービス性にも優れている。例えば、あらゆる反射型LCD、透過型LCD等のLCDプロジェクタに対応可能であり、あらゆる色合成プリズム(SPS方式、SSS方式)にも対応可能である。
【0157】
また、投射レンズ等にプラスチックレンズを使用することも可能であり、あらゆるスクリーン(シルバースクリーン、ビーズスクリーン、マットスクリーン等)にも対応可能である。
【0158】
なお、偏光変換部20に一軸性結晶21cを用いたときのコスト面については、投射レンズ30の入射側に設置する波長選択性1/2波長板21a(そのものが高価であり、面積を大きくする際にはさらに高価)より、一軸性結晶21c(そのものが安価であり、色合成プリズムの面積が小さい場合はさらに安価)の方が、格段に安価であり、高い効果を発揮できる。一軸性結晶21c(水晶)のコストは、波長選択性1/2波長板21aおよび一軸性有機材料21bの1/4〜1/5程度である。
【0159】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) 3原色光を合成して合成光を出射する色合成部と、
前記色合成部の出射側に配置され、前記合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する偏光変換部と、
前記偏光変換部からの出射光を投射する投射レンズと、
を有する投影装置。
(2) 前記偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである前記(1)記載の投影装置。
(3) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記偏光変換部は、前記一軸性結晶であり、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記一軸性結晶は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(4) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(5) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板と、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色P偏光を右回り円偏光である緑色右回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色右回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(6) 前記色合成部は、色合成プリズムを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色S偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(7) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色S偏光を左回り円偏光である緑色左回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色左回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(8) 前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射面に接着して、前記色合成プリズムと一体化する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
(9) 前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射側と、前記投射レンズの入射側との間に置かれた取り付け機構部を介して固定設置する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
(10) 前記偏光変換部は、前記投射レンズの入射面側に近接に設置して、前記投射レンズのレンズシフトに追従する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
【0160】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0161】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0162】
1……投影装置、2……3Dメガネ、7……スクリーン、10……色合成部、20……偏光変換部、30……投射レンズ
【技術分野】
【0001】
本技術は、映像表示を行う投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクティブシャッター方式の3D(dimensions)機能を有するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)プロジェクタが開発されている。
【0003】
アクティブシャッター方式とは、遠近感を伴う映像表示方式の1つであり、左眼用と右眼用の映像を交互に表示し、映像の切り替えと同期して左右交互に3Dメガネの視界を相互に遮ることで、視差を生み出して、立体視を可能とするものである。
【0004】
一方、2D画を表示するプロジェクタよりも、3D画を表示する上記のようなプロジェクタの方が、品質を確保するのが困難になってきている。これは、スクリーンで反射した、ある偏光状態の光の中で、3Dメガネによって特定方向の偏光成分のみが透過し、この偏光状態が3D画質に大きく影響(色ムラ、輝度落ち)を与えてしまうためである。
【0005】
2D画表示は、3Dメガネを使用しないため、どの偏光状態も等しく観察者の瞳に光が入り、スクリーン反射後の偏光状態が画質に影響を与えない。これに対し、アクティブシャッター方式3D機能を有するLCDプロジェクタ等では、3Dメガネに届くまでの偏光状態を考慮することが重要となる。
【0006】
従来技術として、水平/垂直方向のRGBの各色の光量比を等しくして、各色の偏光状態を変換する投写型表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−304607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の3D画を表示するプロジェクタでは、プロジェクタの投射光がスクリーンで反射して3Dメガネに到達するまでに、3D画質を向上するための適切な偏光変換処理が施されてはいなかった。
【0009】
このため、3Dメガネを傾けない状態で、3D画の色ムラが見えてしまうといった問題があった。また、3Dメガネを傾けた状態で、3D画の色ムラおよび輝度落ちが見えてしまうといった問題があった。
【0010】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを消滅させ、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを消滅させて、3D画質を大幅に向上させた投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、投影装置が提供される。投影装置は、色合成部、偏光変換部および投射レンズを備える。色合成部は、3原色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部は、色合成部の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する。投射レンズは、偏光変換部からの出射光を投射する。
【発明の効果】
【0012】
3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】投影装置の構成例を示す図である。
【図2】偏光状態の変化要素を示す図である。
【図3】3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。
【図4】3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。
【図5】透過型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。
【図6】反射型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。
【図7】波長選択性1/2波長板を示す図である。
【図8】波長選択性1/2波長板の特性を説明するための図である。
【図9】一軸性有機材料および一軸性結晶を示す図である。
【図10】一軸性有機材料および一軸性結晶の特性を説明するための図である。
【図11】一軸性有機材料および一軸性結晶の位相差による偏光状態を示す図である。
【図12】投影装置の構成例を示す図である。
【図13】投影装置の構成例を示す図である。
【図14】投影装置の構成例を示す図である。
【図15】投影装置の構成例を示す図である。
【図16】投影装置の構成例を示す図である。
【図17】設置形態例を示す図である。
【図18】設置形態例を示す図である。
【図19】設置形態例を示す図である。
【図20】投影装置の投影イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。図1は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1は、色合成部10、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0015】
色合成部10は、3原色のR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を合成して合成光を出射する。偏光変換部20は、色合成部10の出射側に配置され、合成光の各色光の偏光状態を全方位に対して均一な無偏光状態に変換する。投射レンズ30は、偏光変換部20からの出射光をスクリーンに投射する。
【0016】
ここで、偏光変換部20は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸(光軸)を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである。
【0017】
このような偏光変換部20を、色合成部10からの合成光の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に配置することで、色合成部10により出射された合成光の各色光内の波長の偏光を、波長毎に互いに異なる偏光に変換し、全方位に対して偏りのない均一な無偏光状態にすることができる。
【0018】
このように、投影装置1は、色合成部10、偏光変換部20および投射レンズ30を備え、偏光変換部20は、色合成部10により出射された各色光の偏光状態を全方位均一な無偏光状態に変換し、投射レンズ30は無偏光状態の光を投射する構成とした。
【0019】
この構成により、投影装置1からスクリーン7へ向かって投影される投射光は、全方位に対して均一な無偏光状態であり、スクリーン7で反射して観測者の3Dメガネ2に入射する光も全方位に対して均一な無偏光状態となる。
【0020】
これにより、3Dメガネ2を傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができるので、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0021】
次に本技術が解決すべき問題点について詳しく説明する。図2は偏光状態の変化要素を示す図である。投影装置(プロジェクタ)50の投射レンズ51からの投射光は、スクリーン7で反射して3Dメガネ2に到達する。3Dメガネ2に入る偏光状態の変化要素は、主に以下の3つによって影響を受ける。
【0022】
(1)プロジェクタ50で発生する偏光ムラ
プロジェクタ50で発生する偏光ムラは、プロジェクタ50内の色合成プリズム52から投射レンズ51までの間で発生する。特に投射レンズ51によって発生し、投射レンズ51がガラスレンズやプラスチックレンズのいずれであっても偏光ムラが発生する。
【0023】
投射レンズ51がガラスレンズの場合では、ガラスレンズの材料、形状、AR(Anti Reflection)コートなどが原因となって偏光ムラが生じる。また、プラスチックレンズの場合では、プラスチックレンズの材料、形状、ARコート、成型条件などによって偏光ムラが発生する。特にプラスチックレンズでは、多大な偏光ムラが発生する。
【0024】
(2)スクリーン7の反射偏光特性
スクリーン7が特にシルバースクリーンの場合では、入射偏光状態を維持したまま投射光が反射するので、プロジェクタ50で発生する上記の(1)の偏光ムラがそのまま3D画質に影響を与える。また、偏光特性の面内ムラのあるスクリーンでは、以下の(3)の影響を直接受ける。
【0025】
(3)観察者の3Dメガネ2の傾け角
通常の使用状態を想定した際の3Dメガネ2の偏光透過軸に対する傾け角では、観察者が首を傾けると±25°程度となる。観察者が首を傾けて、3Dメガネ2の傾け角が±25°程度になると、3Dメガネ2の偏光透過方向も変化する。その結果、3D画質も大きく変化する。
【0026】
上記の(1)〜(3)による偏光状態変化要素により、3Dメガネ2に入る偏光状態が変化し、従来では、主に以下の2つの問題点が発生していた。
(a)3Dメガネ2を傾けない状態で、3D画の色ムラが見えてしまう。
(b)3Dメガネ2を傾けた状態で、3D画の色ムラおよび輝度落ちが見えてしまう。
【0027】
図3、図4は3Dメガネを通して見た色ムラを示す図である。スクリーン7に対して、例えば、背景が白色の場合に、図3に示すような色ムラ(楕円で示している)が観察されることがある。また、スクリーン7に例えば、偏光特性の面内ムラがある場合は、観察者が首を傾けたときには、図4に示すような線状の色ムラが見えることがある。
【0028】
従来の問題点(a)、(b)を解決する場合は、上述の(1)の偏光状態変化要素にて解決する必要がある。なぜなら、(2)の偏光状態変化要素では、観察者(カスタマー)に対し、設置するスクリーン7を指定できないためである。さらに、(3)の偏光状態変化要素では、3Dメガネ2の標準化の流れの中で、専用3Dメガネにすることは現実的ではないためである。
【0029】
ここで、(1)の偏光状態変化要素にて解決する際、問題点(a)については、以下の方法(#1)〜(#3)で解決することが可能であった。
【0030】
(#1)すべてガラスレンズを使用した投射レンズ51を使用する(プラスチックレンズを使用しない)。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。
【0031】
(#2)色合成プリズム52がSPS方式の場合、投射レンズ51と、色合成プリズム52との間に、波長選択性1/2波長板(Color Select)を使用する。そして、RGBの順番で、S偏光/P偏光/S偏光を、P偏光/P偏光/P偏光またはS偏光/S偏光/S偏光に揃える。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。
【0032】
なお、一般的にプロジェクタで使用する色合成プリズムでは、緑色光は、S偏光のときよりもP偏光のときの方が、透過率が高いので、SSS方式よりもSPS方式の方が主流である。ただし、色合成プリズムの出射後のRGBの偏光を揃えるためにSSS方式も使用されている。
【0033】
(#3)色合成プリズム52をSSS方式にする。しかし、この場合、問題点(a)を解決することができても、問題点(b)を解決することができなかった。また、G(Green)の透過率が大幅に落ちるため、2D輝度が大幅に落ちてしまう。
【0034】
このように、問題点(a)に対しては、上記の(#1)〜(#3)の解決方法がある。しかし、方法(#1)〜(#3)では、問題点(b)については解決することができない。なぜなら、(#1)〜(#3)の方法では、いずれも単にRGBを同じ方向の直線偏光に揃えているだけで、プロジェクタ50の投射光を無偏光に変換できていなかったためである(この無偏光化が解決手段となることも発見されていなかった)。
【0035】
一方、問題点(a)、(b)を解決する方法として、投射レンズ51の投射側(出射段)に、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料または一軸性結晶を配置して、偏光状態を無偏光化する方法が考えられる。このような構成にすることにより、上記の問題点(a)、(b)の両方に対して、良好な結果を得ることが可能である。
【0036】
しかし、このような構成であっても、3D画の色ムラや輝度落ちを、常に完全には消滅することはできない。これは、偏光乱れが大きすぎる場合、例えば、特に、投射レンズにプラスチックレンズを使うような場合では、無偏光化量が足りないといったことに起因するからであり、この場合、微量の色ムラ/輝度落ちが発生していた。
【0037】
投射レンズ51の投射側に、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料または一軸性結晶を配置すれば、投射レンズ51からの投射光を無偏光化に近づけることはできる。しかし、投射レンズ51に偏光乱れの大きなプラスチックレンズを使用したような場合では、投射光を無偏光化に近づけることはできても、全方位に対して均一に無偏光化することが難しく、偏りのある無偏光状態になってしまう。このような理由により、上記のような構成によっても、色ムラや輝度落ちを完全に消滅することはできなかった。
【0038】
なお、一軸性有機材料および一軸性結晶の厚みを増していく、という解決方法も考えられるが、フォーカス性能が悪化するという問題が発生してしまう。
【0039】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、3Dメガネ2を傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅させ、かつ3Dメガネ2を傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅させて、3D画質を大幅に向上させた投影装置1を提供するものである。
【0040】
次に投影装置1の適用例として、透過型LCD方式プロジェクタおよび反射型LCD方式プロジェクタについて説明する。
【0041】
図5は透過型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。透過型LCD方式プロジェクタ100は、光源部、照明光学系、分離光学系、光変調素子部、合成光学系および投射光学系を有している。
【0042】
光源部は、光源101およびリフレクタ102を有する。光源101は、例えば、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどのHID(High Intensity Discharge)ランプであり、白色光を出射する。光源101は、リフレクタ102の焦点位置に配置され、光源101から出射した白色光をリフレクタ102で反射して略平行光を生成する。なお、リフレクタ102は、パラボラ形状だけでなく、楕円形状等もある。
【0043】
照明光学系は、UV(Ultra Violet)カットフィルタ111、フライアイレンズ112−1、112−2、偏光分離素子113、波長板ユニット(偏光変調素子)114およびコンデンサレンズ115を有している。
【0044】
UVカットフィルタ111は、光源101の前方に設けられ、光源101から出射される紫外線の通過を阻止する。フライアイレンズ112−1、112−2は、リフレクタ102で反射した略平行光を入射し、偏光分離素子113に出射する。フライアイレンズ112−1、112−2は、光変調素子部に入射する光の照度を均一化する。
【0045】
偏光分離素子113は、入射光束を第1の偏光成分と第2の偏光成分に分離する。例えば、偏光分離素子113は、S偏光とP偏光を含む光を入射して、第1の領域にP偏光を出射し、第2の領域にS偏光を出射する。
【0046】
波長板ユニット114は、偏光分離素子113からの出射光の偏光軸を所定方向に揃える。例えば、波長板ユニット114は、第1の領域に入射したP偏光をS偏光に変調し、偏光軸を第2の領域に入射したS偏光と揃える。
【0047】
コンデンサレンズ115は、波長板ユニット114の出射光を入射して集光する。コンデンサレンズ115を出射した白色光は、分離光学系に入射する。
【0048】
分離光学系は、コンデンサレンズ115からの入射光をRGB(赤色、緑色、青色)に分離する。分離光学系は、ダイクロイックミラー121−1、121−2、反射ミラー122−1〜122−3、リレーレンズ123−1、123−2、コンデンサレンズ124R、124G、124Bを有している。
【0049】
ダイクロイックミラー121−1、121−2は、RGBの各光をその波長帯域により選択的に透過または反射する。ダイクロイックミラー121−1は、緑色波長帯域の光Gおよび赤色波長帯域の光Rを透過し、青色波長帯域の光Bを反射する。
【0050】
ダイクロイックミラー121−2は、赤色波長帯域の光Rを透過し、緑色波長帯域の光Gを反射する。これにより、白色光は、RGBの3色に色分離される。なお、ダイクロイックミラーは、赤色分離または青色分離のどちらの分離方式においても使用される。
【0051】
反射ミラー122−1は、全反射ミラーで構成され、ダイクロイックミラー121−1で分離された青色波長帯域の光Bを反射して光変調素子125Bに導く。反射ミラー122−2、122−3は、全反射ミラーで構成され、ダイクロイックミラー121−2で分離された赤色波長帯域の光Rを反射して光変調素子125Rに導く。
【0052】
リレーレンズ123−1、123−2は、赤色波長帯域の光Rについての光路長の補正をおこなう。コンデンサレンズ124R、124G、124Bは、緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bをそれぞれ収束する。
【0053】
分離光学系から出射される緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bは、それぞれ光変調素子125R、125G、125Bに入射する。
【0054】
光変調素子125R、125G、125Bの前方(光源側)には、入射側偏光板128R、128G、128Bがあり、分離光学系から出射される緑色波長帯域の光G、赤色波長帯域の光R、および青色波長帯域の光Bの偏光成分を揃える。
【0055】
光変調素子125R、125G、125Bは、赤色波長帯域の光R、緑色波長帯域の光G、および青色波長帯域の光Bをそれぞれ空間変調する。出射側偏光板129R、129G、129Bは、空間変調された光のうち、所定の偏光成分を透過する。
【0056】
合成光学系は、色合成プリズム126を有する。色合成プリズム126は、緑色波長帯域の光Gを透過し、赤色波長帯域の光Rおよび青色波長帯域の光Bを投射光学系方向に反射するように構成されている。
【0057】
色合成プリズム126は、例えば、複数のガラスプリズム(4つの略同形状の直角二等辺プリズム)を接合することによって構成されており、各ガラスプリズムの接合面には、所定の光学特性を有する2つの干渉フィルタが形成されている。
【0058】
第1干渉フィルタは、青色波長帯域の光Bを反射し、赤色波長帯域の光Rおよび緑色波長帯域の光Gを透過する。第2干渉フィルタは、赤色波長帯域の光Rを反射し、緑色波長帯域の光Gおよび青色波長帯域の光Bを透過する。
【0059】
したがって、光変調素子125R、125G、125Bによって変調されたRGBの各光は、色合成プリズム126で合成されて、投射光学系に入射する。
【0060】
投射光学系である投影レンズ127は、色合成プリズム126からの出射光を所定の倍率に拡大してスクリーン7に映像を投影する。
【0061】
図6は反射型LCD方式プロジェクタの光学ユニット構成例を示す図である。反射型LCD方式プロジェクタ200において、光源201は、リフレクタ202の焦点位置に配置され、光源201から出射した白色光をリフレクタ202で反射して略平行光を生成する。
【0062】
UV/IR(Ultra Violet/Infrared Rays)カットフィルタ211は、略平行光を受光して紫外線および赤外線の通過を阻止する。なお、リフレクタ202は、パラボラ形状だけでなく、楕円形状等もある。
【0063】
フライアイレンズ212−1、212−2は、光の照度を均一化し、PSコンバータ(偏光変換素子)213は、P偏光/S偏光のランダム偏光の偏光方向を揃える。メインコンデンサレンズ221は、PSコンバータ213で偏光方向が揃って均一化された白色照明光を集光する。
【0064】
ダイクロイックミラー222は、赤色の波長領域の光LRと、緑色および青色の波長領域の光LGBとを分離する。なお、ダイクロイックミラーは、赤色分離または青色分離のどちらの分離方式においても使用される。反射ミラー223は、ダイクロイックミラー222で分離された赤光LRを反射する。
【0065】
反射ミラー224は、ダイクロイックミラー222で分離された緑および青光LGBを反射する。ダイクロイックミラー225は、反射ミラー224で反射された光LGBのうち緑色の波長領域のみ反射し、青色の波長領域が透過する。
【0066】
偏光板226Rは、反射ミラー223で反射されたP偏光である赤光LRを透過して反射型液晶パネル230Rに入射させ、反射型液晶パネル230Rで空間変調され、S偏光に変換された赤光を反射して色合成プリズム240に入射させる。なお、色合成プリズム240のRGBの入射面それぞれに偏光板が配置されてもよい。
【0067】
また、SSS方式時には、緑色光は色合成プリズム240にそのまま入射する。SPS方式時には、色合成プリズム240の入射側に1/2波長板が配置され、緑色光はP偏光で色合成プリズム240に入射する。
【0068】
偏光板226Gは、ダイクロイックミラー225で反射されたP偏光である緑光LGを透過して反射型液晶パネル230Gに入射させ、反射型液晶パネル230Gで空間変調され、S偏光に変換された緑光を反射して色合成プリズム240に入射させる。
【0069】
偏光板226Bは、ダイクロイックミラー225を透過したP偏光である青光LBを透過して反射型液晶パネル230Bに入射させ、反射型液晶パネル230Bで空間変調され、S偏光に変換された青光を反射して色合成プリズム240に入射させる。
【0070】
なお、各偏光板226R、226G、226Bの入射側には、光学レンズ227〜229が配置される(光学レンズ228と偏光板226Gとの間にも偏光板が配置される場合がある)。
【0071】
ここで、光源201より出力された白色光は、フライアイレンズ212−1、212−2により照度が均一化され、PSコンバータ213により所定の偏光に揃えられる。そして、その出力光が、メインコンデンサレンズ221により反射型液晶パネル230R、230G、230Bを照射するように配向された後、色分離ミラーとしてのダイクロイックミラー222、225等により3つの波長帯域の光に分離される。
【0072】
分離された各色光は、反射型偏光板に入射し、ある一方向の偏光方向の光のみが、偏光板226R、226G、226Bによって選択されて、反射型液晶パネル230R、230G、230Bに入射する。各反射型液晶パネル230R、230G、230Bには、RGBの光が入射することになる。
【0073】
反射型液晶パネル230R、230G、230Bには入射光に対応した色の映像信号が印加され、映像信号に従い、入射光の偏光方向を回転させて変調出力する。液晶パネルから出射した被変調光は、再び偏光板226R、226G、226Bに入射する。
【0074】
偏光板226R、226G、226Bに入射した偏光から90度回転した偏光成分のみ選択され、色合成プリズム240に入射する。3枚の反射型液晶パネルにて変調された各色光は、色合成プリズム240において、同じ方向に合成されて出射される。色合成プリズム240からの出射合成光は、投影レンズ250により、スクリーン7に投影出力される。
【0075】
次に投影装置1における偏光変換部20について説明する。偏光変換部20には、波長選択性1/2波長板、一軸性有機材料、一軸性結晶のいずれかが用いられる。以下、各特性について説明する。
【0076】
図7は波長選択性1/2波長板を示す図である。波長選択性1/2波長板21aは、第1の光軸と、第1の光軸に直交する第2の光軸とを有し、所定の波長の光を横振動から縦振動へ、縦振動から横振動へ変換し、所定波長の位相をπシフトする特性を有している。
【0077】
図8は波長選択性1/2波長板の特性を説明するための図である。波長選択性1/2波長板21aに、直線偏光化された入射光線が、その振動方向が第1の光軸方向に対して平行に(0゜またはπの角度で)入射したとき、位相がπシフトして、第2の光軸と平行な光線が出射する。
【0078】
逆に、波長選択性1/2波長板21aに、直線偏光化された入射光線が、その振動方向が第2の光軸方向に対して平行に(0゜またはπの角度で)入射したとき、位相がπシフトして、第1の光軸と平行な光線が出射する。
【0079】
ここで、投影装置1で波長選択性1/2波長板21aを使用する場合、入射光線を第1、第2の光軸に対して平行な光線を波長選択性1/2波長板21aに入射するのではなく、第1、第2の光軸に対して平行ではない直線偏光、円偏光、楕円偏光等を入射することが好ましい。
【0080】
すなわち、色合成部10から出射される合成光内の各色光を、波長選択性1/2波長板21aの第1、第2の光軸に対して平行ではない偏光で受光するほど、波長選択性1/2波長板21aの出射光は“波長ごとに異なる偏光”に近くなり、無偏光状態となる。
【0081】
このように、第1、第2の光軸に対して、光振動方向が平行ではない偏光が、波長選択性1/2波長板21aを透過することで、色合成部10からの出射光は、波長選択性1/2波長板21aによって、波長毎に互いに異なる偏光に変換されて無偏光状態となる。
【0082】
上記のように、波長選択性1/2波長板21aでは、入射する偏光が、第1、第2の光軸の方向の直線偏光からずれていればいるほど(例えば、円偏光、楕円偏光、第1、第2の光軸の方向から回転した直線偏光など)、出射光は“波長ごとに異なる偏光”に近くなる。なお、“波長毎に異なる偏光”の特性を有していれば、波長選択性1/2波長板以外の光学部材を用いても構わない。
【0083】
波長選択性1/2波長板21aへの入射光の偏光方向は、第1、第2の光軸の方位の直線偏光からずれてさえいればよいので、軸の設置範囲が広いという利点がある。また、波長選択性1/2波長板21aの入射段において、偏光方向(回転方向)を事前に揃える等を行う必要がない。
【0084】
図9は一軸性有機材料および一軸性結晶を示す図である。一軸性有機材料21bは、光学軸を1つ持つ有機材料であって、例えば、高位相差板が該当する。一軸性有機材料21bの入射光に与える位相差は10000nm以上である。
【0085】
また、一軸性結晶21cは、光学軸を1つ持つ結晶である。例えば、水晶(石英)、サファイア、方解石、フッ化マグネシウム、カルサイト等が該当する。一軸性結晶21cの入射光に与える位相差は10000nm程度である(水晶の場合は1mm程度)。一方、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは共に、遅相軸が45°である。
【0086】
図10は一軸性有機材料および一軸性結晶の特性を説明するための図である。一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは、図10に示す遅相軸と同じ方向の光の振動を持つ入射光に対しては屈折率が大きく働き、遅相軸と同じ方向にない光の振動を持つ入射光に対しては、屈折率は小さく働くという特性を有している。
【0087】
したがって、入射偏光が、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動(回転)する偏光の場合は、出射偏光は無偏光となる。また、入射偏光が、遅相軸に対して0°、90°ずれた方向に振動する偏光の場合は、出射偏光は入射偏光の位相と同じで変化しない。
【0088】
一方、入射偏光が、遅相軸に対して上記以外の方向に振動する偏光の場合は、出射偏光は偏りの大きな偏光が出射して、無偏光状態とはかけ離れた状態となる。
【0089】
ここで、投影装置1で一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合、入射光線は、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動する偏光の直線偏光、円偏光、楕円偏光等を入射することが好ましい。
【0090】
このように、遅相軸に対して45°ずれた方向に振動する偏光が、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを透過することで、色合成部10から出射された合成光内の各色光は、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cによって、波長毎に互いに異なる偏光に変換されて無偏光状態となる。
【0091】
なお、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cは、色合成部10の出射直後の偏光が揃っている状態で最も効果を発揮する。その中でも、一軸性結晶21c(特に水晶)は、以下のような特徴を持っているため、偏光変換部20として一軸性結晶21cを使用することは効果が高いものである。
【0092】
(A1)波長選択性1/2波長板21aや一軸性有機材料21bと比較して安価。
(A2)光学ガラスなので、物理的強度が高く、信頼性が高い。
(A3)シート/フィルム等の有機材料ではないので、LCD−投射レンズ間に設置しても、フォーカス性能が落ちない。
【0093】
次に一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cの位相差による偏光状態について説明する。図11は一軸性有機材料および一軸性結晶の位相差による偏光状態を示す図である。縦軸は偏光状態を示し、横軸は波長nmを示している。図中の曲線k1は位相差が500nm、曲線k2は位相差が1000nm、曲線k3は位相差が2000nm、曲線k4(ギザギザ線)は位相差が10000nmである。
【0094】
入射する直線偏光に対して、45°方向に遅相軸があり、位相差量が大きい(例えば、10000nm)の場合を考える(図中のギザギザ線に該当)。遅相軸を光が通過する場合、ある波長(例えば550nm)の偏光状態が直線偏光とすると、隣接波長(例えば501nm)の偏光状態は、直線偏光に近い楕円偏光となる。
【0095】
このように使用波長(430〜700nm程度)のそれぞれで偏光状態が異なった光が足し合わされると、波長毎に互いに異なる偏光が生成されるので、無偏光状態を作り出すことができる。
【0096】
したがって、偏光変換部20に、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを用いた場合、45°方向の遅相軸と高位相差量という条件が揃う場合は、波長変化あたりの偏光変化量が増え、より均一な無偏光状態を生成することが可能である。
【0097】
また、偏光がS方向、P方向の直線偏光/楕円偏光/円偏光であれば、区別なく“波長毎に異なる偏光”を作り出してくれるところが特に有用である。さらに、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cの入射段において、偏光方向(回転方向)を事前に揃える等を行う必要がない。
【0098】
次に投影装置1における偏光変換処理の各バージョン(光学部材の配置パターン)について図12〜図16を用いて説明する。図12は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−1は、色合成部10−1、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0099】
色合成部10−1は、色合成プリズム11および1/2波長板12を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0100】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g1sをP偏光に変換して、緑色P偏光g1pを生成する。なお、1/2波長板の一般的な基本機能は、光が通過したとき、2つの直線偏光(平行成分、垂直成分)間に1/2波長(位相差δ=180°+N×360°)の光路差を与えるものであり、主に偏光面を所要の角度へ回転させる目的で使用される(N=1、2、3、・・・)。
【0101】
色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r1sと、緑色P偏光g1pと、青色光のS偏光である青色S偏光b1sとを合成して合成光を生成する。
【0102】
偏光変換部20は、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r1s、緑色P偏光g1pおよび青色S偏光b1sのそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0103】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0104】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0105】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0106】
上記のような投影装置1−1の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0107】
図13は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−2は、色合成部10−2、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0108】
色合成部10−2は、色合成プリズム11、1/2波長板12および1/4波長板13を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0109】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g2sをP偏光に変換して、緑色P偏光g2pを生成する。色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r2sと、緑色P偏光g2pと、青色光のS偏光である青色S偏光b2sとを合成して合成光を生成する。
【0110】
1/4波長板13は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して45°の方向に光軸が向くように配置される。そして、赤色S偏光r2sを左回り円偏光である赤色左回り円偏光r21に変換し、緑色P偏光g2pを右回り円偏光である緑色右回り円偏光g21に変換し、青色S偏光b2sを左回り円偏光である青色左回り円偏光b21に変換する。
【0111】
なお、1/4波長板の一般的な基本機能は、光が透過したとき、2つの直線偏光(平行成分、垂直成分)間に1/4波長の光路差(位相差δ=90°+N×360°)を与えるもので、主に直線偏光を円偏光に変換、逆に円偏光を直線偏光に変換する目的に使用されることが多い(N=1、2、3、・・・)。
【0112】
ここで、色合成プリズム11からの出射光の投射レンズ30への入射時には、投射レンズ30で反射した反射光が、再び色合成プリズム11に逆戻りしてしまう場合がある。このようなことが起きると迷光が発生して、スクリーン上ではゴースト現象などが生じてしまう。
【0113】
このため、上記では、色合成プリズム11の出射段と、偏光変換部20の入射段との間に上記のような1/4波長板13を配置して、1/4波長板を迷光防止用として使用している。
【0114】
一方、偏光変換部20は、1/4波長板13から出射された、赤色左回り円偏光r21、緑色右回り円偏光g21および青色左回り円偏光b21のそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0115】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0116】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0117】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0118】
上記のような投影装置1−2の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0119】
図14は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−3は、色合成部10−3、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0120】
SSS方式の色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r3sと、緑色光のS偏光である緑色S偏光g3sと、青色光のS偏光である青色S偏光b3sとを合成して合成光を生成する。
【0121】
偏光変換部20は、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r3s、緑色S偏光g3sおよび青色S偏光b3sのそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0122】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0123】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0124】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0125】
上記のような投影装置1−3の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0126】
図15は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−4は、色合成部10−4、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0127】
色合成部10−4は、色合成プリズム11および1/4波長板13を含む。偏光変換部20は、図7〜図11で上述した波長選択性1/2波長板21a、一軸性有機材料21bおよび一軸性結晶21cのいずれかを適用する。
【0128】
SSS方式の色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r4sと、緑色光のS偏光である緑色S偏光g4sと、青色光のS偏光である青色S偏光b4sとを合成して合成光を生成する。
【0129】
1/4波長板13は、上述の迷光防止のために、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して45°の方向に光軸が向くように配置される。そして、1/4波長板13は、赤色S偏光r4sを左回り円偏光である赤色左回り円偏光r41に変換し、緑色S偏光g4sを左回り円偏光である緑色左回り円偏光g41に変換し、青色S偏光b4sを左回り円偏光である青色左回り円偏光b41に変換する。
【0130】
偏光変換部20は、1/4波長板13から出射された、赤色左回り円偏光r41、緑色左回り円偏光g41および青色左回り円偏光b41のそれぞれの偏光状態を、全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0131】
投射レンズ30は、偏光変換部20から出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0132】
なお、偏光変換部20として、波長選択性1/2波長板21aを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して第1の光軸が45°および第2の光軸が135°の方向に光軸が向くように配置する。または、入射偏光に対して第1の光軸が135°および第2の光軸が45°の方向に光軸が向くように配置する。
【0133】
また、偏光変換部20として、一軸性有機材料21bまたは一軸性結晶21cを使用する場合は、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0134】
上記のような投影装置1−4の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0135】
図16は投影装置の構成例を示す図である。投影装置1−5は、色合成部10−5、一軸性結晶21cおよび投射レンズ30を備える。
【0136】
色合成部10−5は、色合成プリズム11および1/2波長板12を含む。また、図16の例では、偏光変換部としては、図9〜図11で上述した一軸性結晶21c(水晶)を適用している。
【0137】
1/2波長板12は、SPS方式の色合成プリズム11の緑色光の入射側に配置され、緑色光のS偏光g5sをP偏光に変換して、緑色P偏光g5pを生成する。色合成プリズム11は、赤色光のS偏光である赤色S偏光r5sと、緑色P偏光g5pと、青色光のS偏光である青色S偏光b5sとを合成して合成光を生成する。
【0138】
一軸性結晶21cは、色合成プリズム11から出射された、赤色S偏光r5s、緑色P偏光g5pおよび青色S偏光b5sのそれぞれの偏光状態を全方位に偏りのない均一な無偏光状態に変換する。
【0139】
投射レンズ30は、一軸性結晶21cから出射された、各色光が無偏光状態の合成光を受光して、所定の倍率に拡大して投射する。その後、全方位に偏りのない均一な無偏光状態の投射光は、スクリーンに投射される。
【0140】
なお、一軸性結晶21cは、色合成プリズム11の出射側に、入射偏光に対して遅相軸が45°または135°の方向に光軸が向くように配置する。
【0141】
上記のような投影装置1−5の構成により、スクリーンへの入射光の偏光状態およびスクリーンでの反射光の偏光状態は、全方位に偏りのない均一な無偏光状態になっている。これにより、3Dメガネを傾けない状態での3D画の色ムラを完全に消滅し、かつ3Dメガネを傾けた状態での3D画の色ムラおよび輝度落ちを完全に消滅することができ、3D画質を大幅に向上させることが可能になる。
【0142】
投影装置1−1〜1−5では、投射レンズ30にプラスチックレンズを使用可能である(偏光ムラが多大なプラスチックレンズでも対応可能)。また、投影装置1−5のような光学形態では、色合成プリズム11をSPS方式で使用するため、2D輝度が最大となる。なお、図16で示した投影装置1−5は、最良の光学形態となる。
【0143】
次に投影装置1における偏光変換部20の設置形態について説明する。図17は設置形態例を示す図である。投影装置1a−1は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0144】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射側と、色合成プリズム11の出射側との間には偏光変換部20が設置されている。この場合、偏光変換部20は、色合成プリズム11の出射面に接着して、色合成プリズム11と一体化している。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0145】
図18は設置形態例を示す図である。投影装置1a−2は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0146】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射側と、色合成プリズム11の出射側との間には、偏光変換部20を設置するための取り付け機構部であるメカ枠部品4aが設けられている。
【0147】
偏光変換部20は、メカ枠部品4aに対して挿抜可能であって、メカ枠部品4aに挿入されることで、色合成プリズム11の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に、固定的に設置される。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0148】
図19は設置形態例を示す図である。投影装置1a−3は、色合成プリズム11(SPS方式)、1/2波長板12、偏光変換部20および投射レンズ30を備える。
【0149】
色合成プリズム11の緑色光の入射側には、1/2波長板12が設置されている。また、色合成プリズム11の合成光の出射側には、投射レンズ30が設置されている。さらに、投射レンズ30の入射面には、偏光変換部20を設置するための取り付け機構部であるメカ枠部品4bが設けられている。
【0150】
投射レンズ30は、例えば、上下左右にレンズをシフトするレンズシフト機構を有しており、メカ枠部品4bも、投射レンズ30のレンズシフトに追従する。このようなメカ枠部品4bに対して、偏光変換部20は挿抜可能であって、メカ枠部品4bに偏光変換部20が挿入されることで、投射レンズ30のレンズシフトに対して常に追従しながら、投射レンズ30の入射面側に近接設置されることになる。なお、設置形態としては、1/2波長板12はなくてもよい。また、色合成プリズム11は、SPS、SSSなど、どの方式の色合成プリズムでもよい。
【0151】
ここで、投影装置1で使用する光源について説明する。投影装置1では、広範囲波長の連続発光スペクトルの光源や、またはRGB投射光に広範囲波長の連続スペクトルを持つ光源などを使用する。
【0152】
したがって、一般的なLCDプロジェクタでは、UHP(Ultra High Performance)ランプやXe(キセノン)ランプ等の連続波長光源を使用しているため、事実上ほぼすべのLCDプロジェクタに対して、投影装置1の機能を適用することができる。
【0153】
次に従来技術と本技術とを比較して差異について説明する。図20は投影装置の投影イメージを示す図である。従来の投影装置300から発せられた投射光においては、スクリーン7への入射光およびスクリーン7からの反射光は無偏光化されていなかった。これに対し、本技術の投影装置1から発せられる投射光は、スクリーン7への入射光およびスクリーン7からの反射光共に全方位均一に無偏光状態化されている。
【0154】
以上説明したように、投影装置1によれば、色合成プリズム11の合成光の出射側と、投射レンズ30の入射側との間に偏光変換部20を配置した。このように、偏光変換部20を、投射レンズ30の投射側に配置するよりも色合成プリズム11の近くに(出射側に)配置することで、RGBすべての投射光を全方位に対して均一に無偏光化することが可能になる。
【0155】
これにより、3Dメガネを傾けない状態で、3Dメガネ越しの3D画の色ムラを完全に消滅することが可能になる。さらに、3Dメガネを例えば、±25°程度傾けた状態(カスタマーの使用範囲を想定)で、3Dメガネ越しの3D画の色ムラ/輝度落ちを完全に消滅することが可能になる。
【0156】
さらに、投影装置1は、あらゆるアクティブシャッター方式3DのLCDプロジェクタ、光学部材または使用環境に対応できるため親和性が高く、サービス性にも優れている。例えば、あらゆる反射型LCD、透過型LCD等のLCDプロジェクタに対応可能であり、あらゆる色合成プリズム(SPS方式、SSS方式)にも対応可能である。
【0157】
また、投射レンズ等にプラスチックレンズを使用することも可能であり、あらゆるスクリーン(シルバースクリーン、ビーズスクリーン、マットスクリーン等)にも対応可能である。
【0158】
なお、偏光変換部20に一軸性結晶21cを用いたときのコスト面については、投射レンズ30の入射側に設置する波長選択性1/2波長板21a(そのものが高価であり、面積を大きくする際にはさらに高価)より、一軸性結晶21c(そのものが安価であり、色合成プリズムの面積が小さい場合はさらに安価)の方が、格段に安価であり、高い効果を発揮できる。一軸性結晶21c(水晶)のコストは、波長選択性1/2波長板21aおよび一軸性有機材料21bの1/4〜1/5程度である。
【0159】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) 3原色光を合成して合成光を出射する色合成部と、
前記色合成部の出射側に配置され、前記合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する偏光変換部と、
前記偏光変換部からの出射光を投射する投射レンズと、
を有する投影装置。
(2) 前記偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである前記(1)記載の投影装置。
(3) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記偏光変換部は、前記一軸性結晶であり、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記一軸性結晶は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(4) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(5) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板と、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色P偏光を右回り円偏光である緑色右回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色右回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(6) 前記色合成部は、色合成プリズムを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色S偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(7) 前記色合成部は、色合成プリズムと、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色S偏光を左回り円偏光である緑色左回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色左回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する前記(1)または(2)に記載の投影装置。
(8) 前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射面に接着して、前記色合成プリズムと一体化する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
(9) 前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射側と、前記投射レンズの入射側との間に置かれた取り付け機構部を介して固定設置する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
(10) 前記偏光変換部は、前記投射レンズの入射面側に近接に設置して、前記投射レンズのレンズシフトに追従する前記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の投影装置。
【0160】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0161】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0162】
1……投影装置、2……3Dメガネ、7……スクリーン、10……色合成部、20……偏光変換部、30……投射レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3原色光を合成して合成光を出射する色合成部と、
前記色合成部の出射側に配置され、前記合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する偏光変換部と、
前記偏光変換部からの出射光を投射する投射レンズと、
を有する投影装置。
【請求項2】
前記偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記偏光変換部は、前記一軸性結晶であり、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記一軸性結晶は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項4】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項5】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板と、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色P偏光を右回り円偏光である緑色右回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色右回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項6】
前記色合成部は、色合成プリズムを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色S偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項7】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色S偏光を左回り円偏光である緑色左回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色左回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項8】
前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射面に接着して、前記色合成プリズムと一体化する請求項1記載の投影装置。
【請求項9】
前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射側と、前記投射レンズの入射側との間に置かれた取り付け機構部を介して固定設置する請求項1記載の投影装置。
【請求項10】
前記偏光変換部は、前記投射レンズの入射面側に近接に設置して、前記投射レンズのレンズシフトに追従する請求項1記載の投影装置。
【請求項1】
3原色光を合成して合成光を出射する色合成部と、
前記色合成部の出射側に配置され、前記合成光の各色光の偏光状態を、全方位に対して均一に無偏光状態に変換する偏光変換部と、
前記偏光変換部からの出射光を投射する投射レンズと、
を有する投影装置。
【請求項2】
前記偏光変換部は、所定波長に対して位相をπシフトする波長選択性1/2波長板、光学軸を1つ持つ有機材料である一軸性有機材料、光学軸を1つ持つ結晶である一軸性結晶のいずれかである請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記偏光変換部は、前記一軸性結晶であり、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記一軸性結晶は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項4】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色P偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項5】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記色合成プリズムの緑色光の入射側に配置された1/2波長板と、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記1/2波長板は、緑色光のS偏光をP偏光に変換し、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のP偏光である緑色P偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色P偏光を右回り円偏光である緑色右回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色右回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項6】
前記色合成部は、色合成プリズムを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記偏光変換部は、前記赤色S偏光と、前記緑色S偏光と、前記青色S偏光とを無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項7】
前記色合成部は、色合成プリズムと、前記偏光変換部の入射側と前記色合成プリズムの出射側との間に配置された1/4波長板とを備え、
前記色合成プリズムは、赤色光のS偏光である赤色S偏光と、緑色光のS偏光である緑色S偏光と、青色光のS偏光である青色S偏光とを合成し、
前記1/4波長板は、前記赤色S偏光を左回り円偏光である赤色左回り円偏光に変換し、前記緑色S偏光を左回り円偏光である緑色左回り円偏光に変換し、前記青色S偏光を左回り円偏光である青色左回り円偏光に変換し、
前記偏光変換部は、前記赤色左回り円偏光、前記緑色左回り円偏光および前記青色左回り円偏光の各偏光状態を無偏光状態に変換する請求項2記載の投影装置。
【請求項8】
前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射面に接着して、前記色合成プリズムと一体化する請求項1記載の投影装置。
【請求項9】
前記偏光変換部は、前記色合成部が含む色合成プリズムの出射側と、前記投射レンズの入射側との間に置かれた取り付け機構部を介して固定設置する請求項1記載の投影装置。
【請求項10】
前記偏光変換部は、前記投射レンズの入射面側に近接に設置して、前記投射レンズのレンズシフトに追従する請求項1記載の投影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−113984(P2013−113984A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259204(P2011−259204)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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