説明

抗ウイルス剤としてのピリジンN−オキシド

本発明はC型肝炎ウイルス感染の予防と治療に有用な式(I):


[式中、ZはC2−6アルキニル、アリール又はヘテロアリールを表し、前記基のいずれも場合により置換されてよく、Rは水素、C1−6アルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル(C1−6)アルキル、ジ(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、C2−6アルキルカルボニルオキシ(C1−6)アルキル又はC3−7シクロアルコキシカルボニルオキシ(C1−6)アルキルを表す]のピリジノン誘導体及び医薬的に許容可能なその塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウイルスポリメラーゼ、特にC型肝炎ウイルス(HCV)ポリメラーゼの阻害剤として作用することができる化合物、前記化合物の使用及びその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は非経口感染散発性非A非B型肝炎(NANB−H)の主要な原因物質である。感染者数は地球人口のおよそ1%であると考えられる。ウイルス感染の結果として慢性肝炎や肝硬変を発症し、肝細胞癌に至る場合もある。組換えインターフェロン−αの単独投与又はリバビリンとの併用投与により少数の症例で部分的成功が報告されているが、現在のところ、ワクチンも治療法も確立していない。従って、新規で広範に有効な治療法が緊急に必要とされている。
【0003】
治療的介入の推定ターゲットとしてはメタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3)、ヘリカーゼ(NS3)、及びRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)等のウイルスによりコードされる数種の酵素が挙げられる。これらのうちで、ポリメラーゼはウイルスの複製に必須の役割を果たすので、C型肝炎治療の重要なターゲットである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定のピリジノン誘導体はC型肝炎ウイルス(HCV)ポリメラーゼ酵素の阻害剤として作用することが今般判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は下式(I):
【0006】
【化8】

【0007】
[式中、ZはC2−6アルキニル、アリール又はヘテロアリールを表し、前記基のいずれも場合により置換されてよく;
は水素、C1−6アルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル(C1−6)アルキル、ジ(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、C2−6アルキルカルボニルオキシ(C1−6)アルキル又はC3−7シクロアルコキシカルボニルオキシ(C1−6)アルキルを表す。]の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
当然のことながら、上記式(I)の化合物は特に式(IA):
【0009】
【化9】

【0010】
(式中、Z及Rは上記に定義した通りである。)の構造等の他のその互変異性形と平衡状態で存在することができる。当然のことながら、式(I)の化合物の全互変異性形と任意割合の可能なその全混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0011】
本発明は治療用、特にヒト医薬用としての上記式(I)の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩も提供する。
【0012】
1−6アルキル基の典型例としてはメチル基及びエチル基と、直鎖又は分枝鎖プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基が挙げられる。特定アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル及び1,1−ジメチルプロピルである。「C1−6アルコキシ」等の派生語も同様に解釈すべきである。
【0013】
2−6アルケニル基の典型例としてはビニル、アリル及びジメチルアリル基が挙げられる。
【0014】
2−6アルキニル基の典型例としてはエチニル基とプロパルギル基が挙げられる。
【0015】
典型的なC3−7シクロアルキル基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0016】
適切なC3−7ヘテロシクロアルキル基としてはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニル基が挙げられる。
【0017】
適切なアリール基としてはフェニル及びナフチル、特にフェニルが挙げられる。
【0018】
適切なヘテロアリール基としてはピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、及びテトラゾリル基が挙げられる。
【0019】
典型的なアリール(C1−6)アルキル基としてはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル及びナフチルメチルが挙げられる。
【0020】
典型的なヘテロアリール(C1−6)アルキル基としてはフリルメチル、フリルエチル、チエニルメチル、チエニルエチル、オキサゾリルメチル、オキサゾリルエチル、チアゾリルメチル、チアゾリルエチル、イミダゾリルメチル、イミダゾリルエチル、オキサジアゾリルメチル、オキサジアゾリルエチル、チアジアゾリルメチル、チアジアゾリルエチル、トリアゾリルメチル、トリアゾリルエチル、テトラゾリルメチル、テトラゾリルエチル、ピリジニルメチル、ピリジニルエチル、ピリミジニルメチル、ピラジニルメチル、キノリニルメチル及びイソキノリニルメチルか挙げられる。
【0021】
化合物又は基が「場合により置換されている」と記載する場合には、1個以上の置換基が存在することができる。場合により存在する置換基は特に限定されず、例えばC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、アリール、アリール(C1−6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−6)アルキル、C1−6アルコキシ、アリールオキシ、アリール(C1−6)アルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C1−6)アルコキシ、アミノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、シアノ及びトリハロメチル基から選択することができる。更に、場合により存在する置換基はそれらが置換する化合物又は基と種々の方法で結合することができ、直接結合していてもよいし、アミン、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、スルホンアミド、スルファミド、スルホキシド、尿素、チオ尿素及びウレタン等の結合基を介して結合していてもよい。必要に応じて、場合により存在する置換基自体が別の置換基で置換されていてもよく、前記別の置換基も前記置換基自体と直接結合していてもよいし、上記に例示したような結合基を介して結合していてもよい。
【0022】
本発明の化合物が少なくとも1個の不斉中心をもつ場合には、前記化合物はエナンチオマーとして存在することができる。本発明の化合物が2個以上の不斉中心をもつ場合には、前記化合物は更にジアステレオ異性体として存在することもできる。当然のことながら、これらの全異性体と任意割合のその混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0023】
上記式(I)の化合物におけるZ部分が場合により置換されたC2−6アルキニルを表す場合には、前記部分は場合により置換されたエチニル基が適切である。C2−6アルキニル基上の典型的な置換基はトリ(C1−6)アルキルシリル、特にトリメチルシリルである。従って、Z部分の典型例はトリメチルシリルエチニルである。
【0024】
Zが場合により置換されたアリール又はヘテロアリール部分を表す場合には、フェニル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、フリル、イソキノリニル、インドリル、イソオキサゾリル、ピラゾロピリミジニル及びピラジニルから適切に選択することができ、前記基の任意のものは場合により置換されていてもよい。Zの特定例としてはフェニル、チエニル、チアゾリル及びフリルが挙げられ、前記基の任意のものは場合により置換されていてもよい。これらの基はアリール又はヘテロアリール環の利用可能な任意位置でピリジノン核の5位と結合することができる。しかし、所定位置での結合が好ましい場合もあり、これについては以下に多少詳細に記載する。
【0025】
アリール又はヘテロアリール基Z上に場合により存在する好ましい置換基は多様な基から選択することができる。例えば、ハロゲン(特にフッ素、塩素及び臭素)、ヒドロキシ、−NO、−NH、ホルミル、C2−6アルキルカルボニル、−COH、C2−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキル(特にメチル)、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−CN、C1−6アルコキシ(特にメトキシ)、C1−6アルキルチオ(特にメチルチオ)、C1−6アルキルスルフィニル(特にメチルスルフィニル)又はC1−6アルキルスルホニル(特にメチルスルホニル)等の単純で比較的小さい基とすることができる。必要に応じてこれらの置換基のいずれも他の置換基の1個以上で置換されてよい。しかし、一般には少なくとも1個の置換基は式(II):
−X−R(II)
(式中、Rは1個以上、一般に少なくとも3個、好ましくは4〜20個、特に4〜14個の炭素原子を含む一般に疎水性の部分である。)の基である。Rはアリール、アリール(C1−6)アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキル(特に分枝鎖C1−6アルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−6)アルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル及びC2−6アルケニル基の1種以上が好ましく、前記基のいずれも場合により置換されてよい。X基は−NH−SO−、−NH−SO−NH−、−CH−SO−、−SO−NH−、−NH−CO−NH−、−NH−CS−NH−、−NH−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−NH−SO−、−NH−CO−NH−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−CH−、−CHO−及び−CHS−から選択することが好ましい。
【0026】
任意NH基の水素原子は場合によりC1−6アルキル基で置換されてよい。
【0027】
の特定例としては水素、メチル、エチル、モルホリニルエチル、ジメチルアミノエチル、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル及び1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルが挙げられる。
【0028】
の特定例としては水素、メチル及びエチルが挙げられる。
【0029】
1態様では、Rは水素を表す。
【0030】
本発明の化合物の具体的な1サブクラスは下式(III):
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、Zは場合により置換されたアリールを表し;
は上記に定義した通りである。)により表される。
【0033】
例えば、このクラスに含まれる化合物の例は式(IV):
【0034】
【化11】

【0035】
(式中、Rは上記に定義した通りであり;
及びRは各々独立してH又は置換基から選択することができる。)の化合物である。
【0036】
とRの一方は水素であり、他方は置換基であることが好ましい。置換基が存在する場合には、ピリミジノン核の2位、3位又は4位即ちオルト、メタ又はパラ位の任意位置に存在することができる。しかし、置換基が1個だけ存在する場合には、オルト又はメタ位の置換が好ましい。
【0037】
置換基R及びRは多様な基から選択することができる。例えば、ハロゲン(特にフッ素、塩素及び臭素)、ヒドロキシ、−NO、−NH、ホルミル、C2−6アルキルカルボニル、−COH、C2−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキル(特にメチル)、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−CN、C1−6アルコキシ(特にメトキシ)、C1−6アルキルチオ(特にメチルチオ)、C1−6アルキルスルフィニル(特にメチルスルフィニル)又はC1−6アルキルスルホニル(特にメチルスルホニル)等の単純で比較的小さい基とすることができる。必要に応じてこれらの置換基のいずれも他の置換基の1個以上で置換されてよい。
【0038】
前記化合物のうちには高活性のものもあるが、置換基R及び/又はRが結合Xを介してフェニル基と結合した比較的疎水性のR基を含むことが一般に好ましい。この場合には、置換基R及び/又はRは式(II):
−X−R(II)
(式中、R及びXは上記に定義した通りである。)により表すことができる。
【0039】
例えば、好ましい類の化合物の例は1個のオルト又はメタ置換基が存在している化合物であり、前記置換基は下式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)及び(IX):
【0040】
【化12】

【0041】
[式中、nは0又は1〜6の整数であり、好ましくは0〜3、特に0又は1であり;
mは0又は1〜6の整数であり、好ましくは0又は1であり;
p及びqは各々独立して0又は1であり、但し、同時に1でないことが好ましく;
rは1〜6の整数であり、好ましくは1であり;
は場合により置換されたアリール、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル又は分枝鎖C1−6アルキル基であり;
は各々独立してC1−6アルキル基(特にメチル)、C3−7シクロアルキル基、場合により置換されたアリール基(特にフェニル)、ヒドロキシ又はヒドロキシ(C1−6)アルキル(特にヒドロキシメチル)であり、前記基のいずれも場合によりエーテル化されていてもよく、あるいは場合によりプロトン化、アルキル化又はウレタン基として誘導体化された−NHであり;
Yは−O−、−S−及び−NH−から選択される。]から選択される。
【0042】
式(V)〜(IX)の各々において結合Xは上記X基の任意のものとすることができる。
【0043】
X基のうちでは、スルホンアミド(−NH−SO−)、尿素(−NH−CO−NH−)、ウレタン(−NH−CO−O−)及びアミド(−NH−CO−)基が好ましい。Xの特定例は−NH−CO−NH−SO−である。
【0044】
特定態様において、Xは−NH−CO−NH−又は−NH−CO−を表す。
【0045】
基はアリール又はヘテロアリール基が好ましく、特に好ましい例は場合により置換されたフェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、キノリル及びチアゾリルである。これらの基は各々場合により同一又は異なる型の場合により置換された別のアリール又はヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0046】
式(IV)の典型的化合物を下記実施例1〜5に具体的に例示する。これらの全化合物は下記アッセイで測定した場合に100μM以下のIC50値をもつ。
【0047】
本発明の化合物の別の具体的なサブクラスは下式(X):
【0048】
【化13】

【0049】
(式中、Zは場合により置換されたヘテロアリールを表し;
は上記に定義した通りである。)により表される。
【0050】
の特定例としてはチエニル、チアゾリル及びフリル、特にチエニルが挙げられ、前記基のいずれも場合により置換されてよい。
【0051】
このサブクラスの好ましい化合物はヘテロアリール基Zが置換されていないか、又は下記に定義する1個の置換基Rをもつ化合物である。
【0052】
式(X)の化合物の好ましいサブセットは下式(XI):
【0053】
【化14】

【0054】
(式中、Rは上記に定義した通りであり;
は下記に定義する通りである。)により表される。
【0055】
ピリジノン核とR置換基はチオフェン環の任意位置に存在することができる。しかし、ピリジノンがチオフェン環の2位に存在するときには、R置換基は3位に存在することが好ましく、4位又は5位の置換はあまり好ましくない。ピリジノン基がチオフェン環の3位に存在するときには、Rはチオフェン環の2位又は4位に存在することが好ましく、4位がより好ましい。要約すると、本発明の好ましい化合物は下式(XII)及び(XIII):
【0056】
【化15】

【0057】
(式中、Rは上記に定義した通りであり;
は下記に定義する通りである。)により表される。
【0058】
置換基Rは多様な基から選択することができる。例えば、上記置換基R及びRと同様に、ハロゲン(特にフッ素、塩素及び臭素)、ヒドロキシ、−NO、−NH、ホルミル、C2−6アルキルカルボニル、−COH、C2−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキル(特にメチル)、C1−6アルケニル、C2−6アルキニル、−CN、C1−6アルコキシ(特にメトキシ)、C1−6アルキルチオ(特にメチルチオ)、C1−6アルキルスルフィニル(特にメチルスルフィニル)又はC1−6アルキルスルホニル(特にメチルスルホニル)等の単純で比較的小さい基とすることができる。必要に応じてこれらの置換基の任意のいずれも他の置換基の1個以上で置換されてよい。
【0059】
しかし、Rは結合Xを介してチエニル基と結合した比較的疎水性の基を含むことがより好ましい。この場合には、R基は式(II):
−X−R(II)
(式中、X及びRは上記に定義した通りである。)により表すことができる。
【0060】
好ましいX基はアミド、スルホンアミド、尿素及びウレタン結合である。特に好ましいX基は−NH−CO−NH−SO−である。好ましいR基はR基を含む上記式(V)〜(IX)に示した基である。R基はナフチルが有利である。
【0061】
好ましいR基は芳香族基、特にフェニル、ナフチル、チエニル、ピリジル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル及びオキサゾリル基である。Rが縮合芳香族環を含む場合には、R基の残余との結合は任意環を介することができる。
【0062】
特にRがアリール基である場合にR上に場合により存在する好ましい置換基としてはハロゲン(特にフッ素、塩素及び/又は臭素)、ニトロ(−NO)、C1−6アルキル(特にメチル)、C1−6アルコキシ(特にメトキシ)、トリフルオロメチル及びアリール(特にフェニル)が挙げられる。
【0063】
nは0が適切である。
【0064】
はナフチルが適切である。
【0065】
別の側面では、本発明はヒト又は動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療又は予防用医薬の製造用としての上記式(I)の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩の使用を提供する。
【0066】
本発明の別の側面は、医薬的に許容可能なキャリヤーと共に上記式(I)の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩を含有する医薬組成物を提供する。前記組成物は所期投与方法に応じて適切な任意形態とすることができる。例えば経口投与用タブレット、カプセルもしくは液体、又は非経口投与用溶液もしくは懸濁液の形態とすることができる。
【0067】
医薬組成物は場合により抗ウイルス剤等の1種以上の他のウイルス感染治療剤、又はα−、β−もしくはγ−インターフェロン等の免疫調節剤を更に含有する。
【0068】
別の側面では、本発明はC型肝炎ウイルスポリメラーゼの阻害方法及び/又はC型肝炎ウイルスに起因する疾患の治療もしくは予防方法を提供し、前記方法は前記症状をもつヒト又は動物(好ましくは哺乳動物)対象に治療又は予防有効量の上記医薬組成物又は上記式(I)の化合物もしくはその互変異性体もしくは医薬的に許容可能なその塩を投与することを含む。「有効量」とは対象に効果を生じるか又は少なくとも対象の症状に変化を生じるために十分な量を意味する。
【0069】
化合物を投与する投与頻度は使用する特定化合物の活性、前記化合物の代謝安定性と作用時間、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与方法及び時間、排泄率、薬剤併用、特定症状の重篤度並びに宿主の施療中の治療等の各種因子により異なる。適切な用量レベルは約0.02〜5又は10g/日とすることができ、経口用量は2〜5倍とする。例えば、化合物10〜50mg/kg体重を1日に1〜3回投与すると適切であると思われる。適切な値は日常的な試験により選択可能である。化合物は単独投与してもよいし、他の治療と同時又は順次併用してもよい。例えば、有効量の当業者に公知の抗ウイルス剤、免疫調節剤、抗感染薬又はワクチンと併用投与することができる。経口、静脈内、経皮及び皮下等の適切な任意経路により投与することができる。適切な部位に直接投与してもよいし、所定型の細胞等の特定部位を標的とするような方法で投与してもよい。適切な標的方法は既に公知である。
【0070】
本発明の別の側面は少なくとも1種の上記式(I)の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩を1種以上の医薬的に許容可能なアジュバント、希釈剤もしくはキャリヤー及び/又は1種以上の他の治療もしくは予防活性剤と混合することを含む医薬組成物の製造方法を提供する。
【0071】
本発明の化合物は式(XIV)の化合物を式(XV)の化合物:
【0072】
【化16】

【0073】
(式中、Z及びRは上記に定義した通りであり、Rはヒドロキシ保護基を表す。)と反応させた後にヒドロキシ保護基Rを除去することを含む方法により製造することができる。
【0074】
化合物(XIV)及び(XV)の反応は一般にテトラヒドロフラン等の溶媒中でカリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下に高温で実施すると適切である。
【0075】
ヒドロキシ保護基Rの典型例としてはtert−ブチル及びベンジルが挙げられ、その場合には、ヒドロキシ保護基Rは例えば塩酸等の強酸による処理又は接触水素化により除去することができる。
【0076】
上記式(XIV)の中間体はオキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミドで高温(例えば70℃)にて処理した後に水酸化ナトリウム等の塩基の存在下にヘキサフルオロリン酸で処理することにより式Z−CH−COHの対応する化合物から製造することができる。
【0077】
上記式(XV)の中間体は式HN−ORの化合物を式(XVI):
【0078】
【化17】

【0079】
(式中、R及びRは上記に定義した通りであり、Rはヒドロキシ又はハロゲン原子、例えばクロロを表す。)の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0080】
別法では、本発明の化合物は式(XVII):
【0081】
【化18】

【0082】
(式中、Z及びRは上記に定義した通りであり、RはC1−6アルキル、例えばメチルを表す。)の化合物を酸化させた後にR部分を開裂することを含む方法により製造することができる。
【0083】
化合物(XVII)の酸化は過酸、例えばトリフルオロ過酢酸で処理することにより実施すると適切である。
【0084】
部分の開裂は強酸、例えば塩酸で処理することにより適切に実施することができる。
【0085】
上記式(XVII)の中間体は遷移金属触媒の存在下に式(XVIII)の化合物を式(XIX)の化合物:
【0086】
【化19】

【0087】
[式中、Z、R及びRは上記に定義した通りであり、Lは適切な脱離基を表し、Mはボロン酸部分−B(OH)又は有機ジオール(例えばピナコール、1,3−プロパンジオール又はネオペンチルグリコール)と形成されるその環状エステルを表す。]と反応させることにより製造することができる。
【0088】
脱離基Lは一般にハロゲン原子、例えばブロモである。
【0089】
化合物(XVIII)及び(XIX)の反応で使用される遷移金属触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が適切である。反応はトルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン又はN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で一般にリン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム又はヨウ化銅(I)の存在下に高温で実施すると適切である。
【0090】
式(XVI)、(XVIII)及び(XIX)の出発材料が市販されていない場合には、下記実施例に記載する方法と同様の方法又は当分野で周知の標準方法により製造することができる。
【0091】
当然のことながら、上記方法の任意のものにより最初に得られた式(I)の任意化合物を必要に応じて当分野で公知の技術により式(I)の別の化合物に変換してもよい。例えば、下記実施例の多くに記載する方法と同様の方法により、Z部分が上記に明記したような単純で比較的小さい基で置換された式(I)の化合物をZが上記式(II)の基で置換された対応する化合物に変換することができる。具体例として、Zがニトロで置換された式(I)の化合物を接触水素化によりZがアミノで置換された対応する化合物に変換することができる。慣用エステル化法、例えば塩酸等の鉱酸の存在下に式R−OHの適当なアルコールで処理することにより、Rが水素を表す式(I)の化合物をRが水素以外のものである対応する化合物に変換することができる。Rが水素以外のものである式(I)の化合物は標準鹸化法、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化リチウム等のアルカリ試薬で処理することにより、Rが水素である対応する化合物に変換することができる。
【0092】
本発明の化合物の上記製造方法の任意のものにより生成物の混合物が得られる場合には、分取HPLCや、例えば適当な溶媒系と共にシリカ及び/又はアルミナを利用するカラムクロマトグラフィー等の慣用方法により適当な段階で所望生成物を分離することができる。
【0093】
本発明の化合物の上記製造方法により立体異性体の混合物が得られる場合には、分取クロマトグラフィー等の慣用技術によりこれらの異性体を分離することができる。新規化合物はラセミ形で製造することもできるし、エナンチオ特異的合成又は分割により個々のエナンチオマーを製造することもできる。新規化合物は例えば分取HPLC等の標準技術や、(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−l−酒石酸等の光学活性酸との塩形成によるジアステレオマー対の形成後に分別結晶と遊離塩基の再生によりその成分エナンチオマーに分割することができる。新規化合物はジアステレオマーエステル又はアミドの形成後にクロマトグラフィー分離とキラル助剤の除去により分割することもできる。
【0094】
上記合成シーケンスの任意のものの間に任意該当分子上の感受性又は反応性基を保護することが必要であるか及び/又は望ましい場合がある。これはProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,3rd edition,1999に記載されているような慣用保護基により実施することができる。保護基は当分野で公知の方法を使用して適切な後続段階で除去することができる。
【0095】
以下、実施例により本発明の化合物の製造を例示する。
【0096】
本発明の化合物はHCVポリメラーゼの強力な阻害剤である。これらの化合物のIC50値(μM)は以下のように測定することができる。
【0097】
C型肝炎ウイルスRdRpの阻害試験
WO96/37619はHCV RdRpをコードする組換えバキュロウイルスに感染した昆虫細胞からの組換えHCV RdRpの生産について記載している。精製酵素はRNAを鋳型としてin vitro RNAポリメラーゼ活性をもつことが示されている。同文献はポリ(A)を鋳型とし、オリゴ(U)をプライマーとする重合アッセイについて記載している。酸不溶性放射能を測定することによりトリチウム化UTPの取込みを定量している。本発明はHCV RdRpの阻害剤としての下記実施例の化合物をスクリーニングするためにこのアッセイを利用した。
【0098】
放射性UMPの取込みを次のように測定した。20mM tris/HCl pH7.5,5mM MgCl,1mM DTT,50mM NaCl,1mM EDTA,20U Rnasin(Promega),0.05%Triton X−100,1μCi[H]−UTP(40Ci/mmol,NEN),10μM UTP及び10μg/mlポリ(A)を含有する緩衝液中で標準反応(100μl)を実施した。オリゴ(U)12(1μg/ml,Genset)をプライマーとして加えた。最終NSSB酵素濃度は20nMとした。1時間22℃でインキュベーション後に20%TCA 100μlを加えてサンプルをDE81フィルターにアプライすることにより反応を停止した。1M NaHPO/NaHPO,pH7.0を含有する5%TCAでフィルターを十分に洗浄し、水と次いでエタノールで濯ぎ、風乾し、フィルターに結合した放射能をシンチレーションカウンターで測定した。各種濃度の各試験化合物の存在下で反応を実施することにより、式:
%残留活性=100/(1+[I]/IC50
(式中、[I]は阻害剤濃度であり、「s」は阻害曲線の傾きである)を使用して各化合物のIC50値を測定することができた。
【0099】
下記実施例の化合物を上記アッセイで試験した処、いずれも100μM以下のIC50値をもつことが判明した。
【実施例1】
【0100】
1−ヒドロキシ−2−オキソ−5−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
a)5−ブロモ−2−ヒドロキシニコチン酸
本化合物はY.S.Loの方法(Synthetic Communications,1989,553)に従って製造した。臭素(0.77当量)を0℃で50%NaOH(2.4当量)水溶液(1M溶液)に撹拌下に滴下した。5分後に50%NaOH(3当量)を加えた後に2−ヒドロキシニコチン酸(1当量)を混合物に加え、得られた溶液を50℃で撹拌した。20時間後に、臭素(0.38当量)を50%NaOH(1.2当量)水溶液(1M溶液)に加えることにより調製した溶液を反応混合物に加え、更に24時間50℃で撹拌をを続けた。この時間後に反応混合物を0℃まで冷却し、濃塩酸でpH2まで酸性化して固体を形成し、濾別し、温水/イソプロパノール(3:1)と次いでジエチルエーテルで洗浄し、乾燥すると、5−ブロモ−2−ヒドロキシニコチン酸(87%)がオフホワイト固体として得られた。δ(400MHz;DMSO)8.25(1H,d,J 2.7),8.33(1H,d,J 2.7),13.84(2H,bs);δ(400MHz;DMSO)99.45,117.97,142.01,147.42,163.22,163.88;m/z(ES)218−216(M−H)
【0101】
b)5−ブロモ−2−メトキシニコチン酸メチル
5−ブロモ−2−ヒドロキシニコチン酸(1当量)とN,N−ジメチルホルムアミド(1当量)の塩化チオニル溶液(0.88M溶液)を2時間還流した。塩化チオニルを蒸発させ、残渣を無水ジクロロメタン(0.7M)と無水メチルアルコール(35当量)に懸濁して滴下した。得られた混合物を1時間還流した後に減圧蒸発させると油状残渣が得られ、無水メタノールに溶かし、ナトリウムメトキシド(1.3当量)の同一溶媒溶液(1M溶液)に撹拌下に加えた。反応混合物を3時間室温で撹拌した後、酢酸数滴を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧蒸発させた。残渣を熱ジエチルエーテルから結晶させると、5−ブロモ−2−メトキシニコチン酸メチル(44%)がベージュ色の光沢結晶として得られた。δ(400MHz;CDCl)3.89(3H,s),4.01(3H,s),8.23(1H,d,J 2.5),8.33(1H,d,J 2.5);m/z(ES)247(M+H)。
【0102】
c)2−メトキシ−5−フェニルニコチン酸メチル
5−ブロモ−2−メトキシニコチン酸メチル(1当量)、フェニルボロン酸(1.5当量)、KPO・HO(2当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフイン)パラジウム(0.05当量)のトルエン溶液(0.17M溶液)をシュレンクチューブに加え、減圧/アルゴンサイクル2サイクルでパージし、一晩加熱還流した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水(2×)とブラインで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧蒸発させた。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO,石油エーテル/酢酸エチル8:1)により精製すると、2−メトキシ−5−フェニルニコチン酸メチル(93%)が黄色がかった油状物として得られた。δ(400MHz;CDCl)3.93(3H,s),4.10(3H,s),7.38(1H,t,J 7.2),7.46(2H,t,J 7.2),7.55(2H,d,J 7.5),8.38(1H,d,J 1.9),7.54(1H,t,J 1.9);m/z(ES)244(M+H)。
【0103】
d)2−メトキシ−5−フェニルニコチン酸メチル1−オキシド
2−メトキシ−5−フェニルニコチン酸メチル(1当量)のジクロロメタン溶液(0.3M溶液)を予め形成しておいたトリフルオロ過酢酸(5当量)と尿素の同一溶媒溶液に室温で加えた。過酸は等モル量の無水トリフルオロ酢酸を0℃で尿素/H複合体のジクロロメタン懸濁液に加え、得られた懸濁液を10分間室温で撹拌することにより調製した。2時間室温で撹拌後、反応混合物を再びトリフルオロ過酢酸(5当量)で処理し、更に1時間後にクロロホルムで希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウムで十分に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を中圧RPカラム(Lobar−C18−Merck,水/アセトニトリル1:1)により精製すると、2−メトキシ−5−フェニルニコチン酸メチル1−オキシド(17%)が黄色粉末として得られた。δ(400MHz;DMSO)3.97(3H,s),4.30(3H,s),7.36−7.60(5H,m),7.95(1H,d,J 2.5),8.62(1H,d,J 2.5);m/z(ES)260(M+H)。
【0104】
e)1−ヒドロキシ−2−オキソ−5−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
上記化合物(1当量)を塩酸(6N,0.03M溶液)中で一晩還流した。反応混合物を室温まで冷却し、水/アセトニトリル(1:1)で希釈し、Prep NOVAPAK(Waters)C18 Cartridge Column(7ミクロン,25×100mm;流速:10ml/分;グラジエント:A:HO+0.05%TFA;B:MeCN+0.05%TFA;70%Aアイソクラチック2分間→30%A直線5分間)でRP−HPLCにより精製した。凍結乾燥後に標記化合物が得られた。δ(400MHz;DMSO)7.37(1H,t,J 7.3),7.46(2H,t,J 7.3),7.67(2H,d,J 7.6),8.49(1H,d,J 2.6),8.83(1H,d,J 2.6),13.00(1H,bs),14.15(1H,bs);δ(400MHz;DMSO−d)116.93,119.50,125.98,127.84,129.03,133.91,138.64,140.01,158.93,164.36;m/z(ES)230(M−H)。
【実施例2】
【0105】
1−ヒドロキシ−5−{3−[({[1−(1−ナフチル)エチル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
a)N−[(2Z)−3−(ジメチルアミノ)−2−(3−ニトロフェニル)プロプ−2−エニリデン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロリン酸塩
2種類の文献公知の方法の変法を使用した。Coppolaらの方法(J.Heterocyclic Chem.,1974,11,51)とI.W.Daviesらの方法(J.Org.Chem.,2000,65,4571)に従い、内部温度を30℃未満に維持するように断続的に冷却しながら無水DMF(3.7当量)をニートオキシ塩化リン(3当量)に滴下した。得られた混合物を5分間室温で撹拌後、3−ニトロフェニル酢酸(1当量)の無水DMF溶液(2M溶液)を5分間滴下した。黄−オレンジ色反応混合物を70℃で2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、滴下漏斗に移し、NaOH(5N,47.5当量)水溶液と同時に市販ヘキサフルオロリン酸(60%wt;18当量)とNaOH(5N,25当量)の水溶液(0.1M溶液)に0℃で40分間かけて撹拌下に加えた。沈殿が形成されたら1時間エージングさせ、濾過し、水洗し、最後に五酸化リンで減圧乾燥すると、標記化合物が薄黄色固体として得られた(63%)。δ(400MHz;DMSO)2.44(6H,s),3.26(6H,s),7.72(1H,t,J 8.0),7.77−7.79(3H,m),8.16(1H,s),8.28(1H,d,J 8.0);δ(400MHz;DMSO)48.61,102.37,123.42,126.16,129.57,134.49,138.32,147.29,162.85;m/z(ES)248(M+H)。
【0106】
b)3−(tert−ブトキシアミノ)−3−オキソプロパン酸メチル
O−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.1当量)とDIPEA(2.2当量)の無水THF懸濁液(0.7M溶液)を0℃まで冷却し、これに3−クロロ−3−オキソプロピオン酸メチル(1当量)の同一溶媒溶液(3M溶液)を加えた。得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。固形分を濾別し、残った溶液を酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N)で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×)とクロロホルム(2×)で再び抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。蒸発させると、標記化合物が無色油状物として得られ、放置すると凝固した。δ(400MHz;DMSO)1.15(9H,s),3.16(2H,s),3.62(3H,s),10.52(1H,s)。
【0107】
c)1−tert−ブトキシ−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
3−(tert−ブトキシアミノ)−3−オキソプロパン酸メチル(1当量)の無水THF(0.2M)溶液を固体カリウムtert−ブトキシド(1.1当量)で0℃にて処理した。得られた溶液を10分間0℃で撹拌した後、1時間室温で撹拌し、ステップbからの標記化合物(1.3当量)を一度に加えて処理した。こうして得られた懸濁液を4時間45℃で撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N,3×)とブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させると粗生成物が得られ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,石油エーテル/酢酸エチル1:2,1%MeOH含有)により精製後に1−tert−ブトキシ−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(67%)が薄黄色固体として得られた。δ(400MHz;DMSO−d)1.40(9H,s),3.82(3H,s),7.74(1H,t,J 8.1),8.11(1H,d,J 8.1),8.19(1H,d,J 8.1),8.43(1H,d,J 2.7),8.45(1H,s),8.67(1H,d,J 2.7);δ(400MHz;DMSO−d)29.31,54.48,90.51,116.01,122.94,124.23,124.36,132.76,134.86,138.71,143.79,144.76,150.76,158.15,167.51;m/z(ES)347(M+H)。
【0108】
d)5−(3−アミノフェニル)−1−tert−ブトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
1−tert−ブトキシ−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチルのメチルアルコール(0.36M)溶液を大気圧下にリンドラー触媒(20%w/w)で5時間水素化した。触媒を濾去後、溶媒を減圧蒸発させると、5−(3−アミノフェニル)−1−tert−ブトキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(95%)がオフホワイト固体として得られた。δ(300MHz;DMSO)1.38(9H,s),3.80(3H,s),5.20(2H,bs),6.55(1H,d,J 7.8),6.71(1H,d,J 7.8),6.75(1H,s),7.09(1H,t,J 7.8),8.24(1H,d,J 2.7),8.27(1H,d,J 2.7);m/z(ES)317(M+H)。
【0109】
e)1−ヒドロキシ−5−{3−[({[1−(1−ナフチル)エチル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
3−[1−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ベンゼンアミニウムトリフルオロ酢酸塩(1当量)の無水ピリジン(0.1M)溶液を1−(1−イソシアナトエチル)ナフタレン(2当量)で処理し、得られた溶液を室温で一晩撹拌した。ピリジンを減圧蒸発させ、残渣をTHF(0.1M)に再溶解させ、水酸化カリウム(1N,3当量)水溶液で処理し、45℃に2時間加熱した。反応混合物を氷浴で冷却し、塩酸(1N)でpH=1まで酸性化した。得られた混合物を水/アセトニトリル(1/1)で希釈し、Prep NOVAPAK(Waters)C18 Cartridge Column(7ミクロン,25×100mm;流速:10ml/分;グラジエント:A:HO+0.05%TFA;B:MeCN+0.05%TFA;60%Aアイソクラチック2分間→30%A直線8分間)を使用してRP−HPLCにより精製した。凍結乾燥後に標記化合物(55%)が無色粉末として得られた。δ(300MHz;DMSO)1.56(3H,d,J 6.6),5.67(1H,m),6.87(1H,d,J 7.8),7.20−7.24(1H,m),7.31−7.33(2H,m),7.50−7.62(4H,m),7.74(1H,s),7.85(1H,d,J 7.8),7.97(1H,d,J 7.8),8.19(1H,d,J 8.4),8.43(1H,d,J 2.7),8.55(1H,s),8.74(1H,d,J 2.7);δ(300MHz;DMSO−d)22.07,44.58,114.84,116.86,117.05,118.73,119.64,122.03,123.01,125.40,125.52,126.13,127.19,128.56,129.45,130.18,133.34,134.34,138.49,139.81,140.55,141.05,154.19,158.93,164.34;m/z(ES)444(M+H)。
【実施例3】
【0110】
5−(3−{[(5−ブロモチエン−2−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
a)3−[(ベンジルオキシ)アミノ]−3−オキソプロパン酸エチル
O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.1当量)とトリエチルアミン(2.2当量)の無水THF懸濁液(0.7M溶液)に0℃で3−クロロ−3−オキソプロピオン酸エチル(1当量)の同一溶媒溶液(3M溶液)を滴下して処理した。得られた懸濁液を室温で24時間撹拌した。固形分を濾別し、残った溶液を酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N)で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×)とクロロホルム(2×)で再び抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。蒸発させると、3−[(ベンジルオキシ)アミノ]−3−オキソプロパン酸エチル(50%)が無色油状物として得られ、放置すると凝固した。δ(300MHz;DMSO)1.20(3H,t,J 6.9),3.12(2H,s),4.10(2H,q,J 6.9),4.81(2H,s),7.36−7.40(5H,m)。
【0111】
b)1−(ベンジルオキシ)−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル
3−[(ベンジルオキシ)アミノ]−3−オキソプロパン酸エチル(1当量)の無水THF(0.2M)溶液を固体カリウムtert−ブトキシド(1.1当量)で0℃にて処理した。得られた溶液を10分間0℃で撹拌した後、1時間室温で撹拌した。実施例2,ステップbからの標記化合物(1.3当量)を固体として一度に加えた。得られた懸濁液を4時間45℃で撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N,3×)とブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させると、粗残渣が得られ、フラッシュクロマトグラフィー精製(シリカゲル,石油エーテル/酢酸エチル1:2,1%MeOH含有)後に1−(ベンジルオキシ)−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル(59%)が薄黄色固体として得られた。δ(300MHz;DMSO−d)1.33(3H,t,J 7.2),4.31(2H,q,J 7.2),5.32(2H,s),7.45−7.47(3H,m),7.59−7.61(2H,m),7.74(1H,t,J 7.8),8.07(1H,d,J 7.4),8.20(1H,d,J 7.4),8.41(1H,s),8.43(1H,d,J 2.9),8.80(1H,d,J 2.9);m/z(ES)395(M+H)。
【0112】
c)5−(3−{[(5−ブロモチエン−2−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
1−(ベンジルオキシ)−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル(1当量)のMeOH/THF(1:1,0.03M)溶液を大気圧下にリンドラー触媒(20%w/w)で3時間水素化した。触媒を濾去後、溶媒を減圧蒸発させると、粗5−(3−アミノフェニル)−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチルが得られ、ジクロロメタン(0.2M)とトリエチルアミン(1.1当量)に溶かした。得られた混合物を予め形成しておいた5−ブロモチオフェン−2−カルボン酸(1当量)、BOP−Cl(1当量)及びトリエチルアミン(1.1当量)のジクロロメタン(0.2M)溶液に加えた。反応混合物を一晩室温で撹拌後、酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N)とブラインで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧蒸発させた。粗残渣をテトラヒドロフラン(0.3M)に溶かし、水酸化カリウム水溶液(1N,2.2当量)で50℃にて1時間処理した。反応混合物を冷却し、水/アセトニトリル(1:1)で希釈し、Prep NOVAPAK(Waters)C18 Cartridge Column(7ミクロン,25×100mm;流速:10ml/分;グラジエント:A:HO+0.05%TFA;B:MeCN+0.05%TFA;60%Aアイソクラチック2分間→50%A直線8分間→50%Aアイソクラチック2分間→30%A直線4分間)を使用してRP−HPLCにより精製した。適当なフラクションを凍結乾燥すると、標記化合物(20%)がオフホワイト粉末として得られた。δ(400MHz;DMSO)7.39(1H,d,J 3.8),7.43−7.46(2H,m),7.77−7.80(1H,m),7.87(1H,d,J 3.8),7.95(1H,s),8.49(1H,d,J 2.6),8.82(1H,d,J 2.6),10.37(1H,s),13.05(1H,bs),14.20(1H,bs);m/z(ES)433−435(M,M−2H)。
【実施例4】
【0113】
5−[2−({[(2−クロロベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
a)2−(2−ニトロフェニル)−1,3−ビス(ジメチルアミノ)トリメチニウムヘキサフルオロリン酸塩
実施例2(a)に記載した手順にほぼ従い、2−(2−ニトロフェニル)−1,3−ビス(ジメチルアミノ)トリメチニウムヘキサフルオロリン酸塩(40%)が薄黄色固体として得られた。δ(300MHz;DMSO)2.42(6H,s),3.28(6H,s),7.57(1H,d,J 7.2),7.74−7.81(4H,m),8.10(1H,d,J 7.4);m/z(ES)248(M+H)。
【0114】
b)1−tert−ブトキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1.2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
実施例2(b)に記載したように製造した3−(tert−ブトキシアミノ)−3−オキソプロパン酸メチル(1当量)の無水THF(0.2M)溶液を固体カリウムtert−ブトキシド(1.1当量)で0℃にて処理した。得られた溶液を10分間0℃で撹拌した後、1時間室温で撹拌し、最後に2−(2−ニトロフェニル)−1,3−ビス(ジメチルアミノ)トリメチニウムヘキサフルオロリン酸塩(1.3当量)を一度に加えて処理した。こうして得られた懸濁液を6時間45℃で撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、塩酸(1N,3×)とブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させると、粗残渣が得られ、フラッシュクロマトグラフィー精製(シリカゲル,石油エーテル/酢酸エチル1:2,1%MeOH含有)後に1−tert−ブトキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(40%)が薄黄色固体として得られた。δ(400MHz;DMSO−d)1.34(9H,s),3.76(3H,s),7.61(1H,dd,J 7.6,J 1.4),7.67(1H,dt,J 8.1,J 1.2),7.80(1H,dt,J 7.6,J 1.2),7.98(1H,d,J 2.7),8.09(1H,dd,J 8.1,J 1.4),8.30(1H,d,J 2.7);m/z(ES)347(M+H)。
【0115】
c)2−[1−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ベンゼンアミニウムトリフルオロ酢酸塩
1−tert−ブトキシ−5−(3−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチルのメチルアルコール(0.05M)溶液を大気圧下にリンドラー触媒(20%w/w)で3時間水素化した。触媒を濾去後、溶媒を減圧蒸発させると、粗アミンが得られ、TFA/水(95/5,0.07M)に溶かし、4時間室温で撹拌した。揮発分を蒸発させ、トルエンと同時蒸発させ、ジエチルエーテルを加えて摩砕すると、2−[1−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ベンゼンアミニウムトリフルオロ酢酸塩(62%)がオフホワイト固体として得られた。δ(300MHz;DMSO)3.86(3H,s),6.65−6.91(2H,m),7.03−7.18(2H,m),8.04(1H,d,J 2.5),8.55(1H,d,J 2.5);m/z(ES)261(M+H)。
【0116】
d)5−[2−({[(2−クロロベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
2−[1−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル]ベンゼンアミニウムトリフルオロ酢酸塩(1当量)の無水ピリジン(0.1M)溶液を1−クロロ−2−(イソシアナトメチル)ベンゼン(2当量)で処理し、得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次にピリジンを減圧蒸発させ、残渣をTHF(0.1M)に再溶解させ、1N KOH(3当量)で処理し、45℃に2時間加熱した。反応混合物を冷却し、1N HClでpH=1まで酸性化後に水/アセトニトリル(1/1)で希釈し、Prep NOVAPAK(Waters)C18 Cartridge Column(7ミクロン,25×100mm;流速:10ml/分;グラジエント:A:HO+0.05%TFA;B:MeCN+0.05%TFA;70%Aアイソクラチック2分間→40%A直線8分間)を使用してRP−HPLCにより精製した。適当なフラクションを凍結乾燥すると、標記化合物(25%)が無色粉末として得られた。δ(400MHz;DMSO)4.29(2H,d,J 5.9),6.81(1H,t,J5.9),7.12(1H,t,J 7.6),7.22−7.35(5H,m),7.41(1H,dd,J 7.6,J 1.9),7.79(1H,d,J 7.6),7.94(1H,s),8.18(1H,d,J 2.5),8.52(1H,d,J 2.5),13.02(1H,bs),14.25(1H,bs);m/z(ES)412(M−H)。
【実施例5】
【0117】
1−ヒドロキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
1−tert−ブトキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(実施例4参照)の懸濁液を塩酸(6N,0.03M溶液)中で45分間還流した。反応混合物はまず均質になった後に無色固体が沈殿した。室温まで冷却後、固形分を濾別し、水(5×)とジエチルエーテル(3×)で洗浄した後、減圧乾燥すると、1−ヒドロキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(20%)が得られた。δ(400MHz;DMSO)7.64(1H,dd,J 7.6,J 1.5),7.69(1H,dt,J 8.2,J 1.5),7.82(1H,dt,J 7.6,J 1.2),8.13(1H,dd,J 8.2,J 1.2),8.18(1H,d,J 2.5),8.69(1H,d,J 2.5),13.01(1H,bs),13.95(1H,bs);m/z(ES)275(M−H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、ZはC2−6アルキニル、アリール又はヘテロアリールを表し、前記基のいずれも場合により置換されてよく;
は水素、C1−6アルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル(C1−6)アルキル、ジ(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、C2−6アルキルカルボニルオキシ(C1−6)アルキル又はC3−7シクロアルコキシカルボニルオキシ(C1−6)アルキルを表す。]の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
Zが場合により置換されたC2−6アルキニルを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが場合により置換されたアリール又はヘテロアリール部分を表す請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が水素、メチル、エチル、モルホリニルエチル、ジメチルアミノエチル、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル又は1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルである請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(III):
【化2】

(式中、Zは場合により置換されたアリールを表し;
は請求項1に定義した通りである。)の請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(IV):
【化3】

(式中、Rは請求項5に定義した通りであり;
及びRは各々独立してH又は置換基から選択することができる。)の請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式(X):
【化4】

(式中、Zは場合により置換されたヘテロアリールを表し;
は請求項1に定義した通りである。)の請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
下式(XI):
【化5】

[式中、Rは請求項7に定義した通りであり;
はハロゲン、ヒドロキシ、−NO、−NH、ホルミル、C2−6アルキルカルボニル、−COH、C2−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C2−6アルキニル、−CN、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル又は式(II):
−X−R(II)
(式中、Xは結合基であり、Rは比較的疎水性の基である。)の基から選択される。]の請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
1−ヒドロキシ−2−オキソ−5−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸、
1−ヒドロキシ−5−{3−[({[1−(1−ナフチル)エチル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェニル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸、
5−(3−{[(5−ブロモチエン−2−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸、
5−[2−({[(2−クロロベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]−1−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸、
1−ヒドロキシ−5−(2−ニトロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸;
又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
治療用としての請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項11】
ヒト又は動物におけるC型肝炎ウイルス感染の治療又は予防用医薬の製造用としての請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。
【請求項12】
医薬的に許容可能なキャリヤーと共に請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩を含有する医薬組成物。
【請求項13】
抗ウイルス剤等の1種以上の他のウイルス感染治療剤、又はα−、β−もしくはγ−インターフェロン等の免疫調節剤を更に含有する請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
C型肝炎ウイルスポリメラーゼの阻害方法及び/又はC型肝炎ウイルスに起因する疾患の治療もしくは予防方法であって、前記症状をもつヒト又は動物(好ましくは哺乳動物)対象に治療又は予防有効量の請求項12もしくは13に記載の医薬組成物又は請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物もしくはその互変異性体もしくは医薬的に許容可能なその塩を投与することを含む前記方法。
【請求項15】
少なくとも1種の請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又はその互変異性体、又は医薬的に許容可能なその塩を1種以上の医薬的に許容可能なアジュバント、希釈剤又はキャリヤー及び/又は1種以上の他の治療もしくは予防活性剤と混合することを含む医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
式(XIV)の化合物を式(XV)の化合物:
【化6】

(式中、Z及びRは請求項1に定義した通りであり、Rはヒドロキシ保護基を表す。)と反応させた後にヒドロキシ保護基Rを除去することを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項17】
式(XVII):
【化7】

(式中、Z及びRは請求項1に定義した通りであり、RはC1−6アルキルを表す。)の化合物を酸化させた後にR部分を開裂することを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2006−527222(P2006−527222A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515820(P2006−515820)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005971
【国際公開番号】WO2004/110442
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】