説明

抗炎症作用を有するコンジュゲート

【化1】


VIII
本発明は、式I〔式中、Mは、部分構造VIIIで示されるマクロライドサブユニットであり:Lは、部分構造IXもしくはXIIIで示される鎖であり:Zは、抗炎症作用を有するステロイドもしくは非ステロイド系薬物(NSAID)に由来するステロイドもしくは非ステロイドサブユニットである。〕で表される新しい化合物に関する。本発明はまた、このような調製された化合物の医薬上許容される塩および溶媒和物、それらの調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症疾患および状態の治療における改善された治療上の作用および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗炎症性薬剤は、ステロイド型および非ステロイド型の薬剤に分類され得る。ステロイド抗炎症性化合物は、今なお、喘息、アレルギー性鼻炎、鼻ポリーブのような炎症鼻疾患、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎のような腸疾患、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒症、結膜炎、および関節リウマチのような皮膚炎症などの炎症疾患および状態の治療において最も有効な薬剤の一つである。このタイプの薬剤は、優れた効能および有効性に加えて、多数の望ましくない副作用(例えば、糖質代謝の障害、カルシウム再吸収の低下、内因性コルチコステロイド分泌の低下、ならびに脳下垂体、副腎皮質および胸腺の生理機能の障害)を有している。市販されているステロイドは、炎症状態および炎症過程に対して極めて有効である一方、それらの全身性副作用は低減されている。国際公開第94/13690号、国際公開第94/14834号、国際公開第92/13872号および国際公開第92/13873号は、炎症部位に局所適用するために設計された、いわゆる「ソフト」ステロイドもしくは加水分解性コルチコステロイドを記載している一方で、それらの全身性副作用は血清中での加水分解のために低減され、活性なステロイドは極めて迅速に加水分解して不活性型となる。しかし、喘息もしくはクローン病などの疾患を制御するために必要とされる、長期間で連続的な治療に所望しない作用のない理想的なステロイドはまだ見つかっていないため、改良された治療プロファイルを有するステロイドの知見および開発に対して熱心な取り組みが行われている。
【0002】
マクロライド抗生物質は、患者の様々な細胞内で、特に、末梢血単核細胞のような食細胞、ならびに腹腔および肺胞マクロファージ内で選択的に蓄積される。(Gladue, R. P. 他、 Antimicrob. Agents Chemother. 1989, 33, 277−282; Olsen, K. M.他 Antimicrob. Agents Chemother. 1996, 40, 2582−2585)。いくつかのマクロライドの炎症作用が文献に記述されているが、それらの作用は比較的弱い。例えば、エリスロマイシン誘導体(J. Antimicrob. Chemother. 1998, 41, 37−46; 国際公開第00/42055号)およびアジスロマイシン誘導体の抗炎症作用が記述されている(欧州特許Br. 0283055)。いくつかのマクロライドの抗炎症作用は、マウスにおけるザイモサン誘発腹膜炎(J.Antimicrob. Chemother.、1992、30、339−348)もしくはラット気管におけるエンドトキシン誘発好中球蓄積(J. Immunol. 1997, 159, 3395−4005)のようなモデル実験動物を用いたin vitroおよびin vivoの研究からも知られている。インターロイキン8(IL−8)(AM. J. Respir. Crit. Care. Med. 1997, 156, 266−271)およびインターロイキン5(IL−5)(欧州特許第0775489号および欧州特許第771564号)のようなサイトカインに対するマクロライドの調節作用も知られている。
【0003】
その全体を参照することによって本明細書に一体化させた国際公開第02/055531号A1は、式II:
【化1】

II
〔式中、
Mは、炎症細胞で蓄積する性質を有するマクロライドサブユニットをあり、Aは、ステロイド系もしくは非ステロイド系であり得る抗炎症性サブユニットであり、ならびにLは、MおよびAを連結するリンカー分子である〕によって表されるコンジュゲート化合物、(b)それらの薬理学上許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物、(c)それらの調製のための方法および中間体、ならびに(d)ヒトおよび動物の炎症性疾患および状態の治療における使用を開示する。国際公開第WO02/05531号では、コンジュゲートステロイド−マクロライド化合物は、主にマクロライド環のN/9a位でステロイドサブユニットと連結される。
【0004】
それらの全体を参照することによって本明細書に一体化させた米国公開出願第20040014685号および国際公開第WO04/005310号A2は、式III:
【化2】

III
〔式中、
Mは、炎症細胞に蓄積する性質を有するマクロライドに由来するマクロライドサブユニット(マクロライド部分)であり、Sは、抗炎症性作用を有するステロイド薬物に由来するステロイドサブユニットであり、Lは、MとSを連結するリンカー分子である〕に示される化合物、それらの医薬上許容される塩および溶媒和物、それらを調製するための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症性疾患および状態の処置におけるそれらの使用に関する。
【0005】
その全体を参照することによって本明細書に一体化させた米国公開出願第20040077612号は、式IV:
【化3】

IV
〔式中、
Mは、炎症細胞に蓄積する性質を有するマクロライドに由来するマクロライドサブユニット(マクロライド部分)であり、Vは、抗炎症ステロイド系もしくは非ステロイド系サブユニットであるか、または抗腫瘍性もしくは抗ウイルス性サブユニットであり、Lは、MとVを共有結合させる連結基である〕で示される化合物およびそれらの薬理学上許容される塩および溶媒和物、それらの調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症性疾患および状態の治療におけるそれらの使用に関する。
【0006】
それらの全体を参照することによって本明細書に一体化させた米国公開出願第20040097434号および国際公開第WO04/005309号は各号、式V:
【化4】

V
〔式中、
Mは、炎症細胞に蓄積する性質を有するマクロライドに由来するマクロライドサブユニット(マクロライド部分)であり、Dは、抗炎症、鎮痛および/もしくは解熱作用を有する非ステロイド系薬物(NSAID)に由来する非ステロイド系サブユニット(非ステロイド部分)であり、Lは、MとDを共有結合させる連結基である〕で示される化合物およびその薬理学上許容される塩および溶媒和物、それらの調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症疾患および状態の治療におけるそれらの使用に関する。
【0007】
その全体を参照することによって本明細書に一体化させた米国公開出願第20050080003号は、さらにアグリコン型マクロライドサブユニットのN/9a位にL鎖を介して連結させたステロイド系もしくは非ステロイド系抗炎症サブユニットDを有するコンジュゲート化合物を記載する。
【0008】
米国公開出願第20040087517号および国際公開第WO2003/070174号は、トランスポートホア(transportophore)を組み込む結合もしくはリンカーによって共有結合される(i)「トランスポートホア」および(ii)「非抗生物質治療薬剤」のコンジュゲートを開示する。トランスポートホアおよびコンジュゲートは、少なくとも2の免疫選択的な割合を有しなくてはならない。「トランスポートホア」は、その一部が、輸送蛋白質としての物質に類似し、認識されている一部の化合物として広く定義されている。
【0009】
しかしながら、治療作用を有するマクロライドおよびステロイドの新規抗炎症性コンジュゲートが必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
本発明は、構造I:
【化5】

I
〔式中、
Mは、炎症細胞に蓄積する性質を有するマクロライドに由来するマクロライドサブユニットであり、Zは、非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)に由来するステロイド系もしくは非ステロイド系サブユニットのどちらかであり、Lは、MおよびZを連結する鎖である〕によって表されるa)新しい化合物、b)それらの薬理学上許容される塩および溶媒和物、c)それらの調製のための方法および中間体、ならびにd)ヒトおよび動物の炎症疾患および状態の治療におけるそれらの作用および使用に関する。特に、マクロライドサブユニットは、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリトロノリドAもしくはアジトロマイシンアグリコンサブユニットであり、Zへの連結は、アグリコン環のC/11位のヒドロキシ基もしくは9a位の窒素を介してL鎖リンカーを介して生じる。また、特にマクロライドサブユニットは、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリトロノリドAもしくはアジトロマイシンアグリコンサブユニットであり、Zは、ステロイドサブユニットであり、Mへの連結は、17α−ヒドロキシ基を介してL鎖リンカーを介して生じる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
式Iによって表される化合物の性質としては、上述の炎症性疾患および状態における標的器官および細胞での選択的な蓄積である。これらの薬物速度論的な特性は、式Iで表される化合物が炎症中間体の産生を阻害することによって炎症細胞が炎症部位で活性化することを可能にする。このような様式では、コルチコステロイドもしくはステロイド系抗炎症分子の好ましくない全身性副作用が回避され、ステロイドもしくはNSAID部分の治療作用は、最も必要である部位を標的とする。以下の局所性もしくは全身性適用分子は、炎症細胞で急速に蓄積し、サイトカインおよびケモカインならびに/あるいは炎症中間体の産生の阻害によって炎症を抑制することで作用する。
【0012】
当該技術分野の既知もしくは確立された技術常識によると、本発明の目的物である式Iで表される化合物、それらの薬理学上許容される塩、それらを含む医薬組成物、およびそれらを製造する方法は、今まで示されていなかった。本発明の目的物である化合物は、これまでに炎症組織における抗炎症物質もしくは好酸球蓄積の阻害剤のどちらとしても示されていなかった。
【0013】
一の態様では、本発明は、
a)式I:
【化6】

I
〔式中、
Mは、部分構造VIII:
【化7】

VIII
(式中、
、R、R、RおよびRは、相互に独立して、水素であるか、または、C−Cアルキル(好ましくはメチル)、アルカノイル(好ましくはアセチル)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニルもしくはtert−ブトキシカルボニル)、アリールメトキシカルボニル(好ましくはベンジルオキシカルボニル)、アロイル(好ましくはベンゾイル)、アリールアルキル(好ましくはベンジル)、アルキルシリル(好ましくはトリメチルシリル)、アルキルシリルアルコキシアルキル(好ましくはトリメチルシリルエトキシメチル)などの基もしくは式IXで示されるL鎖のXとの共有結合である)を有するマクロライドサブユニットである〕
によって表される化合物に関する。
【0014】
別の態様では、R、R、R、RおよびRは、C−Cアルキルおよび水素から成る群から独立して選択される。
【0015】
別の態様では、R、R、R、RおよびRは、メチルおよび水素から成る群から独立して選択される。
【0016】
別の態様では、R、R、R、RおよびRは、水素である。
【0017】
別の態様では、Rは、Rと一緒になって「橋」(例、環状カルボナートもしくはカルバマート)を形成し得る基であるか、もしくはRは、>NRと一緒になって「橋」(例、環状カルバマート)を形成し得る基である。
【0018】
別の態様では、Rは、式IXで示されるL鎖のX1との共有結合である。
【0019】
Nは、水素、C−Cアルキル基もしくは式IXで示されるL鎖のX1との共有結合である。
【0020】
Lはリンカー鎖である。
【0021】
好ましくは、Lは、部分構造IXもしくはXIII:
-X1-(CH2)m-Q-(CH2)n-X2- IX
-X1-(CH2)m-V-(CH2)p-Q-(CH2)n-X2- XIII
〔式中、
は、−CH−、−CH−NH−、−C(O)−、−OC(O)−、=N−O−、−C(O)NH−もしくは−OC(O)NH−から選択され、
は、−NH−、−CH−、−NHC(O)−、−C(=O)、−OC(O)−、−C(=O)O−、もしくは−C(O)NH−から選択され、
Qは、−NH−もしくは−CH−であり、(ここで、−CH−もしくは−NH−基は各々、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、C(O)NHR、CHC(O)ORによって置換されてもよい)(ここで、Rは、C−C−アルキル、アリールもしくはヘテロアリールであってよい。)、
Vは、−NH−もしくは−NHC(O)−であり、
記号m、nおよびpは、独立して0もしくは1から12までの整数である。ただし、Q=NHである時は、nは0であり得ない〕
を有するリンカー鎖である。
【0022】
連結基の定義は、非ステロイドと式VIIIで示されるマクロライドのコンジュゲートだけではなく、式I内のいくつかのコンジュゲートに適用することが好ましい。当該技術分野で公知のように、他の連結基は、必要なスペーサーを提供するならば使用され、式Iの1つのサブユニットを他のサブユニットに連結する働きがあり得る。例えば、その全体を参照することによって本明細書に一体化された米国特許第6,297,260号に含まれる請求項1および特定のNSAIDリストである。
【0023】
Zは、非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)に由来する非ステロイド系サブユニットもしくはステロイドサブユニット、好ましくは部分構造X:
【化8】

X
〔式中、
、Rは、独立して水素、メチルもしくはハロゲンであり、
は、水素、ヒドロキシル基もしくはハロゲン(好ましくは塩素)であるか、あるいはRが結合される炭素原子と一緒になってC=O(カルボニル)基を形成し、
は、ヒドロキシ、C−Cアルキル(好ましくはメチル)、C−Cアルコキシ(好ましくはメトキシ)、C−Cアルキルヒドロキシ(好ましくはCHOH)、NH−C−Cアルキル(好ましくはNHCH)、CHOC(O)C−Cアルキル(好ましくはCHOC(O)CH)、XC(O)N(R)(ここで、XはSもしくはOであり、RおよびRは独立してC−Cアルキルであるか、あるいはRおよびRは一緒になってC−Cアルキレンである)であるか、あるいはRは、SCHYもしくはCHY(ここで、Yはハロゲン(好ましく塩素もしくはフッ素)である)であるか、あるいはRは、L鎖が式VIIIのマクロライドサブユニットのRに連結されることを条件として、L鎖のXとの共有結合であり、
は、L鎖のXとの共有結合、水素、ヒドロキシ、メチルもしくはC−Cアルコキシ(好ましくはメトキシもしくはn-プロポキシ)であるか、あるいはRは、Rおよび結合するC原子と一緒になってアルキルもしくはアルケニルでさらに一置換もしくは二置換され得る1,3−ジオキソラン環(好ましくは2,2−ジメチルもしくは2−モノプロピルあるいはtrans-プロペニル環)であり、
は、水素、ヒドロキシ、メチルもしくはC−Cアルコキシ(好ましくはメトキシもしくはn-プロポキシ)であるか、あるいはRは、Rおよび結合するC原子と一緒になってアルキルもしくはアルケニルでさらに一置換もしくは二置換され得る1,3−ジオキソラン環(好ましくは2,2−ジメチルもしくは2−モノプロピルあるいはtrans-プロペニル環)であり、
別の態様では、Rは、好ましくはL鎖のXとの共有結合であり、
は、水素もしくはハロゲン(好ましくは塩素)である〕
で示されるステロイドである。
【0024】
別の態様では、本発明は、
【化9】

【化10】

から成る群から選択される式Xの化合物に関する。
【0025】
別の態様では、本発明は、前記化合物の調製方法およびかかる調製に使用されてよい中間体に関する。
【0026】
第3の態様では、本発明は、炎症過程を抑制するのに十分量の1種以上の前記化合物の組み合わせに関する。(例えば、本発明の2種以上のNSAIDコンジュゲート、本発明の2種以上のステロイドコンジュゲート、本発明の2種以上の化合物(少なくとも1種が本発明のNSAIDコンジュゲート、および少なくとも1種が本発明のステロイドコンジュゲート)である。)これらの組み合わせは、炎症疾患および状態を処置する必要がある場合により優れた抗炎症性活性を示す。
【0027】
さらに付加する態様では、本発明は、炎症過程で引き起こされた疾患および状態の治療における前記化合物の使用方法、あるいは前記疾患の治療もしくはかかる治療薬剤の製造における本化合物の使用を方向付けた。
【0028】
さらに本発明の別の態様では、医薬上許容される希釈剤もしくは担体を含めた、本発明の化合物を包含する医薬組成物およびその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物が企図されている。例として、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシビニル重合体およびその塩、アルギン酸およびその塩、アルギン酸プロピレングリコール、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド重合体、ポリビニルメタクリル樹脂、ポリエチレングリコール、プルロニック、ゼラチン、メチルビニルエーテル−マレイン酸無水物共重合体、デンプン、可溶性デンプンクロスカレムロース(croscaremlose)、プルラン、メチルアクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルレシチンの共重合体、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルポリオキシエチレン水和ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびプルロニックを含むが、これらに限らない。希釈剤を使用する場合の適切な緩衝液系は、pH4から8の範囲であり、タノール(thanol)およびイソプロパノールのような低分子アルコールと一緒に使用される。保存剤およびマスキング剤の使用が適する。
【0029】
さらなる本発明の別の態様においては、TNF−αおよびIL−1の過剰分泌によって誘発されるもしくは関連する望まない炎症免疫応答ならびに全ての疾患および状態に特徴もしくは関連付けられる炎症性疾患、障害および状態を治療する方法であって、本発明で示される化合物の治療上有効な量を患者に投与することを含む方法である。
【0030】
さらに本発明の別の態様は、治療を必要とする患者の炎症を生じた組織への白血球の浸潤に関連する炎症状態ならびに免疫性もしくはアナフィラキシー性疾患を治療する方法であって、本発明の化合物の治療上有効な量を該患者に投与することを含む方法である。
【0031】
さらに発明の別の態様において、本発明の化合物によって治療される炎症状態および免疫疾患は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、嚢胞性線維症、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風性関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位大腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、心筋梗塞損傷、慢性、内毒素性ショック、および平滑筋増殖障害から成る群から選択される。
【0032】
さらに本発明の別の態様において、本発明の化合物によって治療される炎症状態および免疫疾患は、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、クローン病、炎症性腸疾患、内毒素性ショック、および平滑筋増殖障害から成る群から選択される。
【0033】
本発明の別の態様においては、過剰で制御されないサイトカインもしくは炎症性中間体の産生によって特徴もしくは関連付けられる炎症性疾患、障害および状態を治療する方法であって、本発明で示される化合物の治療上有効な量を患者に投与することを含む方法である。
【0034】
記号M、LおよびZは、式Iで示される化合物の3種の異なるサブユニットである。記号Mは、マクロライドサブユニットであり、記号Zは、L鎖を介してマクロライドサブユニットMと連結されたステロイドもしくは非ステロイドサブユニットである。
【0035】
式Iでは、Zは、非ステロイド系抗炎症性サブユニット、すなわち非ステロイド系薬物(NSAID)部分であり得る。適切なNSAIDは、プロスタグランジンの生合成に関与する酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害する化合物、および様々なシクロオキシゲナーゼのイソ酵素(シクロオキシゲナーゼ−1および−2を包含するが、これらに限らない)の阻害剤を含むある種のオータコイド阻害剤を包含するが、これらに限らず、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの双方の阻害剤は、市販のNSAIDアセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロ−ル、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸−2−アミノ−4−ピコリン酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アミノプロフェン、アムフェナク、アムピロン、アムピロキシカム、アニレリジン、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α−ビサボロ−ル、ブロムフェナク、5−ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、クロモグリク酸、シンメタシン、クリンダナク、クロピラック、ナトリウムジクロフェナク、ジフルニサ−ル、ジタゾ−ル、ドロキシカム、エンフェナム酸、エトドラック、エトフェナメ−ト、フェルビナク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンドサ−ル、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノ−ル、フルフェナク、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン、サリチル酸グリコール、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メチアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ミコフェノ−ル酸、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ニメスリド、オルサラジン、オキサセプロ−ル、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルアセタモ−ル、パルサルミド、ペリソキサ−ル、フェニル−アセチル−サリチラート、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、レセルベラト−ル、サ−ルアセトアミド、サリチルアミド、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサラ−ト、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、タモキシフェン、テノキシカム、テオフィリン、チアプロフェン酸、チアルアミド、チクロプリジン、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロ−ル、ザフィルルカストおよびシクロスポリンなどの非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)に関する。追加のNSAID類および個々のNSAID化合物は、その全体を参照することによって本明細書に一体化させた米国特許第6,297,260号(特に、その請求項1の一般式およびそこに含まれるNSAIDの具体的なリストならびに請求項3)で開示され、チアズリデンNSAIDは、その全体を参照することによって本明細書に一体化させた国際特許出願WO01/8789に開示された。好ましくは、フルフェナム酸、フルニキシンおよびセレコキシブである。一部の具体例では、NSAIDサブユニットは、アセチルサリチル酸でもミコフェノール酸でもない。
【0036】
式Iでは、Zはまた、コルチコステロイド(糖質コルチコイドおよび電解質コルチコイドなど)およびアンドロゲンを含むが、これらに限らないステロイドサブユニットである。コルチコステロイドの非限定的な例としては、コルチゾール、コルチゾン、クロベタソール、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタソン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルトロン、フルオロメトロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6−アルファ−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタソン、ベクロメタソン、ベタメタソン、ブデソニド、デキサメタソン、アムシノニド、コルチバゾール、デソニド、デソキシメタソンジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロンおよびジクロリソン、フルペリニデン、フルチカソン、ハルシノニド、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメタソン、プレドナゾリン、プレドニリデン、チキソコルトール、トリアムシノロン、およびそれらの酸誘導体(例えば、酢酸、プロピオン酸、ジプロピオン酸、吉草酸、リン酸、イソニコチン酸、メタスルホ安息香酸、テブト酸、およびヘミコハク酸)を含む。
【0037】
別段の記述がない限り、次の用語は以下の意味を有する。
【0038】
「ハロゲン」は、好ましくはフッ素、塩素もしくは臭素(最も好ましくはフッ素もしくは塩素)であり得るハロゲン基を意味する。
【0039】
「アルキル」は、1から10個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子である、直鎖もしくは分岐鎖の飽和一価炭化水素基を意味する。好ましい直鎖もしくは分岐鎖アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを含む。C−Cアルキルが好ましい。メチルが最も好ましい。アルキル基は、ハロゲン(好ましくはフッ素もしくは塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくはメトキシもしくはエトキシ)、アシル、アシルアミノシアノ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくはN−メチルアミノもしくはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ(好ましくはジメチルアミノもしくはジエチルアミノ)、アリール(好ましくはフェニル)もしくはヘテロアリール、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールオキシアリール、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシルシクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環、カルボキシル置換複素環、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、およびオキシカルボニルアミノを含む1から5個までの置換基で置換され得る。このような置換アルキル基は「アルキル」の本定義内である。アルキルの本定義は、アルコキシもしくはアルカノイルのようなアルキル部分を有する他の基にも適用する。
【0040】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素の二重結合を有する2から10個およびより好ましくは2から6個の炭素原子を有する、直状もしくは分岐状の一価炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基は、アルキルのような同一基で置換され、このような置換されていてもよいアルケニル基は、「アルケニル」という用語の範囲に包含されてよい。エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが好ましい。
【0041】
「アルキニル」は、少なくとも1個および好ましくは3個またはそれ以下の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖もしくは分岐鎖の2から10個、好ましくは2から6個の炭素原子を有する直状もしくは分岐状の一価炭化水素ラジカルを意味する。アルキニル基は、アルキルのような同一基で置換され、置換基は、ここでのアルキニルの定義内であり得る。エチニル、プロピニルおよびブチニル基が好ましい。
【0042】
「シクロアルキル」は、アリール基もしくはヘテロアリール基に縮合されてもよい単環を有する3から8個の炭素原子である環状基を意味する。シクロアルキル基は、以下に規定した「アリール」と置換され得、置換されたシクロアルキル基は、「シクロアルキル」の本定義内である。好ましいシクロアルキルは、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0043】
「アリール」は、フェニルのような単環もしくはナフチルのような多縮合環を有し、6から14個の炭素原子を有する、不飽和芳香族炭素環基を意味する。アリールは、さらに脂肪族もしくはアリール基に縮合されてもよく、またはハロゲン(フッ素、塩素および/もしくは臭素)、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシもしくはアリールオキシ、C−Cアルキルチオもしくはアリールチオ、アルキルスルホニル、シアノあるいは第一級アミノもしくは第一級でないアミノのような1種以上の置換基で置換され得る。
【0044】
「ヘテロアリール」は、2から10個の炭素原子および1から4個のO、SもしくはNのようなヘテロ原子を有する、単環または二環の芳香族炭化水素環を意味する。ヘテロアリール環は、別のヘテロアリール、アリール、もしくは脂肪族環状基に縮合されていてもよい。この型の例は、フラン、チオフェン、イミダゾール、インドール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、ピロール、ピラゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンであり、フラン、ピロール、ピリジンおよびインドールが好ましい。該用語は、上記のアリールに関して規定した同一置換基で置換される基を含む。
【0045】
「複素環」は、単一もしくは複数の環を有し、1から10個の炭素原子、ならびに窒素、硫黄もしくは酸素から選択される1から4個のヘテロ原子を有する、飽和もしくは不飽和基を意味する。ここで、縮合環系において他の環(複数も可)がアリールもしくはヘテロアリールであり得る。複素環は、規定されたアルキル基に置換されることが可能で、そうして置換された複素環基は、本定義の範囲内である。
【0046】
が共有結合である時、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットZは、Rを介してL鎖に結合してマクロライドサブユニットMのRに結合する。
【0047】
が共有結合である時、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットZは、Rを介してL鎖に結合してマクロライドサブユニットMに結合する。
【0048】
が共有結合である時、マクロライドサブユニットMは、Rを介してL鎖に結合し、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットZに結合する。
【0049】
が共有結合である時、マクロライドサブユニットMは、Rを介してL鎖に結合し、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットZに結合する。
【0050】
特定された薬理活性を有する式Iで表される化合物の調製時に、本発明では、いくつかの新しい化合物が、薬理学的な活性を有する化合物の調製中に中間体として調製された。本発明はこのような中間体にも関する。
【0051】
用語「塩」は、酸付加塩もしくは遊離塩基の付加塩を含み得る。医薬上許容される酸付加塩を調製するのに使用されてよい酸の例は、硝酸、リン酸、硫酸、または臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸に由来する塩、ならびに脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族酸スルホン酸、芳香族酸スルホン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、もしくはクエン酸などの無毒性有機酸に由来する塩を含むが、これらだけに限らない。このような塩の非限定的な例は、ナパジシル酸塩、ベシル酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、およびその類似塩を含む。アルギン酸のようなアミノ酸の塩およびその類似の塩、グルコン酸、およびガラクチロン酸もまた企図される(例えば、Berge S. M.ら 」Pharmaceutical Salts,」 J. of Pharma. Sci., 1977; 66:1を参照)。
【0052】
該塩基性化合物の酸付加塩は、慣用的な方法で塩を生成する所望する十分な量の酸と遊離酸の形態を接触させることによって調製される。遊離塩基の形態は、塩基と塩の形態を接触させ、慣用的な方法で遊離の塩基を単離することによって再生され得る。遊離塩基の形態は、極性溶媒への溶解性などの特定の物理的特性において個々の塩の形態といくらか異なるが、その他の点では、これらの塩は、本発明の目的において個々の遊離塩基に等価である。
【0053】
医薬上許容される塩基付加塩は、アルカリおよびアルカリ土類などの金属もしくはアミン、あるいは有機アミンと一緒に形成される。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびその類似物である。適切なアミンの例は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインである。
【0054】
該酸性化合物の塩基付加塩は、慣用的な方法で塩を生成する所望する十分な量の塩基と遊離酸の形態を接触させることによって調製される。遊離酸の形態は、酸と塩の形態を接触させ、慣用的な方法で遊離の酸を単離することによって再生され得る。
【0055】
用語「医薬上許容される」は、本発明の組成物に関連して使用される場合、哺乳類動物(例えば、ヒト)に投与された時に、生理的に許容され、典型的な有害反応を生じないような組成物の分子実体および他の要素を意味する。好ましくは、本明細書における用語「医薬上許容される」は、哺乳類、とりわけヒトへの使用に対して、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって認可されている、あるいは米国薬局方もしくは他の一般的な米国認可薬局方に登録されていることを意味する。
【0056】
本発明の医薬組成物に適用される用語「担体」は、活性化合物と一緒に投与される希釈剤、賦形剤もしくはビヒクルを意味する。このような治療担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、胡麻油などの石油、動物、植物もしくは合成起源油を包含し、水、生理食塩水、ブトウ糖水溶液、グリセロール水溶液、および油などの滅菌液体であり得る。しかし、メマンチンは可溶性が高いため、水溶液が好ましい。適切な治療担体が、E.W. Martin著 」Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版に記載されている。本発明にとって特に好ましい適合担体は、短時間作用型の担体、すなわち、60分以下の短時間でほぼ全ての活性化合物を放出し、急速な薬物の吸収を可能にする担体である。
【0057】
本発明はまた、式Iで表される化合物もしくはそれらの塩によって形成される溶媒和物(好ましくは水和物)を包含する。
【0058】
本発明はまた、式Iの個々の化合物によって形成され得る全ての可能な互変異性体に関する。
【0059】
本発明はまた、式Iの化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳類を対象として投与した時にin vivoで式Iによる活性な親ドラッグを遊離する化合物を包含する。式Iで示される化合物のプロドラッグは、修飾物質がin vivoで開裂されて親化合物を放出するような方法において、式Iの化合物に存在する機能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、式Iの化合物を含み、ここで、式Iの化合物のヒドロキシ基、アミノ基、もしくはカルボキシ基は、in vivoで開裂されてそれぞれ遊離のヒドロキシ基、アミノ基、もしくはカルボキシ基として再生し得る任意の基に結合される。プロドラッグの例は、式Iで示される化合物のエステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステルの誘導体)を含むが、これらに限らない。
【0060】
式Iに示される化合物は、一種以上のキラル中心を有し、個々の置換基の性質に依存して、それらはまた幾何異性体を有し得る。空間内におけるそれらの原子の配列が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれている。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」、重ね合わせることが出来ない互いに鏡像であるものは、「鏡像異性体」と呼ばれている。化合物が1個のキメラ中心を有する時、一組の鏡像異性体が存在し得る。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対位置によって特徴付けられ、カーンおよびプレローグのR−、S−順位則、またはその分子が偏光面を回転する仕様によって、右旋性もしくは左旋性(すなわち、それぞれ(+)異性体もしくは(−)異性体)と呼ばれる方法によって記述される。キメラ化合物は、各々の鏡像異性体もしくは鏡像異性体の混合物のどちらかとして存在し得る。鏡像体を同比率含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。本発明は、式Iで示される各異性体全ての化合物を包含する。本明細書および特許請求の範囲における各化合物の記述もしくは名称は、それら各々の鏡像異性体および混合物、ラセミ体または他のものを含むと意図される。立体化学の決定および立体異性体の分離の方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0061】
「医薬上許容される賦形剤」は、一般的に安全で、無毒性で、および生物学的にもその他の点でも所望しないことはない医薬組成物を調製する際に利用する賦形剤を意味し、ヒト用薬剤使用と同様に家畜への使用に許容される賦形剤を包含する。本出願で使用される「医薬的に許容される賦形剤」は、一種以上のこのような賦形剤を包含する。
【0062】
ある状況、障害、もしくは状態を「治療すること」もしくは「治療」は、以下のことを含む:
(1)その状況、障害、もしくは状態の臨床症状もしくは準臨床症状をまだ経験もしくは示していないが、その状況、障害、もしくは状態に苦しみやすい、または罹患しやすい哺乳動物において発展するその状況、障害、もしくは状態の臨床症状の発症を防止することもしくは遅延させること、
(2)その状況、障害、もしくは状態を抑制すること、すなわち、その疾患、またはその少なくとも一つの臨床症状もしくは準臨床症状の発症を阻止することもしくは軽減すること、あるいは
(3)その疾患を緩和すること、すなわち、その状況、障害、もしくは状態、またはその臨床症状もしくは準臨床症状のうちの少なくとも一つを軽減すること。
治療される患者への利益は、統計学的に有意であるか、あるいは少なくとも患者もしくは医師に認知可能であることである。
【0063】
「治療上有効な量」は、その状況、障害、もしくは状態を治療するために哺乳類に投与された時、かかる治療に効果をもたらす十分な化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、化合物、疾患およびその程度、年齢、体重、身体状態、ならびに治療対象の哺乳動物の応答性に依存して変化するであろう。
【0064】
急性炎症に示される4つの古典的症状は、患部の発赤、温度上昇、腫脹および疼痛、ならびに患部器官の機能喪失である。特定の状態に関する炎症の症状および徴候は以下のものを含む:
・関節リウマチに関連する関節の疼痛、腫脹、熱感および圧痛;全身の硬直および朝の硬直。
・インシュリン依存性糖尿病インシュリン炎;この状態は、網膜症、神経障害、腎症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、および脳血管疾患を含める炎症性要素を伴う様々な合併症を引き起こし得る。
・自己免疫性甲状腺炎−虚弱、便秘、息切れ、顔、手および足の腫れ、末梢性浮腫、徐脈。
・多発性硬化症−痙縮、視覚異常、めまい、四肢の衰弱、感覚異常。
・ブドウ膜網膜炎−夜間視力の減退、周辺視力の喪失
・紅斑性狼瘡−関節痛、皮疹、光過敏症、発熱、筋肉痛、手および足の腫れ、尿検査結果の異常(血尿、円柱尿、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血栓症、心膜炎。
・強皮症−レイノー病;手、腕、下肢および顔の腫脹、皮膚肥厚、指および膝の疼痛、腫脹、および硬直、胃腸管機能障害、拘束性肺疾患;心膜炎;腎不全。
・脊椎リウマチ、変形関節炎、敗血症関節炎、および多発関節炎のような炎症性要素を有する他の関節炎状態−発熱、疼痛、腫脹、圧痛。
・髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症脳炎のような他の炎症性脳障害−光恐怖症、認知機能障害、記憶喪失。
・網膜炎のような他の炎症性眼炎症−視力減退。
・湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎)、乾癬、紫外線(太陽光線および類似のUV源)によって誘発される日焼けのような炎症性皮膚障害−紅斑、疼痛、落屑、腫脹、圧痛。
・クローン病、潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患−疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎。
・喘息−息切れ、喘鳴。
・アレルギー性鼻炎のような他のアレルギー障害−くしゃみ、そう痒、鼻水。
・脳卒中後の大脳損傷のような急性外傷に関連した状態、知覚喪失、運動性喪失、認知喪失。
・心筋虚血を原因とする心臓組織損傷−疼痛、息切れ。
・成人呼吸窮迫症候群で生じるような肺損傷−息切れ、過呼吸、酸素化能の低下、肺浸潤。
・敗血症、敗血症ショック、毒素ショック症候群のような炎症を伴う感染症−発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球増加。
・特定の器官もしくは組織に関連した他の炎症性疾患、例えば、腎炎(例えば、糸球体腎炎)−乏尿、尿検査結果の異常。
虫垂炎−発熱、疼痛、圧痛、白血球増加。
痛風−関連した関節の疼痛、圧痛、腫脹および紅斑、血清および/もしくは尿中の尿酸上昇。
胆嚢炎−腹痛、圧痛、発熱、悪心、白血球増加。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)−息切れ、喘鳴。
うっ血性心不全−息切れ、ラ音、末梢性浮腫。
II型糖尿病−心血管疾患、眼疾患、腎臓疾患、および末梢血管疾患を含む末端器官合併症、肺線維症−過換気、息切れ、酸素化能の低減。
アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような血管疾患−疼痛、感覚喪失、脈拍減少、機能喪失および移植片拒絶を生じる同種免疫−疼痛、圧痛、発熱。
【0065】
準臨床症状は、臨床症状の徴候に先行して現れ得る炎症に関する診断マーカーを含むが、これだけに限らない。準臨床的症状の1つのクラスは、免疫学的症状であり、該免疫学的症状は、炎症性リンパ球細胞の器官もしくは組織における浸透もしくは蓄積、あるいは器官もしくは組織に特異的な病原体もしくは抗原を認識する活性化した前炎症性リンパ球細胞の局所もしくはその周辺における存在である。リンパ球細胞の活性は、当該技術分野で公知の技術によって測定され得る。
【0066】
治療上有効な量の活性要素を宿主の特定の場所に「送達すること」は、特定の場所において活性要素を治療上有効な血中濃度にすることを意味する。これは、例えば、活性要素を宿主に局所投与もしくは全身投与することによって実現され得る。
【0067】
本明細書で使用される宿主もしくはそれを必要とする患者という用語は、哺乳類、好ましくはヒトを意味する。
【0068】
脱離基という用語は、求核剤によって置換されることが可能な化学基を意味する。このような基の例は、ハロゲン基、メシレート基、トシレート基およびエステル基を含むが、これらに限らない。
【0069】
(調製方法)
本発明のさらなる態様は、以下のa)、b)、c)を含む、式I内の化合物を調製する方法であって:
a)Xが−NH−である式Iで示される化合物に関しては、部分構造XI:
【化11】


(式中、Lはヒドロキシのような脱離基を表す。)のステロイドもしくは非ステロイドサブユニットと部分構造XII:
【化12】

XII

で示されるマクロライドサブユニットのアミノ基との反応を含む、式I内の化合物の調製方法に関する。
【0070】
部分構造XIで示されるステロイドもしくは非ステロイドサブユニットは、市販の製品を入手し、あるいは、部分構造XIIの出発物質マクロライドサブユニットと同様に、それらの全体を参照により本明細書に一体化させた我々の以前の特許出願(クロアチア特許出願HR 20010018;国際公開第02/055531号)、国際公開第04/005309号、国際公開第04/005310号に記載されている類似化合物を調製する方法によって得られた。
【0071】
反応は、一般的にハロゲン化物、混成無水物、特にカルボジイミド((3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)など)およびベンゾトリアゾールのようなステロイド系抗炎症性サブユニットのカルボン酸基を活性化する能力を有する酸誘導体を用いて実施される。この反応は、室温において窒素もしくはアルゴンなどの不活性雰囲気中において有機塩基(例えば、トリエチルアミン)のような塩基の存在下で進行する。反応は、数時間から数日間を要するかもしれない。
【0072】
b)Xが−C(O)NH−であり、Qが−CH−もしくは−NH−であり、Xが−NH−もしくは−NHC(O)−である、式Iによって表される化合物に関しては、下に示すように、マクロライドサブユニットと遊離アミノ基を有する誘導体化ステロイドもしくは非ステロイドサブユニットを反応させることによって調製され得る。
【化13】

【0073】
c)Xが−C(O)NH−であり、Qが−CH−もしくは−NH−であり、Xが−NH−もしくは−NHC(O)−である、式Iによって表される化合物に関しては、下に示すように、マクロライドサブユニットと遊離カルボン酸を有するステロイドもしくは非ステロイドサブユニットを反応させることによって調製され得る。
【化14】

【0074】
ステロイドサブユニットは、かかる基を有するステロイドの21ヒドロキシ基を介してマクロライドに連結され得る。最初に、21−ヒドロキシ基ステロイド環状ケタールが、好ましくはメチレンクロリドのような溶媒和物中で第3アミン塩基もしくはピリジン存在下において、低温(−50度から−100度)で、適切なカルボン酸ハリドもしくは無水物と反応され得る。こうして生成される中間体は、HN−L−Mと反応して式Iで示される化合物を形成する。
【化15】

【0075】
ステロイドサブユニットもまた、ステロイドサブユニットの17位を介してマクロライドに結合されてよい。このような化合物を調製する一つの方法は下記のようである。
【0076】
上下の合成スキームで表されるように、2つの代替的な合成経路がある。一方は、リンカー−マクロライドの一部とカップリングする前に、C17のカルボン酸基を誘導体化してC(O)−Rを形成し、他方は、このようなカップリングの後でのみ同一のカルボン酸基を誘導体化する。
【化16】

【0077】
例えば、Lが−K−NH−(ここで、Kはマクロライドに結合したL分子の一部である)である時、式Iで示される化合物は、マクロライド環上のNH基を誘導体化して末端N−K−NH基とし、誘導体化マクロライドを式Saによって表されるステロイド系抗炎症性サブユニットと反応させることをよって形成され得る。
【化17】

【化18】

【0078】
式Iによって表されるXが−NH−である化合物は、下に示すように、マクロライドサブユニットと−C=C−結合を有するステロイドサブユニットを反応させることによって調製され得る。
【化19】

【0079】
開始ステロイドサブユニットの17位におけるカルボン酸は、NH−L−Mと反応する前に修飾され得る。
【0080】
開始ステロイドサブユニットの17位におけるカルボン酸はまた、NH−L−Mと反応する前に保護され、NH−L−Mと反応した後もしくはエステル化反応後に脱保護され得る。
【0081】
非ステロイド系抗炎症性サブユニットDは、−C(O)L基(遊離カルボン酸基など)を包含、もしくは当該技術分野に公知な方法によって誘導され得る。
【0082】
スキームI
【化20】

スキームIに従い、ヒドロキシル基を有するNSAID化合物は、代替的にピリジンの存在下で無水コハク酸の作用によって誘導体化され、続いてこうして生成される中間体を塩化メチレン中のトリエチルアミン、4−ピロロピリジンと反応させて、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを生成し得る(Huang C.M.他、Chem.&Biol、2000、7、453−461、Hess S.他、Bioorg.&Med. Chem.、2001、9、1279−1291)。こうして生成されるNSAID誘導体は、式VIaのようなリンカーマクロライド化合物に連結され得る。
【0083】
スキームII
【化21】

スキームIIに従い、アミノ基を有するNSAIDは、代替的に、N,N−ジメチルホルムアミド中の水素化ナトリウムおよびtert−ブチルヨード酢酸の作用によって誘導体化されて、NSAIDのブトキシカルボニル誘導体を生成し、さらに塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸と反応して、遊離カルボン酸基を有するNSAIDが生成され得る(Hess S.他、Bioorg.&Med.Chem.、2001、9、1279−1291)。こうして生成されるNSAID誘導体は、式VIaのようなリンカーマクロライド化合物にカップリングされ得る。
【0084】
スキームIII
【化22】

代替的には、アミノ基を有するNSAID化合物は、スキームIIIに従って、ジメチルホルムアミド中のジメチルアミノピリジン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンの存在下、無水コハク酸の作用によって誘導体化され、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを生成し得る(Pandori M. W.他、Chem.&Biol.,2002、9、567−573)。こうして生成されるNSAID誘導体は、式VIaのようなリンカーマクロライド化合物にカップリングされ得る。
【0085】
式Iで示される化合物は、一般的に次のようにして得ることが可能である。L鎖の一末端が、最初にマクロライドサブユニットMに連結され、次に、鎖の他方の末端が、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットDに結合される;あるいは、L鎖の一末端が、最初に非ステロイドもしくはステロイドサブユニットDに連結され、次に、鎖の他方の末端が、マクロライドサブユニットMに結合される。最後に、未形成鎖の一末端が、マクロライドサブユニットMに結合され、未形成鎖の他方の一末端がマクロライドサブユニットMに結合され、未形成鎖の他方末端が、非ステロイドもしくはステロイドサブユニットDに結合され、その後にこれら末端が化学的に結合されてL鎖を形成する。
【0086】
所望しない副作用を抑制するために、例えば、ヒドロキシ基もしくはアミノ基のような特定の基を保護することが高頻度で必要となる。このような基が保護される方法および生じる保護基を開裂させる方法の包括的な考察は、例えば、出典明示により本明細書に一体化させる、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、John Wiley &Son, Inc 、1991年の中のT.W. GreeneおよびP.G.M Wuts、ならびにProtecting Groups、Georg Thieme Verlag、1994年の中のP.J. Kocienskiによって示されている。適切なアミノ保護基の例は、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換型Cbz、ならびに9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)ならびにアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)を含む。適切な酸素保護基の例は、トリメチルシリルもしくはtert−ブチルジメチルシリルのようなアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルもしくはtert−ブチルのようなアルキルエーテル基;あるいは酢酸エステルのようなエステルを含み得る。ヒドロキシ基は、例えば、非プロトン性溶媒中の無水酢酸、無水安息香酸もしくはトリアルキルシリル塩化物の反応によって保護され得る。非プロトン性溶媒の例は、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランおよびその類似物質である。
【0087】
例えば、アミノ基保護の一つの候補は、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)である。トリフルオロ酢酸(TFA)を利用する脱保護が実施例に記述されている。アミノ基およびアルキルアミノ基に対応する保護は、アルカノイル(アセチル)基、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルもしくはtert−ブトキシカルボニル)基、アリールメトキシカルボニル(ベンジルオキシカルボニル)基、アロイル(ベンゾイル)基、およびアルキルシリル(トリメチルシリルもしくはトリメチルシリルエトキシメチル)基である。保護基の脱離条件は、その基の選択性および特性に依存する。従って、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基およびアロイル基のようなアシル基は、塩基(水酸化ナトリウムもしくはカリウム)存在下における加水分解によって取り除かれ、tert−ブトキシカルボニル基もしくはアルキルシリル(トリメチルシリル)基は、対応する酸(塩酸、硫酸、リン酸もしくはトリフルオロ酢酸)によって除去され得る一方で、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル)は、活性炭上のパラジウムのような触媒の存在下における水素化分解によって除去され得る。
【0088】
本発明のさらなる態様は、例えば、経皮的、経口的、口腔的、経直腸的、非経口的、もしくは気道内に適用を要する場合には吸入によって炎症部位に応じて異なる方法で投与され得る、抗炎症性薬剤、抗アナフィラキシー性薬剤および免疫抑制薬剤として式Iで示される化合物を使用する方法に関する。
【0089】
本発明のさらなる態様は、炎症部位に応じて異なる方法で投与され得る、抗炎症性薬剤、抗アナフィラキシー性薬剤および免疫抑制薬剤として式Iで示される化合物を使用する方法に関する。さらに、本発明は、有効量の本発明の化合物ならびに担体もしくは希釈剤のごとき医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0090】
本発明の医薬組成物の調製は、成分を混合、顆粒化、錠剤化、および溶解することを含み得る。化学担体は、固体もしくは液体の形状で存在し得る。固体担体は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸であり得るが、それらだけに限らない。液体担体は、シロップ、オリーブ油、ヒマワリ種子油、もしくはダイズ油のような油、水、または生理的食塩水であり得るが、それらだけに限らない。同様に、担体はまた、モノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルのような活性成分を持続性放出するための成分を含み得る。医薬組成物はいくつかの形態で調製され得る。固体担体が使用される場合、これらの形態として、経口的に投与され得る、錠剤、カプレット、硬ゼラチンカプセル剤、散剤、もしくは顆粒剤を含み得るが、それらに限らない。固体担体の量は様々であり得るが、主に25mgから1gの範囲である。液体担体が使用される場合、製剤は、局所もしくは全身に、例えば、口腔内、鼻腔内、直腸内、腟内に、例えば、経口的に、非経口的に、経皮的に、経粘膜的に投与するシロップ、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、無菌注射剤、または非水性懸濁剤の形態であり得る。「非経口的に」とは、静脈内経路、筋肉内経路、もしくは皮下経路によることを意味する。
【0091】
本発明の化合物の対応調製物は、TNF−αおよびIL−1βを含むが、それだけに限らない、免疫性サイトカインもしくは他の免疫中間体の産生に関連する、異常である、もしくは所望しない(過剰、非制御、もしくは異常制御な)炎症性免疫応答に誘発されるもしくは関連する、いくつかの疾患(病気および他の病理学的な免疫状態)の治療処置(防止、遅延、抑制もしくは軽減)だけでなく予防にも使用され得る。
【0092】
これらの疾患は、関節リウマチ、インシュリン依存性糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、多発性硬化症、ブドウ膜網膜炎、紅斑性狼瘡、強皮症のような自己免疫疾患;脊椎リウマチ、変形関節炎、敗血症関節炎および多発関節炎のような炎症性要素を有する他の関節炎状態;髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症脳炎のような他の炎症性脳障害;網膜炎のような他の炎症性眼炎症;湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性、接触性)、乾癬、UV照射(太陽光線および類似のUV源)によって誘発された日焼けのような炎症性皮膚障害;クローン病、潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患;喘息;アレルギー性鼻炎のような他のアレルギー障害;脳卒中後の大脳損傷、心筋虚血を原因とする心臓組織損傷のような急性外傷に関連した状態;成人呼吸窮迫症候群で誘発される肺損傷;敗血症、敗血症ショック、毒素ショック症候群のような感染を伴う炎症;腎炎(例えば、糸球体腎炎)、虫垂炎、痛風、胆嚢炎、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、II型糖尿病、肺線維症のような特定の器官もしくは組織に関連した他の炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような血管疾患、ならびに移植片拒絶によって誘発される同種免疫を含む。本化合物はまた、気道内に適用を要する時には吸入によって投与され得る。本発明のさらなる目的は、式Iの活性化合物の最適な生物学的利用を実現するための化合物の様々な医薬形態での調製に関する。
【0093】
経皮的もしくは経粘膜的な体外投与のために、式Iで示される化合物は、軟膏剤もしくはクリーム剤、ゲル剤、またはローション剤の形態で調製され得る。軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤は、適切な乳化剤もしくはゲル化剤を添加した水もしくは油性基剤とともに配合され得る。本化合物の製剤は、呼吸吸入に対して特に有効であり、この場合、式Iで示される化合物は、加圧下のエアロゾルの形状によって送達される。多くの粒子を微粒子サイズ5μm以下にするために、例えば、ラクトース中、グルコース中、高級脂肪酸中、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩中、最も好ましくはカルボキシメチルセルロース中において均質化された後に、式Iで示される化合物を微粉砕することが好ましい。吸入製剤用には、エアロゾルが、活性物質を投薬するためのガス状もしくは液状噴霧剤と混合され得る。吸入器、アトマイザーもしくは噴霧器が使用され得る。かかる機器は知られている。例えば、Newmanら、Thorax、1985、40:61−676、Berenberg, M., J.、Asthma USA、1985、22:87−92を参照。バード(Bird)噴霧器もまた使用可能である。米国特許第6,402,733号、米国特許第6,273,086号、および米国特許第6,228,346号も参照。
【0094】
吸入用の構造Iで示される化合物は、好ましくは本明細書で記述されるように微粉砕粒子と一緒に乾燥散剤としての形態である。
【0095】
本化合物は、器官もしくは組織に局在する炎症を治療するための製剤にも組み込まれ得る。例えば、クローン病には経口的もしくは直腸に投与され得る。経口投与用製剤は、炎症部位における化合物の生物学的利用能を可能にする賦形剤に組み込むことが可能である。これは、腸溶性用および遅延性放出用製剤を様々に組み合わせることで実現され得る。式Iの化合物はまた、浣腸の形態で適用される場合、クローン病および腸炎症疾患の治療にも使用され、その分野において既知の適切な製剤形態で使用され得る。
【0096】
本発明で示される化合物の治療上有効な量は、当該技術分野で公知されている方法によって決定され得る。本発明の化合物は、対応する抗炎症性ステロイド系薬物もしくはNSAID薬物単独よりもより効率的に所望する部位に送達されることから、ステロイド系薬物もしくはNSAID抗炎症薬よりも少量のモル基準の化合物が投与され得るが、同程度の治療効果を実現する。さらに、本化合物の投与は、対応するステロイド系薬物もしくはNSAID抗炎症薬より副作用が少ないため、ステロイド系薬物もしくはNSAID量を増加することが可能である。したがって、以下の表は、単なる指針にすぎない。本化合物、その医薬上の塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグの治療上有効な量の閾値は、一般にモル基準上の非ステロイド系抗炎症薬物の治療上有効な量以下である。本化合物、その医薬上の塩、その溶媒和物、もしくはそのプロドラッグの一般的で好ましい有効量を以下の表に示す。
【表1】

【0097】
例えば、プレドニゾンの好ましい量の範囲が、1−50mg/日である場合、1日当たり2.79μmolから139.5μmolの範囲に相当する。本発明によるステロイドマクロライド混合コンジュゲートの初期量の範囲もまた、1日当たりコンジュゲート2.79μmolから139.5μmolである。この用量は、当技術分野における一般的な技術によって本明細書に準じて微調整され得る。
【0098】
本化合物の有効性は、炎症性もしくは抗炎症性の効果を評価するいくつかの方法によって測定され得る。この目的に適切な多くの公知された方法があり、これらは、以下のものに限定しないが、微小気泡注入とコントラスト超音波の併用使用、炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1、IFN−γなど)の測定、活性化免疫系細胞(活性化T細胞、炎症組織もしくは移植組織を特異的に認識する細胞障害性T細胞)の測定、観察(水腫の減少、紅斑の減少、そう痒もしくは灼熱感の減少、体温の低下、罹患器官の機能改善)、ならびに以下に提供するいくつかの方法を含める。
【0099】
本発明で示される化合物の治療効果は、次に示すようなin vitroおよびin vivo実験によって調べられた。
【0100】
本発明で示される化合物の有益な抗炎症性効果が、次に示すようなin vitroおよびin vivo実験で調べられた。
【0101】
経口投与薬剤は、腸の炎症部位で化合物の生物利用能を有効にするように設計され得る。これは遅延放出性製剤の異なる組み合わせによって達成され得る。式Iで示される化合物は、適切な製剤として浣腸の形態に適用される場合、クローン病および腸炎症疾患の治療にも使用され得、そのために適切な処方が使用されうる。本発明で示される化合物の対応調製物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎や鼻ポリープのような炎症性鼻疾患、クローン病、大腸炎、腸炎、潰瘍性大腸炎のような腸疾患、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、そう痒症のような皮膚炎症、結膜炎、および関節リウマチを含めて、いくつかの疾患および病理的な炎症性状態の治療だけでなく予防(上記の「治療」の定義に関して考察、定義された一以上の臨床症状もしくは悪臨床症状の防止、遅延、および再発の抑制を含めるが、これらだけに限らない)処置に使用され得る。
【0102】
本発明で示される化合物の生物学的効果は、以下のin vitroおよびin vivo実験で調べられた。
【0103】
ヒト糖質コルチコイド受容体に対する結合アッセイ
ヒト糖質コルチコイド受容体のアルファイソ型遺伝子を逆ポリメラーゼ鎖反応法によってクローニングした。全RNAを製造業者の取扱い説明書(イタリア、ミラノのQiagen社)に従ってヒト末梢血リンパ球から単離し、AMV逆転写酵素(スイス、バーゼルのRoche社)によってcDNAに転写し、この遺伝子を特異的プライマー1)5’ATATGGATCCCTGATGGACTCCAAAGAATCATTAACTCC3’および2)5’ATATCTCGAGGGCAGTCACTTTTGATGAAACAGAAG3’によって増幅した。得られた反応産物をBluescript KSプラスミド(米国カリフォルニア州ラホーヤのStratagene社)のXhoI/BamHI部位にクローン化し、M13およびM13revプライマー(スイス、バルガッハのMicrosynth社)を用いるジデオキシ蛍光法によって配列を決定して、さらにpcDNA3.1 Hygro(+)plazmid(Invitrogen社)のXhoI/BamHI部位にクローン化した。1x10個のCOS−1細胞を10%FBS(Biowhitaker社)含有DMEM培地(米国カリフォルニア州カールズバッドのLife Technologies社)を分注した12穴プレート(Falcon社)上に蒔き、37℃、5%CO雰囲気中で、70%の集密度まで培養した。培地を除去し、DMEM500μ1中のDNA1μg、PLUS試薬7μ1、およびリポフェクタミン2μl(Life Technologies社)を各穴に添加した。細胞を37℃、5%CO雰囲気中で培養し、5時間後に同体積の20%FBS/DMEMを添加した。24時間後、培地を完全に交換した。トランスフェクション48時間後、異なる濃度の試験化合物およびDMEM培地中の24nM〔H〕デキサメタゾン(米国ニュージャージー州ピスカタウエイのPharmacia社)を添加した。細胞を37℃、5%CO雰囲気中で90分間培養し、4℃(pH7.4)に冷却したPBS緩衝液(米国ミズーリ州セントルイスのSigma社)で3回洗浄し、0.2%SDS(米国ミズーリ州セントルイスのSigma社)含有トリス緩衝液(pH=8.0)(米国ミズーリ州セントルイスのSigma社)に溶解した。UltimaGold XR(オランダ、グロニンゲンのPackard BioScience社)シンチレーション液の添加後、残留放射能をTricarb(Packard社)β−シンチレーションカウンターで読み取った。
【0104】
化合物7および10は、糖質コルチコイド受容体を放射性デキサメタゾンに置換する測定法から、糖質コルチコイド受容体に結合能を有する。本発明の他の化合物も、この測定法で試験すると同様な結果を示すであろう。
【0105】
アポトーシス誘導の結果としてのマウスT細胞ハイブリドーマ13増殖阻害アッセイ
10%FBS含有RPMI培地(ザグレブのInstitute of Immunology)中の3種類の試験ステロイド希釈液を96穴プレートに分注した。各濃度の化合物を含む溶液に1穴あたり20000細胞の割合で添加し、37℃、5%CO雰囲気中で一晩培養した。次に、1μCiの〔H〕チミジン(米国ニュージャージー州ピスカタウエイのPharmacia社)を添加し、この混合液をさらに3時間培養した。GF/Cフィルター(Packard社)に真空を適用することによって細胞を回収した。各穴に30μlずつのMicroscynt O シンチレーション液(Packard社)を添加し、取り込まれた放射性をβ−シンチレーションカウンター(Packard社)で測定した。糖質コルチコイドによるアポトーシス誘導の特異性は、強力な糖質コルチコイド受容体阻害剤であるミフェプリストン(米国ミズーリ州セントルイスのSigma社)で増殖抑制を阻害することによって示された。
【0106】
化合物7、9および10は、1μMから1nMの範囲においてT細胞ハイブリドーマ13増殖の阻害を示す。本発明の他の化合物もまた、この測定法で測定される抗増殖活性を表すであろう。
表1a、T細胞ハイブリドーマ13測定法におけるIC50
【表2】

IC50値をグラフパッドプリズムソフトウエア(GraphPad Prism Software)を使用して計算した。
IC50値2μM以下の化合物全てを活性があるとした。
【0107】
γコンカナバリン−A誘発マウス脾細胞によるインターロイキン4、インターロイキン5およびインターフェロン産生阻害の測定
脾細胞は、チオペンタール注射(クロアチア、ザグレブのPliva社)で安楽死させたBalb/Cマウスの脾臓から単離された。脾臓を細かく刻み、単核細胞をHistopaque 1083(米国ミズーリ州セントルイスのSigma Diagnostics社、カタログ番号1083−1)で分離した。96穴プレートにおいて、RPMI培地(クロアチア、ザグレブのInstitute of Immunology)で希釈した化合物を同一培地中で10%胎児ウシ血清(Biowhittaker社)および細胞(1穴200000個)と一緒にピペットで混合し、コンカナバリン−A刺激物質(Sigma社、2002−2003のカタログ番号C5275)を最終濃度5μg/mlとなるように添加した。本化合物の希釈の代わりに、陽性対照は、10%胎児ウシ血清含有RPMI培地および同一濃度のコンカナバリン−Aから成り、細胞を37℃、95%の湿度および5%CO雰囲気中で72時間培養した。サイトカインを調べるまで細胞を−70℃で凍結した。
【0108】
サイトカインのインターロイキン4、インターロイキン5およびインターフェロンを製造業者(R&D)の推奨に従って特異的なELISA法で測定した。
阻害(比率として)を次の式で計算した。
%inh=(1−〔サンプルのサイトカイン濃度〕/〔陽性対照のサイトカイン濃度〕)100
化合物10は、1μMから1nMまでの濃度においてサイトカインの産生を阻害する。
【0109】
マウスにおける肺の好酸球増多症モデル
体重20−25gのBalb/Cマウスの雄を無作為にグループ分けし、0日目および14日目に卵白アルブミン(OVA、Sigma社)を腹腔内に注射することによって感作させた。20日目に、マウスをOVA(陽性対照もしくは試験グループ)もしくはPBS(陰性対照)のi.n.(鼻腔内)投与による誘発試験にかけた。OVAの鼻腔内投与48時間後に、マウスを麻酔し、肺を1mLのPBSで洗浄した。細胞をサイトスピン3細胞遠心機(Shandon社)によって分離した。細胞をDiff−Quick(Dade社)で染色し、好酸球の割合を少なくとも100細胞毎の分別計数によって調べた。
【0110】
ベクロメタゾン(Pliva d.d.社)を陽性対照および陰性対照と一緒に標準物質として使用した。この化合物を誘発試験の2日前から試験の終了まで毎日異なる用量で鼻腔内もしくは腹腔内に投与した。
【0111】
コルチコステロンレベルは、各マウス由来の血漿からコルチコステロン測定用キット(R&D社)を用いて測定された。基準として用いたベクロメタゾン(鼻腔内に1mg/kg)がコルチコステロンレベルを有意に抑制したのに対して、化合物10(鼻腔内に2mg/kg)はコルチコステロンレベルに対して効果がなかった。
【0112】
化合物10はまた、陽性対照と比較して肺の洗浄液中の好酸球数を統計的に有意に減少させた(t−検定、p<0.05)。同様の結果は、本発明の他の化合物でも観察されるであろう。
【0113】
スプラーグ−ドーリーの雄ラットにおけるハズ油誘発耳浮腫
試験物質および参考物質、ならびに担体(アセトン)を各ラットの右耳の内側表面および外側表面に、ハズ油誘発30分前に1耳あたり60μL(各表面に30μL)の容量で、自動ピペットを用いて局所的に投与した。試験物質をアセトン中の2もしくは5mg/耳/60μLの用量で投与した。
【0114】
デキサメタゾンをアセトン中の1mg/耳/60μLの用量で投与した。30分後、アセトン中の20%ハズ油乳剤を局所的に各ラットの右耳の内側表面および外側表面に、60μL/耳(30μL/表面)の体積で自動ピペットを用いて投与した。誘発5時間後に、ラットを100%CO雰囲気中で窒息死させた。耳浮腫の程度を評価するために、左右の耳介の外側から8mm円形を切り取って重さを測定した。浮腫の程度を、処置した耳に由来する8mm円形の重さから未処置の耳のそれを差し引くことで計算した。処理されたラットにおける浮腫の阻害をコントロールラットにおける浮腫の阻害(0%)に対する百分率として表わす。
【0115】
参考物質であるデキサメタゾンは、局所的に1回(1mg/耳)投与されると、耳浮腫を85.77%まで有意に減少させた(ノンパラメトリック分散分析のよるとp<0.05、n=8)。試験物質である化合物10は、局所的に1回2mg/耳の用量で投与されると、耳の浮腫を51.58%まで有意に減少させ(ノンパラメトリック分散分析によるとp>0.05、アンペアード(unpaired)t−検定によるとp=0.0285、n=8)、および局所的に1回5mg/耳の用量で投与されると、耳の浮腫を85.53%まで有意に減少させた(ノンパラメトリック分散分析によるとp<0.05、n=8)。
【0116】
別の実験では、化合物17が、局所的に5mg/耳の用量で1回投与されると、耳浮腫を76.59%まで有意に減少させた(Tukey−Kramer多重比較試験による分散分析、p<0.01、n=8)。
皮下スポンジ移植モデル
【0117】
このモデルでは、スプラーグ−ドーリーラットにおいて、局所的炎症を起こした後に、血漿コルチコステロン濃度および胸腺の重量に対する化合物の影響を調べるとともに、新しく形成された肉芽組織を調べた。スプラーグ−ドーリーラットをフランス、リヨンのIffa Credo社より購入し、10週齢の雄ラットを使用した。PVAスポンジ材質の5mm厚板を購入した(クロアチアのOriolik社)。スポンジ板を適当な穿孔機で14mm円板に切った。最初にこれらの円板を水道流水で前洗浄し、続いて脱塩水にし、最後にPursept溶液(ドイツのMerz Hygiene社)に1時間浸した。その後、それらを脱塩水でよく洗浄し、乾燥させて、80℃で2時間加熱し、滅菌条件下で保存した。全ての物質をメタノールに溶解し、滅菌スポンジ上で使用し、スポンジ移植前に層流キャビネットで乾燥させた。ジプロピオン酸ベクロメタゾンを2もしくは10mg/0.3mL/スポンジで適用する一方で、化合物10を1回10mg/0.3mL/スポンジの用量で投与した。
【0118】
0日目に、ラットを麻酔誘発室(米国のStoelting社)中で送達されるイソフルラン(米国のAbbott Laboratories 有限会社)および5%酸素の吸入によって麻酔をかけた。ガス洗浄をFluovac240V装置(英国のInternational Market Supply社)によって施した。ガス麻酔マスク(米国のStoelting社)を利用して麻酔を維持し、ペダル反射応答を定期的にチェックした。移植部位を切り取り、Pursept溶液(ドイツのMERZ Hygiene社)で殺菌した。厳格な無菌操作に従って、左右肩甲部の真下に2つの1cm長の皮膚切開を作成した。小さな皮下ポケットを左傷口の左側および右傷口の右側に平滑末端の鉗子を用いて作成した。全てのラットにおいて、担体もしくは溶解した試験物質を含ませたスポンジを左側に挿入し、未処理のスポンジを右側に挿入した。皮膚を縫合で閉じ、Pursept溶液で殺菌した。7日目のラットをチオペンタール(PLIVA;0.5mL/100g体重)の腹腔内投与によって麻酔し、頸動脈を穿刺することで失血させた。
【0119】
血を血漿コルチコステロン濃度分析用にVacutainer管(米国のBecton Dickinson社)に採取した。血漿中のコルチコステロンレベルをコルチコステロン定量測定用R&D System社のキットを用いて測定した。アルカリホスファターゼ抱合コルチコステロンを競合物質として競合ELISAを行った。サンプルを2時間培養し、一連の洗浄後、基質を添加した。1時間後に吸光度を405nmで測定した。OD値は増加するコルチコステロン濃度と逆の相関関係にある。コルチコステロン標準濃度希釈物を用いて作成された較正曲線を用いてコルチコステロン濃度を計算した。
【0120】
胸腺の重量を測定するために、胸腺を摘出し、化学天秤で重量を測定した。処理されたラットにおける胸腺の大きさの減少をコントロールラットにおける大きさの減少(0%)に対する百分率として表した。
【0121】
新しく形成された肉芽組織を測定するために、スポンジを慎重に切除し、各スポンジを滅菌した外科用はさみで穴を開け、遠心中にファルコンチューブの上に保つようにした。チューブを遠心した(1000rpmで10分間)。スポンジを滅菌器に入れ、60℃で加熱して乾燥させた。24時間後、新しく形成された肉芽組織を測定するためにスポンジの重量を化学天秤で測定した。処理スポンジを同一動物の反対側の未処理スポンジの重量と比較した。胸腺およびスポンジの重量を比較するためにTukey−Kramerの多重比較法と併用して一元分散分析(ANOVA)を使用した。コルチコステロン濃度比較のためにDunnの多重比較法を併用するノンパラメトリックANOVA−Kruskal−Wallis法を実施した。有意性のレベルをp<0.05に設定した。
【0122】
スポンジ移植後7日目に、1回10mg/スポンジの用量で投与した化合物10では、未処理および担体スポンジと比較すると、肉芽組織形成の有意な減少が示された。担体と比較すると、2および10mg/スポンジいずれの用量にても、スポンジ移植7日後に、ベクロメタゾンは胸腺重量を有意に減少させたが、化合物10は、10mg/スポンジの濃度で投与されても胸腺の重量に効果を示さなかった。担体対照と比較すると、10mg/スポンジの用量のベクロメタゾンは血漿コルチコステロン濃度を有意に減少させたが、化合物10は血漿コルチコステロンレベルに対して有意な効果を示さなかった。
【0123】
細菌性リポ多糖で誘発される肺の好中球
25gの重さのBalb/cJ雄マウス(Iffa Credo)を無作為に3つの群に分けた。すなわち、試験、陽性対照、および陰性対照(各群10匹ずつ)である。担体、ジプロピオン酸ベクロメタゾンもしくは試験物質をBalb/cJマウスの鼻腔内(i.n.)に注入した。30分後、細菌性リポ多糖(LPS)60μlを167μg/mlの濃度になるようにPBSに溶解し、陰性対照を除いた全ての群の鼻腔内に投与した。陰性対照には等量のPBSを注入した。マウスを24時間後に安楽死させ、好中球の定量ならびにIL−6およびTNF−αの濃度を測定するために、気管支肺胞洗浄液(BALF)を採集した。サイトカインをsandwich ELISA(R&D Systems)を用いて測定した。グラフパッドプリズムソフトウエア(GraphPad Prism Software)のTukey−Kramer多重比較法を用いて統計的な解析を行った。ジプロピオン酸ベクロメタゾン(2mg/kg)は、全ての試験パラメーターを減少させたが有意ではなかった。陽性対照群と比較すると、リン酸塩の形態である化合物10(4mg/kg)は、BALF中の好中球ならびにTNF−αおよびIL−6の濃度を統計的に有意に減少させた。
【0124】
(合成方法および実施例)
前駆体
以下の調製方法の実施例では、マクロライド前駆体M1−M8ならびにステロイド系前駆体S1−S24および非ステロイド系前駆体D10、D11およびD12に由来する式Iで示される化合物の合成が記載される。これらの実施例は、本発明の独自性を限定するものではない。
【0125】
マクロライドサブユニット
マクロライドサブユニットM1からM8は、以下の一般構造:
【化23】

によって表される化合物である。
【表3】

=R=R=H
【0126】
方法A
a)化合物M1(480mg;1.1mmol)をアクリロニトリル10mlに溶解し、反応混合物を24時間95℃で加熱した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させた。500mgの化合物M2を得て、前精製することなく次の合成に使用した。
b)化合物M2(500mg)を無水エタノール20mLに溶解し、40atmの気圧下で2日間触媒PtO(60mg)と水和させた。混合物をシリカゲルカラムを用いて溶離液CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中で精製した。193mgの化合物M3が得られた。化合物M1、M2およびM3の性質を表1に示す。
【0127】
方法B
a)アジスロマイシン(11g)をCHCl 40mLおよび6MのHCl 80mLに溶解して、反応混合物を20時間60℃で加熱した。有機層および水層を分離し、水層のpHを9.5に調製し、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。6gの化合物M4が単離された。MS(MH+)=434.7
b)化合物M4(5.95g、13.7mmol)、炭酸エチレン(7.3g、82.5mmol)および炭酸カリウム(2、28g、16.5mmol)を酢酸エチル 100mL中で混合し、75℃で72時間加熱して還流状態にした。有機層および水層を分離し、有機層を無水NaSO上で乾燥させて、蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中においてシリカゲルカラムで精製した。3.5mgの化合物M5が単離された。MS(m/z):460.4〔MH〕
【0128】
c)1.3mLの1,4−ジアミノブタン中に118mgの化合物M5(0.26mmole)を溶解した。次に、ピリジン塩酸塩30mg(0.26mmole)を溶液に添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。生成物をジクロロメタンで抽出し、水で洗浄して、有機層をNaSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=30:50:2中におけるシリカゲルカラムで精製後、50mgのアミンM6が得られた。MS(MH)=548.4
【0129】
d)化合物M1(5.05g、12.04mmol)を炭酸エチレン(6.5g、7.38mmol)および炭酸カリウム(1.7g、1.23mmol)と混合した。反応混合物に酢酸エチル(90ml)を添加した。この溶液を撹拌しながら75℃で24時間加熱した。混合物を水(2x50ml)で洗浄した。有機層を水(50ml)で希釈し、2MのHClでpH7に調製し、分離した。再度、有機層を水(50ml)で希釈し、2MのHClでpH7に調製し、分離した。有機層を一緒にし、無水酢酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。1.7gの化合物M7が得られた。MS(ES)m/z:〔MH〕446.31
【化24】

【0130】
e)1,4−ジアミノブタン2.25ml(22.39mmol)中に、200mg(0.45mmole)の化合物M7を溶解した。次に、52mgのピリジン塩酸塩(0.45mmol)を溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌した。生成物をジクロロメタンで抽出し、水で洗浄し、有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=30:50:2中におけるシリカゲルカラム上で精製後、60mgのアミンM8が得られた。MS(MH)=534.4
【化25】

【0131】
化合物M9
PS−カルボジイミド樹脂(1.15mg;1.38mmol)を乾燥した反応容器に添加した。CHCl(7.5ml)中の12−(Fmoc−アミノ)ドデカン酸(Fluka、Lot440842/1 50903094)(2)(200mg;0.46mmol)を乾燥樹脂に添加して、混合物を室温で撹拌した。45分後、CHCl(3.5ml)中の化合物M3(109mg;0.23mmol)を添加し、反応物を50℃で20時間撹拌して、アミド生成物を得た。混合物を濾過して、溶媒を真空下で濃縮した。粗生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中でシリカゲルカラムを用いて精製し、化合物M9(160mg)が得られた。
LC/MS(面積%):93.4%。
HPLC−MS:MS(ES)m/z:〔MH〕896.66(計算値:896.59)
【0132】
化合物M10
化合物M9(160mg、0.18mmol)をピペリジン(1ml)およびCHCl(5ml)に溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、残っている痕跡量のピペリジンを真空下でのCHClの添加と除去(数回)によって取り除いた。粗生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中でシリカゲルカラムを用いて精製し、化合物M10(132mg)が得られた。
LC/MS(面積%):95.7%。
HPLC−MS:MS(ES)m/z:〔MH〕674.62(計算値:674.52)
IR(KBr)cm−1:3307,3093,2927,2854,1722,1715,1667,1660,1651,1645,1557,1539,1505,1463,1456,1373,1353,1265,1165,1091,1053,958,811,736。
【0133】
ステロイドサブユニット
ステロイドサブユニットS1−S24は、以下の一般構造:
【化26】

で表される化合物である。
【表4】

【表5】

DDO=2,2−ジメチル−1,3−ジオキサゾロン
【化27】

スキームI
【0134】
S7の調製(スキームI)
アルゴン下で乾CHCl(10ml)中の化合物S4(500mg、1.38mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.5mL、10.76mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(373mg、2.76mmol)、NHCHCHNHBoc(218μl、1.38mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(1.06g、5.52mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン気流下において室温で24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラム(溶離液:CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1)の精製によって646mgの化合物S7が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]505.46
【0135】
S13の調製(スキームI)
TFA(3ml)およびCHCl(3ml)中の化合物S7の溶液を室温で1.5時間撹拌した。TFAおよびCHClを真空下で除去し、残っている痕跡量のTFAを真空下でのCHClの添加および除去(数回)によって取り除き、1.32gの化合物S13が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]405.30
【化28】

スキーム2
【0136】
S9の調製(スキーム2)
0℃でCHCl中(40ml)のステロイドS1(1.5g、3.96mmol)およびトリエチルアミン(1.1ml、7.93mmol)の溶液を塩化アクリロイル(644μl、7.93mmol)で処理した。30分後、反応混合物を飽和NaHCO、続いて水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、固体中間体を得た。これをジエチルアミン(2.07mL、19.8mmol)含有アセトン(30ml)中で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、水で希釈して、酢酸エチルで洗浄した。水層を2MのHClでpH2まで酸性にし、濾過して固体を得た。1.28gの化合物S9が得られた。MS(ES)m/z:[MH]433.28;IR(KBr)cm−1:3477,2940,2879,2601,1731,1655,1596,1452,1401,1376,1276,1401,1376,1276,1221,1195,1146,1118,1064,1038,1011,975,951,931,904,874,832,812,767,703,657,635。
【0137】
S10の調製(スキーム2)
アルゴン下で乾THF(8ml)中の化合物S9(1.1g、2.54mmol)の溶液にLiOHxHO(106mg、2.54mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分撹拌した。次に、MeSO(235μl、2.54mmol)を添加し、生じた混合物を65℃で3時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、飽和NaHCO、続いて水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。925mgの化合物S10が得られた。MS(ES)m/z:[MH]447.32;IR(KBr)cm−1:3333,3111,2944,2878,1753,1728,1659,1604,1450,1434,1409,1285,1262,1239,1192,1148,1117,1101,1065,1043,1013,977,928,893,879,809,707,686,662。
【0138】
S14の調製(スキーム2)
MeOH(20ml)およびCHCN(10ml)中の化合物S10(800mg、1.8mmol)の溶液にNHCHCHNHBoc(570μl、3.6mmol)を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。減圧下での溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した。925mgの化合物S14が得られた。MS(ES)m/z:[MH]607.38;IR(KBr)cm−1:3404,2975,2941,2878,1745,1665,1619,1509,1459,1392,1366,1268,1243,1175,1116,1064,1047,1032,1015,977,929,889,814,795,735,706,687,656。
【0139】
S22の調製(スキーム2)
TFA(2ml)およびCHCl(2ml)中の化合物S14(697mg、1.15mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。TFAおよびCHClを真空下で除去し、残っている痕跡量のTFAを真空下でのCHClの添加と除去(数回)によって取り除いた。粗生成物をCHCl(20ml)に希釈し、水で抽出した。水層をNaOHで中和し、酢酸エチルで抽出した(2x20ml)。有機層を一緒にし、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。523mgの化合物S22が得られた。MS(ES)m/z:[MH]507.44;IR(KBr)cm−1:3416,2940,2878,1741,1664,1619,1452,1392,1375,1268,1240,1201,1178,1117,1064,1047,1032,1014,977,928,889,799,721,686。
【0140】
S15の調製
0℃でCHCl(30ml)中のステロイドS5(500mg、1.32mmol)およびトリエチルアミン(0.37mL、2.64mmol)の溶液を塩化アクリロイル(0.22mL、2.46mmol)で処理した。30分後に反応混合物をCHClで希釈し、NaHCO水溶液、続いて水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、固体中間体を得た。これをジエチルアミン(0.69mL、6.61mmol)含有アセトン中(25mL)で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、水で希釈し、EtOAcで洗浄した。水層を2NのHClでpH2まで酸性にし、濾過して固体を得た。259mgの化合物S15が得られた。MS(m/z):433.36[MH];IR(cm−1)/KBr:3438,3246,2937,2878,2656,1731,1717,1663,1628,1609,1458,1453,1409,1365,1318,1300,1278,1260,1193,1180,1118,1080,1061,1038,988,971,928,900,835,807,780,719,706。
【0141】
S11の調製
0℃でCHCl(30ml)中のステロイドS2(0.5g、1.26mmol)およびトリエチルアミン(0.35mL、2.52mmol)の溶液を塩化アクリロイル(0.21mL、2.52mmol)で処理した。30分後、反応混合物をCHClで希釈し、NaHCO水溶液、続いて水で洗浄し、乾燥、蒸発させて固体中間体を得た。これをジエチルアミン(0.66mL、6.31mmol)包含アセトン(25ml)中で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、水で希釈し、EtOAcで洗浄した。水層を2NのHClを用いてpH2まで酸性にし、濾過して、固体を得た。212mgの化合物S11が得られた。MS(m/z):451.00〔MH〕;IR(cm−1)/KBr:3423,2941,2880,2624,1726,1665,1619,1609,1458,1407,1377,1301,1261,1234,1199,1150,1120,1071,1041,1028,993,978,937,899,851,808,777,710,659。
【0142】
S12の調製
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)(1当量、0.11mmol)を炭酸ジメチル中の10%の酸S11(0.11mmol、50mg)の溶液に添加し、生じた混合物をマイクロ波反応器で10分間加熱した(100℃)。反応混合物を室温まで冷却し、CHClおよび水で希釈した。有機層をNaSO上で乾燥、蒸発させ、溶媒系CHCl:MeOH=12:1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。39mgの化合物S12が得られた。MS(m/z):464.96[MH];IR(cm−1)/KBr:3339,2978,2943,2881,1736,1663,1619,1606,1452,1452,1432,1406,1375,1285,1255,1243,1214,1194,1116,1103,1072,1042,1006,990,978,933,896,851,812,735,712,685。
【0143】
S17の調製
0℃でCHCl(30ml)中のステロイドS16(0.5g、1.44mmol)およびトリエチルアミン(0.40mL、2.89mmol)の溶液を塩化アクリロイル(0.24mL、2.89mmol)で処理した。30分後、反応混合物をCHClで希釈し、NaHCO水溶液、続いて水で洗浄し、乾燥、蒸発させて固体中間体を得た。これをジエチルアミン(0.75mL、7.22mmol)含有アセトン(25mL)で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、水で希釈し、EtOAcで洗浄した。水層を2NのHClでpH2まで酸性にし、濾過して固体を得た。260mgの化合物S17が得られた。MS(m/z):401.25[MH];IR(cm−1)/KBr:3567,3448,2938,2914,2851,2643,2602,1732,1713,1653,1606,1596,1452,1406,1394,1346,1297,1258,1212,1184,1126,1084,1040,988,972,941,930,908,888,828,812,769,719,656。
【0144】
S18の調製
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)(1当量、0.23mmol)を炭酸ジエチル中の10%の酸S15(0.23mmol、100mg)の溶液に添加し、生じた混合物を加熱して還流させた(90℃)。終了後、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcおよび水で希釈した。有機層をNaSO上で乾燥、蒸発させ、溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。40mgの化合物S18が得られた。MS(m/z):447.39[MH];IR(cm−1)/KBr:3423,3368,2973,2944,2875,1737,1726,1657,1619,1602,1459,1450,1406,1389,1367,1307,1284,1242,1196,1116,1083,1065,1040,987,976,941,928,895,828,812,712,671。
S19の調製
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)(1当量、0.25mmol)を炭酸ジメチル中の10%酸S17(0.25mmol、100mg)の溶液に添加し、生じた混合物を加熱して還流させた(90℃)。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcおよび水で希釈した。有機層をNaSO上で乾燥、蒸発させて、溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。42mgの化合物S19が得られた。MS(m/z):415.32〔MH〕
【0145】
S23の調製
0℃でCHCl(50ml)中のステロイドS6(700mg、1.942mmol)およびトリエチルアミン(0.54mL、3.884mmol)の溶液を塩化アクリロイル(0.315mL、3.884mmol)で処理した。30分後に反応混合物をCHClで希釈して、NaHCO水溶液、続いて水で洗浄し、乾燥、蒸発させて固体中間体を得た。これをジエチルアミン(1.015mL、9.71mmol)含有アセトン(40mL)中で2時間撹拌した。溶液を濃縮し、水で希釈して、EtOAcで洗浄した。水層を2NのHClでpH2まで酸性にし、濾過して固体を得た。111mgの化合物S23が得られた。MS(m/z):415.48〔MH〕
【0146】
S24の調製
乾THF(1.5mL)中の化合物S23(100mg、0.24mmol)の溶液に10.1mg(0.24mmol)のLiOHxHOを添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物に22.3μLのMeSO(0.24mmol)を添加し、混合物を65℃で2時間撹拌した。終了後、反応混合物を室温まで冷却し、20mLのEtOAcで希釈し、続いて20mLの飽和NaHCOおよび20mLの水で続けて処理した。有機層をNaSO上で乾燥させ、蒸発させた。121mgの化合物S24が得られた。MS(m/z):429.48〔MH〕
【化29】

【0147】
S25の調製
20mLのトルエン中に酢酸パラメタゾン(2.30mmol)1gを含む溶液に960μL(6.90mmol、3当量)のTEA、続いて219μL(2.30mmol、1当量)の塩化3−クロロプロピオニルを添加した。溶液を室温で24時間撹拌し、蒸発させ、粗生成物を溶媒系酢酸エチル:ヘキサン=5:3を用いてシリカゲルカラムで精製した。417mgの純粋な生成物が単離された。
MS(m/z):489.38[MH]MS(teor.)=488.55
純度(HPLC−MS):96.42%
IR(KBr):3386,3112,3037,2960,2924,2876,1751,1724,1679,1619,1602,1501,1452,1410,1388,1373,1342,1318,1267,1234,1198,1178,1139,1120,1092,1050,1028,1011,986,916,894,871,845,816,789,742,721,695,657。
【0148】
化合物S26の調製
THF 5mL中の100mg(0.205mmol)の化合物S25の溶液に17mg(0.410mmol)のLiOHxHOおよび5mLの水を添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。pHを1MのNaOHで8に調整し、生成物をDCMで抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥、蒸発させ、28mgの純粋な生成物が得られた。
MS(m/z):447.10[MH]MS(teor.)=446.51
純度(HPLC−MS):98.37%
【化30】

【0149】
化合物S27
乾THF 10mL中の化合物S12の溶液を30.7mg(1.0mmol)のKCOおよび0.0197mL(1.1mmol)のヨウ化エチルで処理した。反応混合物を室温で24時間撹拌したが、生成物は得られなかった。混合物を55℃で2時間加熱すると生成物が得られた。混合物をDCM 20mLおよび水 20mLの混合物に注入し、抽出した。有機層を水で洗浄し、無水NaSOで乾燥、蒸発させた。45mgの粗生成物が単離された。
MS(m/z):479.09[MH]MS(teor.)=478.53
純度(HPLC−MS):76.77%
【0150】
非ステロイドサブユニット
合成の前駆体は、非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)であり、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸−2−アミノ−4−ピコリン酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アミノプロフェン、アムフェナク、アニレリジン、ベンダザク、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α−ビサボロール、ブロムフェナク、5−ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、クロモグリカート、シンメタシン、クリンダナク、クロピラク、ナトリウムジクロフェナク、ジフルニサール、ジタゾール、エンフェナミ酸、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン、サリチル酸グリコール、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メチアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ナプロキセン、ニフルム酸、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルサルミド、ペリソキサール、フェニルアセチルサリチラート、フェニルブタゾン、フェニルサリチラート、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、サールアセトアミド、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、テノキシカム、チアプロフェン酸、チアルアミド、チノリジン、トルフェンアミド酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、ザフィルルカストであり、いくつかの前駆体の例は、フルニキシン(D10)、フルフェナム酸(D11)、セレコキシブ(D12)である。
【化31】

【化32】

【0151】
D13の調製(スキーム3)
無水THF(20mL)中にセレコキシブ(D12)(4g、10.5mmol)、DMAP(640mg、5.24mmol)、ジ−t−ブチル二カルボン酸(7.52mL、31.5mmol)およびトリエチルアミン(1.75mL、12.57mmol)を含む混合物を室温で1時間撹拌した。次に、ブロモ酢酸メチル(2.63mL、26.24mmol)およびKCO(2.9g、21mmol)を添加し、生じた混合物を室温で22時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCOに注入し、酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。有機層を一緒にし、飽和NaCl(50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。生じたガラス状物をクロマトグラフィー(シリカゲル、90:9:1.5=CHCl:MeOH:NHOH)で精製して白色粉末状として4.53gの生成物D13を得た。MS(ES)m/z:[MH]554.33;IR(KBr)cm−1:3449,3136,3108,2983,1919,1759,1738,1618,1598,1501,1473,1450,1411,1372,1314,1273,1239,1165,1146,1095,1016,995,976,939,846,808,763,744,718,653。
【化33】

【0152】
スキーム3
D14の調製(スキーム3)
TFA(5mL)およびCHCl(5mL)中の化合物D13(4.53g、8.18mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。TFAおよびCHClを真空下で除去し、残っている痕跡量のTFAを真空下でのCHClの添加と除去(数回)によって取り除き、4.43gの油状生成物D14を得た。MS(ES)m/z:[MH]454.27;IR(KBr)cm−1:3281,2954,2925,1747,1595,1555,1499,1476,1438,1411,1376,1354,1324,1279,1238,1216,1162,1133,1100,1016,978,949,874,849,803,762,744,722,700,633。
【0153】
D15の調製(スキーム3)
THF(15mL)中の化合物D14(4.43g、9.77mmol)の溶液を水(15mL)中のLiOH(820mg、19.54mmol)の溶液で処理し、30分間撹拌した。THFを真空下で除去し、生じた混合物を0.1MのHClでpH2に調整した。濾過によって単離された固体は、3.84gの化合物D15であった。MS(ES)m/z:[MH]440.25;IR(KBr)cm−1:3396,1606,1574,1501,1472,1415,1373,1326,1274,1238,1169,1156,1129,1098,1022,974,930,847,813,758,628。
【0154】
D16の調製(スキーム3)
アルゴン下で乾CHCl(10mL)中の化合物D15(500mg、1.14mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.4mL、10mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(308mg、2.28mmol)、NHCHCHNHBoc(180μl、1.14mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(874mg、4.56mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン還流下において室温で24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラム(溶離液:CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1)上の精製で390mgの化合物D16が得られた。MS(ES)m/z:[MH]582.33;IR(KBr)cm−1:3378,2979,2933,2878,1686,1598,1528,1499,1473,1450,1409,1369,1341,1273,1238,1163,1135,1097,1006,976,843,827,808,761,744,719,694,627。
【0155】
D17の調製(スキーム3)
TFA(3mL)およびCHCl(5mL)中の化合物D16(300mg、0.52mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。TFAおよびCHClを真空下で除去し、残っている痕跡量のTFAを真空下でのCHClの添加と除去(数回)によって取り除き、250mgの生成物D17が得られた。MS(ES)m/z:[MH]482.19。
【化34】

【0156】
スキーム4
D18の調製(スキーム4)
アルゴン下における乾CHCl(20ml)中のフルフェナム酸D11(245mg、0.87mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.2ml、8.73mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(240mg、1.78mmol)、NH(CHNHFmoc(300mg、0.9mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(700mg、3.65mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン還流下において室温で24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラム(溶離液:CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1)上の精製で430mgの化合物D18が得られた。
【0157】
D19の調製(スキーム4)
酢酸エチル(5mL)およびピペリジン(2mL)中の化合物D18(400mg、0.66mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。酢酸エチルおよびピペリジンを真空下で除去した。370mgの化合物D19が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]380.22。
【化35】

スキーム5
【0158】
D20の調製(スキーム5)
アルゴン下の乾CHCl(10mL)中のフルニキシンD10(340mg、1.15mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.6mL、11.5mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(312mg、2.3mmol)、NH(CHNHFmoc(390mg、1.15mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(880mg、4.6mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン還流下で室温において24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラム(溶離液:CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1)上の精製で548mgの化合物D20が得られた。
【0159】
D21の調製(スキーム5)
酢酸エチル(5mL)およびピペリジン(2mL)中の化合物D20(548mg、0.89mmol)の溶液を室温で1時間撹拌した。酢酸エチルおよびピペリジンを真空下で除去した。732mgの生成物D21が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]395.45。
【実施例】
【0160】
化合物1
【化36】


メタノール(20mL)中の化合物S9(250mg、0.58mmol)の溶液に915mg(1.16mmol)のマクロライドM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=30:50:2中でシリカゲルカラムを用いて精製した。540mgの化合物1が得られた。MS(m/z):909.42〔MH〕
【0161】
化合物2
【化37】


化合物S13(1.3g、3.2mmol)および化合物M7(130mg、0.3mmol)をピリジン(5mL)に溶解した。次に、ピリジン塩酸塩(35mg、0.3mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(1ml)を溶液に添加した。反応混合物を室温で7日間撹拌した。生成物をCHClで抽出し、水で洗浄して、次いでNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中でシリカゲルカラムを用いて精製した後、80mgの生成物2が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]850.70;IR(KBr)cm−1:3409,2939,2877,1664,1535,1495,1381,1296,1248,1163,1091,1070,975,928,889,829,757,702。
【0162】
化合物3
【化38】

化合物D17(220mg、0.5mmol)および化合物M7(222mg、0.5mmol)をピリジン(5mL)に溶解した。次に、ピリジン塩酸塩(58mg、0.5mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(1mL)を溶液に添加した。反応混合物を室温で6日間撹拌した。生成物をCHClで抽出して、水で洗浄し、次いで有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した後、24mgの生成物3が得られた。MS(ES)m/z:[MH]927.68;IR(KBr)cm−1:3416,2973,2934,2880,1660,1599,1546,1498,1471,1376,1339,1272,1238,1163,1134,1097,974,843,808,761,740,703,615。
【0163】
化合物4
【化39】

化合物D21(732mg、1.86mmol)および化合物M7(220mg、0.5mmol)をピリジン(7mL)に溶解した。次に、ピリジン塩酸塩(60mg、0.5mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(1mL)を溶液に添加した。反応混合物を室温で6日間撹拌した。生成物をCHClで抽出して、水で洗浄し、次いで有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した後、70mgの生成物4が得られた。MS(ES)m/z:[MH]840.43;IR(KBr)cm−1:3339,2971,2935,2878,1645,1593,1524,1462,1380,1320,1254,1186,1168,1122,1088,1023,975,927,795,772,720,665,614。
【0164】
化合物5
【化40】


化合物S22(220mg、0.5mmol)および化合物M7(223mg、0.5mmol)をピリジン(5mL)に溶解した。次に、ピリジン塩酸塩(58mg、0.5mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(1mL)を溶液に添加した。反応混合物を室温で6日間撹拌した。生成物をCHClで抽出して、水で洗浄し、次いで有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した後、80mgの生成物5が得られた。MS(ES)m/z:[MH]953.80。
【0165】
化合物6
【化41】

化合物D19(380mg、0.5mmol)および化合物M7(222mg、0.5mmol)をピリジン(5mL)に溶解した。次に、ピリジン塩酸塩(58mg、0.5mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(1mL)を溶液に添加した。反応混合物を室温で6日間撹拌した。生成物をCHClで抽出して、水で洗浄し、次いで有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した後、18mgの生成物6が得られた。MS(ES)m/z:[MH]825.47;IR(KBr)cm−1:3369,2970,2935,2878,1632,1595,1524,1452,1426,1377,1336,1283,1248,1165,1124,1097,1070,975,928,793,750,699,663。
【0166】
化合物7
【化42】


メタノール(10mL)中の化合物S10(50mg、0.11mmol)の溶液に107mg(0.22mmol)のマクロライドM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。23mgの化合物7が得られた。MS(m/z):923.47[MH];IR(cm−1)/KBr:3449,2938,2878,1738,1665,1621,1562,1544,1525,1521,1460,1377,1353,1266,1242,1178,1099,1050,1015,977,957,891,810,705,673。
【0167】
化合物8
【化43】

メタノール(6mL)中の化合物S19(41mg、0.099mmol)の溶液に47mg(0.009mmol)のマクロライドM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。19mgの化合物8が得られた。MS(m/z):891.58[MH];IR(cm−1)/KBr:3449,2974,2935,2876,1871,1846,1735,1658,1618,1545,1509,1459,1375,1352,1283,1177,1127,1087,1036,995,958939,888,819,708。
【0168】
化合物9
【化44】

メタノール(8mL)中の化合物S18(77mg、0.17mmol)および165mg(0.35mmol)のマクロライドM3の反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製し、36mgの化合物9が得られた。MS(m/z):923.61[MH];IR(cm−1)/KBr:3449,2974,2951,2935,2878,1736,1665,1626,1605,1561,1509,1459,1375,1319,1289,1254,1175,1080,1038,958,928,900,822,757,719,666。
【0169】
化合物10
【化45】


メタノール:アセトニトリル(2:5)中の化合物S12(37mg、0.08mmol)および76mg(0.16mmol)のマクロライドM3の反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製し、55mgの化合物10が得られた。MS(m/z):941.97[MH];IR(cm−1)/KBr:3449,2964,2936,2878,1736,1670,1630,1561,1509,1459,1376,1288,1260,1236,1178,1106,1074,1035,994,956,940,899,849,817,755,709,669。
【0170】
化合物11
【化46】

室温で2−ブタノン(10mL)中の化合物1(130mg、0.14mmol)およびジメチルチオカルバモイル塩化物(35.32mg、0.286mmol)の溶液をトリエチルアミン(0.044ml、0.31mmol)、ヨウ化ナトリウム(21mg、0.143mmol)、および水(0.013mL)で連続的に処理して、3日間撹拌した。次に、反応混合物をジメチアセトアミド(0.52mL)および水(3.23mL)で連続的に処理し、0℃に冷却して、2時間撹拌し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:0.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した。32mgの化合物11が得られた。MS(m/z):996.48[MH];IR(cm−1)/KBr:3449,2938,2878,1735,1665,1624,1458,1375,1250,1174,1103,1056,1034,1013,981,956,929,894,781,703,672。
【0171】
化合物12
【化47】

室温で2−ブタノン(10mL)中の化合物1(130mg、0.14mmol)およびジメチルカルバモイル塩化物(35.32mg、0.286mmol)の溶液を連続的にトリエチルアミン(0.044ml、0.31mmol)、ヨウ化ナトリウム(21mg、0.143mmol)、および水(0.013mL)で処理して、3日間撹拌した。次に、反応混合物をジメチアセトアミド(0.52mL)および水(3.23mL)で連続的に処理し、0℃に冷却して、2時間撹拌し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:0.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した。30mgの化合物12が得られた。MS(m/z):980.5[MH]
【0172】
化合物13
【化48】

10mLのメタノールおよび5mLのアセトニトリル中の化合物S24(70mg、0.163mmol)の溶液に156mg(0.327mmol)のマクロライドM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、混合物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:9:1.5中でシリカゲルカラムを用いて精製した。50mgの化合物13が得られた。MS(m/z):906.00[MH]
【0173】
化合物14
【化49】

化合物M10(60mg、0.09mmol)および化合物S12(42mg、0.09mmol)をMeOH(10ml)およびCHCN(5ml)に溶解し、生じた反応混合物を50℃で一晩撹拌した。真空下で溶媒を濃縮した後に粗生成物物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて2回精製し、31mgの化合物14が得られた。
LC/MS(面積%):94%
HPLC−MS:MS(ES)m/z:[MH]1138.80(計算値:1138.73)
IR(KBr)cm−1:3417,2932,2855,1742,1670,1633,1547,1457,1376,1288,1260,1181,1091,1074,1051,994,957,940,899,849,818,711。
【0174】
化合物15
【化50】


MeOH 10mL中に25mgの化合物S26、続いて34.68mgのアミンM3を溶解した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1を用いてシリカゲルカラムで精製し、12mgの化合物15を得た。
MS(m/z):923.31[MH]MS(teor.)=923.16
純度(HPLC−MS):93.50%
【0175】
化合物16
【化51】


MeOH 10mL中の45mg(0.094mmol)の化合物S27の溶液に89.6mg(0.188mmol)のアミンM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1を用いてシリカゲルカラムで精製し、15mgの化合物16を得た。
MS(m/z):955.41[MH]MS(teor.)=955.17
純度(HPLC−MS):88.26%
【0176】
化合物17
【化52】

MeOH 10mL中の100mg(0.215mmol)の化合物S12の溶液に137.3mg(0.280mmol)のアミンM11(国際公開WO2004/094449、実施例16に記述されるように調製した)を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1を用いてシリカゲルカラムで精製し、139mgの化合物17を得た。
MS(m/z):955.35[MH]MS(teor.)=954.56
純度(HPLC−MS):97.65%
IR(KBr):3450,2939,2879,1738,1671,1628,1562,1545,1525,1459,1377,1288,1259,1236,1179,1072,1053,1036,994,957,941,900,850,817,756,709,667。
【0177】
化合物18
【化53】

MeOH 10mL中の100mg(0.215mmol)の化合物S12の溶液に137.3mg(0.280mmol)のアミンM12(国際公開WO2004/094449、実施例17に記述されるように調製した)を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1を用いてシリカゲルカラムで精製し、162mgの化合物18を得た。
MS(m/z):983.37[MH]MS(teor.)=982.59
純度(HPLC−MS):98.68%
IR(KBr):3448,2937,2878,1736,1671,1631,1458,1376,1288,1259,1236,1178,1105,1073,1053,1036,994,975,957,941,899,849,817,755,709,664。
【0178】
化合物19
【化54】

MeOH 10mL中の150mg(0.307mmol)の化合物S25の溶液に292.6mg(0.615mmol)のアミンM3を添加した。反応混合物を55℃で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=6:1:0.1を用いたシリカゲルカラムで精製し、43mgの化合物19を得た。
MS(m/z):983.37[MH]MS(teor.)=965.19
純度(HPLC−MS):98.15%
【0179】
化合物20
【化55】

化合物10(97mg、0.1mmol)をMeOH(10ml)に溶解し、2℃まで冷却した。この温度において、無水酢酸(2μl;0.2mmol)を反応混合物に滴下した。この温度で3時間撹拌後、溶媒を蒸発させ、白い油状生成物を得て、シリカゲルカラム、溶離剤CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1で精製した。88mgの化合物20が得られた。
HPLC−MS:MS(ES)m/z:[MH]983.5
IR(KBr)cm−1:3444,2953,2879,1744,1714,1671,1633,1455,1377,1289,1259,1180,1074,1049,1035,994,957,940,899,849,818,709。
【0180】
化合物21
化合物10(100mg、0.1mmol)をMeOH(10ml)に溶解した。溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(177μl、1mmol)およびヨードエタン(52μl、0.65mmol)を添加した。反応混合物を50℃で24時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1中でシリカゲルカラムを用いて精製した。22mgの化合物21が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]969.4
【0181】
化合物22
化合物10(200mg、0.2mmol)をCHCN(10ml)に溶解した。溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(442μl、2.6mmol)および2−ヨードプロパン(520μl、5.2mmol)を添加した。反応混合物を50℃で24時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1でシリカゲルカラムを用いて精製した。70mgの化合物22が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]983.5
【0182】
化合物23
化合物10(200mg、0.2mmol)をTHF(10ml)に溶解した。溶液にメチルブロモ酢酸(46μl、0.5mmol)および炭酸カリウム(55μl、0.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物を溶媒系CHCl:MeOH:NHOH=90:8:1でシリカゲルカラムを用いて精製した。148mgの化合物23が得られた。
MS(ES)m/z:[MH]1013.5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

I
〔式中、
Mは、部分構造VIII:
【化2】

VIII
(式中、
、R、RおよびRは、水素、C−Cアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールメトキシカルボニル、アロイル、アリールアルキル、アルキルシリル、アルキルシリルアルコキシアルキルもしくは式IXで示されるL鎖のXとの共有結合から成る群から相互に独立して選択され、
は、式IXに示されるL鎖のXとの共有結合、水素、C−Cアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アリールメトキシカルボニル、アロイル、アリールアルキル、アルキルシリルおよびアルキルシリルアルコキシアルキルから成る群から選択される基であるか、あるいはRは、Rと一緒になって環状カルボナートもしくはカルバマートを形成するR基であるか、あるいは>NRと一緒になって環状カルバマートを形成するR基であり、
は、水素、C−Cアルキルもしくは式IXで示されるL鎖のXとの共有結合である)で示されるマクロライドサブユニットであり、
Lは、連結基であり、
Zは、非ステロイド系抗炎症性サブユニットもしくはステロイドサブユニットである〕で示される化合物またはその医薬上許容される塩または前記化合物もしくは塩を含む医薬上許容される組成物。
【請求項2】
Lが、部分構造IXもしくはXIII:
−X1−(CH2)m−Q−(CH2)n−X2− IX
−X1−(CH2)m−V−(CH2)p−Q−(CH2)n−X2− XIII

〔式中、
は、−CH、−CH−NH−、−C(O)−、−OC(O)−、=N−O−、C(O)NH−もしくは−OC(O)NH−から選択され、
は、−NH−、−CH−、−NHC(O)−、−C(=O)、−OC(O)−、−C(=O)O−、もしくは−C(O)NH−から選択され、
Qは、−NH−もしくは−CH−であり(ここで、−CH−もしくは−NH−基は各々、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、C(O)NHR、CHC(O)OR(ここで、Rは、C−C−アルキル、アリールもしくはヘテロアリールでよい)によって置換されていてもよい)、
Vは、−NH−もしくは−NH−C(O)−であり、
記号m、nおよびpは、Q=NHの場合にnは0ではないという条件で、独立して0もしくは0から12までの整数である。〕
の鎖である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zが、部分構造X:
【化3】

X
〔式中、
、Rは、水素、メチルおよびハロゲンから成る群から相互に独立して選択され、
は、水素、ヒドロキシル基、ハロゲンから成る群から選択されるか、あるいはRが結合される炭素原子と一緒になって(C=O)カルボニル基を形成し、
は、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルヒドロキシ、NH−C−Cアルキル、CHOC(O)C−CアルキルあるいはXC(O)N(R)(ここで、Xは、SもしくはOであり、RおよびRは、独立してC−Cアルキルであるか、あるいはRおよびRは、一緒になってC−Cアルキレンである)であるか、あるいは、Rは、SCHもしくはCHY(ここで、Yは、ハロゲンである)であるか、あるいは、Rは、L鎖が式VIIIで示されるマクロライドサブユニットのRに連結されることを条件として、L鎖のXとの共有結合であり、
は、L鎖のXとの共有結合、水素、ヒドロキシ、メチル、もしくはC−Cアルコキシであるか、あるいは、Rおよび炭素原子と一緒になって1,3−ジオキソラン環を形成し、該炭素原子にはRおよびRが結合し、該1,3−ジオキソラン環はさらにアルキルもしくはアルケニルでモノもしくはジ置換され得、
は、水素、ヒドロキシ、メチル、またはC−Cアルコキシであり、
は、水素および塩素から成る群から選択される〕
で示されるステロイドである、請求項1もしくは2に記載の化合物。
【請求項4】
該Zが、非ステロイド系抗炎症性(NSAID)サブユニットである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
NSAIDサブユニットが、アセクロフェナク、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸−2−アミノ−4−ピコリン酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アミノプロフェン、アムフェナク、アムピロン、アムピロキシカム、アニレリジン、ベンダザク、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、α−ビサボロール、ブロムフェナク、5−ブロモサリチル酸アセタート、ブロモサリゲニン、ブクロキス酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、クロモグリケート、シンメタシン、クリンダナク、クロピラク、ナトリウムジクロフェナク、ジフルニサール、ジタゾール、ドロキシカム、エンフェナム酸、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール、フルフェナク、フルフェナム酸、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、グルタメタシン、サリチル酸グリコール、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、メチアジン酸、モフェゾラク、モンテルカスト、ミコフェノール酸、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ニメスリド、オルサラジン、オキサセプロール、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パラセタモール、パルサルミド、ペリソキサール、フェニルアセチルサリチラート、フェニルブタゾン、フェニルサリチラート、ピラゾラク、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、レザーベラトール、サールアセトアミド、サリチルアミド、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン、サリチルアミド、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、スキシブタゾン、タモキシフェン、テノキシカム、テオフィリン、チアプロフェン酸、チアルアミド、チクロプリジン、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トロペシン、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、トモキシプロール、ザフィルルカストおよびシクロスポリンのサブユニットから成る群から選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
NSAIDサブユニットが、アセチルサリチル酸もしくはミコフェノール酸ではない、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
NSAIDサブユニットが、フルフェナム酸、フルニキシンおよびセレコキシブから成る群から選択される、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、RおよびRが、水素およびC−Cアルキルから成る群から相互に独立して選択され、RがL鎖のXとの共有結合である、請求項1から7記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、RおよびRが、水素およびメチルから成る群から独立して選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
が、L鎖のXとの共有結合であり、R、R、R、RおよびRが、水素およびC−Cアルキルから成る群から相互に独立して選択される、請求項1から7記載の化合物。
【請求項11】
、R、R、RおよびRが、水素およびメチルから成る群から独立して選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、L鎖のXとの共有結合である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
が−CH−であり、Xが−C(O)O−である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
が−C(O)NH−であり、Xが−NH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
が−C(O)NH−であり、Xが−NHC(O)−である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が−C(O)NH−であり、Xが−NH−である、請求項3記載の化合物。
【請求項17】
が−CH−であり、Xが−C(O)O−である、請求項3記載の化合物。
【請求項18】
が、L鎖のXとの共有結合である、請求項3記載の化合物。
【請求項19】
部分構造Xが、
【化4】

【化5】

から成る群から選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項20】
部分構造Xが、
【化6】

である、請求項8記載の化合物。
【請求項21】
構造:
【化7】


を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項22】
構造
【化8】


を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項23】
構造:
【化9】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項24】
構造:
【化10】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項25】
構造:
【化11】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項26】
構造:
【化12】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項27】
構造:
【化13】


を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項28】
構造:
【化14】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項29】
構造:
【化15】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項30】
構造:
【化16】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項31】
構造:
【化17】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項32】
構造:
【化18】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項33】
構造:
【化19】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項34】
構造:
【化20】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項35】
構造:
【化21】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項36】
構造:
【化22】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項37】
構造:
【化23】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項38】
構造:
【化24】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項39】
構造:
【化25】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項40】
構造:
【化26】


を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項41】
構造:
【化27】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項42】
構造:
【化28】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項43】
構造:
【化29】

を有する請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項44】
請求項1から43記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物ならびに医薬上許容される賦形剤もしくは担体を含む、医薬組成物。
【請求項45】
所望しない炎症性免疫応答により特徴付けられ、もしくは関連付けられる炎症疾患、障害および状態、ならびにTNF−αおよびIL−1の過剰な分泌に誘発され、もしくは関連する全ての疾患および状態を処置する方法であって、請求項1から43記載の化合物の治療上有効な量をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
処置を必要とする患者の炎症組織への白血球の浸潤に関連する炎症状態および免疫もしくはアナフィラキシー性疾患を処置する方法であって、請求項1から43記載の化合物の治療上有効な量を該患者に投与することを含む、方法。
【請求項47】
炎症状態および免疫疾患が、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、クローン病、気管支炎、および嚢胞性線維症から成る群から選択される、請求項45記載の方法。
【請求項48】
該炎症状態および免疫疾患が、肺、関節、眼、腸、皮膚、および心臓の炎症状態および免疫疾患から成る群から選択される、請求項45記載の方法。
【請求項49】
該炎症状態および免疫疾患が喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、嚢胞性線維症、関節リウマチ、脊椎リウマチ、変形関節炎、痛風関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、心筋梗塞損傷、慢性炎症、エンドトキシンショック、および平滑筋増殖異常から成る群から選択される、請求項45記載の方法。
【請求項50】
サイトカインもしくは炎症中間体の過剰な制御されない産生によって特徴もしくは関連付けられる炎症疾患、障害および状態を処置する方法であって、請求項1から43記載の化合物の治療上有効な量を患者に投与する、方法。

【公表番号】特表2008−517993(P2008−517993A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538531(P2007−538531)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003213
【国際公開番号】WO2006/046123
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】