説明

抗第XIIa因子治療

被験者へ治療有効量の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を投与することを含む、該被験者中の動脈血栓症を予防する方法であって、
該抗体、そのフラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子に特異的に結合し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止するものであるところの方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈血栓症の予防方法、そして関連した製品、診断方法、画像化方法及び薬剤ターゲッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈血栓症は病気及び死亡の主要な要因である。心臓の動脈中の閉塞性血栓又は閉塞に近い(near−occlusive)血栓は、虚血及び心筋梗塞に至る心臓の局所への血液供給の中断を生じ得る。心臓への血液供給におけるあまり劇的でない減少を生じる血栓は狭心症を起こし得る。脳組織の虚血を引き起こす動脈の血栓は脳卒中の最も一般的な原因である。哺乳類に於ける動脈の血栓形成のためには第XII因子が必要であることが示されてきた(Renne等、JEM,202巻、271−281頁(2005年)(非特許文献1))。
国際公開第2006/066878号パンフレット(特許文献1)は、第XII因子を阻害しそして複数の血栓及び/又は血栓の成長の形成及び安定化を防止する、少なくとも1種の抗体及び/又は1種の阻害剤の使用を開示している。
【0003】
本発明の対象は、一般的な側面において、活性化第XII因子に向けた抗体を使用することにより、血栓の形成及び/又は安定化を防止することにある(一方、国際公開第2006/066878号パンフレット(特許文献1)は第XII因子チモーゲンに向けた抗体の使用を開示している)。
【0004】
第XII因子の欠乏は出血性素因の原因とならないことの少なからぬ証拠がある。それゆえ、活性化第XII因子の阻害は、血栓の形成を阻害し得る一方、多くのその他の抗血栓剤において観察されるような関連した出血リスクとならないので、動脈血栓症の予防のための興味ある治療的アプローチである。
【0005】
第XII因子は通常の血液中に存在する不活性酵素原である。それは生体内で、カリクレイン、高分子量キニノゲン及び負に帯電した表面の存在下で、酵素として活性である、第XIIa因子として知られる第XII因子のフォームに容易に転換する。生体内における、第XIIa因子の二つのフォームが報告されてきた。セリン・プロテイナーゼの80Kdフォーム(しばしばαXIIa因子と呼ばれる。)は、28Kdの軽鎖に対してジスルフィド結合により結合した52Kdの重鎖を有している。この因子のタンパク質分解は、前記重鎖からペプチドを放出して、生成物であるβXIIa因子を生じさせ、該βXIIa因子はセリン・プロテアーゼ活性を維持するが、しかし、前記因子においては、αXIIa因子の28Kd鎖は、先の52Kd重鎖から誘導された小さいペプチドフラグメントにジスルフィド結合している。多くの場合において、前記小さいペプチドフラグメントは約1000dの分子量を有するが、しかし、異なる寸法のフラグメントが生体内で観察された。生体内で見出され、そして53Kdの分子量を有する活性化第XIIa因子のさらなるフォームは、最初に国際出願第GB2006/000072号明細書(特許文献2)において報告され、その開示はここに参照によって取り込まれる。
【0006】
国際公開第90/08835号パンフレット(特許文献3)は第XIIa因子に対するイムノアッセイを開示している。国際公開第90/08835号パンフレットはまた、モノクローナル抗体2/215及び201/9(これらは、活性化第XIIa因子の全ての既知分子量フォームに結合する。)及びそれらの産生方法を開示している。モノクローナル抗体(mAb)2/215は、1990年1月16日に、英国、サリスバリー エスピー4 0ジェイジー(Salisbury SP4 0JG)、ポートン ダウン(Por
ton Down)のピーエイチエルエス センター フォー アプライド ミクロバイオロジー アンド リサーチ(PHLS Centre for Applied Microbiology and Reserch)、ディビジョナル オブ バイオロジクス(Divisinal of Biologics)のヨーロピアン コレクション
オブ アニマル セル カルチャーズ(European Collection of Animal Cell Cultures)(ECACCとして知られている。)に、寄託番号第90011606号の下に寄託され、そして、2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061403号の下に再寄託されたハイブリドーマ2/215により産生される。モノクローナル抗体201/9を産生するハイブリドーマ201/9は、1990年1月18日にECACCに、寄託番号第90011893号の下に寄託され、そして2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061402号の下に再寄託された。
【0007】
第XIIa因子は、生体内の血液凝集の接触系に関わることが従来知られていた。より最近の研究は、第XIIa因子はまた、線維素溶解、キニン生成及び更に補体活性化及び血管形成を含む他の系に関わることを指摘している。多くの臨床及び実験データが蓄積され、前記接触系が血液凝固以外にも拡張していること及び、それは血管完全性及び血圧を維持する役割を有すること、それは内皮細胞の種々の機能に影響を及ぼすこと及び、それは線維素溶解の制御及び血管内腔の本質的抗凝固性の維持に関与することを示唆している。別の臨床的及び実験的研究は、前記接触系が急性又は慢性炎症、異なる原因によるショック、糖尿病、アレルギー、播種性血管内血液凝固を含む血栓−出血性障害、並びに腫瘍疾患に関与することを示している。このような症状は、敗血症、自然流産及び血栓塞栓症を含む。加えて第XIIa因子は、組織防御及び修復に関与し得る。Yarovaya等(Yarovaya G.A.、Blokhina T.B及びNeshkova E.A.)、「接触系。活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念。(Contact system,New concepts on acivion mechanisms and bioregulatary functions,)」、バイオケミストリー(Biochemisutry)(モスクワ)、2002年1月、第67巻(第1号):第13〜24頁(非特許文献2)は前記接触系及び活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念の最近の概説である。
【0008】
国際公開第04/057343号パンフレット(特許文献4)は、第XIIa因子が体内に種々のフォームで存在し、そしてこれらの異なるフォームの濃度の測定が種々の臨床病態に対する有意義な情報を提供することを開示している。国際公開第91/17258号パンフレット(発明者Nuijens等)(特許文献5)は、敗血症における治療剤として用いられた第XII因子/活性化第XII因子と結合する抗体を特許請求の範囲に記載している。国際特許出願公開第99/36439号パンフレット(発明者Seale等)(特許文献6)は第XII因子と関連する種々の疾患のための治療剤として使用され得るヘメンテリア(Haementeria)ヒルから派生したポリペプチドを特許請求の範囲に記載している。
【特許文献1】国際公開第2006/066878号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願第GB2006/000072号明細書
【特許文献3】国際公開第90/08835号パンフレット
【特許文献4】国際公開第04/057343号パンフレット
【特許文献5】国際公開第91/17258号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/36439号パンフレット
【非特許文献1】Renne等、JEM,202巻、271−281頁(2005年)
【非特許文献2】Yarovaya等(Yarovaya G.A.、Blokhina T.B及びNeshkova E.A.)、「接触系。活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念。(Contact system,New concepts on acivion mechanisms and bioregulatary functions,)」、バイオケミストリー(Biochemisutry)(モスクワ)、2002年1月、第67巻(第1号):第13〜24頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、治療有効量の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を被験者に投与することを含む、該被験者の動脈血栓症を予防する方法であって、該抗体、フラグメント又は誘導体は特異的に活性化第XIIa因子と結合し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を予防するところの方法、を提供する。
【0010】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、該抗体は活性化第XIIa因子に特異的に結合しそして薬剤として用いられるために活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0011】
本発明はまた、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を、医薬品として許容し得る担体とともに含む医薬品組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の被験者の動脈血栓症を予防する薬剤の製造における使用を提供し、該抗体は特異的に活性化第XIIa因子と相互作用し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0013】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、該抗体は特異的に活性化第XIIa因子と相互作用し、そして被験者の動脈血栓症を予防する薬剤として使用するために活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0014】
本発明はまた、経皮冠動脈インターベンションを受けるために選択された被験者の血中活性化XIIa因子の値を測定し、そして該被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が対照集団のものと有意に異なっている場合に、又は被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が、該被験者に血管形成術に備えてのヘパリン及び造影剤を投与後に対照集団のものと有意に異なる要因により増加する場合に、該被験者を高リスクグループへ割り当てることを含む、該被験者の、後の再狭窄のリスクを予測する方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、標識部分へ結合した、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む、生体内イメージング剤を提供する。
【0016】
本発明はまた、本発明の生体内イメージング剤を被験者に投与し、次いで生体内でイメージング剤の標識部分を検出することを含む、該被験者の血栓形成部位を画像化する方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、治療化合物へ結合した、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む治療剤を提供する。
【0018】
本発明はまた、被験者へ本発明による治療剤を投与することを含む、該被験者の中の望ましくない血栓形成により特徴付けられる疾患を治療する方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、被験者の動脈血栓症を予防するために使用するための、非活性化第XI
I因子に対する抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、ここで該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は第XII因子の多分子集合を防止するかあるいは該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子の形成を防止する。
【0020】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の治療有効量を被験者へ投与することを含む、該被験者の動脈血栓症を防止する方法を提供し、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は第XII因子の多分子集合を防止するかあるいは該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子の形成を防止する。
【0021】
図面の簡単な説明
図1は、選択的PCIを受けている被験者11名における血漿第XIIa因子の値を示す図である。
図2は、胸痛により入院した被験者871名における血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
図3は、胸痛により入院した被験者で血漿TnT>0.05ng/mLであった図2に示した被験者のサブグループの血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
図4は、胸痛により入院した被験者で血漿TnT≦0.05ng/mLであった図2に示した被験者のサブグループの血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
図5は、心筋梗塞での入院から4日間の被験者群の血漿第XII因子濃度において観測された変化を示す図である。
図6は、図5において示された同じデータを血漿第XIIa因子濃度における百分率変化として示す図である。
【0022】
XIIa因子、あるいは活性化XII因子ともよばれる、とは、チモーゲン、αXIIa因子、βXIIa因子及び53KdのXIIa因子を含む第XII因子の酵素的に活性なあらゆるフォームあるいはフラグメントを意味する。
【0023】
モノクローナル抗体(mAb)2/215、またいわゆる抗体2/215は、1990年1月16日に、英国、サリスバリー エスピー4 0ジェイジー、ポートン ダウン、ピーエイチエルエス センター フォー アプライド ミクロバイオロジー アンド リサーチ、ディビジョナル オブ バイオロジクスのヨーロピアン コレクション オブ アニマル セル カルチャーズ(ECACCとして知られている。)に、寄託番号第90011606号の下に寄託され、そして、2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061403号の下に再寄託されたハイブリドーマ2/215により産生された抗体である。
【0024】
モノクローナル抗体(mAb)2/215類似体は、mAb2/215抗体のものと実質的に同一の第XIIa因子結合性を有する抗体を示す。
【0025】
モノクローナル抗体(mAb)201/9、またいわゆる抗体201/9は、1990年1月18日にECACCに、寄託番号第90012512号の下に寄託され、そして2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04031402号の下に再寄託されたハイブリドーマ201/9により産生された抗体である。
【0026】
モノクローナル抗体(mAb)201/9類似体は、mAb201/9抗体のものと実質的に同一の第XIIa因子結合性を有する抗体を示す。
【0027】
本発明は、第XII因子チモーゲン(国際公開第2006/066878号パンフレットに記載されているような)ではなく活性化第XII因子に向けた抗体の使用が多くの利点を与えるという認識に基づく。第XII因子チモーゲンは、体内の至るところを比較的高い濃度で循環し(約40mg/L)、一方、活性化第XII因子の組織濃度は約2μg/Lであり、それ故第XII因子の濃度は、活性化第XII因子の約20,000倍であり、したがって後者の場合抗体のはるかに少量が使用され得る。さらに、本明細書中に示されたように、高濃度の活性化第XII因子が、血栓それ自身中において明らかであり、したがって活性化第XII因子への抗体の投与は、血栓形成の病原部位を標的としかつそこに局在され、一方、第XII因子チモーゲンと有意な反応性を示す抗体は全身に分布する傾向にある。活性化第XII因子に直接対する抗体を使用するその他の利点は、活性化第XII因子は多くの異なるフォームで存在することが示されてきたことである(国際公開第04/057343号パンフレット及び国際特許出願第GB2006/000072号明細書)。
活性化第XII因子に直接対する抗体はこれらの異なるフォームと反応する一方、第XII因子チモーゲンと直接対する抗体は、関連エピトープが欠損しているため、活性化したフォームとは反応し得ない。さらに、臨床試験からのデータは活性化第XII因子は血栓症の危険性の重要な寄与要因であることを示すが、第XII因子と血栓症の危険性の間にそのような関連性はみられず、従って、このように活性化第XII因子は臨床的に重要な指標であることを示している。さらに、活性化第XII因子は臨床的に関連指標でありそしてゆえに第XII因子チモーゲンよりもよりよい治療標的であるという更なる証拠が、活性化第XII因子の減少が改善された予後をもたらし、一方活性化第XII因子の増加は悪い予後をもたらすという観察により提供されている。
【0028】
本発明は、治療有効量の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を被験者に投与することを含む、該被験者の動脈血栓症を予防する方法であって、該抗体、フラグメント又は誘導体は特異的に活性化第XIIa因子と結合し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を予防するところの方法、を提供する。
【0029】
好ましくは、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は、αXIIa因子又はβXIIa因子または53Kd第XIIa因子と結合し、そして、非活性化第XII因子との0.1%又はそれ以下の補正された交差反応性を有する。
【0030】
本発明の特定の実施態様によれば、該投与は該被験者へ行われる血管形成術に先行し、術中に又は術後である。血管形成術後の投与は、引き続いて起こる望ましくない血栓の形成の可能性を減少させるためである。
【0031】
その他の実施態様によれば、該投与は該被験者の心筋梗塞後である。心筋梗塞後の投与は、さらなる望ましくない血栓の形成の可能性を減少させるためである。
【0032】
特定の実施態様によれば、該投与は、フラミンガムリスクスコア法を用いて定義された、10%より高い、好ましくは12、14、16、18、20、22、24、26、28又は30%より高い冠状動脈性心臓病の推定リスクを有する被験者へのものである。該投与は望ましくない血栓形成のリスクそしてしたがって冠状動脈性心臓病の危険性を減少させるためのものである。
【0033】
特定の実施態様によれば、該投与は、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の投与前に測定された活性化第XIIa因子の血漿濃度が対象集団よりも有意に異なる被験者へのものである。
【0034】
特定の実施態様によれば、該投与は、被験者への血管形成術に備えてのヘパリン及び造影剤の投与の後に、対象集団よりも有意に異なる要因により増加した該被験者の活性化第XIIa因子の血漿濃度へのものである。この群の血管形成術被験者における被験者らは、血管形成術後の動脈再狭窄の特に高い危険性があることが見出されている。
【0035】
一例として、150μMより高い活性化第XIIa因子の血漿濃度は、対象集団のものよりも有意に異なる。2倍又はそれ以上の活性化第XIIa因子の血漿濃度の上昇は対象集団のものよりも有意に異なるものとして見なされ得る。
【0036】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は、モノクローナル抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体であり得る。
【0037】
好ましくは、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は、mAb 2/215又はその類似体、又はmAb 201/9又はその類似体又は、mAb 2/215のエピトープ−結合フラグメント又は誘導体又はその類似体、又はmAb 201/9エピトープ−結合フラグメント又は誘導体又はその類似体である。
【0038】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は、Fabフラグメント又は(Fab‘)2フラグメントであり得る。
【0039】
好ましくは、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体はヒト化抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体である。
【0040】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、該抗体は活性化第XIIa因子に特異的に結合しそして薬剤として用いられるために活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0041】
その様な抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は、本発明の方法に関し上記に記載した1つ又はそれ以上の追加的な特徴をとり込み得る。
【0042】
本発明はまた、医薬品として許容できる担体と共に、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む医薬品組成物を提供する。
【0043】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の被験者の動脈血栓症を予防する薬剤の製造における使用を提供し、該抗体は特異的に活性化第XIIa因子と相互作用し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0044】
本発明はまた、経皮冠動脈インターベンションを受けるために選択された被験者の血中活性化XIIa因子の値を測定し、そして該被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が対照集団のものと有意に異なっている場合に、又は被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が、該被験者に血管形成術に備えてのヘパリン及び造影剤を投与後に対照集団のものと有意に異なる要因により増加する場合に、該被験者を高リスクグループへ割り当てることを含む、該被験者の、後の再狭窄のリスクを予測する方法を提供する。
【0045】
一例として、150μMより高い活性化第XIIa因子の血漿濃度は、対象集団のものよりも有意に異なる。2倍又はそれ以上の活性化第XIIa因子の血漿濃度の上昇は対象集団のものよりも有意に異なるものとして見なされ得る。
【0046】
高い危険度の群に分類された被験者は動脈の再狭窄を予防するために特別の治療又はモ
ニターされ得る。あるいは、選択的PCIは中止され得る。
【0047】
本発明はまた、標識部分に結合した、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む、生体内イメージング剤を提供する。
【0048】
本発明はまた、被験者へ本発明による生体内イメージング剤を投与し、次いで生体内でイメージング剤の標識部分を検出することを含む、該被験者の血栓形成部分を画像化する方法を提供する。
【0049】
本発明はまた、治療化合物に結合した、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む、治療剤を提供する。
【0050】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体、そして該被験者は、本発明の方法に関して上記に定義されたようなものであり得、該薬剤は望ましくない血栓形成と関連する疾患の治療のためのものであり得る。例えば、該薬剤は、血管形成、心筋梗塞又は脳卒中の後の投与のためのものであり得る。
【0051】
本発明はまた、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、該抗体は特異的に活性化第XIIa因子と相互作用しそして被験者の動脈血栓症を予防するための薬剤として使用するために活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止する。
【0052】
該治療化合物は好ましくは、血栓溶解剤、又は他の抗血栓剤、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、チロフィバン、クロピドグレル、又はテネクテプラーゼである。
【0053】
本発明はまた、該被験者へ本発明による治療剤を投与すること含む、該被験者の望ましくない血栓形成により特徴付けられる疾患の治療方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、被験者の動脈血栓症を予防するために使用するための、非活性化第XII因子に対する抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を提供し、ここで該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は第XII因子の多分子集合を防止するかあるいは該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子の形成を防止する。
【0055】
本発明はまた、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の治療有効量を被験者へ投与することを含む、該被験者の動脈血栓症を防止する方法を提供し、該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は第XII因子の多分子集合を防止するかあるいは該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子の形成を防止する。
【0056】
活性化第XIIa因子に特異的な抗体の産生
本発明において使用するための活性化第XIIa因子に特異的な抗体の産生のために、適する抗原を注射することにより、種々の宿主動物が免疫化され得る(以下の、抗原選択の詳細を参照)。このような宿主動物は、豚、兎、マウス、山羊、馬及びラットを含み得るが、しかし、それらに限定されるものではない。免疫応答を増加させるために、宿主に依存して、フロインドアジュバント(完全及び不完全)、鉱物塩例えば水酸化アルミニウム又は燐酸アルミニウム、界面活性物質例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、多価アニオン、ペプチド、油性乳剤、及び潜在的に有用なヒトアジュバント例えばBCG[バシル カルメット−ゲリン(bacille Calmette−Guerin)]
及びコリネバクテリウム パルバム(Corynebacterium parvum)を含むが、しかし、それらに限定されない種々の助剤が使用され得る。
【0057】
或いはまた、免疫応答は、応答強化剤、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、オボアルブミン、コレラ毒素又はそれらのフラグメントと組み合わせる及び/又は結合させることにより、増強され得る。
【0058】
ポリクローナル抗体もまた本発明において使用され得る。ポリクローナル抗体は、免疫化動物の血清から誘導される抗体分子の不均質な集団である。
【0059】
特定の抗原に対する抗体の均質な集団であるモノクローナル抗体は、培養液中での連続継代細胞系による抗体分子の産生を提供する如何なる技術によっても得ることができる。
【0060】
これらは、コーラー(Kohler)及びミルシュタイン(Milstein)[1975年、ネイチャー(Nature)、256、495〜497、及び米国特許第4,376,110号明細書]のハイブリドーマ技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術[コスボー(Kosbor)他、1983年、今日の免疫学(Immunology Today)4、72;コール(Cole)他、1983年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、80、2026〜2030]並びに、EBV−ハイブリドーマ技術[コール(Cole)他、1985年、モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)、アラン アール. リス インコーポレーテッド(Alan R. Liss Inc.)、第7796頁、を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。
【0061】
mAbを産生する本発明のハイブリドーマは生体外又は生体内で培養され得、そして、得られたmAbは慣用技術により精製され得る。生体内における高力価のmAbの産生は、これを好ましい産生方法になし得る。しかしながら、動物の使用に関する法的、商業的又は倫理的制約が生体内での産生を望ましくないものにする場合には、生体外の産生が好ましいことであり得る。
【0062】
ヒト化抗体
加えて、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的活性の異なった種の抗体分子、例えばヒト抗体分子からの遺伝子と一体に接続することにより、“キメラ抗体”そして特に“ヒト化抗体”[モリソン(Morrison)他、1984年、Proc.Natl.Acad.Sci.、81、6851〜6855;ノイベルガー(Neuberger)他、1984年、ネイチャー、312、604〜608;タケダ(Takeda)他、1985年、ネイチャー、314、452〜454]の産生のために開発された技術を使用することができる。キメラ抗体は、ネズミmAbから誘導される可変領域及びヒトイムノグロブリン定常領域を有するもののような、異なる部分が異なる動物種から誘導される分子である。このような技術は、米国特許第6,075,181号明細書及び同第5,877,397号明細書並びにそれらの個別の開示(これらは、その全体にわたり、参照として本明細書中に取り込まれている。)に記載されている。本発明により更に包含されるのは、米国特許第6,150,584号明細書(これは、その全体にわたり、参照として本明細書中に取り込まれている。)に記載されたような、完全ヒト化モノクローナル抗体の使用である。ヒト又はヒト化動物mAbは、ヒトにおける治療用途のために好ましいものであり得る。
【0063】
抗体誘導体
本発明において使用されるための抗体誘導体の例は、一本鎖抗体である。 一本鎖抗体の産生のための記載された技術[米国特許第4,946,778号明細書;バード(Bi
rd)、1988年、サイエンス(Science)、242、423〜426;ヒューストン(Huston)他、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.、米国、85、5879〜5883;及びウォード(Ward)他、1989年、ネイチャー、341、544〜546]が、一本鎖抗体の産生のために採用され得る。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグメントとをアミノ酸ブリッジを介して結合させ、一本鎖ポリペプチドを得ることにより形成される。
【0064】
抗体フラグメント
特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知技術により製造され得る。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシン分解により産生され得るF(ab’)2 フラグメント及び、F(ab’)2 フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより製造され得るFabフラグメントを含むが、しかし、それらに限定されるものではない。或いはまた、望ましい特異性を持つモノクローナルFabフラグメントを迅速且つ容易な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリーが構築され得る[ヒュース(Huse)他、1989年、サイエンス、246、1275〜1281]。
【0065】
本発明の抗体及びそのフラグメント及び誘導体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びこれらのどのような亜類をも含むどのような免疫グロブリン類のものであってもよい。
【0066】
抗体の産生のために適する抗原の選択及び製造
抗原の選択
本発明の抗原は、非活性化第XII因子に優先して活性化第XIIa因子の少なくとも1つのフォームに結合することが要求される。それ故それらは、活性化XIIaに存在し且つアクセス可能であるが、しかし、非活性化第XII因子に存在しないか又はアクセス不可能であるエピトープを認識せねばならない。抗原の選択に対する一つの手法は、それ故、αXIIa因子、βXIIa因子又は53kDXIIa因子上でアクセス可能であるが、非活性化第XIIa因子上でアクセス不可能な第XIIa因子アミノ酸配列を有するペプチド抗原を選択することである。
【0067】
抗原の製造
プロテイン抗原の寸法、凝集の程度及び相対的天然性、即ち、相対的欠損又は変性は全て、産生された抗体の品質及び量に劇的な影響を及ぼし得る。小さいポリペプチド(<10Kda)及び非プロテイン抗原は、一般的に、免疫性を増加させ且つT細胞エピトープを産生するために、より大きい、免疫学的、キャリアプロテインと結合又は交差結合することが必要である。可溶性の、凝集していないプロテインの注射は、十分な抗体応答よりもむしろ耐性を生じさせ得る。それ故、前記抗原をより大きいプロテイン、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)又はウシ血清アルブミン(BSA)と結合させることが望ましいことであり得る。ポリ−L−リジンもまた、小さい抗原ペプチドのための骨核として成功裏に使用されている。
【0068】
抗原は常に、それらが微生物汚染を有しないことを保証する技術を使用して製造されるべきである。抗原組成物は、0.22μmフィルターを通すことにより滅菌され得る。
【0069】
ポリクローナル抗体の精製
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、公知技術、例えば、プロテイン−A又はプロテイン−G親和性クロマトグラフィーカラムを使用して、非免疫グロブリン汚染物から精製され得る。本発明のポリクローナル抗体は、交差反応性を除去又は低減するために、更なる精製を必要とし得る。非活性化第XII因子のとの交差反応性を除去するために、親和性精製法により、ポリクローナル血清から前記抗体種を除去することが必要であ
り得る。フィッシャー(Fisher)他、1988年、セル(Cell)、54、813〜822(この開示は、参照として本明細書中に取り込まれている。)は、ポリクローナル抗体の親和性精製のために適するプロトコルの詳細を与える。要するに、このような精製技術は、前記抗原或いは交差反応性の問題を引き起こしている抗原を、固体基材、例えば実験室プラスチックウェア物品の壁又はクロマトグラフィーカラム内に充填された固体ビーズに固定すること、及び、ポリクローナル血清を前記固体基材の中又は上を通過させることを含み、その結果、交差反応性を示す抗体種が保持されそして交差反応性を示さない抗体種が液相中に保持される。本発明のポリクローナル抗体の産生のための親和性精製技術の使用例として、ポリクローナル抗体応答を、動物に活性化型第XIIa因子を接種することにより該動物中に生じさせ得、ここで得られたポリクローナル血清は、その後、固定された非活性化αXIIa因子を含むクロマトグラフィーカラムを通過させることにより、親和性精製され得る。非活性化第XII因子との交差反応性を示す抗体種はカラム中に保持され、そして、活性化型第XIIa因子の1フォームに結合し得るがしかし非活性化第XII因子に結合し得ない抗体種は液相中に残り、そしてカラム溶出液に含まれる。
【0070】
試料と試料調製
試料
活性化第XIIa因子フォームの様々な測定は、全血、血漿、血清、尿、脳脊髄液、唾液又は涙液、といった体液の試料;あるいは、体液から分離された細胞、すなわち、生体内で存在している液相から実質的に解放された細胞からなる試料;あるいは、組織又は組織試料から得られた細胞からなる試料に対して実施され得る。好ましくは、測定は血漿試料において行われる。
【0071】
試料調製
試料は一般的な技法を用いて得られならびに調製され得、たとえば以下を参照のこと:ヤング,D.S.ならびにベルメス,E.W.,「試料の採集と加工」,ティーツ臨床化学テキストブック 第二版」,バーティス、C.A.ならびにアシュウッド編、E.R.
,サウンダース(1994)、また、酵素学の手法,H.ヴァン ヴナキスならびにJ.
J.ランゴン(編者),1981,72(B);酵素免疫検定法の実践と理論,P ティッセン,生化学ならびに分子生物学の実験テクニック,R.J.バーデンならびにP.H.ヴァン ニッペンバーグ(編者),エルセビア,1985;放射性免疫検定法の手引きと
関連テクニック,T.チャード,同書,第三版,1987;ならびに、酵素学における方法、H.ヴァン ヴナキスならびにJ.J.ロンゴン(編者)1981,74(C)。
【0072】
抗体交差反応性
本発明の抗体は、10%又はそれ未満、より好ましくは5%又はそれ未満、更により好ましくは2%又はそれ未満、更により好ましくは1%又はそれ未満、更により好ましくは0.5%又はそれ未満、更により好ましくは0.1%又はそれ未満の、非活性化第XII因子との補正された交差反応性を有する。好ましくは、前記抗体は、例えば0.5%又はそれ未満、より好ましくは0.1%又はそれ未満の、第XII因子との低い交差反応性を有する。本発明の抗体と第XII因子との交差反応性を評価する際に考慮すべき要因は、第XII因子シルバーベルグ(Silverberg)及びカプラン(Kaplan)、血液(Blood)、60、1982、64〜70に説明されているように、第XII因子製剤は第XIIa因子で不可避的に汚染されていることである。国際公開第90/08835号パンフレットは、第XII因子との補正された交差反応性を評価する方法の詳細を与えている。特記しない限り、用語“交差反応性”は、補正された交差反応性を意味するために本明細書中で使用される。
【0073】
モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は周知である[例えば、酵素学に
おける方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981、72(B)及び同1983、92(E)を参照]。
【0074】
モノクローナル抗体は、例えば、コーラー及びミルシュタインの方法の変法により産生され得る[ジー.コーラー及びシー.ミルシュタイン、ネイチャー、1975、256、495]。
【0075】
国際公開第90/08835号パンフレット(これは、参考文献として本明細書中に取り込まれている。)は、活性化第XII因子に結合し、そして0.1%又はそれ未満の、第XII因子との補正された交差反応性を示す抗体をどのようにして産生するかを一般的な表現で記載しており、そしてmAb2/215及びmAb201/9の産生の具体的な詳細を与える。その中に記載された一般的及び特定の方法は、本発明の使用のために適するモノクローナル抗体、例えば、活性化第XIIa因子と結合するが、しかし、不活性化第XII因子と結合しないモノクローナル抗体を産生するために使用され得る。
国際公開第90/08835号パンフレットの開示に基づく、本発明の使用のために適するモノクローナル抗体を産生するための一般的な手順は、国際公開第04/057343号パンフレット(これは、参考文献として本明細書中に取り込まれている。)の実施例22に与えられている。
【0076】
モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は周知である[例えば、酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981、72(B)及び同1983、92(E)を参照]。モノクローナル抗体は、例えば、コーラー及びミルシュタインの方法の変法により産生され得る[ジー.コーラー及びシー.ミルシュタイン、ネイチャー、1975、256、495]。モノクローナル抗体の産生の際に使用される抗原は、αXIIa因子又は53Kd第XIIa因子又はβXIIa因子であってよい。得られたモノクローナル抗体は、第XII因子の1つとの有意な結合
性を示さないもの、例えば、0.1%又はそれ未満の、第XII因子との補正された交差反応性を有するものについて選別され得る。
【0077】
活性化第XIIa因子と結合する抗体のためのスクリーニングにおいて対照抗体としてモノクローナル抗体2/215又は201/9をそれぞれ使用することが効果的であろう。
【0078】
本発明はネズミ又は一部ネズミ起源のハイブリドーマに限定されない。双方の融合パートナー(脾臓細胞及び骨髄腫)は、どのような適する動物からも得られ得る。組み換え抗体が産生され得る。抗体は、所望により、キメラ又はヒト化フォームにされ得る。ハイブリドーマは好ましくは、生体内で培養される。
【0079】
ポリクローナル抗体
本発明はまた、活性化第XIIa因子の一つ又はそれより多くのフォームに選択的に反応可能である、ポリクローナル抗血漿とも呼ばれるポリクローナル抗体を提供する。
【0080】
血管形成術
血管形成術は、病的動脈を持つ被験者を治療するために用いられる外科技術である。該手順は動脈閉塞を拡大(拡張)させ、それは、アテローム性動脈硬化症の合併症を予防する一助となり得る。血管形成術は通常、詰まった動脈中においてそれを開ける支えの補助をしそして再閉塞の機会を減少させるステントの移植と併用される。血管形成術はまた、冠動脈バルーン拡張、バルーン血管形成術及び経皮冠動脈インターベンション(PCI)として知られている。
【0081】
血管形成術は一般に被験者の鼠径部中の動脈(大腿動脈)を通して行われる。一般的ではないが、腕又は手首の領域中の動脈を用いて行われ得る。
【0082】
シースと呼ばれる短い管が大腿動脈中へ挿入される。次に、ガイドがシース中に挿入される。モニター上のX線画像を用いて、医師はその動脈を通して閉塞または狭窄した動脈に到達するに至るまでガイドカテーテルを通す。
【0083】
典型的には、抗凝固剤、典型的にはヘパリンが血管形成術に備えて投与される。動脈中の閉塞又は狭窄の領域がX線画像に映し出されるように造影剤もまた注射され、それにより、医師は治療の標的をどこにするかを知ることができる。
【0084】
フラミンガムリスクスコア法
フラミンガム心臓研究は、長期にわたるそして進行中の、米国国立心臓肺血管研究所とボストン大学の研究プロジェクトである。この研究の成果の一つは、冠状動脈性心臓病のリスクにある個人の同定に用いられ得るフレミンガムリスクスコアの開発である。リスクスコアは、年齢、ライフスタイル及び医学的検査のような要因に基づき個人に割り当てられたポイントを合計することにより該個人のために計算される。
【0085】
本発明は、被験者に治療有効量の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を投与することを含む、該被験者の動脈血栓症を予防する方法であって、該抗体、フラグメント又は誘導体は特異的に活性化第XIIa因子と結合し、そして活性化第XIIa因子とその生理学基質との相互作用を防止し、該被験者は、フレミンガムリスクスコア法を用いて定義された、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28又は30%より大きい冠状動脈性心臓病の推定リスクを有するところの方法を提供する。本発明はまた、類似の組成物製品及び使用を提供する。本発明は、前記の推定リスクスコアが、フレミンガムリスクスコア法の変法、派生法、改良法又は代替法により計算されるところの関連する方法を包含する。
【0086】
本発明はまた、望ましくない血栓形成により引き起こされる任意の障害を防止するための同様の方法であって、前記被験者はその障害の同様の高リスク、例えば好適なリスクスコア法を用いて定義された脳卒中の高リスク、を有するところの方法を包含する。
【0087】
医薬品組成物
本発明は、本発明の抗体、フラグメント又は誘導体を含む有効成分又は本発明の治療剤又は本発明の生体内イメージング剤(まとめて“有効成分”として知られる)を、医薬品として許容可能な担体と組み合わせて含有する医薬品組成物に関する。典型的には、そのような医薬品組成物は、注射液又は輸液のための好適な形態であろう。
【0088】
該組成物は、単位用量形態で都合よく提供され得、そして製薬学の分野においてよく知られた任意の方法により製造され得る。全ての方法は、有効成分を1種又はそれ以上の副成分を構成する医薬品担体と結合させる工程を含む。一般的に、配合物は均一そして密に、活性成分を液体担体又は微細に分割された固体担体又は両方と結合させることにより製造され、そして次に、必要に応じて、望ましい配合にする。
【0089】
種々の医薬品として許容可能な担体及びそれらの処方は、標準的な処方の論文、例えば、E.W.Martinによるレミントンの医薬品科学(Remington's Ph
armacentical Scinces)に記載されている。また、Wang、Y.J.及びHanson、M.A.,Journal of Parenteral Science and Technology、Technical Report 第10号、Supp.42:2S(1988年)参照のこと。
【0090】
非経口投与のための配合物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬及びその配合物を所定の受容者の血液と等張にする溶質を含み得る水性及び非水性滅菌注射液、そして懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液を含む。該配合物は単位用量又は複数用量容器、例えば封入アンプル及びバイアル、中で提供され得、そして、使用直前に滅菌液体担体、例えば生理食塩水又は注射用水、の添加のみ必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態において貯蔵され得る。即時の注射用溶液及び懸濁液は、上記の種類の滅菌粉末、顆粒及びタブレットより製造され得る。非経口投与のための典型的な組成物は、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液のような好適な無毒の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒、又は合成モノ−又はジクリセリドなどのその他の好適な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤、及びオレイン酸などの脂肪酸又はクレモホールを含む、注射用溶液又は懸濁液を含む。水性担体は、例えば、約3.0乃至約8.0のpHの、好ましくは約3.5乃至約7.4のpH、例えば、3.5乃至6.0、例えば3.5乃至5.0の、等張緩衝剤溶液であり得る。有用な緩衝液は、クエン酸ナトリウム−クエン酸及びリン酸ナトリウム−リン酸、及び酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液を含む。該組成物は好ましくは、有効成分に有害であると知られている化合物を含まないものである。
【0091】
含み得る賦形剤は、例えば、ヒト血清アルブミン又は血漿製剤のようなその他のタンパク質である。必要に応じ、医薬品組成物はまた、少量の、湿潤剤又は乳化剤、防腐剤、及びpH緩衝剤等、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレートのような非毒性の補助物質を含み得る。
【0092】
好ましい単位用量配合物は、有効成分の、ここに前記されたような有効量、又は、その適切な一部を含むものである。
【0093】
本発明の組成物は、ポンプ(Langer、Science、249巻1527−1533頁、1990年;Sefton、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.、14巻207頁、1987年;Buchwald等、Surgery,88巻:507頁、1980年;Saudek等、N.Engl.J. Med.、321巻;574頁、1989年参照)を手段として、または、例えばミニ−ポンプを用いた持続皮下注入により送達され得る。点滴用バッグ溶液もまた採用され得る。適切な用量を選択する際の主要な要因は、全体重の減少分又は脂肪部分対非脂肪分(fat to lean
mass)の比により、又は医師により適切と判断された、肥満のコントロール又は予防あるいは肥満に関連した状態の予防のためのその他の基準により測定された、得られた結果である。その他の調整された放出システムは、上記Langerによる概説において検討されている。本開示のその他の側面において、本発明の化合物は、例えば、米国特許第6,436,091号明細書;米国特許第5,939,380号明細書;米国特許第5,993,414号明細書に記載されている、埋め込み式のポンプを手段として送達される。
【0094】
薬物又はその他の任意の治療薬の持続的且つ長期間の投与又は注入を被験者に提供するために、埋め込み式輸液用器具が用いられる。本質的にそのような器具は、能動的なもの又は受動的なもののどちらかとして分類され得る。本発明の化合物は、デポー製剤として調合され得る。そのような長期間作用するデポー配合物は、例えば、皮下又は筋肉内埋め込み、又は筋肉注射により投与され得る。したがって、例えば、化合物は、例えば、許容される油脂中のエマルジョンとして;又はイオン交換樹脂;又は難溶性誘導体、例えば難溶性塩として、適切なポリマー物質又は疎水性物質を用いて調合され得る。
【0095】
治療有効量の本発明の化合物は、ボーラス投与としてのシングルパルスドーズ、又は長
時間投与されるパルスドーズとして投与され得る。したがって、パパルスドーズにおいては、本発明の化合物のボーラス投与がもたらされ、次いで本発明の化合物が被験者に投与される期間があり、次いで第二のボーラス投与がある。特定の、限定されない例においては、本発明の化合物のパルスドーズは、1日の間に、1週間の間に、又は1月の間に投与される。
【0096】
イメージング剤
本発明は、標識部分に結合した本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む生体内イメージング剤を、本発明による生体内イメージング剤を被験者に投与し次いで該イメージング剤の標識部分を生体内で検出することを含む該被験者の中の血栓形成の部位を画像化する方法に加えて提供する。そのような剤及び方法は臨床的使用を有するだけでなく、研究手段として、特に血栓形成の非ヒトの動物モデル中の血栓形成の画像化において、使用され得る。画像化システムは、蛍光標識体の結合したイメージング剤を用いる蛍光イメージングのGEヘルスケア製eXplore Optix(登録商標)装置、生物発光標識又はラジオアイソトープ標識を用いるその他のイメージング装置を含む。本発明は血栓形成の部位において集積するであろうイメージング剤を提供する。この集積は、それが結合している標識の部分とは無関係であり、そして本発明は任意の好適な標識部分を含むイメージング剤を提供する。
【0097】
治療剤
本発明は、治療化合物に結合した、本発明による抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む治療剤、及び、本発明による治療剤を被験者に投与することを含む該被験者の望ましくない血栓生成により特徴付けられる疾患の治療方法を提供する。多くの治療化合物が被験者の中の望ましくない血管形成の治療のために知られている。そのような化合物は、血栓溶解剤又は“クロットバスター”そしてまた血小板凝集の阻害剤を含む。特定の化合物は、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、tPA、チロフィバン及びクロピドグレルを含む。そのような剤を本発明の抗体又はエピトープ−結合フラグメント又は誘導体と結合させることにより、治療化合物は、血栓形成の部位は活性化第XIIa因子の上昇した値を含むであろうため、その様な部位を標的とし得る。治療化合物をそれらが必要としている部位へ向け的を絞る利点は、治療化合物の高い局所濃度に起因するより大きな治療効率、及び化合物の低い全身での濃度に起因する低い副作用を含む。活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を阻害することにより、本発明の抗体、そのフラグメント及び誘導体は抗血栓作用を示す。該抗体をさらに抗血栓化合物とカップリングした場合、抗血栓作用の相乗的増加があり得る。
【0098】
以下の限定されない実施例で本発明を説明する。
【実施例】
【0099】
実施例
実施例1
経皮経管冠動脈形成術後の動脈再狭窄におけるXIIa
経皮冠動脈インターベンション(PCI)は、心臓の動脈疾患、例えば、細流に近い状態まで血流を低下し得る脂質、コレステロール及び血中のその他の物質(プラークと呼ばれる)の増加により引き起こされる胸痛、又は動脈を完全に閉塞する大きな血栓に起因する心臓発作、を有する被験者を治療するために使用される種々の手法を包含する。
【0100】
典型的には、PCIは、鼠径部中の動脈から心臓の動脈中の問題部分へ向かって、細長いバルーン−チップの管−カテーテル−を通すことにより行われる(これは、経皮経管冠動脈形成術と呼ばれ−またPTCA、冠動脈バルーン拡張又はバルーン血管形成としても知られている。)。バルーンは、その後膨らまされ、プラークを圧縮しそして狭窄した冠
動脈を拡張し、それにより血液がより容易に流れ得るようになる。これはしばしば、拡張可能な金属ステントの挿入を伴い得る。ステントはPTCA後に動脈を支え広げるために用いられるワイヤーメッシュ状の管である。
【0101】
PCI後の動脈の再狭窄は、該技術の主な限界であり、そしてそのようなリスクにある被験者を同定及び特別に治療する手段は、非常に有用であろう。
【0102】
少なくとも1種の障害に対する選択的PCIを受けている11名の被験者が、手術の開始直前(ヘパリン又は造影剤液を投与前)とヘパリン及び造影剤液投与後に採取した血液検体において、測定した活性化第XII因子値を測ってもらった。
全ての被験者は、手術前に300mgのアスピリンを摂取しそしてPCI前か又はPCI直後の何れかにおいて300mgのクロピドグレルを与えられた。未分画へパリンをPCI前の全ての被験者に手術直前に投与した[5000−7500IUボーラス、ACT(活性凝固時間)>300秒を達成するように調節して]。局所麻酔の後、大腿部又は橈骨の動脈シースを単一壁エントリー手法(single−wall entry technichque)により取り付けた。
【0103】
局所麻酔の後、大腿部動脈シースを単一壁エントリー手法により取り付けた。冠動脈造影を全ての被験者において標準的な手法で、カテーテルを経て導入された非イオン性造影剤(Iomeron−R)を用いて、手術中を通じて数回の注射を適用し、行った。所定のPCIを、モノレールバルーンカテーテルを用いて行った。血液検体を動脈シースより得た。
血液検体は、20℃において2000−xgにおいて15分間遠心分離した。XIIaの測定を遠心分離後速やかに行った。
【0104】
XIIa測定を、全ての検体においてマイクロタイタープレートELISAアッセイを用いて行った。アッセイは、XIIaと反応するが第XII因子チモーゲンとの検出可能な結合を示さない、高特異的モノクローナル抗体(Mab2/215)を採用した。
【0105】
第XIIa因子は、Mab2/215を15μg/mLにおいてコートしたマイクロタイタープレートを用いて測定した。検体インキュベーション工程は、抗体と結合させるために他の方法では入手し得ないXIIaの放出能を有する、Tritonのような剤の非存在下で行った。したがって、このアッセイは、XIIaのみを測定し、ここで、XIIa上のエピトープへの抗体の結合は、その他の種と複合体を形成した抗体によって立体的に障害されない。複合体として用いられる抗体は第XII因子チモーゲンに対してもたらされたポリクローナル抗体であった。このポリクローナル抗体は複数のエピトープと反応するが、しかしこの抗体の特に重要な点は、非触媒的βXIIa重鎖と結合することである。
【0106】
これらの11名の被験者において得られたXIIa値を表1及び図1に示す。11名の被験者中10名はPCI後の再狭窄の兆候を示さず、一方、1名の被験者(被験者11)は、PCI後3日に再狭窄(緊急の血栓溶解による治療を必要とする)があった。この被験者は、ヘパリン/造影剤液の注入前後の何れにおいてもその他の10名の被験者と比較して明らかに高いXIIa濃度を有していた。これらのデータは、開始されたPCI手術の生理学的インターベンション前の上昇したXIIaは、この被験者が再狭窄のリスクを有したこと示したことを示唆する。これは、再狭窄は上昇したXIIa濃度の結果であること、そしてXIIa阻害剤を用いた治療は再狭窄の発生の可能性を減少するであろうことが仮定された。
【0107】
表1 待機的PCIを受けている11名の被験者において得られたXIIa値。
【表1】

【0108】
実施例2
本実施例は、提供された第XIIa因子の上昇値が、心筋梗塞及び急性冠症候群が疑われて入院した被験者の死亡を引き起こす全ての増加したリスクと関連付けられることを示す。
【0109】
入院した871人の被験者についてデータが得られた。各被験者は、第XIIa因子を測定してもらった。これらの分析からのデータは、それが、あらゆる原因による死亡の第一次の臨床的エンドポイントの予測を提供するかどうかを解明するために研究された。
【0110】
前記分析の予測的有用性は、第XIIa因子値を段階付け(最低から最高まで)し、次いで、被検者数を四分割する、即ち、最低の第XIIa因子濃度を持つ25%の個人は四分割の一番目であり、そして最高の第XIIa因子濃度を持つ25%の個人は四分割の四番目であるとすることにより決定された。
【0111】
試料をヨウ素−125標識化抗体と反応させた後に、XIIaのフォームは高性能液体クロマトグラフィーを使用して測定された。
【0112】
抗体2/215のFab抗体フラグメントは、“イムノピュアFab調製キット(Immunopure Fab Preparation Kit)”[ピース(Pierce)、3747エヌ メリジアン ロード(Meridian Road)、私書箱117、ロックフォード(Rockford)、イリノイ、米国]を製造者の使用説明書に従って使用して調製された。Fabフラグメントは次いで、アマシャム ファルマシア バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)[ポラーズ ウッド(Pollards Wood)、ナイチンゲールズ レイン(Nightingales Lane)、チャルフォント セント ゲイルズ(Chalfont St Giles)、エイチピー8 4エスピー、英国]によるヨウ素−125を用いて放射性標識化された。
【0113】
放射性標識化された抗体1μLを、多数の健常人ボランティアの各々からの血漿1mLに添加した。4時間インキュベートした後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、血漿の成分を分離した。使用したHPLCシステムは、アジレント1100シス
テムであった。
【0114】
HPLCのために使用した移動相は、0.1M NaCl、0.05M トリス塩酸、0.4%(重量/容量)クエン酸三ナトリウム、pH7,5であった。固定相は、直列の2×30cmバイオセプ(BioSep)−SEC−S3000カラム[フェノメネックス(Phenomenex)、クインーズ アべニュー(Queens Avenue)、ハーズフィールド インダストリアル エステート(Hurdsfield Industrial Estate)、チェシャー(Cheshire)、エスケイ10 2ビーエヌ、英国]を含んでいた。流速は0.7mL/分であり、そして、注入容量は100μLであった。
【0115】
280nmにおける吸光度を測定することにより、そして、フロー−カウント ラジオクロマトグラフィー検出器(Flow−Count Radiochromatography)[ラブロジック(LabLogic)、シェフィールド(Sheffield)、英国]を使用して放射能をモニターすることにより、HPLC溶出液をモニターした。
【0116】
分子量標準を流し、そしてこれらと比較することから、XIIaピークを同定することができた。このピーク(放射能シグナル)の下の面積の積算は、XIIaの定量的測定を提供した。定量化のキャリブレーションは、XIIaの30kDフォーム(βXIIa)の既知量を持つ標準を流すことにより得られた。
【0117】
表2は、異なる追跡調査時点におけるXIIa濃度と関連付けられる、あらゆる原因による死亡の相対的危険性を示す。全ての場合において、最高のXIIa濃度を持つ前記被験者は、統計的に有意に増加した死のリスクがあった。これは全ての被験者[心筋梗塞(0.05ng/mLより大きい入院時トロポニンT(TnT)として定義された。)で入院した被験者、しかし特に、トロポニン陰性(0.05ng/mLより小さいか又は等しいTnT)の胸痛で入院した被験者]に当てはまった。図2ないし図4は、全ての被験者[それぞれ、0.05ng/mLより大きい入院時TnTを有する被験者、及び、0.05ng/mLより小さいか又は等しい入院時TnTを有する被験者]に対するカプラン・マイヤー生存プロットを示す。
【0118】
表2.XIIa濃度に関するあらゆる原因による死亡のオッズ比
【表2】

【0119】
実施例3
本実施例は、提供された第XIIa因子の濃度変化が、心筋梗塞で入院した被験者における第二次の心筋梗塞のリスクと関連することを示す。
【0120】
入院した315人の被験者についてデータが得られた。血液試料は入院時及び入院4日後に得られた。各被験者は、第XIIa因子を測定してもらった。これらの分析からのデータは、第XIIa因子の濃度変化が、入院30日以内の第二次の心筋梗塞の第一次の臨床的エンドポイントの予測を提供するかどうかを解明するために研究された。追跡調査30日の時点で、24人の被験者が第二次の心筋梗塞を発症した。
【0121】
試料をヨウ素−125で標識化抗体と反応させた後に、XIIaは高性能液体クロマトグラフィーを使用して測定された。
【0122】
抗体2/215のFab抗体フラグメントは、“イムノピュアFab調製キット”[ピアス、3747エヌ メリジアン ロード、私書箱117、ロックフォード、イリノイ、米国]を製造者の使用説明書に従って使用して調製された。これらのFabフラグメントは次いで、アマシャム ファルマシア バイオテク[ポラーズ ウッド、ナイチンゲールズ レイン、チャルフォント セント ゲイルズ、エイチピー8 4エスピー、英国]によるヨウ素−125を用いて放射性標識化された。
【0123】
放射性標識化された抗体1μLを、多数の健常人ボランティアの各々からの血漿1mLに添加した。4時間インキュベートした後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、血漿の成分を分離した。HPLCシステムはアジレント1100システムであった。
【0124】
HPLCのために使用した移動相は、0.1M NaCl、0.05M トリス塩酸、
0.4%(重量/容量)クエン酸三ナトリウム、pH7,5であった。固定相は、直列の2×30cmバイオセプ−SEC−S3000カラム[フェノメネックス、クインーズ アべニュー、ハーズフィールド インダストリアル エステート、チェシャー、エスケイ10 2ビーエヌ、英国]を含んでいた。流速は0.7mL/分であり、そして、注入容量は100μLであった。
【0125】
280nmにおける吸光度を測定することにより、そして、フロー−カウント ラジオクロマトグラフィー検出器[ラブロジック、シェフィールド、英国]を使用して放射能をモニターすることにより、HPLC溶出液をモニターした。
【0126】
分子量標準を流し、そしてこれらと比較することから、XIIaピークを同定することができた。このピーク(放射能活性シグナル)の下の面積の積算は、XIIaの定量的測定を提供した。定量化のキャリブレーションは、XIIaの30kDフォーム(βXIIa)の既知量を持つ標準を流すことにより得られた。
【0127】
前記分析の予測的有用性は、第XIIa因子値の変化を段階付け(最低から最高まで)し、次いで、被検者数を四分割する、即ち、入院時と4日後との間に53kD第XIIa因子濃度における減少が最も大きかった25%の個人は四分割の一番目であり、そして濃度における増加が最も大きかった25%の個人は四分割の四番目であるとすることにより決定された。
【0128】
XIIaの濃度変化の分布(pMと表現する。)を図5に示し、そして、XIIaの53kDフォームの相対的な濃度変化(入院時の値に対する%変化として表現する。)を図6に示す。
【0129】
XIIa濃度における変化に基づく発症率を表3に与える。XIIa濃度における絶対及び相対変化(入院からの%変化)共に、危険性に強く関連していた。XIIa濃度における変化をQ1と比較した場合、Q4における再発TnT陽性発症についてのオッズ比は、入院時の値に対して、絶対変化で15.36(p=0.0046)であり、そして%変化で13.97(p=0.0062)であった。それ故、入院時から心筋梗塞の4日後までのXIIaの濃度における変化は、30日間の追跡調査の間の心筋梗塞を強く予測すると結論される。
【0130】
表3.入院時と心筋梗塞4日後の間のXIIaにおける変化に関する、心筋梗塞に対する入院後30日以内のTnT陽性心臓発作の発症
【表3】

【0131】
実施例4
この実施例は、血栓形成における活性化XII因子の関与を説明する、免疫組織化学的染色により動脈血栓の構成成分としての活性化XII因子の存在を実証するものである。
【0132】
血栓物質のサンプルを、ノルウェーの地域専門家センターにおいて急性経皮経管冠動脈形成術を受けている個人の心臓動脈から入手した。活性化XII因子の検出のため適切な対照として機能させるため、一連のその他の組織もまた入手した。倫理委員会の承認及び被験者のインフォームドコンセントをこの研究のために得た。
【0133】
組織検体(血栓物質を含む)を、ダコ・エンビジョン免疫組織化学システムと結合したこの分子に特異的な抗体を用いて第XIIa因子の存在を試験した。
【0134】
免疫組織化学的染色に先立ち、組織は固定されそして処理された。固定は、切除組織の自己分解、壊死を防止し、そして検体の抗原性を保つ。検体は10%中性リン酸緩衝ホルマリンを用いて固定した。固定の後、処理を自動組織処理装置を用いて完了させた。組織は、段階的アルコール溶液を用いて脱水し、キシレンを用いて除去しそしてパラフィンワックスを浸透させた。次いで、該組織をカセット中のパラフィンワックスで包埋した。
【0135】
包埋した組織をミクロトームを用いて切片としそして組織切片を清潔なスライドグラスに収集した。検体をオーブン中で56℃において60分間のインキュベーションにより乾燥させた。染色に先立ち、組織スライドはキシレン浴中にスライドを置き、そして5分間インキュベートことにより脱パラフィンをした。スライドは次に、第二の新しいキシレン浴に置きそしてさらに5分間インキュベートした。余分な液体をスライドから落としそして次いでこれらを純アルコール浴中に3分間置いた。余分な液体を落とし、そしてスライドを第二の新しい純アルコールを含む浴中に置いた。余分の液体をスライドから落とし、そして次いでこれらを95%アルコール浴に3分間置いた。余分の液体を落としそしてスライドを第二の新しい95%ルコールを含む浴中に置いた。余分の液体を落としそしてスライドを蒸留水中に60秒置いた。次いでスライドを0.05Mのトリス緩衝生理食塩液pH7.4中に処理の次の段階まで保存した。
【0136】
余分の緩衝液を組織切片が取り付けられたスライドから落とした。標本周りのくずのない組織を注意深く拭き取ることでいかなる余分の液体も除去された。標本は、ダコ・サイトメーション製ペルオキシダーゼブロック試薬を用いて覆い、そして5分間インキュベートした。
【0137】
次いで該組織検体は洗浄ボトルからの0.05Mトリス緩衝生理食塩液でゆるやかにすすぎ、そして0.05Mトリス緩衝生理食塩液を含む新しい緩衝液浴中に置いた。
【0138】
次の工程を始めるにあたり、余分の緩衝液を組織切片が取り付けられたスライドから落とした。標本周りのくずのない組織を注意深く拭き取ることでいかなる余分の液体も除去された。標本は、0.05Mトリス塩酸、pH7.4の1%ウシ血清アルブミン(ダコ・サイトメーション製エンビジョン抗体希釈剤、コードS0809)を含む、10μg/m
Lの2/215モノクローナル抗体を用いて
覆い、そして30分間インキュベートした。
【0139】
複製した検体を、2/215の代わりに対照抗体として作用する対照抗体で、インキュベートした。陰性対照抗体は、ハムスターIgG(シグマ製H2412)に向けたマウスモノクローナル抗体(2/215と同じサブクラス)であり、そして濃度及びインキュベーション時間は2/215抗XIIa抗体のために用いられるものと同様とした。更なる陰性対照はダコ・サイトメーション製の一般陰性対照(コードNP015)を用いて行った。
【0140】
第一の抗体を用いた30分間のインキュベーションの後、該組織検体は洗浄ボトルからの0.05Mトリス緩衝生理食塩液でゆるやかにすすぎ、そして0.05Mトリス緩衝生理食塩液を含む新しい緩衝液浴中に置いた。
【0141】
次の工程を始めるにあたり、余分の緩衝液を組織切片が取り付けられたスライドから落とした。標本周りのくずのない組織を注意深く拭き取ることでいかなる余分の液体も除去された。標本は、ダコ・サイトメーション、エンビジョン(Envision)標識ポリマーを用いて覆い、そして30分間インキュベートした。該組織検体は洗浄ボトルからの0.05Mトリス緩衝生理食塩液でゆるやかにすすぎ、そして0.05Mトリス緩衝生理食塩液を含む新しい緩衝液浴中に置いた。
【0142】
余分の緩衝液を組織切片が取り付けられたスライドから落とした。標本周りのくずのない組織を注意深く拭き取ることでいかなる余分の液体も除去された。標本は、製造者の指示により再構成されたダコ・サイトメーション製エンビジョン液体DAB+基質クロマゲン溶液を用いて覆い、そして10分間インキュベートした。検体はここで洗浄ボトルからの蒸留水でゆるやかにすすいだ。
【0143】
検体は、ここでヘマトキシリン浴中に2分間浸すことより対比染色し、次いで蒸留水浴中で緩やかにすすいだ。スライドはそして0.037Mアンモニアを含む浴中へ浸し、そして次に蒸留水浴で5分間すすいだ。標本を次に、非水溶性の永久封入剤を用いて装着し、カバースリップした。
【0144】
標本を次に免疫化学的(IHC)染色の存在を顕微鏡で観察し(褐色の染色としての痕跡)、そしてその結果を表4にまとめた。
【0145】
モノクローナル抗体2/215(抗第XIIa因子)を用いた場合かなりのIHC染色が、血栓物質において現われたが、対照抗体を用いた場合はこの組織中の如何なる染色も現われなかったので、第XIIa因子が動脈血栓の重要成分であることが含まれ得る。観測された広範囲の染色は、活性化XII因子が高濃度で存在することを示し、そしてしたがって、活性化XII因子は血栓形成及び/又は安定化において重要な役割を果たすと結論付けるのは妥当である。
【0146】
表4 2/215抗第XIIa因子及び陰性対照抗体を用いた、異なる組織検体の免疫組織化学的染色からの結果。
【表4】

【0147】
実施例5
この実施例は、血栓形成における活性化第XII因子の関与を説明する、ホモジナイズした組織のELISAにより動脈血栓の構成成分としての活性化第XII因子の存在を実証するものである。
【0148】
血栓物質のサンプルを、ノルウェーの地域専門家センターにおいて経皮経管冠動脈形成術を受けている個人の心臓動脈から入手した。倫理委員会の承認及び被験者のインフォームドコンセントをこの研究のために得た。
【0149】
92mgの動脈血栓の検体をオムニ(Omni)ハードティシューチップホモフィナイジングキットを用いてホモジナイズし、ホモジネートの最終容量は920μLであった。
【0150】
組織ホモジネートは、それぞれの希釈の総組織質量/容量含有量は、100mg/mL、10mg/mL、1mg/mL及び100μg/mLになるように連続希釈を行った。
【0151】
モノクローナル抗体2/215は、Nunc(ナンク エスー/エー、カルスルプエ(NuncA/S、Karustrupuej)90、私書箱280、4000ロスキレ、デンマーク)マキシソルブ(Maxisorb)マイクロプレート(ウェルあたり100μLの抗体をコートした)上に、炭酸コーティング緩衝液pH9.6中に15μgmL-1の濃度においてコートした)。Tritonx−100(シグマ、ファンシーロード、プール、ドーセット、英国)を用い最終Triton濃度が0.5%(v/v)となるよう添加した各組織ホモジネート希釈液の100μLをマイクロタイタープレートのウェルへ添加し、そして室温において60分間インキュベートした。マイクロタイタープレートのウェルを洗浄した後、100μLの結合体を添加した。この結合体は、アルカリホスファターゼと結合させたモノクローナル抗体201/9を含む。60分間のインキュベーションの後、マイクロタイタープレートのウェルを再び洗浄しそして100μLのフェノールフタレインリン酸塩を含む基質溶液を添加した。室温において60分間のインキュベーションの後、反応を強塩基性溶液(50g/L炭酸ナトリウム、pH10.5)の添加によって停止させ、そして550mにおける吸光度を測定した。βXIIaの標準溶液(0、1、2.5、5及び10ng/mL)もまたアッセイをおこなった。結果を表5に示す。全ての血栓ホモジネート希釈液は、高濃度の活性化第XII因子を含有することを示す、最も高いβXIIa標準液でのものよりも高い吸光度を与えた。
【0152】
表5.ホモジナイズした動脈血栓のELISAからの吸光度。
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、選択的PCIを受けている被験者11名における血漿第XIIa因子の値を示す図である。
【図2】図2は、胸痛により入院した被験者871名における血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
【図3】図3は、胸痛により入院した被験者で血漿TnT>0.05ng/mLであった図2に示した被験者のサブグループの血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
【図4】図4は、胸痛により入院した被験者で血漿TnT≦0.05ng/mLであった図2に示した被験者のサブグループの血漿第XIIa因子値の四分割に関する12ヶ月の生存データを示す図である。
【図5】図5は、心筋梗塞での入院から4日間の被験者群の血漿第XII因子濃度において観測された変化を示す図である。
【図6】図6は、図5において示された同じデータを血漿第XIIa因子濃度における百分率変化として示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を該被験者へ投与することを含む、被験者中の動脈血栓症を予防する方法であって、
該抗体、フラグメント又は誘導体は活性化第XIIa因子に特異的に結合し、そして活性化第XIIa因子とその生理学的基質との相互作用を防止するところの方法。
【請求項2】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体がαXIIa因子又はβXIIa因子又は53KdのXIIa因子と結合し、そして
非活性化XII因子との0.1%又はそれ以下の修正された交叉反応性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該投与が該被験者に血管形成術が行われた後にされる、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
該投与が該被験者における心筋梗塞の後にされる、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該被験者が、フレミンガムリスクスコア法を用いて定義された、10%より高い冠状動脈性心臓病の推定リスクを有する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該被験者が、該抗体又はそのエピトープ−結合ファクター又は誘導体の投与前に測定された対照集団のものと有意に異なる活性化XIIa因子の血漿濃度を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が、該被験者への血管形成術に向けてのヘパリン及び造影剤の投与後に対照集団のものと有意に異なる要因により上昇する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体がモノクローナル抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、mAb 2/215又はその類似体、又はmAb 201/9又はその類似体又は、mAb 2/215のエピトープ−結合フラグメント又は誘導体又はその類似体、又はmAb 201/9のエピトープ結合フラグメント又は誘導体又はその類似体である、請求項1に直接又は非直接に従属する場合の請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、Fabフラグメント又は(Fab')2フラグメントである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、ヒト化抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該抗体又が活性化第XIIa因子と特異的に結合し、そして薬剤として使用するためのその生理学的基質と活性化XIIa因子の相互作用を防止する、抗体又はエピトープ−結合フラグメント又はこれらの誘導体。
【請求項13】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、αXIIa因子と又はβXIIa因子と又は53KdのXIIa因子と結合する能力を有し、そして非活性化XII因子との0.1%又はそれ以下の修正された交叉反応性を有する、請求項12に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項14】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、モノクローナル抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体である、請求項12乃至13のいずれか1項に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項15】
該抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体が、mAb 2/215又はその類似体、又はmAb 201/9又はその類似体又は、mAb 2/215のエピトープ−結合フラグメント又は誘導体又はその類似体、又はmAb 201/9のエピトープ結合フラグメント又は誘導体又はその類似体である、請求項12に直接又は非直接に従属する場合の請求項14に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項16】
Fabフラグメント又は(Fab')2フラグメントである、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項17】
ヒト化抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体である、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか1項に定義された抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を、医薬品として許容できる担体とともに含む医薬品組成物。
【請求項19】
被験者中の動脈血栓症を予防するための薬剤の製造における、請求項12乃至17のいずれか1項に定義された抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体の使用。
【請求項20】
該被験者が、請求項5乃至7のいずれか1項に定義されたものであるか、又は該薬剤が請求項3乃至4に定義された投与のためのものである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
被験者中の動脈血栓症を予防するための薬剤としての使用のための、請求項12乃至17のいずれか1項に定義された、抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項22】
該被験者が、請求項5乃至7のいずれか1項に定義されたものであるか、又は該薬剤が請求項3乃至4に定義された投与のためのものである、請求項21に記載の抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体。
【請求項23】
経皮冠動脈インターベンションを受けることを選択した被験者の血中の活性化XIIa因子の値を測定し、そして該被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が有意に対照集団のものと異なっている場合に、又は該被験者の活性化XIIa因子の血漿濃度が、該被験者に血管形成術に備えてのヘパリン及び造影剤を投与後に対照集団のものと有意に異なる要因により増加する場合に、該被験者を高リスクグループへ割り当てることを含む、該被験者の、後の動脈再狭窄のリスクを予測する方法。
【請求項24】
標識部分へ結合した請求項12乃至17のいずれか1項に定義された抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む、生体内イメージング剤。
【請求項25】
該標識部分が、放射性標識又は蛍光色素である、請求項24に記載の生体内イメージング剤。
【請求項26】
被験者へ、請求項26又は25に記載の生体内イメージング剤を投与し、次いで生体内でイメージング剤の標識部分を検出すること含む、該被験者中の血栓形成部位を画像化する方法。
【請求項27】
治療化合物に結合した、請求項12乃至17のいずれか1項に定義された抗体又はそのエピトープ−結合フラグメント又は誘導体を含む、治療剤。
【請求項28】
該治療化合物が血栓溶解剤である、請求項27に記載の治療剤。
【請求項29】
該治療化合物が血小板凝固阻害剤である、請求項27に記載の治療剤。
【請求項30】
該治療化合物がストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、チロフィバン、クロピドグレル、又はテネクテプラーゼである、請求項27に記載の治療剤。
【請求項31】
被験者へ請求項27乃至30のいずれか1項に定義した治療剤を投与することを含む、該被験者中の望ましくない血栓形成により特徴付けられる疾患を治療する方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−533407(P2009−533407A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504818(P2009−504818)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001351
【国際公開番号】WO2007/122371
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505233192)アクシス−シールド ダイアグノスティックス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】