説明

抗肥満薬としてのピペラジン

本発明は、式(I)を有する新しい化合物、これら化合物を含む医薬組成物、それらの製造方法、および体重増加に関連した状態、2型糖尿病および異常脂肪血症に対する薬剤の製造におけるレプチン受容体モジュレーター模擬体としてのこれら化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいピペラジン誘導体、これら化合物を含む医薬組成物、それらの製造方法、および体重増加に関連した状態、2型糖尿病および異常脂肪血症に対する薬剤の製造におけるレプチン受容体モジュレーター模擬体としてのこれら化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症の有病率は、産業化社会において増加している。典型的に、第一線の処置は、患者に、食餌の脂肪含有量を減少させることおよび身体活動を増加させることなどの食餌およびライフスタイルへの忠告を与えることである。しかしながら、若干の患者は、更に、前述の食餌およびライフスタイル変化に適応させることによって得られた有益な結果を維持する薬物療法を受ける必要があるかもしれない。
【0003】
レプチンは、脂肪細胞中で合成されるホルモンであり、視床下部において作用して、食物摂取および体重を減少させると考えられる(例えば、Bryson, J. M. (2000) Diabetes, Obesity and Metabolism 2: 83-89 を参照されたい)。
【0004】
肥満したヒトの場合、脳脊髄液中のレプチンの比率対循環性レプチンの比率は減少するということが分かった(Koistinen et al., (1998) Eur. J. Clin. Invest. 28: 894-897)。これは、脳中へのレプチン輸送能力が、肥満状態では欠損しているということを示唆している。実際に、肥満症の動物モデル(NZOマウスおよび Koletsky ラット)において、レプチン輸送の欠損は、低減した脳レプチン含量を生じることが分かった(Kastin, A. J. (1999) Peptides 20: 1449-1453; Banks, W. A. et al., (2002) Brain Res. 950: 130-136)。食餌性肥満齧歯類動物に関する研究において(ヒト肥満症に一層よく似ていると考えられる齧歯類動物モデル、例えば、Van Heek et al. (1997) J. Clin. Invest. 99: 385-390 を参照されたい)、末梢投与された過剰レプチンは、食物摂取および体重を減少させる場合に効果的でないことが分かったが、脳中に直接注射されたレプチンは、食物摂取および体重を減少させる場合に有効であった。更に、過剰の循環性レプチンを有する肥満者の場合、シグナリング系は、レプチン受容体の持続刺激に脱感作状態になるということが分かった(Mantzoros, C. S. (1999) Ann. Intern. Med. 130: 671-680)。
【0005】
Amgen は、リコンビナントメチオニルヒトレプチンで臨床試験を行った。高血漿濃度のレプチンの存在下でさえも、体重減少は可変であったし、しかも被験患者群の平均体重減少は比較的小さかったので、これら試験による結果を混合した(Obesity Strategic Perspective, Datamonitor, 2001)。
【0006】
活性フラグメントを見出すいくつかの試みは、レプチン遺伝子コード配列の発見以来、参考文献で報告されてきた。一例は、Samson et al. (1996) Endocrinol. 137: 5182-5185 により、それは、N末端(22〜56)にある活性フラグメントを記載している。この配列は、ICV注射時に食物摂取を減少させることが分かったが、C末端に置かれた配列は、いずれの作用も有さないことが分かった。レプチンフラグメントは、国際特許出願WO97/46585号にも開示されている。
【0007】
その配列のC末端部分を調べた他の報告は、116〜130フラグメントによる黄体形成ホルモン生産の可能な刺激(Gonzalez et al., (1999) Neuroendocrinology 70:213-220)およびGHRH投与後のGH生産への作用(フラグメント126〜140)(Hanew (2003) Eur. J. Endocrin. 149: 407-412)を報告した。
【0008】
レプチンは、最近では、炎症に関連していた。循環性レプチンレベルは、細菌感染の際におよび炎症の場合に上昇するということが報告された(Otero, M et al. (2005) FEBS Lett. 579: 295-301 およびその参考文献を参照されたい)。レプチンは、更に、炎症性細胞からの炎症誘発性サイトカインTNFおよびIL−6の放出を増大させることによって炎症を増加させるように作用することがありうる(Zarkesh-Esfahani, H. et al. (2001) J. Immunol. 167: 4593-4599)。これら物質は、順次、インスリン受容体シグナリングの効力を減少させることによって、肥満患者に一般的に認められるインスリン抵抗性の原因となりうる(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 44: 2195-2200)。持続性低級炎症は、(インスリン抵抗性およびII型糖尿病の存在下および不存在下において)肥満症に関連していると考えられる(Browning et al. (2004) Metabolism 53: 899-903, Inflammatory markers elevated in blood of obese women; Mangge et al. (2004) Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 112: 378-382, Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C-reactive protein; Maachi et al. (2004) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 28: 993-997, Systemic low grade inflammation in obese people)。レプチンは、更に、マクロファージ中への脂質取込みおよび内皮機能不全を促進することによって、したがって、アテローム性動脈硬化斑の形成を促進することによって、アテローム発生過程に関係していた(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 144: 2195-2200 を参照されたい)。
【0009】
レプチンは、更に、脂肪組織の成長に関係した過程である新しい血管の形成(血管新生)を促進することが分かった(Bouloumie A, et al. (1998) Circ. Res. 83: 1059-1066)。血管新生は、糖尿病性網膜症にも関係していた(Suganami, E. et al. (2004) Diabetes. 53: 2443-2448)。
【0010】
血管新生は、更に、異常な腫瘍細胞に供給する新しい血管の成長に関与していると考えられる。上昇したレプチンレベルは、多数の癌、具体的には、ヒトの乳癌、前立腺癌および胃腸癌に関連していた(Somasundar P. et al. (2004) J. Surg. Res. 116: 337-349)。
【0011】
レプチン受容体アゴニストは、更に、創傷治癒を促進する薬剤の製造に用いることができる(Gorden, P. and Gavrilova, O. (2003) Current Opinion in Pharmacology 3: 655-659)。
【0012】
更に、脳中のレプチンシグナリングを上昇させることは、抑うつ性障害の処置へのアプローチであるかもしれないということが分かった(Lu, Xin-Yun et al. (2006) PNAS 103: 1593-1598)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願WO97/46585号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Bryson, J. M. (2000) Diabetes, Obesity and Metabolism 2: 83-89
【非特許文献2】Koistinen et al., (1998) Eur. J. Clin. Invest. 28:894-897
【非特許文献3】Kastin, A. J. (1999) Peptides 20: 1449-1453; Banks, W. A. et al., (2002) Brain Res. 950: 130-136
【非特許文献4】Van Heek et al. (1997) J. Clin. Invest. 99: 385-390
【非特許文献5】Mantzoros, C. S. (1999) Ann. Intern. Med. 130: 671-680
【非特許文献6】Obesity Strategic Perspective, Datamonitor, 2001
【非特許文献7】Samson et al. (1996) Endocrinol. 137: 5182-5185
【非特許文献8】Gonzalez et al., (1999) Neuroendocrinology 70:213-220
【非特許文献9】Hanew (2003) Eur. J. Endocrin. 149: 407-412
【非特許文献10】Otero, M et al. (2005) FEBS Lett. 579: 295-301
【非特許文献11】Zarkesh-Esfahani, H. et al. (2001) J. Immunol. 167: 4593-4599
【非特許文献12】Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 44: 2195-2200
【非特許文献13】Browning et al. (2004) Metabolism 53: 899-903, Inflammatory markers elevated in blood of obese women
【非特許文献14】Mangge et al. (2004) Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 112: 378-382, Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C-reactive protein
【非特許文献15】Maachi et al. (2004) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 28: 993-997, Systemic low grade inflammation in obese people
【非特許文献16】Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 144: 2195-2200
【非特許文献17】Bouloumie A, et al. (1998) Circ. Res. 83: 1059-1066
【非特許文献18】Suganami, E. et al. (2004) Diabetes. 53: 2443-2448
【非特許文献19】Somasundar P. et al. (2004) J. Surg. Res. 116: 337-349
【非特許文献20】Gorden, P. and Gavrilova, O. (2003) Current Opinion in Pharmacology 3: 655-659
【非特許文献21】Lu, Xin-Yun et al. (2006) PNAS 103: 1593-1598
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
驚くべきことに、式(I)の化合物は、齧歯類動物の体重および食物摂取を減少させる場合に有効であるということが判明した。理論によって拘束されたくはないが、式Iを有するそれら化合物は、レプチン受容体シグナリング経路をモジュレーションすると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
いくつかの態様において、レプチン受容体アゴニスト様性質を有する化合物は、レプチンシグナリングに関する障害、更には、肥満症などの体重増加に関連した状態の処置に有用でありうる。本発明者は、低分子CNS浸透剤レプチン模擬体が、脳中への制限取込みシステムを迂回可能であろうと仮定した。更に、この状況が、ヒト肥満状態を反映していると仮定して、本発明者は、比較的長い作用持続期間を有するCNS活性レプチノイドが、肥満状態およびその不随の合併症、具体的には、(これに制限されるわけではないが)糖尿病に有効な療法になるであろうと考えている。
【0017】
他の態様において、レプチン受容体アンタゴニスト様性質を有する化合物は、炎症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症および腎症の処置に有用でありうると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、高炭水化物食で飼養された被験動物間の体重分離の一例を示す。エラーバーは、平均+/−SEMである。
【図2】図2は、実施例7のDIOラットでの4日間研究で認められた累積体重変化(%)を示す。
【図3】図3は、実施例20のDIOラットでの4日間研究で認められた累積体重変化(%)を示す。
【図4】図4は、実施例30のDIOラットでの4日間研究で認められた累積体重変化(%)を示す。
【図5】図5は、レプチンについてのJEG−3細胞による[H]−チミジン取込みの濃度依存性増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第一の側面において、本発明は、式(I)
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、Xは、O、S、N(R)およびCH(R)より選択され、但し、Xを含有する環は、3−ピロリジンではないという条件付きであり;
Yは、CH、OまたはN(R)であり;
は、独立して、水素、C1−6−アルキル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)およびC1−6−アシル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)より選択され;
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6−アルキル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)およびC1−6−アルコキシ(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)より選択され;
は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシより選択され;
は、水素またはC1−4−アルキルであり;
a、bおよびcは、各々独立して、1、2または3であり;
dは、0、1または2であり;
eは、1、2または3であり;そして
fおよびgは、各々独立して、0、1または2である]
を有する化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体若しくはN−オキシドに関する。
【0022】
本発明の好ましい態様において、Yは、Oである。
別の態様において、Xは、好ましくは、O、N(R)およびCH(R)より選択される。
【0023】
は、好ましくは、水素、C1−4−アルキルおよびC1−4−アシルより選択される。
最も好ましい態様において、Rは、水素、メチルまたはアセチルである。
【0024】
およびRは、好ましくは、水素およびC1−4−アルキルより独立して選択される。
最も好ましい態様において、RおよびRは、水素である。
【0025】
は、好ましくは、水素、ハロゲン、CFおよびC1−4−アルキルより独立して選択される。
最も好ましい態様において、Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロまたはメチルより選択される。
【0026】
dおよびfは、好ましくは、各々1である。
eは、好ましくは、1または2である。
gは、好ましくは、0または1であり、より好ましくは、0である。
【0027】
式(I)を有する具体的な好ましい化合物は、式(I’)
【0028】
【化2】

【0029】
[式中、XおよびXは、各々独立して、O、N(R)またはCH(R)より選択され、但し、XおよびXの少なくとも一つは、N(R)であるという条件付きであり;
は、式(I)に定義の通りであり、好ましくは、水素、メチルまたはアセチルであり;
は、式(I)に定義の通りであり、好ましくは、水素であり;
は、水素、フルオロ、クロロまたはメチルであり;
cは、1、2または3であり;
eは、1または2であり;そして
gは、0または1である]
を有する化合物である。
【0030】
式(I)を有する具体的な好ましい化合物は、
[(3R)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(3S)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エチルエステル;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)メチル4−ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−アセチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(3S)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(3R)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;および
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
から成る群より選択されるものである。
【0031】
本発明の別の側面は、療法に用いるための式(I)の化合物である。
もう一つの側面において、本発明は、本明細書中に記載のいずれかの障害または状態の処置または予防に用いるための式(I)の化合物に関する。
【0032】
またもう一つの側面において、本発明は、本明細書中に記載のいずれかの障害または状態の処置または予防用の薬剤の製造における式(I)の化合物の使用に関する。
いくつかの態様において、それら化合物は、レプチン受容体への選択的作用によって予防される、処置されるまたは改善される状態の処置または予防用の薬剤の製造に用いることができる。
【0033】
いくつかの態様において、それら化合物は、体重増加に関連した状態(具体的には、代謝性状態)の処置または予防用の薬剤の製造に用いることができる。体重増加に関連した状態には、肥満したまたは過体重の対象に増加した発生率を有する疾患、障害または他の状態が含まれる。例には、脂肪異栄養症、HIV脂肪異栄養症、糖尿病(2型)、インスリン抵抗性、代謝性症候群、高血糖症、高インスリン血症、異常脂肪血症、肝脂肪症、過食症、高血圧症、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連した皮膚障害、黄斑変性が含まれる。いくつかの態様において、それら化合物は、更に、対象の体重減少を維持するための薬剤の製造に用いることができる。
【0034】
いくつかの態様において、レプチン受容体アゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、更に、創傷治癒を促進する薬剤の製造に用いることができる。
いくつかの態様において、レプチン受容体アゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、更に、循環性レプチン濃度の減少を引き起こす状態、および結果としての免疫系および生殖器系の機能不全の処置または予防用の薬剤の製造に用いることができる。このような状態および機能不全の例には、重症体重減少、月経困難症、無月経、女性不妊症、免疫不全、および低テストステロンレベルに関連した状態が含まれる。
【0035】
いくつかの態様において、レプチン受容体アゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、更に、レプチン欠乏、またはレプチンまたはレプチン受容体突然変異の結果として引き起こされた状態の処置または予防用の薬剤の製造に用いることができる。
【0036】
いくつかの他の態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、炎症性状態または疾患、肥満症および過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症の処置または予防のために;およびアテローム性動脈硬化症を含めた、肥満症に関連した他の合併症を減少させる場合に;および代謝性症候群および糖尿病に認められるインスリン抵抗性の補正のために用いることができる。
【0037】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、癌(白血病、リンパ腫、癌腫、結腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、黒色腫、肝、肺、乳房および前立腺の転移等のような);自己免疫疾患(臓器移植片拒絶、エリテマトーデス、移植片対宿主拒絶、同種移植拒絶、多発性硬化症、関節リウマチ、糖尿病に至る膵島の破壊および糖尿病の炎症性結末を含めたI型真性糖尿病など);自己免疫損傷(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群(Guillam Barre Syndrome)、重症筋無力症を含めた);不十分な組織灌流および炎症に関連した心臓血管状態(アテローム、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、虚血再灌流傷害、跛行、脊髄損傷、うっ血性心不全、血管炎、出血性ショック、クモ膜下出血後の血管痙攣、脳血管発作後の血管痙攣、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心臓血管合併症など);虚血再灌流傷害、虚血および関連炎症、血管形成術後の再狭窄および炎症性動脈瘤;癲癇、神経変性(アルツハイマー病を含めた)、関節炎(関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎など)、線維症(例えば、肺、皮膚および肝の)、多発性硬化症、敗血症、敗血症性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、中毒性ショック、脳性マラリア、ライム病、内毒素性ショック、グラム陰性ショック、出血性ショック、肝炎(組織損傷またはウイルス感染の双方による)、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難に関連した状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患、気道の障害および閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸障害、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺サルコーシス、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管収縮、気腫、気管支アレルギーおよび/または炎症、喘息、枯草熱、鼻炎、春季結膜炎および成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症に関連した状態(乾癬、湿疹、潰瘍、接触皮膚炎を含めた);腸の炎症に関連した状態(クローン病、潰瘍性大腸炎および化膿症(pyresis)、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患を含めた);HIV(具体的には、HIV感染)、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、骨粗鬆症および他の骨吸収疾患、変形性関節症、子宮内膜症による不妊症、感染による熱および筋肉痛、および過度の抗炎症性細胞(好中球、好酸球、マクロファージおよびT細胞を含めた)活性に媒介される他の状態によって引き起こされるまたはそれに関連した炎症の処置または予防に用いることができる。
【0038】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、1型または2型糖尿病の巨大または微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経性ニューロパシー、または虚血またはアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管損傷の処置または予防に用いることができる。
【0039】
いくつかの態様において、レプチン受容体アンタゴニスト模擬体である式(I)の化合物は、血管新生を阻害するのに用いることができる。血管新生を阻害する本発明の化合物は、肥満症または肥満症に関連した合併症の処置または予防に用いることができる。血管新生を阻害する本発明の化合物は、炎症に関連した合併症、糖尿病性網膜症、または具体的には、乳癌、前立腺癌または胃腸癌における腫瘍成長の処置または予防に用いることができる。
【0040】
もう一つの側面において、本発明は、本明細書中に記載のいずれかの障害または状態の処置または予防の方法であって、対象(例えば、それを必要としている対象、例えば、哺乳動物)に、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法に関する。
【0041】
本明細書中に詳述されている方法には、対象が、具体的な述べられている処置を必要としていると特定されているものが含まれる。このような処置を必要としている対象を特定することは、対象または医療専門家の判断でありうるし、しかも主観的(例えば、見解)または客観的(例えば、試験または診断法によって測定可能)でありうる。
【0042】
他の側面において、本明細書中の方法には、処置投与への対象応答を監視することを更に含むものが含まれる。このような監視には、処置方式のマーカーまたは指示薬としての対象組織、体液、検体、細胞、タンパク質、化学的マーカー、遺伝物質等の定期的採取が含まれてよい。他の方法において、対象は、このような処置への適性について関係のあるマーカーまたは指示薬の評価によって、このような処置を必要としていると予備選別されるまたは特定される。
【0043】
一つの態様において、本発明は、処置進行を監視する方法を提供する。その方法は、本明細書中に詳述されている障害またはその症状に苦しんでいるまたはそれに感受性の対象であって、疾患またはその症状を処置するのに十分な治療的有効量の本明細書中の化合物を投与された対象において、診断用マーカー(Marker)(例えば、本明細書中の化合物によってモジュレーションされる本明細書中に詳述されているいずれかの標的または細胞タイプ)または診断測定(例えば、選別、検定)のレベルを決定する工程を包含する。その方法で決定される Marker のレベルは、健康な正常対照かまたは他の罹患した患者における既知のMarker レベルと比較して、その対象の疾患状態を確かめることができる。好ましい態様において、対象におけるMarker の第一レベルの決定より後の時点で第二レベルを決定し、そしてそれら二つのレベルを比較して、疾患の経過または療法の効力を監視する。特定の好ましい態様において、対象における Marker の前処置レベルを、本発明による処置を開始する前に決定し;次に、この前処置Marker レベルを、処置開始後の対象の Marker レベルと比較して、処置の効力を決定することができる。
【0044】
特定の方法態様において、対象におけるMarker または Marker 活性のレベルを、少なくとも1回決定する。Marker レベルの、例えば、同じ患者、別の患者または正常対象から以前にまたはそれ以後に得られた Marker レベルの別の測定値との比較は、本発明による療法が、所望の作用を有しているか、そしてそれによって、投薬量レベルの調整を適宜可能にしているかどうかを決定する場合に有用でありうる。Marker レベルの決定は、当該技術分野において知られているまたは本明細書中に記載のいずれか適する試料採取/発現検定方法を用いて行うことができる。好ましくは、組織または体液試料を、最初に、対象から取り出す。適する試料の例には、血液、尿、組織、口腔または頬細胞、および毛根含有毛髪試料が含まれる。他の適する試料は、当業者に知られていると考えられる。その試料中のタンパク質レベルおよび/またはmRNAレベル(例えば、Marker レベル)の決定は、酵素免疫検定、ELISA、放射性標識/検定法、ブロッティング/化学発光法、リアルタイムPCR等が含まれるがこれに制限されるわけではない、当該技術分野において知られているいずれか適する技法を用いて行うことができる。
【0045】
いくつかの態様において、式(I)の化合物が、中枢神経系に浸透可能である場合、それは好都合でありうる。他の態様において、式(I)の化合物が、CNSに浸透不能である場合、それは好都合でありうる。概して、レプチン受容体アゴニスト模擬体である化合物は、これら化合物が、CNSに浸透しうる場合、肥満症、インスリン抵抗性または糖尿病(具体的には、グルコース不耐性)の処置または予防に特に有用でありうると期待される。当業者は、ある化合物が、CNSに浸透しうるかどうかを容易に決定することができる。用いることができる適する方法は、生物学的方法という項目に記載されている。
【0046】
レプチン受容体応答は、いずれか適する方法で測定することができる。in vitro では、これを、レプチン受容体シグナリングを測定して行うことができる。例えば、レプチン受容体へのレプチンまたは本発明の化合物の結合に応答したAkt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2またはレプチン受容体のリン酸化を、測定することができる。Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2またはレプチン受容体のリン酸化の程度は、例えば、ウェスタンブロッティングでまたはELISAで決定することができる。或いは、STATレポーター検定、例えば、STATに駆動されるルシフェラーゼ発現を用いることができる。レプチン受容体を発現する細胞系は、このような検定に用いることかできる。in vivo では、レプチン受容体応答は、レプチンまたは本発明の化合物の投与後に、食物摂取および体重の減少を決定することによって測定することができる。
【0047】
下の生物学的方法は、本発明の化合物が、レプチン受容体アゴニスト模擬体であるかまたはレプチン受容体アンタゴニスト模擬体であるかを決定するのに用いることができる検定および方法を記載している。
【0048】
式(I)の化合物は、他の治療薬と一緒にまたはそれらを伴うことなく投与することができる。例えば、炎症を減少させることが望まれる場合、その化合物は、抗炎症薬(例えば、メトトレキサート、スルファサラジンおよびサイトカイン不活性化薬などの疾患修飾性抗リウマチ薬、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニンモジュレーターまたはブラジキニンモジュレーター)と一緒に投与することができる。抗腫瘍作用を与えることが望まれる場合、式(I)の化合物は、細胞障害性薬(例えば、メトトレキサート、シクロホスファミド)または別の抗腫瘍薬と一緒に投与することができる。
【0049】
式(I)の化合物は、受容体置換研究または受容体画像化などの in vitro または in vivo 用途のために(例えば、トリチウムまたは放射性ヨウ素で)放射性標識することができる。
【0050】
本発明のもう一つの側面は、上に定義の式(I)の化合物の製造方法に関する。一つの態様において、その方法は、
(a)式(II):
【0051】
【化3】

【0052】
(式中、R、R、b、c、fおよびgは、式(I)に定義の通りである)
を有する化合物と、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートとを、適する塩基(DIPEAまたはNEtなど)の存在下、適する溶媒(DCMまたはTHFなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(III):
【0053】
【化4】

【0054】
を有する化合物を形成すること、
(b)式(III)の化合物と、式(IV):
【0055】
【化5】

【0056】
(式中、X、R、R、a、dおよびeは、式(I)に定義の通りである)
を有する化合物とを、適する塩基(NaHまたはNMMなど)の存在下、適する溶媒(THFまたはDCMなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(I)の化合物を得ること;および
(c)場合により、1回または数回の工程で、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へと変換すること
を含む。
【0057】
別の態様において、その方法は、
(a)式(IV):
【0058】
【化6】

【0059】
(式中、X、R、R、a、dおよびeは、式(I)に定義の通りである)
を有する化合物と、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートとを、適する塩基(DIPEAまたはNMMなど)の存在下、適する溶媒(DCMなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(V):
【0060】
【化7】

【0061】
を有する化合物を形成すること、
(b)式(V)の化合物と、式(II):
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、R、R、b、c、fおよびgは、式(I)に定義の通りである)
を有する化合物とを、適する塩基(DIPEAなど)の存在下、適する溶媒(DCMまたはDMFなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(I)の化合物を得ること;および
(c)場合により、1回または数回の工程で、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へと変換すること
を含む。
【0064】
定義
次の定義は、本明細書および請求の範囲を通して適用するものとする。
それ以外に述べられていないまたは示されていない限り、「C1−6−アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐状のアルキル基を示す。このC1−6−アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、および直鎖および分岐状鎖のペンチルおよびヘキシルが含まれる。「C1−6−アルキル」という範囲の部分には、C1−5−アルキル、C1−4−アルキル、C1−3−アルキル、C1−2−アルキル、C2−6−アルキル、C2−5−アルキル、C2−4−アルキル、C2−3−アルキル、C3−6−アルキル、C4−5−アルキル等のようなその部分群全てが包含される。
【0065】
それ以外に述べられていないまたは示されていない限り、「C1−6−アシル」という用語は、カルボニル基であって、その炭素原子を介して水素原子へ(すなわち、ホルミル基)、またはアルキルが上のように定義される直鎖または分岐状のC1−5−アルキル基へ結合しているものを示す。このC1−6−アシルの例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、2−メチルプロピオニルおよびn−ペントイルが含まれる。「C1−6−アシル」という範囲の部分には、C1−5−アシル、C1−4−アシル、C1−3−アシル、C1−2−アシル、C2−6−アシル、C2−5−アシル、C2−4−アシル、C2−3−アシル、C3−6−アシル、C4−5−アシル等のようなその部分群全てが包含される。C1−6−アシル基が、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい場合、この置換基は、カルボニル炭素原子へ結合し得ない。
【0066】
それ以外に述べられていないまたは示されていない限り、「C1−6−アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐状のアルコキシ基を示す。このC1−6−アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、および直鎖および分岐状鎖のペントキシおよびヘキソキシが含まれる。「C1−6−アルコキシ」という範囲の部分には、C1−5−アルコキシ、C1−4−アルコキシ、C1−3−アルコキシ、C1−2−アルコキシ、C2−6−アルコキシ、C2−5−アルコキシ、C2−4−アルコキシ、C2−3−アルコキシ、C3−6−アルコキシ、C4−5−アルコキシ等のようなその部分群全てが包含される。
【0067】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
「ヒドロキシ」は、−OHラジカルを意味する。
「ニトロ」は、−NOラジカルを意味する。
【0068】
「シアノ」は、−CNラジカルを意味する。
「任意の」または「場合により」は、その後に記載されているイベントまたは状況が、必要である以外は存在しなくてよいということ、およびその説明には、そのイベントまたは状況が存在する場合、およびそれが存在しない場合が含まれるということを意味する。
【0069】
「哺乳動物」という用語は、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギおよびウマ、サル、イヌ、ネコ、そして好ましくは、ヒトが含まれる生物を包含する。その対象は、ヒト対象であってよいし、または非ヒト動物、具体的には、イヌなどの家畜動物であってよい。
【0070】
「薬学的に許容しうる」は、概して、安全で、無毒性で、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないものではない医薬組成物を製造する場合に有用であることを意味し、そして獣医学的用途、更には、ヒトの薬学的用途に有用であることを包含する。
【0071】
本明細書中で用いられる「処置」は、指名された障害または状態の予防、またはいったん確定された障害の改善または除去を包含する。
「有効量」は、被処置対象に治療的作用を与える(例えば、疾患、障害、またはその状態または症状を処置する、制御する、改善する、予防する、その開始を遅らせる、またはそれを発症するリスクを減少させる)化合物の量を意味する。治療的作用は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)であってよいし、または主観的であってよい(すなわち、対象は、作用の指標を与えるまたは作用を感じる)。
【0072】
「プロドラッグ」は、生理学的条件下においてまたは加溶媒分解によって、式(I)の生物学的に活性な化合物へと変換されることができる化合物を意味する。プロドラッグは、それを必要としている対象に投与時には不活性であってよいが、式(I)の活性化合物へと in vivo 変換される。典型的に、プロドラッグは、例えば、血液中の加水分解によって急速に in vivo 変換されて親化合物を生じる。そのプロドラッグ化合物は、通常は、哺乳動物生体内において溶解性、組織適合性または遅延放出の利点を与える(Silverman, R. B., The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press (2004), pp. 498-549 を参照されたい)。プロドラッグは、式(I)の化合物中に存在するヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基などの官能基を修飾することによって、それら修飾が、常套操作でかまたは in vivo で親化合物へと切断されるような方法で製造することができる。プロドラッグの例には、ヒドロキシ官能基のアセテート、ホルメートおよびスクシネート誘導体、またはアミノ官能基のフェニルカルバメート誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0073】
本明細書および請求の範囲を通して、与えられている化学式または名称は、その塩、水和物、溶媒和化合物、N−オキシドおよびプロドラッグの全て形をも包含するであろう。更に、与えられている化学式または名称は、その互変異性体および立体異性体の形も全て包含するであろう。立体異性体には、鏡像異性体およびジアステレオマーが含まれる。鏡像異性体は、それらの純粋な形で、または二つの鏡像異性体のラセミ(等量)混合物または不等量混合物として存在しうる。ジアステレオマーは、それらの純粋な形で、またはジアステレオマー混合物として存在しうる。ジアステレオマーには、更に、幾何異性体が含まれ、それらは、それらの純粋な cis または trans 形で、またはそれらの混合物として存在しうる。
【0074】
式(I)の化合物は、そのままで、または適所において、その薬理学的に許容しうる塩(酸または塩基付加塩)として用いることができる。下に挙げられる薬理学的に許容しうる付加塩は、それら化合物が形成可能である治療的に活性な無毒性酸および塩基付加塩の形を含むことを意味する。塩基性を有する化合物は、塩基形を適当な酸で処理することによって、それらの薬学的に許容しうる酸付加塩へと変換することができる。代表的な酸には、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸などの無機酸;およびギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸等のような有機酸が含まれる。代表的な塩基付加塩形は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、および例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンザチンなどの薬学的に許容しうるアミンとの、および例えば、アルギニンおよびリシンなどのアミノ酸との塩である。本明細書中で用いられる付加塩という用語は、更に、それら化合物およびそれらの塩が、例えば、水和物、アルコラート等のような、形成可能である溶媒和化合物を含む。
【0075】
組成物
臨床的使用について、本発明の化合物は、いろいろな投与様式のための医薬製剤へと製剤化される。本発明の化合物は、生理学的に許容しうる担体、賦形剤または希釈剤と一緒に投与することができる。本発明の医薬組成物は、いずれか適する経路によって、好ましくは、経口、直腸内、鼻、局所(口腔内および舌下を含めた)、舌下、経皮、髄腔内、経粘膜または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含めた)投与によって投与することができる。
【0076】
他の製剤は、好都合には、単位剤形、例えば、錠剤および徐放性カプセル剤中およびリポソーム中で提示することができるし、そして薬学技術分野において周知のいずれかの方法によって製造することができる。医薬製剤は、通常は、活性物質またはその薬学的に許容しうる塩を、慣用的な薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合することによって製造される。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム(gum arabicum)、ラクトース、微結晶性セルロース、デンプン、ナトリウムデンプングリコラート、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド二酸化ケイ素等である。このような製剤は、更に、他の薬理学的活性剤、および安定化剤、湿潤剤、乳化剤、着香剤、緩衝剤等のような慣用的な添加剤を含有しよい。通常は、活性化合物の量は、製剤の重量で0.1〜95%、好ましくは、非経口使用のための製剤中に0.2〜20重量%、そしてより好ましくは、経口投与用の製剤中に1〜50重量%である。
【0077】
それら製剤は、更に、造粒、圧縮、マイクロカプセル封入、噴霧コーティング等のような既知の方法によって製造することができる。製剤は、慣用的な方法によって、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤または注射剤の剤形で製造することができる。液状製剤は、活性物質を、水または他の適するビヒクル中に溶解させるまたは懸濁させることによって製造することができる。錠剤および顆粒剤は、慣用法でコーティングすることができる。治療的に有効な血漿濃度を長時間維持するために、本発明の化合物は、徐放性製剤中に包含されてよい。
【0078】
特定の化合物の用量レベルおよび投薬頻度は、用いられる特定の化合物の効力、その化合物の代謝安定性および作用長さ、患者の年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与様式および時間、排泄率、薬物組合せ、処置される状態の重症度、および患者が受けている療法を含めたいろいろな因子に依存して異なるであろう。1日投薬量は、例えば、約0.001mg〜約100mg/キロ体重であってよく、1回でまたは例えば、各々約0.01mg〜約25mgの用量で多数回投与される。通常は、このような投薬量は、経口で与えられるが、非経口投与も選択されてよい。
【0079】
本発明の化合物の製造
上の式(I)の化合物は、慣用法によって、またはそれと同様に製造することができる。中心のウレタンまたは尿素リンカーは、式(I)の化合物を製造する場合に不可欠な合成工程である。大多数の活性化試薬、例えば、アルコールのクロロホルメートを形成するためのホスゲン、またはイミダゾールカルボキシレートを形成するためのカルボニルジイミダゾール(CDI)を、ウレタンまたは尿素リンカーの形成に用いることができる。典型的に、式(I)の化合物中に包含されたウレタンリンカーは、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートを活性化剤として利用して合成された。本発明の実施例による中間体および化合物の製造は、具体的には、次のスキーム1およびスキーム2によって明らかにすることができる。本明細書中のスキームにおける構造の可変部分の定義は、本明細書中に詳述されている式中の該当する位置のものと同等である。
【0080】
スキーム1.ピペラジン部分の活性化による製造
【0081】
【化9】

【0082】
式中、X、R〜Rおよびa〜gは、式1に定義の通りである。
一つの手順において、スキーム1に概ね示されているように、ピペラジン部分は、ピペラジン誘導体(II)を、塩基(DIPEAなど)の存在下において4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートで処理して、該当するカルバメート誘導体(III)を形成することによって活性化される。塩基(NaHなど)の存在下における適当なアルコール部分(IV)でのこの活性中間体の処理は、式(I)の所望の化合物の形成をもたらす。
【0083】
スキーム2.アルコール部分の活性化による製造
【0084】
【化10】

【0085】
式中、X、R〜Rおよびa〜gは、式1に定義の通りである。
別の手順において、アルコール部分は、アルコール(IV)を、塩基(DIPEAなど)の存在下において4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートで処理して、該当する4−ニトロフェニルカーボネート誘導体(V)を形成することによって活性化される。次の工程において、その活性カーボネート(V)を、塩基(DIPEAなど)の存在下において適当なピペラジン部分(II)で処理して、式(I)の所望の化合物の形成をもたらす。これを、概して、スキーム2に示す。
【0086】
ウレタンの形成は、典型的に、二段法であるが、これは、活性中間体の現場形成によってワンポット反応で行うこともできる。下の実験項目は、これら合成変法の全ての例を与える。
【0087】
式(I)の化合物を製造するのに必要な出発物質は、商業的に入手可能であるか、または当該技術分野において知られている方法によって製造することができる。
下の実験項目に記載の方法は、化合物を遊離塩基の形でまたは酸付加塩として生じるように行うことができる。薬学的に許容しうる酸付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を製造する慣用的な手順にしたがって、遊離塩基を適する有機溶媒中に溶解させ、そしてその溶液を酸で処理することによって得ることができる。付加塩形成性酸の例は、上に述べられている。
【0088】
式(I)の化合物は、一つまたはそれを超えるキラル炭素原子を有してよく、したがって、それらは、光学異性体の形で、例えば、純粋な鏡像異性体として、または鏡像異性体の混合物(ラセミ体)として、またはジアステレオマー含有混合物として得ることができる。純粋な鏡像異性体を得るための光学異性体混合物の分離は、当該技術分野において周知であり、そして例えば、光学活性な(キラル)酸での塩の分別結晶によって、またはキラルカラム上のクロマトグラフィー分離によって達成することができる。
【0089】
本明細書中に詳述されている合成経路に用いられる化学薬品には、例えば、溶媒、試薬、触媒、および基を保護し且つ基を脱保護する試薬が含まれてよい。保護基の例は、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルおよびトリチル(トリフェニルメチル)である。上記の方法は、更に、最終的には化合物の合成を可能にするために、適する保護基を加えるまたは除去する工程を、本明細書中に具体的に記載の工程の前かまたは後に包含してもよい。更に、いろいろな合成工程を、代替の配列または順序で行って、所望の化合物を生じることができる。応用可能な化合物を合成する場合に有用な合成化学変換および保護基方法(保護および脱保護)は、当該技術分野において知られ、それには、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);および L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995) およびそれらのその後の版に記載のものが含まれる。
【0090】
次の略語を用いた。
t−AmOH tert−アミルアルコール
Boc tert−ブトキシカルボニル
t−Bu tert−ブチル
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ES エレクトロスプレー
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ICV 脳室内
LCMS 液体クロマトグラフィー・質量分析法
M モル
[MH] プロトン付加分子イオン
NEt トリエチルアミン
NMM N−メチルモルホリン
RP 逆相
tert 第三級
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本発明の態様を、添付の図面に関して、以下の実施例に記載する。
【0091】
本明細書中の可変部分についてのいずれかの定義における化学基のリストの詳説には、挙げられている基のいずれか一つの基または組合せとしてのその可変部分の定義が含まれる。本明細書中の態様の詳説には、いずれか一つの態様としての、またはいずれか他の態様またはその一部分との組合せでのその態様が含まれる。
【0092】
本発明を、ここで、次の非制限実施例によって更に詳しく説明する。下の具体的な実施例は、単に例示するものとして解釈されるべきであり、いずれにせよ、開示の残部を制限するものとして解釈されるべきではない。更なる詳述を伴うことなく、当業者は、本明細書中の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書中に引用される参考文献および公報は全て、本明細書中にそのまま援用される。
【実施例】
【0093】
実施例および中間体化合物
実験方法
試薬は全て、商業グレードであったし、そして特に断らない限り、追加の精製を伴うことなく受け取った状態のままで用いた。商業的に入手可能な無水溶媒を、不活性雰囲気下で行われる反応に用いた。他の場合は全て、特に断らない限り、試薬グレード溶媒を用いた。メチルイソシアネート樹脂は、NovaBiochem(Cat. No. 01−64−0169)によって供給された。分析LCMSは、Agilent 1100HPLCシステムに連通した Waters ZQ質量分析計で行った。分析HPLCは、Agilent 1100システムで行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Agilent 1100HPLCシステムに連通した Agilent MSD−TOFで得た。それら分析中に、二つの質量によって校正を調べ、必要な場合、自動補正した。スペクトルは、正のエレクトロスプレーモードで得る。得られた質量範囲は、m/z100〜1100であった。質量ピークのプロフィール検出を用いた。フラッシュクロマトグラフィーは、Strata SI−1シリカギガチューブを装備した Flash Master Personal システムで行った。逆相クロマトグラフィーは、Merck LiChoprep(登録商標)RP−18(40〜63μm)460x26mmカラムを装備した Gilson システム、30mL/分、水中のメタノールの勾配で行った。分取HPLCは、Phenomenex Hydro RP 150x20mmを装備した Gilson システム、20mL/分、水中のアセトニトリルの勾配で行った。それら化合物を、ACD6.0または8.0を用いて自動的に命名した。
【0094】
分析HPLCおよびLCMSデータは、次で得た。
システムA:Phenomenex Synergi Hydro RP(150x4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5〜100%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、7分の勾配時間で1.5mL/分、200〜300nm、30℃;または
システムB:Phenomenex Synergi Hydro RP(150x4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5〜95%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、15.5分の勾配時間で1mL/分、200〜300nm、40℃。
【0095】
分析LCMSデータを、更に、次で得た。
システムC:Phenomenex Synergi Hydro RP(30x4.6mm、4μm)、HO(+0.1%TFA)中の5〜100%CHCN(+0.085%TFA)の勾配、1.75分の勾配時間で1.5mL/分、30℃。
【0096】
中間体1
4−ニトロフェニル4−(4−メチル)フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0097】
【化11】

【0098】
DCM(100mL)中の1−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(10.65g,42.7mmol)およびDIPEA(22mL,133mmol)の0℃溶液に、4−ニトロフェニルクロロホルメート(9.5g,47.1mmol)を加えた。その反応混合物を、0℃で30分間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3x200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、4−ニトロフェニル4−(4−メチル)フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(17.84g,定量的)を黄色固体として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0099】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=2.20分),ES:342.1[MH]
中間体2
4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0100】
【化12】

【0101】
DCM(70mL)中のフェニルピペラジン(12.0g,74.0mmol)およびDIPEA(13.5mL,81.6mmol)の0℃溶液に、4−ニトロフェニルクロロホルメート(16.5g,81.71mmol)を加えた。その反応混合物を、0℃で30分間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3x200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(24.8g,102%)を黄色固体として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0102】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=2.40分),ES:328.1[MH]
中間体3
1,4−ジメチル−(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン
【0103】
【化13】

【0104】
(S)−2−ピペラジンカルボン酸二塩酸塩(5.10g,25.1mmol)を、水(10mL)およびジオキサン(40mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。水(6mL)中の水酸化ナトリウム(3.10g,77.5mmol)と、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(11.5g,52.7mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で16時間撹拌後、真空中で濃縮した。残留物を、DCM(400mL)中に懸濁させ、室温で30分間撹拌後、濾過した。濾液を真空中で濃縮して、(S)−2−ピペラジン−1,2,4−トリカルボン酸1,4−ジ−tert−ブチルエステル(9.90g,119%)を白色固体として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0105】
分析LCMS:純度100%(システムC,R=2.28分),ES:331.1[MH]
(S)−2−ピペラジン−1,2,4−トリカルボン酸1,4−ジ−tert−ブチルエステル(9.90g,30.0mmol)を、THF(14mL)中に溶解させた。THF中の1Mボラン(90mL,90.0mmol)を室温で加えた。反応混合物を、還流しながら4時間撹拌後、0℃に冷却し、そしてメタノール(100mL)の滴加で急冷後、真空中で濃縮して、(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(12.07g,127%)を白色固体として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0106】
分析LCMS:純度100%(システムC,R=2.08分),ES:339.4[MH]
(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(5.66g,17.9mmol)を、THF(10mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。THF中の2M LiAlH(28.5mL,57.0mmol)を加えた。反応混合物を、還流しながら4時間撹拌後、0℃に冷却し、そして1M水酸化ナトリウム溶液(20mL)の滴加で急冷した。反応混合物を、THF(50mL)で希釈し、濾過し、そして濾液を真空中で濃縮して、1,4−ジメチル−(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(1.44g,56%)を無色油状物として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0107】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=0.38分),ES:145.2[MH]
中間体4
1,4−ジメチル−(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン
【0108】
【化14】

【0109】
(R)−ピペラジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(4.94g,21.5mmol)を、水(10mL)およびジオキサン(20mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。水(4mL)中の水酸化ナトリウム(1.72g,43.0mmol)と、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(5.20g,23.8mmol)を加えた。反応混合物を、室温で16時間撹拌後、真空中で濃縮した。残留物を、DCM(400mL)中に懸濁させ、室温で30分間撹拌し、濾過し、そして濾液を真空中で濃縮して、(R)−2−ピペラジン−1,2,4−トリカルボン酸1,4−ジ−tert−ブチルエステル(9.78g,138%)を淡黄色油状物として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0110】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=1.56分),ES:131.7[M+H−2Boc]
(R)−2−ピペラジン−1,2,4−トリカルボン酸1,4−ジ−tert−ブチルエステル(2.16g,6.55mmol)を、THF(10mL)中に溶解させた。THF中の1Mボラン(20mL,20.0mmol)を、室温で加えた。反応混合物を、還流しながら4時間撹拌後、0℃に冷却し、そしてメタノール(60mL)の滴加で急冷後、真空中で濃縮して、(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(2.60g,125%)をオフホワイト固体として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0111】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=2.06分),ES:116.9[M+H−2Boc]
(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(6.24g,19.7mmol)を、THF(10mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。THF中の2M LiAlH(30.0mL,60.0mmol)を加えた。反応混合物を、還流しながら4時間撹拌後、0℃に冷却し、そして1M水酸化ナトリウム溶液(20mL)の滴加で急冷した。反応混合物を、THF(50mL)で希釈し、濾過し、そして濾液を真空中で濃縮して、1,4−ジメチル−(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(1.77g,62%)を無色油状物として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0112】
分析LCMS:純度100%(システムC,R=0.44分),ES:145.2[MH]
中間体5
(S)−(4−メチルピペラジン−2−イル)−メタノール
【0113】
【化15】

【0114】
THF(40mL)中の(S)−ピペラジン−1,3−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(5.00g,21.7mmol)の撹拌懸濁液に、1.0Mボラン・THF錯体溶液(32.6mL,32.6mmol)を徐々に加えた。その反応を、90℃に加熱し、還流下で2時間撹拌した。反応混合物を、熱から外した後、更に1.5当量の1.0Mボラン・THF錯体溶液(32.6mL,32.6mmol)を加えた。その反応を、90℃に再加熱し、還流下で更に2時間撹拌した。反応を0℃に冷却し、そしてMeOHの緩慢添加で急冷した。次に、反応混合物を、真空中で濃縮した。得られた白色固体を、THF(30mL)中に溶解させ、0℃に冷却し、そしてTHF中の2.0M LiAlH溶液(27mL,54.0mmol)を徐々に加えた。その反応を、90℃に加熱し、還流下で2時間撹拌した。追加部分のTHF中の2.0M LiAlH溶液(27mL,54.0mmol)を加え、そして反応を、還流下で4時間、次に室温で一晩撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却し、そして1.0M NaOH水溶液の緩慢添加で、発熱反応が止むまで急冷した。得られたゲルを、THFで希釈し、そして固体を濾去した。次に、濾液を真空中で濃縮して、(S)−(4−メチルピペラジン−2−イル)−メタノール(2.84g,101%粗収率)を無色油状物として与えた。
【0115】
中間体6
4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル
【0116】
【化16】

【0117】
1−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン(12.2g,67.7mmol)およびトリエチルアミン(4.63mL,67.7mmol)を、無水THF(150mL)中に窒素下で溶解させ、そして反応混合物を0℃に冷却した。無水THF(150mL)中に0℃で溶解した4−ニトロフェニルクロロホルメート(13.4g,67.7mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、水とEtOAcとに懸濁させた。水性層を、二つの追加部分のEtOAcで抽出し、有機層を一緒にし、乾燥させ(MgSO)、真空中で乾燥後、トルエン(50mL)/ヘキサン(60mL)から再結晶させて、4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(15.8g,67%)を微細黄色針状物として生じた。
【0118】
中間体7
3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0119】
【化17】

【0120】
モルホリン−3,4−ジカルボン酸4−tert−ブチルエステル(9.50g,41mmol)を、無水THF(50mL)中に窒素下で溶解させ、−10℃に冷却した。1Mボラン溶液(82mL,82mmol)を滴加し、同時に、0℃未満の温度を維持した。反応混合物を室温に暖め、一晩撹拌した。反応混合物を−5℃に冷却し、そして水(10mL)を注意深く加えた後、水(20mL)中のNaCO(9.5g)を加えた。室温で30分間撹拌後、THFを真空中で除去し、水を加え、そして反応混合物を、ジエチルエーテル(x3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で蒸発させて、3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(8.9g,100%)を無色油状物として生じた。
【0121】
中間体8
(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【0122】
【化18】

【0123】
(S)−3−アミノ−1,2−プロパンジオール(16.8g,184mmol)を、MeOH(90mL)中に室温で溶解させ、その溶液を、MeCN(550mL)で希釈した。NEt(30.5mL,219mmol)を加え、反応混合物を−10℃に冷却した。クロロアセチルクロリド(22.2g,15.6mL,197mmol)を、窒素下において−10℃で1.5時間滴加した。温度を、−10℃で更に1時間維持した後、反応混合物を室温に達しさせ、一晩(16時間)撹拌した。溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、Apollo Scientific シリカ、40〜60μ、60Å、EtOAc中の1%〜10%MeOHの勾配)によって精製した。合わせた画分を蒸発させて、2−クロロ−N−[(S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]-アセトアミド(28.5g,92%)を無色油状物として与え、それは、放置すると白色固体を生じた。
【0124】
t−AmOH(175mL)中のt−BuOK(13.7g,122mmol)の溶液に、t−AmOH(325mL)中の2−クロロ−N−[(S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]アセトアミド(8.1g,48.3mmol)の溶液を室温で2時間にわたって加えた。得られた懸濁液を、室温で1時間撹拌した。メタノール(50mL)および水(5mL)を加え、得られた溶液を、室温で0.5時間撹拌後、濃HClの添加によってpHを5に調整した。その懸濁液を濾過し、固体をメタノールで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、得られた固体をメタノール(50mL)中でスラリーにし、濾去して、(S)−6−(ヒドロキシメチル)モルホリン−3−オン(1.3g)を白色固体として与えた。EtOAc(200mL)を濾液に加えることによって第二収量を得、そして得られた溶液を、シリカプラグ(1x10cm)を介して濾過した。溶媒を真空中で蒸発させて、(S)−6−(ヒドロキシメチル)モルホリン−3−オン(3.9g,全収量5.2g,82%)を白色固体として与えた。
【0125】
無水THF(100mL)中の(S)−6−(ヒドロキシメチル)モルホリン−3−オン(7.50g,57.2mmol)の0℃溶液に、THF中のBH(110mL,85.8mmol)を加えた。反応混合物を、室温に達しさせた後、還流しながら一晩加熱した。その反応を、室温に冷却後、THF(16mL)中の水(5mL)の混合物で、次に7Mメタノール性アンモニア(30mL)で急冷した。反応混合物を、加熱して30分間還流させ、冷却し、溶媒を真空中で除去した。残留物を、メタノール(15mL)中に溶解させ、Isolute SCX−2の20gカラム上に充填し、MeOH(100mL)で洗浄し、そしてメタノール性アンモニアで溶離した。溶媒を真空中で除去して、(S)−モルホリン−2−イルメタノール(1.67g,24%)を褐色液体として生じた。
【0126】
DCM(75mL)中の(S)−モルホリン−2−イルメタノール(1.63g,13.9mmol)の溶液に、水(2mL)中のNaOH(0.61g,15.3mmol)の溶液を加えた。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(3.04g,13.9mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。水性相を分離し、そしてDCM(2x15mL)で更に抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、20g Isolute−Siカラム、DCM中の1%〜10%MeOHの勾配)によって精製し、真空中で乾燥させて、(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.3g,71%)を白色固体として生じた。
【0127】
中間体9
(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【0128】
【化19】

【0129】
(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステルを、中間体8について記載の手順と同様であるが、(R)−3−アミノ−1,2−プロパンジオールを(S)−3−アミノ−1,2−プロパンジオールの代わりに用いて製造した。標題化合物を、白色固体として得た(10%全収率,4工程)。
【0130】
中間体10
(S)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール
【0131】
【化20】

【0132】
THF(5mL)中の(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体8;1.20g,5.52mmol)を、無水THF(15mL)中のLiAlH(1.30g,34.3mmol)の懸濁液に−10℃で加え、窒素下で15分間撹拌した。冷却浴を除去し、そして反応混合物を、穏やかに加熱して4時間還流した。反応混合物を、氷浴冷却しているTHF(25mL)中の水(4mL)の混合物の注意深い添加によって急冷した。THF(50mL)を反応混合物に加え、15分間撹拌し、濾過し、そして固体をTHF(50mL)で洗浄した。合わせた濾液を、真空中で蒸発させた。残留物を、DCM(50mL)中に溶解させ、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、(S)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(490mg,67%)を無色油状物として生じた。
【0133】
中間体11
(R)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール
【0134】
【化21】

【0135】
(R)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノールを、中間体10について記載の手順と同様であるが、(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体9)を(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体8)の代わりに用いて製造した。標題化合物を、無色油状物として得た(560mg,77%)。
【0136】
中間体12
4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル
【0137】
【化22】

【0138】
1−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン(3.70g,18.9mmol)およびトリエチルアミン(2.8mL,19.8mmol)を、無水THF(30mL)中に窒素下で溶解させ、反応混合物を0℃に冷却した。無水THF(25mL)中に溶解した4−ニトロフェニルクロロホルメート(3.8g,18.9mmol)を滴加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を水で研和後、濾過した。黄色固体を、ヘキサンおよびトルエン(3:7)の混合物から木炭を用いて再結晶させて、4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(4.3g,63%)を黄色結晶性固体として生じた。
【0139】
中間体13
2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エタノール
【0140】
【化23】

【0141】
ジオキサン(12mL)および水(6.0mL)中のメチル−2−ピペラジンアセテート二塩酸塩(500mg,2.16mmol)の0℃溶液に、水(0.4mL)中のNaOH(182g,4.55mmol)の溶液、次にジ炭酸ジ−tert−ブチル(992mg,4.55mmol)を徐々に加えた。その反応混合物を、室温で4時間撹拌後、真空中で濃縮した。得られた塩に、DCM(75mL)を加え、その懸濁液を激しく30分間撹拌した。塩を濾去し、DCM(50mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、2−メトキシカルボニルメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(662mg,85%)を淡黄色油状物として与えた。
【0142】
無水THF(10mL)中の2−メトキシカルボニルメチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステル(662mg,1.85mmol)の0℃撹拌溶液に、THF中の1M LiAlH溶液(5.7mL,5.70mmol)を徐々に加えた。その撹拌反応混合物を、15分間にわたって室温に暖めた後、2時間還流させた。この時間後、反応混合物を0℃に冷却し、そして1.0M NaOH水溶液の滴加によって、発泡が止むまで注意深く急冷した。得られたゲルを、THF(50mL)で希釈し、固体を濾去した。濾液を真空中で濃縮して、2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エタノール(191mg,65%)を無色油状物として与えた。
【0143】
実施例1
[(3R)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0144】
【化24】

【0145】
THF中の2M LiAlH溶液(14.0mL,28.0mmol)を、THF(30mL)中の(R)−tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(5.00g,23.2mmol)の溶液にアルゴン下において0℃で滴加した。反応混合物を、2時間にわたって室温に暖め、室温で17時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして1M NaOH水溶液(4.0mL)を滴加した。水(2mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。白色固体を濾過によって除去した。濾液を真空中で濃縮して、(R)−(1−メチルピペリジン−3−イル)メタノール(3.19g,106%)を無色油状物として生じ、それを、更に精製することなく用いた。
【0146】
分析LCMS:純度約90%(システムC,R=0.46分),ES:130.1[MH]
水素化ナトリウム(0.70g,鉱油中60%分散液,17.5mmol)を、ヘプタン(10mL)中にアルゴン雰囲気下で懸濁させた。ヘプタンを傾瀉除去し、そしてフラスコにTHF(20mL)を入れ、0℃に冷却した。THF(20mL)中の(R)−(1−メチルピペリジン−3−イル)メタノール(0.75g,5.83mmol)の溶液を、次にTHF(20mL)中の4−ニトロフェニル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(中間体1;2.19g,6.42mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温に暖め、18時間撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、そして飽和NaHCO水溶液の滴加で急冷し、真空中で濃縮した。残留物を、酢酸エチル(200mL)中に溶解させ、飽和NaHCO水溶液(4x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、逆相クロマトグラフィー(各々の溶媒中に1%ギ酸を含む、水中の0〜25%メタノールで勾配溶離する)によって精製した。得られた残留物を、DCM(50mL)中に溶解させ、固体KCOと一緒に20分間撹拌し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、順相カラムクロマトグラフィー(DCMで、次に90:10のDCM:MeOH混合物で溶離する)によって更に精製して、[(3R)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(619mg,32%)を淡褐色固体として生じた。
【0147】
分析HPLC:純度99.9%(システムA,R=4.07分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.46分),ES:332.5[MH]
HRMS:C1929の理論値331.2260,実測値331.2275。
【0148】
実施例2
[(3S)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0149】
【化25】

【0150】
(S)−(1−メチルピペリジン−3−イル)メタノール(1.50g,11.6mmol;実施例1にしたがうが、(S)−tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシレートから出発して製造される)を、DCM(20mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。NMM(1.30mL,12.2mmol)およびニトロフェニルクロロホルメート(2.46g,12.2mmol)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌後、DMF(40mL)中の4−(4−メチルフェニル)ピペラジン二塩酸塩(1.88g,7.5mmol)およびDIPEA(3.70mL,22.1mmol)の溶液を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌後、真空中で濃縮した。残留物を、EtOAc(300mL)中に溶解させた後、1M NaCO水溶液(5x200mL)で逐次的に洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、順相カラムクロマトグラフィー(DCMで、次に85:15のDCM:MeOH混合物で溶離する)、次に逆相HPLC(Advanced Chromatography Technologies ACE−122−1030RPシリカ100x30mmカラム、Ace5 C8(5μm)で充填、細孔度100Å、30mL/分、各々の溶媒中に0.1%TFAを含む水中の8〜38%CHCNの勾配)によって精製した。残留物をDCM(70mL)中に溶解させ、そして固体KCOと一緒に20分間撹拌し、濾過し、真空中で濃縮して、黄色油状物を生じ、それを、ヘプタン/EtOAから再結晶させて、[(3S)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(521mg,13.5%)を白色固体として生じた。
【0151】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.88分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.39分),ES:332.2[MH]
HRMS:C1929の理論値331.2260,実測値331.2270。
【0152】
実施例3
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0153】
【化26】

【0154】
THF(20mL)中の1,4−ジメチル−(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(中間体3;1.49g,10.3mmol)の0℃溶液に、水素化ナトリウム(1.24g,鉱油中60%分散液,31.0mmol)を加えた。反応混合物を、0℃で数分間撹拌後、THF(20mL)中の4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;3.72g,11.4mmol)。反応混合物を室温に暖め、7時間撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却し、そして飽和NaHCO水溶液の滴加で急冷した。THFを真空中で除去し、水性相をEtOAc(x3)で抽出し、合わせた有機相を、飽和NaHCO水溶液(x6)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、水:ギ酸溶液[1:1](20mL)中に懸濁させ、濾過し、そして濾液を、逆相カラムクロマトグラフィー(各々の溶媒中に1%ギ酸を含む、水中の0〜15%メタノールで勾配溶離する)によって精製した。得られた残留物を、DCM(50mL)中に溶解させ、固体KCOと一緒に20分間撹拌し、濾過し、真空中で濃縮して、[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(1.25g,36%)を淡黄色固体として生じた。
【0155】
分析HPLC:純度99.8%(システムA,R=3.50分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.86分),ES:333.6[MH]
HRMS:C1828の理論値332.2212,実測値332.2227。
【0156】
実施例4
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0157】
【化27】

【0158】
水素化ナトリウム(1.14g,鉱油中60%分散液,28.6mmol)を、ヘプタン(10mL)中にアルゴン雰囲気下で懸濁させた。ヘプタンを傾瀉除去し、そのフラスコにTHF(20mL)を入れ、0℃に冷却した。THF(20mL)中の1,4−ジメチル−(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(中間体4;1.38g,9.5mmol)の溶液、次にTHF(20mL)中の4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;4.06g,12.4mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温に暖め、16時間撹拌し、反応混合物を0℃に冷却後、飽和NaHCO水溶液の滴加で急冷し、真空中で濃縮した。残留物を、EtOAc(200mL)中に溶解させ、飽和NaHCO水溶液(4x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、水:ギ酸溶液[1:1](20mL)中に懸濁させ、濾過し、そして濾液を、逆相カラムクロマトグラフィー(各々の溶媒中に1%ギ酸を含む、水中の0〜15%メタノールで勾配溶離する)によって精製した。得られた残留物を、DCM(50mL)中に溶解させ、固体KCOと一緒に20分間撹拌し、濾過し、真空中で濃縮して、[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(1.93g,61%)を淡黄色固体として生じた。
【0159】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.55分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.90分),ES:333.5[MH]
HRMS:C1828の理論値332.2212,実測値332.2225。
【0160】
実施例5
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0161】
【化28】

【0162】
4−ニトロフェニルクロロホルメート(5.17g,25.7mmol)を、DCM(200mL)中に室温で溶解させ、反応混合物を0℃に冷却し、そしてDIPEA(6.94g,9.38mL,53.9mmol)および1,4−ジメチル−(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(中間体3;3.70g,25.7mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌後、等容量の三つに分けた。一つに、1−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン(1.53g,8.5mmol)を加え、その混合物を48時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、EtOAc(500mL)と1.0M NaOH溶液(200mL)とに分配した。有機層を、1.0M NaOH水溶液(5x125mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、DCM(100mL)中に溶解させ、イソシアネート樹脂(3g)を加え、反応混合物を14時間振とうし、濾過し、そして溶媒を真空中で除去した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜30%(75分間にわたる)〜100%(13分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中のKCOを用いて脱塩して、[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(1.78g,60.0%)を淡黄色ガムとして生じた。
【0163】
分析HPLC:純度99.1%(システムA,R=3.69分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.10分),ES:351.1[MH]
【0164】
実施例6
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エチルエステル
【0165】
【化29】

【0166】
2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エタノール(703mg,4.44mmol)を、無水THF(20mL)中に溶解させ、その撹拌溶液を0℃に冷却後、NaH(鉱油中60%分散液;550mg,13.8mmol)を加えた。その懸濁液を10分間撹拌させた。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;1.89g,5.77mmol)を、反応混合物に加え、それを、室温で3時間撹拌させた。この時間後、混合物を0℃に冷却し且つ飽和NaHCO水溶液(50mL)で注意深く急冷することによって反応を止めた。THFを真空中で取り出し、分液漏斗に移し、そこで、有機生成物をEtOAc(3x75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を一緒に集め、飽和NaHCO水溶液(3x75mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、粗製黄色スラリーを生じた。その粗製残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜15%(70分間にわたる)〜100%(5分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。脱塩(DCM中のKCOを用いた)、濾過および真空中の濃縮は、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エチルエステル(236mg,13%)を暗黄色油状物として与えた。
【0167】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.50分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.92分),ES:347.6[MH]
HRMS:C1930の理論値346.2369,実測値346.2378。
【0168】
実施例7
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0169】
【化30】

【0170】
4−ニトロフェニルクロロホルメート(5.17g,25.7mmol)を、DCM(200mL)中に室温で溶解させ、反応混合物を0℃に冷却し、そしてDIPEA(6.94g,9.38mL,53.9mmol)および1,4−ジメチル−(S)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(中間体3;3.70g,25.7mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌後、等容量の三つに分けた。一つに、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン(1.68g,8.5mmol)を加え、48時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、EtOAc(500mL)と1.0M NaOH水溶液(200mL)とに分配した。有機層を、1.0M NaOH水溶液(5x125mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、DCM(100mL)中に溶解させ、イソシアネート樹脂(3g)を加え、反応混合物を14時間振とうし、濾過し、溶媒を真空中で除去した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜30%(75分間にわたる)〜100%(13分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中のKCOを用いて脱塩して、[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(1.23g,39.4%)を淡黄色ガムとして生じた。
【0171】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=4.12分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.53分),ES:369.1[MH]
HRMS:C1826の理論値368.2024,実測値368.2038。
【0172】
実施例8
[(2S)−4−メチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート三塩酸塩
【0173】
【化31】

【0174】
O(20mL)およびジオキサン(40mL)の混合物中の(S)−(4−メチルピペラジン−2−イル)−メタノール(中間体5;2.84g,21.7mmol)の0℃懸濁液に、50%w/wNaOH水溶液(0.96g,24.0mmol)を加えた。ジ炭酸ジ−tert−ブチル(5.01g,22.9mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。残留物を、無水THF(25mL)中に溶解させ、その溶液を0℃に冷却した。NaH(油中60%wt分散液;4.05g,101mmol)を加え、その灰色懸濁液を10分間撹拌後、4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;11.2g,34.1mmol)を加えた。その反応を、室温で週末にわたって撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして飽和NaHCO水溶液(20mL)で急冷後、THFを真空中で除去した。有機生成物を、EtOAc(3x50mL)で抽出し、有機層を一緒にし、飽和NaHCO水溶液(3x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。MeOHを、その粗製スラリーに加え、固体を濾去し、MeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、そして二つのバッチ中において逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜50%(75分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。その生成物を、DCM中のKCOを用いて脱塩して、(S)−4−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(1.65g,18%)を褐色油状物として生じた。
【0175】
MeOH(10mL)中の(S)−4−メチル−2−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(1.65g,3.9mmol)の溶液に、EtO中の2M HCl溶液(11.8mL,23.6mmol)を加えた。その反応を、室温で3日間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,0.1%TFAを含む水中の0%〜15%(75分間にわたる)MeOHの勾配によって精製した。次に、その物質を、逆相HPLC(YMC ODS−A 100x20mm,5μm,25mL/分,10%MeOH/水中の50%〜100%(7分間にわたる)、次に100%(3分)MeOHの勾配)によって更に精製した。純粋な生成物を、4M HCl水溶液(10mL)中で4時間撹拌後、真空中で濃縮した。得られた油状物を、ヘプタンで洗浄し、真空中で濃縮後、真空オーブン中で一晩乾燥させて、[(2S)−4−メチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート三塩酸塩(1.63g,96%)を淡褐色固体として与えた。
【0176】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.27分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.71分),ES:319.2[MH]
HRMS:C1726の理論値318.2056,実測値318.2071。
【0177】
実施例9
(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)メチル4−ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート
【0178】
【化32】

【0179】
1,4−ジメチル−2−ヒドロキシメチルピペラジン(1.00g,6.94mmol)を、DCM(50mL)中に室温で溶解させ、NMM(0.74g,7.29mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、4−ニトロフェニルクロロホルメート(1.4g,6.94mmol)を加えた。反応混合物を、室温で4時間撹拌後、等容量の二つに分けた。一つに、DIPEA(1.35g,10.4mmol)、1−ベンジルピペラジン(0.61g,3.47mmol)を加え、反応混合物を4時間撹拌した。それら溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、EtOAc(300mL)と1.0M NaOH水溶液(100mL)とに分配した。有機層を、1.0M NaOH水溶液(5x100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、DCM(100mL)中に溶解させ、イソシアネート樹脂を加え、反応混合物を16時間振とうし、濾過し、溶媒を真空中で除去した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜30%(88分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中のKCOを用いて脱塩して、(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)メチル4−ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート(0.32g,26.3%)を淡黄色油状物として生じた。
【0180】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=2.94分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.40分),ES:347.2[MH]
HRMS:C1930の理論値346.2369,実測値346.2382。
【0181】
実施例10
モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩
【0182】
【化33】

【0183】
2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.13g,19.0mmol)を、無水THF(20mL)中に溶解させ、その溶液を0℃に冷却した。NaH(油中60%wt分散液;2.28g,57.0mmol)を加え、灰色懸濁液を10分間撹拌後、4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;7.46g,22.8mmol)を加えた。その反応を、室温で週末にわたって撹拌した。更に1.5当量のNaH(油60%wt分散液)(1.14g,28.5mmol)を加え、反応を室温で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして飽和NaHCO水溶液(50mL)で急冷後、THFを真空中で除去した。有機生成物を、EtOAc(3x50mL)で抽出し、有機層を一緒にし、飽和NaHCO水溶液(3x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x36mm(200g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜80%(120分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製して、2−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(6.67g,87%収率)を暗褐色油状物として与えた。
【0184】
MeOH(10mL)中の2−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(6.67g,16.5mmol)の溶液に、EtO中の2M HCl溶液(16.5mL,32.9mmol)を加えた。その褐色溶液を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、真空中で濃縮した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,0.1%TFAを含む水中の0%〜15%(75分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。純粋な試料を、4M HCl水溶液(20mL)中で一晩撹拌後、真空中で濃縮した。得られた黄色油状物を、ヘプタンで洗浄し、真空中で濃縮し、真空オーブン中で一晩乾燥させて、モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩(4.72g,76%)を淡黄色固体として生じた。
【0185】
分析HPLC:純度99.6%(システムA,R=3.57分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.90分),ES:306.5[MH]
HRMS:C1623の理論値305.1739,実測値305.1749。
【0186】
実施例11
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0187】
【化34】

【0188】
(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体8;100mg,0.46mmol)を、無水THF(5mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2,180mg,0.55mmol)およびTHF(2mL)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜30%EtOAcの勾配)によって精製して、(2S)−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(180mg,96%)を無色油状物として生じた。
【0189】
(2S)−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(180mg,0.44mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加え、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、30分間撹拌後、水(0.3mL)を加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g Isolute−Siシリカ、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を、真空中で乾燥させて、(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(101mg,75%)を白色固体として生じた。
【0190】
分析HPLC:純度98.9%(システムB,R=6.63分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=6.57分),ES:306.7[MH]
HRMS:C1623の理論値305.1739,実測値305.1753。
【0191】
実施例12
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0192】
【化35】

【0193】
(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体9;100mg,0.46mmol)を、無水THF(5mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;180mg,0.55mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAcの勾配)によって精製して、(2R)−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(170mg,91%)を淡黄色油状物として生じた。
【0194】
(2R)−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(130mg,0.32mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加え、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、30分間撹拌後、水(0.3mL)を加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を、真空中で乾燥させて、(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(57mg,58%)を白色固体として生じた。
【0195】
分析HPLC:純度99.8%(システムB,R=6.63分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=6.54分),ES:306.7[MH]
HRMS:C1623の理論値305.1739,実測値305.1753.
実施例13
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0196】
【化36】

【0197】
モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(実施例10の非HCl塩;1.00g,3.27mmol)および水中の37%ホルムアルデヒド(1.97g,1.82mL,65.5mmol)を、MeOH(20mL)中に室温で溶解させた後、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(2.78g,13.1mmol)を少量ずつ5分間にわたって加えた。反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaCO水溶液の添加によって急冷した。溶媒を真空中で除去し、そして残留水性相を、Isolute HM−N 20mLカートリッジ上に充填した。所望の生成物を、DCM(200mL)で溶離し、溶媒を真空中で除去して、(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(0.93g,88.9%)を無色ガムとして生じた。
【0198】
分析HPLC:純度99.5%(システムA,R=3.64分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.01分),ES:320.1[MH]
HRMS:C1725の理論値319.1896,実測値319.1899。
【0199】
実施例14
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0200】
【化37】

【0201】
(S)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体10;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol,)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;300mg,0.92mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)によって、次に逆相HPLC(YMC ODS−A 100x20mm,5μm,25mL/分,10%MeOH/水中の20%〜100%(7分間にわたる)、次に100%(3分)MeOHの勾配)によって精製した。純粋な生成物を、DCM(5mL)中に入れ、濾過し、真空中で乾燥させて、[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニル-ピペラジン−1−カルボキシレート(50mg,20%)を無色ガムとして生じた。
【0202】
分析HPLC:純度99.4%(システムA,R=3.65分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.66分),ES:320.3[MH]
HRMS:C1725の理論値319.1896,実測値319.1909。
【0203】
実施例15
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0204】
【化38】

【0205】
(R)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体11;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;300mg,0.92mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)によって精製した。溶媒を真空中で除去して、[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(175mg,72%)を淡黄色ガムとして生じた。
【0206】
分析HPLC:純度99.8%(システムB,R=6.84分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.67分),ES:320.5[MH]
HRMS:C1725の理論値319.1896,実測値319.1895。
【0207】
実施例16
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0208】
【化39】

【0209】
(S)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体10;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;314mg,0.91mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)によって精製し、溶媒を真空中で除去して、[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(130mg,51%)を淡褐色固体として生じた。
【0210】
分析HPLC:純度96.0%(システムB,R=7.46分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.97分),ES:338.6[MH]
HRMS:C1724FNの理論値337.1802,実測値337.1814。
【0211】
実施例17
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0212】
【化40】

【0213】
(R)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体11;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;314mg,0.91mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)、次に逆相HPLC(YMC ODS−A 100x20mm,5μm,25mL/分,10%MeOH/水中の20%〜100%(7分間にわたる)、次に100%(3分)MeOHの勾配)によって精製した。純粋な生成物を、DCM(5mL)中に入れ、濾過し、真空中で乾燥させて、[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(100mg,28%)を無色ガムとして生じた。
【0214】
分析HPLC:純度99.7%(システムA,R=3.97分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.94分),ES:338.3[MH]
HRMS:C1724FNの理論値337.1802,実測値337.1815。
【0215】
実施例18
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0216】
【化41】

【0217】
(S)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体10;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12,330mg,0.91mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)によって精製し、溶媒を真空中で除去して、[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(104mg,38%)を無色ガムとして生じた。
【0218】
分析HPLC:純度99.3%(システムB,R=8.55分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=8.32分),ES:356.7[MH]
HRMS:C1723の理論値355.1707,実測値355.1724。
【0219】
実施例19
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0220】
【化42】

【0221】
(R)−(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(中間体11;100mg,0.76mmol)を、無水THF(7mL)中のNaH(油中60%分散液;90.0mg,2.28mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12;330mg,0.91mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、DCM中の1〜5%MeOHの勾配)によって精製して、溶媒を真空中で除去して、[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(87mg,32%)を無色ガムとして生じた。
【0222】
分析HPLC:純度100%(システムB,R=8.57分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.62分),ES:356.4[MH]
HRMS:C1723の理論値355.1707,実測値355.1722。
【0223】
実施例20
モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩
【0224】
【化43】

【0225】
2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.17g,10mmol)を、無水THF(50mL)中に溶解させ、反応混合物を0℃に冷却した。NaH(油中60%分散液;0.40g,10mmol)を加え、10分間撹拌後、4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;3.45g,10mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌後、水(1mL)/THF(10mL)混合物の滴加によって注意深く急冷後、THFを真空中で除去した。残留物を、飽和水性NaCO(50mL)とEtOAc(200mL)とに懸濁させた。有機層を、飽和水性NaCO(5x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で乾燥させた。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,水中の0%〜60%(60分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製して、HPLCで約80%の純物質を生じた。その粗製中間体を、DCM(100mL)およびTFA(10mL,過剰)中に溶解させ、室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分,1%ギ酸を含む水中の0%〜20%(70分間にわたる)、次に20%で保持される(120分間にわたる)MeOHの勾配によって再精製した。溶媒を真空中で除去し、残留物を、DCM中のKCOを用いて脱塩した。その残留物を、DCMおよびHCl(EtO中の2M,3.2mL,6.4mmol)中に溶解させ、真空オーブン中で一晩乾燥させて、モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩(2.30g,58%)を無色ガムとして生じた。
【0226】
分析HPLC:純度97.5%(システムA,R=3.90分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.27分),ES:324.1[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1660。
【0227】
実施例21
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0228】
【化44】

【0229】
(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体8;100mg,0.46mmol)を、無水THF(2mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;191mg,0.55mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAcの勾配)によって精製して、(2S)−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシ-メチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(200mg,定量的)を淡黄色油状物として生じた。
【0230】
(2S)−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(200mg,0.46mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加えた後、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、30分間撹拌後、水(0.3mL)を加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を、真空中で乾燥させて、(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(135mg,89%)を白色固体として生じた。
【0231】
分析HPLC:純度98.2%(システムB,R=7.23分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=7.12分),ES:324.7[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1659。
【0232】
実施例22
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0233】
【化45】

【0234】
(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体9;100mg,0.46mmol)を、無水THF(2mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;191mg,0.55mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAcの勾配)によって精製して、(2R)−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシ-メチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(130mg,67%)を無色油状物として生じた。
【0235】
(2R)−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(120mg,0.40mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加えた後、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、30分間撹拌後、水(0.3mL)を加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g Isolute−Siシリカ、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を、真空中で乾燥させて、(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(117mg,91%)を白色固体として生じた。
【0236】
分析HPLC:純度99.3%(システムB,R=7.25分);
分析LCMS:純度97.9%(システムB,R=7.13分),ES:324.6[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1659。
【0237】
実施例23
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩
【0238】
【化46】

【0239】
(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(1.05g,8.0mmol)およびDIPEA(2.79ml,16.0mmolを、DCM(80mL)中に溶解させ、反応混合物を0℃に冷却し、そしてp−ニトロフェニルクロロホルメート(3.23g,16.0mmol)を加えた。反応混合物を室温に暖め、2時間撹拌した。反応混合物を4バッチに分け、真空中で濃縮した。一つを、DMF(20mL)中に溶解させ、1−(4−クロロフェニル)−ピペラジン二塩酸塩(539mg,2mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物をDCM(30mL)中に溶解させた。有機層を、1.0M NaCO溶液(3x30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1、シリカギガチューブ、20mL/分、DCM中の0%〜5%MeOHの勾配、残留物乾燥充填)によって精製した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物をDCM(50mL)中に溶解させ、濾過し、EtO中の2M HCl(2mL,4mmol)を加えた。溶媒を真空中で除去し、得られた固体を真空オーブン中で一晩乾燥させて、(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩(0.510g,60%)を白色固体として生じた。
【0240】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=4.69分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=5.12分),ES:354.4[MH]
HRMS:C1724ClNの理論値353.1506,実測値353.1516。
【0241】
実施例24
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩
【0242】
【化47】

【0243】
(4−メチルモルホリン−2−イル)−メタノール(1.05g,8.0mmol)およびDIPEA(2.79ml,16.0mmolを、DCM(80mL)中に溶解させ、反応混合物を0℃に冷却し、そしてp−ニトロフェニルクロロホルメート(3.23g,16.0mmol)を加えた。反応混合物を室温に暖め、2時間撹拌した。反応混合物を4バッチに分け、真空中で濃縮した。一つを、DMF(20mL)中に溶解させ、1−(4−フルオロベンジル)−ピペラジン(0.39g,2mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物をDCM(30mL)中に入れた。有機層を、1.0M NaCO溶液(3x30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1、シリカギガチューブ、20mL/分、DCM中の0%〜5%MeOHの勾配、残留物乾燥充填)によって精製した。溶媒を真空中で除去し、残留物をDCM(50mL)中に溶解させ、濾過し、EtO中の2M HCl(2mL,4mmol)を加えた。溶媒を真空中で除去し、残留物を真空オーブン中で一晩乾燥させて、(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩(0.375g,44%)を白色固体として生じた。
【0244】
分析HPLC:純度99.2%(システムA,R=3.13分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.60分),ES:352.5[MH]
【0245】
実施例25
(4−アセチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0246】
【化48】

【0247】
ピリジン(2.25mL,27.7mmol)中のモルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート二塩酸塩(実施例10;0.52g,1.40mmol)の撹拌溶液に、塩化アセチル(0.15mL,2.10mmol)を徐々に加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌後、ピリジンを真空中で除去し、得られた残留物を、飽和NaHCO水溶液(50mL)で希釈した。有機生成物を、EtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO水溶液(3x50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、20g,Strata SI−1、シリカギガチューブ、20mL/分、EtOAc中の0%〜5%MeOHの勾配)によって精製した。溶媒を真空中で除去し、真空オーブン中で一晩乾燥させて、(4−アセチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(0.38g,78%)を淡褐色油状物として与えた。
【0248】
分析HPLC:純度99.0%(システムA,R=4.34分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.60分),ES:348.5[MH]
HRMS:C1825の理論値347.1845,実測値347.1859。
【0249】
実施例26
モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0250】
【化49】

【0251】
NaH(ヘキサンで予洗済み油中60%;1.30g,31.7mmol)を、無水THF(50mL)中に窒素下で懸濁させ、反応混合物を撹拌しながら−10℃に冷却した。THF(50mL)中の3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体7;2.30g,10.6mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;4.38g,12.7mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaHCO水溶液(10mL)を加え、溶媒を真空中で除去した。残留物を、水とEtOAcとに分配し、水性相をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和水性NaHCO(3x100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、フラッシュ順カラムクロマトグラフィー(Apollo シリカ,40〜63μm,60A)により、EtOAc/ヘキサンで溶離して精製した。不純物質を、フラッシュ順相クロマトグラフィーにより、DCM中の1%MeOHを用いて更に精製して、3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.05g,68%)を生じた。
【0252】
3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.98g,7.04mmol)を、DCM(30mL)中において0℃で撹拌した。DCM(24mL)中に溶解したTFA(6mL)を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、DCM(30mL)と水性NaHCO(30mL中の5g)とに分配した。水性層を、DCM(3x30mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2.18g,96%)を白色固体として生じた。
【0253】
分析HPLC:純度98.3%(システムA,R=3.88分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.27分),ES:324.0[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1661。
【0254】
実施例27
(3S)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0255】
【化50】

【0256】
NaH(ヘキサンで予洗済み油中60%;2.76g,69.0mmol)を、無水THF(100mL)中に窒素下で懸濁させ、反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。THF(100mL)中の(S)−3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(5.00g,23.0mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;10.0g,29.0mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌後、24時間放置した。反応混合物を5〜10℃に冷却した。10%NaHCO水溶液(22mL)を加え、溶媒を真空中で除去した。残留物を、EtOAc(700mL)と10%NaHCO水溶液(200mL)/水(400mL)とに分配した。EtOAc層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、100g Isolute−Siカラム、ヘキサン中のEtOAcの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中に溶解させ、真空中で蒸発させ、繰り返した後、真空中で乾燥させて、(3S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(8.19g,84%)を橙色ガムとして生じた。
【0257】
(3S)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(8.19g,19.3mmol)を、DCM(96mL)中において−5〜0℃で撹拌した。DCM(67mL)中に溶解したTFA(28.9mL)を滴加し、冷却を30分間維持した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物をヘプタン(200mL)で希釈し、赤〜褐色ガムを分離した。そのガムを、真空中で乾燥させた後、ヘプタン(200mL)で洗浄した。残留物を、DCM(450mL)と1.2M水性NaHCO(135mL)とに分配した。水性層をDCM(2x225mL)で抽出した。合わせたDCM抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去して、(3S)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(5.83g,93%)をベージュ色固体として生じた。
【0258】
分析HPLC:純度99.5%(システムA,R=3.86分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.82分),ES:324.7[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1652。
【0259】
実施例28
(3R)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0260】
【化51】

【0261】
NaH(ヘキサンで予洗済み油中60%;1.38g,34.5mmol)を、無水THF(50mL)中に窒素下で懸濁させ、反応混合物を撹拌しながら−5℃に冷却し、そしてTHF(50mL)中の(R)−3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.50g,11.5mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0〜3℃で30分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;5.01g,14.5mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、10%NaHCO水溶液(11mL)を加えた。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、EtOAc(350mL)と10%NaHCO水溶液(100mL)/水(200mL)とに分配した。EtOAc層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、70g Isolute−Siカラム、ヘキサン中のEtOAcの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中に溶解させ、真空中で蒸発させ、1回繰り返した後、真空中で乾燥させて、(3R)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.80g)を淡黄色ガムとして生じた。
【0262】
この手順を、もう一つのバッチの(R)−3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.50g,11.5mmol)で繰り返した。双方のバッチからの不純画分の再精製後、8.17g(83.9%)の(3R)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステルを得た。
【0263】
(3R)−3−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(5.07g,12.0mmol)を、乾燥ジオキサン(35mL)中において室温で撹拌し、ジオキサン中のHCl(4M;15mL,60mmol)を滴加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。追加部分のジオキサン中のHCl(4M;10mL,40mmol)を加え、一晩撹拌した。ジオキサンを傾瀉し、そして残留ガムを、ジオキサン(x3)およびEtO(x2)で洗浄した。残留物を、DCM(300mL)と1.2M水性NaHCOとに分配した。水性層をDCM(2x200mL)で抽出した。合わせたDCM抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物をDCM中に溶解させ、真空中で乾燥させて、(3R)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(3.87g,定量的)をオフホワイト固体として生じた。
【0264】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.87分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.82分),ES:324.7[MH]
HRMS:C1622FNの理論値323.1645,実測値323.1657。
【0265】
実施例29
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0266】
【化52】

【0267】
LiAlH(4.2g,110mmol)を、無水THF(60mL)中に窒素下で懸濁させ、撹拌しながら−10℃に冷却し、そしてTHF(50mL)中の3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体7;4.1g,18.4mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、加熱して3時間還流後、室温で一晩撹拌した。反応混合物を−10℃に冷却し、そしてTHF中の10%水の滴加で急冷した。反応混合物を、THF(50mL)で希釈し、室温で1時間撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残留物をDCM中に溶解させ、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、(4−メチルモルホリン−3−イル)−メタノール(2.05g,85%)を無色液体として生じた。
【0268】
NaH(ヘキサンで予洗済み油中60%;0.91g,22.9mmol)を、無水THF(25mL)中に窒素下で懸濁させ、撹拌しながら0℃に冷却した。THF(25mL)中の(4−メチルモルホリン−3−イル)−メタノール(1.00g,2.62mmol)の溶液を滴加した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;3.16g,9.15mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaHCO水溶液(10mL)を加え、溶媒を真空中で除去した。残留物を、水とEtOAcとに分配し、水性相をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和水性NaHCO(3x100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、フラッシュ順カラムクロマトグラフィー(Apollo シリカ,40〜63μm,60A)により、DCM中の1%MeOHで溶離して精製して、(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(2.15g,83%)を白色固体として生じた。
【0269】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.99分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.38分),ES:338.0[MH]
HRMS:C1724FNの理論値337.1802,実測値337.1811。
【0270】
実施例30
モルホリン−3−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート
【0271】
【化53】

【0272】
NaH(ヘキサンで予洗済み油中60%;1.23g,30.1mmol)を、無水THF(50mL)中に窒素下で懸濁させ、撹拌しながら0℃に冷却した。THF(50mL)中の3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体7;2.23g,10.3mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌した。4−ニトロフェニル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(中間体2;4.03g,12.3mmol)を加え、反応混合物を室温で48時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液(10mL)を加え、溶媒を真空中で除去した。残留物を、水とEtOAcとに分配し、水性相をEtOAc(2x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和水性NaHCO(3x100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、フラッシュ順カラムクロマトグラフィー(Apollo シリカ,40〜63μm,60A)により、DCM中の1%MeOHで溶離して精製して、3−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.35g,80%)を生じた。
【0273】
3−(4−フェニルピペラジン−1−カルボニルオキシメチル)−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.31g,8.16mmol)を、DCM(30mL)中において0℃で撹拌した。DCM(24mL)中に溶解したTFA(6mL)を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、DCM(30mL)と水性NaHCO(30mL中の5g)とに分配した。水性層をDCM(3x30mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、モルホリン−3−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート(2.55g,定量的)を白色固体として生じた。
【0274】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.60分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.97分),ES:306.0[MH]
HRMS:C1623の理論値305.1739,実測値305.1741。
【0275】
実施例31
モルホリン−3−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0276】
【化54】

【0277】
THF(5mL)中の3−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体7;250mg,0.76mmol)を、無水THF(5mL)中のNaH(ヘキサンで予洗済み油中60%分散液;138mg,3.45mmol)の懸濁液に0℃で滴加し、窒素下で35分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12;501mg,1.38mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、水性NaHCO(0.5mL)の0℃での添加で急冷し、溶媒を真空中で除去した。残留物を、水性NaCO(20mL)とEtOAc(20mL)とに懸濁させた。水性相をEtOAc(2x20mL)で抽出した。合わせた有機層を、水性NaCO(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、Apollo シリカ、DCM中の1%MeOH)によって精製し、溶媒を真空中で除去して、3−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(170mg,34%)を生じた。
【0278】
DCM(5mL)中の0℃の3−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(170mg,0.39mmol)に、TFA(5mLのDCM中の1mL)を加えた。反応混合物を、室温に暖め、一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物を、飽和水性NaHCO(10mL)とDCM(10mL)とに懸濁させた。水性相をDCM(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去して、モルホリン−3−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(104mg,79%)を無色油状物として生じた。
【0279】
分析HPLC:純度98.7%(システムB,R=8.29分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=8.09分),ES:342.6[MH]
HRMS:C1621の理論値341.1551,実測値341.1561。
【0280】
実施例32
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0281】
【化55】

【0282】
THF(7.5mL)中の(4−メチルモルホリン−3−イル)−メタノール(387mg,2.95mmol)を、無水THF(7.5mL)中のNaH(ヘキサンで予洗済み油中60%分散液;354mg,8.85mmol)の懸濁液に0℃で滴加し、窒素下で40分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12;1.28g,3.54mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、水性NaHCO(0.5mL)の0℃での添加で急冷した。反応混合物を1時間撹拌後、溶媒を真空中で除去した。残留物を、水とEtOAcとに懸濁させた。水性相をEtOAc(x3)で抽出した。合わせた有機層を、水性NaCOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、Apollo シリカ、DCM中の1%MeOH)によって精製し、溶媒を真空中で除去して、(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(197mg,19%)を無色油状物として生じた。
【0283】
分析HPLC:純度99.3%(システムB,R=8.45分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=4.61分),ES:356.5[MH]
HRMS:C1723の理論値355.1707,実測値355.1724。
【0284】
実施例33
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0285】
【化56】

【0286】
(S)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体8;100mg,0.46mmol)を、無水THF(2mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロ-フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12;191mg,0.55mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAcの勾配)によって精製して、(2S)−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(210mg,定量的)を油状物として生じた。
【0287】
(2S)−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(205mg,0.46mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中の10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加えた後、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g, Isolute−Si、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を真空中で乾燥させて、(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(104mg,69%)を白色固体として生じた。
【0288】
分析HPLC:純度99.8%(システムB,R=8.40分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=8.15分),ES:342.6[MH]
HRMS:C1621の理論値341.1551,実測値341.1559。
【0289】
実施例34
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0290】
【化57】

【0291】
(R)−2−ヒドロキシメチルモルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(中間体9;100mg,0.46mmol)を、無水THF(2mL)中のNaH(油中60%分散液;55.0mg,1.38mmol)の懸濁液に加え、窒素下で30分間撹拌した。4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体12;191mg,0.55mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を、セライトを介して濾過し、固体をTHF(10mL)で洗浄した。濾液を一緒にし、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相シリカ、5g Isolute−Siカラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAcの勾配)によって精製して、(2R)−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(176mg,86%)を生じた。
【0292】
(2R)−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボニルオキシメチル]−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(176mg,0.40mmol)を、DCM(2mL)中に溶解させ、TFA(3mL,DCM中の10%)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空中で除去した。ヘプタンを加えた後、溶媒を真空中で除去した。KCO(500mg,3.6mmol)を、DCM(2mL)中の残留物の溶液に加え、30分間撹拌後、水(0.3mL)を加え、1時間撹拌した。その混合物を濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(順相、5g Isolute−Siシリカ、ヘキサン中のEtOAc(1:1)の後、EtOAc中の1〜10%MeOH)によって精製した。残留物を、真空中で乾燥させて、(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート(89mg,65%)を白色固体として生じた。
【0293】
分析HPLC:純度99.8%(システムB,R=8.38分);
分析LCMS:純度100%(システムB,R=8.23分),ES:342.6[MH]
HRMS:C1621の理論値341.1551,実測値341.1561。
【0294】
実施例35
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
【0295】
【化58】

【0296】
NaH(鉱油中60%分散液;0.45g,11.3mmol)を、無水THF(20mL)中に窒素下で懸濁させ、反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。THF(20mL)中の1,4−ジメチル−(R)−2−ヒドロキシメチルピペラジン(中間体4;0.50g,3.47mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸4−ニトロフェニルエステル(中間体6;1.50g,4.34mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、飽和水性NaHCO(40mL)で急冷し、THFを真空中で除去した。水性相をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層を、飽和水性NaHCO(5x100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空中で除去した。残留物を、逆相カラムクロマトグラフィー(LiChroprep RP−18,40〜63μm,460x26mm(100g),30mL/分、1%ギ酸を含む水中の0%〜30%(75分間にわたる)〜100%(13分間にわたる)MeOHの勾配)によって精製した。残留物を、DCM中のKCOを用いて脱塩して、[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)-ピペラジン−1−カルボキシレート(0.42g,35%)を無色ガムとして生じた。
【0297】
分析HPLC:純度100%(システムA,R=3.88分);
分析LCMS:純度100%(システムA,R=3.58分),ES:351.2[MH]
HRMS:C1827FNの理論値350.2118,実測値350.2125。
【0298】
生物学的方法
ヒト肥満症の動物モデル(食餌性肥満ラット)
肥満症の齧歯類動物モデルは、ヒトの肥満状態の開始および維持の原因となる基礎因子を研究するのに有効な手段である。齧歯類動物の食餌性肥満症(DIO)モデルは、DIOラットが、多数の形質をヒト肥満症と共有しているので、この仕事に特に適している。
【0299】
これらには、多因子遺伝、インスリン抵抗性、高レプチン血症、成長ホルモン分泌低下、脂肪よりも炭水化物を選択的に酸化する素質、およびカロリー制限時には代謝率を減少させて制限後に体重回復をもたらす能力が含まれる。高エネルギー食を与えられた異系交配ラットの場合、約半分はDIOを発症するが、残りのものは、肥満症に抵抗性であり、しかも飼料を与えられている対照より大きく体重増加することはない(食餌抵抗性、DR)。食餌性肥満症(DIO)モデルは、エネルギー恒常性の調節に関して特別興味深い。脂肪、スクロースおよびエネルギー含量が中程度に高い食餌(HE食)を与えられた場合、約半分のラットは、他よりも実質的に大きく体重増加するであろう(DIO対DR)。
【0300】
DIOを発症する素因があるラットは、低エネルギー(飼料)食を与えられたラットに匹敵する率で体重増加するであろうし、しかもHE食を与えられなければ肥満症にならないであろう。しかしながら、DIOおよびDR表現型が、HE食でいったん確定されると、被験動物が規定飼料食へ戻された場合でさえ、得られた体重増加および体組成変化は持続する。体重および組成の変化は、DIOおよびDR表現型の発生および永続化の際に認められるが、これら調整の根底にあるかもしれない脳機能のいくつかの改変に関連している。
【0301】
DIOプロトコル
肥満傾向がある動物の選択のために、Widdowson, P. S. et al.(Diabetes (1997) 46:1782-1785)によって記載の食餌性肥満症プロトコルにしたがった。
【0302】
Wistar 雄ラット(変更された食餌介入の開始時に約200〜250g)に、高炭水化物(HE)食を8〜10週間与える。食餌の組成は、33%(w/v)の粉末飼料(RM1)、33%(w/v)のコンデンスミルク(Nestle)、7%(w/v)の Castor 糖(Tate & Lyle)および27%(w/v)の水である。体重を記録し、そして8週間後、被験動物をそれらの体重によって2群に分ける。いずれの異系交配系統の被験動物(齧歯類動物、霊長類)の場合にも、集団は、二つの群:肥満症の傾向がある(より大きく体重増加する)個体または肥満症抵抗性の(あまり体重増加しない)個体に自然に分かれるであろう。肥満動物は、6週間後に60gまで重くなる。肥満傾向がある動物は、式(I)の化合物の体重および食物摂取への作用についての研究を行うことを続ける。図1は、極めて嗜好的食餌(高炭水化物)で飼養された被験動物間の体重分離の一例を示す。
【0303】
体重に及ぼす化合物の影響についての in vivo 実験
肥満傾向がある動物を、式(I)の化合物で処置し、そしてそれらの体重への作用を測定する。それら化合物は、10mg/kgPOで1日2回(bid)、比較のために1mL/kgの投与容量または相当量のビヒクル用量(食塩水)で投与する。それら用量は、AM(09:00)およびPM(16:00)に投与し、そして体重は、午前中の投与前に測定する。典型的に、一群につき8匹の被験動物である。図2〜4は、実施例7、実施例20および実施例30それぞれのDIOラットでの4日間研究で認められた累積体重変化(%)を示す。
【0304】
非リコンビナント系におけるレプチン検定
リコンビナント系(例えば、ObRbでトランスフェクションされたHEK293細胞)において十分に特性決定されたが、そこでは、レプチンは、STAT3リン酸化の極めて顕著な増加をもたらし、これら系は、しばしば、レプチン受容体に対する試験化合物の活性の正確な尺度を与えることができなかった。受容体の過発現(更には、レプチンのその受容体との結合によって開始されるシグナリング経路のいろいろな部分にいろいろな薬物が作用する可能性)は、たいていの場合、試験される薬物の活性の不存在を引き起こすと考えられる。
【0305】
非リコンビナント系におけるレプチン受容体発現は、しばしば、変動性であり、シグナル安定性が実験中に残っている系を識別するように注意すべきである。このような系を用いると、レプチン受容体アンタゴニスト模擬体は、それらの作用対レプチンを評価することによって識別されうると考えられる(下を参照されたい)。
【0306】
レプチンは、主に、脂肪細胞中で生産されるが、ヒトの場合、レプチンをコードしているmRNAは、胎盤中にも存在する。ここで、レプチンは、微小血管系において重要な増殖的役割を果たしていると考えられる。天然の細胞系においてこの仮説を用いる可能性を評価した。
【0307】
JEG−3プロトコル
JEG−3細胞(絨毛癌細胞系)において、レプチンは、増殖を3倍まで刺激することができる(Biol. Reprod. (2007) 76: 203-10)。レプチンは、更に、JEG−3細胞中の[H]−チミジン取込みの濃度依存性増加を引き起こす(図5、100nMで最大作用(EC50=2.1nM))。細胞によって取り込まれる放射能は、それらの増殖活性の指数であり、液体シンチレーションベータカウンターで、計数/分(CPM)で測定している。
【0308】
この知見は、ある化合物が、細胞増殖へのレプチンの作用を再現することができるかどうか(レプチン受容体アゴニスト模擬体)(すなわち、ある与えられた化合物は、細胞によって取り込まれる[H]−チミジンの増加を引き起こすであろう)かまたは、レプチンに媒介される[H]−チミジン取込みの増加を妨げることによってレプチンの作用を阻害することができるかどうか(アンタゴニスト作用)を調べるのに適用することができる。
【0309】
このアプローチは、非リコンビナント系を用いる利点を有し、しかも妥当な再現性およびエラー強さを有する。
脳内浸透の測定
試験種(齧歯類動物)に、ボーラス用量の研究中の基質を、通常は、静脈内(IV)または経口(PO)経路によって与える。適当な時点で、血液試料を採取し、得られた血漿を抽出し、そして基質濃度について、適所では、代謝産物濃度について分析する。同様の時点で、別の群からの被験動物を屠殺し、脳を摘出し、そして脳表面を清浄にする。次に、脳試料をホモジネートし、抽出し、そして基質濃度について、適所では、代謝産物濃度について分析する。或いは、微量透析プローブを、試験種の1か所またはそれを超える脳領域中に植込み、そして適当な時点で、引き続きの分析用に試料を集める。この方法は、細胞外基質濃度のみを測定する利点を有する。次に、血漿濃度および脳内濃度を比較し、そして個々の時点での平均濃度の比較によってかまたは、濃度−時間プロットの曲線下面積(AUC)の計算によって比率を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Xは、O、S、N(R)およびCH(R)より選択され、但し、Xを含有する環は、3−ピロリジンではないという条件付きであり;
Yは、CH、OまたはN(R)であり;
は、独立して、水素、C1−6−アルキル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)およびC1−6−アシル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)より選択され;
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6−アルキル(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)およびC1−6−アルコキシ(未置換、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1−6−アルコキシより独立して選択される一つまたはそれを超える置換基で置換されていてよい)より選択され;
は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、C1−6−アルキルおよびC1−6−アルコキシより選択され;
は、水素またはC1−4−アルキルであり;
a、bおよびcは、各々独立して、1、2または3であり;
dは、0、1または2であり;
eは、1、2または3であり;そして
fおよびgは、各々独立して、0、1または2である]
を有する化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体若しくはN−オキシド。
【請求項2】
Yが、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、O、N(R)またはCH(R)である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、メチル、エチルまたはアセチルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、独立して、水素、メチルおよびエチルより選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が、独立して、水素、フルオロ、クロロ、メチルおよびエチルより選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、式(I’)
【化2】

[式中、XおよびXは、各々独立して、O、N(R1)およびCH(R)より選択され、但し、XおよびXの少なくとも一つは、N(R)であるという条件付きであり;
、RおよびRは、請求項1に定義の通りであり;
cは、1、2または3であり;
eは、1または2であり;そして
gは、0または1である]
を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、
[(3R)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(3S)−1−メチルピペリジン−3−イル]メチル4−(4−メチルフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸2−(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)エチルエステル;
[(2S)−1,4−ジメチルピペラジン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルピペラジン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(1,4−ジメチルピペラジン−2−イル)メチル4−ベンジルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2S)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
[(2R)−4−メチルモルホリン−2−イル]メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−2−イル)メチル4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−アセチルモルホリン−2−イル)メチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(3S)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(3R)−モルホリン−3−イルメチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−フェニルピペラジン−1−カルボキシレート;
モルホリン−3−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(4−メチルモルホリン−3−イル)メチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;
(2S)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート;および
(2R)−モルホリン−2−イルメチル4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシレート
より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
医薬製剤であって、活性成分としての請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を、薬学的に許容しうる希釈剤または担体との組合せで含む医薬製剤。
【請求項10】
療法に用いるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
体重増加に関連した状態または疾患の処置または予防に用いるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
状態または疾患が、肥満症、2型糖尿病、脂肪異栄養症、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、異常脂肪血症、肝脂肪症、過食症、高血圧症、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連した皮膚障害、または黄斑変性である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
重症体重減少、月経困難症、無月経、女性不妊症または免疫不全の処置または予防に、または創傷治癒の処置に用いるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
炎症性状態または疾患、肥満症および過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型または2型糖尿病の巨大または微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経性ニューロパシー、または虚血またはアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管損傷の処置または予防に用いるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
血管新生の阻害に用いるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
体重増加に関連した状態または疾患の処置または予防用の薬剤の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
状態または疾患が、肥満症、2型糖尿病、脂肪異栄養症、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、異常脂肪血症、肝脂肪症、過食症、高血圧症、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連した皮膚障害、または黄斑変性である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
重症体重減少、月経困難症、無月経、女性不妊症または免疫不全の処置または予防用、または創傷治癒の処置用の薬剤の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
炎症性状態または疾患、肥満症および過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型または2型糖尿病の巨大または微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経性ニューロパシー、または虚血またはアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管損傷の処置または予防用の薬剤の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
血管新生の阻害に用いるための薬剤の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
体重増加に関連した状態または疾患の処置または予防の方法であって、このような処置を必要としているヒトを含めた哺乳動物に、有効量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項22】
疾患または状態が、肥満症、2型糖尿病、脂肪異栄養症、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、異常脂肪血症、肝脂肪症、過食症、高血圧症、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連した皮膚障害、または黄斑変性である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
重症体重減少、月経困難症、無月経、女性不妊症または免疫不全の処置または予防、または創傷治癒の処置の方法であって、このような処置を必要としているヒトを含めた哺乳動物に、有効量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項24】
炎症性状態または疾患、肥満症および過剰血漿レプチンに関連した低レベル炎症、アテローム性動脈硬化症、1型または2型糖尿病の巨大または微小血管合併症、網膜症、腎症、自律神経性ニューロパシー、または虚血またはアテローム性動脈硬化症によって引き起こされる血管損傷の処置または予防の方法であって、このような処置を必要としているヒトを含めた哺乳動物に、有効量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項25】
血管新生の阻害方法であって、このような処置を必要としているヒトを含めた哺乳動物に、有効量の請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、
(a)式(II):
【化3】

(式中、R、R、b、c、fおよびgは、請求項1に定義の通りである)
を有する化合物と、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートとを、適する塩基(DIPEAまたはNEtなど)の存在下、適する溶媒(DCMまたはTHFなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(III):
【化4】

を有する化合物を形成すること、
(b)式(III)の化合物と、式(IV):
【化5】

(式中、X、R、R、a、dおよびeは、請求項1に定義の通りである)
を有する化合物とを、適する塩基(NaHまたはNMMなど)の存在下、適する溶媒(THFまたはDCMなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(I)の化合物を得ること;および
(c)場合により、1回または数回の工程で、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へと変換すること
を含む方法。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、
(a)式(IV):
【化6】

(式中、X、R、R、a、dおよびeは、請求項1に定義の通りである)
を有する化合物と、4−ニトロフェニルクロロホルメートまたはビス−(4−ニトロフェニル)カーボネートとを、適する塩基(DIPEAまたはNMMなど)の存在下、適する溶媒(DCMなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(V):
【化7】

を有する化合物を形成すること、
(b)式(V)の化合物と、式(II):
【化8】

(式中、R、R、b、c、fおよびgは、請求項1に定義の通りである)
を有する化合物とを、適する塩基(DIPEAなど)の存在下、適する溶媒(DCMまたはDMFなど)中において−10〜40℃で反応させて、式(I)の化合物を得ること;および
(c)場合により、1回または数回の工程で、式(I)の化合物を式(I)の別の化合物へと変換すること
を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−506294(P2011−506294A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536469(P2010−536469)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066877
【国際公開番号】WO2009/071658
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】