説明

抗腫瘍特性を有する1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規な製造方法

本発明は、抗腫瘍特性を有する1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の製造方法に関する:9個の異なるタイプのヒトガン細胞系に対して、評価済み濃度における細胞増殖抑制活性(成長阻害)および0.25μg/mlの濃度からのキラー細胞活性(細胞死)を示す、37化合物と称するサンプルを、超音波技術によって高収率および高純度で得た。この化合物は、8.54 g/Kgに等しいLD50をもつ。このことは、この生成物がそれ自体、実質的に非毒性であるとみなしうることを意味する。これらの試験すべてにおいて対照として用いた抗ガン剤ドキソルビシンは、極めて毒性の強い生成物であり(LD50が20 mg/Kg)、Mama NCI-ADR細胞系(多数の薬物に対する耐性の表現型を表す細胞)の成長を阻害せず、したがって、我々の生成物は、強い細胞増殖抑制活性を示した。他の誘導体もまた、強い細胞増殖抑制活性を示し、特に、EHB1化合物と称するものが強い該活性を示した。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明特許は、抗腫瘍特性を有する1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規な製造方法に関する。
【0002】
1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体ならびにその製造方法に関する書誌的背景。
E. GlaserおよびE. Tramer(Journal fur praktische Chemie, 116,331-346, 1927)が、触媒として使用する濃塩酸の存在下におけるバニリンおよびアセトンからの収率60%の合成について初めて報告した1927年から、1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンと称する化合物が知られている。
さらに、1989年にP. RamananおよびM. Rao(Indian Journal Pharm. Sci., 51,207, 1989)は、アルカリ性媒体中、4-O-メトキシメチルバニリンおよびアセトンからこの生成物を合成し、薄層クロマトグラフィー(シリカゲル)を用いて精製した後に収率42を得た。
【0003】
1997年に、S Sardjiman(Eur. Journal Med. Chem. 32,625-630, 1997)らによって統合されたグループは、濃塩酸の存在下において等モル量のバニリンおよびアセトンを用いる新たな異なる合成を開発し、粗収率89%(精製せず)を報告した。このために、この手順で示された融点は、GlaserおよびTramerによって報告された温度よりも58℃低かった。
1年後に、M. Articoら(Journal Med. Chem. 41,3948-3960, 1998)もまた、18%という低収率のみで、この物質を得た。融点(114-116℃)は、GlaserおよびTramerによって報告された温度よりも低く、カラムクロマトグラフィーを使用したにもかかわらず純粋な化合物が得られなかったことが考えられる。
さらに、我々は、書誌的見直しにおいて、「Method for the preparation of1,5-bis-aryl-1,4-pentadien-3-ones」と題するN. Corteseらの米国特許(June 4,1985、第4,521, 629号)を見出すことができる。本発明は、殺虫性置換アミジノヒドラゾンの製造のための中間体化合物として用いられたが、我々の特許請求に現れる生成物を保護しない、フッ素を含む特定のビス−アリールペンタジエノンの製造方法を報告する。
【0004】
さらに、このファミリーの有機化合物に関連する他の特許の下記文献が見出された:
1-「Hair tonics containing bis(hydroxyphenyl)pentadienones」. Authors of the patent: Morita, Kazuyoshi; Hamada, Kazuto. Company: Kanebo, Ltd, Japan. Country: Jpn. Kokai Tokyo Koho, 7pp. Idiom: Japanese. CA-Number: 134: 183278. PI: JP 2001048756, A2 20010220 JP 1999-224982 19990809;
2-「Skin-lightening cosmetics containing distyryl ketones」. Author: Morita, Kazuyoshi. Company: Kanebo, Ltd. , Japan. Country: Jpn. Kokai Tokyo Koho, 7pp. Idiom: Japanese. CA-Number: 131: 149078. PI: JP 11209235 A2 19990803 JP 1998-10414 19980122;
3-「Acidic planting baths and methods for electrodepositing bright and ductile zinc-nickel alloys and additive composition for these baths」. Company: McGean-Rohco, Inc. , USA. Author: Canaris, Vale-rie M. Country: U. S. , 8pp. Idiom: English. CA-Number: 111: 183131. PI: US 4832802 A 19890523 US 1988-206017 19880610 EP 346161 Al 19891213 EP 1989-305925 19890612;
4-「Photopolymerizable compositions」. Company: Eastman Kodak Co., USA. Authors: Noonan, John M.; McConkey, Robert C.; Arcesi, J. A.; Rauner; Frederick J. Country: Brit. , 19 pp. Idiom: English PI: GB 1425476 A 19760218 GB 1973-3986 19730322 US 3748133 A 19730724 US 1972-237929 19720324。
【0005】
直接的でも間接的にも、これらの4つの特許は、1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体が示す抗増殖特性に関係するものではない。
Biomed of Fiocruzライブラリー、LifescienceのChemical Abstracts collectionの追跡に基づいてBypropind Patents and Trademarks社によって行われた書誌的見直しおよびBeilstein collectionにおいて我々によって行われた書誌的見直しを考慮して、我々は、該化合物が1927年から合成されているにもかかわらず、ガン治療に、または超音波技術にさえも適用しうる該化合物およびその誘導体に関する特許はなく、そこで特許出願が可能であり、適法であるという結論を出した。
【0006】
本発明特許は、抗腫瘍特性を有する1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体ならびにその製造方法を報告する。
9個の異なるタイプのヒトのガンに対して、評価済み濃度における細胞増殖抑制活性(成長阻害)および0.25μg/mlの濃度からのキラー細胞活性(細胞死)を示す、37/01化合物と称するサンプルを、超音波技術によって高収率および高純度で得た。この化合物は、8.54 g/Kgに等しいLD50をもつ。このことは、この生成物がそれ自体、実質的に非毒性であるとみなしうることを意味する。これらの試験すべてにおいて対照として用いた抗ガン剤ドキソルビシンは、極めて毒性の強い生成物であり(LD50が20 mg/Kg)、Mama NCI-ADR細胞系(多数の薬物に対する耐性の表現型を表す細胞)の成長を阻害せず、したがって、我々の生成物は、強い細胞増殖抑制活性を示した。
【0007】
【化1】

37:R1=CH3;R2=H;R3=H;R4=H;R5=H;X=O
EHB1:R1=CH3;R2=H3CCO;R3=H;R4=H;R5=H;X=O
HB6: R1=CH3;R2=CH2CH=C(CH3)2;R3=H;R4=H;R5=H;X=O
HBM1:R1=CH3;R2=CH3;R3=H;R4=H;R5=H;X=0
HB5:R1=CH3;R2=H;R3=H;R4=H;R5=H;X=C(CN)2
HB10:R1=CH3;R=H;R3=CH2CH=C(CH3)2;R4=H;R5=H;X=O
HB11:R1=CH3;R2=H;R3=H;R4=H;R5=H;X=C(CN)CO2C2H5
HB12: R1=H;R2=H;R3=H;R4=H;R5=H;X=O
HB13:R1=CH3;R2=H;R3=Br;R4=H;R5=H;X=O
HB14:R1=CH3;R2=CH2CH=C(CH3)2;R3=Br;R4=H;R5=H;X=O
HB15:R1=H;R2=H;R3=CH2CH=C(CH3)2;R4=CH2CH=C(CH3)2;R5=H;X=O
【0008】
合成された化合物が示す抗腫瘍活性
凡例:NCI460(肺腫瘍);UACC62(黒色腫);MCF7(通常乳房腫瘍); NCIADR(多数の薬物に対する表現型耐性を表す乳房腫瘍); HT29(結腸腫瘍);786-O(腎腫瘍); OVCAR-3(卵巣腫瘍); PC-3(前立腺腫瘍); K-562(白血病);ED50(μg/mlで表される50%有効量)
【表1】


見解:文献に記載の結果を考慮すると、これらの結果はすべて、優れているとみなすことができる。
Banskota AHら, Chemical Constituents of Brazilian propolis and their cytotoxic activities; J. Nat. Prod. 61,896-900, 1998;
Banskota AHら, Two Novel Cytotoxic Benzofuran Derivatives from Brazilian propolis; J. Nat Prod. 63,1277-1279, 2000;
Kimoto Tら, Apoptosis and Suppression of tumor growth byArtepillin C extracted from Brazilian Propolis; Cancer Detect.Prev. 22(6), 505-15,1998。
【0009】
我々の生成物の大部分が、ブラジル産プロポリスから単離された化合物の幾つかが示す作用濃度よりも非常に低い濃度(ppm)範囲において強い抗増殖作用を示した。
BanskotaおよびKimotoによるブラジル産プロポリスから単離された化合物の細胞毒性
【表2】


我々は、我々のチームによって得られた化合物が、我々の調査プロジェクトの原料からなり、我々が、類似性の原理およびTOPS-MODE(TOPological Substructural MOlecular DEsign)予測の結果によって導かれた新規誘導体を得ていることを指摘したい。
試験した化合物の濃度反応曲線

【0010】
有機合成手順を用いて得られた37化合物は、2001年9月24日にUNICAMP(カンピーナス州立大)のCPQBA(Centro Pluridisciplinar de Pesquisas Quimicas, Biologicas e Agricolas)で行われた最初の抗腫瘍試験において、すべての細胞系に対して細胞増殖抑制活性(成長阻害)を示し、NCI460(肺)、UACC62(黒色腫)およびMCF7(乳房)およびNCIADR(乳房耐性)に対して0.25μg/mlから細胞毒性活性(細胞死)を示した。
【0011】
後に、抗腫瘍活性のこれらの試験を以下の細胞系に拡張した:
結腸;腎臓;卵巣;前立腺;白血病

37の濃度反応曲線
本化合物の結果をドキソルビシン(これらの試験において標準として用いた市販の抗ガン剤)と比較すると、非常に類似しており、幾つかの場合、この市販抗ガン剤よりも高い

ドキソルビシンの濃度反応曲線
【0012】
たとえば、我々の生成物は、Mama NCI-ADR細胞系(多数の薬物に対する耐性の表現型を表す細胞系)の成長を阻害した。ポジティブ・コントロールとして用いられたドキソルビシンがこのヒト細胞系の成長を阻害しなかったので、この結果はそれ自体非常に興味深いものになる。
【0013】
1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの誘導体は、以下の抗腫瘍活性を示した:

EHB1化合物と称するサンプルは、約25%の成長阻害のみを受けたNCI-ADR細胞系以外は、濃度0.25μg/mlからすべての細胞系に対して細胞増殖抑制活性を示し、濃度25μg/mlから細胞毒性活性を示した。結果は、このサンプルが実験した細胞系に対して選択的でないことを示した。
【0014】
EHB6化合物と称するサンプルは、濃度25μg/mlからすべての細胞系に対して細胞増殖抑制活性を示し、濃度250μg/mlにおいてHT-29、786-0、NCI-ADRおよびK562細胞系に対して細胞毒性活性を示した。さらに、このサンプルは、HT-29および786-0細胞系に対して細胞選択性を示した。

【0015】
HBMI化合物と称するサンプルは、濃度0.25μg/mlからすべての細胞系に対して細胞増殖抑制活性を示し、濃度250μg/mlにおいてPC-03およびOVCAR-3細胞系に対してのみ細胞毒性活性を示した。

【0016】
HB5化合物と称するサンプルは、濃度0.25μg/mlからすべての細胞系に対して細胞増殖抑制活性を示し、使用した濃度においてはどの細胞系に対しても細胞毒性活性を示さなかった。

【0017】
37化合物と称するサンプルの毒性試験も行った(急性毒性、LD50、腹腔内)。14日間の観察後、線形回帰によって評価されたLD50値は、8.54g/kgに等しかった。これは、LoomisのPrinciples of Toxicology(LD50値が5.0〜15g/kgである化合物は、実質的に非毒性であるとみなされる)によれば、この生成物それ自体が、実質的に非毒性であるとみなしうることを意味する。
【0018】
第1表−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって2.5g/体重kgの量で投与された動物の体重
【表3】


平均±dpm:24.60±2.51 平均±dpm:27.88±1.02
【0019】

グラフ1−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって2.5g/体重kgの量で投与された動物の体重の変化
【0020】
第2表−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって3.0g/体重kgの量で投与された動物の体重
【表4】


平均±dpm:25.43±2.43 平均±dpm:27.81±2.35
【0021】

グラフ2−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって3.0g/体重kgの量で投与された動物の体重の変化
【0022】
第3表−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって4.0g/体重kgの量で投与された動物の体重
【表5】


平均±dpm:26.41±3.52 平均±dpm:28.98±3.65
【0023】

グラフ3−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって5.0g/体重kgの量で投与された動物の体重の変化
【0024】
第4表−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって5.0g/体重kgの量で投与された動物の体重
【表6】


平均±dpm:23.68±1.42 平均±dpm:25.86±1.17
【0025】

グラフ4−急性毒性試験の開始時と終了時に「37化合物」と称する生成物を腹腔内投与によって5.0g/体重kgの量で投与された動物の体重の変化
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0026】
実施例1
1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造(方法1)
酸媒体中、モル比2:1のバニリンおよびアセトンに、25〜60℃の温度にて、1〜3時間、25〜40KHzの超音波を照射し、粗生成物が生成されるまでさらに反応混合物に水/氷を注ぎ、粗生成物を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液(10〜30%)に溶解し、濾過する;濾液を濃度10〜30%の塩酸または硫酸で処理し、得られる生成物を再度濾過し、最後に、中性pHになるまで蒸留水で洗浄し、再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどの他の手順を用いる新たな化合物の精製を行う必要がなくなるまでこの操作を繰り返す(HPLC技術を用いて純度を決定した):
純粋な生成物を収率92%で得た。融点155〜156℃。
【0027】
製造方法2
酸媒体中、モル比2:1のバニリンおよびアセトンの形成された混合物を10〜40℃の温度にて、5〜8日間置き、粗生成物が生成されるまでさらに反応混合物に水/氷を注ぎ、粗生成物を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液(10〜30%)に溶解し、濾過する;濾液を濃度10〜30%の塩酸または硫酸で処理し、得られる生成物を再度濾過し、最後に、中性pHになるまで蒸留水で洗浄する。再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどの他の手順を用いる新たな化合物の精製を行う必要がなくなるまでこの操作を繰り返す(HPLC技術を用いて純度を決定した):
純粋な生成物を収率89%で得た。融点155〜156℃。
【0028】
実施例2
1,5-ビス(3-メトキシ-4-アセトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン
1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造
過剰の無水酢酸および酢酸ナトリウムを攪拌する。20〜110℃にて30分〜3時間加熱する。得られる生成物に蒸留水/氷を注ぐ。沈澱生成物を熱エタノールで再結晶する。収率:58%。融点:150℃。
【0029】
実施例3
1,5-ビス[3-メトキシ-4-(3-メチル-ブト-2-エニルオキシ)フェニル]-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造
10 mlのジメチルホルムアミド中の1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オン(2 mmol)および炭酸カリウム(6 mmol)の形成された混合物を不活性雰囲気下(アルゴンまたは窒素)、20〜50℃にて20〜60分攪拌する。次いで、3 mmolの臭化3-メチル-ブト-2-エニルを持続的に攪拌しながら加える。不活性ガス気流中、さらに5〜8時間攪拌を継続し、すべての混合物を水/氷に注ぐ。約3 mlのクロロホルムで3回抽出する。有機相をNaHS04の溶液、次いで、蒸留水で洗浄する。クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで、溶媒を濾過し、回転蒸発する。溶離溶媒としてトルエン/酢酸エチルまたはn-ヘキサン/酢酸エチルを適当な速度で用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物の精製を行う。油状液体物質の収率:53%。
【0030】
実施例4
1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造
方法1
塩酸の存在下、等モル率条件の3,4-ジメトキシベンズアルデヒドおよびアセトンの混合物を、25〜60℃にて10〜60分間、周波数25〜40KHzの超音波浴で処理する。さらに、得られる生成物を蒸留水/氷に注ぎ、沈澱を濾過し、蒸留水で洗浄する。水性相をクロロホルムで抽出し、クロロホルム相を蒸留水で洗浄し、次いで、クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発する。収率:87%。
方法2
1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンを、アルカリ媒体中(KOHまたはNaOH)、過剰の硫酸ジメチルまたはヨウ化メチルとともに25〜50℃で5〜24時間攪拌する。形成された混合物を冷水に注ぎ、形成された沈澱を濾過し、HClで中和する。さらに、中性pHになるまで水で洗浄する。後の精製は必要なかった。収率:85%。
【0031】
実施例5
の1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-イリデンマロンニトリル製造
等モル率条件の1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンおよびマロンニトリルの形成された混合物に、酢酸アンモニウム、酢酸およびトルエンを加え、次いで、5〜16時間加熱還流しながら、Copeのバリアントまたは触媒としてピペリジンを用いるKnoevenagelの第3バリアントを加える。得られる生成物を蒸留水/氷に注ぎ、沈澱を濾過し、水性相をクロロホルムで抽出し、クロロホルム相を蒸留水で洗浄する。さらに、クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発する。収率:76%。融点:216℃。
【0032】
抗腫瘍試験を行うのに用いた方法論:
スルホローダミンBアッセイによる腫瘍ヒト細胞における抗増殖試験の報告
細胞
テーブルに記載した、アッセイに用いた細胞系は、5%ウシ胎児血清を補足した培養培地RPMI 1640(RPMI/SFB)5 mlとともに、25cm2(Nunc(登録商標))の容器中、5%CO2および湿度100%雰囲気下、37℃にて維持した。
テーブル1.抗増殖活性の評価アッセイに用いた細胞系統
【表7】


*:多数の薬物に対する耐性の表現型を表す細胞系
【0033】
以下に記載した手順はすべて滅菌条件下で行った(Laminar Flux Veco(登録商標), Class IIB2)。
実験手順
50μg/mlのゲンタマイシンを加えたRPMI/SFB培地中の細胞100mlを、個別の植え付け密度で96ウエルプレートに植え付け、5%CO2および湿度100%雰囲気下、37℃にて24時間インキュベートした。
24時間後、RPMI/SFB/ゲンタマイシンで希釈して、250;25;2.5;0.2μg/mlの濃度で試験物質100mlを加えた。この時点で、T0(サンプル添加の時点における細胞コントロール)を決定するために、1つのプレートの読み取りを行った。他のプレートを48時間インキュベートした。この期間の後、スルホローダミンBによる比色アッセイを用いて、さらにタンパク質含量を決定するために三塩化酢酸を加えて実験を停止した。
【0034】
サンプルの希釈
ジメチルスルホキシド(DMSO)でサンプルを0.lg/mlの濃度に希釈することによって、貯蔵溶液を作成した。DMSOの理想的な濃度が得られるように、その溶液をRPMI/SFB/ゲンタマイシンで400倍に希釈して、96ウエルプレートに加えた(Skehan e cols. 1990)。
スルホローダミンB(SRB)のアッセイ
試験の終了時に、2000rpmで3分間96ウエルプレートを遠心分離し、4℃にて50%のトリクロロ酢酸(TCA)50μlで固定した。細胞固定を完了するために、4℃にて1時間プレートをインキュベートした。
蒸留水で細胞を4回連続的に洗浄してTCA、培地、SFBおよび二次的代謝物の残留物を除去し、乾燥が完了するまで室温で維持した。
1%酢酸で希釈した濃度0.4%(w/v)のSRB50μlを加えて染色し、4℃にて30分間維持した。さらに、1%酢酸の溶液で4回連続的に洗浄した。洗浄液の残留物を除去し、プレートを再度室温にて乾燥した。細胞タンパク質に結合した色素を濃度10μM、pH10.5のTrizma Base(Sigma(登録商標))の溶液で希釈し、超音波浴にて5分間処理した。マイクロプレートリーダー(Labsystems、Labsystems Multiskan(登録商標)MCC/340)を用い、560nmにて分光光度法の吸光度読み取りを行った。
【0035】
結果の分析
各ゼロ目盛りを控除して平均吸光度を評価し、下記の式を用いて、各試験サンプルの成長阻害(IC)を決定した。
T>C薬物は成長を刺激しなかった、IGを示さず。
T≧T0であるが、<Cである場合、薬物は細胞増殖抑制性であり、使用した式は、100 x [(T-T0)/(C-T0)]である。
T<TOである場合、薬物は細胞毒性であり、使用した式は、100 x [(T-T0)/(C-T0)]である。
Tが処理した細胞の平均吸光度であることを考慮すれば、Cは細胞コントロールであり、T0は追加の日における細胞コントロールである。
得られた結果を100%から減じて、成長阻害のパーセンテージを得る。サンプルが、用量に従属して50%よりも高い成長阻害および選択的結合、すなわち、1つのタイプの腫瘍細胞に対する選択的活性または細胞系の間でよく区別された細胞増殖抑制および/またはキラー細胞効果を示した場合に、サンプルを活性であるとみなした。
示された結果が代表的な実験を言及するように、すべてのアッセイを3回繰り返して行った。平均からの標準偏差は常に5%以下であった。
【0036】
毒性試験を行うのに用いた方法論:
技術
*)処置グループおよびコントロールそれぞれについて、体重約25gの10匹の雌性アルビノスイスマウスを用いる。
*)馴化期間:アッセイの開始前に少なくとも7日間試験室に動物を維持する。
*)胃管栄養法によって行う試験物質の投与前に12時間動物を絶食させ、動物の体重を記録する。
*)投与後、最低14日間観察を続ける。
*)投与1回毎に死亡した動物の数を記録し、LitchfieldおよびWilcoxonの方法(1949)によってLD50を評価し、急性毒性試験の終了時に動物の体重を記録する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸媒体中、モル比2:1のバニリンおよびアセトンに、25〜60℃の温度にて、1〜3時間、25〜40KHzの超音波を照射し、粗生成物が生成されるまでさらに反応混合物に水/氷を注ぎ、粗生成物を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液(10〜30%)に溶解し、濾過する;濾液を濃度10〜30%の塩酸または硫酸で処理し、得られる生成物を再度濾過し、最後に、中性pHになるまで蒸留水で洗浄し、再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどの他の手順を用いる新たな化合物の精製を行う必要がなくなるまでこの操作を繰り返す(HPLC技術を用いて純度を決定した):純粋な生成物を収率92%で得た;
ことにより得られる、下記一般式で示される(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、水素原子、プレニル基、ハロゲン原子またはアセテートまたはアルキル基を表し、Xは1つの酸素原子またはイリデンマロニトリル基を表す)、1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび抗腫瘍活性をもつ化合物などのその誘導体の製造方法を特徴とする、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項2】
酸媒体中、モル比2:1のバニリンおよびアセトンの形成された混合物を10〜40℃の温度にて、8日間置き、粗生成物が生成されるまでさらに反応混合物に水/氷を注ぎ、粗生成物を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液(10〜30%)に溶解し、濾過する;濾液を濃度10〜30%の塩酸または硫酸で処理し、得られる生成物を再度濾過し、最後に、中性pHになるまで蒸留水で洗浄する;再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどの他の手順を用いる新たな化合物の精製を行う必要がなくなるまでこの操作を繰り返す(HPLC技術を用いて純度を決定した):純粋な生成物を収率89%で得た。融点155〜156℃;
ことにより得られる、1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよびその誘導体の製造方法を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項3】
プレニル基が、それぞれ酸素フェノール原子または芳香環の炭素原子に結合する、O-およびC-プレニル化1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造方法を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項4】
塩基(K2CO3/DMF)または(NaOMe/MeOH)の存在下、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)中、20〜40℃の温度にて3〜8時間行う求核置換反応を行うことにより等モル率反応条件または2:1率で1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび臭化プレニルを反応させ、さらに、酸性媒体(HClまたはH2SO4またはCH3COOH)で反応混合物を中和する;単離した生成物を、溶媒としてトルエン/酢酸エチルまたはn-ヘキサン/酢酸エチルの混合物を適当な速度で用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことができる;
ことにより得られる、O-プレニル化1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造方法を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項5】
N,N-ジエチルアニリンの存在下、不活性溶媒(窒素またはアルゴン)中、210〜230℃の温度にて5〜8時間、O-プレニル化1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンを反応させ、次いで、必要量のクロロホルムを添加することにより反応混合物を処理し、塩酸および水酸化ナトリウムの溶液で連続的に洗浄し、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに、回転蒸発する;次いで、少量のアンバーライトIR-120で処理したメタノールに形成した黄色油状物を溶解し、20〜40℃にて10〜60分間攪拌し、室温にて濾過し;最後に、形成したメタノール性溶液を回転蒸発し、反応生成物を、溶離溶媒としてトルエン/酢酸エチルまたはn-ヘキサン/酢酸エチルの混合物を適当な速度で用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する;
ことにより得られる、C-プレニル化1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造方法を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項6】
O-およびC-プレニル化バニリンまたは5-ブロモバニリンまたは5-アルキルバニリンを出発物質として、アルカリ媒体(NaOH/KOH)中、2:1モル比のアセトンと反応させ、次いで、塩酸または硫酸または酢酸で中和し、単離した生成物を、溶媒としてトルエン/酢酸エチルまたはn-ヘキサン/酢酸エチルの混合物を適当な速度で用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことができる;
ことにより得られる、O-およびC-プレニル化1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンの製造方法を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。
【請求項7】
等モル率条件の1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンおよびマロンニトリルまたはシアノ酢酸エチルもしくはシアノ酢酸メチルの混合物に、酢酸アンモニウム、酢酸およびトルエンを加え、次いで、5〜16時間加熱還流しながら、Copeのバリアントまたは触媒としてピペリジンを用いるKnoevenagelの第3バリアントを加える;得られる生成物を蒸留水/氷に注ぎ、沈澱を濾過し、水性相をクロロホルムで抽出し、クロロホルム相を蒸留水で洗浄する;さらに、クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発する;
ことにより得られる、Knoevenagel誘導体の製造を特徴とする、請求項1に記載の、抗腫瘍特性をもつ1,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オンおよび誘導体の新規製造方法。

【公表番号】特表2006−508149(P2006−508149A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554088(P2004−554088)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/BR2003/000177
【国際公開番号】WO2004/047716
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(305049470)フンダサン・デ・アンパロ・ア・ペスキサ・ド・エスタド・デ・サン・パウロ (1)
【Fターム(参考)】