説明

抗菌性に優れた刃物と刃物用材およびその製造方法

【課題】 必要かつ十分な量のCuを材料の中に適切に配置したことによって、Cuの作用により優れた抗菌性を発揮する刃物及び刃物用材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 刃物用材は、鋼と銅が交互に層状に積層された構造を有する積層体であり、鋼層の厚さは1mm以下、銅層の厚さは20μm以下、積層体に占める銅層の体積率は1〜5%かつ表面積は50%以上である。また、この刃物用材を用いた刃物は、その表面において概ね正方形または円形の面積100mmである任意の領域の面積比0.5%以上が銅層で占められ、刃先を構成する部分の鋼層の硬さが350HV以上である。刃物用材は、電気銅めっき鋼板を積層しこれを接合して一体化した積層材から製造され、積層体を圧延したものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強靭性と抗菌性に優れた刃物と刃物用材料、およびその製造方法に関するものであり、医療用刃物や料理用包丁としての利用に適性を有する材料とその製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
抗菌性材料には、大きく分けて、素材そのものに抗菌性を持たせたもの、抗菌性のある金属層や塗膜などを挿入または被覆したものがある。厨房で使用される包丁に関して言えば、使用環境での耐キズ付き性を考慮すると、塗膜による抗菌性加工では不十分であり、素材そのものに抗菌性を有する、いわゆる抗菌ステンレス鋼が多く用いられている。例えば特許文献1に示されている抗菌性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼がその代表的なものである。また、高炭素鋼にCuを添加して抗菌性を確保する方法として特許文献2があり、マルテンサイト系ステンレス鋼よりも高い切れ味が具現できることが示されている。
【0003】
これらの2例は、鋼材の溶解(精錬)時にCuを添加する方法(以下、溶解法と称する)で製造される抗菌材である。 この他に、特許文献3には、クラッド法によって抗菌性を有する金属層を挟み込んだ複層材を製造する方法が示されている。この方法は、溶解時にCuを添加するのではなく、鋼板と抗菌材を接合して一体化するものであり、このような方法を、以下では複合化法と称する。
【0004】
溶解法の代表例である特許文献1で示されたマルテンサイト系ステンレス鋼で製造した刃物は、Cu添加により抗菌性向上を図ったものである。Cu添加ステンレス鋼が抗菌性に優れる理由としては、ε−CuのようなCuリッチ相が鋼材表面に露出することでCuイオンが溶出するためと考えられている。しかしこの方法では、ε−Cuを析出させるための析出処理を行っても、鋼中に添加したCuがすべてε−Cuになる訳ではないため、抗菌性確保のためには過剰なCuを添加する結果になる。多量に添加したCuは、熱間圧延時に粒界割れなどを引起こすなど、製造性に大きな問題をもたらす。結局、Cu添加鋼の製造性の困難さのゆえに、安定した抗菌性を発揮させるために必要なCu添加量が実現できなかったという点が、溶解法の最大の問題点である。
【0005】
複合化法では、抗菌性を有する銅合金をクラッド法によって刃先部周辺に配する方法が特許文献3に示されている。この方法によれば、刃先部は高炭素鋼または高炭素ステンレス鋼とすることで高い刃先硬さを確保し、刃先の両面側に銅合金による抗菌層をクラッド接合するというものであり、切れ味と抗菌性の両立が図られている。しかし、この文献で示されている抗菌層の外側に低炭素ステンレス鋼を配した5層構造の場合には、刃物の大部分が低炭素ステンレス鋼に覆われ、この部分での抗菌性は確保できないことになる。また、この手法を応用して刃物両面に抗菌層を配した3層構造の場合には、比較的軟質な銅合金である抗菌層が最表面になるために摩耗や傷つきが懸念される上に、硬く調質されて脆い芯材鋼板を抗菌層が被覆しただけの構造となるために、刃物全体での強度と靭性が不足し、使用中に割れてしまう危険性がある。
このように、溶解法によっても、複合化法によっても、抗菌性を有する銅系析出物、または銅合金層を適正配置することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−195016号公報
【特許文献2】特開2000−160294号公報
【特許文献3】特開平11−76642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、抗菌性発揮に必要にして十分な量の銅を、刃物または刃物用材の中に適切に配置するための手法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のように、溶解法により抗菌性を得る手法の問題点は、添加量に対してε−Cu析出量が小さいために、抗菌性を得るために多量なCuを添加する必要があることである。過剰なCu添加は、熱間加工性の劣化を招くので、製造性の面からCu添加量の上限が決められることになる。このために、抗菌性をさらに高めようとしても不可能である。また、複合化法によって抗菌層を設ける方法も、その効果や刃物としての性能に問題がある。本発明は、このような問題点を解決するために考案されたものである。
【発明の効果】
【0009】
必要かつ十分な量のCuを材料の中に適切に配置したことによって、Cuの作用により優れた抗菌性を発揮する刃物及び刃物用材料、及びその製造方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1の発明は、鋼と銅が交互に層状に積層された構造を有する積層体であり、積層体に占める表面積の50%以上が銅層であり、積層体に占める銅層の体積率が1〜5%、交互に積層した鋼層の厚さが1mm以下、銅層の厚さが20μm以下であることを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材を提供するものである。
従来のCu添加ステンレス鋼ではCu添加量に対して、有効Cu量(概ねε−Cu量)を正確に制御することが困難であったが、本発明では積層体の構成層として銅層を有するため、表面に露出した銅がそのまま有効Cu量として作用するものである。よって比較的小さい添加量でも、従来法よりも高い効果を発揮することができる。図1は、鋼と銅の積層体の模式図を示したものである。本明細書の記述では、銅層と鋼層の厚さ、銅層の層間隔はいずれも、積層界面に垂直な方向での各層および間隔の長さを示す。
【0011】
刃物全体に銅イオンを均一にゆきわたらせて安定した抗菌性を発揮させるためには、積層体の層間隔は小さいほど望ましい。また、銅層の厚さが大きいと、使用中の摩耗や、強度面での低下要因になる。銅層の体積率を増やさず層間隔を小さくすることは、銅層の厚さを小さくすることを意味する。しかし、鋼層、銅層を薄くすることはコスト上昇を招く。刃物としての耐久性と抗菌力に関する調査結果では、銅層の厚さの上限は20μmとすれば十分である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の積層体を用いた刃物である。 請求項1の積層体を用いた刃物の表面において、概ね正方形または円形の面積100mmである任意の領域の0.5%以上が銅層で占められており、刃先を形成する部分の鋼層の硬さが350HV以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明者の調査によれば、鋼と銅を相互に層状に配置した場合の抗菌力は、銅層の面積率に依存して変化する。一般的な刃物の通常の使用環境では必要な銅層の面積率はわずかであり、銅層の面積率が0.5%以上であれば、Cu添加ステンレス鋼などの既存の抗菌材料と比較して、非常に優れた抗菌力を発揮できることが分かった。積層体の研摩のやり方によっては、図2に示すとおり表面に露出する銅層の面積率が小さくなることがあるが、表面に露出した銅層の面積率0.5%を確保するためには、銅層の体積率としては1%以上が必要となる。刃物への加工時に図6のように研摩されると、見かけ上の鋼層の厚さは実際の厚さより大きくなる。鋼層があまりに厚くなると、Cuイオンが均一に作用しにくくなり抗菌性には不利に働くが、鋼層の厚さが1mm以下であれば、一般的な刃物形状に加工された際の抗菌性には問題ないようである。特に厳しい環境下や、速効性の求められる用途では、抗菌性向上のため銅層の体積率を高めてもよいが、5%を超えて添加しても抗菌力は必ずしも向上せず、軟質な銅層の厚さが増大することで刃物としての特性、特に耐摩耗性の低下要因になるので、上限は5%程度に抑えるべきである。
【0014】
刃先の硬さレベルは、刃物の種類によって様々であるが、概ね350HVより低いと、刃先の変形が起こりやすく、刃物としての用を成さない。さらに切れ味を高める必要がある場合は、刃先部の硬さを550HV以上、700HV以上と高めるとよい。
【0015】
請求項3の発明は、1.3重量%以下のCを含む板厚0.2〜1.5mmの鋼板の両面に、電気めっき法により厚さ2〜15μmの銅めっきを施した銅めっき鋼板を積層し、これを接合し一体化することを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材の製造方法に関するものである。これは、請求項1で示される積層体を製造する方法として最も好適と考えられる方法であり、銅めっき鋼板を重ね合せて一体化することによって、鋼と銅の積層体を作製するというものである。接合方法は拡散接合法、ろう付法、クラッド圧延法が利用できる。
【0016】
一般的な積層材の製造方法は、銅板と鋼板を積重ねて接合する方法である。本発明者が明らかにした鋼と銅の積層構造の場合、最適な銅層の厚さは最大でも20μmである。厚さ20μmの銅層を有する積層体を、鋼板と銅板の重ね合せで製造する場合、厚さ20μmの銅箔を鋼板の間に挟まなければならないが、厚さ20μmの銅箔は非常に高価であり、また薄い銅箔をハンドリングして鋼板の間に挿入する作業は、極めて作業性が悪い。しかし、銅めっき鋼板を使用すれば、隣り合った銅めっき鋼板のめっき層同士を一体化させることで銅層が製造できる。銅めっき鋼板のハンドリング性は問題ない上、20μm厚の銅箔の素材コストより、20μm分の銅めっき層を得るコストの方が低いのが実情である。つまり、本発明が必要とする積層体を低コストで作製する素材として、銅めっき鋼板を使用することが最も効果的である。
【0017】
本発明では、刃物に加工された際に刃先になる部分と、刃先以外になる部分で、鋼板の組成を変えることができる。図7には、刃先になる部分だけ鋼板組成を変えた場合(「複」と表記)と、全体を同種の鋼板で製造した場合(「単」と表記)の模式図を示す。刃先になる部分には高炭素鋼などを使用して硬さを高めると切れ味、永切れ性が高くなって望ましいが、C量が1.3%を越えると硬さが向上しないばかりか、脆性破壊しやすくなるので、C量の上限は1.3%である。
【0018】
切れ味を重視する用途、例えば包丁の場合には、少なくとも500HV以上に調質する必要がある。500HV程度に調質するためには、刃先になる部分に使用する鋼板にはマルテンサイト系ステンレス鋼を使用すればよい。さらに切れ味を高めるためには、刃先になる部分に高炭素鋼板を使用すれば、700HV以上の硬さまで高めることも可能である。
【0019】
鋼板の厚さについては、前述したとおり、積層体の層間隔は小さい方が安定した抗菌性を発揮できるが、過剰に狭くすることは非効率である。鋼板板厚の下限は0.2mm程度で十分である。一方、前述したとおり積層体の鋼層の厚さ上限は1.0mmであるが、本発明の積層体は、圧延により厚さ調整を行うことが可能である。よって1.0mm以上の鋼板を銅めっき鋼板として積層体を作製することは可能である。
【0020】
ただし、鋼板板厚を過剰に増大させることは、それに見合った厚さの銅めっきを付着させるために電気めっき工程の作業効率が低下するので、鋼板板厚の上限は1.5mmとするのが妥当である。
【0021】
銅めっき厚は、電気銅めっき工程の生産性等を考慮して15μmを上限とする。ただし、めっき厚15μmの鋼板を用いて接合された積層体では銅層厚さが上限の20μmを超過するので、接合後に圧延を施す必要がある。銅めっき厚の下限については、銅めっき層が薄いと、接合時に空隙を生じやすいので、2μmは必要である。
銅めっき鋼板を積重ねた後に一体化する方法としては、拡散接合、ろう付、クラッド圧延のいずれも可能である。最適なのは拡散接合である。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3の方法で製造した積層体に圧延を施すことを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材の製造方法である。目標とする刃物よりも大きい板厚で積層体を製造したのち、刃物として使用する厚さまで圧延加工で薄肉化することで、生産性の向上を図ることができる。
【0023】
なお、前述したとおり、積層体の研摩のやり方によっては図2に示したように鋼層がより広範囲で露出し、銅層が露出する面積率が低下する場合がある。本発明が積層体の素材として使用するのは両面銅めっき鋼板であり(図3)、複数の両面銅めっき鋼板を積み重ねて(図4)、積層体の接合一体化を行った(図5)後に表面に露出しているのは元の銅めっき鋼板の銅層である。この銅めっき層を刃物の表面として利用すれば、刃物表面の銅の露出面積率は大幅に増大するので、抗菌性には極めて有利である。したがって、積層体を刃物に適用する場合には、圧延により製品厚さまで加工した方が、図2に示したような問題点も解消でき、抗菌性の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】鋼/銅積層体の模式図
【図2】積層体の研磨状態により銅層の露出面積率が低下することの模式図
【図3】銅めっき鋼板の模式図
【図4】複数の銅めっき鋼板を積重ねた状態の模式図
【図5】銅めっき鋼板を接合して製造した鋼/銅積層体
【図6】積層体の研磨面で、見かけの銅層間隔が広くなることを示す模式図
【図7】「単」構成と「複」構成の模式図
【図8】抗菌力試験片の採取方法の説明図(積層界面とのなす角15°)
【図9】刃物耐久試験の試験片
【符号の説明】
【0025】
1 銅層
2 鋼層
3 鋼板
4 銅めっき層
5 銅めっき層の厚さ
6 銅層の厚さ
7 鋼層の厚さ
8 銅層の間隔
9 見かけの銅層の間隔
10 「単」構成の刃物
11 「複」構成の刃物
12 接合した積層体
13 積層体から採取した抗菌力試験片
【実施例】
【0026】
表1に示す化学成分の鋼板を用意し、No.Gを除く各鋼板の両面に電気銅めっきを施し、銅めっき鋼板a〜jを準備した。 準備した銅めっき鋼板の一覧を表2に示す。なお、1のNo.Gは、Cu添加マルテンサイト系ステンレス鋼である。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

銅めっき鋼板を積層する際に、図7に示すとおり、同種の銅めっき鋼板のみを積層した場合(単)と、刃先になる部分のみに別種の銅めっき鋼板を配した場合(複)の2種類を作製した。接合方法は、拡散接合、ろう付、クラッド圧延法を用いた。
【0029】
拡散接合は、銅めっき鋼板を積重ね、真空ホットプレス炉にて、真空下で2MPaの面圧で900℃まで加熱し、3時間保持した後に冷却した。ろう付は、銅めっき鋼板を積重ね、雰囲気加熱炉にて、1気圧Ar雰囲気下で0.01MPaの面圧で1150℃まで加熱し、1時間保持した後に冷却した。クラッド圧延は、銅めっき鋼板を積重ね、周囲を溶接固定し、Ar中で600℃まで加熱して、断面減少率60%の圧延を施した。
【0030】
接合後の積層体は、必要に応じて冷間圧延を施し、2.0〜5.4mmのプレート状とした。積層体プレートには焼入焼戻し処理を施した。条件は、炭素鋼(鋼C,D,E,F)は、830℃に15min加熱保持した後に80℃の焼入油中に焼入れ、170℃で60minの焼戻しを行った。ステンレス鋼(鋼A,B)は950℃に30min加熱した後に80℃の焼入油中に焼入れ、600℃で60minの焼戻しを行った。
【0031】
このようにして作製した積層体から、抗菌力試験の試験片として、図8のように積層界面に対して15°の傾斜をなす平面で切断し、幅50mm、長さ5〜20mm、厚さ1mmの小片を採取し、この小片を並べて幅50×長さ50×厚さ1mmの試験片を作製した。
【0032】
抗菌力試験は、JIS Z 2801 と同様の手順により、菌種に大腸菌を使用した。試験片上での保持時間は、抗菌力の速効性を比較する目的で、2時間として行った。抗菌力は下に示す抗菌活性値が2.0を超えるものを「抗菌性あり」として評価した。試験は3回行い、3回全てにおいて抗菌活性値2.0をクリアした場合を「○」評価とした。
抗菌活性値=log(B/C)
ここで、
B:ポリエチレンフィルム上での2時間後の生菌数
C:試験片上での2時間後の生菌数
【0033】
刃物としての耐久試験には、前述の方法で作製した2.0〜5.4mmのプレート状とし、焼入れ焼戻し処理をした積層体から、幅30mm、長さ120mmの長方形を切出し、片側の長辺に刃付加工を施した(図9)。刃付加工は、刃先角度20°の両刃になるよう、#220〜#1200までのエメリー紙による湿式研摩で研摩した。
【0034】
耐久性評価は、曲げ試験で評価した。試験方法はVブロックを用いた突き曲げ試験とし、ポンチ先端半径を変えながら曲げ試験を行って、n=3で割れまたはクラック発生が認められなかった最小のポンチ先端半径を測定した。結果判定は、最小のポンチ先端半径が試験片板厚の5倍よりも小さい場合に「○」評価とした。
【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
結果を表3と表4に示す。本発明の積層体である番号2〜8と、番号11〜15は、優れた抗菌力を示すと同時に、曲げ試験においても十分な耐折損性を示す。
一方、試験番号1は、銅層の体積率が低すぎるため、安定した抗菌力を示すことができない。試験番号9は鋼板のC量が低いため、鋼層の硬さが300HV以下にしかならず、刃物としての特性に劣る。試験番号10は鋼板のC量が過剰であり、刃物の耐折損性が低い。
試験番号16はCu添加マルテンサイト系ステンレス鋼による抗菌刃物である。刃物としての耐久性は十分な特性を示したが、抗菌力試験において抗菌活性値のばらつきが大きく、安定した抗菌力を示すことができなかった。試験番号17は、Cuを含有しないマルテンサイト系ステンレス鋼であり、耐久性は十分であるものの、抗菌力が低い結果となった。試験番号18はクラッド法により作製した5層クラッドの抗菌刃物である。外側に抗菌性をもたないステンレス鋼を配しているため、本発明材と比較して劣った抗菌力にとどまった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼と銅が交互に層状に積層された構造を有する積層体であり、積層体に占める表面積の50%以上が銅層であり、積層体に占める銅層の体積率が1〜5%、交互に積層した鋼層の厚さが1mm以下、銅層の厚さが20μm以下であることを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材。
【請求項2】
請求項1の積層体を用いた刃物の表面において、概ね正方形または円形の面積100mmである任意の領域の0.5%以上が銅層で占められており、刃先を形成する部分の鋼層の硬さが350HV以上であることを特徴とする抗菌性に優れた刃物。
【請求項3】
1.3重量%以下のCを含む板厚0.2〜1.5mmの鋼板の両面に、電気めっき法により厚さ2〜15μmの銅めっきを施した銅めっき鋼板を積層し、これを接合して一体化することを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材の製造方法。
【請求項4】
請求項3の方法で製造した積層体に圧延を施すことを特徴とする抗菌性に優れた刃物用材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−212226(P2011−212226A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83365(P2010−83365)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】