説明

抗酸化作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それらからなる化粧品

【課題】副作用が弱く、優れた抗酸化作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それからなる化粧品の提供。
【解決手段】抗酸化作用を有するキサントン誘導体は、キサントンの2量体、3量体、または32個のキサントンよりなるキサントン重合体である。また、マンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。さらに、マンゴスチンの粉砕物にリンゴ果汁及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。その製造方法は、マンゴスチンの粉砕物、アルギニン及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる製造工程からなる。化粧品は、キサントン誘導体に果汁エキスを含有する組成物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ビタミンCやビタミンEより優れた抗酸化作用を呈する物質を探索する目的で、海洋植物、藻類、微生物、動物生体や植物からラジカル消去作用に基づく抗酸化作用を有する物質の探索が進められ、オキアミ、又はクリプトコッカスやヘマトコッカスなどの藻類からアスタキサンチンが分離され、また、培養酵母や心筋組織よりユビキノンが分離されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0002】
それぞれの物質には特長があり、たとえば、アスタキサンチンはビタミンEより50倍程度強い抗酸化作用を呈するものの、その分離に技術的な困難又は経済的な負担が多く、ユビキノンの一種であるコエンザイムQ10の製造には時間と労力を要し、産業上への利用が限定されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0003】
さらに、ユビキノンは、心臓や筋肉のミトコンドリアで、電子伝達系の一因としてエネルギー産生に作用するものの、一方、その消費は激しく、生体内では酸化されやすいという欠点もあり、また、アスタキサンチンやプロシアニジンなどのポリフェノールは水溶性が高く、排泄されやすく、持続性が低いという欠点がある(例えば、非特許文献3参照。)。
【0004】
これらのポリフェノールを含む天然由来の抗酸化剤は、その作用が一過性であり、消失しやすく、組織蓄積性が低いという欠点もある(例えば、非特許文献4参照。)。したがって、生体への吸収が良く、また、安定性が高い抗酸化作用を呈する抗酸化剤が望まれている。
【0005】
抗酸化剤に関する発明としては、例えば、プロアントシアニジンと脂溶性の抗酸化剤とを含有する生体内抗酸化能の増強食品があり、脂溶性の抗酸化剤として、アスタキサンチン、ユビキノン、リグナン類、クルクミン、またはクルクミン誘導体を用いた組成物に関する報告がある(特許文献1参照)。
【0006】
また、ポリフェノールの一種であるキサントンによる抗酸化作用に関する発明としてキサントン誘導体のうち少なくともいずれかを含有することを特徴とする抗酸化剤がある(特許文献2参照)。
【0007】
さらに、キサントンによる血小板活性化因子抑制作用に基づく化粧品の発明がある(特許文献3参照)。
【0008】
しかし、キサントンが不安定であることから製品化は実施されておらず、より優れたキサントン誘導体の発明とその利用方法が望まれている。
【特許文献1】特開2005−21098公報
【特許文献2】特開2006−89661公報
【特許文献3】特開2004−137210公報
【非特許文献1】SimpsonKLら、Annu Rev Nutr、1981:1、351−374。
【非特許文献2】Lorenz RTら、Trend Biotechnol 2000:18、160−167。
【非特許文献3】Mortensen Aら、Arch Biochem Biophys 2001:385、13−19。
【非特許文献4】Scalbert Aら、Biofactors.2000:13、115−120。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、天然物由来のカテキン、プロシアニジン、ユビキノンやアスタキサンチンなどのポリフェノール類にはラジカル消去作用に起因した強い抗酸化作用が知られているものの、それらの吸収率は低く、かつ、排泄が早く、安定性に乏しく、製造にコストを要するという問題点がある。
【0010】
また、ポリフェノールには皮膚刺激性、着色、渋味や苦味があり、食品製剤や化粧品製剤への利用は、限定されている。
【0011】
さらに、天然のビタミン類、ユビキノン、アルファ−リポ酸やアスタキサンチンは、持続性に乏しく、分解されやすく、取扱しにくく、産業上への利用を制限されるという問題点がある。
【0012】
加えて、化学合成された抗酸化剤には、副作用が報告され、利用者や消費者が敬遠されるという問題点がある。
【0013】
また、キサントンは、単体そのままでは、安定性に乏しく、抗酸化作用が持続的に得られにくいという問題がある。加えて、キサントンの供給源が特定されず、キサントンの産業への利用が制限されている。
【0014】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れた抗酸化作用を有するキサントン誘導体を提供することにある。
【0015】
また、マンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れた抗酸化作用を有するキサントン誘導体を提供することにある。
【0016】
さらに、マンゴスチンの粉砕物にリンゴ果汁及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れた抗酸化作用を有するキサントン誘導体を提供することにある。
【0017】
また、マンゴスチンの粉砕物、アルギニン及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる抗酸化作用を有するキサントン誘導体の効率の良い製造方法を提供することにある。
【0018】
加えて、抗酸化作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、果汁エキス0.05〜1重量を含有する組成物からなる副作用が弱く、優れたアンチエイジンク作用を呈する化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、抗酸化作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0020】
【化1】

【0021】
nは、0〜30。
【0022】
請求項2に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうちnが0である抗酸化作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0023】
【化2】

【0024】
請求項3に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にリンゴ果汁及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうちnが1である抗酸化作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0025】
【化3】

【0026】
請求項4に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物、アルギニン及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる請求項1に記載の抗酸化作用を有するキサントン誘導体の製造方法に関するものである。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の抗酸化作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.1〜1重量を含有する組成物からなる化粧品に関するものである。
【0028】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0029】
請求項1〜3に記載のキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れた抗酸化作用が発揮される。
【0030】
請求項4に記載のキサントン誘導体の製造方法によれば、目的とするキサントン誘導体を効率良く得ることができる。
【0031】
請求項5に記載のキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる化粧品によれば、副作用が弱く、優れたアンチエイジング作用が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0033】
まず、抗酸化作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0034】
【化4】

【0035】
nは、0〜30。
【0036】
そもそも、キサントンとは植物や微生物により生合成されるポリフェノールであり、オトギリソウ科の植物に含まれるという特徴を有し、オトギリソウ科の植物のうち、マンゴスチンやセイヨウオトギリソウにはキサントンが豊富である。
【0037】
ここでいうキサントン誘導体とは、前記の式(1)で示されるように、キサントンの重合体である。
【0038】
そもそもキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。また、キサントン誘導体の基本となる構造は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンで示される。
【0039】
このキサントン誘導体は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1つの6位の水酸基と別の1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1位の水酸基が酸素を介して結合した重合体である。
【0040】
そして、前記の重合体にさらに、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンが同様の6位と別の1位の水酸基と結合している。
【0041】
ここでいうキサントン誘導体は、結合数を示すnの数が0から30の範囲である。
【0042】
この結合数を示すnの数が0の場合には、2量体である。また、結合数を示すnの数が1の場合は、3量体である。
【0043】
このキサントン誘導体は、重合することにより、その水酸基の数が増加し、強い抗酸化性を発揮する。
【0044】
また、前記のキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、抗酸化作用が持続されることから好ましい。
【0045】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されて単体のキサントンに分解され、その安全性がすでに確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0046】
このキサントン誘導体を植物から抽出する場合、オトギリソウ科の植物、特に、マンゴスチンの果実、果肉、果皮、葉、茎、花や根、セイヨウオトギリソウ、フクギ、クロシア・ロゼア、ヒペリカム・トリカラー、ヒペリカム・カリシナム、テリハボク、ヒペリカム・カルシナム、ヒペリカム・ヒドコート、ヒペリカム・アンドロサエムムなどの葉、樹皮、花、果実や根は、好ましい。
【0047】
ことに、食品産業上、マンゴスチンの果皮は加工時に除去され、廃棄物として廃棄されており、利用されていない。この果皮を原料として抽出、又は、精製することは廃棄物を有効に利用し、廃棄物の量を軽減することから好ましい。
【0048】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0049】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0050】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0051】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0052】
また、緑茶の葉や茎、蓮の種子、果実や実、根、葉や茎などの植物体、エルカンプーレ、コタラヒム、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガクスミやシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、スイカズラ、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花、実又は根は、入手しやすいことから好ましい。
【0053】
前記のキサントン誘導体は前記のオトギリソウ科植物、コタラヒム、エルカンプーレや前記の植物体から前記の有機溶媒又は植物油で抽出されることは、好ましい。つまり、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用され、また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0054】
さらに、前記のキサントン誘導体を前記のオトギリソウ科植物やその他の植物、発酵させた発酵物や化学合成した反応物から液化二酸化炭素を用いた超臨界抽出により得ることは、目的とするキサントン誘導体が効率良く得られることから、好ましい。
【0055】
前記のキサントン誘導体を化学合成反応により得る場合には、マンゴスチンの果皮の成分をマグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温されることは好ましい。これらの原料は、反応槽に入れられ、溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、生成されたキサントン誘導体は前記の酸性水溶液で抽出され、溶媒を除去されて粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
【0056】
前記のキサントン誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは食用として安全性が確認されており、食経験も豊富であることから好ましく、この場合、用いる微生物としては納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母があり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
【0057】
前記の発酵は植物から抽出する場合、オトギリソウ科の植物、特に、マンゴスチンの果実、果肉、果皮、葉、茎、花や根、セイヨウオトギリソウ、フクギ、クロシア・ロゼア、ヒペリカム・トリカラー、ヒペリカム・カリシナム、テリハボク、ヒペリカム・カルシナム、ヒペリカム・ヒドコート、ヒペリカム・アンドロサエムムなどの葉、樹皮、花、果実や根に加えて、大豆などの発酵ベースに微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。
【0058】
この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のキサントン誘導体を得ることができる。この場合、前記の植物油や溶媒で抽出することは好ましい。
【0059】
さらに、マンゴスチンの果皮又はエキスをアルカリ条件下で加温することにより目的とするキサントン誘導体を得ることは、効率的に製造できる点から好ましい。この場合、アルカリ条件とする方法は、いくつかあるものの、食品や化粧品加工に利用される水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アルギニンやリジンの利用は安全性が確認されている点から、より好ましい。
【0060】
加えて、マンゴスチンの果皮又はエキスを果実やキノコのポリフェノールオキシダーゼやリパーゼで反応させることは、目的とするキサントン誘導体を効率的に製造できる点から好ましい。
【0061】
また、目的とするキサントン誘導体の精製と分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。分離する場合、前記の有機溶媒や植物油が用いられ、さらに、松の葉エキス含有植物油を粗精製の段階で用いることにより、松の葉エキスによる抗酸化作用と防腐作用が発揮され、目的とする誘導体が安定に維持されることから好ましい。
【0062】
前記の反応物や組成物から、目的とするキサントン誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。
【0063】
高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0064】
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
【0065】
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
【0066】
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
【0067】
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
【0068】
分離用溶媒として前記の有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
【0069】
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
【0070】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜60℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
【0071】
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
【0072】
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。
【0073】
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
【0074】
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするキサントン誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
【0075】
前記のキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0076】
医薬品としては、抗酸化作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗がん剤、変異抑制剤、抗炎症剤、シミ、クスミやシワ除去剤、日焼け防止薬、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても、抗炎症剤、脂肪分解剤、抗肥満剤、クスミやシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0077】
前記の食品製剤としては、シミ、クスミやシワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0078】
また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、クスミやシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0079】
前記の化粧品としては、抗酸化作用やアンチエイジング作用に起因するシミ、クスミ、シワやたるみの改善と予防を目的としてシミ、クスミやシワやたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、皮膚の酸化やエイジングによる表面にデコボコを生じたセルライトやシワを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0080】
前記の医薬品、食品、化粧品は、遺伝子や細胞の酸化に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
【0081】
また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して抗酸化と皮膚のクスミやシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0082】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用して抗酸化を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
【0083】
次に、マンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記のキサントン誘導体のうち、nが0である抗酸化作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0084】
【化5】

【0085】
ここでいうキサントン誘導体はキサントンの重合体である。
【0086】
そのキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。
【0087】
ここでいうキサントン誘導体の基本となる構造は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンで示される。
【0088】
このキサントン誘導体は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1つの6位の水酸基と別の1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1位の水酸基が酸素を介して結合した重合体である。
【0089】
ここでいうキサントン誘導体は、結合数を示すnの数が0であり、つまり、2量体である。
【0090】
このキサントン誘導体は、重合することにより、その水酸基の数が増加し、強い抗酸化性を発揮する。
【0091】
また、前記のキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、抗酸化作用が持続されることから好ましい。
【0092】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されて単体のキサントンに分解され、その安全性がすでに確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0093】
目的とするマンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出してキサントン誘導体は得られる。
【0094】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0095】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0096】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。
【0097】
このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0098】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0099】
アルギニンとは塩基性アミノ酸であり、天然の植物や発酵によっても製造される。味の素製のアルギニンが安全性の高いことから好ましい。
【0100】
マンゴスチン1重量に対して添加するアルギニンは0.1〜2重量が好ましい。アルギニンの添加量が0.1重量を下回る場合、反応物が減少するおそれがある。
【0101】
一方、アルギニンの添加量が1重量を上回る場合、アルカリ性が強くなり、生成物が変色し、分解されるおそれがある。
【0102】
これらは加温される。マンゴスチンとアルギニンを清浄な反応容器に入れられ、加温される。
【0103】
この加温の条件としては、温度は20〜60℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
【0104】
また、加温の時間としては、1〜24時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
【0105】
この反応物は植物油で抽出される。用いる植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる。
【0106】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0107】
この抽出温度としては、30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。また、得られた抽出物は液体又は粉末状を呈する。
【0108】
前記のキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0109】
また、得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0110】
医薬品としては、抗酸化作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗がん剤、変異抑制剤、抗炎症剤、クスミやシワ除去剤、日焼け防止薬、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。
【0111】
また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても、抗炎症剤、脂肪分解剤、抗肥満剤、クスミやシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0112】
前記の食品製剤としては、シミ、クスミやシワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0113】
また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、シミ、クスミやシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0114】
前記の化粧品としては、抗酸化反応に起因するシミ、クスミ、シワやたるみの改善と予防を目的としてシミ、クスミやシワやたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。
【0115】
また、皮膚の酸化による表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。
【0116】
また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0117】
前記の医薬品、食品、化粧品は、遺伝子や細胞の酸化に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して抗酸化と皮膚のシミ、クスミやシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0118】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用して抗酸化を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
【0119】
次に、マンゴスチンの粉砕物にリンゴ果汁及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体のうち、nが1である抗酸化作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体。
【0120】
【化6】

【0121】
ここでいうキサントン誘導体はキサントンの重合体である。
【0122】
そのキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。
【0123】
ここでいうキサントン誘導体の基本となる構造は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンで示される。
【0124】
このキサントン誘導体は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1つの6位の水酸基と別の1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1位の水酸基が酸素を介して結合した重合体である。
【0125】
そして、前記の重合体にさらに、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンが同様の6位と別の1位の水酸基と結合している。
【0126】
この結合数を示すnの数は1であり、つまり、3量体である。
【0127】
このキサントン誘導体は、重合することにより、その水酸基の数が増加し、強い抗酸化性を発揮する。
【0128】
また、前記のキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、抗酸化作用が持続されることから好ましい。
【0129】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されて単体のキサントンに分解され、その安全性がすでに確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0130】
目的とするマンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるものである。
【0131】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0132】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0133】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0134】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0135】
リンゴ果汁とは、リンゴの果汁部分である。リンゴは日本産、海外産のいずれでも、用いられる。リンゴの全体または果肉の抽出物である。このリンゴ果汁にはポリフェノールを重合させる酵素が含有される。
【0136】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0137】
マンゴスチン1重量に対して添加するリンゴ果汁は0.01〜1重量が好ましい。リンゴ果汁の添加量が0.01重量を下回る場合、反応物が減少するおそれがある。
【0138】
一方、リンゴ果汁の添加量が1重量を上回る場合、果汁の酸味が強くなり、生成物が変色し、分解されるおそれがある。
【0139】
マンゴスチン1重量に対して添加するエステル交換反応用リパーゼは0.001〜0.1重量が好ましい。エステル交換反応用リパーゼの添加量が0.001重量を下回る場合、反応物が減少するおそれがある。一方、エステル交換反応用リパーゼの添加量が0.1重量を上回る場合、反応が進みすぎ、溶解性が低下するおそれがある。
【0140】
その後、これらは加温される。つまり、マンゴスチン、リンゴ果汁とエステル交換反応用リパーゼを清浄な反応容器などに入れられ、加温される。
【0141】
加温の条件としては、温度は20〜50℃が好ましく、30〜40℃がより好ましい。また、加温の時間としては、1〜24時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
【0142】
この反応物は植物油で抽出される。用いる植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用され、また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0143】
この抽出温度としては、30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。得られた抽出物は液体又は粉末を呈する。
【0144】
前記のキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0145】
医薬品としては、抗酸化作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗がん剤、変異抑制剤、抗炎症剤、シミ、クスミやシワ除去剤、日焼け防止薬、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても、抗炎症剤、脂肪分解剤、抗肥満剤、シミ、クスミやシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0146】
前記の食品製剤としては、シミ、クスミやシワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、シミ、クスミやシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0147】
前記の化粧品としては、抗酸化作用やアンチエイジング作用に起因するシミ、クスミ、シワやたるみの改善と予防を目的としてシミ、クスミやシワやたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、皮膚の酸化やエイジングによる表面にデコボコを生じたシワやセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0148】
前記の医薬品、食品、化粧品は、遺伝子や細胞の酸化に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して抗酸化と皮膚のシミ、クスミやシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0149】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用して抗酸化を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
次に、マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる抗酸化作用を有するキサントン誘導体の製造方法について説明する。
【0150】
次に、マンゴスチンの粉砕物、アルギニン及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる抗酸化作用を有するキサントン誘導体の製造方法について説明する。
【0151】
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントンの重合体である。
【0152】
そもそもキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。
【0153】
ここでいうキサントン誘導体の基本となる構造は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンで示される。
【0154】
このキサントン誘導体は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1つの6位の水酸基と別の1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1位の水酸基が酸素を介して結合した重合体である。
【0155】
そして、前記の重合体にさらに、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンが同様の6位と別の1位の水酸基と結合している。
【0156】
ここでいうキサントン誘導体は、結合数を示すnの数が0から30の範囲である。
【0157】
この結合数を示すnの数が0の場合には、2量体である。また、結合数を示すnの数が1の場合は、3量体である。
【0158】
このキサントン誘導体は、重合することにより、その水酸基の数が増加し、強い抗酸化性を発揮する。
【0159】
また、前記のキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、抗酸化作用が持続されることから好ましい。
【0160】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されて単体のキサントンに分解され、その安全性がすでに確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0161】
ここで原料となるマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0162】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0163】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0164】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0165】
また、原料として用いるアルギニンは、味の素製のアルギニンが安全性と品質が高いことから好ましい。アルギニンとは塩基性のアミノ酸のことであり、アルカリ性とすることにより、キサントン誘導体の産生が促進される。
【0166】
マンゴスチンの粉砕物1重量に対してアルギニンの重量は0.01〜0.5重量が好ましい。
【0167】
ここで原料として用いる大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地のものも、利用でき、使用に際して中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることが好ましい。
【0168】
ここで用いる納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
【0169】
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、マンゴスチンの粉砕物1重量に対し、大豆は0.1〜3重量が好ましく、納豆菌は0.001〜0.03重量が好ましい。また、前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
【0170】
マンゴスチンの粉砕物、アルギニンと大豆、さらに、納豆菌は清浄な培養用容器に入れて発酵される。
【0171】
この発酵は、30〜40℃に加温され、発酵は、24〜72時間行われる。発酵後に、抽出を効率良く実施するために、水道水で希釈される。
【0172】
前記の発酵により生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる。
【0173】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0174】
前記の菊の花エキス含有植物油は、菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0175】
菊の花エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0176】
農薬を使用せずに栽培された菊の花が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0177】
前記の松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0178】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0179】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0180】
前記の発酵物1重量に対して松の葉エキス含有植物油の添加量は、0.02〜2重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、攪拌温度は10〜30℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜3時間が好ましい。
【0181】
前記の攪拌後、上層に分離した松の葉エキス含有植物油を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
【0182】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0183】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0184】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0185】
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
【0186】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0187】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0188】
医薬品としては、抗炎症剤、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、シミ、クスミやシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、シミ、クスミやシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0189】
前記の食品製剤としては、抗酸化作用に起因したストレスを予防又は改善するサプリメント、神経活動の改善や局所の脂肪減少、癌、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0190】
また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としてもクスミやシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0191】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。
【0192】
また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0193】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0194】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0195】
次に、抗酸化作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、果汁エキス0.05〜1重量を含有する組成物からなる化粧品について説明する。
【0196】
ここでいう抗酸化作用を有するキサントン誘導体とは、前記のキサントンキサントンの重合体である。
【0197】
そもそもキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。
【0198】
ここでいうキサントン誘導体の基本となる構造は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンで示される。
【0199】
このキサントン誘導体は、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1つの6位の水酸基と別の1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンの1位の水酸基が酸素を介して結合した重合体である。
【0200】
そして、前記の重合体にさらに、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メソキシ−ザンセン−9−ワンが同様の6位と別の1位の水酸基と結合している。
【0201】
ここでいうキサントン誘導体は、結合数を示すnの数が0から30の範囲である。
この結合数を示すnの数が0の場合には、2量体である。また、結合数を示すnの数が1の場合は、3量体である。
【0202】
このキサントン誘導体は、重合することにより、その水酸基の数が増加し、強い抗酸化性を発揮する。
【0203】
また、前記のキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、抗酸化作用が持続されることから好ましい。
【0204】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されて単体のキサントンに分解され、その安全性がすでに確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0205】
ここでいう果汁エキスとは、自然栽培又は培養された果実の果肉、果皮、種子などから得られる果汁のエキスである。果汁エキスの果実とはリンゴ、洋ナシ、クランベリー、ラズベリー、クランベリー、チェリー、ミカン、オレンジ、イチジク、アンズ、マンゴ、メロン、ブドウ、ビワ、バナナ、スイカ、ウリなどである。
【0206】
果実の産地は、日本、中国、アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカ由来のいずれでも良い。
【0207】
果汁エキスは、果実の粉砕物のそのものの液体、凍結乾燥したもの、粉末化したもののいずれでも用いられる。
【0208】
前記のキサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスは0.05〜1重量である。また、キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスの重量が0.05重量を下回る場合、化粧品用組成物が十分に得られないおそれがある。
【0209】
さらに、キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスの重量が1重量を上回る場合、果汁エキスの色素成分が増加することにより、見た目が悪くなるおそれがある。
【0210】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は25〜55℃であり、加温時間は6〜48時間である。
【0211】
加温温度が25℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が55℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。
【0212】
加温時間が48時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0213】
この組成物は、前記のキサントン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0214】
さらに、化粧品として前記の組成物が他の原料とともに加工される。その後、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。
【0215】
化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
【0216】
化粧品として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜2gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、シミ、クスミやシワやたるみの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
【0217】
ここでいう化粧品とは、シミ、クスミ、シワやたるみの改善又は予防の目的として人間に用いる化粧品である基礎化粧品、美白化粧品、毛髪洗浄剤、トリートメント剤、染め毛剤、育毛剤、養毛剤、ボディウォッシュ、さらに、医薬部外品である。
【0218】
その他に、動物に用いる皮膚改善剤としての化粧品又はペット用シャンプー、ボディウォッシュである。
【0219】
この化粧品は抗酸化作用およびアンチエイジングを呈することにより優れた日焼け、シミやシワ改善効果を発揮する。すなわち、紫外線による日焼け、皮膚の酸化作用により生成するシミやシワを除去する働きがあり、優れたアンチエイジング作用を呈する。
【0220】
さらに、日焼けの酸化を防ぐことにより、日焼けによる水分の損失を防御する水分保湿剤としても利用できる。
【0221】
また、この化粧品は化学物質やアレルゲンによるアトピーや化学物質過敏症に対しても、酸化を防止することにより、シワ、シミやクスミの改善又は予防的な働きを呈する。
【0222】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は例であり、形態を変化させて実施することができる。
【0223】
まず、発酵により得られるキサントン誘導体について説明する。
【実施例1】
【0224】
タイで栽培されたマンゴスチンの果皮を原料として用いた。まず、マンゴスチンの果皮を水洗後、乾燥させた。これを粉砕機(中山技術研究所製DM−6)にて粉砕した。
【0225】
このマンゴスチン粉砕物1kgを清浄な培養用タンクに入れ、水道水3Lを添加した。これに、味の素製のアルギニンの100gを添加した。
【0226】
これに中国産大豆を水洗後、90分間、39℃に加温して、粉砕し、大豆粉砕物1.5kgを得た。
【0227】
さらに、納豆素本舗製の納豆菌10gを添加した。37℃の温度で、攪拌しながら、42時間発酵した。
【0228】
発酵が終了したタンクに、水道水2Lを添加した。これを発酵物とした。
【0229】
前記の発酵物に、理研ビタミン製のヤシ油の3kgを添加して3時間攪拌し、混合した。
【0230】
これを静置して上層に分離したヤシ油により分離される油溶性部分を液体として採取した。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2に供し、油状物質として、目的とするキサントン誘導体を得た。これを実施例1の検体とした。
【0231】
以下に、マンゴスチンの粉砕物とアルギニンを反応した得られるキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例2】
【0232】
タイ産のマンゴスチンの果皮2kgを水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。また、このマンゴスチン1kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチンの粉砕物とした。
【0233】
清浄な寸胴にマンゴスチンの粉砕物1kgを入れ、水道水を9L添加した。これに、味の素製のアルギニンの230gを添加して攪拌した。
【0234】
これを60℃に加温して、65回/分の速度で12時間攪拌し、これを加温液とした。
【0235】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油2kgを添加し、油部分を採取した。これを実施例2の検体とした。
【0236】
以下に、マンゴスチン、リンゴ果汁及びエステル交換酵素により反応させることにより得られるキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例3】
【0237】
タイ産マンゴスチンより果皮2kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料のマンゴスチンとした。
【0238】
このマンゴスチン2kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチンの粉砕物とした。
【0239】
清浄な寸胴にマンゴスチンの粉砕物1kgを入れ、水道水を10L添加した。これに、青森産のリンゴを粉砕して得られるリンゴ果汁1kgを添加し、攪拌した。
【0240】
さらに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、37℃に加温して、70回/分の速度で10時間攪拌し、これを加温液とした。
【0241】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0242】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してパルミチン酸を結合させたキサントン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例3の検体とした。
【0243】
以下に、キサントン誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
【0244】
上記のように得られた実施例1、実施例2及び実施例3で得られたそれぞれのキサントン誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。
【0245】
その結果、実施例1の検体からはキサントンの2量体、3量体が得られ、さらに、2〜32個のキサントンよりなるキサントン誘導体が同定された。
【0246】
また、実施例2の検体からは、キサントンの2量体が同定された。さらに、実施例3の検体からは、キサントンの3量体が同定された。
【0247】
以下に、キサントン誘導体の抗酸化作用の測定試験について説明する。
(試験例2)
【0248】
ここでは抗酸化作用の指標としてラジカル消去活性を測定した。すなわち、キサンチンオキシダーゼにより産生されたラジカルを1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH、アルドリッチ製)を用いて測定する方法を用いた。
【0249】
まず、キサンチンオキシターゼ(アルドリッチ製)を0.01Mリン酸緩衝液に溶解し、これにヒポキサンチンを添加し、37℃に加温し、ラジカルを生成させた。この溶液に、実施例1、実施例2及び実施例3の試験検体溶液を添加した。
【0250】
さらに、0.1MDPPH溶液を添加して520nmの吸光度を測定した。陽性対照として、ビタミンEを用いた。
【0251】
その結果、実施例1についてはアスタキサンチンの2.3倍、コエンザイムQ10の8.4倍、ビタミンEに比して230倍のラジカル消去能を呈した。
【0252】
また、実施例2についてはアスタキサンチンの2.9倍、コエンザイムQ10の7.9倍、ビタミンEに比して350倍のラジカル消去能を呈した。
【0253】
さらに、実施例3についてはアスタキサンチンの3.4倍、コエンザイムQ10の10.5倍、ビタミンEに比して460倍のラジカル消去能を呈した。
【0254】
これらの結果から、実施例1、実施例2及び実施例3のキサントン誘導体はいずれも優れた抗酸化作用を呈するものと結論された。
【実施例4】
【0255】
以下に、キサントン誘導体からなる化粧品について説明する。
【0256】
前記の実施例1で得られたキサントン誘導体100gに、金剛薬品製のブドウ果汁エキス10gを添加し、30℃で6時間反応させて、組成物を得た。
【0257】
この組成物100gに、グルコン酸ナトリウム0.2g、アマノエンザイム製リパーゼF−AP15 0.1g、モノステアリン酸ポリエチレングリコール1gを添加し、混合後、21℃で、24時間加温した。
【0258】
冷却後、親油型モノステアリン酸グリセリン1g、馬油エステル2g及びオレイン酸3gを加熱し、溶解した。さらに、プロピレングリコール2g、α−トコフェロール0.1g及び精製水70gを添加した。これらを溶解した後、冷却して乳液を得た。これを実施例4の検体とした。
【0259】
以下に、化粧品の紫外線による日焼け改善作用の試験について説明する。
(試験例3)
【0260】
実施例4で得られた乳液を使用して、35〜66才の女性6例を対象に、紫外線による日焼けに対する改善試験を行なった。
【0261】
紫外線に対するシワ改善試験を行なった。すなわち、6例を2群に分け、前記の実施例4の乳液を1日当たり1gずつ、14日間、顔面部に塗布させた。同時に、基材のみを含有する乳液を使用する群を設定した。
【0262】
前記の女性に、日焼け用紫外線照射装置(エムロック製、ネオタン888)により毎日1時間、紫外線を浴びさせた。使用前及び使用14日後に、顔面の肌温度、皮表角層水分量測定装置(IBS社製、SKICON200)を用いて角質水分量、弾力計(クトメーター)を用いて肌弾性及び単位面積当たりのシワの長さを計測した。
【0263】
その結果、基材のみの乳液使用に比して実施例4の乳液では、平均値として0.22℃の肌温度の低下が認められた。また、皮表角層水分量は、基材のみの乳液使用に比して実施例4の乳液の使用例では、140%に増加した。さらに、弾力計による弾力は、基材のみの乳液に比して実施例4の乳液の使用例では、156%に増加した。
【0264】
シワの長さは、基材のみの乳液の使用例に比して実施例4の使用例では、67%となり、明らかに、シワの減少が認められ、優れたアンチエイジング作用が確認された。
【0265】
一方、使用感においても特に、違和感や不都合な点は認められなかった。この結果、実施例4で得られた乳液には肌温度の低下作用、肌水分量の保持作用及びシワの改善作用が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0266】
本発明である抗酸化作用を有するキサントン誘導体は、酸化を防止または改善し、副作用の弱い、優れた働きを示した。これらのキサントン誘導体は、癌、遺伝変異、動脈硬化、シワやたるみ、生活習慣病や酸化ストレスを改善するものである。
【0267】
さらに、抗酸化作用を有するキサントン誘導体からなる化粧品は、日焼け、クスミ、シミ、シワやタルミの予防と改善作用とアンチエイジング作用に優れ、国民のQOLを向上させるものである。
【0268】
マンゴスチンの果皮は、廃棄物として処理されている。本発明は、これらの廃棄物を有効に利用する点から廃棄物を減少させ、結果として廃棄物による土壌や海洋の富栄養による環境破壊を予防でき、かつ、農業資源の有効活用と産業の発展に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体。
【化1】

nは、0〜30。
【請求項2】
マンゴスチンの粉砕物にアルギニンを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、nが0である抗酸化作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体。
【化2】

【請求項3】
マンゴスチンの粉砕物にリンゴ果汁及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、nが1である抗酸化作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体。
【化3】

【請求項4】
マンゴスチンの粉砕物、アルギニン及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる請求項1に記載の抗酸化作用を有するキサントン誘導体の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の抗酸化作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、果汁エキス0.05〜1重量を含有する組成物からなる化粧品。

【公開番号】特開2009−13104(P2009−13104A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175754(P2007−175754)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】