説明

折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル

【課題】より正確な折りたたみ可能な正4面体サーフィスモデルを構成する。
【解決手段】
不等辺三角形以外の合同な4つの三角形からなる4面体を構成するにあたり、少なくとも2組以上の平行な外形線をもつ合同な多角形板ユニット30,31の各々において、一組の平行な外形線の各中点を結ぶ垂直線を該4面体の一つの稜線に等しい長さをもつ第1の折線11とし、該各中点と隣り合う外形線の中点とを相互に結ぶ該稜線の2分の1に等しい長さの線分2本ずつを第2の折線12とし、第1の折線11で該一組の平行な外形線を左右対称に折り曲げて相互に可撓的に結合させ、すべての該第2の折線12を第1の折線11と同一方向に折り曲げた後に、該一組の平行な外形線以外の外形線からなる開閉可能な開口部を形成し、該多角形板ユニット30,31の該開口部の外周を相互に完全に一致させて、最終的に折りたたみ可能な4面体サーフィスモデルを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折りたたみ可能な幾何学教材をはじめ、折りたたみ可能な建築構造材、テントや容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多面体幾何学の学習において、正4面体を標準にして多面体間の表面積比や体積比などを学ぶための幾何学教材として厚紙などの展開図を使用した正4面体のサーフィスモデルを組み立てる場合、2図および3図に示すように正三角形10を単位とした正三角形4個からなる公知の展開図では、隣り合う正三角形をできるだけ連続させることによって、正4面体の稜線において相互結合のためののりしろ箇所とその距離を減らし、その結合を容易にかつ正確にする展開図を作成することができる。これらの展開図を用いて1辺が100ミリの正4面体を作成する場合、正4面体サーフィスモデルの稜線部分の相互結合に要する全結合距離は、いずれも600ミリである。こうした展開図によって、個別の正三角形を相互に結合する場合の全結合距離1200ミリを容易に半減できるので展開図の有用性は十分にある。
【0003】
また他の公知例として4図に示される展開図では、結合に正4面体の稜線13以外の外形線20を導入することによって、単位となる正三角形領域10をより拡張して完全な2個に分離した合同な矩形領域50、51に組み替えられる。次に正4面体の稜線を同方向に折り曲げて稜線どうしを結合した後、矩形の外形線20と稜線13をそれぞれ相互に結合できる。この場合の全結合距離は約746.4ミリとなる。
【0004】
また、のりしろ箇所と結合距離をさらに削減する別な改善策として『折り紙の幾何学』(伏見康治、伏見満枝 著 日本評論社 1984)から5図に引用して示すように、2つの合同な矩形領域50を連続させた展開図に合成できる。この合同な2つの矩形領域50、51の合成によって、1辺が100ミリの正4面体の展開図の場合は、結合に正4面体の稜線と該稜線以外の外形線20を混在させた時の外周の全長、すなわち全結合距離は約546,4ミリとなる。このように、合同な矩形の連続からなる展開図によって、全結合距離は2図、3図の場合よりもさらに短くなる。
【0005】
しかしながらこれらの方法でも、2図、3図、4図および5図に共通して正4面体の展開図用の結合部として稜線の全体または一部を使用するため、接着剤によるずれや歪みが生じやすくなっていた。こうしたずれや歪みはそのまま正4面体を構成する正三角形の面的な変形や角度の不整合につながっていた。特に展開図に厚紙を使用した場合は、その厚みのずれが主原因となって稜線部や頂点部に変形が著しくなる。したがって、展開図の正確で効果的な組み立てには、稜線部や頂点付近での鋭角を伴った領域どうしの境界線上での直線的な結合に特に繊細な注意を要した。
【0006】
また別の公知例として公開特許公報昭62−105182の特許図面の1図の折りたためる正4面体に見られるように、対角線に折目のある4個の矩形ユニットを正4面体の稜線部で可撓的に結合して形成される折りたたみ機能によって、固着のためののりしろ箇所を減らすことができる。一辺が100ミリの折りたたみ可能な正4面体を形成する場合、該特許図面の3図に示される矩形ユニット2個から構成した時のユニット相互の結合距離は200ミリであるが、正4面体として開口部が相互に接合する距離は、約692ミリとなる。この接合距離の増大によって、正4面体の稜線の中点部分で正確に開口部が閉じると同時に接合部で正4面体の稜線と面との連続性を維持するためにユニットには比較的厚い素材を必要とした。すなわち、この場合の折りたたみ機能にはユニット間の最小限の結合と開口部の接合のために必要な全結合距離は892ミリに増大し、素材重量の増大も伴った。
【特許文献1】公開特許公報昭62−105182
【非特許文献1】伏見康治、伏見満枝著『折り紙の幾何学』日本評論社 1984年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまで4面体サーフィスモデルの展開図を構成する複数個の合同な三角形以上の多角形を最少限2個にまで減少できたが、4面体を構成する6本の稜線をまったく含まない外形線からなる2個の合同な多角形のみによって4面体サーフィスモデルの展開図を構成することは困難であった。また4面体の展開図の全結合距離をより短くする折りたたみ可能な4面体サーフィスモデルの展開図を構成することはさらに困難であった。正多面体の展開図のデザインを古代ギリシャの正多面体の定義から捉えるかぎり、正多面体は合同な正多角形からのみ構成されなければならなかったが、本件発明者は合同な複数の正多角形から正多面体を構成する新たな展開図の定義の可能性に気づいた。本件発明者によって、最小限の多面体である4面体の展開図が合同な三角形4個より少ない同型の2個の対称性のある多角形ユニットからのみ構成されるデザインは、上記の公知となった同型の矩形ユニット以外にも無数に存在することが発見された。さらにこうした4面体の6本の稜線を、展開図の外形線どうしの結合で構成しないうえ、外形線の全長(全結合距離)を指標とする600ミリより短くできる多角形群の発見によって、歪みがなく精度の高い展開図とその組み立てに従来の展開図のような稜線部での結合や固着を要しない折りたたみ機能による経済的方法が導かれた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、4面体を構成する6本の稜線以外の外形線を使った多角形からなる展開図で、不等辺三角形以外の合同な三角形4個分の該4面体の表面積を維持する同型の多角形板ユニット2個からのみなる折りたたみ可能な4面体サーフィスモデルを構成することを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、4面体の鋭角な各頂点部を形成するための3本ずつ集まる稜線が、2つの単独または連続した多角形板ユニット内に対称的に平面上に配置されるので、4面体サーフィスモデルの構成に必要な鋭角な頂点を正確に再現できる。また連続した6角形板ユニット2個の外形線のみで結合する距離の全長は、4個の連続した3角形からのみ成る従来の4面体サーフィスモデルの展開図よりは短くできる。また、正4面体の場合は、該稜線部分を外形線としない合同な2つの多角形板ユニットからなる展開図から正4面体サーフィスモデルを構成できる。この場合の全結合距離は、6角形板ユニット2個を連続した展開図によって最短となる。さらにこの正4面体サーフィスモデルに折りたたみ可能な機能を付加してもこの最短の結合距離は不変である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
正4面体を構成する6本の稜線をまったく含まない外形線からなる2個の合同な多角形から構成される展開図によって、折りたたみ可能な正4面体サーフィスモデルを形成し、かつ正4面体を形成するための展開図が必要とする結合部の結合距離をより短縮する目的を、2個の連続した正6角形によって実現した。
【実施例1】
【0011】
実施例を図面に基づいて説明すれば次の通りである。
図1に示すたためる正4面体サーフィスモデル80は、図6に示す合同な正6角形板ユニット30、31を外形線22の各中点X、Yで一致するように共有結合させて連続した展開図81から形成される。この展開図81において、一組の平行な外形線20の中点P、Qを結ぶ垂直線を正4面体の稜線に等しい長さをもつ第1の折線11とし、中点P、Qと隣り合う外形線21、22の中点R、S、Z、Xとをそれぞれ相互に結ぶ正4面体の稜線の2分の1の長さに等しい線分PR、PX、QS、QZを第2の折線12とし、計5本の折線11,12が正6角形板ユニット30のなかに左右対称的に配置される。次に第1の折線11を同一方向に半分に折り曲げて,正6角形板ユニット30の頂点に付した記号BとC、EとFをそれぞれ一致させて相互に可撓的に結合させる。その結果、図7、図8の正4面体サーフィスモデルの組立工程図に示すように、正6角形板ユニット30の平行な外形線20以外の4本の外形線21、22からなる開閉可能な開口部R1が形成される。開口部R1は、外形線21、22の中点に付された記号R、S、Z、Xと正6角形板ユニット30の頂点に付された記号A、B、C、D、E、Fの計10個の記号の組み合わせの中からジグザグな8角形状リングの外周A−S−B・C−Z−D−X−E・F−R−Aを形成する。同様に図8に示すように、正6角形板ユニット31からは、平行な外形線20以外の4本の外形線21、22からなる開閉可能な開口部R2が形成される。開口部R2は、外形線21、22の中点に付された記号T、U、Y、Vと正6角形板ユニット31の頂点に付された記号G、H、I、J、K、Lの計10個の記号の組み合わせの中からジグザグな8角形状リングの外周G−T−H・I−V−J−Y−K・L−U−Gを形成する。その結果、図8に示すように合同な2つの正6角形板ユニットを別々にポケット状に折りたたむことができる。次に、連続した正6角形板ユニット30,31の折線12を折線11と同一方向に折り曲げて、正4面体の6本の稜線に一致するように配置させると共に、最終的に稜線の中点でRとV、SとT、UとZとを相互に一致させ、該開口部R1、R2のすべての外周でAとH・I、GとB・C、LとD・K、JとE・Fとを相互に一致させると図1に示される正4面体のサーフィスモデル80が形成される。結果的に、正6角形板ユニット30,31の頂点と中点に付された記号は、正4面体のサーフィスモデル80の各稜線と各正三角形を完成させる。この実施例においては、頂点部に集まる稜線が展開図の外形線の相互接合から形成されないばかりか、正4面体の稜線が3本ずつ集まって形成される鋭角な各頂点部が連続した一枚の正6角形板ユニットをすべて山折りまたはすべて谷折りに折ることで形成されるので、正4面体サーフィスモデルの構成に必要な直線的な稜線部と鋭角な頂点部を正確に再現できる。
【0012】
図6に示す合同な2枚の正6角形板ユニットを互いに一辺で結合し、連続した10本の外形線をもつ展開図81から組み立てられた一辺が100ミリの正4面体サーフィスモデルにおいて、すべての外形線の総長、すなわち全結合距離は約577.35ミリとなる。この展開図によって、図2と図3に示すような連続した正三角形を相互に結合する場合の全結合距離600ミリを容易に削減できるので組み立ての経済性は十分にある。
【0013】
図1に示す正4面体のサーフィスモデル80において、図6の展開図に示すB・C−Q、E・F−P、
H・I−M、 K・L−N間の可撓的な結合、あるいは稜線P−Q、M−N間の折線による可撓性を消去する場合は、開口部R1,R2の外周で相互に結合してもよい。また図示はしないが、正4面体サーフィスモデル80の稜線の中点の記号V・R−S・T−U・Z−X・Y−Vを結んで形成される正4面体の赤道部分に輪ゴムなどのバンドをかけてもよい。輪ゴムを外せば、可撓的な結合と折線に従って、互いに結合したポケットは平面に再び折りたたむことができる。
【実施例2】
【0014】
図10に示す他の実施例では、分離した正6角形板ユニット32、33からなる展開図85を示す。正4面体のすべての稜線に相当する折線部分を可撓的にすると共に、外形線20における可撓的結合によって、各正6角形板ユニットは角度的な自由度を有するので、開口部を個別に開閉でき、容易に正6角形ユニットを平面状に折りたたむことができる。図9の分解斜視図が示すように、再び立ち上げて開口部R1,R2の外周で相互に分離したユニットから合成できる正4面体サーフィスモデル84の稜線の中点の記号V・R−S・T−U・Z−Y・X−Vを結んで正方形状に形成される正4面体の赤道部60に輪ゴムなどのバンドをかければ、自立したサーフィスモデルの形状を維持できる。この場合、正4面体サーフィスモデル84の表面積は開口部R1,R2を境界線として完全に2等分されるように、合同な正6角形板ユニット32、33は配置されている。
【0015】
さらに、図11に示す正4面体サーフィスモデル87の構造説明図のように、重心Oと、開口部R1,R2のジグザグな8角形状の外周との間に、合同な4つの面から構成され正4面体の稜線の中点4カ所に接した境界面Z1〜Z4が仮想的に存在するので、正4面体サーフィスモデル87の体積を2等分する場合は、図12に示す正4面体サーフィスモデル88の構造説明図のように重心を利用して2分の1の体積をもった対称的なモジュールを形成するために積極的に境界面Z1〜Z4を正6角形板ユニット36、37に付加してもよい。
【実施例3】
【0016】
図13に示す他の実施例では、正6角形板ユニット38を2個連続させたプラスチックの一体成形板82によって、正4面体のすべての折線部分をV型またはU型の溝のヒンジ14、15に成形して可撓的に結合すると共に、外形線20を可撓的に結合することによって、開口部を形成できる。正4面体サーフィスモデルは角度的な自由度と耐久性を有し、開口部の開閉運動で平面と立体の間を容易に往復できる。この場合、稜線でのプラスチック板の厚みはヒンジ14、15のV型またはU型の溝によって加減できるので、より精度の高い外形をもった正4面体のサーフィスモデルを提供できる。さらに、プラスチック板での組み立ては、正4面体の稜線に沿ってではなく、プラスチック板の外形線に沿って、プラスチック板の厚みの断面どうしが各三角形内で互いに接合するので、正4面体のサーフィスモデルの頂点や稜線に隙間がなく、また厚みが原因となった歪みを発生させないで組み立てができる。
【実施例4】
【0017】
図14に示す他の実施例では、上記V型またはU型の溝のヒンジに代わる、平行溝16、17のみに蝶番を使用して、可撓的結合による折りたたみ機能を付加してもよい。この場合、折りたたみ可能な正4面体サーフィスモデルを組み立てた状態で自立させるために、開口部が開かないように、該正4面体サーフィスモデルの赤道部61に輪ゴムやバンドをかけてもよい。また開口部をテープ、止め金具、接着材によって相互に接合固着すれば、正確かつ安定した正4面体を得ることができる。
【実施例5】
【0018】
図15は、正4面体サーフィスモデルの組み立てに必要な結合部として、正4面体の稜線をいっさい使用しない、本発明による多種の多角形板ユニットの展開図のなかで、外周すなわち全結合距離が最短となる展開図86を示している。連続して結合した6角形板ユニット39,40の外周は、約570.07ミリである。上記正6角形板の場合の577.35ミリよりも明らかに短縮できる。
【実施例6】
【0019】
図16に示す折りたたみ可能な正4面体サーフィスモデル90は、合同な矩形板ユニット41,42を使用した場合である。図17に示すように、正4面体を構成する6本の稜線に対応しない外形線23をもつ合同な矩形板ユニット41、42の外形線24の2分の1の長さce間、すなわち共有結合部25で互いに共有結合させ、該結合部25で第2の折線12どうしを一本に連続させた展開図91から形成される。この展開図91において、一組の平行な外形線23の中点P、Qを結ぶ垂直線を正4面体の稜線に等しい長さをもつ第1の折線11とし、中点P、Qと隣り合う外形線24の中間点r、s、z、xとをそれぞれ相互に結ぶ正4面体の稜線の2分の1の長さに等しい線分Ps、Pz、Qr、Qxを第2の折線12とし、計5本の折線11,12が矩形板ユニットのなかに左右対称的に配置される。次に第1の折線11を同一方向に半分に折り曲げて,矩形板ユニット41の頂点に付した記号aとb、cとdをそれぞれ一致させて相互に可撓的に結合させる。その結果、図18の組立工程図に示すように、矩形板ユニット41の平行な外形線23以外の外形線24からなる開閉可能な開口部R3が形成される。開口部R3は、外形線24の4分の1の長さにあたる中間点4カ所に付された記号r、s、z、xと矩形板ユニット41の頂点に付された記号a、b、c、dの計8個の記号の組み合わせから正方形状角リングの外周a−r−s−d・c−z−x−b・aを形成する。同様に矩形板ユニット42からは、平行な外形線24以外の2本の外形線25からなる開閉可能な開口部R4が形成される。開口部R4は、外形線24の4分の1の長さにあたる中間点4カ所に付された記号t、u、w、vと矩形板ユニット42の頂点に付された記号e、f、g、h計8個の記号の組み合わせから正方形状角リングの外周f-u-t-g・h-v-w-e・fを形成する。その結果、合同な2つの矩形板ユニットを別々にポケット状に折りたたむことができる。この実施例においては、正4面体の稜線が展開図の外形線の相互接合から形成されないばかりか、正4面体の鋭角な頂点部がすべて連続した一枚の矩形板ユニットをすべて山折りまたはすべて谷折りに折ることで形成されるので、正4面体サーフィスモデルの構成に必要な直線的な稜線部と鋭角な頂点部を正確に再現できる。次に、図16に示すように連続した矩形板ユニット41,42の折線12を折線11と同一方向に折り曲げて、正4面体の6本の稜線に一致するように配置させると共に、最終的に稜線の中点でsとv、rとt、uとxとを相互に一致させると、開口部R3、R4のすべての外周も一致して正4面体のサーフィスモデル90が形成される。結果的に、矩形板ユニット41,42の頂点と中点に付された記号は、正4面体サーフィスモデル90の稜線と各正三角形を完成させる。連続して結合した矩形板ユニット41,42の全結合距離は約646.41ミリである。
【0020】
さらに、重心Oと、開口部の赤道部外周との間に、同一の面から構成され正4面体の稜線の中点4カ所に接する正方形状の境界面r、s、z、xまたはt、u、w、vが仮想的に存在するので、正4面体のサーフィスモデル90の表面積を2等分する場合は、2分の1の表面積をもった同型ユニット41、42として配置してもよい。さらに体積を2等分する場合は、積極的に正方形の境界面を付加して、2分の1の体積をもった対称的なモジュールを形成してもよい。
【実施例7】
【0021】
図19に示す他の実施例では、2個の正6角形板ユニット43,44の全片面に対して、周期的な単一エレメントからなる平面充填用の単一文様モチーフにM.C.エッシャーによる三色のトカゲ(白、グレー、黒)を使用し、該モチーフを隙間なく連続的に設けたことを特長とする正4面体サーフィスモデルの展開図100である。この周期的モチーフは、2個の正6角形板ユニットの表面をシームレスに連続させることができると同時に、正4面体に立ち上がったサーフィスモデルの場合では、どの稜線においても、周期的モチーフは分断されることなくエンドレスに連続する。
【実施例8】
【0022】
図20に示す他の実施例は、球面状の全地球的な地理情報地図に内接する正4面体にトポロジー的に投影して形成される全方位的な平面の地理情報に関する画像を、図21に示すような正4面体の基本的な展開図102に変換した後に、さらに2個の正6角形板ユニット45,46の全片面に対してシームレスに平面充填した正4面体のサーフィスモデルの展開図101を示す。球面地理情報を対向する2つの極から投影する投影図法(perspective projection)によって、平面のスクリーンに投影した「方位図法」では全体の形は2つの円形地図になるが、この実施例によって球面地理情報での対向する2つの極は、2つの正6角形の中心に位置すると同時に、各半球の地理情報は各正6角形に置換される。最終的に折りたたみ可能な正4面体のサーフィスモデルに変換できる。このような全球面状の全地球的な地理情報地図以外に、宇宙的な天球儀情報地図または全方位的な球面画像に内接する正4面体にトポロジー的に投影して形成される全方位的な平面画像を正6角形板ユニット2個の全片面に対してシームレスに平面充填してもよい。従来の全景をとらえるパノラマ(PANORAMA)の概念は円筒に投影された360度の視野角を意味しているが、本発明者は正4面体によって真の全方位をとらえる720度の視野角(この720度は4面体の内角の総和に一致することに関連する)の概念を発見し、その正4面体による全方位地図または全方位画像概念モデルに対してテトラマ(TETRAMA)と命名した。広角レンズでは光学原理的に180度以上の画角を越えられないうえ、パノラマ以上に概念的に360度の視野角を拡張できなかったが、テトラマによって球面情報を最小限の多面体である4面体にトポロジー的に変換すれば、幾何学原理的に存在する最大の視野角720度を本発明による連続した2個の同型の正6角形によって人間の視覚範囲で捉えることができる。
【実施例9】
【0023】
図22の他の実施例では、4つの合同な2等辺三角形からなる折りたたみ可能な4面体を構成するための6角形板ユニット47、48が2個連続する展開図89を示す。本発明による同型の6角形板ユニット2個からなる折りたたみ可能な4面体サーフィスモデルは、正4面体サーフィスモデル以外にも無数に存在する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、折りたたみ可能な構造によって、多角形板ユニット相互の組み立て工程が単純で容易なので、立体幾何学の教育教材、薄い素材の軽量構造物、容器やテントとしても有効である。さらに多角形板ユニットの平板を連続的に結合して4面体を構成できるので、周期的デザインの同一文様を4面体サーフィスモデルの展開図の片面または両面で連続させることができ、平面の正則分割と多面体の対称性の研究に極めて有効である。さらにまた、球面情報を数学的にシームレスに投影する合同な正6角形が2個連続した展開図から構成される最小限の多面体である正4面体サーフィスモデルは、パノラマでは達成できなかった全方位を再現できる。また全方位をとらえた球状の地理情報などに関する折りたたみ可能なテトラマ(TETRAMA)によって、認識可能な最大限の視野角(=720度)を連続した同型の2個の6角形板ユニットまたは矩形板ユニットで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による実施例を示した2個連続した正6角形からなる正4面体サーフィスモデルの斜視図である。(実施例1)
【図2】公知例を示した展開図である。
【図3】他の公知例を示した正4面体の展開図である。
【図4】他の公知例を示した正4面体の展開図である。
【図5】他の公知例を示した正4面体の展開図である。
【図6】本発明による実施例1の正4面体サーフィスモデルの展開図である。
【図7】本発明による実施例1の正4面体サーフィスモデルの組立工程図である。
【図8】本発明による実施例1の正4面体サーフィスモデルの他の組立工程図である。
【図9】本発明による他の実施例を示した分離した正6角形からなる正4面体サーフィスモデルの斜視図である。(実施例2)
【図10】本発明による実施例2の正4面体サーフィスモデルの展開図である。
【図11】本発明による実施例2の正4面体サーフィスモデルの構造の説明のための斜視図である。
【図12】本発明による実施例2の正4面体サーフィスモデルの構造の説明のための他の斜視図である。
【図13】本発明による他の実施例を示した一体成形したユニットからなる正4面体サーフィスモデルの展開図である。(実施例3)
【図14】本発明による他の実施例を示した2個連続した6角形からなる正4面体サーフィスモデルの展開図である。(実施例4)
【図15】本発明による他の実施例を示した展開図である。(実施例5)
【図16】本発明による他の実施例を示した2個連続した矩形からなる正4面体サーフィスモデルの斜視図である。(実施例6)
【図17】本発明による実施例6の正4面体サーフィスモデルの展開図である。
【図18】本発明による実施例6の正4面体サーフィスモデルの組立工程図である。
【図19】本発明による他の実施例を示した単一の文様を平面充填した2個の6角形からなる正4面体サーフィスモデルの展開図である。(実施例7)
【図20】本発明による他の実施例を示したテトラマを平面充填した2個の正6角形からなる正4面体サーフィスモデルの展開図である。(実施例8)
【図21】実施例8を作成する過程を説明するための、球面状の全地球的な地理情報地図に内接する正4面体に、トポロジー的に投影して形成される全方位的な平面の地理情報に関する画像の正4面体地図(テトラマ)である。
【図22】本発明による他の実施例を示した2個連続した6角形からなる4面体サーフィスモデルの展開図である。(実施例9)
【符号の説明】
【0026】
10 正4面体を構成する正三角形領域
11 折線
12 折線
13 正4面体の稜線
14 U型、またはV型溝のヒンジ
15 U型、またはV型溝のヒンジ
16 折線に設けた平行溝
17 折線に設けた平行溝
20 外形線
21 外形線
22 6角形板ユニットの共有結合部
23 外形線
24 外形線
25 矩形板ユニットの共有結合部
30 正6角形板ユニット
31 正6角形板ユニット
32 正6角形板ユニット
33 正6角形板ユニット
38 一体成形された正6角形プラスチック板ユニット
39 6角形板ユニット
40 6角形板ユニット
41 矩形板ユニット
42 矩形板ユニット
43 正6角形板ユニット
44 正6角形板ユニット
45 6角形板ユニット
46 6角形板ユニット
47 正6角形板ユニット
48 正6角形板ユニット
50 矩形領域
51 矩形領域
60 正4面体の赤道部
61 正4面体の赤道部
R1 開口部
R2 開口部
R3 開口部
R4 開口部
A 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
B 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
C 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
D 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
E 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
F 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
G 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
H 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
I 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
J 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
K 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
L 正6角形板ユニットの頂点に付された記号
P 一組の平行な外形線の中点に付された記号
Q 一組の平行な外形線の中点に付された記号
M 一組の平行な外形線の中点に付された記号
N 一組の平行な外形線の中点に付された記号
R 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
S 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
Z 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
U 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
T 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
V 正6角形板ユニットの外形線の中点に付された記号
X 正6角形板ユニット間の外形線の共有結合部に付された記号
Y 正6角形板ユニット間の外形線の共有結合部に付された記号
r 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
s 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
t 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
v 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
u 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
x 矩形板ユニットの外形線の4分の一の中間点に付された記号
z 矩形板ユニット間の外形線の共有結合部に付された記号
w 矩形板ユニット間の外形線の共有結合部に付された記号
Z1 正4面体サーフィスモデルの体積を2等分する境界面
Z2 正4面体サーフィスモデルの体積を2等分する境界面
Z3 正4面体サーフィスモデルの体積を2等分する境界面
Z4 正4面体サーフィスモデルの体積を2等分する境界面
80 正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデル
81 正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
82 正6角形プラスチック板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
83 正4面体サーフィスモデルの蝶番を使用した展開図
84 分離した正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデル分解斜視図
85 分離した正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
86 6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
87 正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの構造説明図
88 正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの構造説明図
89 6角形板ユニットによる4つの合同な2等辺3角形からなる4面体サーフィスモデルの展開図
90 矩形板ユニットによる正4面体サーフィスモデル
91 矩形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
100 単一のトカゲ文様が平面充填された正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
101 全方位地図 (テトラマ)が平面充填された正6角形板ユニットによる正4面体サーフィスモデルの展開図
102 球面状の全地球的な地理情報地図に内接する正4面体に、トポロジー的に投影して形成される全方位的な地理情報に関する画像の正4面体地図(テトラマ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不等辺三角形以外の合同な4つの三角形からなる4面体を構成するにあたり、少なくとも2組以上の平行な外形線をもつ合同な多角形板ユニット2個の各々において、一組の平行な外形線の各中点を結ぶ垂直線を該4面体の一つの稜線に等しい長さをもつ第1の折線とし、該各中点と隣り合う外形線の中点とを相互に結ぶ該稜線の2分の1に等しい長さの線分2本ずつを第2の折線とし、第1の折線で該一組の平行な外形線を左右対称に折り曲げて相互に可撓的に結合させ、すべての該第2の折線を第1の折線と同一方向に折り曲げた後に、該一組の平行な外形線以外の外形線からなる開閉可能な開口部を形成し、該多角形板ユニット2個の該開口部の外周を相互に完全に一致させて、最終的に4面体を形成したことを特長とする折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項2】
上記多角形板ユニットを正6角形板ユニットとしたことを特長とする「請求項1」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項3】
上記多角形板ユニット2個を、一つの外形線で互いに共有結合させ、該共有結合部で上記第2の折線どうしを一本に連続させたことを特長とする「請求項1」および「請求項2」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項4】
上記多角形板ユニットを矩形板ユニットとすると共に、上記隣り合う外形線の中点を隣り合う外形線の4分の1にあたる中間点としたことを特長とする「請求項1」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項5】
上記矩形板ユニット2個を、一つの外形線の2分の1の長さで互いに共有結合させ、該共有結合部で上記第2の折線どうしを一本に連続したことを特長とする「請求項4」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項6】
上記多角形板ユニット2個の全片面または全両面に対して、周期的な単数または複数のエレメントから成る平面充填用の文様を隙間なく連続的に設けたことを特長とする「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」、および「請求項5」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項7】
上記多角形板ユニット2個の全片面または全両面に対して、球面状の全地球的な地理情報地図、または全宇宙的な天球儀情報地図、または全方位的な球面画像に内接する4面体にトポロジー的に投影して形成される全方位的な平面画像をシームレスに平面充填したことを特長とする「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」、および「請求項5」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項8】
上記第1、第2の折線を可撓的結合としたことを特長とする「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」、「請求項5」、「請求項6」、および「請求項7」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。
【請求項9】
上記多角形板ユニットの外形線の中点または頂点に合わせ記号を設けたことを特徴とする「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」、「請求項5」、「請求項6」、「請求項7」、および「請求項8」記載の折りたたみ可能な4面体サーフィスモデル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図22】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−343441(P2006−343441A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167707(P2005−167707)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(305011709)
【Fターム(参考)】