抵抗値測定装置
【課題】燃料電池の電流経路を流れる電流値を精度よく検出可能にする。
【解決手段】燃料電池の電流経路に、抵抗体を有する電流測定板100を配置し、抵抗体の両端の電位差および記憶回路50aから取得した抵抗体の抵抗値に基づいて燃料電池の電流経路を流れる電流値を検出する電流測定装置の製造工程において用いられ、電流測定装置が燃料電池に組み付けられる前に抵抗体の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、恒温槽250にて抵抗体の温度を所定の温度に設定し、定電流電源230および電流供給板210、220により抵抗体に定電流を供給し、検査用電圧センサ260にて抵抗体の電位差を測定する。そして、検査用信号処理回路270は、測定した測定電位差と供給される電流値とに基づいて抵抗体の抵抗値を算出するとともに、算出した抵抗体の抵抗値の情報および恒温槽にて設定された温度の情報を記憶回路50aに出力する。
【解決手段】燃料電池の電流経路に、抵抗体を有する電流測定板100を配置し、抵抗体の両端の電位差および記憶回路50aから取得した抵抗体の抵抗値に基づいて燃料電池の電流経路を流れる電流値を検出する電流測定装置の製造工程において用いられ、電流測定装置が燃料電池に組み付けられる前に抵抗体の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、恒温槽250にて抵抗体の温度を所定の温度に設定し、定電流電源230および電流供給板210、220により抵抗体に定電流を供給し、検査用電圧センサ260にて抵抗体の電位差を測定する。そして、検査用信号処理回路270は、測定した測定電位差と供給される電流値とに基づいて抵抗体の抵抗値を算出するとともに、算出した抵抗体の抵抗値の情報および恒温槽にて設定された温度の情報を記憶回路50aに出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の電流経路に配置される抵抗体の抵抗値を、抵抗体が燃料電池に組み付けられる前に測定する抵抗値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、電気エネルギを出力する複数のセルを積層配置して構成された燃料電池に適用されて、この燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置が開示されている。
【0003】
この特許文献1の電流測定装置は、隣合うセルのうち一方のセルに電気的に接触する第1電極、他方のセルに電気的に接触する第2電極、および、第1電極と第2電極とを電気的に接続する抵抗体を有して構成された電流測定部を備えている。また、抵抗体の温度と抵抗値とが関連づけられたマップを記憶手段に記憶させている。
【0004】
そして、電流測定部の第1電極と抵抗体とを接続する接続部および抵抗体と第2電極とを接続する接続部間の電位差を電流測定用電圧センサで検出するとともに、そのときの抵抗体の温度に対応する抵抗値を記憶手段から読み出して取得し、検出された電位差を取得した抵抗体の抵抗値で除することによって、燃料電池の内部を流れる電流を測定している。
【特許文献1】特開2007−280643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電流測定装置は、抵抗体の温度と抵抗値との関係を事前に測定しておかないと、燃料電池の内部を流れる電流を正確に検出することができないが、抵抗体の温度と抵抗値との関係を測定するための具体的な手法については言及されていない。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池の電流経路を流れる電流値を精度よく検出可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、燃料電池(10)の電流経路に抵抗体(121)を配置し、抵抗体(121)の温度と抵抗値との関係を抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させ、抵抗体(121)の両端の電位差および抵抗体特性記憶手段(50a)から取得した抵抗体(121)の抵抗値に基づいて電流経路を流れる電流値を検出するように構成された電流測定装置の製造工程において用いられ、電流測定装置が燃料電池(10)に組み付けられる前に抵抗体(121)の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、抵抗体(121)に定電流を供給する定電流供給手段(210、220、230)と、抵抗体(121)の温度を複数の所定の温度に設定する温度設定手段(250)と、複数の温度条件下で抵抗体(121)の電位差を測定する電位差測定手段(260)と、電位差測定手段(260)にて測定した測定電位差と定電流供給手段(210、220、230)から供給される電流値とに基づいて抵抗体(121)の抵抗値を算出するとともに、算出した抵抗体(121)の抵抗値の情報および温度設定手段(250)にて設定された温度の情報を抵抗体特性記憶手段(50a)に出力する抵抗体特性算出手段(270)とを備えることを特徴とする。
【0008】
これによると、燃料電池(10)に組み付けられる各抵抗体(121)毎の温度と抵抗値との関係を組み付け前に測定して抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させることができるため、抵抗体(121)を燃料電池(10)に組み付けた後に燃料電池(10)の電流経路を流れる電流値を検出する際に、抵抗体(121)の個体差による温度と抵抗値との関係のバラツキの影響を受けることなく、精度よく検出することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の抵抗値測定装置において、燃料電池(10)は、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成され、電流測定装置は、隣合うセル(10a)間に配置される板状の電流測定板(100)を含み、電流測定板(100)は、隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、第1電極(111)と第2電極(131)とを電気的に接続する抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)を複数備え、定電流供給手段(210、220、230)は、定電流を出力する定電流電源(230)と、定電流電源(230)に接続されるとともに、電流測定板(100)を挟持して電流測定部(101)に電流を導く第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)とを備えることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の抵抗値測定装置において、電流測定板(100)が第1電流供給板(210)と第2電流供給板(220)とによって挟持されたときに、複数の電流測定部(101)が電気的に直列に接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、複数の電流測定部(101)が直列に接続されるように構成されているため、1つの定電流電源(230)にて定電流を供給しつつ複数の抵抗体(121)の電位差を同時に測定することができるため、複数の電流測定部(101)が並列に接続される場合と比較して、抵抗体(121)の電位差を測定する工数が低減される。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)は、電流測定板(100)側に配置されて第1電極(111)に接触する第1供給板電極(216)と、反電流測定板側に設けられた第1供給板外側電極(217、218)と、第1供給板電極(216)と第1供給板外側電極(217、218)とを接続する第1接続部(215)とを備え、第2電流供給板(220)は、電流測定板(100)側に配置されて第2電極(131)に接触する第2供給板電極(223)と、反電流測定板側に設けられた第2供給板外側電極(224)と、第2供給板電極(223)と第2供給板外側電極(224)とを接続する第2接続部(225)とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、供給板外側電極(217、218、224)から供給板電極(216、223)に電流が流れる際に、接続部(215、225)がバッファ層として機能して供給板電極(216、223)の全域に均一化されて電流が流れ、ひいては供給板電極(216、223)から抵抗体(121)の全域に均一化されて電流が流れるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の抵抗値測定装置において、第1供給板外側電極(217、218)および第2供給板外側電極(224)は、第1供給板電極(216)および第2供給板電極(223)よりも、厚みが大きいことを特徴とする。
【0015】
これによると、供給板外側電極(217、218、224)の抵抗値が下がり、供給板外側電極(217、218、224)の全域に電流が流れやすくなるため、供給板外側電極(217、218、224)から供給板電極(216、223)の全域に均一化されて電流が流れ、ひいては供給板電極(216、223)から抵抗体(121)の全域に均一化されて電流が流れて、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項2に記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)は、電流測定板(100)側に配置された第1供給板電極(211、212、213、216)を備え、第2電流供給板(220)は、電流測定板(100)側に配置された第2供給板電極(221、222、223)を備え、電流測定板(100)と第1電流供給板(210)との間に配置された導電性ゴムよりなる第1緩衝板(280a)が、第1電極(111)および第1供給板電極(211、212、213、216)に接触し、電流測定板(100)と第2電流供給板(220)との間に配置された導電性ゴムよりなる第2緩衝板(280b)が、第2電極(131)および第2供給板電極(221、222、223)に接触していることを特徴とする。
【0017】
これによると、緩衝板(280a、280b)は弾性を有するため、緩衝板(280a、280b)と第1電極(111)および第2電極(131)との面当たりや緩衝板(280a、280b)と供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)との面当たりが良くなり、第1電極(111)および第2電極(131)の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、請求項2ないし6のいずれか1つに記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)における電流経路は、金属箔から構成されていることを特徴とする。これによると、抵抗値測定装置の厚みを薄くすることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の抵抗値測定装置において、金属箔の表面に金メッキが施されていることを特徴とする。
【0020】
これによると、供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)と抵抗体(121)との間の接触抵抗が小さくなり、抵抗体(121)の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。また、供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)の耐腐食性を向上させることができる。
【0021】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は燃料電池システムを示す模式図で、この燃料電池システムは例えば電気自動車に適用される。
【0024】
図1に示すように、燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。この燃料電池10は、図示しない電気負荷や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。因みに、電気自動車の場合、車両走行駆動源としての電動モータが電気負荷に相当している。
【0025】
この燃料電池10は固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となる燃料電池セル10aが複数個積層され、且つ電気的に直列接続されている。燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
(負極側)H2→2H++2e−
(正極側)2H++1/2O2+2e−→H2O
そして、燃料電池10の出力電圧を検出する電圧センサ11と、燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ12とが設けられている。
【0026】
図2は、燃料電池10の斜視図である。図2に示すように、積層されたセル10aの間には、燃料電池10のセル面内の電流分布を測定するための電流測定装置における電流測定板100が設けられている。電流測定板100は板状部材として構成されている。電流測定板100は、隣り合うセル10aに挟まれて配置されており、隣り合うセル10aと電気的に直列接続されている。電流測定板100が出力する電位差信号は、後述の信号処理回路51に入力する。電流測定板100については後述する。
【0027】
図1に戻り、燃料電池システムには、燃料電池10の空気極(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気流路20と、燃料電池10の水素極(負極)側に水素を供給するための水素流路30が設けられている。ここで、空気流路20における燃料電池10より上流側を空気供給流路20aといい、下流側を空気排出流路20bという。また、水素流路30における燃料電池10より上流側を水素供給流路30aといい、下流側を水素排出流路30bという。なお、空気は本発明の酸化ガスに相当し、水素は本発明の燃料ガスに相当している。
【0028】
空気供給流路20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気供給流路20aにおける空気ポンプ21と燃料電池10との間には、空気への加湿を行う加湿器22が設けられている。また、空気排出流路20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0029】
水素供給流路30aの最上流部には、水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給流路30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整するための水素調圧弁32が設けられている。
【0030】
水素排出流路30bには、水素供給流路30aにおける水素調圧弁32の下流側に接続されて閉ループを構成する水素循環流路30cが分岐して設けられており、これにより水素流路30内で水素を循環させて、未反応の水素を燃料電池10に再供給するようにしている。そして、水素循環流路30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が設けられている。
【0031】
燃料電池10は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムには、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させる冷却水経路40、冷却水を循環させるウォータポンプ41、ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0032】
冷却水経路40には、冷却水をラジエータ52をバイパスさせるためのバイパス経路44が設けられている。冷却水経路40とバイパス経路44との合流点には、バイパス経路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。また、冷却水経路40における燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。
【0033】
燃料電池システムには、各種制御を行う制御部(ECU)50が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。そして、制御部50には、電圧センサ11、電流センサ12からのセル電圧信号、温度センサ46からの温度信号、および後述する電流測定板100からの電流信号が入力される。また、制御部50は、演算結果に基づいて、空気ポンプ21、加湿器22、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、ウォータポンプ41、流路切替弁45等に制御信号を出力する。
【0034】
燃料電池システムには、電流測定板100からの信号を処理する信号処理回路51が設けられている。信号処理回路51は、電流測定板100の各電流測定部101からの信号を演算処理し、セル10aの面内における各電流測定部101に対応する部位に流れる電流を測定する。信号処理回路51は、演算した電流値を制御部50に出力し、制御部50では、セル10aの面内における電流分布を検出する。
【0035】
次に、電流測定板100について説明する。図3は、電流測定板100の分解斜視図である。図3に示すように、電流測定板100は、配線パターンが形成された複数のプリント基板110〜130を積層した積層基板(板状部材)として構成されている。プリント基板110〜130としては、一般的なガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0036】
電流測定板100は、第1基板110、第2基板120、第3基板130の3枚のプリント基板が積層されて構成され、各基板110〜130には、図3における左右両側に、空気、水素、冷却水がそれぞれ通過するマニホールドが形成されている。これらの基板110〜130は、絶縁性接着剤を介在させてホットプレスにより一体化されている。
【0037】
電流測定板100には、電流測定部101が複数設けられている。セル10aの面内における電流分布を測定するために、複数の電流測定部101が電流測定板100の板面の全体に渡って設けられている。電流測定部101は、直交する二方向にマトリクス状(格子状)に設けられている。電流測定部101は、紙面上下方向に6個、紙面左右方向に7個という配列となっている。各電流測定部101は、セル10aの面内において、それぞれが設けられた部位の電流値を測定可能となっている。
【0038】
電流測定部101は、一対の電極111、131と、これらを接続する電流測定用抵抗体121とを有している。一対の電極111、131は、電流測定板100における両外面に設けられ、第1電極111は第1基板110におけるセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に設けられており、第2電極131は第3基板130におけるセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に設けられている。
【0039】
電流測定用抵抗体121は、第1基板110と第3基板130に挟まれた第2基板120に設けられている。電流測定用抵抗体121は、第2基板120における第1基板110に対向する側(図3の紙面手前側)に設けられている。第2基板120における電流測定用抵抗体121が設けられている側の反対側(図3の紙面奥側)には電流測定用配線122が設けられている。図3では、電流測定用配線122を破線で囲まれた斜線で示している。第2基板120の1辺には、電流測定用配線122が接続された信号取り出し用のコネクタ123が設けられている。
【0040】
電流測定用抵抗体121は、電極111、131より抵抗値が大きい材料から構成されている。第1電極111、第2電極131、電流測定用抵抗体121は、金属箔として構成されており、これらは各基板110〜130に配線パターンとして形成されている。電極111、131と電流測定用配線122は銅箔から構成され、電流測定用抵抗体121はニッケル箔から構成されている。
【0041】
図4は電流測定部101の断面図であり、図5は電流測定部101の電流の流れを示す斜視図である。図4に示すように、第1基板110と第2基板120の間と、第2基板120と第3基板130の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤112、124が設けられている。図4、図5に示すように、各基板110〜130には、スルーホール101aが設けられている。スルーホール101aの内部には、電極111、131と同様の銅箔から構成される導電体が設けられている。
【0042】
スルーホール101aを介して、第1電極111と電流測定用抵抗体121が導通し、電流測定用抵抗体121と第2電極131が導通している。さらにスルーホール101aを介して電流測定用抵抗体121と電流測定用配線122が導通している。第1電極111は電流測定用抵抗体121の一端側と導通し、第2電極131は電流測定用抵抗体121の他端側と導通しているため、電流測定用抵抗体121では一端側と他端側との間で電流が流れることとなる。
【0043】
電流測定用配線122は、電流測定用抵抗体121の一端側および他端側と導通している。電流測定用配線122は、外部の配線と接続され、電流測定用電圧センサ102と接続されている。電流測定用電圧センサ102は、電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、信号を信号処理回路51に出力するように構成されている。なお、電流測定用電圧センサ102は、本発明の電流測定装置の一部を構成している。
【0044】
図6は、電流測定用抵抗体121の抵抗値と温度の関係を示している。図6に示すように、電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rは相関関係を有している。電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rの関係は、電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる前に、後述する抵抗値測定装置200により求められてマップ化されている。そして、図6に示す電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rとが関連づけられたマップは、制御部50内の抵抗体特性記憶手段としての記憶回路50aに記憶されている。
【0045】
次に、抵抗値測定装置200について説明する。図7は第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の要部の分解斜視図である。抵抗値測定装置200は、電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる前に、複数の温度条件下で電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを測定するものである。
【0046】
図7に示すように、抵抗値測定装置200は、第1電流供給板210と第2電流供給板220とにより電流測定板100を挟持するようになっている。第1電流供給板210および第2電流供給板220は、ガラスエポキシ基板等のプリント基板に配線パターンが形成されている。
【0047】
第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板電極211が設けられている。本実施形態では、第1供給板電極211は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第1電極111と同数設けられて、1つの第1供給板電極211と1つの第1電極111とが接触するようになっている。
【0048】
第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極221が設けられている。本実施形態では、第2供給板電極221は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第2電極131と同数設けられて、1つの第2供給板電極221と1つの第2電極131とが接触するようになっている。
【0049】
第1供給板電極211および第2供給板電極221は、金属箔として構成され、より詳細には銅箔から構成され、これらは各電流供給板210、220に配線パターンとして形成されている。また、第1供給板電極211および第2供給板電極221を構成する金属箔の表面に金メッキを施している。
【0050】
第1電流供給板210および第2電流供給板220には、定電流を出力する定電流電源230が接続され、定電流電源230から電流測定板100に定電流が供給されるようになっている。より詳細には、第1電流供給板210は定電流電源230の+極に接続され、第2電流供給板220は定電流電源230の−極に接続され、複数の電流測定部101は電気的に並列接続になっている。
【0051】
定電流電源230は、定電流電源230と複数の電流測定部101との接続関係を切り替える切替手段(図示せず)を備えており、この切替手段により、複数の電流測定部101のうち1つの電流測定部101のみに電流が供給されるようになっている。なお、第1電流供給板210、第2電流供給板220、および定電流電源230は、本発明の定電流供給手段を構成している。
【0052】
図8は抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。図8に示すように、第1電流供給板210と第2電流供給板220と電流測定板100は、第1電流供給板210と第2電流供給板220とにより電流測定板100を挟持した状態で、2つの締結治具240によって保持される。そして、第1電流供給板210、第2電流供給板220、電流測定板100、および締結治具240は、温度設定手段としての恒温槽250に入れられ、恒温槽250内の温度が制御されることによって、電流測定板100における電流測定用抵抗体121(図3参照)の温度が複数の設定温度に設定されるようになっている。
【0053】
電流測定板100の電流測定用配線122(図3参照)は、外部の配線と接続され、電位差測定手段としての検査用電圧センサ260と接続される。検査用電圧センサ260は、電流測定板100の電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、抵抗体特性算出手段としての検査用信号処理回路270に電位差信号を出力する。
【0054】
検査用信号処理回路270は、恒温槽250内の温度に関する信号が恒温槽250から入力されるようになっている。検査用信号処理回路270は、検査用電圧センサ260にて測定した電流測定用抵抗体121の電位差と、定電流電源230の供給電流の値(既知)とに基づいて、電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを算出する。そして、検査用信号処理回路270は、算出した抵抗値の情報と、恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0055】
次に、抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法について説明する。抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に制御した後に、以下の抵抗値測定処理を実行する。まず、複数の電流測定部101のうち1つの電流測定部101のみに定電流電源230から電流を供給し、その電流が供給されている電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を検査用電圧センサ260にて測定し、検査用信号処理回路270は、この電流測定用抵抗体121の電位差および供給電流の値に基づいて算出した抵抗値の情報と、電流測定用抵抗体121の電位差を測定したときの恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0056】
続いて、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に保ったまま、残りの全ての電流測定部101について、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0057】
さらに、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を他の設定温度に制御し、全ての電流測定部101について、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0058】
そして、抵抗値測定装置200から情報を受けた制御部50は、それぞれの電流測定用抵抗体121についての、抵抗値Rと温度Tとを関連づけたマップ(図6参照)を、記憶回路50aに記憶する。
【0059】
以上の抵抗値測定装置200による抵抗値測定が終了すると、抵抗値測定に供された電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる。
【0060】
次に、燃料電池10に組み付けられた電流測定板100による電流測定方法について説明する。燃料電池10に水素および空気が供給開始されることで、燃料電池10での発電が開始される。電流測定板100の各電流測定部101では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極111の板面に電流が流れる。そして、第1電極111→スルーホール101a→電流測定用抵抗体121→スルーホール101a→第2電極131の順に電流が流れ、第2電極131の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。このとき、電流測定用電圧センサ102で電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の電位差を測定する。
【0061】
ここで、温度センサ46により検出した冷却水温度は、燃料電池10内の温度、ひいては電流測定用抵抗体121の温度Tと相関があり、実用的には略同一と見なすことができる。そこで、本実施形態では、電流測定用抵抗体121の温度T=温度センサ46により検出した冷却水温度としている。
【0062】
そして、信号処理回路51は、電流測定用電圧センサ102で電位差を測定したときの電流測定用抵抗体121の温度T(=温度センサ46により検出した冷却水温度)に対応する、全ての電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを、記憶回路50a内のマップ(図6に示したマップ)から取得する。
【0063】
次に、信号処理回路51は、全ての電流測定部101について、記憶回路50a内のマップから取得した電流測定用抵抗体121の抵抗値Rと、電流測定用電圧センサ102にて測定した電位差Vを用い、電位差Vを抵抗値Rで除算することで、各電流測定用抵抗体121に流れる電流値を算出する。これにより、信号処理回路51では、セル10aの面内における電流測定板100の各電流測定部101に対応する部位の電流値を測定することができ、制御部50では、セル10aの面内における電流分布を測定することができる。
【0064】
本実施形態によると、燃料電池10に組み付けられる電流測定板100の各電流測定用抵抗体121毎の温度と抵抗値との関係を、燃料電池10への組み付け前に抵抗値測定装置200により測定して記憶回路50aに記憶させることができるため、電流測定用抵抗体121を燃料電池10に組み付けた後に燃料電池10のセル10aの面内を流れる電流値を検出する際に、電流測定用抵抗体121の個体差による温度と抵抗値との関係のバラツキの影響を受けることなく、精度よく検出することができる。
【0065】
また、抵抗値測定装置200の第1供給板電極211および第2供給板電極221は、金属箔として構成されているため、抵抗値測定装置200の厚みを薄くすることができる。さらに、その金属箔の表面に金メッキを施しているため、第1供給板電極211および第2供給板電極221と電流測定用抵抗体121との間の接触抵抗が小さくなり、電流測定用抵抗体121の全域に均一に電流が流れやすくなるため、電流測定用抵抗体121の電位差を精度よく測定することができるとともに、第1供給板電極211および第2供給板電極221の耐腐食性を向上させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図9は第2実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図、図10(a)は図9の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、図10(b)は図9の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図、図11(a)は図9の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、図11(b)は図9の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【0067】
本実施形態は、電流測定板100、および抵抗値測定装置200の電流供給板210、220の構成が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
まず、本実施形態では、電流測定板100の電流測定部101は、8列8行のマトリクス状に配置されている。
【0069】
図9、図10に示すように、抵抗値測定装置200の第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板両端電極212および第1供給板中間電極213が複数設けられている。第1供給板両端電極212は1つの第1電極111と接触し、第1供給板中間電極213は2つの第1電極111と接触するようになっている。第1供給板両端電極212および第1供給板中間電極213は、直交する二方向にマトリクス状に設けられている。
【0070】
第1電流供給板210は、反電流測定板100側に、第1供給板両端電極212と接続される第1供給板外側電極214が2つ設けられている。第1電流供給板210には、スルーホール215が設けられ、このスルーホール215の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって第1供給板両端電極212と第1供給板外側電極214とが接続されている。2つの第1供給板外側電極214のうちの一方の第1供給板外側電極214は定電流電源230の+極に接続され、2つの第1供給板外側電極214のうちの他方の第1供給板外側電極214は定電流電源230の−極に接続される。
【0071】
図9、図11に示すように、抵抗値測定装置200の第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極222が複数設けられている。第2供給板電極222は、直交する二方向にマトリクス状に設けられ、2つの第2電極131と接触するようになっている。
【0072】
図9の実線矢印は電流の経路を示しており、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、以下の経路で電流が流れる。すなわち、定電流電源230の+極→第1供給板外側電極214→スルーホール215→第1供給板両端電極212→電流測定部101→第2供給板電極222→電流測定部101→第1供給板中間電極213……電流測定部101→第2供給板電極222→電流測定部101→第1供給板両端電極212→スルーホール215→第1供給板外側電極214→定電流電源230の−極の経路で電流が流れる。換言すると、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が電気的に直列に接続される。
【0073】
本実施形態の抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法について説明する。抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に制御した後に、以下の抵抗値測定処理を実行する。まず、電流測定部101に定電流電源230から電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を検査用電圧センサ260にて測定し、検査用信号処理回路270は、各電流測定用抵抗体121の電位差および供給電流の値(既知)に基づいて算出した抵抗値の情報と、電流測定用抵抗体121の電位差を測定したときの恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0074】
さらに、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を他の設定温度に制御して、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0075】
そして、抵抗値測定装置200から情報を受けた制御部50は、それぞれの電流測定用抵抗体121についての、抵抗値Rと温度Tとを関連づけたマップ(図6参照)を、記憶回路50aに記憶する。
【0076】
以上の抵抗値測定装置200による抵抗値測定が終了すると、抵抗値測定に供された電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる。
【0077】
本実施形態では、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が直列に接続されるため、1つの定電流電源230にて定電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を同時に測定することができるため、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121が並列に接続される場合と比較して、電流測定用抵抗体121の電位差を測定する工数が低減される。
【0078】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図12は第3実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図、図13(a)は図12の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、図13(b)は図12の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図、図14(a)は図12の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、図14(b)は図12の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【0079】
本実施形態は、電流測定板100、および抵抗値測定装置200の電流供給板210、220の構成が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
まず、本実施形態では、電流測定板100の電流測定部101は、8列8行のマトリクス状に配置されている。
【0081】
図12、図13に示すように、抵抗値測定装置200の第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板電極216が設けられている。本実施形態では、第1供給板電極216は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第1電極111と同数設けられて、1つの第1供給板電極216と1つの第1電極111とが接触するようになっている。
【0082】
第1電流供給板210は、反電流測定板100側に、1つの第1供給板電極216と接続される第1供給板外側両端電極217が2つ設けられるとともに、2つの第1供給板電極216と接続される第1供給板外側中間電極218が多数設けられている。第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218は、直交する二方向にマトリクス状に配置されている。
【0083】
第1電流供給板210には、第1接続部としてのスルーホール215が設けられ、このスルーホール215の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって、第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218と第1供給板電極216とが接続されている。
【0084】
2つの第1供給板外側両端電極217のうちの一方の第1供給板外側両端電極217は定電流電源230の+極に接続され、2つの第1供給板外側両端電極217のうちの他方の第1供給板外側両端電極217は定電流電源230の−極に接続される。
【0085】
図12、図14に示すように、抵抗値測定装置200の第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極223が設けられている。本実施形態では、第2供給板電極223は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第2電極131と同数設けられて、1つの第2供給板電極223と1つの第2電極131とが接触するようになっている。
【0086】
第2電流供給板220は、反電流測定板100側に、2つの第2供給板電極223と接続される第2供給板外側電極224が多数設けられている。第2供給板外側電極224は、直交する二方向にマトリクス状に配置されている。
【0087】
第2電流供給板220には、第2接続部としてのスルーホール225が設けられ、このスルーホール225の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって、第2供給板外側電極224と第2供給板電極223とが接続されている。
【0088】
第1供給板電極216および第2供給板電極223の厚みは等しくなっている。また、第1供給板外側両端電極217、第1供給板外側中間電極218、および第2供給板外側電極224の厚みは等しくなっている。そして、第1供給板外側両端電極217、第1供給板外側中間電極218、および第2供給板外側電極224は、第1供給板電極216および第2供給板電極223よりも、厚みが大きくなっている。
【0089】
図12の実線矢印は電流の経路を示しており、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、以下の経路で電流が流れる。すなわち、定電流電源230の+極→第1供給板外側両端電極217→スルーホール215→第1供給板電極216→電流測定部101→第2供給板電極223→スルーホール225→第2供給板外側電極224→スルーホール225→第2供給板電極223→電流測定部101→第1供給板電極216→スルーホール215→第1供給板外側中間電極218→スルーホール215→第1供給板電極216……電流測定部101→第2供給板電極223→スルーホール225→第2供給板外側電極224→スルーホール225→第2供給板電極223→電流測定部101→第1供給板電極216→スルーホール215→第1供給板外側両端電極217→定電流電源230の−極の経路で電流が流れる。換言すると、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が電気的に直列に接続される。
【0090】
本実施形態の抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法は、第2実施形態と同じである。
【0091】
本実施形態では、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が直列に接続されるため、1つの定電流電源230にて定電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を同時に測定することができるため、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121が並列に接続される場合と比較して、電流測定用抵抗体121の電位差を測定する工数が低減される。
【0092】
また、本実施形態では、第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218から第1供給板電極216に電流が流れる際に、スルーホール215がバッファ層として機能して第1供給板電極216の全域に均一化されて電流が流れるとともに、第2供給板外側電極224から第2供給板電極223に電流が流れる際に、スルーホール225がバッファ層として機能して第2供給板電極223の全域に均一化されて電流が流れるため、第1供給板電極216や第2供給板電極223から電流測定部101の電流測定用抵抗体121の全域に均一化されて電流が流れ、電流測定用抵抗体121の電位差を精度よく測定することができる。
【0093】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図15は第4実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0094】
本実施形態は、緩衝板280a、280bを追加した点が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
本実施形態は、図15に示すように、第1電流供給板210の第1供給板電極211と、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)との間に、導電性ゴムよりなる第1緩衝板280aが配置されている。この第1緩衝板280aは第1供給板電極211および第1電極111に接触しており、第1緩衝板280aを介して第1供給板電極211と第1電極111とが導通している。
【0096】
また、第2電流供給板220の第2供給板電極221と、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)との間に、導電性ゴムよりなる第2緩衝板280bが配置されている。この第2緩衝板280bは第2供給板電極221および第2電極131に接触しており、第2緩衝板280bを介して第2供給板電極221と第2電極131とが導通している。
【0097】
これによると、緩衝板280a、280bは弾性を有するため、緩衝板280a、280bと第1電極111および第2電極131との面当たりや緩衝板280a、280bと供給板電極211、221との面当たりが良くなり、電流測定部101の電流測定用抵抗体121の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体の電位差を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】燃料電池システムを示す模式図である。
【図2】図1の燃料電池10の斜視図である。
【図3】図2の電流測定板100の分解斜視図である。
【図4】図3の電流測定部101の断面図である。
【図5】図3の電流測定部101の電流の流れを示す斜視図である。
【図6】図3の電流測定用抵抗体121の抵抗値と温度の関係を示す特性図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の要部の分解斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図10】(a)は図9の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、(b)は図9の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図である。
【図11】(a)は図9の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、(b)は図9の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図13】(a)は図12の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、(b)は図12の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図である。
【図14】(a)は図12の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、(b)は図12の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0099】
10 燃料電池
121 抵抗体
210 第1電流供給板(定電流供給手段)
220 第2電流供給板(定電流供給手段)
230 定電流電源(定電流供給手段)
250 恒温槽(温度設定手段)
260 検査用電圧センサ(電位差測定手段)
270 検査用信号処理回路(抵抗体特性算出手段)
50a 記憶回路(抵抗体特性記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の電流経路に配置される抵抗体の抵抗値を、抵抗体が燃料電池に組み付けられる前に測定する抵抗値測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、電気エネルギを出力する複数のセルを積層配置して構成された燃料電池に適用されて、この燃料電池の内部を流れる電流を測定する電流測定装置が開示されている。
【0003】
この特許文献1の電流測定装置は、隣合うセルのうち一方のセルに電気的に接触する第1電極、他方のセルに電気的に接触する第2電極、および、第1電極と第2電極とを電気的に接続する抵抗体を有して構成された電流測定部を備えている。また、抵抗体の温度と抵抗値とが関連づけられたマップを記憶手段に記憶させている。
【0004】
そして、電流測定部の第1電極と抵抗体とを接続する接続部および抵抗体と第2電極とを接続する接続部間の電位差を電流測定用電圧センサで検出するとともに、そのときの抵抗体の温度に対応する抵抗値を記憶手段から読み出して取得し、検出された電位差を取得した抵抗体の抵抗値で除することによって、燃料電池の内部を流れる電流を測定している。
【特許文献1】特開2007−280643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電流測定装置は、抵抗体の温度と抵抗値との関係を事前に測定しておかないと、燃料電池の内部を流れる電流を正確に検出することができないが、抵抗体の温度と抵抗値との関係を測定するための具体的な手法については言及されていない。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池の電流経路を流れる電流値を精度よく検出可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、燃料電池(10)の電流経路に抵抗体(121)を配置し、抵抗体(121)の温度と抵抗値との関係を抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させ、抵抗体(121)の両端の電位差および抵抗体特性記憶手段(50a)から取得した抵抗体(121)の抵抗値に基づいて電流経路を流れる電流値を検出するように構成された電流測定装置の製造工程において用いられ、電流測定装置が燃料電池(10)に組み付けられる前に抵抗体(121)の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、抵抗体(121)に定電流を供給する定電流供給手段(210、220、230)と、抵抗体(121)の温度を複数の所定の温度に設定する温度設定手段(250)と、複数の温度条件下で抵抗体(121)の電位差を測定する電位差測定手段(260)と、電位差測定手段(260)にて測定した測定電位差と定電流供給手段(210、220、230)から供給される電流値とに基づいて抵抗体(121)の抵抗値を算出するとともに、算出した抵抗体(121)の抵抗値の情報および温度設定手段(250)にて設定された温度の情報を抵抗体特性記憶手段(50a)に出力する抵抗体特性算出手段(270)とを備えることを特徴とする。
【0008】
これによると、燃料電池(10)に組み付けられる各抵抗体(121)毎の温度と抵抗値との関係を組み付け前に測定して抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させることができるため、抵抗体(121)を燃料電池(10)に組み付けた後に燃料電池(10)の電流経路を流れる電流値を検出する際に、抵抗体(121)の個体差による温度と抵抗値との関係のバラツキの影響を受けることなく、精度よく検出することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の抵抗値測定装置において、燃料電池(10)は、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成され、電流測定装置は、隣合うセル(10a)間に配置される板状の電流測定板(100)を含み、電流測定板(100)は、隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、第1電極(111)と第2電極(131)とを電気的に接続する抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)を複数備え、定電流供給手段(210、220、230)は、定電流を出力する定電流電源(230)と、定電流電源(230)に接続されるとともに、電流測定板(100)を挟持して電流測定部(101)に電流を導く第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)とを備えることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の抵抗値測定装置において、電流測定板(100)が第1電流供給板(210)と第2電流供給板(220)とによって挟持されたときに、複数の電流測定部(101)が電気的に直列に接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、複数の電流測定部(101)が直列に接続されるように構成されているため、1つの定電流電源(230)にて定電流を供給しつつ複数の抵抗体(121)の電位差を同時に測定することができるため、複数の電流測定部(101)が並列に接続される場合と比較して、抵抗体(121)の電位差を測定する工数が低減される。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)は、電流測定板(100)側に配置されて第1電極(111)に接触する第1供給板電極(216)と、反電流測定板側に設けられた第1供給板外側電極(217、218)と、第1供給板電極(216)と第1供給板外側電極(217、218)とを接続する第1接続部(215)とを備え、第2電流供給板(220)は、電流測定板(100)側に配置されて第2電極(131)に接触する第2供給板電極(223)と、反電流測定板側に設けられた第2供給板外側電極(224)と、第2供給板電極(223)と第2供給板外側電極(224)とを接続する第2接続部(225)とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによると、供給板外側電極(217、218、224)から供給板電極(216、223)に電流が流れる際に、接続部(215、225)がバッファ層として機能して供給板電極(216、223)の全域に均一化されて電流が流れ、ひいては供給板電極(216、223)から抵抗体(121)の全域に均一化されて電流が流れるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の抵抗値測定装置において、第1供給板外側電極(217、218)および第2供給板外側電極(224)は、第1供給板電極(216)および第2供給板電極(223)よりも、厚みが大きいことを特徴とする。
【0015】
これによると、供給板外側電極(217、218、224)の抵抗値が下がり、供給板外側電極(217、218、224)の全域に電流が流れやすくなるため、供給板外側電極(217、218、224)から供給板電極(216、223)の全域に均一化されて電流が流れ、ひいては供給板電極(216、223)から抵抗体(121)の全域に均一化されて電流が流れて、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項2に記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)は、電流測定板(100)側に配置された第1供給板電極(211、212、213、216)を備え、第2電流供給板(220)は、電流測定板(100)側に配置された第2供給板電極(221、222、223)を備え、電流測定板(100)と第1電流供給板(210)との間に配置された導電性ゴムよりなる第1緩衝板(280a)が、第1電極(111)および第1供給板電極(211、212、213、216)に接触し、電流測定板(100)と第2電流供給板(220)との間に配置された導電性ゴムよりなる第2緩衝板(280b)が、第2電極(131)および第2供給板電極(221、222、223)に接触していることを特徴とする。
【0017】
これによると、緩衝板(280a、280b)は弾性を有するため、緩衝板(280a、280b)と第1電極(111)および第2電極(131)との面当たりや緩衝板(280a、280b)と供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)との面当たりが良くなり、第1電極(111)および第2電極(131)の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、請求項2ないし6のいずれか1つに記載の抵抗値測定装置において、第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)における電流経路は、金属箔から構成されていることを特徴とする。これによると、抵抗値測定装置の厚みを薄くすることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の抵抗値測定装置において、金属箔の表面に金メッキが施されていることを特徴とする。
【0020】
これによると、供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)と抵抗体(121)との間の接触抵抗が小さくなり、抵抗体(121)の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体(121)の電位差を精度よく測定することができる。また、供給板電極(211、212、213、216、221、222、223)の耐腐食性を向上させることができる。
【0021】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は燃料電池システムを示す模式図で、この燃料電池システムは例えば電気自動車に適用される。
【0024】
図1に示すように、燃料電池システムは、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生する燃料電池10を備えている。この燃料電池10は、図示しない電気負荷や2次電池等の電気機器に電力を供給するものである。因みに、電気自動車の場合、車両走行駆動源としての電動モータが電気負荷に相当している。
【0025】
この燃料電池10は固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となる燃料電池セル10aが複数個積層され、且つ電気的に直列接続されている。燃料電池10では、以下の水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
(負極側)H2→2H++2e−
(正極側)2H++1/2O2+2e−→H2O
そして、燃料電池10の出力電圧を検出する電圧センサ11と、燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ12とが設けられている。
【0026】
図2は、燃料電池10の斜視図である。図2に示すように、積層されたセル10aの間には、燃料電池10のセル面内の電流分布を測定するための電流測定装置における電流測定板100が設けられている。電流測定板100は板状部材として構成されている。電流測定板100は、隣り合うセル10aに挟まれて配置されており、隣り合うセル10aと電気的に直列接続されている。電流測定板100が出力する電位差信号は、後述の信号処理回路51に入力する。電流測定板100については後述する。
【0027】
図1に戻り、燃料電池システムには、燃料電池10の空気極(正極)側に空気(酸素)を供給するための空気流路20と、燃料電池10の水素極(負極)側に水素を供給するための水素流路30が設けられている。ここで、空気流路20における燃料電池10より上流側を空気供給流路20aといい、下流側を空気排出流路20bという。また、水素流路30における燃料電池10より上流側を水素供給流路30aといい、下流側を水素排出流路30bという。なお、空気は本発明の酸化ガスに相当し、水素は本発明の燃料ガスに相当している。
【0028】
空気供給流路20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気供給流路20aにおける空気ポンプ21と燃料電池10との間には、空気への加湿を行う加湿器22が設けられている。また、空気排出流路20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0029】
水素供給流路30aの最上流部には、水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給流路30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整するための水素調圧弁32が設けられている。
【0030】
水素排出流路30bには、水素供給流路30aにおける水素調圧弁32の下流側に接続されて閉ループを構成する水素循環流路30cが分岐して設けられており、これにより水素流路30内で水素を循環させて、未反応の水素を燃料電池10に再供給するようにしている。そして、水素循環流路30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が設けられている。
【0031】
燃料電池10は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムには、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させる冷却水経路40、冷却水を循環させるウォータポンプ41、ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0032】
冷却水経路40には、冷却水をラジエータ52をバイパスさせるためのバイパス経路44が設けられている。冷却水経路40とバイパス経路44との合流点には、バイパス経路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。また、冷却水経路40における燃料電池10の出口側近傍には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。
【0033】
燃料電池システムには、各種制御を行う制御部(ECU)50が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。そして、制御部50には、電圧センサ11、電流センサ12からのセル電圧信号、温度センサ46からの温度信号、および後述する電流測定板100からの電流信号が入力される。また、制御部50は、演算結果に基づいて、空気ポンプ21、加湿器22、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、ウォータポンプ41、流路切替弁45等に制御信号を出力する。
【0034】
燃料電池システムには、電流測定板100からの信号を処理する信号処理回路51が設けられている。信号処理回路51は、電流測定板100の各電流測定部101からの信号を演算処理し、セル10aの面内における各電流測定部101に対応する部位に流れる電流を測定する。信号処理回路51は、演算した電流値を制御部50に出力し、制御部50では、セル10aの面内における電流分布を検出する。
【0035】
次に、電流測定板100について説明する。図3は、電流測定板100の分解斜視図である。図3に示すように、電流測定板100は、配線パターンが形成された複数のプリント基板110〜130を積層した積層基板(板状部材)として構成されている。プリント基板110〜130としては、一般的なガラスエポキシ基板を用いることができる。
【0036】
電流測定板100は、第1基板110、第2基板120、第3基板130の3枚のプリント基板が積層されて構成され、各基板110〜130には、図3における左右両側に、空気、水素、冷却水がそれぞれ通過するマニホールドが形成されている。これらの基板110〜130は、絶縁性接着剤を介在させてホットプレスにより一体化されている。
【0037】
電流測定板100には、電流測定部101が複数設けられている。セル10aの面内における電流分布を測定するために、複数の電流測定部101が電流測定板100の板面の全体に渡って設けられている。電流測定部101は、直交する二方向にマトリクス状(格子状)に設けられている。電流測定部101は、紙面上下方向に6個、紙面左右方向に7個という配列となっている。各電流測定部101は、セル10aの面内において、それぞれが設けられた部位の電流値を測定可能となっている。
【0038】
電流測定部101は、一対の電極111、131と、これらを接続する電流測定用抵抗体121とを有している。一対の電極111、131は、電流測定板100における両外面に設けられ、第1電極111は第1基板110におけるセル10aに対向する面(図3の紙面手前側)に設けられており、第2電極131は第3基板130におけるセル10aに対向する面(図3の紙面奥側)に設けられている。
【0039】
電流測定用抵抗体121は、第1基板110と第3基板130に挟まれた第2基板120に設けられている。電流測定用抵抗体121は、第2基板120における第1基板110に対向する側(図3の紙面手前側)に設けられている。第2基板120における電流測定用抵抗体121が設けられている側の反対側(図3の紙面奥側)には電流測定用配線122が設けられている。図3では、電流測定用配線122を破線で囲まれた斜線で示している。第2基板120の1辺には、電流測定用配線122が接続された信号取り出し用のコネクタ123が設けられている。
【0040】
電流測定用抵抗体121は、電極111、131より抵抗値が大きい材料から構成されている。第1電極111、第2電極131、電流測定用抵抗体121は、金属箔として構成されており、これらは各基板110〜130に配線パターンとして形成されている。電極111、131と電流測定用配線122は銅箔から構成され、電流測定用抵抗体121はニッケル箔から構成されている。
【0041】
図4は電流測定部101の断面図であり、図5は電流測定部101の電流の流れを示す斜視図である。図4に示すように、第1基板110と第2基板120の間と、第2基板120と第3基板130の間には、電気絶縁性を有する絶縁性接着剤112、124が設けられている。図4、図5に示すように、各基板110〜130には、スルーホール101aが設けられている。スルーホール101aの内部には、電極111、131と同様の銅箔から構成される導電体が設けられている。
【0042】
スルーホール101aを介して、第1電極111と電流測定用抵抗体121が導通し、電流測定用抵抗体121と第2電極131が導通している。さらにスルーホール101aを介して電流測定用抵抗体121と電流測定用配線122が導通している。第1電極111は電流測定用抵抗体121の一端側と導通し、第2電極131は電流測定用抵抗体121の他端側と導通しているため、電流測定用抵抗体121では一端側と他端側との間で電流が流れることとなる。
【0043】
電流測定用配線122は、電流測定用抵抗体121の一端側および他端側と導通している。電流測定用配線122は、外部の配線と接続され、電流測定用電圧センサ102と接続されている。電流測定用電圧センサ102は、電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、信号を信号処理回路51に出力するように構成されている。なお、電流測定用電圧センサ102は、本発明の電流測定装置の一部を構成している。
【0044】
図6は、電流測定用抵抗体121の抵抗値と温度の関係を示している。図6に示すように、電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rは相関関係を有している。電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rの関係は、電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる前に、後述する抵抗値測定装置200により求められてマップ化されている。そして、図6に示す電流測定用抵抗体121の温度Tと抵抗値Rとが関連づけられたマップは、制御部50内の抵抗体特性記憶手段としての記憶回路50aに記憶されている。
【0045】
次に、抵抗値測定装置200について説明する。図7は第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の要部の分解斜視図である。抵抗値測定装置200は、電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる前に、複数の温度条件下で電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを測定するものである。
【0046】
図7に示すように、抵抗値測定装置200は、第1電流供給板210と第2電流供給板220とにより電流測定板100を挟持するようになっている。第1電流供給板210および第2電流供給板220は、ガラスエポキシ基板等のプリント基板に配線パターンが形成されている。
【0047】
第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板電極211が設けられている。本実施形態では、第1供給板電極211は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第1電極111と同数設けられて、1つの第1供給板電極211と1つの第1電極111とが接触するようになっている。
【0048】
第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極221が設けられている。本実施形態では、第2供給板電極221は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第2電極131と同数設けられて、1つの第2供給板電極221と1つの第2電極131とが接触するようになっている。
【0049】
第1供給板電極211および第2供給板電極221は、金属箔として構成され、より詳細には銅箔から構成され、これらは各電流供給板210、220に配線パターンとして形成されている。また、第1供給板電極211および第2供給板電極221を構成する金属箔の表面に金メッキを施している。
【0050】
第1電流供給板210および第2電流供給板220には、定電流を出力する定電流電源230が接続され、定電流電源230から電流測定板100に定電流が供給されるようになっている。より詳細には、第1電流供給板210は定電流電源230の+極に接続され、第2電流供給板220は定電流電源230の−極に接続され、複数の電流測定部101は電気的に並列接続になっている。
【0051】
定電流電源230は、定電流電源230と複数の電流測定部101との接続関係を切り替える切替手段(図示せず)を備えており、この切替手段により、複数の電流測定部101のうち1つの電流測定部101のみに電流が供給されるようになっている。なお、第1電流供給板210、第2電流供給板220、および定電流電源230は、本発明の定電流供給手段を構成している。
【0052】
図8は抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。図8に示すように、第1電流供給板210と第2電流供給板220と電流測定板100は、第1電流供給板210と第2電流供給板220とにより電流測定板100を挟持した状態で、2つの締結治具240によって保持される。そして、第1電流供給板210、第2電流供給板220、電流測定板100、および締結治具240は、温度設定手段としての恒温槽250に入れられ、恒温槽250内の温度が制御されることによって、電流測定板100における電流測定用抵抗体121(図3参照)の温度が複数の設定温度に設定されるようになっている。
【0053】
電流測定板100の電流測定用配線122(図3参照)は、外部の配線と接続され、電位差測定手段としての検査用電圧センサ260と接続される。検査用電圧センサ260は、電流測定板100の電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の2点間の電位差を測定し、抵抗体特性算出手段としての検査用信号処理回路270に電位差信号を出力する。
【0054】
検査用信号処理回路270は、恒温槽250内の温度に関する信号が恒温槽250から入力されるようになっている。検査用信号処理回路270は、検査用電圧センサ260にて測定した電流測定用抵抗体121の電位差と、定電流電源230の供給電流の値(既知)とに基づいて、電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを算出する。そして、検査用信号処理回路270は、算出した抵抗値の情報と、恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0055】
次に、抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法について説明する。抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に制御した後に、以下の抵抗値測定処理を実行する。まず、複数の電流測定部101のうち1つの電流測定部101のみに定電流電源230から電流を供給し、その電流が供給されている電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を検査用電圧センサ260にて測定し、検査用信号処理回路270は、この電流測定用抵抗体121の電位差および供給電流の値に基づいて算出した抵抗値の情報と、電流測定用抵抗体121の電位差を測定したときの恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0056】
続いて、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に保ったまま、残りの全ての電流測定部101について、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0057】
さらに、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を他の設定温度に制御し、全ての電流測定部101について、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0058】
そして、抵抗値測定装置200から情報を受けた制御部50は、それぞれの電流測定用抵抗体121についての、抵抗値Rと温度Tとを関連づけたマップ(図6参照)を、記憶回路50aに記憶する。
【0059】
以上の抵抗値測定装置200による抵抗値測定が終了すると、抵抗値測定に供された電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる。
【0060】
次に、燃料電池10に組み付けられた電流測定板100による電流測定方法について説明する。燃料電池10に水素および空気が供給開始されることで、燃料電池10での発電が開始される。電流測定板100の各電流測定部101では、電流流れ方向上流側のセル10aから第1電極111の板面に電流が流れる。そして、第1電極111→スルーホール101a→電流測定用抵抗体121→スルーホール101a→第2電極131の順に電流が流れ、第2電極131の板面から電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。このとき、電流測定用電圧センサ102で電流測定用抵抗体121の一端側および他端側の電位差を測定する。
【0061】
ここで、温度センサ46により検出した冷却水温度は、燃料電池10内の温度、ひいては電流測定用抵抗体121の温度Tと相関があり、実用的には略同一と見なすことができる。そこで、本実施形態では、電流測定用抵抗体121の温度T=温度センサ46により検出した冷却水温度としている。
【0062】
そして、信号処理回路51は、電流測定用電圧センサ102で電位差を測定したときの電流測定用抵抗体121の温度T(=温度センサ46により検出した冷却水温度)に対応する、全ての電流測定用抵抗体121の抵抗値Rを、記憶回路50a内のマップ(図6に示したマップ)から取得する。
【0063】
次に、信号処理回路51は、全ての電流測定部101について、記憶回路50a内のマップから取得した電流測定用抵抗体121の抵抗値Rと、電流測定用電圧センサ102にて測定した電位差Vを用い、電位差Vを抵抗値Rで除算することで、各電流測定用抵抗体121に流れる電流値を算出する。これにより、信号処理回路51では、セル10aの面内における電流測定板100の各電流測定部101に対応する部位の電流値を測定することができ、制御部50では、セル10aの面内における電流分布を測定することができる。
【0064】
本実施形態によると、燃料電池10に組み付けられる電流測定板100の各電流測定用抵抗体121毎の温度と抵抗値との関係を、燃料電池10への組み付け前に抵抗値測定装置200により測定して記憶回路50aに記憶させることができるため、電流測定用抵抗体121を燃料電池10に組み付けた後に燃料電池10のセル10aの面内を流れる電流値を検出する際に、電流測定用抵抗体121の個体差による温度と抵抗値との関係のバラツキの影響を受けることなく、精度よく検出することができる。
【0065】
また、抵抗値測定装置200の第1供給板電極211および第2供給板電極221は、金属箔として構成されているため、抵抗値測定装置200の厚みを薄くすることができる。さらに、その金属箔の表面に金メッキを施しているため、第1供給板電極211および第2供給板電極221と電流測定用抵抗体121との間の接触抵抗が小さくなり、電流測定用抵抗体121の全域に均一に電流が流れやすくなるため、電流測定用抵抗体121の電位差を精度よく測定することができるとともに、第1供給板電極211および第2供給板電極221の耐腐食性を向上させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図9は第2実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図、図10(a)は図9の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、図10(b)は図9の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図、図11(a)は図9の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、図11(b)は図9の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【0067】
本実施形態は、電流測定板100、および抵抗値測定装置200の電流供給板210、220の構成が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
まず、本実施形態では、電流測定板100の電流測定部101は、8列8行のマトリクス状に配置されている。
【0069】
図9、図10に示すように、抵抗値測定装置200の第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板両端電極212および第1供給板中間電極213が複数設けられている。第1供給板両端電極212は1つの第1電極111と接触し、第1供給板中間電極213は2つの第1電極111と接触するようになっている。第1供給板両端電極212および第1供給板中間電極213は、直交する二方向にマトリクス状に設けられている。
【0070】
第1電流供給板210は、反電流測定板100側に、第1供給板両端電極212と接続される第1供給板外側電極214が2つ設けられている。第1電流供給板210には、スルーホール215が設けられ、このスルーホール215の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって第1供給板両端電極212と第1供給板外側電極214とが接続されている。2つの第1供給板外側電極214のうちの一方の第1供給板外側電極214は定電流電源230の+極に接続され、2つの第1供給板外側電極214のうちの他方の第1供給板外側電極214は定電流電源230の−極に接続される。
【0071】
図9、図11に示すように、抵抗値測定装置200の第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極222が複数設けられている。第2供給板電極222は、直交する二方向にマトリクス状に設けられ、2つの第2電極131と接触するようになっている。
【0072】
図9の実線矢印は電流の経路を示しており、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、以下の経路で電流が流れる。すなわち、定電流電源230の+極→第1供給板外側電極214→スルーホール215→第1供給板両端電極212→電流測定部101→第2供給板電極222→電流測定部101→第1供給板中間電極213……電流測定部101→第2供給板電極222→電流測定部101→第1供給板両端電極212→スルーホール215→第1供給板外側電極214→定電流電源230の−極の経路で電流が流れる。換言すると、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が電気的に直列に接続される。
【0073】
本実施形態の抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法について説明する。抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を第1設定温度に制御した後に、以下の抵抗値測定処理を実行する。まず、電流測定部101に定電流電源230から電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を検査用電圧センサ260にて測定し、検査用信号処理回路270は、各電流測定用抵抗体121の電位差および供給電流の値(既知)に基づいて算出した抵抗値の情報と、電流測定用抵抗体121の電位差を測定したときの恒温槽250の温度の情報とを、制御部50に出力する。
【0074】
さらに、抵抗値測定装置200は、恒温槽250内の温度を他の設定温度に制御して、上記の抵抗値測定処理を実行する。
【0075】
そして、抵抗値測定装置200から情報を受けた制御部50は、それぞれの電流測定用抵抗体121についての、抵抗値Rと温度Tとを関連づけたマップ(図6参照)を、記憶回路50aに記憶する。
【0076】
以上の抵抗値測定装置200による抵抗値測定が終了すると、抵抗値測定に供された電流測定板100が燃料電池10に組み付けられる。
【0077】
本実施形態では、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が直列に接続されるため、1つの定電流電源230にて定電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を同時に測定することができるため、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121が並列に接続される場合と比較して、電流測定用抵抗体121の電位差を測定する工数が低減される。
【0078】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図12は第3実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図、図13(a)は図12の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、図13(b)は図12の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図、図14(a)は図12の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、図14(b)は図12の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【0079】
本実施形態は、電流測定板100、および抵抗値測定装置200の電流供給板210、220の構成が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
まず、本実施形態では、電流測定板100の電流測定部101は、8列8行のマトリクス状に配置されている。
【0081】
図12、図13に示すように、抵抗値測定装置200の第1電流供給板210は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)に接触する第1供給板電極216が設けられている。本実施形態では、第1供給板電極216は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第1電極111と同数設けられて、1つの第1供給板電極216と1つの第1電極111とが接触するようになっている。
【0082】
第1電流供給板210は、反電流測定板100側に、1つの第1供給板電極216と接続される第1供給板外側両端電極217が2つ設けられるとともに、2つの第1供給板電極216と接続される第1供給板外側中間電極218が多数設けられている。第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218は、直交する二方向にマトリクス状に配置されている。
【0083】
第1電流供給板210には、第1接続部としてのスルーホール215が設けられ、このスルーホール215の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって、第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218と第1供給板電極216とが接続されている。
【0084】
2つの第1供給板外側両端電極217のうちの一方の第1供給板外側両端電極217は定電流電源230の+極に接続され、2つの第1供給板外側両端電極217のうちの他方の第1供給板外側両端電極217は定電流電源230の−極に接続される。
【0085】
図12、図14に示すように、抵抗値測定装置200の第2電流供給板220は、電流測定板100に対向する面に、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)に接触する第2供給板電極223が設けられている。本実施形態では、第2供給板電極223は、直交する二方向にマトリクス状に配置されるとともに、第2電極131と同数設けられて、1つの第2供給板電極223と1つの第2電極131とが接触するようになっている。
【0086】
第2電流供給板220は、反電流測定板100側に、2つの第2供給板電極223と接続される第2供給板外側電極224が多数設けられている。第2供給板外側電極224は、直交する二方向にマトリクス状に配置されている。
【0087】
第2電流供給板220には、第2接続部としてのスルーホール225が設けられ、このスルーホール225の内部には銅箔から構成される導電体が設けられ、この導電体によって、第2供給板外側電極224と第2供給板電極223とが接続されている。
【0088】
第1供給板電極216および第2供給板電極223の厚みは等しくなっている。また、第1供給板外側両端電極217、第1供給板外側中間電極218、および第2供給板外側電極224の厚みは等しくなっている。そして、第1供給板外側両端電極217、第1供給板外側中間電極218、および第2供給板外側電極224は、第1供給板電極216および第2供給板電極223よりも、厚みが大きくなっている。
【0089】
図12の実線矢印は電流の経路を示しており、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、以下の経路で電流が流れる。すなわち、定電流電源230の+極→第1供給板外側両端電極217→スルーホール215→第1供給板電極216→電流測定部101→第2供給板電極223→スルーホール225→第2供給板外側電極224→スルーホール225→第2供給板電極223→電流測定部101→第1供給板電極216→スルーホール215→第1供給板外側中間電極218→スルーホール215→第1供給板電極216……電流測定部101→第2供給板電極223→スルーホール225→第2供給板外側電極224→スルーホール225→第2供給板電極223→電流測定部101→第1供給板電極216→スルーホール215→第1供給板外側両端電極217→定電流電源230の−極の経路で電流が流れる。換言すると、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が電気的に直列に接続される。
【0090】
本実施形態の抵抗値測定装置200による抵抗値測定方法は、第2実施形態と同じである。
【0091】
本実施形態では、電流測定板100が第1電流供給板210と第2電流供給板220とによって挟持された状態では、全ての電流測定部101が直列に接続されるため、1つの定電流電源230にて定電流を供給しつつ、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121の電位差を同時に測定することができるため、全ての電流測定部101の電流測定用抵抗体121が並列に接続される場合と比較して、電流測定用抵抗体121の電位差を測定する工数が低減される。
【0092】
また、本実施形態では、第1供給板外側両端電極217および第1供給板外側中間電極218から第1供給板電極216に電流が流れる際に、スルーホール215がバッファ層として機能して第1供給板電極216の全域に均一化されて電流が流れるとともに、第2供給板外側電極224から第2供給板電極223に電流が流れる際に、スルーホール225がバッファ層として機能して第2供給板電極223の全域に均一化されて電流が流れるため、第1供給板電極216や第2供給板電極223から電流測定部101の電流測定用抵抗体121の全域に均一化されて電流が流れ、電流測定用抵抗体121の電位差を精度よく測定することができる。
【0093】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図15は第4実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0094】
本実施形態は、緩衝板280a、280bを追加した点が、第1実施形態と異なっている。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
本実施形態は、図15に示すように、第1電流供給板210の第1供給板電極211と、電流測定部101の第1電極111(図3、図4参照)との間に、導電性ゴムよりなる第1緩衝板280aが配置されている。この第1緩衝板280aは第1供給板電極211および第1電極111に接触しており、第1緩衝板280aを介して第1供給板電極211と第1電極111とが導通している。
【0096】
また、第2電流供給板220の第2供給板電極221と、電流測定部101の第2電極131(図3、図4参照)との間に、導電性ゴムよりなる第2緩衝板280bが配置されている。この第2緩衝板280bは第2供給板電極221および第2電極131に接触しており、第2緩衝板280bを介して第2供給板電極221と第2電極131とが導通している。
【0097】
これによると、緩衝板280a、280bは弾性を有するため、緩衝板280a、280bと第1電極111および第2電極131との面当たりや緩衝板280a、280bと供給板電極211、221との面当たりが良くなり、電流測定部101の電流測定用抵抗体121の全域に均一に電流が流れやすくなるため、抵抗体の電位差を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】燃料電池システムを示す模式図である。
【図2】図1の燃料電池10の斜視図である。
【図3】図2の電流測定板100の分解斜視図である。
【図4】図3の電流測定部101の断面図である。
【図5】図3の電流測定部101の電流の流れを示す斜視図である。
【図6】図3の電流測定用抵抗体121の抵抗値と温度の関係を示す特性図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の要部の分解斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図10】(a)は図9の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、(b)は図9の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図である。
【図11】(a)は図9の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、(b)は図9の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図13】(a)は図12の第1電流供給板210を反電流測定板100側から見た図、(b)は図12の第1電流供給板210を電流測定板100側から見た図である。
【図14】(a)は図12の第2電流供給板220を反電流測定板100側から見た図、(b)は図12の第2電流供給板220を電流測定板100側から見た図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る抵抗値測定装置200の全体構成を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0099】
10 燃料電池
121 抵抗体
210 第1電流供給板(定電流供給手段)
220 第2電流供給板(定電流供給手段)
230 定電流電源(定電流供給手段)
250 恒温槽(温度設定手段)
260 検査用電圧センサ(電位差測定手段)
270 検査用信号処理回路(抵抗体特性算出手段)
50a 記憶回路(抵抗体特性記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(10)の電流経路に抵抗体(121)を配置し、前記抵抗体(121)の温度と抵抗値との関係を抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させ、前記抵抗体(121)の両端の電位差および前記抵抗体特性記憶手段(50a)から取得した前記抵抗体(121)の抵抗値に基づいて前記電流経路を流れる電流値を検出するように構成された電流測定装置の製造工程において用いられ、前記電流測定装置が前記燃料電池(10)に組み付けられる前に前記抵抗体(121)の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、
前記抵抗体(121)に定電流を供給する定電流供給手段(210、220、230)と、
前記抵抗体(121)の温度を複数の所定の温度に設定する温度設定手段(250)と、
複数の温度条件下で前記抵抗体(121)の電位差を測定する電位差測定手段(260)と、
前記電位差測定手段(260)にて測定した測定電位差と前記定電流供給手段(210、220、230)から供給される電流値とに基づいて前記抵抗体(121)の抵抗値を算出するとともに、算出した前記抵抗体(121)の抵抗値の情報および温度設定手段(250)にて設定された温度の情報を前記抵抗体特性記憶手段(50a)に出力する抵抗体特性算出手段(270)とを備えることを特徴とする抵抗値測定装置。
【請求項2】
前記燃料電池(10)は、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成され、
前記電流測定装置は、隣合う前記セル(10a)間に配置される板状の電流測定板(100)を含み、前記電流測定板(100)は、前記隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、前記隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、前記第1電極(111)と前記第2電極(131)とを電気的に接続する前記抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)を複数備え、
前記定電流供給手段(210、220、230)は、定電流を出力する定電流電源(230)と、前記定電流電源(230)に接続されるとともに、前記電流測定板(100)を挟持して前記電流測定部(101)に電流を導く第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の抵抗値測定装置。
【請求項3】
前記電流測定板(100)が前記第1電流供給板(210)と前記第2電流供給板(220)とによって挟持されたときに、複数の前記電流測定部(101)が電気的に直列に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の抵抗値測定装置。
【請求項4】
前記第1電流供給板(210)は、前記電流測定板(100)側に配置されて前記第1電極(111)に接触する第1供給板電極(216)と、反電流測定板側に設けられた第1供給板外側電極(217、218)と、前記第1供給板電極(216)と前記第1供給板外側電極(217、218)とを接続する第1接続部(215)とを備え、
前記第2電流供給板(220)は、前記電流測定板(100)側に配置されて前記第2電極(131)に接触する第2供給板電極(223)と、反電流測定板側に設けられた第2供給板外側電極(224)と、前記第2供給板電極(223)と前記第2供給板外側電極(224)とを接続する第2接続部(225)とを備えることを特徴とする請求項3に記載の抵抗値測定装置。
【請求項5】
前記第1供給板外側電極(217、218)および前記第2供給板外側電極(224)は、前記第1供給板電極(216)および前記第2供給板電極(223)よりも、厚みが大きいことを特徴とする請求項4に記載の抵抗値測定装置。
【請求項6】
前記第1電流供給板(210)は、前記電流測定板(100)側に配置された第1供給板電極(211、212、213、216)を備え、
前記第2電流供給板(220)は、前記電流測定板(100)側に配置された第2供給板電極(221、222、223)を備え、
前記電流測定板(100)と前記第1電流供給板(210)との間に配置された導電性ゴムよりなる第1緩衝板(280a)が、前記第1電極(111)および前記第1供給板電極(211、212、213、216)に接触し、
前記電流測定板(100)と前記第2電流供給板(220)との間に配置された導電性ゴムよりなる第2緩衝板(280b)が、前記第2電極(131)および前記第2供給板電極(221、222、223)に接触していることを特徴とする請求項2に記載の抵抗値測定装置。
【請求項7】
前記第1電流供給板(210)および前記第2電流供給板(220)における電流経路は、金属箔から構成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載の抵抗値測定装置。
【請求項8】
前記金属箔の表面に金メッキが施されていることを特徴とする請求項7に記載の抵抗値測定装置。
【請求項1】
燃料電池(10)の電流経路に抵抗体(121)を配置し、前記抵抗体(121)の温度と抵抗値との関係を抵抗体特性記憶手段(50a)に記憶させ、前記抵抗体(121)の両端の電位差および前記抵抗体特性記憶手段(50a)から取得した前記抵抗体(121)の抵抗値に基づいて前記電流経路を流れる電流値を検出するように構成された電流測定装置の製造工程において用いられ、前記電流測定装置が前記燃料電池(10)に組み付けられる前に前記抵抗体(121)の抵抗値を測定する抵抗値測定装置であって、
前記抵抗体(121)に定電流を供給する定電流供給手段(210、220、230)と、
前記抵抗体(121)の温度を複数の所定の温度に設定する温度設定手段(250)と、
複数の温度条件下で前記抵抗体(121)の電位差を測定する電位差測定手段(260)と、
前記電位差測定手段(260)にて測定した測定電位差と前記定電流供給手段(210、220、230)から供給される電流値とに基づいて前記抵抗体(121)の抵抗値を算出するとともに、算出した前記抵抗体(121)の抵抗値の情報および温度設定手段(250)にて設定された温度の情報を前記抵抗体特性記憶手段(50a)に出力する抵抗体特性算出手段(270)とを備えることを特徴とする抵抗値測定装置。
【請求項2】
前記燃料電池(10)は、酸化剤ガスと燃料ガスとを電気化学反応させて電気エネルギを出力する複数のセル(10a)を積層配置して構成され、
前記電流測定装置は、隣合う前記セル(10a)間に配置される板状の電流測定板(100)を含み、前記電流測定板(100)は、前記隣合うセル(10a)のうち一方のセルに電気的に接触する第1電極(111)、前記隣合うセル(10a)のうち他方のセルに電気的に接触する第2電極(131)、および、前記第1電極(111)と前記第2電極(131)とを電気的に接続する前記抵抗体(121)を有して構成された電流測定部(101)を複数備え、
前記定電流供給手段(210、220、230)は、定電流を出力する定電流電源(230)と、前記定電流電源(230)に接続されるとともに、前記電流測定板(100)を挟持して前記電流測定部(101)に電流を導く第1電流供給板(210)および第2電流供給板(220)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の抵抗値測定装置。
【請求項3】
前記電流測定板(100)が前記第1電流供給板(210)と前記第2電流供給板(220)とによって挟持されたときに、複数の前記電流測定部(101)が電気的に直列に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の抵抗値測定装置。
【請求項4】
前記第1電流供給板(210)は、前記電流測定板(100)側に配置されて前記第1電極(111)に接触する第1供給板電極(216)と、反電流測定板側に設けられた第1供給板外側電極(217、218)と、前記第1供給板電極(216)と前記第1供給板外側電極(217、218)とを接続する第1接続部(215)とを備え、
前記第2電流供給板(220)は、前記電流測定板(100)側に配置されて前記第2電極(131)に接触する第2供給板電極(223)と、反電流測定板側に設けられた第2供給板外側電極(224)と、前記第2供給板電極(223)と前記第2供給板外側電極(224)とを接続する第2接続部(225)とを備えることを特徴とする請求項3に記載の抵抗値測定装置。
【請求項5】
前記第1供給板外側電極(217、218)および前記第2供給板外側電極(224)は、前記第1供給板電極(216)および前記第2供給板電極(223)よりも、厚みが大きいことを特徴とする請求項4に記載の抵抗値測定装置。
【請求項6】
前記第1電流供給板(210)は、前記電流測定板(100)側に配置された第1供給板電極(211、212、213、216)を備え、
前記第2電流供給板(220)は、前記電流測定板(100)側に配置された第2供給板電極(221、222、223)を備え、
前記電流測定板(100)と前記第1電流供給板(210)との間に配置された導電性ゴムよりなる第1緩衝板(280a)が、前記第1電極(111)および前記第1供給板電極(211、212、213、216)に接触し、
前記電流測定板(100)と前記第2電流供給板(220)との間に配置された導電性ゴムよりなる第2緩衝板(280b)が、前記第2電極(131)および前記第2供給板電極(221、222、223)に接触していることを特徴とする請求項2に記載の抵抗値測定装置。
【請求項7】
前記第1電流供給板(210)および前記第2電流供給板(220)における電流経路は、金属箔から構成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載の抵抗値測定装置。
【請求項8】
前記金属箔の表面に金メッキが施されていることを特徴とする請求項7に記載の抵抗値測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−80174(P2010−80174A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245621(P2008−245621)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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