説明

押出し成形及び型成形用ゴム組成物及びその用途

【課題】押出し成形や型成形における成形特性に優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、カーボンブラック(B)、及び次式(I):


[式中、Rはアルキル等;R1はアルキル等;nは0、1又は2;R2は2価の炭化水素基;R3はアリーレン基;m及びpは、それぞれ0又は1(mとpとが同時に0となることはない);qは1又は2;Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である]で示されるアルコキシシラン化合物(C)が配合されている押出し成形用ゴム組成物及び型成形用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出し成形及び型成形用ゴム組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れており、自動車や家電製品等に多く用いられている。
【0003】
このうち、自動車用や家電製品等のシール部品や隙間うめ(詰め物)材は、ゴムの連続押出し成形法によって得られる製品である。
【0004】
押出し成形用ゴム組成物としては、連続的に押出機にフィード可能であることが求められ、押出し前に予備成形されるリボン状コンパウンドが保管中に亀裂が入り割れないこと、また、ちぎれないことが必要である。
【0005】
また、押出し成形中は、押出し断面が変化しないこと、つまり、ダイスウエル比が変化しないことが求められる。このダイスウエル比が変化するとグラスラン製品や窓枠製品の断面形状が変化することで製品のシール性能が低下し、製品化できないことになる場合がある。更に、ウエザーストリップスポンジ製品では、ダイスウエル比が変化する材料は、その材料内の粘弾性的状態が不均一になっていることを意味しており、そのことが発泡ばらつきを引き起こし大きな問題となる。
【0006】
これに加えて、EPDMにカーボンブラックが配合してある押出し製品では、原因不明の異物が発生することが多々ある。原因を調査すべく、その異物部分を分析しても、ゴム基材と何ら変わらないものから構成されているとの結果となることが多い。これは、しばらくすると自然に解消され、また、ある時期に同じような不具合が発生するといった不可解な現象が発生することがある。
【0007】
一方、ゴムの成形技術の中に、型成形法によって得られる製品が多くある。型成形用ゴム組成物を用いる製品として、射出成形によって得られる防振ゴム製品がある。射出成形の材料は、ロールから切り出されたリボン状コンパウンドとして供給される。このリボンがちぎれると材料供給の安定性を欠き、連続生産できなくなる。また、そのような材料は、射出成形機のポット内で粘度が突然上昇することがあり、これによって射出後の金型内流動性が悪くなる。このような状態で成形された製品は、耐久試験中にクラックが発生する不具合も多々あった。
【0008】
ウエザーストリップのコーナー成形で用いられる材料は、材料の流動性が安定していることが求められる。成形毎に流動性が変化すると、ウエザーストリップスポンジの直線部との界面で接着不良や接続部の外観不良がおこり大変な問題となる。
【0009】
コピー機の定着ロールは半導電性を有する発泡成形体であり、OAロールの一つである。本製品の成形で、原因不明の発泡ばらつきと電気抵抗値のばらつきが多発し、多くの不良品を作ってしまう不具合が多々あった。
【0010】
Oリング製品でも、原因不明の製品収縮性が成形毎に不良となることがあった。また、製品は見かけ上得られていても、製品の機械的強度が低下する等の不具合があった。
【0011】
これらの原因を調査すべく、その基材を分析しても何ら変化した訳ではないとの結果になることも多々あった。この現象はやっかいなことに、しばらくすると自然に解消され、また、ある時期に同じような不具合が発生するといった不可解なものである。
【0012】
この原因は、混練中にコンパウンド中で発生するカーボンブラック/ポリマー界面を基点として発生する物理的ネットワーク形成が起因していると考えられている。つまり、このネットワークが製品を成形するに当たり、前述した不具合を生じさせているのである。
【0013】
このような問題を解決すべく、特許文献1には、硫黄や硫黄化合物といったラジカル捕捉を目的としてポリスルフィド化合物を配合することが開示されている。
【0014】
しかし、混練機中にこれらの硫黄や硫黄化合物をポリマー100重量部に対して1.0×10-2mol 程度投入すると、配合物中に配合されている酸化亜鉛(ZnO) の存在により、架橋反応が開始し、ゲル(やけ・化学的)を生じてしまう問題があった。その量の1/10である1.0×10-3mol 程度配合すれば、混練機中のやけの心配はないが、その量では少なすぎるため前記問題を解決するに至らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平7−138379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、押出し成形用に前準備されるリボン状コンパウンドの割れやちぎれがなく、また、押出し断面形状が安定した、また、発泡体では、発泡ばらつきの少ない押出し成形用ゴム組成物、並びに該ゴム組成物からなるウエザーストリップスポンジ製品、高発泡シール製品、グラスランチャネル製品、窓枠製品及び自動車用水系ホース製品を提供することを第1の目的としている。
【0017】
また、本発明は、射出成形用に準備されるコンパウンドのちぎれ現象がなく、また、型内流動性押出に優れ、また、型スポンジにおいてはその発泡性が安定した、発泡ばらつきの少ない型成形用ゴム組成物、並びに該組成物からなる製品肌が良好で、かつ、機械的強度に優れる防振ゴム、注入スポンジ、グロメット、Oリング、パッキン、ブーツ、窓枠、ブレーキピストンカップ及びOAロール製品を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)30〜300重量部、及び次式(I):
【0019】
【化1】

【0020】
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、R2は炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3 は炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されている押出し成形用ゴム組成物。
【0021】
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が、(i)(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを50/50〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有し、(ii)ヨウ素価が1〜40であり、(iii) 135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が2.0〜4.5dl/gである前記(1)に記載の押出し成形用ゴム組成物。
【0022】
(3)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、50〜200重量部である前記(1)に記載の押出し成形用ゴム組成物。
(4)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、61〜200重量部である前記(1)に記載の押出し成形用ゴム組成物。
【0023】
(5)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、70〜200重量部である前記(1)に記載の押出し成形用ゴム組成物。
(6)見かけの活性化エネルギーが20〜300kJ/molであって、いかなるゴム加工工程を経ても、見かけの活性化エネルギーの変化率が40%以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の押出し成形用ゴム組成物。
【0024】
(7)リボン切れ及びリボン割れがなく、押出機内粘度上昇によるダイスウエル比の変化率が5%以下である押出し成形用ゴム組成物。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とするウエザーストリップスポンジ製品、高発泡シール製品、グラスランチャネル製品、窓枠製品又は自動車用水系ホース製品。
【0025】
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のゴム組成物を押出成形機により意図する形状とし、加硫することを含む加硫ゴム成形体の製造方法。
(10)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)30〜300重量部、及び次式(I):
【0026】
【化2】

【0027】
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、R2は炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3 は炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されている型成形用ゴム組成物。
【0028】
(11)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が、(i)(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを50/50〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有し、(ii)ヨウ素価が1〜40であり、(iii) 135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.8〜4.5dl/gである前記(10)に記載の型成形用ゴム組成物。
【0029】
(12)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、50〜200重量部である前記(10)に記載の型成形用ゴム組成物。
(13)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、61〜200重量部である前記(10)に記載の型成形用ゴム組成物。
【0030】
(14)カーボンブラック(B)の配合量が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、80〜200重量部である前記(10)に記載の型成形用ゴム組成物。
(15)見かけの活性化エネルギーが20〜200kJ/molであって、いかなるゴム加工工程を経ても、見かけの活性化エネルギーの変化率が20%以下である前記(10)〜(14)のいずれかに記載の型成形用ゴム組成物。
【0031】
(16)射出成形前に準備されるリボンの切れがなく、また、型内流動性が良好でかつその流動性が変化しない材料であって、その加硫ゴム物性がコンパウンドの準備における混練条件によって変化することがない前記(10)〜(15)のいずれかに記載の型成形用ゴム組成物。
(17)前記(10)〜(16)のいずれかに記載のゴム組成物からなることを特徴とする防振ゴム、注入スポンジ、グロメット、Oリング、パッキン、ブーツ、窓枠、ブレーキピストンカップ又はOAロール製品。
(18)前記(10)〜(16)のいずれかに記載のゴム組成物を型物用成形機にあった形状とし、加硫することを含む加硫ゴム成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、押出し成形用に前準備されるリボン状コンパウンドの割れやちぎれがなく、また、押出し断面形状が安定した、また、発泡体では、発泡ばらつきの少ない押出し成形用ゴム組成物が得られる。このことにより、得られた製品の押出し肌は良好で、季節や混練機種によらず、安定した品質を有するウエザーストリップスポンジ製品、高発泡シール製品、グラスランチャネル製品、窓枠製品、自動車用水系ホース製品を得ることができる。また、本発明により、これまで原因不明の異物として認識されていた不良製品は殆どなくなる。
【0033】
本発明の型成形用ゴム組成物は、射出成形用に準備されるコンパウンドのちぎれ現象がなく、また、型内流動性押出に優れ、また、型スポンジにおいてはその発泡性が安定した、発泡ばらつきが少ない。更に、本発明の型成形用ゴム組成物を用いることにより、製品肌が良好で、かつ、機械的強度に優れる防振ゴム、注入スポンジ、グロメット、Oリング、パッキン、ブーツ、窓枠、ブレーキピストンカップ及びOAロール製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、カーボンブラック/ポリマー界面とカーボンブラック/ポリマー界面同士に物理的ネットワークが形成された状態を示す図である。
【図2】図2は、形状保持率の測定方法を説明するための図である。
【図3】図3Aは、実施例において流動性試験に用いた成形体の上面図であり、図3Bは、その縦断面図である。
【図4】図4Aは、実施例において製造したチューブ状スポンジの正面図であり、図4Bは、その横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の押出し成形用ゴム組成物及び型成形用ゴム組成物は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)30〜300重量部、及び前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されている。
【0036】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)における炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのα−オレフィンのうち、炭素数3〜8のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。
【0037】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、耐熱老化性、強度特性、ゴム弾性、耐寒性及び加工性に優れた加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物を得るという点で、(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを50/50〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有していることが好ましい。前記モル比[(a)/(b)]は、好ましくは65/35〜90/10、更に好ましくは65/35〜85/15、特に好ましくは65/35〜80/20である。
【0038】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)における非共役ポリエンとしては、環状又は鎖状の非共役ポリエンを用いることができる。
【0039】
環状の非共役ポリエンとしては、例えば、メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等のジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等のトリエンが挙げられる。
【0040】
また、鎖状の非共役ポリエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン;4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−6,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−6,7−ジメチル−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、4−エチリデン−7−メチル−1,6−デカジエン、4−エチリデン−7−メチル−6−プロピル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−デカジエン、4−エチリデン−7,8−ジメチル−1,7−ウンデカジエン、7−エチル−4−エチリデン−8−メチル−1,7−ウンデカジエン、4−エチリデン−7,8−ジエチル−1,7−デカジエン、4−エチリデン−9−メチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−8,9−ジメチル−1,8−デカジエン、4−エチリデン−10―メチル−1,9−ウンデカジエン、4−エチリデン−9,10−ジメチル−1,9−ウンデカジエン、4−エチリデン−11−メチル−1,10−ドデカジエン、4−エチリデン−10,11−ジメチル−1,10−ドデカジエン、3,7−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等のトリエンが挙げられる。
【0041】
これらの非共役ポリエンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)のヨウ素価は、架橋効率の高いゴム組成物が得られ、耐圧縮永久歪性に優れる加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られ、かつ、コスト的に有利である点で、1〜40であることが好ましく、1〜30であることが更に好ましい。
【0042】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、強度特性、耐圧縮永久歪性及び加工性に優れた加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られるという点で、本発明の押出し成形用ゴム組成物においては、2.0〜4.5dl/gであることが好ましく、2.2〜4.0dl/gであることが更に好ましく、本発明の型成形用ゴム組成物においては、0.8〜4.5dl/gであることが好ましく、0.9〜4.0dl/gであることが更に好ましい。
【0043】
カーボンブラック(B)
本発明の押出し成形用ゴム組成物においては、カーボンブラック(B)は、十分な機械的強度を有する押出し成形加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物を得るために、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、30〜300重量部、好ましくは50〜200重量部、更に好ましくは61〜200重量部、最も好ましくは70〜200重量部の割合で用いられる。本発明の型成形用ゴム組成物においては、カーボンブラック(B)は、十分な機械的強度を有する加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物を得るために、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、30〜300重量部、好ましくは50〜200重量部、更に好ましくは61〜200重量部、最も好ましくは80〜200重量部の割合で用いられる。
【0044】
カーボンブラック(B)としては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等を用いることができる。カーボンブラック(B)は、機械的強度及び製品肌の良好な加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物を得る点で、窒素吸着比表面積が10〜100m2/gであることが好ましい。
【0045】
アルコキシシラン化合物(C)
本発明においては、コンパウンドの活性化エネルギーの変化率を小さくし、混練中にコンパウンド中で発生するカーボンブラック/ポリマー界面を基点として発生する物理的ネットワークの形成を抑制するため、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)を配合する。アルコキシシラン化合物(C)の配合量は、十分な効果を発揮し、かつ加硫速度、ゴム弾性を低下させない点で、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、1.0×10-5〜5.0×10-3mol であることが必要であり、好ましくは1.0×10-4〜4.0×10-3mol 、更に好ましくは1.0×10-4〜2.1×10-3mol である。
【0046】
アルコキシシラン化合物(C)は、予め炭酸カルシウム又はカーボンブラック(B)に含浸させた状態のものを用いてもよい。
【0047】
前記式(I)において、R又はR1で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。Rで示される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が挙げられる。R2で示される炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、ジメチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシリデン基等のアルキリデン基;ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基等のアリールアルキレン基が挙げられる。R3で示される炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基が挙げられる。
【0048】
前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)の具体例としては、例えばビス−3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラスルファン[(CH3O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OCH33]、ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[(C25O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OC253]、ビス−3−(トリプロポキシシリル)プロピルテトラスルファン[(C37O)3Si−(CH23−S4−(CH23−Si(OC373]が挙げられる。
【0049】
その他の成分
本発明の押出し成形用ゴム組成物及び型成形用ゴム組成物は、意図する加硫物の用途等に応じて、カーボンブラック(B)以外のゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、加硫助剤、着色剤、分散剤、難燃剤等の従来公知の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0050】
前記ゴム補強剤は、架橋(加硫)ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性等の機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、微粉ケイ酸、シリカ等が挙げられる。これらは予めシランカップリング処理されていてもよい。
【0051】
シリカの具体例としては、煙霧質シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。これらのシリカは、メルカプトシラン、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。
【0052】
これらのゴム補強剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できるが、ゴム補強剤(カーボンブラック(B)を除く)の配合量は、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大150重量部、好ましくは最大100重量部である。
【0053】
前記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。
【0054】
これらの無機充填剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できるが、無機充填剤の配合量は、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大300重量部、好ましくは最大200重量部である。
【0055】
前記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油等が挙げられる。中でも石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。これらの軟化剤の配合量は、加硫物の用途により適宜選択される。
【0056】
前記老化防止剤としては、例えばアミン系、ヒンダードフェノール系又はイオウ系老化防止剤等が挙げられるが、これらの老化防止剤は、前述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。アミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類等が挙げられる。イオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。
【0057】
前記加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される加工助剤を使用することができる。具体的には、リノール酸、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;前記高級脂肪酸のエステル類等が挙げられる。このような加工助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0058】
発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AZBN)、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物等が挙げられる。
【0059】
これらの発泡剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。前記のような割合で発泡剤を用いると、本発明の押出し成形用ゴム組成物においては、見かけ比重0.03〜0.8g/cm3の発泡体を、本発明の型成形用ゴム組成物においては、見かけ比重0.1〜0.8g/cm3の発泡体を製造することができるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0060】
また、必要に応じて、発泡剤と併用して、発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化等の作用をする。このような発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素又はその誘導体等が挙げられる。これらの発泡助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0061】
また、本発明の架橋可能なゴム組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムをブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
【0062】
加硫に用いる加硫剤としては、イオウ及びイオウ化合物が挙げられる。イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ等が挙げられる。イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物、及び加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。これらの中ではイオウが好ましい。イオウ又はイオウ化合物は、前記共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。
【0063】
また、加硫剤としてイオウ又はイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン(DOTG)、オルソトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレ−ト等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン(H)、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン又はアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオウレア(EUR)、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩;亜鉛華(酸化亜鉛)等の化合物が挙げられる。これらの加硫促進剤は、前記共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。
【0064】
ゴム組成物及びその加硫ゴム成形体の調製
本発明のゴム組成物は、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、カーボンブラック(B)、アルコキシシラン化合物(C)、ゴム補強剤、無機充填剤、軟化剤等の添加剤を80〜170℃の温度で2〜20分間混練した後、イオウをオープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0065】
前記のようにして調製された本発明の押出し成形用ゴム組成物は、押出成形機により意図する形状とし、成形と同時に又は成形物を加硫槽内に導入し、140〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより、加硫することができる。加硫の工程は、通常連続的に実施される。加硫槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、溶融塩槽(LCM)、PCM(Powder Curing Medium又はPowder Curing Method)、UHF(極超短波電磁波)、スチーム等の加熱手段を用いることができる。
【0066】
また、前記のようにして調製された本発明の型成形用ゴム組成物は、型物用成形機にあった形状に準備される。プレス加硫成形機では、予め、シート状のコンパウンドをロール等で準備される。また、射出成形では、ロールからリボン状に切り出し、これを成形前に保管する。また、注入スポンジ製品では、トランスファー成形される場合は、予め、団子状に丸めた材料が準備される。このように準備されたコンパウンドは、140〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより、加硫することができる。
【0067】
本発明者らは、従来技術に伴う問題を詳細に検討した結果、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムにおけるカーボンブラック配合系では、混練条件によってコンパウンドの粘りが変化することが原因であることを突き詰めた。これは、カーボンブラック配合系特有の現象であって、カーボンブラック/ポリマー界面とカーボンブラック/ポリマー界面同士に物理的ネットワークが形成される(図1)ことによると予測した。このネットワークは、カーボンブラックの比表面積が大きい程、その量が多い程形成されやすく、混練時間が長い場合、混練温度が高い場合にも形成されやすい。このようなネットワークが形成されると、あるいは、そのネットワーク形成の起点がポリマー/カーボンブラック界面に発生した材料を用いると、押出機内又は型内で突然粘度が上昇し、押出し成形用ゴム組成物においては、押出し断面形状が変化、つまり、ダイスウエル比変化が起こり、製品化できなくなり、型成形用ゴム組成物においては、流動性のばらつき、製品収縮性の変化、発泡不良を生じる。また、押出し成形用ゴム組成物及び型成形用ゴム組成物のいずれにおいても、混練機で混練後、リボン状に成形した後、保管中に曲げ部分が割れる、いわゆるリボン割れ現象が発生し、連続生産性の低下という大問題を引き起こすことになる。
【0068】
押出し成形用ゴム組成物及び型成形用ゴム組成物としては、このような粘度上昇が起こらない材料であることが極めて重要であり、このことが製品不良率と大きく関係しているところである。
【0069】
更に詳しく説明すると、このネットワークとは、コンパウンド内で発生した構造変化を意味している。
【0070】
後述する実施例では、混練によるコンパウンド内の構造変化を表す指標として見かけの活性化エネルギーを用いた。粘度の温度依存性から求まる活性化エネルギーは、使用するポリマー品質とカーボンブラック等の配合、配合割合によって決定される値であり、前述したネットワーク(物理的構造変化)が形成されると、この値は小さくなる。
【0071】
本発明者らは、鋭意検討した結果、押出し成形用ゴム組成物としては、見かけの活性化エネルギーは20〜300kJ/mol、好ましくは30〜250kJ/mol、更に好ましくは30〜200kJ/molであって、ゴム用混練機で混練し、次工程である押出機で押出直後のコンパウンドの見かけの活性化エネルギーとの変化率が40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下であることが従来技術に伴う問題を解決するコンパウンドであることを突き詰めるとともに、型成形用ゴム組成物としては、見かけの活性化エネルギーは20〜200kJ/mol、好ましくは30〜150kJ/mol、更に好ましくは30〜120kJ/molであって、ゴム用混練機で混練し、次工程である、シートやリボン、トランスファー成形では、団子状コンパウンドの見かけの活性化エネルギーとの変化率が20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下であることが従来技術に伴う問題を解決するコンパウンドであることを突き詰めた。
【0072】
なお、見かけの活性化エネルギー測定は、加硫剤が配合された状態では、測定中に加硫してしまうため測定できない。そこで、後述する実施例では、その評価は、加硫剤を除いた状態で行った。通常の生産では、リボン状コンパウンドや押出機から押し出された材料、又は型成形される前のコンパウンドには加硫剤が存在している。本発明の効果を把握、制御するために用いた見かけの活性化エネルギー測定で得られた結果は、加硫剤の有無によって変わるものではない。
【0073】
以上のことから、本発明の押出し成形用ゴム組成物の調製に際しては、8インチオープンロールでJIS K6395に示されている混練手順に従って得られるコンパウンド(1)の見かけの活性化エネルギーが通常20〜300kJ/mol、好ましくは30〜250kJ/mol、更に好ましくは30〜200kJ/molになるような条件で混練することが好ましい。更に、ゴム工業で通常用いられる混練機で混練後、ゴム用押出し成形機で押出したコンパウンド(2)の見かけの活性化エネルギーが20〜300kJ/molで、次式:
[1−(コンパウンド(2)の見かけの活性化エネルギー/
コンパウンド(1)の見かけの活性化エネルギー)]×100
で表される活性化エネルギー変化率(%)が通常40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下となるように、カーボンブラック(B)とアルコキシシラン化合物(C)(シランカップリング剤)が反応した状態を得るように混練することが好ましい。
【0074】
また、本発明の型成形用ゴム組成物の調製に際しては、8インチオープンロールでJIS K6395に示されている混練手順に従って得られるコンパウンド(1)の見かけの活性化エネルギーが通常20〜200kJ/mol、好ましくは30〜150kJ/mol、更に好ましくは30〜120kJ/molになるような条件で混練することが好ましい。更に、ゴム工業で通常用いられる混練機で混練後、型成形用に調製されたシート状コンパウンド又はインジェクション用に成形されたリボン状コンパウンド(2)の見かけの活性化エネルギーが20〜200kJ/molで、次式:
[1−(コンパウンド(2)の見かけの活性化エネルギー/
コンパウンド(1)の見かけの活性化エネルギー)]×100
で表される活性化エネルギー変化率(%)が通常20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下となるように、カーボンブラック(B)とアルコキシシラン化合物(C)(シランカップリング剤)が反応した状態を得るように混練することが好ましい。
【0075】
酸化亜鉛とシランカップリング剤を共存させた場合、酸化亜鉛とシランカップリング剤が先に結合してしまうため、カーボンブラック表面と結合するシランカップリング剤が少なくなり、ひいては、材料の活性化エネルギー変化率が大きくなり、シランカップリング剤の効果が低下する。つまり、シランカップリング剤の効果を得るためには、材料の活性化エネルギー変化率が重要なパラメーターとなる。
【0076】
後述する実施例において、8インチオープンロールで混練したコンパウンドでの活性化エネルギーを基準とした理由は、混練温度が低いことより(フロントロール温度/バックロール温度=50℃・50℃)、コンパウンド中に形成される前述のネットワークは発生しないこと、また、酸素存在下であることより、剪断によるポリマー分子切断で発生するラジカルがO2 によって安定化されることが期待されるからである。また、他の混練機に比べて良好なカーボンブラック等の分散性を得ることができるからである。オープンな状態(酸素存在下)で、混練温度が高くない状態では、本発明で問題としているポリマー/カーボンブラック界面とポリマー/カーボンブラック界面同士にネットワークは形成され難い。また、この状態を見かけの活性化エネルギーで数値化し基準値とし、通常ゴム工業の混練工程で用いられている密閉式混練機内で生成するネットワーク量を定量化及び制御するためである。混練によってこの見かけの活性化エネルギーの変化率が大きい程、このネットワークが混練機内で発生し、リボン割れ、リボン切れやちぎれの問題となる。更に、混練機内でこの現象が起こらなくとも、その形成起点がコンパウンド系内に発生した状態であると押出機内又は型内で粘度が急激に変化し、押出し量又は流動性のばらつき、製品断面又は製品収縮性の変化、発泡不良を生じる。
【0077】
アルコキシシラン化合物(C)がこのネットワークを形成させない効果を発揮する理由は、その化学構造中にカーボンブラック表面の活性種(カルボキシル基、ラクトン、ヒドロキシル基、ケトン基、フェノール基)と素早く反応するシラノール基を有しているため、混練中に素早くカーボンブラック表面を覆うこと、また、ポリスルフィド基を有しており、これがカーボンブラック/ポリマー界面とカーボンブラック/ポリマー界面同士を結ぶネットワーク形成基点(カーボンブラック/ポリマー界面)を安定化させる効果を有するからである。
【0078】
つまり、極めて少ない量で、押出し材料の成形時又は型成形時に問題を引き起こす粘度上昇の原因発生場所であるカーボンブラック/ポリマー界面に素早くアルコキシシラン化合物(C)が分散し、かつ、ネットワーク発生起点を安定化させることでネットワークを形成させないことによる。この効果は、極めて少ない量で得られるため、従来技術で前述したイオウ等のポリスルフィド化合物で問題となる混練中のやけの心配はない。
【0079】
このようにして得られる加硫ゴム成形体は、本発明の押出し成形用ゴム組成物においては、ウエザーストリップスポンジ製品、高発泡シール製品、グラスランチャネル製品、窓枠製品、自動車用水系ホース製品として、本発明の型成形用ゴム組成物においては、防振ゴム、注入スポンジ、グロメット、Oリング、パッキン、ブーツ、窓枠、ブレーキピストンカップ、OAロール製品として利用される。
【実施例】
【0080】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各種物性及びその試験方法は、以下のとおりである。
【0081】
[見かけの活性化エネルギー]
1)レオメトリックス社製RDS−IIを用いて測定した。
2)試料の作成:50tプレス機にて、コンパウンド(加硫剤、加硫促進剤なし)を190℃−5分間の条件で2mmシートを作成した。
3)測定条件:測定温度を170℃、190℃、210℃の3条件で、各温度にて、周波数0.1〜15Hzで複素粘性率を測定した。(歪み:1%、各温度で安定するまでの時間:3分間)
4)活性化エネルギー算出
170℃、190℃、210℃での複素粘性率の周波数依存性を測定し、190℃における見かけの活性化エネルギーを求めるべく、以下の関係式より活性化エネルギーを算出した。
【0082】
ある温度Tの複素粘性率をηT 、ある基準温度:Tref.(190℃)T0 の複素粘性率をηT0とする。
【0083】
T =A exp[Ea/R(T−Tref.)]
ηT =aT ηT0
T :シフトファクター
A:頻度因子
Ea:見かけの活性化エネルギー
R:気体定数
T:温度
【0084】
ネットワーク(物理的構造変化)の定量化指標:
(押出し成形用ゴム組成物)
活性化エネルギーの変化率(%)=[1−((2)/(1))]×100
(1):基準値=8インチオープンロールにて21分間混練することによって得られたコンパウンドの見かけの活性化エネルギー
(2):次工程における押出機による押出直後のコンパウンドの見かけの活性化エネルギー
【0085】
(型成形用ゴム組成物)
活性化エネルギーの変化率(%)=[1−((2)/(1))]×100
(1):基準値=8インチオープンロールにて、JIS K6395に従って混練することによって得られたコンパウンドの見かけの活性化エネルギー
(2):次工程における型成形用に調製されたシート状コンパウンド又はインジェクション用に成形されたリボン状コンパウンドの見かけの活性化エネルギー
【0086】
[ダイスウエル比]
加硫剤、加硫促進剤を配合する前のコンパウンドを用いて、ロール間隙を5mmとした8インチオープンロールに巻き付け2分間回転させた後、リボン状に成形し、50mm押出機に通した後の材料をSCER(島津製作所(株)製)で、L/D=60mm/2mmのノズルを用いて、剪断速度102sec-1 で押し出した後の試料断面(A)(mm)を測定し、ダイスウエル比=A(試料断面;直径(mm))/2(ノズル直径(mm))を評価した。
【0087】
[リボン割れ試験](押出し成形用ゴム組成物)
リボン状コンパウンドを長さ30cmに切断し、これを半分に折り曲げて端部を固定し、40℃オーブン中に24時間放置後、折り曲げ面を観察して、亀裂の有無と切断しているかどうかを評価した。
【0088】
[リボン切れ、ちぎれ試験](型成形用ゴム組成物)
8インチロールにより、厚み5mm、幅40mm、長さ300mm のリボンを作成し、このリボンを40℃のオーブン中で1時間放置した後、長さを350mmとしたときに、このリボンがちぎれる(切れる)かどうかを評価する。
【0089】
[製品肌評価(官能試験)]
熱風加硫したチューブ状スポンジゴムを30mmの長さに切断し、上から60Wの電球で照らし、表面の光沢が現れる角度から目視にて以下の5点満点評価を行った。
【0090】
5点:光沢が強く平面が平滑である。
3点:光沢はあるものの平面がやや凸凹している
1点:光沢がなく、平面が凸凹している。
(4点、2点は、それぞれ、5点と3点、3点と1点の中間の状態)
【0091】
[ムーニー粘度]
JIS K6300に基づき140℃で未加硫ゴムのムーニー粘度(Vm)を、125℃でムーニー・スコーチ時間(t5 )を測定した。
[M100(100%モジュラス)]
JIS K6251に従って測定した。
【0092】
[M300(300%モジュラス)]
JIS K6251に従って測定した。
[引張試験](押出し成形用ゴム組成物)
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、コンパウンドを150トンプレス機で170℃×10分の条件により加硫ゴムシートを得た。破断時の強度TB と伸びEB を測定した。
【0093】
[HA (製品硬さ)](押出し成形用ゴム組成物)
JIS K6253に従って測定した。得られた加硫ゴムシート(2mm)を重ねて12mmとし、デュロメーターAで製品硬さを求めた。
【0094】
[引張試験・硬さ試験](型成形用ゴム組成物)
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、コンパウンドを150トンプレス機で170℃×10分の条件により加硫ゴムシートを得た。破断時の強度TB 、伸びEB 及び硬さHA を測定した。
【0095】
[圧縮永久歪試験]
(1)自動車用グラスランチャネル・窓枠用ゴム組成物及びその製品
JIS K6262(1993年)に従い、圧縮永久歪試験を行った。本試験片は、170℃×15分で得たものを用い、評価条件は70℃−22hrsである。
【0096】
(2)ウエザーストリップスポンジ製品
熱風加硫したチューブ状スポンジゴムを30mmの長さに切断し、圧縮永久歪測定用治具に取り付けた。試験片の高さが荷重をかける前の高さの1/2になるように圧縮し、治具ごと70℃のギヤーオーブン中に入れ、200時間熱処理した。試験片を圧縮装置から取り出し、30分放冷後、試験片の高さを測定し以下の計算式により圧縮永久歪を算出した。
【0097】
圧縮永久歪=[(t0 −t1 )/(t0 −t2)]×100(%)
0 :試験片の試験前の高さ
1 :試験片を熱処理し、30分後放冷した後の高さ
2 :試験片を測定用治具に取り付けた状態の高さ
【0098】
(3)型成形用ゴム組成物
JIS K6262(1993年)に従い、圧縮永久歪試験を行った。本試験片は、170℃×12分で得たものを用い、評価条件は120℃−22hrsである。
【0099】
[動的粘弾性試験]
動的粘弾性試験は、サイエンティフィック・ファー・イースト(株)製RSA−2を用いて、測定温度25℃、周波数1Hz/100Hz及び歪率0.1%の条件で、1mmシートについて行い、複素弾性率E*(×107dyne/cm2)を求めた。また、動倍率(車内騒音の指標)及び損失正接(tanδ)(乗り心地の指標)を下式により求めた。
【0100】
* =E’+iE”
(E* :複素弾性率、E’:動的弾性率、E”:動的損失弾性率)
動倍率=100HzのE* /1HzのE*
tanδ=E”/E’
【0101】
[押出し製品・異物評価]
リボン状コンパウンドを60mm押出機で、押出し、マイクロ波加硫槽(UHF)(200℃−3kw)と熱空気加硫槽(HAV)(230℃)が直列につながれた成形ラインを用いて、引き取り速度7m/分で、平板製品を得、1m 当たりの表面異物(0.03mm以上の異物)の個数を評価した。
【0102】
[M25(25%引張応力)]
(a)試験片:JIS1号ダンベルで打ち抜く。
(b)測定方法:引張速度50mm/minで25%伸長時の応力を求める。
[比重]
熱風加硫したチューブ状スポンジゴムから、20mm×20mmの試験片を打ち抜き、表面の汚れをアルコールで拭き取った。この試験片を、25℃雰囲気下で自動比重計(東洋精機製作所製:M−1型)を用いて、空気中と純水中の質量差から比重測定を行い、スポンジの比重SGを算出した。
【0103】
[吸水率(Wa)]
熱風加硫したチューブ状スポンジゴムから、20mm×20mmの試験片を打ち抜き、表面の汚れをアルコールで拭き取った。この試験片を水面下50mmの位置で125mmHgまで減圧し、3分間保持した。続いて大気圧に戻し3分間経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の式から吸水率(Wa)を算出した。
【0104】
Wa(重量%)=[(W2 ―W1 )/W1 ]×100
1 :浸漬前重量(g)
2 :浸漬後重量(g)
【0105】
[形状保持率(%)]
熱風加硫したチューブ状スポンジゴムを2mmの長さに切断し、拡大鏡を用いて、縦a、横bの寸法を測定し(図2参照)、以下の式より算出した。
【0106】
形状保持率(%)=[(a−b)/a]×100
【0107】
[流動性試験]
トランスファー成形機を用い、金型内に配合ゴム10gを10秒で注入し、型温度180℃で3.5分間加硫発泡を行った。このようにして得られた図3の加硫ゴム発泡成形体を型から取り出し、成形体の長さ(図中のL)を測定した。
【0108】
(実施例1〜5及び比較例1〜5) 自動車用グラスランチャネル・窓枠用ゴム組成物及びその製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−1)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=3.0dl/g、ヨウ素価=12、ムーニー粘度(油展後)=110、油展量=10phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量110重量部)、FEFカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#60G]175重量部、重質炭酸カルシウム[白石カルシウム(株)製、商品名:ホワイトンSB]20重量部、軟化剤[出光興産(株)製、商品名:ダイアナプロセスPW−380]85重量部、亜鉛華[堺化学工業(株)製、商品名:1号]5重量部、ステアリン酸1重量部及びジメチルジステアリルアンモニウムクロリド[ライオンアクゾ(株)製、商品名:アーカード2HT−F]を容量16リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。この混練は充填率75%で行った。
【0109】
混練方法は、先ずエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−1)を15秒素練りし、次いで、亜鉛華、ステアリン酸、重質炭酸カルシウム、軟化剤、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリドを入れ、最後に0.5重量部(1.0×10-3mol )のビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[デグサ・ヒュルス社製、商品名:Si−69]を簡単に混ぜ合わせたカーボンブラック(比較例1〜5ではビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンは配合せず、カーボンブラックをそのまま)を投入して、フローティングウェイトを下した後、混練中の指示温度が150℃を示してから4分間混練し、排出した。排出後のコンパウンド温度は表2及び表3に示すとおりであった。
【0110】
次に、このコンパウンドを、8インチオープンロール(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm、ロール間隔5mm)に巻き付け、イオウ、加硫促進剤及び酸化カルシウム[井上石灰工業(株)製、商品名:ベスタ#BS]を入れ5分間混練した後、混練物を厚み10mm、幅70mmのリボン状に分出し、50mmゴム用押出機に投入し、グラスランチャネル製品を得た。
【0111】
なお、活性化エネルギーの測定及びダイスエル比測定用試料は、加硫剤、加硫促進剤をロール工程で入れないこと以外は前記工程と同様にして得た。
各組成物の配合を表1に、混練条件及び結果を表2及び表3に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
加硫系:イオウ1.0重量部、加硫促進剤2−メルカプトイミダゾリン[商品名:サンセラー22、三新化学工業(株)製]0.7重量部、加硫促進剤ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛[商品名:サンセラーBZ、三新化学工業(株)製]1.3重量部、加硫促進剤2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール[商品名:サンセラーMDB、三新化学工業(株)製]1.3重量部
【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
(実施例6〜8及び比較例6〜8)
ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンの配合量を変える以外は、実施例1〜5と同様にして、混練及び8インチロール混練を行った。混練は170℃、4分で行い、排出後のコンパウンド温度は175℃であった。
各組成物の配合を表4に、混練条件及び結果を表5に示す。
【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
(比較例9〜14)
ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンの代わりに表6に示す配合剤Aを等モル、又はイオウを0.03重量部もしくは0.3重量部配合する以外は、実施例3と同様にして実験を行った(混練条件:170℃、4分)。
結果を表6に示す。
【0120】
【表6】

【0121】
配合剤A
オルガノシラン1:ジメトキシメチルフェニルシラン(SiC9H14O2) (信越化学工業(株)製)
オルガノシラン2:テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン
((CH3OCH2CH2O)4Si)(信越化学工業(株)製)
ビニルシラン:ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
((CH3OCH2CH2O)3SiCH=CH2)(信越化学工業(株)製)
加硫促進剤TRA:ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(商品名:サンセラーTRA、三新化学工業(株)製)
【0122】
(実施例9〜11及び比較例15〜16) ウエザーストリップスポンジ製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−2)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=2.7dl/g、ヨウ素価=25、ムーニー粘度(ML(1+4) 125℃)=45、油展量=20phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量120重量部)、活性亜鉛華[井上石灰工業(株)製、商品名:メタZ102]5重量部、SRF−Hカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#50HG]90重量部、ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[デグサ・ヒュルス社製、商品名:Si−69]所定量、パラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名:ダイアナプロセスPW−380]70重量部及び活性剤[ポリエチレングリコール;日本油脂(株)製、商品名:PEG#4000]所定量を容量16リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]にて、充填率75%で6分間混練し、排出後のコンパウンド温度は、165℃であった。混練は一括投入法で行った。ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンは、秤量したカーボンブラックの上に所定量吹きかけ、混練機内にカーボンブラックと一緒に投入した。
【0123】
次に、このコンパウンドを、8インチオープンロ−ル(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm)に巻き付けて、イオウ、加硫促進剤、脱泡剤[酸化カルシウム;井上石灰工業(株)製、商品名:ベスタ20]及び発泡剤[p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド);永和化成工業(株)製、商品名:ネオセルボンN1000SW]を入れ5分間混練した後、混練物を厚み10mm、幅70mmのリボン状に分出した。
【0124】
マイクロ波加硫槽(UHF)と熱空気加硫槽(HAV)が直列につながれた成形ラインを用いて、又はマイクロ波加硫槽(UHF)を組み合わせない成形ラインを用いて、加硫及び発泡を行った。この際、押出機ヘッド温度80℃として、UHFの温度は200℃とし、押出材料の表面温度がUHF出口で180℃となるように出力を調整した。30mのHAV加硫槽を用い、その層内温度は250℃に設定した。
各組成物の配合及び結果を表7に示す。
【0125】
(実施例12) ウエザーストリップスポンジ製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−2)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=2.7dl/g、ヨウ素価=25、ムーニー粘度(ML(1+4) 125℃)=45、油展量=20phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量120重量部)及びプロピレンホモポリマー(融点:160℃、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg)20g/10分、結晶化度85%)20重量部を予め容量4.3リットルのバンバリーミキサーで175℃、5分の条件でブレンドし、これを50mm押出機で260℃(N2シール中)で押出し、水冷してEPDM/PPアロイを得た。このEPDM/PPアロイを用いて、表7に示す配合で実施例9〜11と同様に処理した。結果を表7に示す。
【0126】
【表7】

【0127】
加硫系:イオウ1.5重量部、加硫促進剤2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:サンセラーM、三新化学工業(株)製]1.0重量部、加硫促進剤N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド[商品名:サンセラーCM、三新化学工業(株)製]1.0重量部、加硫促進剤ジエチルチオウレア[商品名:サンセラーEUR、三新化学工業(株)製]1.0重量部、加硫促進剤テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド[商品名:サンセラーTOT、三新化学工業(株)製]1.0重量部
【0128】
(実施例13〜17及び比較例17〜21) 防振ゴム用ゴム組成物及びその製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−4)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=4.0dl/g、ヨウ素価=22、ムーニー粘度(油展後)=110、油展量=50phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量150重量部)、FEFカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#60G]60重量部、亜鉛華[堺化学工業(株)製、商品名:1号]5重量部及びステアリン酸1重量部を容量16リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
【0129】
混練方法は、先ずエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−4)を15秒素練りし、次いで、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、最後に0.5重量部(1.0×10-3mol )のビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[デグサ・ヒュルス社製、商品名:Si−69]を簡単に混ぜ合わせたカーボンブラック(比較例17〜21ではビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンは配合せず、カーボンブラックをそのまま)を投入して4分間混練し、排出した。排出後のコンパウンド温度は175℃であった。この混練は充填率75%で行った。
【0130】
次に、このコンパウンドを、8インチオープンロ−ル(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm、ロール間隔5mm)に巻き付け、イオウ及び加硫促進剤を入れ、5分間混練した後、混練物を厚み5mm、幅40mmのリボン状に分出し、縦型インジェクションを用いて防振ゴム製品を得た。
【0131】
なお、活性化エネルギーの測定用試料は、加硫剤、加硫促進剤をロール工程で入れないこと以外は前記工程と同様にして得た。
各組成物の配合を表8に、混練条件及び結果を表9及び表10に示す。
【0132】
【表8】

【0133】
加硫系:イオウ0.75重量部、加硫促進剤ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛[商品名:サンセラーBZ、三新化学工業(株)製]1.3重量部、加硫促進剤2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:サンセラーM、三新化学工業(株)製]0.7重量部
【0134】
【表9】

【0135】
【表10】

【0136】
(実施例18〜20及び比較例22〜24)
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−4)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=4.0dl/g、ヨウ素価=22、ムーニー粘度(油展後)=110、油展量=50phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量150重量部)又はエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−5)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=2.7dl/g、ヨウ素価=20、ムーニー粘度(油展後)(ML(1+4) 100℃)=90、油展量=10phr(parts per hundred rubber); 三井化学(株)製]100重量部(製品重量110重量部)、FEFカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#60G]60重量部、軟化剤[出光興産(株)製、商品名:ダイアナプロセスPW−380]40重量部(実施例20のみ)、亜鉛華[堺化学工業(株)製、商品名:1号]5重量部及びステアリン酸1重量部を容量16リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
【0137】
混練方法は、先ずエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−4)又はエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−5)を15秒素練りし、次いで、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤(実施例20のみ)、最後に所定量のビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[デグサ・ヒュルス社製、商品名:Si−69]を簡単に混ぜ合わせたカーボンブラック(比較例23及び24ではビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファンは配合せず、その代わりに、比較例23ではジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(商品名:サンセラーTRA、三新化学工業(株)製)を、比較例24ではイオウ0.04重量部をカーボンブラック中に入れ、簡単に混ぜ合わせたもの)を混練機中に投入して4分間混練し、排出した。排出後のコンパウンド温度は170℃であった。この混練は充填率75%で行った。
【0138】
次に、このコンパウンドを、8インチオープンロ−ル(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm、ロール間隔5mm)に巻き付け、イオウ及び加硫促進剤を入れ、5分間混練した後、混練物を厚み5mm、幅40mmのリボン状に分出し、縦型インジェクションを用いて防振ゴム製品を得た。
【0139】
なお、活性化エネルギーの測定用試料は、加硫剤、加硫促進剤をロール工程で入れないこと以外は前記工程と同様にして得た。
各組成物の配合を表11に、混練条件及び結果を表12に示す。
【0140】
【表11】

【0141】
加硫促進剤
サンセラーBZ:商品名、三新化学工業(株)製、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛
サンセラーM:商品名、三新化学工業(株)製、2−メルカプトベンゾチアゾール
サンセラーTT:商品名、三新化学工業(株)製、テトラメチルチウラムジスルフィド
【0142】
【表12】

【0143】
(実施例21及び比較例25〜27) ウエザーストリップスポンジ製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−6)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=2.1dl/g、ヨウ素価=25、ムーニー粘度(ML(1+4) 125℃)=30; 三井化学(株)製]100重量部、活性亜鉛華[井上石灰工業(株)製、商品名:メタZ102]5重量部、ステアリン酸2重量部、SRF−Hカーボンブラック[旭カーボン(株)製、商品名:旭#50HG]100重量部、ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン[デグサ・ヒュルス社製、商品名:Si−69]又は他のオルガノシラン所定量及びパラフィン系プロセスオイル[出光興産(株)製、商品名:ダイアナプロセスPW−380]40重量部を容量16リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]にて、充填率75%で6分間混練した。混練は一括投入法で行った。ビス−3−(トリエトキシシリル)プロピルテトラスルファン及び他のオルガノシランは、秤量したカーボンブラックの上に所定量吹きかけ、混練機内にカーボンブラックと一緒に投入した。
【0144】
次に、このコンパウンドを、8インチオープンロ−ル(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数18rpm、後ロールの回転数15rpm)に巻き付けて、イオウ、加硫促進剤、脱泡剤[酸化カルシウム;井上石灰工業(株)製、商品名:ベスタ20]、発泡剤[アゾジカルボンアミド;永和化成工業(株)製、商品名:ビニホールAC#3]及び発泡助剤[尿素系発泡助剤;永和化成工業(株)製、商品名:セルペースト101]を入れ5分間混練した後、混練物を厚み10mm、幅70mmのリボン状に分出した。
【0145】
次いで、トランスファー成形機を用い、前記リボン状コンパウンドをチューブ状の金型内に10秒で注入し、型温度180℃で3.5分間加硫発泡を行って図4に示す加硫ゴム発泡成形体(スポンジゴム)を得た。得られた加硫ゴム発泡成形体について、各種物性試験を行った。
各組成物の配合、混練条件及び結果を表13に示す。
【0146】
(実施例22) ウエザーストリップスポンジ製品
エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム(A−6)[エチレン/プロピレンのモル比=68/32、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]=2.1dl/g、ヨウ素価=25、ムーニー粘度(ML(1+4) 125℃)=30; 三井化学(株)製]100重量部及びプロピレンホモポリマー(融点:160℃、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg)20g/10分、結晶化度85%)20重量部を予め容量4.3リットルのバンバリーミキサーで175℃、5分の条件でブレンドし、これを50mm押出機で260℃(N2シール中)で押出し、水冷してEPDM/PPアロイを得た。このEPDM/PPアロイを用いて、表13に示す配合で実施例21と同様に処理した。結果を表13に示す。
【0147】
【表13】

【0148】
加硫系:イオウ1.0重量部、加硫促進剤2−メルカプトベンゾチアゾール[商品名:サンセラーM、三新化学工業(株)製]0.5重量部、加硫促進剤テトラメチルチウラムジスルフィド[商品名:サンセラーTT、三新化学工業(株)製]0.5重量部、加硫促進剤ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛[商品名:サンセラーBZ、三新化学工業(株)製]1.5重量部、加硫促進剤テトラエチルチウラムジスルフィド[商品名:サンセラーTET、三新化学工業(株)製]0.5重量部
【0149】
オルガノシラン1:ジメトキシメチルフェニルシラン(SiC9H14O2) (信越化学工業(株)製)
オルガノシラン2:テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン((CH3OCH2CH2O)4Si)(信越化学工業(株)製)
オルガノシラン3:ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン((CH3OCH2CH2O)3SiCH=CH2)(信越化学工業(株)製)
【符号の説明】
【0150】
a 縦
b 横
1 チューブ状スポンジ
2 成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)70〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、次式(I):
【化1】

[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、R2は炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3 は炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、重合度100以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを含有しない押出し成形用ゴム組成物。
【請求項2】
比表面積50m/g以上のシリカ微粉末を含有しない請求項1記載の押出し成形用ゴム組成物。
【請求項3】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)70〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、比表面積50m/g以上のシリカ微粉末を含有しない押出し成形用ゴム組成物。
【請求項4】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)70〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、シリカを含有しない押出し成形用ゴム組成物。
【請求項5】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)70〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されている押出し成形用ゴム組成物[但し、
(A)エチレン及びプロピレンを含むモノマー類の共重合体50〜95重量%と、平均組成式:RnSiO4−n/2(式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であって、Rの1〜50モル%はフェニル基であり、かつ1分子中に脂肪族不飽和基及びメルカプト置換炭化水素基から選ばれる少なくとも1種が2個以上含まれており;nは1.90〜2.05の数である)で表わされ、重合度100以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン5〜50重量%とからなる混合物100重量部、
(B)比表面積50m/g以上のシリカ微粉末5〜80重量部、
(C)比表面積20m/g以上のカーボンブラック5〜80重量部、
但し、(B)成分のシリカ微粉末と(C)成分のカーボンブラックの合計量は、20〜100重量部の範囲である。
(D)プロセスオイル5〜50重量部、
及び
(E)硬化剤1〜20重量部
を含有する成形用ゴム組成物を除く]。
【請求項6】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が、(i)(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを50/50〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有し、(ii)ヨウ素価が1〜40であり、(iii) 135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が2.0〜4.5dl/gである請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出し成形用ゴム組成物。
【請求項7】
見かけの活性化エネルギーが20〜300kJ/molであって、いかなるゴム加工工程を経ても、見かけの活性化エネルギーの変化率が40%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の押出し成形用ゴム組成物。
【請求項8】
リボン切れ及びリボン割れがなく、押出機内粘度上昇によるダイスウエル比の変化率が5%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の押出し成形用ゴム組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物からなることを特徴とするウエザーストリップスポンジ製品、高発泡シール製品、グラスランチャネル製品、窓枠製品又は自動車用水系ホース製品。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物を押出成形機により意図する形状とし、加硫することを含む加硫ゴム成形体の製造方法。
【請求項11】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)80〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、次式(I):
【化2】

[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、nは0、1又は2であり、R2は炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、R3 は炭素数6〜12のアリーレン基であり、m及びpは、それぞれ0又は1であり、かつ、mとpとが同時に0となることはなく、qは1又は2であり、Bは、qが1であるとき−SCN又は−SHであり、qが2であるとき−Sx−(式中、xは2〜8の整数である。)である。]
で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、重合度100以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサンを含有しない型成形用ゴム組成物。
【請求項12】
比表面積50m/g以上のシリカ微粉末を含有しない請求項11記載の型成形用ゴム組成物。
【請求項13】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)80〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、比表面積50m/g以上のシリカ微粉末を含有しない型成形用ゴム組成物。
【請求項14】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)80〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されており、シリカを含有しない型成形用ゴム組成物。
【請求項15】
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、少なくとも、カーボンブラック(B)80〜200重量部、及び前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100gに対して、前記式(I)で示されるアルコキシシラン化合物(C)1.0×10-5〜5.0×10-3mol が配合されている型成形用ゴム組成物[但し、
(A)エチレン及びプロピレンを含むモノマー類の共重合体50〜95重量%と、平均組成式:RnSiO4−n/2(式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であって、Rの1〜50モル%はフェニル基であり、かつ1分子中に脂肪族不飽和基及びメルカプト置換炭化水素基から選ばれる少なくとも1種が2個以上含まれており;nは1.90〜2.05の数である)で表わされ、重合度100以上のフェニル基含有オルガノポリシロキサン5〜50重量%とからなる混合物100重量部、
(B)比表面積50m/g以上のシリカ微粉末5〜80重量部、
(C)比表面積20m/g以上のカーボンブラック5〜80重量部、
但し、(B)成分のシリカ微粉末と(C)成分のカーボンブラックの合計量は、20〜100重量部の範囲である。
(D)プロセスオイル5〜50重量部、
及び
(E)硬化剤1〜20重量部
を含有する成形用ゴム組成物を除く]。
【請求項16】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が、(i)(a)エチレンから導かれる単位と(b)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを50/50〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有し、(ii)ヨウ素価が1〜40であり、(iii) 135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.8〜4.5dl/gである請求項11〜15のいずれか1項に記載の型成形用ゴム組成物。
【請求項17】
見かけの活性化エネルギーが20〜200kJ/molであって、いかなるゴム加工工程を経ても、見かけの活性化エネルギーの変化率が20%以下である請求項11〜16のいずれか1項に記載の型成形用ゴム組成物。
【請求項18】
射出成形前に準備されるリボンの切れがなく、また、型内流動性が良好でかつその流動性が変化しない材料であって、その加硫ゴム物性がコンパウンドの準備における混練条件によって変化することがない請求項11〜17のいずれか1項に記載の型成形用ゴム組成物。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか1項に記載のゴム組成物からなることを特徴とする防振ゴム、注入スポンジ、グロメット、Oリング、パッキン、ブーツ、窓枠、ブレーキピストンカップ又はOAロール製品。
【請求項20】
請求項11〜18のいずれか1項に記載のゴム組成物を型物用成形機にあった形状とし、加硫することを含む加硫ゴム成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−185297(P2009−185297A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91993(P2009−91993)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【分割の表示】特願2001−512792(P2001−512792)の分割
【原出願日】平成12年7月21日(2000.7.21)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】