説明

押圧式入力装置

【課題】過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができ、荷重センサのセンサ感度を容易に調整すること。
【解決手段】操作パネル6からの操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサ4と、操作荷重が加わる一端側から荷重センサ4に当接する他端側に延在する当接プレート5と、当接プレート5の延在方向に沿って延在し、当接プレート5の他端側を介して荷重センサ4に初期荷重を生じさせる片持ばね14と、当接プレート5を揺動可能に支持し、当接プレート5の一端側に加えられた操作荷重により、当接プレート5の他端側に対し荷重センサ4の初期荷重を減少させる方向に力を作用させる支持部材2とを備え、片持ばね14の延在方向に沿う両側方において、当接プレート5が支持部材2に支持される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧式入力装置に関し、特に、液晶ディスプレイを備えた電子機器の操作に用いられる押圧式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧式入力装置として、電子機器のタッチスクリーンに加わる押圧荷重によって、押圧位置を検出するものが知られている(特許文献1参照)。この種の押圧式入力装置は、例えば、タッチスクリーンの裏面の四隅に荷重センサを設けて構成される。押圧式入力装置は、タッチスクリーンに加わる荷重を各荷重センサで受け、各荷重センサで検出された圧力分布の変化により押圧位置を特定する。なお、このような入力装置に使用する荷重センサは、上記特許文献1ではタッチスクリーンの裏面の四隅に設けているが、1箇所でも検出可能なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−527620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、押圧式入力装置は、電子機器の製品仕様や電子機器に対する取付位置に応じて、または、電子機器の様々な用途により、荷重センサのセンサ感度を調整したいという要望がある。例えば、筐体の内側に荷重センサが配置される場合には高いセンサ感度が求められるが、筐体の外側に荷重センサが配置される場合には高いセンサ感度が求められない。しかしながら、上記した従来の押圧式入力装置は、荷重センサに押圧荷重が直に作用するため、センサ感度を調整できなかった。
【0005】
また、上記した従来の押圧式入力装置においては、タッチスクリーンの押圧荷重が直に荷重センサに加わるため、大きな荷重が加わると荷重センサが破損するおそれがあった。特に、荷重センサに圧電セラミックスが用いられる場合には破損し易いという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができ、荷重センサのセンサ感度を容易に調整できる押圧式入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の押圧式入力装置は、操作部材からの操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサと、操作荷重が加わる一端側から前記荷重センサに当接する他端側に延在する当接部材と、前記当接部材の延在方向に沿って延在し、前記当接部材の他端側を介して前記荷重センサに初期荷重を生じさせる片持ばねと、前記当接部材を揺動可能に支持し、前記当接部材の一端側に加えられた操作荷重により、前記当接部材の他端側に対し前記荷重センサの初期荷重を減少させる方向に力を作用させる支持部材とを備え、前記片持ばねの延在方向に沿う両側方において、前記当接部材が前記支持部材に支持されることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、操作部材からの操作荷重により荷重センサに作用する初期荷重が減少されるため、操作部材に対して過荷重が加えられても、荷重センサが破損することが防止される。また、片持ばねの延在方向に沿った両側方において当接部材が支持部材に支持されることから、片持ばねによって当接部材が支持部材に支持される支点の設置範囲が制限されることがない。また、当接部材において、操作荷重が加わる力点と支点との距離、荷重センサに当接する作用点と支点との距離を変更して荷重センサのセンサ感度を調整できる。この場合、支点の設置範囲が片持ばねに制限されないため、支点の設置自由度が高く、荷重センサのセンサ感度を広い範囲で調整できる。
【0009】
また本発明は、上記押圧式入力装置において、前記片持ばねの延在方向に沿う両側方において、前記当接部材及び前記支持部材のいずれか一方から、いずれか他方に向けて突出した一対の突起部が設けられたことを特徴とする。また、本発明は、上記押圧式入力装置において、前記一対の突起部を前記当接部材に設けることができる。また、本発明は前記一対の突起部は前記当接部材の前記操作荷重が加わる一旦側と前記荷重センサに当接する他端側の支点として構成され、前記当接部材を揺動可能に支持することができる。
【0010】
これらの構成によれば、簡易な構成で、当接部材を支持部材に対して揺動可能に支持させることができる。
【0011】
また本発明は、上記押圧式入力装置において、前記片持ばねが前記支持部材から延出したことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、片持ばねが支持部材に一体に形成されるため、部品点数を少なくして製造コストを低減することができる。
【0013】
また本発明は、上記押圧式入力装置において、前記荷重センサは、前記操作部材の操作方向に検出面を向けて配置され、前記当接部材は、一端側で前記操作部材に対向し、他端側で前記荷重センサの検出面に対向する長尺状に形成され、延在方向の途中位置に前記片持ばねの自由端側を係止する係止部が設けられており、前記片持ばねの自由端側が前記係止部に係止されることで、前記片持ばねが前記当接部材の他端側を前記荷重センサ側に引き付けて初期荷重を生じさせることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、当接部材の途中位置に設けられた係止部に、片持ばねの自由端側を係止させることで、当接部材を介して片持ばねの引き付け力を荷重センサの検出面に適切に作用させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができ、荷重センサのセンサ感度を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る押圧式入力装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る押圧式入力装置の分解斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る当接プレートによる荷重の伝達構造の説明図である。
【図4】本実施の形態に係る押圧式入力装置の支点の設置範囲の説明図である。
【図5】本実施の形態に係る押圧式入力装置の入力操作の説明図である。
【図6】他の実施の形態に係わる押圧式入力装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、液晶ディスプレイに取り付けられる押圧式入力装置について説明する。しかしながら、本実施の形態に係る押圧式入力装置の適用対象については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0018】
図1および図2を参照して、押圧式入力装置の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の分解斜視図である。
【0019】
図1および図2に示す押圧式入力装置1は、電子機器に設けられた不図示の操作パネルの裏面の所定の場所に、少なくとも一ヶ所、あるいは四隅に配置され、操作パネルからの操作荷重を受けるように構成されている。押圧式入力装置1は、断面視略U字形状(上面開放の溝型形状)で長尺状の支持部材2を有している。支持部材2の底板部11には、開口部13と共に片持ばね14が形成されている。支持部材2の背面には、フレキシブル基板3が取り付けられ、フレキシブル基板3の配置された荷重センサ4が支持部材2の開口部13を介して上方に突出される。支持部材2には、開放された上面を覆うように当接プレート5が取り付けられる。
【0020】
当接プレート5は、断面視略逆U字形状(下面開放の溝型形状)で長尺状に形成されており、一端側で操作パネルに当接され、他端側で荷重センサ4に当接される。この場合、当接プレート5の他端側は、支持部材2に設けられた片持ばね14により荷重センサ4に引き寄せられ、荷重センサ4に対して初期荷重を付与する。当接プレート5の長手方向の途中部分は、一対の突起部33を介して支持部材2の底板部11に揺動可能に支持される。当接プレート5は、操作パネルからの操作荷重を一端側で受けることで、揺動支点を中心として荷重センサ4に作用する初期荷重に対して逆向きに力を作用させる。
【0021】
本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、操作パネルからの操作荷重が片持ばね14を押し返すように作用し、荷重センサ4に作用する初期荷重が減少される。そして、電子機器のICにおいて、操作パネルの裏面の所定の場所に少なくとも一ヶ所の各押圧式入力装置1からの入力に基づいて、操作パネルに対する操作位置や操作荷重が算出される。
【0022】
支持部材2は、ステンレス等の金属板材により形成され、長尺状の底板部11と、底板部11の幅方向の両端部から立ち上がる一対の側板部12とを有している。底板部11の背面には、荷重センサ4が取り付けられたフレキシブル基板3が貼着される。底板部11には、支持部材2の長手方向に沿って開口部13が形成される。開口部13は、底板部11からフレキシブル基板3上の荷重センサ4の検出面21を突出させる。荷重センサ4の取り付け方法としては、支持部材2の開口部13を当接プレート5の他端側の、荷重センサ4と当接する部分に対応する箇所を一部塞いで、支持部材2上に荷重センサ4が取り付けられたフレキシブル基板3を貼着しても良い。
【0023】
底板部11には、その一端側から開口部13内に延出する片持ばね14が設けられている。片持ばね14は、底板部11から切り起こされた板ばねであり、当接プレート5の係止部38を介して当接プレート5の他端側を荷重センサ4に引き付けるように作用する。また、底板部11には、開口部13の形成よって一対の側板部12に沿った一対の長辺部15が設けられる。この一対の長辺部15は、当接プレート5に形成された一対の突起部33を受けるように形成される。
【0024】
フレキシブル基板3は、荷重センサ4を設けた基板であり、例えば、絶縁層としてのポリイミドフィルム上に導電パターンを形成して構成される。フレキシブル基板3は、電子機器の不図示のICに接続され、荷重センサ4からの出力値をICに入力する。荷重センサ4は、例えば、ピエゾ抵抗効果や圧電効果を利用したフォースセンサ等であり、突起22を有する検出面21を上方に向けて、支持部材2の開口部13から突出されている。荷重センサ4の突起22には、支持部材2に取り付けられた当接プレート5の他端側が当接されている。
【0025】
当接プレート5は、ステンレス等の金属板材により形成され、長尺状の上板部31と、上板部31の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側板部32とを有している。当接プレート5の一対の側板部32の外面間隔は、支持部材2の一対の側板部12の内面間隔よりも小さく形成されている。このため、当接プレート5の一対の側板部32は、支持部材2の一対の側板部12の内側に配置され、支持部材2の一対の長辺部15に対向する。
【0026】
当接プレート5の一対の側板部32には、底面(下面)から一対の長辺部15に向かって突出した一対の突起部33が設けられている。当接プレート5は、一対の突起部33が一対の長辺部15に載置されることで、支持部材2によって揺動可能に支持される。この一対の突起部33は、一対の長辺部15に載置されることで当接プレート5の支点を構成する。なお、一対の突起部33は、当接プレート5の作成時に金属板材の切り出し加工により形成される。また、当接プレート5に一対の突起部33を設ける代わりに、一対の長辺部15に一対の突起部33を設けることも可能であるが、この場合には金属板材の板厚方向への曲げが必要となるため、当接プレート5に一対の突起部33を設けた本構成の方が容易に形成可能である。
【0027】
また、本実施の形態では、当接プレート5及び支持部材2を金属板材で形成したが、これに限定されず、例えば、樹脂材料で形成されてもよい。この場合には、一対の突起部33は、当接プレート5及び支持部材2のいずれに設けられる構成でも、容易に形成可能である。
【0028】
上板部31の一端側には、上面視略T字状の被押圧部34が設けられている。この被押圧部34は操作パネルの仕様により適宜その形状を変更することが可能であり、例えば、丸形状や三角形状等、任意の形状に形成できる。被押圧部34は、操作パネル6に対向し、押し子35(図3参照)を介して操作パネルの背面に当接される。被押圧部34の一部は、押し子35を介して操作パネルに当接されることで、当接プレート5の力点を構成する。上板部31の他端側には、荷重センサ4の検出面21に対向し、荷重センサ4を押圧する押圧部36が設けられている。押圧部36の一部は、荷重センサ4の突起22に当接し、当接プレート5の作用点を構成する。
【0029】
上板部31の略中間部分には、上面視矩形状の開口部37が形成されている。上板部31には、その押圧部36側から開口部37内に延出する係止部38が設けられている。係止部38は、側面視略L字状に屈曲されており、支持部材2から延びる片持ばね14の自由端側を係止する。係止部38が片持ばね14を係止すると、片持ばね14のばね力によって押圧部36が荷重センサ4側に引き付けられる。荷重センサ4には、片持ばね14によって押圧部36が引き付けられることで初期荷重が生じる。
【0030】
このように構成された当接プレート5は、操作パネル6からの操作荷重を一対の突起部33を支点として押圧部36に作用させる。この場合、押圧部36には、操作パネル6からの操作荷重が、荷重センサ4に対する初期荷重を減少させる方向に作用する。よって、操作パネル6に対して過荷重が加えられても、荷重センサ4に初期荷重以上の荷重が作用しないため、荷重センサ4の破損が防止される。
【0031】
図3を参照して、当接プレートによる荷重の伝達構造について説明する。図3は、本実施の形態に係る当接プレートによる荷重の伝達構造の説明図である。なお、図3(a)、(b)は、支点と力点との距離、及び支点と作用点との距離の割合を変化させたものである。
【0032】
図3(a)に示すように、当接プレート5は、一対の側板部32に設けられた一対の突起部33により、支持部材2の底板部11(一対の長辺部15)に支持されている。また、当接プレート5は、被押圧部34において押し子35を介して操作パネル6に当接され、押圧部36において荷重センサ4の突起22に当接されている。すなわち、当接プレート5は、一対の突起部33の支持位置を支点P1、押し子35が設けられた被押圧位置を力点P2、押圧部36の押圧位置を作用点P3とした梃子として機能する。この状態で、被押圧部34の力点P2に操作パネル6から操作荷重が加わると、当接プレート5が一対の突起部33の支持位置を支点P1として揺動される。
【0033】
このとき、押圧部36の作用点P3に作用する操作荷重の大きさが、支点P1と力点P2との距離、及び支点P1と作用点P3との距離の割合に応じて変化する。図3(a)では、支点P1と力点P2との距離、及び支点P1と作用点P3との距離が、約1:1に設定されている。したがって、操作パネル6からの操作荷重が、ほぼ変化されることなく押圧部36の作用点P3に伝達される。押圧部36に伝達された操作荷重は、初期荷重に対して逆向きに作用するため、荷重センサ4に対する初期荷重が減少される。
【0034】
なお、支点P1と力点P2との距離、及び支点P1と作用点P3との距離の割合を変えることで、検出感度を調整すると共に、様々な定格荷重の荷重センサ4に対応可能である。例えば、図3(b)に示すように、支点P1と力点P2との距離、及び支点P1と作用点P3との距離が、約1:2に設定されてもよい。この場合、操作パネル6からの操作荷重が、ほぼ半減されて押圧部36の作用点P3に伝達される。
【0035】
このように、支点P1の位置を変えることにより、力点P2に加わる操作荷重を変化させて作用点P3に伝達でき、荷重センサ4のセンサ感度を調整できる。具体的には、支点P1と作用点P3との距離を近付けることで荷重センサ4からの出力を高くして、センサ感度を高くできる。また、支点P1と作用点P3との距離を遠ざけることで荷重センサ4からの出力を低くして、センサ感度を低くできる。よって、電子機器の製品仕様や電子機器に対する取付位置に応じて、荷重センサ4のセンサ感度を調整できる。
【0036】
また、支点P1と作用点P3との距離を遠ざけることで、荷重センサ4に作用する荷重を小さくして、より定格荷重の小さな荷重センサ4を用いることもできる。よって、押圧式入力装置1の設計自由度を向上させることができる。
【0037】
図4を参照して、押圧式入力装置の支点の設置範囲について説明する。図4は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の支点の設置範囲の説明図である。図4(a)は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の支点の設置範囲を示し、図4(b)は、比較例に係る押圧式入力装置の支点の設置範囲を示す。なお、比較例に係る押圧式入力装置は、当接プレートに一対の突起部を設ける代わりに、支持部材の片持ばねの基端側を切り起こして当接プレートを支持する支点を形成している。また、図4(a)、(b)においては、説明の便宜上、当接プレートを破線で示している。
【0038】
図4(a)に示すように、本実施の形態では片持ばね14の延在方向に沿った両側方において、一対の突起部33が一対の長辺部15に載置されることで、当接プレート5が支持部材2に揺動可能に支持される。このように、片持ばね14の両側方において、一対の突起部33が支持されるため、片持ばね14によって支点の設置範囲が制限されることがない。よって、本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、一対の側板部12に沿って、切欠部16を除くL1で示す範囲に支点を設けることができる。
【0039】
一方、図4(b)に示すように、比較例では片持ばね42の基端側で上方に切り起こされた支持板部43に、当接プレート44の一端側が載置されることで、当接プレート44が支持部材45に揺動可能に支持される。このように、片持ばね42の基端側を切り起こして支持板部43が形成されるため、片持ばね42の基端側に支点の設置範囲が制限される。よって、比較例に係る押圧式入力装置41では、片持ばね42の基端側を示すL2の範囲でしか支点を設けることができない。
【0040】
この比較例に係る押圧式入力装置41では、片持ばね42の延在長を変える(例えば、短くする)ことで、支点の設置範囲を広げることができるが、片持ばね42のばね力が変化するため荷重センサ46のセンサ感度の調整が複雑になる。これに対し、本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、片持ばね14に影響を与えることなく、かつ比較例に係る押圧式入力装置41よりも支点の設置範囲を広くできるため、荷重センサ4のセンサ感度を容易に調整できる。
【0041】
また、比較例に係る押圧式入力装置41は、片持ばね42の基端側にしか支点を設置できないため、支点の設置位置によっては支持部材45及び当接プレート44の延在長が長くなり装置が大型化する。これに対し、本実施の形態に係る押圧式入力装置1は、片持ばね14の両側方に支点を設置できるため、支点の設置位置に影響を受けることなく、支持部材2及び当接プレート5の延在長を短く固定することができ装置を小型化できる。このように、本実施の形態に係る押圧式入力装置1は、支点の設置位置の自由度が向上されている。
【0042】
図5を参照して、押圧式入力装置の入力操作について説明する。図5は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の入力操作の説明図である。なお、図5(a)は操作パネルの非操作状態、図5(b)は操作パネルの操作状態をそれぞれ示す。
【0043】
図5(a)に示すように、操作パネル6の非操作状態では、片持ばね14の弾性力により押圧部36が荷重センサ4に引き付けられている。押圧部36は、作用点P3において荷重センサ4の突起22に当接する。このとき、操作パネル6には操作荷重が加わっていないため、片持ばね14の弾性力が押圧部36を介して荷重センサ4に初期荷重F1として付与される。
【0044】
図5(b)に示すように、非操作状態から操作パネル6が操作荷重F2で押圧されると、操作荷重が一対の突起部33が支持部材2に支持される位置を支点として押圧部36に伝達される。この際、操作荷重F2の大きさは、支点P1と力点P2との距離、支点P1と作用点P3との距離の割合に応じて可変される。本実施の形態では、支点P1と力点P2との距離、支点P1と作用点P3との距離が約1:1に設定されるため、操作荷重F2の大きさがほぼ変化することなく、操作荷重の向きだけが逆向きに変換されて押圧部36に伝達される。
【0045】
押圧部36(作用点P3)に伝達された操作荷重F2は、押圧部36による押圧方向に対して逆向きに作用する。この結果、片持ばね14の引き付け力が緩められて初期荷重F1が減少され、荷重センサ4に荷重F3が作用する。このように、操作パネル6に対する操作荷重が大きくなるにつれて、荷重センサ4に作用する荷重が小さくなるため、荷重センサ4に対して初期荷重F1以上の荷重が作用することがない。よって、荷重センサ4に定格荷重以上の荷重が加わることがなく、荷重センサ4の破損を防止できる。荷重センサ4は、押圧部36から受ける荷重を、操作荷重に応じた信号として電子機器のICに出力する。
【0046】
電子機器のICは、荷重センサ4からの出力値に応じて、操作パネル6に対する操作位置及び操作荷重を算出する。例えば、ICは、操作パネル6の四隅に配置された複数の押圧式入力装置1の荷重センサ4からの出力値の割合に基づいて、操作パネル6における操作位置及び操作荷重を特定する。なお、本実施の形態では、電子機器のICによって操作位置及び操作荷重が算出されたが、フレキシブル基板3にICを設けて押圧式入力装置1側で操作位置及び操作荷重が算出されてもよい。また、押圧式入力装置1は操作パネルに例えば一つ設けられていても良く、この場合は、操作パネル6の操作位置検出手段から得られた操作位置の出力値と荷重センサ4より得られた操作荷重の出力値とを電子機器のICに出力する。
【0047】
図5(b)に示す操作状態から操作パネル6に対する押圧が解除されると、押圧部36の押圧方向に対して逆向きに作用する操作荷重が除かれる。そして、片持ばね14の弾性力が、押圧部36を介して荷重センサ4に対して初期荷重F1として再び付与される。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る押圧式入力装置1によれば、操作パネル6からの操作荷重により荷重センサ4に作用する初期荷重が減少されるため、操作パネル6に対して過荷重が加えられても、荷重センサ4が破損することが防止される。また、片持ばね14の両側方において当接プレート5が支持部材2に支持されることから、支点の設置範囲が制限されることがない。また、当接プレート5において、支点と力点との距離、支点と作用点との距離を変更して荷重センサ4のセンサ感度を調整できる。この場合、支点の設置自由度が高いため、荷重センサ4のセンサ感度を広い範囲で調整できる。
【0049】
なお、上記した実施の形態においては、当接プレートが、一対の突起部により支持部材に揺動可能に支持されるが、これに限定されない。当接プレートは、支持部材に揺動可能に支持される構成であればよく、例えば、当接プレートおよび支持部材のいずれか一方に設けられた起伏により揺動可能に支持されてもよい。
【0050】
また、上記した実施の形態においては、単一の片持ばねにより当接プレートを介して荷重センサに初期荷重が付与されるが、これに限定されない。延在方向に沿う両側方に、長辺部のように当接プレートが支持部材に支持される領域を残すのであれば、複数の片持ばねにより荷重センサに初期荷重が付与されてもよい。
【0051】
また、上記した実施の形態においては、片持ばねが金属板状の支持部材の一部を切り起こして形成されたが、これに限定されない。片持ばねは、樹脂製の支持部材にインサートされる構成でもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態においては、片持ばねが支持部材に設けられたが、これに限定されない。片持ばねは、当接プレートを介して荷重センサに初期荷重を生じさせるものであればよく、例えば、図6に示すように、押圧プレートに設けられてもよい。この場合、片持ばね51が押圧プレート52に設けられ、係止部55が支持部材54に設けられるようにする。また、片持ばねは、支持部材及び押圧プレート以外の部材、例えば、電子機器の筐体に設けられてもよい。
【0053】
また、上記した実施の形態においては、片持ばねが板ばねである構成としたが、これに限定されない。片持ばねは、当接プレートの延在方向に沿って延在し、当接プレートを介して荷重センサに初期荷重を生じさせるものであれば、どのような構成でもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、当接部材として金属板材により当接プレートを例示したが、これに限定されない。当接部材は、操作荷重が加わる一端側から荷重センサに当接する他端側に延在し、支持部材に揺動可能に支持される構成であれば、どのように形成されてもよい。
【0055】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができ、荷重センサのセンサ感度を容易に調整できるという効果を有し、特に、液晶ディスプレイを備えた電子機器の操作に用いられる押圧式入力装置に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 押圧式入力装置
2 支持部材
3 フレキシブル基板
4 荷重センサ
5 当接プレート(当接部材)
6 操作パネル(操作部材)
14 片持ばね
15 長辺部
21 検出面
33 突起部
34 被押圧部
36 押圧部
38 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材からの操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサと、
操作荷重が加わる一端側から前記荷重センサに当接する他端側に延在する当接部材と、
前記当接部材の延在方向に沿って延在し、前記当接部材の他端側を介して前記荷重センサに初期荷重を生じさせる片持ばねと、
前記当接部材を揺動可能に支持し、前記当接部材の一端側に加えられた操作荷重により、前記当接部材の他端側に対し前記荷重センサの初期荷重を減少させる方向に力を作用させる支持部材とを備え、
前記片持ばねの延在方向に沿う両側方において、前記当接部材が前記支持部材に支持されることを特徴とする押圧式入力装置。
【請求項2】
前記片持ばねの延在方向に沿う両側方において、前記当接部材及び前記支持部材のいずれか一方から、いずれか他方に向けて突出した一対の突起部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の押圧式入力装置。
【請求項3】
前記一対の突起部は、前記当接部材に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の押圧式入力装置。
【請求項4】
前記一対の突起部は前記当接部材の前記操作荷重が加わる一端側と前記荷重センサに当接する他端側の支点として構成され、前記当接部材を揺動可能に支持することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の押圧式入力装置。
【請求項5】
前記片持ばねは、前記支持部材から延出したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の押圧式入力装置。
【請求項6】
前記荷重センサは、前記操作部材の操作方向に検出面を向けて配置され、
前記当接部材は、一端側で前記操作部材に対向し、他端側で前記荷重センサの検出面に対向する長尺状に形成され、延在方向の途中位置に前記片持ばねの自由端側を係止する係止部が設けられており、
前記片持ばねの自由端側が前記係止部に係止されることで、前記片持ばねが前記当接部材の他端側を前記荷重センサ側に引き付けて初期荷重を生じさせることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の押圧式入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145453(P2012−145453A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4214(P2011−4214)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】