説明

指示システム、指示プログラム及び指示装置

【課題】 実物体側からの対象物に対する指示位置を特定させ得る指示システム、指示プログラム及び指示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 対象物200を撮像するビデオカメラ20で撮像された撮像画像を端末100に送信すると共に、該端末100でなされた撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表すアノテーション画像AN1をプロジェクタ40により対象物200に投影させ得るサーバ50を有し、サーバ50は、ビデオカメラ20の撮像領域内での指示位置特定装置70による光点の軌跡をアノテーション画像としてプロジェクタ40により対象物200に投影させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示システム、指示プログラム及び指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
会議システム等においては、端末側から実物体側へ向けて作業手順の指示等の各種指示を行う必要がある。このような、端末側から実物体側への指示を行うことができる会議システムとしては、例えば特許文献1に示すように、実物体側に存在する対象物をビデオカメラで撮像しつつその撮像画像を端末に送信すると共に、端末側において撮像画像に基づいて指示された注釈画像を実物体側でプロジェクタにより対象物へ投影する指示システムが知られている。
【0003】
また、特許文献2では、投影機能を有するテレビ電話装置において、簡易な構成で利用者が相手側にある実物に対して指示や書込みが行える旨が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−33756号公報
【特許文献2】特開平6−245207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2に開示される技術では、対象物の指示位置は端末側からの指示に応じて特定されるものの実物体側からの対象物に対する指示位置は端末側に伝わりづらい。
【0006】
例えば、実物体側の利用者が対象物に対して直接書き込みを行い、端末側の利用者にその指示位置や意図等を伝えたい場合であっても、対象物が貴重なものであり、対象物に直接書き込みを行えない状況にある場合には、指示位置等を的確には伝えられず、利用者間の円滑な対話が阻害される可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、実物体側からの対象物に対する指示位置を特定させ得る指示システム、指示プログラム及び指示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、対象物を撮像する撮像手段で撮像された撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を投影手段により対象物に投影させ得る制御手段を有し、制御手段は、撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を注釈画像として投影手段により対象物に投影させることを特徴とする指示システムである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御手段は、発光手段と対象物とが近接する場合に、光点の軌跡を注釈画像として投影させることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、制御手段は、光点の撮像領域内での大きさに基づいて対象物と発光手段との距離を計測し、該距離が所定の閾値より短い場合に近接すると判定することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、制御手段は、光点の軌跡に関する注釈画像の投影後、所定の時間が経過した場合に、該注釈画像の投影を停止させることを特徴としている。
【0012】
制御手段は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、光点の軌跡に関する注釈画像を保持し、端末からの指示に応じて、該注釈画像を再び投影させることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、制御手段は、発光手段からの指示に応じて、光点の軌跡に関する注釈画像の投影形態を変更することを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、制御手段は、発光手段からの指示に応じて、光点の軌跡に関する注釈画像の線種を変更することを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、制御手段は、発光手段からの指示に応じて、光点の軌跡に関する注釈画像の色を変更することを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、制御手段は、発光手段からの指示に応じて、光点の軌跡に関する注釈画像の太さを変更することを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の発明は、コンピュータを、対象物を撮像する撮像手段で撮像された撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を投影手段により対象物に投影させ得る制御手段として機能させ、制御手段は、撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を注釈画像として投影手段により対象物に投影させることを特徴とする指示プログラムである。
【0018】
請求項11に記載の発明は、対象物を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像された撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を対象物に投影する投影手段と、撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた指示に応じた注釈画像を投影手段に投影させ、撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を注釈画像として投影手段により対象物に投影させる制御手段と、を有することを特徴とする指示装置である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、実物体側からの対象物に対する指示位置を特定させられる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、対象物近くでの発光手段による指示に応じた、光点の軌跡に関する注釈画像が対象物に投影される。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、対象物と発光手段との距離により近接であるか否かが判定できる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力の抑制が図れる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、光点の軌跡に関する過去の注釈画像を再現できる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、注釈画像の投影形態により、指示位置の区別が明確となる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、注釈画像の線種により、指示位置の区別が明確となる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、注釈画像の色により、指示位置の区別が明確となる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、注釈画像の太さにより、指示位置の区別が明確となる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、実物体側からの対象物に対する指示位置を特定させられる。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、実物体側からの対象物に対する指示位置を特定させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る指示システムの構成図、図2は指示位置特定装置70の例を示す図、図3はサーバ50の要部構成を例示する機能ブロック図、図4はサーバ50のハードウェア構成を例示する機能ブロック図である。
【0031】
この指示システムは、図1に示すように、対象物側装置10及び端末100等を備えており、対象物側装置10と端末100とはネットワーク300により相互に通信可能に接続されている。尚、図1においては、端末100を一台のみ示しているが、複数の端末100がネットワーク300を通じて対象物側装置10の後述するサーバ50へ接続されるようにしてもよい。また、本実施形態に係る指示システムは、1つの筐体で覆われる等して1つの指示装置として構成されていてもよく、また、複数の装置から構成されていてもよい。
【0032】
対象物側装置10は、撮像手段としてのビデオカメラ20、投影手段としてのプロジェクタ40、制御手段としてのサーバ50、ハーフミラー60及び発光手段としての指示位置特定装置70等から構成される。
【0033】
ビデオカメラ20は、例えばCCDカメラ等で構成される。ビデオカメラ20は、対象物200及び指示位置特定装置70を撮像すると共に、その撮像画像の情報はサーバ50に取り込まれる。ビデオカメラ20は、ハーフミラー60を透過した画像を撮像する。
【0034】
プロジェクタ40は、例えば液晶プロジェクタ等で構成され、端末100でなされた撮像画像に基づく指示に応じた注釈画像AN1(以下、アノテーション画像という。)を対象物200に投影する。また、プロジェクタ40は、その光学系が、ハーフミラー60によりビデオカメラ20と光学的な主点が略一致するように配置されている。すなわち、プロジェクタ40とビデオカメラ20との光軸及び投影・撮像画角をそれぞれ一致させている。このプロジェクタ40は、サーバ50から送信されたアノテーション画像AN1をその光学系を通じハーフミラー60を介して対象物200へ投影する。プロジェクタ40からのアノテーション画像AN1は、ハーフミラー60で反射して対象物200へ投影される。尚、アノテーション画像AN1には、線、文字、図形等のあらゆる形態の画像が含まれる。また、ハーフミラー60の反射率は発振現象の防止の観点から0.3%程度であることが望ましい。
【0035】
指示位置特定装置70は、例えば発光体等を備えたペン型の形状で構成される。そして、自身の光点の軌跡がビデオカメラ20に撮像されて、その撮像画像に基づいた後述するアノテーション画像AN2が対象物200に対する指示位置として投影される。より詳しくは、図2に示すように、指示位置特定装置70は、発光体71、把持部72及びスイッチ73等から構成される。その他にも、把持部72の内部に構成される図示しない電源部、制御部及び通信部等も有する。
【0036】
発光体71は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)や電球等で構成される。発光力が強い発光体71が望ましい。通信部は例えば電波や赤外線等の無線通信が可能な通信機器で構成される。電源部は例えば電池等で構成される。制御部は、把持部72に形成されたスイッチ73が押下されると、電源部からの電力により発光体71を点灯させると共に、通信部を介してサーバ50に対し電源が入った旨の情報(以下、ON情報という。)を送信させる。そして、スイッチ73が再度押下されると、発光体71を消灯させると共に、通信部を介してサーバ50に対し電源が切られた旨の情報(以下、OFF情報という。)OFF情報を送信させる。
【0037】
サーバ50は、ビデオカメラ20及びプロジェクタ40の動作を制御すると共に、ネットワーク300を介して端末100との間で各種情報を授受する。
【0038】
より詳しくは、図3に示すように、ビデオカメラ20を制御する撮像部51と、ビデオカメラ20によって撮像された撮像画像を端末100に送信する画像送信部52とを備える。また、サーバ50は、指示位置特定装置70からのON/OFF情報や端末100からの描画指示を受信する受信部53と、プロジェクタ40を制御し、プロジェクタ40にアノテーション画像ANを投影させ得る投影部54とを備える。さらに、端末100からの描画指示に対して所要の処理を行う描画指示処理部55、撮像画像から発光体71の光点の軌跡を検出する画像処理部56を備える。
【0039】
したがって、サーバ50は、ビデオカメラ20が撮像した撮像画像を端末100へ送信すると共に、端末100でなされた撮像画像に基づく指示に応じたアノテーション画像AN1をプロジェクタ40により対象物200へ投影させる。さらに、撮像画像内に指示位置特定装置70の発光体71に基づく光点を検出した場合には、検出結果としてその軌跡を保持しておき、光点の軌跡に基づくアノテーション画像AN2をプロジェクタ40により対象物200へ投影させる。
【0040】
端末100は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等からなる表示装置110、ネットワーク300に接続されたコンピュータ120、コンピュータ120に接続されたポインティングデバイス(マウス)130等から構成される。端末100は、例えばノート型やデスクトップ型のいわゆるパソコン、携帯電話等が該当する。
【0041】
表示装置110は、その表示画面に対象物側装置10から送信される画像を表示する。
ポインティングデバイス130は、撮像画像が表示された表示画面においてポインタで各種ボタン等を操作することにより、対象物200へ投影するアノテーション画像ANに関する指示を形成するのに用いられる。
【0042】
尚、上述したサーバ50は、いわゆるコンピュータ、すなわち、図4に示すように、CPU等の処理装置50a、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等のRAM50b、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)50c及び入出力を制御するI/F50dがバス50eにより接続されたハードウェア構成により実現される。
【0043】
したがって、CPU50aがRAM50bやROM50c等の記憶装置に格納された所要のプログラムを読み込み、当該プログラムに従った演算を行うことにより、各装置の機能が実現される。コンピュータ120や指示位置特定装置70内の制御部についても同様の構成である。尚、このようなプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとすることができる。また、必要に応じて、バス50eにハードディスクを接続するようにしてもよい。
【0044】
次に、上記構成の指示システムの動作について図5から図7を参照して説明する。
図5は対象物側装置10のサーバ50における処理の一例を示すフローチャート、図6は端末100のコンピュータ120における処理の一例を示すフローチャート、図7は端末100側の操作の一例を説明するための図である。
【0045】
まず、サーバ50の動作について説明する。
対象物側装置10側のサーバ50は、図5に示すように、まず、ビデオカメラ20の撮像画像の取り込みを開始し(ステップS11)、端末100のコンピュータ120から接続要求があるかを判断する(ステップS12)。そして、サーバ50は、コンピュータ120からの接続要求がある場合には、ビデオカメラ20の撮像画像をネットワーク300を通じて端末100のコンピュータ120へ送信する(ステップS13)。
【0046】
サーバ50は、次いで、コンピュータ120から描画指示の送信があるか否かを判断する(ステップS14)。この描画指示は、アノテーション画像AN1の描画に関する情報である。サーバ50は、上記の描画指示を受信した場合には、その描画指示の内容に応じて描画指示処理を行う(ステップS15)。描画指示に対する処理としては、例えば、プロジェクタ40を制御して、描画指示に応じたアノテーション画像AN1の投影させること等がある。
【0047】
一方、サーバ50は、上記の描画指示を受信しない場合には、コンピュータ120から切断要求があるかを判断し(ステップS16)、切断要求が無い場合には、ステップS13に戻って新たな撮像画像等をネットワーク300を通じて端末100のコンピュータ120へ送信し、切断要求があった場合には、ビデオカメラ20の撮像画像の送信を停止する(ステップS17)。そして、サーバ50は、処理の終了要求があるかを判断し(ステップS18)、終了要求がない場合には、ステップS12に戻って上記の処理を繰り返し、終了要求があった場合には処理を終了する。
【0048】
次に、端末100の動作について説明する。
端末100のコンピュータ120は、図6に示すように、サーバ50に対して接続要求を行う(ステップS21)。次いで、コンピュータ120は、接続が完了した後、例えば、図7に示すように、対象物側装置10のサーバ50から送信される撮像画像111aを表示装置110の表示画面111に表示させる(ステップS22)。
【0049】
次いで、コンピュータ120は、表示装置110の表示画面111に表示した撮像画像111aに対する利用者からの注目領域ARの指示があるかを判断し(ステップS23)、注目領域ARの指示がある場合には、指示に応じた処理を行う(ステップS24)。
【0050】
具体的には、端末100の利用者は、図7に示すような表示装置110の表示画面111内の撮像画像111aを見ながら、表示されている撮像画像111aにアノテーション画像AN1を投影したい領域がある場合か判断する。投影したい領域がある場合には、ポインティングデバイス130を操作して表示画面111上のポインタPtを移動させながら注目領域ARを指示する。注目領域ARは、アノテーション画像AN1を投影する投影位置を規定する領域である。このとき、同時に、注目領域ARに投影するアノテーション画像AN1に関する情報を指示する。
【0051】
アノテーション画像AN1に関する情報は、例えば、ポインティングデバイス130を用いて表示画面111上に形成された各種ボタンBT等を操作することにより生成される。アノテーション画像AN1に関する情報には、描画された矩形や円などの図形情報、あらかじめ用意されたビットマップ画像、キーボードなどから入力したテキスト情報、ポインティングデバイス130の動作を反映するポインタ自体等がある。そして、コンピュータ120は、ステップS24で特定された各種情報を描画指示としてサーバ50へ送信する(ステップS25)。
【0052】
コンピュータ120は、次いで、端末100でなされたビデオカメラ20の撮像画像に基づく利用者による指示が完了したかを判断し(ステップS26)、終了した場合には、サーバ50に対して切断要求を行い(ステップS27)、処理を終了する。端末100の利用者による指示操作が終了していない場合には、ステップS22に戻って上記の処理を繰り返す。
【0053】
次に、本発明の特徴となる光点検出機能について図8から図11を参照して説明する。
図8は指示位置特定装置70の動作の一例を示すフローチャート、図9はサーバ50におけるプロジェクタ40に対する投影処理の一例を示すフローチャート、図10は撮像画像111aの一例、図11は投影結果の一例である。
【0054】
尚、図9に示すフローチャートは、図5に示すサーバ50の動作の一例を示すフローチャートに含めることができ、望ましくは、ステップS13の処理とステップS14の処理の間に含めることができる。
【0055】
まず、指示位置特定装置70の動作について説明する。
指示位置特定装置70は、図8に示すように、まず、電源が入れられたか否かを判定する(ステップS31)。当該判定処理は、電源が入っていない状態で、スイッチ73が押下されたか否かによって行われる。スイッチ73が押下された場合には、電源が入れられたと判定する。
【0056】
指示位置特定装置70は、電源が入れられたと判定した場合には、次いで、発光体71を点灯させると共に(ステップS32)、ON情報をサーバ50に送信する(ステップS33)。
【0057】
指示位置特定装置70は、ここで、電源が切られたか否かを判定する(ステップS34)。当該判定処理は、電源が入っている状態で、スイッチ73が押下されたか否かによって行われる。スイッチ73が押下された場合には、電源が切られたと判定する。これにより、電源が切られない限り、発光体71は点灯し続ける。
【0058】
指示位置特定装置70は、電源が切られたと判定した場合には、次いで、発光体71を消灯させると共に(ステップS35)、OFF情報をサーバ50に送信する(ステップS36)。
【0059】
次に、サーバ50の動作について図9から図11を参照して説明する。
サーバ50は、図9に示すように、指示位置特定装置70からのON情報を受信したか否かを判定する(ステップS41)。ON情報を受信しない限りは、光点検出機能は機能しない。
【0060】
サーバ50は、ステップS41の処理において、ON情報を受信したと判定した場合には、撮像画像111a内の光点の位置を検出する(ステップS42)。この検出処理は、撮像画像111a内における画素の輝度値の高低を判定することにより行われる。例えば、撮像画像内111a内に輝度値が高い部分がある場合には、発光体71による光点であると判定し、その位置を保持する。尚、輝度値の高低は、所望の閾値より大きいか否かにより判定すればよい。
【0061】
また、対象物200と指示位置特定装置70との距離が近接している場合に、光点の位置の検出を行うようにしてもよい。例えば、対象物200と指示位置特定装置70との距離が近接していない場合には、ビデオカメラ20と指示位置特定装置70との距離とが近い可能性がある。例えば、図10に示すように、撮像画像111a内において指示位置特定装置70が占める割合が増大する。
【0062】
このような場合、指示位置特定装置70の発光体71による対象物200に対する指示位置は特定され難い。したがって、対象物200と指示位置特定装置70との距離が近接している場合に、光点の位置の検出を行うようすることが望ましい。尚、前文の場合には、発光体71の光点の撮像画像111a内での大きさに基づいて対象物200と発光体71との距離を計測し、その距離が所定の閾値より短い場合に近接すると判定すればよい。
【0063】
サーバ50は、ここで、指示位置特定装置70からのOFF情報を受信したか否かを判定し(ステップS43)、OFF情報を受信していない場合には、ステップS42の処理を行う。すなわち、サーバ50はOFF情報を受信するまで、光点の位置を検出し続ける。これにより、指示位置特定装置70の発光体71がビデオカメラ20の撮像領域内で移動する度に、サーバ50は光点を検出して保持する。この結果、光点の軌跡が得られる。
【0064】
一方、サーバ50は、指示位置特定装置70からのOFF情報を受信したと判定した場合には、光点の軌跡に応じたアノテーション画像AN2を生成する(ステップS44)。そして、アノテーション画像AN2を投影させるべくプロジェクタ40を制御する(ステップS45)。これにより、図11に示すように、指示位置特定装置70の発光体71の軌跡がアノテーション画像AN2としてプロジェクタ40に対象物200に投影される。
【0065】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る指示システムについて図12及び図13を参照して説明する。
図12は再投影処理前の表示画面111の一例、図13は再投影処理後の表示画面111の一例である。
【0066】
本実施形態に係る指示システムでは、上述したステップS44の処理で生成されたアノテーション画像AN2をサーバ50が記憶装置内に保持しておき、必要な場合に、端末100からの指示に応じて再び投影させるようにしたものである。
【0067】
具体的には、図12に示すように、ポインティングデバイス130を用いて表示画面111上に形成された「PRJ」ボタンBTを操作することにより、その操作に応じた指示がサーバ50に送信される。これにより、サーバ50は、アノテーション画像AN2を記憶装置内から呼び戻し、プロジェクタ40に当該アノテーション画像AN2を投影させる。
【0068】
この結果、対象物200にアノテーション画像AN2が再び投影されると共に、その撮像画像がビデオカメラ20により撮像される。端末100の表示装置110では、図13に示すように、アノテーション画像AN2が投影された対象物200の撮像画像111aが表示される。このように、一度、消去されたアノテーション画像AN2であっても、再び投影させることで、過去における対話を円滑に行える。
【0069】
尚、当該処理に加えて、サーバ50は、一度保持したアノテーション画像AN2に画像ごとに識別情報を付し、端末100からの指示に応じて順次呼び出し、呼び出したアノテーション画像AN2をプロジェクタ40に投影させるようにしてもよい。
【0070】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る指示システムについて図14を参照して説明する。
図14はサーバ50の動作の一例を示すフローチャートである。尚、図14に示すフローチャートは、図5に示すサーバ50の動作の一例を示すフローチャートに含めることができ、望ましくは、ステップS14の処理以降に含めることができる。
【0071】
本実施形態に係る指示システムは、サーバ50は、アノテーション画像AN2をプロジェクタ40に投影させた後、所定の時間が経過した場合に、そのアノテーション画像AN2の投影を停止させる点で上述した実施形態と相違する。
【0072】
具体的には、サーバ50は、図14に示すように、所定時間が経過したか否かを判定し続け(ステップS51)、所定時間が経過したと判定した場合には、プロジェクタ40の投影を停止させる制御を行う(ステップS52)。これにより、アノテーション画像AN2が投影され続ける状態が回避され、消費電力の抑制が図れる。
【0073】
(第4実施形態)
続いて、本発明の第4実施形態に係る指示システムについて図15を参照して説明する。
図15は対象物200に対するアノテーション画像AN2の投影結果の一例である。
本実施形態に係る指示システムは、サーバ50がアノテーション画像AN2の投影形態を変更している点で上述した実施形態と相違する。
【0074】
具体的には、図15に示すように、指示位置特定装置70からの指示に応じて、サーバ50は、アノテーション画像AN2の線種を変更したり、その太さを変更したりする。線種に関しては、同図に示すような、破線(点線)に限られず、上述した実線や、一点鎖線、二点鎖線等の鎖線であってもよい。さらに、アノテーション画像AN2の色を変更するようにしてもよい。これにより、対象物200に対する指示の区別が明確となり、対話が円滑となり得る。尚、本実施形態の場合、指示位置特定装置70に、投影形態を変更するスイッチをさらに設ければよい。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本発明のプログラムを通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0076】
また、上述した指示位置特定装置70に代えてレーザポインタ等を利用してもよい。この場合、発光体71の軌跡に代えて、対象物200上に現れるレーザポインタの光点の軌跡を撮像していき、この軌跡に応じたアノテーション画像AN2をサーバ50がプロジェクタ40に投影させるようにしてもよい。
【0077】
また、発光体71に発光力に代えて、発光体71が出す波長により発光体71の軌跡を検出するようにしてもよい。具体的には、発光体71に赤外線出力機能を形成し、ビデオカメラ20に赤外線フィルタを形成することで、発光体71の軌跡が赤外線により判断することができる。尚、発光体71が出す波長は、赤外線の波長に限定されず、撮像領域周辺から得られる波長と区別できる程度の波長を有するものであればよい。
【0078】
また、指示位置特定装置70とサーバ50との接続は、上述した無線通信に限られず、ケーブル等を介して有線通信であってもよく、この場合、電気通信や光通信等の通信形態は特に限定されるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、対象物200に対する指示位置を実物体側から非接触で特定して端末100側に伝えられようになり、対象物200が貴重なものであったり、その表面が柔らかすぎたり、粗すぎたり、滑らかすぎたりして直接的に書き込みが行えないような場合であっても、遠隔地間の対話が円滑となり、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】指示システムの実施形態を示す構成図である。
【図2】指示位置特定装置の例を示す図である。
【図3】サーバの要部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】サーバのハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図5】対象物側装置のサーバにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】端末のコンピュータにおける像形成における処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】端末側の操作の一例を説明するための図である。
【図8】指示位置特定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】サーバにおけるプロジェクタに対する投影処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】撮像画像の一例である。
【図11】投影結果の一例である。
【図12】再投影処理前の表示画面の一例である。
【図13】再投影処理後の表示画面の一例である。
【図14】サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】対象物に対するアノテーション画像の投影結果の一例である。
【符号の説明】
【0081】
10 対象物側装置
20 ビデオカメラ
40 プロジェクタ
50 サーバ
50a CPU
50b RAM
50c ROM
50d I/F
50e バス
51 撮像部
52 画像送信部
53 受信部
54 投影部
55 描画指示処理部
56 画像処理部
60 ハーフミラー
70 指示位置特定装置
71 発光体
72 把持部
73 スイッチ
100 端末
110 表示装置
111 表示画面
111a 撮像画像
120 コンピュータ
130 ポインティングデバイス
200 対象物
300 ネットワーク
AN1、AN2 アノテーション画像
AR 注目領域
Pt ポインタ
BT ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像する撮像手段で撮像された撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた前記撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を投影手段により前記対象物に投影させ得る制御手段を有し、
前記制御手段は、前記撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を前記注釈画像として前記投影手段により前記対象物に投影させることを特徴とする指示システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記発光手段と前記対象物とが近接する場合に、前記光点の軌跡を前記注釈画像として投影させることを特徴とする請求項1に記載の指示システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記光点の撮像領域内での大きさに基づいて前記対象物と前記発光手段との距離を計測し、該距離が所定の閾値より短い場合に近接すると判定することを特徴とする請求項2に記載の指示システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記光点の軌跡に関する注釈画像の投影後、所定の時間が経過した場合に、該注釈画像の投影を停止させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の指示システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記光点の軌跡に関する注釈画像を保持し、前記端末からの指示に応じて、該注釈画像を再び投影させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の指示システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記発光手段からの指示に応じて、前記光点の軌跡に関する注釈画像の投影形態を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の指示システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記発光手段からの指示に応じて、前記光点の軌跡に関する注釈画像の線種を変更することを特徴とする請求項6に記載の指示システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記発光手段からの指示に応じて、前記光点の軌跡に関する注釈画像の色を変更することを特徴とする請求項6に記載の指示システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記発光手段からの指示に応じて、前記光点の軌跡に関する注釈画像の太さを変更することを特徴とする請求項6に記載の指示システム。
【請求項10】
コンピュータを、
対象物を撮像する撮像手段で撮像された撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた前記撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を投影手段により前記対象物に投影させ得る制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を前記注釈画像として前記投影手段により前記対象物に投影させることを特徴とする指示プログラム。
【請求項11】
対象物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された撮像画像に基づく指示に応じた注釈を表す注釈画像を前記対象物に投影する投影手段と、
前記撮像画像を端末に送信すると共に、該端末でなされた前記指示に応じた前記注釈画像を前記投影手段に投影させ、前記撮像手段の撮像領域内での発光手段による光点の軌跡を前記注釈画像として前記投影手段により前記対象物に投影させる制御手段と、
を有することを特徴とする指示装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−200846(P2009−200846A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40631(P2008−40631)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】