挫瘡およびその他の状態を治療するためのビスファチン治療薬
本開示は、挫瘡およびその他の状態を治療するための組成物および方法に関する。特には、前記組成物および方法は、皮脂関連状態を治療するために有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変化した皮脂レベルと関連する、挫瘡およびその他の状態、例えば乾燥肌もしくは脂性肌を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尋常性挫瘡(Acne vulgaris)は、米合衆国および他の国々において最も多く治療される皮膚の状態の1つである。尋常性挫瘡は、一般には単純に「挫瘡(にきび)」と呼ばれているが、多数の他の様々な、そして臨床的に異型の挫瘡が公知である。挫瘡は、多数の青少年および成人に発症する。
【0003】
挫瘡の最も初期の徴候は、通常は個人の皮膚内に存在する毛包の孔内の皮脂腺性
のプラグ(sebaceous plug)の形成である。典型的には、皮脂腺性のプラグは極めて小さく、裸眼では視認できない。皮脂腺性のプラグは、皮膚の上角化層由来の死滅ケラチン生成細胞と皮脂の組み合わせがこれらの皮孔の開口部を遮断する場合に形成されることがある。次に細菌、例えば、Propionibacterium acnes(P. acnes)は、皮脂腺性のプラグによって占有された皮孔内で増殖する可能性がある。それと同時に、結果として生じる細胞および皮脂のプラグは皮孔の壁に付着し得、これは孔内でのいっそう大きなプラグの形成およびその後の孔の拡大をもたらす可能性がある。これらの拡大したプラグは、面皰(comedones)と呼ばれるが、一般には「ブラックヘッド」または「ホワイトヘッド」と呼ばれる。最終的には、この拡大は孔壁の破裂および炎症反応を引き起こす可能性がある。そのような破裂がいったん発生すると、身体は皮膚を修復し、表皮からの細胞鞘の成長を刺激することによって炎症反応の部位を被包しようとする。しかし、結果として生じる被包は不完全であることが多く、作り出されている病変のさらなる破裂を代りに誘発することがある。これは順に、多チャンネル管の形成ならびに炎症性丘疹および炎症性小嚢胞の形成を導く可能性がある。これらの炎症性丘疹および炎症性小嚢胞は、一般に「吹き出物」と呼ばれる。
【0004】
挫瘡は瘢痕を生成することがあり、不快で美しくないと見なされる。結果として、挫瘡の他の作用は、例えば自負心の低下のように心理学的であることが多い。事態を面倒にすることに、挫瘡は、通常、多くの人が既に極めて社会的に不安定な傾向にある思春期中に出現する。このため、挫瘡が個人に及ぼす物理的および心理学的影響を軽減するために、早期の積極的治療が推奨されている。
【0005】
挫瘡を治療するためには、4つの主要ストラテジーが存在する。これらの4つの治療ストラテジーは、挫瘡の1つ、またはそれ以上の態様に向けられる。第1ストラテジーは、挫瘡の間に発生する毛包性角化症の変化したパターンを補正することである。第2ストラテジーは、皮脂腺活性および皮脂産生を減少させることである。第3ストラテジーは、毛包細菌集団のサイズを減少させること、および特に、P. acnesの細菌数を減少させることである。第4ストラテジーは、抗炎症作用を生成するための細胞外炎症メディエータ(サイトカイン類および炎症細胞など)の生成または作用を阻害することである。重要なことに、これらの治療ストラテジーの大多数は、有効性の限定または望ましくない副作用に悩まされる。
【0006】
これらの様々な挫瘡治療ストラテジーを実行するために、幾つかのカテゴリーの組成物が使用されてきた。イソトレチノインおよびビタミンA誘導体は、1つのそのようなカテゴリーの組成物を表す。イソトレチノインは、基底脂腺細胞の増殖を減少させ、皮脂産生を90%まで減少させ、そして脂腺細胞の分化を阻害することによって皮脂腺のサイズを低下させる。イソトレチノインは、局所または経口投与のいずれかのために適合する剤形で入手できる。イソトレチノインの経口投与は、重症の挫瘡の治療を激変させてきた。これは、イソトレチノインが毛包性角化症を変化させる、皮脂産生を変化させる、毛包性細菌集団を減少させる、および抗炎症作用を生成することのできる最初の薬剤であるからである。残念ながら、イソトレチノインは公知の催奇形物質であり、先天異常を誘発する可能性がある。多数の他の重篤な副作用もまた、イソトレチノイン治療と関連している。これらの副作用には、うつ病や精神病などの精神疾患、ならびに頭蓋内圧亢進、急性膵炎、血中脂質レベルの上昇、聴覚障害、肝毒性および炎症性腸疾患が含まれる。
【0007】
過酸化ベンゾイルおよび関連化合物は、挫瘡を治療するために使用される第2カテゴリーの組成物を表す。過酸化ベンゾイルは、局所的挫瘡を治療するために最も一般的に使用される薬剤の1つである。過酸化ベンゾイルは、強力な抗微生物特性、弱度の抗炎症特性および弱度の抗面皰特性を有する。挫瘡治療のための過酸化ベンゾイルは、局所投与のための例えばクリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、石鹸または洗浄剤などの剤形で提供される。これらの調製物は、典型的には、2.5%〜10%の過酸化ベンゾイルを含有している。しかし、過酸化ベンゾイル治療にも、例えば皮膚の灼熱、掻痒、剥離および腫脹などの接触過敏症を含む多数の副作用が結び付いている。
【0008】
抗アンドロゲン剤および関連化合物は、挫瘡を治療するために使用される第3カテゴリーの組成物を表す。アンドロゲンは、男性性徴の発達と関連するテストステロンなどのステロイド系性ホルモンである。酢酸イノコテロン、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フルタミド、およびフィナステリドなどの5−αレダクターゼ阻害剤は、挫瘡を治療するために使用される抗アンドロゲン剤の例である。女性のステロイド系性ホルモンであるエストロゲンは、抗アンドロゲン剤のまた別の例である。抗アンドロゲン剤は体内でアンドロゲン受容体に結合し、それらの生物活性を阻害する、またはアンドロゲンの生物活性とは反対(例えば、エストロゲン)の生物学的作用を生成する。抗アンドロゲン剤を用いた治療は、挫瘡を制御するのに役立つように皮脂の生成を阻害する。しかし、経口投与、または他の経路による抗アンドロゲン剤治療は、典型的には女性患者に限定されている。これは、抗アンドロゲン剤を摂取している男性患者は例えば乳房隆起などの女性の第二次性徴を発生する可能性があり、男性の第二次性徴の消失に苦しむ可能性があるからである。この男性の第二次性徴の消失には、筋肉量の損失、男性器官の活性低下および性欲低下が含まれることがある。まとめると、これは抗アンドロゲン剤をベースとする挫瘡治療には重篤な制限および副作用が結び付いていることを意味する。
【0009】
抗生物質およびその他の抗微生物化合物は、挫瘡を治療するために使用される第4カテゴリーの組成物を表している。挫瘡を治療するために使用される抗生物質の例には、皮膚表面上および孔内の細菌集団を減少させるために経口または局所投与できるクリンダマイシンおよびエリスロマイシンが含まれる。抗生物質は、潜在的に毛穴を詰まらせる脂肪酸、例えば皮膚表面上でP. acnes細菌によって生成されるプロピオン酸などの生成を減少させるためにP. acnes細菌およびその他の細菌の数を減少させることができる。これは、抗生物質が抗面皰原性(anti-comedogenic)作用(例えば、「ブラックヘッド」および「ホワイトヘッド」の形成を防止する)を有することができ、さらにまた孔壁の破裂およびこれに関連する局所性細菌感染の結果として生じる炎症の発症を制御することにも役立つことを意味する。しかし、挫瘡を治療するための抗生物質の使用についての主要な制限は、循環中に現に存在する抗生物質耐性P. acnes菌株を含む抗生物質耐性細菌の菌株数の増大である。
【0010】
上記に記載したように、皮脂産生は挫瘡の病因において極めて重要な役割を果たす。皮脂産生は面皰の形成を促進することが公知であり、増加した皮脂産生は挫瘡の発症の一因となり得る初期事象の1つである。
【0011】
皮脂は、大半が皮脂腺内で合成される相対的に非極性の脂質(例えば、油、ロウおよび脂肪)の混合物である。分泌された皮脂は、皮膚の外面に撥水性、疎水性のコーティングを提供する。そこで、皮脂は、通常、皮膚を潤滑して保護するために役立つ。
【0012】
皮脂は、皮脂腺によって分泌される。皮脂腺は、皮膚内で毛包と連絡している。皮膚内の皮脂腺の数は人の生涯を通してほぼ一定のままに留まっているが、これらの皮脂腺のサイズは加齢とともに拡大する傾向がある。ヒト皮脂腺は、手掌および足底を除く皮膚の本質的に全ての領域内に存在する全分泌組織である。
【0013】
例えば皮脂などの全分泌は、腺内の分泌細胞の溶解の結果として生じる。全分泌は、腺内に存在する分泌細胞の内側で最初に生成される。これらの分泌細胞は、その後に破裂して腺の内腔内、または内部空間内へこれらの細胞の内容物を遊離させる(分泌する)。
【0014】
皮脂腺内における皮脂の分泌の原因となる細胞は、脂腺細胞として公知である。皮脂腺内の脂腺細胞は脂質および皮脂の他の成分で満たされている。これらの皮脂成分で満たされた脂腺細胞は、最終的にはそれらの統合性を消失して破裂する。これは皮脂腺による皮脂の分泌を誘発する。皮脂で満たされた脂腺細胞は、特徴的な気泡形の細胞形態を有する。
【0015】
皮脂分泌の増加は、多くの人々においておよそ9歳で始まり、17歳まで増加し続け、その時点に典型的には成人レベルの皮脂分泌に到達する。この増加した皮脂産生の期間は、挫瘡の大多数の症例が発生する期間である。しかし上記で考察したように、挫瘡を治療して皮脂産生を制御するために使用されるストラテジーの多数は、望ましくない副作用またはその他の重大な制限を有している。皮脂産生は、さらにまた例えば脂漏症(異常に増大した皮脂の分泌および排出)などの他の状態ならびに乾燥してひび割れの生じた荒れた皮膚が発生する状態においても重要な役割を果たす。
【0016】
ビスファチンは、成熟脂肪細胞によって分泌されるアディポカインである。ビスファチンは、さらにまたプレB細胞コロニー増強因子(PBEF)、Namptおよびニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼとも呼ばれる。ビスファチンは、最初は内臓脂肪から分泌されると報告されたが、後になって皮下組織の皮下脂肪細胞から分泌されると報告された。皮下組織は、皮膚の下に所在する脂肪含有組織である。皮下組織は、さらにまた血管および毛包の基底(底部)部分を含有している。ビスファチンは、さらにまた例えば好中球などの細胞によって、ならびに肝臓、心臓および筋肉などの組織中でも発現する。
【0017】
ビスファチンは、内臓脂肪由来ホルモンであると考えられており、マウスにおける血漿グルコースレベルを低下させることによって培養細胞上でのインビトロ(ガラス試験管内)およびインビボ(生体内)の両方でのインスリンの生物活性を模倣することが日本人の研究グループによって報告されている。しかしこの日本人の研究グループは後になって、学術雑誌Scienceからこれらの所見を報告している論文全体を撤回した。ビスファチンが果たす生理学的役割もまた、ビスファチン血漿濃度がインスリンの血漿濃度の40〜100分の1であるために、不明である。ビスファチンは、さらにまた酵素活性を有すると報告されており、ニコチンアミドモノヌクレオチドを合成するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの凝縮を触媒できると報告されている。重要なことに、ニコチンアミドモノヌクレオチドの合成は、コエンザイムのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の生合成における1つの工程である。
【0018】
これは、ビスファチンの生物活性およびその生理学的プロセスにおける、例えば皮脂産生に関連する挫瘡およびその他の状態の病因におけるその役割が十分理解されていないことを意味している。重要なことに、ビスファチンは、皮脂産生に関連する乾燥肌もしくは脂性肌などの挫瘡およびその他の状態の病因において重要な役割を果たす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、皮脂産生に関連する挫瘡およびその他の状態を治療するのに役立つビスファチン活性を調節させる改良された組成物および方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の1つの態様は、ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。そのような薬学的に許容される担体は、希釈剤またはアジュバントを含むことができる。好ましい実施形態では、送達用ペプチドが該薬学的に許容される担体を伴って、または伴わずに、ビスファチン活性剤と組み合わせて使用される。
【0021】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、皮脂過剰生成状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される方法である。
【0022】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、尋常性挫瘡を備える被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される方法である。
【0023】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアゴニストまたはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される方法である。
【0024】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させる方法であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより該被験者の皮脂産生が増加させられる方法である。
【0025】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させる方法であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる方法である。
【0026】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0027】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0028】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0029】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0030】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0031】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0032】
本開示のまた別の態様は、尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0033】
本開示のまた別の態様は、皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0034】
本開示のまた別の態様は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0035】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、皮脂過剰生成状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される医薬組成物である。
【0036】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、尋常性挫瘡を備える被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される医薬組成物である。
【0037】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアゴニストを投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される医薬組成物である。
【0038】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアゴニストを投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる医薬組成物である。
【0039】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる医薬組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ビスファチンの発現が皮脂腺に限定されることを示す図である。
【図2A】ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示す図である。
【図2B】ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示す図である。
【図3A】ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示す図である。
【図3B】ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示す図である。
【図4A】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図4B】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図4C】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図5A】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5B】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5C】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5D】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5E】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5F】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図6A】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図6B】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下の説明は、本開示の特に代表的な態様に関する詳細を提供することを意図していると理解されたい。さらにまた、本明細書に記載した方法の既定要素については、添付の特許請求項に記載した本開示の趣旨および適用範囲から逸脱することなく極めて多数の同等物と置換できることも理解されたい。これに加えて、本開示で引用した特許および特許出願を含むがそれらに限定されない全ての刊行物は、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される。本明細書に同定した範囲は、言及した範囲の上限および下限を規定する数値、該範囲内の全個別値および該範囲内のあらゆる個別部分範囲を含むことが意図されている。
【0042】
本明細書で使用する用語「ビスファチン活性剤」には、非限定的に、積極的もしくは消極的に、任意の機序によって、直接的もしくは間接的にビスファチンタンパク質の活性を調節する任意の分子が含まれる。そのようなビスファチン活性剤の例には、例えば、本明細書に記載した分子などのビスファチンアゴニストおよびビスファチンアンタゴニスト分子の両方が含まれる。
【0043】
本明細書で使用する用語「ビスファチンアゴニスト」には、非限定的に、任意の機序によって、ビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に増加させる分子が含まれる。ビスファチンアゴニストは、直接的もしくは間接的に、実質的にビスファチン媒介性シグナル伝達を増加もしくは刺激することのできる分子であってよい。ビスファチンアゴニストはさらに、直接的もしくは間接的に、ニコチンアミドモノヌクレオチドを産生するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの縮合を触媒するなどのビスファチンタンパク質の酵素活性を実質的に増加または刺激する分子であってよい。例えば、ビスファチンアゴニストは、細胞によって生成される配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列を含むビスファチンタンパク質、またはこれらのホモログの活性を増加させることができる。詳細には、ビスファチンアゴニストは、被験者(皮膚)の細胞、または組織中のビスファチン活性を、該細胞、もしくは組織中に存在するビスファチンタンパク質分子の数が一部の初期状態に比して増加した場合、増加させる可能性がある。そこで、ビスファチンアゴニストは、細胞もしくは組織に送達されている配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列、またはこれらのホモログを含むことができる。
【0044】
ビスファチンアゴニストは、構成的に活性化された、または誘導的に活性化されたゲノムもしくはビスファチンアゴニストをコーディングするDNA(例えば、遺伝子ノックイン、プロモーターハイジャッキングまたは他の遺伝子方法)を生成するための組換えを通した例えば遺伝子活性化を含む他の機序によって機能することもできる。
【0045】
本開示の方法において有用なビスファチンアゴニスト、例えば化合物もしくは分子は、例えば、有機小分子、ペプチド鎖(例えばタンパク質)、抗体、抗体フラグメント、ポリヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
本開示の方法において有用なアゴニストは、さらにまた核酸分子であってよい。または、例えば二本鎖および一本鎖プラスミドDNAベクター、人工染色体、もしくは線状核酸または他のベクター、それらはビスファチンアゴニスト(例えば、ペプチド鎖)をコードする、またはビスファチンアゴニストとして機能する、などのポリヌクレオチド分子は、本開示の方法において被験者にアゴニストを投与するために使用できる。
【0047】
本明細書で使用する用語「ビスファチンアンタゴニスト」には、非限定的に、任意の機序によって、ビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に阻害する分子が含まれる。ビスファチンアンタゴニストは、直接的もしくは間接的に、実質的にビスファチン媒介性シグナル伝達に対抗する、減少させる、もしくは阻害することのできる分子であってよい。ビスファチンアンタゴニストはさらに、直接的もしくは間接的に、例えばニコチンアミドモノヌクレオチドを産生するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの縮合を触媒するなどのビスファチンタンパク質の酵素活性を実質的に対抗する、減少させる、または阻害する分子であってよい。例えば、ビスファチンアンタゴニストは、細胞によって生成される配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列、またはこれらのホモログを含むビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に阻害することができる。
【0048】
本開示の方法において有用なビスファチンアンタゴニスト、例えば化合物もしくは分子は、例えば、有機小分子、ペプチド鎖、抗体、抗体フラグメント、ポリヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0049】
重要にも、ビスファチンアンタゴニストは、例えばRNA干渉によってビスファチンタンパク質の発現を阻害できる。ビスファチンアンタゴニストは、さらにまた例えば、ゲノムDNAを不活性化するための組換えを通しての遺伝子不活性化(例えば、遺伝子ノックアウト、プロモーターハイジャッキングまたは他の遺伝子突然変異誘発)およびアンチセンスRNAを使用した遺伝子転写不活性化を含む他の機序によっても機能することができる。
【0050】
本開示の方法において有用なアンタゴニストは、さらにまた核酸分子であってよい。そのような核酸分子は、例えば低分子干渉RNAなどの干渉核酸分子、またはアンチセンス分子、それらはビスファチンの活性のアンタゴニストである、であってよい。または、例えば二本鎖および一本鎖プラスミドDNAベクター、人工染色体、もしくは線状核酸または他のベクター、それらはアンタゴニスト(例えば、ペプチド鎖もしくはRNA)をコードする、またはアンタゴニストとして機能する、などのポリヌクレオチド分子は本開示の方法において被験者にアンタゴニストを投与するために使用できる。
【0051】
ビスファチン活性剤は、さらにまたビスファチン調節剤と言うこともできる。
【0052】
本明細書で使用する用語「送達ペプチド」には、非限定的に、活性剤および送達ペプチドを含有する組成物が投与されると患者の組織に活性剤を送達する、または活性剤の送達を増加させるペプチド鎖が含まれる。患者の組織への活性剤の送達は、活性剤および送達ペプチドを含有する組成物が患者の組織に投与された場合の組織内に存在する活性剤の量、またはその生物学的作用の大きさの比較、そして活性剤を含有するが送達ペプチドを含有していない組成物が投与された場合の活性剤の量またはその作用の大きさによって評価することができる。送達ペプチドは、例えば、カチオン性、親油性ペプチド鎖であってよい。そのようなペプチド鎖は、特定pHで正電荷を有する、または特定条件下で正電荷を有する化学基もしくは組成物(例えばイオン交換樹脂など)に結合している側鎖基を含むことができる。そのようなペプチド鎖は、親油性部分、または特性が疎水性である化学基をさらに含むことができる。そのような親油性部分は、例えば脂肪、ロウ、脂肪酸を含むステロール、トリグリセロール、コレステロール、脂溶性ビタミンなどの共有結合脂質基であってよい。そのようなカチオン性の親油性ペプチド鎖の1つの例は、配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである。送達ペプチドは、患者の組織への活性剤の送達を生じさせる、またはその送達を増加させるミセルまたは他の構造を形成することもできる。送達ペプチドはさらに、患者の組織へ活性剤を送達するために、活性剤と化学的に結合できる、または活性剤と機械的に結び付ける(例えば被包化によって)ことのできる担体であってもよい。担体であるそのような送達ペプチドは、エンドサイトーシスなどによって取り込まれる分子であるオルガネラ標的シグナルを含むことができる。
【0053】
本明細書で使用する用語「siRNA」は、非限定的に、標的遺伝子転写産物の切断を媒介する低分子干渉核酸配列を包含している。低分子干渉RNA(siRNA)は、二本鎖または短いヘアピンタイプのRNAであってよい。二本鎖siRNAは、RNAおよびDNA(例えば、5’−ttttuuuu−3’にアニーリングした5’−ttttuuuu−3’または5’−uuuu−3’にアニーリングした5’−tttt−3’)の両方を含有する2本の個別の、アンチパラレルのアニーリングしたRNA鎖またはアニーリングした核酸鎖から構成されてよい。典型的には、二本鎖siRNAは、相互にハイブリダイズして、各鎖の5’末端に所在する16〜19RNAヌクレオチドおよび各鎖の3’末端に所在する2個の‘‘tt’’DNAヌクレオチドを有する18〜21個のヌクレオチドの2本の別個の核酸鎖を含有する。短いヘアピンタイプのsiRNAは、RNA単鎖またはステム・アンド・ループ構造またはsiRNAとして有効な他の二次構造を形成することのできるRNA・DNAハイブリッド単鎖から構成されてよい。当業者であれば、siRNAは、例えばヌクレオシドアナログ、バックボーン修飾、および修飾siRNA核酸が標的遺伝子転写産物の切断を媒介する事を許容する他の修飾を含むことができることを理解する。
【0054】
本明細書で使用する用語「皮脂過剰生成状態」は、非限定的に、病理的状態または望ましくない状態を生じさせる、大量の皮脂が被験者によって生成される状態を包含する。そのような皮脂過剰生成状態の例には、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 および関連状態が包含される。挫瘡の場合、そのような関連状態は、例えば、尋常性挫瘡、人工挫瘡、臭素挫瘡、悪液質性挫瘡、繊毛性挫瘡、化粧品性挫瘡、嚢胞性挫瘡、電撃性挫瘡、汎発性挫瘡、ハロゲン挫瘡、肥大性挫瘡、ヨウ化物挫瘡、薬物性挫瘡、新生児性挫瘡、ポマード挫瘡、点状挫瘡、膿疱性挫瘡、しゅさ性挫瘡、ステロイド挫瘡、塩素挫瘡、熱帯挫瘡、痘瘡状挫瘡および蕁麻疹様挫瘡が含まれる場合がある。
【0055】
本明細書で使用する用語「被験者」には、非限定的に、皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態、皮脂産生の増加または皮脂産生の減少のそれに対する治療が示される任意の種に属する動物が包含される。そのような被験者の1つの例は、ヒト、例えばヒト患者である。
【0056】
本明細書で使用する用語「投与する工程」には、非限定的に、被験者の少なくとも1つの組織、例えば皮膚に組成物を提供する工程が含まれる。そのような組成物は、被験者の身体に、または体外に投与することができる。被験者の組織への組成物の体外投与は、組織の一部分、例えば血液もしくは骨髄が被験者の身体から取り出され、提供されていた組成物と接触させられる場合に発生し、その後に該組成物と接触させられた組織の一部分は被験者の身体へ戻される。局所投与および皮内投与は、身体投与の形態である。
【0057】
本明細書で使用する用語「治療有効量」には、非限定的に、所定の個別被験者において、被験者における皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態、皮脂産生の増加もしくは皮脂産生の減少の1つ以上の症状の改善、または治療を生じさせる反応を生じさせる組成物の用量が含まれる。例えば、組成物の治療有効量は、例えば尋常性挫瘡などの挫瘡の症状を改善または治療する例えばビスファチン活性剤などの活性剤の用量であってよい。個々の被験者にとって適切な治療有効量または用量は、当業者であれば周知である日常的な臨床技術(例えば、用量反応プロット)を使用して容易に決定することができる。そのような用量は、例えば、被験者の体重1kg当たり1×10−12g〜100gのビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを包含することができる。
【0058】
当業者であれば、組織学検査、H&E染色、ケラチン14染色、もしくは免疫化学によって、または膿瘍形成を観察することによって、または当業者であれば容易に実施できる日常的実験方法によるその他によって組成物の有効量を決定することができる。
【0059】
当業者であればさらに、ある状態を患う被験者に、治療前の状態および治療後の合理的時点に該状態に罹患した領域における変化を単純に観察または測定する工程によって、有効量の組成物が投与されていたことを確認することができる。本開示の組成物は、これらの組成物の成分の治療有効量を含むことができる。
【0060】
本開示の方法では、治療有効量の活性剤(例えば、ビスファチン活性剤)、またはそれを含有する医薬組成物は、それを必要とする被験者に投与される。本組成物は、液剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤での局所適用または任意の局所適用(例えば皮下注射)によって投与することができる。本活性剤は医薬組成物の形態にあってよく、そしてさらにまた薬剤溶出器具、例えばガーゼ、パッチ、パッド、またはスポンジによって投与することもできる。
【0061】
組成物は、皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態を治療するため、または被験者における皮脂産生の増加もしくは皮脂産生の減少を誘導するために、必要に応じて頻回に、そして必要な期間にわたって、適応があれば、所望のエンドポイントを達成するため、例えば該状態、例えば挫瘡が完全に消散するまで投与されなければならない。当業者であれば、本開示による組成物および方法を利用して適切な治療経過を容易に決定することができる。
【0062】
本明細書で使用する用語「皮脂産生欠乏症状態」は、非限定的に、病理的状態または望ましくない状態を生じさせる、少量の皮脂が被験者によって生成される状態を包含する。そのような皮脂産生欠乏症状態の例には、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎に関連する乾燥症(乾燥皮膚)状態が含まれる。
【0063】
本明細書で使用する用語「薬物溶出スカフォールド」には、非限定的に、生理学的に活性な分子を放出できる固定材料が含まれる。薬物溶出スカフォールドは、不溶性、可溶性、非生体吸収性、または生体吸収性であってよい固定相材料を含むことができる。
【0064】
本明細書で使用する用語「ホモログ」には、非限定的に、参照配列に対する85%〜100%の配列同一性を有するタンパク質配列が包含される。例えば、配列番号2に示したホモサピエンス・ビスファチンタンパク質のホモログは、配列番号2に対して90%〜100%配列同一性を有するアミノ酸配列を備えるタンパク質を包含する。2つのタンパク質間の同一性率は、Vector NTI v.9.0.0(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)のAlignXモジュールのデフォルト設定を用いるペアワイズ・アラインメントによって決定できる。
【0065】
本明細書で使用する用語「ペプチド鎖」は、非限定的に、鎖を形成するためにペプチド結合によって連結された少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を包含する。50アミノ酸より大きいペプチド鎖は、「ポリペプチド」または「タンパク質」と呼ぶことができる。50アミノ酸より小さいペプチド鎖は、「ペプチド」と呼ぶことができる。
【0066】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される担体」は、非限定的に、ヒトまたは他の動物に投与するために適当な1つ以上の適合性の固体もしくは液体充填希釈剤または被包化物質を包含する。
【0067】
適切な薬学的に許容される担体の例には、水、ペトローリアムジェリー(petroleum jelly)、ワセリン(petrolatum)、鉱油、植物油、動物油、有機および無機ロウ、例えば微結晶質、パラフィンおよびオゾケライトロウ、天然ポリマー、例えばキサンタン、麦芽、タルク、ゼラチン、糖類、セルロース、コラーゲン、デンプン、もしくはアラビアゴム、合成ポリマー、アルコール、ポリオール、リン酸緩衝液、カカオ脂、乳化剤、海面活性剤、例えばTween(商標)などが含まれる。担体は、水と実質的に混和性である、例えばアルコールなどの水混和性担体組成物であってよい。水混和性の局所用の薬学的に許容される担体は、上述した1つ以上の成分を用いて製造された担体を含むことができ、そして水分散性もしくは水溶性組成物、例えばリポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフェアもしくはマイクロカプセル、水溶性ベースの軟膏剤、油中水型もしくは水中油型エマルジョン、ゲル剤などを含む水を包含する持続もしくは遅延放出担体もまた包含することができる。当業者であれば、その他の薬学的に許容される担体を認識できる。
【0068】
その他の適合性の医薬的活性剤および添加物は、本開示の組成物において使用するための薬学的に許容される担体中に包含することができる。例えば、挫瘡の治療において有用な薬物、例えば抗生物質、イソトレチノイン、ビタミンA誘導体、過酸化ベンゾイル、および抗アンドロゲン剤は、本開示の組成物中に包含されてよい。局所麻酔薬、例えばNOVOCAINE(商標)、リドカイン、またはその他もまた、薬学的に許容される担体中に包含されてよい。アジュバントもまた、薬学的に許容される担体中に包含されてよい。添加物、例えばベンジルアルコールおよびその他の保存料も同様に薬学的に許容される担体中に包含されてよい。当業者であれば、本開示の組成物中に包含するために適切な他の薬学的に許容される活性剤および添加物を容易に認識できる。
【0069】
ビスファチンアゴニストは、組換え発現させることができる。組換えDNAを用いた宿主細胞の形質転換による組換え発現は、当業者に周知である従来型技術によって実施することができる。宿主細胞は、原核細胞、古細菌細胞、または真核細胞であってよい。組換え発現したポリペプチド、例えば組換えビスファチンタンパク質の単離および精製は、例えば、分取クロマトグラフィおよび抗体または所定のポリペプチドに特異的に結合するその他の分子を使用するアフィニティ精製を包含する当該技術分野において周知の技術によって実施することができる。
【0070】
そのようなタンパク質は、α−アミノ基のt−BOCまたはFMOC保護のような一般的に使用される方法によって合成することができる。どちらの方法も、それにより単一アミノ酸がペプチドのカルボキシ末端から出発する各工程で加えられる段階的合成法を含んでいる(Coligan et al., Current Protocols in Immunology, Wiley Interscience, 1991, Unit 9)。本開示のペプチドは、Merrifield(85 J. Am. Chem. Soc. 2149(1962))、およびStewart and Young, Solid Phase Peptides Synthesis, (Freeman, San Francisco, 1969, pp.27-62)に記載された周知の固相ペプチド合成法により、アミン0.1〜1.0mMol/gを含有するコポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ポリマーを使用して合成することもできる。化学合成が完了すると、ペプチドを脱保護し、0℃で約1/4〜1時間にわたり液体HF−10%アニソールを用いた処理によってポリマーから切断することができる。試薬を蒸発させた後、ペプチドは、1%酢酸溶液を用いてポリマーから抽出され、次に粗精製物質を産生するために凍結乾燥させられる。これは通常、溶媒としての5%酢酸を使用するSephadex G−15上でのゲル濾過のような技術によって精製することができる。カラムの適切な分画の凍結乾燥は、均質なペプチドもしくはペプチド誘導体を産生するが、これは次に例えばアミノ酸分析、薄層クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、紫外吸収分光法、モル旋光度、および溶解度に基づく方法などの標準技術によって特徴付けることができる。
【0071】
ペプチドは、さらにまた任意の生物学的方法によって、例えば哺乳類細胞、昆虫細胞、酵母および細菌ならびに無細胞系、例えばインビトロ(ガラス試験管内)転写および翻訳系におけるタンパク質の組換え発現によって合成することができる。タンパク質の発現は、明確に確立された方法によって各系について最適化することができる。タンパク質は、標準方法(Frederich M. Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, 1989)によって精製できる。例えば、タンパク質は、GST−融合タンパク質として細菌中で発現させ、(Erangionic and Neel, Analytical Biochemistry, 210:179, 1993)に記載されたようにグルタチオン・アガロースビーズ(Sigma社)によって精製することができる。または、タンパク質は、哺乳類細胞内で分泌産物として発現させ、馴化培地から精製することができる(Cadena and Gill, Protein Expression and Purification 4:177, 1993)。Merrifieldの方法によって調製されたペプチドは、例えばApplied Biosystems 431A-01ペプチド合成装置(Mountain View, Calif.)などの自動ペプチド合成装置を使用して、またはHoughten, Proc. Natl. Acad. Sci., placecountry-regionUSA 82:5131(1985)によって記載された手動ペプチド合成技術を使用して合成することができる。ペプチドは、さらにまた共有修飾、液相ペプチド合成法、または当業者には公知の任意の他の方法によって合成することができる。
【0072】
ペプチドはアミノ酸もしくはアミノ酸アナログを使用して合成することができ、その活性基は必要に応じて、例えば、t−ブチルジカーボネート(t−BOC)基またはフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基を使用して保護される。アミノ酸およびアミノ酸アナログは、市販されている(Sigma Chemical社;Advanced Chemtec社)または当該技術分野において公知の方法を使用して合成できる。
【0073】
本明細書に開示したペプチド内のアミノ酸は、例示したペプチドにおいて示した1つ以上の特定アミノ酸のアミノ酸置換によって修飾することができる。アミノ酸置換変化には、1の塩基性アミノ酸のまた別の塩基性アミノ酸との置換、1の疎水性アミノ酸のまた別の疎水性アミノ酸との置換またはその他の保存的置換を包含することができる。アミノ酸置換には、さらにまた非天然型アミノ酸、例えばArgに対するオルニチン(Orn)またはホモアルギニン(homoArg)の使用を包含することができる。
【0074】
ペプチドは、さらにまた他の分子の共有結合またはペプチド内に存在する官能基の反応によって修飾することもできる。そのような修飾の例には、ポリエチレングリコール分子、脂質、炭水化物、または他の分子の付着が包含される。そのような修飾の特定の例は、ミリストイル化、例えばアミノ末端ミリストイル化である。ペプチドの共有修飾のための技術は当該技術分野において周知であり、当業者であれば多数のそのような技術を認識できる。
【0075】
本明細書で使用する用語「標準状態」には、非限定的に、25℃±2℃および1大気圧の気圧が含まれる。本明細書に記載され、そして単位容量当たり(例えばmol/L、M、単位/mL、μg/mLなど)で、または組成物の総重量に相対する重量%で表示される液剤、懸濁剤、およびその他の調製物の濃度は標準状態で決定する。用語「標準状態」は、当該技術分野では温度もしくは気圧の単一分野で認識されたセットを意味するためには使用されず、その代りに、参照標準状態条件下で特定組成物を備える液剤、懸濁剤、または他の調製物を記載するために使用される温度および気圧を特定する参照状態である。液剤の量は、一部には、温度および気圧の関数であってよい。当業者は、本明細書に開示したものと同等の組成物を他の温度および気圧で製造できることを理解する。
【0076】
本開示の方法において投与するために適切な組成物は、液剤、軟膏剤、エマルジョン、クリーム剤、ゲル剤、顆粒剤、フィルム剤および硬膏剤の形態で提供されてよい。当業者であれば、被験者に投与するために適切な本明細書に開示した組成物の他の形態を認識できる。
【0077】
本開示の1つの態様は、ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む組成物である。
【0078】
本開示の1つの実施形態では、本組成物は、送達ペプチドをさらに含んでいる。
【0079】
本開示のまた別の態様は、該ビスファチン活性剤がビスファチンアゴニストである組成物である。
【0080】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアゴニストを約0.001〜約10重量%を含む組成物である。
【0081】
本開示のまた別の実施形態は、約1重量%のビスファチンアゴニスト、約95重量%の水、約0.2重量%のモンタンロウ、約0.2重量%のミツロウ、約0.2重量%のソルビトール、約0.2重量%のシアバター、約1重量%のボリジオイル、約1重量%のカレンジュラ油 、約0.2重量%のハマメリス(Hamamelis)抽出物および約0.1重量%のヒマシ油を含む組成物である。
【0082】
本開示のまた別の態様は、配列番号2、ビスファチンアゴニストが配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、組成物である。
【0083】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアゴニストが配列番号2のアミノ酸配列を含む、組成物である。
【0084】
本開示のまた別の実施形態は、クリーム剤である組成物である。
【0085】
本開示のまた別の態様は、ビスファチン活性剤がビスファチンアンタゴニストであり、送達ペプチドが配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである、組成物である。
【0086】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAである、組成物である。
【0087】
重要なことに、そのようなsiRNAは、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号9からなる群から選択される核酸を標的とすることができる。
【0088】
短いヘアピン型のsiRNAを包含する二本鎖型のsiRNAは、以下の原理を用いて構築することができる。一般に、siRNAによって標的とされる配列は長さが21ヌクレオチドであり、開始コドンと終止(停止)コドンの50〜100塩基対内の領域を回避し、イントロン領域を回避し、4塩基以上の伸長鎖(例えば、5’−aaaa−3’、5’−cccc−3’など)を回避し、30%超もしくは60%未満のGC含量を備える領域を回避し、繰返し配列を回避し、低複雑性配列を回避し、一塩基多型(SNP)部位を回避しなければならない。そこでこれらの基準を満たす配列を標的とする候補siRNAを設計することができる。BLASTアルゴリズムに基づくホモロジー検索、例えばBLASTNアルゴリズムに基づく検索は、次に他の遺伝子もしくは配列との低い、または現在ホモロジーを備える候補を同定するために候補siRNAを用いて実施することができる。これはオフ・ターゲット(off−target)作用を回避する。候補siRNAの核酸配列がスクランブルされる、各候補siRNAの陰性コントロールRNAバージョンが構築されなければならない。陰性コントロールRNAは、siRNAと同一の長さおよびヌクレオチド組成を有していなければならず、siRNAとはミスマッチする少なくとも4〜5塩基を有していなければならない。陰性コントロールRNAが、他の遺伝子とのホモロジーを有していないことは、BLASTアルゴリズムに基づくホモロジー検索によって確認することができる。候補siRNA、例えばビスファチンアンタゴニストであるsiRNAは、次にそれがコントロールされたアッセイにおいて、インビボ(生体内)またはインビトロ(ガラス試験管内)いずれかでの標的遺伝子転写産物のレベルまたは陰性コントロールRNAに比した標的遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを減少させた場合、siRNAであると確認することができる。
【0089】
siRNAは、さらにまたDharmaconアルゴリズム、Ambionアルゴリズムまたは他の当業者には周知であるsiRNAデザインのための類似のアルゴリズムにしたがって構築することもできる。そのようなアルゴリズムは、インターネットまたは市販のソフトウエアパッケージを通して容易に入手できる。または、以前に同定されているsiRNAは、本開示の方法において使用できる、または本開示の組成物に包含することができる。
【0090】
本開示のまた別の実施形態は、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含む組成物であって、該第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である組成物である。
【0091】
本開示のまた別の実施形態は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含む組成物であって、該第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である組成物である。
【0092】
本開示のまた別の実施形態は、水溶性担体およびDMSOをさらに含む組成物である。
【0093】
そのような水溶性担体の例には、蒸留水、例えばPBSなどの緩衝液および水を含むゲルが含まれる。
【0094】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される方法である。
【0095】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態が挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される方法である。
【0096】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む方法である。
【0097】
本開示の他の実施形態は、siRNAが、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、該第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および該第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である方法である。
【0098】
本開示の他の実施形態は、siRNAが、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、該第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および該第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である方法である。
【0099】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストがFK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、方法である。
【0100】
FK−866は、K22.175もしくはN−[4−(1−ベンゾイル−4−ピペリジニル)ブチル]−3−(3−ピリジニル)−2E−プロペンアミドとしても公知であるビスファチンアンタゴニストであり、漸進的NAD+枯渇を誘発するビスファチンの高度に特異的な非競合的阻害剤である。FK−866はC24H29N3O2の分子式、および式量391.5を有する。FK−866は、Caymen Chemical社(米国ミシガン州アナーバー)から入手できる。FK−866の構造は以下に示したが、FK−866分子は、さらにまたこの構造の誘導体も含むことができる。
【0101】
APO866はビスファチンアンタゴニストであり、ビスファチンの阻害剤である。APO866は、TopoTarget A/S社(デンマーク国コペンハーゲン)から入手できる。APO866の構造は以下に示したが、APO866分子は、これらの構造の誘導体もさらに含むことができる。
【0102】
【化1】
【0103】
【化2】
【0104】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される方法である。
【0105】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0106】
本開示の1つの態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニストまたはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される方法である。
【0107】
本開示のまた別の実施形態は、皮脂産生欠乏症状態があかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態である方法である。
【0108】
本開示の他の態様は、ビスファチンアゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、方法である。
【0109】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアゴニストが配列番号2に示したアミノ酸配列を含む、方法である。
【0110】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0111】
本開示のまた別の態様は、被験者の皮脂産生を増加させる方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる方法である。皮脂産生が増加させられていたかどうかは、1の領域の皮膚上に存在する第1量の皮脂を該領域へのビスファチンアゴニストの投与前に測定する工程と、該皮膚領域上に存在する第2量の皮脂を該領域へのビスファチンアゴニストの投与後に測定する工程と、および皮脂の該第2量が皮脂の該第1量より多いことを確認する工程によって容易に決定できる。当業者であれば、皮脂産生が減少していることを確認するための他の方法もさらに認識できる。
【0112】
本開示のまた別の態様は、ビスファチンアゴニストが局所または皮内投与される方法である。
【0113】
皮膚への局所投与は、組成物が皮膚の真皮層に送達されると発生する。局所投与は、典型的には組成物を皮膚の表面に適用する工程によって実施される。
【0114】
皮内投与は、組成物が例えば表皮などの皮膚の表面より下方で皮膚層に送達されると発生する。皮内投与は、例えば、皮膚の表面より下方への組成物の注射または皮膚の表面より下方への組成物の電気溶出によって実施できる。
【0115】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させる方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる方法である。
【0116】
皮脂産生が減少させられていたかどうかは、1の領域の皮膚上に存在する第1量の皮脂を該領域へのビスファチンアンタゴニストの投与前に測定する工程と、該皮膚領域上に存在する第2量の皮脂を該領域へのビスファチンアンタゴニストの投与後に測定する工程と、および皮脂の該第2量が皮脂の該第1量より少ないことを確認する工程によって容易に決定できる。当業者であれば、皮脂産生が減少していることを確認するための他の方法をさらに認識できる。
【0117】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが局所または皮内投与される、方法である。
【0118】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0119】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0120】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0121】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0122】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0123】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0124】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0125】
本開示のまた別の態様は、尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0126】
本開示のまた別の態様は、皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0127】
本開示のまた別の態様は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0128】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を、皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される、医薬組成物である。
【0129】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を、尋常性挫瘡を患う被験者に投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される、医薬組成物である。
【0130】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物を、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される、医薬組成物である。
【0131】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる、医薬組成物である。
【0132】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる、医薬組成物である。
【0133】
以下では、特定の非限定的実施例を参照しながら本発明について記載する。
【実施例】
【0134】
実験方法
パラフィン包埋皮膚切片の調製:実験用マウスにおいて皮膚生検を実施した。皮膚生検サンプルを4%パラホルムアルデヒド中で固定し、次にエタノールの濃度を増加させながら(50〜100%)脱水した。脱水生検サンプルをキシレン中に2回浸漬し、次にパラフィンおよびキシレンの1:1溶液中に1回、そして最後に60℃の温度で純溶融パラフィン中に3回浸漬した。次にパラフィンブロックからマイクロトームを用いて薄片を調製し、得られた切片をスライド上に載荷した。
【0135】
凍結皮膚切片の調製:皮膚生検試料を最適切削温度(OCT)化合物中に包埋し、直ちにクリオスタット・マイクロトームによって切片調製し、スライド上に載荷した。
【0136】
ヘマトキシリン&エオシン染色:パラフィン包埋皮膚生検切片スライドを60℃で60分間インキュベートし、スライドを10分間にわたりトルエン(100%)で2回洗浄し、各5分間にわたりエタノールの濃度を減少させながら(100〜50%)皮膚生検切片スライドを再水和させることによって脱パラフィン化した。これらのスライドを次に使用準備の整ったヘマトキシリンで5分間にわたり染色し、水ですすぎ洗い、エオシン(再蒸留水中0.5%)で1.5分間にわたり染色し、70%エタノール中への迅速な浸漬によって2回洗浄した。その後、これらのスライドは、5分間にわたり95%エタノールを用いて1回、5分間にわたり100%エタノールを用いて2回および10分間にわたりキシレン(100%)を用いて2回洗浄することによって脱水した。この後、ENTELLAN(商標)(Merck KGaA社、ドイツ国ダルムシュタット)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0137】
ビスファチンの免疫組織化学検査:パラフィン包埋皮膚生検切片スライドは、上述したように調製した。生検切片スライドを、上述したように、脱パラフィン化して再水和させた。抗原回収は、最高出力で2分間、および最高出力の20%でさらに10分間にわたり10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中で皮膚生検切片スライドをマイクロ波に掛けることによって実施した。皮膚生検切片スライドを次に1時間にわたり室温に冷却させた。次に、皮膚生検スライドは1時間にわたりブロッキング液(DPBS−/−中の10%ウマ血清)とともにインキュベートし、次に4℃で一晩にわたり2%正常ウマ血清および1%TRITON(商標)x−100界面活性剤を含有するDPBS−/−の溶液中の1:200の希釈率にあるハツカネズミ(Mus musculus:〜家ネズミ)ビスファチン(Phoenix Pharmaceutical社、カリフォルニア州バーリンゲーム)に対する特異的なウサギIgG1ポリクローナル抗体調製物ともに4℃で一晩インキュベートした。翌日、皮膚生検スライドをDPBS−/−中で3回洗浄し、90分間にわたり二次抗体としてのヤギ抗ウサギIgG1ビオチンコンジュゲート(Vector Laboratories社、米国カリフォルニア州バーリンゲーム)とともにインキュベートした。次に、DPBS−/−中での洗浄を実施し、スライドは、製造業者(Vector Laboratories社、カリフォルニア州バーリンゲーム)によって指示されたようにVECTASTATIN(商標)増強キットを使用してビオチン−アビジン増強にかけ、DAB反応を利用して発色させた。対染色は、ヘマトキシリン&エオシン染色を用いて実施した。皮膚生検スライドは、上述したように濃度を上昇させながらのエタノール溶液中での連続的浸漬によって脱水させ、その後10分間にわたりキシレン(100%)を用いて2回洗浄した。この後に、ENTELLAN(商標)(Merck KGaA社、ドイツ国ダルムシュタット)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0138】
オイルレッドO染色:凍結皮膚生検切片スライドは、5分間にわたり1%中性緩衝ホルマリン中で固定し、脱イオン水中で洗浄し、そして5分間にわたり60%イソプロパノール中でインキュベートした。皮膚生検切片スライドは、ストック(99%イソプロパノール中で0.5%オイルレッドO)および脱イオン水の2:3混合液を調製することによってその直前に調製されていた新鮮な濾過オイルレッドO溶液を用いて染色した。皮膚生検切片スライドを60%イソプロパノール中に移し、脱イオン水中で洗浄し、ヘマトキシリンを用いて対染色し、風乾させ、VECTASHIELD(商標)マウント剤を用いて載荷した。この後にVECTASHIELD(商標)マウント剤(Vector Laboratories社、カリフォルニア州バーリンゲーム)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0139】
〔実施例1〕
ビスファチンは、皮膚の皮脂腺中で発現する。図1を参照されたい。皮膚内でのビスファチン発現を、組織学検査を使用して試験した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のためにBalbCマウス(Mus musculus)由来の皮膚生検サンプルを調製した。ビスファチン免疫組織化学検査もまた上述したように実施した。
【0140】
皮膚生検サンプル切片は、2月齢のBalbCマウスの皮膚由来であった。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片は、上述したように抗ビスファチン抗体を使用してビスファチンについて特異的に染色した(図1において茶色)。図1では、「HF」は「毛包」を意味し、「SG」は「皮脂腺」を意味し、「PC」は「末梢細胞」を意味し、「CC」は「中心細胞」を意味する。図1における画像は、指示したように10×または40×の倍率を表し、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用して生成された。
【0141】
図1から明らかなように、ビスファチンは主として、および特異的に、皮膚の皮脂腺中で発現する。詳細には、ビスファチンの発現は皮脂腺の小葉領域へ明確に局在する。図1を参照されたい。ビスファチンはさらにまた、毛包および真皮内でも低レベルで発現した。図1を参照されたい。図1に示したように、ビスファチンの発現は、皮脂腺中に存在する円形の気泡形細胞に限定される。これらの細胞の形態学的特徴は、脂腺細胞および分化した脂腺細胞前駆体細胞の特徴である。重要なことに、これらは皮脂の脂質成分で満たされ、破裂して皮脂腺の内部へ皮脂を分泌する細胞であり、ビスファチンが皮脂産生において重要な役割を果たすことを示している。
【0142】
〔実施例2〕
ビスファチンは、皮脂腺の内部に存在する皮脂蓄積細胞中で高度に発現する。図2を参照されたい。BalbCマウス由来の皮膚生検サンプルは、上述した材料および方法を使用して組織学検査のために調製した。ビスファチンの免疫組織化学検査およびオイルレッドO染色もまた上述のように実施した。
【0143】
皮膚生検サンプル切片は、2月齢のBalbCマウスの皮膚由来であった。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片は、上述したように抗ビスファチン抗体を使用してビスファチンを特異的に染色した(図2においてハッシュパターンによって示したように褐色)。皮膚切片はさらに、脂質、例えば皮脂脂質の蓄積を同定するために、オイルレッドO(図2においてハッシュパターンによって示したように赤色)を用いて染色した。図2における画像は、表示したように40×の倍率を表し、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用して生成された。
【0144】
図2から明らかなように、ビスファチン発現および脂質の大きなプールは、脂腺細胞および分化した脂腺細胞前駆体細胞に特徴的な形態学的特徴を有する細胞内に明確に共局在する。図2に示した結果は、ビスファチンが皮脂蓄積細胞中で高度に発現すること、そして皮脂腺の内部での皮脂の生成と密接に関連していることを確認している。これらの結果は、気泡形形態を有し、オイルレッドOで陽性染色される皮脂腺の内部に局在するこれらの細胞が脂質蓄積脂腺細胞であることも確認している。
【0145】
〔実施例3〕
ビスファチンの局所投与および皮内投与は、皮脂腺の内側に局在する脂腺細胞の数を増加させる。図3を参照されたい。
【0146】
組換えMus musculusビスファチン(Enzo Life Sciences社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)のストック調製物は、0.1M重炭酸アンモニウム緩衝液中で調製した。次に、このストック液を使用して、PBS中の0.01μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含む局所溶液を調製した。このストック液をさらに使用して、0.1%(v/v)DMSOを含有するPBS中の0.01μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含む皮内溶液を調製した。平均体重25gを有する成体BalbCマウスは、その後に皮膚処置領域への局所投与および滅菌ガーゼの使用による200μLの局所溶液または皮膚処置領域内への注射による200μLの皮内溶液のいずれかを受けた。マウスは、4日間にわたり毎日送達される皮膚処置領域への局所溶液または皮内溶液を用いるこの方法で処置した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のためにマウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルを調製した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色もまた上述のように実施した。
【0147】
皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。次に、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用した40×の倍率での顕微鏡検査によって、脂腺細胞に特徴的な気泡形形態を備える細胞の数を計数し、各皮脂腺内の全細胞の数に対するパーセンテージとして算出した。
【0148】
図3から明らかなように、ビスファチンの皮内投与および局所投与はどちらも、コントロールマウスに比した処置されたマウスの皮脂腺内に存在する脂腺細胞の数を増加させた。類似の結果は、0.001μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含有する局所溶液および皮内溶液を用いた処置による、その他の点では同一に実施された試験でも得られた。重要なことに、これらの結果は、ビスファチンを含む組成物を用いた皮内または局所的処置が皮脂腺内で脂腺細胞の蓄積を誘導することを証明している。これらの結果は、皮膚のビスファチン処置が、挫瘡と関連する例えば皮脂腺性のプラグの形成などの症状を誘導できることもまた示している。
【0149】
〔実施例4〕
ビスファチン処置は、コントロールに比して皮脂腺内の脂質蓄積を増加させる。図4を参照されたい。ビスファチン処置は、皮膚内の皮脂腺の成熟、およびコントロールに比したこれらの成熟皮脂腺による皮脂の生成もまた誘導する。図4を参照されたい。
【0150】
生後平均体重2gの新生仔BalbCマウス(Mus musculus)は、その後、皮膚処置領域への局所投与及び滅菌ガーゼの使用による上記の実施例3に記載した100μLの局所溶液、又は皮膚処置領域内への注射による上記の実施例3に記載した皮内溶液の滅菌ガーゼもしくは100μLのいずれかを受けた。新生仔マウスを、4日間にわたり毎日送達される皮膚処置領域への100μLの局所溶液または皮内溶液を用いるこの方法で処置した。
【0151】
新生仔マウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルは、上述した材料および方法を使用して組織学検査のために生後第3日および第4日に調製した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色およびオイルレッドO染色もまた上述したように実施した。図4Aおよび図4Cに示した皮膚生検サンプルは、生後第3日に調製した。図4Aに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびオイルレッドOを用いて染色した。図4Aおよび図4Cにおける黒色矢印は、皮脂腺を含有する皮脂を示す。図4Bに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した。図4Bにおける赤い矢印は、皮脂腺を示す。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。
【0152】
新生仔マウスは、生後最初の数日間以内は皮脂を分泌しないことが公知である。しかし、生後数日間で、皮脂腺は最終的に成熟し、皮脂を分泌し始める。
【0153】
図4Aおよび図4Cの第1パネルから明らかなように、生後第3日に、コントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有していない。そこで、生後第3日に、これらの新生仔コントロールマウスにおける皮脂腺は、未成熟であり、皮脂を生成することができない。
【0154】
これとは明確に対照的に、図4Aおよび図4Cの第2パネルは、生後第3日に、ビスファチンを用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺がオイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有することを示している。そこで、ビスファチンは、生後第3日にコントロールマウスに比して皮脂腺の成熟および増加した皮脂産生を誘発することができる。
【0155】
図4Bの第1パネルは、これらの結果を確認しており、H&E染色に基づいて、生後第4日にはコントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺の大多数は成熟皮脂腺の特徴を欠如し、皮脂腺内部の腺周辺での扁平細胞もしくは気泡形脂腺細胞を含有していないことを証明している。
【0156】
図4Bの第2パネルは、H&E染色に基づいて、生後第4日にはコントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺が成熟皮脂腺の特徴を有し、腺周辺での扁平細胞、もしくは成熟皮脂腺内部で気泡形脂腺細胞を含有することを証明している。
【0157】
重要なことに、これらの結果は、ビスファチン処置が皮脂腺の成熟を誘導し、皮脂産生を増加させることを証明している。最も重要なことに、これらの結果は、増加するビスファチン活性が皮脂産生に関連する状態における皮脂産生を増加させられることを示している。
【0158】
〔実施例5〕
ビスファチンアンタゴニストを用いた処置は、皮脂腺内での皮脂産生を阻害する。図5および図6を参照されたい。
【0159】
配列番号3に示したMus musculusビスファチンをコードするcDNA配列に対応するRNA転写産物を標的とするsiRNA1およびsiRNA2と命名された2つの低分子干渉核酸(siRNA)を調製した。siRNA1は、配列5’−gcacaguaccauaacggcutt−3’(配列番号11)および配列5’−agccguuaugguacugugctt−3’(配列番号12)のハイブリダイズした二重鎖を含む二本鎖核酸である。siRNA2は、配列5’−ggucuuagauauuuuaggctt−3’(配列番号15)および配列5’−gccuaaaauaucuaagacctt−3’(配列番号16)のハイブリダイズした二重鎖を含む二本鎖核酸である。これらのsiRNAは、Applied Biosystems社(Ambion社、米国テキサス州オースチン)から購入した。
【0160】
次にsiRNA1およびsiRNA2の両方を含有する局所溶液を調製した。各局所溶液中で結合された全siRNAの最終濃度は、1nMまたは3nMのいずれかであった。重要なことに、siRNA1およびsiRNA2はどちらも、最終1nMまたは3nM結合siRNA濃度を生成するために等モル量で各局所溶液中に存在した。
【0161】
siRNA送達のための2つのタイプの局所溶液を調製した。第1溶液は、0.1%(v/v)のDMSOを含有するPBS中でsiRNA1およびsiRNA2を含んでいた。この第1溶液を使用して、図6Aにおける「裸のsiRNA」を投与した。第2溶液は、0.1%(v/v)のDMSOを含有するPBS中でsiRNA1およびsiRNA2ならびにアミノ酸配列FARKGALRQ(配列番号27)を有する、1μg/mLのカチオン性親油性N−ミリストイル化ペプチドを含んでいた。このカチオン性親油性N−ミリストイル化ペプチドは「MPDY」と命名し、ミリストイル酸を配列番号27のアミノ末端F残基のα−アミノ基へN−ミリストイル−トランスフェラーゼ触媒反応によって形成されるアミド結合を介して共有結合させる工程によって調製した。この第2溶液は、図6Bにおける「送達系によって送達されるsiRNA」を投与するため、および図5に示した結果を生じさせるために使用した。
【0162】
新生仔BalbCマウスを1nM(図6B)または3nM(図5および図6B)でsiRNAを含有する第2溶液を用いて処置した。新生仔BalbCマウス(Mus musculus)はさらにまた1nM(図6A)または3nM(図6B)でsiRNAを含有する第1溶液でも処置した。生後第1〜3日に、新生仔BalbCマウスの平均体重は2gであり、100μLの第1または第2溶液のいずれかを毎日、滅菌ガーゼを使用してマウスの皮膚上の処置領域に適用した。生後第4〜6日に、新生仔BalbCマウスの平均体重は3gであり、200μLの第1または第2溶液siRNA局所溶液のいずれかを毎日、滅菌ガーゼを使用してマウスの皮膚上の処置領域に適用した。新生仔マウスは、さらに第1溶液を含有するsiRNA非含有第1コントロール溶液(図6)または第1溶液を含有するsiRNA非含有第2コントロール溶液のいずれかを用いて生後初期6日間にわたって皮膚処置領域へ毎日局所に処置した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のために新生仔マウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルを生後第5日および第6日に調製した。ビスファチン免疫組織化学検査は、上述のように実施した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色およびオイルレッドO染色もまた上述のように実施した。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。
【0163】
図5に示した皮膚生検サンプルは、第5日に調製した。図5Aの皮膚生検サンプルをビスファチン発現について染色する。図5Aおよび5Dに示した矢印は、ビスファチン特異的染色を示す。図5Bおよび5Eに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびオイルレッドOを用いて染色した。図5Bおよび5Eの矢印は、皮脂腺を示す。図5Cおよび5Fに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色する。図5Cにおける矢印は、気泡形脂腺細胞を含有する成熟皮脂腺を示す。
【0164】
Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用した40×の倍率での顕微鏡検査によって、第5および6日に調製された皮膚生検サンプル中の脂腺細胞に特徴的な気泡形の形態をもつ細胞の数も計数し、各皮脂腺内の全細胞の数に対するパーセンテージとして算出した。図6を参照されたい。
【0165】
図5Aおよび5Dの第1パネルから明らかなように、生後第5日に、高レベルのビスファチン発現は、第2コントロール溶液を用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮膚内で検出された。さらに、このビスファチン発現は、主として皮脂腺と関連すると思われた。
【0166】
これとは全く対照的に、図5Aおよび5Dの第2パネルは、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2溶液を用いた毎日の局所的処置後には、生後第5日の新生仔マウスの皮内および皮脂腺内でのビスファチン発現の明確な阻害を示している。そこで、ビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2は、皮膚内および皮脂腺内でのビスファチン発現を阻害できる。
【0167】
図5Bおよび図5Eの第1パネルから明らかなように、生後第5日に、コントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有している。そこで、生後第5日に、これらの新生仔コントロールマウスにおける皮脂腺は、成熟しており、皮脂を生成することができる。これらの結果もまた、MPDYペプチド単独では皮脂産生を阻害しなかった、さもなければ認識可能に皮膚を変化させなかったことを示している。
【0168】
これとは対照的に、図5Bおよび図5Eの第2パネルは、生後第5日に、毎日3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2溶液を用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有していないことを証明している。そこで、ビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2は皮脂腺による皮脂産生を阻害し、皮脂レベルを制御できる。
【0169】
図5Cおよび図5Fの第1パネルはこれらの結果を確認しており、H&E染色に基づいて、生後第5日には第2液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺が成熟皮脂腺の特徴を有し、腺周辺で扁平細胞、及び成熟皮脂腺内部では気泡形脂腺細胞を含有することを証明している。これらの結果もまた、MPDYペプチド単独は皮脂産生を阻害しなかった、さもなければ認識可能に皮膚を変化させなかったことを示している。
【0170】
図5Cおよび5Fの第2パネルは、H&E染色に基づいて、生後第5日に、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2液で毎日局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は成熟皮脂腺の特徴を欠如しており、成熟皮脂腺の内部で気泡形脂腺細胞を含有していないと見られることを証明している。
【0171】
図6Aは、1nMまたは3nMいずれかのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第1液を用いた毎日の局所的処置がコントロール液で処置されたコントロール動物と比較してビスファチンアンタゴニスト処置動物の皮内における皮脂含有皮脂腺の数を減少させたことを証明している。これらの結果もまた、ビスファチンアンタゴニストsiRNAにより作り出された作用が用量依存性であったことを証明している。
【0172】
図6Bは、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2液を用いた毎日の局所的処置が、処置された動物の皮膚内における皮脂含有皮脂腺の数を減少させたことを証明している。
【0173】
加えて、図6Aおよび6Bにおける結果の比較は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAが0.1%(v/v)のDMSOおよび1μg/mLのカチオン性親油性MPDYペプチドを含有するPBSの第2液で局所投与された場合に、このペプチドが欠如する第1液に比較して、皮膚内における皮脂含有皮脂腺の数のより顕著な阻害が発生したことを示している。これらの結果はともに、このカチオン性親油性ペプチドを含有する溶液中では、ビスファチンアンタゴニストsiRNAのより効率的な送達が行われることを示している。
【0174】
これらの結果は、ビスファチンアンタゴニスト、例えばsiRNAは、ビスファチンの発現を阻害でき、そして皮膚内における皮脂腺による皮脂産生を減少させる、または制御できることを証明している。これらの結果もまた、皮脂腺による皮脂産生のためにビスファチン活性が必要であることを示している。
【0175】
最も重要なことに、これらの結果は、ビスファチンアンタゴニスト処置は、皮脂産生を制御し、増加した皮脂産生と関連する挫瘡ならびに他の状態、例えば脂漏症の処置に利用できることを証明している。
【0176】
〔実施例6〕
ビスファチンを含む組成物は中等度から重度の乾燥皮膚を効果的に治療する。表1を参照されたい。
【0177】
20代以降の年齢範囲内にあり、中等度から重度の乾燥皮膚を有する女性が同定され、ボランティア患者となった。「試験製剤A」と命名され、1%(w/w)(0.1μg/mL)の組換えヒトビスファチン、95%の水、0.2%(w/w)のモンタンロウ、0.2%(w/w)のミツロウ、0.2%(w/w)のソルビトール、0.2%(w/w)のシアバター、1%(w/w)のボリジオイル、1%(w/w)のカレンジュラ油 、0.2%(w/w)のハマメリス 抽出物および1%(w/w)のヒマシ油を含有するクリーム調製物を調製した。
【0178】
本試験に参加する患者ボランティアは、彼らの皮膚の中等度から重度に乾燥した領域を刺激の少ない石鹸で洗浄し、その領域を清浄にすすぎ洗いし、皮膚のこの領域へ試験製剤Aを適用した。これは、試験期間中に1日2回(ほぼ12時間毎に1回)実施された。試験期間は3カ月間であった。3カ月間の試験終了時に、患者ボランティアは、表1の陳述を含有するアンケート用紙に記入した。
【0179】
【表1】
【0180】
表1に記載の各陳述に同意する患者のパーセンテージが示されている。表1に示したように、全患者ボランティアは、不愉快で彼らの幸福感に悪影響を及ぼした中等度から重度の乾燥皮膚を有していた。表1はさらに、全患者ボランティアは、彼らの皮膚がより柔らかくなり、鱗状ではなくなり痒みが減少し、より艶がでて明るくなったことに同意した。最も重要なことに、全患者ボランティアは、ビスファチンを含む組成物の局所投与は彼らの乾燥皮膚問題を効果的に治療したこと、そして彼らの幸福感が組成物の使用後に改良されたことに同意した。表1を参照されたい。患者ボランティアの乾燥皮膚状態におけるこれらの改善は、典型的には本試験の参加の第5日または第6日に見られたが、さらに一部の患者被験者(例えば、20代での若年の女性など)についてはより早期に見られた。
【0181】
以下では本開示を十分に説明するが、当業者には、添付の特許請求項の範囲の記載の趣旨または適用範囲から逸脱せずに、それに加えられた多数の変化および修飾を加えられることは明白になる。
【0182】
図面の詳細な説明
図1
図1は、ビスファチンの発現が皮脂腺に制限されることを示している。
2月齢のBalbCマウス由来の皮膚の組織切片を調製した。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片について、抗ビスファチン抗体を用いてビスファチンを染色した(褐色)。HF(毛包)、SG(皮脂腺)、PC(末梢細胞)、CC(中心細胞)。倍率:10×および40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0183】
図2
図2は、ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示している。
凍結切片は、材料および方法に記載したように2月齢のBalCマウスの皮膚から調製し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、ビスファチン(褐色)およびオイルレッドO(赤色)染色にかけた。倍率:10×および40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0184】
図3
図3は、ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示している。
成体BalbCマウスを4日間にわたりビスファチン(0.01μg/mL)を用いて皮内または局所的に処置した。4日後、処置された領域の皮膚切片を採取し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋し、皮膚切片をH&E染色した。倍率:40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。図3Aは、皮膚生検サンプルの顕微鏡写真を示している。図3Bは、皮脂腺の中心に所在する気泡形の脂腺細胞を計数し、処置の各1つについて皮脂腺中に存在する全細胞に比してそのような脂腺細胞のパーセンテージを算出することによって入手したデータを示している。
【0185】
図4
図4は、ビスファチンを用いた局所的処置が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示している。
新生仔BalbCマウスを3日間にわたりビスファチンを用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。図4Aでは、凍結皮膚切片を調製し、オイルレッドOを用いて染色し、ヘマトキシリンで対染色した。黒色矢印は、皮脂含有腺を示している。図4Bでは、パラフィン切片を調製し、H&E染色を行った。赤色矢印は、皮脂腺を示している。倍率:20×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0186】
図5
図5は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所的処置が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示している。
新生仔BalbCマウスは、5日間にわたりカチオン性親油性MPDYペプチドを備える3nMの結合siRNA濃度でビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2の両方を用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。パラフィン切片を調製し、図5Aでは、ビスファチン阻害を例証するためにビスファチンについて免疫染色した。黄色矢印は、ビスファチン染色を示している。図5Bでは、凍結皮膚切片を調製し、オイルレッドOを用いて染色し、ヘマトキシリンで対染色した。黒色矢印は、皮脂含有腺を示している。図5Cでは、生検サンプルのH&E染色を実施した。赤色矢印は、成熟皮脂腺を示している。
【0187】
図6
図6は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所的処置が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示している。
新生仔BalbCマウスを5日間にわたりカチオン性親油性MPDYペプチドを備える(図6B)、またはこのペプチドを備えない(図6A)1nM、または3nMの結合siRNA濃度でビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2を用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。凍結切片を調製し、材料および方法において記載したようにオイルレッドOを用いて染色した。皮脂含有腺を計数し、結果は図6のグラフに要約した。
【図1A−1B】
【図1C】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変化した皮脂レベルと関連する、挫瘡およびその他の状態、例えば乾燥肌もしくは脂性肌を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尋常性挫瘡(Acne vulgaris)は、米合衆国および他の国々において最も多く治療される皮膚の状態の1つである。尋常性挫瘡は、一般には単純に「挫瘡(にきび)」と呼ばれているが、多数の他の様々な、そして臨床的に異型の挫瘡が公知である。挫瘡は、多数の青少年および成人に発症する。
【0003】
挫瘡の最も初期の徴候は、通常は個人の皮膚内に存在する毛包の孔内の皮脂腺性
のプラグ(sebaceous plug)の形成である。典型的には、皮脂腺性のプラグは極めて小さく、裸眼では視認できない。皮脂腺性のプラグは、皮膚の上角化層由来の死滅ケラチン生成細胞と皮脂の組み合わせがこれらの皮孔の開口部を遮断する場合に形成されることがある。次に細菌、例えば、Propionibacterium acnes(P. acnes)は、皮脂腺性のプラグによって占有された皮孔内で増殖する可能性がある。それと同時に、結果として生じる細胞および皮脂のプラグは皮孔の壁に付着し得、これは孔内でのいっそう大きなプラグの形成およびその後の孔の拡大をもたらす可能性がある。これらの拡大したプラグは、面皰(comedones)と呼ばれるが、一般には「ブラックヘッド」または「ホワイトヘッド」と呼ばれる。最終的には、この拡大は孔壁の破裂および炎症反応を引き起こす可能性がある。そのような破裂がいったん発生すると、身体は皮膚を修復し、表皮からの細胞鞘の成長を刺激することによって炎症反応の部位を被包しようとする。しかし、結果として生じる被包は不完全であることが多く、作り出されている病変のさらなる破裂を代りに誘発することがある。これは順に、多チャンネル管の形成ならびに炎症性丘疹および炎症性小嚢胞の形成を導く可能性がある。これらの炎症性丘疹および炎症性小嚢胞は、一般に「吹き出物」と呼ばれる。
【0004】
挫瘡は瘢痕を生成することがあり、不快で美しくないと見なされる。結果として、挫瘡の他の作用は、例えば自負心の低下のように心理学的であることが多い。事態を面倒にすることに、挫瘡は、通常、多くの人が既に極めて社会的に不安定な傾向にある思春期中に出現する。このため、挫瘡が個人に及ぼす物理的および心理学的影響を軽減するために、早期の積極的治療が推奨されている。
【0005】
挫瘡を治療するためには、4つの主要ストラテジーが存在する。これらの4つの治療ストラテジーは、挫瘡の1つ、またはそれ以上の態様に向けられる。第1ストラテジーは、挫瘡の間に発生する毛包性角化症の変化したパターンを補正することである。第2ストラテジーは、皮脂腺活性および皮脂産生を減少させることである。第3ストラテジーは、毛包細菌集団のサイズを減少させること、および特に、P. acnesの細菌数を減少させることである。第4ストラテジーは、抗炎症作用を生成するための細胞外炎症メディエータ(サイトカイン類および炎症細胞など)の生成または作用を阻害することである。重要なことに、これらの治療ストラテジーの大多数は、有効性の限定または望ましくない副作用に悩まされる。
【0006】
これらの様々な挫瘡治療ストラテジーを実行するために、幾つかのカテゴリーの組成物が使用されてきた。イソトレチノインおよびビタミンA誘導体は、1つのそのようなカテゴリーの組成物を表す。イソトレチノインは、基底脂腺細胞の増殖を減少させ、皮脂産生を90%まで減少させ、そして脂腺細胞の分化を阻害することによって皮脂腺のサイズを低下させる。イソトレチノインは、局所または経口投与のいずれかのために適合する剤形で入手できる。イソトレチノインの経口投与は、重症の挫瘡の治療を激変させてきた。これは、イソトレチノインが毛包性角化症を変化させる、皮脂産生を変化させる、毛包性細菌集団を減少させる、および抗炎症作用を生成することのできる最初の薬剤であるからである。残念ながら、イソトレチノインは公知の催奇形物質であり、先天異常を誘発する可能性がある。多数の他の重篤な副作用もまた、イソトレチノイン治療と関連している。これらの副作用には、うつ病や精神病などの精神疾患、ならびに頭蓋内圧亢進、急性膵炎、血中脂質レベルの上昇、聴覚障害、肝毒性および炎症性腸疾患が含まれる。
【0007】
過酸化ベンゾイルおよび関連化合物は、挫瘡を治療するために使用される第2カテゴリーの組成物を表す。過酸化ベンゾイルは、局所的挫瘡を治療するために最も一般的に使用される薬剤の1つである。過酸化ベンゾイルは、強力な抗微生物特性、弱度の抗炎症特性および弱度の抗面皰特性を有する。挫瘡治療のための過酸化ベンゾイルは、局所投与のための例えばクリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、石鹸または洗浄剤などの剤形で提供される。これらの調製物は、典型的には、2.5%〜10%の過酸化ベンゾイルを含有している。しかし、過酸化ベンゾイル治療にも、例えば皮膚の灼熱、掻痒、剥離および腫脹などの接触過敏症を含む多数の副作用が結び付いている。
【0008】
抗アンドロゲン剤および関連化合物は、挫瘡を治療するために使用される第3カテゴリーの組成物を表す。アンドロゲンは、男性性徴の発達と関連するテストステロンなどのステロイド系性ホルモンである。酢酸イノコテロン、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フルタミド、およびフィナステリドなどの5−αレダクターゼ阻害剤は、挫瘡を治療するために使用される抗アンドロゲン剤の例である。女性のステロイド系性ホルモンであるエストロゲンは、抗アンドロゲン剤のまた別の例である。抗アンドロゲン剤は体内でアンドロゲン受容体に結合し、それらの生物活性を阻害する、またはアンドロゲンの生物活性とは反対(例えば、エストロゲン)の生物学的作用を生成する。抗アンドロゲン剤を用いた治療は、挫瘡を制御するのに役立つように皮脂の生成を阻害する。しかし、経口投与、または他の経路による抗アンドロゲン剤治療は、典型的には女性患者に限定されている。これは、抗アンドロゲン剤を摂取している男性患者は例えば乳房隆起などの女性の第二次性徴を発生する可能性があり、男性の第二次性徴の消失に苦しむ可能性があるからである。この男性の第二次性徴の消失には、筋肉量の損失、男性器官の活性低下および性欲低下が含まれることがある。まとめると、これは抗アンドロゲン剤をベースとする挫瘡治療には重篤な制限および副作用が結び付いていることを意味する。
【0009】
抗生物質およびその他の抗微生物化合物は、挫瘡を治療するために使用される第4カテゴリーの組成物を表している。挫瘡を治療するために使用される抗生物質の例には、皮膚表面上および孔内の細菌集団を減少させるために経口または局所投与できるクリンダマイシンおよびエリスロマイシンが含まれる。抗生物質は、潜在的に毛穴を詰まらせる脂肪酸、例えば皮膚表面上でP. acnes細菌によって生成されるプロピオン酸などの生成を減少させるためにP. acnes細菌およびその他の細菌の数を減少させることができる。これは、抗生物質が抗面皰原性(anti-comedogenic)作用(例えば、「ブラックヘッド」および「ホワイトヘッド」の形成を防止する)を有することができ、さらにまた孔壁の破裂およびこれに関連する局所性細菌感染の結果として生じる炎症の発症を制御することにも役立つことを意味する。しかし、挫瘡を治療するための抗生物質の使用についての主要な制限は、循環中に現に存在する抗生物質耐性P. acnes菌株を含む抗生物質耐性細菌の菌株数の増大である。
【0010】
上記に記載したように、皮脂産生は挫瘡の病因において極めて重要な役割を果たす。皮脂産生は面皰の形成を促進することが公知であり、増加した皮脂産生は挫瘡の発症の一因となり得る初期事象の1つである。
【0011】
皮脂は、大半が皮脂腺内で合成される相対的に非極性の脂質(例えば、油、ロウおよび脂肪)の混合物である。分泌された皮脂は、皮膚の外面に撥水性、疎水性のコーティングを提供する。そこで、皮脂は、通常、皮膚を潤滑して保護するために役立つ。
【0012】
皮脂は、皮脂腺によって分泌される。皮脂腺は、皮膚内で毛包と連絡している。皮膚内の皮脂腺の数は人の生涯を通してほぼ一定のままに留まっているが、これらの皮脂腺のサイズは加齢とともに拡大する傾向がある。ヒト皮脂腺は、手掌および足底を除く皮膚の本質的に全ての領域内に存在する全分泌組織である。
【0013】
例えば皮脂などの全分泌は、腺内の分泌細胞の溶解の結果として生じる。全分泌は、腺内に存在する分泌細胞の内側で最初に生成される。これらの分泌細胞は、その後に破裂して腺の内腔内、または内部空間内へこれらの細胞の内容物を遊離させる(分泌する)。
【0014】
皮脂腺内における皮脂の分泌の原因となる細胞は、脂腺細胞として公知である。皮脂腺内の脂腺細胞は脂質および皮脂の他の成分で満たされている。これらの皮脂成分で満たされた脂腺細胞は、最終的にはそれらの統合性を消失して破裂する。これは皮脂腺による皮脂の分泌を誘発する。皮脂で満たされた脂腺細胞は、特徴的な気泡形の細胞形態を有する。
【0015】
皮脂分泌の増加は、多くの人々においておよそ9歳で始まり、17歳まで増加し続け、その時点に典型的には成人レベルの皮脂分泌に到達する。この増加した皮脂産生の期間は、挫瘡の大多数の症例が発生する期間である。しかし上記で考察したように、挫瘡を治療して皮脂産生を制御するために使用されるストラテジーの多数は、望ましくない副作用またはその他の重大な制限を有している。皮脂産生は、さらにまた例えば脂漏症(異常に増大した皮脂の分泌および排出)などの他の状態ならびに乾燥してひび割れの生じた荒れた皮膚が発生する状態においても重要な役割を果たす。
【0016】
ビスファチンは、成熟脂肪細胞によって分泌されるアディポカインである。ビスファチンは、さらにまたプレB細胞コロニー増強因子(PBEF)、Namptおよびニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼとも呼ばれる。ビスファチンは、最初は内臓脂肪から分泌されると報告されたが、後になって皮下組織の皮下脂肪細胞から分泌されると報告された。皮下組織は、皮膚の下に所在する脂肪含有組織である。皮下組織は、さらにまた血管および毛包の基底(底部)部分を含有している。ビスファチンは、さらにまた例えば好中球などの細胞によって、ならびに肝臓、心臓および筋肉などの組織中でも発現する。
【0017】
ビスファチンは、内臓脂肪由来ホルモンであると考えられており、マウスにおける血漿グルコースレベルを低下させることによって培養細胞上でのインビトロ(ガラス試験管内)およびインビボ(生体内)の両方でのインスリンの生物活性を模倣することが日本人の研究グループによって報告されている。しかしこの日本人の研究グループは後になって、学術雑誌Scienceからこれらの所見を報告している論文全体を撤回した。ビスファチンが果たす生理学的役割もまた、ビスファチン血漿濃度がインスリンの血漿濃度の40〜100分の1であるために、不明である。ビスファチンは、さらにまた酵素活性を有すると報告されており、ニコチンアミドモノヌクレオチドを合成するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの凝縮を触媒できると報告されている。重要なことに、ニコチンアミドモノヌクレオチドの合成は、コエンザイムのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の生合成における1つの工程である。
【0018】
これは、ビスファチンの生物活性およびその生理学的プロセスにおける、例えば皮脂産生に関連する挫瘡およびその他の状態の病因におけるその役割が十分理解されていないことを意味している。重要なことに、ビスファチンは、皮脂産生に関連する乾燥肌もしくは脂性肌などの挫瘡およびその他の状態の病因において重要な役割を果たす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、皮脂産生に関連する挫瘡およびその他の状態を治療するのに役立つビスファチン活性を調節させる改良された組成物および方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の1つの態様は、ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。そのような薬学的に許容される担体は、希釈剤またはアジュバントを含むことができる。好ましい実施形態では、送達用ペプチドが該薬学的に許容される担体を伴って、または伴わずに、ビスファチン活性剤と組み合わせて使用される。
【0021】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、皮脂過剰生成状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される方法である。
【0022】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、尋常性挫瘡を備える被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される方法である。
【0023】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアゴニストまたはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される方法である。
【0024】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させる方法であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより該被験者の皮脂産生が増加させられる方法である。
【0025】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させる方法であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる方法である。
【0026】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0027】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0028】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0029】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0030】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0031】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0032】
本開示のまた別の態様は、尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0033】
本開示のまた別の態様は、皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0034】
本開示のまた別の態様は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0035】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、皮脂過剰生成状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される医薬組成物である。
【0036】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、尋常性挫瘡を備える被験者に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される医薬組成物である。
【0037】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に治療有効量のビスファチンアゴニストを投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される医薬組成物である。
【0038】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアゴニストを投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる医薬組成物である。
【0039】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、被験者の皮膚に治療有効量のビスファチンアンタゴニストを投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる医薬組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ビスファチンの発現が皮脂腺に限定されることを示す図である。
【図2A】ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示す図である。
【図2B】ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示す図である。
【図3A】ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示す図である。
【図3B】ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示す図である。
【図4A】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図4B】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図4C】ビスファチンを用いた局所治療が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示す図である。
【図5A】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5B】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5C】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5D】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5E】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図5F】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図6A】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【図6B】ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所治療が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下の説明は、本開示の特に代表的な態様に関する詳細を提供することを意図していると理解されたい。さらにまた、本明細書に記載した方法の既定要素については、添付の特許請求項に記載した本開示の趣旨および適用範囲から逸脱することなく極めて多数の同等物と置換できることも理解されたい。これに加えて、本開示で引用した特許および特許出願を含むがそれらに限定されない全ての刊行物は、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される。本明細書に同定した範囲は、言及した範囲の上限および下限を規定する数値、該範囲内の全個別値および該範囲内のあらゆる個別部分範囲を含むことが意図されている。
【0042】
本明細書で使用する用語「ビスファチン活性剤」には、非限定的に、積極的もしくは消極的に、任意の機序によって、直接的もしくは間接的にビスファチンタンパク質の活性を調節する任意の分子が含まれる。そのようなビスファチン活性剤の例には、例えば、本明細書に記載した分子などのビスファチンアゴニストおよびビスファチンアンタゴニスト分子の両方が含まれる。
【0043】
本明細書で使用する用語「ビスファチンアゴニスト」には、非限定的に、任意の機序によって、ビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に増加させる分子が含まれる。ビスファチンアゴニストは、直接的もしくは間接的に、実質的にビスファチン媒介性シグナル伝達を増加もしくは刺激することのできる分子であってよい。ビスファチンアゴニストはさらに、直接的もしくは間接的に、ニコチンアミドモノヌクレオチドを産生するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの縮合を触媒するなどのビスファチンタンパク質の酵素活性を実質的に増加または刺激する分子であってよい。例えば、ビスファチンアゴニストは、細胞によって生成される配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列を含むビスファチンタンパク質、またはこれらのホモログの活性を増加させることができる。詳細には、ビスファチンアゴニストは、被験者(皮膚)の細胞、または組織中のビスファチン活性を、該細胞、もしくは組織中に存在するビスファチンタンパク質分子の数が一部の初期状態に比して増加した場合、増加させる可能性がある。そこで、ビスファチンアゴニストは、細胞もしくは組織に送達されている配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列、またはこれらのホモログを含むことができる。
【0044】
ビスファチンアゴニストは、構成的に活性化された、または誘導的に活性化されたゲノムもしくはビスファチンアゴニストをコーディングするDNA(例えば、遺伝子ノックイン、プロモーターハイジャッキングまたは他の遺伝子方法)を生成するための組換えを通した例えば遺伝子活性化を含む他の機序によって機能することもできる。
【0045】
本開示の方法において有用なビスファチンアゴニスト、例えば化合物もしくは分子は、例えば、有機小分子、ペプチド鎖(例えばタンパク質)、抗体、抗体フラグメント、ポリヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
本開示の方法において有用なアゴニストは、さらにまた核酸分子であってよい。または、例えば二本鎖および一本鎖プラスミドDNAベクター、人工染色体、もしくは線状核酸または他のベクター、それらはビスファチンアゴニスト(例えば、ペプチド鎖)をコードする、またはビスファチンアゴニストとして機能する、などのポリヌクレオチド分子は、本開示の方法において被験者にアゴニストを投与するために使用できる。
【0047】
本明細書で使用する用語「ビスファチンアンタゴニスト」には、非限定的に、任意の機序によって、ビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に阻害する分子が含まれる。ビスファチンアンタゴニストは、直接的もしくは間接的に、実質的にビスファチン媒介性シグナル伝達に対抗する、減少させる、もしくは阻害することのできる分子であってよい。ビスファチンアンタゴニストはさらに、直接的もしくは間接的に、例えばニコチンアミドモノヌクレオチドを産生するために5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸を用いたニコチンアミドの縮合を触媒するなどのビスファチンタンパク質の酵素活性を実質的に対抗する、減少させる、または阻害する分子であってよい。例えば、ビスファチンアンタゴニストは、細胞によって生成される配列番号2、配列番号4、配列番号6もしくは配列番号7に示したアミノ酸配列、またはこれらのホモログを含むビスファチンタンパク質の活性を部分的または完全に阻害することができる。
【0048】
本開示の方法において有用なビスファチンアンタゴニスト、例えば化合物もしくは分子は、例えば、有機小分子、ペプチド鎖、抗体、抗体フラグメント、ポリヌクレオチドまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0049】
重要にも、ビスファチンアンタゴニストは、例えばRNA干渉によってビスファチンタンパク質の発現を阻害できる。ビスファチンアンタゴニストは、さらにまた例えば、ゲノムDNAを不活性化するための組換えを通しての遺伝子不活性化(例えば、遺伝子ノックアウト、プロモーターハイジャッキングまたは他の遺伝子突然変異誘発)およびアンチセンスRNAを使用した遺伝子転写不活性化を含む他の機序によっても機能することができる。
【0050】
本開示の方法において有用なアンタゴニストは、さらにまた核酸分子であってよい。そのような核酸分子は、例えば低分子干渉RNAなどの干渉核酸分子、またはアンチセンス分子、それらはビスファチンの活性のアンタゴニストである、であってよい。または、例えば二本鎖および一本鎖プラスミドDNAベクター、人工染色体、もしくは線状核酸または他のベクター、それらはアンタゴニスト(例えば、ペプチド鎖もしくはRNA)をコードする、またはアンタゴニストとして機能する、などのポリヌクレオチド分子は本開示の方法において被験者にアンタゴニストを投与するために使用できる。
【0051】
ビスファチン活性剤は、さらにまたビスファチン調節剤と言うこともできる。
【0052】
本明細書で使用する用語「送達ペプチド」には、非限定的に、活性剤および送達ペプチドを含有する組成物が投与されると患者の組織に活性剤を送達する、または活性剤の送達を増加させるペプチド鎖が含まれる。患者の組織への活性剤の送達は、活性剤および送達ペプチドを含有する組成物が患者の組織に投与された場合の組織内に存在する活性剤の量、またはその生物学的作用の大きさの比較、そして活性剤を含有するが送達ペプチドを含有していない組成物が投与された場合の活性剤の量またはその作用の大きさによって評価することができる。送達ペプチドは、例えば、カチオン性、親油性ペプチド鎖であってよい。そのようなペプチド鎖は、特定pHで正電荷を有する、または特定条件下で正電荷を有する化学基もしくは組成物(例えばイオン交換樹脂など)に結合している側鎖基を含むことができる。そのようなペプチド鎖は、親油性部分、または特性が疎水性である化学基をさらに含むことができる。そのような親油性部分は、例えば脂肪、ロウ、脂肪酸を含むステロール、トリグリセロール、コレステロール、脂溶性ビタミンなどの共有結合脂質基であってよい。そのようなカチオン性の親油性ペプチド鎖の1つの例は、配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである。送達ペプチドは、患者の組織への活性剤の送達を生じさせる、またはその送達を増加させるミセルまたは他の構造を形成することもできる。送達ペプチドはさらに、患者の組織へ活性剤を送達するために、活性剤と化学的に結合できる、または活性剤と機械的に結び付ける(例えば被包化によって)ことのできる担体であってもよい。担体であるそのような送達ペプチドは、エンドサイトーシスなどによって取り込まれる分子であるオルガネラ標的シグナルを含むことができる。
【0053】
本明細書で使用する用語「siRNA」は、非限定的に、標的遺伝子転写産物の切断を媒介する低分子干渉核酸配列を包含している。低分子干渉RNA(siRNA)は、二本鎖または短いヘアピンタイプのRNAであってよい。二本鎖siRNAは、RNAおよびDNA(例えば、5’−ttttuuuu−3’にアニーリングした5’−ttttuuuu−3’または5’−uuuu−3’にアニーリングした5’−tttt−3’)の両方を含有する2本の個別の、アンチパラレルのアニーリングしたRNA鎖またはアニーリングした核酸鎖から構成されてよい。典型的には、二本鎖siRNAは、相互にハイブリダイズして、各鎖の5’末端に所在する16〜19RNAヌクレオチドおよび各鎖の3’末端に所在する2個の‘‘tt’’DNAヌクレオチドを有する18〜21個のヌクレオチドの2本の別個の核酸鎖を含有する。短いヘアピンタイプのsiRNAは、RNA単鎖またはステム・アンド・ループ構造またはsiRNAとして有効な他の二次構造を形成することのできるRNA・DNAハイブリッド単鎖から構成されてよい。当業者であれば、siRNAは、例えばヌクレオシドアナログ、バックボーン修飾、および修飾siRNA核酸が標的遺伝子転写産物の切断を媒介する事を許容する他の修飾を含むことができることを理解する。
【0054】
本明細書で使用する用語「皮脂過剰生成状態」は、非限定的に、病理的状態または望ましくない状態を生じさせる、大量の皮脂が被験者によって生成される状態を包含する。そのような皮脂過剰生成状態の例には、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 および関連状態が包含される。挫瘡の場合、そのような関連状態は、例えば、尋常性挫瘡、人工挫瘡、臭素挫瘡、悪液質性挫瘡、繊毛性挫瘡、化粧品性挫瘡、嚢胞性挫瘡、電撃性挫瘡、汎発性挫瘡、ハロゲン挫瘡、肥大性挫瘡、ヨウ化物挫瘡、薬物性挫瘡、新生児性挫瘡、ポマード挫瘡、点状挫瘡、膿疱性挫瘡、しゅさ性挫瘡、ステロイド挫瘡、塩素挫瘡、熱帯挫瘡、痘瘡状挫瘡および蕁麻疹様挫瘡が含まれる場合がある。
【0055】
本明細書で使用する用語「被験者」には、非限定的に、皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態、皮脂産生の増加または皮脂産生の減少のそれに対する治療が示される任意の種に属する動物が包含される。そのような被験者の1つの例は、ヒト、例えばヒト患者である。
【0056】
本明細書で使用する用語「投与する工程」には、非限定的に、被験者の少なくとも1つの組織、例えば皮膚に組成物を提供する工程が含まれる。そのような組成物は、被験者の身体に、または体外に投与することができる。被験者の組織への組成物の体外投与は、組織の一部分、例えば血液もしくは骨髄が被験者の身体から取り出され、提供されていた組成物と接触させられる場合に発生し、その後に該組成物と接触させられた組織の一部分は被験者の身体へ戻される。局所投与および皮内投与は、身体投与の形態である。
【0057】
本明細書で使用する用語「治療有効量」には、非限定的に、所定の個別被験者において、被験者における皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態、皮脂産生の増加もしくは皮脂産生の減少の1つ以上の症状の改善、または治療を生じさせる反応を生じさせる組成物の用量が含まれる。例えば、組成物の治療有効量は、例えば尋常性挫瘡などの挫瘡の症状を改善または治療する例えばビスファチン活性剤などの活性剤の用量であってよい。個々の被験者にとって適切な治療有効量または用量は、当業者であれば周知である日常的な臨床技術(例えば、用量反応プロット)を使用して容易に決定することができる。そのような用量は、例えば、被験者の体重1kg当たり1×10−12g〜100gのビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを包含することができる。
【0058】
当業者であれば、組織学検査、H&E染色、ケラチン14染色、もしくは免疫化学によって、または膿瘍形成を観察することによって、または当業者であれば容易に実施できる日常的実験方法によるその他によって組成物の有効量を決定することができる。
【0059】
当業者であればさらに、ある状態を患う被験者に、治療前の状態および治療後の合理的時点に該状態に罹患した領域における変化を単純に観察または測定する工程によって、有効量の組成物が投与されていたことを確認することができる。本開示の組成物は、これらの組成物の成分の治療有効量を含むことができる。
【0060】
本開示の方法では、治療有効量の活性剤(例えば、ビスファチン活性剤)、またはそれを含有する医薬組成物は、それを必要とする被験者に投与される。本組成物は、液剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤での局所適用または任意の局所適用(例えば皮下注射)によって投与することができる。本活性剤は医薬組成物の形態にあってよく、そしてさらにまた薬剤溶出器具、例えばガーゼ、パッチ、パッド、またはスポンジによって投与することもできる。
【0061】
組成物は、皮脂過剰生成状態、皮脂産生欠乏症状態を治療するため、または被験者における皮脂産生の増加もしくは皮脂産生の減少を誘導するために、必要に応じて頻回に、そして必要な期間にわたって、適応があれば、所望のエンドポイントを達成するため、例えば該状態、例えば挫瘡が完全に消散するまで投与されなければならない。当業者であれば、本開示による組成物および方法を利用して適切な治療経過を容易に決定することができる。
【0062】
本明細書で使用する用語「皮脂産生欠乏症状態」は、非限定的に、病理的状態または望ましくない状態を生じさせる、少量の皮脂が被験者によって生成される状態を包含する。そのような皮脂産生欠乏症状態の例には、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎に関連する乾燥症(乾燥皮膚)状態が含まれる。
【0063】
本明細書で使用する用語「薬物溶出スカフォールド」には、非限定的に、生理学的に活性な分子を放出できる固定材料が含まれる。薬物溶出スカフォールドは、不溶性、可溶性、非生体吸収性、または生体吸収性であってよい固定相材料を含むことができる。
【0064】
本明細書で使用する用語「ホモログ」には、非限定的に、参照配列に対する85%〜100%の配列同一性を有するタンパク質配列が包含される。例えば、配列番号2に示したホモサピエンス・ビスファチンタンパク質のホモログは、配列番号2に対して90%〜100%配列同一性を有するアミノ酸配列を備えるタンパク質を包含する。2つのタンパク質間の同一性率は、Vector NTI v.9.0.0(Invitrogen社、カリフォルニア州カールズバッド)のAlignXモジュールのデフォルト設定を用いるペアワイズ・アラインメントによって決定できる。
【0065】
本明細書で使用する用語「ペプチド鎖」は、非限定的に、鎖を形成するためにペプチド結合によって連結された少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を包含する。50アミノ酸より大きいペプチド鎖は、「ポリペプチド」または「タンパク質」と呼ぶことができる。50アミノ酸より小さいペプチド鎖は、「ペプチド」と呼ぶことができる。
【0066】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される担体」は、非限定的に、ヒトまたは他の動物に投与するために適当な1つ以上の適合性の固体もしくは液体充填希釈剤または被包化物質を包含する。
【0067】
適切な薬学的に許容される担体の例には、水、ペトローリアムジェリー(petroleum jelly)、ワセリン(petrolatum)、鉱油、植物油、動物油、有機および無機ロウ、例えば微結晶質、パラフィンおよびオゾケライトロウ、天然ポリマー、例えばキサンタン、麦芽、タルク、ゼラチン、糖類、セルロース、コラーゲン、デンプン、もしくはアラビアゴム、合成ポリマー、アルコール、ポリオール、リン酸緩衝液、カカオ脂、乳化剤、海面活性剤、例えばTween(商標)などが含まれる。担体は、水と実質的に混和性である、例えばアルコールなどの水混和性担体組成物であってよい。水混和性の局所用の薬学的に許容される担体は、上述した1つ以上の成分を用いて製造された担体を含むことができ、そして水分散性もしくは水溶性組成物、例えばリポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフェアもしくはマイクロカプセル、水溶性ベースの軟膏剤、油中水型もしくは水中油型エマルジョン、ゲル剤などを含む水を包含する持続もしくは遅延放出担体もまた包含することができる。当業者であれば、その他の薬学的に許容される担体を認識できる。
【0068】
その他の適合性の医薬的活性剤および添加物は、本開示の組成物において使用するための薬学的に許容される担体中に包含することができる。例えば、挫瘡の治療において有用な薬物、例えば抗生物質、イソトレチノイン、ビタミンA誘導体、過酸化ベンゾイル、および抗アンドロゲン剤は、本開示の組成物中に包含されてよい。局所麻酔薬、例えばNOVOCAINE(商標)、リドカイン、またはその他もまた、薬学的に許容される担体中に包含されてよい。アジュバントもまた、薬学的に許容される担体中に包含されてよい。添加物、例えばベンジルアルコールおよびその他の保存料も同様に薬学的に許容される担体中に包含されてよい。当業者であれば、本開示の組成物中に包含するために適切な他の薬学的に許容される活性剤および添加物を容易に認識できる。
【0069】
ビスファチンアゴニストは、組換え発現させることができる。組換えDNAを用いた宿主細胞の形質転換による組換え発現は、当業者に周知である従来型技術によって実施することができる。宿主細胞は、原核細胞、古細菌細胞、または真核細胞であってよい。組換え発現したポリペプチド、例えば組換えビスファチンタンパク質の単離および精製は、例えば、分取クロマトグラフィおよび抗体または所定のポリペプチドに特異的に結合するその他の分子を使用するアフィニティ精製を包含する当該技術分野において周知の技術によって実施することができる。
【0070】
そのようなタンパク質は、α−アミノ基のt−BOCまたはFMOC保護のような一般的に使用される方法によって合成することができる。どちらの方法も、それにより単一アミノ酸がペプチドのカルボキシ末端から出発する各工程で加えられる段階的合成法を含んでいる(Coligan et al., Current Protocols in Immunology, Wiley Interscience, 1991, Unit 9)。本開示のペプチドは、Merrifield(85 J. Am. Chem. Soc. 2149(1962))、およびStewart and Young, Solid Phase Peptides Synthesis, (Freeman, San Francisco, 1969, pp.27-62)に記載された周知の固相ペプチド合成法により、アミン0.1〜1.0mMol/gを含有するコポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ポリマーを使用して合成することもできる。化学合成が完了すると、ペプチドを脱保護し、0℃で約1/4〜1時間にわたり液体HF−10%アニソールを用いた処理によってポリマーから切断することができる。試薬を蒸発させた後、ペプチドは、1%酢酸溶液を用いてポリマーから抽出され、次に粗精製物質を産生するために凍結乾燥させられる。これは通常、溶媒としての5%酢酸を使用するSephadex G−15上でのゲル濾過のような技術によって精製することができる。カラムの適切な分画の凍結乾燥は、均質なペプチドもしくはペプチド誘導体を産生するが、これは次に例えばアミノ酸分析、薄層クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、紫外吸収分光法、モル旋光度、および溶解度に基づく方法などの標準技術によって特徴付けることができる。
【0071】
ペプチドは、さらにまた任意の生物学的方法によって、例えば哺乳類細胞、昆虫細胞、酵母および細菌ならびに無細胞系、例えばインビトロ(ガラス試験管内)転写および翻訳系におけるタンパク質の組換え発現によって合成することができる。タンパク質の発現は、明確に確立された方法によって各系について最適化することができる。タンパク質は、標準方法(Frederich M. Ausubel, et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, 1989)によって精製できる。例えば、タンパク質は、GST−融合タンパク質として細菌中で発現させ、(Erangionic and Neel, Analytical Biochemistry, 210:179, 1993)に記載されたようにグルタチオン・アガロースビーズ(Sigma社)によって精製することができる。または、タンパク質は、哺乳類細胞内で分泌産物として発現させ、馴化培地から精製することができる(Cadena and Gill, Protein Expression and Purification 4:177, 1993)。Merrifieldの方法によって調製されたペプチドは、例えばApplied Biosystems 431A-01ペプチド合成装置(Mountain View, Calif.)などの自動ペプチド合成装置を使用して、またはHoughten, Proc. Natl. Acad. Sci., placecountry-regionUSA 82:5131(1985)によって記載された手動ペプチド合成技術を使用して合成することができる。ペプチドは、さらにまた共有修飾、液相ペプチド合成法、または当業者には公知の任意の他の方法によって合成することができる。
【0072】
ペプチドはアミノ酸もしくはアミノ酸アナログを使用して合成することができ、その活性基は必要に応じて、例えば、t−ブチルジカーボネート(t−BOC)基またはフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基を使用して保護される。アミノ酸およびアミノ酸アナログは、市販されている(Sigma Chemical社;Advanced Chemtec社)または当該技術分野において公知の方法を使用して合成できる。
【0073】
本明細書に開示したペプチド内のアミノ酸は、例示したペプチドにおいて示した1つ以上の特定アミノ酸のアミノ酸置換によって修飾することができる。アミノ酸置換変化には、1の塩基性アミノ酸のまた別の塩基性アミノ酸との置換、1の疎水性アミノ酸のまた別の疎水性アミノ酸との置換またはその他の保存的置換を包含することができる。アミノ酸置換には、さらにまた非天然型アミノ酸、例えばArgに対するオルニチン(Orn)またはホモアルギニン(homoArg)の使用を包含することができる。
【0074】
ペプチドは、さらにまた他の分子の共有結合またはペプチド内に存在する官能基の反応によって修飾することもできる。そのような修飾の例には、ポリエチレングリコール分子、脂質、炭水化物、または他の分子の付着が包含される。そのような修飾の特定の例は、ミリストイル化、例えばアミノ末端ミリストイル化である。ペプチドの共有修飾のための技術は当該技術分野において周知であり、当業者であれば多数のそのような技術を認識できる。
【0075】
本明細書で使用する用語「標準状態」には、非限定的に、25℃±2℃および1大気圧の気圧が含まれる。本明細書に記載され、そして単位容量当たり(例えばmol/L、M、単位/mL、μg/mLなど)で、または組成物の総重量に相対する重量%で表示される液剤、懸濁剤、およびその他の調製物の濃度は標準状態で決定する。用語「標準状態」は、当該技術分野では温度もしくは気圧の単一分野で認識されたセットを意味するためには使用されず、その代りに、参照標準状態条件下で特定組成物を備える液剤、懸濁剤、または他の調製物を記載するために使用される温度および気圧を特定する参照状態である。液剤の量は、一部には、温度および気圧の関数であってよい。当業者は、本明細書に開示したものと同等の組成物を他の温度および気圧で製造できることを理解する。
【0076】
本開示の方法において投与するために適切な組成物は、液剤、軟膏剤、エマルジョン、クリーム剤、ゲル剤、顆粒剤、フィルム剤および硬膏剤の形態で提供されてよい。当業者であれば、被験者に投与するために適切な本明細書に開示した組成物の他の形態を認識できる。
【0077】
本開示の1つの態様は、ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む組成物である。
【0078】
本開示の1つの実施形態では、本組成物は、送達ペプチドをさらに含んでいる。
【0079】
本開示のまた別の態様は、該ビスファチン活性剤がビスファチンアゴニストである組成物である。
【0080】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアゴニストを約0.001〜約10重量%を含む組成物である。
【0081】
本開示のまた別の実施形態は、約1重量%のビスファチンアゴニスト、約95重量%の水、約0.2重量%のモンタンロウ、約0.2重量%のミツロウ、約0.2重量%のソルビトール、約0.2重量%のシアバター、約1重量%のボリジオイル、約1重量%のカレンジュラ油 、約0.2重量%のハマメリス(Hamamelis)抽出物および約0.1重量%のヒマシ油を含む組成物である。
【0082】
本開示のまた別の態様は、配列番号2、ビスファチンアゴニストが配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、組成物である。
【0083】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアゴニストが配列番号2のアミノ酸配列を含む、組成物である。
【0084】
本開示のまた別の実施形態は、クリーム剤である組成物である。
【0085】
本開示のまた別の態様は、ビスファチン活性剤がビスファチンアンタゴニストであり、送達ペプチドが配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである、組成物である。
【0086】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAである、組成物である。
【0087】
重要なことに、そのようなsiRNAは、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号9からなる群から選択される核酸を標的とすることができる。
【0088】
短いヘアピン型のsiRNAを包含する二本鎖型のsiRNAは、以下の原理を用いて構築することができる。一般に、siRNAによって標的とされる配列は長さが21ヌクレオチドであり、開始コドンと終止(停止)コドンの50〜100塩基対内の領域を回避し、イントロン領域を回避し、4塩基以上の伸長鎖(例えば、5’−aaaa−3’、5’−cccc−3’など)を回避し、30%超もしくは60%未満のGC含量を備える領域を回避し、繰返し配列を回避し、低複雑性配列を回避し、一塩基多型(SNP)部位を回避しなければならない。そこでこれらの基準を満たす配列を標的とする候補siRNAを設計することができる。BLASTアルゴリズムに基づくホモロジー検索、例えばBLASTNアルゴリズムに基づく検索は、次に他の遺伝子もしくは配列との低い、または現在ホモロジーを備える候補を同定するために候補siRNAを用いて実施することができる。これはオフ・ターゲット(off−target)作用を回避する。候補siRNAの核酸配列がスクランブルされる、各候補siRNAの陰性コントロールRNAバージョンが構築されなければならない。陰性コントロールRNAは、siRNAと同一の長さおよびヌクレオチド組成を有していなければならず、siRNAとはミスマッチする少なくとも4〜5塩基を有していなければならない。陰性コントロールRNAが、他の遺伝子とのホモロジーを有していないことは、BLASTアルゴリズムに基づくホモロジー検索によって確認することができる。候補siRNA、例えばビスファチンアンタゴニストであるsiRNAは、次にそれがコントロールされたアッセイにおいて、インビボ(生体内)またはインビトロ(ガラス試験管内)いずれかでの標的遺伝子転写産物のレベルまたは陰性コントロールRNAに比した標的遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルを減少させた場合、siRNAであると確認することができる。
【0089】
siRNAは、さらにまたDharmaconアルゴリズム、Ambionアルゴリズムまたは他の当業者には周知であるsiRNAデザインのための類似のアルゴリズムにしたがって構築することもできる。そのようなアルゴリズムは、インターネットまたは市販のソフトウエアパッケージを通して容易に入手できる。または、以前に同定されているsiRNAは、本開示の方法において使用できる、または本開示の組成物に包含することができる。
【0090】
本開示のまた別の実施形態は、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含む組成物であって、該第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である組成物である。
【0091】
本開示のまた別の実施形態は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含む組成物であって、該第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である組成物である。
【0092】
本開示のまた別の実施形態は、水溶性担体およびDMSOをさらに含む組成物である。
【0093】
そのような水溶性担体の例には、蒸留水、例えばPBSなどの緩衝液および水を含むゲルが含まれる。
【0094】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される方法である。
【0095】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態が挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される方法である。
【0096】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む方法である。
【0097】
本開示の他の実施形態は、siRNAが、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、該第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および該第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である方法である。
【0098】
本開示の他の実施形態は、siRNAが、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、該第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、該第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および該第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である方法である。
【0099】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストがFK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、方法である。
【0100】
FK−866は、K22.175もしくはN−[4−(1−ベンゾイル−4−ピペリジニル)ブチル]−3−(3−ピリジニル)−2E−プロペンアミドとしても公知であるビスファチンアンタゴニストであり、漸進的NAD+枯渇を誘発するビスファチンの高度に特異的な非競合的阻害剤である。FK−866はC24H29N3O2の分子式、および式量391.5を有する。FK−866は、Caymen Chemical社(米国ミシガン州アナーバー)から入手できる。FK−866の構造は以下に示したが、FK−866分子は、さらにまたこの構造の誘導体も含むことができる。
【0101】
APO866はビスファチンアンタゴニストであり、ビスファチンの阻害剤である。APO866は、TopoTarget A/S社(デンマーク国コペンハーゲン)から入手できる。APO866の構造は以下に示したが、APO866分子は、これらの構造の誘導体もさらに含むことができる。
【0102】
【化1】
【0103】
【化2】
【0104】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される方法である。
【0105】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0106】
本開示の1つの態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニストまたはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される方法である。
【0107】
本開示のまた別の実施形態は、皮脂産生欠乏症状態があかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態である方法である。
【0108】
本開示の他の態様は、ビスファチンアゴニストが配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、方法である。
【0109】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアゴニストが配列番号2に示したアミノ酸配列を含む、方法である。
【0110】
本開示の他の実施形態は、ビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0111】
本開示のまた別の態様は、被験者の皮脂産生を増加させる方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる方法である。皮脂産生が増加させられていたかどうかは、1の領域の皮膚上に存在する第1量の皮脂を該領域へのビスファチンアゴニストの投与前に測定する工程と、該皮膚領域上に存在する第2量の皮脂を該領域へのビスファチンアゴニストの投与後に測定する工程と、および皮脂の該第2量が皮脂の該第1量より多いことを確認する工程によって容易に決定できる。当業者であれば、皮脂産生が減少していることを確認するための他の方法もさらに認識できる。
【0112】
本開示のまた別の態様は、ビスファチンアゴニストが局所または皮内投与される方法である。
【0113】
皮膚への局所投与は、組成物が皮膚の真皮層に送達されると発生する。局所投与は、典型的には組成物を皮膚の表面に適用する工程によって実施される。
【0114】
皮内投与は、組成物が例えば表皮などの皮膚の表面より下方で皮膚層に送達されると発生する。皮内投与は、例えば、皮膚の表面より下方への組成物の注射または皮膚の表面より下方への組成物の電気溶出によって実施できる。
【0115】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させる方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる方法である。
【0116】
皮脂産生が減少させられていたかどうかは、1の領域の皮膚上に存在する第1量の皮脂を該領域へのビスファチンアンタゴニストの投与前に測定する工程と、該皮膚領域上に存在する第2量の皮脂を該領域へのビスファチンアンタゴニストの投与後に測定する工程と、および皮脂の該第2量が皮脂の該第1量より少ないことを確認する工程によって容易に決定できる。当業者であれば、皮脂産生が減少していることを確認するための他の方法をさらに認識できる。
【0117】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストが局所または皮内投与される、方法である。
【0118】
本開示のまた別の実施形態は、ビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物が本開示の医薬組成物である、方法である。
【0119】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0120】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0121】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0122】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用である。
【0123】
本開示のまた別の態様は、皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0124】
本開示のまた別の態様は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用である。
【0125】
本開示のまた別の態様は、尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用である。
【0126】
本開示のまた別の態様は、皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0127】
本開示のまた別の態様は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用である。
【0128】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を、皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂過剰生成状態が治療される、医薬組成物である。
【0129】
本開示のまた別の態様は、被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を、尋常性挫瘡を患う被験者に投与する工程を含み、それにより尋常性挫瘡が治療される、医薬組成物である。
【0130】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物を、皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより皮脂産生欠乏症状態が治療される、医薬組成物である。
【0131】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が増加させられる、医薬組成物である。
【0132】
本開示のまた別の態様は、被験者における皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト組成物を被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより被験者の皮脂産生が減少させられる、医薬組成物である。
【0133】
以下では、特定の非限定的実施例を参照しながら本発明について記載する。
【実施例】
【0134】
実験方法
パラフィン包埋皮膚切片の調製:実験用マウスにおいて皮膚生検を実施した。皮膚生検サンプルを4%パラホルムアルデヒド中で固定し、次にエタノールの濃度を増加させながら(50〜100%)脱水した。脱水生検サンプルをキシレン中に2回浸漬し、次にパラフィンおよびキシレンの1:1溶液中に1回、そして最後に60℃の温度で純溶融パラフィン中に3回浸漬した。次にパラフィンブロックからマイクロトームを用いて薄片を調製し、得られた切片をスライド上に載荷した。
【0135】
凍結皮膚切片の調製:皮膚生検試料を最適切削温度(OCT)化合物中に包埋し、直ちにクリオスタット・マイクロトームによって切片調製し、スライド上に載荷した。
【0136】
ヘマトキシリン&エオシン染色:パラフィン包埋皮膚生検切片スライドを60℃で60分間インキュベートし、スライドを10分間にわたりトルエン(100%)で2回洗浄し、各5分間にわたりエタノールの濃度を減少させながら(100〜50%)皮膚生検切片スライドを再水和させることによって脱パラフィン化した。これらのスライドを次に使用準備の整ったヘマトキシリンで5分間にわたり染色し、水ですすぎ洗い、エオシン(再蒸留水中0.5%)で1.5分間にわたり染色し、70%エタノール中への迅速な浸漬によって2回洗浄した。その後、これらのスライドは、5分間にわたり95%エタノールを用いて1回、5分間にわたり100%エタノールを用いて2回および10分間にわたりキシレン(100%)を用いて2回洗浄することによって脱水した。この後、ENTELLAN(商標)(Merck KGaA社、ドイツ国ダルムシュタット)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0137】
ビスファチンの免疫組織化学検査:パラフィン包埋皮膚生検切片スライドは、上述したように調製した。生検切片スライドを、上述したように、脱パラフィン化して再水和させた。抗原回収は、最高出力で2分間、および最高出力の20%でさらに10分間にわたり10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中で皮膚生検切片スライドをマイクロ波に掛けることによって実施した。皮膚生検切片スライドを次に1時間にわたり室温に冷却させた。次に、皮膚生検スライドは1時間にわたりブロッキング液(DPBS−/−中の10%ウマ血清)とともにインキュベートし、次に4℃で一晩にわたり2%正常ウマ血清および1%TRITON(商標)x−100界面活性剤を含有するDPBS−/−の溶液中の1:200の希釈率にあるハツカネズミ(Mus musculus:〜家ネズミ)ビスファチン(Phoenix Pharmaceutical社、カリフォルニア州バーリンゲーム)に対する特異的なウサギIgG1ポリクローナル抗体調製物ともに4℃で一晩インキュベートした。翌日、皮膚生検スライドをDPBS−/−中で3回洗浄し、90分間にわたり二次抗体としてのヤギ抗ウサギIgG1ビオチンコンジュゲート(Vector Laboratories社、米国カリフォルニア州バーリンゲーム)とともにインキュベートした。次に、DPBS−/−中での洗浄を実施し、スライドは、製造業者(Vector Laboratories社、カリフォルニア州バーリンゲーム)によって指示されたようにVECTASTATIN(商標)増強キットを使用してビオチン−アビジン増強にかけ、DAB反応を利用して発色させた。対染色は、ヘマトキシリン&エオシン染色を用いて実施した。皮膚生検スライドは、上述したように濃度を上昇させながらのエタノール溶液中での連続的浸漬によって脱水させ、その後10分間にわたりキシレン(100%)を用いて2回洗浄した。この後に、ENTELLAN(商標)(Merck KGaA社、ドイツ国ダルムシュタット)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0138】
オイルレッドO染色:凍結皮膚生検切片スライドは、5分間にわたり1%中性緩衝ホルマリン中で固定し、脱イオン水中で洗浄し、そして5分間にわたり60%イソプロパノール中でインキュベートした。皮膚生検切片スライドは、ストック(99%イソプロパノール中で0.5%オイルレッドO)および脱イオン水の2:3混合液を調製することによってその直前に調製されていた新鮮な濾過オイルレッドO溶液を用いて染色した。皮膚生検切片スライドを60%イソプロパノール中に移し、脱イオン水中で洗浄し、ヘマトキシリンを用いて対染色し、風乾させ、VECTASHIELD(商標)マウント剤を用いて載荷した。この後にVECTASHIELD(商標)マウント剤(Vector Laboratories社、カリフォルニア州バーリンゲーム)を塗布し、カバースリップを載荷した。
【0139】
〔実施例1〕
ビスファチンは、皮膚の皮脂腺中で発現する。図1を参照されたい。皮膚内でのビスファチン発現を、組織学検査を使用して試験した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のためにBalbCマウス(Mus musculus)由来の皮膚生検サンプルを調製した。ビスファチン免疫組織化学検査もまた上述したように実施した。
【0140】
皮膚生検サンプル切片は、2月齢のBalbCマウスの皮膚由来であった。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片は、上述したように抗ビスファチン抗体を使用してビスファチンについて特異的に染色した(図1において茶色)。図1では、「HF」は「毛包」を意味し、「SG」は「皮脂腺」を意味し、「PC」は「末梢細胞」を意味し、「CC」は「中心細胞」を意味する。図1における画像は、指示したように10×または40×の倍率を表し、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用して生成された。
【0141】
図1から明らかなように、ビスファチンは主として、および特異的に、皮膚の皮脂腺中で発現する。詳細には、ビスファチンの発現は皮脂腺の小葉領域へ明確に局在する。図1を参照されたい。ビスファチンはさらにまた、毛包および真皮内でも低レベルで発現した。図1を参照されたい。図1に示したように、ビスファチンの発現は、皮脂腺中に存在する円形の気泡形細胞に限定される。これらの細胞の形態学的特徴は、脂腺細胞および分化した脂腺細胞前駆体細胞の特徴である。重要なことに、これらは皮脂の脂質成分で満たされ、破裂して皮脂腺の内部へ皮脂を分泌する細胞であり、ビスファチンが皮脂産生において重要な役割を果たすことを示している。
【0142】
〔実施例2〕
ビスファチンは、皮脂腺の内部に存在する皮脂蓄積細胞中で高度に発現する。図2を参照されたい。BalbCマウス由来の皮膚生検サンプルは、上述した材料および方法を使用して組織学検査のために調製した。ビスファチンの免疫組織化学検査およびオイルレッドO染色もまた上述のように実施した。
【0143】
皮膚生検サンプル切片は、2月齢のBalbCマウスの皮膚由来であった。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片は、上述したように抗ビスファチン抗体を使用してビスファチンを特異的に染色した(図2においてハッシュパターンによって示したように褐色)。皮膚切片はさらに、脂質、例えば皮脂脂質の蓄積を同定するために、オイルレッドO(図2においてハッシュパターンによって示したように赤色)を用いて染色した。図2における画像は、表示したように40×の倍率を表し、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用して生成された。
【0144】
図2から明らかなように、ビスファチン発現および脂質の大きなプールは、脂腺細胞および分化した脂腺細胞前駆体細胞に特徴的な形態学的特徴を有する細胞内に明確に共局在する。図2に示した結果は、ビスファチンが皮脂蓄積細胞中で高度に発現すること、そして皮脂腺の内部での皮脂の生成と密接に関連していることを確認している。これらの結果は、気泡形形態を有し、オイルレッドOで陽性染色される皮脂腺の内部に局在するこれらの細胞が脂質蓄積脂腺細胞であることも確認している。
【0145】
〔実施例3〕
ビスファチンの局所投与および皮内投与は、皮脂腺の内側に局在する脂腺細胞の数を増加させる。図3を参照されたい。
【0146】
組換えMus musculusビスファチン(Enzo Life Sciences社、米国ニューヨーク州ファーミンデール)のストック調製物は、0.1M重炭酸アンモニウム緩衝液中で調製した。次に、このストック液を使用して、PBS中の0.01μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含む局所溶液を調製した。このストック液をさらに使用して、0.1%(v/v)DMSOを含有するPBS中の0.01μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含む皮内溶液を調製した。平均体重25gを有する成体BalbCマウスは、その後に皮膚処置領域への局所投与および滅菌ガーゼの使用による200μLの局所溶液または皮膚処置領域内への注射による200μLの皮内溶液のいずれかを受けた。マウスは、4日間にわたり毎日送達される皮膚処置領域への局所溶液または皮内溶液を用いるこの方法で処置した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のためにマウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルを調製した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色もまた上述のように実施した。
【0147】
皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。次に、Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用した40×の倍率での顕微鏡検査によって、脂腺細胞に特徴的な気泡形形態を備える細胞の数を計数し、各皮脂腺内の全細胞の数に対するパーセンテージとして算出した。
【0148】
図3から明らかなように、ビスファチンの皮内投与および局所投与はどちらも、コントロールマウスに比した処置されたマウスの皮脂腺内に存在する脂腺細胞の数を増加させた。類似の結果は、0.001μg/mLの組換えMus musculusビスファチンを含有する局所溶液および皮内溶液を用いた処置による、その他の点では同一に実施された試験でも得られた。重要なことに、これらの結果は、ビスファチンを含む組成物を用いた皮内または局所的処置が皮脂腺内で脂腺細胞の蓄積を誘導することを証明している。これらの結果は、皮膚のビスファチン処置が、挫瘡と関連する例えば皮脂腺性のプラグの形成などの症状を誘導できることもまた示している。
【0149】
〔実施例4〕
ビスファチン処置は、コントロールに比して皮脂腺内の脂質蓄積を増加させる。図4を参照されたい。ビスファチン処置は、皮膚内の皮脂腺の成熟、およびコントロールに比したこれらの成熟皮脂腺による皮脂の生成もまた誘導する。図4を参照されたい。
【0150】
生後平均体重2gの新生仔BalbCマウス(Mus musculus)は、その後、皮膚処置領域への局所投与及び滅菌ガーゼの使用による上記の実施例3に記載した100μLの局所溶液、又は皮膚処置領域内への注射による上記の実施例3に記載した皮内溶液の滅菌ガーゼもしくは100μLのいずれかを受けた。新生仔マウスを、4日間にわたり毎日送達される皮膚処置領域への100μLの局所溶液または皮内溶液を用いるこの方法で処置した。
【0151】
新生仔マウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルは、上述した材料および方法を使用して組織学検査のために生後第3日および第4日に調製した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色およびオイルレッドO染色もまた上述したように実施した。図4Aおよび図4Cに示した皮膚生検サンプルは、生後第3日に調製した。図4Aに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびオイルレッドOを用いて染色した。図4Aおよび図4Cにおける黒色矢印は、皮脂腺を含有する皮脂を示す。図4Bに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した。図4Bにおける赤い矢印は、皮脂腺を示す。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。
【0152】
新生仔マウスは、生後最初の数日間以内は皮脂を分泌しないことが公知である。しかし、生後数日間で、皮脂腺は最終的に成熟し、皮脂を分泌し始める。
【0153】
図4Aおよび図4Cの第1パネルから明らかなように、生後第3日に、コントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有していない。そこで、生後第3日に、これらの新生仔コントロールマウスにおける皮脂腺は、未成熟であり、皮脂を生成することができない。
【0154】
これとは明確に対照的に、図4Aおよび図4Cの第2パネルは、生後第3日に、ビスファチンを用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺がオイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有することを示している。そこで、ビスファチンは、生後第3日にコントロールマウスに比して皮脂腺の成熟および増加した皮脂産生を誘発することができる。
【0155】
図4Bの第1パネルは、これらの結果を確認しており、H&E染色に基づいて、生後第4日にはコントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺の大多数は成熟皮脂腺の特徴を欠如し、皮脂腺内部の腺周辺での扁平細胞もしくは気泡形脂腺細胞を含有していないことを証明している。
【0156】
図4Bの第2パネルは、H&E染色に基づいて、生後第4日にはコントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺が成熟皮脂腺の特徴を有し、腺周辺での扁平細胞、もしくは成熟皮脂腺内部で気泡形脂腺細胞を含有することを証明している。
【0157】
重要なことに、これらの結果は、ビスファチン処置が皮脂腺の成熟を誘導し、皮脂産生を増加させることを証明している。最も重要なことに、これらの結果は、増加するビスファチン活性が皮脂産生に関連する状態における皮脂産生を増加させられることを示している。
【0158】
〔実施例5〕
ビスファチンアンタゴニストを用いた処置は、皮脂腺内での皮脂産生を阻害する。図5および図6を参照されたい。
【0159】
配列番号3に示したMus musculusビスファチンをコードするcDNA配列に対応するRNA転写産物を標的とするsiRNA1およびsiRNA2と命名された2つの低分子干渉核酸(siRNA)を調製した。siRNA1は、配列5’−gcacaguaccauaacggcutt−3’(配列番号11)および配列5’−agccguuaugguacugugctt−3’(配列番号12)のハイブリダイズした二重鎖を含む二本鎖核酸である。siRNA2は、配列5’−ggucuuagauauuuuaggctt−3’(配列番号15)および配列5’−gccuaaaauaucuaagacctt−3’(配列番号16)のハイブリダイズした二重鎖を含む二本鎖核酸である。これらのsiRNAは、Applied Biosystems社(Ambion社、米国テキサス州オースチン)から購入した。
【0160】
次にsiRNA1およびsiRNA2の両方を含有する局所溶液を調製した。各局所溶液中で結合された全siRNAの最終濃度は、1nMまたは3nMのいずれかであった。重要なことに、siRNA1およびsiRNA2はどちらも、最終1nMまたは3nM結合siRNA濃度を生成するために等モル量で各局所溶液中に存在した。
【0161】
siRNA送達のための2つのタイプの局所溶液を調製した。第1溶液は、0.1%(v/v)のDMSOを含有するPBS中でsiRNA1およびsiRNA2を含んでいた。この第1溶液を使用して、図6Aにおける「裸のsiRNA」を投与した。第2溶液は、0.1%(v/v)のDMSOを含有するPBS中でsiRNA1およびsiRNA2ならびにアミノ酸配列FARKGALRQ(配列番号27)を有する、1μg/mLのカチオン性親油性N−ミリストイル化ペプチドを含んでいた。このカチオン性親油性N−ミリストイル化ペプチドは「MPDY」と命名し、ミリストイル酸を配列番号27のアミノ末端F残基のα−アミノ基へN−ミリストイル−トランスフェラーゼ触媒反応によって形成されるアミド結合を介して共有結合させる工程によって調製した。この第2溶液は、図6Bにおける「送達系によって送達されるsiRNA」を投与するため、および図5に示した結果を生じさせるために使用した。
【0162】
新生仔BalbCマウスを1nM(図6B)または3nM(図5および図6B)でsiRNAを含有する第2溶液を用いて処置した。新生仔BalbCマウス(Mus musculus)はさらにまた1nM(図6A)または3nM(図6B)でsiRNAを含有する第1溶液でも処置した。生後第1〜3日に、新生仔BalbCマウスの平均体重は2gであり、100μLの第1または第2溶液のいずれかを毎日、滅菌ガーゼを使用してマウスの皮膚上の処置領域に適用した。生後第4〜6日に、新生仔BalbCマウスの平均体重は3gであり、200μLの第1または第2溶液siRNA局所溶液のいずれかを毎日、滅菌ガーゼを使用してマウスの皮膚上の処置領域に適用した。新生仔マウスは、さらに第1溶液を含有するsiRNA非含有第1コントロール溶液(図6)または第1溶液を含有するsiRNA非含有第2コントロール溶液のいずれかを用いて生後初期6日間にわたって皮膚処置領域へ毎日局所に処置した。上述した材料および方法を使用して組織学検査のために新生仔マウスの処置領域由来の皮膚生検サンプルを生後第5日および第6日に調製した。ビスファチン免疫組織化学検査は、上述のように実施した。ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色およびオイルレッドO染色もまた上述のように実施した。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。
【0163】
図5に示した皮膚生検サンプルは、第5日に調製した。図5Aの皮膚生検サンプルをビスファチン発現について染色する。図5Aおよび5Dに示した矢印は、ビスファチン特異的染色を示す。図5Bおよび5Eに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびオイルレッドOを用いて染色した。図5Bおよび5Eの矢印は、皮脂腺を示す。図5Cおよび5Fに示した皮膚生検サンプルは、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色する。図5Cにおける矢印は、気泡形脂腺細胞を含有する成熟皮脂腺を示す。
【0164】
Nikon Eclipse 50i顕微鏡を使用した40×の倍率での顕微鏡検査によって、第5および6日に調製された皮膚生検サンプル中の脂腺細胞に特徴的な気泡形の形態をもつ細胞の数も計数し、各皮脂腺内の全細胞の数に対するパーセンテージとして算出した。図6を参照されたい。
【0165】
図5Aおよび5Dの第1パネルから明らかなように、生後第5日に、高レベルのビスファチン発現は、第2コントロール溶液を用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮膚内で検出された。さらに、このビスファチン発現は、主として皮脂腺と関連すると思われた。
【0166】
これとは全く対照的に、図5Aおよび5Dの第2パネルは、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2溶液を用いた毎日の局所的処置後には、生後第5日の新生仔マウスの皮内および皮脂腺内でのビスファチン発現の明確な阻害を示している。そこで、ビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2は、皮膚内および皮脂腺内でのビスファチン発現を阻害できる。
【0167】
図5Bおよび図5Eの第1パネルから明らかなように、生後第5日に、コントロール液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有している。そこで、生後第5日に、これらの新生仔コントロールマウスにおける皮脂腺は、成熟しており、皮脂を生成することができる。これらの結果もまた、MPDYペプチド単独では皮脂産生を阻害しなかった、さもなければ認識可能に皮膚を変化させなかったことを示している。
【0168】
これとは対照的に、図5Bおよび図5Eの第2パネルは、生後第5日に、毎日3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2溶液を用いて局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は、オイルレッドO染色に基づくと皮脂を含有していないことを証明している。そこで、ビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2は皮脂腺による皮脂産生を阻害し、皮脂レベルを制御できる。
【0169】
図5Cおよび図5Fの第1パネルはこれらの結果を確認しており、H&E染色に基づいて、生後第5日には第2液で局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺が成熟皮脂腺の特徴を有し、腺周辺で扁平細胞、及び成熟皮脂腺内部では気泡形脂腺細胞を含有することを証明している。これらの結果もまた、MPDYペプチド単独は皮脂産生を阻害しなかった、さもなければ認識可能に皮膚を変化させなかったことを示している。
【0170】
図5Cおよび5Fの第2パネルは、H&E染色に基づいて、生後第5日に、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2液で毎日局所的に処置された新生仔マウスの皮脂腺は成熟皮脂腺の特徴を欠如しており、成熟皮脂腺の内部で気泡形脂腺細胞を含有していないと見られることを証明している。
【0171】
図6Aは、1nMまたは3nMいずれかのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第1液を用いた毎日の局所的処置がコントロール液で処置されたコントロール動物と比較してビスファチンアンタゴニスト処置動物の皮内における皮脂含有皮脂腺の数を減少させたことを証明している。これらの結果もまた、ビスファチンアンタゴニストsiRNAにより作り出された作用が用量依存性であったことを証明している。
【0172】
図6Bは、3nMのビスファチンアンタゴニストsiRNAを含有する第2液を用いた毎日の局所的処置が、処置された動物の皮膚内における皮脂含有皮脂腺の数を減少させたことを証明している。
【0173】
加えて、図6Aおよび6Bにおける結果の比較は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAが0.1%(v/v)のDMSOおよび1μg/mLのカチオン性親油性MPDYペプチドを含有するPBSの第2液で局所投与された場合に、このペプチドが欠如する第1液に比較して、皮膚内における皮脂含有皮脂腺の数のより顕著な阻害が発生したことを示している。これらの結果はともに、このカチオン性親油性ペプチドを含有する溶液中では、ビスファチンアンタゴニストsiRNAのより効率的な送達が行われることを示している。
【0174】
これらの結果は、ビスファチンアンタゴニスト、例えばsiRNAは、ビスファチンの発現を阻害でき、そして皮膚内における皮脂腺による皮脂産生を減少させる、または制御できることを証明している。これらの結果もまた、皮脂腺による皮脂産生のためにビスファチン活性が必要であることを示している。
【0175】
最も重要なことに、これらの結果は、ビスファチンアンタゴニスト処置は、皮脂産生を制御し、増加した皮脂産生と関連する挫瘡ならびに他の状態、例えば脂漏症の処置に利用できることを証明している。
【0176】
〔実施例6〕
ビスファチンを含む組成物は中等度から重度の乾燥皮膚を効果的に治療する。表1を参照されたい。
【0177】
20代以降の年齢範囲内にあり、中等度から重度の乾燥皮膚を有する女性が同定され、ボランティア患者となった。「試験製剤A」と命名され、1%(w/w)(0.1μg/mL)の組換えヒトビスファチン、95%の水、0.2%(w/w)のモンタンロウ、0.2%(w/w)のミツロウ、0.2%(w/w)のソルビトール、0.2%(w/w)のシアバター、1%(w/w)のボリジオイル、1%(w/w)のカレンジュラ油 、0.2%(w/w)のハマメリス 抽出物および1%(w/w)のヒマシ油を含有するクリーム調製物を調製した。
【0178】
本試験に参加する患者ボランティアは、彼らの皮膚の中等度から重度に乾燥した領域を刺激の少ない石鹸で洗浄し、その領域を清浄にすすぎ洗いし、皮膚のこの領域へ試験製剤Aを適用した。これは、試験期間中に1日2回(ほぼ12時間毎に1回)実施された。試験期間は3カ月間であった。3カ月間の試験終了時に、患者ボランティアは、表1の陳述を含有するアンケート用紙に記入した。
【0179】
【表1】
【0180】
表1に記載の各陳述に同意する患者のパーセンテージが示されている。表1に示したように、全患者ボランティアは、不愉快で彼らの幸福感に悪影響を及ぼした中等度から重度の乾燥皮膚を有していた。表1はさらに、全患者ボランティアは、彼らの皮膚がより柔らかくなり、鱗状ではなくなり痒みが減少し、より艶がでて明るくなったことに同意した。最も重要なことに、全患者ボランティアは、ビスファチンを含む組成物の局所投与は彼らの乾燥皮膚問題を効果的に治療したこと、そして彼らの幸福感が組成物の使用後に改良されたことに同意した。表1を参照されたい。患者ボランティアの乾燥皮膚状態におけるこれらの改善は、典型的には本試験の参加の第5日または第6日に見られたが、さらに一部の患者被験者(例えば、20代での若年の女性など)についてはより早期に見られた。
【0181】
以下では本開示を十分に説明するが、当業者には、添付の特許請求項の範囲の記載の趣旨または適用範囲から逸脱せずに、それに加えられた多数の変化および修飾を加えられることは明白になる。
【0182】
図面の詳細な説明
図1
図1は、ビスファチンの発現が皮脂腺に制限されることを示している。
2月齢のBalbCマウス由来の皮膚の組織切片を調製した。皮膚サンプルは、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋した。皮膚切片について、抗ビスファチン抗体を用いてビスファチンを染色した(褐色)。HF(毛包)、SG(皮脂腺)、PC(末梢細胞)、CC(中心細胞)。倍率:10×および40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0183】
図2
図2は、ビスファチンが皮脂腺の皮脂蓄積細胞内で発現することを示している。
凍結切片は、材料および方法に記載したように2月齢のBalCマウスの皮膚から調製し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、ビスファチン(褐色)およびオイルレッドO(赤色)染色にかけた。倍率:10×および40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0184】
図3
図3は、ビスファチンが皮脂腺内の気泡形の脂腺細胞の数を増加させることを示している。
成体BalbCマウスを4日間にわたりビスファチン(0.01μg/mL)を用いて皮内または局所的に処置した。4日後、処置された領域の皮膚切片を採取し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋し、皮膚切片をH&E染色した。倍率:40×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。図3Aは、皮膚生検サンプルの顕微鏡写真を示している。図3Bは、皮脂腺の中心に所在する気泡形の脂腺細胞を計数し、処置の各1つについて皮脂腺中に存在する全細胞に比してそのような脂腺細胞のパーセンテージを算出することによって入手したデータを示している。
【0185】
図4
図4は、ビスファチンを用いた局所的処置が皮脂腺内での成熟および脂質蓄積を誘発することを示している。
新生仔BalbCマウスを3日間にわたりビスファチンを用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。図4Aでは、凍結皮膚切片を調製し、オイルレッドOを用いて染色し、ヘマトキシリンで対染色した。黒色矢印は、皮脂含有腺を示している。図4Bでは、パラフィン切片を調製し、H&E染色を行った。赤色矢印は、皮脂腺を示している。倍率:20×。顕微鏡:Nikon Eclipse 50i。
【0186】
図5
図5は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所的処置が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示している。
新生仔BalbCマウスは、5日間にわたりカチオン性親油性MPDYペプチドを備える3nMの結合siRNA濃度でビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2の両方を用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。パラフィン切片を調製し、図5Aでは、ビスファチン阻害を例証するためにビスファチンについて免疫染色した。黄色矢印は、ビスファチン染色を示している。図5Bでは、凍結皮膚切片を調製し、オイルレッドOを用いて染色し、ヘマトキシリンで対染色した。黒色矢印は、皮脂含有腺を示している。図5Cでは、生検サンプルのH&E染色を実施した。赤色矢印は、成熟皮脂腺を示している。
【0187】
図6
図6は、ビスファチンアンタゴニストsiRNAを用いた局所的処置が皮脂腺内での皮脂産生を抑制することを示している。
新生仔BalbCマウスを5日間にわたりカチオン性親油性MPDYペプチドを備える(図6B)、またはこのペプチドを備えない(図6A)1nM、または3nMの結合siRNA濃度でビスファチンアンタゴニストsiRNA1およびsiRNA2を用いて局所的に処置した。皮膚生検は、指示した時点に採取した。凍結切片を調製し、材料および方法において記載したようにオイルレッドOを用いて染色した。皮脂含有腺を計数し、結果は図6のグラフに要約した。
【図1A−1B】
【図1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項2】
送達ペプチドをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ビスファチン活性剤は、ビスファチンアゴニストである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ビスファチンアゴニストを約0.001〜約10重量%含む請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約1重量%のビスファチンアゴニスト、約95重量%の水、約0.2重量%のモンタンロウ、約0.2重量%のミツロウ、約0.2重量%のソルビトール、約0.2重量%のシアバター、約1重量%のボリジオイル、約1重量%のカレンジュラ油 、約0.2重量%のハマメリス (Hamamelis)抽出物および約0.1重量%のヒマシ油を含む請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
クリーム剤である請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ビスファチン活性剤はビスファチンアンタゴニストであり、前記送達ペプチドは配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAである請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含み、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含み、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
水溶性担体およびDMSOを含む請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂過剰生成状態が治療される方法。
【請求項15】
前記皮脂過剰生成状態は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記siRNA1は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ビスファチンアンタゴニストは、FK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより前記尋常性挫瘡が治療される方法。
【請求項21】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記siRNA1は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ビスファチンアンタゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物である請求項20に記載の方法。
【請求項25】
被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を、皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂産生欠乏症状態が治療される方法。
【請求項26】
前記皮脂産生欠乏症状態は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2に示した酸配列を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ビスファチンアゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項3〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物である請求項25に記載の方法。
【請求項30】
被験者の皮脂産生を増加させる方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が増加させられる方法。
【請求項31】
前記ビスファチンアゴニストは、局所投与または皮内投与される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ビスファチンアゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項3〜8に記載の医薬組成物である請求項30に記載の方法。
【請求項35】
被験者の皮脂産生を減少させる方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が減少させられる方法。
【請求項36】
前記ビスファチンアンタゴニストは、局所投与または皮内投与される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ビスファチンアンタゴニストは、FK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項36に記載の方法。
【請求項41】
ビスファチンアンタゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項9〜12に記載の医薬組成物である請求項35に記載の方法。
【請求項42】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項43】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項44】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用。
【請求項45】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用。
【請求項46】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用。
【請求項47】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用。
【請求項48】
尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項49】
皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用。
【請求項50】
あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用。
【請求項51】
被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂過剰生成状態が治療される医薬組成物。
【請求項52】
被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより前記尋常性挫瘡が治療される医薬組成物。
【請求項53】
被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニストを皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂産生欠乏症状態が治療される医薬組成物。
【請求項54】
被験者の皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニストを前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が増加させられる医薬組成物。
【請求項55】
被験者の皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が減少させられる医薬組成物。
【請求項1】
ビスファチン活性剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項2】
送達ペプチドをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ビスファチン活性剤は、ビスファチンアゴニストである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ビスファチンアゴニストを約0.001〜約10重量%含む請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約1重量%のビスファチンアゴニスト、約95重量%の水、約0.2重量%のモンタンロウ、約0.2重量%のミツロウ、約0.2重量%のソルビトール、約0.2重量%のシアバター、約1重量%のボリジオイル、約1重量%のカレンジュラ油 、約0.2重量%のハマメリス (Hamamelis)抽出物および約0.1重量%のヒマシ油を含む請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
クリーム剤である請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ビスファチン活性剤はビスファチンアンタゴニストであり、前記送達ペプチドは配列番号27に示したアミノ酸配列を有するアミノ末端ミリストイル化ペプチドである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAである請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含み、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つのsiRNAを含み、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
水溶性担体およびDMSOを含む請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
被験者における皮脂過剰生成状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストまたはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂過剰生成状態が治療される方法。
【請求項15】
前記皮脂過剰生成状態は、挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記siRNA1は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ビスファチンアンタゴニストは、FK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
被験者における尋常性挫瘡を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより前記尋常性挫瘡が治療される方法。
【請求項21】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記siRNA1は、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ビスファチンアンタゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物である請求項20に記載の方法。
【請求項25】
被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療する方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を、皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂産生欠乏症状態が治療される方法。
【請求項26】
前記皮脂産生欠乏症状態は、あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2に示した酸配列を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ビスファチンアゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項3〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物である請求項25に記載の方法。
【請求項30】
被験者の皮脂産生を増加させる方法であって、治療有効量のビスファチンアゴニスト、またはビスファチンアゴニストを含有する医薬組成物を前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が増加させられる方法。
【請求項31】
前記ビスファチンアゴニストは、局所投与または皮内投与される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ビスファチンアゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ビスファチンアゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項3〜8に記載の医薬組成物である請求項30に記載の方法。
【請求項35】
被験者の皮脂産生を減少させる方法であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニスト、またはビスファチンアンタゴニストを含有する医薬組成物を前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が減少させられる方法。
【請求項36】
前記ビスファチンアンタゴニストは、局所投与または皮内投与される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ビスファチンアンタゴニストは、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される配列を含むタンパク質をコードする核酸を標的とする少なくとも1つのsiRNAを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNA、第3siRNAおよび第4siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号19および配列番号20に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号21および配列番号22に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第3siRNAは配列番号23および配列番号24に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第4siRNAは配列番号25および26に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記siRNAは、第1siRNA、第2siRNAおよび第3siRNAからなる群から選択される少なくとも1つであって、ここで、前記第1siRNAは配列番号9および配列番号10に示した配列を含む二本鎖核酸であり、前記第2siRNAは配列番号13および配列番号14に示した配列を含む二本鎖核酸であり、および前記第3siRNAは配列番号17および配列番号18に示した配列を含む二本鎖核酸である請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ビスファチンアンタゴニストは、FK−866およびAPO866からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む請求項36に記載の方法。
【請求項41】
ビスファチンアンタゴニストを含有する前記医薬組成物は、請求項9〜12に記載の医薬組成物である請求項35に記載の方法。
【請求項42】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項43】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項44】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用。
【請求項45】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるFK−866の使用。
【請求項46】
皮脂過剰生成状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用。
【請求項47】
挫瘡、脂漏症、脂漏性皮膚炎、皮脂嚢胞および皮脂腺過形成 からなる群から選択される状態を治療するための医薬品の製造におけるAPO866の使用。
【請求項48】
尋常性挫瘡を治療するための医薬品の製造における配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号9、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号17および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含むsiRNAの使用。
【請求項49】
皮脂産生欠乏症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用。
【請求項50】
あかぎれ、皮膚炎、乾癬、糖尿病、腎不全、腎移植、血液透析、ビタミンA欠乏症および口角炎からなる群から選択される少なくとも1つと関連する乾燥症状態を治療するための医薬品の製造における配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むビスファチンアゴニストの使用。
【請求項51】
被験者における皮脂過剰生成状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを皮脂過剰生成状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂過剰生成状態が治療される医薬組成物。
【請求項52】
被験者における尋常性挫瘡を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを尋常性挫瘡を備える被験者に投与する工程を含み、それにより前記尋常性挫瘡が治療される医薬組成物。
【請求項53】
被験者における皮脂産生欠乏症状態を治療するために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニストを皮脂産生欠乏症状態を患う被験者に投与する工程を含み、それにより前記皮脂産生欠乏症状態が治療される医薬組成物。
【請求項54】
被験者の皮脂産生を増加させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアゴニストを前記被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が増加させられる医薬組成物。
【請求項55】
被験者の皮脂産生を減少させるために適した医薬組成物であって、治療有効量のビスファチンアンタゴニストを被験者の皮膚に投与する工程を含み、それにより前記被験者の皮脂産生が減少させられる医薬組成物。
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2012−518630(P2012−518630A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550698(P2011−550698)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000011
【国際公開番号】WO2010/097788
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(508064333)ヒールオア・リミテッド (4)
【住所又は居所原語表記】RUHRBERG SCIENCE BUILDING, GRAHAM BELL ENTRANCE, FLOOR 5, 3 PEKERIS STREET, RECHOVOT 76702, ISRAEL
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000011
【国際公開番号】WO2010/097788
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(508064333)ヒールオア・リミテッド (4)
【住所又は居所原語表記】RUHRBERG SCIENCE BUILDING, GRAHAM BELL ENTRANCE, FLOOR 5, 3 PEKERIS STREET, RECHOVOT 76702, ISRAEL
【Fターム(参考)】
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